説明

新規の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系、前記分散系の製造方法および前記分散系の使用

【課題】新規の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系、前記分散系の製造方法および前記分散系の使用を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの表面不活性化ジイソシアネートを含む新規の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系に、前記分散系の製造方法に、およびタイヤにおける接着性を向上させるための前記分散系の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの表面不活性化ジイソシアネートを含む新規の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系に、前記分散系の製造方法に、およびタイヤにおける接着性を向上させるための前記分散系の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系(RFL dip)は、それがゴムへの人造繊維(コード)の接着性を向上させるので、タイヤ部門において特に定着するようになった。
【0003】
しかし、ポリエステルがコード材料として使用されるときの欠点は、RFL dipの接着促進特性が不十分であることである。
【0004】
前記欠点を、二量体イソシアネートを加えることによって排除するための試みがそれ故行われてきたが、これらは、低い性能レベルおよび比較的低い貯蔵寿命のために失敗した。
【0005】
ポリエステルコードが使用されるとき、カプロラクタムでキャップされたイソシアネートが、タイヤ/ゴムへの接着性を向上させるためにRFL dipに添加される((特許文献1)を参照されたい)。これらの欠点は、今度は、このプロセスの後期において破壊的効果を有するカプロラクタムの脱離である。
【0006】
(特許文献2)は、接着促進特性を向上させるためのマイクロカプセル化された二量体ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートおよびジフェニルメタン2,4−ジイソシアネート(MDI)の使用をさらに開示している。しかし、この文献に記載されている物質の欠点は、それらが200℃超の温度でのみ有効であり、高濃度が必要とされ、そしてそれらが高価であり、かつ、商業的に入手可能でないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第A2008/0300347号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第A 2159241号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、先行技術の欠点を持たない水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系を提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
意外にも、トルエン2,4−ジイソシアネート(TDI)を、または置換TDIをベースとする少なくとも1つの表面不活性化ジイソシアネートを含む水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系が、低濃度でさえも、優れた接着性を提供することが今見いだされた。
【0010】
本発明はそれ故、少なくとも1つのアミンで表面不活性化された、式(I)
【化1】

(式中、X=
【化2】

であり、
式中、nおよびmは同一であるかまたは異なることができ、そして1、2、3または4であり、RおよびR’は同一であるかまたは異なることができ、そしてC〜Cアルキルである)
に従った少なくとも1つのジイソシアネートを含む水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系を提供する。
【0011】
本発明の特定の一実施形態においては、ジイソシアネートは、少なくとも1つのアミンで表面不活性化された、式(II)
【化3】

の化合物である。
【0012】
本発明の別の、同様に好ましい実施形態においては、ジイソシアネートは、少なくとも1つのアミンで表面不活性化された、式(III)
【化4】

の化合物である。
【0013】
式(I)に従ったジイソシアネートは商業的に入手可能であるかまたは、たとえばJ.Prakt.Chem.1999,341,no.7に記載されているような、当業者に公知の方法によって製造することができる。
【0014】
式(II)に従ったジイソシアネートは、たとえばAddolink(登録商標)TTまたはRhenocure(登録商標)TTとしてRhein Chemie Rheinau GmbHから商業的に入手可能である。
【0015】
式(III)に従ったジイソシアネートは、たとえば独国特許出願公開第A−3438527号明細書に記載されているような、先行技術から公知の方法によって製造することができる。
【0016】
使用されるジイソシアネートは好ましくは固体であり、それらの粒度は50μm未満であることが特に好ましい。
【0017】
表面不活性化(マイクロカプセル化)プロセスのために使用されるアミンは、あらゆるアミノ官能性化合物を含むことができる。これらは、好ましくは多官能性の第一級および第二級アミン、特に好ましくは多官能性の脂肪族アミンである。本発明に従った好適なアミンは特に、ヘテロ原子、特に酸素または硫黄によるアルキル鎖の少なくとも幾らかの、あるいは完全な割り込みがあってもよい、および/またはアルキル鎖がさらなる置換基、たとえばヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲンなどを含むことができる、環状および脂肪族の、直鎖もしくは分岐の(C〜C14)アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミン、特に(C〜C10)アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミン、好ましくは(C〜C)アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミンの群から選択されるものである。
【0018】
次の化合物が、本発明に従った好適なアミンの例として挙げられてもよい:2−メチルペンタメチレン−1,5−ジアミンならびにその異性体および同族体、たとえば1,6−ヘキサメチレンジアミン;ジ−第二ブチルアミン;エチレンジアミン;1,3−プロピレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;メチルノナンジアミン;イソホロンジアミン;4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;アルカノールアミンおよび−ジアミン、たとえばエタノールアミンおよびジエタノールアミン、および/またはアミドアミン。これらの中で、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジアミンならびにその異性体および同族体、たとえば1,6−ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
【0019】
これらは、特に好ましくは多官能性の第一級および第二級アミン、特に好ましくは多官能性の脂肪族アミン、たとえばHuntsman製のJeffamine(登録商標)T 403、BASF AG製のジイソプロパノールアミン、またはCognis製のVersamid(登録商標)140、もしくはWitco製のEuretek 505などの、アミドアミンである。特に、これらは、親水性基、たとえば特にアミノ基またはヒドロキシ基を有する化合物であり、これらは固体ジイソシアネートの遊離のイソシアネート基と反応し、イソシアネート上に表面コーティングを形成することができ、これがその結果イソシアネートを不活性化する。例はそれ故、アミン、ジアミンおよびポリアミンである。
【0020】
本発明の好ましい一実施例においては、使用される表面不活性化剤は、第一級および/または第二級アミノ基を有する低分子量のモノ−、ジ−またはポリアミンを含み、その使用量は具体的には、表面不活性化剤のアミノ基対不活性化を必要とするイソシアネートのイソシアネート基の当量の比(nNH/nNCO)として計算される、不活性化の程度(DD)が0.9〜5当量%であるようなものである。
【0021】
特に、表面不活性化剤のモル質量MMは、600g/モルであることができる。
【0022】
ジイソシアネートの量を基準とする、表面不活性化剤(アミン)の好ましい濃度はここでは、1〜10重量%、特に2〜5重量%である。
【0023】
表面不活性化プロセスは好ましくは、撹拌しながらおよび/またはミリングしながら、任意選択的にまた分散剤および沈降防止剤を含むジイソシアネートの水性分散系へアミンを添加することによって行われる。しかし、ジイソシアネートの有機分散系への、たとえばアルコール、トルエンなどへのアミンの添加によって表面不活性化プロセスを実施することもまた可能である。
【0024】
商業的に入手可能な機械を撹拌/ミリングプロセスのために使用することができる。例はビーズミル、溶解機および/または羽根攪拌機である。
【0025】
ジイソシアネートの不活性化は、それ自体公知の方法(特に、その全体内容が参照のために本明細書に援用される、欧州特許出願公開第0 205 970 A号明細書および米国特許第4,888,124号明細書を参照されたい)で、たとえば
a)アミンの溶液中の粉状固体ジイソシアネートの分散、または、
b)固体の微細粒子ジイソシアネートの分散系へのアミンのまたはアミンの溶液の添加
によって行われる。
【0026】
この表面不活性化プロセスは、水中および/または有機溶媒中で行うことができる。
【0027】
水性分散系はまた、さらなる添加剤、たとえばレオロジー助剤(沈降防止剤)、たとえばBorchi(登録商標)Gel ALA(OMG Borchers GmbH)またはMonsantoから得られるKelzan(登録商標)S、あるいはR.T.Vanderbiltから得られるTragacanth、安定剤、乳化剤、湿潤剤および/または分散剤、たとえばBASF AG製のTamol(登録商標)NN 9104もしくはCytec Surface Specialities GmbH製のAerosol(登録商標)OT45、またはClariant International Ltd製のDispersogen(登録商標)HRを含むことができる。
【0028】
本発明の目的のためには、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系は、個々の成分レゾルシノールおよびホルムアルデヒド、および/またはレゾルシノールとホルムアルデヒドとでできたプレ縮合物(たとえばRhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenosin(登録商標)およびIndspec Chemical Corp.から得られるPenacolite(登録商標)50)と一緒のホルムアルデヒド、ならびに本明細書において以下に言及されるラテックス分散系の1つ以上の分散系である。
【0029】
本発明の目的のために使用されるラテックス分散系は、先行技術において公知のラテックス、たとえばXSBRラテックス(カルボキシル化スチレン−ブタジエンコポリマー)、 HSSBRラテックス(スチレン−ブタジエンコポリマー)、ニトリル−ブタジエンコポリマー(NBRラテックス)、CRラテックス(ポリクロロプレン)、PSBRラテックス(ピリジン−スチレン−ブタジエンコポリマー)および/またはアクリレートラテックス(アクリレートのみのコポリマーおよびスチレン−アクリレートコポリマー)および/またはスチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマーラテックスのいずれかであることができ、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマー(たとえEliochemから得られる、Pliocord VP 106)が好ましい。これらは、例としてPolymer Latex GmbHからまたはEliokemから得られる商業的に入手可能な物質である。
【0030】
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系はここでは、レゾルシノールおよびホルムアルデヒドでできた塩基性の水性混合物、または好ましくはホルムアルデヒドおよびレゾルシノールとホルムアルデヒドとのプレ縮合物でできた塩基性の水性混合物を、塩基性の水性ラテックスに組み入れるための撹拌によって好ましくは得られる。
【0031】
レゾルシノール対ホルムアルデヒドの比は好ましくは1:1〜2.5:1である。
【0032】
その固形分を基準とする、ラテックス対レゾルシノールとホルムアルデヒドとでできた縮合物の比は、好ましくは10:1〜4:1、特に好ましくは6:1である。
【0033】
使用される水性の塩基性溶液は好ましくは、水性の水酸化ナトリウムおよび/または水酸化アンモニウム溶液である。好ましいpHはここで10〜11である。
【0034】
表面不活性化ジイソシアネートの好ましい使用量はここでは、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系中の固形分を基準として、0.5〜10%、特に5〜8%である。
【0035】
本発明は、水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の製造方法であって、表面不活性化プロセスのために、式(I)〜(III)に従った少なくとも1つのジイソシアネートが、
a)少なくとも1つのアミンの溶液中の、式(I)〜(III)に従った少なくとも1つの粉状カルボジイミド、好ましくは固体ジイソシアネートの分散によって、
b)式(I)〜(III)に従ったジイソシアネートの少なくとも1つの分散系への少なくとも1つのアミンまたは少なくとも1つのアミンの溶液の添加によって
のどちらかで少なくとも1つのアミンで不活性化され、次に
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れられるか、またはレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系がa)もしくはb)からのこれらの溶液へ撹拌によって組み入れられる方法をさらに提供する。
【0036】
商業的に入手可能な混合アセンブリ、たとえば撹拌容器および分散機が、不活性化ジイソシアネートを、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れるために、またはレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系を、不活性化ジイソシアネートへ撹拌によって組み入れるためにここでは用いられる。
【0037】
本発明は、本発明による少なくとも1つの水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系およびまた1つの活性化剤を含む接着剤配合物をさらに提供する。
【0038】
本発明の目的のための活性化剤の例は、Raschig製のグリシジルエーテルGE 500、またはEditya Birla Chemical製のビスフェノールAエポキシノボラックなどの、エポキシドである。
【0039】
接着剤配合物をここで製造するために、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系は、表面不活性化ジイソシアネートと混合され、活性化剤が次に添加されるが、その他の添加順序は排除されない。
【0040】
本発明は、架橋ゴムまたはエラストマーへの強化繊維の接着性の向上方法であって、強化繊維(繊維、コード)が本発明による接着剤配合物へ導入され、次に乾燥されるか、または強化繊維(繊維、コード)が1つ以上の工程において本発明による接着剤配合物の成分の1つ以上で処理される方法をさらに提供する。
【0041】
特に、本発明による接着剤配合物の1つ以上の成分を使用する複数の工程における最後の言及される処理の場合には、繊維はまた中間乾燥にかけることができる。
【0042】
本発明による上述の方法が本発明による接着剤配合物の1つ以上の成分を使用する複数の工程において実施される限りにおいて、可能な実施形態の例は、次の通りである:
例として、強化繊維を、先ず少なくとも1つのエポキシドへ導入し、そして任意選択的に乾燥させ、次に、アミンで表面不活性化された式(I)、(II)および/または(III)の少なくとも1つのジイソシアネートを使用するレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ導入することができるか、または
強化繊維は先ず、少なくとも1つのエポキシドでおよびアミンで表面不活性化された式(I)、(II)および/または(III)の少なくとも1つのジイソシアネートでできた分散系へ導入され、そして任意選択的に乾燥され、次に、レゾルシノールおよびホルムアルデヒド、またはホルムアルデヒドおよびレゾルシノール−ホルムアルデヒド・プレ縮合物をまた含むラテックス分散系へ導入される。
【0043】
架橋ゴムまたはエラストマーはここでは好ましくは、スチレン−ブタジエンゴム(SBRゴム)、ブタジエンゴム(BRゴム)、天然ゴム(NRゴム)、合成天然ゴム(IRゴム)、ポリウレタンエラストマー、またはそれらの任意の混合物である。
【0044】
上述の場合には、前もって活性化された(前処理された)強化繊維かあるいは前もって活性化されていない強化繊維かのどちらかを使用することが可能である。
【0045】
前もって活性化された(前処理された)強化繊維は、例として、それらの製造(紡糸)中にサイズで処理されたポリエステル−またはポリアミド−ベースの繊維である。商業的に入手可能な製品の例は、KoSa製のKoSa 793およびKoSa 748である。多くの場合に、サイズはエポキシドを含む。
【0046】
非前処理強化繊維は、例としてポリエステル−またはアラミド−ベースの繊維である。商業的に入手可能な製品の例はKoSa 792である。
【0047】
本発明はまた、架橋ゴムまたはエラストマーへの強化繊維の接着性の向上方法であって、前もって活性化された(前処理された)強化繊維が、本発明による水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ導入され、次に乾燥される方法を含む。
【0048】
本発明の目的のためには、用語繊維は、例としてポリエステルまたはアラミド、たとえばとりわけポリエチレンテレフタレート−ベースの繊維をベースとする、繊維のみならず、糸、コード、およびまた補強織物も意味する。
【0049】
本発明はまた、活性化剤前処理繊維を本発明による少なくとも1つの水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系と接触させることによってか、または非前処理繊維を本発明による少なくとも1つの接着剤配合物と接触させることによって、180℃超の温度でのその後の乾燥(硬化)によって得られる接着性向上繊維を提供する。
【0050】
本発明は、タイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける架橋ゴムへのまたはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させるための任意選択的に活性化剤の存在下での本発明によるレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の使用をさらに提供する。
【0051】
本発明はまた、タイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける架橋ゴムへのまたはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させるための本発明による接着剤配合物の使用を提供する。
【0052】
以下の実施例は本発明を例示するのに役立つが、結果として得られるいかなる限定効果も持たない。
【実施例】
【0053】
使用される化学薬品:
Addolink(登録商標)TT、Rhein Chemie Rheinau GmbHから得られる、トルエン2,4−ジイソシアネート(TDI−ウレトジオン)をベースとするジイソシアネート、
Grilbond(登録商標)IL 6、EMS−Griltechから得られる、カプロラクタムキャップされたMDI(ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート)、50%分散系、
MDI−U、欧州特許出願公開第219 241 A号明細書に従って製造された、二量体MDI(ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートおよび/またはジフェニルメタン2,4−ジイソシアネート)、
Tamol(登録商標)NN 9104、BASF AGから得られる、湿潤/分散剤、
Borchi Gel(登録商標)L 75、OMG Borchers GmbHから得られる、沈降防止剤、
Jeffamin(登録商標)T 403、Huntsman International LLCから得られる、ポリエーテルアミン、
Tragacanth増粘剤(水中1%)、R.T.Vanderbiltから得られる、
GE 500グリシジルエーテル、Raschig GmbHから得られる、
Penacolite(登録商標)50、Indspec Chemical Corpから得られる、レゾルシノール−ホルムアルデヒド・プレ縮合物、
Pliocord(登録商標)VP 106、Eliokemから得られる、41%固形分のスチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマーラテックス、
HMLSポリエステル繊維は、Polyester High Performance GmbH製の高弾性率低収縮ポリエステル繊維である、
LSポリエステル繊維は、Polyester High Performance GmbH製の(LS)低収縮ポリエステル繊維である。
【0054】
表1は、水性分散系を製造するために使用される量を照合する:
【0055】
【表1】

【0056】
水性分散系の製造方法はここでは次の通りであった:
水と湿潤/分散剤(Tamol(登録商標)NN 9104)とを組み合わせ、溶解/混合した。それぞれの実施例に依存して、Addolink(登録商標)TTまたはMDI−Uを次に加え、混合物を溶解機で均質にした。Jeffamin(登録商標)T 403を次に表面不活性化のために加え、剪断力を回避しながら混合することによって組み入れた。Borchi Gel(登録商標)L 75を次に混合によって組み入れ、混合物を均質にした。
【0057】
表2は、前もって活性化されたポリエステル繊維を処理するための接着剤配合物の構成を示す:
【0058】
【表2】

【0059】
処理された繊維を約135℃で約60秒間予備乾燥し、硬化プロセスは、180℃超の温度で120秒を要した。
【0060】
加硫および接着試験は、ASTM D 4393に従って実施した。使用された試験エラストマー混合物は、Dunlop SP 5320であった。
【0061】
本発明による方法によって表面不活性化されたTDIベースのジイソシアネートで処理した繊維は、硬化温度が180℃超であるときでさえ、架橋ゴムへのおよびエラストマーへの非常に良好な接着性を有することが明らかであった。これと対照的に、カプロラクタム−キャップされたMDIでまたは表面不活性化MDIウレトジオンで処理された繊維は不十分な接着性を示す。
【0062】
表3は、前もって活性化されたHMLSポリエステル繊維を使用したときの接着試験の結果を示す:
【0063】
【表3】

【0064】
表4は、前もって活性化されたLSポリエステル繊維を使用したときの接着試験の結果を示す:
【0065】
【表4】

【0066】
表5は、2段階浸漬プロセスおよび、それぞれ、プレ浸漬プロセスにおいてカップリング剤を使って前もって活性化されていないHMLSポリエステル繊維を使用したときの接着試験の結果を示す:
【0067】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアミンで表面不活性化された、式(I)
【化1】

(式中、X=
【化2】

であり、
式中、nおよびmは同一であるかまたは異なることができ、そして1、2、3または4であり、RおよびR’は同一であるかまたは異なることができ、そしてC〜Cアルキルである)
に従った少なくとも1つのジイソシアネートを含む水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系。
【請求項2】
前記ジイソシアネートが、少なくとも1つのアミンで表面不活性化された、式(II)
【化3】

の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系。
【請求項3】
前記ジイソシアネートが、少なくとも1つのアミンで表面不活性化された、式(III)
【化4】

の化合物あることを特徴とする請求項1または2に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系。
【請求項4】
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系が、個々の成分レゾルシノールおよびホルムアルデヒド、および/またはレゾルシノールとホルムアルデヒドとでできたプレ縮合物と一緒のホルムアルデヒド、および次の群:カルボキシル化スチレン−ブタジエンコポリマー(XSBRラテックス)、ニトリル−ブタジエンコポリマー(NBRラテックス)、ポリクロロプレン(CRラテックス)、ピリジン−スチレン−ブタジエンコポリマー(PSBRラテックス)および/またはアクリレートのみのコポリマーおよび/またはスチレン−アクリレートコポリマー(アクリレートラテックス)および/またはスチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマーラテックスから選択されるラテックス分散系の1つ以上の分散系を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系。
【請求項5】
表面不活性化プロセスのために、式(I)〜(III)に従った少なくとも1つのジイソシアネートが、
a)少なくとも1つのアミンの溶液中の式(I)〜(III)に従った少なくとも1つの粉状ジイソシアネートの分散によって、または
b)式(I)〜(III)に従ったジイソシアネートの少なくとも1つの分散系への少なくとも1つのアミンまたは少なくとも1つのアミンの一溶液の添加によって
のどちらかで少なくとも1つのアミンによって不活性化され、次に
前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れられるか、または前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系が、これらa)もしくはb)の溶液へ撹拌によって組み入れられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系およびまた活性化剤を含む、接着剤配合物。
【請求項7】
前記活性化剤が少なくとも1つのエポキシドであることを特徴とする、請求項6に記載の接着剤配合物。
【請求項8】
架橋ゴムおよび/またはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させる方法であって、
前記繊維が請求項6または7に記載の接着剤配合物へ導入され、次に乾燥されるか、または
前記繊維が1つ以上の工程において請求項6または7に記載の接着剤配合物の成分の1つ以上で処理される
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前もって活性化された繊維が請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ導入され、次に乾燥されることを特徴とする、架橋ゴムまたはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させる方法。
【請求項10】
前記活性化剤前処理繊維を請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系と接触させることによって、または非前処理繊維を請求項6または7に記載の少なくとも1つの接着剤配合物と接触させることによって、およびその後180℃超の温度で乾燥(硬化)させることによって得られる、接着性向上繊維。
【請求項11】
タイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける架橋ゴムへのまたはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させるための請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の使用。
【請求項12】
タイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける架橋ゴムへのまたはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させるための請求項6または7に記載の接着剤配合物の使用。

【公開番号】特開2012−46751(P2012−46751A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−185790(P2011−185790)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(509286422)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】