説明

新規環状ペプチド化合物

以下の一般式(I)の環状ペプチド化合物:
【化】


(式中R1、R2およびR3は明細書中に定義される)またはその塩。化合物(I)はC型肝炎の予防的および/または治療的投与に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規化合物に関する。より詳細には、本発明はC型肝炎ウイルス(これ以降HCVと表記)レプリコンのRNA複製に対して阻害活性を有する新規環状ペプチド化合物またはその塩に関する。特に、本発明は新規ペプチド化合物またはその塩、その調製の方法、新規環状ペプチド化合物またはその塩を含む医薬組成物、およびヒトまたは動物におけるC型肝炎の予防的および/または治療的処置のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HCVの推定キャリア数は全世界で約1億7千万人(約3%)、日本国内でも約150万人にのぼる。治療法の第一選択肢であるインターフェロン(以下IFNと表記)−リバビリン(ビラゾール)併用療法においても、有効率は全型のHCVを通じて40%、特に日本国内で多くみられるIFN耐性型のウイルス(genotype 1b)において有効率は15〜20%に過ぎず、一方で副作用の頻度も高い。現行療法ではウイルスの完全駆除は困難である。慢性肝炎が根治できない場合には、肝硬変(30%)、肝細胞癌(25%)へと確実に進展する。欧米においてC型肝炎は、肝臓移植の主要なインディケーションになっている。しかしながら、移植後の肝臓においてもHCV再発の頻度が少なくない。従って、有効性、安全性共に改善され、より抗ウイルス効果が高く、C型肝炎を抑制できる新薬ニーズは、社会的に非常に大きい。
【発明の開示】
【0003】
本発明における目的環状ペプチド化合物は新規化合物であり、以下の一般式(I)によって表すことができる。
【化4】

(式中、
1は水素または水酸基であり、
2は水素または水酸基であり、および
3は水素または水酸基である。)
1が水素である場合、R2およびR3の少なくとも一方が水酸基、またはその塩である。
【0004】
本発明における化合物(I)またはその塩は以下の反応スキームに例示されるような方法によって調製することができる。
【化5】

(プロセス1)
(式中、R1、R2およびR3は上記の定義の通りである。)
【0005】
目的化合物の適切な塩(I)は、例えば無機塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩など)、有機塩基との塩(例えばトリエチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N’N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩など)、無機酸付加塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)、有機カルボン酸またはスルホン酸付加塩(ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩など)、塩基性または酸性アミノ酸との塩(アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸など)などの従来の薬学的に許容できかつ無毒性の塩であり、および塩基または酸付加塩であることもある。
【0006】
化合物(II)またはその塩は、例えば日本国特開平5−271267に記載された方法に従い、真菌類(Stachybotrys chartarum No.19392:預託番号FERM BP−3364)の発酵によって製造することができる。
【0007】
本発明の目的化合物(I)またはその塩を調製する方法は、以下に詳細に説明されている。
【0008】
(方法1)
目的化合物(I)またはその塩は、化合物(II)またはその塩を、Lentzea属に属する微生物の酵素産生株の発酵によって得られる酵素と接触させることによって調製することができる。
【0009】
発酵方法は以下に詳細に説明される。
【0010】
(1.微生物)
酵素は、Lentzea sp.No.7887などのLentzea属に属する微生物の酵素産生株の培養液より得ることができる。
【0011】
No.7887株は、日本の茨城県から採取した土壌サンプルより分離された。No.7887株の分類学的研究については、浜田1)によって記載された方法および培地を採用した。
【0012】
30℃で14日間培養した後観察を行った。形態学的観察は、水道水1000mL(1N NaOHでpH7.2に調節した後、滅菌)中、イーストエキス(大五栄養化学、大阪、日本)0.4g、可溶性デンプン2g、および寒天16gを含む1/5イースト・スターチ寒天上での生育について、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて行った。炭素利用性は、PridohamおよびGottliebの培地2)上で判定した。本試験で用いた色調名は、Methuen Handbook of Colourより援用した3)。化学分類学的特性付けは、鈴木ら4)の方法により実施した。16S rDNA配列の系統解析は、中川ら5)の方法により実施した。タイプ株の16S rDNA配列はDDBJデータベース6)より得た。系統樹は、CLUSTAL Xパッケージ(バージョン1.8)8)の近隣結合法7)によって構築した。
【0013】
(2.形態学的特性付け)
基底菌糸は良好に発達し、不規則に枝分かれし、寒天内にも伸長し、寒天表面に密なコロニーを形成した。気中菌糸は1/5イースト・スターチ寒天、グリセリン・アスパラギン寒天、チロシン寒天、ツァペック寒天、イースト・スターチ寒天およびグルコース・アスパラギン寒天上で中等度に発育し、桿状に断片化した。硬質顆粒、胞子嚢および運動性胞子または断片は認められなかった。
【0014】
(3.培養および生理学的特性)
培養および生理学的特性の結果をそれぞれ表1〜表2および表3〜表4に示す。生育の裏面の色調は赤褐色、橙赤色、褐色を帯びた赤色、褐色を帯びた橙色、明橙色、橙色および淡橙色であった。メラノイド色素は、トリプトン・イーストブロスおよびペプトン・イースト・鉄寒天において生成しなかった。可溶性色素は、イースト・麦芽寒天、オートミール寒天、およびスターチ・無機塩寒天、グリセリン・アスパラギン寒天、チロシン寒天、ベネット寒天、ツァペック寒天、イースト・スターチ寒天、グルコース・アスパラギン寒天、シュークロース・硝酸塩寒天において生成した。菌糸体の色調および可溶性色素は、pH感受性でなかった。L−アラビノース、D−キシロース、D−グルコース、D−フルクトース、蔗糖、イノシトール、D−マンニトール、セロビオース、デキストリン、D−ガラクトース、グリセロール、D−マンノース、マルトース、D−メリビオース、可溶性デンプン、およびトレハロースは炭素源として利用されたが、L−ラムノース、ラフィノース、アドニトール、デキストラン、ダルシトール、イヌリン、乳糖、D−メレジトース、ソルビトール、L−ソルボース、およびキシリトールは利用されなかった。
【0015】
No.7887株の生育温度範囲は10.5から32.5℃で、至適生育温度は31.0℃であった。
【0016】
(4.化学分類学的特性付け)
細胞壁はメソ−ジアミノピメリン酸を含有し、特徴的な糖は含有しなかった(細胞壁化学型III)。
【0017】
(5.16S rDNA配列の分析)
表5にNo.7887株の部分配列を示す。No.7887株とLetzea属株の16S rDNAの相同値は97.2〜99.1%であり、またこれらは系統樹上で単独のクラスターを形成する。
【0018】
(6.分類)
上述の形態学的および化学的特性および系統解析に基づき、No.7887株はLentzea属に属すると考えられる9,10,11)。従って、この株はLentzea sp.No.7887と命名された。
【0019】
このように命名されたLentzea sp. No.7887の培養は、産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)、日本国305−8566茨城県つくば市東1丁目1−1、AIST つくばセントラル6、2004年8月3日に、番号FERM BP−10079の下で寄託されている。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

(表5)
No.7887株の16S rDNA配列の一部
CGAACGCTGGCGGCGTGCTTAACACATGCAAGTCGAGCGGTAAGGCCCTTCGGGGTACACGAGCGGCGAACGGGTGAGTAACACGTGGGTAACCTGCCCTGTACTCTGGGATAAGCCTTGGAAACGAGGTCTAATACCGGATACGACCATTGATCGCATGATCGGTGGTGGAAAGTTCCGGCGGTATGGGATGGACCCGCGGCCTATCAGCTTGTTGGTGGGGTAATGGCCTACCAAGGCGACGACGGGTAGCCGGCCTGAGAGGGTGACCGGCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGCGAAAGCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGGGATGACGGCCTTCGGGTTGTAAACCTCTTTCAGCAGGGACGAAGCGCAAGTGACGGTACCTGCAGAAGAAGCACCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGTGCGAGCGTTGTCCGGAATTATTGGGCGTAAAGAGCTCGTAGGCGGTTTGTCGCGTCGGCCGTGAAAACTTGGGGCTTAACTCCAAGCTTGCGGTCGATACGGGCAGACTTGAGTTCGGCAGGGGAGACTGGAATTCCTGGTGTAGCGGTGAAATGCGCAGATATCAGGAGGAACACCGGTGGCGAAGGCGGGTCTCTGGGCCGATACTGACGCTGAGGAGCGAAAGCGTGGGGAGCGAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGGTGGGTGCTAGGTGTGGGGGGCTTCCACGCCCTCTGTGCCGCAGCTAACGCATTAAGCACCCCGCCTGGGGAGTACGGCCGCAAGGCTAAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCGGCGGAGCATGTGGATTAATTCGATGCAACGCGAAGAACCTTACCTGGGCTTGACATGGACTAGAAAGCTCTAGAGATAGAGCCTCCCTTGTGGCTGGTTCACAGGTGGTGCATGGCTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTCGTTCCATGTTGCCAGCACGTAATGGTGGGGACTCATGGGAGACTGCCGGGGTCAACTCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAGTCATCATGCCCCTTATGTCCAGGGCTTCACACATGCTACAATGGCCGGTACAAAGGGCTGCTAAGCCGTGAGGTGGAGCGAATCCCATAAAGCCGGTCTCAGTTCGGATCGGGGTCTGCAACTCGACCCCGTGAAGTCGGAGTCGCTAGTAATCGCAGATCAGCAACGCTGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACGTCACGAAAGTCGGTAACACCCGAAGCCCGTGGCTCAACCCGCAAGGGGGAGAGCGGTCGAAGGTGGGACTGGCGATTGGGACGAAGTCGTAACAAGGTAGCCGTACCGGAA
(参照文献)
1) 浜田 雅(2001):放線菌の分類と同定 pp. 37 − 47. 日本放線菌学会(日本、東京)編、日本学会事務センター(日本語)
2) Pridoham,T.G. and D. Gottlieb(1948):The utilization of carbon compounds by some Actinomycetales as an acid for species determination:J. Bacteriol. 56:107 − 114.
3) Kornerup, A. and J. H. Wanscher(1978):Methuen Handbook of Colour, Methuen, London
4) 鈴木 健一朗, 工藤 卓二(2001):放線菌の分類と同定 pp. 49 − 82.日本放線菌学会(日本、東京)編、日本学会事務センター(日本語)
5) 中川恭好, 田村朋彦, 川≡浩子(2001):放線菌の分類と同定 pp. 83 − 117.日本放線菌学会(日本、東京)編、日本学士会事務センター(日本語)
6) 日本DNAデータバンク:http://www.ddbj.nig.ac.jp/
7) Saitou, N. & M. Nei:The neighbor−joining method:a new method of constructing phylogenetic tree. Mol. Biol. Evol. 6:514−525, 1987
8) Thompson, J. D.; T. J. Gibson, F. Plewniak, F. Jeanmougin & D. G. Higgins(1997):The Clustal X windows interface:flexible strategies for multiple sequence alignment aided by quality analysis tools. Nucleic Acids Research 24:4876−4882
9) Yassin, A.F., F. A. Rainey, H. Brzezinka, K. D. Jahnke, H. Weissbrodt, H. Budzikiewicz, E. Stackebrandt, and K. P. Schaal(1995):Lentzea gen. nov., a new genus of the order Actinomycetales. :Int J Syst Bacteriol 45, 357−363.
10) Labeda, D. P., K. Hatano, R. M. Kroppenstedt, and T. Tamura(2001):Revival of the genus Lentzea and proposal for Lechevalieria gen. nov. Int J Syst Evol Microbiol. 51, 1045−1050.
11) Xie, Q., Y. Wang, Y. Huang, Y. Wu, F Ba and Z Liu(2002):Description of Lentzea flaviverrucosa sp. nov. and transfer of the type strain of Saccharothrix aerocolonigenes subsp. staurosporea to Lentzea albida. :Int J Syst Bacteriol 50, 1315−1323
【0020】
(7.化合物(II)またはその塩を酵素と接触させることによる目的化合物(I)またはその塩の調製)
目的化合物(I)またはその塩は、水性溶媒内で化合物(II)またはその塩を、粗または精製酵素溶液と接触させることによって得ることができる。
【0021】
酵素の適した例は、Lentzea sp. No.7887(FERM BP−10079)といった、Lentzea属などの一定の微生物によって産生されるものを含んでよい。
【0022】
この反応は、通常、メタノールまたは反応に悪影響を与えない他のあらゆる溶媒などの1つまたはそれ以上の溶媒を含む水溶液において遂行される。
【0023】
反応温度は重要でなく、反応は室温でも加温下でも遂行することができる。
【0024】
より具体的には、目的化合物は、本出願の実施例に記載の方法または同様の方法によって調製することができる。
【0025】
上述の方法1によって得られる化合物は、粉末化、再結晶化、カラムクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、再沈殿化および脱イオン樹脂カラムクロマトグラフィなどの従来法によって分離および精製することができる。
【0026】
本発明の目的化合物(I)またはその塩の有用性を示すために、本出願の代表的化合物の薬理学試験の例を以下のように示す。
【0027】
(試験の例)
(HCVレプリコン定量)
Taq−Man chemistryに基づくリアルタイムRT−PCRを用いて、細胞溶解産物より従来のカラム法で精製したレプリコンRNAの量を測定することにより、HCVレプリコンの複製に対する阻害活性を評価した。Lohmannら、Science 285:100(1999)およびTakeuchiら、Gastroenterology 116:636−642(1999)に報告された変法によって分析を実施した。その詳細を以下に記載する。
【0028】
(1.細胞への薬剤の添加)
HCVレプリコン細胞(Kishineら、B.B.R.C. 293:993−999(2002))をウシ胎児血清を5%およびG418を300μg/mL含有するD−MEM培地0.1mL中に7.5×103個になるよう調製し、96ウェルマイクロタイタープレート(Corning Inc.)の各ウェルに播種した。プレートを5%CO2中、37℃で16時間インキュベートした後、培地を、被験化合物を溶解した上述の培地と置換した。
【0029】
(2.細胞からのRNAの抽出)
さらに2日間培養した後、RNA抽出カラムRNeasy96(Qiagen Inc.)のプロトコルに従って、細胞より全RNAを抽出した。
【0030】
(3.リアルタイムRT−PCR法によるレプリコンRNA量の測定)
適切なプライマーセットを添加してHCV遺伝子配列の一部および相補プローブ(これらはいずれも宝酒造株式会社によって製造された)を増幅することにより、リアルタイムRT−PCRを実施した。
【0031】
2.で抽出したRNAを、RNアーゼ阻害剤を含有しヌクレアーゼを含有しない水で希釈して25ng/μLとし、384ウェルPCRプレートの各ウェルに2μL分注した。RT−PCR用反応溶液として、TaqMan Ez RT−PCRコア試薬(Applied Biosystems Inc.)をプロトコルに従って混合し、各ウェルに8μL加えた。
【0032】
ABI PRISM 7900HTシステム(Applied Biosystems Inc.)を用いることによりRT−PCRを実施し、各細胞のHCVレプリコンRNAのコピー数を測定した。
【0033】
連続10倍希釈した各種濃度のHCV RNA標準液を用いて検量線を作成した。陰性対照については、RNAを用いずに反応を実施した。
【0034】
(4.内因性対照RNAの測定)
各分析ウェルにおけるRNA回収量についてのさらなる対照として、上述のように(3.の項)、特異的プライマーセットおよびプローブ(これらはいずれも宝酒造株式会社により製造された)を用いたリアルタイムRT−PCRにより、細胞グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)mRNAのコピー数を定量した。
【0035】
(細胞毒性試験)
alamarBlue代謝分析(Biosource International Inc.)を用いてHCVレプリコン細胞における細胞毒性を測定した。レプリコン阻害活性の評価系と同じ条件でHCVレプリコン細胞を培養した後、alamarBlue 5μLを各ウェルに加え、細胞を5%CO2中、37℃でさらに2時間インキュベートした。蛍光分光計(励起波長544nm、発光波長595nm)により各ウェルの蛍光を測定した。
【0036】
(試験法)
各時点における内因性対照GAPDH値で補正し、各濃度の化合物で処理したレプリコン細胞におけるレプリコンRNAのコピー数を用いて、対照(非薬物群、DMSOのみを含有する)に対して50%のRNAレベルを示す化合物濃度を表す化合物のEC50値を算出した。同様に、各濃度の化合物で処理した細胞の蛍光値を用いて、対照(非薬物群、DMSOのみを含有する)の50%レベルを示す化合物濃度を表すCC50値を算出した。
【0037】
(試験結果)
(試験化合物)
実施例3の化合物(2)。
【表6】

【0038】
上述の試験例の結果より、本発明の目的化合物(I)またはその塩は、抗C型肝炎ウイルス活性を有することが認識される。
【0039】
本発明における、有効成分として化合物(I)またはその塩を含有する抗HCV薬は、例えば固形、半固形または液状形態の、経口;舌下;バッカル;鼻腔内;呼吸器;非経口(皮内、臓器内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、中心静脈、肝静脈、末梢静脈、リンパ、心血管、動脈、眼周囲への注射または眼周囲の静脈内点滴を含む眼);眼球、眼球構造または眼球層静脈内点滴;耳道、乳頭房、外耳道および内耳道、鼓膜、鼓室、らせん神経節、迷路などの内耳などの耳;腸;直腸;膣;尿管;および膀胱投与に適した有機または無機担体または賦形剤と混合した医薬組成物の形態で用いることができる。子宮内および周産期適応疾患については、母親の血管内、または空孔(子宮、子宮頚部および膣を含む母親の臓器など);胎芽、胎児、新生児および複合組織;および羊膜、臍帯、臍動脈および細静脈;胎盤などで投与が実施されるので、非経口投与が好ましい。これらの経路の使用は各患者の状態によって変更する。
【0040】
化合物(I)またはその塩は、治療薬として独立して投与することができ、または処方薬の一部として用いることが望まれることがある。本発明による「抗HCV薬」は、例えば固形、半固形または液状の形態の、少なくとも1つまたはそれ以上の適した有機または無機担体または賦形剤、または他の薬理学的治療薬と混合した医薬組成物の形態で使用することができる。有効成分は、例えば、顆粒剤、錠剤、植込錠、トローチ、カプセル、または坐剤;クリーム;軟膏;エアロゾル;吸入用の粉末などの固形形態;注射用溶液、乳剤または懸濁剤;経口摂取;点眼;および使用に適した他のあらゆる形態などの液状形態で、通常の薬理学的に許容できかつ無毒性の担体と混合することができる。また、必要であれば、上述の製剤に安定化剤、増粘剤、湿潤剤、硬化剤および着色料;着香料または緩衝剤;または一般的に使用される他のあらゆる添加剤などの助剤が含まれることもある。
【0041】
化合物(I)または薬学的に許容できるその塩は、疾患の過程または状態に対し、所望の抗C型肝炎効果をもたらすのに充分な量で医薬組成物に含まれる。
【0042】
IFNおよび/またはリバビリンと化合物(I)またはその塩との複合使用は、C型肝炎に対して有効である。
【0043】
組成物をヒトに投与するためには、静脈内、筋肉内、肺、経口投与、点眼投与または吸入によって投与することが好ましい。治療的に有効な量の化合物(I)の用量は、年齢および治療される各患者の状態により異なりおよびこれに依存するが、C型肝炎の治療または予防のために、静脈投与の場合、ヒト体重1kgにつき化合物(I)0.001〜400mgの1日用量筋肉内投与の場合は、ヒト体重1kgにつき化合物(I)0.1〜20mgの1日用量、経口投与の場合、ヒト体重1kgにつき化合物(I)0.5〜50mgの1日用量を一般に投与する。しかし、これらの用量は、治療的結果を得るためにその限界を超えることを求められることもある。
【0044】
本発明の単回の単位用量のための組成物に含有される化合物(I)または薬学的に許容できるその塩の量は、0.1から400mg、より好ましくは1から200mg、より好ましくは5から100mg、具体的には5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および100mgである。
【0045】
包装材料および前記包装材料に収容される上に定められた化合物(I)を含有する製造品であって、前記化合物(I)がC型肝炎の予防または治療について治療的に有効であり、および前記包装材料が前記化合物(I)をC型肝炎の予防または治療に用いることができるまたは用いるべきであることを表示するラベルまたは文書を含む製造品。
【0046】
上に定められた化合物(I)を含有する医薬組成物およびこれに関する文書を含む商品包装であって、文書が化合物(I)をC型肝炎の予防または治療に用いることができるまたは用いるべきであると述べている商品包装。
【0047】
化合物(I)またはその塩は、不斉炭素原子および二重結合による光学異性体および幾何異性体などの立体異性体を1つまたはそれ以上含んでよいこと、および全てのこのような異性体およびその混合物が本発明の範囲に含まれることに留意しなければならない。
【0048】
化合物(I)またはその塩は、溶媒和化合物(例:水和物、エタノール溶媒和物など)を含んでよい。
【0049】
化合物(I)またはその塩は、結晶型および非結晶型の両者を含んでよい。
【0050】
化合物(I)またはその塩は、プロドラッグ型を含んでよい。
【0051】
さらに、目的化合物(I)は、抗C型肝炎ウイルス活性を有する化合物を調製するための中間体として有用である。
【0052】
本報に引用した特許明細書および刊行物は、本明細書に参照文献として援用される。
【0053】
以下の実施例は本発明を例示することを目的として示される。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【実施例1】
【0054】
(1.Lentzea sp. No.7887の発酵)
Lentzea sp. No.7887の保存培養を調製し、斜面寒天培地上で維持する。ループ1杯の斜面培養を、225mL三角フラスコ内のコーンフラワー1.0%、変性デンプン6.0%、ファーマメディア1.2%、乾燥酵母0.8%、KH2PO4 0.3%およびMgSO4・7H2O 0.3%およびFeSO4・7H2O 0.02%(6N NaOHでpH6.5に調節)から構成される種培地60mLに播種し、ロータリーシェーカー(220rpm、振幅5.1cm)上で、30℃で約72時間振盪した。また、種培養3.2mLを、500mL三角フラスコ内の蔗糖0.5%、グルコース0.5%、オートミール0.5%、酵母抽出物0.2%、ペプトン0.5%、ピーナツパウダー0.5%、フミン酸として0.01%の「HUMAS」(Aiaisi株式会社、大阪、日本)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン0.1%およびCaCO3 0.2%(6N NaOHでpH7.0に調節)より構成される無菌種培地160mLに移した。フラスコをロータリーシェーカー(220rpm、振幅5.1cm)上で30℃、約72時間振盪し、二次培養7.2L(フラスコ45本)を、コーンフラワー1.0%、変性デンプン6.0%、ファーマメディア1.2%、乾燥酵母0.8%、KH2PO4 0.3%、およびMgSO4・7H2O 0.3%、FeSO4・7H2O 0.02%、アデカノールLG−109 0.05%およびシリコンKM−70 0.05%(6N NaOHでpH6.5に調節)より構成される無菌製造培地(160Lおよび200L)に播種した。播種した製造培地は、200Lおよび300Lジャーファーメンター中で、200rpmで撹拌され、毎分160L(200Lジャーファーメンター)または200L(300Lジャーファーメンター)で通気され、温度30℃、約72時間発酵された。培養ブロスを酵素として用い、化合物(II)から化合物(I)を製造した。
【0055】
(2.反応条件)
下記に開示された化合物(IIb)(180g)のメタノール(7.2L)溶液を、上述の発酵によって得られた360Lの培養ブロスに加えた。30℃で13時間撹拌して混合を実施し、反応混合物(A)を得た。以下に示す分析HPLCにより、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)および化合物(7)の増加を観察した。
【化6】

(化合物(IIb))
【0056】
化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)および化合物(4)についての分析HPLC条件
カラム Mightysil RP−8 GP 150−4.6
(長さ150mm×内径4.6mm、関東化学株式会社)
溶離液 TFAを0.1%含有する60%アセトニトリル水溶液
流速 1mL/分
検出 波長210nmの紫外線
保持時間 化合物(1) 7.6分
化合物(2) 4.9分
化合物(3) 6.4分
化合物(4) 5.6分
【0057】
化合物(5)、化合物(6)および化合物(7)についての分析HPLC条件
カラム Mightysil RP−18 GP 250−4.6
(長さ250mm×内径4.6mm、関東化学株式会社)
溶離液 TFAを0.1%含有する50%アセトニトリル水溶液
流速 1mL/分
検出 波長210nmの紫外線
保持時間 化合物(5) 9.4分
化合物(6) 7.6分
化合物(7) 8.3分
【実施例2】
【0058】
実施例1(2)で得た反応混合物(A)(360L)に、室温で等体積のアセトンを添加することにより抽出した。混合物を珪藻土により濾過した。濾液を等体積の水で希釈し、25%アセトン水溶液で平衡化したDIAION HP−20(三菱化学株式会社)カラム(14L)を通した。カラムを25%アセトン水溶液(42L)で洗浄した後、メタノールで溶離した(40L)。有効成分分画(7〜37L)を等体積の水で希釈し、25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液(28L)で洗浄した後、60%アセトニトリル水溶液で溶離した(24L)。有効成分分画(12〜24L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(7.5L)。有効成分分画(5.1〜7.1L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(14L)。有効成分分画(5.8〜8.1L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。TFAを0.1%含有する70%アセトニトリル水溶液(6.4L)でカラムを溶離した。有効成分分画(2.8〜3.6L)を等体積の水で希釈し、TFAを0.05%含有する35%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを水(4L)で洗浄した後、酢酸エチルで溶離した(1.8L)。有効成分分画(0〜0.8L)を減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を少量のクロロホルムに溶解し、シリカゲル(シリカゲル60N、球状、中性、40〜100μm、関東化学株式会社、120g)にかけた。カラムをクロロホルム−メタノール(98:2)で洗浄し、クロロホルム−メタノール(97:3)およびクロロホルム−メタノール(95:5)で溶離した。有効成分分画を収集し、減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を少量の酢酸エチルに溶解し、大量のn−ヘキサンに加えた。その後、化合物(1)を沈殿させ、ガラスフィルターで濾過した。この沈殿を減圧下で蒸発乾固し、3.7gの白色粉末として化合物(1)を得た。
【0059】
化合物(1)は以下の物理化学的特性を有している。
外観:白色粉末
性状:中性物質
融点:157〜160℃(分解)
比旋光度:[α]23D−214°(c1.0,CH2Cl2
分子式:C621111114
分子量:ESI−MS(+)m/Z 1235(M+H)
溶解度:やや溶けやすい:CHCl3、MeOH、酢酸エチル、アセトン、DMSO、ピリジン
溶けにくい:H2
溶けない:n−ヘキサン
呈色反応:陽性:ヨウ素蒸気反応
陰性:
薄層クロマトグラフィ(TLC):シリカゲル60 F254(メルク)CHCl3:MeOH=10:1、Rf 0.34
赤外線吸収スペクトル:KBr 3420、3330、2960、1630、1520、1410、1100cm-1
【0060】
化合物(1)は、一般的な有機溶媒中において、数種類の安定したコンホメーションで存在する。一例として、ピリジン−d5中での化合物(1)の主要コンホーマによる13C−NMR化学シフトを以下に挙げる。
【0061】
13C−NMR(ピリジン−d5、125MHz)
δ:175.1(s),174.4(s),174.4(s),173.4(s),173.0(s),172.9(s),171.0(s),171.0(s),170.4(s),169.5(s),169.0(s),133.9(d),128.7(d),74.9(d),69.6(d),63.1(t),61.4(d),59.3(d),57.3(d),55.7(d),55.6(d),54.6(d),49.0(t),48.6(d),48.1(d),47.4(d),46.6(d),41.2(t),41.1(t),39.1(q),38.5(t),38.2(t),37.3(d),36.8(t),36.7(t),34.1(q),31.0(q),30.8(q),29.9(q),28.8(q),27.6(d),25.9(d),25.6(d),25.3(d),24.9(d),24.8(d),24.1(q),23.6(q),23.3(q),23.2(q),23.2(q),23.2(q),22.8(q),21.5(q),21.2(q),20.9(q),19.7(q),19.3(q),18.3(q),17.4(q),16.2(q),15.4(q)
【0062】
上述の物理的および化学的性質の分析、およびさらなる化学構造同定研究の結果より、化合物(1)の化学構造は以下の通りに同定され、割り当てられた。
【化7】

【実施例3】
【0063】
実施例1(2)で得た反応混合物(A)(360L)に、室温で等体積のアセトンを添加することによって抽出した。混合物を珪藻土により濾過した。濾液を等体積の水で希釈し、25%アセトン水溶液で平衡化したDIAION HP−20(三菱化学株式会社)カラム(14L)を通した。カラムを25%アセトン水溶液(42L)で洗浄した後、メタノールで溶離した(40L)。有効成分分画(7〜37L)を等体積の水で希釈し、25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液(28L)で洗浄した後、60%アセトニトリル水溶液で溶離した(24L)。有効成分分画(0〜12L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(31L)。有効成分分画(15.8〜20.7L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを水(5L)で洗浄した後、酢酸エチルで溶離した(3.5L)。有効成分分画(1〜3L)を減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を酢酸エチル(80mL)に溶解し、n−ヘキサン(2.4L)に滴下した。その後、化合物(2)を沈殿させ、ガラスフィルターで濾過した。この沈殿を減圧下で蒸発乾固し、32.8gの白色粉末として化合物(2)を得た。
【0064】
化合物(2)は以下の物理化学的特性を有している。
外観:白色粉末
性状:中性物質
融点:170〜173℃(分解)
比旋光度:[α]23D−222°(c1.0,CH2Cl2
分子式:C621111114
分子量:ESI−MS(+)m/Z 1235(M+H)
溶解度:やや溶けやすい:CHCl3、MeOH、酢酸エチル、アセトン、DMSO、ピリジン
溶けにくい:H2
溶けない:n−ヘキサン
呈色反応:陽性:ヨウ素蒸気反応
陰性:
薄層クロマトグラフィ(TLC):シリカゲル60 F254(メルク)CHCl3:MeOH=9:1、Rf 0.55
赤外線吸収スペクトル:KBr 3420,3330,2960,1640,1530,1410,1100cm-1
【0065】
化合物(2)は、一般的な有機溶媒中において、数種類の安定したコンホメーションで存在する。一例として、ピリジン−d5中での化合物(2)の主要コンホーマによる13C−NMR化学シフトを以下に挙げる。
【0066】
13C−NMR(ピリジン−d5、125MHz)
δ:175.3(s),174.5(s),174.4(s),173.4(s),173.0(s),172.9(s),171.0(s),170.9(s),170.5(s),169.5(s),169.0(s),129.8(d),127.1(d),75.2(d),69.6(d),67.9(t),61.5(d),59.3(d),57.3(d),55.7(d),55.3(d),54.6(d),49.0(t),48.6(d),48.1(d),47.4(d),46.6(d),41.2(t),41.0(t),39.1(q),38.5(t),38.2(t),37.6(d),37.3(t),34.1(q),33.5(d),31.5(t),31.0(q),30.8(q),29.9(q),28.8(q),27.7(d),25.9(d),25.6(d),24.9(d),24.8(d),24.1(q),23.3(q),23.2(q),23.2(q),23.2(q),22.8(q),21.2(q),20.9(q),19.6(q),19.3(q),18.3(q),18.1(q),17.4(q),16.2(q),16.1(q),15.4(q)
【0067】
化合物(2)に由来するp−ニトロフェニルカーボネートの2−トレオニン残基の水酸基は、t−ブチルジメチルシリルエーテルに変換された。さらに1N NaOHで加水分解して化合物(2a)を得た。化合物(2a)を酢酸エチルより結晶化し、X線分析により絶対構造を決定した。
【化8】

【0068】
上述の物理的および化学的性質の分析より、立体化学を含む化合物(2)の化学構造は以下の通りに同定され、割り当てられた。
【化9】

【実施例4】
【0069】
実施例1(2)で得た反応混合物(A)(360L)に、室温で等体積のアセトンを添加することにより抽出した。混合物を珪藻土により濾過した。濾液を等体積の水で希釈し、25%アセトン水溶液で平衡化したDIAION HP−20(三菱化学株式会社)カラム(14L)を通した。カラムを25%アセトン水溶液(42L)で洗浄した後、メタノールで溶離した(40L)。有効成分分画(7〜37L)を等体積の水で希釈し、25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液(28L)で洗浄した後、60%アセトニトリル水溶液で溶離した(24L)。有効成分分画(0〜12L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(31L)。有効成分分画(20.7〜24.7L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(9L)。有効成分分画(6.7〜8.7L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(1L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(4L)。有効成分分画(3.0〜3.7L)を減圧濃縮し、淡黄色粉末として化合物(3)322mgを得た。
【0070】
化合物(3)は以下の物理化学的特性を有している。
外観:淡黄色粉末
性状:中性物質
融点:162〜165℃(分解)
比旋光度:[α]23D−200°(c1.0,CH2Cl2
分子式:C621111114
分子量:ESI−MS(+)m/Z 1235(M+H)
溶解度:やや溶けやすい:CHCl3、MeOH、酢酸エチル、アセトン、DMSO、ピリジン
溶けにくい:H2
溶けない:n−ヘキサン
呈色反応:陽性:ヨウ素蒸気反応
陰性:
薄層クロマトグラフィ(TLC):シリカゲル60 F254(メルク)CDCl3:MeOH=9:1、Rf 0.50
赤外線吸収スペクトル:KBr 3420,3330,2960,1640,1530,1410,1280,1100cm-1
【0071】
化合物(3)は、一般的な有機溶媒中において、数種類の安定したコンホメーションで存在する。一例として、ピリジン−d5中での化合物(3)の主要コンホーマによる13C−NMR化学シフトを以下に挙げる。
【0072】
13C−NMR(ピリジン−d5、125MHz)
δ:174.7(s),174.5(s),174.3(s),173.4(s),173.0(s),172.9(s),171.1(s),171.0(s),170.9(s),169.5(s),169.0(s),129.8(d),127.1(d),75.2(d),69.6(d),69.1(s),61.5(d),59.3(d),57.3(d),55.7(d),55.0(d),54.6(d),49.0(t),48.9(d),48.1(d),47.4(d),46.6(d),41.3(t),41.3(t),41.0(t),39.1(q),38.6(t),38.2(t),37.6(d),37.3(t),34.1(q),31.8(q),31.0(q),30.4(q),29.9(q),29.8(q),28.8(q),27.6(d),25.9(d),25.6(d),24.9(d),24.8(d),24.1(q),23.3(q),23.3(q),23.2(q),23.2(q),22.8(q),21.2(q),20.9(q),19.6(q),19.3(q),18.3(q),18.1(q),17.4(q),16.1(q),15.0(q)
【0073】
上述の物理的および化学的性質の分析、およびさらなる化学構造同定研究の結果より、化合物(3)の化学構造は以下の通りに同定され、割り当てられた。
【化10】

【実施例5】
【0074】
実施例1(2)で得た反応混合物(A)(360L)に、室温で等体積のアセトンを添加することによって抽出した。混合物を珪藻土により濾過した。濾液を等体積の水で希釈し、25%アセトン水溶液で平衡化したDIAION HP−20(三菱化学株式会社)カラム(14L)を通した。カラムを25%アセトン水溶液(42L)で洗浄した後、メタノールで溶離した(40L)。有効成分分画(7〜37L)を等体積の水で希釈し、25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液(28L)で洗浄した後、60%アセトニトリル水溶液で溶離した(24L)。有効成分分画(0〜12L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(31L)。有効成分分画(20.7〜24.7L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(9L)。有効成分分画(5.1〜6.1L)を等体積の水で希釈し、30%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(1L)を通過させた。カラムを60%アセトニトリル水溶液で溶離した(4.7L)。有効成分分画(2.7〜2.9L)を減圧濃縮し、淡黄色粉末として化合物(4)740mgを得た。
【0075】
化合物(4)は以下の物理化学的特性を有している。
外観:淡黄色粉末
性状:中性物質
融点:162〜165℃(分解)
比旋光度:[α]23D−215°(c1.0,CH2Cl2
分子式:C621111114
分子量:ESI−MS(+)m/Z 1235(M+H)
溶解度:やや溶けやすい:CHCl3、MeOH、酢酸エチル、アセトン、DMSO、ピリジン
溶けにくい:H2
溶けない:n−ヘキサン
呈色反応:陽性:ヨウ素蒸気反応
陰性:
薄層クロマトグラフィ(TLC):シリカゲル60 F254(メルク)CDCl3:MeOH=9:1、Rf 0.5
赤外線吸収スペクトル:KBr 3420,3330,2960,1880,1640,1520,1410,1280,1100cm-1
【0076】
化合物(4)は、一般的な有機溶媒中において、数種類の安定したコンホメーションで存在する。一例として、ピリジン−d5中での化合物(4)の主要コンホーマによる13C−NMR化学シフトを以下に挙げる。
【0077】
13C−NMR(ピリジン−d5、125MHz)
δ:175.1(s),174.4(s),174.4(s),173.4(s),173.0(s),172.9(s),171.0(s),170.9(s),170.4(s),169.5(s),169.0(s),129.8(d),127.1(d),75.2(d),69.6(d),66.1(t),61.5(d),59.3(d),57.3(d),55.7(d),55.7(d),54.6(d),49.0(t),48.6(d),48.1(d),47.4(d),46.6(d),41.2(t),41.2(t),39.1(q),38.5(t),38.2(t),37.6(d),37.3(t),34.1(q),34.0(d),31.6(t),31.1(q),31.0(q),29.9(q),28.8(q),27.7(d),25.9(d),25.6(d),24.9(d),24.8(d),24.1(q),23.2(q),23.2(q),23.2(q),23.2(q),22.8(q),21.3(q),20.9(q),19.7(q),19.3(q),18.4(q),18.1(q),18.1(q),17.4(q),16.1(q),15.3(q)
【0078】
上述の物理的および化学的性質の分析、およびさらなる化学構造同定研究の結果より、化合物(4)の化学構造は以下の通りに同定され、割り当てられた。
【0079】
さらに、13C−NMRデータを化合物(2)のそれと比較することにより、化合物(4)中のN−メチル−ヒドロキシロイシンの立体化学を決定した。
【化11】

【実施例6】
【0080】
実施例1(2)で得た反応混合物(A)(360L)に、室温で等体積のアセトンを添加することによって抽出した。混合物を珪藻土により濾過した。濾液を等体積の水で希釈し、25%アセトン水溶液で平衡化したDIAION HP−20(三菱化学株式会社)カラム(14L)を通した。カラムを25%アセトン水溶液(42L)で洗浄した後、メタノールで溶離した(40L)。有効成分分画(7〜37L)を等体積の水で希釈し、25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液(28L)で溶離した。有効成分分画(15〜28L)を等体積の水で希釈し、25%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液で溶離した。有効成分分画(18.8〜20.8L)を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、酢酸エチル1Lで抽出した。溶媒抽出物(上層)を減圧下で濃縮して油状残渣とした。乾燥した材料を少量のクロロホルムに溶解し、シリカゲル(シリカゲル60N、球状、中性、40〜100μm、関東化学株式会社、50g)にかけた。カラムをクロロホルム−メタノール(97:3)で洗浄し、クロロホルム−メタノール(96:4)およびクロロホルム−メタノール(95:5)で溶離した。有効成分分画を捕集し、減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を少量のメタノールに溶解し、分取HPLC(Mightysil RP−18 GP 250−20(5mm)、関東化学株式会社)にかけた。TFAを0.1%含有する50%アセトニトリル水溶液を用いて流速10mL/分でカラムを展開した。有効成分分画を等体積の水で希釈し、TFAを0.05%含有する25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(19mL)を通過させた。カラムを水(50mL)で洗浄した後、酢酸エチル(50mL)で溶離した。溶離液を減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を少量の酢酸エチルに溶解し、大量のn−ヘキサンに加えた。その後、化合物(5)を沈殿させ、ガラスフィルターで濾過した。この沈殿を減圧下で乾燥し、白色粉末として化合物(5)205mgを得た。
【0081】
化合物(5)は以下の物理化学的特性を有している。
外観:白色粉末
性状:中性物質
融点:163〜167℃(分解)
比旋光度:[α]23D−199°(c1.0,CH2Cl2
分子式:C621111115
分子量:ESI−MS(+)m/Z 1251(M+H)
溶解度:やや溶けやすい:CHCl3、MeOH、酢酸エチル、アセトン、DMSO、ピリジン
溶けにくい:H2
溶けない:n−ヘキサン
呈色反応:陽性:ヨウ素蒸気反応
陰性:
薄層クロマトグラフィ(TLC):シリカゲル60 F254(メルク)CHCl3:MeOH=10:1、Rf 0.42
赤外線吸収スペクトル:KBr 3420,3330,2960,1630,1530,1410,1100cm-1
【0082】
化合物(5)は、一般的な有機溶媒中において、数種類の安定したコンホメーションで存在する。一例として、ピリジン−d5中での化合物(5)の主要コンホーマによる13C−NMR化学シフトを以下に挙げる。
【0083】
13C−NMR(ピリジン−d5、125MHz)
δ:174.7(s),174.5(s),174.3(s),173.4(s),173.0(s),172.9(s),171.1(s),171.0(s),170.9(s),169.5(s),169.0(s),133.9(d),128.7(d),74.9(d),69.6(d),69.0(s),63.1(t),61.4(d),59.3(d),57.3(d),55.7(d),55.0(d),54.6(d),49.0(t),48.9(d),48.1(d),47.4(d),46.6(d),41.3(t),41.3(t),41.1(t),39.1(q),38.6(t),38.2(t),37.3(d),36.8(t),34.1(q),31.7(q),31.0(q),30.4(q),29.9(q),29.8(q),28.8(q),27.6(d),25.9(d),25.6(d),24.9(d),24.8(d),24.1(q),23.3(q),23.3(q),23.2(q),23.2(q),22.8(q),21.2(q),20.9(q),19.7(q),19.3(q),18.3(q),17.5(q),16.2(q),15.0(q)
【0084】
上述の物理的および化学的性質の分析、およびさらなる化学構造同定研究の結果より、化合物(5)の化学構造は以下の通りに同定され、割り当てられた。
【化12】

【実施例7】
【0085】
実施例1(2)で得た反応混合物(A)(360L)に、室温で等体積のアセトンを添加することによって抽出した。混合物を珪藻土により濾過した。濾液の一部を等体積の水で希釈し、25%アセトンで平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液(10L)で溶離した。有効成分分画(2.6〜4.6L)を等体積の水で希釈し、25%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。TFAを0.1%含有する45%アセトニトリル水溶液(13L)でカラムを溶離した。有効成分分画(8.6〜9.6L)を等体積の水で希釈し、TFAを0.05%含有する22.5%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(2L)を通過させた。カラムを水(5L)で洗浄した後、酢酸エチル(2L)で溶離した。有効成分分画(0〜0.5L)を減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を少量の酢酸エチルに溶解し、大量のn−ヘキサンに加えた。その後、化合物(6)を沈殿させた。この沈殿を減圧下で蒸発乾固し、1.3gの淡黄色粉末として化合物(6)を得た。
【0086】
化合物(6)は以下の物理化学的特性を有している。
外観:淡黄色粉末
性状:中性物質
融点:163〜167℃(分解)
比旋光度:[α]23D−207°(c1.0,CH2Cl2
分子式:C621111115
分子量:ESI−MS(+)m/Z 1251(M+H)
溶解度:やや溶けやすい:CHCl3、MeOH、酢酸エチル、アセトン、DMSO、ピリジン
溶けにくい:H2
溶けない:n−ヘキサン
呈色反応:陽性:ヨウ素蒸気反応
陰性:
薄層クロマトグラフィ(TLC):シリカゲル60 F254(メルク)CHCl3:MeOH=9:1、Rf 0.29
赤外線吸収スペクトル:KBr 3420,3330,2960,1630,1530,1410,1100cm-1
【0087】
化合物(6)は、一般的な有機溶媒中において、数種類の安定したコンホメーションで存在する。一例として、ピリジン−d5中での化合物(6)の主要コンホーマによる13C−NMR化学シフトを以下に挙げる。
【0088】
13C−NMR(ピリジン−d5、125MHz)
δ:175.2(s),174.5(s),174.4(s),173.4(s),173.0(s),172.9(s),171.0(s),170.9(s),170.5(s),169.5(s),169.0(s),133.9(d),128.7(d),75.0(d),69.6(d),67.9(t),63.1(t),61.4(d),59.3(d),57.3(d),55.7(d),55.3(d),54.6(d),49.0(t),48.6(d),48.1(d),47.4(d),46.6(d),41.2(t),41.1(t),39.1(q),38.5(t),38.2(t),37.3(d),36.8(t),34.1(q),33.5(d),31.5(t),31.0(q),30.8(q),29.9(q),28.8(q),27.6(d),25.9(d),25.6(d),24.9(d),24.8(d),24.1(q),23.3(q),23.2(q),23.2(q),23.2(q),22.8(q),21.2(q),20.9(q),19.7(q),19.3(q),18.3(q),17.4(q),16.2(q),16.2(q),15.4(q)
【0089】
上述の物理的および化学的性質の分析、およびさらなる化学構造同定研究の結果より、化合物(6)の化学構造は以下の通りに同定され、割り当てられた。
【0090】
13C−NMRデータを化合物(2)のそれと比較することにより、化合物(6)中のN−メチル−ヒドロキシロイシンの立体化学を決定した。
【化13】

【実施例8】
【0091】
実施例1(2)で得た反応混合物(A)(360L)に、室温で等体積のアセトンを添加することによって抽出した。混合物を珪藻土により濾過した。濾液を等体積の水で希釈し、25%アセトン水溶液で平衡化したDIAION HP−20(三菱化学株式会社)カラム(14L)を通した。カラムを25%アセトン水溶液(42L)で洗浄した後、メタノールで溶離した(40L)。有効成分分画(7〜37L)を等体積の水で希釈し、25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液(28L)で溶離した。有効成分分画(15〜28L)を等体積の水で希釈し、25%アセトニトリル水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(8L)を通過させた。カラムを50%アセトニトリル水溶液で溶離した。有効成分分画(17.8〜18.8L)を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、酢酸エチル500mLで抽出した。溶媒抽出物(上層)を減圧下で濃縮して油状残渣とした。乾燥した材料を少量のクロロホルムに溶解し、シリカゲル(シリカゲル60N、球状、中性、40〜100μm、関東化学株式会社、50g)にかけた。カラムをクロロホルムーメタノール(97:3)で洗浄し、クロロホルム−メタノール(96:4)およびクロロホルム−メタノール(95:5)で溶離した。有効成分分画を捕集し、減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を少量のメタノールに溶解し、分取HPLC(Mightysil RP−18 GP 250−20(5mm)、関東化学株式会社)にかけた。TFAを0.1%含有する50%アセトニトリル水溶液を用いて流速10mL/分でカラムを展開した。有効成分分画を等体積の水で希釈し、TFAを0.05%含有する25%メタノール水溶液で平衡化したDaisogel SP−120−ODS−B(15/30mm、ダイソー株式会社、日本)カラム(19mL)を通過させた。カラムを水(50mL)で洗浄した後、酢酸エチル(50mL)で溶離した。溶離液を減圧下で濃縮乾固した。乾燥した材料を少量の酢酸エチルに溶解し、大量のn−ヘキサンに加えた。その後、化合物(7)を沈殿させ、ガラスフィルターで濾過した。この沈殿を減圧下で蒸発乾固し、227mgの白色粉末として化合物(7)を得た。
【0092】
化合物(7)は以下の物理化学的特性を有している。
外観:白色粉末
性状:中性物質
融点:163〜167℃(分解)
比旋光度:[α]23D−199°(c1.0,CH2Cl2
分子式:C621111115
分子量:ESI−MS(+)m/Z 1251(M+H)
溶解度:やや溶けやすい:CHCl3、MeOH、酢酸エチル、アセトン、DMSO、ピリジン
溶けにくい:H2
溶けない:n−ヘキサン
呈色反応:陽性:ヨウ素蒸気反応
陰性:
薄層クロマトグラフィ(TLC):シリカゲル60 F254(メルク)CHCl3:MeOH=10:1、Rf 0.41
赤外線吸収スペクトル:KBr 3420,3330,2960,1630,1520,1410,1100cm-1
【0093】
化合物(7)は、一般的な有機溶媒中において、数種類の安定したコンホメーションで存在する。一例として、ピリジン−d5中での化合物(7)の主要コンホーマによる13C−NMR化学シフトを以下に挙げる。
【0094】
13C−NMR(ピリジン−d5、125MHz)
δ:175.1(s),174.4(s),174.4(s),173.4(s),172.9(s),172.9(s),171.0(s),170.9(s),170.4(s),169.5(s),169.0(s),133.9(d),128.7(d),75.0(d),69.6(d),66.1(t),63.1(t),61.4(d),59.3(d),57.3(d),55.7(d),55.7(d),54.6(d),49.0(t),48.6(d),48.1(d),47.4(d),46.6(d),41.3(t),41.2(t),39.1(q),38.5(t),38.2(t),37.3(d),36.8(t),34.1(q),34.0(d),31.6(t),31.1(q),31.0(q),29.9(q),28.8(q),27.7(d),25.9(d),25.6(d),24.9(d),24.8(d),24.1(q),23.2(q),23.2(q),23.2(q),23.2(q),22.8(q),21.2(q),20.9(q),19.7(q),19.3(q),18.4(q),18.1(q),17.4(q),16.2(q),15.3(q)
【0095】
上述の物理的および化学的性質の分析、およびさらなる化学構造同定研究の結果より、化合物(7)の化学構造は以下の通りに同定され、割り当てられた。
【0096】
13C−NMRデータを化合物(4)のそれと比較することにより、化合物(7)中のN−メチル−ヒドロキシロイシンの立体化学を決定した。
【化14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)の環状ペプチド化合物またはその塩。
【化1】

(式中、
1は水素または水酸基であり、
2は水素または水酸基であり、および
3は水素または水酸基である。
1が水素である場合、R2およびR3の少なくとも一方が水酸基である。)
【請求項2】
以下の一般式(I)の環状ペプチド化合物:
【化2】

(式中R1、R2およびR3は上記に定義される)またはその塩を生成する方法であって、以下の式(II)の環状ペプチド化合物(II):
【化3】

またはその塩を、Lentzea属に属する微生物の酵素産生株の培養により得られる酵素と接触させることを含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記微生物の株がLentzea sp.No.7887である方法。
【請求項4】
Lentzea sp. No.7887。
【請求項5】
有効成分として、薬学的に許容できる担体または賦形剤と混合した請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物。
【請求項6】
治療薬の製造を目的とした請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩の使用。
【請求項7】
治療薬としての使用を目的とした請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項8】
C型肝炎の予防的および/または治療的処置のための方法であって、請求項1の化合物または薬学的に許容できるその塩をヒトまたは動物に投与することを含む方法。
【請求項9】
請求項4に記載の医薬組成物およびこれに関する文書を含む商品包装であって、前記文書が前記医薬組成物をC型肝炎の予防または治療のために用いることができるまたは用いるべきであると述べている商品包装。
【請求項10】
包装材料および前記包装材料に収容される請求項1に定義する化合物(I)を含有する製造品であって、前記化合物(I)がC型肝炎の予防または治療について治療的に有効であり、および前記包装材料が前記化合物(I)をC型肝炎の予防または治療に用いることができるまたは用いるべきであることを表示したラベルまたは文書を含む製造品。

【公表番号】特表2008−520543(P2008−520543A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522334(P2007−522334)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【国際出願番号】PCT/JP2005/021742
【国際公開番号】WO2006/054801
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】