更生管の製管方法
【課題】施工区間の両方のマンホールを開放することができない場合であっても、開放された一方のマンホールを通して製管機に帯状部材および動力を供給して更生管を円滑に製管する。
【解決手段】互いに隣接する帯状部材100の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機1を既設管K内に設置する一方、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dおよび動力ユニットGを一方のマンホールM1側の地上に設置する。そして、動力ユニットGからの油圧配管Pを、輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材100の内方を通過させ、接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続する。
【解決手段】互いに隣接する帯状部材100の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機1を既設管K内に設置する一方、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dおよび動力ユニットGを一方のマンホールM1側の地上に設置する。そして、動力ユニットGからの油圧配管Pを、輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材100の内方を通過させ、接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管などの既設管を更生する更生管の製管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、老朽化した既設管を更生するため、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に供給するとともに、隣接する帯状部材の接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を付加形成することが実施されている。例えば、特許文献1,2に記載されるように、既設管内に製管機を設置するとともに、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を地上に設置し、輸送用巻重体から螺旋状に引き出された帯状部材を既設管内の製管機に供給し、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する帯状部材の接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3072015号公報
【特許文献2】特許第3035466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した製管機による更生管の製管方法においては、帯状部材の輸送用巻重体を発進マンホールの地上に設置する一方、発電機を到達マンホールの地上に設置するとともに、既設管内に電動モータおよび電動モータで駆動される油圧ポンプからなる油圧ユニットを設置し、発電機と油圧ユニットの電動モータを電源ケーブルを介して接続する一方、油圧ユニットの油圧ポンプと製管機における接合機構の油圧モータとを油圧配管を介して接続している。これにより、螺旋状の帯状部材と油圧モータに圧油を供給する油圧配管とを異なるマンホールを通して供給することができるため、螺旋状の帯状部材および油圧配管が絡まることはなく、円滑に製管作業を行うことができる。
【0005】
ここで、製管機は、既設管の軸心回りに回転するため、油圧ユニットからの油圧配管は、回転継手を介して油圧モータに接続されている。
【0006】
しかしながら、現場によっては、施工区間の交通事情、例えば、マンホールが交差点にあるなどの理由から、発進マンホールおよび到達マンホールの両方を開放することができない場合がある。この場合は、実際の施工区間よりも遠方の別のマンホールを開放し、そのマンホールを通して帯状部材を引き入れて製管作業を行う必要があり、通常の製管作業に比較してより多くの作業員を配置する必要があることから、コストがかさむという問題があった。
【0007】
また、別案としては、事前に発進マンホールから到達マンホールまで油圧配管を敷設して、発進マンホールまで折り返した後、油圧配管を更生管の外周側に配置するように製管作業を行い、製管作業後に油圧配管を引き抜く、あるいは、埋め殺すことも提案されている。しかしながら、この方法では、油圧配管が引っかかって切断するトラブルが発生したり、油圧配管を埋め殺すため、完全なモルタル層に比較して強度低下が懸念され、顧客の理解が得にくいなどの問題がある。
【0008】
なお、帯状部材の輸送用巻重体とともに、発電機および油圧ユニットを発進マンホール側の地上に設置し、油圧配管を既設管内に引き込み、製管機の油圧モータに回転継手を介して接続して製管作業を行うときには、既設管の軸心回りに製管機が回転することに伴って、製管機に螺旋状に供給される帯状部材の外周に油圧配管が巻きつくことから、早晩製管不能に陥る。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、施工区間の両方のマンホールを開放することができない場合であっても、開放された一方のマンホールを通して製管機に帯状部材および動力を供給して更生管を円滑に製管することのできる更生管の製管方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、動力ユニットを一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、接合機構を有する製管機を既設管内に設置する一方、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、動力ユニットを一方のマンホール側の地上に設置する。そして、輸送用巻重体から帯状部材を螺旋状に引き出し、一方のマンホールから、または、一方のマンホールを経て既設管内に引き入れ、製管機の接合機構に供給する。また、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続する。この状態で接合機構のモータを回転駆動すれば、接合機構は、帯状部材を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動する。すなわち、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する。
【0012】
この際、接合機構のモータに動力を供給する動力供給ラインは、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体の中空部を通過するとともに、輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過し、回転継手を介して接合機構のモータに接続されていることから、製管機が既設管の軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材との相対的な位置関係が変化することはない。したがって、動力供給ラインが帯状部材と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0013】
なお、動力供給ラインは、回転継手に接続されているため、製管機の回転に連動して回転することはなく、動力供給ラインに捩れが発生することはない。
【0014】
本発明は、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機をマンホール内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材をマンホール内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する一方、製管機または更生管を更生管の付加形成方法とは逆方向に牽引または押圧して既設管内に挿入する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体および動力ユニットを、製管機を設置する一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、接合機構を有する製管機を一方のマンホール内に設置する一方、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体および動力ユニットを、製管機を設置する一方のマンホール側の地上に設置する。そして、輸送用巻重体から帯状部材を螺旋状に引き出し、一方のマンホール内において、製管機の接合機構に供給する。また、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続する。この状態で接合機構のモータを回転駆動すれば、接合機構は、帯状部材を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動する。すなわち、一方のマンホール内において、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成し、合わせて、製管機または更生管を更生管の付加形成方法とは逆方向に牽引または押圧して既設管内に挿入する。
【0016】
この際、接合機構のモータに動力を供給する動力供給ラインは、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体の中空部を通過するとともに、輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過し、回転継手を介して接合機構のモータに接続されていることから、製管機が既設管の軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材との相対的な位置関係が変化することはない。したがって、動力供給ラインが帯状部材と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0017】
なお、動力供給ラインは、回転継手に接続されているため、製管機の回転に連動して回転することはなく、動力供給ラインに捩れが発生することはない。
【0018】
本発明において、動力ユニットが発電ユニットおよび油圧ユニットからなり、接合機構のモータが油圧モータであることが好ましい。これにより、発電ユニットのエンジンを介して発電機を駆動するとともに、発電された電力で油圧ユニットの電動モータを介して油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプから吐出された圧油を油圧配管および回転継手を介して接合機構の油圧モータに供給し、油圧モータを回転駆動させることができ、油圧による大きな回転トルクを得ることができる。
【0019】
本発明において、動力ユニットが発電ユニットであり、接合機構のモータが電動モータであることが好ましい。これにより、エンジンを介して発電機を駆動し、発電された電力を電源ケーブルおよび回転継手を介して接合機構の電動モータに供給して電動モータを回転駆動させることができ、往復一対の油圧配管を利用して圧油を供給し、還流させる場合に比較して、取り扱いが容易となる。
【0020】
本発明は、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、発電機を一方のマンホール側の地上に設置し、また、油圧ユニットを既設管内に設置し、発電機の電源ケーブルを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて油圧ユニットに直接または変圧器を介して接続するとともに、油圧ユニットの油圧配管を接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続することを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、接合機構を有する製管機を既設管内に設置する一方、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、発電機を一方のマンホール側の地上に設置する。また、油圧ユニットを既設管内に設置する。そして、輸送用巻重体から帯状部材を螺旋状に引き出し、一方のマンホールから、または、一方のマンホールを経て既設管内に引き入れ、製管機の接合機構に供給する。また、発電機からの電源ケーブルを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させ、油圧ユニットの電動モータに直接または変圧器を介して接続する。さらに、油圧ユニットの油圧ポンプからの油圧配管を接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続する。この状態で接合機構の油圧モータを回転駆動すれば、接合機構は、帯状部材を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動する。すなわち、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する。
【0022】
この際、発電機からの電源ケーブルは、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体の中空部を通過するとともに、輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過し、油圧ユニットの油圧ポンプを駆動する電動モータへ直接または変圧器を介して接続されていることから、製管機が既設管の軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材との相対的な位置関係が変化することはない。したがって、電源ケーブルが帯状部材と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0023】
ただし、接合機構の油圧モータおよび既設管内に設置された油圧ユニットの油圧ポンプは、油圧配管を介して接続されているため、製管機の回転に伴って油圧配管が油圧ユニットに接続された電源ケーブルに絡みつくことになる。このため、一定長さ製管作業を行った後、製管作業を中断し、油圧ユニットまたは回転継手に対する油圧配管の接続を解除して、電源ケーブルに対する油圧配管の絡みを取り除く縒り戻し作業が必要となる。
【0024】
なお、油圧配管は、回転継手に接続されているため、製管機の回転に連動して回転することはなく、油圧配管そのものに捩れが発生することはない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、施工区間の両方のマンホールを開放することができない場合であっても、開放された一方のマンホールを通して製管機に帯状部材および動力を供給して更生管を円滑に製管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の更生管の製管方法に用いられる帯状部材の一例を示す断面図である。
【図2】図1の帯状部材の接合工程を説明する断面図である。
【図3】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する工程図である。
【図4】本発明の更生管の製管方法を実施する製管機の斜視図である。
【図5】図4の製管機の正面図である。
【図6】図4の製管機を構成する成形フレームのリンク体を説明する正面図および平面図である。
【図7】図4の製管機を構成する接合機構が取り付けられた成形フレームのリンク体を説明する平面図である。
【図8】図4の製管機を構成する接合機構を示す側面図である。
【図9】本発明の更生管の製管方法の一実施形態の変形例を説明する概略図である。
【図10】本発明の更生管の製管方法の一実施形態の他の変形例を説明する工程図である。
【図11】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する工程図である。
【図12】帯状部材の変形例を示す断面図および接合状態を一部省略して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
まず、本発明の更生管の製管方法の実施形態を説明するのに先立って、使用される帯状部材100および製管機1について説明する。
【0029】
帯状部材100は、図1に示すように、可撓性を有する合成樹脂、例えば、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを押出成形して形成され、中空円筒状に巻き重ねられて輸送用巻重体D(図3参照)に形成されて現場に輸送される。この帯状部材100は、帯板状の基板101の裏面に複数本(実施例においては3本)の断面T字状の補強リブ102が先端を基板101と平行に位置して設けられている。そして、基板101の一方の側縁部の裏面には接合凸部103が立設されている。また、基板101の他方の側縁部は、接合凸部103が設けられた基板101の側縁部が配置されるように、基板101の厚みだけ裏面側に段落ちした段落ち部104に形成されており、その段落ち部104に接合凸部103が嵌入し得る接合凹部105が設けられている。この接合凹部105には、基板101から離れるにつれて接合凹部105の突出側に位置するように傾斜された傾斜リブ106が形成されており、傾斜リブ106の先端が帯状部材100の一方の側縁部を形成している。
【0030】
このような帯状部材100は、基板101の裏面側、すなわち、補強リブ102などが立設された側が外周側になるように後述する製管機1に供給され、その接合過程において、図2(a),(b)に示すように、互いに隣接する2つの帯状部材100,100のうち、一方の帯状部材100の接合凸部103を、他方の帯状部材100の接合凹部105に内側(先行する帯状部材100の内周側)から嵌め込むことにより、これらの隣接する帯状部材100,100を相互に接合して所定の管径の更生管S(図3、図4参照)を製管することができる。
【0031】
この際、後続する帯状部材100の接合凸部103を設けた基板101の側縁部が先行する帯状部材100の段落ち部104に配置されるとともに、後続する帯状部材100の接合凸部103が設けられた側の補強リブ102が先行する帯状部材100の傾斜リブ106に係止される。
【0032】
次に、製管機1について図4および図5に基づいて説明する。
【0033】
この製管機1は、帯状部材100を螺旋状に案内する成形フレーム2と、成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、成形フレーム2に取り付けられ、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合する接合機構4とから構成されている。
【0034】
成形フレーム2は、図6に示すように、内方リンクフレーム22および外方リンクフレーム23を連結軸24を介して回動自在に連結してなる複数個のリンク体21からなり、これらの複数個のリンク体21を順に連結して略環状に形成したものである。
【0035】
ここで、各リンク体21を構成する内方リンクフレーム22および外方リンクフレーム23は、前後に対向する一対のリンクプレート221,231と、これらの対向する一対のリンクプレート221,231の一端部間に架設された連結プレート222,232とから形成されている。そして、内方リンクフレーム22における一対のリンクプレート221,221の各他端部に、外方リンクフレーム23における一対のリンクプレート231,231の各他端部をそれぞれ重ね合わせ、それらを連結軸24を介して回転自在に連結することにより、リンク体21を形成する。
【0036】
また、隣接するリンク体21,21は、リンクフレーム22,23の連結プレート222,232およびリンクフレーム22,23の連結プレート222,232を適宜突き合わせ、ボルトナットを介して着脱自在に連結されている。
【0037】
ただし、成形フレーム2を直線状に形成できるように、特定の隣接する一対のリンク体21,21間が着脱できるならば、残りの連結プレート222,232については、溶接などによって着脱不能に固定してもかまわない。
【0038】
さらに、内方リンクフレーム22の一対のリンクプレート221,221の各他端部には、回動規制片26を設ける一方、外方リンクフレーム23の一対のリンクプレート231,231の各他端部には、前述した回動規制片26に対応する切欠部27を連結軸24の回転中心を中心とする設定半径上の一定範囲にわたって形成している。これにより、内方リンクフレーム22に対する外方リンクフレーム23の回動を、内方リンクフレーム22の回動規制片26と外方リンクフレーム23の切欠部27とが当接するまでの設定角度範囲に規制し、リンク体21の内方リンクフレーム22および外方リンクフレーム23が内方あるいは外方に屈曲することを防止している。
【0039】
案内ローラ3は、各リンク体21の連結軸24にそれぞれ回転自在に設けられている。ここで、案内ローラ3は、合成樹脂または金属よりなり、軸受25を介して連結軸24回りに回転自在に支持され、帯状部材100の平坦な内面、すなわち、更生管Sの内周面に接触する。
【0040】
さらに、案内ローラ3は、既設管K内において、接合機構4によって互いに接合された隣接する帯状部材100,100から製管された更生管Sの内周面に接触して周回移動しつつ製管機1を既設管Kの軸心方向に移動させるために、更生管Sを構成する帯状部材100に対し直角となるように配置されている。この案内ローラ3を更生管Sを構成する帯状部材100に対し直角となるように配置するには、例えば、成形フレーム2の、接合機構4に隣接する一対のリンク体21,21同士の連結部において、一方のリンク体21を他方のリンク体21に対して管軸方向に移動させ、移動させた状態でそれぞれ接合機構4に固定すればよい。
【0041】
なお、リンク体21のうち、接合機構4が取り付けられるリンク体21については、案内ローラ3に代えて後述する製管ローラ42が設けられている他、製管機1の回転方向に対して接合機構4の後方となるリンク体21については、帯状部材100の供給に際して干渉しないように、接合機構4が取り付けられるリンク体21よりも帯状部材100の幅だけ更生管Sの形成方向とは反対方向に偏位されている(図7参照)。
【0042】
接合機構4は、図8に示すように、製管ローラ42および駆動ローラ43が組になったピンチローラ41と、成形フレーム2におけるリンク体21の外方リンクフレーム23に固定された歯車箱44の歯車441,442,443を介してピンチローラ41を回転させる油圧モータ45とからなり、製管ローラ42の回転軸および駆動ローラ43の回転軸は、更生管Sのリード角に対して軸線方向が直交するように配置されて、油圧モータ45の出力軸とともにそれぞれ歯車箱44に回転自在に支持されている。そして、油圧モータ45を回転駆動することにより、その出力軸、製管ローラ42の回転軸および駆動ローラ43の回転軸にそれぞれ固定されて互いに噛み合う歯車441,442,443を介して製管ローラ42および駆動ローラ43を互いに逆方向に回転させ、製管ローラ42および駆動ローラ43の間に帯状部材100を挟み込んで送り出すように回転方向が設定されている。
【0043】
ここで、製管ローラ42は、帯状部材100の幅寸法のほぼ2倍程度の長さを有して鋼などによって円筒状に形成され、先行する螺旋状の帯状部材100と、後続する螺旋状の帯状部材100とが接合されて互いに隣接する帯状部材100,100による更生管Sの平滑な内周面に外周面が接触して回転するように外径が設定されている。
【0044】
また、駆動ローラ43は、先行する螺旋状の帯状部材100と、後続する螺旋状の帯状部材100とが接合されて互いに隣接する帯状部材100,100において、各帯状部材100の補強リブ102,102間に配置されるように、帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間に挿入可能な幅を有して複数個設けられており、その外周面と製管ローラ42の外周面との間に帯状部材100の基板101の厚みに相当する間隔を有するように外径が設定されている。したがって、駆動ローラ43の外周面は、各帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間において、互いに接合された隣接する帯状部材100,100による更生管Sの外周面となる側の帯状部材100の裏面に接して回転する。
【0045】
さらに、駆動ローラ43の外周面には、ローレット加工が施されており、接合された隣接する帯状部材100,100に対して滑ることなく回転する。
【0046】
また、油圧モータ45は、発電ユニットおよび油圧ユニットからなる動力ユニットGから供給される圧油によって駆動される。すなわち、動力ユニットGは、詳細には図示しないが、発電ユニットのエンジンを介して発電機が駆動される一方、発電機によって発生した電力によって油圧ユニットの電動モータが駆動されるとともに、電動モータを介して油圧ポンプが駆動され、発生した圧油が油圧配管P、例えば、フレキシブルホースを介して油圧モータ45に供給されるようになっている。この場合、動力ユニットGから延びる油圧配管Pは、回転継手46(図4参照)を介して油圧モータ45に接続されており、製管機1の周回移動(公転)に影響なく圧油を供給することができる。
【0047】
次に、このように構成された製管機1を用いて既設管Kを更生する施工手順について説明する。
【0048】
まず、既設管Kには所定スパンごとにマンホールが設けられているが、この例では一方のマンホールM1は開放されているものの、他方のマンホールM2は閉鎖されており、開放された一方のマンホールM1を施工対象領域(更生領域)の発進マンホールとし、既設管K内に更生管Sを他方のマンホールM2に向けて製管する場合を説明する。
【0049】
施工前の準備として、更生管Sの製管には、図1に示した帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体D(回転台付き)、製管機1、動力ユニットGなどを用意し、輸送用巻重体D、動力ユニットGを一方のマンホールM1側の地上に配置する。また、製管機1は、一方のマンホールM1を通して更生対象となる既設管K内に搬入して設置する。その際、製管機1は、案内ローラ3を設けた成形フレーム2、接合機構4に分解されて搬入され、その後組み立てられる。
【0050】
なお、成形フレーム2については、隣接する一対のリンク体21,21の連結部の連結を外し、複数個のリンク体21を1本の列にして搬入し、再び隣接する一対のリンク体21,21の連結部を連結して略環状に形成する。
【0051】
また、製管機1については、製管する更生管Sの管径に合わせて、成形フレーム2の周長(リンク体21の数)を調整しておく。
【0052】
さらに、製管機1は、更生する既設管Kの内径および使用する帯状部材100の幅に対応する螺旋ピッチとなるように調整しておく。
【0053】
このような準備作業が完了すれば、地上に配置した輸送用巻重体Dの内周側から帯状部材100を引き出して一方のマンホールM1を経て既設管K内に引き込み、製管機1における接合機構4のピンチローラ41に挿通し、成形フレーム2に設けた案内ローラ3の外側に送り出す。
【0054】
次いで、案内ローラ3の外側に送り出された帯状部材100を既設管Kの内周面との間に挟み込んだ状態で製管機1を既設管Kの軸心回りに回転させ、帯状部材100を成形フレーム2の周囲に数回(1〜3回)巻き回し、開始用更生管Saを製管する。この際、製管機1、すなわち、接合機構4が周回移動することにより、先行する螺旋状の帯状部材100の接合凹部105に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103を内周側から嵌入するとともに、先行する螺旋状の帯状部材100の段落ち部104に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103が設けられた基板101の側縁部を配置し、さらに、先行する螺旋状の帯状部材100の傾斜リブ106に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103が設けられた側の補強リブ102を係止させて、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合する。
【0055】
開始用更生管Saの製管が完了したならば、動力ユニットGからの油圧配管Pを輸送用巻重体Dの中空部を通過させるとともに、輸送用巻重体Dから引き出されて螺旋状に延びる帯状部材100の内方を通過させ、既設管Kの更生領域中程まで引き出した後、折り返して製管機1における接合機構4の回転継手46に接続する。
【0056】
油圧配管Pを接続すれば、製管機1の接合機構4を駆動する。これにより、接合機構4の油圧モータ45が回転駆動してピンチローラ41を回転させ、製管ローラ42および駆動ローラ43は帯状部材100を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材100に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動(公転)する。すなわち、接合機構4が駆動するとき、製管機1は更生管Sの軸心を中心として公転する。
【0057】
この際、ピンチローラ41の回転によって周回移動する成形フレーム2、案内ローラ3に案内されて開始用更生管Saに隣接するように相対的に送り込まれた帯状部材100は、その接合凸部103を開始用更生管Saの帯状部材100の接合凹部105に内周側から嵌入させるとともに、開始用更生管Saの帯状部材100の段落ち部104に後続の帯状部材100の後端側側縁部を配置し、さらに、開始用更生管Saの帯状部材100の傾斜リブ106に後続の帯状部材100の後端側の補強リブ102を係止させて隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合して更生管Sを製管する(図2(b)参照)。
【0058】
このように、接合機構4のピンチローラ41は、先行する螺旋状の帯状部材100に後続する螺旋状の帯状部材100を接合して更生管Sを製管しつつ既設管Kの内周面に沿って周回移動することから、結局、製管機1は、帯状部材100を更生管Sに製管し、その際、周方向に移動(公転)するとともに、他方のマンホールM2に向けて既設管K内を移動する。
【0059】
すなわち、製管機1に供給された帯状部材100は、接合機構4のピンチローラ41によって隣接する帯状部材100,100が互いに接合されて更生管Sに製管されるとともに、製管された更生管Sは回転することなく既設管Kに配置され、その更生管Sの他方のマンホールM2側に新たに螺旋状の帯状部材100が供給されて更生管Sが他方のマンホールM2に向けて既設管Kの軸心方向に付加形成される。
【0060】
この際、油圧配管Pは、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給される螺旋状の帯状部材100の内方を通過し、接合機構4の回転継手46に接続されている。したがって、油圧配管Pは、製管機1が既設管Kの軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材100との相対的な位置関係は変化しないことから、帯状部材100と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0061】
なお、油圧配管Pは、回転継手46に接続されているため、製管機1の回転に連動して回転することはなく、油圧配管Pに捩れが発生することはない。
【0062】
既設管Kの施工対象領域(更生領域)の全長にわたって更生管Sの製管が終了すれば、更生管Sの管端部の帯状部材100を切断し、次いで、製管機1を分解し、製管機1を撤去する。
【0063】
すなわち、成形フレーム2が複数のリンク体21を相互に連結して形成されたものであるから、隣接する一対のリンク体21,21の連結部の連結を外すことで、成形フレーム2をリンク体21の1本の列とすることができる。
【0064】
ここで、製管機1の接合機構4としては、駆動ローラ43を備えずに、製管ローラ42と、成形フレーム2に設けられて帯状部材100を送り出す押込ローラ(図示せず)とを備えるものであってもよく、その場合には、外径方向に突出する部位がないため、更生管Sを既設管Kとの間にほとんど隙間を発生させることなく製管することができる。
【0065】
なお、前述した実施形態においては、開放された一方のマンホールM1を発進マンホールとし、閉鎖された他方のマンホールM2を到達マンホールとして、更生管Sを一方のマンホールM1から他方のマンホールM2にかけて製管する場合を説明したが、開放された一方のマンホールM1を到達マンホールとし、閉鎖された他方のマンホールM2を発進マンホールとして、更生管Sを他方のマンホールM2から一方のマンホールM1にかけて製管することもできる。
【0066】
すなわち、図9に示すように、開放された一方のマンホールM1を到達マンホールとし、一方のマンホールM1側の地上に帯状部材100の輸送用巻重体Dおよび動力ユニットGを設置し、動力ユニットGからの油圧配管Pを、帯状部材100の輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給された螺旋状の帯状部材100の内方を通過させて、既設管K内に配置された製管機1の接合機構4の油圧モータ45に回転継手46を介して接続するようにしてもよい。
【0067】
このような製管方法を採用すれば、一定長さの更生管Sが製管されて既設管Kが更生されたならば、全体の施工区間の更生が完了することを待つことなく一方のマンホールM1を通して既設管K内に支保工などの機材を搬入することができるため、更生管Sが製管された部分から支保工の設置を開始することができる。したがって、全体の施工区間の更生が完了した後、既設管Kの内周面と更生管Sの外周面との空間に裏込め材を充填するこれまでの製管方法に比較して、製管作業と裏込め材の充填作業を並行して実施することができることから、工期を大幅に短縮することができる利点がある。
【0068】
また、発電ユニットおよび油圧ユニットからなる動力ユニットGを一方のマンホールM1側の地上に設置するとともに、接合機構4の油圧モータ45に油圧配管Pを利用して圧油を供給する場合を説明したが、接合機構4のモータとして電動モータを採用できる場合は、動力ユニットGとして発電ユニットのみを一方のマンホールM1側の地上に設置し、発生した電力を電源ケーブルおよび回転継手を介して電動モータに供給するようにしてもよい。
【0069】
この場合の電源ケーブルも、帯状部材100の輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給された螺旋状の帯状部材100の内方を通過させて、既設管K内に配置された製管機の接合機構4の電動モータに回転継手を介して接続する必要がある。
【0070】
さらに、大口径の更生管Sを長距離にわたって製管する場合において、電動モータを採用できない環境下においては、図10に示すように、動力ユニットGのうち、発電ユニットG1を一方のマンホールM1側の地上に設置するとともに、油圧ユニットG2を製管機1近傍の既設管K内に設置し、発電ユニットG1からの電源ケーブルCを輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから螺旋状に引き出された帯状部材100の内方を通過させて、変圧器Tまたは直接油圧ユニットG2の電動モータに接続し、油圧ユニットG2の油圧ポンプからの油圧配管Pを接合機構4の油圧モータ45に回転継手を介して供給するようにしてもよい。
【0071】
この場合も、発電ユニットG1からの電源ケーブルCは、帯状部材100の輸送用巻重体Dの中空部を通過するとともに、輸送用巻重体100から螺旋状に引き出された帯状部材100の内方を通過し、油圧ユニットG2の電動モータへ直接または変圧器Tを介して接続されていることから、製管機1が既設管Kの軸心回りに回転しても、電源ケーブルCが帯状部材100と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。また、発電ユニットG1からの電源ケーブルCを変圧器Tに接続して油圧ユニットG2に必要な電圧に変電すると、予め電圧降下を見込んで小径の電源ケーブルCで高電圧を送ることができることから、電源ケーブルCの取り扱いが容易となる。
【0072】
ただし、既設管K内に設置された油圧ユニットG2の油圧ポンプから接合機構4の油圧モータ45に油圧配管Pが接続されているため、製管機1の回転に伴って油圧配管Pが油圧ユニットG2に接続された電源ケーブルCに絡みつくことになる。このため、一定長さ製管作業を行った後、製管作業を中断し、油圧ユニットG2または回転継手46に対する油圧配管Pの接続を解除し、電源ケーブルCに対する油圧配管Pの絡みを取り除く縒り戻し作業を行う必要がある。
【0073】
さらにまた、帯状部材100の輸送用巻重体Dを一方のマンホールM1側の地上に設置する場合を説明したが、マンホールの大きさによっては、帯状部材100の輸送用巻重体Dを一方のマンホールM1内に設置しても構わない。
【0074】
また、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dの内周側から帯状部材100を引き出して既設管K内の製管機1に螺旋状に供給する場合を説明したが、輸送用巻重体Dの外周側から帯状部材100を螺旋状に引き出して製管機1に供給することもできる。具体的には、輸送用巻重体Dの中空部の中心を水平な回転軸として輸送用巻重体Dを回転自在に支持し、帯状部材100を緩めながら水平な回転軸方向に沿って外方に引き出すことにより螺旋状の帯状部材100を供給することができる。
【0075】
ところで、前述した実施形態においては、既設管Kに製管機1を設置し、製管機1を既設管Kの軸心回りに回転させて更生管Sを製管し、回転せずに製管された更生管Sに新たに帯状部材100を供給して更生管Sを付加形成する製管方法について説明したが、製管機1を開放された一方のマンホールM1に設置し、製管機1を既設管Kの軸心回りに回転させて更生管Sを製管し、回転せずに製管された更生管Sに新たに帯状部材100を供給して更生管Sを付加形成する一方、製管された更生管Sを更生管Sの付加形成方向とは逆方向に牽引して、あるいは、製管機1を押圧して既設管K内に搬入し、既設管Kを更生することもできる。
【0076】
以下、製管機1を開放された一方のマンホールM1に設置して既設管Kを更生する施工手順について図11に基づいて説明する。
【0077】
この製管機1も、前述した実施形態と同一の構造、すなわち、供給された帯状部材100を螺旋状に案内する成形フレーム2と、成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、成形フレーム2に取り付けられ、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合する接合機構4とから構成されるものであり、同一部材には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
開放された一方のマンホールM1側の地上に帯状部材100が巻き重ねられた輸送用巻重体D(回転台付き)を設置するとともに、発電機および油圧ユニットからなる動力ユニットGを設置する。また、製管機1を一方のマンホールM1内にクレーンなどを利用して搬入し、組み立てておく。
【0079】
一方、閉鎖された他方のマンホールM2には、更生管Sを既設管K内に牽引するためのウインチWを設置し、ウインチドラムに巻き取られたワイヤやロープなどの索条体wを図示しない通線材を利用して一方のマンホールM1側に導いておく。
【0080】
準備作業が終了すれば、輸送用巻重体Dを軸心回りに回転させながら帯状部材100をその内周側から引き出して一方のマンホールM1内に引き入れ、その先端を製管機1の接合機構4に導入する。
【0081】
そして、一方のマンホールM1内において、製管機1をクレーンなどを利用して吊り上げた状態で、接合機構4を正回転させて帯状部材100を送り出し、約2周ほど巻き回した後、帯状部材100を絞り込んで案内ローラ3に抱きつかせ、成形フレーム2の外周に対応する内径、すなわち、既設管Kの内径よりも若干小径に形成する。次いで、帯状部材100をさらに4〜7周ほど製管機1の成形フレーム2の回りに巻き回して、既設管Kの内径よりも僅かに小径の短い開始用更生管Saを製管する。この後、一方のマンホールM1に引き込まれた索条体wの先端を開始用更生管Saの先頭部に連結する。
【0082】
次いで、動力ユニットGからの油圧配管Pを輸送用巻重体Dの中空部を通過させるとともに、輸送用巻重体Dから引き出されて螺旋状に延びる帯状部材100の内方を通過させ、製管機1における接合機構4の回転継手46に接続するとともに、開始用更生管Saの先端部を一方のマンホールM1内の既設管口に吊り下ろした後、製管機1の接合機構4を駆動する。すなわち、一方のマンホールM1内で製管機1の接合機構4を正回転させる。これにより、製管機1の接合機構4は、既設管Kに支持された開始用更生管Saに対して帯状部材100の相対的な送り出し方向となる逆方向に既設管Kの軸心回りに回転(公転)し、更生管Sを製管する。この場合、製管機1が更生管Sを製管する(進行しようとする)方向は、更生対象の既設管Kとは反対方向となる。
【0083】
この製管作業と同時進行にてウインチWを駆動させ、更生管Sの軸心方向への製管速度とほぼ同じ速さで、索条体wにより更生管Sを既設管K内に牽引する。これにより、製管機1が更生管Sを取り外さない状態で、かつ、一方のマンホールM1内の定位置から移動しないまま、製管された更生管Sが巻き回されることなく既設管K内に挿入される。
【0084】
そして、更生管Sを製管して既設管K内に挿入し、他方のマンホールM2内に達したならば、帯状部材100を製管機1の前段側で切断し、その端部処理を行って製管機1を更生管Sから取り外すとともに、索条体wを更生管Sから取り外した後、製管機1を分解し、撤去するものである。
【0085】
この実施形態においても、油圧配管Pは、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給される螺旋状の帯状部材100の内方を通過し、接合機構4の回転継手46に接続されている。したがって、油圧配管Pは、製管機1が既設管Kの軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材100との相対的な位置関係は変化しないことから、帯状部材100と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0086】
なお、前述した実施形態においては、図1に示した帯状部材100によって更生管Sを製管する場合を説明したが、このような帯状部材100に限定されるものではない。
【0087】
例えば、図12に示すように、帯状体110と、隣接する帯状体110,110を接合するコネクタ120とからなる帯状部材100Aであってもよい。
【0088】
帯状体110は、可撓性を有する合成樹脂を押出成形して形成され、帯板状の基板111の裏面に複数本の断面T字状の補強リブ112が先端を基板111と平行に位置して設けられている。そして、基板111の両側縁部には、それぞれ接合凹溝113が長手方向に沿って連続的に形成されている。
【0089】
一方、コネクタ120は、隣接する帯状体110,110が突き合わされた両側縁部の接合凹部113,113に接合可能な一対の接合凸部121が長手方向に沿って連続的に形成されている。
【0090】
これにより、互いに隣接する帯状体110,110の前端縁部と後端縁部が突き合わされた状態で、先行する帯状体110の後縁側接合凹部113および後続する帯状体110の前縁側接合凹部113に跨がってコネクタ120を帯状体110の内周側から嵌め込んで接合することにより、互いに隣接する帯状体110,110をコネクタ120を介して接続してなる帯状部材100Aを形成することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 製管機
2 成形フレーム
3 案内ローラ
4 接合機構
100,100A 帯状部材
G 動力ユニット
G1 発電ユニット
G2 油圧ユニット
C 電源ケーブル
P 油圧配管
K 既設管
S 更生管
M1,M2 マンホール
【技術分野】
【0001】
この発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管などの既設管を更生する更生管の製管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、老朽化した既設管を更生するため、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に供給するとともに、隣接する帯状部材の接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を付加形成することが実施されている。例えば、特許文献1,2に記載されるように、既設管内に製管機を設置するとともに、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を地上に設置し、輸送用巻重体から螺旋状に引き出された帯状部材を既設管内の製管機に供給し、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する帯状部材の接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3072015号公報
【特許文献2】特許第3035466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した製管機による更生管の製管方法においては、帯状部材の輸送用巻重体を発進マンホールの地上に設置する一方、発電機を到達マンホールの地上に設置するとともに、既設管内に電動モータおよび電動モータで駆動される油圧ポンプからなる油圧ユニットを設置し、発電機と油圧ユニットの電動モータを電源ケーブルを介して接続する一方、油圧ユニットの油圧ポンプと製管機における接合機構の油圧モータとを油圧配管を介して接続している。これにより、螺旋状の帯状部材と油圧モータに圧油を供給する油圧配管とを異なるマンホールを通して供給することができるため、螺旋状の帯状部材および油圧配管が絡まることはなく、円滑に製管作業を行うことができる。
【0005】
ここで、製管機は、既設管の軸心回りに回転するため、油圧ユニットからの油圧配管は、回転継手を介して油圧モータに接続されている。
【0006】
しかしながら、現場によっては、施工区間の交通事情、例えば、マンホールが交差点にあるなどの理由から、発進マンホールおよび到達マンホールの両方を開放することができない場合がある。この場合は、実際の施工区間よりも遠方の別のマンホールを開放し、そのマンホールを通して帯状部材を引き入れて製管作業を行う必要があり、通常の製管作業に比較してより多くの作業員を配置する必要があることから、コストがかさむという問題があった。
【0007】
また、別案としては、事前に発進マンホールから到達マンホールまで油圧配管を敷設して、発進マンホールまで折り返した後、油圧配管を更生管の外周側に配置するように製管作業を行い、製管作業後に油圧配管を引き抜く、あるいは、埋め殺すことも提案されている。しかしながら、この方法では、油圧配管が引っかかって切断するトラブルが発生したり、油圧配管を埋め殺すため、完全なモルタル層に比較して強度低下が懸念され、顧客の理解が得にくいなどの問題がある。
【0008】
なお、帯状部材の輸送用巻重体とともに、発電機および油圧ユニットを発進マンホール側の地上に設置し、油圧配管を既設管内に引き込み、製管機の油圧モータに回転継手を介して接続して製管作業を行うときには、既設管の軸心回りに製管機が回転することに伴って、製管機に螺旋状に供給される帯状部材の外周に油圧配管が巻きつくことから、早晩製管不能に陥る。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、施工区間の両方のマンホールを開放することができない場合であっても、開放された一方のマンホールを通して製管機に帯状部材および動力を供給して更生管を円滑に製管することのできる更生管の製管方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、動力ユニットを一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、接合機構を有する製管機を既設管内に設置する一方、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、動力ユニットを一方のマンホール側の地上に設置する。そして、輸送用巻重体から帯状部材を螺旋状に引き出し、一方のマンホールから、または、一方のマンホールを経て既設管内に引き入れ、製管機の接合機構に供給する。また、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続する。この状態で接合機構のモータを回転駆動すれば、接合機構は、帯状部材を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動する。すなわち、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する。
【0012】
この際、接合機構のモータに動力を供給する動力供給ラインは、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体の中空部を通過するとともに、輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過し、回転継手を介して接合機構のモータに接続されていることから、製管機が既設管の軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材との相対的な位置関係が変化することはない。したがって、動力供給ラインが帯状部材と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0013】
なお、動力供給ラインは、回転継手に接続されているため、製管機の回転に連動して回転することはなく、動力供給ラインに捩れが発生することはない。
【0014】
本発明は、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機をマンホール内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材をマンホール内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する一方、製管機または更生管を更生管の付加形成方法とは逆方向に牽引または押圧して既設管内に挿入する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体および動力ユニットを、製管機を設置する一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、接合機構を有する製管機を一方のマンホール内に設置する一方、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体および動力ユニットを、製管機を設置する一方のマンホール側の地上に設置する。そして、輸送用巻重体から帯状部材を螺旋状に引き出し、一方のマンホール内において、製管機の接合機構に供給する。また、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続する。この状態で接合機構のモータを回転駆動すれば、接合機構は、帯状部材を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動する。すなわち、一方のマンホール内において、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成し、合わせて、製管機または更生管を更生管の付加形成方法とは逆方向に牽引または押圧して既設管内に挿入する。
【0016】
この際、接合機構のモータに動力を供給する動力供給ラインは、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体の中空部を通過するとともに、輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過し、回転継手を介して接合機構のモータに接続されていることから、製管機が既設管の軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材との相対的な位置関係が変化することはない。したがって、動力供給ラインが帯状部材と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0017】
なお、動力供給ラインは、回転継手に接続されているため、製管機の回転に連動して回転することはなく、動力供給ラインに捩れが発生することはない。
【0018】
本発明において、動力ユニットが発電ユニットおよび油圧ユニットからなり、接合機構のモータが油圧モータであることが好ましい。これにより、発電ユニットのエンジンを介して発電機を駆動するとともに、発電された電力で油圧ユニットの電動モータを介して油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプから吐出された圧油を油圧配管および回転継手を介して接合機構の油圧モータに供給し、油圧モータを回転駆動させることができ、油圧による大きな回転トルクを得ることができる。
【0019】
本発明において、動力ユニットが発電ユニットであり、接合機構のモータが電動モータであることが好ましい。これにより、エンジンを介して発電機を駆動し、発電された電力を電源ケーブルおよび回転継手を介して接合機構の電動モータに供給して電動モータを回転駆動させることができ、往復一対の油圧配管を利用して圧油を供給し、還流させる場合に比較して、取り扱いが容易となる。
【0020】
本発明は、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、発電機を一方のマンホール側の地上に設置し、また、油圧ユニットを既設管内に設置し、発電機の電源ケーブルを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて油圧ユニットに直接または変圧器を介して接続するとともに、油圧ユニットの油圧配管を接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続することを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、接合機構を有する製管機を既設管内に設置する一方、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、発電機を一方のマンホール側の地上に設置する。また、油圧ユニットを既設管内に設置する。そして、輸送用巻重体から帯状部材を螺旋状に引き出し、一方のマンホールから、または、一方のマンホールを経て既設管内に引き入れ、製管機の接合機構に供給する。また、発電機からの電源ケーブルを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させ、油圧ユニットの電動モータに直接または変圧器を介して接続する。さらに、油圧ユニットの油圧ポンプからの油圧配管を接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続する。この状態で接合機構の油圧モータを回転駆動すれば、接合機構は、帯状部材を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動する。すなわち、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する。
【0022】
この際、発電機からの電源ケーブルは、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体の中空部を通過するとともに、輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過し、油圧ユニットの油圧ポンプを駆動する電動モータへ直接または変圧器を介して接続されていることから、製管機が既設管の軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材との相対的な位置関係が変化することはない。したがって、電源ケーブルが帯状部材と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0023】
ただし、接合機構の油圧モータおよび既設管内に設置された油圧ユニットの油圧ポンプは、油圧配管を介して接続されているため、製管機の回転に伴って油圧配管が油圧ユニットに接続された電源ケーブルに絡みつくことになる。このため、一定長さ製管作業を行った後、製管作業を中断し、油圧ユニットまたは回転継手に対する油圧配管の接続を解除して、電源ケーブルに対する油圧配管の絡みを取り除く縒り戻し作業が必要となる。
【0024】
なお、油圧配管は、回転継手に接続されているため、製管機の回転に連動して回転することはなく、油圧配管そのものに捩れが発生することはない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、施工区間の両方のマンホールを開放することができない場合であっても、開放された一方のマンホールを通して製管機に帯状部材および動力を供給して更生管を円滑に製管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の更生管の製管方法に用いられる帯状部材の一例を示す断面図である。
【図2】図1の帯状部材の接合工程を説明する断面図である。
【図3】本発明の更生管の製管方法の一実施形態を説明する工程図である。
【図4】本発明の更生管の製管方法を実施する製管機の斜視図である。
【図5】図4の製管機の正面図である。
【図6】図4の製管機を構成する成形フレームのリンク体を説明する正面図および平面図である。
【図7】図4の製管機を構成する接合機構が取り付けられた成形フレームのリンク体を説明する平面図である。
【図8】図4の製管機を構成する接合機構を示す側面図である。
【図9】本発明の更生管の製管方法の一実施形態の変形例を説明する概略図である。
【図10】本発明の更生管の製管方法の一実施形態の他の変形例を説明する工程図である。
【図11】本発明の更生管の製管方法の他の実施形態を説明する工程図である。
【図12】帯状部材の変形例を示す断面図および接合状態を一部省略して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
まず、本発明の更生管の製管方法の実施形態を説明するのに先立って、使用される帯状部材100および製管機1について説明する。
【0029】
帯状部材100は、図1に示すように、可撓性を有する合成樹脂、例えば、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを押出成形して形成され、中空円筒状に巻き重ねられて輸送用巻重体D(図3参照)に形成されて現場に輸送される。この帯状部材100は、帯板状の基板101の裏面に複数本(実施例においては3本)の断面T字状の補強リブ102が先端を基板101と平行に位置して設けられている。そして、基板101の一方の側縁部の裏面には接合凸部103が立設されている。また、基板101の他方の側縁部は、接合凸部103が設けられた基板101の側縁部が配置されるように、基板101の厚みだけ裏面側に段落ちした段落ち部104に形成されており、その段落ち部104に接合凸部103が嵌入し得る接合凹部105が設けられている。この接合凹部105には、基板101から離れるにつれて接合凹部105の突出側に位置するように傾斜された傾斜リブ106が形成されており、傾斜リブ106の先端が帯状部材100の一方の側縁部を形成している。
【0030】
このような帯状部材100は、基板101の裏面側、すなわち、補強リブ102などが立設された側が外周側になるように後述する製管機1に供給され、その接合過程において、図2(a),(b)に示すように、互いに隣接する2つの帯状部材100,100のうち、一方の帯状部材100の接合凸部103を、他方の帯状部材100の接合凹部105に内側(先行する帯状部材100の内周側)から嵌め込むことにより、これらの隣接する帯状部材100,100を相互に接合して所定の管径の更生管S(図3、図4参照)を製管することができる。
【0031】
この際、後続する帯状部材100の接合凸部103を設けた基板101の側縁部が先行する帯状部材100の段落ち部104に配置されるとともに、後続する帯状部材100の接合凸部103が設けられた側の補強リブ102が先行する帯状部材100の傾斜リブ106に係止される。
【0032】
次に、製管機1について図4および図5に基づいて説明する。
【0033】
この製管機1は、帯状部材100を螺旋状に案内する成形フレーム2と、成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、成形フレーム2に取り付けられ、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合する接合機構4とから構成されている。
【0034】
成形フレーム2は、図6に示すように、内方リンクフレーム22および外方リンクフレーム23を連結軸24を介して回動自在に連結してなる複数個のリンク体21からなり、これらの複数個のリンク体21を順に連結して略環状に形成したものである。
【0035】
ここで、各リンク体21を構成する内方リンクフレーム22および外方リンクフレーム23は、前後に対向する一対のリンクプレート221,231と、これらの対向する一対のリンクプレート221,231の一端部間に架設された連結プレート222,232とから形成されている。そして、内方リンクフレーム22における一対のリンクプレート221,221の各他端部に、外方リンクフレーム23における一対のリンクプレート231,231の各他端部をそれぞれ重ね合わせ、それらを連結軸24を介して回転自在に連結することにより、リンク体21を形成する。
【0036】
また、隣接するリンク体21,21は、リンクフレーム22,23の連結プレート222,232およびリンクフレーム22,23の連結プレート222,232を適宜突き合わせ、ボルトナットを介して着脱自在に連結されている。
【0037】
ただし、成形フレーム2を直線状に形成できるように、特定の隣接する一対のリンク体21,21間が着脱できるならば、残りの連結プレート222,232については、溶接などによって着脱不能に固定してもかまわない。
【0038】
さらに、内方リンクフレーム22の一対のリンクプレート221,221の各他端部には、回動規制片26を設ける一方、外方リンクフレーム23の一対のリンクプレート231,231の各他端部には、前述した回動規制片26に対応する切欠部27を連結軸24の回転中心を中心とする設定半径上の一定範囲にわたって形成している。これにより、内方リンクフレーム22に対する外方リンクフレーム23の回動を、内方リンクフレーム22の回動規制片26と外方リンクフレーム23の切欠部27とが当接するまでの設定角度範囲に規制し、リンク体21の内方リンクフレーム22および外方リンクフレーム23が内方あるいは外方に屈曲することを防止している。
【0039】
案内ローラ3は、各リンク体21の連結軸24にそれぞれ回転自在に設けられている。ここで、案内ローラ3は、合成樹脂または金属よりなり、軸受25を介して連結軸24回りに回転自在に支持され、帯状部材100の平坦な内面、すなわち、更生管Sの内周面に接触する。
【0040】
さらに、案内ローラ3は、既設管K内において、接合機構4によって互いに接合された隣接する帯状部材100,100から製管された更生管Sの内周面に接触して周回移動しつつ製管機1を既設管Kの軸心方向に移動させるために、更生管Sを構成する帯状部材100に対し直角となるように配置されている。この案内ローラ3を更生管Sを構成する帯状部材100に対し直角となるように配置するには、例えば、成形フレーム2の、接合機構4に隣接する一対のリンク体21,21同士の連結部において、一方のリンク体21を他方のリンク体21に対して管軸方向に移動させ、移動させた状態でそれぞれ接合機構4に固定すればよい。
【0041】
なお、リンク体21のうち、接合機構4が取り付けられるリンク体21については、案内ローラ3に代えて後述する製管ローラ42が設けられている他、製管機1の回転方向に対して接合機構4の後方となるリンク体21については、帯状部材100の供給に際して干渉しないように、接合機構4が取り付けられるリンク体21よりも帯状部材100の幅だけ更生管Sの形成方向とは反対方向に偏位されている(図7参照)。
【0042】
接合機構4は、図8に示すように、製管ローラ42および駆動ローラ43が組になったピンチローラ41と、成形フレーム2におけるリンク体21の外方リンクフレーム23に固定された歯車箱44の歯車441,442,443を介してピンチローラ41を回転させる油圧モータ45とからなり、製管ローラ42の回転軸および駆動ローラ43の回転軸は、更生管Sのリード角に対して軸線方向が直交するように配置されて、油圧モータ45の出力軸とともにそれぞれ歯車箱44に回転自在に支持されている。そして、油圧モータ45を回転駆動することにより、その出力軸、製管ローラ42の回転軸および駆動ローラ43の回転軸にそれぞれ固定されて互いに噛み合う歯車441,442,443を介して製管ローラ42および駆動ローラ43を互いに逆方向に回転させ、製管ローラ42および駆動ローラ43の間に帯状部材100を挟み込んで送り出すように回転方向が設定されている。
【0043】
ここで、製管ローラ42は、帯状部材100の幅寸法のほぼ2倍程度の長さを有して鋼などによって円筒状に形成され、先行する螺旋状の帯状部材100と、後続する螺旋状の帯状部材100とが接合されて互いに隣接する帯状部材100,100による更生管Sの平滑な内周面に外周面が接触して回転するように外径が設定されている。
【0044】
また、駆動ローラ43は、先行する螺旋状の帯状部材100と、後続する螺旋状の帯状部材100とが接合されて互いに隣接する帯状部材100,100において、各帯状部材100の補強リブ102,102間に配置されるように、帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間に挿入可能な幅を有して複数個設けられており、その外周面と製管ローラ42の外周面との間に帯状部材100の基板101の厚みに相当する間隔を有するように外径が設定されている。したがって、駆動ローラ43の外周面は、各帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間において、互いに接合された隣接する帯状部材100,100による更生管Sの外周面となる側の帯状部材100の裏面に接して回転する。
【0045】
さらに、駆動ローラ43の外周面には、ローレット加工が施されており、接合された隣接する帯状部材100,100に対して滑ることなく回転する。
【0046】
また、油圧モータ45は、発電ユニットおよび油圧ユニットからなる動力ユニットGから供給される圧油によって駆動される。すなわち、動力ユニットGは、詳細には図示しないが、発電ユニットのエンジンを介して発電機が駆動される一方、発電機によって発生した電力によって油圧ユニットの電動モータが駆動されるとともに、電動モータを介して油圧ポンプが駆動され、発生した圧油が油圧配管P、例えば、フレキシブルホースを介して油圧モータ45に供給されるようになっている。この場合、動力ユニットGから延びる油圧配管Pは、回転継手46(図4参照)を介して油圧モータ45に接続されており、製管機1の周回移動(公転)に影響なく圧油を供給することができる。
【0047】
次に、このように構成された製管機1を用いて既設管Kを更生する施工手順について説明する。
【0048】
まず、既設管Kには所定スパンごとにマンホールが設けられているが、この例では一方のマンホールM1は開放されているものの、他方のマンホールM2は閉鎖されており、開放された一方のマンホールM1を施工対象領域(更生領域)の発進マンホールとし、既設管K内に更生管Sを他方のマンホールM2に向けて製管する場合を説明する。
【0049】
施工前の準備として、更生管Sの製管には、図1に示した帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体D(回転台付き)、製管機1、動力ユニットGなどを用意し、輸送用巻重体D、動力ユニットGを一方のマンホールM1側の地上に配置する。また、製管機1は、一方のマンホールM1を通して更生対象となる既設管K内に搬入して設置する。その際、製管機1は、案内ローラ3を設けた成形フレーム2、接合機構4に分解されて搬入され、その後組み立てられる。
【0050】
なお、成形フレーム2については、隣接する一対のリンク体21,21の連結部の連結を外し、複数個のリンク体21を1本の列にして搬入し、再び隣接する一対のリンク体21,21の連結部を連結して略環状に形成する。
【0051】
また、製管機1については、製管する更生管Sの管径に合わせて、成形フレーム2の周長(リンク体21の数)を調整しておく。
【0052】
さらに、製管機1は、更生する既設管Kの内径および使用する帯状部材100の幅に対応する螺旋ピッチとなるように調整しておく。
【0053】
このような準備作業が完了すれば、地上に配置した輸送用巻重体Dの内周側から帯状部材100を引き出して一方のマンホールM1を経て既設管K内に引き込み、製管機1における接合機構4のピンチローラ41に挿通し、成形フレーム2に設けた案内ローラ3の外側に送り出す。
【0054】
次いで、案内ローラ3の外側に送り出された帯状部材100を既設管Kの内周面との間に挟み込んだ状態で製管機1を既設管Kの軸心回りに回転させ、帯状部材100を成形フレーム2の周囲に数回(1〜3回)巻き回し、開始用更生管Saを製管する。この際、製管機1、すなわち、接合機構4が周回移動することにより、先行する螺旋状の帯状部材100の接合凹部105に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103を内周側から嵌入するとともに、先行する螺旋状の帯状部材100の段落ち部104に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103が設けられた基板101の側縁部を配置し、さらに、先行する螺旋状の帯状部材100の傾斜リブ106に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103が設けられた側の補強リブ102を係止させて、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合する。
【0055】
開始用更生管Saの製管が完了したならば、動力ユニットGからの油圧配管Pを輸送用巻重体Dの中空部を通過させるとともに、輸送用巻重体Dから引き出されて螺旋状に延びる帯状部材100の内方を通過させ、既設管Kの更生領域中程まで引き出した後、折り返して製管機1における接合機構4の回転継手46に接続する。
【0056】
油圧配管Pを接続すれば、製管機1の接合機構4を駆動する。これにより、接合機構4の油圧モータ45が回転駆動してピンチローラ41を回転させ、製管ローラ42および駆動ローラ43は帯状部材100を挟み込んで送り出すとともに、相対的に帯状部材100に沿ってその送り出し方向とは逆方向に周回移動(公転)する。すなわち、接合機構4が駆動するとき、製管機1は更生管Sの軸心を中心として公転する。
【0057】
この際、ピンチローラ41の回転によって周回移動する成形フレーム2、案内ローラ3に案内されて開始用更生管Saに隣接するように相対的に送り込まれた帯状部材100は、その接合凸部103を開始用更生管Saの帯状部材100の接合凹部105に内周側から嵌入させるとともに、開始用更生管Saの帯状部材100の段落ち部104に後続の帯状部材100の後端側側縁部を配置し、さらに、開始用更生管Saの帯状部材100の傾斜リブ106に後続の帯状部材100の後端側の補強リブ102を係止させて隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合して更生管Sを製管する(図2(b)参照)。
【0058】
このように、接合機構4のピンチローラ41は、先行する螺旋状の帯状部材100に後続する螺旋状の帯状部材100を接合して更生管Sを製管しつつ既設管Kの内周面に沿って周回移動することから、結局、製管機1は、帯状部材100を更生管Sに製管し、その際、周方向に移動(公転)するとともに、他方のマンホールM2に向けて既設管K内を移動する。
【0059】
すなわち、製管機1に供給された帯状部材100は、接合機構4のピンチローラ41によって隣接する帯状部材100,100が互いに接合されて更生管Sに製管されるとともに、製管された更生管Sは回転することなく既設管Kに配置され、その更生管Sの他方のマンホールM2側に新たに螺旋状の帯状部材100が供給されて更生管Sが他方のマンホールM2に向けて既設管Kの軸心方向に付加形成される。
【0060】
この際、油圧配管Pは、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給される螺旋状の帯状部材100の内方を通過し、接合機構4の回転継手46に接続されている。したがって、油圧配管Pは、製管機1が既設管Kの軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材100との相対的な位置関係は変化しないことから、帯状部材100と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0061】
なお、油圧配管Pは、回転継手46に接続されているため、製管機1の回転に連動して回転することはなく、油圧配管Pに捩れが発生することはない。
【0062】
既設管Kの施工対象領域(更生領域)の全長にわたって更生管Sの製管が終了すれば、更生管Sの管端部の帯状部材100を切断し、次いで、製管機1を分解し、製管機1を撤去する。
【0063】
すなわち、成形フレーム2が複数のリンク体21を相互に連結して形成されたものであるから、隣接する一対のリンク体21,21の連結部の連結を外すことで、成形フレーム2をリンク体21の1本の列とすることができる。
【0064】
ここで、製管機1の接合機構4としては、駆動ローラ43を備えずに、製管ローラ42と、成形フレーム2に設けられて帯状部材100を送り出す押込ローラ(図示せず)とを備えるものであってもよく、その場合には、外径方向に突出する部位がないため、更生管Sを既設管Kとの間にほとんど隙間を発生させることなく製管することができる。
【0065】
なお、前述した実施形態においては、開放された一方のマンホールM1を発進マンホールとし、閉鎖された他方のマンホールM2を到達マンホールとして、更生管Sを一方のマンホールM1から他方のマンホールM2にかけて製管する場合を説明したが、開放された一方のマンホールM1を到達マンホールとし、閉鎖された他方のマンホールM2を発進マンホールとして、更生管Sを他方のマンホールM2から一方のマンホールM1にかけて製管することもできる。
【0066】
すなわち、図9に示すように、開放された一方のマンホールM1を到達マンホールとし、一方のマンホールM1側の地上に帯状部材100の輸送用巻重体Dおよび動力ユニットGを設置し、動力ユニットGからの油圧配管Pを、帯状部材100の輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給された螺旋状の帯状部材100の内方を通過させて、既設管K内に配置された製管機1の接合機構4の油圧モータ45に回転継手46を介して接続するようにしてもよい。
【0067】
このような製管方法を採用すれば、一定長さの更生管Sが製管されて既設管Kが更生されたならば、全体の施工区間の更生が完了することを待つことなく一方のマンホールM1を通して既設管K内に支保工などの機材を搬入することができるため、更生管Sが製管された部分から支保工の設置を開始することができる。したがって、全体の施工区間の更生が完了した後、既設管Kの内周面と更生管Sの外周面との空間に裏込め材を充填するこれまでの製管方法に比較して、製管作業と裏込め材の充填作業を並行して実施することができることから、工期を大幅に短縮することができる利点がある。
【0068】
また、発電ユニットおよび油圧ユニットからなる動力ユニットGを一方のマンホールM1側の地上に設置するとともに、接合機構4の油圧モータ45に油圧配管Pを利用して圧油を供給する場合を説明したが、接合機構4のモータとして電動モータを採用できる場合は、動力ユニットGとして発電ユニットのみを一方のマンホールM1側の地上に設置し、発生した電力を電源ケーブルおよび回転継手を介して電動モータに供給するようにしてもよい。
【0069】
この場合の電源ケーブルも、帯状部材100の輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給された螺旋状の帯状部材100の内方を通過させて、既設管K内に配置された製管機の接合機構4の電動モータに回転継手を介して接続する必要がある。
【0070】
さらに、大口径の更生管Sを長距離にわたって製管する場合において、電動モータを採用できない環境下においては、図10に示すように、動力ユニットGのうち、発電ユニットG1を一方のマンホールM1側の地上に設置するとともに、油圧ユニットG2を製管機1近傍の既設管K内に設置し、発電ユニットG1からの電源ケーブルCを輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから螺旋状に引き出された帯状部材100の内方を通過させて、変圧器Tまたは直接油圧ユニットG2の電動モータに接続し、油圧ユニットG2の油圧ポンプからの油圧配管Pを接合機構4の油圧モータ45に回転継手を介して供給するようにしてもよい。
【0071】
この場合も、発電ユニットG1からの電源ケーブルCは、帯状部材100の輸送用巻重体Dの中空部を通過するとともに、輸送用巻重体100から螺旋状に引き出された帯状部材100の内方を通過し、油圧ユニットG2の電動モータへ直接または変圧器Tを介して接続されていることから、製管機1が既設管Kの軸心回りに回転しても、電源ケーブルCが帯状部材100と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。また、発電ユニットG1からの電源ケーブルCを変圧器Tに接続して油圧ユニットG2に必要な電圧に変電すると、予め電圧降下を見込んで小径の電源ケーブルCで高電圧を送ることができることから、電源ケーブルCの取り扱いが容易となる。
【0072】
ただし、既設管K内に設置された油圧ユニットG2の油圧ポンプから接合機構4の油圧モータ45に油圧配管Pが接続されているため、製管機1の回転に伴って油圧配管Pが油圧ユニットG2に接続された電源ケーブルCに絡みつくことになる。このため、一定長さ製管作業を行った後、製管作業を中断し、油圧ユニットG2または回転継手46に対する油圧配管Pの接続を解除し、電源ケーブルCに対する油圧配管Pの絡みを取り除く縒り戻し作業を行う必要がある。
【0073】
さらにまた、帯状部材100の輸送用巻重体Dを一方のマンホールM1側の地上に設置する場合を説明したが、マンホールの大きさによっては、帯状部材100の輸送用巻重体Dを一方のマンホールM1内に設置しても構わない。
【0074】
また、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dの内周側から帯状部材100を引き出して既設管K内の製管機1に螺旋状に供給する場合を説明したが、輸送用巻重体Dの外周側から帯状部材100を螺旋状に引き出して製管機1に供給することもできる。具体的には、輸送用巻重体Dの中空部の中心を水平な回転軸として輸送用巻重体Dを回転自在に支持し、帯状部材100を緩めながら水平な回転軸方向に沿って外方に引き出すことにより螺旋状の帯状部材100を供給することができる。
【0075】
ところで、前述した実施形態においては、既設管Kに製管機1を設置し、製管機1を既設管Kの軸心回りに回転させて更生管Sを製管し、回転せずに製管された更生管Sに新たに帯状部材100を供給して更生管Sを付加形成する製管方法について説明したが、製管機1を開放された一方のマンホールM1に設置し、製管機1を既設管Kの軸心回りに回転させて更生管Sを製管し、回転せずに製管された更生管Sに新たに帯状部材100を供給して更生管Sを付加形成する一方、製管された更生管Sを更生管Sの付加形成方向とは逆方向に牽引して、あるいは、製管機1を押圧して既設管K内に搬入し、既設管Kを更生することもできる。
【0076】
以下、製管機1を開放された一方のマンホールM1に設置して既設管Kを更生する施工手順について図11に基づいて説明する。
【0077】
この製管機1も、前述した実施形態と同一の構造、すなわち、供給された帯状部材100を螺旋状に案内する成形フレーム2と、成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、成形フレーム2に取り付けられ、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合する接合機構4とから構成されるものであり、同一部材には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
開放された一方のマンホールM1側の地上に帯状部材100が巻き重ねられた輸送用巻重体D(回転台付き)を設置するとともに、発電機および油圧ユニットからなる動力ユニットGを設置する。また、製管機1を一方のマンホールM1内にクレーンなどを利用して搬入し、組み立てておく。
【0079】
一方、閉鎖された他方のマンホールM2には、更生管Sを既設管K内に牽引するためのウインチWを設置し、ウインチドラムに巻き取られたワイヤやロープなどの索条体wを図示しない通線材を利用して一方のマンホールM1側に導いておく。
【0080】
準備作業が終了すれば、輸送用巻重体Dを軸心回りに回転させながら帯状部材100をその内周側から引き出して一方のマンホールM1内に引き入れ、その先端を製管機1の接合機構4に導入する。
【0081】
そして、一方のマンホールM1内において、製管機1をクレーンなどを利用して吊り上げた状態で、接合機構4を正回転させて帯状部材100を送り出し、約2周ほど巻き回した後、帯状部材100を絞り込んで案内ローラ3に抱きつかせ、成形フレーム2の外周に対応する内径、すなわち、既設管Kの内径よりも若干小径に形成する。次いで、帯状部材100をさらに4〜7周ほど製管機1の成形フレーム2の回りに巻き回して、既設管Kの内径よりも僅かに小径の短い開始用更生管Saを製管する。この後、一方のマンホールM1に引き込まれた索条体wの先端を開始用更生管Saの先頭部に連結する。
【0082】
次いで、動力ユニットGからの油圧配管Pを輸送用巻重体Dの中空部を通過させるとともに、輸送用巻重体Dから引き出されて螺旋状に延びる帯状部材100の内方を通過させ、製管機1における接合機構4の回転継手46に接続するとともに、開始用更生管Saの先端部を一方のマンホールM1内の既設管口に吊り下ろした後、製管機1の接合機構4を駆動する。すなわち、一方のマンホールM1内で製管機1の接合機構4を正回転させる。これにより、製管機1の接合機構4は、既設管Kに支持された開始用更生管Saに対して帯状部材100の相対的な送り出し方向となる逆方向に既設管Kの軸心回りに回転(公転)し、更生管Sを製管する。この場合、製管機1が更生管Sを製管する(進行しようとする)方向は、更生対象の既設管Kとは反対方向となる。
【0083】
この製管作業と同時進行にてウインチWを駆動させ、更生管Sの軸心方向への製管速度とほぼ同じ速さで、索条体wにより更生管Sを既設管K内に牽引する。これにより、製管機1が更生管Sを取り外さない状態で、かつ、一方のマンホールM1内の定位置から移動しないまま、製管された更生管Sが巻き回されることなく既設管K内に挿入される。
【0084】
そして、更生管Sを製管して既設管K内に挿入し、他方のマンホールM2内に達したならば、帯状部材100を製管機1の前段側で切断し、その端部処理を行って製管機1を更生管Sから取り外すとともに、索条体wを更生管Sから取り外した後、製管機1を分解し、撤去するものである。
【0085】
この実施形態においても、油圧配管Pは、帯状部材100を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体Dの中空部および輸送用巻重体Dから引き出されて製管機1の接合機構4に供給される螺旋状の帯状部材100の内方を通過し、接合機構4の回転継手46に接続されている。したがって、油圧配管Pは、製管機1が既設管Kの軸心回りに回転しても、螺旋状の帯状部材100との相対的な位置関係は変化しないことから、帯状部材100と絡まることはなく、製管作業を円滑に行うことができる。
【0086】
なお、前述した実施形態においては、図1に示した帯状部材100によって更生管Sを製管する場合を説明したが、このような帯状部材100に限定されるものではない。
【0087】
例えば、図12に示すように、帯状体110と、隣接する帯状体110,110を接合するコネクタ120とからなる帯状部材100Aであってもよい。
【0088】
帯状体110は、可撓性を有する合成樹脂を押出成形して形成され、帯板状の基板111の裏面に複数本の断面T字状の補強リブ112が先端を基板111と平行に位置して設けられている。そして、基板111の両側縁部には、それぞれ接合凹溝113が長手方向に沿って連続的に形成されている。
【0089】
一方、コネクタ120は、隣接する帯状体110,110が突き合わされた両側縁部の接合凹部113,113に接合可能な一対の接合凸部121が長手方向に沿って連続的に形成されている。
【0090】
これにより、互いに隣接する帯状体110,110の前端縁部と後端縁部が突き合わされた状態で、先行する帯状体110の後縁側接合凹部113および後続する帯状体110の前縁側接合凹部113に跨がってコネクタ120を帯状体110の内周側から嵌め込んで接合することにより、互いに隣接する帯状体110,110をコネクタ120を介して接続してなる帯状部材100Aを形成することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 製管機
2 成形フレーム
3 案内ローラ
4 接合機構
100,100A 帯状部材
G 動力ユニット
G1 発電ユニット
G2 油圧ユニット
C 電源ケーブル
P 油圧配管
K 既設管
S 更生管
M1,M2 マンホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、動力ユニットを一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項2】
互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機をマンホール内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材をマンホール内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する一方、製管機または更生管を更生管の付加形成方法とは逆方向に牽引または押圧して既設管内に挿入する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体および動力ユニットを、製管機を設置する一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の更生管の製管方法において、動力ユニットが発電ユニットおよび油圧ユニットからなり、接合機構のモータが油圧モータであることを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の更生管の製管方法において、動力ユニットが発電ユニットであり、接合機構のモータが電動モータであることを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項5】
互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、発電機を一方のマンホール側の地上に設置し、また、油圧ユニットを既設管内に設置し、発電機の電源ケーブルを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて油圧ユニットに直接または変圧器を介して接続するとともに、油圧ユニットの油圧配管を接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項1】
互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、動力ユニットを一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項2】
互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機をマンホール内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材をマンホール内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する一方、製管機または更生管を更生管の付加形成方法とは逆方向に牽引または押圧して既設管内に挿入する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体および動力ユニットを、製管機を設置する一方のマンホール側の地上に設置し、動力ユニットの動力供給ラインを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて接合機構のモータに回転継手を介して接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の更生管の製管方法において、動力ユニットが発電ユニットおよび油圧ユニットからなり、接合機構のモータが油圧モータであることを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の更生管の製管方法において、動力ユニットが発電ユニットであり、接合機構のモータが電動モータであることを特徴とする更生管の製管方法。
【請求項5】
互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合する接合機構を有する製管機を既設管内に設置し、両側縁部に接合部が形成された螺旋状の帯状部材を既設管内に引き入れて製管機の接合機構に供給するとともに、製管機を既設管の軸心回りに回転させて隣接する接合部同士を互いに接合して更生管を製管し、回転せずに製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成する更生管の製管方法であって、帯状部材を中空円筒状に巻き重ねた輸送用巻重体を一方のマンホールまたは一方のマンホール側の地上に設置するとともに、発電機を一方のマンホール側の地上に設置し、また、油圧ユニットを既設管内に設置し、発電機の電源ケーブルを、輸送用巻重体の中空部および輸送用巻重体から引き出されて製管機の接合機構に供給される螺旋状の帯状部材の内方を通過させて油圧ユニットに直接または変圧器を介して接続するとともに、油圧ユニットの油圧配管を接合機構の油圧モータに回転継手を介して接続することを特徴とする更生管の製管方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−264622(P2010−264622A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116433(P2009−116433)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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