既設管補修工法
【課題】新管と既設管との間に中間筒状体を介在させて既設管の補修を行う工法における新管の挿入動作の円滑化を図り、補修後の更生管の品質の安定化を図ることのできる既設管補修工法を提供すること。
【解決手段】既設管10内への新管20の導入前に、拡径された状態では少なくとも既設管10の内周面に全周が接触し得る外径を有する硬化性の中間筒状体12を未硬化状態で既設管内に導入し(中間筒状体導入工程)、該中間筒状体内12に新管20をその外周面が中間筒状体12内周面に密着するように挿入し(新管挿入工程)、中間筒状体12の内周面又は新管20の外周面の何れか一方に、新管挿入工程における中間筒状体12内での新管20の進行の円滑性を向上させる進行円滑化部(突出部材14等)を設置した。これにより、新管の進行の円滑化が図られ、中間筒状体の新管と既設管の間の間隙の充填機能部材としての品質を向上させることが可能となる。
【解決手段】既設管10内への新管20の導入前に、拡径された状態では少なくとも既設管10の内周面に全周が接触し得る外径を有する硬化性の中間筒状体12を未硬化状態で既設管内に導入し(中間筒状体導入工程)、該中間筒状体内12に新管20をその外周面が中間筒状体12内周面に密着するように挿入し(新管挿入工程)、中間筒状体12の内周面又は新管20の外周面の何れか一方に、新管挿入工程における中間筒状体12内での新管20の進行の円滑性を向上させる進行円滑化部(突出部材14等)を設置した。これにより、新管の進行の円滑化が図られ、中間筒状体の新管と既設管の間の間隙の充填機能部材としての品質を向上させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管補修工法、特に補修対象の既設管内に既製の新たな管状体である新管を挿入することによって当該既設管の補修を行う既設管補修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、下水管渠などの地中に埋設される管については、設置からの年数の経過による様々な変形、例えば、クラックの発生、ズレによる段差の発生、径の変化などが生じることは不可避であり、そのため、下水管の流下力が低下したり、管内への地下水の浸入による下水処理量が増えたりする問題が起こっている。また、特に変形等が生じていない状況においても、老朽化対策や事故の未然防止のための対応が必要であり、設置後、所定の期間が経過している既設管に対しては種々の補修が行われている。
【0003】
現在、下水管路再生補修技術としては、地上からの作業により地面を開削し、老朽化した管路を地上から掘り出して新管を入れる作業方法、非開削で管の内部から管内面を補修する作業方法、更に、非開削で新管を入れる方法などが採用されている。
【0004】
この非開削で新管を挿入する補修工法としては、補修対象の既設管の中に未硬化の管状ライニング材を導入し、これを既設管内で拡径した後、光照射や加熱処理により硬化させて更生管とする工法の他に、完成後の更生管の均質化をより高めるための工法として、予め工場にて製造した所定長さの新管を順次繋ぎながら既設管内に導入するいわゆる鞘管(さやかん)工法と呼ばれる工法が知られている。
【0005】
この様な鞘管工法では、既設管内での新管の硬化作業などは行われず、工場にて完成した新管を既設管の中に挿入することから、挿入作業の容易化のためには既設管内周面と新管の外周面との間の間隔はできるだけ、大きい方が好ましい。しかし、逆に、既設管よりも不可避的に内径の小さくなる新管の断面積を的確に確保するため及び既設管とそこに導入された新管によって構成される新たな更生管の構造の安定化においては、既設管内周面と新管の外周面との間の間隔はできるだけ小さいことが望まれる。すなわち、既設管と新管との間の間隔が大きいと、古い管である既設管を通過した地下水等がそこに溜まったり、地下水の通過道が形成され、地面の陥没などにつながるおそれがある。
【0006】
そこで、新管と既設管との隙間、すなわち、新管の外周面と既設管の内周面との間には、完成時にこの隙間を埋め、構造の安定化を図るために硬化性充填材を充填することが行われる。
【0007】
例えば、本件出願人は、特許文献1において開示したように、更生管ピースを連結して既設管内の新管を形成する手法において、この新管と既設管との間に柔軟性のある外筒材を設置し、新管とこの外筒材との間に流動性のある硬化材を充填して、最終的に硬化させて更生管全体を完成させる技術などを提案している。このように、既設管内に新管を挿入して既設管の補修を行う場合には、従来から両者の間の隙間に充填材を充填して硬化させる技術は種々採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2008−95729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術では、既製管内に挿入した新管の外側の僅かな空間に硬化性の充填材を充填する作業を行わなければならないが、この作業は容易なものではなく、大がかりな装置の設置や煩雑で時間を要する作業が必要となっている。また、この充填材の充填作業が的確に行われない場合は、既設管と新管の間に空間が残存することとなり、補修後の更生管の構造の品質に悪影響が生じることになる。
【0010】
この様な状況に鑑みて、本件出願人は、新管の外周面と既設管の内周面との間に硬化性の充填材を流動性を維持した状態で送り込んでいく手法ではなく、新管を既設管に導入する前に、既設管内に中間筒状体を導入し、その内側に新管をその中間筒状体内周面に密着させつつ挿入していく技術を提案している。この工法によれば、新管と既設管との間の隙間での充填材の充填ムラ等の発生を回避することができ、常に安定した更生管の品質を確保することが可能となる。
【0011】
そして、この工法において、新管を中間筒状体に挿入する作業を行う際には、隙間を生じさせることのないように両者を密着させつつ挿入作業を行わなければならず、更に、中間筒状体を損傷させることなく且つより円滑にその挿入作業を行わなければならないという要請がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、新管と既設管との間に中間筒状体を介在させて既設管の補修を行う工法における新管の挿入動作の円滑化を図り、補修後の更生管の品質の安定化を図ることのできる既設管補修工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に係る既設管補修工法は、
補修対象の既設管内に既製の新管を導入することで前記既設管の補修が行われる既設管補修工法において、
前記既設管内への前記新管の導入前に、拡径された状態では少なくとも前記既設管内周面に全周がほぼ接触し得る外径と少なくとも厚さ方向の弾力性を有する所定厚さの中間筒状体を既設管内に導入する中間筒状体導入工程と、前記新管を前記導入された中間筒状体内に挿入する新管挿入工程と、を含み、前記中間筒状体の内周面又は前記既製の新管の外周面の何れか一方に、前記新管挿入工程における中間筒状体内での新管の進行の円滑性を向上させる進行円滑化部を設けたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、既製の新管が中間筒状体内を該中間筒状体内周面に密着しながら進行する動作が、進行円滑化部の存在により、よりスムーズなものとなる。この進行円滑化部は、当業者において容易に想起しうる種々の構成が適用可能であり、例えば、新管の中間筒状体への進行中における引っかかり防止や摩擦低減のための構成や、中間筒状体の内周の表面全面と新管の外周面との密着性を可及的に低減させ、また、中間筒状体の内周面の表面に中間筒状体よりも摩擦係数の小さい部材を突出配置するような構成などが適用可能である。
【0015】
これにより、新管の導入後は、中間筒状体の存在により、新管と既設管との間の間隙は、当該中間筒状体によりしっかりと充満され、空間の残余部の発生を有効に回避することができ、がたつきのない安定した新管の設置状態が得られている。そして、重要なことはこの様な中間筒状体の存在にも関わらず、進行円滑化部の存在により、新管挿入工程における新管の中間筒状体内での進行の円滑性が確保されており、当該工法の迅速な処理が達成されている。
【0016】
また、新管の進行の円滑化が図られることによって、新管の既設管内での移動中における損傷の発生などが防止され、中間筒状体の新管と既設管の間の間隙の充填機能部材としての品質を向上させることが可能となる。なお、中間筒状体は、少なくとも厚さ方向に弾力性を有していることから、新管の挿入状態での新管の安定保持、更には、地震発生時などの新管の耐揺れ性が確保され、既設管内において、中間筒状体及び新管による有用な更生管が形成される。
【0017】
請求項2に係る既設管補修工法は、請求項1の既設管補修工法において、
前記進行円滑化部は、少なくとも平滑な内周面と可撓性を有する伸縮性の少ない補助管として構成され、該補助管の外周面が前記中間筒状体の内周面の全域を覆うように接着されることで設けられ、前記新管挿入工程は、前記中間筒状体内の前記補助管内に、前記新管を前記補助管の内周面に沿って挿入することで行われることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、柔軟性を有する中間筒状体の内周表面が、補助管で覆われた状態となり、新管はその補助管内を進行することとなる。そして、補助管は、平滑な内周面と可撓性と有する非伸縮性の樹脂で形成されていることから、新管は、補助管の内周面に沿ってスムーズに進行する。
【0019】
請求項3に係る既設管補修工法は、請求項2の既設管補修工法において、
少なくとも前記新管挿入工程の前に、前記補助管の内周面に滑剤を塗布することを特徴とする。これにより、前記補助管の内周面に沿った新管のより円滑な進行を確保することが可能となる。
【0020】
請求項4に係る既設管補修工法は、請求項1の既設管補修工法において、
前記進行円滑化部が、前記中間筒状体の内周表面を硬化させる処理を施して構成されたことを特徴とする。この構成によれば、中間筒状体に他の部材を装着することなく、その内周面に進行円滑化部を形成することができ、部材点数の減少や軽量化を図ることができる。また、内周表面の硬化のための処理としては、例えば、不織布で構成された中間筒状体の表面に熱を付加することにより、硬化させることなどである。
【0021】
請求項5に係る既設管補修工法は、請求項1の既設管補修工法において、
前記進行円滑化部が、前記中間筒状体の内周面の全域に亘って、該中間筒状体よりも低い摩擦係数で且つ高い硬度を有し、表面に角のない形状で突出する突出部材を点在させることで構成されたことを特徴とする。
【0022】
本構成によれば、新管を中間筒状体内でよりスムーズに進行させることができ、新管挿入工程の迅速化が的確に図られる。すなわち、摩擦係数が低く且つ硬度の高い部材を用いることで、新管の中間筒状体に対する滑り性を向上させることができ、更に、表面に角のない形状で突出させることで、接触面積を低減し且つ進行円滑化部である突出部材自体が新管に引っかかり易くなることを回避することができる。また、突出部材は点在する構成を取るので、新管と中間筒状体との密着性を的確に弱めることができ滑りの良好性を確保することができる。
【0023】
請求項6に係る既設管補修工法は、請求項1から5の何れか1項に係る既設管補修工法において、
前記中間筒状体は、不織布にて形成され、その内部に補強用の芯材が該中間筒状体の伸長方向に伸長するように配して構成された補強中間層を有することを特徴とする。この構成によれば、補強中間層の存在により、中間筒状体内への新管挿入工程の際の中間筒状体の進行方向への伸びやしわの発生を防止することができ、新管の進行の円滑性を確保することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る既設管補修工法によれば、補修対象の既設管と新管との間の隙間を確実に満たすことで新管のがたつき防止が図られ、また柔軟な保持による耐震性の向上を図ることができる。更に、新管の挿入作業における新管の滑り性を向上させることで、新管挿入作業の円滑性、迅速性が達成される。これにより、作業の煩雑化を伴うことなく、新管挿入により形成される更生管の品質の向上と安定化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(A)及び(B)は、既設管への中間筒状体の挿入状態を示す説明図である。
【図2】本件発明の実施の形態に係る中間筒状体の構成例を示す説明図である。
【図3】図2に示した中間筒状体を用いて本件発明に係る新管入工程を行う動作説明図である。
【図4】中間筒状体の他の構成例を示す説明図である。
【図5】中間筒状体の進行円滑化部の付加形成についての他の実施の形態が示されている。
【図6】図5に示した中間筒状体の進行円滑化部の付加形成に用いる網状体の説明図である。
【図7】図6に示した網状体を中間筒状体の内周面に付着させた状態を示す説明図である。
【図8】図5〜7に示した実施の形態に係る中間筒状体を用いて本件発明に係る新管挿入工程を行う動作説明図であり、同図(A)は管の軸方向の断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。
【図9】図8に示した中間筒状体における新管挿入工程の動作説明図である。
【図10】新管に進行円滑化部を設ける場合の構成説明図である。
【図11】図10に示した新管を形成するために用いる被膜材の構成を示す説明図である。
【図12】図11に示した新管を用いて本件発明に係る新管挿入工程を行う動作説明図であり、同図(A)は管の軸方向の断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。
【図13】本発明が適用される一例としての下水道本管の全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。図13は、本発明の既設管補修工法が適用される管渠の例を示している。図示のように、所定間隔を置いて設置されたマンホール100と102との間には補修対象の既設管である下水道本管10が配置されている。この下水道本管10を本発明工法を用いて補修する場合を例にして説明する。
【0027】
図1から図12は、下水道本管10内に新管を導入して補修を行う本発明の実施の形態を示しており、図1(A)及び(B)は、本発明に係る既設管補修工法における中間筒状体導入工程を示しており、中間筒状体12が補修対象の下水道本管10に導入された状態が示されている。同図(A)は下水道本管10の伸長方向に沿った概略縦断面図、同図(B)は下水道本管10の伸長方向に直交する方向の概略縦断面図である。
【0028】
図示のように、まず、下水道本管10には、中間筒状体12が、一方のマンホール側(図示せず)から、例えば、他方側からの牽引による引き込み動作により引き込まれ、拡径していない状態となっている。この中間筒状体12は、柔軟性を有する部材、例えば、不織布などで構成され、3mm〜15mmの厚さを有している。また、中間筒状体12の導入は、図1に示した様な引き込み挿入に限られず、中間筒状体12を内側から反転させつつ送り込む既知の反転挿入方法を用いることも可能である。
【0029】
図2は、上記中間筒状体12の更に具体的な構成例が示されており、例えば、加圧空気を吹き込むことで図1に示した状態から拡径した状態の部分斜視図で示している。図示のように、特徴的なことは、中間筒状体12の内周側に進行円滑化部としての補助管30が設けられていることである。
【0030】
補助管30は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの材質にて、少なくとも平滑な内周面及び可撓性を有し、伸縮性の少ない、硬いフィルム状に形成され、0.1mm〜0.5mm程度の厚さに構成するのが好適であり、非常に軽量に形成することができる。補助管30の中間筒状体12への装着は、例えば、その外周面が中間筒状体12の内周面の全域を覆うようにその全部又は一部で接着されることで設けられる。ただし、必ずしも接着する必要はなく、単に、中間筒状体12の内周面に接触するように補助管30を設置することでも機能を奏する。したがって、中間筒状体12の製造段階で補助管30を装着することも可能であるが、これに限られず、製造工程後に別途装着することも可能である。
【0031】
図3は、新管20をこの補助管30内に挿入する工程(新管挿入工程)が示されており、既設管である下水道本管10の管軸方向断面図である。新管20は、予め工場生産にて形成されたものであり、例えば、コンクリートなどで設置箇所の下水道本管10の状況に対応した適切な厚さに構成されている。また、新管20は、例えば、50cm〜100cm程度の長さに形成された、新管ピース20−1〜20−nを順次後方から連結して、全長に亘って連続するように挿入設置されるものである。
【0032】
また、本実施の形態では、先頭の新管ピース20−1の進行方向先端部には、先端に向かって外径が漸次小さくなった先頭体18が着脱可能に取り付けられている。この先頭体18は、例えば、樹脂などの軽量で且つ進行中に変形しない程度の硬度を備えた材料にて形成されており、新管ピース20−1が挿入進行の円滑化を図っているものである。なお、先頭体18の最大外径は新管20の外径よりもやや大きく形成してもよい。
【0033】
新管ピース20−1の進行は、例えば、先頭体18を矢印200方向にワイヤ15等により牽引することにより行われる。先頭体18の先端にフック部17をを設け、このフック部17にワイヤ15等を係止させ牽引する通常の手法を用いることが可能である。新管ピースは、先頭のもののみを図示しているが、この後方から順次、新管ピース20−2〜20−nを連結して、補修対象の下水道本管100全体に新管20の挿入が行われる。
【0034】
この新管20の進行動作において、先頭体18は確実に中間筒状体12の内側の補助管30を介して中間筒状体12をやや押し広げつつ進行する。すなわち、補助管30は、可撓性を有して、中間筒状体12の厚さ方向の弾力性を持った変形に追従して変形する。そして、補助管30は平滑な内周面と伸縮性の少ない材質で形成されていることから、先頭体18及びそれに新管20の進行の円滑性を確保し、摩擦によってシワが発生するような状態も回避される。したがって、補助管30及びその後方から進行する新管20は、スムーズに進行し、新管挿入作業の迅速化と的確性が向上し、既設管の更生作業の信頼性が向上する。更に、補助管30の内周表面に例えば、シリコン系の滑剤を塗布することで、新管20の進行の円滑性は更に向上させることができる。
【0035】
この新管挿入工程により新管20が挿入設置されると、新管20は、中間筒状体12の厚さ方向の弾力性に抗して、中間筒状体12をやや圧縮した状態で安定する。したがって、新管20は既設管10内で中間筒状体12により柔軟に保持された状態となる。これにより、新管20の設置状態の安定化が図られ、地震発生時などにおける新管20の耐揺れ性能が向上している。
【0036】
図4は、本発明方法に適用される中間筒状体12の他の形態を示している。特徴的なことは、まず、不織布にて形成された中間筒状体12の内部に補強中間層として芯材13が設けられたことであり、この補強用芯材13は、例えば、ポリエステルやポリアミドやアクリル等の熱可塑性樹脂繊維や炭素繊維等で非伸縮性を有する樹脂繊維で構成され、中間筒状体12の伸長方向に伸長するように配されて埋設されているものである。
【0037】
この補強用芯材13の存在により、中間筒状体12への新管挿入工程の際に、中間筒状体12が新管の進行方向への伸びたり、新管20の進行に伴ってしわが発生していくことを防止することができる。したがって、中間筒状体12の変形等による新管20の進行の妨げを回避することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、中間筒状体12の内周表面に処理を施して硬化させることによって進行円滑化部を形成している。具体的には、不織布にて構成した中間筒状体12の内周面12aを熱処理によって溶融硬化させ、中間筒状体12の他の部分より硬質の平滑な内周面12aを形成している。
【0039】
これにより、補助管30のような他の部材を用いることなく、中間筒状体12に進行円滑化部を形成することができ、部材点数の減少や工法全体の簡略化と低廉化が図られる。
【0040】
図5は、中間筒状体12への進行円滑化部の付加形成についての他の実施の形態が示されている。特徴的なことは、中間筒状体12の内表面に突出部材14を点在させていることである。突出部材14は、進行円滑化部として設けられるものであり、新管挿入工程における中間筒状体12内での新管の進行の円滑性を向上させる機能を有するものである。なお、図において、図面の理解容易化のため突出部材14のサイズは中間筒状体12のサイズに対して同一縮尺ではなく大きく表示している。実際のサイズは例えば、外径が2mm〜5mm程度のものである。
【0041】
図6は、本実施の形態における中間筒状体12内表面への突出部材14の形成手段の例を示しており、図示のように網状体16が用いられる。網状体16は、縦線材16aと横線材16bとによって網体を構成しており、この縦線材16aと横線材16bとの各交点部にこれら線材よりも外径が大きく、硬化前の中間筒状体12よりも硬度の高い略球形状の膨大部16cが形成されている。この膨大部16cが上述の突出部材14となるものである。なお、本実施の形態では、網状体は樹脂にて形成されていおり、編み目のサイズは例えば2mm〜10mm程度に選択され、膨大部16cのサイズは外径が約2〜3mm程度に設定される。
【0042】
図7は、突出部材14を備える中間筒状体12の形成手法の一例を示しており、図示のように、中間筒状体12の材料部材12bの表面に膨大部16cの形成された網状体16を付着している。材料部材12bは、例えば、不織布などから構成され、全体として柔軟性を有している。なお、中間筒状体12はこの様に柔軟性を保ったままで設置されることで十分に機能を奏するが、更に、必要に応じてこの材料部材12aに硬化性の樹脂材料を含浸させて形成し、内部への新管の挿入後に硬化するような経時的硬化とすること、更に、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂の含浸により、後の工程で効果させるようにすることも可能である。
【0043】
図示した中間筒状体12の内表面への網状体16の付着は、中間筒状体12の材料部材12aを形成する過程で、それが平板状の形状を有している状態において、その一方の表面に網状体16を融着させることで簡単に行うことができる。そして、この網状体16の融着された側の面を内側にして円筒状に成形することで、容易かつ安価に図5に示したような突出部材14付きの中間筒状体12を形成することができる。
【0044】
図8は、本発明工法における新管挿入工程を示しており、同図(A)は既設管である下水道本管10の管軸方向断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。本図は、上記図3と同じく、中間筒状体12が導入された下水道本管10の更に内側に最初の新管20が挿入されていく状態を示している。図3と同様の構成には同一の符号を付しており、その説明を省略する。
【0045】
また、本実施の形態では、先頭体18は、その最大外径が新管20の外径よりもやや大きく形成されている。新管ピース20−1の進行は、先頭体18が確実に中間筒状体12を押し広げ、その後方から進行する新管20は、先頭体18の最大外径よりもやや外径が小さいことからその進行はスムーズなものとなる。なお、本実施の形態では、新管ピース20−1の進行は、図示しないが、後方に続く新管ピース20−2〜20−n側から順次押し込み移動させることで行われる例が示されている。
【0046】
更に、中間筒状体12は、ある程度の柔軟性を有しているが、本発明方法における特徴的構成である進行円滑化部、すなわち、中間筒状体12の内周面の膨大部16cの存在によって、必要以上に中間筒状体12が先頭体18や新管20の表面に密着して進行の円滑性を妨げることが回避される。
【0047】
すなわち、本実施の形態では、上述のように中間筒状体12の内周面には、膨大部16cの形成された網状体16が付着されている。そして、膨大部16cは、挿入された未硬化の中間筒状体12よりも摩擦係数が低く且つ高い硬度を有しており、図示のように、中間筒状体12の内周面から表面に略球面状に突出している。したがって、先頭体18や新管20の外表面は、この膨大部16cに強く接触し、中間筒状体12の内表面と密着する状態が回避されている。したがって、先頭体18及び新管20の中間筒状体12に対する滑りが良好なものとなり、それらの進行の円滑性が確保される。
【0048】
なお、図9は同じく先頭体18及びそれに続く新管ピース20−1を既設管である下水道本管10内に牽引により挿入している状態を示しているが、本図に示しているように、中間筒状体12の拡径状態は、上述の図8に示したように、ほぼ下水道本管10に接する程度に拡径させておく状態に限られるものではない。すなわち、本図に示したように、先頭体18を牽引によって図上200方向に移動させることによって、先頭体18の外側面で中間筒状体12を押し広げつつ新管20の挿入を行うことが可能である。
【0049】
そして、この様な中間筒状体12を押し広げて行く過程において、本件発明の特徴的構成がより機能を発揮するものである。すなわち、先頭体18及び後続の新管ピース20−1〜nが挿入されて行く過程で、それらが中間筒状体12を押し広げて進行する状況では、先頭体18及び後続の新管ピース20−1〜nに掛かる中間筒状体12の荷重は大きくなり、密着度合いも大きくなると考えられる。したがって、進行円滑化部である網状体16の膨大部16cの存在により、その密着度を軽減することが新管20の円滑な挿入作業において重要な作用となるものである。
【0050】
図10は、実施の形態における進行円滑化部の他の構成を示している。図2〜図8に示した実施の形態では、中間筒状体12の内表面に突出部材14を点在させるために網状体16を中間筒状体12の内周面に設置したが、本実施の形態では、本図に示したように、挿入される新管20の外周面に突出部材14を設けるようにしたものである。なお、図において、突出部材14の表示サイズは、構成の理解を容易にするため、新管20の表示サイズとは同一縮尺になっていない。すなわち、実際のサイズよりも大きく表示ししている。
【0051】
図11は、突出部材14を表面に備える新管20を形成するための手段の一例を示しており、一方の表面に多数の突出部材14を備える被膜材22が示されている。この被膜材22は、例えば、樹脂部材でフィルム状に形成されたシート部材22aの一方の表面に、ガラス製又はプラスチック製の外径2mm〜3mm程度の略球状のビーズ22cを突出部材14として、多数点在するように付着させて形成されている。ビーズ22cは半球形状のものの球面側が外表面に向くように付着させても良く、各ビーズ間の間隔は本実施の形態では、例えば、2mm〜10mm程度に設定されている。
【0052】
なお、この様な被膜材22の製造は、成形前の被膜材材料中に上記ビーズを混入させて、シート状に成形したときにビーズが表面から露出するようにしても良く、これにより、簡単な作業で被膜材22の製造が可能となる。
【0053】
そして、こうして形成した被膜材22を新管20の外表面に突出部材14であるビーズ22cが突出するように貼着して中間筒状体12内に挿入される新管22が構成されている。
【0054】
図12は、上述の図10に示した形態の新管20を中間筒状体12内に挿入する新管挿入工程を示しており、同図(A)は既設管である下水道本管10の管軸方向断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。本図は、中間筒状体12が導入された下水道本管10の更に内側に最初の新管ピース20−1が挿入されていく状態を示している。上記図8に示した動作と同様に、新管ピース20−1の進行方向の先端部には、先頭体18が取り付けられている。なお、図8にて説明した構成と異なる点は、中間筒状体12の内周面には突出部材14は設けられておらず、新管20の外表面に突出部材14としてのビーズ22cが設けられていることである。
【0055】
先頭体18及び新管ピース20−1は、図示しないワイヤなどにより矢印200方向に牽引されて挿入されて行くが、先頭体18は中間筒状体12を押し広げつつ進行し、後続の新管ピース20−1は、未硬化状態の中間筒状体12に接触しながら進んで行く。このとき、新管20の外周面には、未硬化状態の中間筒状体12よりも摩擦係数が低く且つ高い硬度を有しているビーズ22cが点在していることから、中間筒状体12の新管20の外方面への密着度は低下し、新管20の中間筒状体12に対する滑りは良好なものとなる。したがって、新管20の挿入工程がより円滑化され、中間筒状体12への損傷付与などが回避され、完成する更生管の信頼性が向上する。
【0056】
なお、中間筒状体12の新管挿入前の準備としての拡径は図12に示した程に、ほぼ下水道本管10の内周面に接触する状態まで行われる必要はなく、本実施の形態の場合も図9に示したように途中までの拡径状態の中間筒状体12を先頭体18で拡径しながら進むことも可能である。
【0057】
また、図示していないが、新管20への突出部材の形成は、新管20とは別部材を新管20の外周面に設置する例を示したが、他の実施の形態としては、新管20の外周面の表面形状自体、すなわち新管20の形状そのもの上述の突出部材のような突出部を有する形状とすることも可能である。すなわち、例えば、コンクリートにて新管20を製造する際に、角部のない凸形状が外表面に点在する形状となるような型枠等を用いて製造することで、簡単に進行円滑化部を備えた新管20を形成することができるものである。
【0058】
なお、本発明は上記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、新管挿入工程における先頭体18は、本件発明方法における必須の構成要素ではなく、本願発明工法の円滑性を向上させるための部材として用いられるものである。したがって、これらの部材を用いることなく本件発明方法を実施することも可能である。すなわち、円筒状の管状体ピースをそのまま先頭として挿入することも可能である。
【0059】
また、上記実施の形態では、進行円滑化部を補助管30や網状体16や被膜材22を用いて突出部材14を構成して、新管挿入工程の円滑化を図ることを主に説明したが、中間筒状体12の内周面又は新管20の外周面に進行の円滑化を図る何らかの構成を施すことができれば足りるものである。
【符号の説明】
【0060】
10 下水道本管
12 中間筒状体
14 突出部材
16 網状体
16c 膨大部
18 先頭体
20 新管
20−1〜20−n 新管ピース
22 被膜材
22c ビーズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管補修工法、特に補修対象の既設管内に既製の新たな管状体である新管を挿入することによって当該既設管の補修を行う既設管補修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、下水管渠などの地中に埋設される管については、設置からの年数の経過による様々な変形、例えば、クラックの発生、ズレによる段差の発生、径の変化などが生じることは不可避であり、そのため、下水管の流下力が低下したり、管内への地下水の浸入による下水処理量が増えたりする問題が起こっている。また、特に変形等が生じていない状況においても、老朽化対策や事故の未然防止のための対応が必要であり、設置後、所定の期間が経過している既設管に対しては種々の補修が行われている。
【0003】
現在、下水管路再生補修技術としては、地上からの作業により地面を開削し、老朽化した管路を地上から掘り出して新管を入れる作業方法、非開削で管の内部から管内面を補修する作業方法、更に、非開削で新管を入れる方法などが採用されている。
【0004】
この非開削で新管を挿入する補修工法としては、補修対象の既設管の中に未硬化の管状ライニング材を導入し、これを既設管内で拡径した後、光照射や加熱処理により硬化させて更生管とする工法の他に、完成後の更生管の均質化をより高めるための工法として、予め工場にて製造した所定長さの新管を順次繋ぎながら既設管内に導入するいわゆる鞘管(さやかん)工法と呼ばれる工法が知られている。
【0005】
この様な鞘管工法では、既設管内での新管の硬化作業などは行われず、工場にて完成した新管を既設管の中に挿入することから、挿入作業の容易化のためには既設管内周面と新管の外周面との間の間隔はできるだけ、大きい方が好ましい。しかし、逆に、既設管よりも不可避的に内径の小さくなる新管の断面積を的確に確保するため及び既設管とそこに導入された新管によって構成される新たな更生管の構造の安定化においては、既設管内周面と新管の外周面との間の間隔はできるだけ小さいことが望まれる。すなわち、既設管と新管との間の間隔が大きいと、古い管である既設管を通過した地下水等がそこに溜まったり、地下水の通過道が形成され、地面の陥没などにつながるおそれがある。
【0006】
そこで、新管と既設管との隙間、すなわち、新管の外周面と既設管の内周面との間には、完成時にこの隙間を埋め、構造の安定化を図るために硬化性充填材を充填することが行われる。
【0007】
例えば、本件出願人は、特許文献1において開示したように、更生管ピースを連結して既設管内の新管を形成する手法において、この新管と既設管との間に柔軟性のある外筒材を設置し、新管とこの外筒材との間に流動性のある硬化材を充填して、最終的に硬化させて更生管全体を完成させる技術などを提案している。このように、既設管内に新管を挿入して既設管の補修を行う場合には、従来から両者の間の隙間に充填材を充填して硬化させる技術は種々採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2008−95729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術では、既製管内に挿入した新管の外側の僅かな空間に硬化性の充填材を充填する作業を行わなければならないが、この作業は容易なものではなく、大がかりな装置の設置や煩雑で時間を要する作業が必要となっている。また、この充填材の充填作業が的確に行われない場合は、既設管と新管の間に空間が残存することとなり、補修後の更生管の構造の品質に悪影響が生じることになる。
【0010】
この様な状況に鑑みて、本件出願人は、新管の外周面と既設管の内周面との間に硬化性の充填材を流動性を維持した状態で送り込んでいく手法ではなく、新管を既設管に導入する前に、既設管内に中間筒状体を導入し、その内側に新管をその中間筒状体内周面に密着させつつ挿入していく技術を提案している。この工法によれば、新管と既設管との間の隙間での充填材の充填ムラ等の発生を回避することができ、常に安定した更生管の品質を確保することが可能となる。
【0011】
そして、この工法において、新管を中間筒状体に挿入する作業を行う際には、隙間を生じさせることのないように両者を密着させつつ挿入作業を行わなければならず、更に、中間筒状体を損傷させることなく且つより円滑にその挿入作業を行わなければならないという要請がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、新管と既設管との間に中間筒状体を介在させて既設管の補修を行う工法における新管の挿入動作の円滑化を図り、補修後の更生管の品質の安定化を図ることのできる既設管補修工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に係る既設管補修工法は、
補修対象の既設管内に既製の新管を導入することで前記既設管の補修が行われる既設管補修工法において、
前記既設管内への前記新管の導入前に、拡径された状態では少なくとも前記既設管内周面に全周がほぼ接触し得る外径と少なくとも厚さ方向の弾力性を有する所定厚さの中間筒状体を既設管内に導入する中間筒状体導入工程と、前記新管を前記導入された中間筒状体内に挿入する新管挿入工程と、を含み、前記中間筒状体の内周面又は前記既製の新管の外周面の何れか一方に、前記新管挿入工程における中間筒状体内での新管の進行の円滑性を向上させる進行円滑化部を設けたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、既製の新管が中間筒状体内を該中間筒状体内周面に密着しながら進行する動作が、進行円滑化部の存在により、よりスムーズなものとなる。この進行円滑化部は、当業者において容易に想起しうる種々の構成が適用可能であり、例えば、新管の中間筒状体への進行中における引っかかり防止や摩擦低減のための構成や、中間筒状体の内周の表面全面と新管の外周面との密着性を可及的に低減させ、また、中間筒状体の内周面の表面に中間筒状体よりも摩擦係数の小さい部材を突出配置するような構成などが適用可能である。
【0015】
これにより、新管の導入後は、中間筒状体の存在により、新管と既設管との間の間隙は、当該中間筒状体によりしっかりと充満され、空間の残余部の発生を有効に回避することができ、がたつきのない安定した新管の設置状態が得られている。そして、重要なことはこの様な中間筒状体の存在にも関わらず、進行円滑化部の存在により、新管挿入工程における新管の中間筒状体内での進行の円滑性が確保されており、当該工法の迅速な処理が達成されている。
【0016】
また、新管の進行の円滑化が図られることによって、新管の既設管内での移動中における損傷の発生などが防止され、中間筒状体の新管と既設管の間の間隙の充填機能部材としての品質を向上させることが可能となる。なお、中間筒状体は、少なくとも厚さ方向に弾力性を有していることから、新管の挿入状態での新管の安定保持、更には、地震発生時などの新管の耐揺れ性が確保され、既設管内において、中間筒状体及び新管による有用な更生管が形成される。
【0017】
請求項2に係る既設管補修工法は、請求項1の既設管補修工法において、
前記進行円滑化部は、少なくとも平滑な内周面と可撓性を有する伸縮性の少ない補助管として構成され、該補助管の外周面が前記中間筒状体の内周面の全域を覆うように接着されることで設けられ、前記新管挿入工程は、前記中間筒状体内の前記補助管内に、前記新管を前記補助管の内周面に沿って挿入することで行われることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、柔軟性を有する中間筒状体の内周表面が、補助管で覆われた状態となり、新管はその補助管内を進行することとなる。そして、補助管は、平滑な内周面と可撓性と有する非伸縮性の樹脂で形成されていることから、新管は、補助管の内周面に沿ってスムーズに進行する。
【0019】
請求項3に係る既設管補修工法は、請求項2の既設管補修工法において、
少なくとも前記新管挿入工程の前に、前記補助管の内周面に滑剤を塗布することを特徴とする。これにより、前記補助管の内周面に沿った新管のより円滑な進行を確保することが可能となる。
【0020】
請求項4に係る既設管補修工法は、請求項1の既設管補修工法において、
前記進行円滑化部が、前記中間筒状体の内周表面を硬化させる処理を施して構成されたことを特徴とする。この構成によれば、中間筒状体に他の部材を装着することなく、その内周面に進行円滑化部を形成することができ、部材点数の減少や軽量化を図ることができる。また、内周表面の硬化のための処理としては、例えば、不織布で構成された中間筒状体の表面に熱を付加することにより、硬化させることなどである。
【0021】
請求項5に係る既設管補修工法は、請求項1の既設管補修工法において、
前記進行円滑化部が、前記中間筒状体の内周面の全域に亘って、該中間筒状体よりも低い摩擦係数で且つ高い硬度を有し、表面に角のない形状で突出する突出部材を点在させることで構成されたことを特徴とする。
【0022】
本構成によれば、新管を中間筒状体内でよりスムーズに進行させることができ、新管挿入工程の迅速化が的確に図られる。すなわち、摩擦係数が低く且つ硬度の高い部材を用いることで、新管の中間筒状体に対する滑り性を向上させることができ、更に、表面に角のない形状で突出させることで、接触面積を低減し且つ進行円滑化部である突出部材自体が新管に引っかかり易くなることを回避することができる。また、突出部材は点在する構成を取るので、新管と中間筒状体との密着性を的確に弱めることができ滑りの良好性を確保することができる。
【0023】
請求項6に係る既設管補修工法は、請求項1から5の何れか1項に係る既設管補修工法において、
前記中間筒状体は、不織布にて形成され、その内部に補強用の芯材が該中間筒状体の伸長方向に伸長するように配して構成された補強中間層を有することを特徴とする。この構成によれば、補強中間層の存在により、中間筒状体内への新管挿入工程の際の中間筒状体の進行方向への伸びやしわの発生を防止することができ、新管の進行の円滑性を確保することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る既設管補修工法によれば、補修対象の既設管と新管との間の隙間を確実に満たすことで新管のがたつき防止が図られ、また柔軟な保持による耐震性の向上を図ることができる。更に、新管の挿入作業における新管の滑り性を向上させることで、新管挿入作業の円滑性、迅速性が達成される。これにより、作業の煩雑化を伴うことなく、新管挿入により形成される更生管の品質の向上と安定化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(A)及び(B)は、既設管への中間筒状体の挿入状態を示す説明図である。
【図2】本件発明の実施の形態に係る中間筒状体の構成例を示す説明図である。
【図3】図2に示した中間筒状体を用いて本件発明に係る新管入工程を行う動作説明図である。
【図4】中間筒状体の他の構成例を示す説明図である。
【図5】中間筒状体の進行円滑化部の付加形成についての他の実施の形態が示されている。
【図6】図5に示した中間筒状体の進行円滑化部の付加形成に用いる網状体の説明図である。
【図7】図6に示した網状体を中間筒状体の内周面に付着させた状態を示す説明図である。
【図8】図5〜7に示した実施の形態に係る中間筒状体を用いて本件発明に係る新管挿入工程を行う動作説明図であり、同図(A)は管の軸方向の断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。
【図9】図8に示した中間筒状体における新管挿入工程の動作説明図である。
【図10】新管に進行円滑化部を設ける場合の構成説明図である。
【図11】図10に示した新管を形成するために用いる被膜材の構成を示す説明図である。
【図12】図11に示した新管を用いて本件発明に係る新管挿入工程を行う動作説明図であり、同図(A)は管の軸方向の断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。
【図13】本発明が適用される一例としての下水道本管の全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。図13は、本発明の既設管補修工法が適用される管渠の例を示している。図示のように、所定間隔を置いて設置されたマンホール100と102との間には補修対象の既設管である下水道本管10が配置されている。この下水道本管10を本発明工法を用いて補修する場合を例にして説明する。
【0027】
図1から図12は、下水道本管10内に新管を導入して補修を行う本発明の実施の形態を示しており、図1(A)及び(B)は、本発明に係る既設管補修工法における中間筒状体導入工程を示しており、中間筒状体12が補修対象の下水道本管10に導入された状態が示されている。同図(A)は下水道本管10の伸長方向に沿った概略縦断面図、同図(B)は下水道本管10の伸長方向に直交する方向の概略縦断面図である。
【0028】
図示のように、まず、下水道本管10には、中間筒状体12が、一方のマンホール側(図示せず)から、例えば、他方側からの牽引による引き込み動作により引き込まれ、拡径していない状態となっている。この中間筒状体12は、柔軟性を有する部材、例えば、不織布などで構成され、3mm〜15mmの厚さを有している。また、中間筒状体12の導入は、図1に示した様な引き込み挿入に限られず、中間筒状体12を内側から反転させつつ送り込む既知の反転挿入方法を用いることも可能である。
【0029】
図2は、上記中間筒状体12の更に具体的な構成例が示されており、例えば、加圧空気を吹き込むことで図1に示した状態から拡径した状態の部分斜視図で示している。図示のように、特徴的なことは、中間筒状体12の内周側に進行円滑化部としての補助管30が設けられていることである。
【0030】
補助管30は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの材質にて、少なくとも平滑な内周面及び可撓性を有し、伸縮性の少ない、硬いフィルム状に形成され、0.1mm〜0.5mm程度の厚さに構成するのが好適であり、非常に軽量に形成することができる。補助管30の中間筒状体12への装着は、例えば、その外周面が中間筒状体12の内周面の全域を覆うようにその全部又は一部で接着されることで設けられる。ただし、必ずしも接着する必要はなく、単に、中間筒状体12の内周面に接触するように補助管30を設置することでも機能を奏する。したがって、中間筒状体12の製造段階で補助管30を装着することも可能であるが、これに限られず、製造工程後に別途装着することも可能である。
【0031】
図3は、新管20をこの補助管30内に挿入する工程(新管挿入工程)が示されており、既設管である下水道本管10の管軸方向断面図である。新管20は、予め工場生産にて形成されたものであり、例えば、コンクリートなどで設置箇所の下水道本管10の状況に対応した適切な厚さに構成されている。また、新管20は、例えば、50cm〜100cm程度の長さに形成された、新管ピース20−1〜20−nを順次後方から連結して、全長に亘って連続するように挿入設置されるものである。
【0032】
また、本実施の形態では、先頭の新管ピース20−1の進行方向先端部には、先端に向かって外径が漸次小さくなった先頭体18が着脱可能に取り付けられている。この先頭体18は、例えば、樹脂などの軽量で且つ進行中に変形しない程度の硬度を備えた材料にて形成されており、新管ピース20−1が挿入進行の円滑化を図っているものである。なお、先頭体18の最大外径は新管20の外径よりもやや大きく形成してもよい。
【0033】
新管ピース20−1の進行は、例えば、先頭体18を矢印200方向にワイヤ15等により牽引することにより行われる。先頭体18の先端にフック部17をを設け、このフック部17にワイヤ15等を係止させ牽引する通常の手法を用いることが可能である。新管ピースは、先頭のもののみを図示しているが、この後方から順次、新管ピース20−2〜20−nを連結して、補修対象の下水道本管100全体に新管20の挿入が行われる。
【0034】
この新管20の進行動作において、先頭体18は確実に中間筒状体12の内側の補助管30を介して中間筒状体12をやや押し広げつつ進行する。すなわち、補助管30は、可撓性を有して、中間筒状体12の厚さ方向の弾力性を持った変形に追従して変形する。そして、補助管30は平滑な内周面と伸縮性の少ない材質で形成されていることから、先頭体18及びそれに新管20の進行の円滑性を確保し、摩擦によってシワが発生するような状態も回避される。したがって、補助管30及びその後方から進行する新管20は、スムーズに進行し、新管挿入作業の迅速化と的確性が向上し、既設管の更生作業の信頼性が向上する。更に、補助管30の内周表面に例えば、シリコン系の滑剤を塗布することで、新管20の進行の円滑性は更に向上させることができる。
【0035】
この新管挿入工程により新管20が挿入設置されると、新管20は、中間筒状体12の厚さ方向の弾力性に抗して、中間筒状体12をやや圧縮した状態で安定する。したがって、新管20は既設管10内で中間筒状体12により柔軟に保持された状態となる。これにより、新管20の設置状態の安定化が図られ、地震発生時などにおける新管20の耐揺れ性能が向上している。
【0036】
図4は、本発明方法に適用される中間筒状体12の他の形態を示している。特徴的なことは、まず、不織布にて形成された中間筒状体12の内部に補強中間層として芯材13が設けられたことであり、この補強用芯材13は、例えば、ポリエステルやポリアミドやアクリル等の熱可塑性樹脂繊維や炭素繊維等で非伸縮性を有する樹脂繊維で構成され、中間筒状体12の伸長方向に伸長するように配されて埋設されているものである。
【0037】
この補強用芯材13の存在により、中間筒状体12への新管挿入工程の際に、中間筒状体12が新管の進行方向への伸びたり、新管20の進行に伴ってしわが発生していくことを防止することができる。したがって、中間筒状体12の変形等による新管20の進行の妨げを回避することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、中間筒状体12の内周表面に処理を施して硬化させることによって進行円滑化部を形成している。具体的には、不織布にて構成した中間筒状体12の内周面12aを熱処理によって溶融硬化させ、中間筒状体12の他の部分より硬質の平滑な内周面12aを形成している。
【0039】
これにより、補助管30のような他の部材を用いることなく、中間筒状体12に進行円滑化部を形成することができ、部材点数の減少や工法全体の簡略化と低廉化が図られる。
【0040】
図5は、中間筒状体12への進行円滑化部の付加形成についての他の実施の形態が示されている。特徴的なことは、中間筒状体12の内表面に突出部材14を点在させていることである。突出部材14は、進行円滑化部として設けられるものであり、新管挿入工程における中間筒状体12内での新管の進行の円滑性を向上させる機能を有するものである。なお、図において、図面の理解容易化のため突出部材14のサイズは中間筒状体12のサイズに対して同一縮尺ではなく大きく表示している。実際のサイズは例えば、外径が2mm〜5mm程度のものである。
【0041】
図6は、本実施の形態における中間筒状体12内表面への突出部材14の形成手段の例を示しており、図示のように網状体16が用いられる。網状体16は、縦線材16aと横線材16bとによって網体を構成しており、この縦線材16aと横線材16bとの各交点部にこれら線材よりも外径が大きく、硬化前の中間筒状体12よりも硬度の高い略球形状の膨大部16cが形成されている。この膨大部16cが上述の突出部材14となるものである。なお、本実施の形態では、網状体は樹脂にて形成されていおり、編み目のサイズは例えば2mm〜10mm程度に選択され、膨大部16cのサイズは外径が約2〜3mm程度に設定される。
【0042】
図7は、突出部材14を備える中間筒状体12の形成手法の一例を示しており、図示のように、中間筒状体12の材料部材12bの表面に膨大部16cの形成された網状体16を付着している。材料部材12bは、例えば、不織布などから構成され、全体として柔軟性を有している。なお、中間筒状体12はこの様に柔軟性を保ったままで設置されることで十分に機能を奏するが、更に、必要に応じてこの材料部材12aに硬化性の樹脂材料を含浸させて形成し、内部への新管の挿入後に硬化するような経時的硬化とすること、更に、光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂の含浸により、後の工程で効果させるようにすることも可能である。
【0043】
図示した中間筒状体12の内表面への網状体16の付着は、中間筒状体12の材料部材12aを形成する過程で、それが平板状の形状を有している状態において、その一方の表面に網状体16を融着させることで簡単に行うことができる。そして、この網状体16の融着された側の面を内側にして円筒状に成形することで、容易かつ安価に図5に示したような突出部材14付きの中間筒状体12を形成することができる。
【0044】
図8は、本発明工法における新管挿入工程を示しており、同図(A)は既設管である下水道本管10の管軸方向断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。本図は、上記図3と同じく、中間筒状体12が導入された下水道本管10の更に内側に最初の新管20が挿入されていく状態を示している。図3と同様の構成には同一の符号を付しており、その説明を省略する。
【0045】
また、本実施の形態では、先頭体18は、その最大外径が新管20の外径よりもやや大きく形成されている。新管ピース20−1の進行は、先頭体18が確実に中間筒状体12を押し広げ、その後方から進行する新管20は、先頭体18の最大外径よりもやや外径が小さいことからその進行はスムーズなものとなる。なお、本実施の形態では、新管ピース20−1の進行は、図示しないが、後方に続く新管ピース20−2〜20−n側から順次押し込み移動させることで行われる例が示されている。
【0046】
更に、中間筒状体12は、ある程度の柔軟性を有しているが、本発明方法における特徴的構成である進行円滑化部、すなわち、中間筒状体12の内周面の膨大部16cの存在によって、必要以上に中間筒状体12が先頭体18や新管20の表面に密着して進行の円滑性を妨げることが回避される。
【0047】
すなわち、本実施の形態では、上述のように中間筒状体12の内周面には、膨大部16cの形成された網状体16が付着されている。そして、膨大部16cは、挿入された未硬化の中間筒状体12よりも摩擦係数が低く且つ高い硬度を有しており、図示のように、中間筒状体12の内周面から表面に略球面状に突出している。したがって、先頭体18や新管20の外表面は、この膨大部16cに強く接触し、中間筒状体12の内表面と密着する状態が回避されている。したがって、先頭体18及び新管20の中間筒状体12に対する滑りが良好なものとなり、それらの進行の円滑性が確保される。
【0048】
なお、図9は同じく先頭体18及びそれに続く新管ピース20−1を既設管である下水道本管10内に牽引により挿入している状態を示しているが、本図に示しているように、中間筒状体12の拡径状態は、上述の図8に示したように、ほぼ下水道本管10に接する程度に拡径させておく状態に限られるものではない。すなわち、本図に示したように、先頭体18を牽引によって図上200方向に移動させることによって、先頭体18の外側面で中間筒状体12を押し広げつつ新管20の挿入を行うことが可能である。
【0049】
そして、この様な中間筒状体12を押し広げて行く過程において、本件発明の特徴的構成がより機能を発揮するものである。すなわち、先頭体18及び後続の新管ピース20−1〜nが挿入されて行く過程で、それらが中間筒状体12を押し広げて進行する状況では、先頭体18及び後続の新管ピース20−1〜nに掛かる中間筒状体12の荷重は大きくなり、密着度合いも大きくなると考えられる。したがって、進行円滑化部である網状体16の膨大部16cの存在により、その密着度を軽減することが新管20の円滑な挿入作業において重要な作用となるものである。
【0050】
図10は、実施の形態における進行円滑化部の他の構成を示している。図2〜図8に示した実施の形態では、中間筒状体12の内表面に突出部材14を点在させるために網状体16を中間筒状体12の内周面に設置したが、本実施の形態では、本図に示したように、挿入される新管20の外周面に突出部材14を設けるようにしたものである。なお、図において、突出部材14の表示サイズは、構成の理解を容易にするため、新管20の表示サイズとは同一縮尺になっていない。すなわち、実際のサイズよりも大きく表示ししている。
【0051】
図11は、突出部材14を表面に備える新管20を形成するための手段の一例を示しており、一方の表面に多数の突出部材14を備える被膜材22が示されている。この被膜材22は、例えば、樹脂部材でフィルム状に形成されたシート部材22aの一方の表面に、ガラス製又はプラスチック製の外径2mm〜3mm程度の略球状のビーズ22cを突出部材14として、多数点在するように付着させて形成されている。ビーズ22cは半球形状のものの球面側が外表面に向くように付着させても良く、各ビーズ間の間隔は本実施の形態では、例えば、2mm〜10mm程度に設定されている。
【0052】
なお、この様な被膜材22の製造は、成形前の被膜材材料中に上記ビーズを混入させて、シート状に成形したときにビーズが表面から露出するようにしても良く、これにより、簡単な作業で被膜材22の製造が可能となる。
【0053】
そして、こうして形成した被膜材22を新管20の外表面に突出部材14であるビーズ22cが突出するように貼着して中間筒状体12内に挿入される新管22が構成されている。
【0054】
図12は、上述の図10に示した形態の新管20を中間筒状体12内に挿入する新管挿入工程を示しており、同図(A)は既設管である下水道本管10の管軸方向断面図、同図(B)は管軸方向に直交する方向の断面図である。本図は、中間筒状体12が導入された下水道本管10の更に内側に最初の新管ピース20−1が挿入されていく状態を示している。上記図8に示した動作と同様に、新管ピース20−1の進行方向の先端部には、先頭体18が取り付けられている。なお、図8にて説明した構成と異なる点は、中間筒状体12の内周面には突出部材14は設けられておらず、新管20の外表面に突出部材14としてのビーズ22cが設けられていることである。
【0055】
先頭体18及び新管ピース20−1は、図示しないワイヤなどにより矢印200方向に牽引されて挿入されて行くが、先頭体18は中間筒状体12を押し広げつつ進行し、後続の新管ピース20−1は、未硬化状態の中間筒状体12に接触しながら進んで行く。このとき、新管20の外周面には、未硬化状態の中間筒状体12よりも摩擦係数が低く且つ高い硬度を有しているビーズ22cが点在していることから、中間筒状体12の新管20の外方面への密着度は低下し、新管20の中間筒状体12に対する滑りは良好なものとなる。したがって、新管20の挿入工程がより円滑化され、中間筒状体12への損傷付与などが回避され、完成する更生管の信頼性が向上する。
【0056】
なお、中間筒状体12の新管挿入前の準備としての拡径は図12に示した程に、ほぼ下水道本管10の内周面に接触する状態まで行われる必要はなく、本実施の形態の場合も図9に示したように途中までの拡径状態の中間筒状体12を先頭体18で拡径しながら進むことも可能である。
【0057】
また、図示していないが、新管20への突出部材の形成は、新管20とは別部材を新管20の外周面に設置する例を示したが、他の実施の形態としては、新管20の外周面の表面形状自体、すなわち新管20の形状そのもの上述の突出部材のような突出部を有する形状とすることも可能である。すなわち、例えば、コンクリートにて新管20を製造する際に、角部のない凸形状が外表面に点在する形状となるような型枠等を用いて製造することで、簡単に進行円滑化部を備えた新管20を形成することができるものである。
【0058】
なお、本発明は上記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、新管挿入工程における先頭体18は、本件発明方法における必須の構成要素ではなく、本願発明工法の円滑性を向上させるための部材として用いられるものである。したがって、これらの部材を用いることなく本件発明方法を実施することも可能である。すなわち、円筒状の管状体ピースをそのまま先頭として挿入することも可能である。
【0059】
また、上記実施の形態では、進行円滑化部を補助管30や網状体16や被膜材22を用いて突出部材14を構成して、新管挿入工程の円滑化を図ることを主に説明したが、中間筒状体12の内周面又は新管20の外周面に進行の円滑化を図る何らかの構成を施すことができれば足りるものである。
【符号の説明】
【0060】
10 下水道本管
12 中間筒状体
14 突出部材
16 網状体
16c 膨大部
18 先頭体
20 新管
20−1〜20−n 新管ピース
22 被膜材
22c ビーズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補修対象の既設管内に既製の新管を導入することで前記既設管の補修が行われる既設管補修工法において、
前記既設管内への前記新管の導入前に、拡径された状態では少なくとも前記既設管内周面に全周がほぼ接触し得る外径と少なくとも厚さ方向の弾力性を有する所定厚さの中間筒状体を既設管内に導入する中間筒状体導入工程と、
前記新管を前記導入された中間筒状体内に挿入する新管挿入工程とを含み、
前記中間筒状体の内周面又は前記既製の新管の外周面の何れか一方に、前記新管挿入工程における中間筒状体内での新管の進行の円滑性を向上させる進行円滑化部を設けたことを特徴とする既設管補修工法。
【請求項2】
前記進行円滑化部は、
少なくとも平滑な内周面と可撓性を有する伸縮性の少ない補助管として構成され、該補助管の外周面が前記中間筒状体の内周面の全域を覆うように接着されることで設けられ、
前記新管挿入工程は、前記中間筒状体内の前記補助管内に、前記新管を前記補助管の内周面に沿って挿入することで行われることを特徴とする請求項1に係る既設管補修工法。
【請求項3】
少なくとも前記新管挿入工程の前に、
前記補助管の内周面に滑剤を塗布することを特徴とする請求項2に記載の既設管補修工法。
【請求項4】
前記進行円滑化部は、
前記中間筒状体の内周表面を硬化させる処理を施して構成されたことを特徴とする請求項1に係る既設管補修工法。
【請求項5】
前記進行円滑化部は、
前記中間筒状体の内周面の全域に亘って、該中間筒状体よりも低い摩擦係数で且つ高い硬度を有し、表面に角のない形状で突出する突出部材を点在させることで構成することを特徴とする請求項1に記載の既設管補修工法。
【請求項6】
前記中間筒状体は、不織布にて形成され、その内部に補強用の芯材が該中間筒状体の伸長方向に伸長するように配して構成された補強中間層を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の既設管補修工法。
【請求項1】
補修対象の既設管内に既製の新管を導入することで前記既設管の補修が行われる既設管補修工法において、
前記既設管内への前記新管の導入前に、拡径された状態では少なくとも前記既設管内周面に全周がほぼ接触し得る外径と少なくとも厚さ方向の弾力性を有する所定厚さの中間筒状体を既設管内に導入する中間筒状体導入工程と、
前記新管を前記導入された中間筒状体内に挿入する新管挿入工程とを含み、
前記中間筒状体の内周面又は前記既製の新管の外周面の何れか一方に、前記新管挿入工程における中間筒状体内での新管の進行の円滑性を向上させる進行円滑化部を設けたことを特徴とする既設管補修工法。
【請求項2】
前記進行円滑化部は、
少なくとも平滑な内周面と可撓性を有する伸縮性の少ない補助管として構成され、該補助管の外周面が前記中間筒状体の内周面の全域を覆うように接着されることで設けられ、
前記新管挿入工程は、前記中間筒状体内の前記補助管内に、前記新管を前記補助管の内周面に沿って挿入することで行われることを特徴とする請求項1に係る既設管補修工法。
【請求項3】
少なくとも前記新管挿入工程の前に、
前記補助管の内周面に滑剤を塗布することを特徴とする請求項2に記載の既設管補修工法。
【請求項4】
前記進行円滑化部は、
前記中間筒状体の内周表面を硬化させる処理を施して構成されたことを特徴とする請求項1に係る既設管補修工法。
【請求項5】
前記進行円滑化部は、
前記中間筒状体の内周面の全域に亘って、該中間筒状体よりも低い摩擦係数で且つ高い硬度を有し、表面に角のない形状で突出する突出部材を点在させることで構成することを特徴とする請求項1に記載の既設管補修工法。
【請求項6】
前記中間筒状体は、不織布にて形成され、その内部に補強用の芯材が該中間筒状体の伸長方向に伸長するように配して構成された補強中間層を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の既設管補修工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−56843(P2011−56843A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210405(P2009−210405)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(595053777)吉佳株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(595053777)吉佳株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]