説明

時間区分パルスオキシメトリおよびパルスオキシメータ

【課題】測定される透過光の脈動波形について、その山谷の判定をすることなく、透過光の時系列データ全体を用いることにより、体動の影響を消去すると共に、動脈血酸素飽和度(SaO2)の測定精度の改善に寄与することができる時間区分パルスオキシメトリおよびパルスオキシメータを提供する。
【解決手段】発光素子により複数個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射し、前記生体組織を透過または反射した光を受光素子により受光してそれぞれ電気信号に変換し、前記受光素子により得られる電気信号の時系列データを一定時間毎に区分(32)し、それぞれ一定時間毎に区分された時系列データについて異なる2波長間の回帰直線の傾斜値をそれぞれ算出し(34)、算出された傾斜値をそれぞれSaO2に換算し(36)、換算されたSaO2の時系列を平滑化することにより(38)、体動による影響を消去した動脈血の酸素飽和度を求めるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈拍による組織内動脈血の血液量変動を利用することにより、動脈血の酸素飽和度(SaO2)を連続的無侵襲的に測定するためのパルスオキシメトリおよびこれを実施するパルスオキシメータに関し、組織透過光の時系列データを所要の時間で区分して演算処理することにより、体動によるアーテファクトを適正に消去して、高精度の動脈血の酸素飽和度を求めることができる時間区分パルスオキシメトリおよびパルスオキシメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、パルスオキシメトリと呼ばれる手法では、動脈血の酸素飽和度(SaO2)を求める場合において、次のような手順が一般的に使用されている。
(1)複数の波長により組織透過光を連続測定する。
(2)測定される組織透過光の脈動の山と谷とを判定し、それぞれの透過光をL+ΔL,Lとする。
(3)ΔA≡log[(L+ΔL)/L]≒ΔL/Lを求める。
(4)Φij≡ΔAi/ΔAjを求める。
(5)ΦijはSaO2とほぼ1対1で対応するので、これをSaO2に換算する。
【0003】
現在市販されている動脈血の酸素飽和度を測定する装置においては、前記ΦijをSaO2に換算するに際し、変換表を使用している。変換表の使用については、2波長式の装置の場合には特に問題はないが、測定精度を向上させるために、より多くの波長を使用する装置の場合には、理論的かつ実験的に得られた計算式によることが必要である。
【0004】
例えば、本出願人は、先に、脈拍による動脈の血液量変動を利用して、連続的無侵襲的に動脈血の酸素飽和度を測定する装置として、5個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射する5波長式のパルスオキシメータを提案した(特許文献1参照)。
【0005】
すなわち、前記特許文献1に記載のパルスオキシメータは、5個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射する発光部と、前記発光部から発せられ生体組織を透過または反射した光を受光してそれぞれ電気信号に変換する受光部と、前記受光部から出力される各波長の透過光または反射光の変動分に基づいてそれぞれ生体組織に対する減光度変動分を求める減光度変動分計算部と、前記減光度変動分計算部で得られた5個の減光度変動分についてそれぞれ相互の比を少なくとも4個求める減光度変動分比計算部と、前記減光度変動分比計算部で得られる減光度変動分比に基づいて動脈血酸素飽和度、静脈血酸素飽和度、動脈血と静脈血との変動分の比および組織項の4個を未知数とし血中の酸素飽和度を計算する酸素飽和度計算部とを備え、静脈血の変動および組織の変動の影響を消去して動脈血の酸素飽和度を求めるように構成したことを特徴とするものである。
【0006】
従って、このような構成からなる前記特許文献1に記載のパルスオキシメータは、静脈血が何等かの原因で拍動している場合に、その影響を確実に消去して、動脈血の酸素飽和度を時間的遅れおよび平滑化を生じることなく高精度に測定することができるものである。また、脈波が小さくてパルスオキシメトリが不可能であるような場合に、意図的に体動を与えて、その際に含まれる動脈血の酸素飽和度を求めることが可能となる。さらに、静脈血の酸素飽和度についても、同時に測定することができるという利点を有している。
【0007】
パルスオキシメトリにおける長年の問題は、体動等の機械的外乱によって透過光が乱れることである。すなわち、透過光の外乱により測定された脈動波形の山谷を適切に見出すことが困難になる。また、測定された脈動波形の山谷について補正をすることが必要になる。そして、前記補正をしなければ、最終的に得られる動脈血酸素飽和度(SaO2)の時系列データは、誤差が大きくなるという不都合を生じるのみならず、山谷の値以外の情報を利用することが体動消去のために必須である。
【0008】
このような問題を解消する対策として、従来において提案ないし採用されている手法は、正しいSaO2の値を前後のデータから推定するという統計的手法である。しかし、この場合には、次のような問題を生じる。
(1)大きな時間遅れを生じるので、例えばSaO2が低下し始めたことを見出すのが遅れる。
(2)SaO2の変化が平滑化されるので、例えばSaO2が激しく低下した場合にも、どの程度であったかが不明である。
【0009】
【特許文献1】特開2005−95606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した従来のパルスオキシメトリ手法において、今後さらに期待されることは、患者に対してSaO2の変化を早く見出して、早く対処することであるが、このようなパルスオキシメトリ手法本来の特長を生かすには、前述したような問題を解決しなくてはならないことである。
また、患者の体動が非常に激しい場合、測定される透過光の脈動波形の山谷の判定に基づく従来のパルスオキシメトリ手法では、十分な測定結果が得られないことが判明した。すなわち、体動が激しい場合には、前記測定波形の山谷の判定が一義的に決まらないため、測定波形についてのベースライン補正等による手法も、十分な効果が期待できないという難点がある。
【0011】
そこで、本発明者等は、種々検討並びに試行を重ねた結果、測定される透過光の脈動波形について、測定される透過光の信号全体を用いることにより、動脈血の酸素飽和度(SaO2)を適正に測定することができることを突き止めた。
すなわち、測定される透過光の脈動波形の山谷の点だけでなく、透過光の時系列データ全体を用いることにより、前記測定波形の山谷の判定の必要がなくなる。
【0012】
本発明の目的は、測定される透過光の脈動波形について、透過光の時系列データ全体を用いることにより、体動の影響を消去すると共に、動脈血酸素飽和度(SaO2)の測定精度の改善に寄与することができる時間区分パルスオキシメトリおよびパルスオキシメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のパルスオキシメトリは、発光素子により複数個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射し、前記生体組織を透過または反射した光を受光素子により受光してそれぞれ電気信号に変換し、前記受光素子により得られる電気信号の時系列データを一定時間毎に区分し、それぞれ一定時間毎に区分された時系列データについて異なる2波長間の回帰直線の傾斜値をそれぞれ算出し、算出された傾斜値をそれぞれSaO2に換算後、平滑し、あるいは傾斜値の時系列を平滑化後SaO2に換算し、体動による影響を消去した動脈血の酸素飽和度を求めることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2に記載のパルスオキシメータは、複数個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射する発光部と、前記発光部から発せられ生体組織を透過または反射した光を受光して、それぞれ電気信号に変換する受光部と、前記受光部から変換出力される各波長の透過光または反射光の電気信号からなる時系列データを一定時間毎に区分する処理装置と、区分された時間毎の前記時系列データについて異なる2波長間の回帰直線の傾斜値をそれぞれ算出する傾斜値演算装置と、前記算出された傾斜値をそれぞれSaO2に換算して平滑化し、あるいは前記算出された傾斜値を平滑化してSaO2に換算する換算平滑化装置とを備え、体動による影響を消去した動脈血の酸素飽和度を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の時間区分パルスオキシメトリおよびパルスオキシメータによれば、測定される透過光の脈動波形について、その山谷の判定をすることなく、透過光の時系列データ全体を用いることにより、体動の影響を消去すると共に、動脈血酸素飽和度(SaO2)の測定精度の改善に寄与し、測定部位の自由度拡大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る時間区分パルスオキシメトリの実施例につき、これを実施するパルスオキシメータの装置構成との関係において、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
I.パルスオキシメータの装置構成の概要
図1は、本発明に係る時間区分パルスオキシメトリを実施するパルスオキシメータとしての装置構成を示す概略説明図である。すなわち、図1において、参照符号10は発光部を示し、それぞれ5個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射する5個の発光素子LED1〜LED5が設けられている。参照符号12は前記発光部10から発せられる光によって照射される生体組織を示す。参照符号14は受光部を示し、前記生体組織12を透過した光を受光する受光素子PDと、電流電圧変換器16と、AD変換器18とから構成されている。
【0018】
参照符号20は記憶部を示し、前記受光部14の受光素子PDにより得られた透過光信号を、波長毎にそれぞれ時系列的に一時記憶する透過光信号一時記憶器20A〜20Eにより構成されている。
【0019】
参照符号30は計算部を示し、前記透過光信号一時記憶器20A〜20Eにおいてそれぞれ時系列的に一時記憶された透過光信号L1〜L5に基づいて、(1)前記透過光信号L1〜L5を一定時間毎に区分し、(2)次いで一定時間毎に区分された透過光信号L1〜L5の時系列データについて異なる波長の時系列データ相互の回帰直線の傾斜値を算出し、(3)算出された傾斜値をそれぞれSaO2(動脈血酸素飽和度)に換算し、(4)換算されたSaO2の時系列データを平滑化することによって、血中の酸素飽和度[SpO2]を計算する酸素飽和度計算器としての機能を有する。なお、SaO2への換算と平滑化とは、順序が逆でもよい。
【0020】
なお、参照符号22はタイミング器を示し、前記発光部10の各発光素子LED1〜LED5による発光タイミングと、前記記憶部20の各透過光信号一時記憶器20A〜20Eにおける透過光信号の記憶保持タイミングとの制御を行うように構成される。
【0021】
図2は、前記計算部30としての酸素飽和度計算器において前述した計算処理を行うためのシステム構成図を示すものである。すなわち、図2において、参照符号32は透過光信号の区分記憶部を示し、前記透過光信号一時記憶器20A〜20Eから入力される透過光信号L1〜L5を、一定時間(例えば、0.5秒)毎に区分して、この区分された時間毎にそれぞれ透過光信号を時系列的に逐次記憶する区分記憶回路32A〜32Eとして構成されている。
【0022】
また、参照符号34は回帰直線の傾斜値計算部を示し、前記透過光信号の区分記憶部32にそれぞれ記憶された一定時間毎に区分された透過光信号L1〜L5について回帰直線の傾斜値Φ12、Φ32、Φ42、Φ52をそれぞれ算出する傾斜値計算回路34a、34b、34c、34dとして構成されている。
【0023】
そして、参照符号36は前記傾斜値計算回路34a、34b、34c、34dにより得られた回帰直線の傾斜値Φ12、Φ32、Φ42、Φ52に関して連立方程式の解を求める第1計算回路を示し、参照符号38は前記連立方程式の解を平滑化する第2計算回路を示す。従って、前記第2計算回路38において、血中の酸素飽和度[SpO2]が算出される。なお、傾斜値を平滑化してその後に解を求めてもよい。
【0024】
II.パルスオキシメータの計算処理操作時間区分パルスオキシメトリ
次に、前述したパルスオキシメータの装置構成による動脈血の酸素飽和度の計算処理操作、すなわち本発明に係る時間区分パルスオキシメトリについて、前記パルスオキシメータの作用と共に説明する。
【0025】
(1)透過光信号の時間区分処理
まず、発光部10の5個の発光素子LED1〜LED5を、それぞれタイミング器22の信号に基づいて、順次交互に異なる波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5で発光させる。これにより、生体組織12を透過した光を受光部14で受信して、発光素子LED1〜LED5の各波長に対応して、各透過光信号L1,L2,L3,L4,L5を、それぞれ所定のタイミングで記憶部20の各透過光信号一時記憶器20A〜20Eに記憶保持する。なお、これらの透過光信号一時記憶器20A〜20Eは、受光部14のAD変換器18の出力(デジタル値としてのデータ)の一定時間におけるデータを記憶する(図1参照)。
【0026】
このようにして、前記透過光信号一時記憶器20A〜20Eにそれぞれ記憶保持された透過光信号L1〜L5は、前記計算部30における区分記憶部32の各区分記憶回路32A〜32Eに入力されて、一定時間(例えば、0.5秒)毎に区分され、この区分された時間毎にそれぞれ透過光信号を時系列的に逐次記憶される(図2参照)。
【0027】
(2)時間区分された透過光信号に関する回帰直線の傾斜値を求める計算処理
血中の酸素飽和度(SpO2)の計算は、例えば5波長の透過光について得られる減光度変動分(ΔAi)に基づき、これら減光度変動分の比(Φij:i,jは波長)として、次式により求められる。
なお、透過光の脈動を構成する要素は、動脈血(a)、静脈血(v)および血液以外の組織すなわち純組織(t)である。
【0028】
Φij≡ΔAi/ΔAj
=[√Eai(Eai+F)+√Evi(Evi+F)*V+Exi]
/[√Eaj(Eaj+F)+√Evj(Evj+F)*V+Exj]
但し、
ΔAi≡log[(Li+ΔLi)/Li]≒ΔLi/Li
Eai≡SaEoi+(1―Sa)Eri
Evi≡SvEoi+(1―Sv)Eri
V≡ΔDv/ΔDa
Exi≡ZtiΔDt/(HbΔDa)≡AiEx2+Bi
【0029】
上記式において、Liは組織透過光、ΔAiは減光度の変化分、Eoiは酸素化ヘモグロビンの吸光係数、Eriは脱酸素ヘモグロビンの吸光係数、Saは動脈血の酸素飽和度(SaO2)、Svは末梢静脈血の酸素飽和度(SvO2)、ΔDaは動脈血の実効的厚みの変化分、ΔDvは静脈血の実効的厚みの変化分、ΔDtは純組織の厚みの変化分、Ztiは純組織の減光の定数、Ex2は第2波長におけるExiの値、Ai,Biは組織定数(実測で決定される)である。
従って、上記式において、未知数はSa、Sv、V、Ex2の4個である。
【0030】
この場合、SaO2を精度良く測定するため、また体動等の影響を消去するため、適当な5波長で組織透過光を測定して、上記式に関し4元連立方程式を立て、それらの解としてSaを求めることができる。なお、前記5波長としては、例えばλ1=805nm、λ2=875nm、λ3=660nm、λ4=700nm、λ5=730nmが好ましい波長選択の一例である。
【0031】
そこで、本発明の時間区分オキシメトリにおいては、前記区分記憶回路32において、それぞれ時間区分されて記憶された5波長(λ1〜λ5)の透過光信号L1〜L5に基づいて、それぞれ回帰直線の傾斜値(Φij:但し、i,jは波長)を次式により求める。すなわち、この場合の傾斜値(Φij)は、前記のΦij=ΔAi/ΔAjに相当するものである。なお、次式において、nは時間区分内のデータの個数、tは区分された時間(例えば、0.5秒)、Σは時間区分内のデータについての和である。
【0032】
Φij≡{nΣ[Li(t)*Lj(t)]−ΣLi(t)*ΣLj(t)}
/{nΣLj(t)2−[ΣLj(t)]2
【0033】
(3)傾斜値に関する連立方程式の解を求める計算処理
前記式に基づいて、それぞれ5波長(λ1〜λ5)の組織透過光についての回帰直線の傾斜値(Φ12、Φ32、Φ42、Φ52)に関する4元連立方程式を立て、それらの解としてSaを求める計算を行う(図2参照)。
【0034】
(4)連立方程式の解を平滑化する計算処理
前記4元連立方程式の解として得られたSa値は、経時的に連続するデータを時間区分して計算したものであるから、時間区分毎に大きな変化を示しているため、これを平滑化処理する。これにより、自然なSaO2の変化を求めることができる。
【0035】
前述した本発明に係る時間区分パルスオキシメトリにより、被験者による動脈血酸素飽和度(SaO2)の計算処理例につき、従来のパルスオキシメトリによる場合と比較し、それぞれの測定結果を示すグラフと共に説明する。
【0036】
被験者の指尖に発光部10および受光部14を装着して、息こらえによってSaO2を低下させると共に、手首から先を激しく振った状態でSpO2を測定した。図3は、5波長を使用した本発明の時間区分パルスオキシメトリにより測定したSpO2の変化を示す。図4は、従来の2波長式の計算により測定したSpO2の変化を示す(この場合、体動消去の操作は行っていない)。図5は、市販のパルスオキシメータを反対の手に装着して測定したSpO2の変化を示す。
このように、本発明の時間区分パルスオキシメトリによれば、体動の影響は十分に消去され、しかもSaO2の急激な変化が明確に測定されている。特に、SaO2の低下の始まる時点が早く見出せることが確認された。
【0037】
そして、図6の(a)、(b)、(c)は、第1計算回路36において前記回帰直線の傾斜値Φ12、Φ32、Φ42、Φ52に関する連立方程式の解として計算されたSpO2の値を示す波形図であり、(a)は平滑化をしていない状態を示し、(b)は第2計算回路38により10個のデータを平均して平滑化した状態を示し、(c)は同じく20個のデータを平均して平滑化した状態を示すものである。
【0038】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、例えば5波長を用いる場合について説明したが、波長がそれよりも多い場合にも、あるいは少ない場合にも適用できるばかりでなく、測定対象としては、血中のCOヘモグロビンや体外から注入した色素の希釈状態等の動脈血と共に拍動するもの全ての測定に適用することができ、その他本発明の精神を逸脱しない範囲内において、多くの設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る時間区分パルスオキシメトリを実施するパルスオキシメータとしての装置構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示すパルスオキシメータの計算部におけるパルスオキシメトリのシステム構成を示す説明図である。
【図3】本発明に係る時間区分パルスオキシメトリにより測定されたSpO2の変化を示す波形図である。
【図4】従来の2波長式パルスオキシメトリにより測定されたSpO2の変化を示す波形図である。
【図5】市販のパルスオキシメータにより測定されたSpO2の変化を示す波形図である。
【図6】(a)〜(c)は本発明に係る時間区分パルスオキシメトリにより測定されたSpO2の変化を示す波形図であって、(a)は平滑化処理をしていない状態の波形図、(b)は10個のデータを平均する平滑化処理をした状態の波形図、(c)は20個のデータを平均する平滑化処理をした状態の波形図である。
【符号の説明】
【0040】
10 発光部
12 生体組織
14 受光部
16 電流電圧変換器
18 AD変換器
20 記憶部
20A〜20E 透過光信号一時記憶器
22 タイミング器
30 計算部
32 透過光信号の区分記憶部
32A〜32E 区分記憶回路
34 回帰直線の傾斜値計算部
34a〜34d 傾斜値計算回路
36 第1計算回路
38 第2計算回路
LED1〜LED5 発光素子
PD 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子により複数個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射し、
前記生体組織を透過または反射した光を受光素子により受光してそれぞれ電気信号に変換し、
前記受光素子により得られる電気信号の時系列データを一定時間毎に区分し、
それぞれ一定時間毎に区分された時系列データについて異なる2波長間の回帰直線の傾斜値をそれぞれ算出し、
算出された傾斜値をそれぞれSaO2に換算後、平滑し、
あるいは傾斜値の時系列を平滑化後SaO2に換算し、
体動による影響を消去した動脈血の酸素飽和度を求めることを特徴とするパルスオキシメトリ。
【請求項2】
複数個の異なる波長の光をそれぞれ生体組織に照射する発光部と、
前記発光部から発せられ生体組織を透過または反射した光を受光して、それぞれ電気信号に変換する受光部と、
前記受光部から変換出力される各波長の透過光または反射光の電気信号からなる時系列データを一定時間毎に区分する処理装置と、
区分された時間毎の前記時系列データについて異なる2波長間の回帰直線の傾斜値をそれぞれ算出する傾斜値演算装置と、
前記算出された傾斜値をそれぞれSaO2に換算して平滑化し、あるいは前記算出された傾斜値を平滑化してSaO2に換算する換算平滑化装置とを備え、
体動による影響を消去した動脈血の酸素飽和度を求めることを特徴とするパルスオキシメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−90047(P2007−90047A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229794(P2006−229794)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】