説明

有機ダイオード及び有機材料

接触しているp型領域とn型領域を有するダイオードであって、これらp型領域又はn型領域の少なくとも一方が、非移動性ドーパントでドープされた共役有機材料を含む前記ダイオード、該ダイオードに組み込むための共役有機材料、及びこのようなダイオードと材料の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、改良されたダイオード、さらに詳細にはドープド有機材料を組み込んだダイオードに関する。
〔発明の背景〕
半導体及び半導体素子は、近代世界の至る所に存在する。ダイオード、トランジスター、集積回路、発光ダイオード(LED)、ソーラーセル、半導体レーザーなどは、ラジオ、テレビ、コンピューター、自動車、家電製品、産業設備で使用され、基本的にどこでも情報が電気的に記憶、伝達又は制御される。現在、半導体素子はほぼ排除的に無機半導体であり、ほとんど排除的にシリコン又はガリウム砒化物ベースである。しかし、シリコン及び他の無機半導体は機械的に脆弱で、製造、精製、及び加工に費用がかかり、かつ高温で加工しなければならない。
例えば、電子回路を使用中に曲げることができ、及び/又は曲面に従って湾曲させられるような可撓性の半導体及び半導体素子があれば望ましいだろう。また、容易かつ低コストで精製及び加工される半導体及び半導体素子があれば望ましいだろう。さらに、低温、特にポリエステルやポリアミド等の汎用プラスチックのガラス転移温度未満の温度で加工かつ製作できる半導体及び半導体素子があれば、このようなプラスチックを半導体素子及び回路を構築する基板として使用できるので望ましいだろう。
無機材料の代わりに有機材料を用いる半導体素子が以前に製作されたことがあるが、これら素子は、非ドープド有機化合物のみから成り、或いは臭素アニオン又はナトリウムカチオンのような小さい比較的移動性のイオンでドープされた有機化合物から成る。小さい移動性イオンでドープすると、正(ドナー)及び負(アクセプター)ドーパントが相互に出会って中和しうるので望ましくない。他方、非ドープド半導体でダイオード又はp-n接合部を製造すると、該素子を通過しうる電流を大きく制限する。p型半導体がn型半導体と連絡する通常のp-n接合部と異なり、デプリーション層又はビルトインポテンシャル(多くのp-n接合特性の基礎)を形成しない。このビルトインポテンシャルは、例えば、通常の半導体接合ソーラーセルの操作に必須である。
【0002】
有機トランジスターに関する文献が増えている。これら有機トランジスターは、すべて純粋な非ドープドポリマー、オリゴマー、又は小分子で作られている(例えば、C. D. Dimitrakopoulos and D. J. Mascaro, "Organic thin-film transistors: A review of recent advances," IBM J. of Res. & Dev. 2001, 45, 11-27参照)。基本的に、すべての報告されている有機トランジスターは、電界効果型のものであり、この型では、ゲート電極上の電気ポテンシャルが薄い非ドープド有機層中の電荷担体の数と経路、ひいては薄い有機層の反対端上のソース電極とドレイン電極との間の電流を変える。有機の電界効果トランジスターはp-n接合部を持たず、外来性ドーパントがこの単一の有機層から除去されれば性能が改善される。
従って、双極子トランジスターの製作のための有機材料と方法を見つけることが望ましいだろう。
有機ソーラーセル(しばしば有機p-n接合部と呼ばれる)の多くの報告がある。これらソーラーセルは光起電力及び光電流を生じさせるが、いつも非ドープドポリマー又は非ドープド小分子で作られる。これらソーラーセルはドープされていないので、真のp-n接合部ではなく、シリコン又は無機p-n接合部の真の類似物ではない。真の有機p-n接合部は、アクセプターでドープされた有機材料(p型)と、これに接触している、ドナーでドープされた一片の同じ有機材料(n型)とから成り、p-nホモ接合部を形成しているだろう。同様に、真の有機ヘテロ接合部は、アクセプターでドープされた有機材料(p型)と、これに接触している、ドナーでドープされた異なる有機材料(n型)とから成る。2種の非ドープドポリマー間の接触は、より正確にはポリマー二層と呼び、p-n接合部でない。ポリマー二層は空間電荷領域又はビルトインポテンシャルを発生せず、比較的高い抵抗率を有する。
【0003】
有機光起電力(Oraganic Photovoltaic)(OPV)セルに関する最近の研究では、Gregg及びHannaが“我々が知る限りでは、おそらく有機半導体をドープすることの難しさのため、ホモ接合OPVセルは報告されていない”と述べた(B. A. Gregg and M. C. Hanna, J. Appl. Phys., 2003, 93, 3605-3614.)。Greggらによって言及された難しさの1つは、無機に比べて有機材料中でのドーパントの移動性が大きいことである。別の難しさは、有機材料を還元(n型)又は酸化(p型)して、カチオンドーパント(n型)又はアニオンドーパント(p型)のみを後に残して他の副生物を残さない有機ドーピング剤が欠如することである。
n-ドープド有機半導体とp-ドープド有機半導体を両方とも調製でき、これらドーパントが移動性でなく、かつ該素子の使用中又は寿命の終わりまで拡散しないことが非常に望ましい。さらに、ビルトインポテンシャルが発生し、かつドーパントは拡散せず、相互に中和しない、有機材料の真のp-n接合部を調製することが望ましい。また、このような真の有機p-n接合部に基づいた有機ダイオード、トランジスター、LED、半導体レーザー、光セル及びソーラーセルがあれば望ましいだろう。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明は、p-n接合部に新規なドープド共役有機材料を組み込んだダイオードに関する。
一実施態様では、本発明は、接触しているp型領域とn型領域を有するダイオードに関し、このp型領域又はn型領域の少なくとも一方は、非移動性ドーパントでドープされた共役有機材料である。このような実施態様では、共役有機材料は共役小分子、オリゴマー、又はポリマーでよい。
別の実施態様では、ダイオードは、両方とも適切な非移動性ドーパントを含む共役有機材料で構成されたp型領域とn型領域を有してもよい。
さらに別の実施態様では、本発明は、第1の共役有機材料と、非移動性ドナードーパントと、第2の共役有機材料(第1の共役有機材料と同一又は異なってよい)と、非移動性アクセプタードーパントを含み、第1及び第2の共役有機材料が少なくとも1つの相界を有する、組成物に関する。このような実施態様では、好ましくはドナー及びアクセプタードーパントが局限されて相を分け、好ましくは第1相内に少なくとも80%のアクセプタードーパント、第2相内に少なくとも80%のドナードーパントがあり、さらに好ましくは少なくとも90%の各ドーパントがそのそれぞれの相内にあり、なおさらに好ましくは少なくとも99%の各ドーパントがそれぞれの相内にある。
さらに別の実施態様では、本発明は、2つ以上のp-n接合部と、3つ以上の半導体領域を含むトランジスター又は他の半導体素子に関し、前記半導体領域の少なくとも2つが共役有機材料で構成されている。このような実施態様では、前記トランジスター及び半導体素子を連結して任意の複雑さの回路を形成することができる。
なおさらに別の実施態様では、本発明は、非移動性ドーパントでドープされた少なくとも1つの共役有機材料と、いずれか(有機又は無機)のドープド半導体で構成された第2の半導体領域とで構成された有機ソーラーセル又は光起電力セルに関する。このような実施態様では、有機ソーラーセルは、非移動性ドーパントでドープされた共役有機材料で構成されたp型及びn型の両領域を有しうる。
別の実施態様では、本発明は、非移動性ドーパントでドープされた共役有機材料で構成された、光又は放射線を検出するための光ダイオードに関する。
【0005】
以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面を考慮すれば、本発明のこれら及び他の特徴、局面及び利点が、より完全に分かるだろう。
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、p-n接合部に新規なドープド共役有機材料を組み込んだダイオードに関する。
有機p-n接合部を含む有機エレクトロニクスを開発するため、特に最近20年間で意義深い努力が為されてきたが、真の安定した有機p-n接合部はまだ実証されていない。本発明は、有機マトリックス中のドーパントの移動性と、加工溶媒中のドーピング剤、有機マトリックス、及びドープド有機マトリックスの溶解度とを制御する因子を考慮したドーピング剤と製作方法を設計することによって、安定した有機p-n接合部を調製でき、かつダイオード及び他の素子で使用できることを実証した。
本発明の一実施態様では、所望組成物は、アクセプターとドナーの両方でドープされた有機マトリックスを含み、アクセプターは該マトリックスの一方の領域内に優先的にあり、ドナーは該マトリックスの第2の異なる領域内にあるようにドープされ、かつアクセプター領域とドナー領域は相界で接するようにドープされている。
別の実施態様では、所望組成物は、少なくとも1種のアクセプタードーパントでドープされた1種の有機マトリックスと、少なくとも1種のドナードーパントでドープされた別の有機マトリックスの相分離フレンドを含み、これら2相は、種々の幾何学的配列で存在しうる。幾何学的配列としては、2枚の接触平面シート、波形相界のある2枚のシート、有限の厚さを有する明瞭でない相界のある2枚のシート、相互浸透相、勾配相、混合相の領域で分離された2つの単層領域(図6参照)などが挙げられる。
【0006】
以下の一般定義を参照して考えれば、本発明のこれら及び他の特徴、局面及び利点がさらに完全に分かるだろう。
非移動性ドーパントは、該ドーパントが、そのマトリックス内において最大使用温度で本質的にゼロの移動度を有することを意味する。決して、移動度又は拡散率をゼロまで下げることはできなが、事実上、該素子の寿命の終わりまで、有機層の厚さを越えてドーパントが拡散又は移動できないように十分低くしなければならない。移動度は、ドーパントの形状と大きさ、マトリックスの粘度(温度の関数である)、マトリックスの構造(線状、分岐、架橋)、及びドーパントとマトリックスの特有の相互作用(例えば、水素結合、ファンデルワールス力、電気的力)等の因子によって決まる。シリコンのような無機半導体では、ドーパントは室温で非移動性であるが、非常に高温では移動性である。高温での移動度がシリコン半導体素子製作にとって重大であり、このことは技術的によく理解されている。有機半導体格子は、無機半導体格子ほど堅くなく、もっと低温でドーパントが格子を通じて移動かつ拡散するようになるだろう。有機物質(小分子、オリゴマー、又はポリマー)内での分子及びイオンの拡散及び移動は、該物質のガラス転移温度(Tg)未満でずっと遅いことは技術的に周知である。本発明の組成物は、好ましくは室温より高いTgを有し、さらに好ましくは50℃より高いTg、なおさらに好ましくは60℃より高いTg、さらに好ましくは70℃より高いTg、なおさらに好ましくは80℃より高いTg、さらに好ましくは90℃より高いTg、最も好ましくは100℃より高いTgを有する。
マトリックスに溶解しているイオン及び分子の移動度又は拡散率は、該マトリックスのガラス転移温度で突然の変化を受ける。ドーパントが拡散又は移動するのを阻止するため、マトリックスがさらされ或いは使用される最高温度よりマトリックスのTgが好ましくは10℃、さらに好ましくは25℃、なおさらに好ましくは50℃、最も好ましくは75℃高いようなマトリックスを選択することができる。或いは、ドーパントを化学的にマトリックスに結合してもよい。ドーパントがポリマーに化学的に結合している場合、該ポリマーは自己-ドープされていると言われる。自己ドープドポリマーでは、Tgを超えるとドーパントが局所的に移動しうるが、全体的なポリマー鎖の動きによって、長い範囲の動きは制限される。自己ドープドポリマーでは、Tg未満では長い範囲の動きは本質的にゼロである。
【0007】
また、本技術の当業者には、ドーパントがドープドポリマーのTgに影響を及ぼしうることが分かるだろう。ドーパントは、Tgを下げ(可塑剤)、或いはTgを上げうる(逆可塑剤)。ドーパントは、有機マトリックスと適合性(すなわち、有機マトリックス内で均質の分散した状態のまま)でなければならず、かつTgを該素子の使用温度未満に下げてはいけない。
【0008】
本発明の目的では、ドーパントは、以下の場合に非移動性である:
1)ドーパントが、1,000ダルトンより大きい、好ましくは約5,000ダルトンより大きい、さらに好ましくは約10,000ダルトンより大きい量平均分子量MWのポリマー鎖に化学的に結合し、又は前記ポリマー鎖の一部であり、このとき、前記ポリマー鎖は、半導体ポリマー自体でよく(自己ドープド)、又はいずれのタイプの半導体若しくは半導体でない別個のポリマーでもよい;
2)ドーパントが、1,000ダルトンより大きい、好ましくは約5,000ダルトンより大きい、さらに好ましくは約10,000ダルトンより大きい分子量(MW)を有する;
3)ドーパントが、100ダルトンより大きい、好ましくは250ダルトンより大きい、さらに好ましくは500ダルトンより大きいMWを有し、かつ該ドーパントを含むポリマーマトリックスが、40℃より高いTgを有する;
4)ドーパントが、1,000ダルトンより大きい、好ましくは2,000ダルトンより大きいMWを有し、かつ該ドーパントを含むポリマーマトリックスが、25℃より高いTgを有する;
5)ドーパントが、100ダルトンより大きい、好ましくは250ダルトンより大きい、さらに好ましくは500ダルトンより大きいMWを有し、かつ該ポリマーマトリックスが架橋されている;又は
6)ドーパントが、25℃の溶媒中で測定した場合、1×10-6cm2s-1未満の拡散係数を有する。
【0009】
本技術の当業者には、ドーパントの拡散が該素子の寿命を制限しうることが分かるだろう。この場合、a)ドーパントMWを増やす、b)ポリマーのTgを高める、c)ポリマーを架橋するか又は架橋密度を高める、或いはd)ドーパントをポリマーに化学的に結合させることによって拡散係数を下げると、素子の寿命を延ばすことができ、しかも拡散係数を直接測定できない場合でさえこれら技術を利用することができる。要求される拡散係数の大きさは、個々の用途によって決まる。また、本技術の当業者には、ポリマーマトリックス中の拡散係数は溶液中の拡散係数におおよそ比例するだけであり、しかもこの制限は概略のガイドでしかないことが分かるだろう。
ドーパントの拡散係数は、いずれの技術によっても測定することができ、例えば、NMR法は溶液中の拡散係数の測定で周知である。電荷が拡散係数に及ぼす効果は相対的に小さいので、双性イオンドーピング剤又は荷電ドーパントのどちらかの拡散係数が溶液として測定した場合、3×10-6cm2s-1未満、好ましくは2×10-6cm2s-1未満、さらに好ましくは1×10-6cm2s-1未満であれば、ドーパントは非移動性と考えられる。
【0010】
表面の粗さの因子は、真の実際の表面積と幾何学的表面積の比である。2層間の相界は明瞭でなくてよく、或いは有限の厚さを有する。明瞭でない相界の厚さは、好ましくは1〜1000nm、さらに好ましくは1〜100nm、なおさらに好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは5〜25nmである。相界は1000nmより大きく、或いは1nm未満でよい。本明細書では相界が約1nm未満の場合に、相界が明瞭であるとみなす。相界は単連結であり、或いは単連結でなくてよい。すなわち、相界は単一面でなくてよく、むしろ可変サイズの、種々の様式で相互連結した一連の球又はロッドでよい。例えば、相界は、六方に充填したロッドでよい。ポリマー間の相界の構造は技術的に周知である。本発明は、相界の特定構造によって制限されない。相界の構造、又はモルフォロジーが製造条件によって決まることは技術的に周知である。例えば、スピンコーティングの場合、周囲が溶媒で飽和しているか又は飽和していないかで同じ出発組成物が非常に異なったモルフォロジーを与えることがある(A.C. Arias et al., Macromol., 2001, 34, 6005-6013参照)。
【0011】
半導体の文献では、用語ドーパントは2つの意味で使われる。第1の意味では、ドーパントは、半導体格子中に存在するイオン又は原子であり、該半導体より高いか又は低い原子価を有することによって、それぞれ伝導帯若しくは価電子帯に電子を与え、又は伝導帯若しくは価電子帯から電子を受ける。例は、シリコン中にドープされたホウ素である。ホウ素ドーパント原子は格子内でシリコン原子と置き換わるが、ホウ素はシリコン(4)より低い原子価(3)を有するので、価電子帯に捨てるための電子が少なく、そのため価電子帯に正孔を生じさせる。ホウ素原子は、該正孔の電荷と釣り合いを取る負電荷を発生する。ホウ素ドーパントは価電子帯から電子を受けるのでアクセプタードーパントと言われる。同様に、リン(原子価5)は、シリコンにドープされた場合、伝導体に電子を与え、かつ正電荷を発生することによって電荷の釣り合いを取る。ドーピングの機構は、ドープド半導体の特性にとって二次的に重要である。第2の意味では、ドーパントは、半導体をドープするために使用する化学薬品である。例えば、シリコンの結晶を高温にてホスフィン(PH3)で処理することによって、シリコンをリンでドープすることができる。別の例では、ポリチオフェンのようなポリマーを臭素(Br2)でドープして、臭素イオンを含有する部分的に酸化されたポリチオフェンが得られる。ドーパントは臭素イオン(第1の意味)又はBr2(第2の意味)であると言える。化学文献は、第2の意味でドーパントを使う傾向がある。本発明の目的では、用語ドーパントは第1の意味で使用、すなわちドーピングプロセス後に半導体中に存在するイオン種を意味する。用語ドーピング剤は、本明細書では半導体をドープするために使う化学薬品を指すために使用する。
【0012】
ポリマー置換基として、C1〜C24アルキル、C1〜C24アリール、C1〜C24アルコキシ、チオエーテル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアリール、ポリフルオロアルコキシ、アミド、エステル、シアノ、ハライド、スルホン、スルホキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の目的では、電極はいずれの電気伝導物質でもよく、典型的に金属又は高度にドープされた半導体である。電極は不透明、透明、又は半透明でよい。透明の場合、透明度は、可視スペクトルのどこでも1〜100%の範囲の光の透過率、好ましくは400〜600nmの範囲にわたって少なくとも10%の透過率、さらに好ましくは400〜600nmの範囲にわたって少なくとも25%の透過率、最も好ましくは同範囲にわたって少なくとも50%の透過率でよい。
本明細書では、共役分子は、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも4、なおさらに好ましくは少なくとも5、最も好ましくは少なくとも6個の共役電子対を有する分子を意味するために定義される。共役分子の非限定例は、ブタジエン、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル、スチルベン等である。
本明細書では、共役ポリマー又はオリゴマーは、繰返し単位間に実質的な共役がある共役繰返し単位を有するポリマー又はオリゴマーを意味するために定義される。好ましくは隣接する繰返し単位の少なくとも10%が共役し、さらに好ましくは隣接する繰返し単位の少なくとも25%が共役し、なおさらに好ましくは隣接する繰返し単位の少なくとも50%が共役する。隣接する繰り返し単位の100%まで共役してよい。共役オリゴマーの非限定例は、オリゴチオフェン、オリゴフェニレン、及びオリゴフェニレンビニレンである。共役オリゴチオフェンの非限定例は、ヘキサチオフェン及びテトラチオフェンである。共役ポリマーの非限定例は、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリアリールアミン、ポリカルバゾール、ポリジアセチレン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリキナゾリン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリジフェニルシラン、ポリチオフェン、及びこれらのコポリマー、並びにこれらの置換形態である。
【0013】
本発明の目的では、有機材料は、1質量%より高い、さらに好ましくは10質量%より高い、最も好ましくは15質量%より高い炭素含量を有するいずれかの物質又は物質の混合物である。用語ポリマーはいずれのタイプのポリマーをも含み、非限定例は、線状、分岐、ハイパーブランチ、樹枝状、環状、櫛状、ブラシ状、付加、縮合、コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、熱可塑性及び熱硬化性のものである。
本発明の目的では、フルオロアルキルは、モノフルオロアルキル、ジフルオロアルキル、ポリフルオロアルキル及びペルフルオロアルキルを包含する。フルオロアリールは、モノフルオロアリール、ジフルオロアリール、ポリフルオロアリール及びペルフルオロアリールを包含する。
半導体層又は半導体領域は、いずれの半導体材料、有機若しくは無機、又は有機と無機の混合物で構成されていてもよく、かつ内因性(非ドープド)又は外因性(ドープド)でよい。無機半導体層又は領域の非限定例は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン-ゲルマニウム合金及び化合物、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化ガリウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等であり、ドープされ又はドープされていない。有機半導体層又は領域の非限定例は、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ペンタセン、ヘキサチオフェン等であり、ドープされ又はドープされていない。
【0014】
〔実施態様〕
図1を見ると、本発明の実施により提供される有機ダイオード10の一実施態様が示されている。有機ダイオード10は、非移動性ドーパントでドープされた共役有機材料を含む第1の領域4と接触している第1の電極1と、第1の領域4と接触しているドープド半導体を含む第2の領域6と、第2の領域6と接触している第2の電極3とを含む。従って、領域4と領域6との界面にp-n接合部が形成されている。
第2の領域6の半導体は、有機又は無機でよい。第2の領域6の半導体が有機の場合、それは共役材料と、第1の領域4内のドーパントと逆の型の非移動性ドーパントとを含み、かつ第1の領域4の共役有機材料と同一でも異なってもよい。
本発明の一実施態様では、ダイオード10は、光ダイオードとして作用し、電極1及び3の一方又は両方が透明である。
本発明の別の実施態様では、ダイオード10は、光起電力セルとして作用し、電極1及び3の一方又は両方が透明である。
【0015】
図2を見ると、本発明の実施により提供される有機ダイオード10の一実施態様が示されている。有機ダイオード10は、非移動性ドーパントでドープされた共役有機材料を含む第1の領域4と接触している第1の電極1と、共役材料及び第1の領域4内のドーパントと逆の型の非移動性ドーパントを含み、かつ第1の領域4の共役有機材料と同一でも異なってもよい第2の領域6とを含む。領域4と領域6の接触は、混合領域8を形成する有限の厚さを有する。第2の電極3は、領域6と接触している。
図3を見ると、本発明の実施により提供される有機ダイオード10の一実施態様が示されている。有機ダイオード10は、電子輸送材料、正孔輸送材料、n+材料又はp+材料のどれかを含む任意の層11、及び非移動性ドーパントでドープされた共役有機材料を含む第1の領域4と接触している電子若しくは正孔遮断材料を含む任意の層14で被覆された第1の電極1と、共役材料及び第1の領域4内のドーパントと逆の型の非移動性ドーパントを含み、第1の領域4の共役有機材料と同一でも異なってもよい第2の領域6とを含む。領域4と領域6の接触は、混合領域8を形成する有限の厚さを有する。第2の電極3は、任意に電子輸送、正孔輸送、n+、又はp+のどれかの層13で被覆され、かつ電子遮断材料又は正孔遮断材料を含む任意の層16が領域6と接触している。
図1〜3は、平面として概略を示してあるが、図2中の領域8のような厚い領域を含め、領域4と領域6の接触領域は、粗い、波状、波形、連続、不連続、平坦、又は平滑といったいずれのトポロジーをも有しうる。
【0016】
図4を見ると、本発明の実施により提供される有機トランジスター20の一実施態様が示されている。絶縁基板29上に電極21、23、及び25を備え、それぞれ有機材料層24、26、及び28と接触する。領域24と26の間、及び領域26と28の間に2つのp-n接合部が形成される。領域26がn型の場合、領域24と28はp型である。領域26がp型の場合、領域24と28はn型である。電極での電荷担体の注入と収集を向上させるため、電極の平滑さを調節するため、又は一般的に素子性能を高めるため、追加の層(図示せず)を備えうる。領域24と26の相界、及び領域26と28の相界は、用途によって要求されるように、明瞭でよく、不明瞭でよく、有限の厚さを有してよく、平滑又は粗く、連続又は不連続でよい。
図5を見ると、図4に示されるトランジスター構造の平面図が示されている。電極21、23、及び25は“T”配置で示されているが、いずれの幾何学的配列でもよい。電極21、23、及び25は、基板29の表面に突出して示されているが、基材29の表面中に沈んでいる、また基材29の表面と同一平面であるといった他の幾何学的配列が可能であり、或いは上から層24、26、28と接触する。
図6を見ると、本発明の実施により提供される、境界が明瞭でない界面の概略図が示されている。本発明のダイオードの一実施態様では、2つの有機相間に不明瞭な境界が形成され、第1相31はp型であり、第2相32はn型である。二相コンポジット30は、一緒に第1相31を形成する第1の共役有機材料及び非移動性ドナードーパントと、一緒に第2相32を形成する第1の共役材料と同一でも異なってもよい第2の共役有機材料及び非移動性アクセプタードーパントを含む組成物を形成する。コンポジット30は、これら2相のそれぞれへの電気的接触のための手段を備えることによってダイオードとして使用される。
本発明は、有機p-n接合部を製造又は製作する方法にも関する。このような構成における過去の難しさは、部分的に、一部酸化された(又は還元された)ポリマー(それでも全体的に中性である)用の適切な溶媒を見つけること、及びいずれかの副生物からその一部酸化された(又は還元された)ポリマーを分離することに関する。
【0017】
本発明の一実施態様では、ポリマーは自己ドープされる。すなわち、一部酸化又は還元された有機マトリックスの対イオンが、該有機マトリックス(例えば、有機マトリックスがポリマーの場合はポリマー鎖)に化学的に結合する。以下の一般的な工程を用いて、本発明の一実施態様の自己ドープドポリマーのp-n接合部を調製することができる。
1)下記の添付アニオン及びカチオンを有する共役ポリマーを調製する。
【化1】

【0018】
式中、A及びDは共役繰返し単位であり、B+はカチオン繰返し単位又は添付カチオンを有する繰返し単位であり、C-は小アニオンであり、E-はアニオン繰返し単位又は添付アニオンを有する繰返し単位であり、F+は小カチオンであり、mとnは重合度であり、かつxとyはモル分率であり、x+y=1である。上記式は、いずれの特定のポリマー構造、例えば、線状、分岐、ランダム等を示すことを意味しないことを理解すべきである。
2)第1のポリマーの溶液又は懸濁液を下記式に従って還元剤Rdで処理することによって第1のポリマーを還元する。
【化2】

【0019】
還元ポリマー(−Ay-−A(x-y)−By+−)は、負電荷を有するy繰返し単位が正電荷を有するy繰返し単位と釣り合いを取るので本質的に中性である。繰返し単位は共役しているので、ラジカルアニオンは、ある繰返し単位Aから同一の鎖上又は他の鎖上の他の繰返し単位Aにホップ又は移動することができる。結果として、上述した還元反応の結果、一般に還元ポリマーとは異なる溶解度特性を有するyモルの塩副生物Rd+C-となる。順次、溶解度の差異を用いて副生物から還元ポリマーを分離することができる。
例えば、ポリマーは溶けるが塩は溶けない溶媒を選択した場合、塩をろ過で除去して還元ポリマーの溶液を残すことができる。塩が溶け、ポリマーが溶けない場合、ポリマーをろ過で取り出して洗浄し、第2の溶媒に溶かすことができる。同様に、アニオン性基を有するポリマーを酸化して酸化ポリマーと塩副生物が得られる。
【0020】
別の実施態様では、下記式に従ってドーピング剤がポリマーを酸化又は還元するように、中性共役ポリマーを相対的に大きい中性ドーピング剤で処理することによって、ドープドポリマーを調製する。
【化3】

【0021】
このような実施態様では、酸化剤の還元形態は負電荷を有し、酸化ポリマーの対イオンとして作用する。大きい(すなわち、500ダルトンより大きい、好ましくは1,000ダルトンより大きい)酸化剤を選択したので、酸化剤はポリマー内で非移動性である。同様に、還元剤の酸化形態は正電荷を有し、還元ポリマーの対イオンとして作用し、この場合もやはり大きくかつ非移動性である。
還元剤が1電子還元剤の場合、還元又は酸化形態は1つの不対電子を有することは明かである。不対電子は一般に閉殻分子より不安定なので、ドーパントが不対電子を持たないことが好ましい。しかし、本発明の目的ではどちらも使用しうる。
例えば、不対電子を有する1電子還元体ドーピング剤は、以下の一般型の双性イオンでよい。
Rd-−B+
式中、基Rd-はラジカルアニオンであり、基B+はカチオンである。
同様に、1電子酸化体ドーピング剤は下記一般型の双性イオンでよい。
Ox+−E-
【0022】
双性イオンドーピング剤の非限定例は以下のとおりである。
【化4】

【0023】
或いは、ドーピング剤は金属錯体でよい。金属錯体ドーピング剤は電荷がなく、かつ生成金属錯体ドーパントは単一の正又は負の電荷を有することが好ましい。金属錯体ドーピング剤の非限定例として以下のものが挙げられる。
【化5】

【0024】
ドーピング剤は、2電子酸化還元剤、例えば下記式の(2,4-ジニトロフェニル)ペルオキシド:
ROOR→2RO-−2e- R=ジニトロフェニル
又は下記式のジアルキルジスルフィド:
RSSR→2RS-−2e- R=アルキル
でよい。
この場合、ドーピング剤とドーパントは両方とも閉殻種でよい。
【0025】
共役ポリマーと双性イオンドーパントから調製されるホモ接合ダイオードの非限定例は以下のとおりである。
【化6】

【0026】
上記p-nホモ接合部では、Cyはシクロヘキシルであり、yは還元性繰返し単位に対するドナードーパントのモル分率であり、zは酸化性繰返し単位に対するアクセプタードーパントのモル分率である。繰返し単位毎に1つの完全電荷を有するポリマーが示されているが、典型的にyとzは小数であり、繰返し単位の小部分しか荷電されない。好ましくは、y及びzは、独立的に0.5〜0.00001、さらに好ましくは0.1〜0.00005、なおされに好ましくは0.01〜0.0001であり、それ以上又は未満の量も使用しうる。
本発明の実施により提供されるp-nヘテロ接合部の非限定例は以下のとおりである。
【化7】

【0027】
式中、Phは二価の1,4-フェニレン基であり、x及びyは、それぞれn型ポリマー内の還元された繰返し単位及び中性繰返し単位のモル分率であり、x'及びy'は、それぞれp型ポリマー内の酸化された繰返し単位及び中性繰返し単位のモル分率であり、かつx+y=x'+y'=1である。典型的には、x及びx'は小数であり、該繰返し単位の小部分しか荷電されない。好ましくは、x及びx'は、独立的に0.5〜0.00001、さらに好ましくは0.1〜0.00005、なおさらに好ましくは0.01〜0.0001であるが、それ以上又は未満の量を使用しうる。
本発明のp-n接合部は水に対して敏感でありうる。接合部には大きい電場が存在し、かつポリマーは一般に透水性なので、水が接合部に拡散し、異種開裂してH+とOH-を生成しうる。本発明の用途では水を回避すべきである。当業者は、ポリマーの合成及び素子の製作中に水を除去する方法のみならず、素子を封入又は密封する方法及び水を除去するためのスカベンジャーを利用する方法を知っている。
水の反応及び拡散は可逆性なので、一実施態様では、まず酸形態ポリマーと塩基形態ポリマーの二層を形成することによって本発明のp-n接合部を調製することができ、水の遊離によって接合部で酸-塩基塩が生じるだろう。ビルトインポテンシャルが接合部で生成する。第2工程で、前記二層を脱水してポテンシャルを高める。接合部の一面上のドナーの酸化ポテンシャルと、他面上のアクセプターの還元ポテンシャルの差よりポテンシャルが大きくなると、電子移動が起こり、電荷担体の形成となる。
【0028】
このような接合部を形成する1つの典型的な実施態様を以下に示す
工程1:二層及び塩の形成:
【化8】

【0029】
工程2:脱水及び電荷担体の形成:
【化9】

【0030】
示さないが、ビルトインポテンシャルで電荷担体を接合部から切り離して取り除ける。
本発明のp-n接合部は酸素にも敏感でありうることを理解すべきである。n型ポリマーは還元されているので、またポリマーは一般に酸素に浸透性なので、酸素が接合部に拡散してn型ポリマーを酸化しうる。従って、本発明の用途では酸素を回避すべきである。当業者は、ポリマーの合成及び素子の製作中に酸素を除去する方法のみならず、素子を封入又は密封する方法、及び酸素を除去するためのスカベンジャーを利用する方法を知っている。
本発明のp-n接合部は、光起電力セル又は光ダイオードとしても利用しうる。この用途では、少なくとも1種の有機材料が、特に約350nm〜700nmの可視領域内の光を吸収することが望ましい。ソーラーセルとしての使用では、可視範囲の至るところで有意な吸光度(約102〜105リットルモル-1cm-1)で可視吸収が非常に広いことが望ましい。光を吸収する好適な分子及び物質として染料又は顔料が挙げられる。このような分子又は分子の一部は発色団とも呼ばれる。本発明の目的では、1)有機マトリックス自体が発色団の場合、2)有機マトリックスが化学的に付加された発色団を有する場合、及び3)発色団がマトリックス中にブレンド又は混合される場合といった、いくつかの様式で発色団を素子に導入することができる。
或いは、ドーパントが発色団として働くこともある。
【0031】
ソーラーセルでは、できるだけp-n接合部の近傍で多くの入射光を吸収することが望ましい。従って、素子中の該材料の吸光係数はできるだけ高くなければならない。吸光係数が十分高い場合、発色団はp-n接合部近傍に存在し、接合部から離れて存在しないことが望ましい。例えば0.5ミクロンのp型層と0.4ミクロンのn型層を含む接合部は、発色団を含有するp型層は、接合部に最も近い0.04ミクロン厚部分だけでありうる。或いは、0.5ミクロンのp型層と0.5ミクロンのn型層を含む接合部は、2層間に挿入された発色団の0.01ミクロ層を有しうる。発色団層がドープされない場合、内因性半導体と考えられ、その構造はp-i-nダイオードだろう。
感光性素子の一実施態様では、単一の分子が共役マトリックスと発色団として作用しうる。該マトリックスがオリゴマー又はポリマーの場合、発色団は該ポリマー主鎖中の繰返し単位でよく、側基又は末端基でよく、或いはポリマー中にブレンド又は溶解していてもよい。発色団が主鎖中の唯一の繰返し単位(ホモポリマー)でよく、或いはコポリマーの一部でよい。
共役ポリマーがドープされている場合、共役ポリマーは非ドープドポリマーに対して可視スペクトルの吸光係数が高いことが多い。p-ドープド及び/又はn-ドープドポリマーの吸光係数が十分高いと、効率的な光起電力反応のための追加の染料又は発色団が必要ない。本発明の効率的なソーラーセルの設計において、ドープドポリマーの吸収スペクトル及びp-n接合部の作用スペクトルは、両方ともドーピングレベルに関して、重要な基準である。
光の電気への効率的な変換を達成するため、有機材料と発色団の光学的及び電気的特性を考慮することが必要である。理論に拘泥されたくないが、p型マトリックス、n型マトリックス、及び発色団は、それぞれバンドギャップ、及び価電子帯の上部と伝導帯の底部の特定エネルギー、つまり化学用語では、最高被占軌道(HOMO)及び最低空軌道(LUMO)の特定エネルギーを有する。平衡状態のp-n接合部では、ビルトインポテンシャルがこれらのレベルを電子の化学ポテンシャルが全体にわたって均一になるように調整する(フェルミレベルとも呼ばれる)。p-n接合部の至るところでのフェルミレベルのマッチングは、ちょうどビルトインポテンシャルの形成を観察する別の方法である。この状況は無機p-n接合部についてはよく分かっており、ドープド有機p-n接合部の状況は定性的に分かっている。
【0032】
例えば、ドープド有機マトリックス自体が、存在する唯一の発色団の場合、そのバンド図が標準的なp-n接合部の図である。発色団が電気的に有機マトリックスから分離されている(必ずしも化学的に分離されている必要はない)場合、以下のバンド図で別々に表される。
【化10】

【0033】
上図に示されるように、染料(又は他の発色団)のHOMOは、好ましくはp型層とn型層のHOMO間にある。染料のLUMOは、好ましくはp型層とn型層のLUMO間にある。染料が光子を吸収すると、電子が染料のLUMOに上げられてそのHOMOに正孔を残す。染料のLUMOがp型層のLUMOとn型層のLUMOの間にある場合、p型LUMOまでの移動はエネルギー的に不利なので、励起した電子はn型LUMOに落ちる傾向がある。同様に、HOMOが図示したように配列されている場合、染料HOMO内で励起した正孔は選択的にp型層に移動するだろう。以下に示すように、p型材料とn型材料のバンドギャップが染料のバンドギャップより大きくてもよい。
【化11】

【0034】
このような態様では、異なる波長の光が各層で吸収されて光電流に寄与しうる。
発色団層は本質的に純粋な発色団でよく、或いは発色団プラス他の材料、例えば、ポリマーバインダー、追加の発色団、又は他の添加剤で構成されてもよい。発色団がポリマー又はコポリマーの一部(例えば、繰返し単位又は側基)でもよい。発色団層の厚さは、以下の2つの対抗する因子の釣り合いをとるように選択しなければならない:1)発色団層は、抵抗損失と消光損失を回避するためには薄いことが望ましい、及び2)発色団層は、すべての入射光子の吸収を確実にするためには厚いことが望ましい。典型的に、消光と吸収の最良のバランスを提供し、かつ最高の性能を与える厚さがあるだろう。
一連の素子の発色団の厚さの関数として性能(例えば、効率又は最大の電力)を測定することによって至適厚を決定することができる。発色団層は、好ましくは1単層〜500nmの厚さ、好ましくは約2単層〜100nmの厚さ、さらに好ましくは約3単層〜50nmの厚さ、最も好ましくは約4単層〜10nmの厚さである。
【0035】
追加の層が存在してもよく、追加の層として、励起子遮断層、電荷輸送層、追加の半導体層、バリア層、トンネル層、反射若しくは反射防止層、好ましい方向の結晶化度を誘導するためのアラインメント層、又は他の機能層が挙げられる。
染料及び顔料、又は発色団の非限定例として、ビピリジン及びフェナントロリンの金属錯体、シアン化金属錯体及び化合物、金属マクロ環又は非金属マクロ環(ポルフィリン、アザポルフィリン、フタロシアニン、拡大されたポルフィリン、及び環状ポリピロール(サフィリン(sapphyrin)及びテキサフィリン(texaphyrin)を含む)、ジベンゾテトラアザアンヌレン、クロロフィル、及びクロロフィリンを含む)、シアニン染料、フルオレッセイン染料、インジゴ型染料、フェノチアジン染料、ビオロゲン染料、カーボン、及びナノ粒子顔料、例えばカルコゲン化カドミウム、カルコゲン化亜鉛、カルコゲン化チタン等が挙げられる。
染料又は発色団の非限定の特定例として、ルテニウム(II)トリス(ビピリジン)、Ru(4,4'-ジカルボン酸-2,2'-ビピリジン)2(NCS)2、鉄(II)トリスビピリジン、鉄(II)トリスフェナントロリン、プルシアンブルー、C60、Ru2(CN)6、亜鉛テトラフェニルポルフィリン、鉄オクタキスカルボン酸エチルエステルフタロシアニン、コバルトサフィリン、鉄ヘキサエチルテキサフィリン、H2ジベンゾ-1,4,8,11-テトラアザ-14-アンヌレン、マグネシウムクロロフィル、銅クロロフィリン、メロシアニン、フルオレッセイン、インジゴ、メチレンブルー、パラコート、セレン化カドミウム、硫化亜鉛、硫化チタン等が挙げられる。
【0036】
〔実施例〕
実施例1:アクセプター双性イオン
〔4,4'-ジブロモトリフェニルアミン-4"-スルホン酸ナトリウムの調製〕
100mlの濃硫酸中の4,4'-ジブロモトリフェニルアミン(10g)の溶液を慎重に1リットルの氷水に注ぐ。混合物を100mlずつのジクロロメタンで2回抽出する。有機層を混ぜ合わせて100mlずつの水で3回洗浄する。有機層を1当量の水酸化ナトリウムで0.2Mの水溶液として処理する。減圧下で水を除去して粗製4,4'-ジブロモトリフェニルアミン-4"-スルホン酸ナトリウムを得る。
〔4,4'-ジブロモトリフェニルアミン-4"-スルホネート双性イオンラジカルの調製〕
粗製4,4'-ジブロモトリフェニルアミン-4"-スルホン酸ナトリウム(0.49g)を不活性雰囲気のグローブボックス内、室温で2リットルの無水THFに分散させる。生成混合物にテトラフルオロホウ酸ニトロソニウム(0.11g)を加える。混合物をろ過して副生物のテトラフルオロホウ酸ナトリウムといずれの残存出発原料をも除去する。結果のアクセプター双性イオン溶液はそのまま使用しうる。
【0037】
実施例2:ドナー双性イオン
〔ペリレンテトラカルボン酸モノアンヒドリド-モノ-N-ブチルイミド,PTBIの調製〕
250mlの三つ口丸底フラスコを1mlのブチルアミン、6mlのトリエチルアミン、及び50mlの水で充填する。フラスコに還流冷却器を取り付ける。反応混合物を窒素雰囲気下で0℃に冷却して、撹拌しながらペリレンテトラカルボン酸モノアンヒドリド一カリウム塩(H. Troster, Dyes and Pigments, 1983, 4, 171-177)(4.48g)を添加する。0℃で1時間撹拌後、混合物を室温に戻し、窒素下で48時間撹拌する。コンポジットを2時間還流させ、約50℃に冷却し、15mlの20% HCl水溶液で酸性にし、再び2時間還流させる。ろ過で赤色固体を集め、10% KOH水溶液(50ml)と混ぜ合わせ、90℃に2時間加熱する。塩化カリウム(40g)を加え、結果混合物を0℃に冷却してろ過する。固体を8%のKClと2%のK2CO3の水溶液に懸濁させ、ろ過する。緑色の蛍光を発しなくなるまで固体をこの溶液で洗浄する。固体を250mlの水に懸濁させ、90℃に2時間加熱する。この溶液をろ過して赤味がかったろ液を濃HClで酸性にする。溶液を再び90℃まで15分間加熱し、ろ過し、空気乾燥させる。
〔ペリレンテトラカルボン酸N'-ブチルイミド-N-(2-トリメチルアンモニウムエチル)イミドクロライド,PTBITIの調製〕
モノアンヒドリドPTBI(0.895g,2mmol)、塩化(2-アミノエチル)トリメチルアンモニウムハイドロクロライド(0.39g,2.2mmol)、ピリジン(50ml)、及びマグネチックスターラーバーをガラス圧力管内で封じる。この封管を撹拌しながら100℃に24時間加熱する。減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をメタノール/塩化メチレン溶出液にてカラムクロマトグラフィーで精製する。
〔ペリレンテトラカルボン酸N-(2-トリメチルアンモニウムエチル)イミド-N'-ブチルイミドラジカル双性イオン,PZの調製〕
不活性雰囲気のグローブボックス内、室温で精製PTBITI(0.2g)を1リットルの無水THFに分散させる。結果混合物にナトリウム金属(0.05g)を加える。数時間撹拌後、溶液は所望のペリレンラジカルアニオンが生成されたことを示す青色を呈する。混合物をろ過してNaCl、いずれのジアニオン、及びいずれの残存出発原料をも除去する。結果のドナー双性イオン溶液は、そのまま使用しるう。
【0038】
実施例3:
ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル),ポリマー1
不活性雰囲気の乾燥ボックス内で作業しながら以下の試薬を40mlのガラスバイアル内で混ぜ合わせた:1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコールエステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(0.1631g,0.390mmol)、4,4'-ジブロモトリフェニルアミン(0.1456g,0.361mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(5mlのトルエン中60mgの溶液,0.7ml)、トルエン(1.55ml)、及びAliquat 336(トリカプリリルメチルアンモニウムクロライド)(0.75mlの60%溶液(wt/wt)トルエン中)。ゴムセプタムを取り付けたキャップでバイアルを封止し、乾燥ボックスから取り出した。水溶液K2CO3の2M水溶液(1.5ml)を注射器で加え、バイアルを95℃で維持したオービタルシェーカー内で24時間加熱した。該ポリマードープの試料をポリスチレン標準物質に対して分析して以下の値を得た:Mn 10,874;Mw 35,283;PDI 3.24。有機層を2回メタノール中で凝固させた。固体を真空ろ過で収集した。
【0039】
実施例4:
ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-1,4-フェニルオキサジアゾリルフェニレン),ポリマー2
2,5-ジブロモジフェニルオキサジアゾール.
【化12】

【0040】
250mlの丸底フラスコに2,5-ジブロモ安息香酸(28g,0.1mol)とSOCl2(100ml)を添加する。ジブロモ安息香酸は完全には溶けなかった。N2下、混合物を90℃に5時間加熱してからRTに冷ました。過剰の塩化チオニルを真空蒸留で除去した。真空下で生成物を蒸留して21gの白色固体を得た。
上で調製した2,5-ジブロモベンゾイルクロライド(21g,73mmol)をフェニルテトラゾール(16g,110mmol)及びピリジン(無水)(50ml)と共に250mlの三つ口丸底フラスコに入れた。混合物をN2で120℃に加熱すると、急速なガス発生が起こった。30分後、ガス発生が止み、反応混合物をRTに冷まし、真空下(ロータリーエバポレータ)でピリジンを除去した。残留物質を300mlの塩化メチレンに溶かし、シリカゲルカラム(50mm径×150mm)に通して、化合した純粋生成物を含有するフラクションを溶出し、溶媒を放散させて24gの固形2,5-ジブロモジフェニルオキサジアゾールを得た(融点131〜133℃)。
〔ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-1,4-フェニルオキサジアゾリルフェニレン),ポリマー2〕
不活性雰囲気の乾燥ボックス内で作業しながら40mlのガラスバイアル内で以下の試薬を混ぜ合わせた:1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコール エステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(0.2374g,0.568mmol)、2,5-ジブロモジフェニルオキサジアゾール(0.1976g,0.52mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(12mg,l5mlのトルエン中60mgの溶液として1ml添加)、トルエン(0.65ml)、及びAliquat 336(トリカプリリルメチルアンモニウムクロライド)(トルエン中60%溶液(wt/wt)0.35ml)。ゴムセプタムを取り付けたキャップでバイアルを封止し、乾燥ボックスから取り出した。K2CO3の2M水溶液(0.8ml)を注射器で加え、95℃で維持したオービタルシェーカー内でバイアルを38時間加熱した。該ポリマードープの試料をポリスチレン標準物質に対してGPCで分析して以下の値を得た:Mn 12,585;Mw 52,284;PDI 4.15。有機層を2回メタノール中で凝固させ、ろ過し、真空下で乾燥させてポリマー2をオフホワイトの固体として得た。
【0041】
実施例5:
ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-ジフェニルオキサジアゾールジイル-コ-1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル),ポリマー3
〔1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコール エステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼンの調製〕
250mlの一口丸底フラスコに1,4-(ビス-ホウ素酸)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(12.9g,35mmol)とエチレングリコール(19.5ml,350mmol)を添加した。還流冷却器を取り付け、窒素下で2時間混合物を120〜150℃に加熱した。室温(RT)に冷却後、20mlのトルエンを加えた。Dean-Starkレシーバーを取り付け、約20mlのトルエンと水が収集されるまで混合物を加熱した。濃縮を停止後、混合物をRTに冷まし、フラスコを真空アダプターに接続して約120℃で過剰のエチレングリコールを蒸留した。フラスコをRTに冷まし、固体を収集して20mlの無水塩化メチレンに溶かした。ヘキサン無水物をゆっくり添加した(約80ml)。フラスコを冷凍庫に入れた。沈殿した白色の結晶性固体をろ過し、ヘキサンで洗浄し、真空乾燥させて9.3g(64%)を得た。
〔ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-ジフェニルオキサジアゾールジイル-コ-1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル),ポリマー3の調製〕
不活性雰囲気の乾燥ボックス内で作業しながら40mlのガラスバイアル内で以下の試薬を混ぜ合わせた:1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコールエステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(0.2174g,0.52mmol)、4,4'-ジブロモトリフェニルアミン(0.104g,0.26mmol)、4,4'-ジブロモジフェニルオキサジアゾール(0.099g,0.26mmol)(C. C. Walker and H Shechter, J. Am. Chem. Soc., 1968, 90, 5626-5627)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(12mg,5mlのトルエン中60mgの溶液として1ml添加)、トルエン(0.65ml)、及びAliquat 336(トリカプリリルメチルアンモニウムクロライド)(0.35ml,トルエン中60%の溶液(wt/wt))。ゴムセプタムを取り付けたキャップでバイアルを封止し、乾燥ボックスから取り出した。K2CO3の2M水溶液(0.8ml)を注射器で加え、95℃で維持したオービタルシェーカー内で一晩バイアルを加熱した。該ポリマードープの試料をポリスチレン標準物質に対してGPCで分析して以下の値を得た:Mn 17,278;Mw 45,016;PDI 2.60。有機層をメタノール中で凝固させ、固体をトルエンに再び溶かし、2回メタノール中で凝固させた。真空ろ過で緑色固体としてポリマー3を回収した。




















【0042】
【化13】

【0043】
実施例6:
スルホン化ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)- 4,4'-トリフェニルアミンジイル),ポリマー4
ポリマー1(1.2g)を20gのスルホランと共に穏やかに加熱しながら8時間撹拌する。この混合物に、0.25mlのSO3のスルホラン中の溶液(100ml中8g)を室温で加え、さらに16時間撹拌する。混合物をイソプロパノール(100ml)に注いでポリマーを沈殿させ、ろ過してイソプロパノールとヘキサンで洗浄し、100℃の真空乾燥器内で一晩乾燥させて乾燥粉末の酸形態のポリマー4を得る。既知重量のポリマーを既知量の標準水酸化ナトリウムと共に撹拌し、かつ酸で逆滴定することによってスルホン酸含量を測定することができる。
ポリマー4(0.5g)を0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液で処理して一晩撹拌する。次に、該ポリマーをろ過し、洗浄液が中性になるまで水洗し、100℃の真空乾燥器内で一晩乾燥させてナトリウム塩形態のポリマー4を得る。
上で調製したナトリウム塩形態のポリマー4(約0.5g)を25mlの塩化メチレンに懸濁させる。この混合物にテトラフルオロホウ酸ニトロソニウム(11.6mg,0.1mmol)を加える。この添加及びすべてのさらなる操作は不活性雰囲気下で行う。混合物を窒素雰囲気下で24時間撹拌する。固体をろ過し、自己ドープドポリマー4のスピンコーティングフィルム用にろ液を使用する。
【0044】
実施例7:ヘテロp-n接合部
ITO被覆ガラス(40オーム/平方)基板を超音波浴内でアセトンで清浄にしてから酸素プラズマで処理する。回転速度200〜2000rpmにて清浄基板をポリマー1(上記実施例3参照)でスピンコーティングし、ポリマー1の濃度を調整して100〜200nmの厚さを与える条件を決定する。不活性雰囲気下、ポリマー1の溶液を上記実施例1のアクセプター双性イオンと混合して、溶液中の1当量のトリアリールアミン繰返し単位当たり0.05当量のアクセプター双性イオンとなり、かつ該濃度がスピンコーティングに適するようにする(約0.1〜1g/L)。この混合物を用いて、清浄ITO被覆ガラス基板上にドープドポリマー1の150±20nmフィルムをスピンコーティングする。このコーティングした基板を真空中で15分間100℃に加熱し、真空下でRTにて24時間保持し、不活性雰囲気の環境に戻す。
不活性雰囲気下、ポリマー2(上記実施例4参照)の溶液を上記実施例2のドナー双性イオンの溶液と混合する。溶液中の1当量のオキサジアゾール繰返し単位当たり0.05当量のドナー双性イオンとなり、かつ該濃度がスピンコーティングに適するようにする。この混合物を用いて、ポリマー1が予め沈着した層上にドープドポリマー2の150±20nmフィルムをスピンコーティングする。このコーティングした基板を真空中で100℃にて10分間再び乾燥させてから真空下でRTにて24時間保持する。真空蒸着でアルミニウム電極(500nm)が沈着する。
結果の素子を100mW/cm2の白色光で照らすと、ITO及びAl電極間で光起電力が発生する。
【0045】
実施例7のホモ接合p-n接合部の概略図:
【化14】

【0046】
実施例8:ヘテロp-n接合部
ポリマー1の沈着前にBaytron P(Bayer AG, Germany)の薄層を清浄ITO上にスピンコーティングし(1500rpm)、真空下で150℃にて30分間乾燥させること以外、実施例7と同様。
実施例9:ヘテロp-n接合部
基板がイソプロパノールで洗浄して清浄にしたポリエステル上のITOであり、かつポリマー溶液をスピンコーティングする代わりに、100〜350nm厚のフィルムを与える濃度とスプレー持続時間の条件下でスプレーコーティングすること以外、実施例7と同様。
実施例10:ポリマー発色団
ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-5,15-(10,20-ジフェニルポルフィナト(porphinato))亜鉛ジイル),ポリマー7
不活性雰囲気の乾燥ボックス内で作業しながら40mlのガラスバイアル内で以下の試薬を混ぜ合わせる:1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコールエステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(0.2374g,0.568mmol)、5,15-ジブロモ-10,20-ジフェニルポルフィナト)亜鉛(S. G. DiMagno, V. S.-Y. Lin, and M. J. Therien, J. Org. Chem., 1993, 58, 5983-5993)(0.3883g,0.568mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(12mg)、炭酸カリウム(0.23g)、及び無水DMF(3ml)。ゴムセプタムを取り付けたキャップでバイアルを封止し、乾燥ボックスから取り出し、95℃で維持したオービタルシェーカー内で38時間加熱する。有機層を2回メタノール中で凝固させ、ろ過し、真空下で乾燥させて暗色粉末としてポリマー7を得る。
【0047】
実施例11:ヘテロp-n接合部のロール-ツー-ロール加工
数区分備えた装置でITO被覆ポリエステルフィルム(ロール1m×500m)を供給し、各区分では以下のように処理する。
1)フィルムを95%エタノール水溶液で軽く非研磨剤摩擦により洗浄し、空気乾燥させ、
2)窒素雰囲気内でドープドポリマー1の0.9ミクロン層をスプレーコーティングで塗布し、ポリマー1の溶液を上記実施例1のアクセプター双性イオンの溶液と混ぜ合わせて、溶液中1当量のトリアリールアミン繰返し単位当たり0.007当量のアクセプター双性イオンとなるようにし、
3)乾燥窒素気流下のIR加熱によって乾燥させ、
4)窒素雰囲気内でドープドポリマー2の0.8ミクロン層をスプレーコーティングし、ポリマー2の溶液を上記実施例2のドナー双性イオンの溶液と混ぜ合わせて、溶液中の1当量のオキサジアゾール繰返し単位当たり0.007当量のドナー双性イオンになるようにし、
5)乾燥窒素気流下のIR加熱によって乾燥させ、
6)減圧下でさらに100℃〜150℃に加熱することによって乾燥させ、
7)アルミニウム逆電極の真空蒸着、
8)エポキシシーリングコーティングを噴霧し、
9)前記エポキシシーリングコーティングを熱、紫外線及びe-ビームで硬化させる。
【0048】
実施例12:発色団層のあるヘテロp-n接合部のロール-ツー-ロール加工
実施例11と同様で、さらに以下のような区分を備える:
1a)表面の有機汚染を除去するための紫外線及びオゾンによる処理、
3a)以下の発色団:
a)銅オクタブチルフタロシアニン、
b)亜鉛テトラフェニルポルフィリン、
c)クロロフィリン、
d)Ru(4,4'-ジカルボン酸-2,2'-ビピリジン)2(NCS)2
e)セレン化カドミウム/スルフィドコア/殻量子ドット、
f)カーボンナノロッド、
g)炭素原繊維、及び
h)C60
から選択される発色団の溶液を、50〜100nmの発色団層が生じるように噴霧後、窒素気流下でIR加熱によって乾燥させる。
【0049】
実施例13:積層ヘテロp-n接合部ロール-ツー-ロール加工
数区分備えた装置でITO被覆ポリエステルフィルム(ロール1m×500m)を供給し、各区分では以下のように処理する。
1)フィルムを95%エタノール水溶液で軽く非研磨剤摩擦により洗浄し、空気乾燥させ、
2)窒素雰囲気内でドープドポリマー1の0.9ミクロン層をスプレーコーティングで塗布し、ポリマー1の溶液を上記実施例1のアクセプター双性イオンの溶液と混ぜ合わせて、溶液中1当量のトリアリールアミン繰返し単位当たり0.0075当量のアクセプター双性イオンとなるようにし、
3)乾燥窒素気流下のIR加熱によって乾燥させ、数区分備えた装置でアルミニウム被覆ポリエステルフィルム(ロール1m×500m)を供給し、各区分では以下のように処理する。
4)窒素雰囲気内でドープドポリマー2の0.8ミクロン層をスプレーコーティングし、ポリマー2の溶液を上記実施例2のドナー双性イオンの溶液と混ぜ合わせて、溶液中の1当量のオキサジアゾール繰返し単位当たり0.006当量のドナー双性イオンとなるようにし、
5)乾燥窒素気流下のIR加熱によって乾燥させ、かつ
6)窒素雰囲気下で、ポリマー1とポリマー2で被覆したプラスチックシートを加熱したロールで100psiの圧力下にて積層し、前記ドープドポリマーを接触させてp-n接合部を形成する。
【0050】
実施例14:発色団層のある積層ヘテロp-n接合部のロール-ツー-ロール加工
実施例13と同様で、さらに以下のような区分を備える:
1a)表面の有機汚染を除去するための紫外線及びオゾンによる処理、
3a)以下の発色団:
a)銅オクタブチルフタロシアニン、
b)亜鉛テトラフェニルポルフィリン、
c)クロロフィリン、
d)Ru(4,4'-ジカルボン酸-2,2'-ビピリジン)2(NCS)2
e)セレン化カドミウム/スルフィドコア/殻量子ドット、
f)カーボンナノロッド、
g)炭素原繊維、及び
h)C60
から選択される発色団の溶液を、50〜100nmの発色団層が生じるように噴霧後、窒素気流下でIR加熱によって乾燥させる。
【0051】
実施例15:ホモ接合ダイオード
超音波浴内でITO被覆ガラス(40オーム/平方)基板をアセトンで清浄にしてから酸素プラズマで処理する。清浄基板をポリマー3(上記実施例5参照)で200〜2000rpmの回転速度でスピンコーティングし、かつポリマー3の濃度を調整して100〜200nmの厚さを与える条件を決定する。不活性雰囲気下、ポリマー3の溶液を上記実施例1のアクセプター双性イオンの溶液と混合して、溶液中の1当量のトリアリールアミン繰返し単位当たり0.005当量のアクセプター双性イオンとなるようにし、かつスピンコーティングに適した濃度になるようにする(約0.1〜1g/L)。この混合物を用いて、清浄ITO被覆ガラス基板上にドープドポリマー3の150±20nmフィルムをスピンコーティングする。コーティングした基板を真空中で100℃にて15分間加熱し、RTにて24時間真空下で維持し、不活性雰囲気環境に戻す。
不活性雰囲気下でポリマー3の溶液を上記実施例2のドナー双性イオンの溶液と混して、溶液中の1当量のオキサジアゾール繰返し単位当たり0.005当量のドナー双性イオンとなるようにし、かつスピンコーティングに適した濃度になるようにする。この混合物を用いて、ポリマー3が予め沈着した層上にドープドポリマー3の150±20nmフィルムをスピンコーティングする。コーティングした基板を再び真空中で10分間100℃にて乾燥させてからRTで24時間真空下で維持する。真空蒸着によってアルミニウム電極(500nm)が沈着する。
【0052】
実施例14〜15のホモ接合p-n接合部の概略図:
【化15】

【0053】
結果の素子を100mW/cm2の白色光で照らすと、ITO及びAl電極間で光起電力が発生する。
実施例16:ホモ接合p-n接合部
ポリマー1とポリマー2に代えてポリマー3を使用すること以外、実施例13と同様。
実施例17:ホモ接合p-n接合部
ポリマー1とポリマー2に代えてポリマー3を使用すること以外、実施例14と同様。
実施例18:有機トランジスター
以下の工程でガラス基板上にpnpトランジスターを製作する。
1)標準的なリトグラフ技術を用いてアルミニウム(0.8ミクロン)の層を真空蒸着して“T”配置の幅10ミクロン及び長さ5mmの3電極にパターン化し(図5参照)(前記“T”のサイドアーム電極が、中心電極とそれぞれ4ミクロンの間隙をつくり、かつ中心電極がこれらサイド電極の縁を越えて6ミクロン伸長するようにパターン化する)、
2)実施例7で用いたドープドポリマー1の溶液からマスクを介して噴霧沈着によって底部の500nmのp型層24を沈着させて、電極21の末端が電極21の縁を越えて2ミクロン伸長する境界で覆われるように位置する14×24ミクロンの略長方形部分を覆い、真空乾燥器内で乾燥させ、
3)実施例7で用いたドープドポリマー2の溶液からマスクを介して噴霧沈着によって中央の500nmのn型層26を沈着させて、電極23及び底部のp型層と重なる18×36ミクロンの略長方形部分を覆い、真空乾燥器内で乾燥させ、
3)実施例7で用いたドープドポリマー1の溶液からマスクを介して噴霧沈着によって上部の500nmのp型層28を沈着させて、電極25及び電極21上の層24と26の領域重なるように位置する14×36ミクロンの略長方形部分を覆い、真空乾燥器内で乾燥させ、
5)気密性シールを素子全体の上に置く(図5には示さず)。
【0054】
実施例19;有機トランジスター
寸法をすべて線形に5要素(factor)減らし、かつマスクを介する噴霧沈着に関与する各工程をマイクロコンタクトプリンティングに置き換えること以外、実施例18と同様。
実施例20:ドープド共役染料p-n接合部
亜鉛5-(4-メチルピリジニウム)-10,15,20-トリフェニル-ポルフィリンクロライドのトルエン溶液(1ml,10-5M)をテトラヒドロフラン(THF)中のナトリウムナフタリドの溶液(0.1ml,10-4M)で処理し、1ミクロンフィルター及び0.3ミクロンフィルターでろ過する(すべての処理は乾燥した酸素フリー雰囲気下で)。結果の溶液をトルエン中の亜鉛テトラフェニルポルフィリンの溶液(20ml,10-4M)に加える。結果の溶液を用いてドープド亜鉛テトラフェニルポルフィリンの100nm層を導電性ITO被覆ポリエステルフィルム上に鋳造する。
テトラメチルアンモニウム銅5-(4-フェニルスルホナト)-10,15,20-トリ(4-n-ヘキシルフェニル)-ポルフィリン(1ml,10-5M)の溶液をTHF中のテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムの溶液(0.1ml,10-4M)で処理し、1ミクロンフィルターと0.3ミクロンフィルターでろ過する(すべて乾燥した酸素フリー雰囲気下で)。結果の溶液をトルエン中の銅テトラ(4-n-ヘキシルフェニル)ポルフィリンの溶液(20ml,10-4M)に加える。結果の溶液を用いて、ドープド亜鉛テトラフェニルポルフィリンの予め鋳造された層の上にドープド銅テトラ(4-n-ヘキシルフェニル)ポルフィリンの100nmの層を鋳造する。
この銅ポルフィリン層の上部に、真空蒸着で500nmのアルミニウム電極を沈着させる。
【0055】
実施例21:自己ドープドポリマーp-n接合部
アニオン繰返し単位用モノマー
【化16】

【0056】
DMF(200ml)中の4-ブロモベンゼンスルホン酸ナトリウム(35.22g,0.1mol)と4-メトキシフェノール(12.41g,0.1mol)の溶液を炭酸ナトリウム(11.66g,0.11mol)、ヨウ化銅(0.002mol)及び2,2'-ビピリジン(0.002mol)に加える。混合物を窒素下で維持し、130℃で8時間撹拌する。混合物をRTに冷まし、食塩に対して塩化メチレンで抽出する。粗生成物をエタノール-水から再結晶させる。
塩化メチレン中(100ml)の上記4-メトキシ-4'-(トリメチルアンモニウム)-フェニルエーテルクロライド(13.35g,0.05mol)の溶液に臭素(16g,0.1mol)を撹拌しながら一滴ずつ加える。24時間後、過剰の臭素と溶媒を真空下で除去する。粗生成物をエタノール-水から再結晶させる。
実施例22:自己ドープドポリマー,p型
ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル-コ-1,4-(2-メトキシ-5-(4-ナトリウムスルホナトフェニレンオキシ))フェニレン)、ポリマー5
不活性雰囲気の乾燥ボックス内で作業しながら40mlのガラスバイアル内で以下の試薬を混ぜ合わせる:1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコールエステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(0.1631g,0.390mmol)、4,4'-ジブロモトリフェニルアミン(0.1444g,0.358mmol)、ナトリウム1,4-ジブロモ-2-メトキシ-5-(4-スルホナトフェニレンオキシ)ベンゼン(1.27mg,0.003mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(5mlのトルエン中60mgの溶液0.7ml)、トルエン(1.55ml)、及びAliquat 336(トリカプリリルメチルアンモニウムクロライド)(0.75ml,トルエン中60%の溶液(wt/wt))。ゴムセプタムを取り付けたキャップでバイアルを封止し、乾燥ボックスから取り出す。K2CO3の2M水溶液(1.5ml)を注射器で加え、95℃で維持したオービタルシェーカー内でバイアルを24時間加熱する。有機層をメタノール中で2回凝固させる。固体ポリマー5を真空ろ過で収集する。
ポリマー5(0.062g,ドーパントに対して0.001mmol)を20mlの無水THFに溶かす。この溶液、不活性雰囲気のグローブボックス内で室温にてテトラフルオロホウ酸ニトロソニウム(0.000117g,段階希釈によって調製したTHF中の溶液として1ml)を加える。混合物をろ過(又は遠心分離)して副生物のテトラフルオロホウ酸ナトリウム及びいずれの残存出発原料をも除去する。結果の自己ポリマー5の溶液はそのまま次工程で使用する。
【0057】
実施例23:自己ドープドポリマー,n型
【化17】

【0058】
実施例24:カチオン繰返し単位用モノマー
DMF(200ml)中のナトリウム4-トリメチルアンモニウムブロモベンゼンクロライド(25.06g,0.1mol)と4-メトキシフェノール(12.41g,0.1mol)の溶液に炭酸ナトリウム(11.66g,0.11mol)、ヨウ化銅(0.002mol)及び2,2'-ビピリジン(0.002mol)を加える。混合物を窒素下で維持し、130℃で8時間撹拌する。混合物をRTに冷まし、食塩水に対して塩化メチレンで抽出する。粗生成物をエタノール-水から再結晶させる。
塩化メチレン(100ml)中の上記4-メトキシ-4'-(トリメチルアンモニウム)-フェニルエーテルクロライド(14.67g,0.05mol)の溶液に撹拌しながら臭素を(16g,0.1mol)一滴ずつ加える。24時間後、過剰の臭素と溶媒を真空下で除去する。粗生成物をエタノール-水から再結晶させる。
【0059】
ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-1,4-フェニルオキサジアゾリルフェニレン-コ-1,4-(2-メトキシ-5-(4-トリメチルアンモニウムフェニレンオキシクロライド)-フェニレン)),ポリマー6
不活性雰囲気の乾燥ボックス内で作業しながら40mlのガラスバイアル内で以下の試薬を混ぜ合わせる:1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコールエステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(0.2374g,0.568mmol)、2,5-ジブロモジフェニルオキサジアゾール(0.1976g,0.5174mmol)、1,4-ジブロモ-2-メトキシ-5-(4-トリメチルアンモニウム)ベンゼンクロライド(1.174mg,0.0026mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(12mg,5mlのトルエン中60mgの溶液1mlとして添加)、トルエン(0.65ml)、及びAliquat 336(トリカプリリルメチルアンモニウムクロライド)(トルエン中60%の溶液(wt/wt)0.35ml)。ゴムセプタムを取り付けたキャップでバイアルを封止し、乾燥ボックスから取り出す。K2CO3の2M溶液(0.8ml)を注射器で加え、95℃で維持したオービタルシェーカー内でバイアルを38時間加熱する。有機層をメタノール中で2回凝固させ、ろ過し、真空下で乾燥させてポリマー6を粉末として得る。
ポリマー6(0.0 g,ドーパントに対して0.001mmol)を20mlの無水THFに溶かす。この溶液に、不活性雰囲気のグローブボックス内で室温にてナトリウムナフタリド(0.000151g,THF中の溶液として,1ml,段階希釈で調製した)を加える。混合物をろ過(又は遠心分離)して副生物の塩化ナトリウムといずれの残存出発原料をも除去する。結果の自己ドープドポリマー6の溶液はそのまま次工程で使用する。
実施例25:自己ドープドp-n接合部
ポリエステル上のITOの基板(例えば、CPFilms Inc. Martinsville, VA製のOC-50フィルム)上に自己ドープドポリマー5の溶液をスピンコーティングし、真空乾燥させて750nm層を得る。自己ドープドポリマー6の溶液を、ポリエステル上の金の第2の基板上にスピンコーティングし、真空乾燥させて900nm層を得る。この2枚のフィルムコーティング基板を熱(基板が付着する最小温度として試行錯誤で決定した温度)と、ドープドポリマーフィルムが接触するような圧力で積層する。この積層した部分を越えて伸長する積層しないままで、かつ自己ドープドポリマーが除去され、或いは前工程で塗布されなかった、各基板の小区分に電気接触が生じる。
どちらかの側面から照射すると、ITO電極と金電極の間に光起電力が発生する。
【0060】
実施例26:ポリマー発色団ダイオード
5,15-ジ(4-ブロモフェニル)-10,20-ジ(4-n-ブチルフェニル)ポルフィリン
テトラフェニルポルフィリン合成の一般手順(例えばJ. Heterocycl. Chem., 1975, 12, 343参照)に従い、4-ブロモベンズアルデヒド(0.35mol)及び4-n-ブチルベンズアルデヒド(0.35mol)を、還流している氷酢酸に溶かす。沸騰している溶液にピロール(蒸留したて)(48.6ml,0.7mol)をゆっくり加える。この反応は発熱反応なので過剰の発熱を避けるように注意する。結果の暗色溶液を20分間加熱還流させてから、溶液を冷却してタール状の副生物の分離を防止しながらクロロホルム(250ml)を加える。結果混合物を氷浴内で35℃に冷まし、紫色の結晶をろ過で単離し、洗浄液が無色になるまでクロロホルムで洗浄する。
他の混合ポルフィリン(例えば5-(4-ブロモフェニル)-10,15,20-(トリ(4-n-ブチルフェニルポルフィリン、及びテトラ-5,10,15,20-(4-ブロモフェニル)ポルフィリン)及びそのシス異性体から、薄層クロマトグラフィーグレードのシリカゲル上でクロロホルムを用いてカラムクロマトグラフィーで所望生成物を分離する。
或いは、文献Org. Syn. 76, 287の方法を改変して、5-(フェニル)ジピロメタンに代えて5-(4-n-ブチルフェニル)ジピロメタンの調製でベンズアルデヒドの代わりに4-n-ブチルベンズアルデヒドを使う。また、ポルフィリン縮合工程で5-フェニルジピロメタンの代わりに5-(4-n-ブチルフェニル)ジピロメタンを使い、かつトリメチルオルトホルマートの代わりに4-ブロモベンズアルデヒドを使う。
遊離塩基ポルフィリンを、酢酸中50モル%過剰の酢酸亜鉛で処理して亜鉛錯体に変換する。メタノールをゆっくり添加して亜鉛ポルフィリンを回収する。結晶性固体をろ過し、メタノールで洗浄して乾燥させる。
不活性雰囲気の乾燥ボックス内で作業しながら40mlのガラスバイアル内で以下の試薬を混ぜ合わせる:1,4-(ビス-ホウ素酸エチレングリコールエステル)-2,5-ジヘキシルオキシベンゼン(0.2374g,0.568mmol)、亜鉛5,15-ジ(4-ブロモフェニル)-10,20-ジ(4-n-ブチルフェニル)ポルフィリン(0.517g,0.550mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(12mg)、炭酸カリウム(0.23g)、及び無水DMF(3ml)。ゴムセプタムを取り付けたキャップでバイアルを封止し、乾燥ボックスから取り出し、95℃で維持したオービタルシェーカー内で38時間加熱する。有機層をメタノール中で2回凝固させ、ろ過し、真空下で乾燥させて暗色粉末を得る。
【0061】
このポルフィリンポリマー(0.1g)を、上記実施例2のドナー双性イオンと共にトルエンと塩化メチレンの混合物に、各ポルフィリン繰返し単位に対して0.001当量のドナー双性イオンとなるように溶かし、ろ過し、ITO被覆ガラス基板上にスピンコーティングして150nm層を得、真空下で乾燥させる。不活性雰囲気下で、THF-トルエン中のポリマー1の溶液を上記実施例1のアクセプター双性イオンの溶液と混合して、溶液中の該ポリマーの1当量のトリアリールアミン繰返し単位当たり0.005当量のアクセプター双性イオンとなるようにし、かつスピンコーティングに適した濃度(約0.1〜1g/L)になるようにする。この混合物を用いて、予め沈着したポルフィリンポリマーの上面にドープドポリマー1の150フィルムをスピンコーティングして真空中で乾燥させる。
シャドーマスクを介してドープドポリマー1の層の上面にアルミニウム電極を真空蒸着させる。
このITO/ガラス基板を通して照射すると、ITO電極とAl電極にまたがって光起電力が発生する。
【0062】
実施例27:n型TiO2-発色団-p型有機半導体PVセル
以下の手順で、市販の導電性ガラスシート上に平滑なTiO2コーティングを調製する。
〔チタニウムビス(アセチルアセトン)〕
撹拌棒とセプタムキャップを取り付けた乾燥バイアルにチタニウムテトライソプロポキシド(2.8573g,1.005mmol)、次いで2,4-ペンタンジオン(1.0257g,1.0245mmol)を加え、迅速に氷水浴内で冷却した。暗黄色液体を一晩室温で撹拌した。溶液を32.4mlのエタノールで希釈した(200プルーフ)。
〔噴霧熱分解〕
チタニウムビス(アセチルアセトン)溶液をガラスクロマトグラフィー噴霧装置(Aldrich)に入れた。窒素で装置にわずかに圧力を加え、加熱板上で空中にて450℃に加熱した酸化スズ被覆ガラスシート(TEC 15ガラス, Pilkington, Toledo, OH)上に単流路で溶液を噴霧し、450℃〜500℃の加熱板上で空気中にて1時間アニールしてから冷ました。約1cm離れたプローブで2点抵抗を測定すると、37オームだった。
〔セル製作〕
オリゴマーのトリス(4,4'-ジアルキル-2,2'ビピリジル)ルテニウムヘキサフルオロホスフェートポリマー(M. Hara, J. t. Lean, and T. E. Mallouk, Chem. Mater., 2001, 13, 4668-4675)を、予め調製したTiO2面上にアセトニトリルからスピンコーティングして40nm層を得る。不活性雰囲気下で、ポリマー1の溶液を上記実施例1のアクセプター双性イオンの溶液と混合して、溶液中の1当量のトリアリールアミン繰返し単位当たり0.0015当量のアクセプター双性イオンとなり、かつスピンコーティングに適した濃度(約0.1〜1g/L)になるようにする。この混合物を用いて、ドープドポリマー1の800nmフィルムをルテニウムポリマーフィルム上にスピンコーティングする。コーティング基板を真空中100℃にて15分間加熱し、真空下RTで24時間維持し、不活性雰囲気に戻す。金の500nm層をドープドポリマー1層上にスパッタリングする。
ガラス基板を通して照射すると、TEC 15導電ガラスと金電極にまたがって光起電力が発生する。
【0063】
実施例28:ポリマー発色団ダイオード
不活性雰囲気下、THF-トルエン中のポリマー1の溶液を上記実施例1のアクセプター双性イオンの溶液と混合して、溶液中の該ポリマーの1当量のトリアリールアミン繰返し単位当たり0.005当量のアクセプター双性イオンとなるようにし、かつスピンコーティングに適した濃度(約0.1〜1g/L)になるようにする。この混合物を用いて、ITO被覆ガラス基板上にドープドポリマー1の150nmフィルムをスピンコーティングする。実施例27のポルフィリンポリマー(0.1g)を実施例2のドナー双性イオンと共に、各ポルフィリン繰返し単位について0.001当量のドナー双性イオンとなるようにトルエンと塩化メチレンの混合物に溶かし、ろ過し、予め沈着したポリマー1層の上面にスピンコーティングして真空中で乾燥させる。
ポルフィリンポリマー層の上面に、シャドーマスクを介してアルミニウム電極を真空蒸着させる。
このITO/ガラス基板を通して照射すると、ITO電極とAl電極をまたがって光起電力が発生する。
本明細書では特定の実施態様と実施例を開示したが、当業者は、文言的又は均等論のもとで添付の請求項の範囲内である本明細書で述べた有機材料を利用してダイオード及び他の電気素子を設計できると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施によって提供される有機ダイオードの一実施態様の概略図である。
【図2】p型領域とn型領域の相界が有限の厚さを有する、本発明の実施によって提供される有機ダイオードの別の実施態様の概略図である。
【図3】追加の層が存在する、本発明の実施によって提供される有機ダイオードの別の実施態様の概略図であり、追加の層としては、電子輸送層、正孔輸送層、p+層、n-層、電子遮断層、正孔遮断層、及び/又は緩衝層が挙げられる。
【図4】本発明の実施によって提供される有機トランジスターの一実施態様の断面図である。
【図5】図4の有機トランジスターの平面図である。
【図6】本発明の実施によって提供される、明瞭でない相界を有する界面の一実施態様の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極と、
この2つの電極間に配置される少なくとも2つの領域であって、
非移動性ドーパントでドープされた有機材料を含む第1の領域(ここで、該有機材料は、共役分子、オリゴマー、及びポリマーから成る群より選択される)、及び
半導体領域;
を含む前記少なくとも2つの領域、
とを含んでなるダイオード。
【請求項2】
前記第1の領域の前記非移動性ドーパントがp型ドーパントであり、かつ
前記半導体領域が、非移動性n型ドーパントでドープされた有機材料である(ここで、該有機材料は、共役分子、オリゴマー、及びポリマーから成る群より選択される)、請求項1記載のダイオード。
【請求項3】
前記2つの電極の少なくとも1つが透明である、請求項1記載のダイオード。
【請求項4】
該ダイオードが光ダイオードである、請求項3記載のダイオード。
【請求項5】
該ダイオードが光起電力セルである、請求項3記載のダイオード。
【請求項6】
前記半導体領域が無機半導体を含む、請求項1記載のダイオード。
【請求項7】
前記無機半導体がドープされている、請求項6記載のダイオード。
【請求項8】
前記無機半導体が、シリコン、ゲルマニウム、シリコンとゲルマニウムの化合物及び合金、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化ガリウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化モリブデン、及び硫化チタンから成る群より選択される、請求項7記載のダイオード。
【請求項9】
2つの電極と、
この2つの電極間に配置される少なくとも2つの層であって、
非移動性アクセプタードーパントでドープされた有機材料を含む第1の層(ここで、該有機材料は、共役分子、オリゴマー、及びポリマーから成る群より選択される)、及び
非移動性ドナードーパントでドープされた有機材料を含む第2の層(ここで、該有機材料は、共役分子、オリゴマー、及びポリマーから成る群より選択される)
を含む前記少なくとも2つの層、
とを含んでなるダイオード。
【請求項10】
前記第1及び第2の有機材料が、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリアリールアミン、ポリカルバゾール、ポリジアセチレン、ポリフルオレン、ポリインデン、ポリフェニレン、ポリフェニレンアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフタロシアニン、ポリポルフィリン、ポリピロール、ポリキナゾリン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリサフィリン、ポリシラン、ポリテキサフィリン、ポリチアゾール、ポリチオフェン、これらポリマーの対応オリゴマー、及び2種以上の異なる繰返し単位を含むこれらポリマーのコポリマーから成る群より独立的に選択され;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、アミド、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、シアノ、エステル、フルオロアルキル、フルオロアリール、ハライド、ヘテロアリール、スルホン、スルホキシ、及びチオエーテルから成る群より選択される炭素置換基でいずれの炭素上で置換されていてもよく;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、置換若しくは無置換アルキル、アリール、及び金属イオンから成る群より選択される窒素置換基でいずれの窒素原子上で置換されていてもよく;かつ
前記窒素置換基又は炭素置換基のいずれも架橋していてもよく、かつ該架橋置換基は、繰返し単位間で架橋していてもよい、請求項9記載のダイオード。
【請求項11】
前記第1及び第2の有機材料が、フルオロアリール、ヘキサセン、ヘキサチオフェン、ペンタセン、ペンタチオフェン、ペリレン、フタロシアニン、ポルフィリン、サフィリン、スチルベン、ターフェニル、テトラセン、テトラチオフェン、及びテキサフィリンから成る群より独立的に選択され;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、アミド、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、シアノ、エステル、フルオロアルキル、フルオロアリール、ハライド、ヘテロアリール、スルホン、スルホキシ、及びチオエーテルから成る群より選択される炭素置換基でいずれの炭素上で置換されていてもよく;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、置換若しくは無置換アルキル、アリール、及び金属イオンから成る群より選択される窒素置換基でいずれの窒素原子上で置換されていてもよく;かつ
前記窒素置換基又は炭素置換基のいずれも架橋していてもよい、請求項9記載のダイオード。
【請求項12】
前記第1及び第2の有機材料が、デンドリマー又はハイパーブランチポリマーのいずれか1つである、請求項9記載のダイオード。
【請求項13】
前記第1及び第2の有機材料の少なくとも一方が、少なくとも1種の共役マクロ環を含み、かつ前記共役マクロ環が、それぞれ独立的に、水素又は金属イオンのどちらか一方と配位結合している、請求項9記載のダイオード。
【請求項14】
前記第1及び第2の有機材料の少なくとも一方が、吸光係数が少なくとも104の、400nm〜700nmの吸収帯を有する発色団を含む、請求項9記載のダイオード。
【請求項15】
前記第1及び第2の有機材料の少なくとも一方が、双性イオンドーピング剤由来のドーパントを含む、請求項9記載のダイオード。
【請求項16】
非移動性ドナードーパントを有する第1の有機材料と、
第1の共役材料と同一又は異なってもよい第2の有機材料(ここで、第2の共役有機材料は、非移動性アクセプタードーパントを含む)とを含み、かつ第1及び第2の共役有機材料が、少なくとも1つの相界を有することを特徴とする組成物。
【請求項17】
前記相界が平面である、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記相界が粗面である、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
その粗さ係数が約1.1〜1000である、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
その粗さ係数が約1.1〜100である、請求項18記載の組成物。
【請求項21】
前記第1の有機材料と第2の有機材料の少なくとも一方が共役有機材料を含む、請求項17記載の組成物。
【請求項22】
前記相界が明瞭でなく、かつ約1〜1000nmの厚さを有する、請求項16記載の組成物。
【請求項23】
前記ドナードーパントが、第2相中濃度より高い第1相中濃度を有し、かつ前記アクセプタードーパントが、前記第1相中濃度より高い前記第2相中濃度を有する、請求項16記載の組成物。
【請求項24】
前記ドナードーパントの80%以上が前記第1相中にあり、かつ前記アクセプタードーパントの80%以上が前記第2相中にある、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
前記ドナードーパントが、前記第1の共役有機材料と化学的に結合している、請求項16記載の組成物。
【請求項26】
前記アクセプタードーパントが、前記第2の共役有機材料と化学的に結合している、請求項16記載の組成物。
【請求項27】
前記ドナードーパントが、双性イオンドーピング剤由来である、請求項16記載の組成物。
【請求項28】
前記アクセプタードーパントが、双性イオンドーピング剤由来である、請求項16記載の組成物。
【請求項29】
前記ドーパントが、イオン性オリゴマー又はポリマーのどちらか1つである、請求項16記載の組成物。
【請求項30】
前記第1及び第2の有機材料が、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリアリールアミン、ポリカルバゾール、ポリジアセチレン、ポリフルオレン、ポリインデン、ポリフェニレン、ポリフェニレンアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフタロシアニン、ポリポルフィリン、ポリピロール、ポリキナゾリン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリサフィリン、ポリシラン、ポリテキサフィリン、ポリチアゾール、ポリチオフェン、これらポリマーの対応オリゴマー、及び2種以上の異なる繰返し単位を含むこれらポリマーのコポリマーから成る群より独立的に選択され;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、アミド、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、シアノ、エステル、フルオロアルキル、フルオロアリール、ハライド、ヘテロアリール、スルホン、スルホキシ、及びチオエーテルから成る群より選択される炭素置換基でいずれの炭素上で置換されていてもよく;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、置換若しくは無置換アルキル、アリール、及び金属イオンから成る群より選択される窒素置換基でいずれの窒素原子上で置換されていてもよく;かつ
前記窒素置換基又は炭素置換基のいずれも架橋していてもよく、かつ該架橋置換基は、繰返し単位間で架橋していてもよい、請求項16記載の組成物。
【請求項31】
前記第1及び第2の有機材料が、フルオロアリール、ヘキサセン、ヘキサチオフェン、ペンタセン、ペンタチオフェン、ペリレン、フタロシアニン、ポルフィリン、サフィリン、スチルベン、ターフェニル、テトラセン、テトラチオフェン、及びテキサフィリンから成る群より独立的に選択され;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、アミド、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、シアノ、エステル、フルオロアルキル、フルオロアリール、ハライド、ヘテロアリール、スルホン、スルホキシ、及びチオエーテルから成る群より選択される炭素置換基でいずれの炭素上で置換されていてもよく;
前記有機材料は、それぞれ独立的に、置換若しくは無置換アルキル、アリール、及び金属イオンから成る群より選択される窒素置換基でいずれの窒素原子上で置換されていてもよく;かつ
前記窒素置換基又は炭素置換基のいずれも架橋していてもよい、請求項16記載の組成物。
【請求項32】
前記第1及び第2の有機材料が、デンドリマー又はハイパーブランチポリマーのいずれか1つである、請求項16記載の組成物。
【請求項33】
前記第1及び第2の有機材料の少なくとも一方が、少なくとも1種の共役マクロ環を含み、かつ前記共役マクロ環が、それぞれ独立的に、水素又は金属イオンのどちらか一方と配位結合している、請求項16記載の組成物。
【請求項34】
前記第1及び第2の有機材料の少なくとも一方が、吸光係数が少なくとも104の、400nm〜700nmの吸収帯を有する発色団を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項35】
有機p-n接合部の製作方法であって、以下の工程:
第1の非ドープドポリマーを溶媒に溶かし、前記第1の非ドープドポリマーをドーピング剤と反応させてドープドポリマーと副生物を生成し(該ドープドポリマーは溶液中に残存し、かつ該副生物は沈殿するように)、この溶液をろ過して前記副生物を除去する工程を含む、第1のドープドポリマーの溶液を形成する工程;
前記第1のドープドポリマーのろ過した溶液から前記第1のドープドポリマーの層を形成する工程;
第2の非ドープドポリマーを溶媒に溶かし、前記第2の非ドープドポリマーを第2のドーピング剤と反応させて第2のドープドポリマーと副生物を生成し(該第2のドープドポリマーは溶液中に残存し、かつ該副生物は沈殿するように)、この溶液をろ過して前記副生物を除去する工程を含む、第2のドープドポリマーの溶液を形成する工程;
前記第2のドープドポリマーのろ過した溶液から前記第2のドープドポリマーの層を形成する工程;及び
前記第1及び第2のドープドポリマーの層を積層する工程;
から成る、方法。
【請求項36】
有機p-n接合部の製作方法であって、以下の工程:
第1のドープドポリマーの溶液を形成する工程;
第1のドープドポリマーの層を形成する工程;
第2のドープドポリマーの溶液を形成する工程;
第2のドープドポリマーの層を形成する工程;及び
前記第1及び第2のドープドポリマーの層を積層する工程;
から成る、方法。
【請求項37】
前記第1のドープドポリマーフィルムが、電極を覆って形成される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記電極が透明電極である、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記第1及び第2のドープドポリマーがそれぞれ同一のポリマーを含むことによって、ホモ接合部を形成する、請求項35記載の方法。
【請求項40】
前記第1及び第2のドープドポリマーがそれぞれ異なる共役ポリマーを含むことによって、ヘテロ接合部を形成する、請求項35記載の方法。
【請求項41】
有機p-n接合部の製作方法であって、以下の工程:
第1の非ドープドポリマーを溶媒に溶かし、前記第1の非ドープドポリマーをドーピング剤と反応させてドープドポリマーを形成し(該ドープドポリマーは溶液から沈殿し、かつ該反応のいずれの副生物も溶液中に残存するように)、この溶液をろ過して前記第1ドープドポリマーを単離し、この第1のドープドポリマーを第2の溶媒に再び溶かして第1のドープドポリマー溶液を形成する工程を含む、第1のドープドポリマーの溶液を形成する工程;
前記第1のドープドポリマー溶液の第1の層を形成する工程;
第2の非ドープドポリマーを溶媒に溶かし、前記第2の非ドープドポリマーをドーピング剤と反応させて第2のドープドポリマーを形成し(該第2のドープドポリマーは溶液から沈殿し、かつ該反応のいずれの副生物も溶液中に残存するように)、この溶液をろ過して前記第2のドープドポリマーを単離し、この第2のドープドポリマーを第2の溶媒に再び溶かす工程を含む、第2のドープドポリマーの溶液を形成する工程;
前記第2のドープドポリマー溶液から前記第2のドープドポリマーの第2の層を形成する工程;及び
前記第1及び第2のドープドポリマーの層を積層する工程;
から成る、方法。
【請求項42】
前記第2のドープドポリマーの層を、前記第1のドープドポリマー層の全体を覆って、又は一部を覆って形成する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記第1及び第2の非ドープドポリマーの一方又は両方がイオン性であり、かつその対応するドープドポリマーは自己ドープドポリマーである、請求項35、41又は42記載の方法。
【請求項44】
前記層を形成する工程が、スピンコーティング、デイップコーティング、スプレーコーティング、カーテンコーティング、ドクターブレーデイング、スクリーンプリンティング、ロールプリンティング、フレキソプリンティング、オフセットプリンティング、インクジェットプリンティング、スプレーペインティング、スタンピング、及びブラシペインティングから成る群より選択されるプロセスを含む、請求項35〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記第1及び第2の共役有機材料の少なくとも一方が、ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル)を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項46】
前記第1及び第2の共役有機材料の少なくとも一方が、ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-1,4-フェニルオキサジアゾリルフェニレン)を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項47】
前記第1及び第2の共役有機材料の少なくとも一方が、ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-ジフェニルオキサジアゾールジイル-コ-1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル)を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項48】
前記第1及び第2の共役有機材料の少なくとも一方が、ポリ-1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル-コ-1,4-(2-メトキシ-5-(4-ナトリウムスルホナトフェニレンオキシ))フェニレン)を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項49】
前記第1及び第2の共役有機材料の少なくとも一方が、ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-1,4-フェニルオキサジアゾリルフェニレン-コ-1,4-(2-メトキシ-5-(4-トリメチルアンモニウムフェニレンオキシクロライド)-フェニレン))を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項50】
前記第1及び第2の層の少なくとも一方の有機材料が、ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル);ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-1,4-フェニルオキサジアゾリルフェニレン);ポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-ジフェニルオキサジアゾールジイル-コ-1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル);ポリ-1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-4,4'-トリフェニルアミンジイル-コ-1,4-(2-メトキシ-5-(4-ナトリウムスルホナトフェニレンオキシ))フェニレン);及びポリ(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシフェニレン)-1,4-フェニルオキサジアゾリルフェニレン-コ-1,4-(2-メトキシ-5-(4-トリメチルアンモニウムフェニレンオキシクロライド)-フェニレン))から成る群より選択される、請求項9記載のダイオード。
【請求項51】
第3の半導体領域と第3の電極を有する請求項1記載のダイオードであって、前記第3の電極は前記第3の半導体領域とだけ接し、かつ前記第3の半導体領域は前記第1の半導体領域又は第2の半導体領域の一方とだけ接して、pnp及びnpnから成る群より選択されるトランジスター構造を形成する、ダイオード。
【請求項52】
前記第1、第2、及び第3の領域が、すべて非移動性ドーパントでドープされた有機材料であり、かつ該有機材料は、それぞれ、共役分子、オリゴマー、及びポリマーから成る群より選択される、請求項51記載のダイオード。
【請求項53】
請求項1記載のダイオードと、該素子を嫌気的かつ無水状態で維持する手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−528122(P2007−528122A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534152(P2006−534152)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/032399
【国際公開番号】WO2005/034199
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(598101701)マックスデム インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】