説明

新規シアノグアニジン化合物

一般式I:


[式中、R1、X、R2およびR3は本明細書において定義した通りである]で示される新規ピリジルシアノグアニジン化合物は、高い抗増殖活性を示し、高増殖性および新生物性疾患の治療に使用しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ピリジルシアノグアニジン化合物、および医薬組成物へのその含有、ならびに薬剤の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ピリジルシアノグアニジン、例えば、ピナシジル(N-1,2,2-トリメチルプロピル-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)グアニジン)は、最初、カリウムチャンネル開口薬であることが発見され、その後、抗高血圧薬として開発された。ピナシジルの側鎖の、より長いアリール含有側鎖での置き換えは、抗高血圧活性の損失をもたらしたが、そのような化合物は、他方で、ヨシダ腹水腫瘍を有するラットモデルにおける経口投与において、抗腫瘍活性を示すことが見出された。
【0003】
抗増殖活性を有する別種のピリジルシアノグアニジンは、例えば、EP 660823、WO 98/54141、WO 98/54143、WO 98/54144、WO 98/54145、WO 00/61559およびWO 00/61561に開示されている。そのような化合物の構造-活性相関(SAR)は、C. Schouら、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 7(24), 1997, p.3095-3100で検討されており、それにおいて、多くのピリジルシアノグアニジンの抗増殖作用が、種々のヒト肺癌および乳癌細胞系、ならびに正常ヒト線維芽細胞について、生体外試験されている。
【0004】
P-J V Hjarnaaら、Cancer Res. 59, 1999, p.5751-5757は、さらに、特定のシアノグアニジン化合物、即ち、N-(6-(4-クロロフェノキシ)ヘキシル)-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)グアニジンの、生体外および生体内試験の結果を報告している。該化合物は、対照の細胞増殖抑制薬ダウノルビシンおよびパクリタキセルに匹敵する生体外有効性を示したが、正常ヒト内皮細胞については、かなり低い抗増殖活性を示した。ヒト腫瘍細胞を移植されたヌードマウスを使用した生体内試験において、該化合物は、パクリタキセルのような従来の抗癌剤に耐性の腫瘍細胞に対しても実質的な抗腫瘍活性を示した。
【0005】
成功する薬は、活性、生物学的利用能、毒性、副作用レベル、溶解度などの要素の、微妙なバランスを必要とし、それによって向上したシアノグアニジン系製剤が得られる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、1個の炭素原子においてケト基で置換された複素環基を含んで成る新規ピリジルシアノグアニジン化合物が驚くほど高い抗増殖活性を示すことを見出した。従って、本発明は、式I:
【化1】

[式中、
R1は、水素、ハロゲン、および、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜6炭化水素基から成る群から独立に選択される1個またはそれ以上の同じかまたは異なる置換基であって、該炭化水素基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、スルホ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ジヒドロキシホスフィノイルオキシまたはホスホノによって任意に置換されていてよく;
Xは、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜12炭化水素二価基(diradical)であり、該基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、スルホ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ジヒドロキシホスフィノイルオキシまたはホスホノによって任意に置換されていてよく;
R2およびR3は、それらが結合している窒素原子と共に、5〜12員の単環または二環系を形成し、該環系は、窒素、硫黄および酸素から成る群から選択される1個またはそれ以上の付加的ヘテロ原子を任意に含有してよく、該環系は、その1個の炭素原子において基=Oで置換され、かつ該環系は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノアルキル、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜6炭化水素基から成る群から選択される1個またはそれ以上の置換基によって任意に置換されていてよく、該炭化水素基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミルまたはアミノアルキル、または-C(=O)NR5R6、-NHC(=O)R5、-NHC(=O)NR5R6、-NHC(=O)OR5、-OC(=O)R5または
【化2】

によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、同じかまたは異なり、水素およびC1〜6アルキルから成る群から独立に選択され、該アルキルは、1個またはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、-NHC(=O)NR5R6、-NHC(=O)OR5または
【化3】

によって任意に置換されていてよく;
但し、R1は、ピリジル環の窒素原子に結合していないものとする。]
で示される化合物、または医薬的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、N-オキシドまたはそのプロドラッグに関する。
【0007】
本発明は、治療における式Iの化合物の使用、および式Iの化合物を含んで成る医薬組成物にも関する。
【0008】
本発明は、有効用量の式Iの化合物を患者に投与することを含んで成る疾患の治療法または予防法にも関する。
【0009】
さらに、本発明は、高増殖性または新生物性疾患の治療薬の製造における、式Iの化合物の使用にも関する。
【0010】
本発明において、「炭化水素基」という用語は、水素および炭素だけを含んで成り、好ましくは1〜18個、例えば1〜12個、例えば1〜6個の炭素原子を有する基を意味するものとする。該炭化水素基の例は、メチル、エチル、エテニル、エチニル、ブチル、ブテニル、ブチニル、イソブチル、t-ブチル、ヘキシル、1,3-ジメチルヘキシル、オクチル、オクテニル、ノニル、ドデシル、ドデセニルなどである。基または二価基は、それぞれ、1個または2個の水素原子を炭化水素から除去することによって得られる。
【0011】
「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味するものとする。
【0012】
「医薬的に許容される塩」は、酸基または塩基性基を有する式Iの化合物を、それぞれ、好適な塩基または酸と反応させることによって生成される塩を意味するものとする。そのような酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、酢酸、燐酸、乳酸、マレイン酸、フタル酸、クエン酸、プロピオン酸、安息香酸、グルタル酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、スルファミン酸およびフマル酸である。そのような塩基の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアおよびアミンである。
【0013】
「溶媒和物」という用語は、化合物、この場合、式Iの化合物と、溶媒、例えば、アルコール、グリセロールまたは水との相互作用によって生成される種を意味するものとし、その場合、該種は固体形態である。水が溶媒である場合、溶媒和物は水和物と称される。
【0014】
「N-オキシド」という用語は、例えば、本発明化合物のピリジルN-オキシド誘導体を意味するものとする。そのような化合物は、ピリジルNを、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中で、好適な酸化剤、例えば3-クロロ-過安息香酸により酸化することによって生成しうる。
【0015】
「アルキル」という用語は、1〜8個の炭素原子を有することが好ましいアルカンから得られる一価の基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルを意味するものとする。
【0016】
「アルコキシ」という用語は、式:-OR[式中、Rは前記のアルキルである。]で示される基を意味するものとする。
【0017】
「アルコキシカルボニル」という用語は、式:-C(O)-OR[式中、Rは前記のアルキルである。]で示される基を意味するものとする。
【0018】
「アルキルカルボニル」という用語は、式:-C(O)-R[式中、Rは前記のアルキルである。]で示される基を意味するものとする。
【0019】
「アミノアルキル」という用語は、式:-R-NR'2[式中、Rは前記のアルキルであり、各R'は、独立して、前記のアルキルまたは水素を表す。]で示される基を意味するものとする。
【0020】
「アミノカルボニル」という用語は、式:-C(O)-NR'2[式中、各R'は、独立して、前記のアルキルまたは水素を表す。]で示される基を意味するものとする。
【0021】
「アルキルカルボニルアミノ」という用語は、式:-N(R')-C(O)-R[式中、RおよびR'は、独立して、前記のアルキルまたは水素を表す。]で示される基を意味するものとする。
【0022】
「アミノスルホニル」という用語は、式:-S(O)2-NR'2[式中、各R'は、独立して、前記のアルキルまたは水素を表す。]で示される基を意味するものとする。
【0023】
「アルキルスルホニルアミノ」という用語は、式:-N(R')-S(O)2-R[式中、Rは、前記のアルキルであり、各R'は、独立して、前記のアルキルまたは水素を表す。]で示される基を意味するものとする。
【0024】
「アミノ」という用語は、式:-NR'2[式中、各R'は、独立して、前記のアルキルまたは水素を表す。]で示される基を意味するものとする。
【0025】
「プロドラッグ」という用語は、活性化合物の誘導体であって、活性化合物の生理活性を示さないかまたは必ずしも示さないが、生物学的に活性であり、例えば、生体内で加水分解のような酵素的開裂を受け、それによって、プロドラッグの投与時に活性化合物を放出しうる活性化合物の誘導体を意味するものとする。本発明化合物に類似したシアノグアニジン化合物のプロドラッグの生成が、WO 02/43365に開示されている。従って、本質的にWO 02/43365に開示されている手順によって、ピリジン環の窒素原子に、下記の式VIの基を結合させることによって、式Iの化合物のプロドラッグを生成することが考えられる:
【化4】

[式中、
R7は、水素、若しくは直鎖、分岐鎖または環状アルキル、または芳香族炭化水素基であり;
Y1は、O、OC(O)、C(O)OまたはNR9であり、ここでR9は水素またはC1~4アルキルであり;
mおよびrは、それぞれ、0または1〜4の整数であり;
R8は、
水素;
1個またはそれ以上の下記の基によって任意に置換されていてよい直鎖、分岐鎖および/または環状炭化水素基:アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アミノカルボニル、C1~4アルコキシカルボニル、C1~4アルコキシカルボニルアミノ、スルホ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ジヒドロキシホスフィノイルオキシ、ホスホノ、スルファミノ、アミノスルホニル、アミノアシルアミノまたはジアルコキシホスフィノイル;
1個またはそれ以上の下記の基によって任意に置換されていてよいヘテロアリールまたは非芳香族複素環式炭化水素基:直鎖、分岐鎖および/または環状炭化水素基、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アミノカルボニル、C1~4アルコキシカルボニル、C1~4アルコキシカルボニルアミノ、スルホ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ジヒドロキシホスフィノイルオキシ、ホスホノ、スルファミノ、アミノスルホニル、アミノアシルアミノまたはジアルコキシホスフィノイルまたは下記式の基:
【化5】

(ここで、sは1〜20の整数であり;R10は、水素、または任意に置換された非芳香族炭化水素基であり;R11は、独立して、水素またはメチルである。);
である。]
【0026】
「耐性」という用語は、所定の処置に対する減少した感受性を意味するものとする。感受性は、IC50によって規定することができ、これは細胞の50%に致死的である所定の処置または電離放射線の量または濃度を示す。IC50の増加は、所定の療法に対する減少した感受性を意味し、IC50が10またはそれ以上の係数、例えば20〜50の係数で増加した場合、細胞は「耐性」と呼ばれる。この定義は、生体外試験において特に妥当性があるが、ヒトの治療は言うまでもなく、生体内試験においては妥当性が低い。生体内試験およびヒト治療において、より適した耐性の定義は、治療の総合的失敗(overall failure)として表され、以前に治療に反応した患者における進行新生物性疾患として定義しうる。進行新生物性疾患は、1つまたはそれ以上の病変の大きさ、または新たな病変の出現の、≧25%増加として定義しうる[WHO Handbook for reporting results of cancer treatment, Publication No.48, Geneva, WHO, 1979]。
【0027】
活性化NFKBのレベルに関して使用される「調節する」という用語は、活性化NFKBのレベルが、一般式Iの化合物の不存在下に存在するレベルと比較して、増加または減少することを意味する。活性化NFKBのレベルは、式Iの化合物によって減少するのが好ましい。
【0028】
「アポトーシス」という用語は、細胞の環境、細胞自体の内部代謝、細胞発生歴などからの情報に基づく、細胞による死の「能動的決定(active decision)」を特徴とする遺伝的にコード化された細胞死プログラムを意味するものとする。壊死を受けている細胞と異なり、アポトーシスに入るように刺激された細胞は、しばしば生存できるが、全生体のために死ぬことを選択する。壊死は、損傷を受けた組織および細胞の群発に関連している場合が多いが、細胞はアポトーシス過程で凝縮し、制御的に細胞内で分解する点でも、アポトーシスは壊死と異なる[Tran, Science and Medicine, 6, 18-27, 1999;Williams, Trends Cell Biol., 2, 263-267, 1992]。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
好ましい態様において、本発明は、一般式II:
【化6】

[式中、
R1およびXは前記の通りであり;
N-C(=O)-R4は、式IIにおける基R3と共に、5〜12員の単環または二環系を形成し、該環系は、窒素、硫黄および酸素から成る群から選択される1個またはそれ以上の付加的ヘテロ原子を任意に含有してよく、該環系は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノアルキル、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜6炭化水素基から成る群から選択される1個またはそれ以上の置換基によって任意に置換されていてよく、該炭化水素基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミルまたはアミノアルキル、若しくは-C(=O)NR5R6、-NHC(=O)R5、-NHC(=O)NR5R6、-NHC(=O)OR5、-OC(=O)R5または
【化7】

によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、同じかまたは異なり、水素およびC1〜6アルキルから成る群から独立に選択され、該アルキルは、1個またはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、-NHC(=O)NR5R6、-NHC(=O)OR5または
【化8】

によって任意に置換されていてよい。]
で示される化合物に関する。
【0030】
式IまたはIIにおけるR1は、好ましくは、水素、ハロゲン、または1個またはそれ以上の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1~6炭化水素基を表し;Xは、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1~12炭化水素基を表す。R1は、好ましくは水素である。
【0031】
式Iの化合物の特に好ましい態様において、R2およびR3は、それらに結合している窒素原子と共に、5または6員の芳香族または非芳香族単環系、若しくは9または10員の芳香族または非芳香族二環系を形成し、該環系は、その炭素原子において基=Oで置換され、かつ該環系は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、-C(=O)NR5R6、-NHC(=O)NR5R6または-NHC(=O)R5によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、独立して、水素またはC1〜6アルキルであり、該アルキルは、ヒドロキシ、-NHC(=O)NR5R6または
【化9】

によって任意に置換されていてよい。
【0032】
式IIの化合物の特に好ましい態様において、-N-C(=O)-R4は式IIにおける基R3と共に、5または6員の芳香族または非芳香族単環系、若しくは9または10員の芳香族または非芳香族二環系を形成し、該環系は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、-C(=O)NR5R6または-NHC(=O)R5によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、独立して、水素、またはヒドロキシによって任意に置換されていてよいC1〜6アルキルである。
【0033】
単環系は、好ましくは、ピリジノン、ピペリジノンまたはピロロン(pyrrolone)である。
【0034】
二環系は、好ましくは、キノロンまたはインドロンである。
【0035】
該環系は、水素、ハロゲン、-C(=O)NR5R6または-NHC(=O) NR5R6によって置換されていてよく、ここで、R5は水素であり、R6は、ヒドロキシまたは-NHC(=O) NR5R6によって任意に置換されていてよいC1〜4アルキルである。
【0036】
本発明の特定化合物の例は、
N-[6-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物101);
N-[6-(6-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物102);
N-[6-(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物103);
N-[6-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-ピリジル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物104);
N-[6-(4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物105);
N-[6-(5-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-ピリジル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物106);
N-[6-(6-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物107);および
N-[6-(6-(3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物108)
から成る群から選択される。
【0037】
一般的製造法
式Iの化合物は、式IIIの化合物[式中、R1は、式Iの化合物に関して記載した通りである]を、式IVの化合物[式中、X、R2およびR3は、式Iの化合物に関して記載した通りである]と反応させることによって生成しうる(下記の反応式を参照)。
【0038】
反応は、好適な溶媒、例えばピリジン中で、所望により第三級アミン、例えばトリエチルアミン、および触媒、例えば4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジンの存在下に、室温から100℃の温度で行うことができる。反応の間に、R1、X、R2およびR3は、好適な保護基を一時的に有してよい。式IIIおよびIVの化合物は、文献から既知であるか、または当業者に周知の方法によって生成しうる。
【0039】
他の態様において、式Vのチオ尿素[式中、置換基は、式(I)において定義した通りであり、必要であれば、一次的に保護されている]を、1またはそれ以上の当量のN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD)およびシアナミドと、不活性溶媒、例えばアセトニトリル中で、室温またはそれより高い温度で反応させて、式Iの化合物を得る(反応式参照)。式Vの化合物は、当業者に周知の方法によって生成しうる。
【化10】

【0040】
医薬配合物
他の局面において、本発明は、式Iの化合物を含んで成る医薬組成物に関する。獣医学およびヒト医療用途のための本発明組成物は、1つまたはそれ以上の医薬的に許容される賦形剤(excipients)または媒体(vehicles)、および任意に、1つまたはそれ以上の他の治療成分をさらに含んで成る。賦形剤は、配合物の他の成分と適合性であるという意味において「許容され」、かつ、その摂取者に有害であってはならない。
【0041】
一般に、式Iの化合物は、組成物の0.1〜100wt%を構成する。一般に、本発明組成物の単位用量は、0.07mg〜1gの式Iの化合物を含有する。
【0042】
「単位用量」という用語は、患者に投与することができ、容易に取扱い、包装することができ、固体または液体の医薬希釈剤または賦形剤と混合された式Iの化合物を含んで成る物理的および化学的に安定な単位として維持される、単位の、即ち単一の、用量を意味する。
【0043】
本発明の目的のために、組成物は、経口(持効性または徐放性を含む)、直腸、非経口(皮下、腹腔内、筋肉内、関節内および静脈内)、経皮、眼、局所、経鼻または口腔投与に適した形態であってよい。
【0044】
組成物は、一般に、例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000に開示されている薬学分野で周知の任意の方法によって製造しうる。全ての方法は、1つまたはそれ以上の賦形剤を含んで成る媒体と、式Iの化合物とを合わせる工程を含む。一般に、組成物は、式Iの化合物を、液体担体または微粉固体担体またはそれらの両方と合わせ、次に、必要であれば、生成物を所望の配合物に成形する。
【0045】
経口投与に適する本発明組成物は、以下の形態であってよい:個別単位、例えば、カプセル剤、サシェ剤、錠剤、ロゼンジ剤の形態(それぞれ、所定量の活性成分を含有する);散剤または顆粒剤の形態;水性液または非水性液、例えばエタノールまたはグリセロール中の溶液または懸濁液の形態;または、水中油型乳剤または油中水型乳剤の形態。そのような油は、食用油、例えば、綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油であってよい。水性懸濁液に適した分散剤または懸濁化剤は、合成または天然ゴム、例えば、トラガカント、アルギン酸塩、アカシア、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーおよびポリビニルピロリドンを包含する。組成物は、ボーラス剤、舐剤またはペースト剤の形態で投与してもよい。
【0046】
錠剤は、1つまたはそれ以上の賦形剤と混合した式Iの化合物を、圧縮または成形することによって製造しうる。圧縮錠剤は、下記の成分と任意に混合した粉末または顆粒のような易流動性形態における活性成分を、好適な機械で圧縮することによって製造しうる:結合剤、例えば、ラクトース、グルコース、デンプン、ゼラチン、アカシアガム、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなど;潤滑剤、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなど;崩壊剤、例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸エステルナトリウム、クロスポビドンなど;または分散剤、例えばポリソルベート80。成形錠剤は、好適な機械で、粉末状活性成分と、不活性液体希釈剤で湿らせた好適な担体との混合物を成形することによって製造しうる。
【0047】
直腸投与用組成物は、坐剤の形態であってよく、その場合、式Iの化合物が低融点水溶性または水不溶性固体、例えば、カカオ脂、水素化植物油、ポリエチレングリコール、またはポリエチレングリコールの脂肪酸エステルと混合され、エリキシル剤はパルミチン酸ミリスチルを使用して製造しうる。
【0048】
非経口投与に適した組成物は、好適には、活性成分の滅菌油性または水性調製物を含んで成り、該調製物は、好ましくは、受容者の血液と等張性であり、例えば、等張性生理食塩水、等張性グルコース溶液または緩衝溶液である。組成物は、好適には、例えば、細菌保持フィルターでの濾過、組成物への滅菌剤の添加、組成物の照射、または組成物の加熱によって滅菌しうる。例えばEncyclopedia of Pharamaceutical Technology, 第9巻、1994に開示されているリポソーム配合物も非経口投与に好適である。
【0049】
または、式Iの化合物を、使用の直前に滅菌溶媒に容易に溶解できる滅菌固体調製物、例えば凍結乾燥粉末として供給してもよい。
【0050】
経皮配合物は、プラスターまたはパッチの形態であってよい。
【0051】
眼投与に適した組成物は、活性成分の滅菌水性調製物の形態であってよく、該調製物は、微結晶形態、例えば水性微結晶懸濁液の形態であってよい。例えばEncyclopedia of Pharamaceutical Technology, 第2巻、1989に開示されているリポソーム配合物または生分解性ポリマー系を使用して、眼投与用の活性成分を得てもよい。
【0052】
局所または眼投与に適した組成物は、液体または半液体調製物、例えば、リニメント剤、ローション剤、ゲル剤、塗布剤(applicants)、水中油型または油中水型乳剤、例えば、クリーム剤、軟膏剤またはペースト剤;または、液剤または懸濁剤、例えば滴剤を包含する。
【0053】
経鼻または口腔投与に適した組成物は、粉末、自己噴射および噴霧配合物、例えばエーロゾルおよびアトマイザを包含する。
【0054】
式Iの化合物を含んで成る組成物は、前記の成分に加えて、1つまたはそれ以上の付加的成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香味剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、例えばメチルヒドロキシベンゾエート(酸化防止剤を含む)、乳化剤なども含有してよい。
【0055】
本発明の化合物を使用する全身的治療においては、日用量0.001〜500mg/kg体重、好ましくは0.002〜100mg/kg哺乳動物体重、例えば0.003〜20mg/kgまたは0.003〜5mg/kgの式Iの化合物を投与し、これは、ヒト成人の日用量0.01〜37000mgに一般に相当する。しかし、本発明は、より長い間隔での投与、例えば、1週間に1回、3週間に1回、または1ヶ月に1回の投与を意図した化合物および組成物も提供する。皮膚疾患の局所治療においては、0.1〜750mg/g、好ましくは0.1〜500mg/g、例えば0.1〜200mg/gの式Iの化合物を含有する軟膏剤、クリーム剤またはローション剤を投与する。眼病治療における局所使用においては、0.1〜750mg/g、好ましくは0.1〜500mg/g、例えば0.1〜200mg/gの式Iの化合物を含有する軟膏剤、点眼剤またはゲル剤を投与する。経口組成物は、単位用量当たり0.07〜1000mg、好ましくは0.1〜500mgの式Iの化合物を含有する錠剤、カプセル剤、滴剤として処方するのが好ましい。
【0056】
式Iの化合物は、IKBキナーゼ(以下にIKKと略記する)の活性を調節しうることが見出された。細胞におけるIKKの活性を調節することによって、細胞における活性化NFKBのレベルを制御することができる。従って、そのような化合物は、増殖性疾患、および活性化NFKBのレベルに作用されると考えられる他の症状、例えば炎症の治療に有効であると考えられる。
【0057】
NFKBは、動物細胞に広範に分布する転写因子のRelファミリーの一員である。Relタンパク質はダイマーを形成することができ、その最も一般的なものがNFKBと称される。NFKBはp50/p65ヘテロダイマーであり、それは、適切なKB結合部位を有する遺伝子の転写を活性化することができる。無刺激細胞において、NFKBは、NFKB抑制タンパク質IKBとの相互作用によって、細胞形質に維持される。例えば抗増殖薬または電離放射線による細胞刺激に応答して、IKBキナーゼ複合体(IKB kinase complex)(IKK)が急速に活性化され、IKBのNFKB結合ドメインにおける2つのセリン残基を燐酸化する。次に、燐酸化されたIKBは26Sプロテアソームによって分解されるが、NFKBは分解されず、核に転位する[Wang, Science, 274, 784-787, 1996, Cusak, Cancer Research, 60, 2323-2330, 2000;Karin, Immunology, 12, 2000, 85-98]。このように、NFKBは細胞に常に存在するが、無刺激細胞においては不活性形態で存在する。核に転位した後、NFKBは、特に抗アポトーシス遺伝子c-IAP1、c-IAP2、TRAF1、TRAF2、Bfl-1/A1、Bcl-XおよびMn-SODを誘発し[Patel, Oncogene, 19, 2000, 4159-4169]、これらは細胞においてアポトーシスへの抵抗を生じさせる。この作用は、NFKBの抗アポトーシス作用と称される。抗増殖薬および電離放射線は、このように細胞において治療への耐性を誘発し、それらを無効性にする。従って、活性化NFKBは、例えば癌細胞において、抗増殖薬および/または電離放射線に対する耐性の誘発における主要因である。これは、構成的に活性化されたNFKBが耐性癌腫からの細胞に見出されることによってさらに裏付けられている[Patel, Oncogene, 19, 4159-4169, 2000]。どのような治療に対する減少した耐性であるかにかかわらず、例えばIKKの活性を制御することによる、細胞における活性化NFKBレベルの減少が、抗アポトーシス因子をコードする遺伝子の発現レベルを減少させて、細胞においてアポトーシスを誘発する[Schwarts, Surgical Oncology, 8, 1999, 143-153]。
【0058】
活性化NFKBの役割は、アポトーシスを阻止することに限定されない。NFKBは炎症および免疫に関与している遺伝子の重量な活性因子でもある。活性化NFKBは、炎症誘発性プロスタグランジンの合成を触媒するシクロオキシゲナーゼ2(COX2)をコードする遺伝子を誘発する。さらに、炎症事象の後期において、COX2は抗炎症性シクロペンテノンプロスタグランジンの合成を触媒する。COX2が抗ウイルス作用を有することも知られており、これは、NFKBが炎症性およびウイルス性疾患の治療における対象物にもなりうることを示唆している[Rossi, Nature, 403, 2000, 103-108]。NFKBは、多くの他の生体細胞過程に重要な遺伝子の転写調節にも関与している。NFKBは、例えば、サイトカインおよび増殖因子、接着分子、急性期反応物質、受容体および化学誘引物質をコードする遺伝子を調節している[Schwartz, Surgical Oncology, 8, 1999, 143.153]。これは、RossiによってNature, 403, 103-108, 2000においても裏付けられており、彼は、他の種類の化合物、即ちシクロペンテノンプロスタグランジンがIKBキナーゼを阻害し、これによって、シクロペンテノンプロスタグランジンが、癌、炎症およびウイルス感染の治療において潜在的に有用であることを開示している。
【0059】
IKBは、NFKBに非共有結合し、その核局在化シグナルをマスクし、それによって、核への転位を阻止する。種々のIKBが同定されており、例えばIKBαおよびIKBβは、p65 Relタンパク質、即ちNFKBに結合している大部分の細胞において発現される。種々のIKBが種々の要因によって燐酸化され、それによって、種々の刺激に応答してNFKBが活性化される。
【0060】
IKBキナーゼ複合体は、3つのサブユニット、即ち、IKKα、IKKβおよびIKKγから成り、合計分子量は900kDaである。IKKαおよびIKKβは両方とも、IKBキナーゼ活性を示し、IKBを燐酸化するが、IKKγは調節サブユニットである。IKKαは85kDaタンパク質であり、IKKβは87kDaタンパク質であり、その2つのサブユニットは高度の相同性を示す。IKKαおよびIKKβの両方が触媒的に活性であるが、意外にも、IKKβだけが、IKBのIKK燐酸化に不可欠であることが示された。
【0061】
前記のように、IKKの活性を制御することによって活性化NFKBのレベルを制御することは、増殖性疾患、例えば癌、特に耐性癌形の治療における、治療的介入として有用であると考えられる(付加的説明は、WO 02/094322を参照)。IKKの活性を制御することは、炎症性またはウイルス性疾患の治療にも有用であると考えられる。IKKの活性の制御は、単一薬剤療法であってもよく、または他の治療との併用療法の一部であってもよい。
【0062】
好ましい態様において、本発明は、増殖性疾患の治療に使用される1つまたはそれ以上の他の薬理学的活性化合物と組み合わせた式Iの化合物を含んで成る医薬組成物を提供する。本発明化合物と共に使用しうる増殖性疾患治療に使用される化合物の例は、下記の化合物である:S-トリアジン誘導体、例えばアルトレタミン;酵素、例えばアスパラギナーゼ;抗生剤、例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、エピルビシンおよびプリカマイシン;アルキル化剤、例えば、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジンおよびチオテパ;代謝拮抗薬、例えば、クラドリビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、メトトレキサート、ゲムシタビン、ペントスタチンおよびチオグアニン;有糸分裂阻害剤、例えば、エトポシド、パクリタキセル、テニポシド、ビンブラスチン、ビノレルビンおよびビンクリスチン;ホルモン剤、例えば、アロマターゼ阻害剤、例えばアミノグルテチミド、コルチコステロイド、例えばデキサメタゾンおよびプレドニゾン、黄体化ホルモン放出ホルモン(LH-RH);抗エストロゲン剤、例えば、タモキシフェン、ホルメスタンおよびレトロゾル;抗アントロゲン剤、例えばフルタミド;血管新生阻害剤。最後に、電離放射線は、化合物とは容易に定義できないが、新生物性疾患の治療において強く依存されており、本発明化合物と組み合わしうる。抗新生物治療を受けている患者によって経験されることが多い強い副作用によって、それ自体は抗新生物性でないが、副作用の緩和を助ける治療薬を投与することが望ましい場合が多い。そのような化合物は、アミホスチン、ロイコボリンおよびメスナである。
【0063】
特に、抗増殖性化合物、例えば、パクリタキセル、フルオロウラシル、エトポシド、シクロホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、ビノレルビン、クロラムブシル、ドキソルビシンおよびメルファランは、本発明の組合せ組成物において有用であると考えられる。
【0064】
本発明の組合せ組成物は、同時投与または順次投与を意図した化合物の混合物としてかまたは個々の化合物として、提供しうると考えられる。順次投与法における時間間隔を決めるのは、精通した医師および獣医の能力の範囲である。
【0065】
特に、本発明の方法によって治療される増殖性疾患または症状は、下記を含む種々の癌および新生物性疾患または症状を包含する:白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、脊髄形成異常、多発性骨髄腫、ホジキン病または非ホジキンリンパ腫、小細胞または非小細胞肺癌;胃、腸または結腸直腸癌;前立腺、卵巣または乳癌;頭、脳または頸部の癌;尿管癌、腎臓または膀胱癌;悪性黒色腫、肝臓癌、子宮癌または膵臓癌。
【0066】
本発明は、所望により前記の他の抗新生物性化合物と共に、式Iの化合物を、薬剤製造において使用することにも関する。特に、該薬剤は、増殖性疾患、例えば前記のような癌の治療に使用されることを意図している。
【0067】
本発明を下記実施例により、さらに説明するが、これら実施例は本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0068】
製造法
1H核磁気共鳴(NMR)スペクトル(300MHz)および13C NMR(75.6MHz)について、化学シフト値は、内部テトラメチルシラン(δ=0.00)またはクロロホルム(δ=7.25)またはジュウテリオクロロホルム(δ=76.81、13C NMRに関する)標準に対して示す。範囲が示されていない場合は、規定されている(一重項(s)、二重項(d)、三重項(t)、四重項(q))かまたは規定されていない(広域(br))多重項の、ほぼ中央点における値を示す。使用した有機溶媒は無水であった。
【0069】
製造例1
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン
2-ヒドロキシキノリン(640mg)を、N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中の60%水素化ナトリウム(205mg)の懸濁液に添加し、混合物を60℃で30分間撹拌した。氷で冷却した後、N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中のN-(tert-ブトキシカルボニル)-6-ブロモ-ヘキシルアミン(1.25g)(Helv. Chim. Acta, 76, 891 (1993))の溶液を滴下し、室温で一晩、撹拌を続けた。氷および水を添加し、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥し、蒸発させて、黄色油状物を得、酢酸エチルを溶離剤として使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を無色油状物として得た。
13C NMR (DMSO) δ = 160.8, 155.5, 139.2, 138.8, 130.7, 128.9, 121.7, 121.0, 120.2, 114.3, 77.2, 41.2, 29.3, 28.2, 27.0, 25.9
【0070】
製造例2
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン(480mg)を、大過剰量の、ジエチルエーテル中の塩化水素で、撹拌しながら室温で1時間処理した。結晶性生成物を濾過によって分離し、水に再溶解し、次に、溶液を水酸化ナトリウムで強アルカリ性にし、クロロホルムで2回抽出した。有機相を炭酸カリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、標記化合物を無色油状物として得た。
13C NMR (CDCl3) δ = 162.1, 139.2, 139.0, 130.5, 129.0, 121.9, 121.8, 121.0, 114.2, 42.2, 42.0, 33.4, 27.5, 26.8, 26.6
【0071】
製造例3
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-6-クロロ-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン
製造例1と同様であるが、6-クロロ-2-ヒドロキシキノリンを、2-ヒドロキシキノリンの代わりに使用して生成した。無色結晶。
13C NMR (CDCl3) δ = 161.7, 156.0, 137.8, 130.5, 128.0, 127.3, 123.1, 122.0, 115.6, 79.1, 42.3, 40.4, 30.0, 28.4, 27.4, 26.5, 26.4
【0072】
製造例4
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-6-クロロ-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン
製造例2と同様であるが、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-6-クロロ-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。無色結晶
13C NMR (CDCl3) δ = 161.7, 137.8, 130.5, 128.0, 127.3, 123.1, 122.0, 115.6, 42.4, 42.1, 33.6, 27.5, 26.8, 26.6
【0073】
製造例5
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-2-オン
トルエン(10mL)中の0.5Mカリウムビス-(トリメチルシリル)-アミドを、アルゴン雰囲気中、-30℃で、テトラヒドロフラン(50mL)中の2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(735mg)の撹拌溶液に滴下した。さらに-50℃に冷却した後、テトラヒドロフラン(10mL)中のN-(tert-ブトキシカルボニル)-6-ブロモ-ヘキシルアミン(1.5g)の溶液をゆっくり添加した。次に、温度を室温に上げ、次に、50〜60℃で48時間加熱した。氷および水を添加し、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥し、蒸発させて、黄色油状物を得、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を溶離剤として使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を無色油状物として得た。
13C NMR (CDCl3) δ = 170.1, 156.0, 139.6, 128.0, 127.4, 126.6, 122.7, 114.8, 79.1, 42.0, 40.6, 31.9, 30.0, 28.4, 27.1, 26.6, 26.5, 25.6
【0074】
製造例6
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-2-オン
製造例2と同様であるが、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-2-オンを、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。無色油状物。
13C NMR (CDCl3) δ = 170.2, 139.6, 128.0, 127.4, 126.6, 122.7, 114.8, 42.0, 33.6, 31.9, 27.2, 26.7, 26.6, 25.6
【0075】
製造例7
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2,-ジヒドロピリジン-2-オン
製造例1と同様であるが、2-ヒドロキシピリジンを、2-ヒドロキシキノリンの代わりに使用して生成した。黄色油状物。
13C NMR (CDCl3) δ = 162.6, 156.0, 139.2, 137.5, 121.2, 105.9, 79.0, 49.7, 40.4, 29.9, 29.2, 28.4, 26.3, 26.3
【0076】
製造例8
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2,-ジヒドロピリジン-2-オン
製造例2と同様であるが、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンを、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。無色油状物を得、これをさらに精製せずに、次の段階に使用した。
【0077】
製造例9
4-メトキシカルボニル-2-ヒドロキシキノリン
2-ヒドロキシキノリン-4-カルボン酸(180mg)を、HClで飽和したメタノール(10mL)に添加した。室温で一晩撹拌した後、標記化合物を濾過によって無色結晶として分離した。
13C NMR (DMSO) δ = 165.4, 160.7, 139.9, 139.3, 131.0, 125.8, 123.9, 122.3, 115.8, 115.3, 52.8
【0078】
製造例10
4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシキノリン
クロロホルム(5mL)中の4-メトキシカルボニル-2-ヒドロキシキノリン(40mg)およびエタノールアミン(0.1mL)の溶液を、60℃で48時間撹拌した。冷却した後、濾過により無色生成物を分離した。
13C NMR (DMSO) δ = 165.8, 161.2, 146.3, 139.1, 130.6, 125.9, 121.9, 119.6, 116.1, 115.5, 59.5, 41.8
【0079】
製造例11
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-4-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン
4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシキノリン(1.2g)、N-(tert-ブトキシカルボニル)-6-ブロモ-ヘキシルアミン(2.2g)、炭酸セシウム(4g)およびN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)の混合物を、60℃で6時間撹拌し、次に、室温で一晩撹拌した。氷および水を添加し、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥し、蒸発させて、黄色油状物を得、酢酸エチル/メタノール/アンモニア水(45:5:1.5)を溶離剤として使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を淡褐色固形物として得た。
13C NMR (CDCl3) δ = 167.0, 161.5, 156.1, 145.5, 139.1, 131.4, 127.6, 122.8, 119.1, 118.0, 114.5, 79.1, 61.6, 42.8, 42.2, 40.4, 29.8, 28.4, 27.2, 26.4, 26.3
【0080】
製造例12
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-4-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2,-ジヒドロキノリン-2-オン
製造例2と同様であるが、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-4-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。無色固形物を得、これをさらに精製せずに、次の段階に使用した。
【0081】
製造例13
5-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシピリジン
6-ヒドロキシニコチン酸(1.4g)、チオニルクロリド(1.1mL)およびジクロロメタン(25mL)の混合物を2時間還流して、透明溶液を得た。蒸発させた後、残渣をトルエンから2回蒸発させ、撹拌しながらジクロロメタンに再溶解し、氷で冷却した。ジクロロメタン(20mL)中のエタノールアミン(5mL)の溶液を、30分間にわたって滴下し、次に、室温で2時間撹拌した。水を添加し、ジクロロメタンで3回抽出した後、水性相を凍結乾燥した。酢酸エチル/メタノール/アンモニア水を溶離剤として使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製した。標記化合物を含有する画分を蒸発させ、生成物をアセトンから結晶化した。
1H NMR (DMSO) δ =11.80 (bs, OH), 8.20 (t, NH), 7.99 (d, IH), 7.86 (dd,lH), 6.34 (d,lH), 4.70 (bs, OH), 3.47 (t,2H), 3.26 (q,2H)
【0082】
製造例14
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-5-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン
製造例11と同様であるが、5-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシピリジンを、4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシキノリンの代わりに使用して生成した。黄色固形物。
13C NMR (CDCl3) δ = 164.9, 162.4, 156.3, 140.7, 136.9, 119.6, 113.4, 79.3, 62.0, 50.3, 42.8, 40.3, 29.8, 29.0, 28.5, 26.1, 26.0
【0083】
製造例15
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-5-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2,-ジヒドロピリジン-2-オン
製造例2と同様であるが、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-5-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンを、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。
【0084】
製造例16
6-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシキノリン
6-カルボキシ-2-ヒドロキシキノリン(3.6g)、チオニルクロリド(25mL)、3滴のN,N-ジメチルホルムアミドおよびジクロロメタン(25mL)の混合物を、透明溶液が形成されるまで45分間にわたってゆっくり加熱した。蒸発させた後、残渣をトルエンから2回蒸発させ、撹拌しながらジクロロメタンに再溶解し、氷で冷却した。ジクロロメタン(20mL)中のエタノールアミン(10mL)の溶液を、30分間にわたって滴下し、その間に、黄色固形物が分離した。室温で2時間撹拌し真空蒸発した後に、残渣を酢酸エチルおよびメタノールと共に撹拌し、標記化合物を濾過によって分離し、メタノールで洗浄した。
13C NMR (DMSO) δ = 165.5, 161.9, 140.5, 140.3, 129.0, 127.9, 127.3, 122.5, 118.3, 114.7, 59.7, 42.1
【0085】
製造例17
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-6-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン
製造例11と同様であるが、6-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシキノリンを、4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシキノリンの代わりに使用して生成した。
13C NMR (CDCl3) δ = 167.1, 162.0, 156.1, 141.2, 139.0, 129.1, 128.3, 127.8, 122.6, 120.5, 114.2, 79.2, 62.2, 42.9, 42.4, 40.5, 29.9, 28.5, 27.4, 26.5, 26.4
【0086】
製造例18
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-6-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2,-ジヒドロキノリン-2-オン
製造例2と同様であるが、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-6-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。
【0087】
製造例19
6-[3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル]-2-ヒドロキシキノリン
製造例16と同様であるが、3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルアミンを、エタノールアミンの代わりに使用して生成した。粗生成物を、酢酸エチル/メタノール/アンモニア水(80:20:5)を溶離剤として使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製し、次に、アセトンから結晶化した。
13C NMR (DMSO) δ = 165.3, 162.0, 140.6, 140.4, 129.0, 128.1, 127.3, 122.6, 118.4, 114.9, 57.0, 45.2, 37.8, 27.1
【0088】
製造例20
1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-6-[3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン
製造例11と同様であるが、6-[3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル]-2-ヒドロキシキノリンを、4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-ヒドロキシキノリンの代わりに使用して生成した。
13C NMR (CDCl3) δ = 165.9, 162.1, 156.0, 141.1, 139.2, 128.9, 128.3, 128.2, 122.5, 120.5, 114.1, 79.1, 58.8, 45.1, 42.4, 40.5, 40.1, 30.0, 28.5, 27.5, 26.6, 26.5, 24.9
【0089】
製造例21
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-6-[3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル]-1,2,-ジヒドロキノリン-2-オン
製造例2と同様であるが、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-6-[3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを、1-[6-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヘキシル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。
【0090】
実施例1
N-[6-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物101)
1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オン(320mg)、S-メチル-N-シアノ-N'-4-ピリジル-イソチオ尿素(210mg)、トリエチルアミン(0.31mL)、4-(N,N-ジメチルアミノ)-ピリジン(7mg)およびピリジン(10mL)の混合物を、60℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、真空下にトルエンで2回蒸発させることによってピリジンを除去し、残渣を水と酢酸エチルの間に分配した。有機相を乾燥し、蒸発させて、粗生成物を得、酢酸エチル/メタノール/アンモニア水(40:10:1.25)を溶離剤として使用するシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製した。純粋画分を溜め、蒸発させ、酢酸エチルですりつぶし、真空乾燥して、標記化合物を得た。
13C NMR (DMSO) δ =160.8, 157.1, 150.0, 145.8, 139.2, 138.7, 130.7, 128.9, 121.7, 121.0, 120.3, 116.4, 114.5, 114.4, 41.7, 41.2, 30.6, 28.5, 27.0, 25.9
【0091】
実施例2
N-[6-(6-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物102)
実施例1と同様であるが、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-6-クロロ-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。黄色固形物
13C NMR (DMSO) δ = 160.6, 157.1, 150.0, 145.8, 138.2, 137.5, 130.3, 127.8, 125.8, 122.3, 121.5, 116.5, 116.4, 114.5, 41.6, 41.4, 28.5, 27.0, 25.8
【0092】
実施例3
N-[6-(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物103)
実施例1と同様であるが、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-2-オンを、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。無色結晶
13C NMR (DMSO) δ =169.0, 157.2, 149.9, 145.9, 139.1, 127.8, 127.2, 126.3, 122.2, 116.4, 114.7, 114.5, 41.6, 40.8, 31.3, 28.5, 26.6, 25.8, 24.7
【0093】
実施例4
N-[6-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-ピリジル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物104)
実施例1と同様であるが、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンを、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。無色固形物
1H NMR (DMSO) δ =9.32 (bs,lH), 8.39 (bd,2H), 7.81 (bt,lH), 7.65 (dd,lH), 7.37 (m,lH), 7.22 (bd,2H), 6.35 (bd,lH), 6.19 (dt,lH), 3.85 (t,2H), 3.25 (q,2H), 1.62
(m,2H), 1.52 (m,2H), 1.4 - 1.2 (m,4H)
【0094】
実施例5
N-[6-(4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物105)
実施例1と同様であるが、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-4-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。
13C NMR (DMSO) δ = 165.7, 160.3, 157.1, 150.0, 145.8, 145.3, 138.9, 131.1, 126.8, 121.9, 118.7, 117.3, 116.4, 114.9, 114.5, 59.5, 41.8, 41.6, 41.3, 28.5, 27.0, 25.8
【0095】
実施例6
N-[6-(5-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-ピリジル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物106)
実施例1と同様であるが、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-5-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンを、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。
1H NMR (DMSO) δ = 8.37 (m,2H), 8.32 (d,lH), 8.3 - 7.7 (bs,lH), 8.21 (t,lH), 7.84 (dd,lH), 7.20 (bd,2H), 6.39 (d,lH), 3.91 (t,2H), 3.48 (t,2H), 3.34 - 3.20 (m,5H), 1.65 (m,2H), 1.53 (m,2H), 1.43 - 1.21 (m,4H)
【0096】
実施例7
N-[6-(6-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物107)
実施例1と同様であるが、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-6-[2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。
13C NMR (DMSO) δ = 165.3, 160.9, 157.1, 150.1, 145.8, 140.4, 139.5, 129.3, 128.3, 127.8, 121.6, 119.6, 116.4, 114.5, 114.3, 59.7, 42.1, 41.6, 41.4, 28.5, 27.0, 25.8
【0097】
実施例8
N-[6-(6-(3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物108)
実施例1と同様であるが、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-6-[3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル]-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンを、1-(6-アミノ-1-ヘキシル)-1,2-ジヒドロキノリン-2-オンの代わりに使用して生成した。
13C NMR (DMSO) δ =165.1, 161.0, 157.4, 149.9, 146.1, 140.5, 139.6, 129.3, 128.3, 128.0, 121.7, 119.7, 116.5, 114.6, 114.4, 57.0, 45.2, 41.7, 41.5, 37.8, 28.6, 27.1, 25.9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
R1は、水素、ハロゲン、および、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜6炭化水素基から成る群から独立に選択される1個またはそれ以上の同じかまたは異なる置換基であって、該炭化水素基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、スルホ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ジヒドロキシホスフィノイルオキシまたはホスホノによって任意に置換されていてよく;
Xは、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜12炭化水素二価基であり、該基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、スルホ、アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、ジヒドロキシホスフィノイルオキシまたはホスホノによって任意に置換されていてよく;
R2およびR3は、それらが結合している窒素原子と共に、5〜12員の単環または二環系を形成し、該環系は、窒素、硫黄および酸素から成る群から選択される1個またはそれ以上の付加的ヘテロ原子を任意に含有してよく、該環系は、その1個の炭素原子において基=Oで置換され、かつ該環系は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノアルキル、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜6炭化水素基から成る群から選択される1個またはそれ以上の置換基によって任意に置換されていてよく、該炭化水素基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミルまたはアミノアルキル、または-C(=O)NR5R6、-NHC(=O)R5、-NHC(=O)R5R6、-NHC(=O)OR5、-OC(=O)R5または
【化2】

によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、同じかまたは異なり、水素およびC1〜6アルキルから成る群から独立に選択され、該アルキルは、1個またはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、-NHC(=O)R5R6、-NHC(=O)OR5または
【化3】

によって任意に置換されていてよく;
但し、R1は、ピリジル環の窒素原子に結合していないものとする。
で示される化合物、または医薬的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、N-オキシドまたはそのプロドラッグ。
【請求項2】
一般式II:
【化4】

[式中、
R1およびXは、請求項1に記載した通りであり;
N-C(=O)-R4は、式IIにおける基R3と共に、5〜12員の単環または二環系を形成し、該環系は、窒素、硫黄および酸素から成る群から選択される1個またはそれ以上の付加的ヘテロ原子を任意に含有してよく、該環系は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アミノアルキル、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜6炭化水素基から成る群から選択される1個またはそれ以上の置換基によって任意に置換されていてよく、該炭化水素基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミルまたはアミノアルキル、若しくは-C(=O)NR5R6、-NHC(=O)R5、-NHC(=O)R5R6、-NHC(=O)OR5、-OC(=O)R5または
【化5】

によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、同じかまたは異なり、水素およびC1〜6アルキルから成る群から独立に選択され、該アルキルは、1個またはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、-NHC(=O)R5R6、-NHC(=O)OR5または
【化6】

によって任意に置換されていてよい。]
で示される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、水素、ハロゲン、または直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C1〜4炭化水素基であり;Xが、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和C4〜10炭化水素二価基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1が水素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R2およびR3が、それらが結合している窒素原子と共に、5または6員の芳香族または非芳香族単環系、若しくは9または10員の芳香族または非芳香族二環系を形成し、該環系が、その1個の炭素原子において基=Oで置換され、かつ該環系が、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、-C(=O)NR5R6、-NHC(=O)R5、-NHC(=O)R5R6または
【化7】

によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、独立して、水素またはC1〜6アルキルであり、該アルキルは、ヒドロキシ、-NHC(=O)R5R6または
【化8】

によって任意に置換されていてよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
N-C(=O)-R4が、式IIbにおける基R2、または式IIaにおける基R3と共に、5または6員の芳香族または非芳香族単環系、若しくは9または10員の芳香族または非芳香族二環系を形成し、該環系は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、-C(=O)NR5R6または-NHC(=O)R5によって任意に置換されていてよく、ここで、R5およびR6は、独立して、水素、またはヒドロキシによって任意に置換されていてよいC1〜6アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
単環系が、ピリジノン、ピペリジノンまたはピロロンである、請求項5または6に記載の化合物。
【請求項8】
二環系が、キノロンまたはインドロンである、請求項5または6に記載の化合物。
【請求項9】
環系が、水素、ハロゲン、-C(=O)NR5R6によって置換され、ここで、R5は水素であり、R6は、ヒドロキシまたは-NHC(=O)NR5R6によって任意に置換されていてよいC1〜4アルキルである、請求項5〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
N-[6-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物101);
N-[6-(6-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物102);
N-[6-(2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物103);
N-[6-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-ピリジル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物104);
N-[6-(4-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物105);
N-[6-(5-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-ピリジル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物106);
N-[6-(6-(2-ヒドロキシ-1-エチルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物107);および
N-[6-(6-(3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロピルカルバモイル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1-キノリニル)-1-ヘキシル]-N'-シアノ-N''-(4-ピリジル)-グアニジン(化合物108)
から成る群から選択される請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
治療に使用される請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を、医薬的に許容される賦形剤または媒体と共に含んで成る医薬組成物。
【請求項13】
1つまたはそれ以上の他の薬理学的活性化合物をさらに含んで成る、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
該他の薬理学的活性化合物が、例えば、パクリタキセル、フルオロウラシル、エトポシド、シクロホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、ビノレルビン、クロラムブシル、ドキソルビシンおよびメルファランから成る群から選択される抗新生物薬である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
高増殖性または新生物性疾患の治療薬の製造における、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項16】
高増殖性または新生物性疾患が、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、脊髄形成異常、多発性骨髄腫、ホジキン病または非ホジキンリンパ腫、小細胞または非小細胞肺癌;胃、腸または結腸直腸癌;前立腺、卵巣または乳癌;脳、頭または頸部の癌;尿管癌、腎臓または膀胱癌;悪性黒色腫、肝臓癌、子宮癌または膵臓癌から成る群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
高増殖性または新生物性疾患の治療法であって、治療を必要とする患者に、有効量の請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を投与することを含んで成る方法。
【請求項18】
高増殖性または新生物性疾患が、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、脊髄形成異常、多発性骨髄腫、ホジキン病または非ホジキンリンパ腫、小細胞または非小細胞肺癌;胃、腸または結腸直腸癌;前立腺、卵巣または乳癌;脳、頭または頸部の癌;尿管癌、腎臓または膀胱癌;悪性黒色腫、肝臓癌、子宮癌または膵臓癌から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1つまたはそれ以上の他の薬理学的活性化合物を投与することをさらに含んで成る、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
他の薬理学的活性化合物が、パクリタキセル、フルオロウラシル、エトポシド、シクロホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、ビノレルビン、クロラムブシル、ドキソルビシンおよびメルファランから成る群から選択される抗新生物薬である、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2008−524269(P2008−524269A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547180(P2007−547180)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000803
【国際公開番号】WO2006/066584
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(391008881)レオ・ファーマ・アクティーゼルスカブ (13)
【氏名又は名称原語表記】LEO Pharma A/S
【Fターム(参考)】