説明

新規インドール誘導体及びその医薬用途

【課題】薬効や安全性の面で十分な、医薬として優れた作用を有する甲状腺ホルモン受容体リガンドとして作用する医薬を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩である化合物である。


例えば、4−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチル等が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なインドール誘導体及びその医薬用途に関する。当該化合物は甲状腺ホルモン受容体リガンドとして様々な医薬用途を有する。
【背景技術】
【0002】
甲状腺ホルモンは、動物の分化、成長、エネルギー代謝等を促進し、脂質、糖質、タンパク質、無機塩類等の代謝調節をはじめ、生体の恒常性維持に重要な役割を果たしている。甲状腺ホルモン異常としては、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症がある。甲状腺機能低下症では、体重増加、体温低下、血中コレステロールの増加、徐脈、心機能の低下、脱毛、うつ症状等をきたす。一方、甲状腺機能亢進症では、体重減少、体温上昇、血中コレステロールの低下、頻脈、不整脈、心拍出量の増加、骨吸収の促進等をきたす。
【0003】
甲状腺ホルモンである3,3’,5,5’−テトラヨード−L−チロニン(T4)及び3,3’,5−トリヨード−L−チロニン(T3)は、主として甲状腺機能低下症患者の置換療法、及び甲状腺結節又は甲状腺癌患者での甲状腺刺激ホルモン(TSH)の抑制のために使用されている。さらに、高脂血症、肥満症、甲状腺腫、甲状腺癌、うつ病、皮膚疾患等の治療に用いる試みもなされている。しかし、置換療法以上の用量では、しばしば、不整脈、狭心症、心不全等の心臓への作用や不快感等の甲状腺中毒症状が認められることから、臨床での使用が制限されている。
【0004】
甲状腺ホルモンの示す作用の多くは、活性型ホルモンであるT3が主に核内に存在する甲状腺ホルモン受容体(甲状腺ホルモン受容体、thyroid hormone receptor:TR)と結合することで発揮される。即ち、T3と甲状腺ホルモン受容体から形成される複合体が、標的となる遺伝子の転写調節領域にある甲状腺ホルモン応答配列(TRE)と称される部位に結合し、その標的遺伝子の転写を活性化又は抑制することによってもたらされる。このように甲状腺ホルモン受容体を介してもたらされる作用は、ジェノミックエフェクトと称されている。
【0005】
甲状腺ホルモン受容体には、TRα及びTRβの2つのサブタイプが存在し、これらが生体内で何らかの役割分担を行っていることが示唆されている。例えば、甲状腺ホルモンのもたらす上記心毒性はTRαが関与していることが明らかとされていることから、TRβ選択的な作用を有する化合物は、心毒性の少ない医薬品になり得ることが期待される。
【0006】
一方、甲状腺ホルモン作用の少なくとも一部は、甲状腺ホルモン受容体を介さない作用によってもたらされると考えられており、これはノンジェノミックエフェクトと称されている。この作用には、T4、T3の他に、甲状腺ホルモンの代謝産物も関与することが示唆されており、これらが結合する受容体や酵素等が明らかにされつつある。
【0007】
最近、細胞質に存在する甲状腺ホルモン受容体が、フォスファチィディルイノシトール−3−キナーゼ(phosphatidylinositol-3-kinase:PI3K)の調節サブユニットと会合することにより、PI3Kを介したリン酸化シグナリングカスケードを活性化することが示され、ノンジェノミックエフェクトの一部は、甲状腺ホルモン受容体を介した作用であることが明らかにされた。このPI3Kを介したリン酸化カスケードは、細胞増殖、グルコースの取り込み等、多彩な細胞機能に重要な役割を果たしており、本作用はジェノミックエフェクトと協調して機能調節していると考えられる。
【0008】
以上のことから、甲状腺ホルモンの作用の全てもしくはその一部の作用を有する、又は調節する化合物は、例えば、高脂血症、肥満症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺癌、心不整脈、うっ血性心不全、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、皮膚障害、緑内障、脱毛症等の予防又は治療剤として有用であると期待される。
【0009】
これまでに甲状腺ホルモン作用を有する化合物の開発がなされてきたが、これらの多くは甲状腺ホルモンと同様のチロニン構造又はその類似構造を基本構造とするものである(例えば、非特許文献1参照)。近年になり、インドール環と同様の6−5系二環式複素環を有する化合物としてインドール環誘導体(特許文献1〜5参照)、インダゾール環誘導体(特許文献6参照)、及びベンゾフラン環誘導体(特許文献7〜8参照)が報告されている。しかし、これらの化合物は、架橋部分を有する置換フェニル基及びカルボン酸側鎖の結合位置が本願発明化合物と異なっているか、又は、6−5系二環式複素環が前記置換フェニル基の代用であったりして、架橋部分を有する置換フェニル基及びカルボン酸側鎖がインドール環の5員環部分で結合している本願発明の化合物とは構造が大きく異なっている。
【0010】
また、インドール環の3位にカルボン酸側鎖を有するインドール環誘導体として、特許文献9にプロスタグランジンD受容体拮抗作用を有する化合物が、特許文献10に抗炎症作用を有する化合物が、非特許文献2に血小板活性化因子受容体の結合阻害作用を有する化合物がそれぞれ記載されている。しかしながら、これらの化合物は甲状腺ホルモン受容体に対する作用については全く記載されていない。
【0011】
一方、インドール環の1位にカルボン酸側鎖を有するインドール環誘導体として、特許文献11にチューブリン重合阻害作用を有する化合物が、非特許文献3に抗炎症作用を有する化合物が、特許文献12及び13にステロイド5α還元酵素の阻害剤の合成中間体としてインドール環の3位に4−ヒドロキシベンゾイル基を有する化合物が、非特許文献4にカンナビノイドアンタゴニスト作用を有する化合物の代謝物としてインドール環の3位に4−ヒドロキシベンゾイル基を有するインドール環誘導体がそれぞれ記載されている。しかしながら、これらの化合物も甲状腺ホルモン受容体に対する作用については全く記載されていない。
【0012】
【特許文献1】国際公開00/051971号
【特許文献2】国際公開01/070687号
【特許文献3】国際公開02/051805号
【特許文献4】欧州公開1297833号
【特許文献5】国際公開2004/018421号
【特許文献6】国際公開02/022586号
【特許文献7】国際公開02/079181号
【特許文献8】国際公開96/05190号
【特許文献9】国際公開2004/078719号
【特許文献10】米国3196162号
【特許文献11】米国公開2005/0267108号
【特許文献12】国際公開03/002050号
【特許文献13】国際公開03/017014号,
【非特許文献1】Expert Opin.Ther.Patent, 14(8), 1169-1183(2004)
【非特許文献2】Thrombosis Res., 34(6), 519-531(1984)
【非特許文献3】Eur.J.Med.Chem., 10(2), 187-199(1975)
【非特許文献4】J.Mass Spectrom., 39(6), 672-681(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これまでに、甲状腺ホルモン作用を有する化合物が多数報告されているが、いずれの化合物も薬効や安全性の面から十分とはいえず、医薬品として満足できるものはない。従って、目的とする作用を選択的に発揮し、医薬品として十分に満足できる甲状腺ホルモン受容体リガンドの創製が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、以上の点に鑑み、前記の課題を解決するための手段として、甲状腺ホルモンのチロニン構造とは異なる基本構造を有する化合物が有効であると考え、新規甲状腺ホルモン受容体リガンドの創製を目指して鋭意研究を重ねた。その結果、インドール環を特徴とする下記一般式(I)で表される化合物及びその塩が、甲状腺ホルモン受容体に対して親和性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明によれば、下記一般式(I)
【化1】

[式中、Aは−CH−又は−CO−を意味する;
【化2】

はN−C=C又はC=C−Nを意味する;
は、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、置換されていてもよいフェニル基、−CO−置換されていてもよいフェニル基、又は−CH(R)−置換されていてもよいフェニル基を意味し、Rは水素原子又は水酸基を意味する;
は、水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基を意味する;
Eは、存在しないか、C1−C6アルキレン基、C2−C6アルケニレン基、−(CH−CONR−CH(R)−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−CH−CH(OH)−CH−、−CH−CH(NH)−を意味する。m及びnは、それぞれ独立して0〜2の整数を意味し、Rは水素原子又はC1−C6アルキル基を意味し、Rは、水素原子、C1−C6アルキル基、−CHO−ベンジル基、又は−CHOHを意味する;
は水酸基又はC1−C6アルコキシ基を意味する]
で表される化合物又はそのプロドラッグ、或いはそれらの薬理学的に許容される塩が提供され、これらの化合物は、本明細書中で以後「本発明化合物」と呼ぶ。以下に本発明化合物の様々な実施形態を列挙する。
【0016】
本発明の一実施形態は、前記一般式(I)において、Aが−CH−である化合物である。
【0017】
本発明の別の一実施形態は、前記一般式(I)において、
【化3】

がN−C=Cである化合物である。
【0018】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、RがC2−C4アルキル基、又は−CH(OH)−ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である化合物。前記一般式(I)において、Rがハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基である化合物である。
【0019】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、EがC2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−である化合物である。
【0020】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、Aが−CH−であり、
【化4】

がN−C=Cであり、Rがi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基であり、Rが臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基である化合物である。
【0021】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、Aが−CH−であり、
【化5】

がN−C=Cであり、Rがi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基であり、Rが臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基であり、EがC2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−である化合物である。
【0022】
本発明は更に、前記本発明化合物を有効成分とする医薬組成物をも提供する。即ち、本発明の医薬組成物は、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害の予防又は治療剤として使用される。前記甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害としては、高脂血症、肥満症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺癌、心不整脈、うっ血性心不全、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、皮膚障害、緑内障、脱毛症等が挙げられる。
【0023】
このような本発明を別の表現で記載すると、甲状腺ホルモン受容体リガンドとして作用する医薬を製造するための前記本発明化合物の使用となる。ここで、甲状腺ホルモン受容体リガンドとは、例えば、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害の予防又は治療剤である。そのような疾患もしくは障害とは、前述のとおりである。
【発明の効果】
【0024】
本発明化合物は、甲状腺ホルモン受容体と親和性を有することから、甲状腺ホルモン受容体リガンドとして作用する医薬として使用することができる。従って、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害、例えば、高脂血症、肥満症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺癌、心不整脈、うっ血性心不全、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、皮膚障害、緑内障、脱毛症等の予防又は治療剤として有用である。本発明化合物の中には、甲状腺ホルモン受容体のTRβに選択性が高く且つ高い親和性を有するものもあることから、副作用の少ない甲状腺ホルモン受容体リガンドとして、医薬品として使用するのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明化合物について説明する。
【化8】

上記一般式(I)で示される本発明化合物の中において、Aは−CH−又は−CO−であるが、−CH−が好ましい。
【0026】
【化9】

はN−C=C又はC=C−Nであるが、N−C=Cが好ましい。
【0027】
は、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、置換されていてもよいフェニル基、−CO−置換されていてもよいフェニル基、又は−CH(R)−置換されていてもよいフェニル基である。尚、Rは水素原子又は水酸基である。これらの中で、C2−C4アルキル基、又は−CH(OH)−ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基が好ましく、中でもi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基が最適である。
【0028】
は、水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基であるが、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基が好ましく、中でも臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基が最適である。
【0029】
Eは、存在しないか、C1−C6アルキレン基、C2−C6アルケニレン基、−(CH−CONR−CH(R)−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−CH−CH(OH)−CH−、−CH−CH(NH)−である。尚、m及びnは、それぞれ独立して0〜2の整数であり、Rは水素原子又はC1−C6アルキル基であり、Rは、水素原子、C1−C6アルキル基、−CHO−ベンジル基、又は−CHOHである。これらの中で、C2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−が好ましい。
【0030】
は水酸基又はC1−C6アルキル基であるが、水酸基、メトキシ基、又はエトキシ基が好ましい。
【0031】
最も好ましい本発明化合物は一般式(I)において、Aが−CH−であり、
【化10】

がN−C=Cであり、Rがi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基であり、Rが臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基であり、EがC2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−であり、Rが水酸基、メトキシ基、又はエトキシ基である。
【0032】
尚、前記一般式(I)において、
【化6】

がN−C=Cである化合物とは下記一般式(Ia)を、C=C−Nである化合物とは下記一般式(Ib)を意味する。
【化7】

[式中、すべての記号は前記一般式(I)の場合と同義である]
【0033】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。
【0034】
「C1−C6アルキル基」とは、1〜6個の炭素原子から成る直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
【0035】
「C1−C6アルコキシ基」とは、−O−(C1−C6アルキル)基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、i−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、t−ペントキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
「置換されていてもよいフェニル基」とは、フェニル基の環上の任意の水素原子が、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基、水酸基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、C1−C6アルキルチオ基、アセチル基、カルボン酸基、C1−C6アルコキシカルボニル基、C1−C6アルキルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基で置換されていてもよいフェニル基を意味し、例えば、フェニル基、4−フルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−トリフルオロフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
【0037】
「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基」とは、前記C1−C6アルキル基上の任意の水素原子が、同種又は異種のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基を意味し、例えば、前記C1−C6アルキル基、及びトリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2-トリフルオロメチルエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0038】
「C1−C6アルキレン基」とは、1〜6個の炭素原子から成る直鎖状のアルキレン基を意味し、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基等が挙げられる。
【0039】
「C2−C6アルケニレン基」とは、2〜6個の炭素原子から成る直鎖状で、1つ以上の二重結合を含むアルケニレン基を意味し、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ブタジエニレン基等が挙げられる。
【0040】
「C1−C6アルキルチオ基」とは、−S−(C1−C6アルキル)基を意味する。
【0041】
「C1−C6アルコキシカルボニル基」とは、−CO−(C1−C6アルコキシ)基を意味する。
【0042】
「C1−C6アルキルスルホニル基」とは、−SO−(C1−C6アルキル)基を意味する。
【0043】
「プロドラッグ」とは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により前記一般式(I)に変換される化合物を意味する。このようなプロドラッグは本発明の範囲に含まれ、種々のプロドラッグが当該技術分野で既知である。例えば、一般式(I)で表される化合物がカルボン酸基を有する場合のプロドラッグとしては、当該カルボン酸基がエステル化又はアミド化された化合物(例えば、エチルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ピバロイルオキシメチル化、又はメチルアミド化された化合物)等が挙げられる。一般式(I)で表される化合物が水酸基を有する場合のプロドラッグとしては、当該水酸基がアルキル化、アシル化、又はリン酸化された化合物(例えば、メチル化、アセチル化、又はスクシニル化された化合物)等が挙げられる。一般式(I)で表される化合物がアミノ基を有する場合のプロドラッグとしては、当該アミノ基がアシル化、アルキル化、又はリン酸化された化合物(例えば、エイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、アセトキシメチル化、又はt−ブチル化された化合物)等が挙げられる。
【0044】
「薬理学的に許容される塩」とは、一般式(I)で表される化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的又はその他の面においても不都合ではない塩を意味する。このような薬理学的に許容される塩は本発明の範囲に含まれる。薬理学的に許容される塩としては、無機酸付加塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等との塩)、有機酸付加塩(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、マンデル酸、リンゴ酸、パントテン酸、メチル硫酸等との塩)、アミノ酸との塩(例えば、リジン、アルギニン等との塩)、アルカリ金属付加塩(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等との塩)、アルカリ土類金属付加塩(例えば、カルシウム、マグネシウム等との塩)、有機アミン付加塩(例えば、アンモニア、エチルアミン、t−ブチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルプロピルアミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等との塩)等が挙げられる。これらの付加塩の形成反応は、常法に従い行うことができる。
【0045】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。本発明化合物は、下記一般式(I)で示される化合物又はそのプロドラッグ、或いはそれらの薬理学的に許容される塩である。本発明化合物が甲状腺ホルモン受容体に親和性を有するために、特に重要な箇所は、Aに対してパラ位の位置のフェノール性水酸基、R、及びE−CORであり、これらによって先行技術の化合物と明確に区別することができる。即ち、Rは水素原子以外の置換基であり、ある程度の大きさの分子サイズを有する置換基であることが好ましい。Rの置換基が水素原子の場合、当該リガンドの甲状腺ホルモン受容体に対する親和性は、著しく低下する。また、Aに対してパラ位の位置にフェノール性水酸基が必要である。更に、インドール環に置換しているE−CORで表されるカルボン酸誘導体が必要である。
【0046】
本発明化合物において、1つ又はそれ以上の不斉炭素が存在する場合、本発明は不斉炭素に基づく異性体及びそれらの任意の組合せの化合物のいずれも包含する。また、本発明化合物において、幾何異性又は互変異性が存在する場合、本発明はそれらの幾何異性体又は互変異性体のいずれも包含する。さらに、本発明化合物には、水やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0047】
本発明化合物である一般式(I)で表される化合物は、以下の反応工程式I〜VIIに示す方法、実施例に記載した方法、又は公知の方法を組み合わせて製造することができる。
[反応工程式I]
【化11】

[式中、Rは水酸基又はカルボン酸基の保護基(例えば、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基等)であり、Rはフェノール性水酸基の保護基(例えば、C1−C6アルキル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ベンジル基等)であり、Rは、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、置換されていてもよいフェニル基、又は−CO−置換されていてもよいフェニル基であり、Lは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、又はp−トルエンスルホニルオキシ基であり、pは0〜6の整数であり、その他の記号は前記一般式と同義である]
【0048】
[工程I−1]
一般式(II)で表される化合物と、一般式(III)で表される化合物又は一般式(IV)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、アセトン等)中、塩基(例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム等)を用いて反応させることによって、一般式(V)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。必要に応じて、ヨウ化物塩(例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等)及び/又は相間移動触媒(例えば、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等)を添加剤として用いて反応を行ってもよい。
【0049】
[工程I−2]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(V)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Ic)で表される化合物が得られる。
【0050】
[反応工程式II]
【化12】

[式中、Lは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0051】
[工程II−1]
一般式(VI)で表される化合物と一般式(VII)で表される化合物を、ジクロロメタン中、適当な酸(例えば、トリフルオロ酢酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等)とトリエチルシランを用いて反応させることによって、一般式(VIII)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から室温、反応時間は10分から48時間である。
【0052】
[工程II−2]
一般式(VIII)で表される化合物と一般式(IX)で表される化合物を、前記工程I−1と同様の方法で反応させることによって、一般式(X)で表される化合物が得られる。
【0053】
[工程II−3]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(X)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Id)で表される化合物が得られる。
【0054】
[反応工程式III]
【化13】

[式中、R10は、水素原子、又はフェノール性水酸基の保護基(例えば、C1−C6アルキル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ベンジル基等)であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0055】
[工程III−1]
一般式(XI)を、無溶媒又は適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、トルエン等)中、塩素化剤(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル等)を用いて酸塩化物とした後、一般式(XII)で表される化合物と適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン等)を用いて反応させることによって、一般式(XIII)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
また、一般式(XI)で表される化合物と一般式(XII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中、添加剤(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)存在下又は非存在下、縮合剤(例えば、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド等)を用いて反応させることによっても、一般式(XIII)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
ここで、一般式(XII)で表される化合物は、市販品として入手可能であるか、又は公知の方法を用いて製造することができる。
【0056】
[工程III−2]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XIII)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Ie)で表される化合物が得られる。
【0057】
[反応工程式IV]
【化14】

[式中、すべての記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0058】
[工程IV−1]
「Arzneim.-Forsch., 30-II(8), 1314-1325(1978)」に記載の方法を参考に、一般式(XIV)の化合物を無溶媒又は適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、トルエン等)中、塩素化剤(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル等)を用いて酸塩化物とした後、一般式(XV)で表される化合物とテトラヒドロフラン中、水素化ナトリウムを用いて反応させることによって、一般式(XVI)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は1時間から48時間である。ここで、一般式(XV)で表される化合物は前記「Arzneim.-Forsch.」に記載の方法に従って製造することができる。
【0059】
[工程IV−2]
前記「Arzneim.-Forsch.」に記載の方法を参考に、一般式(XVI)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等)中、1〜5気圧の水素雰囲気下、パラジウム触媒(例えば、パラジウム/活性炭、水酸化パラジウム/活性炭、パラジウム黒等)を用いて反応させる。反応温度は室温から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
次に、得られた化合物をエタノール中で加熱還流することによって、一般式(XVII)で表される化合物が得られる。反応時間は30分から48時間である。
【0060】
[工程IV−3]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XVII)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(If)で表される化合物が得られる。
【0061】
[工程IV−4]
「J.Org.Chem., 43(10), 2087-2088(1978)」に記載の方法を参考に、一般式(XIV)で表される化合物を無溶媒又は適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、トルエン等)中、塩素化剤(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル等)を用いて酸塩化物とした後、メルドラム酸(XVIII)と適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、トルエン等)中、ピリジンを用いて反応させることによって、一般式(XIX)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
また、「J.Org.Chem., 67(21), 7365-7368(2002)」に記載の方法を参考に、一般式(XIV)で表される化合物と一般式(XVIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中、4−ジメチルアミノピリジン存在下、縮合剤(例えば、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド等)を用いて反応させることによっても、一般式(XIX)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0062】
[工程IV−5]
前記「J.Org.Chem., 43(10), 2087-2088(1978)」に記載の方法を参考に、一般式(XIX)で表される化合物をエタノール中、加熱還流させることによって、一般式(XX)で表される化合物が得られる。反応時間は30分から48時間である。
【0063】
[工程IV−6]
一般式(XX)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XXI)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
【0064】
[工程IV−7]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XXI)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Ig)で表される化合物が得られる。
【0065】
[工程IV−8]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XX)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Ih)で表される化合物が得られる。
【0066】
[反応工程式V]
【化15】

[式中、すべての記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0067】
[工程V−1]
一般式(VI)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を、前記工程I−1と同様の方法で反応させることによって、一般式(XXII)で表される化合物が得られる。
【0068】
[工程V−2]
一般式(XXII)で表される化合物を、無溶媒又は適当な溶媒(例えば、ジオキサン、エタノール、水等)中、酢酸存在下ホルムアルデヒドとジメチルアミンを用いて反応させることによって、一般式(XXIII)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0069】
[工程V−3]
一般式(XXIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン等)中、ヨウ化メチルを用いて反応させた後、適当な溶媒(例えば、ジオキサン、トルエン、テトラヒドロフラン等)中、一般式(XXIV)で表される化合物を用いて反応させることによって、一般式(XXV)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。必要に応じて、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等)を用いて反応を行ってもよい。
【0070】
[工程V−4]
一般式(XXV)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、エタノール、メタノール、ジオキサン等)中、1〜5気圧の水素雰囲気下、ラネーニッケル触媒を用いて反応させることによって、一般式(XXVI)で表される化合物が得られる。反応温度は室温から溶媒の沸点、反応時間は30分から7日間である。
【0071】
[工程V−5]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XXVI)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Ii)で表される化合物が得られる。
【0072】
[工程V−6]
「Synthesis, (9) 756-758(1982)」に記載の方法を参考に、一般式(Ii)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メタノール等)中、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン存在下、イソニコチンアルデヒドを用いて反応させることによって、一般式(Ij)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
【0073】
[反応工程式VI]
【化16】

[式中、R11は置換されていてもよいフェニル基であり、R12は、水素原子又はC1−C6アルキル基であるか、或いは2つのR12が一緒になって−C(CHC(CH−で表される基であり、Lは、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基であり、Lは臭素原子又はヨウ素原子であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0074】
[工程VI−1]
一般式(XXVII)で表される化合物と一般式(XXVIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジエトキシエタン、トルエン、ジメチルスルホキシド等)中、パラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加体等)、及び塩基(例えば、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン等)を用いて反応させることによって、一般式(XXIX)で表される化合物が得られる。反応温度は50℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。ここで、一般式(XXVIII)で表される化合物は、市販品として入手可能であるか、又は公知の方法を用いて製造することができる。
【0075】
[工程VI−2]
一般式(XXXVII)で表される化合物とビス(ピナコラート)ジボラン(XXX)を、適当な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、トルエン、ジエトキシエタン等)中、パラジウム触媒(例えば、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加体、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)等)及び塩基(例えば、酢酸カリウム、炭酸セシウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XXXI)で表される化合物が得られる。反応温度は50℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0076】
[工程VI−3]
一般式(XXXI)で表される化合物と一般式(XXXII)で表される化合物を、前記工程VI−1と同様の方法で反応させることによって、一般式(XXIX)で表される化合物が得られる。ここで、一般式(XXXII)で表される化合物は、市販品として入手可能であるか、又は公知の方法を用いて製造することができる。
【0077】
[工程VI−4]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XXIX)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Ik)で表される化合物が得られる。
【0078】
[反応工程式VII]
【化17】

[式中、R13は置換されていてもよいフェニル基であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0079】
[工程VII−1]
「Tetrahedron Lett., 28(40), 4725-4728(1987)」に記載の方法を参考に、一般式(XXXIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、酢酸及び水素化ホウ素ナトリウムを用いて反応させることによって、一般式(XXXIV)で表される化合物が得られる。反応温度は−50℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0080】
[工程VII−2]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XXXIV)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Im)で表される化合物が得られる。
【0081】
[工程VII−3]
「J.Med.Chem., 38(4), 695-707(1995)」に記載の方法を参考に、一般式(XXXIII)で表される化合物を、トリフルオロ酢酸中、トリエチルシランを用いて反応させることによって、一般式(XXXV)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0082】
[工程VII−4]
前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、一般式(XXXV)で表される化合物の保護基を除去することによって、一般式(Im)で表される化合物が得られる。
【0083】
反応工程式I〜VIIで出発原料として用いた一般式(II)及び(VI)で表される化合物は、市販品として入手可能であるか、以下の反応工程式VIII〜IXに示す方法、実施例に記載した方法、又は公知の方法を組み合わせて製造することができる。
【0084】
[反応工程式VIII]
【化18】

[式中、R14は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0085】
[工程VIII−1]
「Bioorg.Med.Chem.Lett., 6(6), 725-730(1996)」に記載の方法を参考に、一般式(XXXVI)で表される化合物と一般式(XXXVII)で表される化合物を無溶媒又は適当な溶媒(トルエン、キシレン、エタノール等)中、適当な酸(例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、塩化亜鉛等)を用いて反応させることによって、一般式(IIa)で表される化合物が得られる。反応温度は室温から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0086】
[反応工程式IX]
【化19】

[式中、R15はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である]
【0087】
[工程IX−1]
一般式(XXXVIII)で表される化合物と一般式(XXXIX)で表される化合物を、無溶媒又は適当な溶媒(ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン等)中、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン等)を用いて反応させることによって、一般式(XL)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0088】
[工程IX−2]
一般式(XL)で表される化合物を、無溶媒又は適当な溶媒(N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルアニリン、N−メチル−2−ピロリジノン等)中、適当な強塩基(例えば、ナトリウムアミド、ナトリウムエトキサイド、カリウム t−ブトキサイド、n−ブチルリチウム等)を用いて反応させることによって、一般式(VIa)で表される化合物が得られる。反応温度は−78℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0089】
[工程IX−3]
一般式(VIa)で表される化合物を、適当な溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、塩化オキサリルを用いて反応させることによって、一般式(XLI)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0090】
[工程IX−4]
一般式(XLI)で表される化合物を、適当な溶媒(メタノール、エタノール等)中、p−トルエンスルホン酸ヒドラジンを用いて反応させ、更に、適当な溶媒(テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等)中、水素化ホウ素ナトリウムを用いて反応させた後、必要に応じて、前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の方法を参考に、保護基を導入することによって、一般式(IIb)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から48時間である。
【0091】
その他に反応工程式I〜VIIで出発原料として用いた一般式(II)及び(VI)で表される化合物は、前記の方法以外に公知の方法(例えば、「Org.Prep.Proced.Int., 25(6), 607-632(1993)」、「J.Chem.Soc.Perkin-I, (7), 1045-1075(2000)」、「Synthesis, (1), 28-30(1996)」、「Comprehensive Heterocyclic Chemistry, Pergamon(1984)」等)を参考に製造することができる。
【0092】
反応工程式I〜VIIで出発原料として用いた一般式(III)、(IV)、又は(VII)で表される化合物は、市販品で入手可能であるか、以下の反応工程式X及びXIに示す方法、実施例に記載した方法、又は公知の方法を組み合わせて製造することができる。
【0093】
[反応工程式X]
【化20】

(式中、R16は、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、又は置換されていてもよいフェニル基であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である)
【0094】
[工程X−1]
一般式(VIIa)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XLII)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
【0095】
[工程X−2]
一般式(XLII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン等)中、ハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル、三臭化リン、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素等)を用いて反応させることによって、Lがハロゲン原子である一般式(IIIa)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
一般式(XLII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、ベンゼン等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン等)存在下、メタンスルホニルクロライドを用いて反応させることによって、Lがメタンスルホニルオキシ基である一般式(IIIa)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
一般式(XLII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ベンゼン等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン等)存在下、p−トルエンスルホニルクロライドを用いて反応させることによって、Lがp−トルエンスルホニルオキシ基である一般式(IIIa)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
【0096】
[工程X−3]
一般式(VIIa)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、アセトン、水等)中、過マンガン酸カリウムを用いて反応させることによって、一般式(XLIII)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
【0097】
[工程X−4]
一般式(XLIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン等)中、ハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル、臭化チオニル等)を用いて反応させることによって、一般式(IVa)で表される化合物が得られる。反応温度は−20℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。
【0098】
[反応工程式XI]
【化21】

(式中、Lは、塩素原子、臭素原子、又は水酸基であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である)
【0099】
[工程XI−1]
一般式(XLV)で表される化合物のLが塩素原子又は臭素原子である場合、一般式(XLIV)で表される化合物と一般式(XLV)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ベンゾトリフルオライド、ニトロベンゼン等)中、ルイス酸(例えば、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン等)を用いて反応させることによって、一般式(XLVI)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から7日間である。
一般式(XLV)で表される化合物のLが水酸基である場合、一般式(XLIV)で表される化合物と一般式(XLV)で表される化合物を、無溶媒又は適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ベンゾトリフライド、ニトロベンゼン等)中、トリフルオロ酢酸無水物又はポリリン酸を用いて反応させることによって、一般式(XLVI)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から7日間である。
ここで、一般式(XLIV)及び(XLV)で表される化合物は、市販品として入手可能であるか、又は公知の方法を用いて製造することができる。
【0100】
[工程XI−2]
一般式(XLVI)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、四塩化炭素、ベンゼン、クロロベンゼン等)中、ラジカル開始試薬(例えば、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ジベンゾイル等)存在下、臭素化剤(例えば、N−ブロモコハク酸イミド、臭素等)を用いて反応させることによって、一般式(IIIb)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から24時間である。
【0101】
[工程XI−3]
一般式(IIIb)で表される化合物を、ジメチルスルホキシド中、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン等)を用いて反応させることによって、一般式(VIIb)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分から24時間である。
【0102】
反応工程式Xで出発原料又は合成中間体として用いた一般式(VII)及び(XLII)で表される化合物は、市販品として入手可能であるか、以下の反応工程式XIIに示す方法、実施例に記載した方法、又は公知の方法を組み合わせて製造することができる。
【0103】
[反応工程式XII]
【化22】

(式中、R17はC1−C6アルキル基であり、その他の記号は前記一般式及び前記反応工程式と同義である)
【0104】
[工程XII−1]
一般式(XLVII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド等)中、臭素化剤(例えば、N−ブロモコハク酸イミド、臭素、臭素/ジオキサン錯体、臭化水素酸/酢酸等)を用いて反応させることによって、一般式(XLVIII)で表される化合物が得られる。反応温度は−50℃から溶媒の沸点、反応時間は10分から48時間である。ここで、一般式(XLVII)で表される化合物は、市販品として入手可能であるか、又は公知の方法を用いて製造することができる。
【0105】
[工程XII−2]
「Bioorg.Med.Chem.Lett., 10(10), 2607-2611(2000)」に記載の方法を参考に、一般式(XLVIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、有機リチウム試薬(例えば、t−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム/TMEDA等)を用いてリチオ化反応させた後、パラホルムアルデヒドを用いて反応させることによって、一般式(XLIIa)で表される化合物が得られる。反応温度は−78℃から室温、反応時間は10分から12時間である。
また、「Synth.Commun., 21(1), 127-132(1991)」に記載の方法を参考に、一般式(XLVIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、金属マグネシウムを用いてグリニャール化反応させた後、パラホルムアルデヒドを用いて反応させることによっても、一般式(XLIIa)で表される化合物が得られる。反応温度は−78℃から室温、反応時間は30分から12時間である。
【0106】
[工程XII−3]
一般式(XLVIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、有機リチウム試薬(例えば、t−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム/TMEDA等)を用いてリチオ化反応させた後、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて反応させることによって、一般式(VIIc)で表される化合物が得られる。反応温度は−78℃から室温、反応時間は10分から12時間である。
また、前記工程XII−2と同様に、一般式(XLVIII)で表される化合物を、適当な溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、金属マグネシウムを用いてグリニャール化反応させた後、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて反応させることによっても、一般式(VIIc)で表される化合物が得られる。反応温度は−78℃から室温、反応時間は30分から12時間である。
【0107】
その他に本発明化合物を製造するために必要な出発原料、中間体、又は試薬として用いる化合物は、市販品として入手可能であるか、公知の方法又は「Comprehensive Organic Transformations:A guide to Function group preparation, 2nd Edition, John Wiley & Sons Inc(1999)」等に記載された方法を参考に製造することができる。
【0108】
本発明化合物及び当該化合物を製造するために使用される化合物に含まれる置換基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボン酸基等)は、当該置換基に原料又は中間体の段階で適当な保護基を導入しておくことが化合物製造上効果的である場合があり、必要に応じて前記「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載の保護基を適宜選択して使用してもよい。
【0109】
本発明化合物及び当該化合物を製造するために使用される化合物を反応液から単離、精製するには、通常使用される方法を用いることができる。例えば、溶媒抽出、イオン交換樹脂、担体としてシリカゲル、アルミナ等を用いたカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分取、薄層クロマトグラフィー、スカベンジャー樹脂、再結晶等を用いることができ、これらの単離、精製法は、単独又は組み合わせて行うことができる。単離、精製は、反応毎に行ってもよいし、いくつかの反応終了後に実施してもよい。
【0110】
本明細書中の化合物が不斉炭素を有し光学異性体が存在する場合、これらの光学異性体は、ラセミ化合物の一般的な光学分割法、例えば、一般的な光学活性な化合物とのジアステレオマー塩として再結晶する分別結晶化又はクロマトグラフィーなどの常法により分割することができる。また、光学活性体分離用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分取によってもそれぞれの光学異性体を単離することができる。
【0111】
このようにして製造される本発明化合物は、甲状腺ホルモン受容体リガンドとして作用することから、医薬組成物として使用することができる。当該医薬組成物は、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節によって症状が改善される疾患もしくは障害の予防又は治療剤として有用である。
【0112】
「甲状腺ホルモン受容体リガンド」とは、甲状腺ホルモン受容体と結合するあらゆる化合物を意味し、当該リガンドは、アゴニスト、アンタゴニスト、部分的なアゴニスト、又は部分的なアンタゴニストとして作用してもよく、いわゆる甲状腺ホルモン受容体モジュレーターである。尚、甲状腺ホルモン受容体は、核内T3受容体とも呼ばれる。
【0113】
甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節によって症状が改善される疾患もしくは障害とは、甲状腺ホルモン及び甲状腺ホルモン受容体リガンドによる、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節によって、有効に予防又は治療することができると当該技術分野で認知されている疾患もしくは障害を意味する。尚、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節とは、甲状腺ホルモン受容体を介した遺伝子発現調節又はリン酸化シグナリングカスケード調節等を含む。そのような疾患もしくは障害とは、具体的には、脂質、糖質、タンパク質、無機塩類等の代謝経路もしくはそれらの代謝臓器の機能障害又は甲状腺ホルモンのアンバランスや甲状腺機能異常に起因する疾患もしくは障害を意味する。すなわち、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節に関連する疾患もしくは障害であるが、必ずしも甲状腺ホルモンが原因で発症する疾患もしくは障害とは限らない。甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節によって症状が改善される疾患もしくは障害としては、例えば、高脂血症、肥満症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺癌、心不整脈、うっ血性心不全、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、皮膚障害、緑内障、脱毛症等が挙げられる。
【0114】
本発明化合物を医薬として使用する場合の投与形態としては、「日本薬局方」製剤総則記載の各種投与形態が目的に応じて選択できる。例えば、錠剤の形態に成形するに際しては、通例、当該分野で用いられる経口摂取可能な成分を選択すればよい。例えば、乳糖、結晶セルロース、白糖、リン酸カリウム等の賦形剤がそれにあたる。更に、所望により、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、凝集防止剤等、通例製剤分野で常用される種々の添加剤を配合してもよい。
【0115】
本発明製剤中に有効成分として含有される本発明化合物の量は、特に限定されず、広範囲より適宜選択される。有効成分化合物の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により適宜決定されるが、経口投与の場合には、本発明化合物の量が1日体重1kg当り約1μg〜100mgの範囲で、1日に1〜4回に分けて適宜投与することができる。しかしながら、投与量、回数は、治療すべき症状の程度、投与される化合物の選択及び選択された投与経路を含む関連する状況に鑑みて決定されることから、前記の投与量範囲及び回数は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0116】
以下に本発明の内容を、実施例、参考例、及び試験例を挙げて、さらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、その記載内容に限定されるものではない。
以下の実施例及び参考例における核磁気共鳴(HNMR)スペクトルは、テトラメチルシランを標準物質としてケミカルシフト値をδ値(ppm)で記載した。分裂パターンは、一重線を「s」、二重線を「d」、三重線を「t」、四重線を「q」、多重線を「m」、幅広い線を「br」で示した。質量分析は、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)で行った。表中において、メチル基を「Me」、エチル基を「Et」、n−プロピル基を「n−Pr」、イソプロピル基を「i−Pr」、s−ブチル基を「s−Bu」、t−ブチル基を「t−Bu」、t−ブチルジメチルシリル基を「TBDMS」、フェニル基を「Ph」、ベンジル基を「Bn」、ベンゾイル基を「Bz」で示した。また、置換されている置換基の場合、置換位置を置換基の前に記載する。例えば、4−フルオロベンゾイル基の場合、「4−F−Bz」と記載する。
【0117】
参考例1
4−ブロモ−2−イソプロピルフェノール
2−イソプロピルフェノール(50.0g)をアセトニトリル(500mL)に溶解し、0℃でN−ブロモコハク酸イミド(71.9g)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、n−ヘキサンを加え、生成した沈殿物をろ過した。ろ液を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮し、表記化合物(84.0g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.14(6H,d),3.17(1H,m),6.73(1H,d),7.13(1H,dd),7.19(1H,d).
【0118】
参考例1の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表1に示した。
【化23】

【0119】
【表1】

【0120】
参考例4
4−ブロモ−2−イソプロピル−1−メトキシベンゼン
4−ブロモ−2−イソプロピルフェノール(8.0g)をN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解し、ヨウ化メチル(10.6g)と炭酸カリウム(10.3g)とを加え、60℃で3時間撹拌した。反応液を室温に戻しn−ヘキサンで希釈した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、表記化合物(6.9g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.22(6H,d),3.26(1H,m),3.82(3H,s),6.70(1H,d),7.24(1H,dd),7.27(1H,d).
【0121】
参考例4の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表2に示した。
【化24】

【0122】
【表2】

【0123】
参考例7
4−ブロモ−1−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−2−イソプロピルベンゼン
4−ブロモ−2−イソプロピルフェノール(84.8g)をN,N−ジメチルホルムアミド(848mL)に溶解し、t−ブチルジメチルシリルクロライド(101mL)とイミダゾール(53.7g)とを加え、室温で24時間撹拌した。反応液をn−ヘキサンで希釈し、水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮した後、得られた残渣をアセトニトリルで結晶化し、表記化合物(98.0g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):0.22(6H,s),1.01(9H,s),1.17(6H,d),3.25(1H,m),6.64(1H,d),7.14(1H,dd),7.28(1H,d).
【0124】
参考例8
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン
4−ブロモ−2−イソプロピルフェノール(2.2g)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、ベンジルクロライド(1.7g)と炭酸水素ナトリウム(1.0g)とヨウ化ナトリウム(0.2g)とを加え、60℃で18時間撹拌した。反応液を室温に戻し減圧濃縮後、得られた残渣を水に懸濁し酢酸エチルで抽出した。有機層を、3%炭酸カリウム水溶液、5%クエン酸水溶液、及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、表記化合物(2.7g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.21(6H,d),3.37(1H,m),6.76(1H,d),7.23(1H,dd),7.31−7.43(6H,m).
【0125】
参考例9
(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルフェニル)メタノール
4−ブロモ−1−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−2−イソプロピルベンゼン(10.0g)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、−78℃で1.5M t−ブチルリチウムのn−ペンタン溶液(45.4mL)を30分間かけて滴下した。−78℃で1時間撹拌した後、−78℃でパラホルムアルデヒド(1.4g)を加え、−78℃で1時間撹拌し、引き続き室温で2時間撹拌した。反応液をジエチルエーテル(200mL)で希釈し、1M塩酸水溶液及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(6.4g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):0.22(6H,s),1.01(9H,s),1.19(6H,d),3.28(1H,m),4.59(1H,s),6.75(1H,d),7.05(1H,dd),7.20(1H,d).
【0126】
参考例9の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表3に示した。
【化25】

【0127】
【表3】

【0128】
参考例16
(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)メタノール
3−ブロモ−4−メトキシベンズアルデヒド(5.00g)をメタノール(50mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(275mg)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜2/1)で精製し、表記化合物(4.86g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):3.90(3H,s),4.62(2H,s),6.89(1H,d),7.27(1H,dd),7.57(1H,d).
【0129】
参考例17
4−ベンジルオキシ−3−イソプロピル安息香酸
4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド(2.4g)を水(20mL)に懸濁し、過マンガン酸カリウム(1.7g)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、セライトを用いてろ過した。ろ液を1M塩酸水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、表記化合物(1.7g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.21(6H,d),3.31(1H,m),5.22(2H,s),7.15(1H,d),7.34−7.50(5H,m),7.80(2H,m),12.66(1H,brs).
【0130】
参考例18
4−ベンジルオキシ−3−メトキシ安息香酸ベンジル
4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸(250mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(30.0mL)に溶解し、炭酸カリウム(886mg)とベンジルクロライド(514μL)とを加え、80℃で20時間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。n−ヘキサンで再結晶し、表記化合物(431mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):3.93(3H,s),5.22(2H,s),5.34(2H,s),6.88(1H,d),7.30−7.44(10H,m),7.59(1H,d),7.64(1H,dd).
【0131】
参考例19
4−ベンジルオキシ−3−t−ブチル安息香酸ベンジル
4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸の代わりに、3−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸を用いて参考例18と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.41(9H,s),5.17(2H,s),5.34(2H,s),6.93(1H,d),7.32−7.45(10H,m),7.92(1H,dd),8.06(1H,d).
【0132】
参考例20
4−ベンジルオキシ−3−メトキシ安息香酸
4−ベンジルオキシ−3−メトキシ安息香酸ベンジル(1.80g)をエタノール(72.0mL)に懸濁し、20%水酸化ナトリウム水溶液(36.0mL)を加え、1時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮した後、得られた残渣を水に溶解した。2M塩酸水溶液を加え酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮し、表記化合物(1.00g)を得た。
HNMR(DMSO−d)δ(ppm):3.81(3H,s),5.16(2H,s),7.13(1H,d),7.35−7.36(1H,m),7.40(2H,m),7.46(3H,m),7.53(1H,dd).
【0133】
参考例21
4−ベンジルオキシ−3−t−ブチル安息香酸
4−ベンジルオキシ−3−メトキシ安息香酸ベンジルの代わりに4−ベンジルオキシ−3−t−ブチル安息香酸ベンジルを用いて参考例20と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.42(9H,s),5.19(2H,s),6.97(1H,d),7.30−7.47(5H,m),7.96(1H,dd),8.08(1H,d).
【0134】
参考例22
(4−フルオロフェニル)−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)メタノン
4−メチルアニソール(60.0g)をベンゾトリフルオライド(300mL)に溶解し、塩化亜鉛(1.3g)と4−フルオロベンゾイルクロライド(70.8mL)とを加え、23時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮した後、得られた残渣を室温で放置し結晶化した。得られた結晶を冷却したn−ヘキサンで洗浄し、表記化合物(82.4g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):2.32(3H,s),3.69(3H,s),6.88(1H,d),7.08(1H,d),7.10(1H,d),7.16(1H,s),7.26(1H,d),7.83(1H,d),7.84(1H,d).
【0135】
参考例23
(5−ブロモメチル−2−メトキシフェニル)−(4−フルオロフェニル)メタノン
(4−フルオロフェニル)−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)メタノン
(30.0g)を四塩化炭素(300mL)に溶解し、N−ブロモコハク酸イミド(24.1g)と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(200mg)とを加え、16時間加熱還流した。生成した沈殿物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、得られた残渣をジエチルエーテル/n−ヘキサンで結晶化し、表記化合物(29.2g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):3.74(3H,s),4.50(2H,s),6.96(1H,d),7.11(2H,t),7.39(1H,d),7.51(1H,dd),7.83(2H,m).
【0136】
参考例24
4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)酪酸
フェニルヒドラジン(5.00g)と6−オキソヘプタン酸(5.98g)を酢酸(50mL)に溶解し、70℃で7時間撹拌した。反応液を室温に戻し減圧濃縮後、得られた残渣を酢酸エチルで希釈した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮後、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(7.27g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.97(2H,m),2.34−2.38(5H,s),2.76(2H,s),7.08(2H,m),7.24(1H,d),7.49(1H,d),7.72(1H,brs).
【0137】
参考例25
4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)ペンタン酸
6−オキソヘプタン酸の代わりに7−オキソオクタン酸を用いて参考例24と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.71(4H,m),2.34−2.40(5H,s),2.76(2H,s),7.11(2H,m),7.23(1H,d),7.50(1H,d),7.77(1H,brs).
【0138】
参考例26
7,7,7−トリフルオロ−6−オキソヘプタン酸エチル
ヘキサン二酸モノエチル(1.13g)をジクロロメタン(10.0mL)に溶解し、室温で塩化オキサリル(0.9mL)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、得られた残渣をジクロロメタン(40.0mL)に溶解し、5℃でトリフルオロ酢酸無水物(5.6mL)とピリジン(4.4mL)とを加え、5℃で1時間撹拌した。反応液に水(10.0mL)を加え室温で1時間撹拌後、氷水中に注いだ。ジクロロメタンで抽出後、有機層を、1M塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及び飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮後、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、表記化合物(607mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.26(3H,t),1.70(4H,m),2.34(2H,t),2.76(2H,t),4.14(2H,q).
【0139】
参考例27
6,6,6−トリフルオロ−5−(フェニルヒドラゾノ)ヘキサン酸エチル
フェニルヒドラジン(300mg)と6,6,6−トリフルオロ−5−オキソヘキサン酸エチル(706mg)を酢酸(5.0mL)に溶解し、80℃で3時間撹拌した。反応液を室温に戻し減圧濃縮後、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(751mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.32(3H,t),1.79−1.85(2H,m),2.41−2.47(4H,m),4.47(2H,q),6.91(1H,m),7.22−7.30(4H,m),9.41(1H,s).
【0140】
参考例28
7,7,7−トリフルオロ−6−(フェニルヒドラゾノ)ヘプタン酸エチル
6,6,6−トリフルオロ−5−オキソヘキサン酸エチルの代わりに7,7,7−トリフルオロ−6−オキソヘプタン酸エチルを用いて参考例27と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.29(3H,t),1.63−1.71(2H,m),1.79(2H,m),2.44−2.45(4H,m),4.21(2H,q),6.95(1H,t),7.21(2H,d),7.31(2H,t).
【0141】
参考例29
4−(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−3−イル)プロピオン酸エチル
6,6,6−トリフルオロ−5−(フェニルヒドラゾノ)ヘキサン酸エチル(525mg)をトルエン(5.0mL)に溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物(396mg)を加え、16時間加熱還流した。反応液を室温に戻し、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(245mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.23(3H,t),2.65(2H,dd),3.24(2H,dd),4.12(2H,q),7.19(1H,t),7.32(1H,t),7.39(1H,d),7.68(1H,d),8.37(1H,brs).
【0142】
参考例30
4−(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−3−イル)酪酸エチル
6,6,6−トリフルオロ−5−(フェニルヒドラゾノ)ヘキサン酸エチルの代わりに7,7,7−トリフルオロ−6−(フェニルヒドラゾノ)ヘプタン酸エチルを用いて参考例29と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.25(3H,t),2.01(2H,m),2.36(2H,m),2.94(2H,t),4.14(2H,q),7.18(1H,t),7.31(1H,t),7.38(1H,d),7.68(1H,d).
【0143】
参考例31
N−o−トリル−プロピオンアミド
o−トルイジン(1.00g)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解し、5℃でトリエチルアミン(2.6mL)とプロピオン酸クロライド(1.6mL)とを加え、室温で5時間撹拌した。反応液をジクロロメタンに希釈し、有機層を、1M塩酸水溶液、水、及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテル/n−ヘキサンで結晶化し、表記化合物(1.34g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.28(3H,t),2.43(3H,s),2.45(2H,q),6.96(1H,brs),7.09(1H,t),7.23(2H,m),7.82(1H,d).
【0144】
参考例32
2−エチル−1H−インドール
ナトリウムアミド(502mg)をN,N−ジエチルアニリン(2.0mL)に懸濁し、室温でN−o−トリル−プロピオンアミド(300mg)を加え、180℃で5時間撹拌した。反応液を室温に戻した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、表記化合物(224mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.34(3H,t),2.79(2H,q),6.24(1H,d),7.04−7.12(2H,m),7.29(1H,d),7.53(1H,d),7.87(1H,brs).
【0145】
参考例33
(2−エチル−1H−インドール−3−イル)オキソ酢酸
2−エチル−1H−インドール(2.00g)をジエチルエーテル(60.0mL)に溶解した。0℃で塩化オキサリル(1.2mL)のジエチルエーテル(2.0mL)溶液を加え、0℃で30分間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(12mL)を0℃で加えた後に、1.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、0℃で10%塩酸水溶液を加え反応液を酸性とした。反応液を減圧濃縮後、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮し、表記化合物(2.99g)を得た。
HNMR(DMSO−d)δ(ppm):1.28(3H,t),3.01(2H,q),7.19(2H,m),7.43(1H,d),7.89(1H,d),12.22(1H,brs).
【0146】
参考例34
(2−エチル−1H−インドール−3−イル)酢酸
(2−エチル−1H−インドール)オキソ酢酸(303mg)をメタノール(15.1mL)に溶解し、p−トルエンスルホニルヒドラジド(389mg)を加え、2.5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、テトラヒドロフラン(18mL)に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(1.05g)を加え、14時間加熱還流した。反応液を冷却し、室温で酢酸を加えた。さらに水を加え、トルエンで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、表記化合物(94mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.30(3H,t),2.80(2H,q),3.73(2H,s),7.12(2H,m),7.29(1H,d),7.53(1H,d),7.91(1H,brs).
【0147】
参考例35
4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)酪酸エチル
4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)酪酸(7.27g)をジクロロメタン(330mL)に溶解し、エタノール(54mL)と4−ジメチルアミノピリジン(4.91g)とN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジミド塩酸塩(7.70g)とを加え、室温で5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮後、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(7.66g)を得た。
ESI/MS(m/z):246(M+H),244(M−H)
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.23(3H,t),1.98(2H,m),2.29−2.34(5H,m),2.75(2H,t),4.11(2H,q),7.08(2H,m),7.24(1H,dd),7.49(1H,dd),7.74(1H,brs).
【0148】
参考例35の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表4に示した。
【化26】

【0149】
【表4】

【0150】
参考例43
4−(2−ブロモ−1H−インドール−3−イル)酪酸エチル
4−(1H−インドール−3−イル)酪酸エチル(100mg)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解し、N−ブロモコハク酸イミド(77.0mg)のジクロロメタン(0.5mL)溶液を加え、室温で30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、n−ヘキサンを加え、生成した沈殿物をろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(115mg)を得た。
ESI/MS(m/z):312(M+H),310(M−H)
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.25(3H,t),2.01(2H,m),2.36(2H,t),2.79(2H,t),4.12(2H,q),7.10−7.20(2H,m),7.25(1H,d),7.53(1H,d),8.07(1H,brs).
【0151】
参考例44
3−[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチル
(3−イソプロピル−4−メトキシフェニル)メタノール(882mg)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、塩化チオニル(428μL)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、4−クロロメチル−2−イソプロピル−1−メトキシベンゼンを得た。次に、60%水素化ナトリウム(245mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(6.0mL)に懸濁し、3−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)酪酸エチル(1000mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(12mL)溶液を5℃で滴下した。5℃で1時間撹拌した後、先に得られた4−クロロメチル−2−イソプロピル−1−メトキシベンゼンのN,N−ジメチルホルムアミド(12mL)溶液を5℃で滴下し、3時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(854mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.15(6H,d),1.23(3H,t),1.97(2H,m),2.29−2.34(5H,m),2.80(2H,t),3.25(1H,m),3.75(3H,s),4.10(2H,q),5.23(2H,s),6.57(1H,dd),6.66(1H,d),6.97(1H,d),7.05−7.12(2H,m),7.22(1H,m),7.54(1H,m).
【0152】
参考例44の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物を表5に、データを表6に示した。
【化27】

【0153】
【表5】

【0154】
【表6−1】

【表6−2】

【0155】
参考例70
3−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール
2−メチル−1H−インドール(201mg)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解し、3−イソプロピル−4−メトキシベンズアルデヒド(300mg)のジクロロメタン(5.0mL)溶液を室温で加えた。さらに、トリフルオロ酢酸(177μL)とトリエチルシラン(720μL)のジクロロメタン(2.0mL)溶液とを0℃で滴下し、3時間撹拌した。反応液を1M水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(383mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.17(6H,d),2.37(3H,s),3.24(1H,m),3.76(3H,s),4.00(2H,s),6.68(1H,d),6.89−7.18(4H,m),7.25(1H,d),7.40(1H,d),7.73(1H,brs).
【0156】
参考例71
[3−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−インドール−1−イル]酢酸エチル
60%水素化ナトリウム(49.1mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)に懸濁し、3−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール(300mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)溶液を5℃で滴下した。5℃で1時間撹拌した後、ブロモ酢酸エチル(136μL)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)溶液を5℃で滴下し、5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(206mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.17(6H,d),1.24(3H,t),2.34(3H,s),3.26(1H,m),3.75(3H,s),4.04(2H,s),4.20(2H,q),4.80(2H,s),6.67(1H,d),6.88(1H,dd),7.00−7.25(4H,m),7.42(1H,d).
【0157】
参考例72
[3−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−インドール−1−イル]プロピオニトリル
ブロモ酢酸エチルの代わりに2−ブロモプロピオニトリルを用いて参考例71と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.18(6H,d),2.44(3H,s),2.74(2H,t),3.26(1H,m),3.75(3H,s),4.02(2H,s),4.42(2H,s),6.68(1H,d),6.88(1H,dd),6.95(1H,d),7.05−7.22(3H,m),7.70(1H,d).
【0158】
参考例73
[4−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−インドール−1−イル]酪酸エチル
ブロモ酢酸エチルの代わりに4−ブロモオルト酪酸トリメチルを用いて参考例71と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.17(6H,d),2.08(2H,m),2.32−2.36(5H,m),3.27(1H,m),3.66(3H,s),3.75(3H,s),4.02(2H,s),4.14(2H,t),6.67(1H,d),6.89(1H,dd),7,02(1H,m),7.09−7.13(2H,m),7.24(1H,d),7.43(1H,d).
【0159】
参考例74
[5−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−インドール−1−イル]ペンタン酸エチル
ブロモ酢酸エチルの代わりに5−ブロモペンタン酸エチルを用いて参考例71と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(DMSO−d)δ(ppm):1.09(6H,d),1.14(3H,t),1.54(2H,m),1.65(2H,m),2.31(2H,t),2.39(3H,s),3.16(1H,m),3.69(3H,s),3.93(2H,s),4.01(2H,q),4.12(2H,t),6.75(1H,d),6.91(2H,m),7,02(1H,t),7.08(1H,d),7.36(2H,m).
【0160】
参考例75
{1−[3−(2−クロロフェニル)−4−メトキシベンジル]−2−メチル−1H−インドール−3−イル}酪酸エチル
4−[1−(3−ブロモ−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチル(109mg)と2−クロロフェニルボロン酸(47mg)と2M炭酸カリウム水溶液(1.3ml)とを1,2−ジメトキシエタン(5.0mL)に溶解し、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(6.0mg)を加え、2日間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をジクロロメタンで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、表記化合物(64mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.23(3H,t),1.96(2H,m),2.30(2H,m),2.31(3H,s),2.79(2H,t),3.73(3H,s),4.10(2H,q),5.27(2H,s),6.84(1H,d),6.89(1H,d)6.94(1H,brs),7.10(2H,m),7.23−7.29(4H,m),7.42(1H,m),7.54(1H,m).
【0161】
参考例76
{[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}酢酸エチル
1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸(50mg)をジクロロメタン(4.0mL)に溶解し、塩化チオニル(42μL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸クロライドを得た。
グリシンエチル塩酸塩(16mg)とトリエチルアミン(32μL)とをジクロロメタン(2.0mL)に加え、先に得られた1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸クロライドのジクロロメタン(1.0mL)溶液を5℃で滴下し、3時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(40mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):0.18(6H,s),0.98(9H,s),1.14(6H,d),1.34(3H,t),2.71(3H,s),3.26(1H,m),4.26−4.33(4H,m),5.27(2H,s),6.49(1H,dd),6.60(1H,d),7.01(1H,d),7.18−7.24(2H,m),7.32(1H,d),7.90(1H,d).
【0162】
実施例1
4−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチル
[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチル(980mg)をジクロロメタン(14mL)に溶解し、1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液(7.2mL)を0℃で滴下し、室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、室温で撹拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(570mg)を得た。
ESI/MS(m/z):394(M+H),392(M−H)
【0163】
実施例1の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表7に示した。
【化28】

【0164】
【表7】

【0165】
参考例77
3−[3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオニトリル
4−[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチルの代わりに、3−[3−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオニトリルを用いて、実施例1と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):352(M+H),350(M−H)
【0166】
実施例16
[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸エチル
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸エチル(122mg)をテトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解し、1Mテトラブチルアンモニウムフルオライド テトラヒドロフラン溶液(288μL)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(73.7mg)を得た。
ESI/MS(m/z):352(M+H),350(M−H)
【0167】
実施例16の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表8に示した。
【化29】

【0168】
【表8】

【0169】
実施例27
4−{1−{3−[(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル]−4−ヒドロキシベンジル}−2−メチル−1H−インドール−3−イル}酪酸エチル
水素化ホウ素ナトリウム(4.8mg)をテトラヒドロフラン(1.0mL)に懸濁し、0℃で酢酸(14.4μL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、4−{1−[3−(4−フルオロベンゾイル)−4−ヒドロキシベンジル]−2−メチル−1H−インドール−3−イル}酪酸エチル(54.2mg)のテトラヒドロフラン溶液(0.5mL)を加え室温で2時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製後、n−ヘキサン/酢酸エチルで結晶化し、表記化合物(24.4mg)を得た。
ESI/MS(m/z):476(M+H),474(M−H)
【0170】
実施例28
4−{1−{3−[(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル]−4−ヒドロキシベンジル}−2−メチル−1H−インドール−3−イル}酢酸エチル
4−{1−[3−(4−フルオロベンゾイル)−4−ヒドロキシベンジル]−2−メチル−1H−インドール−3−イル}酪酸エチルの代わりに、4−{1−[3−(4−フルオロベンゾイル)−4−ヒドロキシベンジル]−2−メチル−1H−インドール−3−イル}酢酸エチルを用いて実施例27と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):448(M+H),446(M−H)
【0171】
参考例78
[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸エチル
[1−(3−イソプロピル−4−ヒドロキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸エチル(700mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(7.0mL)に溶解し、トリイソプロピルシリルクロライド(984μL)とイミダゾール(261mg)とを加え、60℃で48時間撹拌した。反応液をn−ヘキサンで希釈し、水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮した後、得られた残渣をアセトニトリルで結晶化し、表記化合物(847mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.08(18H,d),1.16(6H,d),1.22(3H,t),2.35(3H,s),3.32(1H,m),3.73(2H,s),4.13(2H,q),5.23(2H,s),6.44(1H,dd),6.58(1H,d),6.99(1H,d),7.08−7.14(2H,m),7.25(1H,d),7.58(1H,d).
【0172】
参考例79
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸
{1−[4−(t−ブチルジメチルシラニルオキシ)−3−イソプロピルベンジル]−1H−インドール−3−イル]酢酸ベンジル(133mg)をエタノール(2.0mL)とテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(32mg)を加え、水素雰囲気中、室温で2時間撹拌した。触媒をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表記化合物(92mg)を得た。
ESI/MS(m/z):438(M+H),436(M−H)
【0173】
参考例80
[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸
3−[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸エチル(836mg)をメタノール(8.0mL)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(1.6mL)を加え40℃で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた残渣を水に溶解した。1M塩酸水溶液を加え酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1〜2/1)で精製し、表記化合物(242mg)を得た。
HNMR(DMSO−d)δ(ppm):1.05(18H,d),1.10(6H,d),1.28(3H,m),2.31(1H,s),3.32(1H,m),3.62(2H,s),5.31(2H,s),6.56(1H,dd),6.65(1H,d),7.02−7.08(3H,m),7.41(1H,d),7.44(1H,d),12.14(1H,brs).
【0174】
参考例81
[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸
3−[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸エチルの代わりに[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸エチルを用いて参考例80と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.16(6H,d),2.35(3H,s),3.26(1H,m),3.78(3H,s),3.79(3H,s),5.26(2H,s),6.58(1H,d),6.67(1H,d),7.00(1H,s),7.09−7.15(2H,m),7.26(1H,d),7.57(1H,d).
【0175】
参考例82
[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸
3−[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸エチルの代わりに[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸エチルを用いて参考例80と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.17(6H,d),2.33(3H,s),3.34(1H,m),3.76(2H,s),4.99(2H,s),5.25(2H,s),6.55(1H,dd),6.71(1H,d),7.01(1H,d),7.08−7.14(2H,m),7.22−7.41(6H,m),7.55(1H,m).
【0176】
参考例83
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸ベンジル(133mg)をエタノール(2.0mL)とテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(32mg)を加え、水素雰囲気中、室温で2時間撹拌した。触媒をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表記化合物(92mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):0.20(6H,s),1.00(9H,s),1.15(6H,d),3.27(1H,m),3.78(2H,s),5.18(2H,s),6.65(1H,d),6.53(1H,dd),7.07(2H,m),7.11(1H,t),7.18(1H,t),7.30(1H,d),7.59(1H,d).
【0177】
参考例84
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチル
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸(50mg)をジエチルエーテル(1.0mL)とテトラヒドロフラン(3.0mL)に溶解した。五塩化りん(29mg)を加え、室温で1時間撹拌し、[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸クロライドを得た。次に、メルドラム酸(246mg)とジイソプロピルエチルアミン(582μL)とをジクロロメタン(3.0mL)に溶解した後、先に得られた[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸クロライドを滴下し、室温で4時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で十分に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣にエタノール(2.0mL)を加え、2時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(19mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):0.20(6H,s),1.00(9H,s),1.20−1.23(9H,m),3.17(1H,m),3.45(2H,s),3.93(2H,s),4.11(2H,q),4.75(1H,s),5.20(2H,s),6.64(1H,d),6.76(1H,dd),7.04−7.06(2H,m),7.13(1H,t),7.20(1H,t),7.32(1H,d),7.53(1H,d).
【0178】
参考例85
4−[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチル
3−[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸(215mg)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解し、0℃でメルドラム酸(75.3mg)と4−ジメチルアミノピリジン(85.1mg)とN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジミド塩酸塩(100mg)とを加え、室温で16時間撹拌した。反応液をジクロロメタンに希釈し、有機層を、硫酸水素カリウム水溶液、水、及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた残渣をエタノール(2.0mL)に溶解し、2時間加熱還流した。反応液を室温に戻し減圧濃縮後、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(222mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.06(18H,d),1.15(6H,d),1.30(3H,m),2.30(3H,s),3.35(1H,m),3.37(2H,s),3.89(2H,s),4.09(2H,q),5.23(2H,s),6.43(1H,d),6.59(1H,dd),6.69(1H,dd),6.95(1H,d),7.08−7.16(2H,m),7.25(1H,d),7.49(1H,d).
【0179】
参考例86
4−[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチル
3−[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸の代わりに3−[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸を用いて参考例85と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.14(6H,d),1.21(3H,t),2.31(3H,s),3.24(1H,m),3.39(2H,s),3.75(3H,s),3.90(2H,s),4.12(2H,q),5.25(2H,s),6.56(1H,dd),6.66(1H,dd),6.98(1H,d),7.09−7.16(2H,m),7.25(1H,d),7.49(1H,d).
【0180】
実施例29
4−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチル
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸エチルの代わりに4−[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチルを用いて実施例16と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):394(M+H),392(M−H)
【0181】
実施例30
4−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチル
[1−(4−t−ブチルジメチルシラニルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−1H−インドール−3−イル]酢酸エチルの代わりに4−[1−(3−イソプロピル−4−トリイソプロピルシラニルオキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチルを用いて実施例16と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):408(M+H),406(M−H)
【0182】
参考例87
[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−ヒドロキシ酪酸エチル
4−[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−オキソ酪酸エチル(181mg)をエタノール(4.0mL)に溶解し、5℃で水素化ホウ素ナトリウム(32.5mg)を加え、5℃で1時間撹拌した。反応液を2Mクエン酸水溶液で中和後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(172mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.13(6H,d),1.23(3H,t),2.32(3H,s),2.42−2.50(2H,m),2.87(1H,d),2.94(1H,dd),3.02(1H,dd),3.24(1H,m),5.24(2H,s),6.56(1H,d),6.67(1H,d),6.96(1H,s),7.07−7.13(2H,m),7.24(1H,dd),7.55(1H,dd).
【0183】
実施例31
[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−ヒドロキシ酪酸エチル
[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチルの代わりに[1−(3−イソプロピル−4−メトキシベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−3−ヒドロキシ酪酸エチルを用いて実施例1と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):410(M+H),408(M−H)
【0184】
参考例88
2−ベンジルオキシカルボニルコハク酸ジベンジル
マロン酸ジベンジル(2.00mL)をN,N−ジメチルホルムアミド(60mL)に溶解し、0℃で60%水素化ナトリウム(362mg)を加え、0℃で30分間撹拌した。さらに、ブロモ酢酸ベンジル(1.30mL)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液を加え、5℃で4時間撹拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製し、表記化合物(1.30g)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):3.02(2H,d),3.97(1H,t),5.08−5.14(6H,m),7.26−7.35(15H,m).
【0185】
参考例89
3,3−ビスベンジルオキシカルボニル−5−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−4−オキソペンタン酸ベンジル
3−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸(589mg)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、塩化オキサリル(132μL)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、3−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸クロライドを得た。次に、60%水素化ナトリウム(245mg)をテトラヒドロフラン(1.0mL)に懸濁し、2−ベンジルオキシカルボニルコハク酸ジベンジル(614mg)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を5℃で滴下した。5℃で1時間撹拌した後、先に得られた3−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸クロライドのテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を5℃で滴下し、3時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(933mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.19(6H,d),2.05(3H,s),3.02(1H,d),3.28(2H,s),3.33(1H,m),3.98(1H,t),4.13(2H,m),4.99(2H,s),5.05(2H,s),5.09(2H,s),5.13(2H,s),5.15(2H,s),5.19(2H,s),6.53(1H,d),6.69(1H,d),6.94−7.07(2H,m),7.25−7.41(22H,m).
【0186】
参考例90
1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール
3−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)酪酸エチルの代わりに2−メチル−1H−インドールを、(3−イソプロピル−4−メトキシフェニル)メタノールの代わりに(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルフェニル)メタノールを用いて参考例44と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.19(6H,d),2.38(3H,s),3.35(1H,m),5.00(2H,s),5.24(2H,s),6.30(1H,s),6.57(1H,d),6.72(1H,d),7.02(1H,s),7.07(2H,m),7.22(1H,d),7.31(1H,d),7.34−7.41(4H,m),7.54(1H,d).
【0187】
参考例91
[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イルメチル]ジメチルアミン
1,4−ジオキサン(1.2mL)に酢酸(1.23mL)と37%ホルムアルデヒド水溶液(110μL)と51%ジメチルアミン水溶液(152μL)とを加え、1℃で30分間撹拌した。さらに、1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール(437mg)の1,4−ジオキサン(2.5mL)溶液を加え、15℃で15時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮し、表記化合物(462mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.16(6H,d),2.27(6H,s),2.36(3H,s),3.34(1H,m),3.60(2H,s),5.00(2H,s),5.26(2H,s),6.57(1H,dd),6.72(1H,d),6.98(1H,d),7.09(2H,m),7.21(1H,m),7.30−7.41(5H,m),7.64(1H,m).
【0188】
参考例92
3−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−2-ニトロプロピオン酸メチル
[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イルメチル]−ジメチルアミン(460mg)をジクロロメタン(12.0mL)に溶解し、0℃でヨウ化メチル(201μL)を加え、0℃で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イルメチル]トリメチルアンモニウム ヨージドを得た。次に、1,4−ジオキサン(20.0mL)にニトロ酢酸メチル(299μL)とトリエチルアミン(752μL)とを加え、室温で15分間撹拌した。さらに、先に得られた[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イルメチル]トリメチルアンモニウム ヨージド(610mg)の1,4−ジオキサン(10.0mL)溶液を加え、5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン〜n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(421mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.17(6H,dd),2.30(3H,s),3.35(1H,m),3.67(1H,dd),3.75(1H,m),3.79(3H,s),5.00(2H,s),5.22(2H,s),5.46(1H,dd),6.48(1H,dd),6.72(1H,d),6.96(1H,d),7.13(2H,m),7.23(1H,m),7.30(1H,m),7.34−7.41(4H,m),7.49−7.52(1H,m).
【0189】
参考例93
2-アミノ−3−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオン酸エチル
3−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−2-ニトロプロピオン酸エチル(2.90g)を1,4−ジオキサン(30.0mL)に溶解し、ラネーニッケル(3.5mL)のエタノール(30.0mL)懸濁液を加え、水素雰囲気中、60℃で7日間撹拌した。触媒をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜酢酸エチル)で精製し、表記化合物(660mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ(ppm):1.17−1.20(9H,m),2.29(3H,s),3.02(1H,m),3.17(1H,m),3.26(1H,dd),3.80(1H,m),4.11(2H,m),5.00(2H,s),5.22(2H,s),6.48(1H,dd),6.72(1H,d),6.96(1H,d),7.13(2H,m),7.23(1H,m),7.30(1H,m),7.34−7.41(4H,m),7.49−7.52(1H,m).
【0190】
実施例32
3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸
3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチル(800mg)をメタノール(8.0mL)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(4.0mL)を加え60℃で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた残渣を水に溶解した。1M塩酸水溶液を加え酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、表記化合物(711mg)を得た。
ESI/MS(m/z):366(M+H),364(M−H)
【0191】
実施例32の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表9に示した。
【化30】

【0192】
【表9】

【0193】
実施例59
3−[3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオン酸
3−[3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオニトリル(38.0mg)をメタノール(1.0mL)に溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液(378μL)加え、7時間加熱還流した。反応液を室温に戻し減圧濃縮後、得られた残渣を水に溶解し、6M塩酸水溶液で中和した。酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮後、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、表記化合物(27.0mg)を得た。
ESI/MS(m/z):352(M+H),350(M−H)
【0194】
実施例60
[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸
[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−4−イル]酪酸ベンジル(72.9mg)をテトラヒドロフラン(6.0mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(36.5mg)を加え、水素雰囲気中、室温で5時間撹拌した。触媒をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、表記化合物(53.3mg)を得た。
ESI/MS(m/z):380(M+H),378(M−H)
【0195】
実施例60の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表10に示した。
【化31】

【0196】
【表10】

【0197】
実施例64
{2−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセチルアミノ}酢酸エチル
[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酢酸(985mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(30.0mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(492mg)とグリシンエチル塩酸塩(448mg)とトリエチルアミン(985μL)とN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジミド塩酸塩(671mg)とを加え、室温で5時間撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1M塩酸水溶液、水、及び飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮した後、得られた残渣をn−ヘキサン/ジエチルエーテルで結晶化し、表記化合物(1.11g)を得た。
ESI/MS(m/z):423(M+H),421(M−H)
【0198】
実施例64の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表11に示した。
【化32】

【0199】
【表11】

【0200】
実施例76
(S)−3−ヒドロキシ−2−{2−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−アセチルアミノ}プロピオン酸メチル
(S)−3−ベンジルオキシ−2−{2−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−yl]−アセチルアミノ}プロピオン酸メチル(10mg)をメタノール(1.0mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(2mg)を加え、水素雰囲気中、60℃で1時間撹拌した。触媒をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=19/1)で精製し、表記化合物(6mg)を得た。
ESI/MS(m/z):439(M+H),437(M−H)
【0201】
実施例32の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表12に示した。
【化33】

【0202】
【表12】

【0203】
実施例89
{2−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセチルアミノ}酢酸
[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−4−イル]酪酸ベンジルの代わりに、{2−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセチルアミノ}酢酸ベンジルを用いて、実施例60と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):409(M+H),407(M−H)
【0204】
実施例90
2−アミノ−3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオン酸エチル
[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンゾイル)−2−メチル−1H−インドール−4−イル]酪酸ベンジルの代わりに、2-アミノ−3−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオン酸エチルを用いて、実施例60と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):395(M+H),393(M−H)
【0205】
実施例91
2−アミノ−3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオン酸
3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸エチルの代わりに、2-アミノ−3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオン酸エチルを用いて、実施例32と同様の方法で反応を行い、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z):367(M+H),365(M−H)
【0206】
実施例92
3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−2−オキソプロピオン酸
2-アミノ−3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]プロピオン酸(56.6mg)を、メタノール(220μL)とトリエチルアミン(50μL)に溶解した。ここに、イソニコチンアルデヒド(50μL)を加え、室温で20分間振とうし、更に、塩化亜鉛(25.2mg)を加え、室温で10分間振とうした。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(102μL)のメタノール(80μL)溶液を加え、室温で90分間振とうした。反応液に1M塩酸水溶液(1.5mL)を加え、生成した沈殿物をろ過し水で洗浄後、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム〜クロロホルム/酢酸エチル=4/1)で精製し、表記化合物(25mg)を得た。
ESI/MS(m/z):366(M+H),364(M−H)
【0207】
実施例93
5−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−4−オキソペンタン酸
3,3−ビスベンジルオキシカルボニル−5−[1−(4−ベンジルオキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−4−オキソペンタン酸ベンジル(933mg)をエタノール(10mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(280mg)を加え、水素雰囲気中、室温で5時間撹拌した。触媒をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をエタノール(5.0mL)に溶解し、5時間加熱還流した。反応液を室温に戻し減圧濃縮後、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール=9/1)で精製し、表記化合物(181mg)を得た。
ESI/MS(m/z):394(M+H),392(M−H)
【0208】
実施例94
3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸ナトリウム
3−[1−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンジル)−2−メチル−1H−インドール−3−イル]酪酸(208mg)を水(16.5mL)に懸濁し、1M水酸化ナトリウム水溶液(570μL)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液をろ過した後、凍結乾燥し表記化合物(190mg)を得た。
HNMR(DMSO−d)δ(ppm):1.08(6H,d),1.67(2H,m),1.87(2H,t),2.27(3H,s),2.62(2H,t),3.12(1H,m),5.20(2H,s),6.46(1H,dd),6.65(1H,d),6.90−7.00(3H,m),7.30(1H,d),7.46(1H,d).
【0209】
実施例94の方法を参考に、下記反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表13に示した。
【化34】

【0210】
【表13】

【0211】
薬理試験例1
合成した本発明化合物の甲状腺ホルモン受容体との結合親和性は、大腸菌を用いて発現させたヒトTRα又はヒトTRβのリガンド結合ドメインを有する蛋白質と125I−T3を用い、その形成された複合体から被検物質により125I−T3を置換することによって得られる125I−T3との複合体量を測定することで求めた。
【0212】
甲状腺ホルモン受容体結合試験
(1)甲状腺ホルモン受容体のリガンド結合領域を有する融合蛋白質の調製
ヒトTRα及びヒトTRβのリガンド結合ドメインは、ヒスパッチ チオレドキシン(His-Patch Thioredoxin)融合タンパク質発現システム(In-vitorogen)を用いてHis-Patch ThioredoxinのC末端にヒトTRα及びヒトTRβのリガンド結合ドメインを有する融合蛋白質(組換えヒトTRα又は組換えヒトTRβ)として大腸菌で発現した。
融合蛋白質を発現するプラスミドは、ヒトTRα及びヒトTRβのリガンド結合ドメインとして、そのアミノ酸配列がGenBankに報告されるAccession No.CAA38749のN末端から190番目より410番目、及びAccession No.P10828のN末端から244番目より461番目にあたるアミノ酸配列をコードするcDNAを、遺伝子組換えの手法を用いてpThioHisのマルチプルクローニングサイトに挿入することで作製した。融合蛋白質に相当する領域の塩基配列は、DNAシークエンス解析により確認した。
融合蛋白質は、作製したプラスミドをトランスフォーメーションした大腸菌(JM109)を培養し、増殖途中にIPTGを添加して発現誘導することで生産した。融合蛋白質を発現誘導した大腸菌は、遠心分離法により集菌した後、超音波を用いて破砕することで融合蛋白質を含む破砕菌体液を調製した。破砕菌体液を15000rpmで約30分間遠心分離した後、上澄液からニッケルキレートカラムを用いて融合蛋白質を含む溶液を得た。この融合蛋白質を含む溶液は、NAP−10カラムを用いて結合溶液(20mM Tris-HCl, 0.15M NaCl, 8% Glycerol, 0.1%BSA, 1mM EDTA, 10mM 2-mercaptoethanol)に置換した。得られた融合蛋白質を含む結合溶液を−70℃以下で凍結保管した。
【0213】
(2)甲状腺ホルモン受容体との結合親和性
組換えヒトTRα又は組換えヒトTRβを含む結合溶液に125I−T3(PerkinElmer,Cat.No.NEX110X,AS62450)を0.16nMになるように添加し、室温で1〜3時間放置し、組換えヒトTRα又は組換えヒトTRβと125I−T3の複合体を形成させた。この結合溶液を96ウエルプレート(MILLIPORE MultiScreen-HV, Cat.No.MAHVN4550, Lot.No.F4SN86613)の全ウエルに60μL加えた。結合溶液中に被験物質または非標識のT3を終濃度の1.67倍になるように作成した希釈系列溶液90μLを、先の複合体を形成した結合溶液に加え、各ウエルの総液量を150μLとした。この混合液を25℃で2〜3時間インキュベートすることで、被験物質または非標識のT3により、前記TRα又はTRβと125I−T3との複合体形成を充分に阻害した。MultiScreen-HV(MILLIPORE , Cat.No.MAHVN4550, Lot.No.F4SN86613)の各ウエルに80μLのSephadexG25を加え、そこに結合溶液を加えて十分に膨潤させた後、600xgで1分間遠心分離することでSephadexG25のカラムを調整した。被験物質または非標識のT3を加えた混合液(150μL)から25μLを取り、SephadexG25のカラムに上層し、直ちに600xgで1分間遠心分離した。再度、SephadexG25のカラムに未処理の結合溶液を25μL上層し、直ちに600xgで1分間遠心分離した。2回の遠心処理でカラムを通過した125I−T3との複合体を含む分離溶液をIsoplate(PS)(PerkinElmer, Cat.No.1450-514)に回収した。分離溶液の入った各ウエルに200μLのOptiphase Super Mix(PerkinElmer, Cat.No.1200-439)を添加し、1450 MICROBETA TRILUX(PerkinElmer)で放射活性を測定した。放射活性から換算される125I−T3量を組換えヒトTRα又は組換えヒトTRβと125I−T3の複合体量とした。尚、本試験に用いる組換えヒトTRα又は組換えヒトTRβの量は、上記の試験系において、受容体添加量と上記の複合体量が比例する範囲で妥当な放射活性が得られる量を使用した。
被験物質又はT3を添加しない場合の放射活性(125I−T3との複合体形成率100%)から、過剰量のT3(0.256μM)を加えた場合の残存放射活性(125I−T3との複合体形成率0%)を非特異的結合として減じた値を求め、この値から組換えヒトTRα又は組換えヒトTRβと125I−T3の真の総複合体量を近似値として換算した。被験物質又はT3の各濃度での残存する組換えヒトTRα又は組換えヒトTRβと125I−T3の複合体量(残存複合体量)は、測定された放射活性から残存放射活性を減じた値を基に換算した。これを総複合体量で除し、結合率として次式のように算出した。
結合率=残存複合体量/総複合体量
50%阻害率を示す薬物濃度(IC50)は、結合率、及び被験物質又はT3の各濃度の対数値を用いて直線近似を行い、結合率=0.5となる濃度とすることで求めた。尚、直線近似には結合率が0.1から0.9の範囲にある被験物質又はT3の各濃度のみを用いた。実施例化合物のIC50を表14に示す。
【0214】
【表14】

【0215】
本法によるT3のIC50値は、組換えヒトTRα及び組換えヒトTRβに対し、それぞれ3.2nM、及び2.9nMであった。一方、今回試験を行った本発明化合物は、ヒトTRαに対して350nM〜>10000nMのIC50値を、ヒトTRβに対して46nM〜2300nMのIC50値を示し、甲状腺ホルモン受容体リガンドとして作用することがわかった。
【0216】
試験例2
合成した本発明化合物の甲状腺ホルモン受容体を介した有効性は、例えば、培養細胞を用いたトランスアクティベーション試験によって生体外で調べることができる。該試験は、甲状腺ホルモン調節プロモーターの制御下に分泌型アルカリフォスファターゼ(secreted alkaline phosphatase;SEAP)を発現するレポーター遺伝子と適切な核内受容体の発現ベクターを一過性に導入したサル腎由来細胞CV−1を使用して行った。甲状腺ホルモン調節プロモーターとしては、甲状腺ホルモン応答配列(thyroid hormone response element;TRE)としてAGGTCATGACCTからなるラット成長ホルモンに基づく合成TREパリンドローム配列を2つ結合したHSV−Tkプロモーターを用いた。適切な核内受容体としては、ヒト甲状腺ホルモン受容体(TRα及びTRβ)を用い、これを甲状腺ホルモン受容体とヘテロ二量体を形成するヒトレチノイドX受容体(RXRα)と共に使用した。本発明化合物の有効性は、本発明化合物の刺激によって発現誘導され、培養液中に分泌されたSEAPのアルカリフォスファターゼ活性を測定することで求めた。
【0217】
細胞のトランスアクティベーション試験
試験のために、サル腎由来細胞培養物を96穴細胞培養プレート(BD FALCON)に植え付け、10%新生児ウシ血清(FBS)と適量の抗生物質(ペニシリンGとストレプトマイシン)を含むダルベッコ変法イーグル最小必須培地(DMEM、SIGMA)中で5%COの雰囲気下に37℃で24時間増殖させた。続いて発現ベクターから成るプラスミドを6%のFuGENEを含むDMEMに添加し15分間静置した後、20倍量の10%FBS−DMEM50mLに添加した混合液を用いてCV−1細胞にトランスフェクションし、5%COの雰囲気下に37℃で24時間増殖させた。
プラスミドをトランスフェクションしたCV−1細胞の培養上清を除き、本発明化合物あるいはT3の連続希釈物を含む10%FBS−DMEMを添加し、5%COの雰囲気下に37℃で8−10時間培養することでSEAPを発現誘導した。
発現誘導によりCV−1細胞の培養上清中に分泌されたSEAP活性は、基質としてパラニトロフェニルリン酸を用い、生成された遊離するパラニトロフェノール量から換算することで求めた。活性測定には培養上清10μLと2mg/ml パラニトロフェニルリン酸、1mM MgCl、0.1M NaCO buffer pH9.8からなる反応液100μLと混合し、室温で30分間反応した後に、反応停止に4M NaOH,40mM EDTAを含む水溶液を100μL添加した。生成したパラニトロフェノール量をSPECTRA FLUOR PLUS(TECAN)にて405nmの吸光を測定することにより定量した。尚、活性値はヒトアルカリフォスファターゼの検量線から補正して求めた。
50%活性化率を示す本発明化合物の濃度(EC50)は、陽性対照T3の最大活性化率を100%、本発明化合物及びT3を添加しないときの活性化率を0%として換算した活性化率、及びその本発明化合物又はT3の各濃度の対数値を用いて直線近似を行い、活性化率=50%となる濃度とした。尚、直線近似には結合率が10%から90%の範囲にある本発明化合物、またはT3の各濃度のみを用いた。実施例化合物のEC50を表15に示す。
【0218】
【表15】

【0219】
本法によるT3のEC50値は、組換えヒトTRα及び組換えヒトTRβに対し、それぞれ2.1nM、及び2.0nMであった。一方、今回試験を行った本発明化合物は、ヒトTRαに対して13nM〜>10000nMのIC50値を、ヒトTRβに対して3.0nM〜2400nMのEC50値を示し、甲状腺ホルモン受容体アゴニストとして作用することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本発明化合物は、甲状腺ホルモン受容体と親和性を有することから、甲状腺ホルモン受容体リガンドとして、医薬品として使用することができる。従って、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害、例えば、高脂血症、肥満症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺癌、心不整脈、うっ血性心不全、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、皮膚障害、緑内障、脱毛症等の予防又は治療剤として有用である。本発明化合物の中には、甲状腺ホルモン受容体のTRβに選択性が高く且つ高い親和性を有するものもあることから、副作用の少ない甲状腺ホルモン受容体リガンドとして、医薬品として使用するのに適している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、Aは−CH−又は−CO−を意味する;
【化2】

はN−C=C又はC=C−Nを意味する;
は、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、置換されていてもよいフェニル基、−CO−置換されていてもよいフェニル基、又は−CH(R)−置換されていてもよいフェニル基を意味し、Rは水素原子又は水酸基を意味する;
は、水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基を意味する;
Eは、存在しないか、C1−C6アルキレン基、C2−C6アルケニレン基、−(CH−CONR−CH(R)−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−CH−CH(OH)−CH−、又は−CH−CH(NH)−を意味する。m及びnは、それぞれ独立して0〜2の整数を意味し、Rは水素原子又はC1−C6アルキル基を意味し、Rは、水素原子、C1−C6アルキル基、−CHO−ベンジル基、又は−CHOHを意味する;
は水酸基又はC1−C6アルコキシ基を意味する]
で表される化合物又はそのプロドラッグ、或いはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
前記一般式(I)において、Aが−CH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記一般式(I)において、
【化3】

がN−C=Cである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(I)において、RがC2−C4アルキル基、又は−CH(OH)−ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記一般式(I)において、Rがハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記一般式(I)において、EがC2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記一般式(I)において、Aが−CH−であり、
【化4】

がN−C=Cであり、Rがi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基であり、Rが臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記一般式(I)において、Aが−CH−であり、
【化5】

がN−C=Cであり、Rがi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基であり、Rが臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基であり、EがC2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
一般式(I):
【化6】

[式中、Aは−CH−又は−CO−を意味する;
【化7】

はN−C=C又はC=C−Nを意味する;
は、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、置換されていてもよいフェニル基、−CO−置換されていてもよいフェニル基、又は−CH(R)−置換されていてもよいフェニル基を意味し、Rは水素原子又は水酸基を意味する;
は、水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基を意味する;
Eは、存在しないか、C1−C6アルキレン基、C2−C6アルケニレン基、−(CH−CONR−CH(R)−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−CH−CH(OH)−CH−、又は−CH−CH(NH)−を意味する。m及びnは、それぞれ独立して0〜2の整数を意味し、Rは水素原子又はC1−C6アルキル基を意味し、Rは、水素原子、C1−C6アルキル基、−CHO−ベンジル基、又は−CHOHを意味する;
は水酸基又はC1−C6アルコキシ基を意味する]
で表される化合物又はそのプロドラッグ、或いはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬組成物。
【請求項10】
有効成分である化合物が前記一般式(I)において、Aが−CH−であり、
【化8】

がN−C=Cであり、Rがi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基であり、Rが臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基であり、EがC2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害の予防又は治療剤として使用するための、請求項9又は請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害が、高脂血症、肥満症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺癌、心不整脈、うっ血性心不全、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、皮膚障害、緑内障、又は脱毛症である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
甲状腺ホルモン受容体リガンドとして作用する医薬を製造するための、下記一般式(I)に記載の化合物又はそのプロドラッグ、或いはそれらの薬理学的に許容される塩の使用。
一般式(I):
【化9】

[式中、Aは−CH−又は−CO−を意味する;
【化10】

はN−C=C又はC=C−Nを意味する;
は、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、置換されていてもよいフェニル基、−CO−置換されていてもよいフェニル基、又は−CH(R)−置換されていてもよいフェニル基を意味し、Rは水素原子又は水酸基を意味する;
は、水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C6アルキル基を意味する;
Eは、存在しないか、C1−C6アルキレン基、C2−C6アルケニレン基、−(CH−CONR−CH(R)−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−CH−CH(OH)−CH−、又は−CH−CH(NH)−を意味する。m及びnは、それぞれ独立して0〜2の整数を意味し、Rは水素原子又はC1−C6アルキル基を意味し、Rは、水素原子、C1−C6アルキル基、−CHO−ベンジル、又は−CHOHを意味する;
は水酸基又はC1−C6アルコキシ基を意味する]
【請求項14】
前記一般式(I)に記載の化合物が、Aが−CH−であり、
【化11】

がN−C=Cであり、Rがi−プロピル基、s−ブチル基、又は(4−フルオロフェニル)ヒドロキシメチル基であり、Rが臭素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基であり、EがC2−C4アルキレン基、−CH−CONH−CH−、−CH−CO−、又は−CH−CO−CH−である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記甲状腺ホルモン受容体リガンドが、甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害の予防又は治療剤である、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記甲状腺ホルモン受容体を介した細胞機能調節により症状が改善される疾患もしくは障害が、高脂血症、肥満症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺癌、心不整脈、うっ血性心不全、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、皮膚障害、緑内障、又は脱毛症である、請求項15に記載の使用。

【公開番号】特開2009−155261(P2009−155261A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334943(P2007−334943)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000144577)株式会社三和化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】