説明

有機チュアブルサプリメント

ダイエタリーサプリメントおよび医薬化合物を送達するための有機チュアブル組成物。このチュアブル組成物は、有機送達ビヒクルおよび有効成分を含む。送達ビヒクルは、有機グミキャンディーを含んでもよい。有効成分は、使用者に所望の効果を与える大衆薬を含んでも、または処方薬を含んでもよい。有効成分はさらに、健康補助食品、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、可溶性および不溶性繊維、薬用植物、植物、アミノ酸および消化酵素の任意の組み合わせを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、「ORGANIC CHEWABLE SUPPLEMENT」との表題の2009年10月6日に出願した米国特許出願第12/574,577号および「ORGANIC CHEWABLE SUPPLEMENT」との表題の2009年3月5日に出願した米国特許出願第61/157,831号の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、有機チュアブルサプリメントに関し、より詳細には、ダイエタリーサプリメントおよび医薬化合物を送達するための有機チュアブル送達システムと、その製造方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
近年、チュアブルサプリメントがグミキャンディーサプリメントの形態で製造および販売されている。現在、一部のビタミンサプリメント、ミネラルサプリメントおよび健康サプリメントが、子供用サプリメント、大人用サプリメントを問わずチュアブルグミ形態で製造および販売されている。グミサプリメントの市場への導入は、ビタミンサプリメントを子供に毎日摂取させるのに特に有用であった。グミサプリメントは、丸剤の服用を好まない大人にとってもビタミンの1日の必要量を摂取する際に丸剤の代用になる。
【0004】
グミキャンディーは最初1920年に「グミベア」として売り出されたが、グミキャンディーがサプリメントの送達システムとして利用されるようなったのはごく最近になってからである。伝統的なグミキャンディーは、ソフトキャラメル、マシュマロ、気泡を多く含むウエハース、甘草、ワインガム、香錠、チョコレートコーティングマロおよび他の一連の菓子類に見られる基材に類似しているゼラチン基材から製造される。ゼラチンは、動物組織から得られるタンパク質で、水に入れると粘性溶液またはゲルを形成する。ゼラチンは、キャンディーに弾性および所望の噛める硬さを与え、キャンディーの保管期間を長くする。
【0005】
ゼラチンは無味無臭の化合物であるため、ゼラチン基材には通常グミキャンディーに風味を加える目的で甘味料および香味剤を加える。したがって、グミキャンディーは一般に、コーンシロップ、糖、ゼラチン、着色料および香味料のブレンドから製造される。
【0006】
グミキャンディーは、大量生産する場合、ゼラチン基材または生地を混合し、圧力および蒸気を組み合わせてゼラチン基材を煮詰める特殊なキャンディー釜に送り込まれる。煮詰めたら、煮詰めたキャンディーに真空を適用してキャンディーから過剰な水分を除去する。次いで煮詰めたキャンディーは、ゼラチン基材に着色料、香味料、酸および果物濃縮物を混合する混合ステーションに移動される。次に、一般にモーガル(mogul)と呼ばれるデンプン成形機により、煮詰めたゼラチン生地を、キャンディーを成形するデンプン充填モールドボードに送り込む。硬化後、グミはモールドから取り出され、次いで包装、配送および販売が行われる。
【0007】
有機キャンディーが市場に導入されたのは、ごく最近になってからである。これまで有機グミキャンディーは、サプリメントまたは医薬品の送達システムとして使用されたことがない。
【0008】
したがって、当該技術分野において有機グミベースのサプリメントが求められている。特に、あらゆる年齢の使用者にとってサプリメントおよび医薬品を容易かつ速く消化できるようにする有機グミ送達システムが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
ダイエタリーサプリメントおよび医薬化合物を送達する有機チュアブル組成物を提供する。チュアブル組成物は一般に、結合剤、有機甘味料および有効成分を含む。
【0010】
一つの実施においては、チュアブル組成物は、使用者の体内にダイエタリーサプリメントおよび/または医薬化合物を送達する薬物送達システムを含む。薬物送達システムは、グミキャンディー形態の薬物送達ビヒクルと、グミキャンディーの有効成分としてのダイエタリーサプリメントおよび/または医薬化合物とを含む。特に、送達ビヒクルは、有機グミキャンディーを含んでもよい。グミキャンディーは、有機甘味料、結合剤および天然香味料、着色料および防腐剤を含んでもよい。たとえば、一つの実施においては、グミキャンディーは、有機糖、有機シロップ、ペクチン、クエン酸、乳酸、天然着色料、天然香味料、分留ヤシ油およびカルナウバワックスを含んでもよい。
【0011】
有効成分は、使用者に所望の効果がある大衆薬(OTC:over−the−counter drug)または処方薬を含んでもよい。有効成分は、OTC薬または処方薬以外にも、植物抽出物および薬用植物抽出物(herbal extract)などの健康補助食品(すなわち、ヒトの健康状態に薬効があるとされる食品の抽出物)および酸化防止剤、またはビタミン、ミネラル、可溶性および不溶性繊維、薬用植物、植物、アミノ酸および消化酵素などのフードサプリメントの任意の組み合わせをさらに含んでもよい。
【0012】
以下の図および詳細な説明を検討すれば、当業者には本発明の他の装置、器具、システム、方法、特徴および利点が明らかであり、あるいは明らかになるであろう。そのような他のシステム、方法、特徴および利点はすべて本説明の中に含まれ、本発明の範囲内にあり、かつ添付の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
【0013】
以下の図を参照することにより本発明の理解を深めることができる。図面の各要素は必ずしも縮尺どおりであるとは限らない。むしろ、本発明の原理を明らかにするため強調がなされている。各図においては、異なる図であっても同じ参照番号は同じ部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の有機チュアブルサプリメントの製造方法の例のフローダイヤグラムを示す。
【図2】図2は、本発明の有機送達システムの送達ビヒクルに医薬化合物を組み込む方法の例のフローダイヤグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本発明は、有機チュアブルサプリメントに関し、特に、ダイエタリーサプリメントおよび医薬化合物の送達を促進する目的で設計された有機チュアブル送達システムに関する。この送達システムは、所望の効果を与える主有効成分、および送達のため有効成分を含ませるチュアブル送達ビヒクルを含む。
【0016】
本発明の一つの実施においては、主有効成分は、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、可溶性および不溶性繊維、薬用植物、植物、アミノ酸、消化酵素、または人の健康および福祉の増進のために消化される他の任意のサプリメントの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0017】
他の実施においては、主有効成分は、医薬化合物を含んでもよい。たとえば、一つの実施においては、医薬化合物は、一般的な疾病の症状を処置するOTC薬を含んでもよい。こうしたOTC薬として、液体または粉体形状のBenadryl(登録商標)、Sudafed(登録商標)、Claritin(登録商標)、Maalox(登録商標)、Mylanta(登録商標)、インスリン、Tums(登録商標)、Pepcid(登録商標)AC、Monistat(登録商標)、Ex−Lax(登録商標)、Imodium(登録商標)A.D.、Robitussin(登録商標)、Chloraseptic(登録商標)、Thera−flu(登録商標)、Alka−Seltzer、Motrin(登録商標)、Dramamine(登録商標)および同種のものを挙げることができる。別の実施においては、医薬化合物は、処方薬を含んでもよい。こうした処方薬として、液体または粉体形状のLipitor(登録商標)、Singulair(登録商標)、レクサプロ、Plavix(登録商標)、モルヒネ、ヒドロコドン(Vicodin(登録商標))、Demerol(登録商標)、コデイン、ジアゼパム(Valium(登録商標))、ペニシリン、Prevacid(登録商標)、Allegra−D(登録商標)、Celebrex(登録商標)、Crestor(登録商標)、Cialis(登録商標)、Valtrex(登録商標)、Ambien CR(登録商標)、Viagra(登録商標)、Flomax(登録商標)、Prozac(登録商標)および同種のものを挙げることができる。これらの実施においては、送達システムの有効成分は医薬品有効成分に加えて、ダイエタリーサプリメントの組み合わせをさらに含んでもよい。医薬化合物と一緒にダイエタリーサプリメントを含ませるのは、ある程度サプリメントと医薬化合物との相性による。
【0018】
用量に関しては、有効成分は一般にグラムまたはミリグラム単位で表されるが、活性単位または国際単位(IU:international unit)で表してもよい。本明細書で使用する場合、「医薬化合物」または「薬剤」とは、以下に限定されるものではないが、任意の薬剤、ホルモン、ペプチド、ヌクレオチド、抗体、あるいは疾患もしくは疾病の処置または予防に使用される他の化学物質または生物学的物質、あるいは身体の構造または機能に作用する物質を含むものとする。
【0019】
有効成分は、飲みやすく、服用しやすい送達ビヒクルで送達される。一つの実施においては、送達ビヒクルは、服用を容易にするグミキャンディーであってもよい。送達ビヒクルは、バインダー、甘味料、着色薬および香味剤を含んでもよい。
【0020】
送達システムの製造
次に図1に目を向けると、本発明の有機送達システム製造の方法100が開示されている。一般に、この製造方法は主に3つの段階:(i)配合(すなわち、混合)および保管の段階;(ii)バッチングおよび煮詰めの段階;および(iii)投入および硬化の段階を含む。
【0021】
配合および保管の第1段階は、混合槽で水と結合剤とを混合してゲル化化合物を形成するステップ110から始まる。一つの実施においては、混合槽は、1,000ガロンのステンレス鋼プラネタリーミキサー、表面掻き取りミキサー、撹拌機を備えた保持槽、または他の任意の好適なミキサーを含んでもよい。作製中は、混合槽で水および結合剤を連続的に混合し、撹拌機によりゲル化化合物を槽内で連続的に回転させて結合剤が水に懸濁した状態を維持する(すなわち結合剤が混合槽の底に沈降するのを防ぐ)。一つの実施においては、8時間で約6,000lb〜8,000lbのゲル化化合物を作製することができる。
【0022】
ゲル化化合物は、冷水、温水または湯を含んでもよい。ただし、温水または湯については、ゲル化化合物の水和時間(すなわち、水が結合剤を水和させるのにかかる時間)を短縮するため使用することができる。たとえば、約485lbの温水と混合した約15lbのペクチンは、約10分で均一な混合物になり得る。ゲル化化合物の水和速度は、撹拌機の速度によっても異なることがある。
【0023】
結合剤は、ペクチン、食品用デンプンまたはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。他の実施においては、結合剤は、有機規格に従うゼラチンをさらに含んでもよい。ゲル化化合物は使用する結合剤によって、たとえば以下の配合物の1つのみを含んでもよい:
【0024】
【表1A】

一つの実施においては、ゲル化化合物のpHを調整するため、この混合物に重硫酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムなどの緩衝液を混合してもよい。一つの実施においては、ゲル化化合物は、約0.01〜0.03重量%または他の任意の好適な量の緩衝液を含んでもよい。混合槽のpHは、ゲル化を適切に行い、ゲル化化合物が混合中に不安定(酸性)にならないようにするため約3.2〜約4.5の範囲に調整してもよい。結合剤がデンプンを含む実施においては、デンプンが安定な有機化合物であるため、化合物のpHのバランスを調整するための緩衝液は必要がないこともある。
【0025】
ステップ112では、スラリー中の微粒子を除去するためゲル化化合物を微細なメッシュで濾過して、保持槽に保管してもよい。一つの実施においては、5〜10分ごとに混合槽から保持槽に約140lb〜190lbのゲル化化合物を送ってもよい。フィルターは、0.034インチステンレス鋼バスケットストレーナーであってもよく、保持槽は1,500ガロンステンレス鋼槽であってもよい。いくつかの実施においては、保持槽は、化合物を混合し、結合剤が保管中に保持槽の底に沈降するのを防ぐため中程度の撹拌機(たとえば、混合羽根)を備えていてもよい。
【0026】
ステップ114では保持槽から混合容器に、たとえば5〜10分ごとに約125lb〜185lbのゲル化化合物を送ってもよい。一つの実施においては、混合容器は、5,000ガロンステンレス鋼プラネタリーミキサーであってもよい。他の実施においては、混合容器は、表面掻き取りミキサー、撹拌機を備えた保持槽、または他の任意のタイプの好適なミキサーであっても構わない。
【0027】
混合容器では、ゲル化化合物に水、添加剤、サプリメントおよび有効成分を加えて糖スラリーを形成してもよい。一つの実施においては、添加剤は、液体および/または粉体形状のクエン酸ナトリウム、有機糖および/または有機シロップなどの有機甘味料(たとえば、米およびタピオカ)を含んでもよい。一つの実施においては、サプリメントおよび/または有効成分は、ビタミン、ミネラル、薬用植物、植物、アミノ酸、酵素、または人の健康および福祉の増進のために消化される他の任意のサプリメントを含んでもよい。サプリメントは、以下に限定されるものではないが、以下のいずれかを含んでもよい:
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB3(ナイアシンアミド)
ビタミンB5(パントテン酸)
ビタミンB6(ピリドキシンHCL)
ビタミンB12
ビオチン
葉酸
ビタミンC(アスコルビン酸/活性化C)
カルシウム
カロチン
クロム
コリン

マグネシウム
亜鉛
タンパク質
ザクロ
イノシトール
ビタミンD(コレカルシフェロール)
ビタミンE(アセタート)
朝鮮人参

ビタミンK(フィトナジオン)
セントジョーンズワート
原料に関する上記のリストは、網羅的なものではなく、説明のみを目的として提供したものである。本発明のチュアブルサプリメントに使用してもよい入手可能な全サプリメントのリストは、長さが長すぎて掲載できない。
【0028】
一つの実施においては、糖スラリーは、約70重量%〜85重量%甘味料を含んでもよいが、スラリーの残りの約15%〜30%(重量)は、ゲル化化合物および添加剤を含んでもよい。より詳細には、スラリーは、水を約19重量%、クエン酸ナトリウムを2重量%、有機糖を30重量%、有機シロップを45重量%、サプリメントを3重量%、および主有効成分を1重量%含んでもよい。大部分の実施においては、キャンディースラリーは約5〜10分で均一な混合物になり得る。
【0029】
上述の成分およびその組成物は、単に例示のために掲載している。本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲で、糖スラリーの成分および組成物は、所望の配合物の種類に応じて異なっても構わない。たとえば、生成物を安定化するためにゲル化化合物にペクチンを加える実施においては、糖スラリーにコーンスターチを加えてもよいし、あるいは、生産原価を抑えるため、甘味料は、有機糖およびシロップの組み合わせを含んでもよい。有機シロップは、生産原価を抑えるためだけでなく、得られるキャンディーを練るために使用してもよい。
【0030】
糖およびシロップ添加剤は、作製の前にバルクタンクに保管しておいてもよい。一つの実施においては、シロップは、約75°Fの温度で保持槽に保管してもよい。保持槽では、シロップ中の任意の汚染物質を除去するため、シロップを紫外線で照射してもよい。シロップは、米のシロップ剤、タピオカシロップもしくは他の任意の好適な有機甘味料、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。シロップは作製中、混合容器に手作業で導入しても、または自動化により導入してもよい。
【0031】
同様に、糖も作製する前に保持槽で保管してもよい。糖は作製中、糖を濾過して任意の沈殿物を除去し、糖を秤量し、混合容器に所望の量の糖を送る自動供給システムで供給してもよい。他の実施においては、糖は、混合容器に手作業で加えてもよい。
【0032】
図1に戻ると、ステップ116ではスラリーから微粒子を除去する磁気装置で混合容器の糖スラリーを処理し、貯蔵バッファータンクに保管する。一つの実施においては、磁気装置はフィンガーマグネットでも、または他の任意の好適な磁気装置でもよく、貯蔵タンクは5,000ガロンステンレス鋼工業用保持槽であってもよい。他の実施においては、保持槽は、糖スラリーに有効成分を懸濁するための中程度の撹拌機を備えていてもよい。糖スラリーは、貯蔵バッファータンクに達する前に一連の熱交換器で約150°F〜180°Fの温度まで加熱してもよい。
【0033】
一つの実施においては、キャンディーのスラリーを約15lb/s〜20lb/sの質量流量で混合容器から貯蔵バッファータンクに供給し、約150°F〜200°Fの温度でスラリーを維持してもよい。同時に、単に例示にすぎないが、高温のキャンディーのスラリーを約10lb/s〜15lb/sの質量流量で貯蔵バッファータンクから静置釜に連続的に供給してもよい。
【0034】
バッチングおよび煮詰めの次の段階のステップ118では、キャンディーのスラリー混合物を静置釜に供給し、スラリーがゼラチン化する(すなわち、脱水する)まで約220°F〜260°Fの温度で約30秒間から60秒間煮詰める。一つの実施においては、静置釜は、2,500ガロンジャケット付き高圧蒸気釜、減圧釜または他の任意の好適な釜であってもよい。静置釜では、キャンディーのスラリーを約250°Fの温度まで沸騰させながら、スラリーから水分を蒸発させる。沸騰から約1分後、スラリーは約65〜75brix溶液からなってもよい(すなわち、スラリーは溶液100グラム当たり約65グラムから75グラムの糖からなってもよい)。
【0035】
キャンディーのスラリーを煮詰めた後、ステップ120ではキャンディーに真空を適用する。一つの実施においては、この圧力釜は、真空装置を備えていてもよい。別の実施においては、煮詰めたキャンディーは、工業用真空チャンバーまたは他の任意の好適な閉鎖容器に送ってもよい。
【0036】
真空ステップ120では、煮詰めたキャンディーから吸引圧力で水分を除く。一つの実施においては、真空により約2重量%〜5重量%水を除いてもよい。この時点で、煮詰めたキャンディーは、たとえば約67〜80brix、pH約2.8〜4.0であってもよい。
【0037】
真空状態から、煮詰めたキャンディーを、ドシエ(dosier)として一般に知られるトラフに濾過する。一つの実施においては、このフィルターは0.034インチバスケットストレーナーであってもよい。製造プロセスのこの時点で、煮詰めたキャンディーは、主に透明な糖組成物からなる。所望の色および風味を得るため、ここで煮詰めたキャンディーに着色薬および香味剤を加えてもよい。
【0038】
ステップ122では、煮詰めたキャンディーをドシエ(dosier)に通してもよい。ドシエ(dosier)では、キャンディーの風味を向上させるため、煮詰めたキャンディーに水、香味剤、着色薬および食品グレードの酸を加えてもよい。たとえば、キャンディーに所望の香味を与えるため、煮詰めたキャンディーには、イチゴ、オレンジ、パイナップルおよびブドウの濃縮物などの天然香味剤を加えてもよい。香味のバランスを調整するため、煮詰めたキャンディーに食品グレードの酸を加えてもよい。こうした食品用酸として、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、フマル酸、酒石酸もしくは他の任意の好適な食品用酸、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。一つの実施においては、煮詰めたキャンディーをドシエ(dosier)からモーガル(mogul)機に移動させながら、キャンディーに香味剤、着色薬および酸を連続的に加え(たとえば、滴下する)てもよい。
【0039】
煮詰めたキャンディーに加える香味剤、着色薬および酸の量は、ドシエ(dosier)に通す煮詰めたキャンディーの量および所望のキャンディー配合物によって異なる場合がある。たとえば、一つの実施においては、煮詰めたキャンディー組成物に香味剤を約1重量%〜2重量%、および酸を約0.01重量%〜0.03重量%加えてもよい。ただし、煮詰めたキャンディー配合物に加える酸および香味剤の量は、煮詰めたキャンディーが確実においしくなるようにバランスを調整する必要がある。したがって、配合物によっては配合物を苦くするため、煮詰めたキャンディーにより多くの香味剤、およびより少ない酸を加える必要があることもある。場合によっては、煮詰めたキャンディーに、香味剤の代わりに食品用酸のみを加えてもよい。
【0040】
ドシエ(dosier)内の煮詰めたキャンディー配合物には食品用酸だけでなく、着色薬および二酸化チタンを加えてもよい。着色薬は、キャンディーに所望の色(単数または複数)を与えるために加えてもよい。着色薬として、ブラックキャロット、アナトー、ターメリックおよびパープルベリーの濃縮物またはこれらの任意の組み合わせなどの天然着色薬を挙げることができる。
【0041】
二酸化チタンは、光沢を与えるためにキャンディーに加えてもよい。二酸化チタンは、煮詰めたキャンディー配合物を安定化させることもできるため、キャンディー配合物の取り扱い、包装または保管の際に着色薬がブリードしない。
【0042】
最終の投入および硬化の段階では、煮詰めたキャンディーをドシエ(dosier)に通した後、ステップ130でキャンディーをデンプン成形機に送ってもよい。一つの実施においては、デンプン成形機は、モーガル(mogul)機(単に「モーガル(mogul)」という)を備えていてもよい。モーガル(mogul)は、グミキャンディーの製造に関わる複数の作業を自動的に行うデンプン成形機である。
【0043】
グミキャンディーは、モーガル(mogul)における連続的なプロセスにより作製される。プロセスの開始時、煮詰めたキャンディーまたはグミ生地を投入器(たとえば、充填ノズル)でデンプンを塗布したトレー(「モーガル(mogul)ボード」)上に投入する。このトレーにより、煮詰めたキャンディーが固まり、トレーのモールドの形状をとり、一連の成形されたグミキャンディーが作製される。一つの実施においては、モーガル(mogul)ボードが投入器の下を通過する際、トレーに入れる必要があるキャンディーの正確な量を自動的に送るように投入器を調整する。他の実施においては、ステップ122で煮詰めたグミキャンディーに加えられる着色薬、香味剤および酸は、投入器でキャンディーに加えてもよい。
【0044】
モーガル(mogul)の主要な要素はデンプンであるため、この機械は、デンプン成形機と呼ばれる。この機械では、デンプンには主に3つの目的がある。第1に、デンプンはグミキャンディー生地がモーガル(mogul)ボードに粘着するのを防止するため、取り出しおよび取り扱いを容易にする。第2に、デンプンは、乾燥、冷却および配置の各プロセスでグミキャンディーを所定の位置に保持する。最後に、デンプンは、キャンディーから水分を吸収し、キャンディーのテクスチャーを適切なものにする。
【0045】
場合によっては、モーガル(mogul)ボードのコーティングに使用するデンプンは、ふるいにかけ、デンプン乾燥機で乾燥させてから、デンプン冷却器で冷却する再利用デンプンから調製された再循環デンプンを含んでもよい。この冷却したデンプンは、再びふるいにかけられ、モーガル(mogul)に充填され、そこでデンプンは同じプロセスで再循環される。次いで再循環デンプンは、モーガル(mogul)ボードに均一にスプレーしてもよい。次いで再循環デンプンでコーティングしたモーガル(mogul)ボード上に、煮詰めたキャンディーを投入すればよい。
【0046】
煮詰めたキャンディーをモーガル(mogul)ボード上に投入した後、モーガル(mogul)ボードは、積み重ねてもよく、その後コンベヤーベルトでその積み重ねから(1つずつ)取り出して、温度および湿度の管理された硬化室に収容する。硬化室では、キャンディーを約24時間から48時間静置し、冷却する(すなわち、硬化する)(ステップ132)。糖、油またはワックスのコーティングが施され、破損せずに包装しやすく、生産量が妥当になるには、適切な硬化時間が必要である。一つの実施においては、キャンディーは、硬化室において湿度約15%〜25%で硬化してもよい。
【0047】
硬化後、固まって適切なテクスチャーを持つグミキャンディーは、デンプンバックと呼ばれるモーガル(mogul)のセクションに移動してもよい。ステップ134では、デンプンバックのモーガル(mogul)ボードが反転し、グミキャンディーをタンブラー機に落とす。一つの実施においては、タンブラーは、2,000ガロン回転ドラムを備えていてもよいし、あるいは、いくつかの実施においては金属製の振動ふるいを備えていてもよい。タンブラーでは、グミキャンディーに付着した任意の過剰なデンプンを除去するため、グミをまとめてタンブルしてもよい。デンプンを除去したならば、グミは粘着性になることがあるため、煮詰めたキャンディーが相互に接着しないようにグミを磨いたり、あるいは油でコーティングしたりしてもよい。所望の最終製品または好みに応じて、分留ヤシ油、アマニ油、ヒマワリ油、蜜蝋、カルナウバワックス、鉱油もしくは他の任意の好適な食品グレードの油、またはこれらの組み合わせでグミを磨いてもよい。他の実施においては、シュガードラムを用いてグミを糖でまぶしてもよい。
【0048】
グミをコーティングした後、ステップ136ではグミを冷却ベルト(たとえば、コンベヤーベルト)に載せ、検査ステーションに移動させる。ステップ136では、グミキャンディーを検査ベルトに載せ、キャンディーの食品安全性および官能効果の適切性について検査する。たとえば、検査ベルト上のグミキャンディーを検出器またはX線に通過させて、投入段階でキャンディーに微粒子または他の異物が付着していないことを確認してもよい。
【0049】
ステップ138に進み、キャンディーが検査に合格したら、最終グミ製品を配送用に包装する。
【0050】
有機グミを作るには、薬剤の形成に使用する成分が有機認証の要件を満たしていなければならない。こうした有機規格に従う(organic compliant)成分として、ペクチン、有機糖、有機タピオカシロップ、有機ブドウジュース、クエン酸、乳酸、クエン酸ナトリウム、天然着色料(たとえば、ブラックキャロット、ジュース濃縮物、アナトー、ターメリック、パープルベリー濃縮物)および天然香味料(たとえば、イチゴ、オレンジ、パイナップル、ブドウ)、ならびにビタミン、ミネラルおよび他の機能成分の独自ブレンドがあるが、これに限定されるものではない。
【0051】
上記の開示は、本発明の送達システムの製造方法の一つの実施を記載するものにすぎない。本発明による送達システムを製造するには他の方法および実施を使用してもよい。
【0052】
医薬化合物の添加
本発明の送達システムには、医薬化合物を以下の3つの方法:(i)グミ組成物を煮詰める前の液体または固体として組み込む方法;(ii)封入により組み込む方法;あるいは(iii)グミ組成物を煮詰めた後に液体または抽出物の形態で組み込む方法のうちの1つにより組み込むことができる。送達システムに医薬品を組み込むやり方は、薬剤の熱感受性および化学組成物によって異なる。
【0053】
たとえば、第1の方法では、混合および保管段階におけるステップ114(図1)のゲル化化合物に薬剤を加えてもよい。一つの実施においては、薬剤は、固体、粉体または液体形状で混合容器に注入してもよい。
【0054】
多くの医薬化合物は熱に曝露されると破壊または分解されるため、この方法は、熱感受性薬剤にとっては効果的でない場合がある。たとえば、グミ製造プロセスの混合段階では、ゲル化化合物を185°Fの温度まで加熱することがある。したがって、この方法により送達システムに組み込まれる薬剤の化学構造は、200°Fを超える温度に耐え得るものでなければならない。
【0055】
プロバイオティクスなどの熱感受性薬剤の場合、第2の封入方法を適用してもよい。この第2の方法では、薬剤は、ステップ114(図1)のゲル化化合物に加える前に封入することができる。この方法は、熱に対してある程度抵抗性を示す固体または粉体形状の薬剤に最も効果的であり得る。
【0056】
薬剤は封入前に、個々の粒度が約10ミクロンから300ミクロンの範囲内になるように微粉砕してもよい。粒度が小さいほど、封入には効果的になる。薬剤は封入されるため、封入の有効性に応じて送達システムの薬剤の放出および吸収能力を制御してもよい。たとえば、封入により使用者の体への薬剤の初期放出を防止してもよい。
【0057】
一つの実施においては、プラネタリーミキサーを用いて低速で、膜形成剤を含む溶媒系を薬剤粒子と混合およびブレンドしてもよい。溶媒は水でも、またはエタノールでもよく、膜形成剤はエチルセルロースでも、ゼラチンでも、水溶性可塑剤(たとえば、グリセリン、キシリトールまたはグルコース)でも、または他の任意の好適な組成物でもよい。膜形成剤の溶液は薬剤粒子にゆっくりと加えて、個々の粒子が相互に十分に接着し、サイズが約300〜500ミクロンのより大きな顆粒を形成するようにしてもよい。封入の程度は、適用する膜形成剤溶液の層の数に応じて異なってもよい。一つの実施においては、膜コーティングは厚さが約1ミクロンまたはそれ未満である。膜形成剤と、コーティングされる有効成分の種類と、速放性と徐放性など薬剤放出の目的とに応じて、本発明と共に使用するのに好適な種々の標準的な医薬品コーティング技法が存在する。
【0058】
第3の方法では、香味剤および着色薬の段階でステップ122の煮詰めたキャンディーに熱感受性薬剤を加えてもよい。一つの実施においては、ドシエ(dosier)において煮詰めたキャンディーに、液体または抽出物の形態の薬剤を着色薬および/または香味剤と共に加えてもよい。他の実施においては、薬剤は固体または粉体形状で加えてもよいが、液体および抽出物の方が煮詰めたキャンディーに吸収されやすいため、製造プロセスのこの段階では液体または抽出物の形態の薬剤が好ましい。
【0059】
煮詰めたキャンディーに加える香味剤の量は、ゲル化化合物に加える医薬品の所望の香味および量によって異なる。医薬品の中には、望ましい味のチュアブル薬剤を得るのに様々な量の香味料、甘味料、着色料および酸を必要とするものもある。たとえば、特定の薬剤の香味を隠すため、混合物にイチゴ香味料またはサクランボ香味料などの着香剤を加えてもよい。薬剤に基づき、別の香味料を調整することも考えられ得る。非常に苦い薬剤の場合、香味料会社の香味マスキング香味料化合物を使用してもよい。
【0060】
次に図2に目を向けると、本発明の送達システムに医薬品を組み込む方法200の一つの実施が記載されている。この方法に従い、第1のステップ(ステップ210)では、グミキャンディーの試験バッチを調製し、製造プロセスのステップ114(図1)で混合容器のゲル化化合物に薬剤を加える。グミキャンディーを煮詰め、冷却し、硬化させた後、ステップ136(図1)でキャンディーを検査および試験して、キャンディーの薬剤組成物が所望のラベル要件を満たしている(すなわち、製品ラベルに印刷される用量を満たしている)ことを確認してもよい。薬剤組成物が確認された場合、最終グミ製品の化学配合を決定し、上述の組み込むに関する第1の方法を用いてグミキャンディーを大量生産し、包装してもよい。
【0061】
薬剤組成物が確認されない(すなわち、薬剤が熱感受性であるため、薬剤組成物が分解する)場合、第2の試験バッチを作製し、試験してもよい。このとき、薬剤が煮詰めの段階で分解するのを補うため、ステップ114(図1)でゲル化化合物に加える薬剤の用量を増やしてもよい(ステップ220)。たとえば、75mgの薬剤を作製するため混合秤量容器のゲル化化合物に100mgのアスピリンを加えても、最終製品で50mgのアスピリンしか測定されない場合、製造プロセスで失われる25mgのアスピリンを補うため、第2の作製では混合秤量容器のゲル化化合物に150mgのアスピリンを加えてもよい。
【0062】
試験を行い、薬剤組成物が確認された場合、最終グミ製品の化学配合を決定し、上述の組み込むに関する第1の方法を用いてグミキャンディーを大量生産し、包装してもよい。しかしながら、第2のバッチがラベル要件を満たさない場合、薬剤を封入したり、または製造プロセスの別の段階で薬剤を加えたりする必要があることもある。
【0063】
封入を必要とする場合、グミキャンディーの第3の試験バッチを作製してもよい(ステップ230)。このステップでは、封入した薬剤は、製造プロセスのステップ114(図1)で混合容器のゲル化化合物に加えてもよく、グミキャンディーをもう1度試験する。グミキャンディーがラベル要件を満たした場合、(封入した薬剤と共に)化学配合を決定し、上述の組み込むに関する第2の方法を用いてグミを大量生産し、包装してもよい。
【0064】
封入したグミキャンディー(cadies)がラベル要件を満たさない場合、製造プロセスの香味剤および着色薬の段階(ステップ240)で、煮詰めたキャンディーに、油、抽出物または液体として薬剤を組み込む必要があることもある。このステップでは、第4の試験バッチを作製してもよく、バッチには、製造プロセスのステップ122で着色薬および香味剤と一緒に煮詰めたキャンディーに液体薬剤または抽出物薬剤を加えてもよい。グミキャンディーの作製後、バッチをもう1度試験してキャンディーの薬剤組成物を確認してもよい。薬剤組成物が確認された場合、グミ製品の化学配合を決定し、上述の組み込むに関する第3の方法を用いてグミキャンディーを大量生産し、包装してもよい。第3のバッチがラベル要件を満たさない場合、それを踏まえてステップ122(図1)で液体または抽出物の用量を調整する必要があることもある。
【0065】
上述のプロセスは、一般に顆粒、固体または粉体形状で販売される薬剤にのみ適用し得る。一般に油、液体または抽出物の形態で販売される任意の薬剤は、製造プロセスの香味剤および着色薬の段階で煮詰めたキャンディーに自動的に加えてもよい。
【0066】
本発明の送達システムは薬剤を飲みやすくするだけでなく、本送達システムは噛める硬さであるため、あらゆる年齢の使用者、特に丸剤の服用に問題がある使用者にとって薬剤を消化しやすいものにする。さらに、送達システムの糖配合物は薬剤の血流への吸収を高める。さらに、大きな薬剤用量を消化できない使用者の場合、こうした使用者は本発明のチュアブル薬剤により1回により小さな薬剤用量を服用することができ(すなわち、使用者は、50mgの薬剤用量を1回服用する代わりに10mgのグミを5回服用することができ)、体が薬剤を速く吸収することができる。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本発明の有機チュアブルサプリメントを調製するための個々の配合物およびその濃度について記載する。
【0068】
チュアブルビタミン
一つの実施においては、本発明の送達システムは、有機チュアブルビタミンを含んでもよい。たとえば、以下の配合を用いて本発明に従い300mgのマルチビタミンを調製することができる:
【0069】
【表1B】

本実施例では、混合槽で約97lbの温水を約3lbのペクチンと混合して、水およびペクチンの均一な97/3ブレンドのゲル化化合物100lbを形成することができる。このゲル化化合物に約0.1重量%〜10重量%の重硫酸ナトリウムを加えてゲル化化合物のpHを約3.5まで下げてもよい。
【0070】
混合秤量容器で、ゲル化化合物を約6lbの水、30lbの有機糖および46lbの玄米シロップと混合してキャンディーのスラリーを形成してもよい。ステップ114(図1)ではキャンディーのスラリーに甘味料以外にも約2.5lb〜3lbのマルチビタミンブレンドを加えてもよい。一つの実施においては、マルチビタミンブレンドは、約2500IUのビタミンA、2mgのビタミンB−6、6mgのビタミンB−12、60mgのビタミンC、400IUのビタミンD、16mgのマグネシウム、15mcgのコリン、15mgの亜鉛、18.4mgのカルシウム、150mcgのヨウ素および15mcgのイノシトールを含んでもよい。さらにキャンディーのスラリーにはスラリーのpHを約3.0〜3.5に維持するため、約0.1重量%クエン酸ナトリウムを加えてもよい。
【0071】
次に、貯蔵バッファータンクから静置釜に通す前にキャンディーのスラリーを約180°Fの温度まで加熱してもよい。静置釜では、キャンディーのスラリーを約240°F〜245°Fの温度まで加熱し、スラリーを約78brixまで脱水してもよい。
【0072】
キャンディーを煮詰めた後、煮詰めたキャンディーを真空状態に送り、そこでキャンディーをさらに約80brixまで脱水してもよい。真空状態の解除後、煮詰めたキャンディーをドシエ(dosier)に入れ、煮詰めたキャンディーに約1.5重量%のイチゴ香味剤および約1重量%の赤キャベツ着色薬を加えてもよい。香味剤のバランスを調整するため、煮詰めたキャンディーに約0.1重量%クエン酸および約0.1重量%乳酸を加えてもよい。
【0073】
香味剤および着色薬の添加後、煮詰めたキャンディーはモーガル(mogul)機に投入し、次いで硬化させてもよい。キャンディーの硬化後、キャンディーはタンブリングドラムに加え、キャンディー上に残っていることがある任意のデンプンを取り除いてもよい。キャンディーをタンブルしながら、キャンディーが互いに接着しないようにキャンディーをコーティングするため、ドラムに約1重量%分留ヤシ油および約1重量%カルナウバワックスを注入してもよい。
【0074】
キャンディーをコーティングした後、キャンディーは検査を行い、最終製品がラベル要件を満たしていることを確認してから包装してもよい。
【0075】
チュアブル薬剤
別の実施においては、本発明の送達システムは、有機チュアブル薬剤を含んでもよい。たとえば、以下の配合を用いて本発明に従い50mgの有機チュアブルアスピリンを調製してもよい:
【0076】
【表1C】

本実施例では、混合槽で98lbの温水を2lbのペクチンと混合して、水およびペクチンの均一な98/2ブレンドのゲル化化合物100lbを形成することができる。このゲル化化合物に約0.1%〜10重量%重硫酸ナトリウムを加えてゲル化化合物のpHを約3.5まで下げてもよい。
【0077】
混合秤量容器で、ゲル化化合物を6lbの水、30lbの有機糖および46lbの有機タピオカシロップ剤と混合してキャンディーのスラリーを形成してもよい。アスピリンは熱感受性薬剤でないため、ステップ114(図1)ではキャンディーのスラリーに約0.4lb〜0.5lbのアスピリンを加えてもよい。さらにキャンディーのスラリーにはスラリーのpHを約3.0〜3.5に維持するため、約0.1重量%クエン酸ナトリウムを加えてもよい。
【0078】
次に、貯蔵バッファータンクから静置釜に通す前にキャンディーのスラリーを約180°Fの温度まで加熱してもよい。静置釜では、キャンディーのスラリーを約240°F〜約245°Fの温度まで加熱し、スラリーを約78brixまで脱水してもよい。
【0079】
キャンディーを煮詰めた後、煮詰めたキャンディーを真空状態に送り、そこでキャンディーをさらに約80brixまで脱水してもよい。真空状態の解除後、煮詰めたキャンディーをドシエ(dosier)に入れ、煮詰めたキャンディーに約1.5重量%の天然リンゴおよびサクランボ香味剤と1重量%のターメリックおよびブラックキャロットジュース着色薬とを加えてもよい。香味剤のバランスを調整するため、煮詰めたキャンディーに約0.1重量%クエン酸および約0.1重量%乳酸を加えてもよい。
【0080】
香味剤および着色薬の添加後、煮詰めたキャンディーはモーガル(mogul)機に投入し、次いで硬化させてもよい。キャンディーの硬化後、キャンディーはタンブリングドラムに加え、キャンディー上に残っていることがある任意のデンプンを取り除いてもよい。キャンディーをタンブルしながら、キャンディーをコーティングするため、約0.08%〜0.1重量%有機糖を加えてもよい。
【0081】
キャンディーをコーティングした後、キャンディーは検査を行い、最終製品がラベル要件を満たしていることを確認してから包装してもよい。
【0082】
ペクチンを基材とする有機グミは、従来の非有機グミキャンディーと異なり、弾性があると共に、やや脆く断面に光沢があるゲルテクスチャーを持つグミキャンディーになる。ペクチンとゼラチンとの間の異なる特性により、ペクチンベースのグミキャンディーの製造では別の課題が存在する。しかしながら、有機グミキャンディーの特性により、ペクチンベースの送達システムで提供される薬剤は、非有機グミに比べて消化が容易で速くなり、結果として薬物送達システムとしてより望ましいものになり得る。
【0083】
デンプンベースの薬剤
別の実施においては、本発明の送達システムは、デンプンベースのチュアブルビタミンを含んでもよい。以下の配合を用いて本発明に従い300mgのマルチビタミンを調製してもよい:
【0084】
【表1D】

本実施例では、混合槽で約91lbの温水を約9lbのデンプン化合物と混合して、水およびデンプンの均一な91/9ブレンドのゲル化化合物100lbを形成することができる。一つの実施においては、このデンプン化合物は、コーンスターチ、米デンプン、加工デンプンまたは他の任意の好適なデンプン化合物であってもよい。
【0085】
混合秤量容器で、ゲル化化合物を約6lbの水、30lbの有機糖および46lbのタピオカシロップと混合してキャンディーのスラリーを形成してもよい。ステップ114(図1)ではキャンディーのスラリーに約2.5〜3lbのマルチビタミンブレンドを加えてもよい。
【0086】
次に、貯蔵バッファータンクから静置釜に通す前にキャンディーのスラリーを約180°Fの温度まで加熱してもよい。静置釜では、キャンディーのスラリーを約240°F〜245°Fの温度まで加熱し、スラリーを約78brixまで脱水してもよい。
【0087】
キャンディーを煮詰めた後、煮詰めたキャンディーを真空状態に送り、そこでキャンディーをさらに約80brixまで脱水してもよい。真空状態の解除後、煮詰めたキャンディーをドシエ(dosier)に入れ、煮詰めたキャンディーに約1.5重量%のオレンジおよびサクランボ香味剤、および約1重量%のアナトーおよびターメリック着色薬を加えてもよい。香味剤のバランスを調整するため、煮詰めたキャンディーに約0.1重量%クエン酸および約0.1重量%乳酸を加えてもよい。
【0088】
香味剤および着色薬の添加後、煮詰めたキャンディーはモーガル(mogul)機に投入し、次いで硬化させてもよい。キャンディーの硬化後、キャンディーはタンブリングドラムに加え、キャンディー上に残っていることがある任意のデンプンを取り除いてもよい。キャンディーをタンブルしながら、キャンディーが互いに接着しないようにキャンディーをコーティングするため、ドラムに約1重量%分留ヤシ油および約1重量%カルナウバワックスを注入してもよい。
【0089】
キャンディーをコーティングした後、キャンディーは検査を行い、最終製品がラベル要件を満たしていることを確認してから包装してもよい。
【0090】
上記の実施例は、説明のみを目的としたものである。特に、本発明のチュアブル薬剤の配合物は、医薬品有効成分の所望の用量と、薬剤組成物に加える添加剤、甘味料および着色薬の量とに基づき異なってもよい。したがって、各チュアブル薬剤の好適な組成物を得るには試験が必要になる。
【0091】
本発明の実施についてグミ送達システムを参照しながら記載してきたが、本発明はこの用途に限定されるものではなく、ペクチン、有機ゼラチンまたはデンプン基材を含む任意のチュアブル組成物に容易に使用することができる。たとえば、本発明の実施においてはまた、有機錠剤、カプセルまたは固体キャンディーに使用してもよい。さらに本発明は、ゼリービーンまたはキャラメルベースのキャンディーなどキャンディーの他の形態に使用してもよい。さらに、本明細書には単に例示として保持および混合容器の寸法を記載したが、これらの容器の実際の寸法は、所定の時間(たとえば、1日当たり)に作製されるゲル化化合物およびキャンディーのスラリーの量に基づき異なっても構わない。
【0092】
実施に関する明細書本文は、例示および説明を目的として提示したものである。明細書本文は、網羅的なものではなく、特許請求の範囲に記載されている発明を、開示した形態そのものに限定するものではない。上記の記載に照らして修正および変形が可能であり、あるいは本発明の実施によって修正および変形が得られるかもしれない。特許請求の範囲およびその等価物が本発明の範囲を規定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機規格に従う結合剤;
有機甘味料;および
有効成分
を含む、チュアブル組成物。
【請求項2】
前記有効成分はダイエタリーサプリメントである、請求項1に記載のチュアブル組成物。
【請求項3】
前記ダイエタリーサプリメントはミネラルである、請求項2に記載のチュアブル組成物。
【請求項4】
前記ダイエタリーサプリメントはビタミンである、請求項2に記載のチュアブル組成物。
【請求項5】
前記ダイエタリーサプリメントは植物ベースのサプリメントである、請求項2に記載のチュアブル組成物。
【請求項6】
前記ダイエタリーサプリメントは酵素である、請求項2に記載のチュアブル組成物。
【請求項7】
前記有効成分は医薬化合物である、請求項1に記載のチュアブル組成物。
【請求項8】
前記医薬化合物は大衆薬である、請求項7に記載のチュアブル組成物。
【請求項9】
前記医薬化合物は処方薬である、請求項7に記載のチュアブル組成物。
【請求項10】
ビタミン、ミネラル、薬用植物および酵素の任意の組み合わせをさらに含む、請求項7に記載のチュアブル組成物。
【請求項11】
前記結合剤はペクチンである、請求項1に記載のチュアブル組成物。
【請求項12】
前記結合剤はデンプンである、請求項1に記載のチュアブル組成物。
【請求項13】
前記結合剤はデンプンおよびペクチンを含む、請求項1に記載のチュアブル組成物。
【請求項14】
前記組成物は有機と証明できる組成物との認可を受ける、請求項1に記載のチュアブル組成物。
【請求項15】
有機規格に従う結合剤および有機甘味料を含むグミキャンディー;
および
該グミキャンディーに組み込まれた有効成分
を含む、有機送達システム。
【請求項16】
前記有効成分はダイエタリーサプリメントである、請求項15に記載の送達システム。
【請求項17】
前記ダイエタリーサプリメントはミネラルである、請求項16に記載の送達システム。
【請求項18】
前記ダイエタリーサプリメントはビタミンである、請求項16に記載の送達システム。
【請求項19】
前記ダイエタリーサプリメントは植物ベースのサプリメントである、請求項16に記載の送達システム。
【請求項20】
前記ダイエタリーサプリメントは酵素である、請求項16に記載の送達システム。
【請求項21】
前記有効成分は医薬化合物である、請求項15に記載の送達システム。
【請求項22】
前記医薬化合物は大衆薬である、請求項21に記載の送達システム。
【請求項23】
前記医薬化合物は処方薬である、請求項21に記載の送達システム。
【請求項24】
ビタミン、ミネラル、薬用植物および酵素の任意の組み合わせをさらに含む、請求項21に記載の送達システム。
【請求項25】
前記結合剤はペクチンである、請求項15に記載の送達システム。
【請求項26】
前記結合剤はデンプンである、請求項15に記載の送達システム。
【請求項27】
前記結合剤はデンプンおよびペクチンを含む、請求項15に記載の送達システム。
【請求項28】
前記組成物は有機と証明できる組成物との認可を受ける、請求項15に記載の送達システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−519686(P2012−519686A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552928(P2011−552928)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059861
【国際公開番号】WO2010/101588
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511216547)ヒーロー ニュートリショナルズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】