説明

有機ケイ素化合物を使用する毛髪処理ステップを含む毛髪染色方法

【課題】最終的に十分で耐久性のあるスタイリング効果で毛髪を満足に染色することを可能にする毛髪染色方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、順に、1種または複数種の染料前駆体を含む組成物を適用することによって染色するステップ、濯ぐステップ、ならびに水を少なくとも30%ならびに1個のケイ素原子を含むシランおよび2個または3個のケイ素原子を含むシロキサンから選択される1種または複数種の有機ケイ素化合物を少なくとも20%含む水性組成物を適用することによって毛髪の後処理をするステップを含む毛髪染色方法であって、前記有機ケイ素化合物が、さらに、1分子当たり1個または複数個の塩基性化学官能基および1個または複数個のヒドロキシル基もしくは加水分解性基を含む毛髪染色方法に関する。
本発明の方法は、毛髪のスタイル、ボリュームおよび弾力をもたらしながら、染色性が非常に満足できる毛髪染色を達成することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物を使用するステップを含む毛髪染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、一般に、光および悪天候など外部大気作用物質の作用によって、ならびにブラッシングする、櫛で梳かす、ブリーチする、パーマをかける、および/または染色するなど機械的処理または化学的処理によって損傷を受け、脆化する。この結果、毛髪は、しばしば管理が困難になり、特にもつれをほぐすことまたはスタイリングすることが困難になり、毛髪が活力、ボリュームおよび生き生きした感じに欠けているために、濃い頭髪でさえ頭髪は、魅力的なスタイルを維持するのが特に困難である。
【0003】
毛髪の特性のこの劣化は、酸化塩基など1種または複数種の染料前駆体、カプラーおよび酸化剤を毛髪に適用することである毛髪の恒久的な染色処理によってさらに増大する。これらの前駆体は、酸化剤の作用下で、毛髪中に1種または複数種の着色種を形成する。
【0004】
同時に、消費者が、毛髪を満足に染色するだけでなく、満足のいくスタイリング効果を達成することを可能にする組成物をますます模索していることが認められてきた。
【0005】
特に、細毛または縮毛を有する人々は一般に、重量、弾力およびボリュームを細毛に付与し、定めた形状をウェーブのかかった髪の縮れに付与するスタイリング効果を模索している。
【0006】
もつれをほぐし、感触を向上させることを可能にする毛髪コンディショニング製品を染色後に適用するのが習慣であるが、これらの製品は、特に弾力、重量またはボリュームの点でスタイリング効果を十分にもたらしていない。
【0007】
したがって、酸化塩基などの染料前駆体およびカプラーを用いる恒久的な毛髪染色方法であって、上述した欠点を有することがない、即ち、処理された毛髪の感作に無関係に、特に弾力、重量またはボリュームの点で十分なスタイリング効果、さらにシャンプーおよび外部攻撃因子に対するこれらの効果の耐性を良好な化粧特性と共にもたらすことを可能にする毛髪染色方法を提供することが真に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許第1026978号
【特許文献2】英国特許第1153196号
【特許文献3】独国特許第2359399号
【特許文献4】特開昭63-169571号
【特許文献5】特開平3-10659号
【特許文献6】国際特許出願公開第96/15765号
【特許文献7】仏国特許出願公開第2750048号
【特許文献8】独国特許第3843892号
【特許文献9】独国特許第4133957号
【特許文献10】国際特許出願公開第94/08969号
【特許文献11】国際特許出願公開第94/08970号
【特許文献12】仏国特許出願公開第2733749号
【特許文献13】独国特許出願公開第19543988号
【特許文献14】仏国特許出願公開第2886136号
【特許文献15】仏国特許出願公開第2766177号
【特許文献16】仏国特許出願公開第2766178号
【特許文献17】仏国特許出願公開第2782718号
【特許文献18】仏国特許出願公開第2782716号
【特許文献19】仏国特許出願公開第2782719号
【特許文献20】仏国特許出願公開第2766179号
【特許文献21】欧州特許出願公開第1348695号
【特許文献22】欧州特許出願公開第0337354号
【特許文献23】仏国特許出願公開第2270846号
【特許文献24】仏国特許出願公開第2383660号
【特許文献25】仏国特許出願公開第2598611号
【特許文献26】仏国特許出願公開第2470596号
【特許文献27】仏国特許出願公開第2519863号
【特許文献28】欧州特許出願公開第080976号
【特許文献29】仏国特許第2077143号
【特許文献30】仏国特許第2393573号
【特許文献31】仏国特許第2080759号
【特許文献32】仏国追加特許第2190406号
【特許文献33】仏国特許第2320330号
【特許文献34】仏国特許出願公開第2316271号
【特許文献35】仏国特許出願公開第2336434号
【特許文献36】仏国特許出願公開第2413907号
【特許文献37】米国特許第2273780号
【特許文献38】米国特許第2375853号
【特許文献39】米国特許第2388614号
【特許文献40】米国特許第2454547号
【特許文献41】米国特許第3206462号
【特許文献42】米国特許第2261002号
【特許文献43】米国特許第2271378号
【特許文献44】米国特許第3874870号
【特許文献45】米国特許第4001432号
【特許文献46】米国特許第3929990号
【特許文献47】米国特許第3966904号
【特許文献48】米国特許第4005193号
【特許文献49】米国特許第4025617号
【特許文献50】米国特許第4025627号
【特許文献51】米国特許第4025653号
【特許文献52】米国特許第4026945号
【特許文献53】米国特許第4027020号
【特許文献54】欧州特許出願公開第122324号
【特許文献55】仏国特許第2586913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、最終的に十分で耐久性のあるスタイリング効果で毛髪を満足に染色することを可能にする毛髪染色方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、一対象が、順に、1種または複数種の染料前駆体を含む組成物を適用することによって染色するステップ、濯ぐステップ、ならびに水を少なくとも30%ならびに1個のケイ素原子を含むシランおよび2個または3個のケイ素原子を含むシロキサンから選択される1種または複数種の有機ケイ素化合物を少なくとも20%含む水性組成物を適用することによって毛髪の後処理をするステップを含む毛髪染色方法であって、前記有機ケイ素化合物が、さらに、1分子当たり1個または複数個の塩基性化学官能基および1個または複数個のヒドロキシル基もしくは加水分解性基を含む毛髪染色方法である本発明で達成される。
【0011】
本発明の方法は、毛髪のスタイル、重量および弾力を付与しながら、特に強度、色度、選択性の点で非常に満足のいく染色性、ならびにシャンプー、汗および悪天候に対する耐性など外部作用物質に対するこの色の良好な耐性を持つ、毛髪の着色を得ることを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による組成物において使用される有機ケイ素化合物は、1個のケイ素原子を含むオルガノシラン、および2個または3個のケイ素原子、好ましくは2個のケイ素原子を含むオルガノシロキサンから選択される。有機ケイ素化合物は、さらに、1個または複数個の塩基性化学官能基、好ましくは単一の塩基性化学官能基を含まなければならない。塩基性化学官能基は、ケイ素化合物に塩基性を与える任意の官能基に対応することができ、好ましくは第1級、第2級または第3級アミン官能基などのアミン官能基である。本発明によるケイ素化合物の塩基性化学官能基は、例えば別のアミン官能基、酸官能基またはハロゲン官能基などの他の官能基を場合によって含むことができる。
【0013】
本発明による組成物に使用される有機ケイ素化合物は、1分子当たり2個以上の加水分解性基またはヒドロキシル基も含む。加水分解性基は、アルコキシ基、アリールオキシ基またはハロゲン基であるのが好ましい。これらは、場合によって、酸官能基などの他の化学官能基を含むこともできる。
【0014】
特定の一実施形態によると、本発明による組成物において使用されるオルガノシラン(単数または複数)は、式(I)
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、
R4は、ハロゲンまたはOR'基もしくはR'1基を表し、
R5は、ハロゲンまたはOR''基もしくはR'2基を表し、
R6は、ハロゲンまたはOR'''基もしくはR'3基を表し、
R1、R2、R3、R'、R''、R'''、R'1、R'2およびR'3は、互いに独立して、追加の化学基を場合によって有する飽和または不飽和の直鎖または分枝炭化水素系基を表し、R1、R2、R'、R''およびR'''は、水素をさらに示すことができ、R4基、R5基およびR6基の少なくとも2つがそれぞれ、OR'、OR''およびOR'''を示し、R'基、R''基およびR'''基の少なくとも2つは、水素以外である)
の化合物から選択される。
【0017】
好ましくは、R1基、R2基、R'基、R'1基、R'2基、R'3基、R''基およびR'''基は、C1〜C12アルキル基、C6〜C14アリール基、(C1〜C8)アルキル(C6〜C14)アリール基および(C6〜C14)アリール(C1〜C8)アルキル基から選択される。
【0018】
別の特定の実施形態によると、本発明による組成物において使用されるオルガノシロキサン(単数または複数)は、式(II)
【0019】
【化2】

【0020】
(式中、
R1、R2、R3、R5およびR6は、上記の通りに定義され、
R'4は、ハロゲン原子またはOR11基を表し、
R7は、ハロゲン原子またはOR10基もしくはR''1基を表し、
R9は、ハロゲン原子またはOR8基、R''2基もしくはR3NR1R2基を表し、
R''1、R''2、R8、R10およびR11は、追加の化学基を場合によって有する飽和または不飽和の直鎖または分枝炭化水素系基を表し、R11基、R10基およびR8基は、水素原子をさらに表すことができ、R6基、R7基およびR9基の少なくとも1つは、ハロゲン原子またはOR'''基、OR10基もしくはOR8基を示す)
の化合物から選択される。
【0021】
好ましくは、R''1基、R''2基、R8基またはR10基、およびR11基は、C1〜C12アルキル基、C6〜C14アリール基、(C1〜C8)アルキル(C6〜C14)アリール基および(C6〜C14)アリール(C1〜C8)アルキル基から選択される。
【0022】
特に、ハロゲン原子は塩素原子である。
【0023】
本発明による組成物において使用される有機ケイ素化合物(単数または複数)は、式(III)
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、R基は、同一または異なっており、C1〜C6、好ましくはC1〜C2アルキル基から選択され、nは、1から6、好ましくは2から4の整数である)
の化合物から選択されるオルガノシランであるのが好ましい。
【0026】
好ましくは、シランまたはシロキサンは水に可溶性であり、さらにより好ましくは、25℃±5℃の温度および大気圧下で、2重量%の濃度、またさらに5重量%の濃度、またなおさらに10重量%の濃度にて、水に可溶性である。「可溶性」という用語は、単一の巨視的相の形成を意味すると理解される。
【0027】
特に好ましくは、本発明による組成物中に存在する有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランである。
【0028】
有機ケイ素化合物(単数または複数)は、組成物中に組成物の全重量に対して好ましくは20重量%から65重量%、さらにより好ましくは30重量%から60重量%、またなおさらに40重量%から50重量%の範囲の量で存在することができる。
【0029】
特定の一実施形態によると、水は、この組成物中に組成物の全重量に対して30重量%から78重量%、好ましくは40重量%から70重量%、およびまたさらに45重量%から60重量%の範囲の量で存在する。
【0030】
有機ケイ素化合物(単数または複数)は、中和剤またはpH調節剤によって部分的に中和することができ、中和は1/1000から99/100およびまたさらに0.2/100から70/100に達する。より好ましくは、中和は0.2/100から60/100である。
【0031】
pH調節剤は、化粧品として許容でき、組成物の媒体に可溶性である任意の酸または酸混合物であってよい。使用することができる酸には、塩酸、リン酸、スルホン酸および有機酸を挙げることができる。本発明によって使用される組成物は、1種または複数種の他の有機酸も含有することができる。
【0032】
有機酸は、一般に、1種または複数種のカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸またはリン酸の官能基を含む酸から選択される。有機酸は、他の化学官能基、特にヒドロキシル官能基またはアミノ官能基を含有することができる。有機酸は、飽和または不飽和であってよい。酢酸、プロパン酸、ブタン酸、乳酸、グリコール酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、タウリン、酒石酸、グルコン酸、グルクロン酸およびクエン酸を特に挙げることができる。好ましい有機酸は、乳酸、酢酸およびクエン酸である。
【0033】
有機ケイ素化合物を含む後処理組成物は、一般に、2から13の間、好ましくは4から11の間のpHを有する。より好ましくは、pH調節剤で得られるこの組成物のpHは、6から11の間であり、さらにより好ましくはpHは8から10の間である。
【0034】
有機ケイ素化合物(単数または複数)を含有する組成物は、さらに、1種または複数種の増粘剤を含有することができる。増粘剤は、脂肪酸アミド(ヤシジエタノールアミドまたはモノエタノールアミド、オキシエチレン化アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミド)、セルロース系増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ガウアガムおよびこの誘導体(ヒドロキシプロピルガウア)、微生物由来のガム(キサンタンガム、スクレログルカンガム)、またはアクリル酸もしくはアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋ホモポリマーから選択することができる。
【0035】
毛髪染色組成物は、酸化塩基から選択することができる1種または複数種の染料前駆体およびカプラーを含む。
【0036】
酸化塩基は、酸化染色において従来から知られているものから選択され、オルトフェニレンジアミンおよびパラフェニレンジアミン、ダブルベース(double base)、オルトアミノフェノールおよびパラアミノフェノール、複素環塩基が特に挙げられ、これらの化合物の酸付加塩も挙げることができる。
【0037】
これらの酸化塩基は、特に、カチオン性であってよい。
【0038】
パラフェニレンジアミンは、特に下記の式(IV)の化合物およびこれらの酸付加塩から選択することができる。
【0039】
【化4】

【0040】
式中、
・R8は、水素原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基、含窒素基によって置換されているC1〜C4アルキル基、フェニル基または4'-アミノフェニル基を表し、
・R9は、水素原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基または含窒素基によって置換されているC1〜C4基を表し、
・R8およびR9は、これらを有する窒素原子とともに、1個または複数個のアルキル基、ヒドロキシル基またはウレイド基によって場合により置換されている5員または6員の含窒素複素環を形成することもでき、
・R10は、水素原子、塩素原子などのハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、スルホ基、カルボキシル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C1〜C4ヒドロキシアルコキシ基、C1〜C4アセチルアミノアルコキシ基、C1〜C4メシルアミノアルコキシ基またはC1〜C4カルバモイルアミノアルコキシ基を表し、
・R11は、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C4アルキル基を表す。
【0041】
上記の式(IV)の含窒素基の中で、アミノ基、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、トリ(C1〜C4)アルキルアミノ基、モノヒドロキシ(C1〜C4)アルキルアミノ基、イミダゾリニウム基およびアンモニウム基を特に挙げることができる。
【0042】
上記の式(IV)のパラフェニレンジアミンの中で、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-パラ-フェニレンジアミン、2-(β-アセチルアミノエチルオキシ)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-メチル-1-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミンおよびこれらの酸付加塩をさらに特に挙げることができる。
【0043】
上記の式(IV)のパラフェニレンジアミンの中で、パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミンおよびこれらの酸付加塩が非常に特に好ましい。
【0044】
パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミンおよびこれらの酸付加塩が非常に特に使用される。
【0045】
本発明によると、「ダブルベース」という表現は、アミノ基および/またはヒドロキシル基を有する少なくとも2個の芳香環を含む化合物を意味すると理解される。
【0046】
ダブルベースの中で、下記の式(V)に対応する化合物およびこれらの酸付加塩を特に挙げることができる。
【0047】
【化5】

【0048】
式中、
・Z1およびZ2は、同一または異なっており、C1〜C4アルキル基またはリンカーYによって置換されていてよいヒドロキシル基または-NH2基を表し、
・リンカーYは、1個または複数個の含窒素基によって、および/または酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子などの1個または複数個のヘテロ原子によって中断または終結することができ、1個または複数個のヒドロキシル基またはC1〜C6アルコキシ基によって場合により置換されている1個から14個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキレン鎖を表し、
・R12およびR13は、水素原子もしくはハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、C1〜C4アミノアルキル基またはリンカーYを表し
・R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、同一または異なっており、水素原子、リンカーYまたはC1〜C4アルキル基を表し、
・式(V)の化合物は、1分子当たり単一のリンカーYだけを含むと理解される。
【0049】
上記の式(V)の含窒素基の中で、アミノ基、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、トリ(C1〜C4)アルキルアミノ基、モノヒドロキシ(C1〜C4)アルキルアミノ基、イミダゾリニウム基およびアンモニウム基を特に挙げることができる。
【0050】
上記の式(V)のダブルベースの中で、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノ-プロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレン-ジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレン-ジアミン、N,N'-ジエチル-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノ-フェノキシ)-3,5-ジオキサオクタンおよびこれらの酸付加塩をさらに特に挙げることができる。
【0051】
N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタンまたはこれらの酸付加塩の1種が、式(V)のこれらのダブルベースの中で特に好ましい。
【0052】
パラアミノフェノールは、下記の式(VI)に対応する化合物およびこれらの酸付加塩から特に選択することができる。
【0053】
【化6】

【0054】
式中、
・R20は、水素原子、フッ素などのハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基、C1〜C4アミノアルキル基またはヒドロキシ(C1〜C4)アルキルアミノ(C1〜C4)アルキル基を表し、
・R21は、水素原子、フッ素などのハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、C1〜C4アミノアルキル基、C1〜C4シアノアルキル基または(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基を表す。
【0055】
上記の式(VI)のパラアミノフェノールの中で、パラアミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-(ヒドロキシメチル)フェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、4-アミノ-2-(メトキシメチル)フェノール、4-アミノ-2-(アミノメチル)-フェノール、4-アミノ-2-[(β-ヒドロキシエチル)アミノメチル]フェノールおよびこれらの酸付加塩をさらに特に挙げることができる。
【0056】
パラアミノフェノールおよび4-アミノ-3-メチルフェノールが、またさらに好ましい。
【0057】
オルトアミノフェノールは、2-アミノフェノール、2-アミノ-1-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、2-アミノ-1-ヒドロキシ-6-メチルベンゼン、5-アセトアミド-2-アミノフェノールおよびこれらの酸付加塩から特に選択される。
【0058】
複素環塩基の中で、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体およびこれらの酸付加塩をさらに特に挙げることができる。
【0059】
ピリジン誘導体の中で、2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、3,4-ジアミノピリジンおよびこれらの酸付加塩など、例えば英国特許第1026978号および英国特許第1153196号に記載されている化合物をさらに特に挙げることができる。
【0060】
ピリミジン誘導体の中で、2,4,5,6-テトラ-アミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジンなど、例えば、独国特許第2359399号または特開昭63-169571号および特開平3-10659号または国際特許出願公開第96/15765号に記載されている化合物、ならびに仏国特許出願公開第2750048号に記述されているものなどのピラゾロピリミジン誘導体をさらに特に挙げることができ、これらの中で、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン; 2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン; ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン; 2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン; 3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール; 3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール; 2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール; 2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール; 2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]エタノール; 2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール; 5,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン; 2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン; 2,5,N7,N7-テトラメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン; 3-アミノ-5-メチル-7-(イミダゾリルプロピルアミノ)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン;およびこれらの付加塩、ならびに互変異性平衡が存在する場合、これらの互変異性型を挙げることができる。
【0061】
ピラゾール誘導体の中で、独国特許第3843892号および独国特許第4133957号ならびに国際特許出願公開第94/08969号、国際特許出願公開第94/08970号、仏国特許出願公開第2733749号および独国特許出願公開第19543988号に記載されている化合物、例として、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾールおよび4-アミノ-5-(2'-アミノ-エチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール;などの4,5-ジアミノピラゾール;3,4-ジアミノピラゾール;4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール;例えば3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノ-ピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-(メチルアミノ)ピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾールなどの3,4,5-トリアミノピラゾール;およびこれらの酸付加塩をさらに特に挙げることができる。
【0062】
好ましくは4,5-ジアミノピラゾール、さらにより好ましくは4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾールおよび/またはこの塩の1種が使用される。
【0063】
ピラゾール誘導体の例として、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、および以下の化合物およびこれらの付加塩2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]-ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]-ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オンおよび2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ-[1,2-a]ピラゾール-1-オンなど、特に仏国特許出願公開第2886136号に記載されているものも挙げることができる。
【0064】
2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]-ピラゾール-1-オンおよび/またはこの付加塩を使用するのが好ましい。
【0065】
複素環塩基として、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾールおよび/もしくは2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよび/またはこれらの付加塩を使用するのが好ましい。
【0066】
カチオン性酸化塩基として、例えば、以下の化合物、特に仏国特許出願公開第2766177号および仏国特許出願公開第2766178号に記載されている通りのパラフェニレンジアミン、例えば仏国特許出願公開第2766177号および仏国特許出願公開第2766178号に記載されている通りのパラアミノフェノール、例えば仏国特許出願公開第2782718号、仏国特許出願公開第2782716号および仏国特許出願公開第2782719号に記載されている通りのオルトフェニレンジアミン、仏国特許出願公開第2766179号に記載されているビス(アミノフェニル)アルキレンジアミン系の誘導体などカチオンであるオルトアミノフェノールまたはダブルベース、ならびにカチオン性複素環塩基も挙げることができ、これらの化合物は、少なくとも1個の4級窒素原子を有する。
【0067】
好ましくは、カチオン性酸化塩基は、カチオン性パラフェニレンジアミンである。
【0068】
有利には、一変異形態は、アミン官能基の少なくとも1個がピロリジン環を有する第3級アミンであり、分子が少なくとも1個の4級化窒素原子を有するパラフェニレンジアミン構造のカチオン性酸化塩基を使用することである。こうした塩基は、例えば、文献欧州特許出願公開第1348695号に記載されている。
【0069】
染色組成物は、組成物の全重量に対して、総量が0.0005重量%から12重量%の範囲である酸化塩基を含むのが好ましい。好ましくは、組成物の全重量に対して、総量が0.005重量%から8重量%、またなおさらに0.05重量%から5重量%の範囲である酸化塩基を含む。
【0070】
カプラーは、酸化染色組成物において従来から使用されているもの、即ち、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、メタジフェノール、ナフトール、ならびに例えばインドール誘導体、インドリン誘導体、セサモールおよびこの誘導体、ピリジン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体、ピラゾロン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,3-ベンゾジオキソール、およびキノリンなどの複素環カプラー、ならびにこれらの化合物の酸付加塩である。
【0071】
これらのカプラーは、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(R-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノ-ベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、セサモール、1-アミノ-2-メトキシ-4,5-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3,6-ジメチルピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾールおよび2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、およびこれらの酸付加塩から、さらに特に選択される。
【0072】
組成物は、一般に、組成物の全重量に対して、総量が0.0001重量%から15重量%の範囲であるカプラーを含む。好ましくは、組成物の全重量に対して、総量が0.001重量%から10重量%、またなおさらに0.01重量%から8重量%の範囲であるカプラーを含む。
【0073】
酸化塩基およびカプラーは、付加塩の形態で、特に酸付加塩の形態で本発明の組成物中に存在することができる。
【0074】
本発明の文脈において使用することができる酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、酢酸塩、アルキル硫酸塩およびアルキルスルホン酸塩から特に選択される。
【0075】
酸化塩基またはカプラーが、1つまたは複数のカルボン酸またはスルホン酸の官能基を含有する場合、塩基付加塩が考えられる。本発明の染料組成物の文脈において使用することができる塩基付加塩は、特にこの場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水またはアミンで得られるものである。
【0076】
本発明の特定の一実施形態によると、組成物は、1種または複数種の酸化塩基および1種または複数種のカプラーを含む。
【0077】
好ましい一実施形態によると、染色組成物は、カチオン電荷密度が1グラム当たり4ミリ当量(meq/g)以上、好ましくは1グラム当たり5ミリ当量(meq/g)以上、好ましくは5meq/gから20meq/g、およびさらに特に5.5meq/gから10meq/gの範囲である1種または複数種のカチオン性ポリマーも含む。
【0078】
ポリマーのカチオン電荷密度は、このポリマーが完全にイオン化する条件下におけるポリマーの質量単位当たりのカチオン電荷のモル数に対応する。これは、ポリマーの構造、即ちポリマーを構成するモノマーの構造、およびこれらのモル比または重量比が分かっていれば、計算によって決定することができる。一般に約7のpHにて室温で、ケルダール法を介して実験的に決定することもできる。
【0079】
4meq/g超のカチオン電荷密度を有するカチオン性ポリマーは、組成物で処理された毛髪の化粧特性を改善するとしてそれ自体が既に知られているもの全て、即ち特に、欧州特許出願公開第0337354号および仏国特許出願公開第2270846号、第2383660号、第2598611号、第2470596号および第2519863号に記載されているものから選択することができる。
【0080】
一般に、本発明の目的では、「カチオン性ポリマー」という表現は、カチオン基および/またはカチオン基にイオン化することができる基を含む任意のポリマーを示す。
【0081】
カチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成することができるか、または直接結合している側鎖置換基が有することができる第1級、第2級、第3級および/または第4級アミン基を含む単位を含有するものから選択される。
【0082】
使用されるカチオン性ポリマーは、一般に、おおよそ500から5×106の間、好ましくはおおよそ103から3×106の間の数平均分子量を有する。
【0083】
カチオン性ポリマーの中で、ポリアミン系、ポリアミノアミド系およびポリ第4級アンモニウム系のポリマーをさらに特に挙げることができる。これらは既知の生成物である。
【0084】
これらのポリマーの中で、以下のものを挙げることができる。
【0085】
(1)アクリルまたはメタクリルエステルまたはアミドから誘導され、下記式
【0086】
【化7】

【0087】
(式中、
R3は、同一または異なっていてよく、水素原子またはCH3基を示し、
Aは、同一または異なっていてよく、1個から6個の炭素原子、好ましくは2個もしくは3個の炭素原子の直鎖もしくは分枝アルキル基、または1個から4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し、
R4、R5およびR6は、同一または異なっていてよく、1個から18個の炭素原子を有するアルキル基またはベンジル基、好ましくは1個から6個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R1およびR2は、同一または異なっていてよく、水素、または1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチルもしくはエチルを表し、
Xは、鉱物または有機酸から誘導されるアニオン、特にメトサルフェートアニオン、またはハロゲン化物、特に塩化物または臭化物を示す)
の単位を少なくとも1つ含むホモポリマーまたはコポリマー。
【0088】
ファミリー(1)のコポリマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ならびに低級(C1〜C4)アルキル、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはこれらのエステル、ビニルピロリドンまたはビニルカプロラクタムなどのビニルラクタム、およびビニルエステルによって窒素上で置換されているアクリルアミド、メタクリルアミドのファミリーから選択することができるコモノマーから誘導される1つまたは複数の単位を含有することもできる。
【0089】
したがって、ファミリー(1)のこれらのコポリマーの中で、
-アクリルアミドのコポリマー、および硫酸ジメチルまたはハロゲン化ジメチルで4級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー
-アクリルアミドのコポリマー、および例えば欧州特許出願公開第080976号に記載されているメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドのコポリマー
-アクリルアミドおよびメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェートのコポリマー
-4級化または非4級化ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレートまたはメタクリレートコポリマー。これらのポリマーは、仏国特許第2077143号および第2393573号に詳しく記載されている。
-ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー
-ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー
-4級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー
-および塩化メチルで4級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートの単独重合によって、または塩化メチルで4級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートを用いるアクリルアミドの共重合によって得られるポリマーなど、メタクリロイルオキシ(C1〜C4)アルキルトリ(C1〜C4)アルキルアンモニウム塩の架橋ポリマー。単独重合または共重合の後、オレフィン性不飽和化合物、特にメチレンビス-アクリルアミドとの架橋が続く。鉱油中に50重量%の前記コポリマーを含む分散液の形態における架橋アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー(重量が20/80)を、さらに特に使用することができる。この分散液は、チバ社によってサルケア(登録商標)SC92の名称の下に市販されている。鉱油または液体エステル中に約50重量%のホモポリマーを含む架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマーも使用することができる。これらの分散液は、チバ社によってサルケア(登録商標)SC95およびサルケア(登録商標)SC96の名称の下に市販されている
を挙げることができる。
【0090】
(2)鎖の主な構成成分として式(VII)または(VIII)
【0091】
【化8】

【0092】
(式中、kおよびtは、0または1に等しく、k+tの合計は1に等しく、R12は、水素原子またはメチル基を示し、R10およびR11は、互いに独立して、1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1個から5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、低級(C1〜C4)アミドアルキル基を示し、またはR10およびR11は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジルもしくはモルホリニルなどの複素環基を示すことができ、Y-は、臭化物、塩化物、酢酸、ホウ酸、クエン酸、酒石酸、重硫酸、重亜硫酸、硫酸またはリン酸などのアニオンである)
に対応する単位を含むホモポリマーまたはコポリマーなど、アルキルジアリルアミンまたはジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー。これらのポリマーは、特に仏国特許第2080759号およびこの追加特許第2190406号に記載されている。
【0093】
R10およびR11は、互いに独立して、1個から4個の炭素原子を有するアルキル基を示すのが好ましい。
【0094】
上記で定義したポリマーの中で、具体的にはナルコ社によってメルクァット100の名称の下に市販されているジメチルジアリルアンモニウム塩(例えば、塩化物)(および低重量平均モル質量のこの同族体)のホモポリマー、ならびにジアリルジメチル塩化アンモニウム/アクリルアミドコポリマーをさらに特に挙げることができる。
【0095】
(3)ビニルラクタム(ビニルピロリドンおよび/またはビニルカプロラクタム)およびビニルイミダゾールの第4級コポリマー。
【0096】
(4)式
【0097】
【化9】

【0098】
[式(IX)中、
R13、R14、R15およびR16は、同一または異なっていてよく、1個から20個の炭素原子を含有する脂肪族基、脂環式基もしくはアリール脂肪族基、または低級C1〜C6脂肪族ヒドロキシアルキル基を表し、あるいは別法として、R13、R14、R15およびR16は、一緒にまたは別々に、これらが結合している窒素原子とともに、窒素以外の第二ヘテロ原子を場合によって含む複素環を構成し、あるいは別法として、R13、R14、R15およびR16は、ニトリル基、エステル基、アシル基もしくはアミド基、または-CO-O-R17-D基もしくは-CO-NH-R17-D基(式中、R17はアルキレンであり、Dは第4級アンモニウム基であり)で置換されている直鎖もしくは分枝C1〜C6アルキル基を表し、
A1およびB1は、2個から20個の炭素原子を含むポリメチレン基を表し、これらの基は、直鎖または分枝の飽和または不飽和であってよく、1個もしくは複数個の芳香環、または1個もしくは複数個の酸素原子もしくは硫黄原子、またはスルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第4級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基もしくはエステル基を含むか、連結しているか、または主鎖に挿入していてよく、
X-は、鉱物または有機酸から誘導されたアニオンを示し、
A1、R13およびR15は、これらが結合している2個の窒素原子とともに、ピペラジン環を形成することができ、さらにA1が直鎖もしくは分枝の飽和もしくは不飽和アルキレン基またはヒドロキシアルキレン基を示す場合、B1はまた(CH2)n-CO-D-OC-(CH2)p-基
[式中、
nおよびpは、同一または異なっていてよく、おおよそ2から20の範囲である整数であり、
Dは、
a)式-O-Z-O-のグリコール残基(式中、Zは、直鎖もしくは分枝の炭化水素系基を示すか、あるいはxおよびyが定義されている固有の重合度を表す1から4の整数、または平均重合度を表す1から4の任意の数を示す下記式
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
の1つに対応する基を示す)
b)ピペラジン誘導体などのビス-第2級ジアミン残基
c)式-NH-Y-NH-のビス-第1級ジアミン残基(式中、Yは、直鎖または分枝の炭化水素系基、または別法として2価の基
-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-
を示す)
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
を示す]を示すことができる]
に対応する反復単位を含有する第4級ジアンモニウムポリマー。
【0099】
好ましくは、X-は、塩化物または臭化物などのアニオンである。
【0100】
これらのポリマーは、一般に、1000と100000との間の数平均分子量を有する。
【0101】
この型のポリマーは、特に仏国特許第2320330号、第2270846号、第2316271号、第2336434号および第2413907号、ならびに米国特許第2273780号、第2375853号、第2388614号、第2454547号、第3206462号、第2261002号、第2271378号、第3874870号、第4001432号、第3929990号、第3966904号、第4005193号、第4025617号、第4025627号、第4025653号、第4026945号および第4027020号に記載されている。
【0102】

【0103】
【化10】

【0104】
(式中、R18、R19、R20およびR21は、同一または異なっていてよく、おおよそ1個から4個の炭素原子を有するアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示し、rおよびsは、おおよそ2から20の範囲である整数であり、X-は、鉱物または有機酸から誘導されたアニオンである)
に対応する反復単位で一般に構成されているポリマーをさらに特に使用することができる。
【0105】
特に好ましい式(a)の一化合物は、R18、R19、R20およびR21が、メチル基を表し、r=3、s=6およびX=Clであり、INCI(CTFA)命名法によると塩化ヘキサジメスリンとして知られているものである。
【0106】
(5)式(X)
【0107】
【化11】

【0108】
(式中、
R22、R23、R24およびR25は、同一または異なっていてよく、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基もしくは-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基を表し、
ここでpは、R22、R23、R24およびR25が同時に水素原子を表していないという条件で、0または1と6との間の整数に等しく、
tおよびuは、同一または異なっていてよく、1と6との間の整数であり、
vは、0または1と34との間の整数に等しく、
X-は、ハロゲン化物などのアニオンを示し、
Aは、ジハライド基を示し、または好ましくは-CH2-CH2-O-CH2-CH2-を表す)
の単位で構成されるポリ第4級アンモニウムポリマー。
【0109】
こうした化合物は、特に欧州特許出願公開第122324号に記載されている。
【0110】
記述し得る例として、ミラノール社によって市販されている製品、ミラポール(登録商標)A15、ミラポール(登録商標)AD1、ミラポール(登録商標)AZ1およびミラポール(登録商標)175が挙げられる。
【0111】
本発明の文脈において使用することができる他のカチオン性ポリマーは、ポリアルキレンイミン、特にポリエチレンイミン、ビニルピリジンもしくはビニルピリジニウム単位を含有するポリマー、ポリアミンおよびエピクロロヒドリンの縮合物、第4級ポリウレイレンおよびキチン誘導体である。
【0112】
本発明の文脈において使用することができる全てのカチオン性ポリマーの中で、カチオン性シクロポリマー、特にナルコ社によってメルクァット100の名称の下に市販されているジメチルジアリル塩化アンモニウムホモポリマー(および低重量平均モル質量のこの同族体)およびポリエチレンイミン、ならびにこれらの混合物を使用するのが好ましい。
【0113】
本発明によると、4meq/g超のカチオン電荷密度を有するカチオン性ポリマーは、最終組成物の全重量の0.001重量%から10重量%、好ましくは0.005重量%から5重量%、また、より優先的には0.01重量%から3重量%を表し得る。
【0114】
別の好ましい実施形態によると、染色組成物は、さらに、1種または複数種の非イオン性オキシアルキレン化またはグリセロール化界面活性剤も含有してもよい。
【0115】
「オキシアルキレン化またはグリセロール化界面活性剤」という表現は、本発明の意味内において、少なくとも6個の炭素原子および
-CH2-(C(H)t(CH2R1)n)q-CH2p-O-
(式中、nまたはpまたはqは、互いに独立して、0または1を示し、
tは1または2を示し、
R1は、水素原子またはヒドロキシル基を示す)
の構造の少なくとも1個の基を含む1つまたは複数の炭化水素系鎖を含む化合物を意味すると理解される。
【0116】
これらの基は、オキシエチレン化されている(q=0、p=1)、オキシプロピレン化されている(q=1、n=0、t=2、p=1またはq=1、t=1、n=1、R1=H)、またはグリセロール化されている(q=1、n=0、t=2、p=1またはq=1、t=1、n=1、R1=OH)と言える。
【0117】
さらに特に、非イオン性オキシアルキレン化またはグリセロール化界面活性剤は、
オキシアルキレン化またはグリセロール化脂肪アルコール、
アルカリ鎖がC8〜C18アルカリ鎖であるオキシアルキレン化アルキルフェノール、
オキシアルキレン化またはグリセロール化脂肪アミド、
オキシアルキレン化植物油、
C6〜C30酸のオキシアルキレン化ソルビタンエステル、
脂肪酸のオキシアルキレン化スクロースエステル、
脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、
これらの混合物
から選択される。
【0118】
さらに特に、オキシアルキレン化単位の平均数は、2と150との間の単位が有利である。好ましくは、それらは、オキシエチレン化単位もしくはオキシプロピレン化単位、またはこれらの混合物である。
【0119】
グリセロール化界面活性剤に関して、これらは、平均1個から20個、特に1.5個から5個のグリセロール基を含むのが好ましい。
【0120】
本発明の特に有利な一実施形態によると、組成物は、オキシアルキレン化またはグリセロール化C6〜C30アルコールから選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0121】
上述した本発明の特定の実施形態によると、オキシアルキレン化またはグリセロール化非イオン性界面活性剤の総含有量は、組成物の重量に対して0.01重量%から50重量%、好ましくは組成物の重量に対して0.1重量%から30重量%、またさらに0.1%から20%、またなおさらに組成物の重量に対して0.1重量%から10重量%に当たる。
【0122】
染色組成物は、特にニトロベンゼン染料、アゾ直接染料、メチン直接染料およびこれらの付加塩から選択することができる1種または複数種の直接染料を含有してもよい。これらの直接染料は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性の性質であってよい。
【0123】
染色組成物は、さらに、1種または複数種の酸化剤を含むことができる。
【0124】
こうした酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属もしくはフェリシアン化アルカリ金属、または過ホウ酸塩および過硫酸塩などの過酸基塩によって形成される群から選択されるのが好ましい。酸化剤として、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼおよび(ウリカーゼなどの)2電子オキシドレダクターゼなど1つまたは複数の酸化還元酵素を使用することができ、場合によってそれぞれの供与体またはこれらの補助因子の存在下において使用することができる。
【0125】
過酸化水素の使用が特に好ましい。この酸化剤は、過酸化水素水溶液によって構成されるのが有利であり、その価は、さらに特におよそ1容から40容、さらにより好ましくはおよそ5容から40容で変動してよい。
【0126】
染色するのに適当であり、染料担体としても知られている媒体は、一般に、水を含むか、または水および化粧品の観点から許容できる1種もしくは複数種の有機溶媒の混合物を含む化粧品媒体である。
【0127】
有機溶媒の例として、溶媒、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールおよびフェニルエチルアルコールなどのアルコール、あるいは例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチルエーテルおよびモノブチルエーテルなどのグリコールもしくはグリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールなどのプロピレングリコールまたはこのエーテル、およびさらに例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコールアルキルエーテルを特に挙げることができる。溶媒は、この時、組成物の全重量に対して、およそ0.01重量%から35重量%の間、好ましくはおよそ0.1重量%と25重量%との間の濃度で存在することができる。
【0128】
染色組成物は、さらに、毛髪染色組成物に従来から使用されている1種または複数種のアジュバントを含有することができる。
【0129】
「アジュバント」という用語は、前述の化合物と異なる添加剤を意味すると理解される。
【0130】
使用することができるアジュバントの例として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、これまでに記載されているもの以外の非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両イオン性界面活性剤またはこれらの混合物;アニオン性ポリマー、これまでに記載されているもの以外のカチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、両性ポリマー、両イオン性ポリマーまたはこれらの混合物;鉱物または有機増粘剤、ならびに特にアニオン性、カチオン性、非イオン性および両性ポリマー会合性増粘剤;抗酸化剤または還元剤;浸透剤;捕捉薬;芳香剤、緩衝剤、分散剤;例えば、改質または非改質であってよく、本発明の有機ケイ素化合物と異なる、揮発性または非揮発性シリコーンなどの調整剤;膜形成剤;セラミド、保存料;乳白剤;および帯電防止剤を挙げることができる。
【0131】
上記アジュバントは、一般に、染料組成物の重量に対してそれぞれが0.01重量%と20重量%との間の量で存在する。
【0132】
当然、当業者は、本発明による組成物と本質的に関連する有利な特性が、想定される添加物によって損なわれることがない方法、または実質的に損なわれることがない方法で、上述した任意選択のアジュバントを入念に選択する。
【0133】
染色組成物のpHは、一般に、おおよそ3と12との間、好ましくはおおよそ5と11との間である。これは、毛髪染色において通例使用される酸化剤またはアルカリ化剤を使用して、あるいは従来の緩衝液系を使用して所望の値に調節することができる。
【0134】
アルカリ化剤の中で、一例として、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、モノ、ジおよびトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンならびにさらにこれらの誘導体、オキシエチレン化および/もしくはオキシプロピレン化されたエチレンジアミンおよびヒドロキシアルキルアミン、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、ならびに下記式(XI)
【0135】
【化12】

【0136】
(式中、
・Rは、ヒドロキシル基またはC1〜C4アルキル基で場合によって置換されているプロピレン残基であり、
・R22、R23、R24およびR25は、同一または異なって、水素原子、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す)
の化合物を挙げることができる。
【0137】
酸化剤の中で、一例として、塩酸、オルトリン酸、酒石酸などのカルボン酸、クエン酸、乳酸またはスルホン酸などの鉱酸または有機酸を挙げることができる。
【0138】
染色組成物は、液体、クリーム、ゲル、または毛髪を染色するのに適当な任意の他の形態など、様々な形態であってよい。
【0139】
本発明の方法は、これまでに定義した通り、酸化剤のない染色組成物を線維に適用し、1種または複数種の酸化剤を使用して色を発生させる方法である。色は、酸性、中性またはアルカリ性のpHで発生させることができ、酸化剤は、使用時点で染色組成物に添加するか、またはこれ(これら)は、これ(これら)を含有する酸化性組成物から出発して使用することができ、同時または順次に本発明の組成物に適用される。好ましくは、この着色は中性のpHで発生する。
【0140】
特定の一実施形態によると、酸化剤を含まない染色組成物は、好ましくは使用時に、染色に適切である媒体中に1種または複数種の酸化剤を含有する組成物と混合する。得られた混合物を、次いで、毛髪に適用する。一般に、おおよそ1分から60分、好ましくはおおよそ5分から45分までの異なる時間放置した後、毛髪を濯ぎ、場合によってシャンプーで洗浄し、再び濯ぐ。場合によって毛髪を乾燥させてよい。
【0141】
本発明の染色方法は、上記で定義した通りの1種または複数種の有機ケイ素化合物を含む組成物を毛髪に適用することである後処理ステップを含む。こうして適用された有機ケイ素化合物を含む組成物は、任意選択の放置時間後、濯いでもよく、または濯がなくてもよい。毛髪は、次いで、乾燥させてよい。
【0142】
好ましくは、有機ケイ素化合物を含むこの組成物の放置時間は、数秒から60分の間、好ましくは30秒から15分の間、さらにより好ましくは1分から5分の間である。
【0143】
好ましくは、本発明の方法は、これまでに記載した有機ケイ素化合物を含む組成物で後処理するステップの後に、濯ぐステップを含む。
【0144】
本発明の別の対象は、第1区画が酸化剤を除く上記で定義した通りの染色組成物を含み、第2区画が1種または複数種の酸化剤を含み、第3区画が1種または複数種の有機ケイ素化合物を含む、染色用多区画デバイスまたは「キット」である。このデバイスは、本出願人の名称における仏国特許第2586913号に記載されているデバイスなど、所望の混合物を毛髪に適用する手段を備えることができる。
【0145】
本発明の別の対象は、1種または複数種の染料前駆体を含む染色組成物によって染色された毛髪の処理用のための、これまでに定義した通りの1種または複数種の有機ケイ素化合物を含む組成物の使用である。
【0146】
以下の実施例を使用して、本発明を例証する。
【実施例1】
【0147】
以下の組成物を生成する(量は活性材料のグラム)。
少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含有する水性組成物:
【0148】
【表1】

【0149】
酸化染料およびアルカリ性剤を含有する組成物:
【0150】
【表2】

【0151】
過酸化水素水溶液を含有する組成物:
【0152】
【表3】

【0153】
酸化染料を含有する組成物を、この重量の1.5倍である、酸化剤を含む組成物で用時に希釈する。
【0154】
こうして生成された混合物を、細い栗色の毛髪に適用する。30分間待った後、毛髪を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄する。
【0155】
次に、染色組成物の後処理として、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン化合物を含む組成物を、この毛髪に適用する。
【0156】
5分間待った後、組成物を濯ぐ。
【0157】
色を薄くし、染色した後、明るい栗色に染色された毛髪が最後に得られる。毛髪は、大量のボリュームおよびより弾力のある顕著なスタイリング特性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に、1種または複数種の染料前駆体を含む組成物を適用することによって染色するステップ、濯ぐステップ、ならびに水を少なくとも30%ならびに1個のケイ素原子を含むシランおよび2個または3個のケイ素原子を含むシロキサンから選択される1種または複数種の有機ケイ素化合物を少なくとも20%含む水性組成物を適用することによって毛髪の後処理をするステップを含む毛髪染色方法であって、前記有機ケイ素化合物が、1分子当たり1個または複数個の塩基性化学官能基および1個または複数個のヒドロキシル基もしくは加水分解性基を含む毛髪染色方法。
【請求項2】
有機ケイ素化合物が、その塩基性化学官能基が、第1級、第2級または第3級アミンから選択される有機ケイ素化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機ケイ素化合物が、加水分解性基がアルコキシ基、アリールオキシ基およびハロゲン基から選択される有機ケイ素化合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機ケイ素化合物が、式(I)
【化1】

(式中、
R4は、ハロゲンまたはOR'基もしくはR'1基を表し、
R5は、ハロゲンまたはOR''基もしくはR'2基を表し、
R6は、ハロゲンまたはOR'''基もしくはR'3基を表し
R1、R2、R3、R'、R''、R'''、R'1、R'2およびR'3は、互いに独立して、追加の化学基を場合によって有する飽和または不飽和の直鎖または分枝炭化水素系基を表し、R1、R2、R'、R''およびR'''は、水素をさらに示すことができ、R4基、R5基およびR6基の少なくとも2個は、OR'、OR''およびOR'''をそれぞれ示し、R'基、R''基およびR'''基の少なくとも2個は水素以外である)
および
【化2】

(式中、
R1、R2、R3、R5およびR6は、上記で定義されており、
R'4は、ハロゲン原子またはOR11基を表し、
R7は、ハロゲン原子またはOR10基もしくはR''1基を表し、
R9は、ハロゲン原子またはOR8基、R''2基もしくはR3NR1R2基を表し、
R''1、R''2、R8、R10およびR11は、追加の化学基を場合によって有する飽和または不飽和の直鎖または分枝炭化水素系基を表し、R11基、R10基およびR8基は、水素原子をさらに表すことができ、R6基、R7基およびR9基の少なくとも1つは、ハロゲン原子またはOR'''基、OR10基もしくはOR8基を示す)
の化合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機ケイ素化合物が、R1基、R2基、R'基、R'1基、R'2基、R'3基、R''基、R'''基、R''1基、R''2基、R8基、R10基およびR11基が、C1〜C12アルキル基、C6〜C14アリール基、(C1〜C8)アルキル(C6〜C14)アリール基および(C6〜C14)アリール(C1〜C8)アルキル基から選択される有機ケイ素化合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機ケイ素化合物(単数または複数)が、式(III)
【化3】

(式中、R基は、同一または異なって、C1〜C6アルキル基から選択され、nは、1から6、好ましくは2から4の整数である)
の化合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
有機ケイ素化合物が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
有機ケイ素化合物(単数または複数)が、これらを含有する組成物の全重量の20%から65%、好ましくは30%から60%の範囲の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水が、30%から78%、好ましくは40%から70%の範囲の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
染色するステップが、酸化塩基から選択される染料前駆体およびカプラーを使用して行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
染色するステップが、オルトフェニレンジアミンおよびパラフェニレンジアミン、ダブルベース、オルトアミノフェノールおよびパラアミノフェノール、複素環塩基ならびにこれらの化合物の酸との付加塩から選択される酸化塩基、ならびにメタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、メタジフェノール、ナフトール、複素環カプラーおよびこれらの化合物の酸の付加塩から選択されるカプラーを使用して行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
染色するステップが、カチオン電荷密度が4以上である1個または複数個のカチオン性ポリマーを含む組成物を用いて行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
染色するステップが、1種または複数種のポリオキシエチレンまたはグリセロール化非イオン性界面活性剤を含む組成物を用いて行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
染色するステップが、1種または複数種の酸化剤の存在下で行われ、前記酸化剤が好ましくは過酸化水素である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1種または複数種の染料前駆体を含む染色組成物に続く、毛髪への、請求項1から7のいずれか一項に記載の有機ケイ素化合物を含む組成物の使用。
【請求項16】
第1区画が請求項1および10から13のいずれか一項に規定される染色組成物を含有し、第2区画が1種または複数種の酸化剤を含有し、第3区画が請求項1から7のいずれか一項に規定される1種または複数種の有機ケイ素化合物を含む、染色用多区画デバイスまたは「キット」。

【公開番号】特開2010−260862(P2010−260862A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−103659(P2010−103659)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】