説明

書込み可能−消去可能表面のための常温硬化型水性コーティング

【課題】書込み可能−消去可能表面を有するコーティングを含む製品(例えばホワイトボード)に関し、コーティングは、周囲条件下で硬化される。ドライイレースボードの書込み表面からのドライイレースインクの消去可能性は、時間の経過と共に劣化し、除去可能性のない「ゴースト」を形成させる。加えてそのような表面は、一部のドライイレースマーカと互換性がない場合があり、不注意にも永久マーカで書込んだ場合には、永久に表記されたままになる可能性がある。
【解決手段】書込み可能−消去可能表面16を、着色剤と、水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリットのうちの1種以上、またはそれらの混合物からなる溶媒とを含む表記材料で表記した後、表記材料を書込み可能−消去可能表面16から消去して、実質的に不可視にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、2007年7月13日に出願されたPCT特許出願番号第PCT/UC2007/073524の一部継続出願であり、その開示全体は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、書込み可能−消去可能表面のための水溶性コーティング、そのようなコーティングを含む製品、およびそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
教室授業は伝統的に、道具媒体として「黒板」およびチョークに頼ってきた。この技術は、汚れや粉にまみれる可能性があり、多くの黒板は、全てのチョーク類および着色剤を用いることができない。発生した粉末が、多くの呼吸器障害をもたらす可能性がある。オーバーヘッドプロジェクタ、ラップトップコンピュータおよびドライイレースボード(一般には「ホワイトボード」と呼ばれることが多い)が、伝統的な黒板の代替品である。
【0004】
ドライイレースボードは、代表的には紙または板などの基板と、基板に延ばされたラッカーコーティングなどのコーティングとを含む。コーティングは、ドライイレースマーキングペンを用いて表記し得る書込み表面を提供する。代表的にはフェルトチップの表記道具であるドライイレースマーキングペンは、インクを含むが、それはそのような表面に表記し得るだけでなく、例えばドライイレーサ、布、または紙ティッシュを用いて、最小限の努力で消去することもできる。
【0005】
ドライイレースボードの書込み表面からのドライイレースインクの消去可能性は、時間の経過と共に劣化し、除去可能性のない「ゴースト」を形成させる。加えてそのような表面は、一部のドライイレースマーカと互換性がない場合があり、不注意にも永久マーカで書込んだ場合には、永久に表記されたままになる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4786558号明細書
【特許文献2】米国特許第5024898号明細書
【特許文献3】米国特許第5037702号明細書
【特許文献4】米国特許第5338793号明細書
【特許文献5】米国特許第5412021号明細書
【特許文献6】米国特許第5677363号明細書
【特許文献7】米国特許第6031023号明細書
【特許文献8】米国特許第6265074号明細書
【特許文献9】米国特許第6326437号明細書
【特許文献10】米国特許第6350806号明細書
【特許文献11】米国特許第6423418号明細書
【特許文献12】米国特許第6541552号明細書
【特許文献13】米国特許第6579966号明細書
【特許文献14】米国特許第6620500号明細書
【特許文献15】米国特許第6686051号明細書
【特許文献16】米国特許第6767591号明細書
【特許文献17】米国特許第6878414号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2004/0077497号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2004/0081844号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2006/0024461号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2006/0024463号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2006/0024504号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2006/0287217号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2007/0072989号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2007/0091073号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2009/0148603号明細書
【特許文献27】米国特許第3949132号明細書
【特許文献28】米国特許第4184885号明細書
【特許文献29】米国特許第4387181号明細書
【特許文献30】米国特許第4525216号明細書
【特許文献31】米国特許第4818790号明細書
【特許文献32】米国特許第5227414号明細書
【特許文献33】米国特許第5310611号明細書
【特許文献34】米国特許第5360642号明細書
【特許文献35】米国特許第5629403号明細書
【特許文献36】米国特許第5637638号明細書
【特許文献37】米国特許第5977269号明細書
【特許文献38】米国特許第6277485号明細書
【特許文献39】米国特許第6306508号明細書
【特許文献40】米国特許第6310127号明細書
【特許文献41】米国特許第6379001号明細書
【特許文献42】米国特許第6383651号明細書
【特許文献43】米国特許第6580481号明細書
【特許文献44】米国特許第6703452号明細書
【特許文献45】米国特許第7001952号明細書
【特許文献46】欧州特許第414375号明細書
【特許文献47】欧州特許第659791号明細書
【特許文献48】特開平04−148925号公報
【特許文献49】特開平06−344655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
本願は、書込み可能−消去可能表面を有するコーティング、そのようなコーティングを含む製品(例えばホワイトボード)、ならびにそれを製造および使用する方法に関する。一般に書込み可能−消去可能表面を有するコーティングは、水溶性担体中の1種以上の前駆体材料から製造され、コーティングは、周囲条件下で硬化される。書込み表面が表記材料、例えば水性またはアルコール性表記材料で表記された場合、長期間および反復での使用の後でさえ、表記材料を消去して、ほとんど、または全くゴーストを残さない程に実質的に不可視にすることができる。コーティングを形成する1種以上の材料は、基板に塗布する際または基板上で硬化させる際に、最小限の揮発性有機化合物(VOC)を発生させる。得られたコーティングは、以下の属性:低い多孔性、低い表面粗さ、高い破断点伸び、高いテーバー耐摩耗性、および高いスオード硬度、の1種以上を含む望ましい属性を多く有する。一般に、いずれかの理論に拘束されるものではないが、コーティングの多孔性が低ければコーティングが表記材料に実質的に不透過性になり、表面粗さが低ければイレーサの効果的範囲を超えた、表記材料の表面への取込みが予防されると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の一態様において、書込み可能−消去可能製品は、基板上に延ばされた書込み可能−消去可能表面を有する硬化コーティング(架橋されたものなど)を含む。コーティングは、周囲条件下で硬化可能で、1種以上の材料から形成することができ、その1種以上の材料のそれぞれがG1およびG2から独立して選択される官能基を1つ以上含むことができ、1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料が水溶性担体中に存在することができ、ここで各G1官能基はイソシアネート、エポキシド、ウレタン、エチレンオキシ、およびエチレンから独立して選択することができ、ここでエチレンはヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されていてもよく、各G2官能基は、ヒドロキシル、アミン、フェノール、カルボン酸、酸無水物、アジリジン、およびチオールから独立して選択することができる。書込み可能−消去可能表面を、着色剤と、水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリットのうちの1種以上、またはそれらの混合物からなる溶媒とを含む表記材料で表記した後、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して、実質的に不可視にすることができる。
【0009】
幾つかの実施態様において、コーティングは、1種以上の材料から形成させることができ、1種以上の材料のそれぞれがG1官能基を1つ以上含むことができ、1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料が水性担体中に存在することができる。
【0010】
幾つかの実施態様において、コーティングは、2種以上の材料から形成させることができ、第1の材料はG1官能基を1つ以上含むことができ、第2の材料はG2官能基を1つ以上含むことができ、2種以上の材料のうち少なくとも1種の材料は水性担体中に存在することができる。
【0011】
幾つかの実施態様において、硬化コーティングおよび/または書込み可能−消去可能表面は、以下の属性を1種以上有していてもよい。コーティングは、約40%未満の多孔性;約0.0025cm(約0.001インチ)〜約0.32cm(約0.125インチ)の厚さ;約100〜約125mg/1000回のテーバー摩耗値;約10を超えるスオード硬度;約5%〜約400%の破断点伸び;約4〜約24の垂下り抵抗;約350g/L未満(例えば約50g/L未満)のVOC含量を有していてもよい。
【0012】
幾つかの実施態様において、G1は、イソシアネート、エポキシド、ウレタン、エチレンオキシ、および/またはエチレンであり、エチレンはヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されている。
【0013】
幾つかの実施態様において、G1は、アルコキシカルボニルで置換されたエチレン、またはアセトキシで任意に置換されたエチレンである。
幾つかの実施態様において、G1がアルコキシカルボニルで置換されたエチレンである、G1を1つ以上含む材料1種以上は、G1がエチレンオキシであるG1基を1つ以上含む材料を更に1種以上含む。
【0014】
幾つかの実施態様において、1種以上の材料は、ポリウレタンである。そのような実施態様において、1種以上の材料は、ポリアクリレートを更に含むことができる。
幾つかの実施態様において、1種以上の材料は、ディスパージョンの形態である。
【0015】
幾つかの実施態様において、G2は、ヒドロキシル、アミン、フェノール、カルボン酸、酸無水物、アジリジン、および/またはチオールである。
幾つかの実施態様において、G1がエポキシドである場合、G2はヒドロキシルもしくはアミンであってもよく;G1がイソシアネートである場合、G2はヒドロキシルもしくはアミンであってもよく、そして/またはG1がウレタンである場合、G2はアジリジンであってもよい。
【0016】
幾つかの実施態様において、G1官能基を1つ以上含む1種以上の材料は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートおよびそのメチルエステル、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンジフェニルイソシアネート(HMDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、またはそのオリゴマーおよびホモポリマー、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0017】
幾つかの実施態様において、G1官能基を1つ以上含む1種以上の材料としては、脂肪族ジイソシアネート(例えばヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、IPDIなど)、例えば親水性脂肪族ジイソシアネートもしくはそのオリゴマーおよびホモポリマー(例えばヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネートのホモポリマー)、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
幾つかの実施態様において、G1官能基を1つ以上含む1種以上の材料は、ポリマー材料が挙げられる。
幾つかの実施態様において、G2官能基を1つ以上含む1種以上の材料は、α、ω−ジオールが挙げられる。
【0019】
幾つかの実施態様において、G2官能基を1つ以上含む1種以上の材料は、ポリマー材料(例えばアクリルポリオールまたはアクリル系ジオール)が挙げられる。
書込み可能−消去可能表面は、同じ位置を約100回を超えて、または約5000回を超えて書込みおよび消去した後に消去可能であり、実質的に不可視にすることができる。書込み可能−消去可能表面は、約7500nm未満の平均表面粗さ(R);約10000nm未満の最大表面粗さ(R);約35度を超える接触角;約150度未満の接触角を有することができる。
【0020】
幾つかの実施態様において、基板は、セルロース材料、ガラス、壁(例えば石膏または塗装)、繊維板(例えば硬化コーティングが繊維板上に延ばされていてもよいホワイトボード)、パーティクルボード(例えばチョークボードまたは黒板)、石膏ボード、木、圧縮セラミックス、石(例えばグラナイト)、および金属(例えばアルミニウムまたはステンレス鋼)からなる群から選択することができる。
【0021】
幾つかの実施態様において、基板は、可撓性フィルムまたは剛性非可動性構造から選択することができる。
幾つかの実施態様において、表記材料は、繊維材料を含むイレーサで表記を拭取ることにより、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して、実質的に不可視にすることができる。
【0022】
幾つかの実施態様において、イレーサとしては、水、アルコール(例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール)、アルコキシアルコール(例えば2−(n−プロポキシ)エタノール、2−(n−ブトキシ)エタノール)、3−(n−プロポキシ)エタノール)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルn−ブチルケトン)、ケトン性アルコール(例えばジアセトンアルコール)、エステル(例えばメチルスクシネート、メチルベンゾエート、エチルプロパノエート)、アセテート(例えばメチルアセテート、エチルアセテート、n−ブチルアセテート、t−ブチルアセテート)、またはミネラルスピリットが挙げられる。
【0023】
幾つかの実施態様において、書込み可能−消去可能製品は、硬化コーティングを繊維板上に延ばしたホワイトボードを形成することができ;例えば構造の壁の一部を形成していてもよく;または複数のシートを形成することができ、各シートが表面に延ばされた硬化コーティングを有する基板(例えば紙の形態)を含むことができる。
【0024】
別の態様において、本開示は、書込み可能−消去可能製品を製造する方法を記載し、その方法は、コーティングを基板に塗布する工程、コーティングを硬化して(例えば周囲条件下で)書込み可能−消去可能表面を画定する硬化コーティングを提供する工程を含む。書込み可能−消去可能表面が表記材料で表記された後、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して、実質的に不可視にすることができる。
【0025】
そのような実施態様において、コーティングは、1種以上の材料を含み、1種以上の材料のそれぞれは、G1およびG2から独立して選択される官能基を1つ以上含み、1種以上の材料のうち少なくとも1種は、水溶性担体中に存在し、ここで各G1官能基は、イソシアネート、エポキシド、ウレタン、エチレンオキシ、およびエチレンから独立して選択され、ここでエチレンはヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されており、各G2官能基は、ヒドロキシル、アミン、フェノール、カルボン酸、酸無水物、アジリジン、およびチオールから独立して選択される。
【0026】
そのような実施態様において、表記材料は、着色剤および溶媒(例えば水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリット、またはそれらの混合物)を含む。
【0027】
幾つかの実施態様において、塗布の前のコーティングは、約350g/L未満のVOC(例えば約50g/L未満のVOC)を有する。
幾つかの実施態様において、G1官能基(例えばイソシアネート)を1つ以上含む1種以上の材料と、G2官能基(例えばヒドロキシル)を1つ以上含む1種以上の材料とを混和することにより、コーティングを製造することができる。
【0028】
幾つかの実施態様において、混和する前、G1官能基(例えばイソシアネート)を1つ以上含む1種以上の材料は、第1の容器内に存在することができ、G2官能基(例えばヒドロキシル)を1つ以上含む1種以上の材料は、第2の容器内に存在することができ。
【0029】
幾つかの実施態様において、G2官能基(例えばヒドロキシル)を1つ以上含む1種以上の材料は、2以上の官能価を有する架橋剤も含む。
幾つかの実施態様において、1種以上の材料は、水性担体中に存在することができる。
【0030】
別の態様において、本開示は、書込み可能−消去可能製品を選択する工程、および書込み可能−消去可能表面に第1の情報を表記材料で表記する工程を含む、情報を変更可能に提示する方法を記載する。表面が表記材料で表記された後、第1の情報の表記を書込み可能−消去可能表面から消去して(例えばイレーサを書込み可能−消去可能表面に当てることによる)実質的に不可視にする工程;書込み可能−消去可能表面に異なる情報を表記する工程、および異なる情報の表記を書込み可能−消去可能表面から消去して実質的に不可視にする工程。
【0031】
幾つかの実施態様において、コーティングは、1種以上の材料から形成することができ、1種以上の材料のそれぞれは、G1およびG2から独立して選択される官能基を1つ以上含むことができ、1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料は、水溶性担体中に存在することができ、ここで各G1官能基は、イソシアネート、エポキシド、ウレタン、エチレンオキシ、およびエチレンから独立して選択することができ、ここでエチレンはヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されていてもよく、各G2官能基は、ヒドロキシル、アミン、フェノール、カルボン酸、酸無水物、アジリジン、およびチオールから独立して選択することができる。
【0032】
幾つかの実施態様において、コーティングは、イソシアネート基を1つ以上含む1種以上の材料、ヒドロキシル基を1つ以上含む1種以上の材料から形成することができ、1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料は、水溶性担体中に存在することができる。
【0033】
幾つかの実施態様において、表記材料は、着色剤および溶媒(例えば水、アルコール、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリット、またはそれらの混合物)を含む。
【0034】
幾つかの実施態様において、イレーサは、繊維材料を含む。
幾つかの実施態様において、イレーサは、水、アルコール、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリット、またはそれらの混合物を含む。
【0035】
幾つかの実施態様において、異なる情報の表記および消去は、繰り返し実施される。
別の態様において、本開示は、親水性脂肪族ジイソシアネートまたはそのホモポリマーおよびオリゴマー、アクリルポリマー、水、ならびに任意に促進剤および/または酸促進剤(acid promotor)を含む組成物を記載する。
【0036】
幾つかの実施態様において、組成物は、二酸化チタン、表面添加剤、湿潤剤、脱泡剤、顔料または着色剤を含むことができる。
幾つかの実施態様において、組成物は、約350g/L未満のVOC量(例えば約50g/L未満のVOC量)を有することができる。
【0037】
別の態様において、本開示は、基板上に延ばされた、書込み可能−消去可能表面を有する硬化コーティングを含む、書込み可能−消去可能製品を記載する。コーティングは、周囲条件下で硬化させることができ、水性担体中の材料から形成することができる。書込み可能−消去可能表面を、着色剤および溶媒(例えば水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリット、またはそれらの混合物)を含む表記材料で表記した後、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して、実質的に不可視にすることができる。
【0038】
実施態様および/または態様は、以下の利点を1つ以上含んでいてもよい。コーティング表面は、書込み可能かつ消去可能である。コーティングは、長期間にわたり通常使用した後でさえ、ほとんど、または全くゴーストを残さない書込み表面を提供することができる。コーティングは、簡単に製造することができ、多孔性(例えば紙)および非多孔性(例えば圧縮セラミックス)の両方を含む多くの異なる基板に塗布することができる。コーティングは、非限定的に、古いチョークボード(例えば黒板)、ホワイトボード、ドライウォール、石膏ボード、石膏および塗装壁をはじめとする様々な基板に塗布することができる。水性コーティングは、書込み可能−消去可能製品を工場で製造するというよりむしろ、書込み可能−消去可能製品を製造する現場で基板に塗布することができる。多くの基板では、単層コーティングで適切な書込み可能−消去可能表面を提供することができる。コーティングは、多くの基板に対して良好な付着強度を示すことができる。コーティング成分(混合する前)は、長期間、例えば約3年までの有効期限を有することができる。コーティングは、容易に付け替えることができる。コーティングは、周囲条件下で急速に、例えば4時未満で硬化させることができる。コーティングは、ASTM法 G154による測定では、長期間(例えば2000時間まで)、黄変に耐えることができる。コーティングは、硬化のためにUV光または高エネルギー放射、例えば電子ビームを必要としない。それでも幾つかの実施態様では、光、例えばUV光、または熱を利用して、硬化速度を高めることができる。コーティングは、垂直基板上に塗布する場合でも、流れる傾向を低くすることができる。コーティングの表面光沢は、容易に調整することができる。コーティングの書込み表面は、投影可能にすることができる。コーティングを硬質にすることができる。コーティングは、有機溶媒および/またはインクを実質的に不透過性にすることができる。コーティングは、低い多孔性を有することができる。コーティングの表面は、低い粗さを有することができる。コーティングは、耐衝撃性を有することができる。コーティングは、耐引掻性および耐摩耗性を生成することができる。コーティングは、比較的低コストとすることができる。コーティングは、高い耐薬品性を有することができる。
【0039】
本明細書で用いられる「硬化」は、溶剤蒸発(乾燥)、放射線硬化、合着(coalescence)、触媒重合、酸化架橋、または他の架橋方法のうちの1種以上を指す。
本明細書で用いられる「周囲条件」は、海水位での約7℃(約45°F)〜約54℃(130°F)の温度における、通常の陸上の条件を指す。
【0040】
本明細書で用いられる「水性担体」は、EPA法24で測定した場合に、約350g/Lを超える揮発性有機化合物(VOC)を有さないものである。
本明細書で用いられる「実質的に不可視」は、ASTMテスト法D2244により計算した場合に、10未満の色差の
【0041】
【数1】

を指す。
【0042】
本明細書で用いられる「アルキル」は、非環式および環式の両構造を含む、炭素原子を1〜20個含む飽和または不飽和炭化水素(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、プロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルなど)を指す。結合した二価アルキル基は、「アルキレン」(例えばエチレン、プロピレンなど)と呼ぶ。
【0043】
本明細書において用いられる「アリール」は、単環式または多環式(例えば縮合環を2、3または4個有する)の芳香族炭化水素、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどを指す。幾つかの実施形態において、アリール基は、炭素原子を6〜約20個、炭素原子を6〜約15個、または炭素原子を6〜10個有する。
【0044】
本明細書で用いられる「アラルキル」は、アリールにより置換されたアルキルを指す。アラルキル基の例は、ベンジルである。
本明細書で用いられる「アルコキシ」は、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシなどが挙げられる。
【0045】
本明細書で用いられる「オキシアルキレン」は、−O−アルキレン基を指す。
本明細書で用いられる「アルコキシレート」は、アルキル−C(O)Oを指す。アルコキシレートの例としては、アセテート、ステアレートなどが挙げられる。
【0046】
本明細書で用いられる「ポリオール」は、ヒドロキシル(−OH)基を少なくとも2個含む部分である。ヒドロキシル基は、末端および/または非末端であってもよい。ヒドロキシル基は、第1級ヒドロキシル基であってもよい。
【0047】
本明細書で用いられる「ポリウレタン」は、バックボーンにウレタン結合[NHC(=O)O]を含むポリマーまたはオリゴマー材料である。
本明細書で言及された全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考資料は、全体が本明細書に参考として援用される。
【0048】
本開示の一つ以上の実施態様の詳細を、添付の図面および以下の記述において説明する。他の特徴および利益は、その記述および図面、ならびに特許請求の範囲から明白となろう。
【0049】
様々な図面内の類似の参照記号は、類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】書込み可能−消去可能製品の平面図である。
【図2】図1の書込み可能−消去可能製品の1A−1Aに沿った断面図である。
【図3】コーティング上の水滴の断面図であり、接触角を測定する方法を示す。
【図4】コーティングされたロール紙の斜視図である。
【図5】図4のロールから形成された1冊のコーティング紙の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
詳細な説明
書込み可能−消去可能製品
図1および2を参照すると、書込み可能−消去可能製品10は、基板12と、基板12上に延ばされた硬化コーティング14とを含む。コーティング14は、書込み可能−消去可能表面16を有する。書込み可能−消去可能表面16が、表記材料で表記された後、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して実質的に不可視にすることができ、長期間の通常使用後、例えば同じ位置で書込みおよび消去を、例えば5000回(例えば約10回、約50回、約100回、約500回、約1000回、約2000回、約3000回、約4000回、約5000回、約6000回、約7000回、約8000回、または約9000回)行った後でさえ、ほとんど、または全くゴーストを残さない。消去の可視性またはその欠如は、表面を表記して表記を消去した後、分光光度計(例えばX−ライト(X−Rite)から入手できるSP−62ポータブル分光光度計)を用いて、書込み−消去可能表面で色変化デルタE(ΔE)を測定することにより決定することができる。表記材料は、着色剤(例えば顔料)および溶媒、例えば水、アルコール、アセテート、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリット、またはそれらの混合物を含むことができる。表記材料は、業界標準のドライイレースマーカのいずれかから選択することができる。
【0052】
コーティング14を形成する材料は、多孔性(例えば紙)および非多孔性(例えば圧縮セラミックス)をはじめとする多くの異なる種類の基板に塗布することができる。基板12は、可撓性フィルムまたは剛性の可動性もしくは非可動性構造であってもよい。基板の例としては、非限定的に、高分子材料(例えばポリエステルまたはポリアミド)、セルロース材料(例えば紙)、ガラス、木、壁(例えば石膏または塗装)、繊維板(例えば硬化コーティングを繊維板上に延ばしたホワイトボード)、パーティクルボード(例えばチョークボードまたは黒板)、石膏ボード、木、圧縮セラミックス、石(例えばグラナイト)、および金属(例えばアルミニウムまたはステンレス鋼)が挙げられる。基板は、新たに組み立てられた構造であっても、または古く老朽化したチョークボード、黒板、もしくはホワイトボードであってもよい。幾つかの例において、基板の表面は、コーティングの塗布以前に表面をサンダー仕上げして表面を下塗りすることにより、清浄することができる。幾つかの例において、表面へのコーティングをより良好に付着させるために、表面を洗浄剤(例えば弱酸)で洗浄することもできる。
【0053】
基板に塗布する前のコーティング14を形成する材料は、可使時間(pot life)、つまり材料を基板に塗布する間の時間を有し得る。幾つかの実施態様において、材料は、約10分〜約16時間、例えば約30分〜約12時間、約60分〜約8時間、約1時間〜約4時間、または約1時間〜約2時間の可使時間を有し得る。他の実施態様において、材料は、約6ヶ月、例えば約12ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、または約36ヶ月を超える可使時間を有し得る。
【0054】
基板に塗布する際、コーティング14を形成する材料は、代表的には周囲条件下で硬化する。本明細書において硬化は、基板上にコーティングを形成させる材料の設置工程を指す。それは、コーティングを形成する材料から溶媒を簡単に蒸発させる工程を指すことができ、コーティングを形成する材料の間での異なる架橋方法としては、非限定的に、酸化架橋および触媒重合が挙げられる。化学的または物理的のいずれかの高分子鎖間の架橋は、コーティングのある独特の性質に影響を及ぼす可能性がある。幾つかの任意実施態様において、硬化は、UV光、熱的手段、開始剤、または電子ビームにより促進させることができる。コーティング14は、周囲条件下で約4時間〜約1週間、例えば約4時間〜約24時間、約8時間〜約20時間、約12時間〜約16時間、約1日〜約7日、約2日〜約6日、または約3日〜約5日硬化させることができる。
【0055】
コーティング14を形成する材料は、基板12に塗布する際に、VOC、例えば溶媒および/またはホルムアルデヒドをほとんど、または全く発生しない。硬化コーティング14は、一般に安定であり、比較的少量のVOCを発生し、または全くVOCを発生しなくてもよい。揮発性成分(通常は溶媒)の量の低下および常温硬化により、環境への悪影響を抑制することができ、使用の際により毒性が低く(吸入および吸収が少なく)より安全な(燃焼性および引火点が低い)材料を製造することができる。水性コーティング塗布時の有機溶媒の発生減少により、塗布領域を他の領域と分離する必要がなく、良好な換気が必要ないこと、および人の保護器具がほとんど、または全く必要ないことが確実である。常温硬化材料の使用により、放射線形態のエネルギーを必要とする硬化工程に比較して、硬化工程の際にエネルギー効率が高まる。有機溶媒が少量であるため、コーティング材料の可使時間を増加させ、これにより材料の浪費を減少させることができる。低量のVOC発生および常温硬化により、所望の属性、例えば低い多孔性、低い表面粗さ、高い破断点伸び、高いテーバー耐摩耗性、および高いスオード硬度のうちの1種以上を有するコーティングおよび/または書込み可能−消去可能表面を提供することもできる。
【0056】
幾つかの実施態様において、材料は、約350g/L未満のVOC、例えば約300g/L、約250g/L、約200g/L、約150g/L、約100g/L、約50g/L、または約0.5g/L未満のVOCを有する。他の実施態様において、材料は、約0〜約50g/LのVOC、例えば約1〜約10g/L、約10〜約20g/L、約20〜約30g/L、約30〜約40g/L、または約40〜約50g/LのVOCを有する。材料は、VOCを実質的に含まなくてもよい。有利には、VOCが使用される場合には、それは米国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency(EPA))のガイドラインに属さないVOC、例えばメチルアセテート、t−ブチルアセテート、イソプロピルアルコール、またはアセトンであってもよい。
【0057】
コーティングの多孔性により、コーティングに取込まれ得る表記材料の量を決定することができる。コーティングの多孔性の割合が低いため、より良好な書込み可能−消去可能表面が得られる。幾つかの実施態様において、コーティング14は、約1〜約40%、例えば約2%〜約35%、約2.5%〜約30%、約3%〜約20%、または約4%〜約10%の多孔性を有することができる。他の実施態様において、コーティング14は、約40%未満、例えば約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、または約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約2.5%未満の多孔性を有することができる。幾つかの特定の実施態様において、コーティングは、約3%、約33%または約34%の多孔性を有することができる。
【0058】
コーティング14は、ローラ、塗装スプレー、塗装刷毛、または他のタイプの塗布器具を利用して単層コーティングまたは多層コーティングに塗装することができる。幾つかの実施態様において、それは、フォームローラを用いた塗装により単層コーティングとすることができる。幾つかの実施態様において、コーティング14は、例えば約0.0025cm(約0.001インチ)〜約0.32cm(0.125インチ)、例えば約0.0051cm(約0.002インチ)〜0.25cm(約0.1インチ)、または約0.010cm(約0.004インチ)〜約0.20cm(約0.08インチ)、または0.015cm(約0.006インチ)〜0.15cm(約0.06インチ)、または約0.020cm(約0.008インチ)〜0.10cm(約0.04インチ)、または約0.025cm(約0.01インチ)〜約0.051cm(約0.02インチ)の厚さT(図2)を有することができる。他の実施態様において、コーティング14は、約0.013cm(0.005インチ)を超える、例えば約0.019cm(0.0075インチ)を超える、または0.025cm(0.010インチ)を超える厚さを有する。理論に拘束されるものではないが、均一で適切なコーティング厚が提供されれば、表記材料が透過され得る際に薄い、またはコーティングされていない基板部分となる可能性が低くなると考えられる。
【0059】
幾つかの実施態様において、コーティング14は、約150mg/1000回未満、例えば約100mg/1000回未満、約75mg/1000回未満、約50mg/1000回未満、約35mg/1000回未満、約25mg/1000回未満、約15mg/1000回未満、約10mg/1000回未満、約2.5mg/1000回未満、約1mg/1000回未満、または約0.5mg/1000回未満のテーバー摩耗値を有することができる。低いテーバー摩耗値が維持されれば、コーティングの長期持続性を提供することでき、かすれの発生が減少し、表記材料をコーティングおよび基板に透過させることができる。
【0060】
幾つかの実施態様において、コーティング14は、約10を超える、例えば約15を超える、約25を超える、約50を超える、約75を超える、約100を超える、約120を超える、約150を超える、または約200を超えるスオード硬度を有することができる。理論に拘束されるものではないが、高いスオード硬度が維持されれば、コーティングの長期持続性および耐引掻性が提供されると考えられる。掻き傷に取込まれた表記材料は、消去することが困難となる可能性がある。
【0061】
幾つかの特定の実施態様において、コーティングは、約10〜約75、例えば約15〜約70または約15〜約55のスオード硬度を有することができる。幾つかの特定の実施態様において、コーティングは、約15、約22または約25のスオード硬度を有することができる。
【0062】
幾つかの実施態様において、コーティング材料の破断点伸びは、約5%〜約400%、例えば約25%〜約200%、または約50%〜約150%とすることができる。他の実施態様において、破断点伸びは、例えば10%を超える、例えば25%を超える、50%を超える、または100%を超えることができる。理論に拘束されるものではないが、高い破断点伸びが維持されれば、コーティングに長期持続性が提供され、コーティングが亀裂を形成せずに応力を受けることができると考えられる。亀裂は表記材料を取込み、表面から消去することが困難になり、こうして書込み可能−消去可能製品の寿命を短縮させる可能性がある。
【0063】
幾つかの実施態様において、コーティング材料の撓み抵抗(sag resistance)は、約0.20mm(約8ミル)、例えば約0.08mm(約3ミル)、約0.10mm(約4ミル)、約0.13mm(約5ミル)、約0.15mm(約6ミル)、約0.18mm(約7ミル)、約0.20mm(約8ミル)、約0.23mm(約9ミル)、約0.25mm(約10ミル)、約0.30mm(約12ミル)、約0.36mm(約14ミル)、約0.41mm(約16ミル)、約0.46mm(約18ミル)、約0.51mm(約20ミル)、約0.56mm(約22ミル)、または約0.61mm(約24ミル)とすることができる。他の実施態様において、コーティング14は、約0.10mm(約4ミル)〜約0.61mm(約24ミル)、例えば約0.13mm(約5ミル)〜約0.51mm(約20ミル)、約0.15mm(約6ミル)〜約0.46mm(約18ミル)、約0.18mm(約7ミル)〜約0.41mm(約16ミル)、約0.20mm(約8ミル)〜約0.36mm(約14ミル)、約0.23mm(約9ミル)〜約0.30mm(約12ミル)、または約0.25mm(約10ミル)〜約0.30mm(約12ミル)の撓み抵抗を有することができる。
【0064】
幾つかの実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、例えば約0.5nm〜約7500nm、例えば約1nm〜約6000nm、約2nm〜約5000nm、約5nm〜約2500nm、約10nm〜約1500nm、約20nm〜約1000nmまたは約25nm〜約750nmの平均表面粗さ(R)を有することができる。他の実施態様において、コーティング14は、約7500nm未満、例えば約5000nm未満、約3000nm未満、約2000nm未満、約1000nm未満、約500nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、または約50nm未満の平均表面粗さ(R)を有することができる。
【0065】
幾つかの実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約75nm〜約1000nm、例えば約100nm〜約500nmまたは約150nm〜約400nmの平均表面粗さ(R)を有することができる。幾つかの特定の実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約150nm、約300nmまたは約1000nmの平均表面粗さ(R)を有することができる。
【0066】
幾つかの特定の実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約10000nm未満、例えば約8000nm未満、約6500nm未満、約5000nm未満、約3500nm未満、約2000nm未満、約1000nm未満、または約500nm未満の最大表面粗さ(R)を有することができる。
【0067】
幾つかの実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、つやなし仕上げ(85度で測定すると15未満の光沢)、つや消し仕上げ(60度で測定すると約5〜約20の光沢)、梨地仕上げ(60度で測定すると約15〜約35の光沢)、半光沢仕上げ(60度で測定すると約30〜約65の光沢)、または光沢仕上げ(60度で測定すると約65を超える光沢)を有することができる。
【0068】
幾つかの特定の実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約45〜約90、例えば約50〜約85の60度光沢を有することができる。他の実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約10〜約50、例えば約20〜約45の20度光沢を有することができる。更に他の実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約45〜約90、例えば約75〜約90の85度光沢を有することができる。他の特定の実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約12、約23、もしくは約46の20度光沢;または約52、約66、もしくは約85の60度光沢;または約64、約78、もしくは約88の85度光沢を有することができる。
【0069】
幾つかの実施態様において、コーティング表面の書込み可能性および消去可能性を改善するために、硬化コーティングが比較的親水性かつあまり疎水性でない表面を有するように、前駆体材料を選択することができる。図3を参照すると、書込み可能−消去可能表面の疎水性は、液体、例えば水性表記材料による湿潤性に関係する。多くの場合、接触角により書込み可能−消去可能表面の疎水性を定量することが望ましい。一般に、ASTM D 5946−04に記載されたとおり、書込み可能−消去可能表面16上の液体(例えば水)について接触角θを測定するために、書込み可能−消去可能表面16と、液滴表面に引いたタンジェントライン26との間の角を三相点(three phase point)で測定する。数学的にはθは、2アークタンジェント(A/r)(式中、Aは液滴像の高さであり、rは基底の半幅である)である。幾つかの実施態様において、脱イオン水を用いて測定された接触角θが約150度未満、例えば約125度未満、約100度未満、約75度未満または約50度未満を有することが望ましい。他の実施態様において、それが約35度を超える、例えば約40度を超える、約45度を超える接触角θを有することが望ましい。
【0070】
特定の実施態様において、脱イオン水で測定された接触角θは、約30度〜約90度、例えば約45度〜約80度、または約39度〜約77度となり得る。幾つかの特定の実施態様において、接触角は、約40度、約50度、約60度、約73度、または約77度となり得る。
【0071】
幾つかの実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約300μN/cm(約30ダイン/cm)〜約600μN/cm(約60ダイン/cm)、例えば約400μN/cm(約40ダイン/cm)〜約600μN/cm(約60ダイン/cm)の表面張力を有することができる。幾つかの特定の実施態様において、書込み可能−消去可能表面は、約250μN/cm(約25ダイン/cm)、約300μN/cm(約30ダイン/cm)、約240μN/cm(約42ダイン/cm)、約440μN/cm(約44ダイン/cm)または約560μN/cm(約56ダイン/cm)の表面張力を有することができる。
【0072】
一般に、塗布の直後または硬化時に塗布したコーティングが流れないように、十分な粘度を有し得る水性担体中の材料の溶液を塗布、例えばローリング、塗装、またはスプレーすることにより、コーティング14を形成させることができる。同時に溶液の粘度は、容易に塗布できるほど十分でなければならない。例えば幾つかの実施態様において、塗布された溶液は、25℃で約75mPa・s〜約20000mPa・s、例えば約200mPa・s〜約15000mPa・s、または約750mPa・s〜約5000mPa・sの粘度を有することができる。
【0073】
有利には、書込み可能−消去可能表面を、着色剤と、水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテートまたはミネラルスピリットを1種以上含む溶媒とを含む表記材料で表記する場合、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して、実質的に不可視にすることができる。記載された溶媒の混合物を用いてもよい。例えば記載された溶媒、または他の溶媒のうちの2種、3種、4種またはそれを超える種類の混合物を用いてもよい。
【0074】
幾つかの実施態様において、表記材料は、繊維材料を含むイレーサで表記を拭取ることにより、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して、実質的に不可視にすることができる。例えばイレーサは、使い捨てワイパまたは支持された(例えば木、プラスチック)フェルトの形態であってもよい。イレーサも、例えば水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテートまたはミネラルスピリットを1種以上含むことができる。これらの溶媒のいずれか2種以上の混合物を用いてもよい。
【0075】
アルコールの例としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、およびベンジルアルコールが挙げられる。これらの溶媒のいずれか2種以上の混合物も、アルコールとする。
【0076】
アルコキシアルコールの例としては、2−(n−プロポキシ)エタノール、2−(n−ブトキシ)エタノールおよび3−(n−プロポキシ)エタノールが挙げられる。これらの溶媒のうちいずれか2種以上の混合物も、アルコキシアルコールとする。
【0077】
ケトンの例としては、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルn−ブチルケトンが挙げられる。これらの溶媒のうちのいずれか2種以上の混合物を使用してもよい。
アセテートの例としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−ブチルアセテートおよびt−ブチルアセテートが挙げられる。これらの溶媒のうちのいずれか2種以上の混合物を使用してもよい。
【0078】
テストでは、材料をフルオロポリマー基板に注型し、その後、約0.0050cm(約0.002インチ)の乾燥厚を有し得るよう材料を硬化することにより、コーティングを製造することができる。その後、硬化された試料をフルオロポリマー基板から除去すれば、テスト切片を提供することができる。テストは、25℃で実施することができる。破断点伸びはASTM法 D−882を利用して実施することができ;多孔性は水銀圧入法(ジョージア州ノークロスのミクロメリティクス(Micromeritics)から入手できる適切な器具、例えばミクロメリティクス・オートポア(Micromeritics Autopore)IV9500)を使用して測定することができ;表面粗さはASME B46.1(適切な器具、例えばWYKO NT8000はパーク・サイエンティフィック(Park Scientific)から入手できる)を使用してタッピング様式の原子間力顕微鏡を利用して測定することができ;テーバー耐摩耗性はASTM法D−4060(ホイールCS−17、1kg荷重)により測定することができ、スオード硬度はASTM法D−2134(スオード硬度ロッカーモデルC(Sward Hardness Rocker Medel C))により測定することができる。VOCの量は、EPA法24を用いて測定することができる。光沢は、ASTM法D−523−89(BYKトリグロスメータ(BYK Tri−Gloss Meter)、カタログ番号4524)を用いて測定することができる。接触角は、ASTM法D−5946−04を利用した動的接触角法(オングストローム・モデル(Angstroms Model)FTA200)を用いて、脱イオン水で測定することができる。垂下り抵抗は、ASTM法D4400を利用して測定することができる。これは、圧力低下量を得て、標準のASTM図と比較して視覚的に測定することにより実施する。表面張力は、アキュダイン・マーキング・ペンズ(AccuDyne Marking Pens)を用いて測定することができる。ストーマー粘度は、ASTM法D−562によりブルックフィールド粘度計で測定することができ、クレブス単位(Ku)で報告される。
【0079】
本明細書に記載されたいずれの書込み可能−消去可能製品も、本明細書に記載された属性のいずれかを1種以上有することができる。例えば書込み可能−消去可能表面は、約7500nm未満の平均表面粗さ(R)、約7500nm未満の最大表面粗さ(R)、約50未満の60度光沢、および約100度未満の接触角を有することができる。
【0080】
本明細書に記載されたいずれのコーティングも、以下の属性のいずれかを1種以上有することができる。例えばコーティングは、約45%未満の多孔性、約25%〜約200%の破断点伸び、ならびに/または約3を超えるスオード硬度および約150mg/1000回未満のテーバー摩耗値を有することができる。
【0081】
配合
主に建築物の設置に用いられる水性コーティングは、結合剤、顔料、溶媒、および/または添加剤を含む。水性コーティングの領域で用いられるポリマー系の幾つかは、アクリル系エマルジョンおよびウレタンディスパージョンである。水性コーティングは、硬化時の濁り低下に関して潜在的利益を示し、溶媒性コーティングに比較して低いVOCを含む。有害な空気汚染物質(HAP)として現在分類されている化学物質を全く含まない水性コーティングの配合も可能である。一般にコーティング配合物は、1成分系または2成分系のいずれかを含むことができる。コーティングが1成分系として配合される場合、コーティングを1種以上の材料から形成することができ、その1種以上の材料のそれぞれは、G1から独立して選択される官能基を1つ以上含むことができ、その1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料は水性担体中に存在することができる。コーティングが2成分系として配合される場合、コーティングを1種以上の材料から形成することができる。第1の材料はG1から独立して選択される官能基を1つ以上含むことができ、第2の材料はG2から独立して選択される官能基を1つ以上含むことができ、その1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料は水性担体中に存在することができる。1成分系または2成分系いずれかの各G1官能基は、イソシアネート、エポキシド、ウレタン、エチレンオキシおよびエチレンから独立して選択され、エチレンはヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されている。2成分系の各G2官能基は、ヒドロキシル、アミン、フェノール、カルボン酸、酸無水物、アジリジン、およびチオールから独立して選択される。水が主な担体であるが、水性コーティングはフィルム形成能に働きかける非水性溶媒を約15%未満含むことができる。
【0082】
ポリウレタン
ポリウレタンは、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートと、ジオールまたはポリオールとの反応により得ることができる。ポリウレタンは、硬化の性質に加えて、イソシアネートおよび/またはポリオールの性質を含む様々な成分に応じて、広範囲の硬度および可撓性を示す。ポリウレタンコーティングは、1成分コーティングまたは2成分コーティングのいずれかとして配合させることができる。反応性ポリウレタンコーティングは、硬化時の反応基としてイソシアネートを含む。The ICI Polyurethanes Book, Geoge Woods.(John Wiley & Sons:New York 1987)およびOrganic Coatings−Properties, Selection and Use U.S.Department of Commerce, National Bureau of Standards:Washinton D. C., Series 7; February 1968を参照すべきであり、それらの開示全体は本明細書に参考として援用される。ポリウレタンコーティングは、複数のASTM名(タイプI〜VI)にも明確に割り当てられている。
【0083】
コーティング14は、ジイソシアネート(G1=イソシアネート)を含む1種以上の材料と、ヒドロキシル(G2=ヒドロキシル)を含む1種以上の材料とから形成させることができ、これらの材料のうち少なくとも1種の材料は、水性担体中に存在することができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、イソシアネートを含む第1の成分と、ポリオールを含む第2の成分との反応生成物であるか、またはそれを含むことができる。ポリウレタンの適用で用いられるジイソシアネートは一般に、アミンとホスゲンとの反応により得ることができる。有機ジイソシアネートの例としては、脂肪族、環状脂肪族(脂環式)、および芳香族ジイソシアネート、例えばメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、4−クロロ−m−フェニレンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートおよびそのメチルエステル、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンジフェニルイソシアネート(HMDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、4−t−ブチル−m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トリレンジイソシアネート、4−メトキシ−m−フェニレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、クメン−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、p,p’−ジフェニレンジイソシアネート、またはそのオリゴマーおよびホモポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態において、脂肪族ジイソシアネート、それらのオリゴマープレポリマー、または脂肪族ポリイソシアネートは、親水性であってもよい。
【0084】
モノマージイソシアネートは、ジオールまたはトリオールで処理することにより、高分子量のオリゴマープレポリマーに更に変換してもよい。そのようなオリゴマープレポリマーは、ポリウレタンコーティングの製造において反応成分として用いることもできる。ポリウレタン適用の際に用いられるジイソシアネートは、様々な商業的供給業者から異なる商品名で入手することができる。市販のジイソシアネートの例としては、非限定的に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)含有のイソネート(Isonate)(登録商標)、パピ(Papi)(登録商標)、スペクトリム(Spectrim)(登録商標)(ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)から入手できる)、デスモジュール(Desmodur)(登録商標)ポリイソシアネートおよびバイヒジュール(Bayhydur)(登録商標)(バイエル(Bayer)から入手できる)、ソベルモール(Sovermol)(登録商標)(コグニス(Cognis)から入手できる)、リーフリー(Reafree)(登録商標)およびケムポール(Chempol)(登録商標)(両者ともクック・コンポジット・ポリマーズ(Cook Composite Polymers)から入手できる)が挙げられる。
【0085】
幾つかの実施態様において、全材料配合物中の脂肪族ジイソシアネートのホモポリマーの重量%は、約31%、例えば約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、または約35%であってもよい。幾つかの実施態様において、全材料配合剤中の脂肪族ジイソシアネートのホモポリマーの重量%は、約20%〜40%、例えば約22%〜約38%、約24%〜約36%、約26%〜約34%、または約28%〜約32%であってもよい。
【0086】
その配合物のイソシアネート含有材料は、約91クレブス単位(Ku)、例えば約85Ku、約90Ku、約95Ku、約100Ku、または約100Kuの粘度を有することができる。幾つかの実施態様において、その配合物中のイソシアネート含有材料は、約40〜約140Ku、例えば約60Ku〜約105Ku、約70Ku〜約105Ku、または約80Ku〜約95Kuの粘度を有することができる。
【0087】
ポリウレタンコーティングは、ポリウレタン樹脂(G1=ウレタン)を含むこともできる。幾つかの実施態様において、ポリウレタン樹脂は、水性担体中のウレタンプレポリマーとオリゴマーとのディスパージョンの形態であってもよい。幾つかの実施態様において、ポリウレタンディスパージョンは、1成分コーティングまたは2成分コーティングのいずれかとして配合させることができる。
【0088】
エポキシ
エポキシコーティング配合物は、エポキシド樹脂を硬化剤と混合することにより得ることができる。エポキシ樹脂は、構造内にエポキシド単位を1個以上分組むポリエーテル鎖である。ポリエーテルは、反復するオキシアルキレン単位、つまり酸素基により置換されたアルキレン、例えばエチレンオキシ、−[CH−CHO]−を有する。幾つかの実施態様において、ポリエーテル鎖は、更なる官能基、例えばヒドロキシル(−OH)を有することができる。エポキシ樹脂の硬化により、揮発性生成物をより少量にすることができる。エポキシド環構造の独特の性質により、硬化剤は、求核性または求電子性のいずれかであってもよい。アルコール、フェノール、アミン、アミノシラン、チオール、カルボン酸、および酸無水物などの求核剤を、用いることができる。幾つかの実施態様において、これらの硬化剤は、求核基を1個以上含むことができる。エポキシ樹脂そのものは、脂肪族(例えば環式または非環式)、芳香族バックボーンまたはその組合せを含むことができる。幾つかの任意実施態様において、エポキシ樹脂は、他の非妨害性の化学結合(例えばアルキル鎖)を含むことができる。
【0089】
コーティング14は、エポキシ材料(G1=エポキシド)と、ヒドロキシルまたはアミン材料とから形成させることができ、これらの材料のうち少なくとも1種は、水性担体中に存在することができる。幾つかの実施態様において、材料は、水性担体中にエポキシドもしくはオキシラン材料(例えばエポキシプレポリマー)を含む第1成分と、水性担体中にアルコール、アルキルアミン(例えば環式または非環式)、ポリオール、ポリアミン(例えばイソホロンジアミン)、ポリエステルポリアミン、もしくはアミドポリアミンを含む第2成分との反応生成物であってもよく、またはそれらを含んでいてもよい。そのような実施態様において、エポキシドまたはオキシラン材料は、架橋剤として働くことができる。幾つかの特定の実施態様において、エポキシド材料は、エピクロロヒドリン、グリシジルエーテル類(例えばビフェノール−Aのジグリシジルエーテル)、オキシラン修飾脂肪酸エステル類、またはオキシラン修飾エステル類であってもよい。幾つかの特定の実施態様において、ポリオール材料は、ポリエステルポリオール、ポリアミンポリオール、ポリアミドポリオール、またはアミン添加剤ポリオールであってもよい。幾つかの実施態様において、エポキシコーティングは、1成分コーティングまたは2成分コーティングのいずれかとして配合させることができる。
【0090】
アクリル
ポリアクリレートは、アルコキシカルボニル基により置換されたエチレンの反復単位:−[CH−CH(X)]−(式中、XはアルキルOC(O)−である)を有する。アクリルエマルジョンは、水性コーティングでの適用を見出された。アクリルエマルジョンは、アクリルモノマーと架橋触媒とのディスパージョン;自己架橋が可能なアクリルコポリマー;スチレンアクリルコポリマー;または官能化されたアクリルコポリマーを含むことができる。
【0091】
幾つかの任意実施態様において、材料は、水性担体中のアクリル材料であっても、またはそれを含んでいてもよい。そのような実施態様において、アクリル材料は、メチルメタクリレート系、ブチルアクリレート系、エチルアクリレート系、またはそれらの混合物であってもよい。そのような実施態様において、ポリカルボジイミド、アジリジン、またはイミダゾリン材料は、外部架橋材料として働くことができる。そのような実施態様において、アクリルコーティングは、1成分系または2成分系として配合させることができる。
【0092】
ビニルポリマー
アクリルビニルコポリマーの水性ディスパージョンが、この種の配合物のコア材料を形成する。ポリビニルアセテートとエチレンとの共重合は、多くのコーティングに必要な様々な可撓性および透明性を提供する。ポリビニルアセテートは、アセトキシ基により置換されたエチレンの反復単位:−[CH−CH(X)]−(式中、Xはアセテート、CHC(O)O−である)を有する。ポリエチレンは、エチレンの反復単位:−[CH−CH]−を有する。幾つかの実施態様において、材料は、水性担体中のビニル樹脂材料であっても、またはそれを含んでいてもよい。そのような実施態様において、ビニル材料は、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテート−エチレンコポリマー、ポリビニルアルコール(−[CH−CH(X)]−(式中、XはOHである))、またはチオ官能化ビニルコポリマーであってもよい。そのような実施態様において、材料は、1成分系であってもよい。
【0093】
ハイブリッド系
先に挙げた配合剤系の幾つかまたは全てを、互いに混和して、ハイブリッド系を形成させてもよい。ハイブリッド系は、均一媒体またはハイブリッドディスパージョンのいずれかの中のハイブリッドコポリマー系であってもよい。ハイブリッドディスパージョンは、2種の化学種を含み、それが、代表的には水性担体中で、協同的に相互作用して所望の特性を提供する。幾つかの実施態様において、材料は、水性担体中の1種または2種のハイブリッド材料であってもよい。そのような実施態様において、ハイブリッド材料は、ポリウレタン/アクリル、エポキシ/アクリル、アルキド/アクリルの組合せ、またはポリビニルアルコールであってもよい。そのような実施態様において、外部架橋剤は、ポリカルボジイミド、アジリジン、またはイミダゾリンを含むことができる。
【0094】
幾つかの実施態様において、材料は、水性担体中の1成分ハイブリッド材料であってもよい。そのような実施態様において、ハイブリッド材料は、ポリウレタンディスパージョン(PUD)/アクリル、ポリビニルアセテート/アクリル、ポリビニルアセテート/エポキシド、ポリビニルアセテート/ポリウレタン、またはポリビニルアルコールの組合せであってもよい。そのような実施態様において、外部架橋剤は、ポリカルボジイミド、アジリジン、またはイミダゾリンを含むことができる。
【0095】
ポリオール
アクリルポリオールが、反応基、例えばイソシアネート、エポキシドおよび他のそのような反応基と反応して、コーティングを生成し得るポリオールの例である。アクリルポリオールは、代表的にはヒドロキシアクリレートとスチレンとの重合(フリーラジカルを介した)により得ることができる。ヒドロキシアクリレートの例としては、ブタンジオールモノアクリレート(BDMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシブチルアクリレート、ポリカプロラクトン修飾ヒドロキシエチルヘキシルアクリレートが挙げられる。幾つかの実施態様において、全材料配合剤中のアクリルポリオールの重量%は、約16%、例えば約12%、約13%、約14%、約15%、約17%、または約18%であってもよい。幾つかの実施態様において、全材料配合剤中のアクリル酸ポリオールの重量%は、約10%〜20%、例えば約11%〜約19%、約12%〜18%、約13%〜約17%、または約14%〜約16%であってもよい。
【0096】
ポリオキシアルキレンジオールが、コーティングの製造に用いられ得る別のポリオールの例である。幾つかの実施態様において、ポリオキシアルキレンジオールは、狭分散ポリエチレングリコール標準を用いて測定すると、約200〜3000、例えば約500〜約2000の数平均分子量を有する。ポリオキシアルキレンジオールの具体例としては、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリブチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ならびにポリプロピレンエーテルグリコールとポリエチレンエーテルグリコールとの共重合体が挙げられる。ポリオキシアルキレンジオールのいずれかの混合物を用いることもできる。
【0097】
ポリエーテルポリオールまたはポリエステルジオールは、末端ヒドロキシル基を有するポリエステルであり、コーティングの製造に用いられ得るポリオールの例である。そのようなポリエステルジオールは、ジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール−1,2、プロパンジオール−1,3、ブタンジオール−1,3、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1,2、ペンタンジオール−1,5、ヘキサンジオール−1,3、ヘキサンジオール−1,6、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、またはこれらのジオールの混合物と、ジカルボン酸またはその均等物、例えば酸ハロゲン化物または酸無水物との縮合により製造することができる。酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、セバシン酸、リンゴ酸、フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはこれらの混合物が挙げられる。これらのポリエステルジオールを製造する際、一般にジカルボン酸に対して過剰のジオールが用いられる。
【0098】
末端ヒドロキシル基を有するポリアミドジオールまたはポリアミドポリオールは、コーティングの製造に用いられ得るポリオールの更に別の例である。
末端ヒドロキシル基を有するポリアミンポリオールは、コーティングの製造に用いられ得るポリオールの更に別の例である。
【0099】
末端ヒドロキシル基を有するポリエポキシポリオールは、コーティングの製造に用いられ得るポリオールの更に別の例である。
末端ヒドロキシル基を有するポリビニルポリオールは、コーティングの製造に用いられ得るポリオールの更に別の例である。
【0100】
末端ヒドロキシル基を有するポリウレタンジオールは、コーティングの製造に用いられ得るポリオールの更に別の例である。ポリウレタンジオールは、そのバックボーンに沿って、ポリアルキレン、ポリ(オキシアルキレン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルボネート、ポリスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはこれらの官能基のいずれか混合物を含むことができる。幾つかの実施態様において、ポリウレタンジオールは、狭分散ポリエチレングリコール標準を用いて測定すると、約200〜3000、例えば約500〜約2000の数平均分子量を有する。ポリウレタンジオールは、有利には特に耐摩耗性および耐引掻性コーティングを提供するのに用いることができる。末端ヒドロキシル基を有するポリウレタンは、先に議論したポリオールのいずれか1種以上と有機ジイソシアネートとを反応させてイソシアネート末端のプレポリマーを提供し、続いてそのプレポリマーを、ヒドロキシル基を2〜6個含む多価アルコールと反応させることにより製造することができる。幾つかのポリウレタンジオールは、シグマ−アルドリッチ・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Chemicals)またはキング・インダストリーズ(King Industries)から市販されている。
【0101】
ジオールは、活性化剤(または促進剤)、例えばオキサゾリジンまたはオルガノチン化合物、例えばジブチル錫ジラウレートまたはジブチル錫ジオクトエートの存在下において、ジイソシアネートと、それぞれ約1:2のモル比で反応させることができる。その反応は、約60℃〜約180℃の温度で約4時間〜約24時間行い、イソシアネート末端のプレポリマーを提供することができる。
【0102】
その後、イソシアネート末端のウレタンプレポリマーをヒドロキシル基を2〜6個含むモノマー多価アルコールと、それぞれ1:2のモル比で、約60℃〜約110℃で1〜約10時間反応させることができる。用いられ得るアルコールの例としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、マンニトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,1−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、ペンタエリトリトール、およびトリメチルヘキサンジオールが挙げられる。イソシアネート末端のウレタンプレポリマーを1種以上のアルコールで処理した結果が、末端ヒドロキシル基を2〜10個有し、イソシアネート基を有さないポリウレタンジオールである。
【0103】
ポリウレタンジオールを、有機カルボネートをアミンと反応させることにより製造することもできる。
ポリウレタンジオールがコーティングの製造に用いられる幾つかの実施態様において、アルコキシアルキルアミノ材料に対するポリウレタンジオールのモル割合は、約10:1〜約1:1、例えば5:1〜1:1の範囲であってもよい。
【0104】
市販のポリオールの例としては、非限定的に、デスモフェン(Desmophen)(登録商標)(バイエルから入手できる)、マクリナール(Macrynal)(登録商標)(サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)から入手できる)、およびアロロン(Arolon)(登録商標)(ライヒホールド(Reichold)から入手できる)が挙げられる。
【0105】
幾つかの実施態様において、材料は、外部架橋剤、例えばポリカルボジイミド、アジリジン、またはイミダゾリンを含むことができる。
他の実施態様
幾つかの任意実施態様において、材料は、水性担体中にアルコキシアルキルアミノ材料を含む第1の成分と、水性担体中にポリオールを含む第2の成分との反応生成物であっても、またはそれを含んでいてもよい。そのような実施態様において、アルコキシアルキルアミノ材料は、架橋剤として働くことができる。
【0106】
更に別の任意実施態様において、材料は、水性担体中のアルキド材料であっても、またはそれを含んでいてもよい。そのような実施態様において、材料の油分は、ヒマシ油、大豆油、ヒマワリ油、大豆油(soya oil)、亜麻仁油、またはそれらの混合物であってもよい。そのような実施態様において、材料は、1成分系または2成分系であってもよい。
【0107】
更に別の任意実施態様において、材料は、フッ素系樹脂またはシリカ系樹脂から選択することができる。そのような実施態様において、材料は、1成分系または2成分系であってもよい。
【0108】
更に別の任意実施態様において、材料は、ロジン変性フェノール、エポキシエステル、ポリ尿素、ポリアスパラギン酸、またはアジピン酸ジヒドラジン系から選択することができる。そのような実施態様において、材料は、1成分系または2成分系であってもよい。
【0109】
溶媒
コーティング14は、水性担体中の材料から形成することができる。理論に拘束されるものではないが、溶媒は、硬化前にコーティング配合物中の顔料および樹脂のための分散用ビヒクルとして効果的となり得ると考えられる。配合物の塗布時に、それらは、配合物の適切な粘度の実現を補助する。しかしコーティングが硬化した後、残留する溶媒は存在しないと予測することができる。溶媒は、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール、エチルベンゼン、キシレン、メチルアミルケトン、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、パラフィン、アルカン、ポリプロピレングリコール、ストッダード溶媒、トルエン、エトキシル化アルキルフェノール、1−メチル−2−ピロリジノ、または1−エチルピロリジン−2−オンを含むことができる。
【0110】
配合物中の他の変性剤
配合物中で用いられ得る促進剤としては、触媒、例えばジブチル錫アジアルカノエート(例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート)、およびオキサゾリジンが挙げられる。酸促進剤としては、スルホン酸、例えばアリール、アルキル、およびアラルキルスルホン酸;アリール、アルキル、およびアラルキルリン酸およびホスホン酸;アリール、アルキル、およびアラルキルピロリン酸;カルボン酸、スルホンイミド、鉱酸およびそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施態様において、リン酸を用いることができる。スルホン酸の例としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸が挙げられる。アリール、アルキル、およびアラルキルホスファートおよびピロホスファートの例としては、フェニル、p−トリル、メチル、エチル、ベンジル、ジフェニル、ジ−p−トリル、ジメチル、ジエチル、ジベンジル、フェニル−p−トリル、メチルエチル、フェニルベンジルホスフェートおよびピロホスフェートが挙げられる。カルボン酸の例としては、安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジカルボン酸、例えばシュウ酸、およびフッ素化酸、例えばトリフルオロ酢酸が挙げられる。スルホンイミドの例としては、ジベンゼンスルホンイミド、ジ−p−トルエンスルホンイミド、メチル−p−トルエンスルホンイミド、およびジメチルスルホンアミドが挙げられる。鉱酸の例としては、硝酸、硫酸、および塩酸が挙げられる。
【0111】
硬化可能な組成物は、他の任意成分、例えば充填剤、界面活性剤、光安定化剤、顔料、不透明剤、脱泡剤、表面光沢調節剤(surface gloss modifying agent)、殺生物剤、粘度調節剤、分散剤、反応性希釈剤、体質顔料、腐食または風解の阻止剤、難燃剤、膨張剤、エネルギー効率のための熱剤(thermal agents)、UVおよび/もしくはIRから保護するための添加剤、自己浄化剤、香料、または芳香持続剤を含むこともできる。
【0112】
複数の市販される適切な光安定化剤は、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(CIBA Specialty Chemicals)から商品名チヌビン(Tinuvin)(登録商標)(ベンゾトリアゾール、トリアジン、またはヒンダードアミン類)およびチマソルブ(Chimassorb)(登録商標)(ベンゾフェノン類)として入手できる。
【0113】
不透明剤の例としては、酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カオリン粘土、例えば高白色度カオリン粘土、またはそれらの混合物が挙げられる。
脱泡剤の例としては、ポリエチレングリコール、またはシリコーン界面活性剤、例えばポリエーテル改質ポリジメチルシロキサンが挙げられる。BYK類の薬剤などの脱泡剤は、BYKヘミー社(BYK Chemie GmbH)から入手できる。
【0114】
粘度調節剤の例としては、ポリウレタン、またはムンジング・ヘミー社(Munzing Chemie GmbH)から入手できる市販のアクリルコポリマーであるタフィゲル(Tafigel)(登録商標)が挙げられる。
【0115】
特定の実施態様が以下の実施例に更に記載されるが、それらは本開示の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0116】
実施例1
第1の成分:粉砕の段階で、表1に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:オキシラン改質脂肪酸エステル、ストッダード溶媒、ブチルグリコレート、2−ブトキシエタノール、アルキルアリールアルコキシレート、エステル/スチレン無水マレイン酸コポリマー、エチレングリコール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、エチルベンゼンおよびキシレン(異性体混合物)。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。その後、速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35〜43℃(95〜110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0117】
減速段階で、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルアミルケトンおよびイソプロピルアルコールを粉砕混合物に添加した。速度を保持して材料を混合した。15〜20分後に生成物を包装した。
【0118】
第2の成分:高酸価値ポリエステル、エチレングリコールモノブチルエーテルおよびイソプロピルアルコールの混合物が、最終生成物の第2の成分であった。これらの材料についての混合は必要とされなかった。
【0119】
第1の成分と第2の成分との混和:所望の場合、最終的なコーティング配合物を得るために、第1の成分と第2の成分とを混和した。混和物は、塗布が完了する間に最大約1時間の可使時間を有した。配合物の組成を表1に記載する。
【0120】
【表1】

実施例2
第1の成分:粉砕の段階で、表2に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、ポリエーテルポリシロキサン、ポリアルキレンオキシド、アルキルアリールアルコキシレート、エステル/スチレン無水マレイン酸コポリマー、エチレングリコール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2−ブトキシエタノール、ポリプロピレングリコールおよびポリシロキサン。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0121】
減速段階で、メチルベンゾイミダゾール−2−イルカルバメート、カオリン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、合成脂肪酸改質アクリルコポリマーおよびブタノールを粉砕混合物に添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。
【0122】
第2の成分:N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートを基にした親水性脂肪族ポリイソシアネートの混合物が、最終生成物の第2の成分であった。これらの材料についての混合は必要とされなかった。
【0123】
第1の成分と第2の成分との混和:所望の場合、最終的なコーティング配合物を得るために、第1の成分と第2の成分を混和した。混和物は、塗布が完了する間に最大約1時間の可使時間を有した。配合物の組成を表2に記載する。
【0124】
【表2】

実施例3
第1の成分:粉砕の段階で、表3に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、ポリエーテルポリシロキサン、ポリアルキレンオキシド、アルキルアリールアルコキシレート、エステル/スチレン無水マレイン酸コポリマー、エチレングリコール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2−ブトキシエタノール、ポリプロピレングリコールおよびポリシロキサン。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0125】
減速段階で、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、メチルベンゾイミダゾール−2−カルバメート、カオリンおよび3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを粉砕混合物に添加した。5〜10分未満の後、合成脂肪酸改質アクリルコポリマーおよびブタノールをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。
【0126】
第2の成分:ヘキサン−1,6−ジイソシアネートのホモポリマー、n−ブチルアセテート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルホスファート、N,N−ジメチルシクロヘキサンアミン、1,6−ジイソシアナトヘキサンおよびイソホロンジイソシアネートの混合物が、最終生成物の第2の成分であった。これらの材料についての混合は必要とされなかった。
【0127】
第1の成分と第2の成分との混和:所望の場合、最終的なコーティング配合物を得るために、第1の成分と第2の成分を混和した。混和物は、塗布が完了する間に最大約1時間の可使時間を有した。配合物の組成を表3に記載する。
【0128】
【表3】

実施例4
第1の成分:粉砕の段階で、表4に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、ポリアミン添加剤、テトラエチレンペンタミン、ポリマーと疎水性ポリマーとの混合物、2−エチル−1−ヘキサノール、パラフィン、および改質ポリアクリレート。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0129】
減速段階で、アルカン、2−ブトキシエタノールおよびエトキシル化アルキルフェノールを粉砕混合物に添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、アクリル非イオン性コポリマーおよび2−メトキシメチルエトキシプロパノールをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、改質尿素、1−メチル−2−ピロリドンおよび塩化リチウムの溶液をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリシロキサンおよびポリエチレングリコールをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。
【0130】
第2の成分:ビスフェノール−Aホモポリマー混合物のジグリシジルエーテルが、最終生成物の第2の成分であった。これらの材料についての混合は必要とされなかった。
第1の成分と第2の成分との混和:所望の場合、最終的なコーティング配合物を得るために、第1の成分と第2の成分を混和した。混和物は、塗布が完了する間に最大約1〜2時間の可使時間を有した。配合物の組成を表4に記載する。
【0131】
【表4】

実施例5
第1の成分:粉砕の段階で、表5に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、キシレン、ポリプロピレングリコール、ポリシロキサン、官能化ポリアクリレートコポリマー、アルカン、2−ブトキシエタノールおよびエトキシル化アルキルフェノール。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が丁度、混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0132】
減速段階で、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノールを粉砕混合物に添加した。5〜10分未満の後、N,N−ジエチルエタンアミン、ポリウレタン樹脂および1−メチル−2−ピロリドンをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、フルオロ脂肪族高分子エステル+(5049P)、残留有機フッ素化合物、トルエンおよびフッ素化合物モノマーをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。
【0133】
第2の成分:多官能価アジリジン混合物が、最終生成物の第2の成分であった。これらの材料についての混合は必要とされなかった。
第1の成分と第2の成分との混和:所望の場合、最終的なコーティング配合物を得るために、第1の成分と第2の成分を混和した。混和物は、塗布が完了する間に最大約1時間の可使時間を有した。配合物の組成を表5に記載する。
【0134】
【表5】

実施例6
粉砕の段階で、表6に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、プロピレングリコール、キシレン、ポリプロピレングリコール、ポリシロキサン、ポリカルボン酸ナトリウム塩、アルカン、2−ブトキシエタノールおよびエトキシル化アルキルフェノール。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0135】
減速段階で、ビニルアセテート/エチレンコポリマーを粉砕混合物に添加した。5〜10分未満の後、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂および酵素処理デンプンをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。配合物の組成を表6に記載する。
【0136】
【表6】

実施例7
粉砕の段階で、表7に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、N,N−ジエチルエタンアミン、ポリウレタン樹脂、1−メチル−2−ピロリドン、アルカン、2−ブトキシエタノールおよびエトキシル化アルキルフェノール。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、200〜400rpm以下を保持した。この配合物中には、測定されるヘグマン粉砕値は存在しなかった。混和に達したら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。配合物の組成を表7に記載する。
【0137】
【表7】

実施例8
粉砕の段階で、表8に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、ポリカルボン酸ナトリウム塩、水酸化アンモニウム、I−(フェニルメチル)−ω−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル}エーテルポリエチレングリコール、キシレンおよびポリシロキサン。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0138】
減速段階で、アクリルモノマーを粉砕混合物に添加した。5〜10分未満の後、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂および2−ブトキシエタノールをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテルおよびポリ(エチレンオキシド)をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、プロピレングリコールをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。配合物の組成を表8に記載する。
【0139】
【表8】

実施例9
粉砕の段階で、表9に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、キシレン、ポリプロピレングリコール、ポリシロキサン、官能化ポリアクリレートコポリマー、アルカン、2−ブトキシエタノールおよびエトキシル化アルキルフェノール。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0140】
減速段階で、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノールを粉砕混合物に添加した。5〜10分未満の後、N,N−ジエチルエタンアミン、ポリウレタン樹脂および1−メチル−2−ピロリドンをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、フルオロ脂肪族高分子エステル+(5049P)、残留有機フッ素化合物、トルエンおよびフッ素化合物モノマーをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。混和物の可使時間は、4時間を超え、24時未満であった。配合物の組成を表9に記載する。
【0141】
【表9】

実施例10
粉砕の段階で、表10に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、ポリウレタンディスパージョン、ベンジルベンゾエート、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリ−n−ブチルシトレートおよびプロピレングリコール。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、200〜400rpm以下を保持した。この配合物中には、測定されるヘグマン粉砕値は存在しなかった。混和に達したら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0142】
減速段階で、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよびエチレングリコールをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、オルガノ変性ポリシロキサンおよびI−オクタデシル−ω−ヒドロキシポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のエマルジョンをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、非イオン性ポリエチレンワックスをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。配合物の組成を表10に記載する。
【0143】
【表10】

実施例11
粉砕の段階で、表11に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリシロキサン、ポリカルボン酸ナトリウム塩、アルカン、2−ブトキシエタノールおよびエトキシル化アルキルフェノール。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0144】
減速段階で、ポリウレタン/アクリル混合物、1−エチルピロリジン−2−オンおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを粉砕混合物に添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ベンゾエートエステルをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂および酵素処理デンプンをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。配合物の組成を表11に記載する。
【0145】
【表11】

実施例12
粉砕の段階で、表12に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、プロピレングリコール、キシレン、ポリプロピレングリコール、ポリシロキサン、ポリカルボン酸ナトリウム塩、アルカン、2−ブトキシエタノールおよびエトキシル化アルキルフェノール。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0146】
減速段階で、アクリルコポリマーエマルジョンを粉砕混合物に添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂および酵素処理デンプンをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。配合物の組成を表12に記載する。
【0147】
【表12】

実施例13
粉砕の段階で、表13に列挙した重量%の範囲内で、順にポットに添加した:水、キシレン、ポリプロピレングリコール、ポリシロキサン、および官能化ポリアクリレートコポリマー。その後、内容物が完全に分散されるまで、緩やかな速度で混合した。速度は、100〜200rpm以下を保持した。速度を上昇させて良好な渦を作りながら、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水をポット内の混合物に添加した。最終的なrpm設定は、2000〜3000rpmであった。最小の空気の取り込みと共に最大せん断力が得られる速度に調節し、10〜15分間、またはヘグマン値5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、十分な渦ができるよう速度を上昇させた。ポット内の温度を約35℃(95°F)〜43℃(110°F)に保ちながら、十分なrpmを保持した。この時点でのヘグマン値は、少なくとも7であった。ヘグマン値が達成されたら、ポットで原料が単に混合されるまで混合速度を低下させて、10〜15分継続した。
【0148】
減速段階で、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノールを粉砕混合物に添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、エポキシ系スチレン−アクリルコポリマーをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂をポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。5〜10分未満の後、ポリウレタン樹脂および2−ブトキシエタノールをポットに添加した。速度を保持して、材料を混合した。15〜20分後に、生成物を包装した。配合物の組成を表13に記載する。
【0149】
【表13】

実施例14:書込み可能−消去可能表面の消去可能性の定量測定
色の知覚を生じる着色対象からの輻射である色刺激を測定することができる。色知覚は、対象のスペクトル生成からだけでなく、それが観察されるところの光源からも影響を受ける。光源の分光分布および対象の相対的分光反射率が分かっている場合、光源によって照射された対象から、正常視力を有する観察者の目に届く分光組成を計算することができる。国際照明委員会(Commission Internationale deL’Eclairage)(CIE)は、CIELAB色空間での色差を計算する手順を設定した。X−Rite Sp−62分光光度計を用いて、色の読取りを行うことができるが、それはこれらの値を自動で計算する。その後、その値を記録することができる。さらに、その変化をASTM検査法D2244により、L*、a*、およびb*値の差として計算することができる。ここで、色差の方向は次の成分
【0150】
【数2】

の大きさおよび代数符号によって説明される。その後、これらの値を以下のとおり計算する:
【0151】
【数3】

(式中、L*、a*、b*は基準を表し、L*、a*、b*はテスト標本を表す)。表14は、各色値の大きさおよび方向、ならびに生じた色の変化を示す。
【0152】
【表14】

一つの試料を基準点に選択することにより、この基準点からの色変化を色差(ΔE)と呼び、次の式から計算する:
【0153】
【数4】

実施例15:書込み可能−消去可能表面の消去可能性の測定
表面に表記し、続いてその表記を消去した後に認識された視覚的変化により、書込み可能−消去可能表面の視覚的変化の性質(消去可能性)を評価することができる。それは、表記を消去するイレーサを1回または2回通過させた後に測定し得る痕跡により特徴づけることができ、表記は表面にこびりついているように見えても、それが縞のように消去されていても、または斑になっていてもよい。イレーサが表記領域を1回通過した後に決定される、イレーサによって表記が擦られたように残された微かな曇りから暗い曇りの汚れにより、表面の性質を測定することもできる。「痕跡」および「汚れ」は両者とも、表記材料が表面から除去され得る度合いに基づいて、1〜10段階で測定することができる。低い数字ほど、より良好な表面性能を示す。
【0154】
実施例16:コーティングの塗布
塗布は、清潔かつほこりのない環境で実施される。設置の前に、塗布部分の内部の周囲温度を、短くとも24時間は約7℃(45°F)以上に保持し、塗布領域の適切な換気を確認して、塗布の近接における臭気を最小限にする。既存の表面の色が透けなくなるまで、未着色PVAまたはビニルアクリル内装ラテックスプライマを用いて、塗装される基板の表面を下塗りする。プライマは、製造業者の推奨にしたがって完全に乾燥させておく。一端から他端まで作業することにより、表面の約61cm(約2フィート)幅の区分を塗装する。次の区分を塗装する前に、各区分を完了させる。ウェットエッジを保持して、重複の跡を残さないようにする。フォームローラカバーを用いて、単層コーティングを塗布する。道具は、アセトンまたは変性アルコールで清浄する。コーティングは室温で1週間硬化させて、書込み可能−消去可能表面を形成させる。
【0155】
標準のドライイレーサまたは乾燥した布で毎日消去および清浄することにより、書込み可能−消去可能表面を保持することができる。定期的により完全な清浄をする場合、濡れた布を用いてもよい。
【0156】
書込み可能−消去可能表面を取除くこと、または傷の入った表面を再度コーティングすることが望ましい場合、ドライイレースコーティングを塗布する前に、元の表面を研磨して下塗りすることにより、光沢を除去する。
【0157】
他の実施態様
多数の実施態様が記載されてきた。しかしながら、本開示の趣旨および範囲を逸脱せずに、様々な変更例を実施し得ることは理解されよう。したがって、他の態様は特許請求の範囲に含まれる。
【0158】
例えば材料を塗布するためにローラが記載されたが、ブラシ、プリロードされた(pre−loaded)塗装器具、またはスプレーを用いることができる。スプレーが用いられる場合、前駆体材料を最初に混合し、その後基板にスプレーするか、または前駆体材料の各々を別個のノズル口からスプレーして、基板までの飛沫中で、かつ/または基板上で前駆体が混合される。
【0159】
ホワイトボードおよびコーティング壁が記載されたが、コーティングを他の形態に塗布することができる。例えばここで図4を参照すると、本明細書に記載された材料のいずれかを、連続した材料シート、例えば紙に塗布して、基板52と基板52に延ばされたコーティング54とを含む製品50を提供することができる。図4に示されたとおり、製品50は、簡便にはロール形態で貯蔵させることができる。所望の場合、例えば横断線60に沿って製品50を切断して、別個のシートを提供することができる。ここで図5を参照すると、ファスナ82を用いて、シート70をタブレット形態の製品80に造形することができる。所望の場合、組立てシートは穿孔86を有することができ、それによりシートをタブレットから引き裂いて可動式の書込み可能−消去可能製品として用いることができる。
【0160】
本明細書において記載されたポリウレタン材料とエポキシ樹脂のいずれか1種または数種または全種とのブレンドを使用して、書込み可能−消去可能表面を有するコーティングを製造することができる。
【0161】
他の水性材料を、単独か、または本明細書に記載された他の水性材料、例えばポリウレタン材料と組合わせて用いてもよい。例えば水性担体中のエポキシ樹脂を用いてもよい。これらのエポキシ樹脂を、本明細書に記載された様々な架橋剤および/または添加剤と併用してもよい。例えば架橋剤は、複数のアミノ基、チオール基、ヒドロキシル基またはそのような基の混合を含む部分であってもよい。水性エポキシ樹脂は、エポキシシステムズ社(Epoxy Systems Inc)からエンダクリル(Enducryl)(登録商標)の名称で市販されている。
【0162】
第1および第2の成分を、例えば飛沫中および/または基板上で混合されるように同時にスプレーし、その後、溶液状等に混合された第1および第2の成分に対して酸等の架橋促進剤を任意に塗布することにより、第1および第2の成分を基板に塗布することができる。更に別の実施態様において、架橋促進剤を最初に基板に塗布し、その後、架橋促進剤を有する基板に第1および第2の成分を塗布する。
【0163】
第1および第2の成分は、所望の所定量の各成分を大きなドラムから塗料バケツに交互に添加されて混合され、その後基板上にコーティングを塗布することにより混合されてもよい。この方法の利点は、成分を廃棄することなく成分の可使時間が保持されることである。
【0164】
更に別の実施態様は特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に延ばされた書込み可能−消去可能表面を有する硬化コーティングを含む書込み可能−消去可能製品であって、前記コーティングは周囲条件下で硬化可能であるとともに1種以上の材料から形成されており、前記1種以上の材料はそれぞれG1およびG2から独立して選択される1つ以上の官能基を含み、かつ、前記1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料が水性担体中に存在する硬化コーティングにおいて、
各G1官能基がイソシアネート、エポキシド、ウレタン、エチレンオキシ、およびエチレンから独立して選択されるとともに、前記エチレンがヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されており、
各G2官能基がヒドロキシル、アミン、フェノール、カルボン酸、酸無水物、アジリジン、およびチオールから独立して選択され、かつ、
書込み可能−消去可能表面を、着色剤と、水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリットのうちの1種以上、またはそれらの混合物からなる溶媒とを含む表記材料で表記した後、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して、実質的に不可視にすることが可能な書込み可能−消去可能製品。
【請求項2】
前記コーティングが1種以上の材料から形成されるとともに、前記1種以上の材料のそれぞれがG1官能基を1つ以上含み、かつ前記1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料が水性担体中に存在する、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項3】
前記コーティングが2種以上の材料から形成され、第1の材料がG1官能基を1つ以上含むとともに、第2の材料がG2官能基を1つ以上含み、かつ前記2種以上の材料のうち少なくとも1種の材料が水性担体中に存在する、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項4】
前記硬化コーティングが約40%未満の多孔性を有する、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項5】
前記硬化コーティングが約10を超えるスオード硬度(Sward hardness)を有する、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項6】
塗布前のコーティングが約350g/L未満のVOC、例えば約50g/L未満のVOCを有する、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項7】
G1がイソシアネートである、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項8】
G1がエポキシド、ウレタン、エチレンオキシ、またはエチレンであるとともに、前記エチレンがヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されている、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項9】
G2がヒドロキシルである、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項10】
G1官能基を1つ以上含む1種以上の材料が、親水性脂肪族ジイソシアネートもしくはそのオリゴマーおよびホモポリマー、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項11】
G2官能基を1つ以上含む1種以上の材料がアクリル系ジオールを含む、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項12】
同じ位置に約100回を超えて、例えば約5000回を超えて書込みおよび消去した後、前記書込み可能−消去可能表面を消去して実質的に不可視にする、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項13】
前記書込み可能−消去可能表面が約35度を超える接触角を有する、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項14】
前記書込み可能−消去可能表面が約150度未満の接触角を有する、請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品。
【請求項15】
コーティングを基板に塗布する工程、および
周囲条件下でコーティングを硬化して書込み可能−消去可能表面を画定する硬化コーティングを提供する工程、
を含む、書込み可能−消去可能製品を製造する方法であって、
前記コーティングは1種以上の材料から形成されるとともに、前記1種以上の材料のそれぞれがG1およびG2から独立して選択される官能基を1つ以上含み、かつ前記1種以上の材料のうち少なくとも1種の材料が水性担体中に存在し、
各G1官能基がイソシアネート、エポキシド、ウレタン、エチレンオキシ、およびエチレンから独立して選択されるとともに、前記エチレンはヒドロキシル、アセトキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されており、
各G2官能基がヒドロキシル、アミン、フェノール、カルボン酸、酸無水物、アジリジン、およびチオールから独立して選択され、かつ、
書込み可能−消去可能表面が、着色剤と、水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリットのうちの1種以上、またはそれらの混合物からなる溶媒とを含む表記材料で表記された後、表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去して実質的に不可視にする方法。
【請求項16】
前記コーティングがG1官能基を1つ以上含む1種以上の材料と、G2官能基を1つ以上含む1種以上の材料とを混和することにより製造される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
G2官能基を1つ以上含む前記1種以上の材料が2つ以上の官能性を有する架橋剤を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
情報を変更可能に提示する方法であって、
a)請求項1に記載の書込み可能−消去可能製品を選択する工程、
b)着色剤と、水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリットのうちの1種以上、またはそれらの混合物からなる溶媒とを含む表記材料で、書込み可能−消去可能表面に第1の情報を表記する工程、
c)第1の情報の表記を書込み可能−消去可能表面から消去して実質的に不可視にする工程、
d)書込み可能−消去可能表面に異なる情報を表記する工程、および
e)異なる情報の表記を書込み可能−消去可能表面から消去して実質的に不可視にする工程、
を含む方法。
【請求項19】
基板上に延ばされた、書込み可能−消去可能表面を有する硬化コーティングを含む書込み可能−消去可能製品であって、前記硬化コーティングが周囲条件下で硬化可能であるとともに、水性担体中の1種以上の材料から形成されており、かつ、
書込み可能−消去可能表面を、着色剤と、水、アルコール、アルコキシアルコール、ケトン、ケトン性アルコール、エステル、アセテート、ミネラルスピリットのうちの1種以上、またはそれらの混合物からなる溶媒とを含む表記材料で表記可能であり、前記表記材料を書込み可能−消去可能表面から消去すると実質的に不可視になる、書込み可能−消去可能製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−158892(P2010−158892A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−3121(P2010−3121)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(510009669)アイデアペイント インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】IDEAPAINT,INC.
【Fターム(参考)】