説明

晶出による活性医薬成分の粒径の最適化法

製剤化の工程を容易にし、かつ薬品の性能を最善にする狭い粒度分布および優れた粉体特性を備えた、式(I)の化合物の均一で小さな粒子を晶出させる方法。ここで、式(I)の化合物は、R、RおよびRが本明細書中で説明する通りである、
【化1】


(I)
である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末特性および粒子均一性に関して粉砕にまさる利点を提供する晶出によって、活性医薬成分(API)の粒径を最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
晶出は、医薬化合物の製造において不可欠な操作である。API合成の一部としての晶出工程は、純度、多形形態、および粒径などのAPIの結晶特性に影響を及ぼす。晶出工程の最適化は、APIの製品品質、ならびに工程の効率性および高い収率のために重要である。結晶特性は、また、下流での加工処理に重大な影響を与える。晶出法の開発に関するもう1つの重要な態様は、生物学的製剤の性能要件を満たすのに所望される粒径を得るための粒子工学を含む。
貧溶性化合物の場合、その化合物は、バイオアベイラビリティーを向上させることにおいて決定的な因子であるのが通常である最大の表面積およびそれに伴う溶出速度を得るために、小さな粒径を有することが肝要である。晶出によって均一的に10〜20μm未満の粒径を達成することは、一般的でないか、簡単でない。それゆえ、多くの化合物は、10〜20μmまでジェット粉砕されるが、その粉砕は、費用がかかり高度にエネルギー集約的な操作である。さらに、粉砕された粒子は、困難な粉体の処理および処方物の混合、ならびに製品中の薬品含有量の不十分な均一性をもたらす、不均一な粒度分布、乏しい粉体流動性、および低いかさ密度を示すことがしばしばである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、製剤工程を容易にし、かつ薬品性能を最適にする、狭い粒度分布および優れた粉体特性を備えた、式(I)の化合物の均一で小さな粒子を一貫して晶出させるための方法である。式(I)の化合物とは、
【0004】
【化1】

(I)
[式中、
1は、それぞれ独立に、C1−C5アルキル、アミノカルボニル、C1−C5アルキルアミノカルボニル、C1−C5ジアルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−C5アルキルアミノスルホニル、C1−C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびC1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、アリール基またはヘテロアリール基であり;
2は、独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルコキシアルキル、およびアミノカルボニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、C1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xは、CHまたはNであり;かつ
Yは、CHまたはNであり;
ここで、XおよびYは、双方ともCHであることはない]、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩である。
【0005】
本発明の別の態様は、
1が、それぞれ独立に、C1−C5アルキル、アミノカルボニル、C1−C5アルキルアミノカルボニル、C1−C5ジアルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−C5アルキルアミノスルホニル、C1−C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびC1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、アリール基またはヘテロアリール基であり;
2が、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルコキシアルキル、およびアミノカルボニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである;式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩を包含する。
【0006】
本発明のさらに別の態様は
1が、C1、C2またはC3アルキル、アミノカルボニル、ハロゲン、およびC1、C2またはC3アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基であり;
2が、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルコキシアルキル、およびアミノカルボニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1、C2またはC3アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである;式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩を包含する。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、
1が、アミノカルボニル、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびC1またはC2アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から独立に選択される1また2個の置換基で置換されていてもよいフェニル基であり;
2が、C1、C2またはC3アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである;式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩を包含する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、
1が、アミノカルボニル、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびC1またはC2アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいフェニル基であり;
2が、C1またはC2アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである;式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩を包含する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、その結晶が2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体である式(I)の化合物、および本明細書中で言及されるその他の化合物を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式(I)の化合物:
【0011】
【化2】

(I)
[式中、
1は、それぞれ独立に、C1−C5アルキル、アミノカルボニル、C1−C5アルキルアミノカルボニル、C1−C5ジアルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−C5アルキルアミノスルホニル、C1−C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびC1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、アリール基またはヘテロアリール基であり;
2は、独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルコキシアルキル、およびアミノカルボニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、C1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xは、CHまたはNであり;かつ
Yは、CHまたはNであり;
ここで、XおよびYは、双方ともCHであることはない]、あるいは本明細書に開示の式(I)のその他の化合物のいずれか、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の晶出方法であって、
(a)式(I)の化合物の遊離塩基を1次有機溶媒に溶解して第1溶液を得るステップ;
(b)第1溶液に酸を添加して第2溶液を得るステップ;
(c)有機逆溶媒を第2溶液と合わせて第3溶液を得るステップ(ここで、逆溶媒は、1次有機溶媒と混和性があり、かつ逆溶媒中で、式(I)の化合物は、1次有機溶媒中に比べてより小さい溶解度を有する);
(d)第3溶液中で式(I)の化合物の過飽和を達成して、過飽和された第4溶液を得るステップ;および
(e)式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の結晶を得るステップ;を含む方法を含む。
【0012】
別の態様において、1次有機溶媒は、極性有機溶媒、例えば、MEK、2−ブタノン、酢酸、またはこれらの混合物、好ましくはMEKである。さらに別の態様において、酸は、強酸、好ましくは、リン酸などの無機酸である。さらなる態様において、有機逆溶媒は、アルカンもしくはシクロアルカンなどの非極性有機溶媒、好ましくはヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、または酢酸ブチルである。好ましくは、式(I)の化合物の1次有機溶媒中での溶解度と、有機逆溶媒中での溶解度との比率は、例えば、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、または少なくとも20:1である。
【0013】
別の態様において、ステップ(c)および(d)は、ステップ(b)の溶液を有機逆溶媒に0℃〜40℃の温度で添加することによって達成され、好ましくは、有機逆溶媒は、式(I)の化合物の所望される結晶構造の種晶を含む。別の態様において、ステップ(d)は、さらなる量の有機逆溶媒を添加すること、温度を低下させること、および1次有機溶媒を除去することのうちの1つまたは複数によって達成される。さらに別の態様において、ステップ(e)は、ステップ(d)の過飽和溶液に種晶を導入することによって完遂される。さらなる態様において、方法は、さらに、(f)さらなる逆溶媒を添加して、式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の収率を増大させるステップを含む。別の態様において、方法は、約20℃〜約60℃、約40℃〜約60℃、約30℃〜約50℃、約50℃〜およそ第4溶液の還流温度、または約50℃温度で行われる。
【0014】
別の態様において、第3溶液は、式(I)の化合物の溶液中に水を含み、好ましくは、カールフィッシャー滴定(KF)で測定して、約0.01質量%〜約0.5質量%の水を含むか、あるいは存在する水量が、約0.5質量%〜約1.2質量%、または存在する水量が、約1.2質量%〜約2.0質量%である。さらに別の態様において、存在する水量は、式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の結晶が、約5μm〜約80μm、約10μm〜約30μm、または約30μm〜約70μmのD90を有するか、あるいは本明細書中で開示される任意の他の粒度分布値または範囲値を有するように選択される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】0.1質量%の水を含めた晶出によるD90=6μmの結晶を示す図である(スケールバー=50μm)。
【図2】1.1質量%の水を含めた晶出によるD90=26μmの結晶を示す図である(スケールバー=50μm)。
【図3】2.0質量%の水を含めた晶出によるD90=50μmの結晶を示す図である(スケールバー=100μm)。
【図4】種々の過飽和条件および種々の含水量により生成した結晶の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
使用される用語の定義および慣行
本明細書中で具体的に定義されない用語には、当業者が本開示および文脈を考慮してそれらの用語に与えるであろう意味を付与するものとする。しかし、明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する場合には、そうでないことを明記しない限り、以下の用語は指摘した意味を有し、以下の慣行に従う。
A.化学的な命名、用語、および慣行
以下で定義される基、ラジカルまたは部分において、炭素原子数は、しばしば、基の前に記載されて指定され、例えば、C1−C10アルキルは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはラジカルを意味する。一般に、2つ以上の下位基を含む基の場合、最後に挙げられた基が、そのラジカルの結合点であり、例えば、「アルキルアリール」は、式:Alk−Ar−の一価のラジカルを意味し、一方、「アリールアルキル」は、式:Ar−Alk−の一価のラジカルを意味する(ここで、Alkはアルキル基であり、Arはアリール基である)。さらに、二価のラジカルが適切である場所で一価のラジカルを意味する用語を使用することは、それぞれの二価のラジカルを意味し、逆も同様であると解釈されるものとする。特記しない限り、通常的な用語の定義が支配し、すべての式および基において、通常的で安定な原子価が仮定され、達成されている。
【0017】
用語「アルキル」または「アルキル基」は、分枝または直鎖の脂肪族炭化水素の一価のラジカルを意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)などの基で例示される。それらは、「Alk」と略記される。
用語「アミノカルボニル」、「アルキルアミノカルボニル」および「ジアルキルアミノカルボニル」は、式R2NC(O)−(ここで、各Rは、独立に水素または低級アルキルである)の一価ラジカルを意味する。
用語「アルキルアミノ」または「アルキルアミノ基」は、式:(Alk)NH−(ここで、Alkはアルキルである)の一価ラジカルを意味する。典型的なアルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、tert−ブチルアミノなどが挙げられる。
【0018】
用語「ジアルキルアミノ」または「ジアルキルアミノ基」は、式:(Alk)(Alk)N−(ここで、各Alkは、独立にアルキルである)の一価ラジカルを意味する。典型的なジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルプロピルアミノなどが挙げられる。
用語「置換アミノ」または「置換アミノ基」は、式:−NR2(ここで、各Rは、水素または特定の置換基から独立に選択された置換基であるが、双方のRとも水素であることはない)の一価ラジカルを意味する。典型的な置換基としては、アルキル、アルカノイル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルなどが挙げられる。
用語「ハロゲン」または「ハロゲン基」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード基を意味する。
用語「ハロ」は、基の1つまたは複数の水素原子が、ハロゲンで置き換えられていることを意味する。
【0019】
用語「アリール」または「アリール基」は、6〜14個の炭素原子からなり、1個の環(例えばフェニルまたはフェニレン)または多様な縮合環(例えば、ナフチルまたはアントラニル)を有する芳香族炭素環式の一価または二価のラジカルを意味する。特記しない限り、アリール環は、安定な構造をもたらす任意の適切な炭素原子の位置で結合していてもよく、置換されている場合、安定な構造をもたらす任意の適切な炭素原子の位置で置換されていてもよい。典型的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、インデニル、ビフェニルなどが挙げられる。それらは、「Ar」と略記できる。
【0020】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロアリール基」は、環中に、窒素、酸素および硫黄(ここで、任意の硫黄へテロ原子は酸化されていてもよく、かつ任意の窒素ヘテロ原子は酸化または第四級化されていてもよい)から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、1つまたは複数の縮合環または架橋環、好ましくは5〜7員の単環式ラジカル、または7〜10員の二環式ラジカルを含んでいてもよい、安定な芳香族の5〜14員の単環式または多環式の一価または二価のラジカルを意味する。特記しない限り、ヘテロアリール環は、安定な構造をもたらす任意の適切なヘテロ原子または炭素原子の位置で結合していてもよく、置換されている場合、安定な構造をもたらす任意の適切なヘテロ原子または炭素原子の位置で置換されていてもよい。典型的かつ好ましいヘテロアリールとしては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジニルとしても知られる)、ジアザインドリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロアザインドリル、イソインドリル、アザイソインドリル、ベンゾフラニル、フラノピリジニル、フラノピリミジニル、フラノピラジニル、フラノピリダジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロフラノピリジニル、ジヒドロフラノピリミジニル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾチエニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、チエノピラジニル、チエノピリダジニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロチエノピリジニル、ジヒドロチエノピリミジニル、インダゾリル、アザインダゾリル、ジアザインダゾリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ベンズチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリミジニル、ベンゾキサゾリル、オキサゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、ベンズイソキサゾリル、プリニル、クロマニル、アザクロマニル、キノリジニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、シンノリニル、アザシンノリニル、フタラジニル、アザフタラジニル、キナゾリニル、アザキナゾリニル、キノキサリニル、アザキノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロナフチリジニル、テトラヒドロナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾイル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、およびフェノキサジニルなどが挙げられる。
【0021】
用語「式(I)の化合物」およびその同等の表現は、式(I)の化合物を、文脈が許容するように、個別的に、いくつかの組合せ中で、またはそれらのすべてで包含することを意味する。式(I)のいくつかの化合物は、米国特許第6903215号、米国特許出願公開第2005/0176706号、米国特許第出願公開第2009/0325988号、および2008年6月6日に出願の米国特許仮出願第60/059388号中に開示されており、これらは、それぞれ参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる。さらに、本発明の化合物を調製するための合成方法は、例えば、そのそれぞれが、参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる、2009年6月3日に出願の、それぞれ、「Stereoselective Synthesis of Certain Trifluoromethyl−Substituted Alcohols」と題する米国特許仮出願第61/183601号、61/183606号、61/183607号、および61/183610号中に見出される。
【0022】
用語「本発明の化合物」および同等の表現は、文脈がそのように許容する場合、互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩、とりわけ薬学的に許容される塩、およびそれらの溶媒和物および水和物を含め、本明細書中に記載のような式(I)の化合物を包含することを意味する。一般におよび好ましくは、本発明の化合物および本発明の化合物を示す式は、その安定な化合物のみを包含し、たとえ不安定な化合物が、化合物の式によって字義的には包含されると考えられる可能性がある場合でも、不安定な化合物を除外すると解釈される。同様に、中間体への言及は、それら中間体自体が特許を請求されているかどうかにかかわらず、文脈がそのように許容する場合、それら中間体の塩および溶媒和物を包含することを意味する。明瞭性のため、文脈がそのように許容する場合の特定例を時には本文中に示すが、これらの例は、純粋に例示であり、文脈がそのように許容する場合のその他の例を排除することを意図しない。本明細書中で開示し特許を請求するような本発明の化合物は、また、原子の通常の(天然に存在する)同位体分布を有する化合物、および対応する同位体富化化合物の双方を含むと解釈される。したがって、そうでないことを示さない限り、本明細書中に記載の構造は、また、所定原子の特定の同位体で富化されていることのみが異なる化合物を包含することを意味する。例えば、水素(1H)の重水素(2H)または三重水素(3H)による置き換え、あるいは炭素の13Cまたは14C富化炭素による置き換えがあるだけでそのほかは本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲に包含される。十分に確立された方法により本発明の化合物中に組み込むことのできる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clが含まれる。特定の同位体で標識された本明細書に記載の化合物、例えば、その中に3Hおよび14Cなどの放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質の組織内分布アッセイに有用である。さらに、重水素などの同位体での置換は、より大きな代謝安定性に由来するいくつかの治療上の利点、例えば、in vivoでの半減期の増加、より低い毒性、または必要投与量の低減を提供することができる(Nature,458,269(2009)参照)。
【0023】
用語「任意選択の」または「〜していてもよい」は、続いて記載される事象または状況が、起こっても、起こらなくてもよいこと、ならびに、その記載が、事象または状況が起こる場合、およびそれが起こらない場合を包含することを意味する。例えば、「置換されていてもよいアリール」は、該アリールラジカルが、置換されていても、されていなくてもよいこと、ならびに該記載が、置換されたアリールラジカルおよび置換を有さないアリールラジカルの双方を包含することを意味する。
用語「安定な化合物」または「安定な構造」は、十分頑健であり、反応混合物から有用な程度の純度まで単離するのに、および有効な治療または診断薬へ製剤化するのに耐える化合物である。「ダングリング原子価(dangling valency)」を有する、またはカルバニオンである化合物は、本発明が想定する化合物ではない。
【0024】
用語「置換された」は、基または部分の原子上の任意の1つまたは複数の水素が、具体的に示されるかどうかにかかわらず、原子の通常原子価を超えないことおよび置換が安定な化合物をもたらすことを条件に、示した置換基群から選択されたもので置き換えられていることを意味する。置換基への結合が、環中の2個の原子を連結している結合に交差するように示されている場合、このような置換基は、環上の任意の原子に結合されている可能性がある。置換基が、このような置換基が化合物の残部にそれを介して結合されている原子を示すことなしに列挙されている場合、このような置換基はこのような置換基中の任意の原子を介して結合されている可能性がある。例えば、置換基が、ピペラジニル、ピペリジニルまたはテトラゾリルである場合、そうでないことを指定しない限り、このようなピペラジニル、ピペリジニルまたはテトラゾリル基は、本発明の化合物の残部に、このようなピペラジニル、ピペリジニルまたはテトラゾリル基中の任意の原子を介して結合されている可能性がある。一般に、任意の置換基または基が、任意の構成要素または化合物中で1回を超えて出現する場合、各出現に対するその定義は、他の出現毎のその定義に依存しない。したがって、例えば、基が、0〜2個のRで置換されていることが示されている場合、このような基は、2つまでのR基で置換されていてもよく、Rは、それぞれの出現で、可能なRの定義リストから独立に選択される。さらに、基がC1−C5R基(例えば、C1−C5アルキルチオ)で置換されていることが示されている場合、このような基は、C1、C2、C3、C4またはC5R基(例えば、C1、C2、C3、C4またはC5アルキルチオ)で置換されていてもよい。しかし、置換基および/または変数のこのような組合せは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許される。
【0025】
本明細書に記載の各反応の収率は、理論収量の比率として表現される。
【0026】
B.共晶体、塩、プロドラッグ、誘導体および溶媒和物の用語および慣行
用語「プロドラッグ」または「プロドラッグ誘導体」は、その薬理学的効果を提示するに先立って少なくとも若干の生体内変換を受ける、親化合物または活性原薬の共有結合で結合された誘導体または担体を意味する。一般に、このようなプロドラッグは、代謝的に開裂可能な基を有し、in vivoで、例えば、血中での加水分解によって急速に変換されて親化合物をもたらし、一般には、親化合物のエステルおよびアミド類似体が挙げられる。プロドラッグは、化学安定性の向上、患者の受容性および応諾性の向上、バイオアベイラビリティーの向上、作用持続期間の延長、臓器選択性の向上、製剤の改善(例えば、水溶性の増加)、および/または副作用(例えば毒性)の低減の目的で製剤化される。一般に、プロドラッグ自体は、弱い生物学的活性を有するか、まったく有さず、通常の条件下で安定である。プロドラッグは、そのそれぞれが、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、「A Textbook of Drug Design and Development」Krogsgaard−LarsenおよびH.Bundgaard(編)Gordon & Breach,1991のとりわけ第5章「Design and Applications of Prodrugs」;「Design of Prodrugs」H.Bundgaard(編)、Elsevier,1985;「Prodrugs;Topical and Ocular Drug Delivery」K.B.Sloan(編),Marcel Dekker,1998;「Methods in Enzymology」K.Widderら(編)、42巻、Academic Press,1985,とりわけ309〜396頁;「Burger‘s Medicinal Chemistry and Drug Discovery」第5版、M.Wolff(編)、John Wiley & Sons,1995、とりわけ第1巻および172〜178頁および946〜982頁;「Pro−Drugs as Novel Delivery Systems」T.HiguchiおよびStell(編)、Am.Chem,Soc.,1975;「Bioreversible Carriers in Drug Design」E.B.Roche(編)、Elsevier、1987中に記載のような当技術分野で公知の方法を使用して、親化合物から容易に調製することができる。
【0027】
用語「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わないで、妥当な利益/危険の比率に相応し、それらの意図した使用に関して有効であり、かつ可能なら双性イオンの形態である、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適している、本発明化合物のプロドラッグを意味する。
【0028】
用語「塩」は、親化合物のイオン性形態、または親化合物と、該親化合物の酸塩または塩基塩を調製するのに適した酸または塩基との間の反応生成物を意味する。本発明化合物の塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から通常の化学的方法によって合成することができる。一般に、塩は、遊離の塩基性または酸性親化合物を、化学量論的量または過剰の所望される塩を形成する無機または有機の酸または塩基と、適切な溶媒中または溶媒の種々の組合せ中で反応させることによって調製される。
用語「薬学的に許容される塩」は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わないで、妥当な利益/危険の比率に相応し、一般には水溶性もしくは油溶性であるか、または分散性であり、かつそれらの意図した使用に関して有効である、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適している、本発明化合物の塩を意味する。該用語は、薬学的に許容される酸付加塩、および薬学的に許容される塩基付加塩を包含する。本発明の化合物が、遊離塩基および塩形態の双方で有用である場合、塩形態の使用は、塩基形態の使用に実質的に等しい。適切な塩のリストは、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、例えば、S.M.Birgeら、J.Pharm.Sci.,1977,66,1〜19頁中に見出される。
【0029】
用語「溶媒和物」は、化合物と1つまたは複数の溶媒分子との物理的会合物、あるいは溶質(例えば、式(I)の化合物)および溶媒、例えば、水、エタノール、または酢酸によって形成される種々の化学量論の複合体を意味する。特定の例において、例えば、結晶性固体の結晶格子中に1つまたは複数の溶媒分子が組み込まれている場合、該溶媒和物を単離することができる。一般に、選択される溶媒は、溶質の生物学的活性を妨害しない。溶媒和物は、溶液相および単離可能な溶媒和物の双方を包含する。代表的な溶媒和物としては、水和物、エタノール付加物、メタノール付加物などが挙げられる。
用語「共晶体」は、1つまたは複数の本発明の化合物、および室温で固体または液体である酸性、塩基性、または中性分子を含んでいてもよい1つまたは複数の特有の共晶体形成剤から構成される結晶性物質を意味する。したがって、共晶体は、分子化合物、分子複合体、溶媒和物、包摂化合物、チャネル化合物、およびクラスレートを包含し、その他の部類の多成分結晶も包含する可能性がある。
用語「薬学的共晶体」は、1つまたは複数の薬学的に許容される特有の共晶体形成剤を含む共晶体を意味する。
【0030】
以下で考察する本発明の化合物には、その遊離の塩基または酸、それらの塩、共晶体、およびプロドラッグがあり、明確には指定または示さないが、それらの構造とりわけその薬学的に許容される形態中に酸化された硫黄原子または第四級化された窒素原子を含むことができる。このような形態とりわけ薬学的に許容される形態は、添付の特許請求の範囲に包含されると解釈される。
【0031】
C.異性体の用語および慣行
用語「異性体」は、同じ数および種類の原子、それゆえ同じ分子量を有するが、空間における原子の配列または立体配置が異なる化合物を意味する。該用語は、立体異性体および幾何異性体を包含する。
用語「立体異性体」または「光学異性体」は、少なくとも1個のキラル原子、または垂直非対称平面を生じさせる制限された回転(例えば、特定のビフェニル、アレン、およびスピロ化合物)を有し、かつ平面偏光を回転させることのできる安定な異性体を意味する。不斉中心およびその他の化学構造が、立体異性を生じさせる可能性のある本発明の化合物中に存在するので、本発明は、立体異性体およびその混合物を想定している。本発明の化合物およびそれらの塩は、不斉炭素原子を含み、それゆえ単一の立体異性体、ラセミ化合物、およびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物として存在する可能性がある。典型的には、このような化合物は、ラセミ混合物として調製される。しかし、所望なら、このような化合物を、純粋な立体異性体、すなわち、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして、あるいは立体異性体が富化された混合物として調製、または単離することができる。以下でより詳細に考察するように、化合物の個々の立体異性体は、所望のキラル中心を含有する光学活性出発原料からの合成によって、あるいはエナンチオマー生成混合物の調製、それに続く分離または分割、例えば、ジアステレオマー混合物の転換、それに続く分離または再結晶、クロマトグラフィー技術、キラルな分割剤の使用、またはキラルなクロマトグラフィーカラムでのエナンチオマーの直接分離によって調製される。特定の立体化学を有する出発化合物は、市販されているか、あるいは後記の方法によって調製され、当技術分野で周知の技術によって分割される。
【0032】
用語「エナンチオマー」は、互いに鏡像であり重ね合わせることのできない一対の立体異性体を意味する。
用語「ジアステレオ異性体」または「ジアステレオマー」は、互いに鏡像でない光学異性体を意味する。
用語「ラセミ混合物」または「ラセミ化合物」は、個々のエナンチオマーを等しい割合で含有する混合物を意味する。
用語「非ラセミ混合物」は、個々のエナンチオマーを等しくない割合で含有する混合物を意味する。
【0033】
用語「幾何異性体」は、二重結合まわりの(例えば、シス−2−ブテンおよびトランス−2−ブテン)、または環状構造中の(例えば、シス−1,3−ジクロロシクロブタンおよびトランス−1,3−ジクロロシクロブタン)制限された回転自由度に由来する安定な異性体を意味する。炭素−炭素二重(オレフィン性)結合、C=N二重結合、環状構造などが、本発明の化合物中に存在する可能性があるので、本発明は、これらの二重結合まわりの、および環状構造中の置換基の配列に由来する種々の安定な幾何異性体およびそれらの混合物のそれぞれを想定している。置換基および異性体は、シス/トランスの慣行を使用して、またはEまたはZ系を使用して示され、ここで、用語「E」は、より高順位の置換基が二重結合の反対側に存在し、用語「Z」は、より高順位の置換基が二重結合の同一側に存在することを意味する。EおよびZ異性の詳細な考察は、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、J.Marchの著書「Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and :Structure」第4版、John Wiley & Sons、1992中に提供されている。以下の例のいくつかは、単一のE異性体、単一のZ異性体、およびE/Z異性体の混合物を代表する。EおよびZ異性体の決定は、X線結晶学、1H−NMR、および13C−NMRなどの分析方法を用いて行うことができる。
【0034】
本発明のいくつかの化合物は、1つを超える互変異性形態で存在することができる。前に言及したように、本発明の化合物は、このようなすべての互変異性体を包含する。
化合物の生物学的および薬理学的活性が、該化合物の立体化学に感受性であることは当技術分野で周知である。したがって、例えば、エナンチオマーは、代謝、タンパク質結合などを含む薬物動態学的特性、ならびに提示される活性の種類、活性の程度、毒性などを含む薬理学的特性における相違を含む、著しく異なる生物学的活性を提示することが多い。したがって、当業者は、一方のエナンチオマーが、より活性である可能性があるか、あるいは他方のエナンチオマーと比較して富化された場合または他方のエナンチオマーから分離された場合に有益な効果を提示する可能性があることを認識するであろう。さらに、当業者は、本開示および先行技術の理解に基づき、本発明化合物のエナンチオマーを分離、富化、または選択的に調製する方法を理解するであろう。
【0035】
したがって、ラセミ形態の薬物も使用できるが、それは、エナンチオマーとして純粋な同量の薬物を投与することに比べて有効性がより低いことが多く、実際、場合によっては、一方のエナンチオマーが、薬理学的に不活性であり、単純な希釈剤として役立つに過ぎない可能性がある。例えば、イブプロフェンは、以前にはラセミ化合物として投与されていたが、イブプロフェンのS−異性体のみが、抗炎症剤として有効であることが示された(しかし、イブプロフェンの場合、R−異性体は不活性であるが、それはin vivoでS−異性体に転換され、かくして、該薬物のラセミ形態の作用速度は、純粋なS−異性体のそれに比べてより遅い)。さらに、エナンチオマーの薬理学的活性は、別個の生物学的活性を有する可能性がある。例えば、S−ペニシラミンは、慢性関節炎用の治療薬であり、一方、R−ペニシラミンは毒性がある。実際、精製された個々の異性体が、ラセミ混合物に比較してより速い経皮浸透速度を有することが報告されているように、一部の精製されたエナンチオマーは、ラセミ化合物にまさる利点を有する。米国特許第5114946号および同第4818541号を参照されたい。
【0036】
したがって、一方のエナンチオマーが、他方のエナンチオマーに比べて、薬理学的により活性があり、より低毒性であるか、あるいは体内中での好ましい堆積を有する場合、そのエナンチオマーを優先的に投与することが、治療上より有益であろう。この方式において、治療を受ける患者は、薬物のより少ない総投与量に曝露され、潜在的に毒性であるか、他方のエナンチオマーの阻害剤であるエナンチオマーのより低い投与量に曝露される。
純粋なエナンチオマー、または所望されるエナンチオマー過剰(ee)もしくはエナンチオマー純度の混合物の調製は、(a)エナンチオマーの分離または分割、または(b)当業者に知られたエナンチオ選択的合成、あるいはこれらの組合せからなる多くの方法の1つまたは複数を用いて完遂される。これらの分割方法は、一般に、キラル認識に依存し、例えば、キラルな定常相を使用するクロマトグラフィー、エナンチオ選択的ホスト−ゲスト複合化、キラルな補助剤を使用する分割もしくは合成、エナンチオ選択的合成、酵素または非酵素による動力学的分割、または自発的エナンチオ選択的晶出を包含する。このような方法は、「Chiral Separation Techniques:A Practical Approach」第2版、G.Subramanian(編)、Wiley−VCH、2000年;T.E.BeesleyおよびR.P.W.Scott、「Chiral Chromatography」John Wiley & Sons、1999年;およびSatinder Ahuja、「Chiral Separations by Chromatography」Am.Chem.Soc.、2000年中に包括的に開示されている。さらに、エナンチオマー過剰または純度の定量のための(例えば、GC、HPLC、CE、またはNMR)、および絶対配置および配座の帰属のための(例えば、CD、ORD、X線結晶学、またはNMR)等しく周知の方法が存在する。
一般に、化合物の名称または構造中に特定の立体化学または異性形態が具体的に示されていない限り、ある化学構造または化合物のすべての互変異性形態および異性形態ならびに混合物(個々の幾何異性体または立体異性体あるいはラセミまたは非ラセミ混合物のいずれにせよ)を意図している。
【0037】
式(I)の化合物の粒径を最適化するための一般的合成方法
本発明の晶出法は、製剤工程を容易にし、かつ薬品の性能を最善にする、狭い粒度分布および優れた粉体特性を有する式(I)の化合物の均一で小さな粒子を一貫してもたらす。該方法は、ジェット粉砕の必要性を排除し、貴重なAPIを外部業者に出すことに付随する費用および危険の低減をもたらす。該方法を、合成の一部として利用して、式(I)の化合物の小さな粒子を直接的に形成することができ、あるいは独立の(再晶出)方法として使用して、大きな粒径または凝集体を含むバルク原薬の粒径を縮小することができる。
これらの種々の修正形態を、晶出に使用する溶媒を選択することによって、および晶出工程中で使用する処理条件の適切な選択によって意図的に作り出すことができる。
【0038】
本発明の一態様において、晶出または再晶出に適した溶媒系は、溶媒としてのメチルエチルケトン(MEK)または2−ブタノン、および逆溶媒としてのヘプタンである。
本発明の別の態様において、晶出溶液中の水分量は、カールフィッシャー滴定(KF)で測定して、式(I)の化合物の溶液中に約0.01質量%〜約0.5質量%の水量で存在する。水分量は、別の実施形態において約0.5質量%〜約1.2質量%、別の実施形態において約1.2質量%〜約2.0質量%である。
【0039】
本発明の一態様において、適切な晶出温度は、約50℃である。該温度は、一実施形態において、約40℃〜約60℃、別に実施形態において約30℃〜50℃、別の実施形態において約50℃〜およそ溶媒混合物の還流温度である。
本発明の一態様において、適切な粒径は、約5μmのD90(粉体粒子の90質量%がそれより小さな直径を有する場合に相当する直径)〜約10μmのD90である。粒径は、別の実施形態において、約10μmのD90〜約30μmのD90、別の実施形態において、約30μmのD90〜約70μmのD90であり得る。
方法の説明
以下の方法は、合成の一部として、2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体の均一で小さな粒子を晶出させるのに使用される。
【0040】
2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドの遊離塩基(先行合成ステップからの、乾燥出発固体中に0.2質量%未満の水分を含む)の酢酸溶媒和形態またはアニソール溶媒和形態とMEKとを、60℃まで加熱して溶液とし、それをポリッシュフィルターで濾過する。85%リン酸水を50℃で加え、続いて、へプタン、次いで種晶、およびさらなるヘプタンを加える。バッチを、直線的に20℃まで少なくとも2時間かけて冷却し、20℃で少なくとも2時間熟成し、濾過する。固体を、MEK/へプタン(1:2v/v)そしてヘプタンで洗浄する。固体を、真空オーブン(<100mmHg、80℃)中で乾燥し、次いで塊砕して2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体を得る。
【0041】
MEK/へプタン法からの2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体の粒径は、一般に小さく、D90(粒子の90%がそれ未満の直径を有する)は5μm〜25μmである。特定条件下でのMEK/へプタン中での2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体の晶出は、極めて速い核形成速度を有し、そのことが粒子成長を制限し、小さな粒子を均一的にもたらすので、MEK/へプタン中での晶出法による粒径の調節は、堅実で信頼性がある。表1に、スケールアップしたいくつかのバッチに関する粒径データを列挙する。
【0042】
【表1】

【0043】
小さな粒径の製造は、所定の晶出系に関して核形成速度を最大にすること、および成長速度を最小にすることによって典型的には達成される。核形成および成長速度は、過飽和の独立関数であり、主として、化合物の所定の溶媒系に対する溶解度、および工程の初期溶液濃度によって決定される。
【0044】
この方法では、リン酸を含む2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドのMEK溶液(初期濃度は、ほぼ0.11〜0.14g/mL)に、逆溶媒として役立つ若干のへプタン(出発原料に対してほぼ1.5mL/g)を添加する。その効果は、晶出のための駆動力である、2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体の溶媒混合物への溶解度の低下、および過飽和の創生である。次いで、2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体の晶出が、種晶の添加によって開始される。この濃度での晶出工程は、このMEK/へプタン比率によってもたらされる高度の過飽和、および極めて速い核形成によって駆動され、かくして、結果として多くの核の発生がもたらされる。速い核形成速度および生成される莫大な数の核のため、溶液は、急速に消耗され、核の成長は制約される。最終的な結果は、D90<10μmである均一に小さな粒子の生成である。
【0045】
この方法では、水が重要な役割を演じる。MEK/へプタン溶液中の少量の水は、2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体のMEK/へプタンに対する溶解度に重要な影響を与え、それゆえ、過飽和および共晶体形成の核形成速度に影響を及ぼす。核形成速度に対する効果は、晶出から得られる結晶の粒径に直接的に影響する。したがって、KF値が大きいほど、溶解度が高いほど、過飽和度がより低く、速度がより遅く、得られる粒子がより大きい。
【0046】
晶出を、溶液中に0.5質量%未満の水を含めて実施する場合には、D90がほぼ5〜10μmである小さな粒径を得るための速い核形成速度のために、MEK/へプタンの比率を調節パラメーターとして効果的に使用することができる(図1)。溶液中にほぼ1.0質量%(約0.7%〜1.2%の間)の水が存在する場合、2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体のMEKへのより高い溶解度は、核形成速度を減速し、D90がほぼ25〜30μmのより大きな粒子をもたらす(図2)。晶出を、1.0質量%を超える(約1.2〜2質量%の間)水を含む溶液中で行う場合には、生じる粒子は、より大きく、D90は、ほぼ50〜70μmである(図3)。
この方法は、晶出溶液中の水分量を調節して所望範囲の粒径(例えば、概して5μm〜50μmの間)を達成するのに使用することができる。溶液中の水分量は、出発原料(2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドの遊離塩基の酢酸溶媒和物またはアニソール溶媒和物形態)中の、および工程中で使用される溶媒中の水分含有量を適切に調節することによって、調節することができる。
【0047】
図1〜3に、溶媒中の水分量を調節した晶出から得られる結晶の光学顕微鏡写真を示す。例えば、図1は、水分が0.1質量%での晶出からのD90=6μmである結晶を示す(スケールバー=50μm)。図2は、水分が1.1質量%での晶出からのD90=26μmである結晶(スケールバー=50μm)を示し;図3は、水分が2.0質量%での晶出からのD90=50μmである結晶を示す(スケールバー=100μm)。
さらに、図4は、種々の過飽和条件および種々の水分含有量から生成された結晶の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、様々な粒径のバッチを、処理パラメーターの調節に応じて達成可能であることを示している。
【0048】
このMEK/へプタン法から晶出される2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体の粒子は、その他の溶媒系から生成された粒子に比較して、優れた粉体特性(流動性、かさ密度)を示す。
【0049】
実験の詳細
以下は、合成の一部として2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体の小さな粒子を調製するための方法の詳細な説明である。
2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドの遊離塩基(50.0g、88.2質量%遊離塩基)の酢酸溶媒和物形態またはアニソール溶媒和物形態を反応器に仕込む。MEK(300.0mL)を添加し、スラリーを撹拌する。バッチを60±2℃まで加熱して溶解し、澄明または僅かに曇った溶液とし、溶液を50℃以上に維持しながらポリシング(澄明化)フィルターを通す。続いて、100.0mLのMEKですすぎ洗い、好ましくは40℃まで加熱する。この時点で、溶液のKF滴定値を測定して、溶液中の水分が0.2質量%未満であることを確かめる。バッチを50±2℃まで加熱する。85%リン酸水(6.067mL、10.22g、滴定によれば86.1%、1.05当量)を添加する。溶液は、澄明または僅かに曇ったままである。へプタン(66.7mL)を、バッチ温度を50±5℃に維持しながら、徐々に加える(15〜20分かけて)。溶液は、澄明または僅かに曇ったままである。へプタン(3.3mL)中に懸濁された2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミド共晶体(50.0mg、0.1質量%)の種晶を加える。バッチを、50±5℃で少なくとも0.5時間熟成する。晶出は、種を添加すると徐々に進行する。完全に発達した結晶スラリーが、通常的には0.5時間で得られる。さらなるへプタン(133.3mL)を50±5℃で徐々に加える(少なくとも1時間かけて)。バッチを、20±5℃まで直線的に少なくとも2時間かけて冷却する。スラリーを20±5℃で少なくとも2時間熟成する。スラリーを濾過する。濾過は、通常、極めて速い。ウェットケーキを、100mLのMEK/へプタン(1:2v/v)混合物で洗浄し、そして100mLのへプタンですすぎ洗う。固体を、80±5℃、100mmHg以下で少なくとも24時間乾燥する(KF滴定値が0.2%以下、MEKおよびヘプタンが0.5%以下(GC分析)になるまで)。2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミド共晶体が、86〜96%の収率、99.6面積%のHPLC純度で白色固体として得られる。生成物の粒径は、約7μmのD90である。
【0050】
以下の方法は、大きな粒子または凝集体を含むバッチを再加工して粒径を縮小するための独立工程として使用できる再晶出法に関する詳細な説明である。該方法は、MEK/水混合物からの遊離塩基の抽出、それに続く相分離、およびKF滴定値を0.2%以下に低下させて小さな粒径の生成を確実にするためのMEK溶液の共沸蒸留を含む。蒸留および濃度調整の後に、2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミド共晶体の晶出を、リン酸およびヘプタンの添加、それに続く種晶添加による典型的な方式で実施する。
【0051】
2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミド共晶体(50.0g、純度99.6面積%)を、反応器に仕込む。MEK(400mL)を添加し、スラリーを撹拌する。水(125mL)を加え、バッチを40±2℃まで加熱し、十分に撹拌して、二層溶液を得る。次いで、バッチを20±2℃まで冷却する。6.25mLのNaCl溶液(10質量%水溶液)を添加する。撹拌を止め、相を静置して澄明溶液とする(約2〜15時間)。下の水層を除去する。200mLのMEKを添加し、混合物を、容積を維持しながら、大気圧で蒸留する。初めの温度は74.0±0.2℃である。必要であれば、温度が少なくとも79.6±0.2℃に到達するまで、さらなるMEKを添加する。バッチを、溶液を50℃以上に維持しながらポリシングフィルターを通し、続いてMEK(100.0mL、好ましくは40℃に加熱して)ですすぎ洗う。必要であれば、さらなる蒸留を実施し、溶液の容積をほぼ450mLに調整する。この時点で、溶液のKF滴定値を測定して溶液中の水分が0.2質量%以下であることを確かめる。85%リン酸水(5.78mL、9.74g、滴定によれば86.1%、1.05当量)を加える。溶液は、澄明または僅かに曇ったままである。へプタン(66.7mL)を、バッチ温度を50±5℃に維持しながら、徐々に加える(5〜20分かけて)。溶液は、澄明または僅かに曇ったままである。へプタン(3.3mL)中に懸濁された2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミド共晶体(50.0mg、0.1質量%)の種晶を加える。バッチを、50±5℃で少なくとも0.5時間熟成する。晶出は、種を添加すると徐々に進行する。完全に発達した結晶スラリーが、通常的には0.5時間で得られる。さらなるへプタン(133.3mL)を50±5℃で徐々に加える(少なくとも1時間かけて)。バッチを、20±5℃まで直線的に少なくとも2時間かけて冷却する。スラリーを20±5℃で少なくとも2時間熟成する。スラリーを濾過する。濾過は、通常、極めて速い。ウェットケーキを、100mLのMEK/へプタン(1:2v/v)混合物で洗浄し、そして100mLのへプタンですすぎ洗う。固体を、80±5℃、100mmHg以下で少なくとも24時間乾燥する(KF滴定値が0.2%以下、かつMEKおよびヘプタンが0.5%以下(GC分析)になるまで)。2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミド共晶体が、86〜96%の収率、99.6面積%のHPLC純度で白色固体として得られる。生成物の粒径は、約7μmのD90である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

(I)
[式中、
1は、それぞれ独立に、C1−C5アルキル、アミノカルボニル、C1−C5アルキルアミノカルボニル、C1−C5ジアルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−C5アルキルアミノスルホニル、C1−C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびC1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、アリール基またはヘテロアリール基であり;
2は、独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルコキシアルキル、およびアミノカルボニルから選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、C1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xは、CHまたはNであり;かつ
Yは、CHまたはNであり;
ここで、XおよびYは、双方ともCHであることはない]、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の晶出方法であって、
(a)式(I)の化合物の遊離塩基を1次有機溶媒に溶解して第1溶液を得るステップ;
(b)第1溶液に酸を添加して第2溶液を得るステップ;
(c)有機逆溶媒を第2溶液と合わせて第3溶液を得るステップ(ここで、逆溶媒は、1次有機溶媒と混和性があり、かつ逆溶媒中で、式(I)の化合物は、1次有機溶媒中に比べてより小さい溶解度を有する);
(d)第3溶液中で式(I)の化合物の過飽和を達成して、過飽和された第4溶液を得るステップ;および
(e)式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の結晶を得るステップ;を含む方法。
【請求項2】
1次有機溶媒が極性有機溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1次有機溶媒が、MEK、2−ブタノン、酢酸、またはこれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1次有機溶媒がMEKである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
酸が強酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
酸がリン酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
有機逆溶媒が非極性有機溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
有機逆溶媒が、アルカンまたはシクロアルカンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
有機逆溶媒が、へプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、または酢酸ブチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式(I)の化合物の1次有機溶媒中での溶解度と有機逆溶媒中での溶解度との比率が、少なくとも10:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)およびステップ(d)が、ステップ(b)の溶液を有機逆溶媒に0℃〜40℃の温度で添加することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
有機逆溶媒が、種晶を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(d)が、さらなる量の有機逆溶媒を添加すること、温度を低下させること、および1次有機溶媒を除去することのうちの1つまたは複数によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(e)が、ステップ(d)の過飽和溶液に種晶を導入することによって完遂される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
(f)さらなる逆溶媒を添加して、式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の結晶の収率を増加させるステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
方法が、約20℃〜約60℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
方法が、約40℃〜約60℃の温度で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
方法が、30℃〜50℃の温度で行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
方法が、約50℃〜およそ第4溶液の還流温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
方法が、約50℃の温度で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
第3溶液が水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
存在する水量が、カールフィッシャー滴定(KF)で測定して、式(I)の化合物の溶液中に約0.01質量%〜約0.5質量%の水量で存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
存在する水量が、約0.5質量%〜約1.2質量%である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
存在する水量が、約1.2質量%〜約2.0質量%である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
存在する水量が、式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の結晶が約5μm〜約80μmのD90を有するように選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
存在する水量が、式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の結晶が10μm〜約30μmのD90を有するように選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
存在する水量が、式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、光学異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の結晶が約30μm〜約70μmのD90を有するように選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法であって、
式中、
1が、それぞれ独立に、C1−C5アルキル、アミノカルボニル、C1−C5アルキルアミノカルボニル、C1−C5ジアルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、C1−C5アルキルアミノスルホニル、C1−C5ジアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、およびC1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、アリール基またはヘテロアリール基であり;
2が、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルコキシアルキル、およびアミノカルボニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1−C5アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである、
式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の晶出方法。
【請求項29】
請求項1に記載の方法であって、
式中、
1が、C1、C2またはC3アルキル、アミノカルボニル、ハロゲン、およびC1、C2またはC3アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基であり;
2が、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルコキシアルキル、およびアミノカルボニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1、C2またはC3アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである、
式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の晶出方法。
【請求項30】
請求項1に記載の方法であって、
式中、
1が、アミノカルボニル、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびC1またはC2アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から独立に選択される1また2個の置換基で置換されていてもよいフェニル基であり;
2が、C1、C2またはC3アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである、
式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の晶出方法。
【請求項31】
請求項1に記載の方法であって、
式中、
1が、アミノカルボニル、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびC1またはC2アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)から独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいフェニル基であり;
2が、C1またはC2アルキルチオ(ここで、その硫黄原子は、スルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい)であり;
Xが、CHであり;かつ
Yが、Nである、
式(I)の化合物、あるいはその互変異性体、プロドラッグ、共晶体、または塩の晶出方法。
【請求項32】
式(I)の化合物の結晶が、2−[(3R)−3−(5−エタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イルメチル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチル]−5−フルオロベンズアミドリン酸共晶体である、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−528863(P2012−528863A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514000(P2012−514000)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036503
【国際公開番号】WO2010/141333
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】