説明

新規化合物

式(I):
【化1】


[式中、R、R、R、R、R、R、R、M、T、U、Y、V、およびWは、本明細書で定義した通りである]の新規化合物およびその薬学的に許容される塩;それと共にその製造方法、それらを含む組成物、および治療におけるその使用を提供する。本化合物は、一酸化窒素合成酵素の阻害剤であり、そしてそれによって、炎症疾患および疼痛の処置もしくは予防に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、新規ヘテロアリールアルキルアミン誘導体、その製造方法、それらを含む組成物、および治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
一酸化窒素は、哺乳動物の細胞中で、特定の一酸化窒素合成酵素の作用によって、L−アルギニンから生成される。これらの酵素は、2つの別個のクラス、すなわち構成型NOS(constitutive NOS)(cNOS)と、誘導型NOS(inducible NOS)(iNOS)に分類される。現在、2つの構成型NOSと、1つの誘導型NOSが、同定されている。構成型NOSのうち、内皮型酵素(eNOS)は、平滑筋弛緩、および血圧と血流の制御に関するが、神経型酵素(nNOS)は、様々な生物学的機能に関係すると見られる。誘導型NOSは、特に炎症性疾患の病状に関与している。これらの酵素の制御は、広く様々な疾患状態の処置において、多くの可能性を提供する (J. E. Macdonald, Ann. Rep. Med. Chem., 1996, 31, 221 - 230)。
【0003】
多くの努力が、1個以上の一酸化窒素合成酵素のアイソフォームの特異的阻害剤として作用する化合物を同定するための労力に費やされている。治療における該化合物の使用もまた、広く要請されている。
【発明の開示】
【0004】
本発明の開示
本発明に従って、式(I):
【化1】

[式中、
Yは、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、CN、C≡CH、NO、CHOH、CHO、COCH、NH、NHCHO、NHCOCH3、またはNHSOCHを表し;
該アルキルまたはアルコキシは、所望により1個以上のフッ素原子によってさらに置換されており;
T、U、およびWは、独立して、CX、N、NR13、O、またはS(O)を表し、
ただし、T、U、およびWの少なくとも1個が、ヘテロ原子を表す必要があり;かつ
T、U、およびWの1個以上が、NR13、O、またはS(O)を表すことはなく;
mは、整数0、1、または2を表し;そして
それぞれのXは、独立して、H、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、OH、SH、CN、C≡CH、N(R14)、NO、CHOH、CHO、COCH、またはNHCHOを表し;
該アルキルまたはアルコキシは、所望により1個以上のフッ素原子によってさらに置換されており;
Vは、NR、O、CH、S(O)、OCH、CHO、NRCH、CHNR、CHS(O)、S(O)CH、CHCH、またはCH=CHを表し;
nは、整数0、1、または2を表し;
MはCを表し、そしてMがV中のCH部分に結合している場合、MはまたNを表し得;
とRは、独立して、HまたはMeを表し;
は、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、または O、S、およびNから選択される1個のヘテロ原子を含む4員環から8員環の飽和複素環式環を表し、
該基の何れも、所望により、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C3−6シクロアルキル、ハロゲン、またはフェニルによってさらに置換されており、
該フェニルは、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CF、OCF、CN、またはNOから独立して選択される、1個以上の置換基によって、所望によりさらに置換されているか、または
は、フェニル、または O、S、およびNから独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の芳香族性複素環式環を表し;
該フェニルもしくは芳香族性複素環式環は、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、CN、NO、またはNR10から独立して選択される、1個以上の置換基によって、所望により置換されており;
該アルキルもしくはアルコキシは、所望により1個以上のフッ素原子によってさらに置換されており;
は、H、C1−4アルキル、またはC3−6シクロアルキルを表し;
該アルキルは、所望により、C1−4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、NR1112、フェニル、または O、S、およびNから独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の、芳香族性もしくは飽和複素環式環によって置換されており;
該フェニルまたは芳香族性複素環式環は、所望により、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CF、OCF、CN、またはNOによって、さらに置換されており;
とR14は、独立して、HまたはC1−2アルキルを表し;
、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、H、またはC1−4アルキルを表し;
13は、H、C1−4アルキル、CHO、COCH、SOCH、またはCFを表す]の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0005】
式(I)の化合物は、エナンチオマーの形態で存在し得る。全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、およびその混合物は、本発明の範囲内に含まれると解されるべきである。
【0006】
U、T、またはWはCXを表し、そしてXはOHを表す式(I)の化合物は、別のケト互変異性体の形態で存在すると認識される。同様に、U、T、またはWはCXを表し、そしてXはNHを表す式(I)の化合物は、別のイミノ互変異性体の形態で存在し得る。そして、同様に、U、T、またはWはCXを表し、そしてXはSHを表す式(I)の化合物は、別のチオケト互変異性体の形態で存在し得る。このような可能な互変異性体の形態およびその混合物は、本発明の範囲内に含まれると解されるべきである。
【0007】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、一酸化窒素合成酵素(NOS)の阻害剤であるという利点を有する。特に、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、誘導型一酸化窒素合成酵素のアイソフォーム(iNOS)であるという利点を有する。
【0008】
本発明は、さらに、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、もしくはラセミ体の製造方法を提供する。
本発明に従って、医薬として使用するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、一酸化窒素合成酵素活性の阻害が有益である疾患もしくは状態を処置する もしくは予防する医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、誘導型一酸化窒素合成酵素活性の阻害が有益である疾患もしくは状態を処置するもしくは予防する医薬の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
本発明のより特定的な態様は、炎症性疾患の処置 もしくは予防のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明の別の態様は、疼痛の処置もしくは予防のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0012】
本発明に従って、一酸化窒素合成酵素活性の阻害が有益である疾患もしくは状態を処置する もしくはそのリスクを軽減する方法であって、該疾患もしくは状態に罹患している もしくはそのリスクがあるヒトに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、治療上効果的な量で投与することを含む方法を提供する。
【0013】
より特定的には、炎症性疾患に罹患している もしくはそのリスクがあるヒトにおいて、炎症性疾患を処置する もしくは軽減する方法であって、該ヒトに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、治療上効果的な量で投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明の化合物は、第2の薬学的に活性な物質;特にシクロオキシゲナーゼ阻害剤と組み合わせて;より特定的には誘導型(inducible)シクロオキシゲナーゼのアイソフォーム(COX−2)の選択的阻害剤と組み合わせて、有益に用いられ得る。従って、本発明のさらなる態様において、炎症、炎症性疾患、および炎症関連疾患の処置のための、COX−2阻害剤と組み合わせた、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。また、炎症、炎症性疾患、および炎症関連疾患に罹患している もしくはそのリスクがあるヒトにおいて、炎症、炎症性疾患、および炎症関連疾患を処置する もしくはそのリスクを軽減する方法であって、COX−2阻害剤と組み合わせた式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、治療上効果的な量で投与することを含む方法を提供する。
【0015】
1つの具体的態様において、式(I)中のVはS(O)を表し、そしてnは0を表す。
別の具体的態様において、式(I)中のYはCNを表す。
1つの具体的態様において、式(I)中のRはHを表す。
【0016】
別の具体的態様において、式(I)中のRは、所望により置換されているフェニル または O、S、およびNから独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の芳香族性複素環式環を表す。さらなる具体的態様において、式(I)中のRは、所望により置換されているフェニル、ピリジル、チエニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、もしくはチアゾリルを表す。さらにさらなる具体的態様において、式(I)中のRは、所望により置換されているフェニルを表す。
【0017】
1つの具体的態様において、式(I)中のRはHを表す。
別の具体的態様において、式(I)中のR、R、およびRは、それぞれHを表す。
特定の具体的態様において、式(I)の化合物は、
【化2】

として示される絶対配置を有する。
【0018】
本発明の特定の化合物は、
3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−2−チオフェンカルボニトリル;
3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−5−メチル−2−チオフェンカルボニトリル;
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0019】
別記しない限り、本明細書中で記載の“C1−4アルキル”という用語は、1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表す。該基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルを含む。
【0020】
別記しない限り、本明細書中で記載の“C3−6シクロアルキル”という用語は、3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルを表す。該基の例は、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含む。
【0021】
別記しない限り、本明細書中で記載の“C2−4アルケニル”という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む、2から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表す。該基の例は、エテニル、プロペニル、およびブテニルを含む。
【0022】
別記しない限り、本明細書中で記載の“C2−4アルキニル”という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む、2から4個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表す。該基の例は、エチニル、プロピニル、およびブチニルを含む。
【0023】
別記しない限り、本明細書中で記載の“C1−4アルコキシ”という用語は、1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシを表す。該基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、およびt−ブトキシを含む。
“C1−4アルキルチオ”という用語を、同様に解釈する。
【0024】
別記しない限り、本明細書中で記載の“ハロゲン”という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを表す。
O、S、またはNから選択される1個のヘテロ原子を含む4員環から8員環の飽和複素環式環の例は、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、およびペルヒドロアゼピンを含む。
【0025】
O、S、およびNから独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の芳香族性複素環式環の例は、フラン、チオフェン、ピリジン、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、およびピリミジンを含む。
【0026】
O、S、およびNから独立して選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の飽和複素環式環の例は、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ピペリジン、およびピペラジンを含む。
【0027】
“所望により1個以上のフッ素原子によってさらに置換されているC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシ”の例は、CHF、CHF、CF、CFCF、CFCH、CHFCH、CHCF、CFCHCH、OCF、およびOCHCFを含む。
【0028】
本発明に従って、我々は、さらに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、もしくはラセミ体を製造する方法であって、該方法は、
(a) 式(II):
【化3】

[式中、T、U、W、Y、およびMは、式(I)に定義した通りであり、そしてLは脱離基を表す]の化合物を、式(III):
【化4】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびVは、式(I)に定義した通りである]の化合物と反応させること;または
(b) 式(IV):
【化5】

[式中、T、U、W、M、Y、およびVは、式(I)で定義した通りである]の化合物を、式(V):
【化6】

[式中、R、R、R、R、R、R、およびRは、式(I)に定義した通りであり、そしてLは脱離基である]の化合物と反応させること;
および、望ましい もしくは必要な場合は、得られた式(I)の化合物またはその別の塩を、その薬学的に許容される塩に変換すること;
または式(I)の化合物を別の式(I)の化合物に変換すること;
そして望ましい場合は、得られた式(I)の化合物をその光学異性体に変換すること;
を含む方法を提供する。
【0029】
方法(a)において、反応は、不活性な溶媒中、式(III)の求核剤を式(II)の求電子剤で処理することによって行われる。適切な脱離基Lは、スルホネートおよびハライドを含み、特にフルオライドもしくはクロライドである。反応は、一般的に、非求核性塩基、例えば水素化ナトリウム もしくは炭酸セシウムの存在下で行われる。適切な有機溶媒は、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、およびジメチルスルホキシドである。反応は、一般的に、0℃から溶媒の沸点の間で行われる。
【0030】
方法(b)において、式(IV) および 式(V)の反応物を、適切な不活性溶媒中、例えばテトラヒドロフラン中で、例えば Mitsunobu 条件を用いてカップリングする。従って、例えば、反応物を、適切な温度で、一般的に0℃から溶媒の沸点の間の温度で、ホスフィン誘導体およびアゾ誘導体で処理する。適切なホスフィン誘導体は、トリフェニルホスフィンおよびトリブチルホスフィンを含む。適切なアゾ誘導体は、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、および1,1'−(アゾジカルボニル)ジピペリジンを含む。適切な脱離基Lは、ヒドロキシを含む。
【0031】
あるいは、方法(b)において、反応は、不活性な溶媒中、式(IV)の求核剤を式(V)の求電子剤で処理することによって行われる。適切な脱離基Lは、スルホネートおよびハライドを含み、特にクロライドもしくはブロミドである。反応は、一般的に、非求核性塩基、例えば水素化ナトリウム もしくは炭酸セシウムの存在下で行われる。適切な有機溶媒は、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、テトラヒドロフラン、およびジメチルスルホキシドを含む。反応は、一般的に、0℃から溶媒の沸点の間の温度で行われる。
【0032】
上記の方法において、アミンまたはヒドロキシルまたは他の可能性のある反応基を保護することが望ましい、または必要であることが、当業者に明らかである。適切な保護基および該基の付加および除去の方法の詳細は、標準的な教科書である“Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Edition (1999) by Greene and Wuts を参照することによって分かる。
【0033】
1つの望ましい具体的態様において、アミン基は、カルバメート誘導体として、例えばt−ブチルオキシカルバメートとして保護される。
別の特に望ましい具体的態様において、Rが水素を表す化合物のアミンおよびヒドロキシル基は、例えば式(VI)において環状カルバメートとして、または式(VII)において環状ヘミ−アミナールとして、同様に保護される。
【化7】

保護基の使用の特定の例は、実施例のセクションに記載されている。
【0034】
本発明は、塩の形態の式(I)の化合物、特に酸付加塩を含む。適切な塩は、有機酸および無機酸の両方と形成される塩を含む。該酸付加塩は、通常、薬学的に許容されるが、薬学的に許容されない酸の塩は、問題の化合物の製造および精製に有用であり得る。従って、望ましい塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から形成される塩を含む。
【0035】
式(I)の化合物の塩を、遊離塩基、またはその塩、エナンチオマー、もしくはラセミ体を、1当量以上の適切な酸と反応させることによって形成され得る。反応は、塩が不溶である溶媒もしくは媒体中で、または塩が可溶である溶媒中で、例えば水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフラン、またはジエチルエーテル、または溶媒の混合物中で行われ得、そしてそれを真空で、もしくは凍結乾燥によって除去され得る。反応はまた、複分解工程であるか、またはイオン交換樹脂で行われ得る。
【0036】
がHを表す式(III)の化合物は、式(VIII):
【化8】

[式中、R、R、R、R、およびRは式(I)で定義した通りである]の化合物を、
有機金属誘導体:R−M
{ここで、Rは、式(I)で定義した通りであり、そしてMは金属性の基、例えばリチウムもしくはマグネシウム−ハライドを表す}
との反応によって製造され得る。得られた Vが酸素を表す式(III)の化合物を、Vが硫黄を表す式(III)の化合物に変換され得る。
【0037】
あるいは、式(III)の化合物は、式(IX):
【化9】

[式中、R、R、R、R、およびRは式(I)で定義した通りである]のアミドを、
有機金属誘導体:R
{式中、Rは、式(I)で定義した通りであり、そしてMは金属性の基、例えばリチウムもしくはマグネシウム−ハライドを表す]の化合物と反応させ、次に得られたケトンを対応する式(III)のアルコールに還元することによって製造され得る。
【0038】
式(II)、(IV)、(VIII)、および(IX)の化合物は、それぞれ既知であるか、当業者に直ちに明らかである慣用の方法によって製造され得る。
中間体化合物は、そのままで、または保護された形態で用いられ得る。保護基およびその除去方法の詳細は、標準的なテキスト“Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Edition (1999) by Greene and Wuts の記載で見出され得る。
【0039】
本発明の化合物およびその中間体は、反応混合物から単離され得、必要であれば、標準的な方法によって、さらに精製され得る。
式Iの化合物は、エナンチオマーの形態で存在し得る。従って、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、およびその混合物が、本発明の範囲内に含まれる。様々な光学異性体は、慣用の方法、例えば分別結晶もしくはHPLCを用いて、本化合物のラセミ混合物の分離によって単離され得る。
【0040】
中間体化合物はまた、エナンチオマーの形態で存在し得、そして精製エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、または混合物として用いられ得る。
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、ラセミ体は、それらが動物において薬理学的活性を有することから、有用である。特に、本化合物は、一酸化窒素合成酵素の阻害剤として活性である。より特定的には、それらは、誘導型一酸化窒素合成酵素のアイソフォームの阻害剤である。そしてそのことから、治療に、例えば抗炎症剤として有用であると予測される。それらはまた、神経型(neuronal)一酸化窒素合成酵素のアイソフォームの阻害剤として有用性を有し得る。一般的に、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、iNOSおよび/またはnNOSの阻害において、内皮型アイソフォームであるeNOSの阻害と比較して、良好な選択性を示すという利点を有する。
【0041】
本化合物およびその薬学的に許容される塩は、一酸化窒素合成または過剰合成が寄与する部分のある疾患もしくは状態の処置もしくは予防における使用が示されている。特に、ヒトを含む哺乳動物において、炎症性状態の処置における使用が示されている。
【0042】
特記され得る状態は、
骨関節炎、リウマチ性関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎、および他の関節炎状態、炎症性関節;
湿疹、乾癬、皮膚炎、または他の炎症性皮膚状態、例えば日焼け;
ブドウ膜炎、緑内障、および結膜炎を含む炎症性眼状態;
炎症が、例えば、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、ハト飼育者疾患(pigeon fancier's disease)、農夫肺、急性呼吸窮迫症候群を伴う肺疾患;
菌血症、内毒血症(endotoxaemia) (敗血症ショック)、アフタ性潰瘍、歯肉炎、麻痺(pyresis)、疼痛、髄膜炎、および膵炎;
炎症性腸疾患を含む胃腸管の状態、クローン病、萎縮性胃炎、変形性胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎(regional ileitis)、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、例えば Helicobacter pylori の感染に起因する、または非ステロイド性抗炎症剤での処置に起因する胃腸管の損傷;および
炎症を伴う他の状態;
である。
【0043】
本化合物はまた、癌の処置に有用であり得る。
本化合物はまた、急性疼痛、または持続性炎症性疼痛、または神経因性疼痛、または中枢起源の痛みの、処置および緩和に有用である。
【0044】
我々は、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、骨関節炎、慢性閉塞性肺疾患、疼痛、および癌の状態に、特に関心がある。
【0045】
式(I)の化合物 およびその薬学的に許容される塩はまた、上記に加えて、疾患もしくは状態の処置または予防に有用であり得る。例えば、本化合物は、アテローム硬化症、嚢胞性線維症、敗血症ショック および/または 毒素ショックを伴う低血圧の処置、免疫系機能障害の処置、臓器移植治療における短期免疫抑制に対するアジュバントとして、糖尿病の発症の制御、糖尿病における膵臓機能の維持、糖尿病に伴う血管性合併症の処置、およびサイトカイン、例えばTNF またはインターロイキンとの併用治療(co-therapy)において、有用であり得る。
【0046】
式(I)の化合物はまた、例えば心停止や卒中の場合における低酸素症、例えば虚血、低酸素症、低血糖、癲癇などの疾患や 外傷(例えば脊髄損傷や頭部損傷)における 神経変性 および/または 神経壊死を含む神経変性疾患、高圧酸素痙攣および毒、痴呆、例えば初老期痴呆や アルツハイマー病や AIDS関連痴呆、シドナム舞踏病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、筋ジストロフィー、コルサコフ病、大脳血管障害に関係する痴愚、睡眠障害、統合失調症、鬱病、疼痛、自閉症、季節性情動障害、時差ぼけ、鬱病、または 月経前症候群(PMS)や不安や敗血症ショックを伴う別の症状の処置に有用であり得る。式(I)の化合物はまた、薬物中毒または薬物抵抗性、例えばアヘン剤やジアゼピンに対する抵抗性の予防や回復、薬物中毒の処置、偏頭痛や他の血管性頭痛、神経因性炎症の処置、胃腸運動障害、および分娩の誘発において、活性を示すと期待され得る。
【0047】
我々は、特に卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、統合失調症、偏頭痛、敗血症ショック、および疼痛の状態に関心がある。
【0048】
予防は、特に以前に発症したことのあるヒトか、またはそれ以外に問題の疾患もしくは状態に罹患するリスクが増大していると考えられるヒトの処置に関連すると期待される。特定の疾患もしくは状態の発症のリスクがあるヒトは、一般的に、その疾患もしくは状態の家族の病歴があるヒト、または特にその疾患もしくは状態にかかりやすいと、遺伝子試験もしくはスクリーニングによって特定されたヒトを含む。
【0049】
上記の治療的適応において、投与される用量は、用いられた化合物、投与方法、および望ましい処置に応じて、当然に変化する。しかし、一般的に、本化合物を、1日当たり1mgから2000mgの間で、固体の形態の投与形で投与した場合に、満足のいく結果が得られる。
【0050】
式(I)の化合物 およびその薬学的に許容される誘導体は、それ自身で、または本化合物もしくは誘導体を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と混合した適切な医薬組成物の形態で用いられ得る。投与は、経腸(経口、舌下、または直腸)、鼻腔内、吸入、静脈内、局所、または他の非経腸の経路(これらに制限されない)によって行われ得る。適切な医薬製剤の選択および製造のための慣用の手順は、例えば“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988 に記載されている。医薬組成物は、式(I)の化合物 またはその薬学的に許容される塩を、好ましくは80%未満、より好ましくは50%未満含む。
【0051】
本発明によると、我々は、さらに、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と混合した、式(I)の化合物 またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
該成分を混合することを含む、該医薬組成物の製造方法もまた提供する。
【0052】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される誘導体はまた、下記:NSAIDS、COX−2阻害剤、アセトアミノフェン、トラマドール、コルチコステロイド、グルコサミン、ドキシサイクリン、プラルナカサン(Pralnacasan)、MMP阻害剤、またはColl−3阻害剤の1つとの組み合わせで用いられ得る。式(I)の化合物および併用治療は、1回単位用量で投与するために 同じ医薬組成物に一緒に製剤化されるか、またはそれぞれの成分を個別に製剤化し、別個の投与形を同時にもしくは連続して投与するかの何れであってもよい。
【0053】
本発明を下記の実施例によって説明するが、これは全く本発明を制限しない。
下記の略号:DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。
【実施例】
【0054】
実施例1
3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−2−チオフェンカルボニトリル オキサレート
a)フェニルメチル (3S)−3−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−4−ヒドロキシ−ブタノエート
THF(200ml)中の、4−(フェニルメチル) N−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−1−(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)) L−アスパルテート(75.0g)の溶液を、1時間に渡って、THF(60ml)と水(90ml)中の水素化ホウ素ナトリウム(6.84g)の懸濁液に、−5℃で加えた(内部の温度を15℃以下に保った)。さらに水素化ホウ素ナトリウム(2バッチ中6.8g)を加え、混合物を45分間撹拌した。混合物を、撹拌しながら、冷却した半量の飽和塩化アンモニウム溶液(600ml)に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、蒸発させ、副題化合物をろう状固体として得た(56.24g)。
MS APCI +ve m/z 210 [M+H-BOC]+.
1H NMR 300MHz (CDCl3) 7.41-7.27 (5H, m), 5.24-5.10 (3H, m), 4.15-3.96 (1H, m), 3.71 (2H, d), 2.69 (2H, d), 1.44 (9H, s).
【0055】
b)フェニルメチル (4S)−3−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−2,2−ジメチル−4−オキサゾリジン−アセテート
2−メトキシプロペン(46ml)を、20分に渡って、ジクロロメタン(300ml)中の、段階(a)の生成物(74.88g)、2,2−ジメトキシプロパン(30ml)と、p−トルエンスルホン酸(1.21g)の溶液に、0℃で加え、0℃で1時間、そして20℃で1時間撹拌した。1M 炭酸水素ナトリウム溶液を加え、混合物をジクロロメタン(3×200ml)で抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、蒸発させ、無色の油状物を得た。それをトルエン(300ml)に溶解し、2,2−ジメトキシプロパン(45ml)とp−トルエンスルホン酸(1.2g)を加え、混合物を80℃で2時間加熱した。冷却し、炭酸カリウムを加え、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、蒸発させ、副題化合物を薄黄色の油状物として得た(83.8g)。
1H NMR 300MHz (CDCl3) 7.36-7.28 (5H, m), 5.12 (2H, d), 4.38-3.97 (2H, m), 3.84 (1H, d), 3.05-2.48 (2H, m), 1.62-1.50 (6H, m), 1.46 (9H, s).
【0056】
c)(4S)−3−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−2,2−ジメチル−4−オキサゾリジン酢酸
エタノール(250ml)中の、10% パラジウム/炭素(3.8g)と、段階(b)の生成物(83.8g)の懸濁液を、水素下(4大気圧)、3.5時間(5.3Lの水素取り込み)撹拌した。混合物をセライトで濾過し、蒸発させた。酢酸エチル(100ml)と、1M 炭酸カリウム溶液(200ml)を加え、有機層を分離し、さらに1M 炭酸カリウム溶液(40ml)で、そして1M 炭酸水素ナトリウム溶液(40ml)で抽出した。水層を酢酸エチルで洗浄し、合わせ、そして、0℃で、4M 塩酸(130ml)を滴下することによって酸性にした。水層を酢酸エチル(3×200ml)で抽出し、有機層を乾燥し(MgSO)、蒸発させ、副題化合物を薄橙色のゴム状物質として得て、それをゆっくりと結晶化した(56.24g)。
1H NMR 300MHz (CDCl3) 4.33-4.12 (1H, m), 4.09-4.00 (1H, m), 3.86 (1H, d), 3.02-2.77 (1H, m), 2.62-2.50 (1H, m), 1.62-1.54 (6H, m), 1.53 (9H, s).
【0057】
d)1,1−ジメチルエチル (4S)−4−[2−(メトキシメチルアミノ)−2−オキソエチル]−2,2−ジメチル−3−オキサゾリジンカルボン酸エステル
N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(21.4g)と、EDCI(41.94g)と、N−メチルモルホリン(24ml)と、DMAP(26.4g)を、ジクロロメタン(400ml)中の段階(c)の生成物(59.2g)の溶液に、0℃で、そして次に、20℃で、18時間撹拌した。2M 塩酸(200ml)を加え、有機層を分離し、水層を、さらに2回抽出した。有機層を、2M 塩酸(50ml)で、そして炭酸水素ナトリウム溶液(2×100ml)で洗浄し、合わせ、乾燥し(MgSO)、蒸発させ、副題化合物を得た(60.2g)。
MS APCI +ve m/z 303 [M+H]+.
1H NMR 300MHz (CDCl3) 4.38-4.19 (1H, m), 4.08 (1H, dd), 3.87 (1H, t), 3.70 (3H, s), 3.17 (3H, s), 3.07-2.45 (2H, m), 1.63-1.42 (15H, m).
【0058】
e)1,1−ジメチルエチル (4S)−2,2−ジメチル−4−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−3−オキサゾリジンカルボン酸エステル
臭化 フェニル マグネシウム(231ml,THF中1M)を、15分に渡って、THF(360ml)中の段階(d)の生成物(60.1g)の溶液に、−10から−5℃で、次に2時間撹拌した。さらに臭化 フェニル マグネシウム(7ml, エーテル中3M)を加え、0℃で1時間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム溶液(250ml)と2M 塩酸(150ml)の添加によってクエンチした。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を塩水で洗浄し、合わせ、乾燥し(MgSO)、蒸発させ、副題化合物を灰白色の固体として得た(64.8g)。
1H NMR 300MHz (CDCl3) 7.98 (2H, d), 7.64-7.40 (3H, m), 4.50-4.35 (1H, m), 4.15-4.05 (1H, m), 3.88-3.65 (2H, m), 3.49-3.36 and 3.25-3.01 (1H, m), 1.70-1.35 (15H, m).
【0059】
f)1,1−ジメチルエチル (4S)−4−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]−2,2−ジメチル 3−オキサゾリジンカルボン酸エステル
ボラン(176ml, THF中1M)を、THF(20ml)中の(R)−メチル−CBS−オキサアザボロリジン(16ml, トルエン中1M)の溶液に加え、−20℃に冷却した。THF(200ml)中の段階(e)の生成物(64.6g)の溶液を、1.5時間に渡って加え、内部の温度を−15℃以下に保って、そして次にこの温度で22時間撹拌した。メタノール(40ml)をゆっくりと加え、溶液を蒸発させ、メタノールと共に共沸し、薄黄色の油状物を得た(69g)。エーテルと1M 硫酸水素カリウム溶液(20ml)を加え、混合物を濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ, 溶出液として40−60 petrol/エーテル)によって精製し、副題化合物を白色の固体として得た(37.4g)。
1H NMR 400MHz (CDCl3) 7.4-7.2 (5H, m), 4.88 (1H, d), 4.65 (1H, m), 4.35 (1H, m), 4.0 (1H, m), 3.65 (1H, d), 2.1-2 (1H, m), 1.85-1.95 (1H, m), 1.6 (3H, s), 1.49 (12H, s).
【0060】
さらに溶出し、(4S,2R)−異性体を白色の固体として得た(20.0g)。
1H NMR 400MHz (CDCl3) 7.4-7.3 (5H, brs), 4.77-4.73 (1H, m), 4.3-3.7 (3H, m), 2.2-2 (2H, m), 1.6-1.4 (15H, m).
【0061】
g)1,1−ジメチルエチル (4S)−4−[(2R)−2−(ベンゾイルチオ)−2−フェニルエチル]−2,2−ジメチル−3−オキサゾリジンカルボン酸エステル
THF(20ml)中のアゾジカルボン酸ジイソプロピル(21.5ml)を、THF(230ml)中のトリフェニルホスフィン(28.73g)の溶液に、−10℃で滴下し、白色の懸濁液を30分間撹拌した。THF(100ml)中の(4S,2S)−段階(f)の主要な生成物(17.58g)とチオ安息香酸(12.8ml)の溶液を、45分に渡って−10℃で加え、次に−10℃から4℃で、18時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、エーテルを加え、沈殿物が形成するまで撹拌した。混合物を濾過し、固体をイソヘキサン/エーテル(1:1)で洗浄した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、水層をエーテルで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、蒸発させ、クロマトグラフィー(シリカ, 溶出液として40−60 petrol/ジクロロメタン(1:1、次に0:1))によって精製し、固体を得た。これを−78℃でイソヘキサンから結晶化し、副題化合物を白色の固体として得た(14.76g)。
1H NMR 300MHz (CDCl3) 7.93 (2H, d), 7.61-7.21 (8H, m), 4.79 (1H, dt), 4.18-3.83 (3H, m), 2.64-2.35 (1H, m), 2.23-2.09 (1H, m), 1.62-1.41 (15H, m).
【0062】
h)1,1−ジメチルエチル (4S)−4−[(2R)−2−メルカプト−2−フェニルエチル]−2,2−ジメチル−3−オキサゾリジンカルボン酸エステル
段階(g)の生成物(20.0g)を、メタノール中 7M アンモニア(500ml)に溶解し、室温で窒素下で6時間撹拌した。溶液を乾固するまで蒸発させ、残さをクロマトグラフィー(シリカ, 20% ジエチルエーテル/イソヘキサン)によって精製し、副題化合物を白色の固体として得た(16.0g)。
MS APCI +ve m/z 238 (M+H-BOC)+.
【0063】
j)1,1−ジメチルエチル (4S)−4−[(2R)−2−[(2−シアノ−3−チエニル)チオ]−2−フェニルエチル]−2,2−ジメチル−3−オキサゾリジンカルボン酸エステル
段階(h)の生成物(280mg)を、乾燥DMF(10ml)に溶解し、3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル(157mg)で処理し、次に水素化ナトリウム(油中60%, 35mg)で、窒素下で処理した。反応混合物を24時間撹拌し、水に注ぎ、酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を蒸発させ、残さをクロマトグラフィー(シリカ, 溶出液として10% 酢酸エチル/イソヘキサン)によって精製し、副題化合物を油状物として得た(250mg)。NMRは本化合物が回転異性体の混合物であることを示し、スペクトルは非常に広いピークを示す。
1H NMR 300MHz (CDCl3) 7.20-7.45 (6H, m), 6.60-7.00 (1H, m), 4.10-4.50 (2H, m), 3.70-3.95 (1H, m), 3.40-3.70 (1H, m), 2.25-35 (1H, m), 2.05-2.20 (1H, m), 1.40-1.69 (15H, m).
【0064】
k)3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−2−チオフェンカルボニトリル オキサレート
メタノール(10ml)中の、段階(j)の生成物(240mg)の溶液に、4MのHClのジオキサン溶液(10ml)を加えた。混合物を20℃で2時間撹拌し、溶媒を真空で除去した。残さを重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルの層間に分配した。水相を酢酸エチル(2×50ml)で抽出し、合わせた抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空で濃縮した。残さを酢酸エチルに溶解し、ジエチルエーテル中のシュウ酸溶液を加えた。溶液を濾過し、乾燥し、表題化合物を白色の固体として得た(140mg)。
MS (APCI+ve) m/z 305 [M(+H)]+.
1H NMR 400MHz (DMSO-d6) 8.04 (1H, d), 7.24-7.34 (6H, m), 4.82 (1H, t), 3.52 (1H, m), 3.42 (1H, m), 2.99 (1H, m), 2.25 (1H, m), 2.10 (1H, m).
【0065】
実施例2
3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−5−メチル−2−チオフェンカルボニトリル オキサレート
a)3−ブロモ−5−メチル−2−チオフェンカルボニトリル
水(10ml)中の、3−ブロモ−5−メチル−2−チオフェンカルボアルデヒド(500mg)の懸濁液に、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(330mg)を加えた。混合物を50℃で12時間加熱し、冷却した。混合物を、次に酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させ、副題化合物を褐色の固体として得た(410mg)。
1H NMR 300MHz (CDCl3) 6.79 (1H, s), 2.54 (3H, s).
【0066】
b)1,1−ジメチルエチル (4S)−4−[(2R)−2−[(2−シアノ−5−メチル−3−チエニル)チオ]−2−フェニルエチル]−2,2−ジメチル−3−オキサゾリジンカルボン酸エステル
段階(a)の生成物(170mg)の生成物を、乾燥DMF(10ml)に溶解し、実施例1の段階(h)の生成物(280mg)で、次に炭酸セシウム(270mg)で、窒素下で処理した。反応混合物を24時間撹拌し、水に注ぎ、酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を蒸留し、残さをクロマトグラフィー(シリカ, 溶出液として10% 酢酸エチル/イソヘキサン)によって精製し、副題化合物を油状物として得た(100mg)。
MS (APCI+ve) m/z 359 [M+H-BOC]+.
【0067】
c)3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−5−メチル−2−チオフェンカルボニトリル オキサレート
表題化合物(60mg)は、実施例1の段階(k)の方法によって、上記の(b)を用いて製造した(100mg)。
MS (APCI+ve) m/z 319 [M(+H)]+.
1H 400MHz (DMSO-d6) 7.32 (5H, m), 7.03 (1H, s), 4.80 (1H, m), 3.51 (1H, m), 3.41 (1H, m), 2.96 (1H, m), 2.50 (3H, s), 2.25 (1H, m), 2.11 (1H, m).
【0068】
スクリーン
本発明による化合物の薬理学的活性を、下記のスクリーンで試験した。
スクリーン1
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、もしくは ラセミ体の活性を、一酸化窒素合成酵素阻害活性において、Foerstermann et al., Eur. J. Pharm., 1992, 225, 161-165 の手順に基づく手順によって、スクリーニングし得る。一酸化窒素合成酵素は、H−L−アルギニンをH−L−シトルリンに変える。H−L−シトルリンは、カチオン交換クロマトグラフィーによって分離して液体シンチレーション計数によって定量化し得る。
【0069】
誘発後に、酵素を、培養されたマウスのマクロファージ細胞株 J774A-1 (Imperial Cancer Research Fund の研究所から得た)から製造した。J774A-1 細胞を、10% ウシ胎児血清、4mM L−グルタミン、および抗生物質(100単位/ml ペニシリン G、100mg/ml ストレプトマイシン、および0.25mg/ml アンホテリシン B)を加えた ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養する。細胞を35mlの培地を含む225cmフラスコ中で、37℃で、5% COを含む加湿雰囲気下で普通に成長させる。
【0070】
一酸化窒素合成酵素は、インターフェロン−g(IFNg)およびリポポリサッカライド(LPS)に対する応答で、細胞によって産生される。コンフルエントな培養フラスコの培地を除き、1mg/mlのLPSと10単位/mlのIFNgを含む25ml(フラスコ当たり)の新しい培地に置き換える。培養17〜20時間後、培養培地のフラスコ表面から細胞のシートをかき取ることによって、細胞の収穫を行う。細胞を遠心分離(1000G, 10分間)によって集め、50mMのTris−HCl(pH 7.5, 20℃)、10%(v/v)のグリセロール、0.1%(v/v) Triton-X-100、0.1mMのジチオトレイトール、およびロイペプチン(2mg/ml)、大豆トリプシン阻害剤(10mg/ml)、アプロチニン(5mg/ml)、およびフッ化フェニルメチルスルホニル(50mg/ml)を含むプロテアーゼ阻害剤のカクテルを含む溶液を、細胞のペレットに加えることによってライセートを製造した。
【0071】
アッセイのために、25μlの基質カクテル(50mMのTris−HCl(pH 7.5, 20℃)、400μMのNADPH、20μMのフラビン アデニン ジヌクレオチド、20μMのフラビン モノヌクレオチド、4μMのテトラヒドロビオプテリン、12μMのL−アルギニン、および0.025mCi L−[H]アルギニン)を、25μlの50mMのTris−HCl中の試験化合物の溶液を含む96ウェル フィルター プレート(孔のサイズ:0.45μM)に加える。反応は、50μlの細胞ライセート(上記で製造)を添加することによって始め、1時間室温でインキュベートした後、3mM ニトロアルギニンと21mMのEDTAの水溶液50μlを添加することによって終わらせた。
【0072】
ラベルされたL−シトルリンを、ラベルされたL−アルギニンから、Dowex AG-50W を用いて分離した。150μlの25% Dowex 50W (Na型)の水性のスラリーをアッセイに加え、その後全体を96ウェルプレートでろ過した。75μlのろ液をサンプリングし、固形シンチラント(scintillant)を含む96ウェルプレートのウェルに加えた。試料を乾燥させた後、L−シトルリンをシンチレーション計数によって定量した。
【0073】
典型的な実験において、基礎活性(basal activity)は、試料75μl当たり300dpmであり、試薬コントロールでは1900dpmに増大する。化合物の活性は、IC50(アッセイ中50%酵素阻害を示す薬物の濃度)として表し、アミノグアニジン[IC50(50%阻害濃度)が10μM]は、手順を確かめるための標準として試験された。化合物は、濃度の範囲で試験され、IC50値を得る阻害から計算される。100μMで少なくとも25%まで酵素を阻害する化合物は、活性があるとして分類され、少なくとも1回再試験にかけられる。
【0074】
上記のスクリーンにおいて、実施例1から2の化合物を試験し、10μM未満のIC50値を得た。このことは、これらが有用な治療活性を示すことが期待されることを示している。
【0075】
スクリーン2
リコンビナントのヒトのNO合成酵素(iNOS、eNOS、およびnNOS)を、E. coli 中で発現し、補因子(FAD、FMN、HB)、プロテアーゼ阻害剤、リゾチウム、および界面活性剤 CHAPS を含む、Hepes 緩衝液(pH 7.4)中でライセートを製造した。これらの調製物を、適切な希釈で、様々なアイソフォーム(isoform)の阻害を評価するために用いた。Foerstermann et al.9の方法の適応を用いて、NOSの阻害を、L−[H]−アルギニンからのL−[H]−シトルリンの形成を測定することによって決定した。酵素アッセイを、3μMの[H]−アルギニン、1mMのNADPH、およびNOS活性を維持するのに必要な他の補因子(FAD、FMN、HB、カルモジュリン、Ca2+)の存在下で行った。様々なNOS阻害剤がゆっくりとした結合速度を示すか、または時間依存で酵素を不活性化することが報告されていることから、酵素と阻害剤を、アルギニンを添加して反応を始める前に、NADPHの存在下で、60分間プレインキュベートした。アッセイをクエンチする前に、インキュベーションをさらに60分間続け、96−ウェル形式での Dowex-50W 樹脂でのクロマトグラフィーによって、[H]−シトルリンを未反応の基質から分離した。
【0076】
上記のスクリーンで、実施例1から2の化合物を試験し、iNOS酵素に対して10μM未満のIC50値を得た。このことは、これらが有用な治療活性を示すことが期待されることを示している。
【0077】
スクリーン3
化合物はまた、下記のアッセイで示されるように、ヒト型の誘導型一酸化窒素合成酵素に対して活性を示す。
ヒトの結腸直腸癌細胞株DLD−1(European Collection of Animal Cell Culture - cell line number 90102540 から得られる)を、10%(v/v) ウシ胎児血清と、2mMのL−グルタミンを加えたRPMI 1640中で、37℃で、5% CO中で、決まった方法で成長させた。
【0078】
一酸化窒素合成酵素を、ヒトのリコンビナント γ−IFN(1000単位/ml)、TNF−α(200U/ml)、IL−6(200U/ml)、およびIL−1β(250U/ml)を含む培地の添加によって、細胞中で誘発した。37℃で18時間インキュベートした後、培地を除去し、細胞を温リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。試験化合物の存在下 および非存在下で、100μMのL−アルギニンと 100μMのベラパミル−HClを含むRPMI 1640中で、37℃/5% COで、さらに5時間細胞をインキュベートした。
【0079】
亜硝酸塩の蓄積を、Griess 試薬 (1mlの2.5%(v/v) リン酸中の 10mg/mlのスルファニルアミド、1mgのN−(1−ナフチル)エチレンジアミン)を伴う培養培地を等体積混合することによって決定した。化合物の存在下での阻害を、未処理の細胞によって生産される亜硝酸塩のレベルに関して計算した。IC50値を、化合物の濃度に対する%阻害の片対数プロットから見積もった。
【0080】
このスクリーンにおいて、実施例1から2の化合物は、100μM未満のIC50値を与えた。このことは、これらが有用な治療活性を示すことが予期されることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Yは、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、CN、C≡CH、NO、CHOH、CHO、COCH、NH、NHCHO、NHCOCH、またはNHSOCHを表し;
該アルキルまたはアルコキシは、所望により1個以上のフッ素原子によってさらに置換されており;
T、U、およびWは、独立して、CX、N、NR13、O、またはS(O)を表し、
ただし、T、U、およびWの少なくとも1個が、ヘテロ原子を表す必要があり;かつ
T、U、およびWの1個以上が、NR13、O、またはS(O)を表すことはなく;
mは、整数0、1、または2を表し;そして
それぞれのXは、独立して、H、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、OH、SH、CN、C≡CH、N(R14)、NO、CHOH、CHO、COCH、またはNHCHOを表し;
該アルキルまたはアルコキシは、所望により1個以上のフッ素原子によってさらに置換されており;
Vは、NR、O、CH、S(O)、OCH、CHO、NRCH、CHNR、CHS(O)、S(O)CH、CHCH、またはCH=CHを表し;
nは、整数0、1、または2を表し;
MはCを表し、そしてMがV中のCH部分に結合している場合、MはまたNを表し得;
とRは、独立して、HまたはMeを表し;
は、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、または O、S、およびNから選択される1個のヘテロ原子を含む4員環から8員環の飽和複素環式環を表し、
該基の何れも、所望により、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C3−6シクロアルキル、ハロゲン、またはフェニルによってさらに置換されており、
該フェニルは、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CF、OCF、CN、またはNOから独立して選択される、1個以上の置換基によって、所望によりさらに置換されているか、または
は、フェニル、または O、S、およびNから独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の芳香族性複素環式環を表し;
該フェニルもしくは芳香族性複素環式環は、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、CN、NO、またはNR10から独立して選択される、1個以上の置換基によって、所望により置換されており;
該アルキルもしくはアルコキシは、所望により1個以上のフッ素原子によってさらに置換されており;
は、H、C1−4アルキル、またはC3−6シクロアルキルを表し;
該アルキルは、所望により、C1−4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、NR1112、フェニル、または O、S、およびNから独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の、芳香族性もしくは飽和複素環式環によって置換されており;
該フェニルまたは芳香族性複素環式環は、所望により、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CF、OCF、CN、またはNOによって、さらに置換されており;
とR14は、独立して、HまたはC1−2アルキルを表し;
、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、H、またはC1−4アルキルを表し;
13は、H、C1−4アルキル、CHO、COCH、SOCH、またはCFを表す]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
VはS(O)を表し、そしてnは0を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
YはCNを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−2−チオフェンカルボニトリル;
3−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−フェニルブチル]チオ]−5−メチル−2−チオフェンカルボニトリル;
またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、もしくはラセミ体である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
医薬として使用するための、請求項1から4の何れか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と混合した、請求項1から4の何れか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項7】
一酸化窒素合成酵素活性の阻害が有益である、ヒトの疾患もしくは状態の処置もしくは予防のための医薬の製造における、請求項1から4の何れか1項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
誘導型一酸化窒素合成酵素(inducible nitric oxide synthase)が優先的に阻害される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
炎症性疾患の処置もしくは予防のための、医薬の製造における請求項1から4の何れか1項に定義した通りの式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
該疾患が炎症性腸疾患である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
該疾患がリウマチ性関節炎である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
該疾患が骨関節炎である、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
疼痛の処置もしくは予防のための医薬の製造における、請求項1から4の何れか1項に定義した通りの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
炎症性疾患の処置もしくは予防のための医薬の製造における、COX−2阻害剤と組み合わせた、請求項1から4の何れか1項に定義した通りの式(I)の化合物の使用。
【請求項15】
一酸化窒素合成酵素活性の阻害が有益である、ヒトの疾患もしくは状態を処置する もしくはそのリスクを軽減する方法であって、該疾患もしくは状態に罹患している もしくはそのリスクが増大しているヒトに、請求項1から4の何れか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、治療上効果的な量で投与することを含む方法。
【請求項16】
炎症性疾患に罹患している もしくはそのリスクがあるヒトにおいて、炎症性疾患を処置する もしくはそのリスクを軽減する方法であって、該ヒトに、請求項1から4の何れか1項に定義した通りの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、もしくはそのラセミ体を、治療上効果的な量で投与することを含む方法。
【請求項17】
請求項1から4の何れか1項に定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、もしくはラセミ体を製造する方法であって、該方法は、
(a) 式(II):
【化2】

[式中、T、U、W、Y、およびMは、請求項1に定義した通りであり、そしてLは脱離基を表す]の化合物を、式(III):
【化3】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびVは、請求項1に定義した通りである]の化合物と反応させること;または
(b) 式(IV):
【化4】

[式中、T、U、W、M、Y、およびVは、請求項1で定義した通りである]の化合物を、式(V):
【化5】

[式中、R、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1で定義した通りであり、そしてLは脱離基である]の化合物と反応させること;
および、望ましい もしくは必要な場合は、得られた式(I)の化合物またはその別の塩を、その薬学的に許容される塩に変換すること;
または式(I)の化合物を別の式(I)の化合物に変換すること;
そして望ましい場合は、得られた式(I)の化合物をその光学異性体に変換すること;
を含む方法。

【公表番号】特表2006−504655(P2006−504655A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−522890(P2004−522890)
【出願日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001215
【国際公開番号】WO2004/009580
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】