説明

新規レソルシノール誘導体

一般式(I)および/またはBの新規4−置換レソルシノール誘導体ならびにこれらの合成方法、特に肌を明るくし、および/または、油性もしくは脂性肌の発現を抑えるために、これらを用いる、化粧品組成物および化粧方法:式中、Xおよび/またはXは、水素(H)、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、またはアシル基を表す;好ましくは、Xおよび/またはXは、水素(H)、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和のC〜C12アルキルまたはアシル基を表す;Rおよび/またはRは、水素(H)、直鎖状または分岐状、環式または非環式で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基を表す;nは、0、1を表す;n=0の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロペンチルである;n=1の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロヘキシルである;mは1と6の間の整数を表す。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な4−置換レソルシノール誘導体、これらを含む化粧品組成物、ならびにこれらを用いる化粧方法およびこれらの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、肌の美容上の活性剤としての新規な4−置換レソルシノール誘導体、肌を明るくすること(skin lightening)、油性(oily)もしくは脂性(greasy)肌の発現を抑えること、および/または肌の美容上の他の利点のために、これらを用いる化粧品組成物および化粧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が彼らの肌の色素沈着(pigmentation)の度合いに関心をもっている。例えば、加齢によるしみ、またはそばかすのある人々は、このような色素沈着箇所が目立たないことを願うことがある。他の人々は、日光に曝すことによって生じた肌の黒化を緩和すること、または彼らの自然な肌の色を明るくすることを願うことがある。この要求に応えようと、メラノサイトにおける色素の生成を減少させる製品を開発するために、多くの試みがなされてきた。しかし、これまでに確認された物質は、効能の低さ、または、例えば毒性もしくは肌の刺激のような望ましくない副作用のいずれかを有する傾向がある。したがって、総合的な効果が改善された、肌を明るくする新規な作用剤が常に求められている。
【0003】
皮脂は、皮脂細胞(肌における脂腺の細胞)により産出され、次いで、肌表面に分泌される肌の油である。皮脂は、かなりの数の成分からなっており、約57%がトリグリセリド、または脂肪酸である。皮脂の約12%はスクワレンであり、皮脂の約3%はステロールエステル、約25%がワックスエステル、約1から約2%がコレステロールである。頻繁に起こり望ましくない肌の状態は「油性肌」であり、この状態は肌上の過度の量の皮脂により生じる。油性肌は、光った、望ましくない外観および不愉快な触感を伴い、様々な年齢層に影響を及ぼす。過度の皮脂の産出は、美容上望ましくなく、肌のアクネ状態に結びつけられてきた。したがって、皮脂を制御する、あるいは油性または脂性肌の発現を抑える化粧品および方法は、非常に望ましい。
【0004】
レソルシノール誘導体は、広く知られている化合物であり、例えば、飽和カルボン酸とレソルシノールを塩化亜鉛の存在下に縮合し、得られる縮合物を亜鉛アマルガム/塩酸により還元するという方法(Lille.J.Bitter,LA.Peiner.V,Tr.Nauch−Issled.Inst.slantsev 1969,No.18,127)によって、または、レソルシノールと対応するアルキルアルコールをアルミナ触媒の存在下に200から400℃の高温で反応させるという方法(GB 1 581 428)によって、容易に得ることができる。
【0005】
レソルシノール誘導体は、肌および毛髪に美容上の利点をもたらす。特定のレソルシノール誘導体は、特に4−置換レソルシノール誘導体は、肌を明るくするという利点のための化粧品組成物において有用である。レソルシノール誘導体は、US4959393(Torihara他)、US6132740(Hu他)、US6504037(Bradley他)ならびにJP2001−010925およびJP2000−327557を含めて、多くの出版物において記載されている。クマリンから誘導され得る、肌を明るくする化合物が、US2004/0042983において開示されている。これらの化合物のいくつかは、配合するのが困難である、および/または、肌を刺激することがある。
【発明の開示】
【0006】
今回、出願人等は、肌に美容上の利点を、特に肌を明るくするという利点をもたらす新規な化合物を発見した。
【0007】
別の態様において、本発明は、4−置換レソルシノール誘導体が油性または脂性肌の発現を抑えるという発見に基づいている。
【0008】
これらの化合物の一般的な化学式および構造は、本明細書においてより詳細に下に記載されている。特に、この新規4−置換レソルシノール誘導体は、肌にとって美容上有効であることが見出された。
【0009】
今回、出願人等は、肌を明るくし、および/または、皮脂を抑制する活性を含めて、肌への美容上の活性を有する新規な4−置換レソルシノール誘導体を発見した。こうして、本発明は、一般式Iの新規化合物、これらを含む化粧品組成物および化粧方法(特に、肌を明るくし、および/または、油性もしくは脂性肌の発現を抑えるためのもの)、さらには、本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0010】
【化5】

【0011】
式中、
および/またはXは、水素(H)、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、またはアシル基を表す;好ましくは、Xおよび/またはXは、水素(H)、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和のC〜C12アルキルまたはアシル基を表す;より好ましくは、Xおよび/またはXは水素を表す;
および/またはRは、水素(H)、直鎖状または分岐状、環式または非環式で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基を表す;好ましくは、Rおよび/またはRは、水素(H)またはCアルキル基(すなわち、メチル基)を表す;より好ましくは、Rおよび/またはRは水素を表す;
nは、0、1を表す;n=0の場合、環は、O、NもしくはSからのような1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロペンチルである;n=1の場合、環は、O、NもしくはSからのような1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロヘキシルである;
mは、1、2、3、4、5、6(すなわち、1と6の間の整数)を表す;mが2である場合、Rは縮合していても、していなくてもよい。
【0012】
好ましい化合物には以下が含まれる:
n=0、m=1、R=H、アルキル、および/またはアルケニル;環における任意の位置;
n=1、m=1、R=H、アルキル、および/またはアルケニル;環における任意の位置;
n=0、m=2〜5、R=H、アルキル、および/またはアルケニル;環における任意の位置の任意の置換パターン;
n=1、m=2〜6、R=H、アルキル、および/またはアルケニル;環における任意の位置の任意の置換パターン。
【0013】
、XおよびXがそれぞれHであり、mが1である場合、この化合物は、式Bによって表される。
【0014】
【化6】

【0015】
本発明による化粧品組成物は、
(a)一般式Iの、好ましくは式Bの、4−置換レソルシノール誘導体約0.0001wt%から約50wt%、好ましくは、約0.01wt%から約5wt%;および
(b)化粧品に許容されるビヒクル
を含む。
【0016】
本発明の組成物は以下からなる群から選択される有機サンスクリーンをさらに含み得る:ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−8、DEA、メトキシシンナマート、エチルジヒドロキシプロピル−PABA、PABAグリセリル、ホモサレート、アントラニル酸メチル、オクトクリレン、オクチルジメチルPABA、メトキシケイ皮酸オクチル(Parsol MCX)、サリチル酸オクチル、PABA、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、サリチル酸TEA、3−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−12、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、エトクリレンおよびこれらの混合物。
【0017】
さらに、本発明の化粧品組成物は、以下からなる群から選択される肌に有益な作用剤(skin benefit agent)をさらに含んでいてもよい:アルファ−ヒドロキシ酸およびエステル、ベータ−ヒドロキシ酸およびエステル、ポリヒドロキシ酸およびエステル、コウジ酸およびエステル、フェルラ酸およびフェルラ酸エステル誘導体、バニリン酸およびエステル、二酸およびエステル、レチノール、レチナール、レチニルエステル、クレアチン、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、クワの実抽出物、カンゾウ抽出物、レソルシノール誘導体ならびにこれらの混合物。
【0018】
本発明の化合物および組成物は、肌を明るくし、および/または、油性もしくは脂性肌の発現を抑えるための、好ましくは肌を明るくするための、本発明の化粧方法の一部として肌に塗布することができる。
【0019】
別の態様において、本発明は、次の2つの一般的反応スキームの1つを有する、式Iの新規レソルシノール化合物の合成方法に関する。
【0020】
【化7】

【0021】
式中、a、b、cは、反応ステップ、試薬および条件を表す:
(a)α−アルキルベンジルアルコール誘導体(または置換α−アルキルベンジルアルコール誘導体、例えば、m個のR基を有する誘導体)、酸触媒;
(b)水素、触媒(例えば、5%Pd/C)、溶媒(例えば、酸性条件);
(c)アシル化(例えば、無水酢酸、トリエチルアミン)またはアルキル化(例えば、ハロゲン化アルキル、塩基);
あるいは、
【0022】
【化8】

【0023】
試薬および条件:
(a)ハロゲン化シクロアルキルマグネシウム誘導体(またはハロゲン化置換シクロアルキルマグネシウム誘導体、例えば、m個のR基を有するもの)、有機溶媒;
(b)酸性条件(例えば、無水酢酸);
(c)水素、触媒(例えば、5%Pd/C)、溶媒(例えば、酸性条件)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、肌の色を明るくし、および/または、油性もしくは脂性肌の発現を抑制することを含めて、肌の美容上の利点のための新規な4−置換レソルシノール誘導体、これらを用いる化粧品組成物および化粧方法、ならびにこれらの製造方法に関する。
【0025】
本明細書では、「化粧品組成物」という用語は、リーブオン(leave−on)およびウォッシュオフ(wash−off)製品を含めて、ヒトの肌への局所適用のための組成物を表そうとするものである。
【0026】
本明細書では、「肌」という用語は、顔、首、胸、背中、腕、腋の下、手、足、および頭皮の肌を含む。
【0027】
実施例を除いて、または特に断らない限り、物質の量または反応条件、物質および/または使用上の物理的性質を示す、本明細書における全ての数は、「約」という語によって適宜修飾されていると理解されるべきである。
【0028】
疑問を避けるために言えば、「含む」とい用語は、含む、からなる、および/または、から本質的になる、を意味する。さらに、「含む」の通常の意味において、この用語は、それが対象とするステップ、成分、または特徴についての限定ではないと定義される。
【0029】
本明細書では、「油性もしくは脂性肌の発現を抑制すること」という用語は、皮脂抑制活性剤を含む組成物に個人の肌を接触させた後に起こる、肌の皮脂のなんらかの検出可能な減少(例えば、肉眼で見て分かる減少)を表そうとするものである。
【0030】
新規4−置換レソルシノール誘導体
本発明は、一般式Iの新規なレソルシノール誘導体に基づいている。こうして、本発明は、一般式Iの新規化合物、これらを含む化粧品組成物および化粧方法(特に、肌を明るくし、および/または、油性もしくは脂性肌の発現を抑制するためのもの)、さらには本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0031】
【化9】

【0032】
式中、
および/またはXは、水素(H)、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、またはアシル基を表す。好ましくは、Xおよび/またはXは、水素(H)、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和のC〜C12アルキルまたはアシル基を表す。
【0033】
および/またはRは、水素(H)、直鎖状または分岐状、環式または非環式で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基を表す。好ましくは、Rおよび/またはRは水素(H)またはCアルキル基(すなわち、メチル基)を表す。より好ましくは、Rおよび/またはRは水素を表す。
【0034】
nは、0、1を表す。n=0の場合、環は、O、NもしくはSからのような1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロペンチルである。n=1の場合、環は、O、NもしくはSからのような1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロヘキシルである。
【0035】
mは、1、2、3、4、5、6(すなわち、1と6の間の整数)を表す。mが2である場合、Rは縮合していても、していなくてもよい。
【0036】
好ましい化合物には以下が含まれる:
n=0、m=1、R=H、C〜C12アルキル、またはアルケニル;環における任意の位置;
n=1、m=1、R=H、C〜C12アルキル、またはアルケニル;環における任意の位置;
n=0、m=2〜5、R=H、C〜C12アルキル、および/またはアルケニル;環における任意の位置の任意の置換パターン;および
n=1、m=2〜6、R=H、C〜C12アルキル、および/またはアルケニル;環における任意の位置における任意の置換パターン。
【0037】
4−置換シクロアルキル−メチルレソルシノールのより具体的な実施形態の例には、一般式Bの化合物が含まれる。
【0038】
【化10】

【0039】
式中、R=水素(H)、直鎖状または分岐状、環式または非環式で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基である。好ましくは、Rは水素(H)またはCアルキル基(すなわち、メチル基)を表す。より好ましくは、Rは水素を表す。
【0040】
nは、0、1を表す。n=0の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロペンチルである。n=1の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロヘキシルである。
【0041】
好ましい化合物は、4−シクロペンチルメチルレソルシノール、4−シクロヘキシルメチルレソルシノールである。
【0042】
本発明による化粧品組成物は、
(a)一般式Iの、好ましくは式Bの、4−置換レソルシノール誘導体の0.0001wt%から50wt%;および
(b)化粧品に許容されるビヒクル
を含む。
【0043】
好ましくは、レソルシノール誘導体の量は、化粧品組成物の全量の0.00001%から10%、より好ましくは、0.001から7%、最も好ましくは、0.01%から5%である。
【0044】
本発明の化合物および組成物は、肌を明るくすることおよび/または油性もしくは脂性肌の発現を抑えることおよび/または他の肌の美容上の利点のための、本発明の化粧方法の一部として肌に塗布することができる。
【0045】
理論に縛られることを望むものではないが、出願人等は、新規な分子構造が、他の4−置換レソルシノール誘導体の構造より、安定な結合を有し、酸化および変色を受け難く、またより安定であると考えている。また、本発明の分子の独特な構造が、特にメチレン基が、独特で有益な機能を決定的に左右すると考えている。例えば、このメチレン基は、レソルシノール部分(平坦な立体化学構造を有する。)と誘導部分との間のスペーサーとしての役目を果たし、誘導部分の、メチレン基の回りの自由回転中心を提供しており、このことが、他にも効果はあるが特に、異なる酵素結合特性に導くと考えている。
【0046】
新規レソルシノール誘導体の合成方法
本発明は、次の2つの一般的反応スキームの1つを有する、一般式Iの新規レソルシノール化合物の合成方法を含む。
【0047】
【化11】

【0048】
式中、a、b、cは、反応ステップ、試薬および条件を表す:
(a)α−アルキルベンジルアルコール誘導体(または置換α−アルキルベンジルアルコール誘導体、例えば、m個のR基を有する誘導体)、酸触媒;
(b)水素、触媒(例えば、5%Pd/C)、溶媒(例えば、酸性条件);
(c)アシル化(例えば、無水酢酸、トリエチルアミン)またはアルキル化(例えば、ハロゲン化アルキル、塩基)。
【0049】
【化12】

【0050】
試薬および条件:
(a)ハロゲン化シクロアルキルマグネシウム誘導体(またはハロゲン化置換シクロアルキルマグネシウム誘導体、例えば、m個のR基を有するもの)、有機溶媒;
(b)酸性条件(例えば、無水酢酸);
(c)水素、触媒(例えば、5%Pd/C)、溶媒(例えば、酸性条件)。
【0051】
肌に有益な作用剤
好ましい化粧品組成物は、ヒトの肌に塗布するのに適するものであり、肌に有益な作用剤を、場合によっては含み、好ましくはこれらを含む。
【0052】
肌に有益な適切な作用剤には、アンチエージング剤、しわを減らす作用剤、肌を明るくする作用剤、アンチアクネ剤、および皮脂抑制剤が含まれる。これらの例には以下が含まれる:アルファ−ヒドロキシ酸およびエステル、ベータ−ヒドロキシ酸およびエステル、ポリヒドロキシ酸およびエステル、コウジ酸およびエステル、フェルラ酸およびフェルラ酸エステル誘導体、バニリン酸およびエステル、二酸(例えば、セバシン酸およびアゾレイン(azoleic)酸)およびエステル、レチノール、レチナール、レチニルエステル、クレアチン、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ナイアシンアミド、クワの実抽出物、カンゾウ抽出物、本明細書において上に記載された4−置換レソルシノール誘導体以外のレソルシノール誘導体。
【0053】
化粧品に許容される担体
有機サンスクリーン化合物および本発明のレソルシノール誘導体と一緒に、肌に有益な作用剤は、通常、化粧品ベースと共に用いられる。適切な化粧品担体は当業者によく知られている。化粧品ベースは、肌に有益な作用剤のために常用されるどのようなベースであってもよく、決定的に重大ではない。本発明の肌に有益な作用剤が適用できる具体的な化粧品製剤には、クリーム、軟膏、エマルジョン、ローション、オイル、パックおよび不織布ワイプが含まれる。クリームのベースは、例えば、密蝋、セチルアルコール、ステアリン酸、グリセリン、プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどである。ローションのベースには、例えば、オレイルアルコール、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ラウリルエーテル、モノラウリン酸ソルビタンなどが含まれる。
【0054】
化粧品に許容されるビヒクルは、組成物が肌に塗布される時に、組成物中の肌に有益な成分の広がりを容易にする、これらに成分にとっての稀釈剤、分散剤または担体としての役割を果たすことができる。
【0055】
ビヒクルは、水性、無水またはエマルジョンであり得る。好ましくは、本発明の組成物は水性またはエマルジョン、具体的には、油中水または水中油のエマルジョン、好ましくは水中油エマルジョンである。存在する場合に水は、5から99%、好ましくは、20から70%の範囲、最適には40と70重量%の間であり得る。
【0056】
水以外に、比較的揮発性の溶媒もまた本発明の組成物内の担体としての役目を果たし得る。最も好ましいのは、1価のC〜Cアルカノールである。これらには、エチルアルコール、メチルアルコールおよびイソプロピルアルコールが含まれる。1価アルカノールの量は、1から70%、好ましくは、10から50%の範囲、最適には、10と40重量%間であり得る。
【0057】
エモリエント物質もまた、化粧品として許容される担体としての役目を果たし得る。これらは、シリコーンオイルおよび合成エステルの形であり得る。エモリエントの量は、0.1から50%の範囲、好ましくは、1と20重量%の間であり得る。
【0058】
シリコーンオイルは揮発性と非揮発性の種類に分けることができる。本明細書では、「揮発性」という用語は、雰囲気温度で測定可能な蒸気圧を有する物質を表す。揮発性シリコーンオイルは、3から9個、好ましくは、4から5個のケイ素原子を含む環式または直鎖状のポリジメチルシロキサンから好ましくは選択される。直鎖状の揮発性シリコーン物質は、一般に、25℃で約5センチストークス未満の粘度を有し、一方、環式の物質は、典型的には、約10センチストークス未満の粘度を有する。エモリエント物質として有用な非揮発性シリコーンオイルには、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが含まれる。本発明において有用な本質的に非揮発性のポリアルキルシロキサンには、例えば、25℃で約5から約2千5百万センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンが含まれる。本発明の組成物において有用な好ましい非揮発性エモリエントの中には、25℃で約10から約400センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンがある。
【0059】
エステルエモリエントの中には以下がある:
(1)10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル。これらの例には、ネオペンタン酸イソアラキジル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイルおよびオレイン酸オレイルが含まれる。
【0060】
(2)エーテルエステル、例えば、エトキシ化脂肪アルコールの脂肪酸エステル。
【0061】
(3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレイン酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノステアリン酸エステル、エトキシ化プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、グリセリルモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシ化グリセリルモノステアリン酸エステル、1,3−ブチレングリコールモノステアリン酸エステル、1,3−ブチレングリコールジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ならびに、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、満足すべき多価アルコールエステルである。
【0062】
(4)ワックスエステル、例えば、密蝋、鯨蝋、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリルおよびベヘン酸アラキジル。
【0063】
(5)ステロールエステル、この例はコレステロール脂肪酸エステルである。
【0064】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸もまた、本発明の組成物にとっての、化粧品に許容される担体として含めることができる。この物質群の例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸およびエルカ酸である。
【0065】
多価アルコールタイプの保湿剤もまた、化粧品に許容される担体として、本発明の組成物において用いることができる。保湿剤はエモリエントの効果を増す助けとなり、肌の乾燥を抑え、肌の感触を向上させる。典型的な多価アルコールには、グリセロール、ポリアルキレングリコールおよびより好ましくはアルキレンポリオールおよびこれらの誘導体、(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体が含まれる。)、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロールならびにこれらの混合物が含まれる。保湿剤の量は、組成物の0.5から30%の範囲、好ましくは、1と15重量%の間にあり得る。
【0066】
増粘剤もまた、本発明による組成物の、化粧品に許容される担体の一部として用いることができる。典型的な増粘剤には、架橋アクリレート(例えば、Carbopol 982)、疎水化変性アクリレート(例えば、Carbopol 1382)、セルロース誘導体および天然ゴムが含まれる。有用なセルロース誘導体の中には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に適する天然ゴムには、グアー、キサンタン、スクレロチウム(sclerotium)、カラギナン、ペクチンおよびこれらのゴムの組合せが含まれる。増粘剤の量は、0.0001から5%、通常は、0.001から1%、最適には、0.01から0.5重量%の範囲であり得る。
【0067】
全体として、水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、保湿剤および/または増粘剤は、1から99.9%、好ましくは、80から99重量%の量で、化粧品に許容される担体を構成する。
【0068】
用いられる乳化剤の平均の親水親油バランス(HLB)に主に依存して、油中水エマルジョンまたは水中油エマルジョンのいずれかを与える乳化剤と共に、オイルまたはオイル状物質が存在し得る。
【0069】
界面活性剤もまた、本発明の化粧品組成物中に存在し得る。リーブオン製品では、界面活性剤の全濃度は、組成物の0.1から40%、好ましくは、1から20%、最適には、1から5重量%の範囲である。ウォッシュオフ製品(例えば、洗顔料(cleanser)および石鹸)では、界面活性剤の全濃度は約1から約90%の範囲である。
【0070】
界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および両性の活性剤からなる群から選択され得る。特に好ましい非イオン界面活性剤は、疎水性物質1モル当たり2から100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを縮合させたC10〜C20の脂肪アルコールまたは脂肪酸疎水性物質;2から20モルのアルキレンオキシドを縮合させたC〜C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ−およびジ−脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;モノ−およびジ−C〜C20脂肪酸ソルビタン;ブロックコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシド);ならびにポリオキシエチレンソルビタン、さらにはこれらの混合物によるものである。アルキルポリグリコシドおよびサッカリド脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)もまた適切な非イオン界面活性剤である。
【0071】
好ましい陰イオン界面活性剤には、石鹸、アルキルエーテルサルフェートおよびスルホネート、アルキルサルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホサクシネート、C〜C20アシルイセチオネート、アシルグルタメート、C〜C20アルキルエーテルホスフェートならびにこれらの組合せが含まれる。
【0072】
本発明の化粧品組成物は起泡性界面活性剤を場合によっては含む。「起泡性界面活性剤」によって、水と混合され、機械的に撹拌された時にフォーム(foam)または泡を生成する界面活性剤を意味する。好ましくは、起泡性界面活性剤は穏やか(洗い落としまたは洗浄に十分に有益であるが、肌を過度に乾燥させず、さらに、前記の起泡の基準を満たすことを意味する。)であるべきである。本発明の化粧品組成物は起泡性界面活性剤を0.01%から50%の濃度で含み得る。
【0073】
任意成分
本発明の化粧品組成物には、様々な他の可塑剤、エラストマー、カラミン、顔料、酸化防止剤、キレート剤、および芳香剤、さらには、有機サンスクリーン、および微細に分割された酸化チタンおよび酸化亜鉛が典型的であるUV拡散剤のようなサンスクリーンが添加されていてもよい。
【0074】
他の補助的な少量成分もまた、本発明の化粧品組成物に組み込まれてもよい。これらの成分には、着色剤、不透明化剤、および芳香剤が含まれ得る。これらの他の補助的な少量成分の量は、組成物の0.001%から20重量%までの範囲であり得る。
【0075】
有機サンスクリーン
本発明の化粧品組成物は、日光に過度に曝されることによる有害な作用から保護するために、有機サンスクリーンを含む。本発明の組成物の目的に適う有機サンスクリーンは、290から400nmの紫外領域内で吸収する少なくとも1つのクロモフォア基を有する有機サンスクリーン剤である。クロモフォア基を有する有機サンスクリーン剤は、以下のものが含まれる次の種類(具体例を伴う。)に分けられる:p−アミノ安息香酸、この塩およびこの誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル;p−ジメチルアミノ安息香酸);アントラニレート(o−アミノベンゾエート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキセニルエステル);サリシレート(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジプロピレングリコールエステル);ケイ皮酸誘導体(メンチルおよびベンジルエステル、アルファ−フェニルシンナモニトリル;ブチルシンナモイルピルベート);ジヒドロキシケイ皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン);トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、およびグルコシド、エスカリンおよびダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン;ナフトールスルホネート(2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸および2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩);ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびこの塩;o−およびp−ヒドロキシビフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾール(2−アセチル−3−ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、様々なアリールベンゾチアゾール);キニン塩(硫酸水素塩、硫酸塩、塩化物塩、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ−またはメトキシ−置換ベンゾフェノン;尿酸およびビロ尿酸(vilouric acid);タンニン酸およびこの誘導体(例えば、ヘキサエチルエーテル);(ブチルカルビチル)(6−プロピルピペロニル)エーテル;ヒドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゾン、スリソベンゾン(sulisobenzone)、ジオキシベンゾン、ベンゾレソルシノール、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン);4−イソプロピルジベンゾイルメタン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;エトクリレン;ならびに4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン。
【0076】
特に有用であるのは以下である:p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、トリオレイン酸ジガロイル、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸グリセリル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アントラニル酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸またはアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホニオベンゾオキサゾン酸(benzoxazoic acid)およびこれらの混合物。
【0077】
市販されている適切な有機サンスクリーン剤は次の表に記載されているものである。
【0078】
【表1】

【0079】
本発明の化粧品組成物における有機サンスクリーンの量は、通常、0.01%から20%の範囲、好ましくは、0.1から10%に範囲にある。
【0080】
好ましい有機サンスクリーンは、これらの有効性および商業的に入手し易いという理由で、Parsol MCXおよびParsol 1789である。
【0081】
本発明の組成物の使用
本発明による組成物は、好ましくは、美容のために肌を明るくし、および/または、油性もしくは脂性肌の発現を抑えるために、より好ましくは、肌を明るくするために、ヒトの肌に局所適用される化粧品として主に想定されている。
【0082】
使用においては、本発明の組成物の少量、例えば、約0.1から約5mlが、適切な容器またはアプリケーターから、肌の露出される部分に塗布され、次いで、必要であれば、それは、手もしくは指または適切な道具を用いて肌に薄く塗られる、および/または擦り込まれる。
【0083】
製品形態およびパッケージング
本発明の化粧品組成物は、4,000から10,000mPasの粘度(内部流体摩擦)を有するローション、10,000から20,000mPasの粘度を有する流動性クリームまたは20,000から100,000mPasもしくはそれ以上の粘度を有するクリームとして配合できる。本発明の組成物は、その粘度および消費者による想定される使用法に都合のよい適切な容器にパッケージできる。例えば、ローションまたは流動性クリームは、ボトルまたはロールボールアプリケーター、または圧縮不活性ガスによるエアロゾルデバイス、または指による操作に適するポンプを備える容器にパッケージできる。本発明の組成物がクリームである場合、それは単純に、チューブまたは蓋付の壺のような、変形しないボトルまたは絞り出し容器に入れておくことができる。
【0084】
こうして、本発明はまた、本明細書において定義された、化粧品として許容される組成物を入れた閉じた容器も提供する。
【0085】
以下の具体的実施例は本発明をさらに例示するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0086】
実施例1−7
本発明の範囲内の組成物の1組を調製し、下の表に列挙した。これらの組成は重量パーセントで表されている。
【0087】
【表2】

【0088】
上の表における実施例1−7の組成物を、次の様にして調製した。相Aは、75℃に加熱する。相Aの容器とは別の容器で相Bを75℃に加熱する。その後、熱を加えないで混合してこれらの相を合わせる。相Cを予め混合し、温め、ここで、相AとBを混合した後、直ちに相Cを加えた。相Dは、予め溶かしておいて、60℃で主ポットに加える。この混合物を40℃まで冷却し、次いで、容器に入れた。
【0089】
実施例8
この実施例は、4−シクロヘキシルメチルレソルシノールの、肌を明るくする活性を例示する。
【0090】
マッシュルームチロシナーゼアッセイ
マッシュルームチロシナーゼの阻害は、メラニン合成の減少の指標となるので、肌を明るくする効果を示す。
【0091】
試薬:
アッセイ緩衝液:リン酸(100mM、pH7.0)
マッシュルームチロシナーゼ保存溶液(Sigma−Aldrich、バッチ#023K7024):アッセイ緩衝液中0.2mg/ml
L−DOPA保存溶液:アッセイ緩衝液中1.05mM
試験化合物保存溶液:DMSO中10mM
【0092】
アッセイ条件:
マッシュルームチロシナーゼ:アッセイ緩衝液中0.1mg/ml
L−DOPA:アッセイ緩衝液中0.5mM
試験化合物:様々な濃度、最終[DMSO]2.5%
温度:室温
【0093】
手順:
試験化合物(保存溶液の5μL)、続いて、L−DOPA(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン;保存溶液の95μL)を96ウェルプレートのウェルに入れた。マッシュルームチロシナーゼ(100μLの保存溶液)を各ウェルに加えることによってこの反応を開始し、吸光度を、490nmで、30秒から2分間に渡ってモニターした。試験化合物が存在する、または存在しない場合の初期反応速度を計算し(Δ490nm/分)、試験化合物の阻害%を、次の式を用いて計算する。
【0094】
【数1】

【0095】
式中、vは化合物の存在しない場合の初期反応速度であり、vはマッシュルームチロシナーゼの存在しない場合の反応の勾配であり、vは試験化合物の存在する場合の反応の勾配である。データ(阻害% vs.[試験化合物])を、データ解析ソフトウェアを用いてフィッティングし、50%阻害(IC50)での試験化合物濃度をフィッティングしたデータから求める。
【0096】
【表3】

【0097】
IC50の値は、コントロールに対して50%のチロシナーゼの阻害を生じる、肌を明るくする作用剤の濃度を表す(目標は最小濃度でチロシナーゼの最大の阻害を得ることである。)。
【0098】
データは、シクロヘキシルメチルレソルシノールおよびエチルレソルシノールがほぼ同等の効能を有することを示しているように見える。
【0099】
実施例9
この実施例は、4−シクロヘキシルメチルレソルシノールの、肌の皮脂を抑制する活性を例示する。
【0100】
皮脂細胞アッセイの手順:
成人男子から得たヒト皮脂細胞の2次培養物を、集密状態に達した後さらに3日間、96ウェル組織培養プレート(Packard)において増殖させた。皮脂細胞の増殖培地は、14μg/mlのウシ下垂体抽出物、0.4μg/mlのヒドロコルチゾン、5μg/mlのインスリン、10ng/mlの上皮増殖因子、1.2×10−10Mのコレラ毒素、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを追加したCloneticsの角化細胞基本培地(Keratinocyte Basal Medium、KBM)からなっていた。
【0101】
全ての培養物を、7.5%のCOの存在下に37℃でインキュベートした。培地を1週間当たり3回交換した。
【0102】
実験の当日に、増殖培地を取り除き、滅菌したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;フェノールレッドを含まない。)により皮脂細胞を3回洗った。新鮮なDMEMを、エタノールに溶かした試験作用剤の2マイクロリットルと共に各試料(3つずつ)に加えた。コントロールにはエタノールだけを加えた。各プレートを20時間インキュベータに戻し、その後、14C−酢酸緩衝液(最終濃度は5mM、比放射能は56mCi/mmol)を加えた。皮脂細胞を4時間インキュベータに戻し、その後、結合していない標識を除去するために各培養物をリン酸緩衝化生理食塩水により3回洗った。皮脂細胞に残っている放射性標識を、PackardのTopCountシンチレーションカウンターを用いて求めた。統計的有意性(p値)をスチューデントのt検定を用いて計算した。得られた結果を表4に要約する。知られている皮脂抑制剤であるフェノールレッドをポジティブコントロールとして用いた。
【0103】
【表4】

【0104】
データは、約100マイクロモルの程度の濃度で、CHMR(シクロヘキシルメチルレソルシノール)により、皮脂細胞の脂質合成が、ビヒクルコントロールに比べて統計的に有意に減少することを示している。
【0105】
本明細書において例示され記載された本発明の具体的形態は、代表的な例にすぎないと想定されていることが理解されるべきである。本明細書において示唆されたものを含めて(これらに限らないが)、変更が、本開示の明瞭な教示から逸脱することなく、例示された実施形態になされ得る。したがって、本発明の全ての範囲を決めるには、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物
【化1】

[式中、
および/またはXは、水素(H)、直鎖状または分岐状で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、またはアシル基を表し;
および/またはRは、水素(H)、直鎖状または分岐状、環式または非環式で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基を表し;
n=0、1であり;および
n=0の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロペンチルであり;
n=1の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロヘキシルであり;
mは1と6の間の整数である。]。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を肌に塗布することを含む、油性もしくは脂性肌の発現を抑える化粧方法。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を肌に塗布することを含む、肌を明るくする化粧方法。
【請求項4】
一般式Bの化合物
【化2】

[式中、
=水素(H)、直鎖状または分岐状、環式または非環式で飽和または不飽和のC〜C12アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基であり;
n=0、1であり;および
n=0の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロペンチルであり、
n=1の場合、環は、O、NもしくはSからの1個のヘテロ原子を有するかまたは有さず、および/あるいは、1つの2重結合を有するかまたは有さないシクロヘキシルである。]。
【請求項5】
請求項4に記載の一般式Bの化合物を肌に塗布することを含む、肌を明るくする、および/または、油性もしくは脂性肌の発現を抑える化粧方法。
【請求項6】
(a)請求項1に記載の一般式Iの化合物0.0001〜50重量%;および
(b)化粧品に許容される担体
を含む化粧品組成物。
【請求項7】
ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−8、DEA、メトキシシンナマート、エチルジヒドロキシプロピル−PABA、グリセリルPABA、ホモサレート、アントラニル酸メチル、オクトクリレン、オクチルジメチルPABA、メトキシケイ皮酸オクチル(Parsol MCX)、サリチル酸オクチル、PABA、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、サリチル酸TEA、3−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−12、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、エトクリレンおよびこれらの混合物からなる群から選択される有機サンスクリーンをさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
一般式Iの前記化合物が0.01〜5重量%の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
一般式Iの前記化合物が、4−シクロペンチルメチルレソルシノール類、4−シクロヘキシルメチルレソルシノール類およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
アルファ−ヒドロキシ酸およびエステル、ベータ−ヒドロキシ酸およびエステル、ポリヒドロキシ酸およびエステル、コウジ酸およびエステル、フェルラ酸およびフェルラ酸エステル誘導体、バニリン酸およびエステル、二酸およびエステル、レチノール、レチナール、レチニルエステル、クレアチン、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、クワの実抽出物、カンゾウ抽出物、レソルシノール誘導体ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、肌に有益な作用剤をさらに含む、請求項6に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記有機サンスクリーンが化粧品組成物の1〜10重量%の量で存在し、および前記有機サンスクリーンと一般式Iの前記化合物との重量比が10000:1から1:10000である、請求項7に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記の肌に有益な作用剤が、アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、4−置換レソルシノール誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
請求項6に記載の組成物を肌に塗布することを含む、肌を明るくする化粧方法。
【請求項14】
請求項6に記載の組成物を肌に塗布することを含む、油性もしくは脂性肌の発現を抑える化粧方法。
【請求項15】
【化3】

[式中、a、b、cは、反応ステップ、試薬および条件を表し、
(a)アルファ−アルキルベンジルアルコール誘導体または置換アルファ−アルキルベンジルアルコール誘導体、酸触媒;
(b)水素、触媒、溶媒;
(c)アシル化またはアルキル化
である。]
を含む、請求項1に記載の一般式Iの化合物の合成方法。
【請求項16】
【化4】

[式中、a、b、cは、反応ステップ、試薬および条件を表し、
(a)ハロゲン化シクロアルキルマグネシウム誘導体またはハロゲン化置換シクロアルキルマグネシウム誘導体、有機溶媒;
(b)酸性条件;
(c)水素、触媒、溶媒
である。]を含む、請求項1に記載の一般式Iの化合物の合成方法。

【公表番号】特表2008−533068(P2008−533068A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501199(P2008−501199)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002072
【国際公開番号】WO2006/097223
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】