説明

方向性流体線

【課題】波山と波谷で構成された内部輪郭を含む流体線と流体線を形成するための方法を提供する。
【解決手段】波山4と波谷5で構成された流体線1は、矢印3によって表された、所定の流れ通過方向に対する流れを最適化する、内部輪郭2を含む流体線と流体線1を形成するための方法において、各波山4は、前側面6と、後側面7を有し、前記前側面6は、縦方向の軸に関して、前記後側面7の傾斜角度より浅い傾斜角度を有して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、波山と波谷を持つ内部輪郭を有する流体線に関する。各場合の波山は、前側面と後側面を有する。
【背景技術】
【0002】
この型の流体線は例えば、波形パイプとして、参照される。知られている波形パイプには、内部輪郭が波山と波谷で提供されるだけでなく、外部輪郭も同様である。この型の実施形態は、特に比較的小さい半径で曲がることが可能な柔軟な流体線を提供することが可能なように設計される。しかしながら、内部輪郭の波山と波谷、つまり内部に突き出る波山により、流体の流れの乱れが起こる。したがって、この型の線は比較的高い流れ抵抗を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態は低い流れ損失を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態によれば、上記で言及されたこの型の流体線は、後側面よりも浅い傾斜角度を有する前側面を含む。
【0005】
この実施形態は、流体線の中の流れ方向は一般に一定であるという事実を利用する。流体の流れ通過のわずかな減速のみが、比較的浅い手法で上昇する前側面により発生する。それにも関われず、波山の軸方向の拡張は、比較的急勾配に下向きに傾斜する後側面により低く保たれ、この結果、流体線の十分な柔軟性が維持される。準定常境界層の形成は比較的急勾配の後側面によって妨げられる。同様にこれは流体線の比較的低い流れの抵抗を導く。
【0006】
好ましくは、流体線は波形パイプとして実装または形成され、内部輪郭と平行に走る外部輪郭を有する。これにより、非常に柔軟な流体線が得られる。低い流れ抵抗が可能になる方向、したがって好ましい流れ通過の方向を外側から認めることも可能である。正しくない導入はこれによってさらに困難になる。
【0007】
好ましくは、前側面は、50°から70°の範囲の傾斜角度を有し、後側面は、80°から90°の範囲の傾斜角度を有する。傾斜角度は、流体線の回転軸または対称軸と前側面または後側面との間で測定される。回転軸は流れ通過の方向と平行に走る。前側面と後側面は、一般に半径方向に連続な手法で実装または形成される。最適化された流れの振る舞いは、前側面の対応する傾斜角度と後側面の対応する、より大きい傾斜角度の結果として生じる。流れの損失はこれによって最小化される。
【0008】
好ましくは、前側面は凸状の手法で実装または形成される。したがって、前側面は内側に曲げられる。前側面が波山の頂点に一様に混合する間、これは波谷から始まる前側面のかなり著しい上昇の結果となる。これは乱流からできるだけ自由である移行の結果となる。
【0009】
好ましくは、後側面は平らな手法で実装または形成される。後側面は凸状または凹状の湾曲を有しない。これは正確に定められた立ち上がり縁と非常に簡単な実施形態の結果となる。
【0010】
好ましくは、波山と波谷の頂点は台地形状の手法で実装または形成される。波山と波谷の頂点はある領域で流れの通過方向と平行に走る。流体の良い案内がこれによって起きる。同時に流体線の柔軟性が、台地形状の頂点と波谷の軸方向の長さの手段によって制御される。
【0011】
頂点が波谷より大きい軸方向の拡張を有することは特に好ましい。流体の流れ通過での波谷の影響はしたがって低く保たれる。
【0012】
流れ断面は、波山間に実装または形成される最大に可能な自由断面によって本質的に決定される。特に波谷から波山への移行は比較的浅い傾斜角度で発生するため、波谷の影響はこれによって比較的わずかである。比較的急勾配の後側面と短い台地形状の波谷は、流体の流れ通過と流体線の内部表面間の準定常境界層の形成を避けるため、乱流を生成するために使用される。結局、低い流れ損失がこれによって得られる。
【0013】
好ましくは、流体線は、押し出しプラスチック管として、特に、押し出しポリアミド管として実装または形成される。したがって、流体線は、溶剤に対して非常に抵抗がある一方、十分な柔軟性が得られる。同時に高耐久性が得られる。流体線は比較的コスト効果的に製造され、多目的の手法で使用されることができる。望ましい内部輪郭は、比較的簡単でコスト効果的な押し出し手法の助けで製造される。
【0014】
本発明の実施形態は、波谷と波山で構成された内部輪郭を有する流体線に向いている。各波山は前側面と後側面を有し、前側面は縦方向の軸に関して、後側面の傾斜角度より浅い傾斜角度を有して構成される。
【0015】
本発明の実施形態によれば、流体線は波形パイプとして構成され、さらに内部輪郭と平行に走るように構成された外部輪郭を含む。
【0016】
他の実施形態によれば、前側面の傾斜角度は50°から70°の範囲であり、後側面の傾斜角度は80°から90°の範囲である。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、前側面は凸状の手法で構成され、配置される。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、後側面は平らな手法で構成される。
【0019】
さらに、波山と波谷の頂点は台地形状で構成される。この頂点は波谷より長い軸方向の拡張を有する。
【0020】
さらなる他の実施形態によれば、流体線は押し出しプラスチック管である。さらに、押し出しプラスチック管は押し出しポリアミド管である。
【0021】
本発明の実施形態は、台地形状の波山と波谷を有する内部輪郭を持つ波形パイプを含む方向性流体線に向いている。波山は前側面と後側面を有し、流れの方向に関し、波形パイプの縦方向の軸に関して異なった傾斜角度で向いている。
【0022】
実施形態によれば、前側面の傾斜角度は、後側面の傾斜角度より小さく、前側面と後側面の傾斜角度の違いは10°から40°の範囲である。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、後側面は一般に平らであり、前側面は凸状の表面である。凸状の表面は、縁または段なしに波山の頂点に連続的に混合する。さらに凸状の表面の傾斜角度は凸状の表面の長さに沿う傾斜角度の平均を含む。
【0024】
さらなる他の実施形態によれば、波山の台地形状は縦方向で波谷の台地形状より長い。
【0025】
本発明の実施形態は、流体線を形成するための方法に向いている。方法は、波形パイプの縦方向の軸に傾斜角度で向いた前側面と後側面を有する波山で構成された内部輪郭を持つ波形パイプを形成することを含む。前側面は縦方向の軸に関して、後側面の傾斜角度より小さい傾斜角度で構成される。
【0026】
実施形態によれば、前側面と後側面の傾斜角度の違いは、10°から40°の範囲である。
【0027】
本発明の他の実施形態によれば、内部輪郭はさらに波谷で構成され、波山と波谷は、縦方向の軸と一般に平行な表面を有する台地形状である。
【0028】
本発明のさらなる他の実施形態によれば、形成はプラスチック材料を押し出すことを含む。さらに、プラスチック材料はポリアミドを含む。
【0029】
他の例示的実施形態と本発明の効果は、本開示と添付の図によって確かめられる。
【0030】
本発明は、本発明の例示的実施形態の非制限例により、複数の図を参照することによって、以下の詳細な記述により記載される。図の中のいくつかを通して同じ参照番号は同じ部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態による流体線の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで、詳細は例示の方法で示され、本発明の実施形態の図示的議論の目的のためのみに、本発明の原理と概念的な面をすぐに理解でき、最も効果的と信じられることを提供するために表される。このことについて、本発明の基本的理解のために必要なもの以上に、本発明のいくつかの形状が実際にどのように実装され、形成されるかを当業者に明らかにさせる、図を伴った記載以上に、本発明の構造的詳細を開示することを意図していない。
【0033】
図は、波形パイプとして実装または形成された流体線1を示す。流体線1は、矢印3によって表された所定の流れ通過方向に対する流れを最適化する内部輪郭2を有する。
【0034】
内部輪郭2は、波山4と波谷5を有する。前側面6と後側面7は各波山4に割り当てられる、または関連する。前側面6の傾斜角度は後側面7の傾斜角度より小さい。側面6および7に対する傾斜角度は、流れ通過方向3と各側面6、7上の表面との間の角度に対応する。流体線1は一般に回転的に対称の手法で実装または形成されるため、回転(および縦の)軸8は流れ方向3と平行に走る。傾斜角度は回転軸8と前側面6または後側面7のそれぞれ1つとの間によって測定されることも可能である。
【0035】
実施形態によれば、後側面7は、80°と90°の間、好ましくは約85°の傾斜角度で向いている本質的に平らな表面を有する。対照的に、前側面6は凸状の手法で実装または形成され、前側面6の傾斜角度は、前側面6に沿う点上に依存して変化し、傾斜角度が決定される。したがって、前側面6の凸状の実施形態により、波谷5から始まる傾斜角度は最初比較的急勾配で波山4の中で平らになる。前側面6の平均傾斜角度は約50°と70°の間で、好ましくは約60°である。
【0036】
波谷5は台地形状の手法で一定の軸方向の長さに伸び、一般に回転軸8と平行である。波山4の波頂点9は同様に台地形状の手法で形成され、一般に回転軸8と平行に走る。さらに頂点9は波谷5より軸方向にさらに伸びる。この手法で前側面6は波谷5から頂点9に徐々に、つまり縁や段の形成なしに混合する。対照的に比較的明らかに著しい縁が頂点9から前側面7への移行で現れる。この配置は流れの分離を導き、準定常境界層の形成を妨げる。
【0037】
この例の中で、流体線1は押し出しプラスチック管、およびより好ましくは押し出しポリアミド管として実装または形成される。しかしながら、他の実施形態も可能である。例えば、流体線は金属材料を含むこともできる。
【0038】
流体線1の外部輪郭10は内部輪郭2に従う。つまり、これは内部輪郭2と平行に実装または形成される。これにより、比較的柔軟な流体線1が得られる。同時に流体線1は一定の材料厚さで実装または形成される。好ましい流体線1の柔軟性が、実施形態による波山と波谷の形成と配置によって得られる。結果として、流れ抵抗は、実施形態に従って実装または形成された内部輪郭によって、従来の波形パイプと比較して、減少される。したがって、流れ損失は低く保たれる。波山4と波谷5を有する内部輪郭2は同時に準定常境界層の形成を妨げるために利用することもできる。なめらかなパイプ、つまり円筒形状内部表面を有する線の流れ損失に近づく波形パイプ線が得られる一方、流体線1は、1つの流れ通過方向流のみで低い流れ損失に最適化される。しかしながら、流れ抵抗は流れ方向に依存するため、これは流れ方向を測定するために利用することができる。流れ抵抗は、圧力損失出現によって比較的容易に測定される。
【0039】
結局、流体線1は流れ最適化と方向的な内部輪郭を有する。さらに、実施形態によれば、波形パイプの柔軟性が、耐用性を有する波形パイプで事前に起こる対応する流れ損失なしに保持される。結局、流体線の使用の分野は、本実施形態により拡大される。
【0040】
上記の例は、単に例示の目的のために提示されたものであり、本発明の制限として構成されるものではないことに注意すべきである。本発明は例示的な実施形態を参照し記載されたが、ここで用いられた言葉は、制限の言葉ではなく、記載と例示の言葉と理解すべきである。添付の請求項の範囲内で、本発明の範囲と概念から、その態様を逸脱することなく、ここで述べられたようにおよび補正によって、変形は可能である。本発明は、特定の手段、材料および形態に関して、ここで記載されたが、本発明は、ここで開示された特別なものに制限されない。むしろ、本発明は、添付された請求項の範囲内で機能的に同等な構成、方法および用途に拡張される。
【符号の説明】
【0041】
1 流体線
2 内部輪郭
3 流れ通過方向
4 波山
5 波谷
6 前側面
7 後側面
8 回転軸
9 頂点
10 外部輪郭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波山4と波谷5で構成された内部輪郭2を
有し、各波山4は前側面6と後側面7を有し、前記前側面6は縦方向の軸8に関して、前記後側面7の傾斜角度より浅い傾斜角度を有して構成される流体線1。
【請求項2】
前記流体線1は波形パイプとして構成され、さらに前記内部輪郭2と平行に走るようにに構成された外部輪郭10を含む請求項1の流体線1。
【請求項3】
前記前側面6の傾斜角度は50°から70°の範囲であり、前記後側面7の傾斜角度は80°から90°の範囲である請求項1の流体線1。
【請求項4】
前記前側面6は凸状の手法で構成され、配置される請求項1の流体線1。
【請求項5】
前記後側面7は平らな手法で構成される請求項1の流体線1。
【請求項6】
前記波山4と前記波谷5の頂点9は台地形状で構成される請求項1の流体線1。
【請求項7】
前記頂点9は前記波谷5より長い軸方向の拡張を有する請求項6の流体線1。
【請求項8】
押し出しプラスチック管である請求項1の流体線1。
【請求項9】
前記押し出しプラスチック管は押し出しポリアミド管である請求項8の流体線1。
【請求項10】
台地形状の波山4と波谷5を有する内部輪郭2を持つ波形パイプ1を
含み、前記波山4は前側面6と後側面7を有し、流れの方向に関し、前記波形パイプ1の縦方向の軸8に関して異なった傾斜角度で向いている方向性流体線1。
【請求項11】
前記前側面6の傾斜角度は、前記後側面7の傾斜角度より小さく、前記前側面6と前記後側面7の傾斜角度の違いは10°から40°の範囲である請求項10の方向性流体線1。
【請求項12】
前記後側面7は一般に平らであり、前記前側面6は凸状の表面である請求項10の方向性流体線1。
【請求項13】
前記凸状の表面は、縁または段なしに前記波山4の頂点に連続的に混合する請求項12の方向性流体線1。
【請求項14】
前記凸状の表面の傾斜角度は前記凸状の表面の長さに沿う傾斜角度の平均を含む請求項12の方向性流体線1。
【請求項15】
前記波山4の台地形状は縦方向で前記波谷5の台地形状より長い請求項10の方向性流体線1。
【請求項16】
波形パイプの縦方向の軸8に傾斜角度で向いた前側面6と後側面7を有する波山4で構成された内部輪郭2を持つ波形パイプ1を形成することを
含み、前記前側面6は縦方向の軸に関して、前記後側面7の傾斜角度より小さい傾斜角度で構成される、流体線1を形成するための方法。
【請求項17】
前記前側面6と前記後側面7の傾斜角度の違いは、10°から40°の範囲である請求項16の方法。
【請求項18】
前記内部輪郭2はさらに波谷5で構成され、前記波山4と前記波谷5は、縦方向の軸8と一般に平行な表面を有する台地形状である請求項16の方法。
【請求項19】
前記形成はプラスチック材料を押し出すことを含む請求項16の方法。
【請求項20】
前記プラスチック材料はポリアミドを含む請求項19の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−207790(P2012−207790A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−73279(P2012−73279)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(591044393)ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー (43)
【Fターム(参考)】