説明

新規尿素誘導体群およびそれらの利用

本発明はニコチン性アセチルコリン受容体群として見出される新規尿素誘導体群に関する。それらの薬学的側面によると、本発明の化合物群は中枢神経系(CNS),末梢神経系(PNS)のコリン作動性系に関係する多様な病気または障害、平滑筋収縮に関係する病気または障害、内分泌の病気または障害、神経変性に関係する病気または障害、炎症、疼痛に関係する病気または障害および化学物質の乱用の結果で生じる病気または障害の治療に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明はニコチン性アセチルコリン受容体群の修飾因子群として見出された新規尿素誘導体群に関する。それらの薬理学的な特性によれば、本発明の化合物群は中枢神経系(CNS),抹消神経系(PNS)のコリン作動性系に関するような多様な病気または障害、平滑筋収縮に関する病気または障害、内分泌の病気または障害、神経変性に関する病気または障害、化学物質の乱用の結果で生じる炎症、疼痛および禁断症状に関する病気または障害の治療に有用でありうる。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
内因性コリン作動性の神経伝達物質であるアセチルコリンはムスカリン性アセチルコリン受容体群(mAChR)およびニコチン性アセチルコリン受容体群(nAChR)という2種類のコリン作動性受容体を通してその生物的効果を及ぼす。
【0003】
記憶および認識に重要な脳領域においてはムスカリン性アセチルコリン受容体群が量的にニコチン性アセチルコリン受容体群を上回っている事実は定着しており、記憶に関連した障害の治療のための薬剤群の開発を目的とした多くの研究はムスカリン性アセチルコリン受容体修飾因子群の合成に焦点を絞っていた。
【0004】
しかしながら最近nAChR修飾因子群の開発への関心が浮上してきている。数種の病気、即ちアルツハイマー型の老人性認知症、血管性認知症およびアルコール依存症に直接結びついた器質性脳障害病による認識障害は、コリン作動性系の変性とかかわりがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(本発明の概要)
本発明はニコチン性受容体の新規修飾因子群提供に関し、修飾因子群はコリン作動性受容体群に関する病気または障害の治療に有用で、具体的にはニコチン性アセチルコリンα7受容体サブタイプである。
【0006】
本発明の化合物群は種々の診断的方法における診断用手段またはモニタリング剤、具体的には生体内受容体画像処理(神経画像処理)としても有用で、それらは標識化または非標識化様式で使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その最初の態様では、本発明は式Iの尿素誘導体群、
【0008】
【化1】


その鏡像異性体のいずれか、またはその鏡像異性体の混合物のいずれか、またはプロドラッグ、またはそれらの薬学的に許容されうる付加塩を提供するが、式中
XはO,SまたはNR'''を表し;R'''は水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキルまたはシアノを表し;
R'およびR''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル‐アルキルを表し;
は水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''、‐NR''''(CO)Ar、‐NR''''(CO)NR''''R'''''、‐NR''''(CO)NR'''''Ar、‐NR''''(CO)CH=CH‐R'''''、‐NR''''(SO)R'''''または‐NR''''(SO)Arの基で;式中R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表し;そしてArはアリール基または芳香族モノ‐または多環状の複素環基を表すか;或いはRは‐CONR''''R'''''または‐SO‐NR''''R'''''の基を表し、R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;またはR''''およびR'''''は結合している窒素原子とともに複素環を形成するか、或いは
は以下の式の基を表し、
【0009】
【化2】


は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0010】
二番目の態様では、本発明は本発明の尿素誘導体またはその薬学的に許容されうる付加塩の治療効果量を少なくとも1種の薬学的に許容されうる担体または希釈剤とともに含んでいる医薬組成物を提供する。
【0011】
他の態様からみると、本発明は本発明の尿素誘導体またはその薬剤的に許容されうる付加塩を、ヒトを含んだ哺乳類の病気または障害または病状の治療、防止または緩和するための医薬組成物/薬剤の製造用への利用に関し、その病気、障害または病状はコリン作動性受容体群の変調に反応するものである。
【0012】
更に他の態様では、本発明はヒトを含む生きている動物体の病気、障害または病状の治療、防止または緩和用の方法を提供し、その障害、病気または病状はコリン作動性受容体群の変調に反応するもので、その方法には当該生きている動物体にその必要に応じて本発明の尿素誘導体の治療的効果量を投与する処置を含む。
【0013】
本発明の他の目的は、当技術分野の当事者にとっては以下の詳細な説明および実施例から明らかであろう。
【0014】
(本発明の詳細な開示)
(尿素誘導体群)
その最初の態様では、本発明は式Iの尿素誘導体群、
【0015】
【化3】


その鏡像異性体のいずれかまたはその鏡像異性体のいずれかの混合物、またはプロドラッグ、またはそれらの薬学的に許容されうる付加塩を提供するが、式中
XはO,SまたはNR'''を表し;R'''は水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキルまたはシアノを表し;
R'およびR''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル‐アルキルを表し;
は水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''、‐NR''''(CO)Ar、‐NR''''(CO)NR''''R'''''、‐NR''''(CO)NR'''''Ar、‐NR''''(CO)CH=CH‐R'''''、‐NR''''(SO)R'''''または‐NR''''(SO)Arの基で;R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表し;そしてArはアリール基または芳香族モノ‐または多環状の複素環基を表すか;或いはRは‐CONR''''R'''''または‐SO‐NR''''R'''''の式の基を表し、そのR''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;またはR''''およびR'''''は結合している窒素原子とともに複素環を形成するか、或いは
は以下の式の基を表し、
【0016】
【化4】


は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表し;そして
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0017】
好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中XはO、SまたはNR'''を表し;R'''は水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキルまたはシアノを表す。
【0018】
より好ましい実施形態では、XはOを表す。
【0019】
他の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中R'およびR''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル‐アルキルを表す。
【0020】
より好ましい実施形態では、R'およびR''は両方とも水素を表す。
【0021】
三番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''、‐NR''''(CO)Ar、‐NR''''(CO)‐NR''''R'''''、‐NR''''(CO)NR'''''Ar、‐NR''''(CO)CH=CH‐R'''''、‐NR''''(SO)R'''''または‐NR''''(SO)Arの基で;R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表し;そしてArはアリール基または芳香族モノ‐または多環状の複素環基を表すか;或いはRは‐CONR''''R'''''または‐SO‐NR''''R'''''の基を表し、R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;またはR''''およびR'''''は結合している窒素原子とともに複素環を形成するか、或いは
は以下の式の基を表す。
【0022】
【化5】

【0023】
更に好ましい実施形態では、Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''、‐NR''''(CO)Ar、‐NR''''(CO)‐NR''''R'''''、‐NR''''(CO)NR'''''Ar、‐NR''''(CO)CH=CH‐R'''''、‐NR''''(SO)R'''''または‐NR''''(SO)Arの基で;R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表し;そしてArはフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルまたはピリジニルを表すか;或いはRは‐CONR''''R'''''または‐SO‐NR''''R'''''の式の基を表し、R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;またはR''''およびR'''''は結合している窒素原子とともにピロリジニル、ピペリジニル、モルホルリニルおよびピペラジニルから選ばれる複素環を形成する。
【0024】
更により好ましい実施形態では、式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''を表し、R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;或いはRは以下の式の基を表す。
【0025】
【化6】

【0026】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノまたは‐NH(CO)アルキルを表す。
【0027】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、アミノまたは‐NH(CO)メチルを表す。
【0028】
更にその上より好ましい実施形態では、Rは水素、ヒドロキシ、アミノまたは‐NH(CO)メチルを表す。
【0029】
四番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0030】
より好ましい実施形態では、Rは水素、ヒドロキシ、ハロを表す。
【0031】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、ヒドロキシ、ClまたはBrを表す。
【0032】
五番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物であり、式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0033】
より好ましい実施形態では、Rは水素、ヒドロキシ、ハロまたはニトロを表す。
【0034】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、ヒドロキシまたはハロを表す。
【0035】
六番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0036】
は水素、アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0037】
より好ましい実施形態では、Rは水素、アルキルまたはハロを表す。
【0038】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、メチルまたはClを表す。
【0039】
七番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0040】
より好ましい実施形態では、Rは水素、ニトロまたはアミノを表す。
【0041】
更により好ましい実施形態では、Rは水素またはアミノを表す。
【0042】
八番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表す。
【0043】
より好ましい実施形態では、Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0044】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、ハロ、ハロアルキルまたはフェニルを表す。
【0045】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、ハロアルキルまたはフェニルを表す。
【0046】
更により好ましい実施形態では、Rは水素、ハロまたはハロアルキルを表す。
【0047】
九番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物であり、式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表す。
【0048】
より好ましい実施形態では、Rは水素、ニトロまたはフェニルを表す。
【0049】
更により好ましい実施形態では、Rは水素またはフェニルを表す。
【0050】
更により好ましい実施形態では、Rは水素またはニトロを表す。
【0051】
十番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物であり、式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す。
【0052】
より好ましい実施形態では、Rは水素、ヒドロキシ、ハロまたはアルコキシを表す。
【0053】
より好ましい実施形態では、Rは水素またはハロを表す。
【0054】
十一番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物であり、式中
は水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノまたは‐NH(CO)メチルを表し;
は水素、ヒドロキシまたはハロを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロまたはニトロを表し;
は水素、アルキルまたはハロを表し;
は水素、アルキル、アミノまたはニトロを表し;
は水素、ハロ、ハロアルキルまたはフェニルを表し;
は水素、アルキルまたはフェニルを表し;そして
は水素、ヒドロキシ、ハロまたはアルコキシを表す。
【0055】
より好ましい実施形態では、
は水素、ヒドロキシ、アミノまたはN‐アルキルカルボニル‐アミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、クロロまたはブロモを表し;
は水素、ヒドロキシ、クロロまたはニトロを表し;
は水素、メチルまたはクロロを表し;
は水素、アミノまたはニトロを表し;
は水素、クロロまたはトリフルオロメチルを表し;
は水素またはニトロを表し;そして
は水素、ヒドロキシ、クロロまたはメトキシを表す。
【0056】
他のより好ましい実施形態では、
は水素、メチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノまたはN‐メチルカルボニル‐アミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、クロロまたはブロモを表し;
は水素、ヒドロキシ、クロロまたはニトロを表し;
は水素、メチルまたはクロロを表し;
は水素、メチル、アミノまたはニトロを表し;
は水素、クロロ、トリフルオロメチルまたはフェニルを表し;
は水素、アルキルまたはフェニルを表し;そして
は水素、ヒドロキシ、クロロまたはメトキシを表す。
【0057】
十二番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中
はヒドロキシを表し;
は水素またはハロを表し;
は水素またはニトロを表し;
は水素またはハロを表し;
は水素、ニトロまたはアミノを表し;
はハロまたはハロアルキルを表し;
は水素またはフェニルを表し;そして
は水素、ハロまたはアルコキシを表す。
【0058】
より好ましい実施形態では、
はヒドロキシを表し;
は水素またはハロを表し;
は水素またはニトロを表し;
はハロを表し;
は水素またはニトロを表し;
はハロまたはハロアルキルを表し;
は水素を表し;そして
は水素、ハロまたはアルコキシを表す。
【0059】
他のより好ましい実施形態では、
はヒドロキシを表し;
は水素、クロロまたはブロモを表し;
は水素またはニトロを表し;
は水素またはクロロを表し;
は水素、ニトロまたはアミノを表し;
はクロロまたはトリフルオロメチルを表し;
は水素またはフェニルを表し;そして
は水素、クロロ、ヒドロキシまたはメトキシを表す。
【0060】
十三番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中
はヒドロキシを表し;
は水素、ヒドロキシまたはハロを表し;
は水素またはヒドロキシを表し;
はアルキルまたはハロを表し;
は水素を表し;
は水素、ハロアルキルまたはフェニルを表し;
は水素またはフェニルを表し;そして
は水素またはハロを表す。
【0061】
より好ましい実施形態では、
は水素を表し;
は水素、ヒドロキシまたはハロを表し;
は水素またはヒドロキシを表し;
はアルキルまたはハロを表し;
は水素を表し;
はハロアルキルを表し;
は水素を表し;そして
は水素、ヒドロキシ、ハロまたはアルコキシを表す。
【0062】
更により好ましい実施形態では、
は水素、ヒドロキシまたはクロロ;および
はトリフルオロメチルを示す。
【0063】
十四番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中
はアルキル、アルコキシ、アミノまたはN‐アルキルカルボニル‐アミノを表し;
は水素を表し;
はヒドロキシまたはハロを表し;
は水素またはハロを表し;
は水素を表し;
はハロアルキルを表し;
は水素を表し;そして
は水素またはハロを表す。
【0064】
十五番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中
は水素またはヒドロキシを表し;
は水素またはヒドロキシを表し;
は水素を表し;
は水素、アルキルまたはハロを表し;
は水素またはアミノを表し;
は水素またはハロアルキルを表し;
は水素またはニトロを表し;そして
は水素またはヒドロキシを表す。
【0065】
十六番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中
は水素、アミノまたはN‐アルキルカルボニル‐アミノを表し;
は水素を表し;
はヒドロキシまたはハロを表し;
はハロを表し;
は水素を表し;
はハロアルキルを表し;
は水素を表し;そして
は水素またはハロを表す。
【0066】
十七番目の好ましい実施形態では、本発明の尿素誘導体は式Iの化合物で、式中
は水素、アミノまたは‐NH(CO)メチルを表し;
は水素を表し;
はヒドロキシまたはクロロを表し;
はクロロを表し;
は水素を表し;
はトリフルオロメチルを表し;
は水素を表し;そして
は水素またはハロを表す。
【0067】
非常に好ましい実施形態では、式Iの尿素誘導体は
N‐(3‐クロロ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐アミノ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐ヒドロキシ‐4‐ニトロ‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐アミノ‐4,5‐ジクロロ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐{4,5‐ジクロロ‐2‐[3‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐ウレイド]‐アセトアミド;
N‐(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(4‐ヒドロキシ‐6‐メチル‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(ビフェニル‐3‐イル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N'‐(5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(3,5‐ジクロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(4‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(5‐クロロ‐2‐メトキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐ヒドロキシ‐6‐ニトロ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;または
N‐(3‐クロロ‐6‐メトキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐ヒドロキシ‐4‐ニトロ‐フェニル)‐尿素;
或いは鏡像異性体またはその鏡像異性体群の混合物或いはその薬学的に許容できる付加塩である。
【0068】
本明細書に説明した2以上の実施形態のいずれの組合わせも本発明の目的の範囲内とみなされる。
【0069】
(置換基の定義)
本発明の文脈では、アルキル基は一価の飽和で直鎖または分岐の炭化水素鎖を称する。当該炭化水素鎖は好ましくは1個から18個の炭素原子(C1〜18‐アルキル)、より好ましくはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、三級ペンチル、ヘキシルおよびイソヘキシルを含んでいる1個から6個の炭素原子(C1〜6‐アルキル:低級アルキル)を含む。より好ましい実施形態では、アルキルはブチル、イソブチル、二級ブチルおよび三級ブチルを含んでいるC1〜4‐アルキル基を表す。本発明の他の好ましい実施形態では、アルキルはC1〜3‐アルキル基を表し、具体的にはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルでありうる。
【0070】
本発明の文脈では、シクロアルキル基は、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含んだ3個から7個の炭素原子(C3〜7‐シクロアルキル)を含有する環状アルキル基を称する。
【0071】
本発明の文脈では、シクロアルキル‐アルキル基は上で定義したようなシクロアルキル基を称するが、シクロアルキル基は上で定義したようなアルキル基で置換されている。本発明の好ましいシクロアルキル‐アルキル基の例にはシクロプロピルメチルおよびシクロプロピルエチルが含まれる。
【0072】
本発明の文脈では、アルケニル基はジエン群、トリエン群およびポリエン群を含む1個以上の二重結合を含有する直鎖または分岐の炭素鎖を称する。好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基は少なくとも1個の二重結合を含んでいる2個から8個の炭素原子(C2〜8‐アルケニル)、より好ましくは2個から6個の炭素原子(C2〜6‐アルケニル)からなる。非常に好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基はエテニル;1‐または2‐プロペニル(アリル);1‐、2‐または3‐ブテニルまたは1,3‐ブトジエニル;1‐、2‐、3‐、4‐または5‐ヘキセニル、または1,3‐ヘキサジエニル、または1,3,5−ヘキサトリエニル;1‐、2‐、3‐、4‐、5‐、6‐または7‐オクテニル、または1,3‐オクトジエニル、または1,3,5‐オクトトリエニルまたは1,3,5,7‐オクトテトラエニルである。
【0073】
本発明の文脈では、アルコキシ基は“アルキル‐O‐基”を称し、アルキルは上で定義したものである。好ましい本発明のアルコキシ基にはメトキシおよびエトキシが含まれる。
【0074】
本発明の文脈では、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを表し、ハロアルキルは本明細書で定義したようなアルキル基を称し、アルキル基は1個以上ハロで置換されている。そこでトリハロメチル基は、例えばトリフルオロメチル基、トリクロロメチル基および同じようなトリハロ置換メチル基群を表す。本発明の好ましいハロアルキル基群にはトリハロメチル、好ましくは‐CFが含まれる。
【0075】
本発明の文脈では、ハロアルコキシ基は本明細書で定義したようなアルコキシ基を称し、アルコキシ基は1個以上がハロで置換されている。本発明の好ましいハロアルコキシ基にはトリハロメトキシ、好ましくは‐OCFが含まれる。
【0076】
本発明の文脈では、アリール基は単環または多環状芳香族炭化水素基を称する。本発明の好ましいアリール基群の例にはフェニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニルが含まれる。非常に好ましい実施形態では、本発明のアリール基はフェニルである。
【0077】
本発明の文脈では、芳香族単環または多環状複素環基は芳香族単環、二環または多環式化合物で、その環構造中に1個以上のヘテロ原子を有する。語句“二環および多環複素環基”には1個以上のヘテロ原子を含有しているベンゾ縮合5および6員複素環が含まれる。好ましいヘテロ原子群には窒素(N)、酸素(O)および硫黄(S)が含まれる。
【0078】
本発明の好ましい芳香族単複素環基にはピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびピリジニルが含まれる。
【0079】
本発明の文脈では、R''''およびR'''''はそれらが結合している窒素原子とともに形成している複素環は、少なくとも1個のN原子および場合によりN,SおよびOから選んだ少なくとも1個または2個の追加のヘテロ原子を含んでいる単環複素環を称する。好ましい複素環にはピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルが含まれる。
【0080】
(薬学的に許容されうる塩類)
本発明の尿素誘導体は意図する投与に適したいずれの形態にて供給されることができる。適した形態には薬学的(生理学的)に許容される塩類および本発明の化合物のプレおよびプロドラッグ形態が含まれる。
【0081】
薬学的に許容される付加塩類の例には、制限なく塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマール酸塩、グルタミン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデレート酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン‐2‐スルホン酸塩誘導体、フタール酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン‐p‐スルホン酸塩などの非毒性の無機および有機酸付加塩が含まれる。当該塩類は既知であり当技術分野で説明されている手順で形成できる。
【0082】
本発明の化合物の金属塩類には、カルボキシ基を含有する本発明の化合物のナトリウム塩のようなアルカリ金属塩類が含まれる。
【0083】
立体異性体群
本発明の化合物群は(+)および(−)の形状とともにラセミ体として存在することができる。これらの異性体のラセミ化合物および個々の異性体そのものは本発明の目的内である。
【0084】
ラセミ体群は既知の方法および手法により光学的対掌体に分割できる。当該ジアステレオマー塩群を分離する1つの方法は光学的活性酸を用い、塩基で処理して光学的活性アミン化合物を遊離させる。ラセミ化合物を光学的対掌体に分離する他の方法は光学活性基質におけるクロマトグラフィーに基づく。かくして本発明のラセミ化合物は、例えばd‐およびl‐(酒石酸塩、マンデレン酸塩またはカンファースルホン酸塩)塩の分別結晶により光学的対掌体に分離可能である。
【0085】
本発明の化合物群は、本発明の化合物と(+)または(−)フェニルアラニン、(+)または(−)フェニルグルシン、(+)または(−)カンファン酸から誘導されるような光学的活性な活性化カルボン酸と反応させてジアステレオマーアミド群を形成、或いは本発明の化合物を光学的活性なクロロフォーメートなどと反応させてジアステレオマーのカルバメート群を形成させて分離することもできる。
【0086】
当該光学的異性体群の分離に関する更なる方法は当技術分野で知られている。当該方法には“Enantiomers, Racemates, and Resolutions”, John Wiley and Sons,New York(1981)の中でJaques J,Collet A,& Wilen Sが記載しているような方法が含まれる。
【0087】
光学活性化合物群は光学活性な出発原料群からも調製できる。
【0088】
(尿素誘導体群を製造する方法)
本発明の尿素誘導体は、例えば実験例群に記載されている化学合成に関する従来方法により調製できる。本出願において説明されている工程用の出発材料は既知であるか、市販で入手できる化学物質群から従来の方法で容易に調製できる。
【0089】
同様に本発明の1つの化合物は従来方法を用いて本発明の他の化合物に転換可能である。
【0090】
本明細書で説明した最終生成物群は、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどによる従来手法で単離できる。
【0091】
(生物活性)
本発明はニコチン性受容体の暫定的な新規修飾因子群に関し、その修飾因子群はコリン作動性受容体、具体的にはニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に関係する病気または障害の治療に有効である。本発明の好ましい化合物群は顕著なニコチン性アセチルコリンα7受容体亜型選択性を示す。
【0092】
それらの薬学的側面によれば、本発明の化合物群は中枢神経系(CNS),抹消神経系(PNS)のコリン作動性系に関するような多様な病気または障害,平滑筋収縮に関する病気または障害、内分泌の病気または障害、神経変性に関する病気または障害、疼痛および化学物質の乱用の結果で起こる炎症、疼痛および禁断症状に関する病気または障害の治療にて有効になりうる。
【0093】
本発明の化合物群はまた種々な診断法において診断用材料またはモニタリング剤、具体的には生体内受容体画像処理(神経画像処理)用として有用でもあり、それらは標識化または非標識化形にて使用できる。
【0094】
好ましい実施形態では、本発明の化合物群は中枢神経系に関する病気、障害または病状の治療に使用される。当該病気または障害には、不安、認識障害、学習障害、記憶の障害と不全、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、ハンチントン病気、筋萎縮性側索硬化症、ジル・ド・ラ・トウーレット症候群、精神病、鬱病、躁病、躁鬱病、精神分裂症、脅迫観念障害(OCD)、パニック障害、拒食症、過食症および肥満症のような摂食障害、過眠症、侵害受容、エイズ性認知症、老人性認知症、末梢神経障害、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジー、運動亢進症、癲癇、過食症、外傷後症候群、社会恐怖症、睡眠障害、偽認知症、ガンサー症候群、月経前症候群、後黄体期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖および時差ぼけが含まれる。
【0095】
好ましい実施形態において、本発明の化合物群が使用される中枢神経系に関する病気、障害または病状は認識障害、精神病、神経分裂症および/または鬱病である。
【0096】
他の好ましい実施形態では、本発明の化合物は痙攣性疾患、狭心症、早期分娩、痙攣、下痢、喘息、癲癇、遅発性ジスキネジー、運動亢進症、早漏および勃起困難を含んだ平滑筋収縮に関する病気、障害または病状の治療にて有効でありうる。
【0097】
更に他の好ましい実施形態では、本発明の化合物群は甲状腺中毒症、褐色細胞腫、高血圧および不整脈のような内分泌障害の治療にて有効でありうる。
【0098】
更に他の好ましい実施形態では、本発明の化合物群は一過性無酸素症および誘発性神経変性を含んでいる神経変性障害の治療にて有効でありうる。
【0099】
更に他の好ましい実施形態では、本発明の化合物群はニキビおよび酒さのような炎症性皮膚障害、クロン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎および下痢を含む炎症性病気、障害または病状の治療にて有効でありうる。
【0100】
更に他の好ましい実施形態では、本発明の化合物群は急性、慢性または再発性特質である軽度、中等度または相当重度な疼痛とともに、偏頭痛、手術後の疼痛および幻覚肢疼痛で生じる痛みの治療にて有効でありうる。当該疼痛は具体的には神経症の疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿性神経症や治療後神経痛または末梢神経損傷に関する疼痛の治療にて有効でありうる。
【0101】
最後に本発明の化合物群は依存性物質群の使用の結果で起こされる禁断症状の治療にて有効でありうる。当該依存性物質にはタバコのようなニコチン含有製品、ヘロイン、コカインおよびモルヒネのような麻薬類、ベンゾジアゼピン類およびベンゾジアゼピン様薬剤およびアルコールが含まれる。依存性物質による禁断は一般的に不安や欲求不満を特徴とする外傷性経験、怒り、不安、集中の困難、情動不安、心拍数低下および食欲増進と体重増加である。
【0102】
本文脈では、“治療”は禁断症状群と禁酒の治療、防止、予防および緩和とともに依存性物質の摂取の自発的低減を生じる治療に及ぶ。
【0103】
他の態様では、本発明の化合物群は種々な組織におけるニコチン性受容体群の同定および位置決めに関する診断用薬剤として使用される。
【0104】
(医薬組成物)
他の態様では、本発明は本発明の尿素誘導体の治療的効果量を含む新規医薬組成物を提供する。
【0105】
治療に使用する本発明の化合物はそのままの化合物を投与してもよいが、当該活性成分を場合により生理的に許容されうる塩の形で医薬組成物中に1種以上の補助剤群、賦形剤群、担体群、緩衝剤群、希釈剤群および/または他の慣例の薬学的助剤とともに組み込むのが好ましい。
【0106】
好ましい実施形態では、本発明は本発明の尿素誘導体またはその薬学的に許容されうる塩或いはそれの誘導体が、1種以上の薬学的に許容されうる担体とともに、場合により既知で当技術分野にて使用されている他の治療的および/または予防的成分群とともに含まれる医薬組成物を提供する。当該担体(群)は処方の他の成分群と適合性があり、その受容者にとって害にならないという意味で“許容されうる”ものでなければならない。
【0107】
本発明の医薬組成物は望ましい治療に適したいずれの使い勝手の良い経路で投与することができる。投与の好ましい経路には、具体的には錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末または液状で経口投与、および具体的には経皮、皮下、筋肉内または静脈注射での非経口投与が含まれる。本発明の医薬組成物は当事者であれば標準的方法および望まれる処方に適した従来手法を用いて製造することができる。望めば、活性成分の持続放出をするのに適応した組成物群も用いることができる。
【0108】
処方および投与に関する手法についての更なる詳細はRemington's Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.Easton,PA)の最新版に見出すことができる。
【0109】
実際の投薬量は治療する病気の気性および重症度に依存し、医者の裁量内であり、望まれる治療効果を生み出すには本発明の個々の状況についての投薬量の滴定により変動するであろう。しかしながら、現時点では各服用量当たり活性成分を約0.1から約500mg、好ましくは約1から約100mg、この上なく好ましくは約1から約10mgを含有する医薬組成物が治療処置に適していると考えられている。
【0110】
当該活性成分は1日に1から数回の服用量で投与されてもよい。満足な結果はある種の例において静脈注射では0.1μg/kgおよび経口では1μg/kg程度の投薬量で得ることができる。当該投薬量の上限範囲は現時点では静脈注射では約10mg/kgで経口では100mg/kgである。好ましい範囲は静脈注射で約0.1μg/kgから約10mg/kg/日であり、経口投与では約1μg/kgから約100mg/kg/日である。
【0111】
(治療法)
本発明の尿素誘導体は有用なニコチン性受容体修飾因子であるので、コリン作動性機能障害を含んだ病気の範囲とともにnAChR修飾因子群の作用に対応する障害の範囲の治療に有効である。
【0112】
他の態様では、本発明はヒトを含む生きている動物の病気または障害または病状の治療、防止または緩和に関する方法を提供するが、病気、障害または病状はコリン作動性受容体群の変調に対応し、方法はヒトを含むそのような生きている動物体にそれが必要とする本発明の尿素誘導体の効果量を投与することを含む。
【0113】
本発明の文脈での語句“治療”は治療、防止、予防または緩和の範囲に及び、語句“病気”は疾病、病気、障害および問題である病気に関係する病状の範囲に及ぶ。
【0114】
本発明記載の意図する好ましい適応は前に述べたものである。
【0115】
適切な投薬量の範囲は、常の如く的確な投与方法、投与する際の形状、当該投与を指示した指針、関与する被験者と関与する被験者の体重および更に担当医または獣医者の選択および経験に依存し、1日に0.1から1000ミリグラム、1日に10〜500ミリグラム、特に一日に30〜100ミリグラムと現時点では考えられている。
【0116】
ある種の例では静脈注射で0.005mg/kg、経口投与で0.01mg/kg程度の投薬量で満足な結果を得ることができる。当該投薬量の範囲上限は静脈投与で約10mg/kgおよび経口投与で100mg/kgである。好ましい範囲は静脈注射で約0.001から約1mg/kg、経口投与で約0.1から約10mg/kgである。
【0117】
(実施例)
本発明は更に以下の実施例を参考にして例証するが、これら実施例は請求項で請求する本発明の目的をいかなる意味でも制限するものではない。
(予備実施例1〜6)
【実施例1】
【0118】
N‐(3‐クロロ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1A)
【0119】
【化7】


トルエン600mL中の2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニルイソシアナート20g(90ミリモル)および5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐アニリン13g(90ミリモル)を窒素雰囲気中で90分間攪拌した。当該沈殿物をろ過で単離し、冷トルエンで洗浄してアセトン150mLに溶解させた。当該溶液を、4M塩酸3mLを加えた水300mL中に注入し、生成物をろ過で単離して加熱ランプの下で乾燥させた。収率30g(91%)。融点172〜173℃。
【0120】
以下の化合物をこれと同じやり方で調製した:
N‐(3‐クロロ‐6‐メトキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐ヒドロキシ‐4‐ニトロ‐フェニル)尿素(化合物1B)。融点225〜226℃;
N‐(2‐ヒドロキシ‐6‐ニトロ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1C)。融点174〜175℃;
N‐(2‐アミノ‐4,5‐ジクロロ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1D)。融点207〜209℃;
N‐(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1E)。融点194〜196℃;
N‐(4‐ヒドロキシ‐6‐メチル‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1F)。融点185〜186℃;
N‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1G)。融点215〜218℃;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)尿素(化合物1H)。融点213〜215℃;
N‐(ビスフェニル‐3‐イル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)尿素(化合物1I)。融点252〜253℃;
N‐(ビスフェニル‐4‐イル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)尿素(化合物1J)。融点249〜251℃;
N‐(ビスフェニル‐4‐イル)‐N'‐(5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)尿素(化合物1K)。融点191〜192℃;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(4‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐フェニル)尿素(化合物1L)。融点190〜192℃;
N‐(3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1M)。融点188〜190℃;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(4‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐フェニル)尿素(化合物1N)。融点210〜211℃;および
N‐(5‐クロロ‐5‐メトキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物1O)。融点172〜176℃。
【実施例2】
【0121】
N‐(3,5‐ジクロロ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物2A)
【0122】
【化8】


アセトニトリル50mL中のN‐(3‐クロロ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素1g(2.7ミリモル)を−20℃に冷却し、これにN‐クロロコハク酸イミド0.4gを加えた。当該反応混合物を−20℃にて30分間攪拌した後、室温で16時間攪拌した。当該反応混合物を100mLの水中に注入し、沈殿物をろ過で単離し、水で洗浄して加熱ランプ下で乾燥した。収率1g(93%)。融点161〜163℃。
【実施例3】
【0123】
N‐(3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物3A)
【0124】
【化9】


アセトニトリル30mL中のN‐(3‐クロロ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素1g(2.7ミリモル)およびN‐ブロモコハク酸イミド0.5g(2.7ミリモル)を室温で2時間攪拌し、これにN‐ブロモコハク酸イミド50mgを加えて16時間攪拌した。当該反応混合物を水75mL中に注ぎ、沈殿物をろ過で単離し、水で洗浄して加熱ランプ下で乾燥した。当該沈殿物をアセトンに溶解し、ろ過した。当該ろ液を水中に注ぎ、沈殿物をろ過して加熱ランプ下で乾燥した。収率0.7g(58%)。融点261〜274℃。
【実施例4】
【0125】
N‐(3‐クロロ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐ヒドロキシ‐4‐ニトロ‐フェニル)尿素(化合物4A)
【0126】
【化10】


窒素雰囲気下でジクロロメタン25mL中にN‐(3‐クロロ‐6‐メトキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐ヒドロキシ‐4‐ニトロ‐フェニル)尿素(1.1g;3ミリモル)を懸濁させた。当該懸濁液を0℃に冷却し、これに三臭化ホウ素(4.5ミリモル)を加えて0℃で90分間攪拌して水中に注入した。当該混合物を酢酸エチルで抽出し、当該有機相を蒸発すると油状物質となった。当該残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した。収率27%。融点193〜194℃。
【実施例5】
【0127】
N‐(2‐アミノ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素(化合物5A)
【0128】
【化11】


エタノール100mL中のN‐(2‐ヒドロキシ‐6‐ニトロ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素に活性炭担持パラジウム0.3g(5%)を加えた。当該混合物を水素雰囲気中で1時間激しく攪拌し、ろ過して蒸発させた。当該残留物を酢酸エチル中に溶解し、塩化水素のエーテル液(2M)5mLを加え、当該沈殿物をろ過で単離し、加熱ランプで乾燥した。収率91%。融点188〜189℃。
【実施例6】
【0129】
N‐{4,5‐ジクロロ‐2‐[3‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐ウレイド]‐フェニル}‐アセトアミド(化合物6A)
【0130】
【化12】


酢酸15mL中のN‐(2‐アミノ‐4,5‐ジクロロ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)尿素0.2gに無水酢酸48μLを添加した。当該反応混合物を室温で48時間攪拌し、水を加えた。当該沈殿物をろ過して単離し、水で洗浄して加熱ランプ下で乾燥した。収率64%。融点262〜264℃。
【実施例7】
【0131】
(生物活性)
Morris Water Maze(MWM)は海馬依存の学習および記憶の研究に関する行動神経科学において良く行われる試験である(Morris RG参照:Developments of a Water Maze procedure for studying spatial learning in the rat;J.Neurosci.Meth.1984 11 47〜60)。これはげっ歯類における空間ナビゲーションを試験する標準化行動作業で、動物の認識力を評価するの際の高感度の試験である。
【0132】
MWM動作において動物は円形の(φ150cm)水タンクの中で眼による空間手掛かりを用いて沈んでいる足場(10×10cm)の位置を覚えなければならない。8匹の雄Wister系ラット(n=8)を各実験における各群で用いた。4連続習得日に関して1日当たり4試行において、動物は当該タンクの壁に近い異なる位置から放たれ沈んでいる足場への道を見出す。空間学習能力を足場の位置に到達する時間で評価する。
【0133】
対照ムスカリン性拮抗剤であるスコポラミン(試験開始30分前皮下注射投与)をMWMで測定すると空間参照記憶を顕著に阻害する。この学習阻害は本発明の化合物1の30mg/kgで改善した(試験開始30分前の腹腔内投与)。
【0134】
本実験の結果は図1で示される。
【図面の簡単な説明】
【0135】
本発明は更に添付の図面を参考にして例証される:
【図1】図1は海馬依存の学習および記憶の能力につき、対照のムスカリン拮抗剤であるスコポラミン(SCO)と組合わせたMorris Water Maze試験において本発明の化合物(化合物1)の効果を示す[秒で測定した到達時間、1日当たり4試行(○賦形剤+賦形剤;●賦形剤+0.1mgスコポラミン;△化合物10mg/kg+スコポラミン0.1mg/kg;▲化合物30mg/kg+スコポラミン0.1mg/kg),連続して4日間(第1日目;第2日目;第3日目;第4日目)]。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式で表される尿素誘導体に関し、
【化1】


その鏡像異性体のいずれかまたはその鏡像異性体混合物のいずれか、またはプロドラッグ、またはそれらの薬学的に許容されうる付加塩であり、式中
XはO,SまたはNR'''を表し;R'''は水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキルまたはシアノを表し;
R'およびR''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル‐アルキルを表し;
は水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''、‐NR''''(CO)Ar、‐NR''''(CO)NR''''R'''''、‐NR''''(CO)NR'''''Ar、‐NR''''(CO)CH=CH‐R'''''、‐NR''''(SO)R'''''または‐NR''''(SO)Arの基で;
R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表し;そして
Arはアリール基または芳香族モノ‐または多環状の複素環基を表すか、或いは
は‐CONR''''R'''''または‐SO‐NR''''R'''''を表し、R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;または
R''''およびR'''''は結合している窒素原子とともに複素環を形成しているか、或いは
は以下の式の基を表し;
【化2】


は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表し;そして
は水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す、前記式1の尿素誘導体。
【請求項2】
式中XはO,SまたはNR'''を表し、R'''は水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキルまたはシアノを表す、請求項1記載の尿素誘導体。
【請求項3】
式中R'およびR''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル‐アルキルを表す、請求項1〜2のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項4】
式中R'およびR''の両方が水素を表す、請求項3記載の尿素誘導体。
【請求項5】
式中Rが水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''、‐NR''''(CO)Ar、‐NR''''(CO)‐NR''''R'''''、‐NR''''(CO)NR'''''Ar、‐NR''''(CO)CH=CH‐R'''''、‐NR''''(SO)R'''''または‐NR''''(SO)Arの基であり;
R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表し;そして
Arはアリール基または芳香族モノ‐または多環状の複素環基を表すか、或いは
は‐CONR''''R'''''または‐SO‐NR''''R'''''を表し、R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;または
R''''およびR'''''は結合している窒素原子とともに複素環を形成するか;或いは
は以下の式の基を表す、
【化3】


請求項1〜4のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項6】
式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''、‐NR''''(CO)Ar、‐NR''''(CO)‐NR''''R'''''、‐NR''''(CO)NR'''''Ar、‐NR''''(CO)CH=CH‐R'''''、‐NR''''(SO)R'''''または‐NR''''(SO)Arの基であり;
R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表し;そして
Arはフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルまたはピリジニル;または
は‐CONR''''R'''''または‐SO‐NR''''R'''''を表し、R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;または
R''''およびR'''''は結合している窒素原子とともにピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルから選んだ複素環を形成する、請求項5記載の尿素誘導体。
【請求項7】
式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノまたは式‐NR''''(CO)R'''''の基を表し、式中
R''''およびR'''''はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル‐アルキル、アルケニル、フェニルまたはベンジルを表すか;または
は以下の式の基を表す、
【化4】


請求項6記載の尿素誘導体。
【請求項8】
式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノまたは式‐NH(CO)アルキルを表す、請求項6記載の尿素誘導体。
【請求項9】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項10】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロを表す、請求項9記載の尿素誘導体。
【請求項11】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す、請求項1〜10のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項12】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、またはニトロを表す、請求項11記載の尿素誘導体。
【請求項13】
式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す、請求項1〜12のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項14】
式中Rは水素、アルキルまたはハロを表す、請求項13記載の尿素誘導体。
【請求項15】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す、請求項1〜14のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項16】
式中Rは水素、ニトロまたはアミノを表す、請求項15記載の尿素誘導体。
【請求項17】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表す、請求項1〜16のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項18】
式中Rは水素、ハロ、ハロアルキルまたはフェニルを表す、請求項17記載の尿素誘導体。
【請求項19】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノまたはフェニルを表す、請求項1〜18のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項20】
式中Rは水素、ニトロまたはフェニルを表す、請求項19記載の尿素誘導体。
【請求項21】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノを表す、請求項1〜20のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項22】
式中Rは水素、ヒドロキシ、ハロまたはアルコキシを表す、請求項21記載の尿素誘導体。
【請求項23】
式中Rは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノまたは式‐NH(CO)メチルを表し;
は水素、ヒドロキシまたはハロを表し;
は水素、ヒドロキシ、ハロ、またはニトロを表し;
は水素、アルキルまたはハロを表し;
は水素、アルキル、アミノまたはニトロを表し;
は水素、ハロ、ハロアルキルまたはフェニルを表し;
は水素またはフェニルを表し;そして
は水素、ヒドロキシ、ハロまたはハロアルコキシを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項24】
式中Rはヒドロキシを表し;
は水素またはハロを表し;
は水素またはニトロを表し;
は水素またはハロを表し;
は水素、ニトロまたはアミノを表し;
はハロまたはハロアルキルを表し;
は水素またはフェニルを表し;そして
は水素、ハロまたはハロアルコキシを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項25】
式中Rは水素を表し;
は水素、ヒドロキシまたはハロ(クロロ)を表し;
は水素またはヒドロキシを表し;
はアルキルまたはハロを表し;
は水素を表し;
は水素、ハロアルキルまたはフェニルを表し;
は水素またはフェニルを表し;そして
は水素またはハロを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項26】
式中Rはアルキル、アルコキシ、アミノまたは式‐アルキルカルボニル‐アミノを表し;
は水素を表し;
はヒドロキシまたはハロを表し;
は水素またはハロを表し;
は水素を表し;
はハロアルキルを表し;
は水素を表し;そして
は水素またはハロを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の尿素誘導体。
【請求項27】
N‐(3‐クロロ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐アミノ‐6‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐ヒドロキシ‐4‐ニトロ‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐アミノ‐4,5‐ジクロロ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐{4,5‐ジクロロ‐2‐[3‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐ウレイド]フェニル}‐アセトアミド;
N‐(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(4‐ヒドロキシ‐6‐メチル‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(ビフェニル‐3‐イル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N'‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N'‐(5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐尿素;
N‐(3,5‐ジクロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(3‐ブロモ‐5‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐N'‐(4‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(5‐クロロ‐2‐メトキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;
N‐(2‐ヒドロキシ‐6‐ニトロ‐フェニル)‐N'‐(3‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐尿素;または
N‐(3‐クロロ‐6‐メトキシ‐フェニル)‐N'‐(2‐ヒドロキシ‐4‐ニトロ‐フェニル)‐尿素;
または鏡像異性体またはその鏡像異性体群の混合物、或いはその薬学的に許容できる付加塩である、請求項23の尿素誘導体。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれかの尿素誘導体または薬学的に許容できるその塩の治療的に効果量を、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または希釈剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項29】
ヒトを含む哺乳類の病気、障害または病状、その病気、障害または病状はニコチン性アセチルコリンα7受容体の変調に反応するもので、その治療、防止または緩和のための医薬組成物/薬剤の製造用である請求項1〜27のいずれか1つの尿素誘導体またはその薬学的に許容できるその付加塩の使用。
【請求項30】
当該病気、障害または病状は中枢神経系に関する、請求項29記載の使用。
【請求項31】
当該病気または障害は不安、認識障害、学習障害、記憶の障害と不全、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジル・ド・ラ・トウーレット症候群、鬱病、躁病、躁鬱病、精神分裂症、脅迫観念障害(OCD)、パニック障害、拒食症、過食症および肥満症のような摂食障害、過眠症、侵害受容、エイズ認知症、老人性認知症、末梢神経障害、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジー、多動、癲癇、過食症、外傷後症候群、社会恐怖症、睡眠障害、偽認知症、ガンサー症候群、月経前症候群、後黄体期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖および時差ぼけである、請求項30記載の使用。
【請求項32】
当該病気、障害または病状は痙攣性疾患、狭心症、早産、痙攣、下痢、喘息、癲癇、遅発性ジスキネジー、運動亢進症、早漏および勃起困難を含んでいる平滑筋収縮に関する、請求項29記載の使用。
【請求項33】
当該病気、障害または病状は甲状腺中毒症、褐色細胞腫、高血圧および不整脈のような内分泌系に関する、請求項29記載の使用。
【請求項34】
当該病気、障害または病状は一過性無酸素症および誘発性神経変性を含んでいる神経変性障害である、請求項29記載の使用。
【請求項35】
当該病気、障害または病状はニキビおよび酒さのような炎症性皮膚障害、クロン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎および下痢を含む炎症性障害である、請求項29記載の使用。
【請求項36】
当該病気、障害または病状は急性、慢性または再発性特質の緩和、中等度または相当重度な疼痛とともに、神経性疼痛および偏頭痛、手術後の疼痛および幻覚肢疼痛、神経症の疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿性神経症や治療後神経痛または末梢神経損傷に関する疼痛である、請求項29記載の使用。
【請求項37】
当該病気、障害または病状はタバコのようなニコチン含有製品、ヘロイン、コカインおよびモルヒネのような麻薬類、ベンゾジアゼピン類およびベンゾジアゼピン様薬剤およびアルコールの使用の結果で起こされる禁断症状に関係する、請求項29記載の使用。
【請求項38】
ヒトを含む、生きている動物体の病気または障害または病状の治療、防止または緩和の方法に関し、病気、障害または病状はニコチン性アセチルコリンα7受容体群の変調に対応し、方法はそれを必要としている生きている動物体に請求項1〜27のいずれか1つの尿素誘導体の治療的な効果量を投与する工程を含む、治療、防止または緩和の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−530635(P2007−530635A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505537(P2007−505537)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051183
【国際公開番号】WO2005/092843
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】