説明

新規1,3,3−トリメチル−7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン誘導体

【課題】新規1,3,3−トリメチル−7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン誘導体の合成研究およびその薬理作用を見出すこと。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物又はその塩は、グルココルチコイド受容体モジュレーターとして有用である。特にステロイド類等のグルココルチコイド受容体アゴニストが有効とされる疾患、例えば、炎症性の骨・関節疾患、眼炎症性疾患(前眼部又は後眼部炎症性疾患)の治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬として有用な新規1,3,3−トリメチル−7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン誘導体又はその塩およびそれらを含む医薬組成物に関する。その誘導体又はその塩はグルココルチコイド受容体に対する結合活性を有し、非ステロイド構造のグルココルチコイド受容体モジュレーターとして有用である。すなわち、これは、グルココルチコイド受容体アゴニストおよび/又はグルココルチコイド受容体アンタゴニストとして有用であり、特にステロイド類等のグルココルチコイド受容体アゴニストが有効とされる疾患、例えば、炎症性の骨・関節疾患、眼炎症性疾患(前眼部又は後眼部炎症性疾患)の治療剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
グルココルチコイド受容体は、核内レセプタースーパーファミリーに属する94kDaのリガンド−活性化細胞内転写調節因子である。この受容体は炭水化物・タンパク質・脂肪等の代謝調節、免疫・炎症反応の抑制、中枢神経系の活性化、心血管系機能の調節、基礎・ストレス関連ホメオスタシス等、に影響を及ぼすグルココルチコイド作用のメディエーターである。グルココルチコイド作用が関与する疾患としては、糖尿病、肥満等の代謝異常疾患、関節炎、腸炎、慢性閉塞性肺疾患等の炎症性疾患、膠原病等の自己免疫疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎等のアレルギー性疾患、精神病、アルツハイマー、薬物使用障害等の中枢神経系疾患、高血圧、高カルシウム血症、高インシュリン血症、高脂血症等の心血管系疾患、神経・免疫・内分泌のバランス異常をきたすホメオスタシス関連疾患、緑内障等が知られている(非特許文献1)。
【0003】
よって、グルココルチコイド受容体に対して結合活性を有する化合物は、これらの疾患の治療剤として有用であると考えられている。
【0004】
グルココルチコイド受容体に対して結合活性を有する化合物としては、コルチゾール、コルチコステロン等の生体内で作られるグルココルチコイド受容体アゴニスト、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニシロン等の合成グルココルチコイド受容体アゴニスト、RU486等の非選択的グルココルチコイド受容体アンタゴニスト等が知られている(特許文献1)。
【0005】
一方、1,3,3−トリメチル−7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン構造を有する化合物を具体的に開示した文献は知られておらず、当然、その化合物のグルココルチコイド受容体モジュレーターとしての用途、すなわち、グルココルチコイド受容体アゴニストおよび/又はグルココルチコイド受容体アンタゴニストとしての用途も知られていない。
【非特許文献1】総合臨床,54(7),1951−2076(2005)
【特許文献1】特開2002−193955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新規1,3,3−トリメチル−7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン誘導体又はその塩の合成研究およびその誘導体又はその塩の薬理作用を見出すことは非常に興味深い課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は新たな化学構造を有する1,3,3−トリメチル−7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン誘導体又はその塩の合成研究を行い、数多くの新規化合物を創製することに成功した。
【0008】
さらに、その誘導体又はその塩の薬理作用について研究した結果、本発明者は、その誘導体又はその塩がグルココルチコイド受容体(以下、「GR」とする)に対して結合活性を有し、医薬として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は下記一般式(1)で表される化合物又はその塩(以下、「本発明化合物」とする)および本発明化合物を含む医薬組成物に関する。また、本発明化合物の医薬用途における好ましい発明は、グルココルチコイド受容体モジュレーター(グルココルチコイド受容体アゴニストおよび/又はグルココルチコイド受容体アンタゴニスト)に関するものであり、グルココルチコイド作用(グルココルチコイド受容体アゴニスト作用および/又はグルココルチコイド受容体アンタゴニスト作用)が関与する疾患の予防および/又は治療剤に関する発明であり、特にステロイド類等のグルココルチコイド受容体アゴニストが有効とされる疾患、例えば、炎症性の骨・関節疾患、眼炎症性疾患(前眼部又は後眼部炎症性疾患)の予防および/又は治療剤に関する発明である。
【化1】

【0010】

[R1は下記一般式(2a)、(3a)、(4a)又は(5a)を示し;
【化2】

【0011】

2は低級アルキル基を示し;
は水素原子、置換基を有してよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し;
4又はR5は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し、R4とR5は一緒になって、置換基を有してもよい含窒素五又は六員環を形成してもよく;
Aは低級アルキレン基を示し;
6、R7、R8又はR9は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基又はニトロ基を示し;
m、n、p又はqは、0、1又は2を示し、
m、n、p又はqが2を示す場合、各R6、R7、R8又はR9は同一又は異なっていてもよい。以下、同じ。]
【発明の効果】
【0012】
本発明は医薬として有用な1,3,3−トリメチル−7−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン誘導体又はその塩を提供する。本発明化合物は優れたグルココルチコイド受容体結合活性を有し、非ステロイド構造のグルココルチコイド受容体モジュレーターとして有用である。すなわち、グルココルチコイド受容体アゴニストおよび/又はグルココルチコイド受容体アンタゴニストとして有用であり、特にステロイド類等のグルココルチコイド受容体アゴニストが有効とされる疾患、例えば、炎症性の骨・関節疾患、眼炎症性疾患(前眼部又は後眼部炎症性疾患)の治療剤として有用であることが確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書中で使用される文言(原子、基等)の定義について以下に詳しく説明する。
【0014】

「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を示す。
【0015】

「低級アルキル基」とは、炭素原子数が1〜8個、好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜4個の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。具体例として、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル基等が挙げられる。
【0016】

「低級シクロアルキル基」とは、炭素原子数が3〜8個、好ましくは3〜6個のシクロアルキル基を示す。具体例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル基が挙げられる。
【0017】

「アリール基」とは、炭素原子数が6〜14個の単環式芳香族炭化水素又は2環式若しくは3環式の縮合多環式芳香族炭化水素から水素1原子を除いた残基を示す。具体例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル基等が挙げられる。
【0018】

「複素環基」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1又は複数個のヘテロ原子を環内に有する飽和若しくは不飽和単環式複素環(好ましくは,1若しくは2個のヘテロ原子を環内に有する、炭素原子数3〜5個の飽和若しくは不飽和単環式複素五又は六員環)又は2環式若しくは3環式の縮合多環式複素環(好ましくは,1若しくは2個のヘテロ原子を環内に有する、炭素原子数7〜13個の2環式若しくは3環式の縮合多環式複素環)から水素1原子を除いた残基を示す。
【0019】

「飽和の単環式複素環」の具体例として、窒素原子を環内に有するピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ピペラジン、ホモピペリジン、ホモピペラジン環等が、酸素原子を環内に有するテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン環等が、硫黄原子を環内に有するテトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン環等が、窒素原子と酸素原子を環内に有するオキサゾリジン、イソオキサゾリジン、モルホリン環等が、窒素原子と硫黄原子を環内に有するチアゾリジン、イソチアゾリジン、チオモルホリン環等が挙げられる。
【0020】

また、それらの飽和の単環式複素環はベンゼン環等と縮合してジヒドロインドール、ジヒドロインダゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、クロマン、イソクロマン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、チオクロマン、イソチオクロマン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾイソオキサゾール、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロベンゾチアジン、キサンテン、4a−カルバゾール、ペリミジン環等の2環式又は3環式の縮合多環式複素環を形成してもよい。
【0021】

「不飽和の単環式複素環」の具体例として、窒素原子を環内に有するジヒドロピロール、ピロール、ジヒドロピラゾール、ピラゾール、ジヒドロイミダゾール、イミダゾール、ジヒドロトリアゾール、トリアゾール、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピリダジン、ピリダジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリミジン、ピリミジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピラジン、ピラジン環等が、酸素原子を環内に有するジヒドロフラン、フラン、ジヒドロピラン、ピラン環等が、硫黄原子を環内に有するジヒドロチオフェン、チオフェン、ジヒドロチオピラン、チオピラン環等が、窒素原子と酸素原子を環内に有するジヒドロオキサゾール、オキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、イソオキサゾール、ジヒドロオキサジン、オキサジン環等が、窒素原子と硫黄原子を環内に有するジヒドロチアゾール、チアゾール、ジヒドロイソチアゾール、イソチアゾール、ジヒドロチアジン、チアジン環等が挙げられる。
【0022】

また、それらの不飽和の単環式複素環はベンゼン環等と縮合してインドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ジヒドロキノリン、キノリン、ジヒドロイソキノリン、イソキノリン、フェナントリジン、ジヒドロシンノリン、シンノリン、ジヒドロフタラジン、フタラジン、ジヒドロキナゾリン、キナゾリン、ジヒドロキノキサリン、キノキサリン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、イソクロメン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、チオクロメン、イソチオクロメン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジン、フェノキサンチン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン環等の2環式又は3環式の縮合多環式複素環を形成してもよい。
【0023】

尚、前記の「複素環基」の内、1又は複数の窒素原子を含有する五員若しくは六員の飽和又は不飽和の単環式複素環を「含窒素五又は六員環」とする。
【0024】

「低級アルコキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペントキシ基等が挙げられる。
【0025】

「低級アルキルアミノ基」とは、アミノ基の一方又は両方の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例として、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメルアミノ、ジエチルアミノ、エチル(メチル)アミノ基等が挙げられる。
【0026】

「アラルキル基」とは、低級アルキル基の1又は複数個の水素原子がアリール基で置換された基を示す。具体例として、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0027】

「複素環低級アルキル基」とは、低級アルキル基の1又は複数個の水素原子が複素環基で置換された基を示す。具体例として、フラニルメチル、チオフェニルメチル、ピロリルメチル、ピリジルメチル等が挙げられる

「低級アルキレン基」とは、炭素原子数が1〜8個、好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜4個の直鎖又は分枝のアルキレン基を示す。具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、メチルメチレン、エチルメチレン基等が挙げられる。
【0028】

「置換基を有してもよい低級アルキル基」又は「置換基を有してもよい低級アルコキシ基」とは、下記α1群から選択される1又は複数個の置換基を有してもよい「低級アルキル基」又は「低級アルコキシ基」を示す。
【0029】

[α1群]
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ニトロ基およびシアノ基。
【0030】

「置換基を有してもよい低級シクロアルキル基」、「置換基を有してもよいアリール基」、「置換基を有してもよい複素環基」および「置換基を有してもよい含窒素五又は六員環基」とは、下記β1群から選択される1又は複数個の置換基を有してもよい「低級シクロアルキル基」、「アリール基」、「複素環基」および「含窒素五又は六員環基」を示す。
【0031】

[β1群]
ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン原子で置換された低級アルキル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子で置換された低級アルコキシ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ニトロ基およびシアノ基。
【0032】

「置換基を有してもよいアラルキル基」又は「置換基を有してもよい複素環低級アルキル基」とは、それらの低級アルキル部分が上記α1群から選択される1又は複数個の置換基を、および/又は、それらのアリール部分又は複素環部分が上記β1群から選択される1又は複数個の置換基を有してもよい「アラルキル基」又は「複素環低級アルキル基」を示す。
【0033】

本発明でいう「複数個の基」とは、夫々の基が同一であっても異なるものであってもよく、置換する部位において2個以上、置換可能な数以下の個数の基を示し、その個数は2個の場合が好ましい。また、水素原子やハロゲン原子も「基」の概念に含まれる。
【0034】

本発明でいう「グルココルチコイド受容体モジュレーター」とは、グルココルチコイド受容体と結合することにより、医薬的作用を発現するものをいう。例えば、グルココルチコイド受容体アゴニスト、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト等が挙げられる。
【0035】

本発明でいう「グルココルチコイド受容体アゴニスト」とは、グルココルチコイド受容体と結合することにより、完全アゴニスト作用又は部分アゴニスト作用を発現するものをいう。
【0036】

本発明でいう「治療剤」とは、疾病の予防および/又は治療の為に使用する薬剤を意味する。
【0037】

本発明の「グルココルチコイド受容体アゴニスト」の医薬用途としては、グルココルチコイド受容体アゴニストで治療可能な疾患であれば、特に制限はない。通常、ステロイド類で治療可能な疾患のすべてに適用することができる。
【0038】

例えば、慢性副腎皮質機能不全(原発性、続発性、下垂体性、医原性)、急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)、副腎性器症候群、亜急性甲状腺炎、甲状腺中毒症〔甲状腺(中毒性)クリーゼ〕、甲状腺疾患に伴う悪性眼球突出症、ACTH単独欠損症、特発性低血糖症等の内分泌疾患; エリテマトーデス(全身性および慢性円板状)、全身性血管炎(大動脈炎症候群、結節性動脈周囲炎、多発性動脈炎、ヴェゲナ肉芽腫症を含む)、多発性筋炎(皮膚筋炎)、強皮症等の膠原病;ネフローゼ、ネフローゼ症候群等の腎疾患; うっ血性心不全等の心疾患;気管支喘息、喘息性気管支炎(小児喘息性気管支炎を含む)、薬剤その他の化学物質によるアレルギー・中毒(薬疹、中毒疹を含む)、血清病等のアレルギー性疾患;紫斑病(血小板減少性および血小板非減少性)、再生不良性貧血、白血病(急性白血病、慢性骨髄性白血病の急性転化、慢性リンパ性白血病、皮膚白血病を含む)、溶血性貧血、顆粒球減少症等の血液疾患;潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、重症消耗性疾患の全身状態の改善(癌末期、スプルーを含む)等の消化器疾患;劇症肝炎、胆汁うっ滞型急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変等の肝疾患;サルコイドーシス、びまん性間質性肺炎(肺線維症、放射線肺臓炎を含む)等の肺疾患;重症感染症重症感染症;肺結核、結核性髄膜炎、結核性胸膜炎、結核性腹膜炎、結核性心のう炎等の結核性疾患;脳脊髄炎(脳炎、脊髄炎を含む)、末梢神経炎(ギランバレー症候群を含む)、筋強直症、重症筋無力症、多発性硬化症(視束脊髄炎を含む)、小舞踏病、顔面神経麻痺、脊髄蜘網膜炎等の神経疾患;悪性リンパ腫(リンパ肉腫症、細網肉腫症、ホジキン病、皮膚細網症、菌状息肉症)および類似疾患(近縁疾患)、好酸性肉芽腫、乳癌の再発転移等の悪性腫瘍;抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐);副腎摘除、副腎皮質機能不全患者に対する外科的侵襲、侵襲後肺水腫、臓器・組織移植、蛇毒・昆虫毒(重症の虫さされを含む)、原因不明の発熱等の外科疾患;卵管整形術後の癒着防止等の産婦人科疾患;前立腺癌、陰茎硬結等の泌尿器科疾患;湿疹・皮膚炎群(急性湿疹、亜急性湿疹、慢性湿疹、接触皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、アトピー皮膚炎、乳・幼・小児湿疹、ビダール苔癬、その他の神経皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性指掌角皮症、その他の手指の皮膚炎、陰部あるいは肛門湿疹、耳介および外耳道の湿疹・皮膚炎、鼻前庭および鼻翼周辺の湿疹・皮膚炎等)、痒疹群(小児ストロフルス、蕁麻疹様苔癬、固定蕁麻疹を含む)、蕁麻疹、乾癬および類症(尋常性乾癬(重症例)、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬、稽留性肢端皮膚炎、疱疹状膿痂疹、ライター症候群)、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、成年性浮腫性硬化症、紅斑症(多形滲出性紅斑、結節性紅斑)、アナフィラクトイド紫斑(単純型、シェーンライン型、ヘノッホ型)、ウェーバークリスチャン病、粘膜皮膚眼症候群(開口部びらん性外皮症、スチブンス・ジョンソン病、皮膚口内炎、フックス症候群、ベーチェット病、リップシュッツ急性陰門潰瘍)、レイノー病、円形脱毛症、天疱瘡群(尋常性天疱瘡、葉状天疱瘡、Senear‐Usher症候群、増殖性天疱瘡)、デューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡、妊娠性疱疹を含む)、先天性表皮水疱症、帯状疱疹、紅皮症(ヘブラ紅色粃糠疹を含む)、顔面播種状粟粒性狼瘡、アレルギー性血管炎およびその類症(急性痘瘡様苔癬状粃糠疹を含む)、潰瘍性慢性膿皮症、新生児スクレレーマ等の皮膚科疾患;急性・慢性中耳炎、滲出性中耳炎・耳管狭窄症、メニエル病およびメニエル症候群、急性感音性難聴、血管運動(神経)性鼻炎、アレルギー性鼻炎、花粉症(枯草熱)、進行性壊疽性鼻炎、喉頭炎・喉頭浮腫、耳鼻咽喉科領域の手術後の後療法、嗅覚障害、急性・慢性(反復性)唾液腺炎等の耳鼻咽喉科疾患;難治性口内炎および舌炎等の口腔外科疾患;リウマチ熱(リウマチ性心炎を含む)、リウマチ性多発筋痛、強直性脊椎炎(リウマチ性脊椎炎)等のリウマチ性疾患、さらに、下記の炎症性疾患等が挙げられる。
【0039】

本発明でいう「炎症性疾患」とは、炎症を伴う疾患であれば、特に制限はない。
【0040】

例えば、炎症性の骨・関節疾患、眼炎症性疾患、喘息、気管支炎、鼻炎、皮膚炎、炎症性腸疾患等が挙げられ、好ましくは、炎症性の骨・関節疾患および/又は眼炎症性疾患が挙げられる。
【0041】

ここで、「炎症性の骨・関節疾患」とは、関節部において炎症を伴う疾患であれば、特に制限はなく、例えば、関節リウマチ、若年性関節リウマチ(スチル病を含む)、変形性関節症、骨粗鬆症、脊椎関節炎等が挙げられ、好ましくは関節リウマチおよび/又は変形性関節症が挙げられる。
【0042】

また、「眼炎症性疾患」とは、眼部において炎症を伴う疾患であれば、特に制限はなく、例えば、前眼部炎症性疾患であれば、角膜炎、角結膜炎、結膜炎、眼瞼炎、眼球乾燥症候群、アレルギー性結膜炎、前部ぶどう膜炎、前眼部の手術後炎症、眼組織移植拒絶反応による炎症等が挙げられ、好ましくは、眼球乾燥症候群(ドライアイ)又はアレルギー性結膜炎が挙げられる。
【0043】
また、後眼部炎症性疾患であれば、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、血管新生黄斑症、突発性黄斑上膜、増殖性硝子体網膜症、網膜色素変性症、網膜中心静脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、網膜剥離や外傷(後眼部の手術を含む)を起因とした後眼部の炎症や変性、網膜炎、ぶどう膜炎、強膜炎、視神経炎等が挙げられ、好ましくは、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、血管新生黄斑症、突発性黄斑上膜、増殖性硝子体網膜症、網膜色素変性症、網膜中心静脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、網膜剥離や外傷(後眼部の手術を含む)を起因とした炎症や変性、網膜炎等の網膜疾患が、特に好ましくは、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫が挙げられる。
【0044】

本発明化合物における「塩」とは、医薬として許容される塩であれば、特に制限はない。例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等の有機酸との塩、臭化メチル、ヨウ化メチル等との四級アンモニウム塩、臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオンとの塩、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、鉄、亜鉛等との金属塩、アンモニアとの塩、トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミン等の有機アミンとの塩等が挙げられる。
【0045】

本発明化合物に幾何異性体および/又は光学異性体が存在する場合は、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0046】

本発明化合物にプロトン互変異性が存在する場合には、それらの互変異性体(ケト体、エノール体)も本発明に含まれる。
【0047】

本発明化合物に水和物および/又は溶媒和物が存在する場合は、それらの水和物および/又は溶媒和物も本発明の範囲に含まれる。
【0048】

本発明化合物に結晶多形および結晶多形群(結晶多形システム)が存在する場合には、それらの結晶多形体および結晶多形群(結晶多形システム)も本発明に含まれる。ここで、結晶多形群(結晶多形システム)とは、それら結晶の製造、晶出、保存等の条件および状態(尚、本状態には製剤化した状態も含む)により、結晶形が種々変化する場合の各段階における結晶形およびその過程全体を意味する。
【0049】

(A)本発明化合物の例として、一般式(1)で示される化合物又はその塩において、各基が以下に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【化3】

【0050】

(A1)R1は下記一般式(2a)、(3a)、(4a)又は(5a)を示し;および/又は
【化4】

【0051】

(A2)R2は低級アルキル基を示し;および/又は
(A3)Rは水素原子、置換基を有してよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し;および/又は
(A4)R4又はR5は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し、R4とR5は一緒になって、置換基を有してもよい含窒素五又は六員環を形成してもよく;および/又は
(A5)Aは低級アルキレン基を示し;および/又は
(A6)R6、R7、R8又はR9は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基又はニトロ基を示し;および/又は
(A7)m、n、p又はqは、0、1又は2を示し、
m、n、p又はqが2を示す場合、各R6、R7、R8又はR9は同一又は異なっていてもよい。
【0052】

すなわち、一般式(1)で示される化合物又はその塩において、上記(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、(A5)、(A6)および(A7)から選択される各組み合わせからなる化合物又はその塩。
【0053】

(B)本発明化合物における好ましい例として、一般式(1)で示される化合物又はその塩において、各基が下記に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0054】

(B1)R1は下記一般式(2a)、(3a)、(4a)又は(5a)を示し;および/又は
【化5】

【0055】

(B3)R2は低級アルキル基を示し;および/又は
(B4)Rは水素原子、置換基を有してよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し;および/又は
(B5)R4又はR5は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し、R4とR5は一緒になって、置換基を有してもよい含窒素五又は六員環を形成してもよく;および/又は
(B6)Aは低級アルキレン基を示し;および/又は
(B7)R6はハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基又はニトロ基を示し;および/又は
(B8)R7はハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基又は低級アルコキシ基を示し;および/又は
(B9)R8はハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基又は低級アルコキシ基を示し;
(B10)R9はハロゲン原子又は低級アルキル基を示し;および/又は
(B11)m、n又はpは1又は2を示し、
m、n又はpが2を示す場合、各R6、R7およびR8は同一又は異なっていてもよく;および/又は
(B12)qは0又は1を示す。
【0056】

すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(B1)、(B2)、(B3)、(B4)、(B5)、(B6)、(B7)、(B8)、(B9)、(B10)、(B11)および(B12)から選択される1又は2以上の各組み合わせからなる化合物又はその塩。
【0057】

尚、この(B)の条件と前記(A)の条件との組み合わせを充足する化合物又はその塩も本発明化合物の範囲である。
【0058】

(C)本発明化合物におけるより好ましい例として、一般式(1)で示される化合物又はその塩において、各基が以下に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0059】

(C1)R1は下記一般式(2b−1)、(2b−2)、(2b−3)、(3b−1)、(3b−2)又は(5b−1)を示し;および/又は
【化6】

【0060】

(C2)R2は低級アルキル基を示し;および/又は
(C3)R3は低級アルキル基、低級アルキルアミノ基を置換基として有してもよい複素環基、アラルキル基又は複素環低級アルキル基を示し;および/又は
(C4)R4又はR5は同一又は異なって、 低級アルキル基を示し、R4とR5は一緒になって、含窒素六員環を形成してもよく;および/又は
(C5)Aは低級アルキレン基を示す。
【0061】

すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(C1)、(C2)、(C3)、(C4)および(C5)から選択される1又は2以上の各組み合わせからなる化合物又はその塩。
【0062】

尚、この(C)の条件と前記(A)および/又は(B)の条件との組み合わせを充足する化合物又はその塩も本発明の範囲である。
【0063】

(D)本発明化合物における特に好ましい具体例として、下記の化合物又はその塩が挙げられる。
【0064】

・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0065】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−エチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0066】
・7−[4−[N−(2−ジエチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0067】
・7−[4−[N−メチル−N−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0068】
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0069】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0070】
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0071】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシ−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0072】
・7−[4−[N−エチル−N−(2−ジエチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0073】
・7−[4−[N,N−ビス(2−ジメチルアミノプロピル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0074】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0075】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メチル−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0076】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0077】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0078】
・7−[4−[N−(2−ジエチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0079】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−イソプロピルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0080】
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシ−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0081】
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシ−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0082】
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メチル−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0083】
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メチル−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0084】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−エチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0085】
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0086】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0087】
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0088】
・7−[4−[N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0089】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−イソプロピルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0090】
・8−(5−ブロモチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0091】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0092】
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0093】
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0094】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メトキシベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0095】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−エチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0096】
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0097】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0098】
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0099】
・7−[4−[N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0100】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−イソプロピルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0101】
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0102】
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン。
【0103】

本発明化合物は、以下の方法により製造することができる。尚、個々の具体的な製造方法については、後述の実施例『製造例の項』で詳細に説明する。また、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。尚、下記の合成経路中で示されているHalはハロゲン原子を示す。
【0104】

本発明化合物(I)は合成経路1に従い合成することができる。すなわち、化合物(II)と1,1’−カルボニルジイミダゾール(以下、CDIとする)を4−ジメチルアミノピリジン(以下、「DMAP」とする)存在下、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(以下、「THF」とする)等の有機溶媒中、室温から50℃で、30分間から12時間反応させた後、対応するアミンを加え、室温から80℃で、30分から24時間反応することにより、化合物(I)を得ることができる。
【化7】

【0105】

本発明化合物(I)−(a)(一般式(1)においてRが(3a)である化合物)は合成経路2に従い合成することもできる。すなわち、化合物(II)−(a)(Rが(3a)である化合物)と対応するアミン類を合成経路1の方法に従い反応させた後、この反応混合物をDMF、ジクロロメタン等の有機溶媒中、ピペリジン等の塩基存在下、0℃から50℃で、5分間から24時間処理することにより、化合物(I)−(d)を得ることができる。
【化8】

【0106】

前記の化合物(II)は合成経路3に従い合成することができる。すなわち、化合物(III)をジエチルエーテル、THF等の有機溶媒中、水素化リチウムアルミニウム等の還元剤存在下、−30℃から室温で、1時間から24時間処理することにより、化合物(IV)が得られる。得られる化合物(IV)とヨウ化メチルをN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFとする)、THF、エタノール等の有機溶媒中、炭酸セシウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の塩基存在下、0℃から100℃で、1時間から48時間反応することにより、化合物(V)が得られる。さらに、得られる化合物(V)と塩化メタンスルホニルをジクロロメタン、THF等の有機溶媒中、トリエチルアミン、DIEA等の塩基存在下、0℃から室温で、30分間から12時間反応させることにより、化合物(VI)が得られる。得られる化合物(VI)と対応するフェノール類又はアミン類をDMF、THF、エタノール等の有機溶媒中、炭酸セシウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の塩基存在下、0℃から100℃で、1時間から48時間反応することにより、化合物(VII)が得られる。 (また化合物(V)と対応するフェノール類をベンゼン、THF等の有機溶媒中、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィンとジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン等の光延試薬存在下、室温で1時間から2日間反応させることにより、化合物(VII)を得ることもできる。) さらに、化合物(VII)と対応するボロン酸又はそのエステル(VIII)をDMF、1,4−ジオキサン、エタノール、トルエン、水等の溶媒中、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、燐酸カリウム等の塩基と二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の触媒存在下、50℃から120℃で、1時間から48時間反応することにより、化合物(IX)が得られる。得られる化合物(IX)を1,4−ジオキサン、ジクロロメタン等の有機溶媒中、塩化水素、トリフルオロ酢酸等の酸存在下、0℃から50℃で、1時間から24時間処理することにより、化合物(II)を得ることができる。
【化9】

【0107】

前記の化合物(II)は合成経路4に従い合成することができる。すなわち、化合物(IV)と対応するボロン酸又はそのエステル(VIII)をDMF、1,4−ジオキサン、エタノール、トルエン、水等の溶媒中、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、燐酸カリウム等の塩基と二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)やテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の触媒存在下、50℃から120℃で、1時間から48時間反応することにより、化合物(X)が得られる。さらに、得られる化合物(X)と塩化メタンスルホニルをジクロロメタン、THF等の有機溶媒中、トリエチルアミン、DIEA等の塩基存在下、0℃から室温で、30分間から12時間反応させることにより、化合物(XI)が得られる。得られる化合物(XI)と対応するフェノール類、カルボン酸類又はアミン類をDMF、THF、エタノール等の有機溶媒中、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の塩基存在下、0℃から100℃で、1時間から48時間反応することにより、化合物(XII)が得られる。(また化合物(X)と対応するフェノール類又はカルボン酸類をベンゼン、THF等の有機溶媒中、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィンとジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン等の光延試薬存在下、室温で1時間から2日間反応させることにより、化合物(XII)を得ることもできる。) 得られる化合物(XII)とヨウ化メチルをDMF、THF、エタノール等の有機溶媒中、炭酸セシウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の塩基存在下、0℃から100℃で、1時間から48時間反応することにより、化合物(XIII)が得られる。 さらに、得られる化合物(XIII)を1,4−ジオキサン、ジクロロメタン等の有機溶媒中、塩化水素、トリフルオロ酢酸等の酸存在下、0℃から50℃で、1時間から24時間処理することにより、化合物(II)を得ることができる。
【化10】

【0108】

前記の化合物(III)は合成経路5に従い合成することができる。すなわち、化合物(XIV)をメタノール、エタノール、DMF等の有機溶媒中、塩化スズ(II)、塩化鉄(II)等の還元剤存在下、50℃から120℃で、1時間から12時間処理することにより、化合物(XV)が得られる。得られる化合物(XV)と塩化アセチル、無水酢酸等のアセチル化剤をジクロロメタン、THF等の有機溶媒中、トリエチルアミン、DIEA等の塩基存在下、0℃から50℃で、1時間から12時間反応させることにより、化合物(XVI)が得られる。得られる化合物(XVI)と硝酸を水等の溶媒中、硫酸等の酸存在下、−20℃から室温で、30分間から12時間反応させることにより、化合物(XVII)が得られる。得られる化合物(XVII)をメタノール等の有機溶媒中、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等の酸存在下、50℃から還流下で、1時間から12時間処理することにより、化合物(XVIII)が得られる。得られる化合物(XVIII)と対応するハロゲン化物(XIX)を炭酸セシウム、炭酸カリウム等の塩基存在下、50℃から120℃で、1時間から120時間反応することにより、化合物(XX)が得られる。得られる化合物(XX)をメタノール、エタノール、DMF等の有機溶媒中、塩化スズ(II)、塩化鉄(II)等の還元剤存在下、50℃から120℃で、1時間から12時間処理することにより、化合物(III)を得ることができる。
【化11】

【0109】

前記の化合物(II)−(a)は合成経路6に従い合成することができる。すなわち、化合物(IX)−(a)(化合物(IX)においてR1が(3a)である化合物)と塩化9−フルオレニルメトキシカルボニルを1,4−ジオキサン、水等の溶媒中、炭酸水素ナトリウム等の塩基存在下、0℃から50℃で、1時間から24時間反応することにより、化合物(XXI)が得られる。得られる化合物(XXI)を1,4−ジオキサン、ジクロロメタン等の有機溶媒中、塩化水素、トリフルオロ酢酸等の酸存在下、0℃から50℃で、1時間から24時間処理することにより、化合物(II)−(a)を得ることができる。
【化12】

【0110】


本発明化合物の医薬としての有用性を見出すために、グルココルチコイド受容体(以下、「GR」とする)競合アッセイキット(インビトロジェン社製、Cat No.P2816)を使用した、偏光蛍光法によるGR受容体競合アッセイを実施し、本発明化合物のGRに対する結合活性について検討した。その結果、本発明化合物は、GRに対して、80%以上の優れたGR結合率を示した。
【0111】
つぎに、本発明化合物のGRアゴニストとして可能性を評価するために、Lipopolysaccharide(以下、「LPS」とする)刺激後のヒト角膜上皮細胞株におけるIL-6産生抑制作用を検討した。その結果、本発明化合物は優れたIL-6産生抑制作用、すなわち、GRアゴニストとしての作用を示した。よって、本発明化合物は、ステロイド類等のGRアゴニストが有効とされる疾患、特に、炎症性疾患(骨・関節疾患、炎症性眼疾患等)の治療剤として有用である。
【0112】
さらに、本発明化合物の前眼部炎症性疾患治療剤としての可能性を見出す為、マウスのアレルギー性結膜炎モデルに対する本発明化合物の血管透過性亢進阻害効果を検討した。その結果、本発明化合物は優れた血管透過性亢進阻害作用を示した。よって、本発明化合物の前眼部炎症性疾患治療剤、特にアレルギー性結膜炎等のアレルギー性眼疾患の治療剤として有用である。
【0113】
また、、本発明化合物の後眼部炎症性疾患治療剤としての可能性を見出す為、ラット脈絡膜血管新生モデルに対する本発明化合物の脈絡膜新生血管抑制効果を検討した。その結果、本発明化合物は優れた脈絡膜新生血管抑制作用を示した。よって、本発明化合物の後眼部炎症性疾患治療剤、特に加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫等の網膜疾患治療剤として有用である。
【0114】
以上の薬理試験より、本発明化合物は医薬組成物、GRモジュレーター、GRアゴニストとして有用である。特に炎症性疾患治療剤(骨・関節疾患、炎症性眼疾患等)として有用であり、より具体的には、前眼部および/又は後眼部炎症性疾患治療剤等として有用であることが確認された。
【0115】

また、この詳細については、後述の実施例「薬理試験の項」で詳細に説明する。
【0116】

本発明化合物は経口でも、非経口でも投与することができる。投与剤型として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、点眼剤、坐剤、経皮吸収製剤、軟膏剤、エアゾール剤(吸入剤含む)等が挙げられ、それらは汎用される技術を使用して製剤化することができる。
【0117】
例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤は、乳糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等の賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等のコーティング剤、パラオキシ安息香酸エチル、ベンジルアルコール等の安定化剤、甘味料、酸味料、香料等の矯味矯臭剤等を必要に応じて、必要量を使用して、調製することができる。
【0118】
また、注射剤、点眼剤等の非経口剤は、塩化ナトリウム、濃グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等の等張化剤、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸,氷酢酸、トロメタモール等の緩衝化剤、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシ40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等の界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベン、塩化ベンゾトニウム、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、クロロブタノール等の防腐剤、塩酸、クエン酸、リン酸、氷酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、ベンジルアルコール等の無痛化剤等を必要に応じて、必要量を使用して、調製することができる。
【0119】

本発明化合物の投与量は、疾患の種類、症状、年齢、剤型等により適宜選択して使用することができる。例えば、経口剤は通常1日当たり0.01〜1000mg、好ましくは1〜100mgを1回又は数回に分けて投与することができる。また、点眼剤は通常0.0001%〜10%(w/v)、好ましくは0.01%〜5%(w/v)の濃度のものを1回又は数回に分けて投与することができる。
【0120】

以下に本発明化合物の製造例、製剤例および薬理試験の結果を示す。尚、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0121】

[製造例]
参考例1
7−ブロモ−8−メトキシカルボニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物1)

5−アミノ−2−ブロモ安息香酸メチル(参考化合物1−(1))
2−ブロモ−5−ニトロ安息香酸メチル(25.3g、97.3mmol)を無水メタノール(500mL)に溶解し、塩化スズ(II)(93.3g、487mmol)を加え、2時間加熱還流した。反応液を放冷し、酢酸エチル(500mL)および水(100mL)を加え、4規定水酸化ナトリウム水溶液で中和し、セライトろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、酢酸エチル(200mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL、2回)、水(200mL)および飽和食塩水(200mL)で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去することにより標記参考化合物(21.0g)を黄色油状物として得た。(収率94%)
【表1】

【0122】

5−アセチルアミノ−2−ブロモ安息香酸メチル(参考化合物1−(2))

5−アミノ−2−ブロモ安息香酸メチル(参考化合物1−(1)、21.0g、91.2mmol)を無水ジクロロメタン(450mL)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(19.0mL、137mmol)および塩化アセチル(13.0mL、182mmol)を30分かけて、その順で滴下後、0℃で2時間撹拌した。反応液を水(200mL、2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL、2回)および飽和食塩水(200mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をヘキサン−酢酸エチル(20:1)で濾取することにより標記参考化合物(24.2g)を淡黄色固体として得た。(収率98%)
【表2】

【0123】

3−アセチルアミノ−6−ブロモ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考化合物1−(3))

0℃で濃硫酸(150mL)に、5−アセチルアミノ−2−ブロモ安息香酸メチル(参考化合物1−(2)、18.5g、68.1mmol)を少しずつ加えた後、濃硝酸(150mL)を1時間かけて滴下した。30分間撹拌した後、反応液を氷水(1L)に加えて、酢酸エチル(500mL、2回)で抽出した。有機層を水(1L、2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)および飽和食塩水(1L)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製することにより標記参考化合物(13.4g)を黄色固体として得た。(収率62%)
【表3】

【0124】

3−アミノ−6−ブロモ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考化合物1−(4))

3−アセチルアミノ−6−ブロモ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考化合物1−(3)、13.4g、42.2mmol)をメタノール(240mL)に溶解し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(24.0mL、190mmol)を加え、2.5時間加熱還流した。炭酸水素ナトリウム(48g)で反応液を中和した後、反応液を減圧下濃縮した。反応液に酢酸エチル(500mL)および水(700mL)を加えて分配した後、酢酸エチル層を水(700mL)および飽和食塩水(700mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去することにより標記参考化合物(11.6g)を橙色固体として得た。(収率100%)
【表4】

【0125】

6−ブロモ−3−[(2−エトキシカルボニル)プロパン−2−イル]アミノ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考化合物1−(5))

3−アミノ−6−ブロモ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考化合物1−(4)、11.6g、42.0mmol)、2−ブロモイソ酪酸エチル(60.4mL、412mmol)、よう化カリウム(7.76g、46.2mmol)および炭酸セシウム(56.1g、172mmol)の混合物を、85℃で4日間攪拌した。放冷後、反応液に酢酸エチル(500mL)および水(500mL)を加えて分配し、水層を酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を合わせて、水(1L、2回)および飽和食塩水(1L)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(5.08g)を橙色油状物として得た。(収率31%)
【表5】

【0126】

7−ブロモ−8−メトキシカルボニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物1)

6−ブロモ−3−[(2−エトキシカルボニル)プロパン−2−イル]アミノ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考化合物1−(5)、105mg、0.26mmol)を無水エタノール(4.5mL)に溶解し、塩化スズ(II)(247mg、1.30mmol)を加え、5時間加熱還流した。放冷後、反応液に酢酸エチル(25mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、セライトろ過した。ろ液を分配した後、水層を酢酸エチル(10mL、2回)で抽出し、合わせた有機層を水(50mL、2回)、飽和食塩水(50mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(56.3mg)を淡黄色固体として得た。(収率70%)
【表6】

【0127】

参考例2
7−ブロモ−8−ヒドロキシメチル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物2−1)

窒素雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム(38.5mg、1.01mmol)を無水テトラヒドロフラン(0.5mL)に懸濁した。0℃で、7−ブロモ−8−メトキシカルボニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物1、101mg、0.323mmol)の無水テトラヒドロフラン(1.5mL)溶液を滴下し、同温で1時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(10mL)、水(10mL)および1規定塩酸(2mL)を順次加えて分配した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(67.4mg)を橙色アモルファスとして得た。(収率74%)
【表7】

【0128】

以下、参考化合物6−6を使用し、参考化合物2−1の製造方法に準じて、参考化合物2−2を得た。
【表8】

【0129】

参考例3
7−ブロモ−8−ヒドロキシメチル−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物3)

7−ブロモ−8−ヒドロキシメチル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物2−1、62.7mg、0.220mmol)、よう化メチル(68.6μL、1.10mmol)および炭酸セシウム(180mg、0.552mmol)の混合物を無水N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に懸濁し、室温で2.5時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(10mL)および水(10mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(45.5mg)を橙色アモルファスとして得た。(収率69%)
【表9】

【0130】

参考例4
7−ブロモ−8−クロロメチル−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物4)

7−ブロモ−8−ヒドロキシメチル−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物3、37.5mg、0.125mmol)を無水ジクロロメタン(1mL)に溶解し、トリエチルアミン(20.9μL、0.150mmol)および塩化メタンスルホニル(10.7μL、0.138mmol)を順次加えた。反応液を室温で一晩攪拌した。反応液に酢酸エチル(10mL)および水(10mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(28.7mg)を橙色アモルファスとして得た。(収率72%)
【表10】

【0131】

参考例5
7−ブロモ−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物5−1)

7−ブロモ−8−クロロメチル−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物4、801mg、2.52mmol)、5−フルオロ−2−メチルフェノール(330μL、3.02mmol)および炭酸カリウム(524mg、3.79mmol)の混合物を無水N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に懸濁し、80℃で一晩攪拌した。放冷後、酢酸エチル(80mL)および水(50mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(945mg)を無色固体として得た。(収率92%)
参考化合物5−1は以下の方法によっても合成することができる。
【0132】
7−ブロモ−8−ヒドロキシメチル−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物3、805mg、2.69mmol)、5−フルオロ−2−メチルフェノール(382μL、3.50mmol)およびトリ−n−ブチルホスフィン(874μL、3.50mmol)の混合物を無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(883mg、3.50mmol)を加え室温で1時間攪拌した。さらに5−フルオロ−2−メチルフェノール(382μL、3.50mmol)、トリ−n−ブチルホスフィン(874μL、3.50mmol)および1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(890mg、3.53mmol)を追加し、20分間攪拌した。反応液にヘキサン(15mL)を加えた後、不溶物を濾去した。濾液を濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記化合物(0.90g)を無色固体として得た。(収率82%)
【表11】

【0133】

以下、参考化合物2−2、3、4および市販化合物から選択される化合物を使用し、参考化合物5−1の製造方法に準じて、参考化合物5−2〜5−6を得た。
【表12−1】

【表12−2】


参考例6
8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−7−[2−メトキシ−4−(2−ニトロベンゾイルオキシ)フェニル]−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物6−1)

アルゴン雰囲気下、7−ブロモ−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物5−1、2.32g、5.70mmol)、2−メトキシ−4−メトキシメトキシフェニルボロン酸(参考化合物10、2.43g、11.5mmol)、炭酸セシウム(9.46g、29.0mmol)および二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(415mg、0.591mmol)の混合物を無水N,N−ジメチルホルムアミド(25mL)に懸濁し、80℃で5時間攪拌した。放冷後、酢酸エチル(150mL)および水(150mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水(150mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(2.73g)を無色固体として得た。(収率97%)
【表13】

【0134】

以下、参考化合物1、5−2〜5−5、10および市販化合物から選択される化合物を使用し、参考化合物6−1の製造方法に準じて、参考化合物6−2〜6−6を得た。
【表14−1】

【表14−2】


参考例7
7−(2−メトキシ−4−メトキシメトキシフェニル)−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物7)

7−(2−メトキシ−4−メトキシメトキシフェニル)−8−(5−メチルチオフェンカルボニルオキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物5−6、1.58g、3.18mmol)、よう化メチル(400μL、6.43mmol)および炭酸セシウム(2.24g、6.87mmol)の混合物を無水N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)に懸濁し、室温で2時間攪拌した。酢酸エチル(150mL)を加え希釈した。水(150mL)および飽和食塩水(150mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(1.38g)を淡黄色アモルファスとして得た。(収率85%)
【表15】

【0135】

参考例8
8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−7−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物8−1)

8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−7−(2−メトキシ−4−メトキシメトキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物6−1、2.73g、5.52mmol)を1,4−ジオキサン(25mL)およびメタノール(5mL)の混合溶液に溶解し、4規定塩化水素/1,4−ジオキサン溶液(7.0mL、28mmol)を加えた。反応液を室温で1時間攪拌した後、酢酸エチル(130mL)を加え希釈した。炭酸水素ナトリウム水溶液(130mL)および飽和食塩水(100mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去することにより標記化合物(2.41g)を淡黄色固体として得た。(収率97%)
【表16】

【0136】

以下、参考化合物6−2、6−3、6−5、7および11を使用し、化合物8−1の製造方法に準じて、参考化合物8−2〜8−6を得た。
【表17−1】

【表17−2】


参考例9
2−ブロモ−5−メトキシメトキシアニソール(参考化合物9)

4−ブロモ−3−メトキシフェノール(500mg、2.46mmol)、クロロジメチルエーテル(281μL、3.70mmol)および炭酸カリウム(850mg、6.15mmol)の混合物を無水N,N−ジメチルホルムアミド(8mL)に懸濁し、50℃で1時間攪拌した。放冷後、酢酸エチル(150mL)を加えて希釈した。水(150mL)および飽和食塩水(50mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記参考化合物(421mg)を無色油状物して得た。(収率69%)
【表18】

【0137】

参考例10
2−メトキシ−4−メトキシメトキシフェニルボロン酸(参考化合物10)

2−ブロモ−5−メトキシメトキシアニソール(参考化合物9、7.94g、32.1mmol)、ビス(ネオペンチルグリコレート)ジボロン(10.9g、48.3mmol)、酢酸カリウム(6.30g、64.2mmol)および二塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンコンプレックス(1:1)(2.10g、2.57mmol)の混合物をジメチルスルホキシド(90mL)に懸濁し、80℃で6時間攪拌した。放冷後、反応液に酢酸エチル(500mL)および水(500mL)を加えて分配した。水層を酢酸エチル(200mL、2回)で抽出し、有機層をあわせた後、飽和食塩水(400mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製後、得られた固体をヘキサンでろ取することにより標記参考化合物(1.94g)を無色固体として得た。(収率28%)
【表19】

【0138】

参考例11
8−[N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−N−(2−メトキシフェニル)アミノメチル]−7−(2−メトキシ−4−メトキシメトキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物11)
7−(2−メトキシ−4−メトキシメトキシフェニル)−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物6−4、104mg、0.212mmol)及び炭酸水素ナトリウム(22.0mg、0.262mmol)を1,4−ジオキサン(1.5mL)及び水(1mL)の混合溶液に溶解し、塩化9−フルオレニルメトキシカルボニル(60.3mg、0.233mmol)を加えた。反応液を室温で30分間攪拌した後、酢酸エチル(50mL)を加え希釈した。水(50mL)及び飽和食塩水(50mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記化合物(149mg)を無色アモルファスとして得た。(収率99%)
【表20】

【0139】

[実施例]
実施例1
7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(化合物1−1)

8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−7−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物8−1、400mg、0.888mmol)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(723mg、4.46mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(12.5mg、0.102mmol)の混合物を無水テトラヒドロフラン(8ml)に溶解し、室温で1時間攪拌する。反応液を60℃に加温し、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン(600μL、4.62mmol)を加え、3時間攪拌した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記化合物(402mg)を無色アモルファスとして得た。(収率78%)
【表21】

【0140】

以下、参考化合物8−1〜8−5および市販化合物から選択される化合物を使用し、化合物1−1の製造方法に準じて、化合物1−2〜1−14を得た。
【表22−1】

【表22−2】

【表22−3】

【表22−4】

【表22−5】


実施例2
7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(化合物2)
8−[N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−N−(2−メトキシフェニル)アミノメチル]−7−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン(参考化合物8−6、30.0mg、0.0448mmol)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(36.3mg、0.224mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.55mg、0.00448mmol)の混合物を無水テトラヒドロフラン(0.5ml)に溶解し、室温で30分攪拌した。反応液を60℃に加温し、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン(23.0mg、0.224mmol)を加え、1.5時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製した。得られた無色アモルファスをN,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)に溶解し、ピペリジン(50μL)を加え、室温で20分間攪拌した後、酢酸エチル(10mL)で希釈した。水(10mL)及び飽和食塩水(10mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより標記化合物(18.6mg)を無色アモルファスとして得た。(収率72%)
【表23】

【0141】

[製剤例]
本発明化合物を含む一般的な製剤例を以下に示す。
【0142】

1) 錠剤(150mg中)
本発明化合物 1mg
乳糖 100mg
トウモロコシデンプン 40mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 4.5mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg

上記処方の錠剤にコーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等の通常使用されるコーティング剤)3mgを用いて、コーティングを施し、目的とする錠剤を得ることができる。また、本発明化合物、添加物の種類および/又は添加物の量を適宜変更することで、所望の錠剤を得ることもできる。
【0143】

2) カプセル剤(150mg中)
本発明化合物 5mg
乳糖 135mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 4.5mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg

本発明化合物、添加剤の種類および/又は添加剤の量を適宜変更することで、所望のカプセル剤を得ることができる。
【0144】

3)点眼剤(100ml中)
本発明化合物 100mg
塩化ナトリウム 900mg
ポリソルベート80 500mg
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量

本発明化合物、添加物の種類および/又は添加剤の量を適宜変更することで、所望の点眼剤を得ることができる。
【0145】

[薬理試験]
1.GR結合活性評価試験
本発明化合物のGRに対する結合活性を評価するために、偏光蛍光法によるGR受容体競合アッセイを実施した。アッセイにはGR競合アッセイキット(Invitrogen社製、Cat No.P2816)を使用して、本キットに添付のプロトコールに準じて行った。以下にその具体的な方法を記載する。
【0146】

(試薬の調製)
GRスクリーニング緩衝液:10mM リン酸カリウム(pH 7.4)、20mM モリブデン酸ナトリウム(Na2MoO4)、0.1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、5mM ジチオスレイトール(DTT)、0.1mM 安定化ペプチドおよび2% ジメチルスルホキシドの緩衝液を調製した。
【0147】
4×GS1溶液:蛍光グルココルチコイドリガンドであるFluormoneTM GS1をGRスクリーニング緩衝液で希釈して、4 nMの溶液を調製した。
【0148】
4×GR溶液:リコンビナントヒトGRをGRスクリーニング緩衝液で希釈して、16nMの溶液を調製した。
【0149】

(被験化合物溶液の調製)
被験化合物をジメチルスルホキシドに溶解した後、この溶液をGRスクリーニング緩衝液で希釈し、20μMの被験化合物溶液を調製した。
【0150】

(試験方法および測定方法)
1) 384穴プレートに被験化合物溶液を1ウェルあたり10μLずつ注入し、次いで、4×GS1溶液および4×GR溶液を1ウェルあたり各々5μLずつ添加した。
【0151】
2) 暗所かつ室温で2-4時間インキュベートした。
【0152】
3) マルチモードプレートリーダーAnalystTM HT(LJL Biosystems社製)を使用し、ブランクとして、被験化合物溶液および4×GS1溶液に代えてGRスクリーニング緩衝液を含むウェルを用いて各ウェルの蛍光偏光を測定した。
【0153】
4) 被験化合物溶液に代えてGRスクリーニング緩衝液を用いて、他は前記1〜3)と同じ操作を実施し、その結果を陰性対照とした。
【0154】
5) 被験化合物溶液に代えて2mM デキサメタゾンを用いて、他は前記1)〜3)と同じ操作を実施し、その結果を陽性対照とした。
【0155】

(GR結合率の算出)
GR結合率(%)は以下の式により算出した。
【0156】
GR結合率(%) = 100×{1−(被験化合物溶液の蛍光偏光−陽性対照溶液の蛍光偏光)/(陰性対照溶液の蛍光偏光−陽性対照溶液の蛍光偏光)}

(試験結果および考察)
被験化合物として、化合物1−1、化合物1−2、化合物1−3、化合物1−4、化合物1−5、化合物1−6、化合物1−7、化合物1−8、化合物1−9、化合物1−10、化合物1−11、化合物1−12および化合物1−13を使用したところ、それらの化合物はいずれも80%以上のGR結合率を示した。
【0157】

2.GRアゴニスト活性の評価試験
本発明化合物のGRアゴニストとしての作用を評価するために、LPS刺激後のヒト角膜上皮細胞株におけるIL-6産生抑制作用を検討した。サンプル中のIL-6産生量の測定にはHTRF法(Boehringer-Ingelheim社製、Cat No.62IL6PEB)を使用し、添付のプロトコールに準じて行った。以下にその具体的な方法を記載する。
【0158】

(試薬の調製)
LPS調製液:LPSをPBS(-)に溶解した後、この溶液を培養液で希釈して1μg/mL LPS溶液を調製した。
【0159】

(被験化合物溶液およびデキサメタゾン(以下、「DEX」とする)溶液の調製)
被験化合物をジメチルスルホキシドに溶解した後、この溶液を培養液で希釈して100μMの被験化合物溶液を調製した。また、DEXを同様に溶解して100μM DEX溶液を調製し、DEXのIL-6産生抑制率を測定し、Efficacy(%DEX)の算出に用いた。
【0160】

(使用細胞および培養方法)
使用細胞:ヒト角膜上皮細胞株(HCE-T)(理化学研究所)
培養方法:
1) サブコンフルエントな状態まで増殖したHCE-TをPBS(-)で洗浄し、trypsin-EDTA処理により細胞を剥離した。
【0161】
2) SHEM培地(supplemented hormone epithelial medium: 15%FBS、5μg/mL insulin、0.1μg/mL choleratoxin、10ng/mL human EGF、40μg/mL gentamicin含有DMEM/Ham’s F12)を添加し、trypsinを不活性化した。
【0162】
3) 上記懸濁液を回収し、1000rpmで5min遠心後の細胞沈渣を得た。
【0163】
4) 細胞沈渣をSHEM培地で懸濁し、培養フラスコに播種後、CO2インキュベーター(温度:37℃、CO2濃度:5%)内で培養した。本方法により、継代培養を続けた細胞を試験に使用した。
【0164】

(試験方法および測定方法)
1) 継代培養したHCE-Tを回収し、96穴平底培養プレートに細胞を2.0×104cells/0.1mL/wellずつ播種した。
【0165】
2) 一晩培養した後、培地を除去し、10% FBS-DMEM/Ham’s F12培地を80μL/wellずつ添加した。
【0166】
3) 各被験化合物溶液を10μL/wellずつ添加した。
【0167】
4) LPS溶液を10μL/wellずつ添加した。
【0168】
5) 各被験化合物溶液およびLPS溶液の代わりに10% FBS-DMEM/Ham’s F12培地を添加したものを陰性対照とした。
【0169】
6) 各被験化合物溶液の代わりに1% DMSO含有10% FBS-DMEM/Ham’s F12培地を10μL/wellずつ添加したものを陽性対照とした。
【0170】
7) 4時間の培養終了後、上清を回収し、上清中に遊離しているIL-6量をHTRF human IL-6 Kitを用いて測定した。
【0171】
8) 以下の計算式に従いIL-6産生抑制率を算出した。
【0172】

(IL-6産生抑制率の算出)
IL-6産生抑制率(%)は以下の式により算出した。
【0173】
IL-6産生抑制率(%) = 100X{1−(各サンプルのIL-6産生量−陰性対照群のIL-6産生量平均値)/(陽性対照群のIL-6産生量平均値−陰性対照群のIL-6産生量平均値)} (%)

さらに、DEX処置群を100としたときのIL-6産生抑制率(Efficacy(%DEX))を算出した。
【0174】
Efficacy(%DEX) = 100X{(各サンプルのIL-6産生抑制率の平均)/(DEX処置群IL-6産生抑制率の平均値)}(%)

(試験結果および考察)
被験化合物として、化合物1−1、化合物1−2、化合物1−3、化合物1−4、化合物1−5、化合物1−6、化合物1−7、化合物1−8、化合物1−9、化合物1−10、化合物1−11、化合物1−12および化合物1−15を使用した場合のIL-6産生抑制率(%DEX)を表Iに示す。
【表I】


表Iに示したとおり本発明化合物は優れたIL-6産生抑制作用を示した。よって、前記1.GR結合活性評価試験の結果と併せ、本発明化合物はGRアゴニストとして有用であり、ステロイド類等のGRアゴニストが有用とされる疾患、特に炎症性疾患(骨・関節疾患、炎症性眼疾患等)の治療剤として有用であることが確認された。
【0175】

3.アレルギー性結膜炎モデルにおける血管透過性亢進抑制効果
本発明化合物の抗アレルギー作用を評価するため、マウスのアレルギー性結膜炎モデルに対する本発明化合物の血管透過性亢進抑制効果を検討した。尚、本効果は基剤投与群(コントロール群)の色素漏出量と被験化合物投与群の色素漏出量とから算出することができる。
【0176】

(被験化合物懸濁溶液の調製)
被験化合物に0.5%ポリソルベート80/生理食塩液を加えて、1%(W/V)の被験化合物懸濁液を調製した。
【0177】

(アレルギー性結膜炎モデルの作製および評価方法)
1) 水酸化アルミニウムゲル吸着オブアルブミン(20μg/mL)を生理食塩液に溶解し、6週齢の雄性BALB/c系マウスの腹腔内に500μLずつ注射し、能動感作を行った。
【0178】
2) 感作6日目に再度水酸化アルミニウムゲル吸着オブアルブミン(20μg/mL)を500μLずつ注射して追感作を行った。
【0179】
3) 初回感作から11日目、12日目、13日目、14日目および15日目に、オブアルブミン15%(W/V)含有50%グリセロール溶液を2μL/眼ずつマウスの右眼に点眼投与して、アレルギー性結膜炎を惹起させた。
【0180】
4) 感作15日目のオブアルブミン点眼投与の3時間前、1時間前および15分前(合計3回)に、被験化合物懸濁溶液を、上記マウスの右眼にそれぞれ2μL/眼ずつ点眼投与した。尚、基剤投与群(コントロール群)には被験化合物懸濁溶液に代えて0.5%ポリソルベート80/生理食塩液を用いた。
【0181】
5) 感作15日目のオブアルブミン点眼直前に0.1%Evans Blue溶液をマウスの尾静脈より注射し、オブアルブミン点眼30分後に色素漏出部位であるマウスの右眼周辺を摘出し、色素抽出液にて色素を抽出した。ついで、抽出した色素の吸光度を測定し、得られた吸光度より漏出色素量を算出し、計算式1によりアレルギー性結膜炎に伴う血管透過性亢進に対する被験化合物投与群の血管透過性亢進抑制率を算出した。
【0182】

(計算式1)
被験化合物投与群の血管透過性亢進抑制率(%) = (1-Ax/Ao)×100
Ao: 基剤投与群(コントロール群)の色素漏出量
Ax: 被験化合物投与群の色素漏出量

(試験結果および考察)
被験化合物として、化合物1−1、化合物1−2、化合物1−3、化合物1−5および化合物1−6を使用した場合の血管透過性亢進抑制率を表IIに示す。
【表II】


表IIに示したとおり、本化合物は優れた血管透過性亢進阻害作用を示した。よって、本化合物は前眼部炎症性疾患の治療剤、特にアレルギー性結膜炎等のアレルギー性眼疾患の治療剤として有用であることが確認された。
【0183】

4.脈絡膜血管新生阻害効果の評価試験
薬物の脈絡膜血管新生阻害効果を評価する一般的な方法の一つとして、ラット脈絡膜血管新生モデルを用いた新生血管発現試験が知られており、その試験方法がGraefe’s Arch. Cli. Exp. Ophthalmol., 235,313-319(1997)に報告されている。そこで、前記文献記載の方法に準じて、本発明化合物の新生血管発現試験を行い、基剤投与群(コントロール群)の新生血管発現率に対する本発明化合物投与群の新生血管発現率の割合を算出して、それを指標に本発明化合物の脈絡膜血管新生阻害効果を評価することができる。
【0184】

(被験化合物懸濁溶液の調製)
点眼投与の場合は、被験化合物を0.5%ポリソルベート80/生理食塩液中に懸濁させ、1%(W/V)の被験化合物懸濁液を調製した。結膜下投与の場合は、被験化合物を0.5%硬化ヒマシ油/生理食塩液中に懸濁させ、20mg/mLの被験化合物懸濁液を調製した。
【0185】

(レーザー誘発ラット脈絡膜血管新生モデルの作製)
1) ラット(Brown Norway雄性ラット、7-8週齢)に5%塩酸ケタミン注射液と2%塩酸キシラジン注射液の7 : 1混合液(1mL/kg)を筋肉内投与し、全身麻酔した。
【0186】
2) トロピカミド・塩酸フェニレフリン点眼液(商品名:ミドリンP)を点眼して散瞳させた後、クリプトンレーザー光凝固装置を使用して、ラットのブルーフ膜を光凝固させた。
【0187】
尚、レーザー照射は、眼底後局部の太い網膜血管を避け、その焦点を網膜深層に合わせて、1眼につき8ヶ所散在状に実施した。また、その光凝固の条件は、スポットサイズ100μm、出力100mM、凝固時間0.1秒とした。
【0188】
3) 光凝固後、眼底撮影を行い、光凝固(レーザー照射)部位を確認した。
【0189】

(試験方法および測定方法)
1) 点眼投与の場合は、レーザー照射日(1日目)から8日目まで、被験化合物懸濁溶液を1日4回、連日点眼投与した。結膜下投与の場合は、レーザー照射直後に1回50μLを注射した。
【0190】
2) 基剤投与群(コントロール群)として被験化合物懸濁溶液に代えて、0.5%ポリソルベート80/生理食塩液又は0.5%硬化ヒマシ油/生理食塩液を使用し、他は1)と同じ方法で試験を行い、その結果をコントロールとした。
【0191】

(評価方法)
1) 光凝固7日目に10%フルオロセイン水溶液0.1mLをラットの尾静脈から注入して、蛍光眼底造影を実施した。
【0192】
2) 次いで、蛍光眼底造影で蛍光の漏出が認められなかったスポットを陰性、蛍光漏出が認められたスポットを陽性とし、若干の蛍光漏出が認められる光凝固部位は、それが2ヶ所存在した時に陽性と判断した。
【0193】
3) 計算式1に従って新生血管発現率を算出した。各投与群の新生血管発現率から計算式2に従い、基剤投与群に対する被験化合物投与群の新生血管発現率の割合を算出した。
【0194】
(計算式1)
新生血管発現率(%) = (陽性光凝固部位数/全光凝固部位数)×100
(計算式2)
被験化合物投与群の新生血管抑制率(%) = (1-Ax/Ao)×100
Ao: 基剤投与群(コントロール群)の新生血管発現率
Ax: 被験化合物投与群の新生血管発現率

(試験結果および考察)
被験化合物として、化合物1−1、化合物1−2、化合物1−3および化合物1−4を使用した場合の抑制率を表IIIに示す。
【表III】


表IIIに示したとおり、本化合物は基剤と比較して、優れた新生血管抑制作用を示した。よって、後眼部炎症性疾患治療剤、特に加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫等の網膜疾患の治療剤として有用であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。
【化1】


[R1は下記一般式(2a)、(3a)、(4a)又は(5a)を示し;
【化2】


2は低級アルキル基を示し;
は水素原子、置換基を有してよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し;
4又はR5は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し、R4とR5は一緒になって、置換基を有してもよい含窒素五又は六員環を形成してもよく;
Aは低級アルキレン基を示し;
6、R7、R8又はR9は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基又はニトロ基を示し;
m、n、p又はqは、0、1又は2を示し、
m、n、p又はqが2を示す場合、各R6、R7、R8又はR9は同一又は異なっていてもよい。]
【請求項2】
一般式(1)において、
1は下記一般式(2a)、(3a)、(4a)又は(5a)を示し;
【化3】


2は低級アルキル基を示し;
は水素原子、置換基を有してよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し;
4又はR5は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよい複素環低級アルキル基を示し、R4とR5は一緒になって、置換基を有してもよい含窒素五又は六員環を形成してもよく;
Aは低級アルキレン基を示し;
6はハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基又はニトロ基を示し;
7はハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基又は低級アルコキシ基を示し;
8はハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基又は低級アルコキシ基を示し;
9はハロゲン原子又は低級アルキル基を示し;
m、n又はpは1又は2を示し、
m、n又はpが2を示す場合、各R6、R7及びR8は同一又は異なっていてもよく;
qは0又は1を示す請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
一般式(1)において、
1は下記一般式(2b−1)、(2b−2)、(2b−3)、(3b−1)、(3b−2)又は(5b−1)を示し;
【化4】


2はメチル基を示し;
3は低級アルキル基、低級アルキルアミノ基を置換基として有してもよい低級アルキル基、アラルキル基又は複素環低級アルキル基を示し;
4又はR5は同一又は異なって、 低級アルキル基を示し、R4とR5は一緒になって、含窒素六員環を形成してもよく;
Aは低級アルキレン基を示す請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−エチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジエチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−メチル−N−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシ−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−エチル−N−(2−ジエチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N,N−ビス(2−ジメチルアミノプロピル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メチル−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−イソプロピルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシ−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシ−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メチル−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メチル−5−ニトロフェノキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−エチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−イソプロピルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−メチルチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・8−(5−ブロモチオフェン−2−イルカルボニルオキシメチル)−7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(4−メトキシベンゾイルオキシメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−エチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−イソプロピルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(2−メトキシフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、
・7−[4−[N−ベンジル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オン、および
・7−[4−[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノカルボニルオキシ]−2−メトキシフェニル]−8−(5−フルオロ−2−メチルフェニルアミノメチル)−1,3,3−トリメチル−3,4−ジヒドロ−1H−キノキサリン−2−オンからなる群より選択される化合物又はその塩。
【請求項5】
請求項1〜4記載の化合物又はその塩の少なくとも1つを含有する医薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜4記載の化合物又はその塩からなるグルココルチコイド受容体モジュレーター。
【請求項7】
グルココルチコイド受容体モジュレーターがグルココルチコイド受容体アゴニストである請求項6記載のグルココルチコイド受容体モジュレーター。
【請求項8】
請求項7記載のグルココルチコイド受容体モジュレーターの少なくとも一つを有効成分として含有する炎症性疾患治療剤。
【請求項9】
請求項7記載のグルココルチコイド受容体モジュレーターの少なくとも一つを有効成分として含有する骨・関節疾患治療剤。
【請求項10】
請求項7記載のグルココルチコイド受容体モジュレーターの少なくとも一つを有効成分として含有する眼炎症性疾患治療剤。
【請求項11】
眼炎症性疾患が前眼部炎症性疾患である請求項10記載の眼炎症性疾患治療剤。
【請求項12】
眼炎症性疾患が後眼部炎症性疾患である請求項10載の眼炎症性疾患治療剤。

【公開番号】特開2009−84274(P2009−84274A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234101(P2008−234101)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】