最適値を探索する方法及び装置
【課題】ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求める方法及び装置を提供すること。
【解決手段】最適値探索装置10は、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定し、引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行い、初期における測定及びスイープしながらの測定における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求め、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期値における測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。
【解決手段】最適値探索装置10は、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定し、引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行い、初期における測定及びスイープしながらの測定における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求め、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期値における測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適値を探索する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンの運転等において、電気的な制御を総合的に行うECU(Electronic Control Unit)制御が知られている。ECU制御は、各センサからの情報を基に、エンジンの噴射量や噴射時間、アイドリングの回転数、点火タイミング等の制御項目を制御する。このようなECU制御は、制御項目毎に設けられている設定項目の値を最適化することにより、エンジンを効率よく制御する。
【0003】
エンジンの効率化を実現する方法として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1には、高速且つ容易に燃料噴射率の最適化を実現することを目的として、フィードフォワード方式のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置について記載されている。すなわち、特許文献1に記載された発明は、噴射期間内に逃がし弁の開閉の試行を繰り返すことにより実測値が燃料噴射パターンに近づくよう逃がし弁の開閉タイミングを最適化しながら、ニューラルネットを用いて学習により未計測値を推定する演算装置を備えている。そして、学習機能により、圧力センサの実測値が目標とする燃料噴射パターンに近づくように、噴射期間内に逃がし弁の開閉若しくは弁開度タイミングの試行を繰り返すことにより得られた学習データにより、設計時若しくは試験時等に予め定めた弁操作タイミングを補正しながら、噴射率の最適化を実現する事を特徴とする。
【特許文献1】特開2001−304027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような方法は、燃料噴射のように非常に短期間に行われる場合には有効であるが、遅れ要素を持ったもの(例えば、温度や圧力等)の最適化には、遅れ要素についての学習が困難なので、有効とはいえない。このような遅れ要素を持ったものは、設定項目の値を変化させた後に、ECU制御の結果をしばらく監視するという、段階毎の測定をする必要がある。そして、段階毎の測定では、段階毎に温度等を監視する必要があるので、制御項目の制限値に到達するまでに膨大な時間がかかる。例えば、制限値までを5%精度で監視するためには20段階が必要となり、段階毎の遅れ時間を30秒とすると、600秒(30秒×20段階)の時間が必要となる。そして、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を求めるためには、設定項目を組合せた段階毎の測定が必要となり、更に時間が必要になる。
【0005】
そこで、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求める方法が求められている。
【0006】
本発明は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求める方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1) コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する方法であって、前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定ステップと、引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定ステップと、前記初期測定ステップ及び前記スイープ測定ステップにおける一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求めるステップと、前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測するステップと、を含む方法。
【0009】
(1)の構成によれば、本発明に係る方法は、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する方法であって、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定し、引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行い、一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求め、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。
【0010】
よって、本発明に係る方法によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ予測した限界値までの間で探索する。したがって、本発明に係る方法は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0011】
(2) 前記予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、前記所定の制限値を超えないことを監視することによって前記予測した限界値を限界値とするステップと、前記スイープの異なる方向について、前記初期測定ステップから前記限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の前記限界値によって範囲を求めるステップと、前記求めた範囲内で更に前記設定項目を変化させながら前記測定項目の測定を行い、前記設定項目の最適値を求めるステップと、を更に含む(1)に記載の方法。
【0012】
(2)の構成によれば、本発明に係る方法は、(1)に加えて、予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、所定の制限値を超えないことを監視することによって予測した限界値を限界値とし、スイープの異なる方向について、初期測定ステップから限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の限界値によって範囲を求め、求めた範囲内で更に設定項目を変化させながら測定項目の測定を行い、設定項目の最適値を求める。
【0013】
よって、本発明に係る方法によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、予測した限界値を限界値とし、求めた限界値の範囲内で最適値を探索する。したがって、本発明に係る方法は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0014】
(3) 前記方法は、前記ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について前記限界値を求め、求めた前記限界値の範囲内で最適値を求める(1)又は(2)に記載の方法。
【0015】
(3)の構成によれば、本発明に係る方法は、(1)又は(2)に加えて、ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について限界値を求め、求めた限界値の範囲内で最適値を求める。
【0016】
よって、本発明に係る方法によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、設定項目を組合せて予測した限界値を限界値とし、求めた限界値の範囲内で最適値を探索する。したがって、本発明に係る方法は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0017】
(4) コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する最適値探索装置であって、前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定手段と、引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定手段と、前記初期測定手段及び前記スイープ測定手段における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求める二次曲線算出手段と、前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定手段の測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測する予測手段と、を備えることを特徴とする最適値探索装置。
【0018】
よって、本発明に係る最適値探索装置によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ予測した限界値までの間で探索する。したがって、本発明に係る最適値探索装置は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求める方法及び装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の特徴を示す図である。本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10は、本発明に係る方法を実施するために、初期測定ステップを実行する初期測定部11と、スイープ測定ステップを実行するスイープ測定部12と、二次曲線算出ステップを実行する二次曲線算出部13と、予測ステップを実行する予測部14と、を備えている。そして、最適値探索装置10は、ECU制御するための設定項目の最適値を所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する。例えば、エンジンをECU制御するための設定項目のうちの一つであるトルクと、ECU制御を行った場合の測定項目である排気温度とを例として示す。設定項目であるトルクを変えると測定項目である排気温度は、トルクの変化に遅れて変化する。
【0022】
初期測定部11は、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定する。例えば、初期測定部11は、トルクの初期値における排気温度の初期値を測定する。初期値は、例えば、実験計画法に基づいてトルクが取り得る可能な値の中で中心の値を初期値とする。トルクがこの初期値の下では、ECU制御をしても排気温度は超えてはならない制限値を超えない。
【0023】
スイープ測定部12は、初期値から引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行う。例えば、スイープ測定部12は、トルクを連続的に変化させながら排気温度を測定する。
【0024】
二次曲線算出部13は、初期測定部11及びスイープ測定部12が測定した一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求める。例えば、二次曲線算出部13は、トルクを連続的に変化させた場合に、変化する排気温度の測定値に基づいて、測定値を近似する二次曲線を求める。
【0025】
予測部14は、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。例えば、予測部14は、排気温度の測定値を近似する二次曲線を求め、求めた二次曲線上の今回の排気温度の測定値と、直前の排気温度の測定値とに基づいて、直線の傾きを求め、求めた傾きと、排気温度の初期値を切片とする直線を求める。そして、求めた直線と、排気温度の制限値との交点を算出し、算出した交点に対応するトルクの値を求める。このように、スイープしながら測定する毎に求めた直線の中で傾きが最大の場合に算出したトルクの値を限界値として予測する。すなわち、予測部14は、スイープしながら測定する毎に算出したトルクの値を記憶し、変化させているトルクの値が、この記憶したトルクの値のいずれか(例えば、トルクを増大させる方向に変化させている場合は求めた直線の傾きが最大のときに算出する最小値)を超えると、予測した限界値を超えたと判断する。
【0026】
最適値探索装置10は、ECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ予測した限界値までの間で探索する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の機能を示す機能ブロック図である。本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10は、図1の特徴に加え、探査するステップを実行する限界点探査部15と、範囲を求めるステップを実行する範囲決定部16と、最適値を求めるステップを実行する最適値探索部17とを更に備えている。
【0028】
限界点探査部15は、予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、所定の制限値を超えないことを監視することによって予測した限界値を限界値とする。例えば、限界点探査部15は、変化させているトルクの値が予測した限界値を超えた場合に、トルクの変化を停止し、その後、トルクの変化を停止したままで、所定の時間、排気温度を監視し、排気温度の制限値を超えないことを監視し、このトルクの値を限界点の値、すなわち探査した限界値とする。
【0029】
範囲決定部16は、スイープの異なる方向について、初期測定ステップから限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の限界値によって範囲を求める。例えば、2つの設定項目AとBとがある場合に、範囲決定部16は、設定項目Aを増加する場合及び減少する場合と、設定項目Bを増加する場合及び減少する場合との組合せ(例えば、A及びBを増加する場合等)による異なる方向について、初期測定することから限界値とすることまでを繰り返し、複数の限界値を求め、最適値を探索するための範囲を求める。
【0030】
最適値探索部17は、求めた範囲内で更に設定項目を変化させながら測定項目の測定を行い、設定項目の最適値を求める。例えば、最適値探索部17は、求めた増大方向の限界値及び減少方向の限界値の範囲内で、設定項目について段階的に変化させながら測定項目を測定し、測定項目に対する設定項目の最適値を求める。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。最適値探索装置10は、CPU(Central Processing Unit)1010、バスライン1005、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、I/Oコントローラ1070、キーボード及びマウス1100、並びに表示装置1022を備える。
【0032】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074、半導体メモリ1078、等の記憶手段を接続することができる。
【0033】
BIOS1060は、最適値探索装置10の起動時にCPU1010が実行するブートプログラムや、最適値探索装置10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0034】
ハードディスク1074は、最適値探索装置10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶しており、更に、最適値探索用テーブル、限界値記憶用テーブル等の各種データベースを構成可能である。
【0035】
最適値探索装置10に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、最適値探索装置10にインストールされ実行されてもよい。
【0036】
前述のプログラムは、専用通信回線に接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又は光ディスクライブラリ等の記憶装置を記録媒体として使用し、通信回線を介して最適値探索装置10に提供されるとしてもよい。
【0037】
ここで、表示装置1022は、最適値探索装置10による演算処理結果の画面を表示したりするものであり、ブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0038】
また、通信I/F1040は、最適値探索装置10を専用ネットワークを介して端末(例えば、ECU制御部等)と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。通信I/F1040は、モデム、ケーブル・モデム及びイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の最適値探索用テーブルを示す図である。最適値探索用テーブルは、ECU制御項目と、設定項目と、測定項目と、初期値と、制限値と、制限値測定時間と、目標値と、段階的測定時間と、スイープ用測定時間と、変化方向とを記憶している。ECU制御項目及び設定項目は、最適値探索のためのECU制御項目及び設定項目であり、例えば、排気温度制御及びトルク等である。測定項目は、制御項目について測定する項目であり、例えば、排気温度等である。初期値は、設定項目の初期値である。制限値は、測定項目が超えてはならない限界の値であり、例えば、排気温度の制限値等である。制限値測定時間は、設定項目が限界値を保ちながら測定する時間であり、例えば、設定項目の予測した限界値で測定値が監視値を超えないことを監視する時間である。目標値は、目標とする測定値であり、この測定値の場合に設定項目の値を最適値と判断することができる。段階的測定時間は、段階的に測定する場合の段階毎の測定時間である。スイープ用測定時間は、スイープ測定をする時の測定時間である。変化方向は、設定項目を変化させる方向の種類数であり、例えば、4方向(設定項目A増大及び設定項目B増大、設定項目A増大及び設定項目B減少、設定項目A減少及び設定項目B増大、設定項目A減少及び設定項目B減少)等である。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値記憶用テーブルを示す図である。限界値記憶用テーブルは、方向と、限界値と、予測と、探査結果とを記憶している。方向は、設定項目の変化する方向であり、例えば、増大方向又は減少方向等である。限界値は、求めた二次曲線と直線とから算出した限界値である。予測は、限界値として予測した場合に設定される。探査結果は、制限値を超えない場合に設定される。
【0041】
図6は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の処理内容を示すフローチャートである。なお、本処理は、例えば、プログラム開始指令を受け付けて開始し、プログラム終了指令又は終了条件により終了する。
【0042】
ステップS101において、CPU1010は、限界範囲処理をする。この限界範囲処理により、設定項目の最適値を探索するための範囲を取得する。その後、CPU1010は、処理をステップS102に移す。
【0043】
ステップS102において、CPU1010は、範囲内で段階的に測定をする。より具体的には、CPU1010は、取得した範囲内で、設定項目の値を変化させ、変化させた設定項目の値の下で最適値探索用テーブルの段階的測定時間に基づいて測定をする。その後、CPU1010は、処理をステップS103に移す。
【0044】
ステップS103において、CPU1010は、最適値か否かを判断する。すなわち、CPU1010は、測定値が最適値探索用テーブルの目標値の範囲内か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS104に移し、NOの場合は処理をステップS102に移す。
【0045】
ステップS104において、CPU1010は、最適値を記憶する。すなわち、この場合の設定項目の値を最適値として記憶する。その後、CPU1010は、処理を終了する。
【0046】
図7は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界範囲処理の内容を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS201において、CPU1010は、中心点を測定する。すなわち、実験計画法に基づいて予め設定された最適値探索用テーブルの初期値を用いて測定する。その後、CPU1010は、処理をステップS202に移す。
【0048】
ステップS202において、CPU1010は、スイープ測定をする。より具体的には、CPU1010は、設定項目の値を、最適値探索用テーブルのスイープ用測定時間に基づいて変化させ、変化させた時の測定項目を測定し、記憶する。その後、CPU1010は、処理をステップS203に移す。
【0049】
ステップS203において、CPU1010は、限界値予測処理をする。限界値予測処理は、設定項目の変化毎に限界値を算出し、限界値記憶用テーブルに記憶している。その後、CPU1010は、処理をステップS204に移す。
【0050】
ステップS204において、CPU1010は、設定項目の値が、予測した限界値を超えたか否かを判断する。より具体的には、CPU1010は、設定項目の値と、限界値記憶用テーブルに記憶した限界値とを比較し、設定項目の値が、記憶した限界値のいずれかを超えたか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS205に移し、NOの場合は処理をステップS202に移す。
【0051】
ステップS205において、CPU1010は、最適値探索用テーブルの制限値測定時間に基づいて、限界値の下で測定し、測定値が制限値内であることを監視する。その後、CPU1010は、処理をステップS206に移す。
【0052】
ステップS206において、CPU1010は、限界値として記憶する。すなわち、限界値記憶用テーブルに記憶した限界値を探査結果として記憶する。その後、CPU1010は、処理をステップS207に移す。
【0053】
ステップS207において、CPU1010は、全ての方向について限界値を求めたか否かを判断する。すなわち、最適値探索用テーブルの変化方向に基づいて、設定項目の変化の方向を全て測定したか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理を終了し、本処理に移るステップの次のステップにリターンする。この判断がNOの場合は処理をステップS201に移す。
【0054】
図8は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値予測処理の内容を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS301において、CPU1010は、二次曲線を求める。より具体的には、CPU1010は、測定毎に記憶した設定項目の値と、スイープ測定しながら測定した測定値とに基づいて、測定値を近似する二次曲線を求める。その後、CPU1010は、処理をステップS302に移す。
【0056】
ステップS302において、CPU1010は、傾きを求める。より具体的には、CPU1010は、求めた二次曲線上における今回の値と、前回の値とに基づいて傾きを求める。その後、CPU1010は、処理をステップS303に移す。
【0057】
ステップS303において、CPU1010は、直線を求める。より具体的には、CPU1010は、求めた傾きと、設定項目の初期値における測定値を切片とする直線を求める。その後、CPU1010は、処理をステップS304に移す。
【0058】
ステップS304において、CPU1010は、制限値との交点を求める。より具体的には、CPU1010は、設定項目の値と測定値との関係を表す、求めた直線により、測定値が制限値となる時の設定項目の値を求める。その後、CPU1010は、処理をステップS305に移す。
【0059】
ステップS305において、CPU1010は、前回より傾きが大か否かを判断する。すなわち、CPU1010は、今回求めた傾きと、前回求めた傾きとを比較し、今回求めた傾きが前回求めた傾きより大か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS306に移し、NOの場合は処理を終了し、本処理に移るステップの次のステップにリターンする。
【0060】
ステップS306において、CPU1010は、限界値として予測する。より具体的には、CPU1010は、限界値記憶用テーブルに記憶した限界値を予測した限界値と設定する。その後、CPU1010は、処理を終了し、本処理に移るステップの次のステップにリターンする。
【0061】
図9は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す図である。図9の例は、トルクを変化させながら排気温度を測定し、その経過を横軸が時間(秒)、縦軸が排気温度又はモーメントとした場合のグラフを示す例である。
【0062】
図9において、トルクの変化を示す実測トルク101は、初期値から増大し、排気温度の変化を示す実測排気温度102は、トルク値の増大と共に増大している。実測排気温度を近似した二次曲線111に基づいて求めた傾きと、初期値を切片とする直線が、制限値のライン131と交差する交点121、122とが示されている。そして、図9は、傾きが最大の直線112と制限値のライン131との交点122を超えた時点で、トルクの変化を停止していること、その後も実測排気温度が増大していることを示している。
【0063】
図10は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を求める場合の内容を示す図である。
【0064】
図10(1)は、最適値探索装置10が限界値を求める場合に、設定項目を変化させる方向を示している。例えば、設定項目がコモンレール圧及びインジェクションである場合に、実験計画法に基づいた中心の値から8方向に、予測した限界値まで設定項目の値を変化させて限界値を求めていることを示している。求めた限界値までが、設定項目の最適値を探索する範囲である。例えば8方向は、コモンレール圧のみを増大させる方向201と、コモンレール圧を増大及びインジェクションを増大する方向202と、インジェクションのみを増大する方向203と、コモンレール圧を減少及びインジェクションを増大する方向204、コモンレール圧のみを減少する方向205、コモンレール圧を減少及びインジェクションを減少する方向206、インジェクションのみを減少する方向207、コモンレール圧を増大及びインジェクションを減少する方向208と、である。
【0065】
図10(2)は、最適値探索装置10が限界値を求める場合に、設定項目を変化させる過程を示している。最適値探索装置10は、実験計画法に基づいた中心の値で初期測定をする中心点から測定を始め、予測した限界値まで設定項目を変化させ(ライン210)、限界値で設定項目の変化を停止して測定値が制限値を超えないことを監視し(ライン211)、その後、設定項目の値を中心点の値へ戻している(ライン212)ことを示している。
【0066】
図11は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す別の図である。図11の例は、コモンレール圧と、インジェクションとを変化させながらNOxを測定し、コモンレール圧及びインジェクションの限界値を予測していることを示す例である。
【0067】
図11(1)において、中心点を示すライン311から設定項目の変化を開始していることを示している。なお、図11(1)において、斜線部分は、この開始後に測定をした部分であることを表している。図11(2)は、コモンレール圧を示すライン301と、インジェクションを示すライン302とが増大する変化に応じて、NOxを示すライン303が増大する変化をしていることを示している。そして、予測した限界点を示すライン312において、コモンレール圧の変化と、インジェクションの変化とを停止していることを示している。なお、図11(2)において、斜線部分は、この停止後に測定をした部分であることを表している。図11(3)は、コモンレール圧の変化と、インジェクションの変化とを停止した後に、最適値探索用テーブルの制限値測定時間(ライン313)までNOxの測定値が制限値を超えないことを監視していることを示している。なお、図11(3)において、斜線部分は、この制限値測定時間以降に測定をした部分であることを表している。
【0068】
図12は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が探査した限界値を示している図である。図12の例は、コモンレール圧と、インジェクションとを変化させながら測定したNOxの測定値を、等高線として表している。
【0069】
図12(1)は、コモンレール圧及びインジェクションに対するNOxの等高線を示す2次元図である。最適値探索装置10が予測し、探査した限界点401〜408が示されている。図12(2)は、コモンレール圧及びインジェクションに対するNOxの等高線を示す図12(1)の3次元図である。最適値探索装置10が予測し、探査した限界点401〜408が示されている。
【0070】
本実施例によれば、最適値探索装置10は、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定し、引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行い、初期における測定及びスイープしながらの測定における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求め、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期値における測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。
【0071】
そして、最適値探索装置10は、予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、所定の制限値を超えないことを監視することによって予測した限界値を限界値とし、スイープの異なる方向について、初期測定ステップから限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の限界値によって範囲を求め、求めた範囲内で更に設定項目を変化させながら測定項目の測定を行い、設定項目の最適値を求める。
【0072】
更に、ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について限界値を求め、求めた限界値の範囲内で最適値を求める。したがって、最適値探索装置10は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の特徴を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の最適値探索用テーブルを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値記憶用テーブルを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界範囲処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値予測処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を求める場合の内容を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す別の図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が探査した限界値を示している図である。
【符号の説明】
【0075】
10 最適値探索装置
11 初期測定部
12 スイープ測定部
13 二次曲線算出部
14 予測部
15 限界点探査部
16 範囲決定部
17 最適値探索部
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適値を探索する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンの運転等において、電気的な制御を総合的に行うECU(Electronic Control Unit)制御が知られている。ECU制御は、各センサからの情報を基に、エンジンの噴射量や噴射時間、アイドリングの回転数、点火タイミング等の制御項目を制御する。このようなECU制御は、制御項目毎に設けられている設定項目の値を最適化することにより、エンジンを効率よく制御する。
【0003】
エンジンの効率化を実現する方法として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1には、高速且つ容易に燃料噴射率の最適化を実現することを目的として、フィードフォワード方式のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置について記載されている。すなわち、特許文献1に記載された発明は、噴射期間内に逃がし弁の開閉の試行を繰り返すことにより実測値が燃料噴射パターンに近づくよう逃がし弁の開閉タイミングを最適化しながら、ニューラルネットを用いて学習により未計測値を推定する演算装置を備えている。そして、学習機能により、圧力センサの実測値が目標とする燃料噴射パターンに近づくように、噴射期間内に逃がし弁の開閉若しくは弁開度タイミングの試行を繰り返すことにより得られた学習データにより、設計時若しくは試験時等に予め定めた弁操作タイミングを補正しながら、噴射率の最適化を実現する事を特徴とする。
【特許文献1】特開2001−304027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような方法は、燃料噴射のように非常に短期間に行われる場合には有効であるが、遅れ要素を持ったもの(例えば、温度や圧力等)の最適化には、遅れ要素についての学習が困難なので、有効とはいえない。このような遅れ要素を持ったものは、設定項目の値を変化させた後に、ECU制御の結果をしばらく監視するという、段階毎の測定をする必要がある。そして、段階毎の測定では、段階毎に温度等を監視する必要があるので、制御項目の制限値に到達するまでに膨大な時間がかかる。例えば、制限値までを5%精度で監視するためには20段階が必要となり、段階毎の遅れ時間を30秒とすると、600秒(30秒×20段階)の時間が必要となる。そして、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を求めるためには、設定項目を組合せた段階毎の測定が必要となり、更に時間が必要になる。
【0005】
そこで、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求める方法が求められている。
【0006】
本発明は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求める方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1) コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する方法であって、前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定ステップと、引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定ステップと、前記初期測定ステップ及び前記スイープ測定ステップにおける一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求めるステップと、前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測するステップと、を含む方法。
【0009】
(1)の構成によれば、本発明に係る方法は、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する方法であって、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定し、引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行い、一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求め、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。
【0010】
よって、本発明に係る方法によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ予測した限界値までの間で探索する。したがって、本発明に係る方法は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0011】
(2) 前記予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、前記所定の制限値を超えないことを監視することによって前記予測した限界値を限界値とするステップと、前記スイープの異なる方向について、前記初期測定ステップから前記限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の前記限界値によって範囲を求めるステップと、前記求めた範囲内で更に前記設定項目を変化させながら前記測定項目の測定を行い、前記設定項目の最適値を求めるステップと、を更に含む(1)に記載の方法。
【0012】
(2)の構成によれば、本発明に係る方法は、(1)に加えて、予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、所定の制限値を超えないことを監視することによって予測した限界値を限界値とし、スイープの異なる方向について、初期測定ステップから限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の限界値によって範囲を求め、求めた範囲内で更に設定項目を変化させながら測定項目の測定を行い、設定項目の最適値を求める。
【0013】
よって、本発明に係る方法によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、予測した限界値を限界値とし、求めた限界値の範囲内で最適値を探索する。したがって、本発明に係る方法は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0014】
(3) 前記方法は、前記ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について前記限界値を求め、求めた前記限界値の範囲内で最適値を求める(1)又は(2)に記載の方法。
【0015】
(3)の構成によれば、本発明に係る方法は、(1)又は(2)に加えて、ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について限界値を求め、求めた限界値の範囲内で最適値を求める。
【0016】
よって、本発明に係る方法によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、設定項目を組合せて予測した限界値を限界値とし、求めた限界値の範囲内で最適値を探索する。したがって、本発明に係る方法は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0017】
(4) コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する最適値探索装置であって、前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定手段と、引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定手段と、前記初期測定手段及び前記スイープ測定手段における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求める二次曲線算出手段と、前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定手段の測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測する予測手段と、を備えることを特徴とする最適値探索装置。
【0018】
よって、本発明に係る最適値探索装置によれば、コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ予測した限界値までの間で探索する。したがって、本発明に係る最適値探索装置は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求める方法及び装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の特徴を示す図である。本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10は、本発明に係る方法を実施するために、初期測定ステップを実行する初期測定部11と、スイープ測定ステップを実行するスイープ測定部12と、二次曲線算出ステップを実行する二次曲線算出部13と、予測ステップを実行する予測部14と、を備えている。そして、最適値探索装置10は、ECU制御するための設定項目の最適値を所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する。例えば、エンジンをECU制御するための設定項目のうちの一つであるトルクと、ECU制御を行った場合の測定項目である排気温度とを例として示す。設定項目であるトルクを変えると測定項目である排気温度は、トルクの変化に遅れて変化する。
【0022】
初期測定部11は、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定する。例えば、初期測定部11は、トルクの初期値における排気温度の初期値を測定する。初期値は、例えば、実験計画法に基づいてトルクが取り得る可能な値の中で中心の値を初期値とする。トルクがこの初期値の下では、ECU制御をしても排気温度は超えてはならない制限値を超えない。
【0023】
スイープ測定部12は、初期値から引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行う。例えば、スイープ測定部12は、トルクを連続的に変化させながら排気温度を測定する。
【0024】
二次曲線算出部13は、初期測定部11及びスイープ測定部12が測定した一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求める。例えば、二次曲線算出部13は、トルクを連続的に変化させた場合に、変化する排気温度の測定値に基づいて、測定値を近似する二次曲線を求める。
【0025】
予測部14は、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。例えば、予測部14は、排気温度の測定値を近似する二次曲線を求め、求めた二次曲線上の今回の排気温度の測定値と、直前の排気温度の測定値とに基づいて、直線の傾きを求め、求めた傾きと、排気温度の初期値を切片とする直線を求める。そして、求めた直線と、排気温度の制限値との交点を算出し、算出した交点に対応するトルクの値を求める。このように、スイープしながら測定する毎に求めた直線の中で傾きが最大の場合に算出したトルクの値を限界値として予測する。すなわち、予測部14は、スイープしながら測定する毎に算出したトルクの値を記憶し、変化させているトルクの値が、この記憶したトルクの値のいずれか(例えば、トルクを増大させる方向に変化させている場合は求めた直線の傾きが最大のときに算出する最小値)を超えると、予測した限界値を超えたと判断する。
【0026】
最適値探索装置10は、ECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ予測した限界値までの間で探索する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の機能を示す機能ブロック図である。本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10は、図1の特徴に加え、探査するステップを実行する限界点探査部15と、範囲を求めるステップを実行する範囲決定部16と、最適値を求めるステップを実行する最適値探索部17とを更に備えている。
【0028】
限界点探査部15は、予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、所定の制限値を超えないことを監視することによって予測した限界値を限界値とする。例えば、限界点探査部15は、変化させているトルクの値が予測した限界値を超えた場合に、トルクの変化を停止し、その後、トルクの変化を停止したままで、所定の時間、排気温度を監視し、排気温度の制限値を超えないことを監視し、このトルクの値を限界点の値、すなわち探査した限界値とする。
【0029】
範囲決定部16は、スイープの異なる方向について、初期測定ステップから限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の限界値によって範囲を求める。例えば、2つの設定項目AとBとがある場合に、範囲決定部16は、設定項目Aを増加する場合及び減少する場合と、設定項目Bを増加する場合及び減少する場合との組合せ(例えば、A及びBを増加する場合等)による異なる方向について、初期測定することから限界値とすることまでを繰り返し、複数の限界値を求め、最適値を探索するための範囲を求める。
【0030】
最適値探索部17は、求めた範囲内で更に設定項目を変化させながら測定項目の測定を行い、設定項目の最適値を求める。例えば、最適値探索部17は、求めた増大方向の限界値及び減少方向の限界値の範囲内で、設定項目について段階的に変化させながら測定項目を測定し、測定項目に対する設定項目の最適値を求める。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。最適値探索装置10は、CPU(Central Processing Unit)1010、バスライン1005、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、I/Oコントローラ1070、キーボード及びマウス1100、並びに表示装置1022を備える。
【0032】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074、半導体メモリ1078、等の記憶手段を接続することができる。
【0033】
BIOS1060は、最適値探索装置10の起動時にCPU1010が実行するブートプログラムや、最適値探索装置10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0034】
ハードディスク1074は、最適値探索装置10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶しており、更に、最適値探索用テーブル、限界値記憶用テーブル等の各種データベースを構成可能である。
【0035】
最適値探索装置10に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、最適値探索装置10にインストールされ実行されてもよい。
【0036】
前述のプログラムは、専用通信回線に接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又は光ディスクライブラリ等の記憶装置を記録媒体として使用し、通信回線を介して最適値探索装置10に提供されるとしてもよい。
【0037】
ここで、表示装置1022は、最適値探索装置10による演算処理結果の画面を表示したりするものであり、ブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0038】
また、通信I/F1040は、最適値探索装置10を専用ネットワークを介して端末(例えば、ECU制御部等)と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。通信I/F1040は、モデム、ケーブル・モデム及びイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の最適値探索用テーブルを示す図である。最適値探索用テーブルは、ECU制御項目と、設定項目と、測定項目と、初期値と、制限値と、制限値測定時間と、目標値と、段階的測定時間と、スイープ用測定時間と、変化方向とを記憶している。ECU制御項目及び設定項目は、最適値探索のためのECU制御項目及び設定項目であり、例えば、排気温度制御及びトルク等である。測定項目は、制御項目について測定する項目であり、例えば、排気温度等である。初期値は、設定項目の初期値である。制限値は、測定項目が超えてはならない限界の値であり、例えば、排気温度の制限値等である。制限値測定時間は、設定項目が限界値を保ちながら測定する時間であり、例えば、設定項目の予測した限界値で測定値が監視値を超えないことを監視する時間である。目標値は、目標とする測定値であり、この測定値の場合に設定項目の値を最適値と判断することができる。段階的測定時間は、段階的に測定する場合の段階毎の測定時間である。スイープ用測定時間は、スイープ測定をする時の測定時間である。変化方向は、設定項目を変化させる方向の種類数であり、例えば、4方向(設定項目A増大及び設定項目B増大、設定項目A増大及び設定項目B減少、設定項目A減少及び設定項目B増大、設定項目A減少及び設定項目B減少)等である。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値記憶用テーブルを示す図である。限界値記憶用テーブルは、方向と、限界値と、予測と、探査結果とを記憶している。方向は、設定項目の変化する方向であり、例えば、増大方向又は減少方向等である。限界値は、求めた二次曲線と直線とから算出した限界値である。予測は、限界値として予測した場合に設定される。探査結果は、制限値を超えない場合に設定される。
【0041】
図6は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の処理内容を示すフローチャートである。なお、本処理は、例えば、プログラム開始指令を受け付けて開始し、プログラム終了指令又は終了条件により終了する。
【0042】
ステップS101において、CPU1010は、限界範囲処理をする。この限界範囲処理により、設定項目の最適値を探索するための範囲を取得する。その後、CPU1010は、処理をステップS102に移す。
【0043】
ステップS102において、CPU1010は、範囲内で段階的に測定をする。より具体的には、CPU1010は、取得した範囲内で、設定項目の値を変化させ、変化させた設定項目の値の下で最適値探索用テーブルの段階的測定時間に基づいて測定をする。その後、CPU1010は、処理をステップS103に移す。
【0044】
ステップS103において、CPU1010は、最適値か否かを判断する。すなわち、CPU1010は、測定値が最適値探索用テーブルの目標値の範囲内か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS104に移し、NOの場合は処理をステップS102に移す。
【0045】
ステップS104において、CPU1010は、最適値を記憶する。すなわち、この場合の設定項目の値を最適値として記憶する。その後、CPU1010は、処理を終了する。
【0046】
図7は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界範囲処理の内容を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS201において、CPU1010は、中心点を測定する。すなわち、実験計画法に基づいて予め設定された最適値探索用テーブルの初期値を用いて測定する。その後、CPU1010は、処理をステップS202に移す。
【0048】
ステップS202において、CPU1010は、スイープ測定をする。より具体的には、CPU1010は、設定項目の値を、最適値探索用テーブルのスイープ用測定時間に基づいて変化させ、変化させた時の測定項目を測定し、記憶する。その後、CPU1010は、処理をステップS203に移す。
【0049】
ステップS203において、CPU1010は、限界値予測処理をする。限界値予測処理は、設定項目の変化毎に限界値を算出し、限界値記憶用テーブルに記憶している。その後、CPU1010は、処理をステップS204に移す。
【0050】
ステップS204において、CPU1010は、設定項目の値が、予測した限界値を超えたか否かを判断する。より具体的には、CPU1010は、設定項目の値と、限界値記憶用テーブルに記憶した限界値とを比較し、設定項目の値が、記憶した限界値のいずれかを超えたか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS205に移し、NOの場合は処理をステップS202に移す。
【0051】
ステップS205において、CPU1010は、最適値探索用テーブルの制限値測定時間に基づいて、限界値の下で測定し、測定値が制限値内であることを監視する。その後、CPU1010は、処理をステップS206に移す。
【0052】
ステップS206において、CPU1010は、限界値として記憶する。すなわち、限界値記憶用テーブルに記憶した限界値を探査結果として記憶する。その後、CPU1010は、処理をステップS207に移す。
【0053】
ステップS207において、CPU1010は、全ての方向について限界値を求めたか否かを判断する。すなわち、最適値探索用テーブルの変化方向に基づいて、設定項目の変化の方向を全て測定したか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理を終了し、本処理に移るステップの次のステップにリターンする。この判断がNOの場合は処理をステップS201に移す。
【0054】
図8は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値予測処理の内容を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS301において、CPU1010は、二次曲線を求める。より具体的には、CPU1010は、測定毎に記憶した設定項目の値と、スイープ測定しながら測定した測定値とに基づいて、測定値を近似する二次曲線を求める。その後、CPU1010は、処理をステップS302に移す。
【0056】
ステップS302において、CPU1010は、傾きを求める。より具体的には、CPU1010は、求めた二次曲線上における今回の値と、前回の値とに基づいて傾きを求める。その後、CPU1010は、処理をステップS303に移す。
【0057】
ステップS303において、CPU1010は、直線を求める。より具体的には、CPU1010は、求めた傾きと、設定項目の初期値における測定値を切片とする直線を求める。その後、CPU1010は、処理をステップS304に移す。
【0058】
ステップS304において、CPU1010は、制限値との交点を求める。より具体的には、CPU1010は、設定項目の値と測定値との関係を表す、求めた直線により、測定値が制限値となる時の設定項目の値を求める。その後、CPU1010は、処理をステップS305に移す。
【0059】
ステップS305において、CPU1010は、前回より傾きが大か否かを判断する。すなわち、CPU1010は、今回求めた傾きと、前回求めた傾きとを比較し、今回求めた傾きが前回求めた傾きより大か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS306に移し、NOの場合は処理を終了し、本処理に移るステップの次のステップにリターンする。
【0060】
ステップS306において、CPU1010は、限界値として予測する。より具体的には、CPU1010は、限界値記憶用テーブルに記憶した限界値を予測した限界値と設定する。その後、CPU1010は、処理を終了し、本処理に移るステップの次のステップにリターンする。
【0061】
図9は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す図である。図9の例は、トルクを変化させながら排気温度を測定し、その経過を横軸が時間(秒)、縦軸が排気温度又はモーメントとした場合のグラフを示す例である。
【0062】
図9において、トルクの変化を示す実測トルク101は、初期値から増大し、排気温度の変化を示す実測排気温度102は、トルク値の増大と共に増大している。実測排気温度を近似した二次曲線111に基づいて求めた傾きと、初期値を切片とする直線が、制限値のライン131と交差する交点121、122とが示されている。そして、図9は、傾きが最大の直線112と制限値のライン131との交点122を超えた時点で、トルクの変化を停止していること、その後も実測排気温度が増大していることを示している。
【0063】
図10は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を求める場合の内容を示す図である。
【0064】
図10(1)は、最適値探索装置10が限界値を求める場合に、設定項目を変化させる方向を示している。例えば、設定項目がコモンレール圧及びインジェクションである場合に、実験計画法に基づいた中心の値から8方向に、予測した限界値まで設定項目の値を変化させて限界値を求めていることを示している。求めた限界値までが、設定項目の最適値を探索する範囲である。例えば8方向は、コモンレール圧のみを増大させる方向201と、コモンレール圧を増大及びインジェクションを増大する方向202と、インジェクションのみを増大する方向203と、コモンレール圧を減少及びインジェクションを増大する方向204、コモンレール圧のみを減少する方向205、コモンレール圧を減少及びインジェクションを減少する方向206、インジェクションのみを減少する方向207、コモンレール圧を増大及びインジェクションを減少する方向208と、である。
【0065】
図10(2)は、最適値探索装置10が限界値を求める場合に、設定項目を変化させる過程を示している。最適値探索装置10は、実験計画法に基づいた中心の値で初期測定をする中心点から測定を始め、予測した限界値まで設定項目を変化させ(ライン210)、限界値で設定項目の変化を停止して測定値が制限値を超えないことを監視し(ライン211)、その後、設定項目の値を中心点の値へ戻している(ライン212)ことを示している。
【0066】
図11は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す別の図である。図11の例は、コモンレール圧と、インジェクションとを変化させながらNOxを測定し、コモンレール圧及びインジェクションの限界値を予測していることを示す例である。
【0067】
図11(1)において、中心点を示すライン311から設定項目の変化を開始していることを示している。なお、図11(1)において、斜線部分は、この開始後に測定をした部分であることを表している。図11(2)は、コモンレール圧を示すライン301と、インジェクションを示すライン302とが増大する変化に応じて、NOxを示すライン303が増大する変化をしていることを示している。そして、予測した限界点を示すライン312において、コモンレール圧の変化と、インジェクションの変化とを停止していることを示している。なお、図11(2)において、斜線部分は、この停止後に測定をした部分であることを表している。図11(3)は、コモンレール圧の変化と、インジェクションの変化とを停止した後に、最適値探索用テーブルの制限値測定時間(ライン313)までNOxの測定値が制限値を超えないことを監視していることを示している。なお、図11(3)において、斜線部分は、この制限値測定時間以降に測定をした部分であることを表している。
【0068】
図12は、本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が探査した限界値を示している図である。図12の例は、コモンレール圧と、インジェクションとを変化させながら測定したNOxの測定値を、等高線として表している。
【0069】
図12(1)は、コモンレール圧及びインジェクションに対するNOxの等高線を示す2次元図である。最適値探索装置10が予測し、探査した限界点401〜408が示されている。図12(2)は、コモンレール圧及びインジェクションに対するNOxの等高線を示す図12(1)の3次元図である。最適値探索装置10が予測し、探査した限界点401〜408が示されている。
【0070】
本実施例によれば、最適値探索装置10は、設定項目の初期値において、ECU制御を行った場合の測定項目を測定し、引き続き設定項目をスイープしながら測定項目の測定を行い、初期における測定及びスイープしながらの測定における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求め、求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし初期値における測定値を切片とする直線と、ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、求めた交点を限界値と予測する。
【0071】
そして、最適値探索装置10は、予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、所定の制限値を超えないことを監視することによって予測した限界値を限界値とし、スイープの異なる方向について、初期測定ステップから限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の限界値によって範囲を求め、求めた範囲内で更に設定項目を変化させながら測定項目の測定を行い、設定項目の最適値を求める。
【0072】
更に、ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について限界値を求め、求めた限界値の範囲内で最適値を求める。したがって、最適値探索装置10は、ECU制御項目の中で、遅れ要素を持った制御項目の設定項目について最適値を迅速に求めることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の特徴を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の最適値探索用テーブルを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値記憶用テーブルを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界範囲処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10の限界値予測処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を求める場合の内容を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が限界値を予測していることを示す別の図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る最適値探索装置10が探査した限界値を示している図である。
【符号の説明】
【0075】
10 最適値探索装置
11 初期測定部
12 スイープ測定部
13 二次曲線算出部
14 予測部
15 限界点探査部
16 範囲決定部
17 最適値探索部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する方法であって、
前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定ステップと、
引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定ステップと、
前記初期測定ステップ及び前記スイープ測定ステップにおける一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求めるステップと、
前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、前記所定の制限値を超えないことを監視することによって前記予測した限界値を限界値とするステップと、
前記スイープの異なる方向について、前記初期測定ステップから前記限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の前記限界値によって範囲を求めるステップと、
前記求めた範囲内で更に前記設定項目を変化させながら前記測定項目の測定を行い、前記設定項目の最適値を求めるステップと、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について前記限界値を求め、求めた前記限界値の範囲内で最適値を求める請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する最適値探索装置であって、
前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定手段と、
引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定手段と、
前記初期測定手段及び前記スイープ測定手段における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求める二次曲線算出手段と、
前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定手段の測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測する予測手段と、を備えることを特徴とする最適値探索装置。
【請求項1】
コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する方法であって、
前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定ステップと、
引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定ステップと、
前記初期測定ステップ及び前記スイープ測定ステップにおける一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求めるステップと、
前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定ステップの測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記予測した限界値において、所定の時間まで測定を行い、前記所定の制限値を超えないことを監視することによって前記予測した限界値を限界値とするステップと、
前記スイープの異なる方向について、前記初期測定ステップから前記限界値とするステップを繰り返し、繰り返すことにより求めた複数の前記限界値によって範囲を求めるステップと、
前記求めた範囲内で更に前記設定項目を変化させながら前記測定項目の測定を行い、前記設定項目の最適値を求めるステップと、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記ECU制御するための設定項目を組合せ、組合せた設定項目について前記限界値を求め、求めた前記限界値の範囲内で最適値を求める請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コンピュータが、エンジンをECU制御するための設定項目の最適値を、所定の初期値からスイープしつつ限界値までの間で探索する最適値探索装置であって、
前記設定項目の初期値において、前記ECU制御を行った場合の測定項目を測定する初期測定手段と、
引き続き前記設定項目をスイープしながら前記測定項目の測定を行うスイープ測定手段と、
前記初期測定手段及び前記スイープ測定手段における一連の測定値の変化にフィットする二次曲線を求める二次曲線算出手段と、
前記求めた二次曲線の傾きの最大値を傾きとし前記初期測定手段の測定値を切片とする直線と、前記ECU制御の測定項目の所定の制限値と、の交点を求め、前記求めた交点を前記限界値と予測する予測手段と、を備えることを特徴とする最適値探索装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−127227(P2010−127227A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304418(P2008−304418)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]