昇降機の遠隔監視システム
【課題】多数のカメラを必要とすることなく、要求に応じて各場所の映像を適宜取得して遠隔監視する。
【解決手段】監視センタに設置されたサーバ31は、物件データベース43a、保守員データベース43b、地図データベース43cを用いて、指定地域の地図に保守員のマークを付してオペレータの端末装置に表示すると共に、その中で通信機能付きカメラ装置を所持した特定の保守員を識別表示する。ここで、所定の操作により特定の保守員が指定されると、サーバ31は、その保守員が持つ通信機能付きカメラ装置にて撮影された映像を所得してモニタ表示する。
【解決手段】監視センタに設置されたサーバ31は、物件データベース43a、保守員データベース43b、地図データベース43cを用いて、指定地域の地図に保守員のマークを付してオペレータの端末装置に表示すると共に、その中で通信機能付きカメラ装置を所持した特定の保守員を識別表示する。ここで、所定の操作により特定の保守員が指定されると、サーバ31は、その保守員が持つ通信機能付きカメラ装置にて撮影された映像を所得してモニタ表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各物件のエレベータやエスカレータなどの昇降機の動作状態を遠隔監視するための昇降機の遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各物件のエレベータは、通信ネットワークを介して監視センタに接続されている。監視センタには、多数のオペレータが就役している。各オペレータは、それぞれに監視卓と呼ばれる端末装置の画面を通じて各物件のエレベータの動作状態を遠隔監視している。
【0003】
ところで、この種の遠隔監視システムでは、監視対象とする場所に所謂「ライブカメラ」と呼ばれる監視用のカメラを設置しておき、そのカメラにて撮影された映像を監視センタに転送するものがある(例えば、特許文献1,2参照)。これにより、現場の映像をリアルタイムで監視することができ、何らかの異常が発生した際に、現場の様子を把握して適切な対応を取ることができる。
【特許文献1】特開2004−193690号公報
【特許文献2】特開2005−123750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2に開示されているライブカメラは、予め決められた場所に固定的に設置されたものである。したがって、このライブカメラの監視システムをエレベータに適用すると、各地に点在する物件毎にカメラを設置しておく必要があり、しかも、各物件で監視対象とする箇所も異なるため、膨大な数のカメラが必要となる。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、多数のカメラを必要とすることなく、要求に応じて各場所の映像を適宜取得して遠隔監視することのできる昇降機の遠隔監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る昇降機の遠隔監視システムは、各地域に点在する物件を遠隔監視する昇降機の遠隔監視システムにおいて、指定地域の地図を表示する地図表示手段と、各物件を巡回中の保守員を検出する保守員検出手段と、この保守員検出手段によって検出された保守員が通信機能付きカメラ装置を所持している特定の保守員であるか否かを判断するカメラ所持判断手段と、このカメラ所持判断手段によって特定の保守員であると判断された場合に、上記地図表示手段によって表示された地図上の当該保守員の位置を識別表示する表示処理手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信機能付きカメラ装置を所持している特定の保守員を地図上で識別表示することにより、その保守員がいる場所を映像確認な場所として把握することができる。これにより、複数のカメラを必要とせずに、要求に応じて各場所の映像を適宜取得して遠隔監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施形態に係る昇降機としてエレベータを例にした場合の遠隔監視システムの構成を示す図である。図中の11a,11b,11c…は、顧客の物件(建物)を示している。これらの物件11a,11b,11c…は、それぞれにエレベータ(EL)12a,12b,12c…が設置されている。なお、物件によって、エレベータの設置台数が異なる。つまり、1台のエレベータしか設置されていない物件や、多数のエレベータが設置されていない物件が混在する。
【0010】
エレベータ12a,12b,12c…は、公衆回線等の通信ネットワーク13を介して監視センタ14に接続されている。監視センタ14では、各エレベータ12a,12b,12c…から発報される信号を受信して、これらの動作状態を常時監視している。
【0011】
ここで、エレベータ12aを代表として、図2にその構成を示す。
【0012】
エレベータ12aは、巻上機21と、この巻上機21に巻き掛けられたロープ22と、そのロープ22の一端に取り付けられた乗りかご23と、他端に取り付けられたカウンタウェイト24とを備える。巻上機21は、物件(建物)11aの機械室などに設置されている。この巻上機21の回転駆動により、ロープ22を介して乗りかご23とカウンタウェイト24が昇降路内をつるべ式に移動する。
【0013】
制御装置25は、CPU、ROM、RAMなどを搭載したコンピュータからなり、巻上機21の駆動制御などを含むエレベータ全体の制御を行う。また、この制御装置25は通信機能を備えており、上記通信ネットワーク13を介して監視センタ14との間でデータの送受信を行う。
【0014】
次に、本実施形態における監視センタ14の構成について詳しく説明する。
【0015】
図3は監視センタ14の構成を示すブロック図である。
【0016】
監視センタ14には、サーバ31と、PC(Personal Computer)32a,32b,32c…が設置されている。
【0017】
サーバ31は、監視センタ14の制御装置として存在する。PC32a,32b,32c…は、このサーバ31にLAN(Local Area Network)等の通信回線33を介して接続されている。このPC32a,32b,32c…は、各オペレータが監視卓として使用する端末装置であり、様々な機能を備えている。
【0018】
図4は監視センタ14に設置されたサーバ31の構成を示すブロック図である。
【0019】
サーバ31は、制御部41、記憶部42、各種データベース43、通信部44、インタフェース(I/F)45を備えている。
【0020】
制御部41は、CPUからなり、記憶部42に記憶されたプログラム42aを読み込むことにより各種処理を実行する。また、この制御部41には、本システムを実現するための機能部として、データベース検索部41a、地図表示部41b、識別表示部41c、表示処理部41d、保守員検出部41e、縮尺変更部41fが設けられている。
【0021】
データベース検索部41aは、各種データベース43に含まれる物件データベース43aから指定地域の地図を検索すると共に、上記指定地域に存在する物件11a,11b,11c…の位置を地図データベース43cから検索する。
【0022】
地図表示部41bは、このデータベース検索部41aによって得られた上記指定地城の地図上に各物件の位置を示すマーク(物件マーク)を付して、各オペレータの端末装置であるPC32a,32b,32c…に表示する。
【0023】
識別表示部41cは、各物件11a,11b,11c…のエレベータ12a,12b,12c…から発報される信号に基づいて、上記物件マークを識別表示する。具体的には、各物件毎にそれぞれのエレベータの状態を判断し、その状態に応じた色(「赤色」,「黄色」,「青色」)で地図上の物件マークを識別表示する。
【0024】
表示処理部41dは、保守員検出部41eによって各保守員の位置が検出された場合に、上記各保守員の位置を示すマーク(保守員マーク)を当該地図上に表示する。
【0025】
保守員検出部41eは、各物件で保守員が所持する携帯端末などから発信される信号に基づいて、各物件の位置を基準にして保守員の位置を検出する。
【0026】
カメラ所持判断部41fは、この保守員検出部41eによって検出された保守員が後述する通信機能付きカメラ装置80(図9参照)を所持している特定の保守員であるか否かを判断する。上記表示処理部41dは、このカメラ所持判断部41fによって特定の保守員であると判断された場合に、地図上でその旨を表すマーク(カメラマーク)を用いて当該保守員の位置を識別表示する。
【0027】
映像取得部41gは、保守員が所持のカメラによって撮影された映像を取得する。上記表示処理部41dは、この映像取得部41gによって得られた映像を地図上の当該保守員の位置の近くにモニタ表示する。
【0028】
縮尺率変更部41hは、縮尺率の変更操作があった場合に、現在表示中の地図の画面中心を基準にして縮尺率を変更する。
【0029】
記憶部42は、ROM、RAMなどのメモリからなり、プログラム42aの他、制御部41の処理に必要な各種データを記憶している。また、この記憶部42には、各物件のエレベータの状態に応じて物件マークを識別表示するための識別表示テーブル42bが設けられている。
【0030】
今、エレベータの状態として、何らかの異常が発生し、エレベータの運行に支障のある状態を示す「発生」、エレベータに何らかの管制運転がはたらき、最寄階に着床した状態を示す「管制」、エレベータの運転が復帰した状態を示す「復帰」の3パターンを想定する。上記識別表示テーブル42bには、「発生」の状態のときに「赤色」、「管制」のときに「黄色」、「復帰」のときに「青色」で物件マークを識別表示することが設定されている。
【0031】
一方、サーバ31に設けられた各種データベース43には、物件データベース(物件DB)43a、保守員データベース(保守員DB)43b、地図データベース(地図DB)43cなどが含まれる。なお、これらのデータベース43a〜43cは、実際には記憶部42などに設けられる。
【0032】
物件データベース43aは、各物件11a,11b,11c…に関する情報を記憶している。具体的には、図5に示すように、各物件の識別番号(物件ID)、物件名、住所、その物件に設置されているエレベータの台数や号機の情報などを記憶している。
【0033】
保守員データベース43bは、各保守員に関する情報を記憶している。具体的には、図6に示すように、各保守員の識別番号(保守員ID)、氏名、所属、その保守員が所持している携帯端末の情報(端末IDやアドレス、電話番号等)、保守員の現在位置とステータス情報、さらに、カメラの所持情報などを記憶している。
【0034】
なお、保守員の「現在位置」は、後述するように物件位置を基準にして管理されている。また、「ステータス情報」は、保守員の作業状態を示す情報であり、「作業中」あるいは「移動中」が記録される。「カメラの所持情報」は、後述する通信機能付きカメラ装置80(図9参照)を所持しているか否かを示す情報であり、所持している場合には「有」と記録されると共に、その通信機能付きカメラ装置80に付けられた識別番号が記録される。
【0035】
地図データベース43cは、各地域の地図情報(画像情報)を記憶している。具体的には、図7に示すように、縮尺率に応じて複数の地図情報が分類して記憶されている。この場合、地図の縮尺率が高いほど広域を表わし、縮尺率が低いほど狭域を表わすことになる。
【0036】
また、サーバ31に設けられた通信部44は、各物件11a,11b,11c…に設置されたエレベータ12a,12b,12c…との間で通信ネットワーク13を介してデータの送受信を行う。インタフェース45は、サーバ31に接続されたPC32a,32b,32c…との間のデータの入出力処理を行う。
【0037】
図8は監視センタ18に設置されたオペレータのPC32aの構成を示すブロック図である。なお、他のPC32b,32c…についても同様の構成である。
【0038】
PC32aは、制御部51、記憶部52、インタフェース(I/F)53、入力部54、表示部55を備えている。
【0039】
制御部51は、CPUからなり、記憶部52に記憶されたプログラム52aを読み込むことにより各種処理を実行する。記憶部52は、ROM、RAMなどのメモリからなり、プログラム52aの他、制御部51の処理に必要な各種データを記憶している。インタフェース53は、サーバ31との間のデータの入出力処理を行う。
【0040】
入力部54は、例えばキーボード、マウスなどの入カデバイスからなり、オペレータがデータやコマンドの入力操作や画面上での選択操作を行う場合に用いられる。表示部55は、例えばCRT(Cathode-ray tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスからなり、各種データの表示を行う。
【0041】
次に、本システムの動作について説明する。
まず、各保守員は、定期的に各物件を巡回し、これらの物件に設置されたエレベータを保守点検している。その際、現場の映像を撮影するために、各保守員のうちの特定の何人かは、図9に示すような通信機能付きカメラ装置80を所持して巡回しているものとする。
【0042】
図9は通信機能付きカメラ装置80の一例を示す図である。この通信機能付きカメラ装置80は作業用メガネ81に小型のカメラ82を取付けた形態をなす。
【0043】
カメラ82は、ケーブル83を介して通信装置84に接続されている。この通信装置84は、外部(ここでは監視センタ14)との間で所定のプロトコルにより通信を行う機能を備えたものであり、バッテリ85を装着した状態で、ウェストバック86などに収納して持ち運びできる。
【0044】
また、この通信装置84には、イヤホン87aとマイク87bを有するヘッドセット87がケーブル88を介して接続可能である。保守員はこのヘッドセット87を装着した状態で、監視センタ14のオペレータと会話することができる。
【0045】
ここで、監視センタ14側では、どの保守員が通信機能付きカメラ装置80を所持しているのかを事前に把握している。これは、例えば図10に示すように、各保守員が所属する営業所90において、端末91から監視センタ14内のサーバ31に対し、通信ネットワーク13を介して通信機能付きカメラ装置80を所持している保守員の情報を知らせることで実現できる。サーバ31では、その保守員の情報を受信することで、図6に示した保守員データベース43bにカメラ所持の有無と識別番号を登録する。
【0046】
以下に、監視センタ14内のサーバ31側の処理動作について説明する。
図11は監視センタ14内のサーバ31によって実行される遠隔監視処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートで示される処理は、サーバ31に設けられた制御部41が記憶部42に記憶されたプログラム42aを読み込むことにより実行される。
【0047】
今、監視センタ14のオペレータがPC32aを操作して、ある地域の地図を表示する場合を想定する。
【0048】
PC32aから地図表示要求があると、サーバ31は、まず、オペレータが所定の操作によって指定した地域の地図を地図データベース43cから検索すると共に(ステップS11)、上記指定地域に存在する物件の位置を物件データベース43aから検索する(ステップS12)。
【0049】
該当する物件があると、サーバ31は、その物件の位置情報(住所)に基づいて、上記地図データベース43cから読み出した地図上に、物件マークを付してオペレータのPC32a(詳しくは、PC32aの表示部55)に表示する(ステップS13)。
【0050】
図13にオペレータのPC32aに表示される地図表示画面61の一例を示す。
図中の62は指定地域の地図である。また、63a〜63gは物件マーク、64はスケーラである。65は物件マーク説明欄、66は保守員マーク説明欄、67は縮尺率表示部である。なお、起動時には所定の縮尺率の地図が表示される。スケーラ64をスライド操作することにより、地図の縮尺率を任意に変えることができる。
【0051】
この地図表示画面61において、地図62上の各物件の位置に直方体形状の物件マーク63a〜63eが所定のサイズで表示される。この物件マーク63a〜63eは、監視対象とする物件の位置とエレベータの状態を表している。
【0052】
各物件のエレベータから何らかの信号が発報されると、サーバ31は、その信号から現在の状態を判断し、識別表示テーブル42bを参照して、そのときの状態に応じた色で物件マーク63a〜63eを識別表示する(ステップS14)。
【0053】
詳しくは、エレベータの異常信号が発報されたときには、「発生」の状態を示す「赤色」で物件マーク63aを識別表示する。また、管制信号が発報されたときには、「管制」の状態を示す「黄色」で物件マーク63dを識別表示し、エレベータの運転復帰信号が発報されたときには、「復帰」の状態を示す「青色」で物件マーク63eを識別表示する。
【0054】
なお、上記異常信号・管制信号は、エレベータに何らかの異常が生じた場合に、図2に示した制御装置25から自動的に発報される。上記運転復帰信号は、エレベータの運転が復帰すると、図2に示した制御装置25から自動的に発報される。
【0055】
また、1物件につき1マークの表示とし、複数台のエレベータが設置された物件については、その中で最も重要度の高い状態に合わせて物件マークを識別表示するものとする。ここでは、「発生」が最も重要度が高い状態であり、続いて「管制」、「復帰」の順である。
【0056】
また、無色の物件マーク63bは、これらの物件に設置されたエレベータが平常な状態であることを表している。
【0057】
ここで、サーバ31は、現在表示中の地域に存在する保守員を検出すると共に(ステップS15)、保守員データベース43bを参照して、その保守員が通信機能付きカメラ装置80を所持した特定の保守員であるか否かを判断する(ステップS16)。サーバ31は、その判断結果に応じて保守員マークを特定の表示形態により識別表示する(ステップS17)。
【0058】
なお、上記ステップS15での保守員の検出方法については、後に図16及び図17を参照して詳しく説明する。
【0059】
本実施形態では、上記特定の表示形態として、各保守員の位置に図13に示すような保守員マーク68a,68bを表示すると共に、通信機能付きカメラ装置80を所持した特定の保守員の場合にはカメラマーク69aを付記する。保守員マーク68a,68bは、保守員のステータス(作業中/移動中)に応じて、作業中の物件あるいは直前に作業していた物件の位置にマーク形状を変えて表示される。
【0060】
図13の例では、物件マーク63bの位置に「作業中」の保守員を表す保守員マーク68aに加え、通信機能付きカメラ装置80を所持していることを表すカメラマーク69aが表示されている。物件マーク63cの位置には、「移動中」の保守員を表す保守員マーク68bが表示されている。
【0061】
また、オペレータが現場の位置を確認するために、地図表示画面61に設けられたスケーラ64をスライド操作して縮尺率の変更を指示すると(ステップS18のYes)、サーバ31は、そのときに指示された縮尺率で地図62を表示する(ステップS19)。
【0062】
詳しくは、図7に示したように、指示された縮尺率に対応した地図情報を地図データベース43cから読み出して当該オペレータのPC32aに表示する。その際、サーバ31は、図12に示すように、画面中心に近い物件マークを基準にして縮尺率変更後の地図62を表示する。このとき、地図上の各物件の位置を示すマーク(物件マーク63a〜63g)や各保守員の位置を示すマーク(保守員マーク68a,68b)、カメラの有無を示すマーク(カメラマーク69a)は、縮尺率の変更に関係なく、常に同じ大きさで表示される(ステップS20)。
【0063】
このように、画面中心の物件を基準にして地図62の縮尺率が変更されるので、縮尺率の変更によって物件の場所を見失うようなことがなく、その物件の近くにいる保守員を簡単に探すことができる。
【0064】
また、カメラマークの表示によって、特定の保守員を通じて映像確認可能な場所を把握することができる。ここで、各場所の映像を取得する場合に、上記特定の保守員に連絡しなくとも、地図上でその保守員の位置(カメラマーク)をクリック操作すれば、その場所の映像を取得してモニタ表示することができる。
【0065】
以下に、この映像表示処理について詳しく説明する。
図12はマーク詳細表示処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、上記図11の処理によって指定地域の地図が表示された状態で、その地図上のカメラマークが表示された位置をクリック操作することにより実行される。
【0066】
今、監視センタ14のオペレータがPC32aの画面に表示された地図上の任意の位置をクリック操作したとする(ステップA11)。
【0067】
サーバ31は、上記クリック操作によって指定された画面上の位置情報を取得すると、まず、そこにカメラマークが表示されているか否かを判断する(ステップA12)。カメラマークが表示されている場合、つまり、通信機能付きカメラ装置80を所持した特定の保守員の位置がクリックされた場合には(ステップA12のYes)、サーバ31は、以下のような処理を実行する。なお、ここでは図13の地図表示画面61でカメラマーク69aがクリックされたものとして説明する。
【0068】
まず、サーバ31は、クリック操作されたカメラマーク69aに対応した通信機能付きカメラ装置80を特定する(ステップA13)。詳しくは、カメラマーク69aと同じ位置に表示されている保守員マーク68aから保守員を特定し、保守員データベース43bを参照して、その保守員が所持している通信機能付きカメラ装置80の識別番号を検索する。
【0069】
通信機能付きカメラ装置80が特定されると、サーバ31は、そのカメラ装置80に備えられた通信装置84を遠隔操作して通信可能状態に設定した後(ステップA14)、映像転送指令を出す(ステップA15)。これにより、カメラ82によって撮影された映像(動画像)が通信装置84により監視センタ14内のサーバ31にリアルタイムで送られてくる。
【0070】
通信機能付きカメラ装置80からの映像を受信すると(ステップA16のYes)、サーバ31は、その受信した映像をPC32aに送ってモニタ表示する(ステップA17)。この場合、現在表示中の地図上のカメラマーク69aの近くに、上記受信した映像をモニタ表示するものとする。
【0071】
図15にこのときのモニタ表示の一例を示す。
図中の100はモニタ表示画面であり、クリック操作されたカメラマーク69aの近くにポップアップで自動的に開くように構成されている。このモニタ表示画面100に上記受信された映像がリアルタイムで再生される。
【0072】
このように、クリック操作されたカメラマーク69aの近くに映像をモニタ表示することで、映像と撮影場所との対応関係を把握することができる。図15の例では、保守員がエレベータの乗場の前に、そこで撮影された映像がモニタ表示された状態を示してしている。
【0073】
なお、図9に示したように、保守員がカメラ付きのメガネ81をかけて作業していれば、特にカメラ82の向きを意識しなくとも、常に保守員の目の前の映像を監視センタ14に送ることができる。さらに、イヤホン87aとマイク87bが一体化されたヘッドセット87を用いれば、保守員は作業しながら、監視センタ14のオペレータと会話することができる。
【0074】
次に、本実施形態における保守員の検出方法について説明する。
【0075】
図16に示すように、保守員15は通信機能付きの携帯端末16を所持している。携帯端末16は、例えば携帯電話機等からなり、監視センタ14との間の通信機能の他に、保守点検作業に必要な各種アプリケーションが搭載されている。図中の16aは携帯端末16の表示部、16bは携帯端末16の操作部であり、各種操作ボタンを有する。
【0076】
また、この携帯端末16に関する情報(識別番号,電話番号,メールアドレス等)は、所持者である保守員15の情報と共に、監視センタ14内のサーバ31に設けられた保守員データベース43bに予め登録されている(図6参照)。
【0077】
ここで、各物件で保守員15が作業を開始するときに、携帯端末16を操作して、作業対象となる物件の識別番号(物件ID)と作業開始の信号を監視センタ14に送る。このとき、携帯端末16に固有の識別番号(端末ID)がその信号に自動的に付加されて監視センタ14に送られる。
【0078】
これにより、監視センタ14内のサーバ31では、上記携帯端末16の識別番号に基づいて保守員データベース43bを検索して発信元の保守員15を特定する。そして、その保守員15の現在位置として、上記携帯端末16から得られた物件IDを保守員データベース43bに記録すると共に、作業中のステータスを記録する。
【0079】
保守員15が作業を終えて他の場所に移動するときに、携帯端末16から作業終了の信号を監視センタ14に送る。これにより、監視センタ14内のサーバ31では、保守員15が移動中にあると認識し、移動中のステータスを記録する。
【0080】
このように、サーバ31では、保守員15の作業開始と終了時に携帯端末16から送られてくる信号に基づいて、保守員15の現在位置を判断して保守員データベース43bの内容を適宜更新する。地図表示時において、サーバ31は、この保守員データベース43bを参照して、図11に示したような保守員マーク68a,68bを地図62上の該当する位置に表示する。
【0081】
また、監視センタ14に対する別の連絡方法として、図17に示すように、乗りかご23内に設置された非常呼び用の電話機75を用いても良い。
【0082】
図17は乗りかご23の内部構成を示す図である。図中の70はかごドアであり、乗りかご23の着床時に図示せぬ乗り場ドアと係合して開閉動作する。このかごドア70の横に操作盤71が設置されている。この操作盤71上には、各階の行先ボタン72や、戸開を指示するための戸開ボタン73、戸閉を指示するための戸閉ボタン74などが配設されている。
【0083】
さらに、この操作盤71上には、非常呼び用の電話機75が設置されている。この電話機75は非常呼びボタン75aを有し、この非常呼びボタン75aを押下することで、監視センタ14に自動的に電話回線が繋がるようになっている。
【0084】
保守員が現場にて作業を開始するときと作業を終了するときに、乗りかご23内の非常呼び用の電話機75を通じて監視センタ14に連絡する。これにより、サーバ31では、上記非常呼び用の電話機75に固有の電話番号から当該物件を特定し、その物件の位置を保守員の現在位置として検出できる。
【0085】
また、保守員からの作業開始と終了の連絡を受けて、その保守員が作業中であるのか、移動中であるのかを管理することができる。この場合、保守員が監視センタ14のオペレータと直接通話して、作業の開始と終了を知らせても良いし、例えば操作盤71上のボタン操作により作業の開始と終了の信号を発信することでも良い。
【0086】
以上のように本システムによれば、通信機能付きカメラ装置80を所持する特定の保守員を地図上で識別表示したことにより、その保守員がいる場所を映像確認可能な場所として認識することができ、所望の場所でクリック操作すれば、その場所の映像を簡単に取得してモニタ表示することができる。
【0087】
つまり、保守員は移動型カメラとして利用され、その保守員が行く場所の映像をいつもで確認することができる。したがって、多数のカメラを必要とせずに、保守員の移動によって様々な場所の映像を取得することができ、例えば異常が発生した場合に、その現場に保守員を向かわせれば、その現場の映像をモニタ表示して適切に対処することができる。
【0088】
なお、上記実施形態では、通信機能付きカメラ装置80を所持する特定の保守員を図13に示すようなカメラマーク69aの表示によって識別したが、例えば保守員マーク68a,68bの形状を変えたり、色を変えるなどして識別することでも良い。また、カメラマーク69aの形状は、カメラを所持していることが視覚的に分かれば、どのような形状であっても良い。
【0089】
また、物件マーク63a〜63eについても表示色を変えることで識別したが、例えばマークの形状を変えるなどして識別することでも良い。
【0090】
また、物件マーク63a〜63eの形状は、直方体に限らず、例えば矩形や円形などであっても良く、地図上で他の記号類と混同しない形であれば、どのような形状であっても良い。
【0091】
保守員マーク68a,68bについても同様であり、上記実施形態に限定されず、ステータスに応じて別の形状に変えたり、色を変えるなどしても良い。
【0092】
また、通信機能付きカメラ装置80は、図9に示したような作業用メガネ81に小型のカメラ82を取り付けた形態に限らず、持ち運びが容易な形態であれば、どのようなものであっても良い。
【0093】
また、上述した地図表示に関する一連の処理を監視センタ14内のサーバ31が行う構成としたが、各オペレータのPC32a,32b,32c…が行うことでも良い。
【0094】
また、例えば保守員の持つ携帯端末にGPS(Global Positioning System)受信機能を搭載しておき、その携帯端末から発信される位置情報をサーバ31で受信する構成としても良い。このような構成とすれば、保守員が移動中であっても、地図画面上にその保守員の位置をリアルタイムで表示することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、監視対象としてエレベータを例にして説明したが、例えばエスカレータなどの他の昇降機の遠隔監視を行う場合にも同様に適用可能である。
【0096】
要するに、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る昇降機の遠隔監視システムの構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータの構成を示す図である。
【図3】図3は同実施形態における監視センタの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は同実施形態における監視センタに設置されたサーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は同実施形態におけるサーバに設けられた物件データベースの一例を示す図である。
【図6】図6は同実施形態におけるサーバに設けられた保守員データベースの一例を示す図である。
【図7】図7は同実施形態におけるサーバに設けられた地図データベースの地図情報の構成を説明するための図である。
【図8】図8は同実施形態における監視センタに設置されたPCの構成を示すブロック図である。
【図9】図9は同実施形態における保守員が所持する通信機能付きカメラ装置の一例を示す図である。
【図10】図10は同実施形態におけるカメラの有無を含む保守員の情報を監視センタ1登録する方法を説明するためのである。
【図11】図11は同実施形態における監視センタ内のサーバによって実行される地図表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は同実施形態における監視センタ内のサーバによって実行される映像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は同実施形態における監視センタの地図表示画面の一例を示す図である。
【図14】図14は同実施形態における監視センタの地図表示画面の一例を示す図である。
【図15】図15は同実施形態における監視センタの地図表示画面に表示される現場の映像の一例を示す図である。
【図16】図16は同実施形態における保守員の携帯端末を用いて監視センタへの連絡方法を説明するための図である。
【図17】図17は同実施形態におけるエレベータの乗りかご内の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
11a,11b,11c…物件、12a,12b,12c…エレベータ、13…通信ネットワーク、14…監視センタ、15…保守員、16…携帯端末、16a…表示部、16b…操作部、21…巻上機、22…ロープ、23…乗りかご、24…カウンタウェイト、25…制御装置、31…サーバ、32a,32b,32c…PC、33…通信回線、41…制御部、41a…データベース検索部、41b…地図表示部、41c…識別表示部、41d…表示処理部、41e…保守員検出部、41f…カメラ所持判断部、41g…映像取得部、41h…縮尺率変更部、42…記憶部、42a…プログラム、42b…識別表示テーブル、43…各種データベース、43a…物件データベース、43b…保守員データベース、43c…地図データベース、44…通信部、45…インタフェース、51…制御部、52…記憶部、52a…プログラム、53…インタフェース、54…入力部、55…表示部、61…地図表示画面、62…地図、63a〜63e…物件マーク、64…スケーラ、65…物件マーク説明欄、66…保守員マーク説明欄、67…縮尺率表示部、68a,68b…保守員マーク、69a…カメラマーク、70…かごドア、71…操作盤、72…行先ボタン、73…戸開ボタン、74…戸閉ボタン、75…電話機、75a…非常呼びボタン、80…通信機能付きカメラ装置、81…作業用のメガネ、82…小型カメラ、83…ケーブル、84…通信装置、85…バッテリ、86…ウェストバック、87…ヘッドセット、87a…ヘイヤホン、87b…マイク、88…ケーブル、90…営業所、91…端末、100…モニタ表示画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、各物件のエレベータやエスカレータなどの昇降機の動作状態を遠隔監視するための昇降機の遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各物件のエレベータは、通信ネットワークを介して監視センタに接続されている。監視センタには、多数のオペレータが就役している。各オペレータは、それぞれに監視卓と呼ばれる端末装置の画面を通じて各物件のエレベータの動作状態を遠隔監視している。
【0003】
ところで、この種の遠隔監視システムでは、監視対象とする場所に所謂「ライブカメラ」と呼ばれる監視用のカメラを設置しておき、そのカメラにて撮影された映像を監視センタに転送するものがある(例えば、特許文献1,2参照)。これにより、現場の映像をリアルタイムで監視することができ、何らかの異常が発生した際に、現場の様子を把握して適切な対応を取ることができる。
【特許文献1】特開2004−193690号公報
【特許文献2】特開2005−123750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2に開示されているライブカメラは、予め決められた場所に固定的に設置されたものである。したがって、このライブカメラの監視システムをエレベータに適用すると、各地に点在する物件毎にカメラを設置しておく必要があり、しかも、各物件で監視対象とする箇所も異なるため、膨大な数のカメラが必要となる。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、多数のカメラを必要とすることなく、要求に応じて各場所の映像を適宜取得して遠隔監視することのできる昇降機の遠隔監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る昇降機の遠隔監視システムは、各地域に点在する物件を遠隔監視する昇降機の遠隔監視システムにおいて、指定地域の地図を表示する地図表示手段と、各物件を巡回中の保守員を検出する保守員検出手段と、この保守員検出手段によって検出された保守員が通信機能付きカメラ装置を所持している特定の保守員であるか否かを判断するカメラ所持判断手段と、このカメラ所持判断手段によって特定の保守員であると判断された場合に、上記地図表示手段によって表示された地図上の当該保守員の位置を識別表示する表示処理手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信機能付きカメラ装置を所持している特定の保守員を地図上で識別表示することにより、その保守員がいる場所を映像確認な場所として把握することができる。これにより、複数のカメラを必要とせずに、要求に応じて各場所の映像を適宜取得して遠隔監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施形態に係る昇降機としてエレベータを例にした場合の遠隔監視システムの構成を示す図である。図中の11a,11b,11c…は、顧客の物件(建物)を示している。これらの物件11a,11b,11c…は、それぞれにエレベータ(EL)12a,12b,12c…が設置されている。なお、物件によって、エレベータの設置台数が異なる。つまり、1台のエレベータしか設置されていない物件や、多数のエレベータが設置されていない物件が混在する。
【0010】
エレベータ12a,12b,12c…は、公衆回線等の通信ネットワーク13を介して監視センタ14に接続されている。監視センタ14では、各エレベータ12a,12b,12c…から発報される信号を受信して、これらの動作状態を常時監視している。
【0011】
ここで、エレベータ12aを代表として、図2にその構成を示す。
【0012】
エレベータ12aは、巻上機21と、この巻上機21に巻き掛けられたロープ22と、そのロープ22の一端に取り付けられた乗りかご23と、他端に取り付けられたカウンタウェイト24とを備える。巻上機21は、物件(建物)11aの機械室などに設置されている。この巻上機21の回転駆動により、ロープ22を介して乗りかご23とカウンタウェイト24が昇降路内をつるべ式に移動する。
【0013】
制御装置25は、CPU、ROM、RAMなどを搭載したコンピュータからなり、巻上機21の駆動制御などを含むエレベータ全体の制御を行う。また、この制御装置25は通信機能を備えており、上記通信ネットワーク13を介して監視センタ14との間でデータの送受信を行う。
【0014】
次に、本実施形態における監視センタ14の構成について詳しく説明する。
【0015】
図3は監視センタ14の構成を示すブロック図である。
【0016】
監視センタ14には、サーバ31と、PC(Personal Computer)32a,32b,32c…が設置されている。
【0017】
サーバ31は、監視センタ14の制御装置として存在する。PC32a,32b,32c…は、このサーバ31にLAN(Local Area Network)等の通信回線33を介して接続されている。このPC32a,32b,32c…は、各オペレータが監視卓として使用する端末装置であり、様々な機能を備えている。
【0018】
図4は監視センタ14に設置されたサーバ31の構成を示すブロック図である。
【0019】
サーバ31は、制御部41、記憶部42、各種データベース43、通信部44、インタフェース(I/F)45を備えている。
【0020】
制御部41は、CPUからなり、記憶部42に記憶されたプログラム42aを読み込むことにより各種処理を実行する。また、この制御部41には、本システムを実現するための機能部として、データベース検索部41a、地図表示部41b、識別表示部41c、表示処理部41d、保守員検出部41e、縮尺変更部41fが設けられている。
【0021】
データベース検索部41aは、各種データベース43に含まれる物件データベース43aから指定地域の地図を検索すると共に、上記指定地域に存在する物件11a,11b,11c…の位置を地図データベース43cから検索する。
【0022】
地図表示部41bは、このデータベース検索部41aによって得られた上記指定地城の地図上に各物件の位置を示すマーク(物件マーク)を付して、各オペレータの端末装置であるPC32a,32b,32c…に表示する。
【0023】
識別表示部41cは、各物件11a,11b,11c…のエレベータ12a,12b,12c…から発報される信号に基づいて、上記物件マークを識別表示する。具体的には、各物件毎にそれぞれのエレベータの状態を判断し、その状態に応じた色(「赤色」,「黄色」,「青色」)で地図上の物件マークを識別表示する。
【0024】
表示処理部41dは、保守員検出部41eによって各保守員の位置が検出された場合に、上記各保守員の位置を示すマーク(保守員マーク)を当該地図上に表示する。
【0025】
保守員検出部41eは、各物件で保守員が所持する携帯端末などから発信される信号に基づいて、各物件の位置を基準にして保守員の位置を検出する。
【0026】
カメラ所持判断部41fは、この保守員検出部41eによって検出された保守員が後述する通信機能付きカメラ装置80(図9参照)を所持している特定の保守員であるか否かを判断する。上記表示処理部41dは、このカメラ所持判断部41fによって特定の保守員であると判断された場合に、地図上でその旨を表すマーク(カメラマーク)を用いて当該保守員の位置を識別表示する。
【0027】
映像取得部41gは、保守員が所持のカメラによって撮影された映像を取得する。上記表示処理部41dは、この映像取得部41gによって得られた映像を地図上の当該保守員の位置の近くにモニタ表示する。
【0028】
縮尺率変更部41hは、縮尺率の変更操作があった場合に、現在表示中の地図の画面中心を基準にして縮尺率を変更する。
【0029】
記憶部42は、ROM、RAMなどのメモリからなり、プログラム42aの他、制御部41の処理に必要な各種データを記憶している。また、この記憶部42には、各物件のエレベータの状態に応じて物件マークを識別表示するための識別表示テーブル42bが設けられている。
【0030】
今、エレベータの状態として、何らかの異常が発生し、エレベータの運行に支障のある状態を示す「発生」、エレベータに何らかの管制運転がはたらき、最寄階に着床した状態を示す「管制」、エレベータの運転が復帰した状態を示す「復帰」の3パターンを想定する。上記識別表示テーブル42bには、「発生」の状態のときに「赤色」、「管制」のときに「黄色」、「復帰」のときに「青色」で物件マークを識別表示することが設定されている。
【0031】
一方、サーバ31に設けられた各種データベース43には、物件データベース(物件DB)43a、保守員データベース(保守員DB)43b、地図データベース(地図DB)43cなどが含まれる。なお、これらのデータベース43a〜43cは、実際には記憶部42などに設けられる。
【0032】
物件データベース43aは、各物件11a,11b,11c…に関する情報を記憶している。具体的には、図5に示すように、各物件の識別番号(物件ID)、物件名、住所、その物件に設置されているエレベータの台数や号機の情報などを記憶している。
【0033】
保守員データベース43bは、各保守員に関する情報を記憶している。具体的には、図6に示すように、各保守員の識別番号(保守員ID)、氏名、所属、その保守員が所持している携帯端末の情報(端末IDやアドレス、電話番号等)、保守員の現在位置とステータス情報、さらに、カメラの所持情報などを記憶している。
【0034】
なお、保守員の「現在位置」は、後述するように物件位置を基準にして管理されている。また、「ステータス情報」は、保守員の作業状態を示す情報であり、「作業中」あるいは「移動中」が記録される。「カメラの所持情報」は、後述する通信機能付きカメラ装置80(図9参照)を所持しているか否かを示す情報であり、所持している場合には「有」と記録されると共に、その通信機能付きカメラ装置80に付けられた識別番号が記録される。
【0035】
地図データベース43cは、各地域の地図情報(画像情報)を記憶している。具体的には、図7に示すように、縮尺率に応じて複数の地図情報が分類して記憶されている。この場合、地図の縮尺率が高いほど広域を表わし、縮尺率が低いほど狭域を表わすことになる。
【0036】
また、サーバ31に設けられた通信部44は、各物件11a,11b,11c…に設置されたエレベータ12a,12b,12c…との間で通信ネットワーク13を介してデータの送受信を行う。インタフェース45は、サーバ31に接続されたPC32a,32b,32c…との間のデータの入出力処理を行う。
【0037】
図8は監視センタ18に設置されたオペレータのPC32aの構成を示すブロック図である。なお、他のPC32b,32c…についても同様の構成である。
【0038】
PC32aは、制御部51、記憶部52、インタフェース(I/F)53、入力部54、表示部55を備えている。
【0039】
制御部51は、CPUからなり、記憶部52に記憶されたプログラム52aを読み込むことにより各種処理を実行する。記憶部52は、ROM、RAMなどのメモリからなり、プログラム52aの他、制御部51の処理に必要な各種データを記憶している。インタフェース53は、サーバ31との間のデータの入出力処理を行う。
【0040】
入力部54は、例えばキーボード、マウスなどの入カデバイスからなり、オペレータがデータやコマンドの入力操作や画面上での選択操作を行う場合に用いられる。表示部55は、例えばCRT(Cathode-ray tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスからなり、各種データの表示を行う。
【0041】
次に、本システムの動作について説明する。
まず、各保守員は、定期的に各物件を巡回し、これらの物件に設置されたエレベータを保守点検している。その際、現場の映像を撮影するために、各保守員のうちの特定の何人かは、図9に示すような通信機能付きカメラ装置80を所持して巡回しているものとする。
【0042】
図9は通信機能付きカメラ装置80の一例を示す図である。この通信機能付きカメラ装置80は作業用メガネ81に小型のカメラ82を取付けた形態をなす。
【0043】
カメラ82は、ケーブル83を介して通信装置84に接続されている。この通信装置84は、外部(ここでは監視センタ14)との間で所定のプロトコルにより通信を行う機能を備えたものであり、バッテリ85を装着した状態で、ウェストバック86などに収納して持ち運びできる。
【0044】
また、この通信装置84には、イヤホン87aとマイク87bを有するヘッドセット87がケーブル88を介して接続可能である。保守員はこのヘッドセット87を装着した状態で、監視センタ14のオペレータと会話することができる。
【0045】
ここで、監視センタ14側では、どの保守員が通信機能付きカメラ装置80を所持しているのかを事前に把握している。これは、例えば図10に示すように、各保守員が所属する営業所90において、端末91から監視センタ14内のサーバ31に対し、通信ネットワーク13を介して通信機能付きカメラ装置80を所持している保守員の情報を知らせることで実現できる。サーバ31では、その保守員の情報を受信することで、図6に示した保守員データベース43bにカメラ所持の有無と識別番号を登録する。
【0046】
以下に、監視センタ14内のサーバ31側の処理動作について説明する。
図11は監視センタ14内のサーバ31によって実行される遠隔監視処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートで示される処理は、サーバ31に設けられた制御部41が記憶部42に記憶されたプログラム42aを読み込むことにより実行される。
【0047】
今、監視センタ14のオペレータがPC32aを操作して、ある地域の地図を表示する場合を想定する。
【0048】
PC32aから地図表示要求があると、サーバ31は、まず、オペレータが所定の操作によって指定した地域の地図を地図データベース43cから検索すると共に(ステップS11)、上記指定地域に存在する物件の位置を物件データベース43aから検索する(ステップS12)。
【0049】
該当する物件があると、サーバ31は、その物件の位置情報(住所)に基づいて、上記地図データベース43cから読み出した地図上に、物件マークを付してオペレータのPC32a(詳しくは、PC32aの表示部55)に表示する(ステップS13)。
【0050】
図13にオペレータのPC32aに表示される地図表示画面61の一例を示す。
図中の62は指定地域の地図である。また、63a〜63gは物件マーク、64はスケーラである。65は物件マーク説明欄、66は保守員マーク説明欄、67は縮尺率表示部である。なお、起動時には所定の縮尺率の地図が表示される。スケーラ64をスライド操作することにより、地図の縮尺率を任意に変えることができる。
【0051】
この地図表示画面61において、地図62上の各物件の位置に直方体形状の物件マーク63a〜63eが所定のサイズで表示される。この物件マーク63a〜63eは、監視対象とする物件の位置とエレベータの状態を表している。
【0052】
各物件のエレベータから何らかの信号が発報されると、サーバ31は、その信号から現在の状態を判断し、識別表示テーブル42bを参照して、そのときの状態に応じた色で物件マーク63a〜63eを識別表示する(ステップS14)。
【0053】
詳しくは、エレベータの異常信号が発報されたときには、「発生」の状態を示す「赤色」で物件マーク63aを識別表示する。また、管制信号が発報されたときには、「管制」の状態を示す「黄色」で物件マーク63dを識別表示し、エレベータの運転復帰信号が発報されたときには、「復帰」の状態を示す「青色」で物件マーク63eを識別表示する。
【0054】
なお、上記異常信号・管制信号は、エレベータに何らかの異常が生じた場合に、図2に示した制御装置25から自動的に発報される。上記運転復帰信号は、エレベータの運転が復帰すると、図2に示した制御装置25から自動的に発報される。
【0055】
また、1物件につき1マークの表示とし、複数台のエレベータが設置された物件については、その中で最も重要度の高い状態に合わせて物件マークを識別表示するものとする。ここでは、「発生」が最も重要度が高い状態であり、続いて「管制」、「復帰」の順である。
【0056】
また、無色の物件マーク63bは、これらの物件に設置されたエレベータが平常な状態であることを表している。
【0057】
ここで、サーバ31は、現在表示中の地域に存在する保守員を検出すると共に(ステップS15)、保守員データベース43bを参照して、その保守員が通信機能付きカメラ装置80を所持した特定の保守員であるか否かを判断する(ステップS16)。サーバ31は、その判断結果に応じて保守員マークを特定の表示形態により識別表示する(ステップS17)。
【0058】
なお、上記ステップS15での保守員の検出方法については、後に図16及び図17を参照して詳しく説明する。
【0059】
本実施形態では、上記特定の表示形態として、各保守員の位置に図13に示すような保守員マーク68a,68bを表示すると共に、通信機能付きカメラ装置80を所持した特定の保守員の場合にはカメラマーク69aを付記する。保守員マーク68a,68bは、保守員のステータス(作業中/移動中)に応じて、作業中の物件あるいは直前に作業していた物件の位置にマーク形状を変えて表示される。
【0060】
図13の例では、物件マーク63bの位置に「作業中」の保守員を表す保守員マーク68aに加え、通信機能付きカメラ装置80を所持していることを表すカメラマーク69aが表示されている。物件マーク63cの位置には、「移動中」の保守員を表す保守員マーク68bが表示されている。
【0061】
また、オペレータが現場の位置を確認するために、地図表示画面61に設けられたスケーラ64をスライド操作して縮尺率の変更を指示すると(ステップS18のYes)、サーバ31は、そのときに指示された縮尺率で地図62を表示する(ステップS19)。
【0062】
詳しくは、図7に示したように、指示された縮尺率に対応した地図情報を地図データベース43cから読み出して当該オペレータのPC32aに表示する。その際、サーバ31は、図12に示すように、画面中心に近い物件マークを基準にして縮尺率変更後の地図62を表示する。このとき、地図上の各物件の位置を示すマーク(物件マーク63a〜63g)や各保守員の位置を示すマーク(保守員マーク68a,68b)、カメラの有無を示すマーク(カメラマーク69a)は、縮尺率の変更に関係なく、常に同じ大きさで表示される(ステップS20)。
【0063】
このように、画面中心の物件を基準にして地図62の縮尺率が変更されるので、縮尺率の変更によって物件の場所を見失うようなことがなく、その物件の近くにいる保守員を簡単に探すことができる。
【0064】
また、カメラマークの表示によって、特定の保守員を通じて映像確認可能な場所を把握することができる。ここで、各場所の映像を取得する場合に、上記特定の保守員に連絡しなくとも、地図上でその保守員の位置(カメラマーク)をクリック操作すれば、その場所の映像を取得してモニタ表示することができる。
【0065】
以下に、この映像表示処理について詳しく説明する。
図12はマーク詳細表示処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、上記図11の処理によって指定地域の地図が表示された状態で、その地図上のカメラマークが表示された位置をクリック操作することにより実行される。
【0066】
今、監視センタ14のオペレータがPC32aの画面に表示された地図上の任意の位置をクリック操作したとする(ステップA11)。
【0067】
サーバ31は、上記クリック操作によって指定された画面上の位置情報を取得すると、まず、そこにカメラマークが表示されているか否かを判断する(ステップA12)。カメラマークが表示されている場合、つまり、通信機能付きカメラ装置80を所持した特定の保守員の位置がクリックされた場合には(ステップA12のYes)、サーバ31は、以下のような処理を実行する。なお、ここでは図13の地図表示画面61でカメラマーク69aがクリックされたものとして説明する。
【0068】
まず、サーバ31は、クリック操作されたカメラマーク69aに対応した通信機能付きカメラ装置80を特定する(ステップA13)。詳しくは、カメラマーク69aと同じ位置に表示されている保守員マーク68aから保守員を特定し、保守員データベース43bを参照して、その保守員が所持している通信機能付きカメラ装置80の識別番号を検索する。
【0069】
通信機能付きカメラ装置80が特定されると、サーバ31は、そのカメラ装置80に備えられた通信装置84を遠隔操作して通信可能状態に設定した後(ステップA14)、映像転送指令を出す(ステップA15)。これにより、カメラ82によって撮影された映像(動画像)が通信装置84により監視センタ14内のサーバ31にリアルタイムで送られてくる。
【0070】
通信機能付きカメラ装置80からの映像を受信すると(ステップA16のYes)、サーバ31は、その受信した映像をPC32aに送ってモニタ表示する(ステップA17)。この場合、現在表示中の地図上のカメラマーク69aの近くに、上記受信した映像をモニタ表示するものとする。
【0071】
図15にこのときのモニタ表示の一例を示す。
図中の100はモニタ表示画面であり、クリック操作されたカメラマーク69aの近くにポップアップで自動的に開くように構成されている。このモニタ表示画面100に上記受信された映像がリアルタイムで再生される。
【0072】
このように、クリック操作されたカメラマーク69aの近くに映像をモニタ表示することで、映像と撮影場所との対応関係を把握することができる。図15の例では、保守員がエレベータの乗場の前に、そこで撮影された映像がモニタ表示された状態を示してしている。
【0073】
なお、図9に示したように、保守員がカメラ付きのメガネ81をかけて作業していれば、特にカメラ82の向きを意識しなくとも、常に保守員の目の前の映像を監視センタ14に送ることができる。さらに、イヤホン87aとマイク87bが一体化されたヘッドセット87を用いれば、保守員は作業しながら、監視センタ14のオペレータと会話することができる。
【0074】
次に、本実施形態における保守員の検出方法について説明する。
【0075】
図16に示すように、保守員15は通信機能付きの携帯端末16を所持している。携帯端末16は、例えば携帯電話機等からなり、監視センタ14との間の通信機能の他に、保守点検作業に必要な各種アプリケーションが搭載されている。図中の16aは携帯端末16の表示部、16bは携帯端末16の操作部であり、各種操作ボタンを有する。
【0076】
また、この携帯端末16に関する情報(識別番号,電話番号,メールアドレス等)は、所持者である保守員15の情報と共に、監視センタ14内のサーバ31に設けられた保守員データベース43bに予め登録されている(図6参照)。
【0077】
ここで、各物件で保守員15が作業を開始するときに、携帯端末16を操作して、作業対象となる物件の識別番号(物件ID)と作業開始の信号を監視センタ14に送る。このとき、携帯端末16に固有の識別番号(端末ID)がその信号に自動的に付加されて監視センタ14に送られる。
【0078】
これにより、監視センタ14内のサーバ31では、上記携帯端末16の識別番号に基づいて保守員データベース43bを検索して発信元の保守員15を特定する。そして、その保守員15の現在位置として、上記携帯端末16から得られた物件IDを保守員データベース43bに記録すると共に、作業中のステータスを記録する。
【0079】
保守員15が作業を終えて他の場所に移動するときに、携帯端末16から作業終了の信号を監視センタ14に送る。これにより、監視センタ14内のサーバ31では、保守員15が移動中にあると認識し、移動中のステータスを記録する。
【0080】
このように、サーバ31では、保守員15の作業開始と終了時に携帯端末16から送られてくる信号に基づいて、保守員15の現在位置を判断して保守員データベース43bの内容を適宜更新する。地図表示時において、サーバ31は、この保守員データベース43bを参照して、図11に示したような保守員マーク68a,68bを地図62上の該当する位置に表示する。
【0081】
また、監視センタ14に対する別の連絡方法として、図17に示すように、乗りかご23内に設置された非常呼び用の電話機75を用いても良い。
【0082】
図17は乗りかご23の内部構成を示す図である。図中の70はかごドアであり、乗りかご23の着床時に図示せぬ乗り場ドアと係合して開閉動作する。このかごドア70の横に操作盤71が設置されている。この操作盤71上には、各階の行先ボタン72や、戸開を指示するための戸開ボタン73、戸閉を指示するための戸閉ボタン74などが配設されている。
【0083】
さらに、この操作盤71上には、非常呼び用の電話機75が設置されている。この電話機75は非常呼びボタン75aを有し、この非常呼びボタン75aを押下することで、監視センタ14に自動的に電話回線が繋がるようになっている。
【0084】
保守員が現場にて作業を開始するときと作業を終了するときに、乗りかご23内の非常呼び用の電話機75を通じて監視センタ14に連絡する。これにより、サーバ31では、上記非常呼び用の電話機75に固有の電話番号から当該物件を特定し、その物件の位置を保守員の現在位置として検出できる。
【0085】
また、保守員からの作業開始と終了の連絡を受けて、その保守員が作業中であるのか、移動中であるのかを管理することができる。この場合、保守員が監視センタ14のオペレータと直接通話して、作業の開始と終了を知らせても良いし、例えば操作盤71上のボタン操作により作業の開始と終了の信号を発信することでも良い。
【0086】
以上のように本システムによれば、通信機能付きカメラ装置80を所持する特定の保守員を地図上で識別表示したことにより、その保守員がいる場所を映像確認可能な場所として認識することができ、所望の場所でクリック操作すれば、その場所の映像を簡単に取得してモニタ表示することができる。
【0087】
つまり、保守員は移動型カメラとして利用され、その保守員が行く場所の映像をいつもで確認することができる。したがって、多数のカメラを必要とせずに、保守員の移動によって様々な場所の映像を取得することができ、例えば異常が発生した場合に、その現場に保守員を向かわせれば、その現場の映像をモニタ表示して適切に対処することができる。
【0088】
なお、上記実施形態では、通信機能付きカメラ装置80を所持する特定の保守員を図13に示すようなカメラマーク69aの表示によって識別したが、例えば保守員マーク68a,68bの形状を変えたり、色を変えるなどして識別することでも良い。また、カメラマーク69aの形状は、カメラを所持していることが視覚的に分かれば、どのような形状であっても良い。
【0089】
また、物件マーク63a〜63eについても表示色を変えることで識別したが、例えばマークの形状を変えるなどして識別することでも良い。
【0090】
また、物件マーク63a〜63eの形状は、直方体に限らず、例えば矩形や円形などであっても良く、地図上で他の記号類と混同しない形であれば、どのような形状であっても良い。
【0091】
保守員マーク68a,68bについても同様であり、上記実施形態に限定されず、ステータスに応じて別の形状に変えたり、色を変えるなどしても良い。
【0092】
また、通信機能付きカメラ装置80は、図9に示したような作業用メガネ81に小型のカメラ82を取り付けた形態に限らず、持ち運びが容易な形態であれば、どのようなものであっても良い。
【0093】
また、上述した地図表示に関する一連の処理を監視センタ14内のサーバ31が行う構成としたが、各オペレータのPC32a,32b,32c…が行うことでも良い。
【0094】
また、例えば保守員の持つ携帯端末にGPS(Global Positioning System)受信機能を搭載しておき、その携帯端末から発信される位置情報をサーバ31で受信する構成としても良い。このような構成とすれば、保守員が移動中であっても、地図画面上にその保守員の位置をリアルタイムで表示することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、監視対象としてエレベータを例にして説明したが、例えばエスカレータなどの他の昇降機の遠隔監視を行う場合にも同様に適用可能である。
【0096】
要するに、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る昇降機の遠隔監視システムの構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータの構成を示す図である。
【図3】図3は同実施形態における監視センタの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は同実施形態における監視センタに設置されたサーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は同実施形態におけるサーバに設けられた物件データベースの一例を示す図である。
【図6】図6は同実施形態におけるサーバに設けられた保守員データベースの一例を示す図である。
【図7】図7は同実施形態におけるサーバに設けられた地図データベースの地図情報の構成を説明するための図である。
【図8】図8は同実施形態における監視センタに設置されたPCの構成を示すブロック図である。
【図9】図9は同実施形態における保守員が所持する通信機能付きカメラ装置の一例を示す図である。
【図10】図10は同実施形態におけるカメラの有無を含む保守員の情報を監視センタ1登録する方法を説明するためのである。
【図11】図11は同実施形態における監視センタ内のサーバによって実行される地図表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は同実施形態における監視センタ内のサーバによって実行される映像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は同実施形態における監視センタの地図表示画面の一例を示す図である。
【図14】図14は同実施形態における監視センタの地図表示画面の一例を示す図である。
【図15】図15は同実施形態における監視センタの地図表示画面に表示される現場の映像の一例を示す図である。
【図16】図16は同実施形態における保守員の携帯端末を用いて監視センタへの連絡方法を説明するための図である。
【図17】図17は同実施形態におけるエレベータの乗りかご内の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
11a,11b,11c…物件、12a,12b,12c…エレベータ、13…通信ネットワーク、14…監視センタ、15…保守員、16…携帯端末、16a…表示部、16b…操作部、21…巻上機、22…ロープ、23…乗りかご、24…カウンタウェイト、25…制御装置、31…サーバ、32a,32b,32c…PC、33…通信回線、41…制御部、41a…データベース検索部、41b…地図表示部、41c…識別表示部、41d…表示処理部、41e…保守員検出部、41f…カメラ所持判断部、41g…映像取得部、41h…縮尺率変更部、42…記憶部、42a…プログラム、42b…識別表示テーブル、43…各種データベース、43a…物件データベース、43b…保守員データベース、43c…地図データベース、44…通信部、45…インタフェース、51…制御部、52…記憶部、52a…プログラム、53…インタフェース、54…入力部、55…表示部、61…地図表示画面、62…地図、63a〜63e…物件マーク、64…スケーラ、65…物件マーク説明欄、66…保守員マーク説明欄、67…縮尺率表示部、68a,68b…保守員マーク、69a…カメラマーク、70…かごドア、71…操作盤、72…行先ボタン、73…戸開ボタン、74…戸閉ボタン、75…電話機、75a…非常呼びボタン、80…通信機能付きカメラ装置、81…作業用のメガネ、82…小型カメラ、83…ケーブル、84…通信装置、85…バッテリ、86…ウェストバック、87…ヘッドセット、87a…ヘイヤホン、87b…マイク、88…ケーブル、90…営業所、91…端末、100…モニタ表示画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地域に点在する物件を遠隔監視する昇降機の遠隔監視システムにおいて、
指定地域の地図を表示する地図表示手段と、
各物件を巡回中の保守員を検出する保守員検出手段と、
この保守員検出手段によって検出された保守員が通信機能付きカメラ装置を所持している特定の保守員であるか否かを判断するカメラ所持判断手段と、
このカメラ所持判断手段によって特定の保守員であると判断された場合に、上記地図表示手段によって表示された地図上の当該保守員の位置を識別表示する表示処理手段と
を具備したことを特徴とする昇降機の遠隔監視システム。
【請求項2】
上記表示処理手段は、上記地図上の当該保守員の位置にカメラ所持者であることを表すマークを表示することを特徴とする請求項1記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項3】
所定の操作により上記特定の保守員が指定された場合に、上記通信機能付きカメラ装置を遠隔操作して、そのカメラ装置で撮影された映像を取得する映像取得手段を備え、
上記表示処理手段は、上記映像取得手段によって得られた映像をモニタ表示することを特徴とする請求項1または2記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項4】
上記表示処理手段は、上記映像取得手段によって得られた映像を上記地図上の当該保守員の位置の近くにモニタ表示することを特徴とする請求項3記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項5】
上記各物件で保守員の作業開始と終了を示す信号を発信する信号発信手段を備え、
上記保守員検出手段は、上記信号発信手段によって発信された信号に基づいて、上記各物件の位置を保守員の位置として検出することを特徴とする請求項1記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項6】
上記信号発信手段は、職員が所持する通信機能を備えた携帯端末であり、その携帯端末の操作により作業開始と終了を示す信号を発信することを特徴とする請求項5記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項7】
上記信号発信手段は、上記各物件毎に設置された非常呼び用の電話機であり、その電話機の操作により作業開始と終了を示す信号を発信することを特徴とする請求項5記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項1】
各地域に点在する物件を遠隔監視する昇降機の遠隔監視システムにおいて、
指定地域の地図を表示する地図表示手段と、
各物件を巡回中の保守員を検出する保守員検出手段と、
この保守員検出手段によって検出された保守員が通信機能付きカメラ装置を所持している特定の保守員であるか否かを判断するカメラ所持判断手段と、
このカメラ所持判断手段によって特定の保守員であると判断された場合に、上記地図表示手段によって表示された地図上の当該保守員の位置を識別表示する表示処理手段と
を具備したことを特徴とする昇降機の遠隔監視システム。
【請求項2】
上記表示処理手段は、上記地図上の当該保守員の位置にカメラ所持者であることを表すマークを表示することを特徴とする請求項1記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項3】
所定の操作により上記特定の保守員が指定された場合に、上記通信機能付きカメラ装置を遠隔操作して、そのカメラ装置で撮影された映像を取得する映像取得手段を備え、
上記表示処理手段は、上記映像取得手段によって得られた映像をモニタ表示することを特徴とする請求項1または2記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項4】
上記表示処理手段は、上記映像取得手段によって得られた映像を上記地図上の当該保守員の位置の近くにモニタ表示することを特徴とする請求項3記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項5】
上記各物件で保守員の作業開始と終了を示す信号を発信する信号発信手段を備え、
上記保守員検出手段は、上記信号発信手段によって発信された信号に基づいて、上記各物件の位置を保守員の位置として検出することを特徴とする請求項1記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項6】
上記信号発信手段は、職員が所持する通信機能を備えた携帯端末であり、その携帯端末の操作により作業開始と終了を示す信号を発信することを特徴とする請求項5記載の昇降機の遠隔監視システム。
【請求項7】
上記信号発信手段は、上記各物件毎に設置された非常呼び用の電話機であり、その電話機の操作により作業開始と終了を示す信号を発信することを特徴とする請求項5記載の昇降機の遠隔監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−6574(P2010−6574A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170355(P2008−170355)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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