説明

新規な棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37

本発明は、新規な棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37、その製造方法、および高分子量有機材料を着色するためのその使用に関する。棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37は、長さ0.5〜30μm、幅0.05〜1μm、特に0.100〜0.500μm、および平均厚さ0.01〜0.200μm、特に0.03〜0.100μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37
【0002】
【化1】

【0003】
、その製造方法、および高分子量有機材料を着色するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
米国特許第5,298,076号には、カルバゾールジオキサジン粗顔料、すなわち比表面積が約2〜20m2/gかつ平均粒子サイズが0.5〜20μmのC.I.ピグメントバイオレッド23を、顔料着色有効量、高分子量有機材料に組み込むことを含む、高分子量有機材料を着色する方法が開示されている。この方法は、特に、多色効果およびカモフラージュ効果を得るのに、そして自動車のコーティングに用いるのに有効である。
【0005】
DE102005008659は、透明なジオキサジン顔料、例えばC.I.ピグメントバイオレッド37の製造方法に関し、原料ジオキサジン顔料を、振動部品に格納された少なくとも1つの粉砕コンテナを有し、および粉砕コンテナにしっかりと固定された励振機を有する偏心振動ミル中で微粉砕することを含む。
【0006】
欧州特許出願公開第1199309(A1)号は、式:
【0007】
【化2】

【0008】
で表される、組成C2212Cl264のメチル置換ベンズイミダゾロン縮合ジオキサジン顔料、またはその異性体もしくは互変異生体の相転化の方法に関するものであり、式(1)の顔料を特定の有機溶媒で処理することを含む。この相転化中に、相II、IV、VおよびVIと呼ばれ、それらのX線粉末ダイアグラムによって特定される、4種の新規な結晶多形相が形成される。
【0009】
国際公開公報第9845757号は、放射線感受性前駆体から、放射線照射によって構造化される黒色顔料着色高分子量有機材料に関し、この材料の顔料着色は、有色有機顔料からなり、少なくともその1種は放射線照射前には潜在した形で存在する。
【0010】
国際公開公報第9845757号の実施例5には、次の化合物:
【0011】
【化3】

【0012】
、すなわちC.I.ピグメントバイオレッド37の放射線感受性前駆体の合成が記載されており、これは高分子量有機材料の着色に用いられる。すなわち、前駆体を含む薄膜が、ガラス板をスピンコーティングすることにより得られる。フィルムを乾燥し、UV光により前駆体をC.I.ピグメントバイオレッド37に転化する。
【0013】
米国特許第3,472,844号は、式:
【0014】
【化4】

【0015】
の2,6−ベンゾイルアミノ−3,7−ジエトキシ−9,10−ジアセチルアミノ−トリフェンジオキサジンの新規な赤紫色結晶形(β−変態)に関する。それは、2,5−ジアセチルアミノ−3,6−ジ−(2',5'−ジエトキシ−4'−ベンゾイルアミノ)−1,4−ベンゾキノンを、ニトロベンゼン中、塩基および/または水からなる添加剤の存在下で、150℃より高温で長期間加熱することにより、あるいは2,6−ベンゾイルアミノ−3,7−ジエトキシ−9,10−ジアセチルアミノ−トリフェンジオキサジンの「α−変態」を、ニトロベンゼン中、160℃より高温で長期間加熱することにより得ることができる。
【0016】
特開昭56−135556には、式:
【0017】
【化5】

【0018】
のジオキサジン化合物、例えば式:
【0019】
【化6】

【0020】
の化合物の製造方法が記載されており、式I:
【0021】
【化7】

【0022】
[式中、Arは、(置換)芳香族残基であり;Yは、ハロゲン、アシルアミノまたはアシルオキシである]のジイミド化合物を、極性、非プロトン性溶媒中、100〜200℃で加熱することを含む。このジオキサジン化合物を微細に分割することにより得られる顔料は、従来品に比べてブリード抵抗に優れる。
【0023】
実施例3によれば、C.I.ピグメントバイオレッド37の緑色結晶は、
【0024】
【化8】

【0025】
を、キノリン中、p−トルエンスルホニルクロリドの存在下、150〜160℃で加熱することにより得られる。
【0026】
驚くべきことに、粒子サイズが0.5〜1μmの等軸の粒子形状で存在することが公知である粗C.I.ピグメントバイオレッド37は、粗C.I.ピグメントバイオレッド37を、極性溶媒中、高温で再結晶することにより、容易にかつ効率よく、棒状形を有する「エフェクト」顔料に転化し得ることが、今や見出された。
【0027】
したがって、本発明は、棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37に関する。棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37は、長さ0.5〜30μm、特に1〜30μm、幅0.05〜1μm、特に0.100〜0.500μm、および平均厚さ0.01〜0.200μm、特に0.03〜0.100μmである。本C.I.ピグメントバイオレッド37を用いて、新規な色特性、例えば、レミッション(remission)と透過で異なる色、または視角によって異なる色の発色が得られる。したがって、例えばセキュリティ用途におけるエフェクト顔料として用いることが予め定められる。
【0028】
この顔料(粒子サイズ約50nm)の従来の適用分野とは異なり、新規な顔料はその新規な極めて大きな結晶の寸法がただ関心をひきつける。
【0029】
さらに、本発明は、棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37の製造方法であって、
(a)粗C.I.ピグメントバイオレッド37を、極性溶媒に、高温で、所定期間、分散および部分的に溶解させること
を含む方法に関するものである。
【0030】
通常、混合物の温度を20〜40℃に下げて、さらなる結晶化を妨げる。
【0031】
応用例1に示すように,1mmのロールドPVCシートに組み込むと、本発明により得ることができる棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37(1.0%顔料)は、
−透過での色が紫色であり、
−レミッションでの色が、結晶長さに応じて緑色から褐色に、さらに黒色に変化すること
を特徴とする。
【0032】
つまり、顔料のNMP中の滞留時間を変えることにより(1分〜12時間)、新規な色特性が得られ、すなわちレミッションにおける色は、結晶長さに応じて緑色から褐色に、さらに黒色に変化することになる。全ての場合において、透過における色は紫色である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願の実施例1で得られた棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37の顕微鏡写真であり、透過において紫色、レミッションにおいて緑色を有する。
【図2】本願の実施例1で得られた棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37の顕微鏡写真であり、透過において紫色、レミッションにおいて褐色を有する。
【0034】
棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37を製造するための新規な方法は、粗C.I.ピグメントバイオレッド37を、極性溶媒に、高温で分散および部分的に溶解させることにより行う。高温とは、100℃から溶媒の還流温度、特に120℃から溶媒の還流温度の温度を意味する。望ましい棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37は、所定時間、温度を特定のレベルに保持することにより(好ましくは120℃から還流温度まで、1分〜12時間)、十分に得られる。その後、温度を、好ましくは0〜50℃に、特に20〜40℃に下げ、これによりさらなる結晶化を妨げる。次に、懸濁液を室温に冷まし、ろ過し、ろ液を水で洗浄し、顔料を乾燥する。
【0035】
出発C.I.ピグメントバイオレッド37粗製物は、従来の市販されている粒子サイズが0.5〜1μmの等軸のC.I.ピグメントバイオレッド37粗製物である。
【0036】
適切な極性溶媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびN−メチル−ピロリドン(NMP)である。N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチル−ピロリドンが好ましく、N−メチル−ピロリドンが最も好ましい。
【0037】
C.I.ピグメントバイオレッド37粗製物対溶媒のモル比は、1:270〜1:27、特に1:133〜1:33である。
【0038】
溶媒の量は、溶媒の極性、すなわちC.I.ピグメントバイオレッド37の溶媒への溶解性に依存する。
【0039】
溶媒がNMPである場合、NMPは、顔料部分当り、3〜30重量部、特に4〜20重量部の量で含まれる。
【0040】
棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37の製造の新規な方法を、溶媒NMPについて詳細に説明するが、それに限定されない。
【0041】
NMPおよびC.I.ピグメントバイオレッド37粗製物の混合物を、約170℃からNMPの還流温度までの温度に加熱し、この温度で1分〜12時間撹拌する。混合物の温度を20〜40℃に下げて、さらなる結晶化を妨げる。次に懸濁液を室温に冷まし、ろ過し、ろ液を水で洗浄して、NMPを除去し、次いで顔料を乾燥する。
【0042】
NMP中の顔料の滞留時間を変えることにより(1分〜12時間)、新規な色特性が得られ、すなわちレミッションにおける色が、結晶長さに応じて緑色から褐色に、さらに黒色に変化する。全ての場合において、透過における色は堅固に紫色のままである。
【0043】
本発明の製造方法は、簡単な方法で、棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37を再現よく製造するのを可能にする。本発明の棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37は、プラスチック、ペイント、印刷インクなどに組み込まれた場合、特定の形状、色フロップ効果、および/またはレミッション/透過で異なる色を示し、そして分散させるのが容易である。
【0044】
本発明の棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37は、多くの用途、例えばプラスチック、ガラス、セラミック製品、装飾的化粧品配合物、特にコーティングおよびインク(例えば、セキュリティ印刷インクを含む印刷インク)の着色に極めて有効である。全ての工業的に普通の印刷方法、例えばスクリーン印刷、凹版印刷、ブロンズ印刷、フレキソ印刷およびオフセット印刷が適切である。顔料1種だけを用いる塗布媒体のマトリックスにおいて、2色(紫色/緑色)または(紫色/茶色)を組み合わせることが可能であり、その効果は独特と考えられる。
【0045】
これらの用途に対して、本発明の顔料はまた、有利なことに、透明な、ならびに隠蔽白色、有色および黒色顔料、ならびに金属酸化物でコーティングされたマイカおよび金属顔料および公知の(ゴニオクロマチック)ラスター顔料をベースとする従来のラスター顔料との混合状態で使用できる。
【0046】
本発明による顔料は、全ての通常の用途、例えばポリマーの練り込み着色、表面コーティング(自動車部門用を含むエフェクト仕上げ塗装を含む)、および印刷インク、ならびに、例えば化粧品用途に使用できる。このような用途は、参考資料、例えば"Industrielle Organische Pigmente"(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York, 2nd, completely revised edition, 1995)から公知である。
【0047】
顔料着色に本発明による顔料または顔料組成物を用いることができる高分子量有機材料は、天然由来でも合成品でもよい。高分子量有機材料は、通常、分子量が約103〜108g/molまたはそれより大きい。これは、例えば、天然樹脂、乾性油、ゴムもしくはカゼイン、またはこれらから誘導された天然物質、例えば塩素化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチレートまたはニトロセルロースとすることができるが、特に、重合、重縮合または重付加により得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチック)が挙げられる。重合樹脂のクラスから、特に、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイソブチレン、さらに置換ポリオレフィン、例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはブタジエンの重合生成物、ならびに前記モノマーの共重合物、特にABSまたはEVAを挙げることができる。
【0048】
重付加樹脂および重縮合樹脂の系から、例えば、ホルムアルデヒドとフェノール類の縮合物、いわゆるフェノプラスト、ホルムアルデヒドと尿素、チオウレアまたはメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト、表面コーティング樹脂として用いるポリエステル、アルキド樹脂などの飽和樹脂、またはマレエート樹脂などの不飽和樹脂;さらに直鎖状ポリエステルおよびポリアミド、ポリウレタンまたはシリコーンを挙げることができる。
【0049】
前記高分子量化合物は、単独または混合物で、プラスチック塊または溶融物の形で存在できる。これらはそのモノマーの形態でまたは重合した状態で、表面コーティングまたは印刷インク用の被膜形成剤またはバインダー、例えば、煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂および尿素−ホルムアルデヒド樹脂またはアクリル樹脂のように溶解した状態で存在してもよい。
【0050】
使用用途によって、本発明による顔料または顔料組成物を、トナーとして用いるのが有利か、配合物の形態で用いるのが有利かを確かめた。高分子量有機材料、特にポリエチレンの着色用(エフェクト)顔料の使用に悪影響がないという条件で、コンディショニング方法または対象とする用途によって、コンディショニングプロセスの前または後に、所定量のテクスチャー改良剤を顔料に加えるのが有利である。適切な薬剤は、特に、炭素原子数が少なくとも18の脂肪酸、例えばステアリン酸またはベヘン酸、またはアミドまたはこれらの金属塩、特にマグネシウム塩、ならびに可塑剤、ワックス、樹脂酸、例えばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノールまたは脂肪族アルコール、例えばステアリルアルコール、または炭素原子数8〜22の脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、例えば1,2−ドデカンジオール、さらに変性コロホニウムマレエート樹脂またはフマル酸コロホニウム樹脂である。テクスチャー改良剤は、最終生成物に基づいて、好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で加える。
【0051】
本発明による顔料は、顔料着色する高分子量有機材料に、任意の着色有効量で加えることができる。顔料着色物質組成物は、高分子量有機材料、および本発明による顔料、高分子量有機材料に基づいて0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%を含むのが有利である。実際には濃度1〜20重量%、特に約10重量%用いることが多い。高濃度、例えば30重量%より高い濃度は、通常、濃縮物(マスターバッチ)の形態であり、着色剤として比較的顔料含量の低い顔料着色材料の製造に用いることができ、本発明による顔料は通常の配合物中で異例に低い粘度であるのでそれでも良好に加工できる。
【0052】
有機材料の顔料着色を目的として、本発明による顔料を単独で用いることができる。しかし、種々の色相または色効果を得るために、本発明による(エフェクト)顔料に加えて、所望の量の他の色付与成分、例えば白色、有色、黒色またはエフェクト顔料を、高分子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料を本発明による(エフェクト)顔料との混合状態で用いる場合、合計量は、高分子量有機材料に基づいて0.1〜10重量%であるのが好ましい。本発明による顔料を用いる高分子量有機物質の顔料着色は、例えば、このような顔料(適切な場合にはマスターバッチの形態で)と基材とを、ロールミルまたは混合もしくは粉砕装置を用いて混合することにより行う。次に、顔料着色材料を、それ自体公知の方法、例えばカレンダリング、圧縮成形、押出、コーティング、流し込みまたは射出成形を用いて、望ましい最終形態に至らせる。プラスチック業界で一般的な任意の添加剤、例えば可塑剤、充填剤または安定剤を、通常の量で、顔料の組み込み前または後に、ポリマーに加えることができる。特に、軟質成形品を製造するため、またはその脆さを減らすために、可塑剤、例えばリン酸、フタル酸またはセバシン酸のエステルを、成形に先立って高分子量化合物に加えるのが望ましい。
【0053】
表面コーティングおよび印刷インクの顔料着色において、高分子量有機材料および本発明による顔料を、適切な場合には通常の添加剤、例えば、充填剤、他の顔料、乾燥剤または可塑剤と共に、同じ有機溶媒または溶媒混合物に微細に分散または溶解し、個々の成分を別個に溶解または分散させるか、または多数の成分を一緒に溶解または分散させ、その後初めて全成分を合わせることができる。
【0054】
顔料着色する高分子量有機材料中での本発明による顔料の分散、および本発明による顔料組成物の加工は、エフェクト顔料がより小さな部分に壊れないように、比較的弱い剪断力しか発生しない条件下で行うのが好ましい。
【0055】
例えばプラスチック、表面コーティングまたは印刷インク中、特に表面コーティングまたは印刷インク中、さらに特に表面コーティング中で得られる色合いは、優れた特性、特に極めて高い彩度、優れた堅牢性、角度依存する色変化(フロップ)、およびプラスチック中で用いる場合レミッションと透過で異なる色に特徴がある。
【0056】
顔料着色する高分子量材料が表面コーティングである場合、それは特に専用の表面コーティング、特に自動車の仕上げ塗装である。
【0057】
そのコピー不可な光学効果のせいで、本発明による顔料は、紙およびプラスチックから偽造防止材料の製造に用いるのが有利である。用語、紙から製造された偽造防止材料とは、例えば有価証券、例えば紙幣、チェック、納税印紙、郵便切手、鉄道乗車券、航空券、宝くじ、商品券、エントリーカード、書式および株を意味する。用語、プラスチックから製造された偽造防止材料とは、例えば、チェックカード、クレジットカード、テレホンカードおよび身分証明書を意味する。最適な光学効果を得るために、加工の間、棒状形状顔料を良好に配向させる、すなわちそれぞれの媒体の表面とできるだけ平行に配列させることを確実にするべきである。顔料粒子のこの平行配向は、フロープロセスから行うのが最も良く、通常、プラスチック加工、ペインティング、コーティングおよび印刷の公知の方法全てにおいて実現される。
【0058】
本発明による顔料は、唇または皮膚の化粧および髪または爪の着色にも適切である。
【0059】
したがって、本発明は、本発明による顔料を、化粧品配合物または組成物の合計重量に基づいて0.0001〜90重量%、および化粧品用に適切なキャリヤ材料を10〜99.9999%含む化粧品配合物または組成物にも関するものである。
【0060】
このような化粧品配合物または組成物は、例えば、口紅、ほお紅、ファンデーション、マニキュア液およびヘア・シャンプーである。
【0061】
本顔料は、単独でまたは混合物の形態で用いることができる。さらに、本発明による顔料を他の顔料および/または着色剤と共に、例えば上述したようなまたは化粧品配合物で公知の組合せで用いることができる。
【0062】
本発明による化粧品配合物および組成物は、本発明による顔料を、配合物の合計重量に基づいて0.005〜50重量%の量で含有するのが好ましい。
【0063】
本発明による化粧品配合物および組成物に適切なキャリヤ材料は、このような組成物に用いる通常の材料を含む。
【0064】
本発明による化粧品配合物および組成物は、例えば、スティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末または溶液の形態とすることができる。これらは、例えば、口紅、マスカラ配合物、ほお紅、アイシャドウ、ファンデーション、アイライナー、粉おしろいまたはマンキュア液である。
【0065】
配合物がスティック、例えば口紅、アイシャドウ、ほお紅またはファンデーションの形態であるならば、配合物はかなりの部分が脂肪成分からなり、脂肪成分は、1種以上のワックス、例えばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水素化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンワックス、ミツロウ、カンデリラろう、微晶ろう、カルナウバろう、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココア脂、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、モノ、ジもしくはトリグリセリドまたは25℃で固体であるこれらの脂肪酸エステル、シリコーンワックス、例えばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサンおよびポリ(ジメチルシロキシ)−ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、松脂およびこれらの誘導体、例えばグリコールアビエテートおよびグリセロールアビエテート、25℃で固体である水素化油、糖グリセリド、およびカルシウム、マグネシウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのオレエート、ミリステート、ラノレート、ステアレートおよびジヒドロキシステアレートからなることができる。
【0066】
脂肪成分は、1種以上のワックスと1種以上のオイルとの混合物からなっていてもよく、その場合、例えば次のオイルが適切である:パラフィン油、パーセリンオイル、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンドオイル、アボカドオイル、カロフィラムオイル、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、沸点約310〜410℃の鉱油、シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀物粒オイル、例えば小麦麦芽オイル、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコールおよびポリアルコール、例えばグリコールおよびグリセロールのオクタノエートおよびデカノエート、アルコールおよびポリアルコールのリシノレエート(例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレートおよびオクチルドデカノール)。
【0067】
スティックの形態のこのような配合物中の脂肪成分は、通常、配合物合計重量の99.91重量%まで占めることができる。
【0068】
加えて、本発明による化粧品配合物および組成物は、さらなる成分、例えばグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、非有色ポリマー、無機または有機の充填剤、防腐剤、UVフィルターまたは他の添加物ならびに通常の化粧品中の添加剤、例えば天然または合成または部分的に合成のジまたはトリグリセリド、鉱油、シリコーン油、ワックス、脂肪アルコール、Guerbetアルコールまたはそのエステル、日光保護フィルターを含む親油性の機能化粧品有効成分、またはこのような物質の混合物を含むことができる。
【0069】
皮膚化粧品に適切な親油性の機能化粧品有効成分、有効成分組成物または有効成分抽出物は、皮膚のまたは局所の用途に承認された成分または成分の混合物である。例として次のものが挙げられる:
−皮膚表面および髪のクレンジング作用を有する有効成分;これは皮膚を洗浄する作用をなす全ての物質、例えばオイル、石鹸、合成洗剤および固体の物質を含む;
−防臭および制汗作用を有する有効成分:これはアルミニウム塩または亜鉛塩を主成分とする制汗剤、殺菌性または静菌性防臭物質、例えばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコールおよびカチオン物質、例えば、第四級アンモニウム塩を含む防臭剤、およびにおい吸収剤、例えば(登録商標)Grillocin(亜鉛リシノレエートと種々の添加剤の組み合わせ)またはクエン酸トリエチル(場合により酸化防止剤、例えば、ブチルヒドロキシトルエンとの組み合わせ)またはイオン交換樹脂を含む;
−日光に対する保護を与える有効成分(UVフィルター):適切な有効成分は、日光から紫外線を吸収しそれを熱に変換することができるフィルター物質(日焼け止め剤)である;望ましい作用によって、次の光保護剤が好ましい:日焼けの原因となる約280〜315nmの範囲の高エネルギー紫外線を選択的に吸収し例えば315〜400nm(UV−A範囲)の長波長範囲を透過する光保護剤(UV−B吸収剤)、ならびに315〜400nmのUV−A範囲長波長放射線だけ吸収する光保護剤(UV−A吸収剤);適切な光保護剤は、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、有機ケイ素基1個以上を含むポリマーUV吸収剤、桂皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾースルホン酸およびその塩、アントラニル酸メンチル、ベンゾトリアゾール誘導体クラスから有機UV吸収剤、および/または酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素でコーティングされたTiO2、酸化亜鉛またはマイカから選択される無機ミクロ顔料である;
−虫に対する有効成分(駆除剤)は、虫が皮膚に触れそこで活動するのを妨げることを意図する薬剤である;これらは虫を追い払い、ゆっくり蒸発する;最も多く用いられる駆除剤はジエチルトルアミド(DEET)である;他の一般的な駆除剤は、例えば"Pflegekosmetik" (W. Raab and U. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York, 1991)161頁に見られる;
−化学的および機械的影響に対する保護用の有効成分:これらは皮膚と外部の有害な物質の間にバリヤを形成する全ての物質、例えば水溶液に対する保護用の、パラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL生成物およびラノリン、有機溶媒の影響に対する保護用のフィルム形成剤、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコールもしくはセルロースエーテル、または皮膚上の激しい機械的応力に対する保護用「潤滑剤」として鉱油、植物油またはシリコーン油を主成分とする物質を含む;
−保湿物質:例えば次の物質が湿分制御剤(保湿剤)として用いられる:乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチンおよびヒアルロン酸;
−ケラトプラスチック効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄およびレゾルシノール;
−抗菌剤、例えば、トリクロサンまたは第四級アンモニウム化合物;
−皮膚上に塗布することのできる油性または油溶性のビタミンまたはビタミン誘導体:例えばビタミンA(遊離酸またはその誘導体の形態のレチノール)、パンテノール、パントテン酸、葉酸、およびこれらの組合せ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF;必須脂肪酸;またはナイアシンアミド(ニコチン酸アミド);
−ビタミンベース胎盤抽出物:特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸およびビオチン、アミノ酸および酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄または銅の化合物を含む有効成分組成物;
−皮膚修復コンプレックス:ビフィズスグループバクテリアの培養物を不活性化し破壊して得られる;
−植物および植物抽出物:例えばアルニカ、アロエ、バードライカン、アイビー、イラクサ、朝鮮人参、ヘンナ、カモミール、マリゴールド、ローズマリー、セージ、ツクシまたはタイム;
−動物抽出物:例えばロイヤルゼリー、プロポリス、タンパク質または胸腺抽出物;
−皮膚上に塗布することのできる化粧品オイル:Miglyol 812タイプの中性オイル、杏仁油、アボカドオイル、ババス油、綿実油、ルリヂサオイル、アザミオイル、ラッカセイ油、γ−オリザノール、ローズヒップ種子オイル、大麻油、ヘーゼルナッツ油、クロフサスグリの種子オイル、ホホバ油、サクランボの種オイル、サーモンオイル、アマニ油、トウモロコシの種子オイル、マカダミアナッツ油、アーモンドオイル、イブニングプリムローズオイル、ミンクオイル、オリーブ油、ピーカンナッツオイル、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、稲種子オイル、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油、ティー・ツリー油、ブドウ種子オイルまたは小麦麦芽オイル。
【0070】
スティック形状の配合物は無水であるのが好ましいが、特定の場合には所定量の水を含んでもよい。ただし一般に、化粧品配合物の合計重量に基づいて40重量%を越えない。
【0071】
本発明による化粧品配合物および組成物が、半固体生成物の形態、すなわち軟膏またはクリームの形態であるなら、それらは同様に無水でも水性でもよい。このような配合物および配合は、例えばマスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドウ、または目の下のくまを処理する組成物である。
【0072】
一方、このような軟膏またはクリームが水性であるなら、それらは特に、顔料のほかに、脂肪相1〜98.8重量%、水性相1〜98.8重量%、および乳化剤0.2〜30重量%を含む油中水形または水中油形のエマルションである。
【0073】
このような軟膏およびクリームは、さらに従来の添加剤、例えば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルター、着色剤、顔料、真珠箔剤、非有色ポリマーならびに無機または有機充填剤も含むことができる。
【0074】
配合物が粉末の形態であるなら、それらは実質的に鉱物または無機または有機充填剤、例えばタルク、カオリン、スターチ、ポリエチレン粉末またはポリアミド粉末、ならびに添加物、例えばバインダー、着色剤などからなる。
【0075】
このような配合物は、通常化粧品に使用される種々の添加物、例えば香料、酸化防止剤、防腐剤などを同様に含んでもよい。
【0076】
本発明による化粧品配合物および組成物がマニキュア液なら、それらは本質的に、溶媒系中の溶液の形態で、ニトロセルロースおよび天然または合成ポリマーからなり、溶液が他の添加物、例えば真珠箔剤を含むことが可能である。
【0077】
その態様では、有色ポリマーを約0.1〜5重量%の量で含む。
【0078】
本発明による化粧品配合物および組成物は、髪の着色にも使用することができ、その場合それらは化粧品業界で慣例的に使用されるベース物質および本発明による顔料で構成されるシャンプー、クリームまたはゲルの形で用いられる。
【0079】
本発明による化粧品配合物および組成物は、例えば成分を一緒に混合または撹拌することによる、場合により混合物を溶融するように加熱を伴う、従来の方法で調製する。
【0080】
以下、実施例で本発明の種々の特徴および局面をさらに具体的に説明する。これらの実施例は当業者に本発明の範囲の操作方法を示すために提示するが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は請求項でのみ定義される。以下の実施例および明細書の他のところおよび請求項中で特記しない限り、部および%は全て重量部および重量%であり、温度は℃であり、そして圧力は大気圧または大気圧近辺である。
【0081】
実施例
色相値hおよび彩度C*ならびに隠蔽力ΔE*−S/Wを測定する分析サンプルを、棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37(1.0重量%)を含有するプレスされたPVC板(厚さ1mm)を用いて、DIN53775パート7にしたがって製造した。
【0082】
レミッション/透過における全ての色の測定は、Minolta CM 3610d分光光度計(d/8ジオメトリー、光沢を含む、光源D65、観測装置10°)およびB&Wレネタカード(Leneta card)を用いて行った。全ての「角度依存」測定は、Datacolor FX 10およびB&Wレネタカードを用いて行った。
【0083】
実施例
実施例1
10gの粗C.I.ピグメントバイオレッド37を、N−メチル−ピロリドン(NMP)100mlに室温で分散させた。次に混合物を油浴を用いて190℃まで加熱し、この温度を15分間保った。反応を30℃に冷却し、新しく形成された結晶をろ過により単離した。顔料中に残存するNMPを、フィルター・ケークを、水100mlを用いて洗浄することにより除去した。次に、顔料を真空オーブン中、60℃で乾燥した。
【0084】
ウォームカレンダリング(160℃;応用例1を参照)で、この乾燥粉末1%をPVC99%に分散させることにより、レミッションにおいて緑色が観察され;透過におけるエフェクトは、紫色であった。
【0085】
顔料の高温での滞留時間を変えることにより、他の色が観察された。
【0086】
【表1】

【0087】
応用例1
0.35mmロールドPVCシートの色の測定:
−予備混合:
顔料0.4gをベ−ス混合物14.0gと30分混合し、次に、ポリ塩化ビニル(PVC)(EVIPOL(登録商標)SH 7020、EVC GmbH)26.0gと共にゆっくり撹拌した。ベース混合物は、可塑剤(Palatinol(登録商標)10P(ジ−2−プロピルヘプチルフタレート、BASF)12.9g、Drapex(登録商標)39(エポキシ化大豆油、Witco Vinyl Additives GmbH)0.6g、およびMark BZ 561(Crompton Vinyl Additives GmbH)0.5gからなる。
【0088】
−ロールドシートの製造:
上で得たPVCおよび顔料/ベース混合物の混合物を、2本ロールミル(Collin model、D-85560 Ebersberg)中、ロール温度160℃(各ロール)で、下記にしたがってロール練りした。
a)熱ローリング6分間(1分ごとロールドシートをひっくり返した、ロール間隔0.35mm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37。
【請求項2】
長さ0.5〜30μm、幅0.05〜1μm、特に0.100〜0.500μm、および平均厚さ0.01〜0.200μm、特に0.03〜0.100μmである、棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37。
【請求項3】
請求項1記載の棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37の製造方法であって、
(a)粗C.I.ピグメントバイオレッド37を、極性溶媒に、高温で、所定期間、分散および部分的に溶解させること
を含み、ここで前記極性溶媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN−メチル−ピロリドン(NMP)からなる群より選択され、そして、高温は、100℃から溶媒の還流温度を意味する、製造方法。
【請求項4】
溶媒がN−メチル−ピロリドンである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、顔料を120℃から還流温度に加熱する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
粗C.I.ピグメントバイオレッド37対溶媒のモル比が1:133〜1:33である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項記載の方法にしたがって得ることができる、棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37。
【請求項8】
請求項1、2または7のいずれか1項記載の棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37を、着色有効量含有する、高分子量有機材料。
【請求項9】
高分子量有機材料を着色するための方法であって、請求項1、2または7のいずれか1項記載の棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37を、着色有効量、前記有機材料に組み込むことを含む方法。
【請求項10】
請求項1、2または7のいずれか1項記載の棒状形C.I.ピグメントバイオレッド37を含む偽造防止材料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−513579(P2010−513579A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540712(P2009−540712)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063208
【国際公開番号】WO2008/071585
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】