説明

新規クロメン化合物、その製造方法、およびそれを含有する医薬組成物

【課題】D3ドーパミン性レセプターについて優先的なアンタゴニスト活性を有し統合失調症その他の精神病や付随する記憶障害などに効果のある化合物、製造法、医薬の提供。
【解決手段】下記式(I):


[式中、RおよびRは一緒になって、4位にN置換したシクロヘキシル基を形成]で示される新規クロメン化合物、製法及び医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規クロメン化合物、その製造方法、およびそれを含有する医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
辺縁系構造および前頭皮質に突出するドーパミン作用経路が気分制御、報酬現象、運動機能および認知に重要な役割を果たすことは、充分確立されている。側坐核、淡蒼球、視床および前頭皮質のような、これらの皮質および辺縁系構造には、D3ドーパミン性レセプターが高濃度で存在するが、線条体ではその密度が比較的低い。その結果、それらは向精神医薬を選ぶ際の標的となっている[Psychopharmacology, 1998, 135, 1-16;CNS Neurol. Disord. Drug Targets, 2006, 5, 25-43]。
【0003】
2レセプターの遮断は、陽性症状の改善を生じるが、強硬症、認知機能の低下、およびうつ病を誘発し得る効果にもつながる[CNS Drug Discov., 2006, 1, 271-88;Drug Discov. Today, 2005, 10, 917-25]。しかし、D3レセプターの遮断は、陽性症状に対する影響は明確に立証されてはいないが、気分に対する好ましい影響があり、認知機能を改善し、強硬症に対抗する[Therapie 2008, 63, 187-229]。
【0004】
これらの所見は、最適化されたプロファイル、たとえばD3レセプターについて優先的なアンタゴニスト活性、およびD2レセプターについて適切なアンタゴニスト活性を有する化合物は、統合失調症のすべての症状の最適な制御のための理想的な「治療の窓」の中に位置するが、錐体外路系の副作用(強硬症)その他の、ドーパミン性レセプターのそれぞれの非常に選択的な遮断に関連する不都合とは無関係でいられるようにすることができる可能性があることを示唆する[Drug Discov. Today, 2005, 10, 917-25;Therapie 2008, 63, 187-229]。
【0005】
文献に記録されたこれらの所見および様々な結果に基づいて、D2レセプターよりもD3レセプターに優先的に作用することは、統合失調症その他の精神病[Drug Discov. Today, 2005, 10, 917-25;Neurosci. Behav. Rev., 2001, 25, 427-43]、および「常習的犯行」[Brain Res. Rev., 2005, 49, 77-105;J. Med. Chem., 2005, 48, 3664-79]をはじめとする薬物乱用、たとえば精神刺激薬のコカインおよびアンフェタミン[Int. J. Neuropsychopharmacol., 2007, 10, 167-81;J. Pharmacol. Exp. Ther., 2007, 321, 573-82]、ニコチン[Neuropsychopharmacol., 2003, 28, 1272-80;Int. J. Neuropsychopharmacol., 2006, 9, 585-602]、アヘン類[Synapse, 2003, 48, 154-6;Psychopharmacology, 2004, 175, 127-33]、ならびにエタノール[Pharmacol. Biochem. Behav., 2005, 81, 190-7;FASEB J., 2007, 20, 2223-33]による乱用の処置の際の医薬としての使用における大きな価値を本発明の化合物に与えることが理解されよう。本発明の生成物は、不安状態および麻薬常習癖のようなストレスによって生じる障害の処置[Psychopharmacology, 2004, 176, 57-65;Prog. Neurobiol., 2003, 70, 83-244]、単極性および双極性うつ状態の処置[Eur. Neuropsychopharmacol., 2008, 18, 271-7;Mol. Interv., 2008, 8, 230-41]、強迫神経症[Psychiatry Res., 2003, 119, 1-10;Am. J. Med. Genet. B Neuropsychiatr. Genet., 2006, 141B, 409-13]および攻撃性[J. Neural. Transm., 2003, 110, 561-72]のような衝動的行動の処置、それ自体のみ、またはドーパミン性アゴニストもしくはL−DOPAと併用して投与したときのパーキンソン病の処置[Neurobiol. Dis., 2009、刊行予定;Exp. Neurol., 2004, 188, 128-38]、本態性振戦[PNAS, 2006, 103, 10753-8;Brain, 2007, 130, 1456-64]、認知症およびアルツハイマー病のような、精神病および神経科疾患に付随する記憶障害その他の認知障害[Psychopharmacology, 2005, 179, 567-75;J. Neurochem, 2007, 100, 1047-61]、自閉症スペクトル障害および注意欠陥多動障害のような、小児または青年期における発達障害の処置[Biol. Psychiatry, 2008, 65, 625-30]、たとえばアヘンに関連する、疼痛[Psychopharmacology, 1999, 144, 239-47;Prog. Neurobiol., 2002,66, 355-474]、あるいはたとえば細胞毒性薬剤およびドーパミン性アゴニストによって生じる、吐き気の処置[J. Neural Transm., 1999, 105, 1045-61;Eur. J. Pharmacol., 1996, 301, 143-9]に用いることもできる。本発明の化合物は、早漏の処置[J. Sex. Med., 2009, 6, 980-8;Brit. J. Pharmacol., 2008, 154, 1150-9]およびたとえば糖尿病、または代謝を乱す抗精神病薬による慢性的処置に関連する、腎臓防護[Lab. Investigation, 2006, 86, 262-74;Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 2005, 371, 420-7]にも役立つ。
【0006】
本発明の化合物は、新規であることに加えて、D3ドーパミン性レセプターに強力かつ優先的に結合する点で特に価値ある特性を有する。
【発明の概要】
【0007】
より具体的には、本発明は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
1およびR2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、
*R3は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基を表し、
*R4は、
・水素原子、
・直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは3,4−ジオキソシクロブテニル基(これらの基は、それぞれ、ハロゲン;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキルカルボニル;カルボキシル;ヒドロキシル;シアノ;ニトロ;非置換であるか、または1つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノカルボニル;および非置換であるか、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノから選ばれる、1つ以上の、同じであるか、または異なる基で場合により置換されている)、
・基−COR5
・基−SO25を表し、
*R5は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基(これらの基は、それぞれ、ハロゲン;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキルカルボニル;カルボキシル;ヒドロキシル;シアノ;ニトロ;非置換であるか、または1つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノカルボニル;および非置換であるか、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノから選ばれる、1つ以上の、同じであるか、または異なる基で場合により置換されている)を表すか、あるいは
*R3およびR4は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員ないし8員環を形成し、ここに定義される環は、ハロゲン;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル;ヒドロキシル;オキソ;および非置換であるか、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノから選ばれる、1つ以上の、同じであるか、または異なる基で場合により置換されている)を形成する]
で示される化合物、その位置異性体、その鏡像異性体、そのジアステレオマー、およびその薬学的に許容しうる酸または塩基との付加塩にも関するものである。
【0012】
薬学的に許容しうる酸のうちでも、塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ショウノウ酸等々を、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。
【0013】
薬学的に許容しうる塩基のうちでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、t−ブチルアミン等々を、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。
【0014】
アリール基は、フェニルまたはナフチル基であると解される。
【0015】
ヘテロアリール基は、少なくとも1つの環が、5員〜11員を含み、かつ窒素、酸素および硫黄から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む芳香族である、単環または二環の基であると解される。
【0016】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、4員〜11員を含み、窒素、酸素および硫黄から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する、単環または二環の非芳香族の基を意味する。
【0017】
好ましいアリール基は、フェニル基である。
【0018】
好ましいヘテロアリール基は、ピリジルおよびピリミジニル基である。
【0019】
好ましいヘテロシクロアルキル基は、アゼチジン基である。
【0020】
式(I)の化合物において、R3は、好ましくは、水素原子またはメチル基を表す。
【0021】
式(I)の化合物は、好都合には、R4が水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基を表す場合の化合物である。
【0022】
本発明の好適な化合物は、R4が基−COR5(式中、R5は上記に定義されたとおりである)を表す場合のものである。
【0023】
本発明のその他の好適な化合物は、R4が基−SO25(式中、R5は上記に定義されたとおりである)を表す場合のものである。
【0024】
5なる基は、好ましくは、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
【0025】
より格別には、式(I)の好適な化合物は、R4が−COR5を表して、R5が直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル基である場合の化合物である。
【0026】
式(I)の化合物に関して好ましいもう一つの可能性は、−COR5(式中、R5は、場合により置換されたC3〜C8シクロアルキル基である)を表すR4からなる。
【0027】
式(I)の化合物は、好ましくは、R4が−COR5(式中、R5は、場合により置換されたアリール基である)を表す場合の化合物である。
【0028】
より格別には、式(I)の化合物は、R4が−SO25(式中、R5は、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール基である)を表す場合の化合物である。
【0029】
もう一つの好都合な可能性は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員環を形成する(それによって形成された環は、場合により置換されている)、R3およびR4からなる。
【0030】
本発明の好適な化合物は:
・(3aS,9bR)−2−[2−(trans−4−アミノシクロヘキシル)エチル]−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル;
・(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル;
・(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)アセトアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−2,2−ジメチルプロパンアミド;
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−N−メチルアセトアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロブタンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロプロパンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド;
・cis−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3−ヒドロキシシクロブタンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンズアミド;
・4−クロロ−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンズアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル)エチル]シクロヘキシル)−4−フルオロベンゼンスルホンアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル)エチル]シクロヘキシル)−3−ピリジンスルホンアミド;
・4−クロロ−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンゼンスルホンアミド;
・(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリルである。
【0031】
薬学的に許容しうる酸または塩基との本発明の好適な化合物との付加塩は、本発明の不可欠の部分を形成する。
【0032】
本発明は、式(I)の化合物を製造する方法であって、式(II):
【0033】
【化3】

【0034】
で示される化合物を出発材料として用いて、これを、トリアセトキシホウ水素化ナトリウムまたはシアノホウ水素化ナトリウムなどの還元剤、および式(III):
【0035】
【化4】

【0036】
[式中、R’1およびR’2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【0037】
【化5】

【0038】
(式中、R3は、上記に定義されたとおりであり、Rは、たとえばt−ブチルオキシカルボニル基のようなアミン官能の保護基を表す)を形成する]
で示される化合物の存在下で、還元的アミノ化反応に付して、式(IV):
【0039】
【化6】

【0040】
[式中、R’1およびR’2は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、次いで、これを、たとえばトリフルオロ酢酸の存在下で、アミン官能を脱保護する反応に付して、式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/a):
【0041】
【化7】

【0042】
[式中、R”1およびR”2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【0043】
【化8】

【0044】
(式中、R3は、上記に定義されたとおりである)を形成する]
で示される化合物を得て、次いで、必要ならば、式(I/a)の化合物を、
・式(V):
【0045】
【化9】

【0046】
[式中、R’は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキル基を表す]
で示される化合物の存在下で、トリアセトキシホウ水素化ナトリウムまたはシアノホウ水素化ナトリウムなどの還元剤との還元的アミノ化反応に付すか、または
・式(VI):
【0047】
【化10】

【0048】
[式中、Yは、ハロゲン原子、あるいはヒドロキシルまたは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ基を表し、R”は、アリール、ヘテロアリール、3,4−ジオキソシクロブテニル、−COR5または−SO25基(式中、R5は、上記に定義されたとおりである)を表す]
で示される化合物の作用に付すかのいずれかによって、
式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/b):
【0049】
【化11】

【0050】
[式中、R’”1およびR’”2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【0051】
【化12】

【0052】
(式中、R3は、上記に定義されたとおりであり、R’4は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3,4−ジオキソシクロブテニル、−COR5または−SO25基(式中、R5は、上記に定義されたとおりである)を表す)を形成する]
で示される化合物を得て、
式(I/b)の化合物の製造における一変化形は、式(I/a)の化合物とのカップリングの工程を実施したならば、その後、式(VI)の化合物の置換基を修飾するための慣用の化学反応を用いることからなり、
そうして、式(I)の化合物の全体を構成する式(I/a)および(I/b)の化合物は、慣用の分離手法に従って精製し、望みであれば、その薬学的に許容しうる酸または塩基との付加塩へと転換し、適切ならば、慣用の分離手法に従って、存在する場合、その異性体に分離することができることを特徴とする方法にも関するものである。
【0053】
式(II)、(III)、(V)および(VI)の化合物は、商業的に入手可能であるか、または慣用の化学反応、もしくは文献中に記載された化学的反応によって、当業者には容易に利用可能である。
【0054】
本発明は、活性成分としての式(I)の少なくとも1つの化合物を、それのみでか、あるいは1つ以上の不活性かつ無毒性の賦形剤もしくは担体との組み合わせで含む、医薬組成物にも関するものである。本発明の医薬組成物のうちでも、より格別には、経口、非経口(静脈内または皮下)、または経鼻投与に、また錠剤または糖衣錠、舌下錠、カプセル剤、トローチ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏、皮膚ゲル剤、注射可能製剤および飲用懸濁液に適切であるものを列挙し得る。
【0055】
有用な投与量は、患者の年齢および体重、障害の性質および重篤度、ならびに投与経路(経鼻、直腸、非経口または経口であり得る)に応じて変動する。一般に、単位用量は、1〜3回の投与での処置に対して24時間あたり1〜500mgの範囲にわたる。
【0056】
以下の実施例は、本発明を例示するが、いかなる方法でもそれを限定しない。記載された化合物の構造は、慣用の分光分析手法によって確認した。
【0057】
以下に記載する製造例は、本発明の化合物の合成に用いられる出発材料を生じる。
【0058】
製造例1:trans−{4−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロヘキシル}酢酸メチル
ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2−カルボニトリルから出発して7工程で得たtrans−(4−アミノ−シクロヘキシル)酢酸エチル3.03g(17.7mmol)、および重炭酸ジ−t−ブチル4.25g(19.54mmol)のジクロロメタン60ml中の混合物に、トリエチルアミン6.2mlを加えた。混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液50mlを加えた。溶液を、ジクロロメタン3×20mlで抽出し、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させて、標記化合物を白色粉末の形態で得た。
融点:78℃
【0059】
製造例2:trans−{4−[(t-ブトキシカルボニル)アミノ]シクロヘキシル}アセトアルデヒド
製造例1の化合物1.78g(6.6mmol)のトルエン35ml中の溶液に、ヘキサン中1NのDIBAL−H溶液11mlを−78℃で滴加した。混合物を、−78℃で10分間撹拌し、次いでトルエン2ml中のメタノール1.08mlを滴加した。周囲温度に復帰させ、酒石酸カリウムナトリウム二重塩(セニエット塩)の飽和水溶液47mlを迅速に滴加した。1時間撹拌した後、溶液を、エーテルで抽出し、水洗し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させて、標記生成物を白色固体の形態で得た。
融点:61〜63℃
【0060】
製造例3:trans−{4−[(t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]シクロヘキシル}酢酸メチル
製造例1の化合物4.28g(15.8mmol)のDMF45ml中の溶液に、ヨウ化メチル1.38ml、次いで水素化ナトリウム884mgを加えた。18時間撹拌した後、混合物を、エーテルおよび水で希釈し、次いで、pH=3になるまで0.1NHCl溶液を加えた。溶液を、エーテルで抽出し、水洗し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。シクロヘキサン/酢酸エチル混合物(90/10)を溶離剤として用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによる精製によって、標記生成物を無色の油の形態で得た。
【0061】
製造例4:trans−{4−[(t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]シクロヘキシル}アセトアルデヒド
製造例2に記載の手順に従い、製造例3に記載の生成物を出発材料として用いて、標記生成物を得た。
【0062】
製造例5:(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバミン酸t−ブチル
ジクロロメタン30mlに、(3aS,9bR)−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル(Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 2059-2064に従って合成した)1.08g(5.42mmol)、製造例2の化合物1.58g(6.5mmol)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム1.61g(7.59mmol)を逐次加えた。反応混合物を、周囲温度で一晩撹拌した、次いで、溶液を、1N水酸化ナトリウム溶液、次いで食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム混合物(99/1/0.1)を溶離剤として用いるシリカカラムでの精製によって、標記生成物を白色粉末の形態で得た。
【0063】
製造例6:(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)メチルカルバミン酸t−ブチル
製造例5に記載の手順に従い、製造例2に記載の生成物に代えて製造例4に記載の化合物を出発材料として用いて、標記生成物を得た。
【0064】
製造例7:フタル酸モノメチルエステル
フタル酸ジメチル(15.73mmol)を、エタノール60ml中で1N水酸化ナトリウム溶液15.73mlとともに周囲温度で24時間撹拌した。減圧下、40℃で溶媒を蒸発し去り、次いで、反応混合物を水で希釈してから、pHを3とした。混合物を、酢酸エチルで抽出し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させて、標記生成物を油の形態で得た。
【0065】
実施例1
(3aS,9bR)−2−[2−(trans−4−アミノシクロヘキシル)エチル]−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル二塩酸塩
製造例5の化合物1.5g(3.5mmol)のジクロロメタン30ml中の溶液に、トリフルオロ酢酸2.9mlを加えた。混合物を、周囲温度で4.5時間撹拌し、溶媒を蒸発し去った。残渣を、炭酸ナトリウム水溶液とジクロロメタンとに区分した。溶液を、ジクロロメタンで抽出し、水洗し、乾燥し(K2CO3)、蒸発させて、1NHClエーテル溶液2当量を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を白色粉末の形態で得た。
【0066】
【表1】

【0067】
実施例2
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩
実施例1の化合物699mg(2.1mmol)のジクロロメタン15ml中の溶液に、トリエチルアミン354μl(1.2当量)、次いで塩化アセチル164μl(1.1当量)を周囲温度で加えた。周囲温度で2時間撹拌した後、混合物を、水洗し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を蒸発し去った後、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム混合物(97/3/0.3)を溶離剤として用いるシリカカラムで精製して、温エタノール中で1NHClエーテル溶液を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を白色粉末の形態で得た。
【0068】
【表2】

【0069】
実施例3
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロブタンカルボキサミド塩酸塩
実施例2に記載の手順に従い、塩化アセチルに代えて塩化シクロブタンカルボニルを用いて、標記生成物を得た。
【0070】
【表3】

【0071】
実施例4
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロプロパンカルボキサミド塩酸塩
実施例2に記載の手順に従い、塩化アセチルに代えて塩化シクロプロパンカルボニルを用いて、標記生成物を得た。
【0072】
【表4】

【0073】
実施例5
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンズアミド塩酸塩
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えて塩化ベンゾイルを用いて、標記生成物を得た。
【0074】
【表5】

【0075】
実施例6
4−クロロ−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンズアミド塩酸塩
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えて塩化4−クロロベンゾイルを用いて、標記生成物を得た。
【0076】
【表6】

【0077】
実施例7
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−2,2−ジメチルプロパンアミド塩酸塩
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えて塩化ピバロイルを用いて、標記生成物を得た。
【0078】
【表7】

【0079】
実施例8
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロペンタンカルボキサミド塩酸塩
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えて塩化シクロペンタンカルボニルを用いて、標記生成物を得た。
【0080】
【表8】

【0081】
実施例9
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3−ピリジンスルホンアミド塩酸塩
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えてピリジン−3−スルホニルクロリド(J. Org. Chem. 1989, 54, 389-393によって合成した)を用いて、標記生成物を得た。
【0082】
【表9】

【0083】
実施例10
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−4−フルオロベンゼンスルホンアミド塩酸塩
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えて4−フルオロベンゼンスルホニルクロリドを用いて、標記生成物を得た。
【0084】
【表10】

【0085】
実施例11
4−クロロ−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えて4−クロロベンゼンスルホニルクロリドを用いて、標記生成物を得た。
【0086】
【表11】

【0087】
実施例12
4−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]安息香酸塩酸塩
工程A:4−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]安息香酸メチル
実施例2に記載のプロトコルに従い、塩化アセチルに代えて4−クロロカルバモイル安息香酸メチルを用いて、標記生成物を得た。
【0088】
工程B:4−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]安息香酸塩酸塩
上記工程で得た生成物0.737g(1.68mmol)をエタノール15mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液1.79mlとともに還流にて1.5時間加熱した。次いで、エタノールを蒸発し去り、反応混合物を、水に溶解し、次いで、1N塩酸3.6mlを0℃で加えた。得られた固体を、ろ別し、デシケーター内で乾燥した。
【0089】
【表12】

【0090】
実施例13
2−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]安息香酸塩酸塩
工程A:4−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]安息香酸メチル
ジクロロメタン80ml中の実施例1の化合物(塩基の形態で)1.21g(3.72mmol)、製造例7の化合物0.8g(1.2当量)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.78g(1.1当量)、およびヒドロキシベンゾトリアゾール50mgの溶液を、周囲温度で18時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液37mlを加え、次いで、混合物を15分間撹拌した。ジクロロメタンで抽出し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた後、残渣を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム混合物(97/3/0.3)を溶離剤として用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによって精製して、標記生成物を油の形態で得た。
【0091】
工程B:2−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]安息香酸塩酸塩
実施例12の工程Bに記載の手順に従い、上記の工程Aで得た化合物を出発材料として用いて、標記生成物を得た。
【0092】
【表13】

【0093】
実施例14
3−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]安息香酸塩酸塩
実施例13に記載の手順に従い、製造例7に代えて、商業的に入手可能であるイソフタル酸モノメチルを用いて、標記生成物を得た。
【0094】
【表14】

【0095】
実施例15
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]−イル]エチル}シクロヘキシル)アゼチジン−3−カルボキサミド二塩酸塩
工程A:3−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)カルバモイル]アゼチジン−1−カルボン酸t−ブチル
実施例13の工程Aに記載の手順に従い、製造例7に代えて1−(t-ブトキシカルボニル)アゼチジン−3−カルボン酸(Biochemistry, 2001, 40, 5226-5232によって合成した)を用いて、標記生成物を得た。
【0096】
工程B:N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)アゼチジン−3−カルボキサミド二塩酸塩
上記の工程で得た生成物2.82g(5.56mmol)を、ジクロロメタン56mlおよびトリフルオロ酢酸5.6mlの混合物中、周囲温度で3時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発し去り、次いで濃水酸化ナトリウム溶液を加え、次いで、溶液を、酢酸エチルで抽出し、1N水酸化ナトリウム溶液および食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。温エタノール中で1NHClエーテル溶液を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を粉末の形態で得た。
【0097】
【表15】

【0098】
実施例16
1−アセチル−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)アゼチジン−3−カルボキサミド塩酸塩
実施例2に記載の手順に従い、実施例1の化合物に代えて実施例15の化合物を出発材料として用いて、標記生成物を得た。
【0099】
【表16】

【0100】
実施例17
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド塩酸塩
実施例13の工程Aに記載の手順に従い、製造例7に代えて3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸(Synthetic Communications, 2005, 35, 657-662によって合成した)を用いて、標記生成物を得た。
【0101】
【表17】

【0102】
実施例18
cis−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3−ヒドロキシシクロブタンカルボキサミド塩酸塩
実施例13の工程Aに記載の手順に従い、製造例7に代えて3−cis−ヒドロキシシクロブタンカルボン酸(米国特許第2005/0020645号明細書によって合成した)を用いて、標記生成物を得た。
【0103】
【表18】

【0104】
実施例19
(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル塩酸塩
工程A:4−クロロ−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ブタンアミド
実施例2に記載の手順に従い、塩化アセチルに代えて塩化4−クロロブチリルを用いて、標記生成物を得た。
【0105】
工程B:(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル塩酸塩
上記の工程で得た生成物1.77g(4.12mmol)を、水素化ナトリウム165mgとともにTHF3mlに懸濁させ、次いで還流にて18時間加熱した。次いで、冷却した混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込んだ。得られた沈殿を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム混合物(98/2/0.2)を溶離剤として用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによって精製して、温エタノール中で1NHClエーテル溶液を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を得た。
融点:260〜262℃
【0106】
実施例20
ナトリウム2−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)アミノ]−3,4−ジオキソシクロブテン−1−オラート
工程A:(3aS,9bR)−2−(2−{trans−4−[(2−エトキシ−3,4−ジオキソシクロブテン−1−イル)アミノ]シクロヘキシル}エチル)−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル
実施例1の化合物2g(6.15mmol)およびジエチルスクアラート0.9mlをエタノール15ml中、周囲温度で2時間撹拌した。水を加えた後、得られた結晶を、ろ別し、デシケーター内で乾燥して、標記生成物を白色粉末の形態で得た。
【0107】
工程B:ナトリウム2−[(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)アミノ]−3,4−ジオキソシクロブテン−1−オラート
上記の工程で得た生成物1.3gを、水29mlおよびエタノール6mlの溶液に水酸化ナトリウムペレット289mgとともに90℃で懸濁させた。冷却した溶液にアセトンを加え、標記生成物に相当する、得られた沈殿をろ別した。
質量分析:[M+H]+=421
【0108】
実施例21
(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−[(2−アミノ−3,4−ジオキソシクロブテン−1−イル)アミノ]シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル塩酸塩
実施例20の工程Aで得た化合物1.17g(2.61mmol)のエタノール13ml中の溶液を、アセトニトリル中の飽和アンモニア溶液13mlで16時間処理した。得られた固体を、ろ別し、次いで酢酸エチルで洗浄して、温エタノール中で1NHClエーテル溶液を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を最終的に得た。
【0109】
【表19】

【0110】
実施例22
(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル二塩酸塩
実施例1に記載の手順に従い、製造例4で得た化合物を出発材料として用いて、標記生成物を得た。
【0111】
【表20】

【0112】
実施例23
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−N−メチルアセトアミド塩酸塩
実施例2に記載の手順に従い、実施例1の化合物に代えて実施例22の化合物を出発材料として用いて、標記生成物を得た。
【0113】
【表21】

【0114】
実施例24
N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド塩酸塩
実施例3に記載の手順に従い、実施例1の化合物に代えて実施例22の化合物を出発材料として用いて、標記生成物を得た。
【0115】
【表22】

【0116】
実施例25
(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル二塩酸塩
実施例1の化合物0.685g(1.95mmol)のメタノール18ml中の溶液に、シアノホウ水素化ナトリウム0.245g、酢酸0.56mlを0℃で加え、次いで水中37%のホルムアルデヒド溶液0.4mlを滴加した。4時間撹拌した後、飽和炭酸カリウム水溶液0.4mlを加えた。溶媒を蒸発し去り、次いで水で希釈した後に、混合物を、酢酸エチルで抽出し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。得られた残渣を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム混合物(80/20/2)を溶離剤として用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによって精製して、温エタノール中で1NHClエーテル溶液を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を得た。
【0117】
【表23】

【0118】
実施例26
(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(ピリジン−2−イルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル二塩酸塩
実施例1の化合物0.482g、および2−フルオロピリジン5ml中のジイソプロピルエチルアミン0.245mlを、還流にて24時間加熱した。溶媒を蒸発し去り、次いで水で希釈した後に、混合物を、酢酸エチルで抽出し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。得られた残渣を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム混合物(97/3/0.3)を溶離剤として用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによって精製して、温エタノール中で1NHClエーテル溶液を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を得た。
【0119】
【表24】

【0120】
実施例27
(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(ピリジン−2−イルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル二塩酸塩
実施例1の化合物0.715g(2.2mmol)、2―クロロピリジン0.303mgおよび炭酸ナトリウム0.47gのエタノール45ml中の懸濁液を、還流にて72時間加熱した。ろ過した後、次いで溶媒を蒸発し去った。酢酸エチルで抽出し、乾燥した(MgSO4)後、蒸発によって油を得て、これを、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム混合物(98/2/0.2)を溶離剤として用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによって精製して、温エタノール中で1NHClエーテル溶液を用いて塩へと転換した後に、標記生成物を得た。
【0121】
【表25】

【0122】
薬理学的研究
実施例A
CHO細胞で安定的に発現されるヒトD3、D2SおよびD2Lレセプターに対する親和性の決定
化合物のヒトD3、D2SおよびD21ドーパミン性レセプターに対する親和性を、これら三つのレセプターサブタイプを安定的に発現する、CHO細胞膜でトリチウム化スピペロン([3H]−スピペロン)を用いた競合実験によって評価した。様々な細胞系を密集するまで培養し、次いで、細胞を引きはがし、5mMのMgCl2を含有するトリスHCl緩衝液(50mM、pH7.4)中で、ポリトロンを用いてホモジナイズした。次いで、細胞デブリを遠心分離し(4℃で15分間)、沈殿物を、150mMのNaClを含有する適切量のHEPES緩衝液(20mM)に溶解し、−80℃で凍結させた。実験当日に、50mMトリス(pH7.4)、120mMNaCl、5mMKCl、2mMCaCl2および5mMMgCl2を含有するインキュベーション緩衝液に、膜を溶解した。次いで、膜を、0.5nMの[3H]−スピペロンの存在下、調べようとする化合物とともに30℃で1時間インキュベートした。非特異的結合は、10μMラクロプライドを用いて決定した。インキュベーション期間の終点で、サンプルを、PEI(0.1%)で前処理したユニフィルターGF/Bタイプのフィルター越しにろ過し、120mMNaClを含有するトリスHClろ過緩衝液(50mM、pH7.4)で数回洗浄した。フィルター上に保持された放射能を、シンチレーション液を加えた後に、シンチレーション計数機を援用して計数した。得られた等温線を、非線形回帰によって解析して、IC50値を決定して、これを、チェン−プルソフの式を用いてpKiに変換した:
i=IC50/(I+L/Kd
[式中、Lは、放射性リガンドの濃度を表し、Kdは、D3、D2SおよびD2Lドーパミン性レセプターに対する[3H]−スピペロンの解離定数(それぞれ、0.26、0.14および0.156)である]。結果を、pKi=−logKiの形で示す。
【0123】
【表26】

【0124】
実施例B
ドーパミン性アゴニストPD128,907によって誘導される低体温症の誘導の阻害
ウィスター系の雄のラットで、基礎(直腸)体温を測定し、次いで、試験下の化合物または賦形剤を、経口経路によって投与した。60分後、D3/D2ドーパミン性アゴニストであるPD128,907(0.63mg/kg、皮下)を注射した。30分後、体温を再決定し、基礎体温との差(Δ)を算出した。
【0125】
【表27】

【0126】
賦形剤の存在下で、PD128,907は、低体温症を生起したが、それは、実施例3の化合物によって用量依存的な方式で遮断されて、D3/D2レセプターアンタゴニスト活性を立証した。
【0127】
実施例C
医薬組成物
それぞれN−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロブタンカルボキサミド塩酸塩(実施例3)10mgを含有する、1,000錠の製造のための処方
実施例3の化合物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
ヒドロキシプロピルセルロース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
コムギデンプン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
乳糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
ステアリン酸マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g
タルク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化13】


[式中、
1およびR2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【化14】


(式中、
*R3は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基を表し、
*R4は、
・水素原子、
・直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは3,4−ジオキソシクロブテニル基(これらの基は、それぞれ、ハロゲン;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキルカルボニル;カルボキシル;ヒドロキシル;シアノ;ニトロ;非置換であるか、または1つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノカルボニル;および非置換であるか、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノから選ばれる、1つ以上の、同じであるか、または異なる基で場合により置換されている)、
・基−COR5
・基−SO25を表し、
*R5は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基(これらの基は、それぞれ、ハロゲン;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキルカルボニル;カルボキシル;ヒドロキシル;シアノ;ニトロ;非置換であるか、または1つ以上の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノカルボニル;および非置換であるか、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノから選ばれる、1つ以上の、同じであるか、または異なる基で場合により置換されている)を表すか、あるいは
*R3およびR4は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員ないし8員環を形成し、ここに定義される環は、ハロゲン;直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル;ヒドロキシル;オキソ;および非置換であるか、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で置換されたアミノから選ばれる、1つ以上の、同じであるか、または異なる基で場合により置換されている)を形成する]
で示される化合物、その位置異性体、その鏡像異性体、そのジアステレオマー、およびその薬学的に許容しうる酸または塩基との付加塩。
【請求項2】
3が水素原子またはメチル基を表すことを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
4が水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
4が基−COR5(式中、R5は請求項1に定義されたとおりである)を表すことを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
4が基−SO25(式中、R5は請求項1に定義されたとおりである)を表すことを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
5が直鎖または分枝鎖C1〜C6アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1、2、4または5記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
5が場合により置換されたC3〜C8シクロアルキル基を表すことを特徴とする、請求項1、2、4または5記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
5が場合により置換されたアリール基を表すことを特徴とする、請求項1、2、4または5記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
5が場合により置換されたヘテロアリール基を表すことを特徴とする、請求項1、2、4または5記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
3およびR4が、それらを担持する窒素原子と一緒になって5員環を形成し、それにより形成された環は場合により置換されていることを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
・(3aS,9bR)−2−[2−(trans−4−アミノシクロヘキシル)エチル]−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル;
・(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル;
・(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリル;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)アセトアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−2,2−ジメチルプロパンアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−N−メチルアセトアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロブタンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)シクロプロパンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド;
・cis−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3−ヒドロキシシクロブタンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−N−メチルシクロブタンカルボキサミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンズアミド;
・4−クロロ−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンズアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−4−フルオロベンゼンスルホンアミド;
・4−クロロ−N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)ベンゼンスルホンアミド;
・N−(trans−4−{2−[(3aS,9bR)−8−シアノ−1,3a,4,9b−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−2(3H)−イル]エチル}シクロヘキシル)−3−ピリジンスルホンアミド;
・(3aS,9bR)−2−{2−[trans−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]エチル}−1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロクロメノ[3,4−c]ピロール−8−カルボニトリルである、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II):
【化15】


で示される化合物を出発材料として用いて、これを、トリアセトキシホウ水素化ナトリウムまたはシアノホウ水素化ナトリウムなどの還元剤、および式(III):
【化16】


[式中、R’1およびR’2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【化17】


(式中、R3は、請求項1に定義されたとおりであり、Rは、たとえばt−ブチルオキシカルボニル基のようなアミン官能の保護基を表す)を形成する]
で示される化合物の存在下で、還元的アミノ化反応に付して、式(IV):
【化18】


[式中、R’1およびR’2は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、次いで、これを、たとえばトリフルオロ酢酸の存在下で、アミン官能を脱保護する反応に付して、式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/a):
【化19】


[式中、R”1およびR”2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【化20】


(式中、R3は、上記に定義されたとおりである)を形成する]
で示される化合物を得て、次いで、必要ならば、式(I/a)の化合物を、
・式(V):
【化21】


[式中、R’は、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキル基を表す]
で示される化合物の存在下で、トリアセトキシホウ水素化ナトリウムまたはシアノホウ水素化ナトリウムなどの還元剤との還元的アミノ化反応に付すか、または
・式(VI):
【化22】


[式中、Yは、ハロゲン原子、あるいはヒドロキシルまたは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ基を表し、R”は、アリール、ヘテロアリール、3,4−ジオキソシクロブテニル、−COR5または−SO25基(式中、R5は、請求項1に定義されたとおりである)を表す]
で示される化合物の作用に付すかのいずれかによって、
式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/b):
【化23】


[式中、R’”1およびR’”2は、一緒になって、下記の炭素含有鎖:
【化24】


(式中、R3は、上記に定義されたとおりであり、R’4は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3,4−ジオキソシクロブテニル、−COR5または−SO25基(式中、R5は、上記に定義されたとおりである)を表す)を形成する]
で示される化合物を得て、
式(I/b)の化合物の製造における一変化形は、式(I/a)の化合物とのカップリングの工程を実施したならば、その後、式(VI)の化合物の置換基を修飾するための慣用の化学反応を用いることからなり、
そうして、式(I)の化合物の全体を構成する式(I/a)および(I/b)の化合物を、慣用の分離手法に従って精製し、望みであれば、その薬学的に許容しうる酸または塩基との付加塩へと転換し、適切ならば、慣用の分離手法に従って、存在する場合、その異性体に分離することができることを特徴とする方法。
【請求項13】
活性成分としての請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物を、それのみでか、あるいは薬学的に許容しうる1つ以上の不活性かつ無毒性の賦形剤もしくは担体との組み合わせで含む、医薬組成物。
【請求項14】
統合失調症その他の精神病、薬物乱用、不安状態および麻薬常習癖のようなストレスによって生じる障害の治療または予防、単極性および双極性うつ状態、強迫神経症および攻撃性のような衝動的行動の治療、パーキンソン病、本態性振戦、認知症およびアルツハイマー病のような、精神病および神経科疾患に付随する記憶障害その他の認知障害、小児または青年期における発達障害の治療、疼痛、吐き気、早漏の治療に用いるため、また腎臓防護のための、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
統合失調症その他の精神病、薬物乱用、不安状態および麻薬常習癖のようなストレスによって生じる障害の治療または予防、単極性および双極性うつ状態、強迫神経症および攻撃性のような衝動的行動の治療、パーキンソン病、本態性振戦、認知症およびアルツハイマー病のような、精神病および神経科疾患に付随する記憶障害その他の認知障害、小児または青年期における発達障害の治療、疼痛、吐き気、早漏の治療に用いるため、また腎臓防護のための医薬の製造における、請求項1〜11のいずれか1項記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項16】
統合失調症その他の精神病、薬物乱用、不安状態および麻薬常習癖のようなストレスによって生じる障害の治療または予防、単極性および双極性うつ状態、強迫神経症および攻撃性のような衝動的行動の治療、パーキンソン病、本態性振戦、認知症およびアルツハイマー病のような、精神病および神経科疾患に付随する記憶障害その他の認知障害、小児または青年期における発達障害の治療、疼痛、吐き気、早漏の治療に用いるため、また腎臓防護のための、請求項1〜11のいずれか1項記載の式(I)の化合物。

【公開番号】特開2011−26319(P2011−26319A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−162384(P2010−162384)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】