説明

暗証番号入力表示装置及び方法

【課題】暗証番号入力画面に真正な暗証番号入力キーの他にダミー入力キーを表示することによって、真正な暗証番号入力キーのいずれが選択されたのかを第三者が視認することができず、第三者による暗証番号の把握を確実に防止することができ、セキュリティを高くすることができるようにする。
【解決手段】暗証番号入力キーを表示可能な入力表示部と、該入力表示部の動作を制御する入力表示制御部とを有し、前記入力表示部は、暗証番号入力キーとともにダミー入力キーを表示し、前記暗証番号入力キーが押下されると暗証番号の入力として取り扱い、前記ダミー入力キーが押下されると暗証番号の入力無効として取り扱う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗証番号入力表示装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関の利用者が、入金、出金、振込、残高照会等の金融取引を行う場合、前記金融機関の支店、すなわち、営業店に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置を操作するときには、キャッシュカードを使用するとともに、本人であることを認証するための認証用データとして暗証番号を入力する必要がある。この場合、暗証番号は、一般的に、0から9までの数字のうち、本人があらかじめ選んだ任意の4つの数字の組み合わせによって構成される。
【0003】
また、利用者が暗証番号入力を行う際には、タッチセンサ方式のキーボードパネルを備える入力機能を兼ね備えた表示部において、その画面の中央付近又は所定の位置にテンキーが表示される。そして、前記利用者は、表示されたテンキーの所定の数字キーをタッチし、暗証番号を入力する。
【0004】
しかし、近年では、キャッシュカードを使用して自動取引装置を操作している利用者の背後から、暗証番号を入力する動作を盗み見し、暗証番号を確認してからキャッシュカードを盗んだり偽造したりして、利用者になりすまして顧客の口座から出金したりする不正行為が多発している。
【0005】
そこで、利用者が暗証番号を入力する際に入力中の番号を盗み見されることを防止するために、暗証番号を入力するためのテンキーのレイアウト、キーの大きさ、数字配列等を変更し、操作している本人以外にはそれぞれのキーの配置が分からないようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0006】
これにより、暗証番号を入力する動作を自動取引装置の周囲に不正に設置されたカメラで盗撮されたり、利用者の背後から盗み見られても、テンキーの配置が分からないので、暗証番号が第三者に知られてしまうことがない。そして、暗証番号が第三者に知られなければ、たとえ、キャッシュカードが盗まれたり偽造されたりしても、第三者によるキャッシュカードの不正使用を防止することができる。
【特許文献1】特開平09−212716号公報
【特許文献2】特開平05−334334号公報
【特許文献3】特開平10−105781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の自動取引装置においては、暗証番号入力用のテンキーの配置を変更しているだけなので、画面上のどこにテンキーが配置されるか分かってしまうので、セキュリティを十分に高くすることができない。そのため、第三者によって暗証番号が把握されてしまい、キャッシュカードを不正に使用されてしまう。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、暗証番号入力画面に真正な暗証番号入力キーの他にダミー入力キーを表示することによって、真正な暗証番号入力キーのいずれが選択されたのかを第三者が視認することができず、第三者による暗証番号の把握を確実に防止することができ、セキュリティを高くすることができる暗証番号入力表示装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の暗証番号入力表示装置においては、暗証番号入力キーを表示可能な入力表示部と、該入力表示部の動作を制御する入力表示制御部とを有し、前記入力表示部は、暗証番号入力キーとともにダミー入力キーを表示し、前記暗証番号入力キーが押下されると暗証番号の入力として取り扱い、前記ダミー入力キーが押下されると暗証番号の入力無効として取り扱う。
【0010】
本発明の他の暗証番号入力表示装置においては、さらに、前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、相違するフォントサイズ、フォントタイプ又は色で表示される。
【0011】
本発明の更に他の暗証番号入力表示装置においては、さらに、前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、同一のフォントサイズ、フォントタイプ及び色で表示される。
【0012】
本発明の暗証番号入力表示方法においては、入力表示部に暗証番号入力キーとともにダミー入力キーを表示し、前記暗証番号入力キーが押下されると暗証番号の入力として取り扱い、前記ダミー入力キーが押下されると暗証番号の入力無効として取り扱う。
【0013】
本発明の他の暗証番号入力表示方法においては、さらに、前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、相違するフォントサイズ、フォントタイプ又は色で表示される。
【0014】
本発明の更に他の暗証番号入力表示方法においては、さらに、前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、同一のフォントサイズ、フォントタイプ及び色で表示される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、暗証番号入力表示装置は、暗証番号入力画面に真正な暗証番号入力キーの他にダミー入力キーを表示するようになっている。これにより、真正な暗証番号入力キーのいずれが選択されたのかを第三者が視認することができず、第三者による暗証番号の把握を確実に防止することができ、セキュリティを高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図2は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の構成を示すブロック図、図3は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の外観を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置のシステムの構成を示す図である。
【0018】
図において、10は、暗証番号入力表示装置としての自動取引装置であり、銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関の支店等に配設され、利用者が、自分で操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込、振替、送金等の取引、すなわち、金融取引を行うための装置である。なお、前記自動取引装置10は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗、地下街、駅の構内、市役所、病院等の公共施設、工場、事務所等の私企業、駐車場、道路脇(わき)等の屋外等に配設されていてもよい。
【0019】
前記暗証番号入力表示装置は、必ずしも金融取引を行うための自動取引装置に限定されるものではなく、例えば、無担保ローン、カードローン等のローン契約を行うために自分で操作する無人契約端末、チケット予約や商品購入申込みを行うためのショッピング端末、タバコや飲料を販売する自動販売機、店舗のレジに配設された代金の精算を行うためのPOS(Point of Sales)端末、駅の構内等に配設された鉄道の切符を発券するための券売機、空港等に配設された航空機の搭乗券を発券するための発券機等であってもよい。ここでは、説明の都合上、暗証番号入力表示装置が自動取引装置10である場合についてのみ説明する。
【0020】
そして、11は、自動取引装置10の主制御部であり、インターフェイス部21よりネットワーク32を介して金融機関のコンピュータセンタ等に配設された勘定系上位装置としてのホストコンピュータ31と接続されている。なお、前記ネットワーク32は、専用回線、電話回線等から成る。また、33は、ホストコンピュータ31に接続された記憶部としてのデータベースであり、金融機関の顧客である利用者の住所、氏名、暗証番号、口座残高、口座番号情報等の各種の情報が記憶されている。
【0021】
また、22は、記憶部としてのメモリ部であり、主制御部11が実行するプログラムや主制御部11による処理結果等が記憶されている。
【0022】
さらに、40は、利用者が操作する操作部としての入力表示部であり、自動取引装置10の前面に配設されている。前記入力表示部40は、CRT、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置と、タッチパネル等の位置信号検出手段から成る入力装置との組み合わせで構成されている。すなわち、前記入力表示部40は、表示機能と入力機能とを兼ね備え、取引選択画面、利用者の希望等を問い合わせる画面、利用者の操作を促す画面等の画面において、テンキー、操作選択ボタン等の入力手段を表示し、利用者の入力を受け付ける。
【0023】
そして、12は、カードを処理するカード処理部である。該カード処理部12は、金融機関が発行し、金融機関毎のコード、利用者の口座番号、氏名等の顧客情報が記憶された顧客識別カード、すなわち、キャッシュカード34や、振込先機関のコード等の振込情報が記録されている振込専用カード、すなわち、振込カード35等のカードから、該カードに記憶されている情報を読み出す機能を有する。
【0024】
また、前記カード処理部12の前面側にはカード挿入返却口12aが接続され、該カード挿入返却口12aを通して、キャッシュカード34及び振込カード35が挿入されたり排出されたりするようになっている。なお、前記キャッシュカード34及び振込カード35は、顧客の氏名、口座番号等の情報を記憶する磁気ストライプを備える。さらに、前記情報を記憶する記憶手段は、前記磁気ストライプの代わりに、キャッシュカード34及び振込カード35に埋め込まれたICであってもよい。
【0025】
さらに、前記自動取引装置10は、預金通帳等の通帳に記帳する通帳処理部15を有する。ここで、前記通帳は、金融機関が顧客に対して発行した預金通帳等の冊子状の通帳であり、入金、出金、振込、振替、送金、定期性預金設定等の金融取引の記録が印刷されるものである。なお、前記通帳の表紙又は裏表紙には、利用者の氏名、口座番号等の情報を記憶する磁気ストライプを備える。さらに、前記情報を記憶する記憶手段は、前記磁気ストライプの代わりに、通帳に埋め込まれたICであってもよい。
【0026】
また、前記通帳処理部15は通帳が挿入される通帳挿入返却口15aを備える。該通帳挿入返却口15a内には、通帳を搬送する図示されない搬送装置、通帳に前記金融取引の記録を印刷する印字ヘッド、及び、通帳の磁気ストライプやICに格納された情報の読取、上書、消去等を行うための磁気ヘッドやIC接点等が配設されている。
【0027】
さらに、前記自動取引装置10は、取引内容が印刷された明細票を発行するレシート処理部13を備える。前記明細票は、入金、出金、残高照会、振込、振替、送金、定期性預金設定等の顧客が行った金融取引に関する情報が印刷される紙片であり、口座番号、金融取引の種類、取引金額等が印刷される。なお、前記明細票は、利用者が希望したときだけに発行されるようにしてもよい。
【0028】
そして、16は、紙幣入出金部であり、利用者によって入金される紙幣を真偽鑑別、計数し、図示されない一時貯留部に貯留し、該一時貯留部から繰り出して搬送して図示されない金種別保管金庫に収納し、又は、利用者に支払われる紙幣を金種別保管金庫より繰り出すものである。さらに、17は、硬貨入出金部であり、利用者によって入金される硬貨を真偽鑑別、計数し、搬送して図示されない金種別保管金庫に収納し、又は、利用者に支払われる硬貨を金種別保管金庫より繰り出すものである。
【0029】
なお、16aは、前記紙幣入出金部16の紙幣入出金口であり、利用者が投入した紙幣を受け付けるための紙幣入金口及び利用者に紙幣を引き渡すための紙幣出金口として機能する。また、17aは、前記硬貨入出金部17の硬貨入出金口であり、利用者が投入した硬貨を受け付けるための硬貨入金口及び利用者に硬貨を引き渡すための硬貨出金口として機能する。
【0030】
次に、前記構成の自動取引装置10の動作について説明する。
【0031】
図1は本発明の第1の実施の形態における暗証番号入力画面の例を示す図である。
【0032】
ここでは、利用者が出金取引を行う場合の自動取引装置10の動作について説明する。なお、自動取引装置10のメモリ部22には、通常の出金取引における紙幣の引き渡しの際の処理に変更を加えた出金取引処理とその他の通常の取引処理とを実行するための「業務実行プログラム」があらかじめ記憶されているものとする。そして、金融機関等の係員が始業時等に自動取引装置10の電源を投入すると、自動取引装置10の各部へ電力が供給される。これにより、自動取引装置10のメモリ部22に記憶されている「業務実行プログラム」が自動的に起動される。
【0033】
そして、「業務実行プログラム」が起動すると、自動取引装置10の主制御部11は、入力表示制御部として機能し、入力表示部40に、取引選択画面を表示させて待機する。該取引選択画面には、取引ボタンの押下を促す旨の文言、及び、出金取引を選択するためのボタン、入金取引を選択するためのボタン、振込取引を選択するためのボタン、振替取引を選択するためのボタン、口座残高を照会する残高照会取引を選択するためのボタン、通帳に未記入の取引データを記入する通帳記入取引を選択するためのボタン等の各種金融取引を選択するための取引ボタンが表示されている。
【0034】
ここでは、利用者が入力表示部40の画面から出金取引を選択し、該当するボタンを押下したものとする。
【0035】
続いて、主制御部11は、利用者の選択した取引を入力表示部40のタッチパネルからの位置信号等によって認識すると、出金取引が選択されたか否かを判断する。そして、出金取引が選択されていない場合には入金取引が選択されたか否かを判断する。そして、入金取引が選択されている場合には入金取引処理を実行し、選択されていない場合には振込取引が選択されたか否かを判断する。そして、振込取引が選択されている場合には振込取引処理を実行し、選択されていない場合には他の取引処理を実行して終了する。なお、入金取引処理、振込取引処理及び他の取引処理についての説明は、省略する。
【0036】
また、出金取引が選択されたか否かを判断して出金取引が選択されている場合、主制御部11はカードの取り込みを行う。この場合、主制御部11は、入力表示部40に、キャッシュカード34の挿入を促す文言、前記キャッシュカード34のイラスト及び取引を中止するための取消ボタンが表示されているカード挿入依頼画面を表示する。
【0037】
そして、利用者は、カード挿入依頼画面に従ってキャッシュカード34をカード処理部12のカード挿入返却口12aに挿入する。すると、カード処理部12は、キャッシュカード34を取り込み、その磁気ストライプに記録されている口座番号等のカード情報を読み取る。
【0038】
なお、利用者が取引を中止するための取消ボタンを押下した場合、主制御部11は、出金取引処理を終了させ、元に戻って入力表示部40に取引選択画面を表示させて待機する。なお、キャッシュカード34がカード挿入返却口12aに挿入されている場合は、キャッシュカード34が排出されて利用者に返却される。
【0039】
続いて、カード情報を読み取った主制御部11は、入力表示部40に、図1に示されるような暗証番号入力画面41を表示させ、利用者に暗証番号の入力を促す。前記暗証番号入力画面41には、真正な暗証番号入力キーとしての真正数字キー42、数字以外の文字から成る非数字文字列43、及び、ダミー入力キーとしてのダミー数字キー44から成る文字列が表示される。なお、真正数字キー42及びダミー数字キー44は、0から9までの各数字を示すキーをそれぞれ含んでいる。また、ダミー数字キー44は、真正数字キー42とは異なるフォントサイズで表示される。
【0040】
図1に示される例においては、4行の文字列が表示され、かつ、各行が真正数字キー42、非数字文字列43及びダミー数字キー44のすべてを含むように構成されている。そして、第1行の文字列は、例えば、「12月の12日は毎年感謝デーです!」である。該文字列において、「12月」の数字「12」は真正数字キー42から成り、「12日」の数字「12」はダミー数字キー44から成る。この場合、該ダミー数字キー44から成る「12日」の数字「12」が、真正数字キー42とは異なるフォントサイズ(図1に示される例においては、より大きなフォントサイズ)で表示されるので、利用者は、ダミー数字キー44であることを確実に認識することができる。なお、前記4行の文字列における真正数字キー42、非数字文字列43及びダミー数字キー44の配置は、暗証番号入力画面41が表示される度に変更される。
【0041】
そして、利用者は、前記4行の文字列を読み、そこに含まれる真正数字キー42を識別し、暗証番号に該当する真正数字キー42を押下することによって暗証番号を入力する。なお、利用者が誤ってダミー数字キー44を押下した場合には、暗証番号の入力無効として取り扱われるようになっている。この場合、例えば、押下されたダミー数字キー44が反転表示されることによって、ダミー数字キー44であることを利用者に認識させることができる。
【0042】
なお、前記暗証番号入力画面41には、入力の間違いを訂正するための訂正ボタン、暗証番号の入力を確定するための確認ボタン、取引を中止するための取消ボタン等が表示されていてもよい。この場合、利用者は、真正数字キー42を押下することによって暗証番号を入力した後に、確認のために確認ボタンを押下する。
【0043】
続いて、暗証番号の入力を認識した主制御部11は、入力表示部40に、出金金額入力画面を表示させ、利用者に出金金額の入力を促す。出金金額入力画面には、出金金額の入力を促す旨の文言、出金金額入力欄、出金金額の入力のためのテンキー、「万」等の桁(けた)キー、入力の間違いを訂正するための訂正ボタン、出金金額の入力を確定するための確認ボタン、取引を中止するための取消ボタン等が表示されている。そして、利用者は、テンキーを操作することによって出金金額を入力し、確認ボタンを押下する。
【0044】
続いて、出金金額の入力を認識した主制御部11は、入力表示部40に、待機依頼画面を表示させるとともに、ホストコンピュータ31との間で交信を行う。この場合、主制御部11は、キャッシュカード34のカード情報に入力された暗証番号、支払金額等を添付して取引電文を作成し、該取引電文をネットワーク32を介してホストコンピュータ31へ送信し、暗証番号及び支払金額に問題がないか否かを問い合わせる。
【0045】
すると、取引電文を受信したホストコンピュータ31は、管理している顧客情報を参照しながら問題の有無を判定して取引の可否を判断し、判断の結果を取引可否電文として主制御部11へ返信する。
【0046】
続いて、該主制御部11は、受信した取引可否電文に基づいて暗証番号及び支払金額に問題がないか否か、すなわち、取引の可否を判断する。そして、暗証番号及び支払金額に問題がある場合、取引不可として、主制御部11は、入力表示部40に、カード受取依頼画面を表示させ、利用者にキャッシュカード34の受取を促す。カード受取依頼画面には、キャッシュカード34の受取を促す文言及びキャッシュカード34のイラストが表示される。また、カード処理部12は、カード挿入返却口12aからキャッシュカード34を排出する。そして、利用者がキャッシュカード34を受け取ったことを確認すると、主制御部11は出金取引処理を終了する。
【0047】
また、取引の可否を判断して取引可である場合、主制御部11は、入力表示部40に待機依頼画面を表示する。一方、紙幣入出金部16は紙幣を計数する。すなわち、入力された出金金額に応じた金種を選定し、当該金種の紙幣金庫から分離機構により1枚毎に紙幣を繰り出して紙幣鑑別部へ搬送し、当該紙幣の金種を鑑別して計数し、紙幣入出金口16aへ搬送する。そして、分離集積機構によって、前記紙幣入出金口16aに支払金額に相当する紙幣を集積する。
【0048】
これと並行して、主制御部11は、取引内容等を基に印刷データを作成してレシート処理部13へ送る。すると、該レシート処理部13は明細票に印刷データを印刷する。そして、主制御部11は、入力表示部40に、カード明細票受取依頼画面を表示させ、利用者にキャッシュカード34及び明細票の受取を促す。カード明細票受取依頼画面には、キャッシュカード34及び明細票の受取を促す文言と、キャッシュカード34及び明細票のイラストが表示される。そして、カード処理部12は、カード挿入返却口12aからキャッシュカード34を排出して返却する。また、レシート処理部13は、明細票を発行する。
【0049】
続いて、利用者がキャッシュカード34等を受け取ったことを確認した主制御部11は、入力表示部40に、シャッタ開放指示画面を表示し、利用者にシャッタ開ボタンの押下を促す。シャッタ開放指示画面には、紙幣の受取方法、及び、紙幣入出金口16aのシャッタの開放指示を行うためのシャッタ開ボタンが表示される。
【0050】
続いて、主制御部11は、シャッタの開放指示があるか否かの判断を繰り返して、利用者がシャッタ開ボタンを押下して紙幣入出金口16aのシャッタの開放を指示するまで待機する。そして、利用者がシャッタ開ボタンを押下すると、主制御部11は、入力表示部40に、紙幣受取依頼画面を表示させ、利用者に紙幣の受取を促すとともに、紙幣入出金口16aのシャッタを開放する。
【0051】
続いて、紙幣入出金口16aのシャッタを開放した主制御部11は、紙幣の抜き取りが完了したか否かの判断を繰り返して、利用者が紙幣入出金口16aに集積された紙幣を抜き取るまで待機する。
【0052】
そして、紙幣の抜き取りが完了すると、主制御部11は、入力表示部40に、取引終了画面を表示させるとともに、紙幣入出金口16aのシャッタを閉止して、出金取引処理を終了する。
【0053】
このように、本実施の形態においては、暗証番号入力画面41に、真正数字キー42、非数字文字列43及びダミー数字キー44から成る文字列が表示されるので、第三者は、真正数字キー42のいずれが選択されて暗証番号の入力が行われたのかを視認することができない。また、ダミー数字キー44が押下された場合には、暗証番号の入力無効として取り扱われるようになっている。そのため、第三者による暗証番号の把握を確実に防止することができ、セキュリティを高くすることができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、真正数字キー42とダミー数字キー44とを利用者が識別し得るように、真正数字キー42及びダミー数字キー44を相違するフォントサイズで表示する例についてのみ説明したが、真正数字キー42及びダミー数字キー44を相違するフォントタイプで表示してもよいし、相違する色で表示してもよい。
【0055】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0056】
図5は本発明の第2の実施の形態における暗証番号入力画面の例を示す図である。
【0057】
本実施の形態においては、暗証番号入力画面41における文字列の表示態様が前記第1の実施の形態と相違する。なお、その他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0058】
図5に示されるように、暗証番号入力画面41には、真正数字キー42、非数字文字列43及びダミー数字キー44から成る文字列に加えて、ダミー数字キー44が含まれる文字列であることを示す表示としてのダミー指示表示45が表示される。なお、真正数字キー42及びダミー数字キー44は、0から9までの各数字を示すキーをそれぞれ含んでいる。また、前記ダミー指示表示45は、ダミー数字キー44が含まれる文字列であることを示す非数字文字列43から成り、例えば、「ダミー文章」等のように表示される。なお、本実施の形態において、真正数字キー42及びダミー数字キー44は、互いに同一のフォントサイズ、フォントタイプ及び色で表示される。
【0059】
図5に示される例においては、4行の文字列が表示され、かつ、第1〜第3行が真正数字キー42と非数字文字列43とから成り、第4行、すなわち、最下行がダミー数字キー44と非数字文字列43とから成るように構成されている。すなわち、最下行のみがダミー数字キー44を含むように構成される。そして、最下行には、ダミー指示表示45が付加される。
【0060】
この場合、第1行の文字列は、例えば、「12階東側の第3会議室です。」である。該文字列において、すべての数字は真正数字キー42から成る。第2及び第3行の文字列においても、同様に、すべての数字は真正数字キー42から成る。
【0061】
また、最下行の文字列は、例えば、「このアパートの903号室の住民。」であり、その後に「ダミー文章」等のダミー指示表示45が付加される。最下行の文字列において、すべての数字はダミー数字キー44から成る。なお、前記ダミー指示表示45は、最下行の文字列内に一体的に含まれるようにしてもよい。例えば、最下行の文字列を「この文章はダミーです903。」とすることもできる。
【0062】
このように、ダミー数字キー44を含む行にはダミー指示表示45が付加されるので、真正数字キー42及びダミー数字キー44が互いに同一のフォントサイズ、フォントタイプ及び色で表示されても、利用者は、当該行に含まれる数字がダミー数字キー44であることを確実に認識することができる。なお、前記4行の文字列における真正数字キー42、非数字文字列43、ダミー数字キー44及びダミー指示表示45の配置は、暗証番号入力画面41が表示される度に変更される。
【0063】
そして、利用者は、前記4行の文字列を読み、そこに含まれる真正数字キー42を識別し、暗証番号に該当する真正数字キー42を押下することによって暗証番号を入力する。なお、利用者が誤ってダミー数字キー44を押下した場合には、暗証番号の入力無効として取り扱われるようになっている。この場合、例えば、押下されたダミー数字キー44が反転表示されることによって、ダミー数字キー44であることを利用者に認識させることができる。
【0064】
このように、本実施の形態においては、真正数字キー42及びダミー数字キー44が互いに同一のフォントサイズ、フォントタイプ及び色で表示されるので、第三者にとって、真正数字キー42とダミー数字キー44との識別が困難である。そのため、第三者による暗証番号の把握を確実に防止することができ、セキュリティを高くすることができる。
【0065】
なお、本実施の形態においては、ダミー数字キー44を含む行にダミー指示表示45を付加する例について説明したが、ダミー数字キー44が含まれることを示す特別な文字、例えば、?をダミー数字キー44を含む行に含ませるようにしてもよい。すなわち、ダミー数字キー44を含む行を、例えば、「?????903???」と表示してもよい。
【0066】
また、文字列を流動表示してもよい。この場合、文字列が流動しているので、利用者が暗証番号に該当する真正数字キー42を押下するタイミングによって押下する位置が変化し、覗(のぞ)き見による暗証番号の把握がより困難になる。
【0067】
さらに、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態における暗証番号入力画面の例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の外観を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置のシステムの構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における暗証番号入力画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 自動取引装置
11 主制御部
40 入力表示部
42 真正数字キー
44 ダミー数字キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)暗証番号入力キーを表示可能な入力表示部と、
(b)該入力表示部の動作を制御する入力表示制御部とを有し、
(c)前記入力表示部は、暗証番号入力キーとともにダミー入力キーを表示し、
(d)前記暗証番号入力キーが押下されると暗証番号の入力として取り扱い、前記ダミー入力キーが押下されると暗証番号の入力無効として取り扱うことを特徴とする暗証番号入力表示装置。
【請求項2】
前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、相違するフォントサイズ、フォントタイプ又は色で表示される請求項1に記載の暗証番号入力表示装置。
【請求項3】
前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、同一のフォントサイズ、フォントタイプ及び色で表示される請求項1に記載の暗証番号入力表示装置。
【請求項4】
(a)入力表示部に暗証番号入力キーとともにダミー入力キーを表示し、
(b)前記暗証番号入力キーが押下されると暗証番号の入力として取り扱い、前記ダミー入力キーが押下されると暗証番号の入力無効として取り扱うことを特徴とする暗証番号入力表示方法。
【請求項5】
前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、相違するフォントサイズ、フォントタイプ又は色で表示される請求項4に記載の暗証番号入力表示方法。
【請求項6】
前記暗証番号入力キーとダミー入力キーとは、同一のフォントサイズ、フォントタイプ及び色で表示される請求項4に記載の暗証番号入力表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−204409(P2008−204409A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43067(P2007−43067)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】