説明

新規化学化合物

本発明は、種々の障害を治療するための新たに同定されたキナーゼ阻害剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規に同定された、種々の障害を治療するためのキナーゼ阻害剤に関する。
【0002】
発明の背景
多くのポリペプチド成長因子およびホルモンは、シグナル変換経路を介して、その細胞効果の媒介となる。これらのリガンドに対する細胞表面受容体から細胞内エフェクターへのシグナル変換は、しばしば、調節プロテインセリン/スレオニンキナーゼ(PSTK)およびホスファターゼによる特定蛋白質基質のリン酸化または脱リン酸化を伴う。セリン/スレオニンリン酸化は、多細胞生物におけるシグナル変換の主要なメディエーターである。受容体結合型、膜結合型および細胞内PSTKは、多くの細胞型において、細胞増殖、細胞分化およびシグナル伝達過程を調節する。
【0003】
異常なプロテインセリン/スレオニンキナーゼ活性は、多くの病理、例えば、慢性関節リウマチ、乾癬、敗血症性ショック、骨量減少、多くの癌および他の増殖性疾患に関与しているか、またはその疑いがある。したがって、セリン/スレオニンキナーゼおよびそれらが関与するシグナル変換経路は、薬物設計の潜在的な標的である。
【0004】
PSTKのサブセットは、細胞周期の調節に関与する。これらは、サイクリン依存性キナーゼまたはCDKである(PeterおよびHerskowitz, Cell 1994: 79, 181-184)。CDKは、サイクリンと呼ばれる調節蛋白質に結合することによって活性化され、特定の細胞周期チェックポイントを介して細胞の通過を制御する。例えば、サイクリンEと複合体形成したCDK2は、細胞をG1からS期へ移行させる。CDKとサイクリンの複合体は、CDK4に結合し、阻害するp16(Serranoら, Nature 1993: 366, 704)のような低分子量蛋白質による阻害を受ける。p16における欠失または突然変異は、種々の腫瘍に関係している(Kambら, Science 1994: 264, 436-440)。したがって、細胞の増殖状態および該状態に関連する疾患は、CDKの活性およびその関連する調節分子に依存する。増殖の阻害が望まれる癌などの疾患において、CDKを阻害する化合物は、有用な治療剤でありうる。逆に言えば、CDKの活性化物質は、増殖強化が必要な場合、例えば、免疫欠損の治療において有用でありうる。
【0005】
YAK1、CDKに対する配列相同性を有するPSTKは、当初、酵母において、cAMP依存性プロテインキナーゼPKAの不活化によって引き起こされる細胞周期停止のメディエーターとして同定された(Garrettら, Mol Cell Biol. 1991: 11, 4045-4052)。YAK1キナーゼ活性は、細胞周期が進行している酵母において低いが、細胞がS−G2移行前に停止したとき、著しく増加する。YAK1の発現増加は、PKAが不足した酵母細胞において増殖停止を引き起こす。したがって、YAK1は、酵母における細胞周期抑制物質として作用することができる。
【0006】
発明者らの米国特許第6,323,318号は、hYAK3−2と名付けられた酵母YAK1の2つの新規なヒト相同物(1つは他方より20アミノ酸長い)を記載する。hYAK3−2蛋白質(あるいは、Blood, 1 May 2000, Vol 95, No. 9, pp2838において、REDK−LおよびREDK−Sと報告された)は、主に、核に局在する。hYAK−2蛋白質(以後、単に、hYAK3またはhYAK3蛋白質という)は、造血組織、例えば、骨髄および胎児肝臓に存在するが、そのRNAは、赤芽球またはエリトロポイエチン(EPO)−応答細胞においてのみ、有意なレベルで発現する。REDK cDNAの2つの形態は、別のスプライス産物であるようである。アンチセンスREDKオリゴヌクレオチドは、コロニー形成単位(CFU)−GM、CFU−GまたはCFU−GEMM数に影響を及ぼすことなく、ヒト骨髄細胞による赤芽球コロニー形成を促進する。CFU−Eおよび赤芽球バースト形成単位の最大数は増加し、CFU−Eは、最適以下のEPO濃度に対する感受性増加を示した。該データは、REDKがブレーキとして作用して、赤血球生成を妨げることを示す。かくして、hYAK3蛋白質の阻害剤は、その発現細胞の増殖を刺激することが予想される。より詳細には、hYAK3蛋白質の阻害剤は、限定するものではないが、好中球減少症;血球減少症;腎不全による貧血または慢性疾患、例えば、自己免疫または癌による貧血、および薬物誘導性貧血を包含する貧血症;赤血球増加症;および骨髄抑制を包含するhYAK3不均衡によって引き起こされる赤芽球および造血系の疾患の治療または予防に有用である。
【0007】
医学において重要なもう1つ別のPSTKは、MK2蛋白質である。サイトカインは、炎症性疾患の重要な特徴の多くを誘導することができ、その産生および作用機序の阻害は、適当な治療的アプローチであるであろう。p38 MAPキナーゼの阻害は、IL−1、TNF−α、IL−6、IL−8およびGMCSFを包含するプロ炎症性サイトカイン産生を減少させることが明らかにされた。p38の下流での阻害により、プロ炎症性サイトカインのアップレギュレーションに関与するこれらのキナーゼに対するより大きな選択性が可能となり、改善された安全プロフィールを有する化合物をもたらしうる。MAPKAP K2(MK2)は下流にあり、p38 MAPキナーゼによって直接、活性化される。MK2およびp38が核において複合体として存在すること、およびp38によるMK2のリン酸化が核から細胞質への該複合体の輸送をもたらすことが確立された(Ben-Levyら, Curr Biol 1998; 8:1049-57)。かくして、MK2は、基質として作用するだけでなく、p38の細胞局在化の決定子としても作用する。それは、転写および翻訳事象の両方におけるMK2の役割とも矛盾がない。
【0008】
MK2ノックアウトマウス由来のデータは、プロ炎症性サイトカイン産生における該キナーゼの重要な役割を明らかにした。MK2−/−ノックアウトマウスは、LPS−誘導性TNF−α産生において90%の減少を示し、内毒素性ショックに対して耐性であった。MK2−/−マウス由来の脾臓細胞もまた、LPS刺激後のプロ炎症性サイトカインTNF−α、IL−1β、IFN−γおよびIL−6の有意な阻害を明らかにした(Kotlyarovら, Nature Cell Biology 1999; 1:94-97)。MK2に対して活性な化合物は、慢性関節リウマチ、COPD、喘息、乾癬、急性ニューロン損傷、心不全、卒中、骨関節炎、および虚血再潅流傷害の治療または予防において有用であると考えられる。
【0009】
本発明の化合物は、hYAK3および/またはMK2蛋白質に対する活性を有することが見出されている。
【0010】
発明の概要
第1の態様において、本発明は、治療上有効量の式I
【化1】

【0011】
[式中、
R1は、水素、−NH、またはC1−6アルキルであり;
R2は、水素であるか;または
R2は、式
【0012】
【化2】

(式中、
Wは、結合、−CH−、−CHCH−、−C(=O)−、−NCH−、または−NH−であり;
Rは、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル、ヒドロキシ、−NH、(C1−6アルキル)N−、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOCH−、独立して1〜3個のC1−6アルキル、ハロゲン、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOC(=O)−、アセチル、NHC(=O)−、FSO−、−CF、NHSO−、ジメチルアミノ;HOCH−、CHNHC(=O)−、ヒドロキシ、フェニルで置換されていてもよいフェニルであるか;または
【0013】
Rは、式
【化3】

【化4】

で示される基であり、
【0014】
但し、Wに対するRの結合点が酸素または窒素である場合、WはCHであることはない)
で示される基である]
で示される化合物、あるいはその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物におけるhYAK3および/またはMK2の阻害方法に関する。
【0015】
式Iの好ましい化合物は、
R1が水素またはC1−6アルキルであり;
R2が水素であるか;または
R2が式
【化5】

[式中、Wは、結合、−CH−、−CHCH−、−C(=O)−、−NCH−、または−NH−であり;
Rは、C1−6アルキル、ヒドロキシ、−NH、(C1−6アルキル)N−、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOCH−、独立して1〜3個のC1−6アルキル、ハロゲン、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOC(=O)−、−CF、NHSO−、ヒドロキシ、フェニルで置換されていてもよいフェニルであるか;または
Rは、式
【化6】

で示される基であり、
但し、Wに対するRの結合点が酸素または窒素である場合、WはCHであることはない]
で示される化合物である。
【0016】
本発明の第2の態様において、治療上有効量の式Iの化合物あるいはその塩、溶媒和物または生理学上許容される誘導体ならびに1以上の医薬上許容される担体、希釈剤および賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0017】
本発明の第3の態様において、限定するものではないが、好中球減少症;血球減少症;腎不全による貧血または慢性疾患、例えば、自己免疫または癌による貧血、および薬物誘導性貧血を包含する貧血症;赤血球増加症;骨髄抑制;慢性関節リウマチ;COPD;喘息;乾癬;急性ニューロン損傷;心不全;卒中;骨関節炎;および虚血再潅流傷害を包含するhYAK3および/またはMK2蛋白質の不均衡または不適当な活性によって媒介される障害の治療または予防における使用のための医薬の製造における、式Iの化合物、あるいはその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体の使用が提供される。
【0018】
第4の態様において、本発明は、治療上有効量の式Iの化合物、あるいはその塩、溶媒和物または生理学上機能的誘導体ならびに1以上の医薬上許容される担体、希釈剤および賦形剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、限定するものではないが、好中球減少症;血球減少症;腎不全による貧血または慢性疾患、例えば、自己免疫または癌による貧血、および薬物誘導性貧血を包含する貧血症;赤血球増加症;骨髄抑制;慢性関節リウマチ;COPD;喘息;乾癬;急性ニューロン損傷;心不全;卒中、骨関節炎;および虚血再潅流傷害を包含するhYAK3および/またはMK2の不均衡または不適当な活性によって引き起こされる疾患の治療または予防法に関する。
【0019】
第5の態様において、本発明は、治療上有効量の式Iの化合物、あるいはその塩、溶媒和物または生理学上機能的誘導体ならびに1以上の医薬上許容される担体、希釈剤および賦形剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、好中球減少症;血球減少症;腎不全による貧血または慢性疾患、例えば、自己免疫または癌による貧血、および薬物誘導性貧血を包含する貧血症;赤血球増加症;骨髄抑制;慢性関節リウマチ;COPD;喘息;乾癬;急性ニューロン損傷;心不全;卒中、骨関節炎;および虚血再潅流傷害の治療または予防法に関する。
【0020】
詳細な記載
本明細書中で使用される場合、「有効量」なる語は、例えば、研究者または臨床によって、求められている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を顕在化するであろう薬物または医薬の量を意味する。さらに、「治療上有効量」なる語は、かかる量を投与されていない対応する対象と比べて、疾患、障害または副作用の改善された治療、治癒、予防または緩和、あるいは疾患または障害の進行速度の減少をもたらすいずれかの量を意味する。該用語は、また、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量をその範囲内に包含する。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「アルキル」なる語は、直鎖または分枝鎖炭化水素をいう。かくして、「C1−6アルキル」は、少なくとも1個、多くとも6個の炭素原子を含有するアルキル基をいう。本発明において有用な「C1−6アルキル」基の例は、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを包含する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「ハロゲン」なる語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)をいう。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「C3−6シクロアルキル」なる語は、3〜6個の炭素原子を有する非芳香環炭化水素環をいう。例示的「C3−6シクロアルキル」基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「してもよい」なる語は、その記載される事象が起こっても、起こらなくてもよいことを意味し、起こる事象および起こらない事象の両方を包含する。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「生理学上機能的な誘導体」なる語は、哺乳動物への投与時に、本発明の化合物またはその活性な代謝産物を(直接または間接的に)提供することのできる本発明の化合物のいずれかの医薬上許容される誘導体、例えば、エステルまたはアミドをいう。かかる誘導体は、過度の実験を用いることなく、Burger's Medicinal Chemistry And Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practice(出典明示により、生理学上機能的な誘導体を教示する範囲まで、本明細書の一部とされる)の教示を参照して、当業者に明らかである。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「溶媒和物」なる語は、溶質(本発明において、式Iまたはその塩もしくは生理学上機能的な誘導体)および溶媒によって形成された変化可能な化学量論的複合体をいう。本発明の目的のためのかかる溶媒は、溶質の生物学的活性を干渉しなければよい。適当な溶媒の例は、限定するものではないが、水、メタノール、エタノールおよび酢酸を包含する。好ましくは、使用される溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適当な医薬上許容される溶媒の例は、限定するものではないが、水、エタノール、および酢酸を包含する。最も好ましくは、使用される溶媒は、水である。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「置換された」なる語は、挙げられる置換基での置換をいい、別記しない限り、多置換度が可能である。
【0028】
本明細書中で記載されるある特定の化合物は、1以上のキラル原子を含有していてもよく、または別法では、2つのエナンチオマーとして存在することが可能である。したがって、本発明の化合物は、エナンチオマーの混合物ならびに精製されたエナンチオマーまたはエナンチオマー的に豊富な混合物を包含する。また、本発明の範囲内には、上記式Iによって示される化合物の個々の異性体ならびにそのいずれかの完全または部分的に平衡な混合物が包含される。本発明は、また、上記の式によって示された化合物の個々の異性体を、1以上のキラル中心が逆になったその異性体との混合物として包含する。また、全ての互変体および互変体混合物が式Iの化合物の範囲内に包含されると理解される。
【0029】
典型的には、本発明の塩は、医薬上許容される塩である。「医薬上許容される塩」なる語に包含される塩は、本発明の化合物の非毒性塩をいう。本発明の化合物の塩は、式Iの化合物中の置換基上の窒素から由来する酸付加塩を含んでいてもよい。代表的な塩は、下記の塩:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシナート、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(embonate)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート、トリエチオジド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩を包含する。医薬上許容されない他の塩は、本発明の化合物の調製において有用であり、これらは、本発明のさらなる態様を形成する。
【0030】
治療において使用するために、治療上有効量の式Iの化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体をそのままの化学物質として投与することも可能であるが、活性成分を医薬組成物として提供することが可能である。したがって、本発明は、さらに、治療上有効量の式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体、および1以上の医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体は、上記のとおりである。担体、希釈剤または賦形剤は、該処方の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で許容されなければならない。本発明の別の態様によると、式Iの化合物、またはその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体を1以上の医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む医薬処方の調製法も提供される。
【0031】
医薬処方は、1単位投与量あたり所定量の活性成分を含有する単位投与形態において提供してもよい。かかる単位は、治療されている疾患、投与経路、および患者の年齢、体重および状態にもよるが、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは、1mg〜700mg、より好ましくは、5mg〜100mgの式Iの化合物を含有しうる。または、医薬処方は、単位投与量あたり所定量の活性成分を含有する単位投与形態において提供されてもよい。好ましい単位投与処方は、上記のしたような活性成分の1日量または分割投与量(sub-dose)、またはその適当な一部を含有するものである。さらに、かかる医薬処方は、薬学分野でよく知られた方法のいずれかによって調製されうる。
【0032】
医薬処方は、いずれかの適当な経路による、例えば、経口(バッカルまたは舌下を包含する)、直腸、鼻腔、局所(バッカル、舌下または経皮を包含する)、膣または非経口(皮下、筋内、静脈内、または皮内を包含する)経路による投与に適応させてもよい。かかる処方は、薬学分野で知られたいずれかの方法、例えば、活性成分を担体または賦形剤と結合させることによって調製されうる。
【0033】
経口投与に適応させた医薬処方は、カプセルまたは錠剤のような分離した単位;粉末または顆粒;水性または非水性液体中における溶液または懸濁液;食用泡沫またはホイップ;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして提供されうる。
【0034】
例えば、錠剤またはカプセルの形態における経口投与の場合、活性薬物成分を経口で非毒性の医薬上許容される不活性担体、例えば、エタノール、グリセロール、水などと合わせることができる。粉末は、該化合物を適当な微小な大きさに粉砕し、同様に粉砕した医薬担体、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの食用炭水化物と混合することによって調製される。フレーバー、保存料、分散剤および着色料もまた、配合することができる。
【0035】
カプセルは、上記のように粉末混合物を調製し、成形したゼラチンシースに充填することによって製造される。充填操作の前に、コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体ポリエチレングリコールなどの滑剤(glidant)および滑沢剤(lubricant)を粉末混合物に加えることができる。カプセルを摂取したときの薬剤の利用性を改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を加えることもできる。
【0036】
さらに、所望または必要により、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色料を該混合物に配合することもできる。適当な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えば、グルコースまたはベータ−ラクトース、コーン甘味料、天然および合成ゴム、例えば、アラビアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを包含する。これらの投与形態において使用される滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを包含する。崩壊剤は、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを包含する。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒またはスラッギングし、滑沢剤および崩壊剤を加え、打錠することによって処方される。粉末混合物は、適当に粉砕された化合物を上記のような希釈剤または基剤と、および所望により、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶液遅延剤、第4級塩などの吸収促進剤および/またはベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することによって調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などの結合剤を用いて湿らし、次いで、スクリーンに押し通すことによって造粒することができる。造粒の別法として、粉末混合物を錠剤機に付すことができ、その結果、不完全に成形されたスラッグが砕かれて顆粒になる。該顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加によって、滑らかにして、錠剤成形ダイへの粘着を防ぐことができる。滑らかになった混合物を次いで、打錠する。本発明の化合物は、また、自由流動性の不活性担体と合わせ、造粒またはスラッギング工程を行うことなく直接、打錠することができる。セラックのシーリングコート、糖またはポリマー材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングからなる透明または不透明な保護コーティングを提供することができる。染料をこれらのコーティングに加えて、異なる単位投与量を識別することができる。
【0037】
溶液、シロップまたはエリキシルなどの経口流体は、一定量が所定量の化合物を含有するように、単位投与形態において調製することができる。シロップは、化合物を適当に風味付けした水性溶液中に溶解することによって調製することができ、一方、エリキシルは、非毒性アルコール性ビヒクルの使用によって調製される。懸濁液は、化合物を非毒性ビヒクル中に分散することによって処方することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存料、ペパーミント油などのフレーバー添加物、または天然甘味料もしくはサッカリンもしくは他の人工甘味料などを加えることもできる。
【0038】
適宜、経口投与用の投与単位処方をマイクロカプセルに入れることができる。該処方は、また、例えば、粒状材料をポリマー、ワックスなどでコーティングまたはその中に包埋することによって、放出を延長または抑制するように調製することもできる。
【0039】
式Iの化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体は、また、リポソーム送達系の形態、例えば、小型単層小胞、大型単層小胞および多層小胞の形態において投与することもできる。リポソームは、種々のリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成することができる。
【0040】
式Iの化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体は、また、化合物分子が結合する個々の担体として、モノクローナル抗体を使用することによって送達されてもよい。該化合物は、また、目標設定可能な薬物担体として、可溶性ポリマーと結合させてもよい。かかるポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシデポリリジンを包含することができる。さらに、化合物は、薬物の放出制御の達成において有用なある種の生体分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポレプシロンカプロラクトン(polepsilon caprolactone)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合させてもよい。
【0041】
経皮投与に適応させた医薬処方は、レシピエントの上皮との密接な接触を長時間維持することを意図した分離したパッチとして提供されてもよい。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)において一般に記載されるように、イオン導入によってパッチから送達されてもよい。
【0042】
局所投与に適応させた医薬処方は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エーロゾルまたは油として処方されてもよい。
【0043】
目または他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療の場合、該処方は、好ましくは、局所軟膏またはクリームとして塗布される。軟膏に処方される場合、活性成分は、パラフィンまたは水のいずれかとの混和性軟膏基剤と共に用いてもよい。別法では、活性成分を水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を用いてクリームに処方してもよい。
【0044】
目への局所投与に適応させた医薬処方は、活性成分が適当な担体、特に水性溶媒中に溶解または懸濁された点眼液を包含する。
【0045】
口における局所投与に適応させた医薬処方は、ロゼンジ、パステル(pastille)および口内洗浄剤を包含する。
【0046】
直腸投与に適応させた医薬処方は、座剤または浣腸として提供されてもよい。
【0047】
担体が固体である鼻腔投与に適応させた医薬処方は、例えば、20〜500ミクロンの粒径を有する粗粉末を包含し、それは、鼻から吸うことによって、すなわち、鼻に限りなく近付けて維持した粉末の入った容器からの鼻道を介する迅速な吸入によって、投与される。鼻腔スプレーまたは点鼻液として投与するための担体が液体である適当な処方は、活性成分の水性または油性溶液を包含する。
【0048】
吸入による投与に適応させた医薬処方は、種々の定量加圧エーロゾル、ネブライザーまたは吸入器によって生じうる微粒子ダストまたはミストを包含する。
【0049】
膣投与に適応させた医薬処方は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫またはスプレー処方として提供されてもよい。
【0050】
非経口投与に適応させた医薬処方は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および処方を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含有していてもよい水性および非水性滅菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでいてもよい水性および非水性滅菌懸濁液を包含する。該処方は、単回投与または複数回投与用容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアル中において提供されてもよく、使用直前に、滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥状態において保管されてもよい。即席の注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製されうる。
【0051】
当然のことながら、特に上記した材料の他に、該処方は、目的の処方の型を考慮して、当該分野で慣用の他の薬剤を含んでいてもよい。例えば、経口投与に適当なものには、フレーバー剤がある。
【0052】
本発明の化合物の治療上有効量は、例えば、動物の年齢および体重、治療を必要としている正確な状態およびその重篤度、処方の性質、および投与経路を包含する多くの因子に依存し、最終的には、担当の内科医または獣医の裁量によるであろう。しかしながら、限定するものではないが、好中球減少症;血球減少症;腎不全による貧血または慢性疾患、例えば、自己免疫または癌による貧血、および薬物誘導性貧血を包含する貧血症;赤血球増加症;骨髄抑制;慢性関節リウマチ;COPD;喘息;乾癬;急性ニューロン損傷;心不全;卒中、骨関節炎;および虚血再潅流傷害を包含するhYAK3および/またはMK2不均衡または不適当な活性によって引き起こされる疾患の治療または予防のための式Iの化合物の有効量は、一般に、1日につき、レシピエント(哺乳動物)の体重1kgあたり0.1〜100mg、より普通には、1日につき体重1kgあたり1〜10mgであろう。かくして、70kgの成体哺乳動物の場合、1日あたりの実際の量は、通常、70〜700mgであり、該量は、1日1回で、またはより普通には、合計した1日量が同一となるように1日複数回(例えば、2回、3回、4回、5回または6回)の分割投与量において投与してもよい。その塩または溶媒和物または生理学上機能的な誘導体の有効量は、式Iの化合物自体の有効量の割合として決定すればよい。同様の投与量が、上記した他の状態の治療に適当であると考えられる。
【0053】
調製法
一般式Iの化合物は、下記の合成スキームによって一部示されるような当該分野で既知の有機合成法によって調製されうる。下記のスキームの全てにおいて、所望により、一般的な化学の原理にしたがって、感受性または反応性基のための保護基を用いることは、よく理解されている。保護基は、有機合成の標準的な方法にしたがって扱われる(T. W. Green および P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons)。これらの基は、当業者に容易に明らかになる方法を用いて、化合物合成の好都合な段階において除去される。方法ならびに反応条件の選択およびそれらの実行順序は、式Iの化合物の調製と調和するものとする。当業者は、立体中心が式Iの化合物に存在するか否かを理解するであろう。したがって、本発明は、両方の可能な立体異性体を包含し、ラセミ化合物だけでなく、個々のエナンチオマーも同様に包含する。単一のエナンチオマーとしての化合物が望ましい場合、それは、立体特異的合成または最終産物もしくはいずれかの好都合な中間体の分割によって得てもよい。最終産物、中間体、または出発物質の分割は、当該分野で既知のいずれかの適当な方法によって行えばよい。例えば、E. L. Eliel, S. H. WilenおよびL. N. ManderによるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley-Interscience, 1994)を参照のこと。
【0054】
より特別には、式Iの化合物は、スキームAの製法またはその変形によって製造することができる。下記に、本発明のいくつかの代表的化合物がスキームAに記載された製法またはその変形にしたがって、どのように製造することができるかを記載する。
【0055】
スキームA
【化7】

【0056】
スキームAにおいて、基R、W、R1およびR2は、式Iにおいて定義されたとおりである。式Iの化合物を製造するための製法Aの変形の一例として、最終工程において、式IIの化合物を式4の化合物に加える必要はなく、むしろ、式HNR3R4の化合物を加えることができる。ここに、基−NR3R4は、後で−NR1R2に変換可能な基であり;わずかなかかる変形を下記に例示する。
【0057】
特別な具体例
本明細書中で使用される場合、これらの製法、スキームおよび実施例において使用される記号および慣習は、現代の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと一致する。標準的な1文字または3文字略語は、アミノ酸残基を示すために一般に使用されており、それらは、別記しないかぎり、L−配置であるとする。別記しないかぎり、全ての出発材料は、商業的供給者から入手し、さらに精製することなく用いた。特に、下記の略語を実施例および本明細書を通して使用する。
【0058】
g(グラム); mg(ミリグラム);
L(リットル); mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル); psi(平方インチあたりのポンド);
M(モル濃度); mM(ミリモル濃度);
i.v.(静脈内); Hz(ヘルツ);
MHz(メガヘルツ); mol(モル);
mmol(ミリモル); rt(室温);
min(分); h(時間);
mp(融点); TLC(薄層クロマトグラフィー);
Tr(保持時間); RP(逆相);
MeOH(メタノール); i−PrOH(イソプロパノール);
TEA(トリエチルアミン); TFA(トリフルオロ酢酸);
TFAA(無水トリフルオロ酢酸); THF(テトラヒドロフラン);
DMSO(ジメチルスルホキシド); AcOEt(酢酸エチル);
DME(1,2−ジメトキシエタン); DCM(ジクロロメタン);
DCE(ジクロロエタン); DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);
DMPU(N,N’−ジメチルプロピレン尿素);
CDI(1,1−カルボニルジイミダゾール);
IBCF(クロロギ酸イソブチル); HOAc(酢酸);
HOSu(N−ヒドロキシスクシンイミド);
HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);
mCPBA(メタ−クロロ過安息香酸; EDC(塩酸エチルカルボジイミド);
BOC(tert−ブチルオキシカルボニル);
FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル);
DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);
CBZ(ベンジルオキシカルボニル);
Ac(アセチル); atm(気圧);
TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル);
TMS(トリメチルシリル);
TIPS(トリイソプロピルシリル); TBS(t−ブチルジメチルシリル);
DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);BSA(ウシ血清アルブミン)
ATP(アデノシン三リン酸); HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ);
DMEM(ダルベッコ修飾イーグル培地);
HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);
BOP(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物);
TBAF(フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム);
HBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート);
HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸);
DPPA(アジ化ジフェニルホスホリル);
fHNO3(発煙HNO3);および
EDTA(エチレンジアミン四酢酸)。
【0059】
エーテルに関する全ての言及は、ジエチルエーテルであり、ブラインは、NaClの飽和水性溶液をいう。別記しないかぎり、全ての温度は℃(摂氏)で表される。全ての反応は、別記しないかぎり、不活性雰囲気下、室温で行われる。
【0060】
H NMRスペクトルは、Brucker AVANCE−400で記録された。化学シフトは、百万分率(ppm,δ単位)で表される。カップリング定数は、ヘルツ(Hz)単位である。分裂パターンは、見かけの多重度を示し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、quint(クインテット)、m(マルチプレット)、br(幅広)として示す。
【0061】
LC−MSは、マイクロマスZMDおよびWaters2690で記録された。全ての質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法で得られた。反応のほとんどは、UV光、5%エタノール性燐モリブデン酸またはp−アニスアルデヒド溶液を用いて視覚化される0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F−254)上の薄層クロマトグラフィーによってモニターされた。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(230−400メッシュ,Merck)上で行われた。
【実施例】
【0062】
実施例1.
2−(2,6−ジメトキシ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ia)
【化8】

【0063】
a.[2−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−尿素(2)
【化9】

2−(3−メトキシ−フェニル)−エチルアミン()(50.0g,331mmol)および濃HCl(27.6mL)の水(350mL)中溶液に、シアン酸カリウム(28.2g,348mmol)を加え、50℃で2時間、次いで、室温で2日間攪拌した。形成された沈殿をろ過によって収集した。該固体を水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、標題化合物を得た(53.4g,83%)。
MS(ESI)(M+H)195
【0064】
b.1−[2−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピリミジン−2,4,6−トリオン(3)
【化10】

NaOEt(144mmol,3.3gのNaから新たに調製された)のEtOH(80mL)中溶液に、マロン酸エチル()(22mL,144mmol)のEtOH(250mL)中溶液を加えた。該混合物を還流し、次いで、[2−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−尿素()(23.3g,120mmol)のEtOH(300mL)中溶液を加えた。反応混合物を一晩還流し、次いで、室温に冷却した。該混合物を1M HCl水溶液で注意深く酸性化し、次いで、水(1L)中に注ぎ入れた。形成された沈殿をろ過によって収集し、水で洗浄し、次いで、減圧下で乾燥させて、標題化合物を得た(23.2g,74%)。
MS(ESI)(M+H)263
【0065】
c.2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)
【化11】

1−[2−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピリミジン−2,4,6−トリオン()(18.5g,70.3mmol)のPOCl(175mL)中懸濁液を80℃で一晩攪拌した。溶媒を蒸発によって除去した。残渣に、氷水を加え、次いで、NaOH水溶液で塩基性化した。該混合物をCHClで抽出し、次いで、有機層をNaSOで乾燥させた。蒸発後、残渣をMeOHから再結晶化させて、標題化合物を得た(16.1g,87%)。
MS(ESI)(M+H)263
【0066】
d.2−(2,6−ジメトキシ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ia)
【化12】

2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()(105mg,0.4mmol)のEtOH(10mL)中懸濁液に、2,6−ジメトキシアニリン(153mg,1.0mmol)を加え、75℃で一晩攪拌した。冷却後、混合物をBondElut(登録商標)SCX(Varian Incorporated)で精製し、次いで、MeOHから再結晶化して、標題化合物を得た(31.4mg,21%)。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ8.48(s,1H),7.64(br,1H),7.26(t,1H),6.96(s,2H),6.74(d,2H),6.32(br,1H),3.92(t,2H),3.82(s,3H),3.74(s,6H)および2.93(t,2H);MS(ESI)(M+H)380
【0067】
実施例2.
2−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ib)
【化13】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および1H−インダゾール−5−イルアミンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ13.00(br,1H),9.60(s,1H),8.36(br,1H),8.06(s,1H),7.69(d,1H),7.51(m,2H),7.10−6.95(2H),6.35(s,1H),3.99(t,2H),3.84(s,3H)および2.97(t,2H);MS(ESI)(M+H)360
【0068】
実施例3.
9−メトキシ−2−(2−メトキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ic)
【化14】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および2−メトキシ−6−メチル−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ8.71(br,1H),7.71(br,1H),7.35−6.80(5H),6.39(br,1H),3.92(br,2H),3.83(br,3H),3.74(br,3H),2.94(t,2H)および2.14(br,3H);MS(ESI)(M+H)364
【0069】
実施例4.
2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Id)
【化15】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および1H−インダゾール−6−イルアミンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ12.95(br,1H),9.76(s,1H),8.60(s,1H),7.96(s,1H),7.72−7.60(2H),7.15−6.95(3H),6.42(s,1H),4.01(t,2H),3.85(s,3H)および2.98(t,2H);MS(ESI)(M+H)360
【0070】
実施例5.
2−(2−ブロモ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ie)
【化16】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および2−ブロモ−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.06(br,1H),7.76(br,1H),7.69(2H),7.41(t,1H),7.16(t,1H),7.05−6.95(2H),6.47(br,1H),3.96(t,2H),3.84(s,3H)および2.96(t,2H);MS(ESI)(M+H)398,400
【0071】
実施例6.
3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミド(If)
【化17】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および3−アミノ−ベンゼンスルホンアミドから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.91(s,1H),8.17(d,1H),8.11(s,1H),7.70(d,1H),7.54(t,1H),7.48(d,1H),7.39(br,2H),7.05−6.98(2H),6.37(s,1H),4.00(t,2H),3.85(s,3H)および2.98(t,2H);MS(ESI)(M+H)399
【0072】
実施例7.
2−(2−クロロ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ig)
【化18】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および2−クロロ−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.10(br,1H),7.91(brd,1H),7.70(brd,1H),7.53(dd,1H),7.37(t,1H),7.21(t,1H),7.05−6.95(2H),6.55(br,1H),3.97(t,2H),3.84(s,3H)および2.96(t,2H);MS(ESI)(M+H)354
【0073】
実施例8.
2−(2,6−ジメチル−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ih)
【化19】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および2,6−ジメチル−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR 2つの異性体混合物として(400MHz,d−DMSO)δ8.96および8.87(br,1H),7.75および7.29(d,1H),7.23−6.80(5H),6.37および5.33(br,1H),3.96および3.92(t,2H),3.84および3.78(s,3H),2.95(t,2H)および2.18および2.16(s,6H);MS(ESI)(M+H)348
【0074】
実施例9.
2−(2−ブロモ−6−フルオロ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ii)
【化20】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および2−ブロモ−6−フルオロ−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.26(br,1H),7.72(br,1H),7.57(brd,1H),7.34(br,2H),7.05−6.95(2H),6.37(br,1H),3.94(t,2H),3.84(s,3H)および2.96(t,2H);MS(ESI)(M+H)416,418
【0075】
実施例10.
2−(3−メトキシ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ij)
【化21】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および3−メトキシアニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.59(s,1H),7.68(d,1H),7.52(br,1H),7.30(d,1H),7.23(t,1H),7.05−6.95(2H),6.63(dd,1H),6.35(s,1H),3.98(t,2H),3.84(s,3H),3.75(s,3H)および2.96(t,2H);MS(ESI)(M+H)350
【0076】
実施例11.
2−(2−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ik)
【化22】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および2−ヒドロキシ−6−メチル−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO,60℃にて)δ9.39(br,1H),8.60(br,1H),7.61(br,1H),7.05−6.95(3H),6.75(d,1H),6.73(d,1H),6.34(br,1H),3.95(t,2H),3.83(s,3H),2.95(t,2H),および2.19(s,3H);MS(ESI)(M+H)350
【0077】
実施例12.
9−メトキシ−2−(4−メトキシ−ビフェニル−3−イルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Il)
【化23】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および3−アミノ−4−メトキシ−ビフェニルから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ8.85(s,1H),8.55(br,1H),7.70(d,1H),7.60(d,2H),7.46(t,2H),7.38(dd,1H),7.33(t,1H),7.16(d,1H),7.02(dd,1H),6.98(d,1H),6.72(br,1H),3.97(t,2H),3.91(s,3H),3.84(s,3H)および2.96(t,2H);MS(ESI)(M+H)426
【0078】
実施例13.
3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−安息香酸エチルエステル(Im)
【化24】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および3−アミノ−安息香酸エチルエステルから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.84(s,1H),8.26(s,1H),8.21(d,1H),7.70(d,1H),7.62(d,1H),7.49(t,1H),7.05−6.97(2H),6.36(s,1H),4.33(q,2H),3.99(t,2H),3.85(s,3H),2.97(t,2H)および1.34(t,3H);MS(ESI)(M+H)392
【0079】
実施例14.
9−メトキシ−2−(2−メトキシ−フェニルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(In)
【化25】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および2−メトキシ−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ8.74(s,1H),8.24(br,1H),7.69(d,1H),7.12−6.92(5H),6.70(br,1H),3.97(t,2H),3.87(s,3H),3.84(s,3H)および2.96(t,2H);MS(ESI)(M+H)350
【0080】
実施例15.
9−メトキシ−2−(2−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Io)
【化26】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および2−トリフルオロメチル−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.10(br,1H),7.90−7.35(5H),6.98(2H),6.42(br,1H),3.94(brt,2H),3.83(s,3H)および2.95(t,2H);MS(ESI)(M+H)388
【0081】
実施例16.
2−(4−クロロ−2,6−ジメチル−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ip)
【化27】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および4−クロロ−2,6−ジメチル−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ8.73(br,1H),7.72(br,1H),7.19(s,2H),7.03−6.95(2H),6.36(br,1H),3.95(t,2H),3.85(s,3H),2.96(t,2H)および2.18(s,6H);MS(ESI)(M+H)382
【0082】
実施例17.
9−メトキシ−2−(キノリン−5−イルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Iq)
【化28】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および5−アミノ−キノリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.68(br,1H),8.93(dd,1H),8.47(d,1H),7.89(2H),7.79(t,1H),7.70(d,1H),7.57(dd,1H),7.03−6.97(2H),6.49(br,1H),3.97(t,2H),3.84(s,3H)および2.97(t,2H);MS(ESI)(M+H)371
【0083】
実施例18.
2−(2−クロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ir)
【化29】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および2−クロロ−5−メトキシ−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ8.99(br,1H),7.76−7.60(2H),7.42(d 1H),7.05−6.95(2H),6.80(dd,1H),6.60(s,1H),3.97(t,2H),3.84(s,3H),3.76(s,3H)および2.96(t,2H);MS(ESI)(M+H)384
【0084】
実施例19.
2−[N’−(2−ブロモ−フェニル)−ヒドラジノ]−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Is)
【化30】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および(2−ブロモ−フェニル)−ヒドラジンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO、60℃)δ9.19(br,1H),7.66(brd,1H),7.46(d,1H),7.44(br,1H),7.20(t,1H),6.98−6.75(3H),6.71(t,1H),6.23(s,1H),3.94(t,2H),3.82(s,3H)および2.93(t,2H);MS(ESI)(M+H)413,415
【0085】
実施例20.
9−メトキシ−2−(N’−メチル−N’−フェニル−ヒドラジノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(It)
【化31】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()およびN−メチル−N−フェニル−ヒドラジンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO、60℃)δ9.12(br,1H),7.68(d,1H),7.22(t,2H),6.95−6.75(5H),6.24(s,1H),3.96(br,2H),3.82(s,3H),3.16(s,3H)および2.94(t,2H);MS(ESI)(M+H)349
【0086】
実施例21.
2−(2−アミノ−エチルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Iu)HCl塩
【化32】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()およびN−Boc−エチレンジアミンから、実施例1dのように調製され、次いで、HClで処理した。
H−NMR 2つの異性体の混合物として(400MHz,d−DMSO)δ9.25−8.40(1H),8.32および7.70(d,1H),8.12および8.02(br,3H),7.07−7.00(m,2H),6.80および6.33(s,1H),4.04および3.98(t,2H),3.88および3.85(s,3H),3.80および3.61(q,2H)および3.08−2.94(4H);MS(ESI)(M+H)287。333Kで得られたスペクトルは、単一の異性体を示した。
【0087】
実施例22.
9−メトキシ−2−(2−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Iv)HCl塩
【化33】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および2−ピロリジン−1−イル−エチルアミンから、実施例1dのように調製され、次いで、HClで処理した。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ7.64(d,1H),7.59(br,1H),7.00−6.92(2H),6.18(s,1H),3.92(t,2H),3.82(s,3H),3.46(m,2H),2.91(t,2H),2.90−2.50(6H)および1.76(4H);MS(ESI)(M+H)341
【0088】
実施例23.
2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Iw)
【化34】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および2−ジメチルアミノ−エチルアミンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ7.81(br,1H),7.78(d,1H),7.01−6.95(2H),6.16(s,1H),3.94(t,2H),3.83(s,3H),3.62(br,2H),3.21(br,2H),2.93(t,2H)および2.83(s,6H);MS(ESI)(M+H)315
【0089】
実施例24.
2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Ix)
【化35】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および2−ヒドロキシ−エチルアミンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ7.62(d1H),7.54(t,1H),7.00−6.93(2H),6.17(s,1H),4.85(t,1H),3.91(t,2H),3.82(s,3H)3.50(q,2H),2.91(t,2H)および2HはHOと重複した;MS(ESI)(M+H)288
【0090】
実施例25.
9−メトキシ−2−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Iy)HCl塩
【化36】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミンから、実施例1dのように調製され、次いで、HClで処理した。
H−NMR(400MHz,d−DMSO,60℃)δ8.07(d,1H),7.03−6.95(2H),6.56(s,1H),4.00(t,2H),3.86(s,3H),3.86(2H 重複),3.58(t,2H),3.29(s,3H),3.25(s,3H)および3.00(t,2H);MS(ESI)(M+H)316
【0091】
実施例26.
9−メトキシ−2−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Iz)
【化37】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および4−メトキシ−ベンジルアミンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ7.89(t,1H),7.63(d,1H),7.25(d,2H),7.0−6.93(2H),6.90(d,2H),6.16(s,1H),4.45(d,2H),3.92(t,2H),3.82(s,3H),3.73(s,3H)および2.92(t,2H);MS(ESI)(M+H)364
【0092】
実施例27.
9−メトキシ−2−(3−メトキシ−ベンジルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(Iaa)
【化38】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および3−メトキシ−ベンジルアミンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ7.95(t,1H),7.65(d,1H),7.25(t,1H),7.00−6.85(4H),6.82(dd,1H),6.19(s,1H),4.50(d,2H),3.92(t,2H),3.82(s,3H),3.74(s,3H)および2.92(t,2H);MS(ESI)(M+H)364
【0093】
実施例28.
3−ブロモ−N−[3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(Iab)
【化39】

【0094】
a.2−(3−ニトロ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(5)
【化40】

標題化合物は、2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(4)および3−ニトロ−アニリンから、実施例1dのように調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ10.10(s,1H),8.87(s,1H),8.13(d,1H),7.88(m,1H),7.73(d,1H),7.63(t,1H),7.02(m,2H),6.38(s,1H),4.01(t,2H),3.85(s,3H)および2.99(t,2H);MS(ESI)(M+H)365
【0095】
b.2−(3−アミノ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(6)
【化41】

2−(3−ニトロ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()(525.4mg,1.4mmol)のAcOH(40mL)中溶液に、Zn粉末(約300mg)を加え、室温で3時間、次いで、40℃で一晩攪拌した。冷却後、MeOHを該混合物に加え、不溶性物質をろ過により除去した。該MeOH溶液をBondElut SCX(Varian Incorporated)で精製し、次いで、BondElut NH2(Variant Incorporated)に通過させた。得られた固体をMeOHで洗浄して、標題化合物を得た(215.1mg,46%)。
MS(ESI)(M+H)335
【0096】
c.3−ブロモ−N−[3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(Iab)
【化42】

2−(3−アミノ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()(20.0mg,0.06mmol)のTHF(2mL)中混合物に、トリエチルアミン(13μL,0.09mmol)および3−ブロモベンゾイルクロリド(10μL,0.07mmol)を加え、50℃で2時間攪拌した。該混合物を濃HClでクエンチし、BondElut SCX(Varian Incorporated)で精製した。形成された固体をCHClで洗浄して、標題化合物を得た(25.3mg,81%)。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ10.43(s,1H),9.68(s,1H),8.15(t,1H),8.08(s,1H),7.97(dt,1H),7.81(ddd,1H),7.75(brd,1H),7.70(d,1H),7.51(t,1H),7.36(dt,1H),7.31(t,1H),7.05−6.98(2H),6.42(s,1H),3.99(t,2H),3.84(s,3H)および2.97(t,2H);MS(ESI)(M+H)517,519
【0097】
実施例29.
シクロペンタンカルボン酸[3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−フェニル]−アミド(Iac)
【化43】

標題化合物は、2−(3−アミノ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()およびシクロペンタンカルボニルクロリドから、実施例28cに記載の方法にしたがって調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.92(s,1H),9.66(br,1H),7.91(s,1H),7.69(d,1H),7.57(br,1H),7.28−7.20(2H),7.05−6.97(2H),6.40(s,1H),3.98(t,2H),3.84(s,3H),2.97(t,2H),2.80(m,1H)および1.92−1.50(8H);MS(ESI)(M+H)431
【0098】
実施例30.
3−ブロモ−N−[3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(Iad)
【化44】

標題化合物は、2−(3−アミノ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()および3−ブロモ−ベンゼンスルホニルクロリドから、実施例28cに記載の方法にしたがって調製された。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ10.47(br,1H),9.62(s,1H),7.95(t,1H),7.91(dt,1H),7.83(ddd,1H),7.68(d,1H),7.62−7.54(2H),7.53(t,1H),7.18(t,1H),7.05−6.97(2H),6.71(dd,1H),6.34(s,1H),3.99(t,2H),3.84(s,3H)および2.97(t,2H);MS(ESI)(M+H)553,555
【0099】
実施例31.
2−メトキシ−N−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イル)−アセトアミド(Iae)
【化45】

【0100】
a.2−アミノ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン(7)
【化46】

2−クロロ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()(919mg,3.5mmol)のNH/EtOH(7mL)中懸濁液をオートクレーブ中、120℃で一晩攪拌した。冷却後、沈殿をろ過し、MeOHで洗浄して、標題化合物を得た(898.3mg,定量的)。
1H−NMR(400MHz,d6−DMSO)δ7.99(b,1H),7.71(d,1H),7.44(b,1H),7.01(dd,1H),7.00(s,1H),6.22(s,1H),3.95(t,2H),3.85(s,3H)および2.97(t,2H);MS(ESI)(M+H)+243
【0101】
b.2,4,6−トリクロロ−N−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イル)−ベンズアミド(Iae)
【化47】

2−アミノ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()(40mg,0.16mmol)のCHCl(3mL)中懸濁液に、DMAP(30.1mg,0.24mmol)および2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド(37.5μL,0.24mmol)を加え、25℃で一晩攪拌した。冷却後、混合物をBondElut SCX(Varian Incorporated)、次いで、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶出液としてCHCl/MeOH=50/1)上で精製して、標題化合物を得た(17.1mg,24%)。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.90(d,1H),7.42(s,2H),6.95(dd,1H),6.82(d,1H),4.27(t,2H),3.90(s,3.17)および3.03(t,2H);MS(ESI)(M+H)449
【0102】
実施例32.
2−メトキシ−N−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イル)−アセトアミド(Iaf)
【化48】

標題化合物は、2−アミノ−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オン()およびメトキシ−アセチルクロリドから、実施例31bに記載の製法にしたがって得られた。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ7.76(d,1H),7.61(s,1H),7.03(dd,1H),7.02(s,1H),4.10(s,2H),4.06(t,3H),3.85(s,1H)および3.00(t,2H);MS(ESI)(M+H)315
【0103】
生物学的方法およびデータ
表1および2における代表的化合物によって示されるように、本発明の化合物は、そのhYAK3および/またはMK2キナーゼ酵素阻害能のために、価値のある薬理学的性質を有する。下記は、各々、hYAK3およびMK2阻害活性を測定するためのアッセイ法である。
【0104】
燐アクセプターとしてミエリン塩基性蛋白質のSer164を用いるYAK3シンチレーション近接アッセイ
Ser164基質ペプチドの供給源:
ビオチン化したSer164、S164Aペプチド(ビオチニル−LGGRDSRAGSPMARR−OH)、Ser162がAla162に置換されたウシミエリン塩基性蛋白質(MBP)のC末端由来の配列をCalifornia Peptide Research Inc.(Napa, CA)から購入し、その純度をHPLCで測定した。164位置でリン酸化が起こる(上記Sでマークした)。該ペプチドの計算された分子量は、2166ダルトンであった。固体試料をDMSO中に10mMで溶解し、アリコートし、使用するまで−20℃で保管した。
【0105】
酵素の供給源
hYAK3:ヒトYAK3のアミノ酸残基124−526(米国特許第6,323,318号において、配列番号2のaa124−526)を含有するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−hYak3−His6をSf9細胞におけるバキュロウイルス発現系から、グルタチオンセファロース4Bカラムクロマトグラフィー、次いで、Ni−NTA−アガロースカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。典型的には、65%以上の純度が達成された。試料を、50mM Tris、150mM NaCl、10%グリセロール、0.1% Triton、250mMイミダゾール、10mM β−メルカプトエタノール、pH8.0中において、使用するまで−80℃で保管した。
【0106】
精製hYAK3のキナーゼアッセイ
アッセイは、96ウェル(Costar,カタログNo.3789)または384ウェルプレート(Costar,カタログNo.3705)中において行われた。反応(20、25、または40μl容量において)混合物は、最終濃度25mMのHepesバッファー、pH7.4;10mM MgCl;10mM β−メルカプトエタノール;0.0025% Tween−20;0.001mM ATP、0.1μCiの[γ−33P]ATP;精製hYAK3(7−14ng/アッセイ;4nM最終濃度);および4μM Ser164ペプチドを含有した。DMSO中で滴定された化合物は、50μM〜0.5nMの濃度範囲で評価された。DMSOの最終的なアッセイ濃度は、5%を越えず、DMSOを含有しない対照と比べて、15%未満のYAK3活性喪失をもたらした。反応物を室温で2時間インキュベートし、PBS、pH7.4、10mM EDTA、0.1% Triton X−100、1mM ATP中における0.19μgのストレプトアビジンシンチレーション近接ビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,カタログNo.RPNQ0007)を75μl添加することによって、停止した。上記のアッセイ条件下、ATPに関するK(見かけ)は、7.2+/−2.4μMであると決定された。
【0107】
【表1】

pIC50=−log10(IC50
【0108】
MAPKAP2キナーゼ(MK2)酵素アッセイ
γ−リン酸のATPからビオチン化ペプチド[NH2−K(ビオチン)−KLNRTLSVA(SynPep Corporation, USA)]のセリン/スレオニン残基へのMK2触媒性移動を測定するアッセイにおいて、化合物をMAPKAP2キナーゼ(MK2)阻害活性について試験する。分析下の化合物は、DMSO中に1mMまで溶解し、96または384−ウェルポリプロピレンまたはポリスチレンプレート中において、DMSOを用いて3倍連続希釈して、全部で10−12種類の濃度にする。1μLの各濃度を、96または384−ウェルの白色ポリスチレンアッセイプレートの対応するウェルに移す。最終容量26μLで、反応を行う。ATP溶液(10μL)を各ウェルに加え、MK2/ペプチド混合物(15μL)の添加によって、反応を開始する。該ATP溶液は、HO中で調製し、2.6μMの非放射性ATP(SigmaUltra)および6.5μCi/mLの[γ−33P]−ATP(Amersham Pharmacia Biotech)から構成される。MK2/ペプチド混合物は、86.7mM HEPES(SigmaUltra)、pH7.5、8.67mM MgCl(SigmaUltra)、0.0043%Tween20、1.73mMジチオトレイトール(冷凍1Mストックから新たに加える)、1.73μMペプチドおよび1.73nM精製組み換えMK2から構成される。アッセイ成分の最終濃度は、50mM HEPES、pH7.5、5mM MgCl、0.0025%Tween20、1mMジチオトレイトール、1μM ATP、2.5μCi/mL[γ−33P]−ATP、1μMペプチド基質、および1nM MK2である。反応を40分間進行させ、次いで、「停止溶液」(20μL)の添加によって停止させ、次いで、「ビーズ混合物」(50μL)を添加する。「停止溶液」は、50mM HEPES、pH8、2.30mM非放射性ATP、および0.23M EDTAからなり、「ビーズ混合物」は、3mg/mLストレプトアビジン−被覆性ポリビニルトルエンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech)を含有するPBSである。阻害剤を含まないこれらの条件下、反応は、約15%のペプチド基質およびATPを消費する。プレートを約8時間静置し、次いで、TopCount NXTTM(登録商標)(Packard)を用いて定量する。別法では、プレートを少なくとも約1時間静置させ、900rpmで3分間遠心分離し、次いで、TopCount NXTTM(Packard)を用いて定量する。対照は、各アッセイプレートに置かれ、ここに、正の対照(シグナルmax)は、化合物を含まないDMSOを1μL含有し、負の対照(シグナルmin)は、化合物を含まないDMSOを1μL、さらに4.5μLの0.5M EDTA、pH8(Invitrogen Corporation,GIBCOTM)を含有する。MK2活性の阻害パーセントは、等式[1]
【数1】

[式中、シグナル試料は、化合物を含有する特定の試料ウェルにおいて観察されるシグナルであり、シグナルmaxおよびシグナルminは、上記のとおりである]
を用いて、各化合物濃度について計算される。シグナルmaxおよびシグナルminに用いられる値は、各プレート内に含まれる対応する対照ウェルの平均である。各化合物用量応答についてのデータは、阻害パーセント(y) 対 化合物濃度(x)としてプロットし、非線形回帰によって等式[2]
【数2】

[式中、Y2は、ベースラインの阻害パーセントであり、Vmaxは、正味の最大阻害パーセント(ベースラインを減じた)であり、Kは、IC50である]
に適合させる。記載のアッセイ条件下、ATP濃度は、見かけのATP Kをはるかに下回り、故に、IC50値は、K値とほとんど等しい。各化合物に関する結果は、等式[3]
【数3】

を用いて計算されるpIC50として記録する。
【0109】
【表2】

【0110】
本発明の有用性
上記の生物学的データは、明らかに、式Iの化合物が、限定するものではないが、好中球減少症;血球減少症;腎不全による貧血または慢性疾患、例えば、自己免疫または癌による貧血、および薬物誘導性貧血を包含する貧血症;赤血球増加症;骨髄抑制;慢性関節リウマチ;COPD;喘息;乾癬;急性ニューロン損傷;心不全;卒中、骨関節炎;および虚血再潅流傷害を包含するhYAK3および/またはMK2蛋白質が関与する病状の治療または予防に有用であることを示す。
【0111】
式Iの化合物は、特に、造血系の疾患、特に貧血の治療に有用である。かかる貧血は、無形成性貧血および骨髄異形成症候群からなる群から選択される貧血を包含する。かかる貧血は、また、貧血が癌、白血病およびリンパ腫からなる群から選択される原発性疾患の結果であるものを包含する。かかる貧血は、また、貧血が腎臓疾患、腎不全または腎障害からなる群から選択される原発性疾患の結果であるものを包含する。かかる貧血は、貧血が化学療法または放射能療法の結果であるもの、特に、化学療法が癌のための化学療法またはHIV感染に対するAZT治療であるものを包含する。かかる貧血は、貧血が骨髄移植または幹細胞移植の結果であるものを包含する。かかる貧血は、また、新生児の貧血を包含する。かかる貧血は、また、ウイルス、真菌、細菌または寄生虫感染の結果であるものを包含する。
【0112】
式Iの化合物は、また、正常な赤血球数を増加するために有用である。かかる増加は、種々の目的、特に、医学的目的、例えば、輸血に対する患者の準備および手術に対する患者の準備などの目的に望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1は、水素、−NH、またはC1−6アルキルであり;
R2は、水素であるか;または
R2は、式
【化2】

(式中、
Wは、結合、−CH−、−CHCH−、−C(=O)−、−NCH−、または−NH−であり;
Rは、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル、ヒドロキシ、−NH、(C1−6アルキル)N−、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOCH−、独立して1〜3個のC1−6アルキル、ハロゲン、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOC(=O)−、アセチル、NHC(=O)−、FSO−、−CF、NHSO−、ジメチルアミノ;HOCH−、CHNHC(=O)−、ヒドロキシ、フェニルで置換されていてもよいフェニルであるか;または
Rは、式
【化3】

【化4】

で示される基であり、
但し、Wに対するRの結合点が酸素または窒素である場合、WはCHであることはない)
で示される基である]
で示される化合物、あるいはその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体。
【請求項2】
R1が水素またはC1−6アルキルであり;
R2が水素であるか;または
R2が式
【化5】

[式中、Wは、結合、−CH−、−CHCH−、−C(=O)−、−NCH−、または−NH−であり;
Rは、C1−6アルキル、ヒドロキシ、−NH、(C1−6アルキル)N−、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOCH−、独立して1〜3個のC1−6アルキル、ハロゲン、C1−6アルキルO−、C1−6アルキルOC(=O)−、−CF、NHSO−、ヒドロキシ、フェニルで置換されていてもよいフェニルであるか;または
Rは、式
【化6】

で示される基であり、
但し、Wに対するRの結合点が酸素または窒素である場合、WはCHであることはない]
で示される基である請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
治療上有効量の請求項1または2記載の化合物、あるいはその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物において、hYAK3および/またはMK2蛋白質を阻害する方法。
【請求項4】
治療上有効量の請求項1または2記載の化合物、あるいはその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体ならびに1以上の医薬上許容される担体、希釈剤および賦形剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、好中球減少症;血球減少症;腎不全による貧血または慢性疾患、例えば、自己免疫または癌による貧血、および薬物誘導性貧血を包含する貧血症;赤血球増加症;骨髄抑制;慢性関節リウマチ;COPD;喘息;乾癬;急性ニューロン損傷;心不全;卒中、骨関節炎;および虚血再潅流傷害からなる群から選択される障害を治療または予防する方法。
【請求項5】
2−(2,6−ジメトキシ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
2−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
9−メトキシ−2−(2−メトキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
2−(1H−インダゾール−6−イルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
2−(2−ブロモ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミドである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
2−(2−クロロ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
2−(2,6−ジメチル−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
2−(2−ブロモ−6−フルオロ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
2−(3−メトキシ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
2−(2−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
9−メトキシ−2−(4−メトキシ−ビフェニル−3−イルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−安息香酸エチルエステルである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
9−メトキシ−2−(2−メトキシ−フェニルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
9−メトキシ−2−(2−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
2−(4−クロロ−2,6−ジメチル−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
9−メトキシ−2−(キノリン−5−イルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
2−(2−クロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
2−[N’−(2−ブロモ−フェニル)−ヒドラジノ]−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
9−メトキシ−2−(N’−メチル−N’−フェニル−ヒドラジノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
2−(2−アミノ−エチルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項26】
9−メトキシ−2−(2−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項27】
2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項28】
2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−9−メトキシ−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項29】
9−メトキシ−2−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項30】
9−メトキシ−2−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項31】
9−メトキシ−2−(3−メトキシ−ベンジルアミノ)−6,7−ジヒドロ−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−4−オンである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項32】
3−ブロモ−N−[3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミドである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項33】
シクロペンタンカルボン酸[3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−フェニル]−アミドである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項34】
3−ブロモ−N−[3−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミドである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項35】
2−メトキシ−N−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イル)−アセトアミドである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項36】
2,4,6−トリクロロ−N−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イル)−ベンズアミドである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項37】
2−メトキシ−N−(9−メトキシ−4−オキソ−6,7−ジヒドロ−4H−ピリミド[6,1−a]イソキノリン−2−イル)−アセトアミドである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。


【公表番号】特表2007−525475(P2007−525475A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518862(P2006−518862)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/021701
【国際公開番号】WO2005/007092
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】