説明

方法、システム及び交通信号機

【課題】エコドライブの新たな実現手法を提案すること。
【解決手段】自動車交通システム1において、交通信号機2のGPS受信機220は、GPS衛星からGPS衛星信号を受信し、受信したGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行って、自信号機の位置及び時計誤差を算出する。そして、算出した時計誤差で時計部230の計時時刻を補正し、時計部230の絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する。また、交通信号機2は、信号制御タイミングを示す情報を可視光通信によって発信する。自動車3は、交通信号機2から可視光通信によって発信された信号制御タイミング情報を受信し、受信した信号制御タイミング情報に基づいてエンジン停止及びエンジン再始動の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法、システム及び交通信号機に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星測位システムの一種であるGPS(Global Positioning System)を利用した交通信号機の制御技術として、例えば特許文献1には、可搬型交通信号装置の時刻同期を実現するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−106496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今は地球環境を考慮したエコドライブと呼ばれる運転方法が頻りに推奨されている。加減速の少ない運転の実施や、エンジンブレーキの活用、アイドリングストップなどが代表的なエコドライブの例である。しかし、エコドライブを実際に行うかどうかの判断は、運転者の意思に委ねられており、なかなか普及していないのが実情である。
【0005】
例えば、アイドリングストップに着目すると、積極的にアイドリング時にエンジンを停止させる自動車は、アイドリングを検出すると自動的にエンジンを停止させる機能を装備した自動車や、アイドリングストップを励行している公共バスが殆どである。公共バスの運転手がアイドリングストップを励行し易い理由は、運転手が各交差点の信号待ち時間を把握しているため、アイドリングストップを行うべきか否かを判断できるためでもある。
【0006】
しかしながら、一般自家用車は、常に同じ道路、同じルートのみを走行するわけではない。そのため、一般自家用車の運転手が、自身が走行し得る全ての交差点それぞれの信号待ち時間を把握することは物理的に不可能と言える。その一方で、某かの方法でエコドライブを実現したいという要望もある。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、エコドライブの新たな実現手法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための第1の形態は、交通信号機が、測位用衛星から測位用信号を受信することと、前記交通信号機が、前記受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時することと、前記交通信号機が、前記計時している絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御することと、前記交通信号機が、前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信することと、自動車が、前記交通信号機から発信されている前記信号制御タイミングを示す情報を受信することと、前記自動車が、前記受信した情報の示す前記信号制御タイミングに基づいて原動機の停止及び再始動のうちの少なくとも一方を制御することと、を含む方法である。
【0009】
また、他の形態として、交通信号機と自動車とを具備したシステムであって、前記交通信号機は、測位用衛星から測位用信号を受信する受信機と、前記受信機により受信された測位用信号に基づき絶対時刻を計時する計時手段と、前記計時手段により計時されている絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する信号制御手段と、前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信する発信手段と、を備え、前記自動車は、前記交通信号機が発信している前記信号制御タイミングを示す情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された情報が示す信号制御タイミングに基づいて原動機の停止及び再始動のうちの少なくとも一方を制御する原動機制御手段と、を備えたシステムを構成してもよい。
【0010】
この第1の形態等によれば、交通信号機が、測位用衛星から受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時することで、絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御することが可能となる。このことは、原則、同じ時刻であれば同じ信号制御が行われることを意味する。また、交通信号機が信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信するため、当該情報を受信した自動車は、当該情報に基づいて原動機の停止又は再始動の制御を行うことが可能となる。自動車側にとっては、交通信号機により決まった時刻に決まった信号制御が行われるため、原動機の停止又は再始動の制御の判断が容易となり、エコドライブの実現に資することができる。
【0011】
より具体的には、第2の形態として、第1の形態の方法であって、前記自動車が、前記測位用衛星から測位用信号を受信することと、前記自動車が、前記受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時することと、を更に含み、前記原動機の制御では、当該自動車が計時している絶対時刻と、前記受信した情報の示す前記信号制御タイミングとに基づいて前記原動機を制御することを含む、方法を構成してもよい。
【0012】
この第2の形態によれば、自動車が、測位用衛星から受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時する。そして、自動車が計時している絶対時刻と、交通信号機から受信した情報の示す信号制御タイミングとに基づいて原動機を制御する。交通信号機ばかりでなく、自動車も測位用衛星から受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時する。そのため、交通信号機と自動車との間の時刻同期が実現され、信号制御タイミングを示す情報を受信した自動車は、適切なタイミングで原動機の制御を行うことができる。
【0013】
また、第3の形態として、第2の形態の方法であって、前記自動車が、受信した前記測位用信号を用いて測位することと、前記自動車が、前記測位した位置と、前記絶対時刻とを対応づけて記憶することと、を更に含む方法を構成してもよい。
【0014】
この第3の形態によれば、自動車が、受信した測位用信号を用いて測位し、測位した位置と、絶対時刻とを対応づけて記憶しておくことで、事故に遭ったときの原因究明や、交通渋滞の分析や予測に資することができる。
【0015】
以上、交通信号機と自動車とを含めた第1〜第3の形態を説明したが、交通信号機のみに着目した形態も考えられる。例えば、第4の形態として、交通信号機が、測位用衛星から測位用信号を受信することと、前記交通信号機が、前記受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時することと、前記交通信号機が、前記計時している絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御することと、前記交通信号機が、前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信することと、を含む方法を構成してもよい。
【0016】
また、他の形態として、測位用衛星から測位用信号を受信する受信機と、前記受信機により受信された測位用信号に基づき絶対時刻を計時する計時手段と、前記計時手段により計時されている絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する信号制御手段と、前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信する発信手段と、を備えた交通信号機を構成してもよい。
【0017】
この第4の形態等によれば、交通信号機が、測位用衛星から受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時する。そして、交通信号機が、計時している絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する。このことは、原則、同じ時刻には同じ信号制御が行われることを意味する。そして、交通信号機は、当該信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信するため、受信側では当該情報を利用することができる。
【0018】
また、第5の形態として、第4の形態の方法であって、前記交通信号機は、可搬型の信号機であり、前記交通信号機が、受信した前記測位用信号を用いて測位することと、前記交通信号機が、前記測位した位置と、前記絶対時刻と、前記信号制御タイミングとを対応づけて記憶することと、を更に含む方法を構成してもよい。
【0019】
この第5の形態によれば、可搬型の交通信号機についても上記の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は自動車交通システムの概略構成図。(B)は交通信号機の概略構成図。(C)は自動車の概略構成図。
【図2】交通信号機の機能構成の一例を示すブロック図。
【図3】制御時間テーブルのテーブル構成の一例を示す図。
【図4】信号制御タイミング情報の一例を示す図。
【図5】自動車の機能構成の一例を示すブロック図。
【図6】交通信号機処理の流れを示すフローチャート。
【図7】エコ制御処理の流れを示すフローチャート。
【図8】カーナビゲーション装置の表示画面の一例を示す図。
【図9】変形例における自動車交通システムの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を適用した自動車交通システムの実施形態について説明する。但し、本発明を適用可能な実施形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。
【0022】
1.システム構成
図1は、本実施形態における自動車交通システム1のシステム構成の説明図である。図1(A)に示すように、自動車交通システム1は、複数の交通信号機2と、四輪自動車3(以下、単に「自動車」と称す。)と、複数のGPS(Global Positioning System)衛星4とを備えて構成される。なお、図1(A)の自動車交通システム1では、歩道信号機や車両感知器といった構成要素については図示を省略している。
【0023】
交通信号機2は、交差点に設置される交通用の信号機である。交通信号機2は、図1(B)に示すように、例えば、交通信号制御機21と、赤・青・黄色のLED(Light Emitting Diode)表示部231を有する車両用の信号灯器(以下、単に「灯器」と称す。)23とを備えて構成される。
【0024】
交通信号制御機21は、交差点の各方路が見通せる位置に設置され、自動車の交通整理を実現するための制御装置である。本実施形態における交通信号機2の信号灯器はLED式信号灯である。交通信号制御機21は、灯器23のLED表示部231に点灯させる信号を「青」、「黄」、「赤」に順次に切り替え、交差点における自動車3の安全で円滑な交通を実現する。
【0025】
また、本実施形態において、交通信号制御機21はGPS受信機220を具備している。GPS受信機220は、複数のGPS衛星4からGPS衛星信号を受信し、受信したGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行って交通信号機2の位置を算出するとともに、交通信号機2の内部時計の時計誤差を算出する。そして、算出した時計誤差で内部時計の計時時刻を較正し、GPSの絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する。
【0026】
また、交通信号制御機21は、信号制御タイミングを示す情報(以下、「信号制御タイミング情報」と称す。)を生成し、灯器23の発光を制御することで、この信号制御タイミング情報を近距離無線通信の一種である可視光通信方式で発信させる。可視光通信は、光無線通信の一種であり、可視光素子の一種であるLED(発光ダイオード)を肉眼では識別できないほど高速に点滅させることによりデータ通信を行う通信方式である。可視光通信によって発信された信号制御タイミング情報は、交通信号機2の手前方に位置する自動車3により受信される。
【0027】
自動車3は、運転者の運転操作に従って、原動機の動力によって推進する四輪の普通自動車である。自動車3は、図1(C)に示すようにGPS受信機320を具備しており、複数のGPS衛星4から受信したGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行って自動車3の位置を算出するとともに、自動車3の内部時計の時計誤差を算出する。そして、算出した時計誤差で内部時計の時計誤差を較正し、GPSの絶対時刻に基づいて自動車を制御する。
【0028】
また、自動車3は、進行方向前方に位置する交通信号機2のLED表示部231を撮影するために、撮影方向を前方に向けて配置されたカメラ340を備えている。制御装置310は、カメラ340で撮影された映像を解析することにより、交通信号機2から発信されている信号制御タイミング情報を取得する。そして、取得した信号制御タイミング情報に基づいて、エンジン停止及びエンジン再始動の制御を行う。交通信号制御機2及び自動車3は、GPSの絶対時刻に基づいて時刻同期しており、自動車3は、交通信号機2から発信される信号制御タイミング情報に基づく適切なタイミングでエンジン制御を行うことができるように構成されている。
【0029】
GPS衛星4は、測位用衛星の一種であり、アルマナックやエフェメリス等の衛星軌道データを含む航法メッセージデータを、測位用衛星信号の一種であるGPS衛星信号に乗せて発信している。GPS衛星信号は、拡散符号の一種であるCA(Coarse and Acquisition)コードによって、スペクトラム拡散方式として知られるCDMA(Code Division Multiple Access)方式によって変調された1.57542[GHz]の通信信号である。CAコードは、コード長1023チップを1PNフレームとする繰返し周期1msの擬似ランダム雑音符号であり、衛星毎に異なる。
【0030】
2.機能構成
2−1.交通信号機2の構成
図2は、交通信号機2の機能構成を示すブロック図であり、本実施形態に係わる主要な機能ブロックを図示したものである。交通信号機2は、主要な機能ブロックとして、交通信号制御機21と、灯器23とを備える。
【0031】
交通信号制御機21は、例えば、処理部210と、GPS受信機220と、時計部230と、表示駆動信号生成部240と、記憶部250と、信号制御履歴データベース(DB)260とを備えて構成される。
【0032】
処理部210は、記憶部250に記憶されているシステムプログラム等の各種のプログラムに従って、交通信号制御機21の各部を統括的に制御して各種の処理を行う処理回路部であり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを有して構成される。
【0033】
本実施形態において、処理部210は、時計部230の計時時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する信号制御手段として機能する他、信号制御タイミングを示す情報(信号制御タイミング情報)を生成し、可視光通信方式による発信を制御する発信制御手段として機能する。可視光通信方式は公知の方式を採用することができ、例えば一定間隔で光源を高速に点滅させることでデータを伝送するサブキャリア反転パルス位相変調方式などがある。
【0034】
GPS受信機220は、GPS衛星4から受信したGPS衛星信号を利用して交通信号機2の位置を計測する位置算出回路或いは位置算出装置である。位置算出は、受信したGPS衛星信号から取り出した衛星軌道データや時刻データ等に基づく所定の位置算出計算によって行われる。この際に取得する時刻データに基づいて時計部230の時計誤差を較正する。
【0035】
時計部230は、交通信号機2の内部時計であり、主として信号制御に係るタイミングを管理するために使用される。時計誤差の存在により、時計部230の計時時刻は時間経過に伴って正確な時刻からずれていく。そのため、所定の時刻補正タイミングにおいて、GPS受信機220によって算出された時計誤差を用いて、時計部230の時計誤差を較正する。時計部230は、絶対時刻を計時する計時手段に相当する。
【0036】
表示駆動信号生成部240は、LED表示部231の駆動電源である。表示駆動信号生成部240は、LED表示部231に「青」、「黄」、「赤」の点灯を表示出力させるための表示駆動信号を生成する。この際、処理部210の制御に従った所定の可視光通信方式で駆動信号を変化させることで、LED表示部231を発信手段として機能させて、信号制御タイミング情報を発信させる。
【0037】
記憶部250は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置によって構成され、交通信号機2のシステムプログラムや、信号制御を行うためのプログラム等の各種プログラム、データ等を記憶している。また、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
【0038】
記憶部250には、例えば、プログラムとして、処理部210により読み出され、交通信号機処理(図6参照)として実行される交通信号機処理プログラム251が記憶されている。また、データとして、複数の制御時間テーブル253と、GPSデータ255と、信号制御タイミング情報257とが記憶される。
【0039】
交通信号機処理とは、処理部210が、時計部230の計時時刻と、記憶部250に記憶されている制御時間テーブル253とに基づいて、自信号機の点灯を切り替える制御を行うとともに、信号制御タイミングを示す情報(信号制御タイミング情報)を生成する処理である。そして、生成した信号制御タイミング情報を可視光通信で発信させる制御を行う。交通信号機処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
【0040】
制御時間テーブル253は、交通信号制御機21が信号制御を行うための制御時間が定められたテーブルであり、そのテーブル構成例を図3に示す。制御時間テーブル253には、自信号機の制御を行う日付2531と対応付けて、時間帯2533と、青点灯切替時間間隔2535と、青点灯継続時間2537と、赤点灯継続時間2539とが記憶されている。なお、ここでは説明の簡明化のため、黄色信号は考慮せずに、赤信号と青信号とに着目した制御時間テーブル253として図示・説明する。
【0041】
時間帯2533は、当該日付2531において自信号機の制御を行う時間帯であり、図3では3つの時間帯が設定されている。青点灯切替時間間隔2535は、交通信号機2を青点灯に切り替えてから次に青点灯に切り替えるまでの時間間隔であり、図3では分単位の時間間隔が設定されている。
【0042】
青点灯継続時間2537は、青点灯を継続させる時間であり、青点灯切替時間間隔2535よりも短い時間が設定される。また、赤点灯継続時間2539は、赤点灯を継続させる時間であり、青点灯切替時間間隔2535から青点灯継続時間2537を減算した時間が設定される。
【0043】
例えば、図3に示す日付が「2010年3月20日」の制御時間テーブル253において、「0時00分〜6時00分」の時間帯2533には、青点灯切替時間間隔2535として「3分」が設定されている。また、青点灯継続時間2537として「100秒」が設定されており、赤点灯継続時間2539として「3分=180秒」から「100秒」を減算した「80秒」が設定されている。
【0044】
図4は、信号制御タイミング情報257のデータ構成の一例を示す図である。信号制御タイミング情報257には、例えば、信号機ID2571と、信号機位置2573と、生成日時2575と、点灯2577と、点灯継続時間2579とが対応付けて記憶されている。
【0045】
信号機ID2571は、交通信号機2をユニークに識別するための識別情報(ID)である。信号機位置2573は、当該交通信号機2の位置情報であり、GPS受信機220により測位された位置情報が設定される。生成日時2575は、当該信号制御タイミング情報257が生成された日時であり、当該信号制御タイミング情報257を生成する際に時計部230が計時している日時が設定される。
【0046】
点灯2577は、生成日時2575における自信号機の点灯を示しており、本実施形態では「赤」又は「青」が設定される。また、点灯継続時間2579は、現在の点灯から次の点灯に切り替えるまでの時間である。図3の制御時間テーブル253には、自信号機の点灯の切替に関する時間が設定されている。そのため、制御時間テーブル253と、生成日時2575とを用いれば、点灯継続時間2579を算出することができる。
【0047】
信号制御履歴DB260は、自信号機の制御履歴が蓄積的に記憶されたデータベースである。信号制御履歴DB260には、生成された信号制御タイミング情報257が蓄積的に記憶され、自動車3のドライブレコーダー390に記録された制御履歴データ396との相互解析などに利用される。
【0048】
2−2.自動車3の構成
図5は、自動車3の本実施形態に係わる機能ブロックを簡略的に図示したものである。自動車3は、例えば、制御装置310と、GPS受信機320と、時計部330と、カメラ340と、操作系345と、駆動系350と、動力系360と、走行センサー類370と、計器類380と、ドライブレコーダー390とを備えて構成される。
【0049】
制御装置310は、走行センサー類370により検出された各種の検出信号に基づき、記憶部311に記憶されている燃料噴射制御プログラムやトランスミッション制御プログラム、エンジン制御プログラム等の各種のプログラムに従って自動車3の各部を統括的に制御する制御装置である。また、走行センサー類370により検出された自動車3の走行状態に関する情報又は信号を計器類380に出力することで、運転者に現在の自動車3の状態を報知する。
【0050】
記憶部311は、ROMやフラッシュROM、RAM等の記憶装置によって構成される記憶装置であり、本実施形態に係わるプログラムやデータとして、例えば、制御装置310により読み出され、エコ制御処理(図7参照)として実行されるエコ制御プログラム312と、交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257とが記憶される。
【0051】
エコ制御処理とは、制御装置310が、交通信号機2から発信されている信号制御タイミング情報を受信し、受信した信号制御タイミング情報に基づいて、エンジンの停止又はエンジンの再始動を制御することで、エコドライブを実現する処理である。エコ制御処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
【0052】
時計部330は、自動車の内部時計である。時計誤差の存在により、時計部330の計時時刻は時間経過に伴って正確な時刻からずれていく。そのため、制御装置310は、所定の時刻補正タイミングにおいて、GPS受信機320によって算出された時計誤差を用いて時計部330の時計誤差を較正し、交通信号機2との時刻同期を実現する。時計部330は、絶対時刻を計時する計時手段に相当する。
【0053】
カメラ340は、例えば自動車3の天井下の前部に、撮影方向を進行方向前方に向けて設置される可視光通信用の受像機であり、受像信号を制御装置310に出力する。カメラ340は、信号制御タイミング情報の受信手段に相当する。制御装置310は、カメラ340から出力される受像信号を解析して、交通信号機2から発信された信号制御タイミング情報を取得する。すなわち、受像信号から、所定の可視光通信方式の信号成分を抽出して、信号制御タイミング情報を取り出す。
【0054】
見通しの良い直線道路においては、自動車3の進行方向前方の遠近異なる位置に位置する複数の交通信号機2からの可視光信号をカメラ340で捉えることができる。受像範囲のうち、各々の交通信号機2の位置(写っている位置)が異なるためである。制御装置310は、捉えた信号それぞれに含まれる信号制御タイミング情報を別々に取得する。
【0055】
この場合、制御装置310は、受信した各々の信号制御タイミング情報257に含まれる信号機位置2573と、GPS受信機320により測位された自動車位置との位置関係に基づいて、各交通信号機2を判別する。信号機位置と自動車位置間の距離が最も短い交通信号機2が、自動車3の直近に位置する交通信号機2であると判断することができる。
【0056】
そして、制御装置310は、直近に位置する交通信号機2については、当該交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257を用いて、エンジンの停止又は再始動の制御を行う。すなわち、制御装置310は、交通信号機2から受信した信号制御タイミングに基づいて原動機の停止又は再始動を制御する原動機制御手段として機能する。
【0057】
また、2番目以降に位置する交通信号機2については、制御装置310は、当該交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257に基づいて、当該交通信号機2の信号の切替タイミングに関する情報を運転者に報知する報知処理を行う。
【0058】
操作系345は、ハンドルやシフトレバー等の自動車3の操作に用いられる操作機構である。駆動系350は、タイヤやエンジン等で発生した動力をタイヤに伝達する伝達機構である。また、動力系360は、エンジンや電動機(モーター)などの自動車3を駆動させる動力源(原動機)である。
【0059】
走行センサー類370は、自動車3の走行速度を検出する車速センサーや、自動車3の加速度を検出する加速度センサー、自動車3の移動方向を検出する方位センサー等の自動車3の走行状態を計測する各種のセンサー類である。計器類380は、速度計や燃料計等を含み、自動車3の現在の走行状態等を運転者に知らせるための計器である。
【0060】
ドライブレコーダー390は、自動車3の運転者の識別情報や、走行センサー類370により検出された自動車3の走行状態、カメラ340の受像信号、交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報3113等の各種情報を記録する記録装置である。ドライブレコーダー390は、着脱可能なメモリーカード395へのデータの読み書きを行うカードリーダー/ライター391と、警察や保険会社等に設置されるサーバーと無線通信を行う無線通信部393とを備えて構成される。
【0061】
メモリーカード395は、フラッシュROM等のメモリを有して構成されるカード型の記憶装置である。メモリーカード395には、複数の制御履歴データ396が蓄積的に記憶される。各制御履歴データ396には、GPS受信機320により測位された自動車位置397と、時計部330の計時時刻398と、交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257とが対応付けて記憶される。
【0062】
メモリーカード395に記憶された制御履歴データ396は、自動車3が事故に遭った場合における事故原因の究明に役立てられる。また、各々の自動車3に記録された制御履歴データ396を交通管制システム側で収集して解析することで、交通渋滞の分析や予測などにも役立てられる。
【0063】
カーナビゲーション装置5は、例えば運転席の前部に設置されるナビゲーション用の電子機器であり、GPS受信機510を備えて構成される。カーナビゲーション装置5は、GPS受信機510がGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行って求めた測位位置をプロットしたナビゲーション画面を生成して表示部に表示させる。
【0064】
3.処理の流れ
3−1.交通信号機2の処理
図6は、交通信号機2の処理部210が記憶部250の交通信号機処理プログラム251に従って実行する交通信号機処理の流れを示すフローチャートである。交通信号機処理は、交通信号機2の電源が投入されることで実行される処理である。
【0065】
処理部210は、最初に位置算出制御処理を行う(ステップA1)。すなわち、GPS受信機220にGPS衛星信号を受信させ、受信したGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行わせる。位置算出計算により、交通信号機2の位置座標と、時計部230の時計誤差とが算出される。
【0066】
次いで、処理部210は、GPS受信機220により算出された測位位置及び時計誤差を、GPSデータ255として記憶部250に記憶させる(ステップA3)。そして、処理部210は、算出された時計誤差を用いて時計部230の計時時刻を補正する(ステップA5)。
【0067】
その後、処理部210は、信号制御タイミング情報生成処理を行う(ステップA7)。具体的には、時計部230の計時時刻に基づいた生成日時2575において、LED表示部231に表示出力させる点灯2577と、当該点灯の継続時間2579とを、記憶部250に記憶されている制御時間テーブル253を参照して決定する。そして、自信号機のID2571と、GPS受信機220の最新の測位位置である信号機位置2573と、生成日時2575と、点灯2577と、点灯継続時間2579とを対応付けた信号制御タイミング情報257を生成する。
【0068】
次いで、処理部210は、生成した信号制御タイミング情報に従って自信号機の点灯を制御する処理を行う(ステップA9)。そして、処理部210は、生成した信号制御タイミング情報を可視光通信によってLED表示部231から発信させる制御を行う(ステップA11)。
【0069】
その後、処理部210は、時計部230の計時時刻の補正タイミングであるか否かを判定する(ステップA13)。時刻の補正タイミングとしては、種々のタイミングを設定することができる。例えば、所定時間間隔毎のタイミング(例えば1時間に1回)としてもよいし、交通信号機2の管理システムから時刻補正が指示されたタイミングとしてもよい。
【0070】
ステップA13において時刻の補正タイミングではないと判定した場合は(ステップA13;No)、処理部210は、ステップA21へと処理を移行する。また、時刻の補正タイミングであると判定した場合は(ステップA13;Yes)、処理部210は、ステップA1〜A5と同様に、位置算出制御及び計時時刻の補正を行う(ステップA15〜A19)。
【0071】
次いで、処理部210は、処理を終了するか否かを判定し(ステップA21)、まだ終了しないと判定した場合は(ステップA21;No)、ステップA7に戻る。また、処理を終了すると判定した場合は(ステップA21;Yes)、交通信号機処理を終了する。
【0072】
3−2.自動車3の処理
図7は、自動車3の制御装置310が記憶部311のエコ制御プログラム312に従って実行するエコ制御処理の流れを示すフローチャートである。エコ制御処理は、運転者の運転操作に従った自動車の制御処理と並列して実行される処理である。また、エコ制御処理においては、GPS受信機320による位置算出計算が随時行われ、自動車3の位置算出及び時計部330の時刻補正が随時行われるものとする。
【0073】
先ず、制御装置310は、受像信号解析処理を行う(ステップB1)。具体的には、カメラ340の受像信号を解析して、各々の交通信号機2から発信されている信号制御タイミング情報257を取得する。そして、信号制御タイミング情報257に含まれる当該交通信号機2の信号機位置2573と、自動車3の最新の測位位置2551とを用いて、自動車3の直近に位置する交通信号機2と、それ以外の交通信号機2とをそれぞれ判別する。
【0074】
次いで、制御装置310は、ステップB1で判別した各々の交通信号機2について、ループAの処理を実行する(ステップB3〜B31)。ループAの処理では、制御装置310は、当該交通信号機2が自動車3の直近に位置する交通信号機2であるか否かを判定する(ステップB5)。そして、直近に位置する交通信号機2であると判定した場合は(ステップB5;Yes)、制御装置310は、当該交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257を参照して、当該交通信号機2の現在の点灯2577を判定する(ステップB7)。
【0075】
点灯2577が「青」であると判定した場合は(ステップB7;青)、制御装置310は、青信号残時間を算出する(ステップB9)。青信号残時間は、時計部330の計時時刻(現在時刻)を基準として計算した青信号の残り時間である。青信号残時間は、当該交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257に基づいて算出することができる。すなわち、時計部330の計時時刻(現在時刻)と、信号制御タイミング情報257に含まれる生成日時2575に示される時刻との差分を、信号制御タイミング情報257に含まれる点灯継続時間2579から減算した時間が青信号残時間である。
【0076】
次いで、制御装置310は、青信号残時間が所定の閾値時間(例えば10秒)よりも長いか否かを判定し(ステップB11)、長いと判定した場合は(ステップB11;Yes)、自動車の減速制御を実行するか否かを判定する(ステップB13)。
【0077】
具体的には、青信号残時間と、自動車3と当該交通信号機2間の距離とに基づいて、安全性の観点から自動車3を減速して停止させることが適切であるかを判定する。青信号残時間が短い場合には、自動車3を急停止させることが危険な場合があるため、安全性の観点から、青信号残時間がある程度長い場合に減速制御を実行することが適切である。
【0078】
そして、減速制御を実行すると判定した場合は(ステップB13;Yes)、制御装置310は、不図示の制動装置に指示信号を出力して、自動車3を徐々に減速させる減速制御を実行する(ステップB15)。
【0079】
その後、制御装置310は、自動車3が停止したか否かを判定し(ステップB17)、停止したと判定した場合は(ステップB17;Yes)、動力系360に指示信号を出力して、エンジンを停止させる制御を行う(ステップB19)。そして、制御装置310は、次の交通信号機2へと処理を移行する。
【0080】
一方、ステップB7において点灯が「赤」であると判定した場合は(ステップB7;赤)、制御装置310は、赤信号残時間を算出する(ステップB21)。赤信号残時間は、時計部330の計時時刻(現在時刻)を基準として計算した赤信号の残り時間である。赤信号残時間も、当該交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257に基づいて、青信号残時間と同様に算出することができる。
【0081】
次いで、制御装置310は、赤信号残時間が所定の閾値時間(例えば10秒)よりも短いか否かを判定し(ステップB23)、短いと判定した場合は(ステップB23;Yes)、エンジンが停止中であるか否かを判定する(ステップB25)。
【0082】
そして、停止中であると判定した場合は(ステップB25;Yes)、制御装置310は、動力系360に指示信号を出力して、エンジンを再始動させるように制御する(ステップB27)。エコドライブの観点から、赤信号残時間が長い場合にはエンジンを再始動させず、赤信号残時間がある程度短くなった時点でエンジンを再始動させることが適切である。そして、制御装置310は、次の交通信号機2へと処理を移行する。
【0083】
また、ステップB5において当該交通信号機2が自動車3の直近に位置する交通信号機2ではないと判定した場合は(ステップB5;No)、制御装置310は、運転者報知処理を行う(ステップB29)。具体的には、当該交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257に基づいて、当該交通信号機2の信号の切替タイミングに関する情報を、当該交通信号機2の位置情報とともに運転者に報知する処理を行う。
【0084】
例えば、自動車2の直近に位置する交通信号機2が青信号で、2番目に位置する交通信号機2も青信号である場合において、2番目に位置する交通信号機2の青信号の継続時間が所定の閾値時間よりも短い場合には、図8に示すような「更に先の信号があと20秒で赤信号になります。減速しましょう。」といったメッセージを表示出力して、2番目の交通信号機2の赤信号への切替タイミングとともに、自動車3を徐々に減速させるように促すメッセージを運転者に報知する。
【0085】
なお、運転者への報知はメッセージの表示出力に限られず、例えばスピーカーからメッセージや警告音を音出力することにより行ってもよい。
【0086】
運転者報知処理を行った後、制御装置310は、次の交通信号機2へと処理を移行する。そして、全ての交通信号機2についてステップB5〜B29の処理を行った後、制御装置310は、ループAの処理を終了する(ステップB31)。
【0087】
その後、制御装置310は、処理を終了するか否かを判定し(ステップB33)、まだ終了しないと判定した場合は(ステップB33;No)、ステップB1に戻る。また、処理を終了すると判定した場合は(ステップB33;Yes)、エコ制御処理を終了する。
【0088】
4.作用効果
自動車交通システム1において、交通信号機2のGPS受信機220は、GPS衛星からGPS衛星信号を受信し、受信したGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行って、自信号機の位置及び時計誤差を算出する。そして、算出した時計誤差で時計部230の計時時刻を補正し、時計部230の絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する。また、交通信号機2は、信号制御タイミングを示す情報を可視光通信によって発信する。自動車3は、交通信号機2から可視光通信によって発信された信号制御タイミング情報を受信し、受信した信号制御タイミング情報に基づいてエンジン停止及びエンジン再始動の制御を行う。
【0089】
自動車3は、GPS受信機330を具備しており、GPS衛星から受信したGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行って、自動車3の位置及び時計誤差を算出する。そして、算出した時計誤差で時計部330の計時時刻を補正し、時計部330が計時している絶対時刻と、交通信号機3から受信した信号制御タイミング情報とに基づいてエンジン制御を行う。例えば、交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報を参照し、交通信号機2が青信号であれば、その継続時間に基づいて自動車3の減速制御及びエンジン停止制御を行うことができる。他方、交通信号機2が赤信号である場合において、エンジン停止中であれば、赤信号の継続時間に基づいてエンジンを再始動させることができる。これにより、アイドリングストップの観点からエコドライブに供することができる。
【0090】
また、自動車3は、GPSを利用した測位した自動車位置397と、計時部330の計時時刻398と、交通信号機2から受信した信号制御タイミング情報257とを対応付けた制御履歴データ396を、ドライブレコーダー390に蓄積的に記録する。これにより、事故発生時における自動車の位置、時刻及び交通信号機2の信号制御タイミングが明確となり、事故に遭遇した場合の事故原因の究明に役立てることができる。また、ドライブレコーダー390に記録された制御履歴データ396を、例えば交通管制システム側で収集して解析することで、交通渋滞の分析や予測などに資することができる。
【0091】
さらに、交通信号機2側も、生成した信号制御タイミング情報257を信号制御履歴DB260に蓄積的に記録することにしている。本実施形態では、GPSの絶対時刻に基づき交通信号機2と自動車3とが時刻同期しているため、自動車3のドライブレコーダー390に記録された制御履歴データ396との相互解析が容易になるという利点がある。
【0092】
5.変形例
5−1.適用システム
上述した実施形態では、自動車の交通制御を行うシステムに本発明を適用した場合の実施形態について説明したが、例えばバスの運行システムに対しても本発明を同様に適用可能である。
【0093】
5−2.無線通信方式
上述した実施形態では、交通信号機2が可視光通信方式によって信号制御タイミング情報を発信するものとして説明したが、無線LAN等の他の無線通信方式で信号制御タイミング情報を発信するようにシステムを構成してもよい。
【0094】
5−3.交通信号機
上述した実施形態では、交差点に設置される固定の交通信号機2に本発明を適用した場合について説明したが、可搬型の交通信号機に本発明を適用することも可能である。
【0095】
図9は、この場合における自動車交通システムの概略を示す図である。図9の自動車交通システムは、自動車3と、可搬型交通信号機6と、複数のGPS衛星4とで構成されている。可搬型交通信号機6は、自動車3の片側相互通行を可能にするために、道路の工事現場などに一時的に仮置きして使用される交通信号機である。
【0096】
可搬型交通信号機6は、GPS受信機620を内蔵しており、GPS衛星4から受信したGPS衛星信号を利用した位置算出計算を行って、当該可搬型交通信号機2の位置を算出する。可搬型交通信号機2の位置は、設置場所に応じてその都度変化するため、新たな場所に設置される毎にGPSを利用した位置算出計算を行って位置を更新することが必要となる。
【0097】
可搬型交通信号機6は、GPS受信機620の位置算出計算で得られた時計誤差で内部時計の計時時刻を補正する。そして、ペアになっている可搬型交通信号機2との間での時刻同期を実現するとともに、自動車3との間でも時刻同期を実現する。また、可搬型交通信号機6は、上述した実施形態と同様に、自信号機の信号制御タイミング情報を生成して、例えば可視光通信によって発信する。可搬型交通信号機6の手前方に位置する自動車3は、可搬型交通信号機6から発信されている信号制御タイミング情報を受信し、受信した信号制御タイミング情報に従ってエンジン停止や再始動の制御を行う。
【0098】
5−4.信号制御タイミング情報
図4に示した信号制御タイミング情報のデータ構成はあくまでも一例であり、適宜設定変更可能である。例えば、点灯継続時間の代わりに、現在の点灯を次の点灯に切り替える時刻(点灯切替時刻)を信号制御タイミング情報に含めて発信することとしてもよい。交通信号機2と自動車3とは時刻同期しているため、自動車3は、受信した信号制御タイミング情報に含まれる点灯切替時刻に基づいて、エンジン停止及び再始動の制御を適切なタイミングで行うことができる。
【0099】
5−5.自動車の制御
上述した実施形態では、自動車3の前方直近に位置する交通信号機2に対しては減速制御やエンジン制御を行い、それ以降の交通信号機2に対しては信号の切替タイミングに関する情報を運転者に報知する処理を行うものとして説明した。直近の信号機以降の他の交通信号機2に対しても、自動車3の減速制御やエンジン制御を行うこととしてもよい。
【0100】
例えば、自動車3の直近に位置する交通信号機2が青信号で、2番目に位置する交通信号機2も青信号である場合において、2番目に位置する交通信号機2の青信号の継続時間が短い場合には、当該交通信号機2が赤信号に切り替わるタイミングで自動車3を停止させるように減速制御を行い、停止した後にエンジンを停止させるように制御してもよい。
【0101】
5−6.衛星測位システム
上述した実施形態では、衛星測位システムとしてGPSを例に挙げて説明したが、WAAS(Wide Area Augmentation System)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO等の他の衛星測位システムを利用した位置算出システムであってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 自動車交通システム、 2 交通信号機、 3 自動車、 4 GPS衛星、 5 カーナビゲーション装置、 6 可搬型交通信号機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通信号機が、測位用衛星から測位用信号を受信することと、
前記交通信号機が、前記受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時することと、
前記交通信号機が、前記計時している絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御することと、
前記交通信号機が、前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信することと、
自動車が、前記交通信号機から発信されている前記信号制御タイミングを示す情報を受信することと、
前記自動車が、前記受信した情報の示す前記信号制御タイミングに基づいて原動機の停止及び再始動のうちの少なくとも一方を制御することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記自動車が、前記測位用衛星から測位用信号を受信することと、
前記自動車が、前記受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時することと、
を更に含み、
前記原動機の制御では、当該自動車が計時している絶対時刻と、前記受信した情報の示す前記信号制御タイミングとに基づいて前記原動機を制御することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自動車が、受信した前記測位用信号を用いて測位することと、
前記自動車が、前記測位した位置と、前記絶対時刻とを対応づけて記憶することと、
を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
交通信号機が、測位用衛星から測位用信号を受信することと、
前記交通信号機が、前記受信した測位用信号に基づき絶対時刻を計時することと、
前記交通信号機が、前記計時している絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御することと、
前記交通信号機が、前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信することと、
を含む方法。
【請求項5】
前記交通信号機は、可搬型の信号機であり、
前記交通信号機が、受信した前記測位用信号を用いて測位することと、
前記交通信号機が、前記測位した位置と、前記絶対時刻と、前記信号制御タイミングとを対応づけて記憶することと、
を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
交通信号機と自動車とを具備したシステムであって、
前記交通信号機は、
測位用衛星から測位用信号を受信する受信機と、
前記受信機により受信された測位用信号に基づき絶対時刻を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時されている絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する信号制御手段と、
前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信する発信手段と、
を備え、
前記自動車は、
前記交通信号機が発信している前記信号制御タイミングを示す情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された情報が示す信号制御タイミングに基づいて原動機の停止及び再始動のうちの少なくとも一方を制御する原動機制御手段と、
を備えた、
システム。
【請求項7】
測位用衛星から測位用信号を受信する受信機と、
前記受信機により受信された測位用信号に基づき絶対時刻を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時されている絶対時刻に基づく信号制御タイミングで信号を制御する信号制御手段と、
前記信号制御タイミングを示す情報を所定の無線通信方式で発信する発信手段と、
を備えた交通信号機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−210036(P2011−210036A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77491(P2010−77491)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】