説明

最適化された書き込み戦略を選択する方法及び記録装置並びに前記方法による利用のための記録媒体

【課題】ディスクドライブが以前に登録されていないタイプの光ディスクに書き込むための最適な書き込み戦略を決定及び学習するための簡単化された方法に対するニーズがある。
【解決手段】最適な書き込み戦略及び関連する設定は、ディスクドライブに保存された書き込み戦略のセットから選択される。ディスクドライブは、書き込み戦略の選択の基礎を、光ディスクに対して実行されたテスト書き込みの性能結果に置く。本方法は最初に、とり得る最高の書き込みスピードで、及び必要なら、最低限の許容可能な書き込み品質を達成する書き込み戦略が特定されるまで又は最低のスピードが到達されるまで、引き続いてより低いスピードで書き込み戦略をテストすることを必要とする。選択された最適な書き込み戦略は記録装置に保存されても良いし、又は光記録ディスク自体に保存されても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクのような光記録媒体への情報の書き込みに関し、より詳細には、特定の光ディスクのための最適な書き込み戦略を選択し学習する方法及び記録装置に関する。本発明はまた、本発明による前記方法による利用のための記録媒体にも関する。
【背景技術】
【0002】
光メディアはデータをディジタル形式で保存し、種々のCD及びDVD光ディスクの技術の全てを含む。この媒体に保存されたデータはビデオ、テキスト、オーディオ、コンピュータデータ、又はいずれの他の形態のディジタル情報から成っても良い。該データはレーザを用いて光ディスクに書き込まれ、光ディスクから読み込まれる。
【0003】
種々の光ディスクの製造者が存在する。それ故、多くの異なるフォーマット及びディスクタイプが商業上利用可能である。例えばCD−R、CD−R/W、DVD−R、DVD−R/Wのような標準化されたディスクフォーマット内においてさえ、それぞれのタイプの光ディスクは異なる物質パラメータを持つ。このため、レーザからの書き込みパルスに晒されたとき各タイプは異なって振舞い得る。補償されない場合、振舞におけるかような相違は、例えば書き込まれたマークのジッタ(jitter)及び非対称性のような、書き込み動作におけるばらつきに帰着する。それ故、最適な書き込み動作のために、それぞれのタイプの光ディスクは、該ディスクの物質パラメータ及び他の特性を補償するために異なる書き込み戦略(strategy)を必要とし得る。
【0004】
本明細書においては、マークとは光ディスク上のいずれのタイプの光検出可能な領域のことであると理解される。該マークは、光ディスク上の領域を局所的に加熱することにより形成されるピット、及び光ディスク中の結晶層中の非晶質領域を含む。書き込み戦略とは、レーザパルスによって照射されたときにマークが光ディスク上に形成されるようにする、レーザによって生成されるレーザパルスのいずれかのシーケンスであると理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つのアプローチにおいては、最適な書き込み戦略は、ディスクにユーザ情報を書き込むことを試みる前にテスト書き込みを実行することにより、各光ディスクについて生成される。前記テスト書き込みは一般に、書き込みパワーを増加的に調節しながら光ディスクのリードイン領域の内部において為される。次いで、記録された情報がテスト領域から読み込まれる。前記テスト書き込みの所望の品質(例えば最低のエラー率、最適な変調係数、最低のジッタ係数)及び非対称性が得られる書き込みパワーが、最適な書き込みパワーとして選択され、該書き込みパワーは次いでユーザ情報の実際の記録のために利用される。しかしながらこのアプローチは、前記テスト書き込みの結果がディスクドライブによって保持されないという点において不利である。それ故、前記テスト書き込みは、たとえ同一のタイプの光ディスクに対しても繰り返される必要があり、煩わしいものとなり得る。更に、前記書き込み戦略の各パラメータは各ディスクについて生成される必要があり、そのため前記テスト書き込みの特性のかなりの分析を必要とする。
【0006】
他のアプローチは、各光ディスクタイプが、光ディスクドライブによって該ドライブが製造されるときに「登録」されることを必要とする。光ディスクドライブの開発の間、該ドライブの製造者は、前記ドライブの製造者が知っている各タイプの光ディスクについて最適な書き込み戦略を調査及び開発する。前記製造者は次いで、対応する各光ディスクのタイプについて最適な書き込み戦略を伴う互換性のある光ディスクタイプのリストを表すデータを編集する。該データはしばしば例えばEEPROMのような制御情報メモリ中に前記光ディスクドライブに保存され、最適な書き込みパワー、時間変調、線速度及び記録スピードのような記録パラメータを含んでも良い。ドライブは次いで前記ディスクのリードイン部分を走査することにより特定の光ディスクタイプを認識することができる。各光ディスクタイプのリードイン部分の特性はディスク製造者によって変わり、従って前記ディスクの製造者を識別する。
【0007】
この「登録」手法の重大な欠点は、光ディスクドライブが前記特定の光ディスクタイプのために最適化された書き込み戦略を利用して登録されていない光ディスクタイプに書き込むことができないという点である。換言すれば、登録されていない光ディスクタイプに遭遇した光ディスクドライブは該ディスクを認識せず、それ故保存された最適な書き込み戦略にアクセスすることができない。かような登録されていないディスクが遭遇されたとき、前記ドライブは新たな光ディスクタイプに互換性がないか、前記光ディスクドライブに保存された一般的な、それ故最適でない書き込み戦略が適用される。典型的に、前記光ディスクドライブが登録されていないディスクに書き込むことができるとしても、該ドライブは可能な最高の記録スピード(例えば24倍)ではなくより低いスピードで書き込む(例えば該ドライブは4倍又はそれどころか2倍で書き込み得る)。
【0008】
本分野においては、ディスクドライブが以前に登録されていないタイプの光ディスクに書き込むための最適な書き込み戦略を決定及び学習するための簡単化された方法に対するニーズがある。前記最適な書き込み戦略は、可能な最高のスピードでの光ディスクへの情報の良質な転送を保証すべきである。それ故本発明の目的は、かような方法及びかような方法を用いる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による方法及び記録装置は、異なる既知の書き込み戦略の性能をテストし、特定の光ディスクタイプのための最良の書き込み戦略を選択し、後に同一の光ディスクタイプが遭遇されたときに利用するために該情報を保存することによって、最適な書き込み戦略を選択及び学習することにより本分野の問題に対処する。
【0010】
一般に、最良の書き込み戦略についての情報は、同一の光ディスクタイプが後に遭遇されたときの利用のために前記記録装置に保存される。しかしながら本発明の実施例によれば、特定のディスクを用いた利用のための最良の書き込み戦略についての情報は、前記ディスク自身に書き込まれる。前記ディスクが後に遭遇されると、該情報は前記ディスクから読み込まれ、前記最良の書き込み戦略を選択するために前記記録装置によって利用される。
【0011】
最初に、少なくとも2つの(しかし代替としては幾つでも良いが)書き込み戦略が、光ディスクドライブ中に保存された書き込み戦略のリストから選択される。次いで、各選択された書き込み戦略について、テストパターンを表すマークのシーケンスが、光ディスク又は同様の記録媒体の最適パワー較正(OPC)領域のようなテスト領域に記録される。本発明の他の実施例においては、設定を変更することにより、1より多いテストパターンが各選択された書き込み戦略について記録される。
【0012】
次いで、前記テストパターンは前記光ディスクドライブによって前記光ディスクから読み戻される。最後に、書き込み戦略及び対応する設定(settings)が、前記テストパターンの読み込みから得られるパラメータに基づいて選択される。前記選択された書き込み戦略は、当該の光ディスクタイプに情報を書き込むために後に利用されるように、前記ディスクドライブによって学習される。
【0013】
本発明の実施例によれば、テストパターンの第1のセットがとり得る最高の記録スピード(例えば24倍)で書き込まれる。該スピードで書き込まれたテストパターンのうち最低限必要とされる書き込み品質を達成するものが無い場合は、該スピードは低下され、新たなテストパターンが書き込まれ分析される。この手順は、最低限の書き込み品質が達成される最高のスピード、又はとり得る最低の書き込みスピードで前記ディスクが書き込まれるまで繰り返される。
【0014】
本発明の更なる実施例は、最初に前記光ディスクが登録されたタイプのものであるか否かを決定するための光ディスクタイプ識別ステップを実行する。前記ディスクタイプが前記光ディスクドライブによって登録されていない場合、本発明の上述した実施例の書き込み戦略選択方法が実行される。
【0015】
本発明は、添付する図を参照しながら好適な実施例に基づいて以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例によるCD−RW記録装置の機能ブロック図を示す。
【図2】本発明の実施例の全体的な動作のフロー図を示す。
【図3】本発明の実施例による自己学習方法のフロー図を示す。
【図4】本発明の実施例による、テストパターンが書き込まれるOPC領域を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の方法及び記録装置の実施例によれば、光ディスクドライブは、種々の書き込み戦略及び設定をテストするため以前に登録されていないディスクタイプのディスクの最適パワー較正(OPC)領域を利用し、前記テストの結果に依存して前記テストされたディスクタイプのうち最適な書き込み戦略を選択する。
【0018】
本発明の実施例は、CD−R/Wドライブにおいて実装される。しかしながら本発明は、例えばDVD−R/W及びCD−Rのような他の書き込み及び再書き込み可能なCD、DVD及び他の光ディスクフォーマットのためのドライブにおいても適用可能であることに留意されたい。当業者は、本発明の方法がディスク以外の記録媒体のために実装されることもできることを認識するであろう。
【0019】
図1は、例となる環境、即ち光ディスクドライブ100を模式的に示す。該光ディスクドライブ100は読み込み/書き込みレーザ120、コントローラ130、プロセッサ140及びメモリ150を含む。ディスクタイプ112の光ディスク110が光ディスクドライブ100に存在しても良い。光ディスク110はOSJバイト114、リードイン部116及びOPC領域118のいずれか又は全てを含んでも良い。メモリ150はデータレコード162の編集物であるOSJテーブル160を含む。各データレコード162は少なくとも1つの書き込み戦略164、関連する設定166及び前記書き込み戦略164に関係するいずれかのディスクタイプ112を有する。OSJテーブル160中のデータレコード162はまた、Orange Book(「Compact disc ReWritable, CD-RW System Description」)において規定された標準の書き込み戦略164及び/又は標準の設定への参照を有しても良い。Orange Book規格は代替としてメモリ150の他のどこかに保存されても良い。
【0020】
図2は、ディスクドライブ100に挿入されたディスク100のための書き込み戦略164を選択するための方法の例200のフロー図を示す。
【0021】
最初に、ブロック201において、光ディスクドライブ100の書き込みスピードがとり得る最高のスピード(例えば24倍)に設定される。次いでブロック202において、ディスク110は該とり得る最高のスピードでいずれかの識別情報をチェックされる。かような識別情報はOSJバイト114に含まれている。OSJバイト114が検出されない場合、本方法はブロック206に進む。OSJバイト114が検出された場合、OSJテーブル160は、ディスク110のリードインのパス116の特性がOSJテーブル160に保存されているか否かを決定するために検索される。リードインのパス116が識別された場合、本方法はブロック204に進み、該ブロック204において、書き込み戦略164がディスク110のために定義されているか否かを決定するために前記OSJテーブルが検索される。書き込み戦略164が定義されている場合、ブロック208において本方法は、以下に(図4を参照しながら)より詳細に説明する手法に従って、ディスク110のOPC領域118にテストパターン170を書き込む。テストパターン170は次いで読み戻され、書き込み戦略164の性能が評価される。前記性能が、例えばBLER<50且つジッタ<25nsといった、予め設定された性能基準を越える場合、本方法はブロック210に進み、該ブロック210において、前記定義された書き込み戦略164を利用して前記とり得る最高のスピードでユーザ情報がディスク110に書き込まれる。しかしながら、ブロック204において書き込み戦略164が定義されていないと決定された場合、又はブロック208において前記定義された書き込み戦略164が前記予め設定された性能基準を満たさないと決定された場合、本方法はブロック206に進む。
【0022】
ブロック206は、(図3を参照しながら)以下により詳細に説明される、本発明の実施例の自己学習方法を開始する。前記自己学習方法は、少なくとも1つのテストパターン170が、OSJテーブル160からの少なくとも1つの書き込み戦略164の設定166の少なくとも1つのセットを用いてディスク110に書き込まれていることを必要とする。本実施例においては、テスト書き込みは、ディスク110のOPC領域118の細かな領域と粗い領域との間の領域において発生することに留意されたい。テストパターン170は、OSJテーブル160からの特定の書き込み戦略164が前記予め設定された性能基準を超える結果をもたらすか否かを決定するために読み込まれ評価される。かような書き込み戦略164がある場合、該書き込み戦略が選択される。ブロック212において、ユーザ情報が次いで前記とり得る最高のスピードで前記選択された書き込み戦略164を用いて書き込まれ、前記選択された書き込み戦略164を該ディスクタイプ112のために最適なものと定義するデータレコード162を含むようにOSJテーブル162が更新される。
【0023】
許容可能な結果をもたらす書き込み戦略164が無い(即ち、前記性能基準を満たさない)場合、本方法はブロック214に進み、該ブロック214においてOSJテーブル160が、ディスク110が前記とり得る最高のスピードで書き込まれることができないディスクタイプ112のものであることを示す設定166を持つデータレコード162を含むように更新される。前記記録スピードは次いでブロック216において、より低いスピード(例えば8倍)に設定される。ブロック218において、ディスク110は再びOSJバイト114をチェックされる。OSJバイト114が検出されない場合、本方法はブロック222へ進む。OSJバイト114が検出された場合、OSJテーブル160は、ディスク110のリードインのパス116の特性がOSJテーブル160に保存されているか否かを決定するために検索される。リードインのパス116が識別された場合、本方法はブロック220に進み、該ブロック220において、書き込み戦略164がディスク110のために定義されているか否かを決定するために前記OSJテーブルが検索される。ブロック220において書き込み戦略164が定義されていないと決定された場合、本方法はブロック226に進み、該ブロック226において、当該のディスクタイプ112のために最適なものとして標準の書き込み戦略164が指定されているか否かを決定するためにOrange Book規格(「Compact Disc ReWritable, CD-RW System Description」)が検索される。書き込み戦略164がOrange Book規格によって定義され指定されている場合、本方法はブロック224において、ディスク110のOPC領域180に更なるテストパターン170を、しかし今回はより低い記録スピードで書き込む。テストパターン170は次いで読み戻され、書き込み戦略164の性能が評価される。前記性能が予め設定された性能基準を超えている場合、本方法はブロック228に進み、該ブロック228において、前記定義された書き込み戦略164を用いて、前記より低い記録スピードで、ディスク110に情報が書き込まれる。しかしながら、ブロック224において前記定義された書き込み戦略164が前記予め設定された性能基準を満たさないと決定された場合、又はブロック220及びブロック226において書き込み戦略が定義又は指定されていない場合、本方法はブロック222に進む。
【0024】
ブロック222は、ブロック206の自己学習方法を、しかし前記より低いスピードで繰り返す。ここでも、OSJテーブル160からの少なくとも1つの書き込み戦略164の設定166の少なくとも1つのセットを用いて、少なくとも1つのテストパターン170がディスク110に書き込まれる。テストパターン170は、OSJテーブル160からの特定の書き込み戦略164が前記予め設定された性能基準を超える結果をもたらすか否かを決定するために読み戻され評価される。かような書き込み戦略164がある場合、該戦略が選択され、本方法はブロック230に進む。ブロック230において、前記選択された書き込み戦略164を用いて前記より低い記録スピードでディスク110に情報が書き込まれ、前記選択された書き込み戦略164を該ディスクタイプ112のために最適なものと定義するデータレコード162を含むようにOSJテーブル160が更新される。
【0025】
許容可能な結果をもたらす書き込み戦略164が無い場合、本方法はブロック232に進み、該ブロック232において、ディスク110は前記より低い記録スピードで書き込まれることができないディスクタイプ112のものであることを示す設定166を持つデータレコード162を含むように、OSJテーブル160が更新される。前記スピードは次いで、最低の記録スピード(例えば2倍)に設定され、ブロック234において該最低の記録スピードでディスク110にユーザ情報が書き込まれる。
【0026】
本発明の代替実施例によれば、前記選択された書き込み戦略164をディスクタイプ112のために最適なものとして定義するデータレコード162を含むようにOSJテーブル160を更新することに加えて、前記選択された書き込み戦略を識別する情報が、例えばリードイン領域116のようなディスクパラメータに関する情報を有する前記ディスク自体の領域に書き込まれる。前記ディスクが後に遭遇されたとき、該情報が前記ディスクから読み込まれ、前記最適な書き込み戦略を選択するために前記記録装置によって利用される。
【0027】
前記自己学習方法は、ディスク110のOPC領域118にテストパターン170を書き込むことにより幾つかの書き込み戦略164の書き込み性能を評価する。該自己学習方法において利用される、書き込み戦略164毎に設定166のM個のセットを用いて、継続時間Tの間にテストパターン170を書き込むことにより、N個の書き込み戦略164をテストする全般的なアルゴリズムは、以下の疑似コードによって規定される:
【0028】
For k:=1 to N,
write_strategy(k)を選択
For l:=1 to M,
set_of_settings(l)を選択
Δt=Tの期間ディスクに書き込み
End,
End;
テストパターンを読み込み;
For each write_strategy(k),
非対称性の関数としてのジッタを含む性能を評価;
性能を最適化するwrite_strategy(k)及び対応するset_of_settingsを選択;
【0029】
ここで図3に示されたフロー図を参照すると、前記自己学習方法はブロック310において開始し、該ブロック310において書き込み戦略164が選択される。次いで、本方法はブロック320に進み、該ブロック320において前記選択された書き込み戦略164に対応する設定166のセットが選択される。次いでブロック330において、前記選択された書き込み戦略164及び対応する設定166のセットに従ってテストパターン170が書き込まれる。全ての意図された設定166のセットが選択されるまで、本方法はブロック320にループして戻る。全ての意図された設定166のセットが選択され、テストパターン170を生成するために利用された場合、本方法はブロック310にループして戻り、該ブロック310において、テストされるべき次の書き込み戦略164が選択される。関連する意図された設定166のセットと共に全ての意図された書き込み戦略164を用いてテストパターン170が書き込まれた場合、本アルゴリズムはブロック340に進み、該ブロック340においてテストパターン170が読み戻され評価され、前記評価の結果が性能基準と比較される。ブロック350において、所望の性能をもたらす書き込み戦略164及び関連する設定166のセットが、最適な書き込み戦略164として選択される。
【0030】
代替として、繰り返し380に代わる繰り返し370を用いて、1度に1つの書き込み戦略164で前記自己学習アルゴリズムは実行されることができる。ここでテストパターン170を読み込み前記性能を評価するステップ340は、ステップ310、320及び330によって形成される論理ループの中に移動され、それにより、テストのために他の書き込み戦略164を選択するためにブロック310に戻る前に、予め設定された性能基準と各書き込み戦略の性能を比較する。本代替例を用いて、前記性能基準が超過されるまで新たな書き込み戦略164が選択又は生成され、この点において前記ループは終了する。
【0031】
上述した本発明の実施例においては、登録されていないディスクが遭遇された場合、即ち当該のディスクのために書き込み戦略164が定義又は指定されていない場合に、前記自己学習アルゴリズムが実行される。代替の実施例においては、前記アルゴリズムはディスクドライブ100がいずれのディスクと遭遇する度にも実行される。本実施例はOSJテーブル160又はOrange Book規格の保存を必要としない。むしろ、前記アルゴリズムはディスク110に対してテストされるべき各書き込み戦略164を生成する。
【0032】
書き込み戦略164は、所定のシーケンスでテストのために生成又は選択される。代替として、OSJテーブル160に保存された書き込み戦略164のテストのシーケンスは、利用の頻度、ディスク110の特性、ディスクドライブ100のタイプ又はいずれかの他のパラメータに従って決定されても良い。
【0033】
本発明の実施例によれば、OSJテーブル160中の最初の61個のデータレコード162は、ドライブ100の開発の間に予め定義された書き込み戦略164を持つディスクタイプ112のために予約される。残りのデータレコード162は自己学習のエントリのために予約される。ドライブ100が全ての利用可能なエントリを使い尽くした場合、62番目のエントリは次の新たなエントリのために上書きされる。この手順は、書き込まれたディスクが前記ドライブ自身及び殆どのROMプレイヤにおいて読み込み可能であることを保証する。
【0034】
ここで図4を参照すると、前記自己学習方法は、安定した(EFM)変調を達成するため、ディスク110上のOPC領域118の細かい部分451と粗い部分452との間のテスト領域440にテストパターン170を書き込む。該テスト領域は3つのフレームから成る。前記テスト書き込みの性能は、前記自己学習方法の論理サブルーチンに従って評価される。以下の疑似コードは、3つの書き込まれたフレームの最初のものからジッタを測定する方法の例である。
【0035】
If jitter_frame_1 < 15ns
OR
jitter_frame_1 < jitter_limitE and BLER > 50
OR
jitter_frame_1 > jitter_limitE and BLER < 50
then
測定を再試行
ELSE
If jitter_frame_1 < jitter_limitE and BLER < 50
then 現在のset_of_settingsを利用
ELSE
GOTO OSJテーブル中の次のwrite_strategy
【0036】
以下の段落において、本発明による実施例の機能的な例が図1を参照しながら説明される。ディスク110は、ディスク110にドライブ100によって情報が書き込まれることができるようにディスクドライブ100に挿入される。ディスクタイプ112はドライブ100には未知である。最初に、光ディスクドライブ100の書き込みスピードがとり得る最高のスピード(例えば24倍)に設定される。次いで、プロセッサ140は読み込みセッションを開始するようにコントローラ120に命じる。該読み込みセッションの間、光ディスクドライブ100は、リードイン116(データパス)を探すために利用されることができるいずれかの識別情報及びディスク110の書き込み戦略についてディスク110をチェックする。前記識別情報が見つけられた場合、プロセッサ140はメモリ150中のOSJテーブルにアクセスし、前記識別情報に関連した書き込み戦略164及び設定166のセットを取得し、前記取得された書き込み戦略164を光ディスク110に情報を書き込むために利用する。識別情報が見つけられなかった場合、プロセッサ140はテスト書き込みセッションを開始するようにコントローラ130に命じる。プロセッサ140はテストされるべき書き込み戦略164を取得する。書き込み戦略164はコントローラ130に伝達され、コントローラ130はテストパターン170を書き込むためのレーザ120をディスク110のOPC領域118に向ける。プロセッサ140は、テストパターン170を書き込むために書き込み戦略164の所定のセットが利用されるまで書き込み戦略164の取得及びコントローラ130への中継を継続しても良いし、又は代替として、テストパターン170が書き込まれた直後に各テストパターン170に対して性能評価が実行されても良い。プロセッサ140は、書き込み戦略164によって達成された性能に従って、ディスク110に情報を書き込むためにどの書き込み戦略164が選択されるかを決定する。前記選択された書き込み戦略164は次いで光ディスク110に情報を書き込むために利用される。前記プロセッサはOSJテーブル160中にデータレコード162を生成し、データレコード162にディスクタイプ112、前記選択された書き込み戦略164及び前記選択された設定のセット166を配置する。
【0037】
以上を鑑みると、本発明は書き込み可能又は再書き込み可能な媒体に情報を書き込むための最適な書き込み戦略を確立及び学習するための方法及び装置を提供することが理解されるであろう。更に、上述の内容は単に本発明の実施例に関し、添付する請求項によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変更が為され得ることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込み戦略のセットから書き込み戦略を選択する方法であって、
前記書き込み戦略のセットから少なくとも1つの書き込み戦略を適用している間情報担体に少なくとも1つのテストパターンを書き込むステップと、
前記情報担体から前記書き込まれたテストパターンを読み込むステップと、
前記テストパターンを読み込むステップから得られる少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記書き込み戦略のセットのうちどの書き込み戦略が前記情報担体に情報を書き込むために最適であるかを決定するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記テストパターンの書き込みは、前記書き込み戦略のセットから全ての前記書き込み戦略を適用することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記テストパターンの書き込みは、各前記書き込み戦略について少なくとも2つの区別可能な設定のセットを適用することにより達成され、前記方法は、前記テストパターンを読み込むステップから得られる少なくとも1つのパラメータに基づいて前記選択された最適な書き込み戦略に関連する最適な設定のセットを選択するステップをも有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最適な書き込み戦略は前記書き込み戦略のセットに保存される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記書き込み戦略のセット中の各書き込み戦略は、前記書き込み戦略が最適なものとして決定された情報担体の少なくとも1つのタイプに関連する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最適な書き込み戦略及び前記最適な書き込み戦略に関連する前記最適な設定のセットは、前記書き込み戦略のセットに保存される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記書き込み戦略のセット中の各書き込み戦略及び前記書き込み戦略に関連する少なくとも1つの設定のセットは、前記書き込み戦略及び前記書き込み戦略に関連する前記設定のセットが最適なものとして決定された情報担体の少なくとも1つのタイプに関連する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
後に前記情報担体に情報を書き込むために前記決定された最適な書き込み戦略を選択するステップを更に有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
書き込み戦略のセットから書き込み戦略を選択する方法であって、前記選択された書き込み戦略は目標の情報担体に情報を書き込むために利用されるものであり、前記方法は、
前記目標の情報担体に対応するタイプを識別するステップと、
前記目標の情報担体のタイプが前記書き込み戦略のセット中の書き込み戦略に関連する場合、前記目標の情報担体に情報を書き込むために前記関連する書き込み戦略を選択するステップと、
前記目標の情報担体が前記書き込み戦略のセット中の書き込み戦略に関連しない場合、請求項1乃至7のいずれか一項に記載された方法を利用して、前記情報担体に情報を書き込むために最適な書き込み戦略を選択するステップと、
を有する方法。
【請求項10】
書き込み戦略のセットから書き込み戦略を選択する方法であって、前記選択された書き込み戦略は情報担体に情報を書き込むために利用されるものであり、前記方法は、
(a)最低限の許容可能な書き込み品質を確立するパラメータを初期設定するステップと、
(b)書き込みスピードを第1の書き込みスピードに設定するステップと、
(c)前記書き込み戦略のセットから少なくとも1つの書き込み戦略を適用している間情報担体に少なくとも1つのテストパターンを書き込むステップと、
(d)前記情報担体から前記書き込まれたテストパターンを読み込むステップと、
(e)前記情報担体への書き込みのための前記書き込み戦略のセットの少なくとも1つの書き込み戦略が前記最低限の許容可能な書き込み品質を達成するか否かを決定するステップと、
(f)前記最低限の許容可能な書き込み品質を達成する前記書き込み戦略のセットのうちの1つを選択するステップと、
(g)前記最低限の許容可能な書き込み品質を達成する書き込み戦略が無い場合、前記第1の書き込みスピードよりも低い第2の書き込みスピードがあるか否かを決定するステップと、
(h)前記第2の書き込みスピードがある場合、前記書き込みスピードを前記第2のより低い書き込みスピードに設定し、ステップ(c)から前記方法を繰り返すステップと、
(i)前記第2の書き込みスピードが無い場合、最良の書き込み品質を達成する前記情報担体への書き込みのための書き込み戦略を選択するステップと、
を有する方法。
【請求項11】
前記第1の書き込みスピードはとり得る最高の書き込みスピードである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記最低限の許容可能な書き込み品質を達成する前記書き込み戦略のセットのうちの前記選択された1つは、最良の書き込み品質を提供する書き込み戦略である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された最適な書き込み戦略を識別する情報を前記情報担体に書き込むステップを有する、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記情報担体に関連するパラメータが保存される領域を有する情報担体において、前記パラメータは前記情報担体に情報を記録するための記録装置中の記録手段を設定するために利用される情報担体であって、前記領域は前記情報担体のための選択された最適な書き込み戦略を識別する少なくとも1つのパラメータを有し、前記選択された最適な書き込み戦略は請求項13に記載の方法によって選択されることを特徴とする情報担体。
【請求項15】
情報担体に情報を書き込むための記録装置であって、
書き込み戦略に従って放射パルスのシーケンスを生成する放射源と、
前記記録装置を制御する制御手段と、
書き込み戦略のセットを保存する記憶手段とを有し、
前記制御手段は、前記書き込み戦略のセットから最適な書き込み戦略を選択するために請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される装置。
【請求項16】
情報担体に情報を書き込むための記録装置であって、
予め選択された書き込み戦略に従って放射パルスのシーケンスを生成する放射源と、
前記記録装置を制御する制御手段と、
請求項13に記載の方法により選択された、前記情報担体のための選択された最適な書き込み戦略を識別する少なくとも1つのパラメータを読み込む読み込み手段と、
を有し、前記制御手段は、前記選択された最適な書き込み戦略を識別する少なくとも1つのパラメータから前記予め選択された書き込み戦略を設定するように構成される装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150782(P2011−150782A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62144(P2011−62144)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2003−533273(P2003−533273)の分割
【原出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】