説明

映像表示制御装置

【課題】アスペクト比の異なる複数のモニタのそれぞれの画面に適合する映像を共通のビデオメモリから得ることができる映像表示制御装置を提供する。
【解決手段】フレームコントローラ部121は、A/D変換器11−1〜11−7夫々からのデジタル映像信号をフレームメモリ部122に格納するとともに、演算部123からの指示に従い、フレームメモリ部122から多画面イメージのデジタル映像を切り出し、16:9画角の多画面と16:9画角内の4:3画角の多画面を構成し、16:9画角の多画面をHDMI信号変換部14へ出力し、16:9画角内の4:3画角の多画面を映像縮小部124へ出力し、演算部123は、フレームコントローラ部121によりフレームメモリ部122から複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像が切り出される比率が16:9又は4:3となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに用いて好適な映像表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視システムは、一般的に複数のカメラと、複数のカメラのそれぞれからの映像を記録するレコーダとを備える。
【0003】
監視システムには、各カメラからの映像及びレコーダに記録された映像を表示するためのモニタが接続されるが、このモニタは、近年、従来から用いられているアスペクト比4:3のものから16:9のものへ変わりつつある。また、それに伴って監視システムが持つモニタ出力端子も4:3用のコネクタ(例えば、BNC型コネクタ)と16:9用のコネクタ(例えば、HDMI型コネクタ)の両方を持つようになってきている。
【0004】
カメラの台数分の映像を分割して1画面に同時表示する監視システムの分割パターンは、4:3用と16:9用が存在する。図4に示すように、16:9のモニタ100に4:3比率の分割パターンを表示すると、左右合わせで約25%の非映像領域200が発生する。このようなことから、モニタ100の表示領域を有効に活用することができない。また、4:3のモニタに16:9比率の分割パターンを表示すると、上下に合わせて約25%の非映像領域が発生し、上記と同様の問題が生ずる。
【0005】
特許文献1に、16:9のモニタに、それぞれが4:3比率の複数の画像を表示する際に、モニタ画面の非映像領域が一番少なくなるように、各画像の面積を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−289091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図5に示すように、16:9のモニタ100と4:3のモニタ110のそれぞれにおいて、非映像領域200が発生しないように分割映像を表示する為には、モニタ100とモニタ110に映像を出力する映像表示制御装置にモニタ100用とモニタ110用のそれぞれのビデオメモリが必要となり、コストアップになってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、アスペクト比の異なる複数のモニタのそれぞれの画面に適合する映像を共通のビデオメモリから得ることができる映像表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の映像表示制御装置は、メモリ手段と、入力された複数のデジタル映像信号を前記メモリ手段へ格納し、外部からの指示に従い前記メモリ手段から前記複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像を切り出し多画面表示するコントローラ手段と、前記コントローラ手段により前記メモリ手段から前記複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像が切り出される比率が前記指示により指定された値となるように前記コントローラ手段を制御する演算手段と、を備えた。
【0010】
上記構成によれば、メモリ手段に格納した複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像を指示された比率で切り出すので、アスペクト比の異なる複数のモニタのそれぞれの画面に適合する映像を共通のメモリ手段から得ることができる。
【0011】
上記構成において、前記メモリ手段は、デジタル映像信号をフレーム単位で記憶するフレームメモリが望ましい。
【0012】
上記構成において、前記演算手段は、前記メモリ手段から前記複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像が切り出される比率が16:9又は4:3となるように前記コントローラ手段を制御する。
【0013】
上記構成によれば、アスペクト比が16:9のモニタと4:3のモニタのそれぞれの画面に適合する映像を共通のメモリ手段から得ることができる。
【0014】
上記構成において、前記コントローラ手段により切り出された映像を表示サイズに合わせて縮小する映像縮小手段を備えた。
【0015】
上記構成によれば、切り出した映像のサイズを縮小できるので、表示サイズより大きい場合、該サイズに合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、アスペクト比の異なる複数のモニタのそれぞれの画面に適合する映像を共通のメモリ手段から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る監視システムの概略構成を示すブロック図
【図2】図1に示す映像表示制御装置の機能を説明するための図
【図3】図1に示す映像表示制御装置からの映像のレコーダによるアスペクト比の異なる2台のモニタへの表示例を示す図
【図4】従来技術の問題点を説明するための図
【図5】従来技術の問題点を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る監視システムの概略構成を示すブロック図である。本実施の形態の監視システム1は、7台のカメラ10−1〜10−7と、7つのアナログ/デジタル変換部(以下、“A/D変換部”と呼ぶ)11−1〜11−7と、映像表示制御装置12と、デジタル/アナログ変換部(以下、“D/A変換部”と呼ぶ)13と、HDMI信号変換部14と、アスペクト比4:3のモニタ110と、アスペクト比16:9のモニタ100とを備えている。映像表示制御装置12は、フレームコントローラ部(コントローラ手段)121と、フレームメモリ部(メモリ手段)122と、演算部(演算手段)123と、映像縮小部124とを備えている。A/D変換部11−1〜11−7、映像表示制御装置12、D/A変換部13及びHDMI変換部14はレコーダ20を構成する。なお、A/D変換部11−1〜11−7をカメラ10−1〜10−7に持たせることも可能であり、このようにすることで、レコーダ20における処理負荷を軽減できる。
【0020】
各カメラ10−1〜10−7は、撮像した動画像をアナログの映像信号として出力する。各A/D変換部11−1〜11−7は、対応するカメラ10−1〜10−7からのアナログ映像信号をデジタル変換して出力する。
【0021】
フレームコントローラ部121は、A/D変換部11−1〜11−7それぞれからのデジタル映像信号をフレーム単位でフレームメモリ部122に格納して多画面イメージを構成する。また、フレームコントローラ部121は、演算部123からの指示に従い、フレームメモリ部122から多画面イメージのデジタル映像を切り出し、16:9画角の多画面と16:9画角内の4:3画角の多画面を構成し、16:9画角の多画面についてはHDMI信号変換部14へ出力し、16:9画角内の4:3画角の多画面については映像縮小部124へ出力する。
【0022】
図2にその一例を示す。図2において、(a)は16:9画角の多画面であり、(b)は16:9画角内の点線の枠50内の4:3画角の多画面である。(b)の4:3画角の多画面は4:3のモニタ110に表示するにはサイズが大きいので、映像縮小部124で縮小される。すなわち、4:3のモニタ110の表示サイズに合わせて縮小される。このようにフレームコントローラ部121は、演算部123からの指示に従い、フレームメモリ部122から複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像を切り出して多画面を構成する。
【0023】
フレームメモリ部122は、DRAM(Dynamic RAM)等の揮発性メモリを有し、デジタル映像信号を蓄積する。演算部123は、CPU(Central Processing Unit)を有し、フレームコントローラ部121に対して、フレームメモリ部122に蓄積された複数のデジタル映像から、指定された比率の映像を切り出す指示を与える。例えば、演算部123は、フレームコントローラ部121によりフレームメモリ部122から複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像が切り出される比率が16:9又は4:3となるように制御する。これにより、フレームメモリ部122から、4:3のモニタ110と16:9のモニタ100のそれぞれの画面に適合する映像を得ることができる。
【0024】
映像縮小部124は、フレームコントローラ部121により切り出された映像をモニタ110の表示サイズに合わせて縮小する。上述したように、4:3画角の多画面は4:3のモニタ110に表示するにはサイズ的に大きいので、モニタ110の表示サイズに合うように縮小される。D/A変換部13は、映像表示制御装置12から出力されるデジタル映像信号をアナログ変換して出力する。HDMI信号変換部14は、フレームコントローラ部121から与えられた16:9画角の多画面のデジタル映像信号をHDMI(High Definition Multimedia Interface)信号に変換してモニタ100へ出力する。モニタ100は、HDMI信号変換部14でHDMI信号に変換されたデジタル映像信号を表示する。モニタ110は、D/A変換部13からのアナログ映像信号を表示する。
【0025】
図3において、レコーダ20で生成する映像は、16:9のアスペクト比に合致する複数画面とし、16:9のモニタ100にはその画角構成のまま表示する。さらに、その画面の左上から4:3の領域(点線50で示す枠内の領域)を切り出して、4:3のモニタ110に表示する。このとき点線50で示す枠内の領域の映像は、4:3比率で適合する分割映像とする。この4:3の領域外は、4:3比率の映像が縦に3個表示できる。
【0026】
このように本実施の形態の監視システム1によれば、映像表示制御装置12において、フレームコントローラ部121は、A/D変換器11−1〜11−7それぞれからのデジタル映像信号をフレームメモリ部122に格納するとともに、演算部123からの指示に従い、フレームメモリ部122から多画面イメージのデジタル映像を切り出し、16:9画角の多画面と16:9画角内の4:3画角の多画面を構成し、16:9画角の多画面についてはHDMI信号変換部14へ出力し、16:9画角内の4:3画角の多画面については映像縮小部124へ出力し、演算部123は、フレームコントローラ部121によりフレームメモリ部122から複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像が切り出される比率が16:9又は4:3となるように制御する。これにより、1つのフレームメモリ部122から、4:3のモニタ110と16:9のモニタ100のそれぞれの画面に適合する映像を得ることができる。
【0027】
このようにすることで、例えば、スーパーやコンビニエンスストアなどの店内のモニタに表示するものは4:3のモニタ110を置き、従業員しか入らない奥の監視室には16:9のモニタ100を置けば、お客様に見られたくない映像は右側の縦の3個に表示させて監視することもできる。
【0028】
また、映像縮小部124は、フレームコントローラ部121により切り出された映像を表示サイズに合わせて縮小するので、切り出した映像のサイズが表示サイズより大きい場合に、該表示サイズに合わせることができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、7台のカメラ10−1〜10−7と、それに合わせて7つのA/D変換部11−1〜11−7を備えたが、カメラの台数に限定はなく任意であり、A/D変換部も使用するカメラの台数に合わせればよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、アスペクト比の異なる複数のモニタのそれぞれの画面に適合する映像を共通のビデオメモリから得ることができるといった効果を有し、監視システムなどへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 監視システム
10−1〜10−7 カメラ
11−1〜11−7 アナログ/デジタル変換部
12 映像表示制御装置
13 デジタル/アナログ変換部
14 HDMI信号変換部
20 レコーダ
100 16:9のモニタ
110 4:3のモニタ
121 フレームコントローラ部
122 フレームメモリ部
123 演算部
124 映像縮小部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ手段と、
入力された複数のデジタル映像信号を前記メモリ手段へ格納し、外部からの指示に従い前記メモリ手段から前記複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像を切り出し多画面表示するコントローラ手段と、
前記コントローラ手段により前記メモリ手段から前記複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像が切り出される比率が前記指示により指定された値となるように前記コントローラ手段を制御する演算手段と、
を備えた映像表示制御装置。
【請求項2】
前記メモリ手段は、デジタル映像信号をフレーム単位で記憶するフレームメモリである請求項1に記載の映像表示制御装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記メモリ手段から前記複数のデジタル映像信号の全部又は一部に相当する映像が切り出される比率が16:9又は4:3となるように前記コントローラ手段を制御する請求項1又は請求項2に記載の映像表示制御装置。
【請求項4】
前記コントローラ手段により切り出された映像を表示サイズに合わせて縮小する映像縮小手段を備えた請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の映像表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−273107(P2010−273107A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123174(P2009−123174)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】