説明

有機光導電性化合物及びそれを用いた電子写真感光体

【課題】高感度で高耐久性を有する電子写真感光体、及びこれを実現するための有機光伝導性化合物の提供。
【解決手段】一般式(1)で示される有機光伝導性化合物で、感光層に該化合物を含む電子写真感光体。


(Xは、酸素又は硫黄、Rはアルケニル基等、R及びRはH、アルキル基等、R及びRはアルキル基アリール基等である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機光導電性化合物及びそれを用いた電子写真感光体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の利用は複写機の分野に限らず、印刷版材、スライドフィルム、マイクロフィルムなどの、従来では写真技術が使われていた分野へ広がり、またレーザーやLED、CRTを光源とする高速プリンターへの応用も検討されている。また最近では光導電性材料の電子写真感光体以外の用途、例えば静電記録素子、センサー材料、EL素子などへの応用も検討され始めた。従って光導電性材料及びそれを用いた電子写真感光体に対する要求も高度で幅広いものになりつつある。これまで電子写真方式の感光体としては無機系の光導電性物質、例えばセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、シリコンなどが知られており、広く研究され、かつ実用化されている。これらの無機物質は多くの長所を持っているのと同時に、種々の欠点をも有している。例えばセレンには製造条件が難しく、熱や機械的衝撃で結晶化しやすいという欠点があり、硫化カドミウムや酸化亜鉛は耐湿性、耐久性に難がある。シリコンについては帯電性の不足や製造上の困難さが指摘されている。更に、セレンや硫化カドミウムには毒性の問題もある。
【0003】
これに対し、有機系の光導電性物質は成膜性がよく、可撓性も優れていて、軽量であり、透明性もよく、適当な増感方法により広範囲の波長域に対する感光体の設計が容易であるなどの利点を有していることから、次第にその実用化が注目を浴びている。
【0004】
ところで、電子写真技術に於て使用される感光体は、一般的に基本的な性質として次のような事が要求される。即ち、(1)暗所におけるコロナ放電に対して帯電性が高いこと、(2)得られた帯電電荷の暗所での漏洩(暗減衰)が少ないこと、(3)光の照射によって帯電電荷の散逸(光減衰)が速やかであること、(4)光照射後の残留電荷が少ないことなどである。
【0005】
しかしながら、今日まで有機系光導電性物質としてポリビニルカルバゾールを始めとする光導電性ポリマーに関して多くの研究がなされてきたが、これらは必ずしも皮膜性、可撓性、接着性が十分でなく、また上述の感光体としての基本的な性質を十分に具備しているとはいい難い。
【0006】
一方、有機系の低分子光導電性化合物については、感光体形成に用いる結着剤などを選択することにより、皮膜性や接着性、可撓性など機械的強度に優れた感光体を得ることができ得るものの、高感度の特性を保持し得るのに適した化合物を見出すことは困難である。
【0007】
このような点を改良するために電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる物質に分担させ、より高感度の特性を有する有機感光体が開発されている。機能分離型と称されているこのような感光体の特徴はそれぞれの機能に適した材料を広い範囲から選択できることであり、任意の性能を有する感光体を容易に作製し得ることから多くの研究が進められてきた。
【0008】
このうち、電荷発生機能を担当する物質としては、フタロシアニン顔料、スクエアリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料などの多種の物質が検討され、中でもアゾ顔料は多様な分子構造が可能であり、また、高い電荷発生効率が期待できることから広く研究され、実用化も進んでいる。しかしながら、このアゾ顔料においては、分子構造と電荷発生効率の関係はいまだに明らかになっていない。膨大な合成研究を積み重ねて、最適の構造を探索しているのが実情であるが、先に掲げた感光体として求められている基本的な性質や高い耐久性などの要求を十分に満足するものは、未だ得られていない。
【0009】
一方、電荷輸送機能を担当する物質には正孔輸送物質と電子輸送物質がある。正孔輸送物質としてはヒドラゾン化合物やスチルベン化合物など、電子輸送物質としては2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、ジフェノキノン誘導体など多種の物質が検討され、実用化も進んでいるが、こちらも膨大な合成研究を積み重ねて最適の構造を探索しているのが実情である。事実、これまでに多くの改良がなされてきたが、先に掲げた感光体として求められている基本的な性質や高い耐久性などの要求を十分に満足するものは、未だ得られていない。
【0010】
以上述べたように電子写真感光体の作製には種々の改良が成されてきたが、先に掲げた感光体として要求される基本的な性質や高い耐久性などの要求を十分に満足するものは未だ得られていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、帯電電位が高く高感度で、繰返し使用しても諸特性が変化せず安定した性能を発揮できる電子写真感光体及びセンサー材料、EL素子、静電記録素子などにも使用可能な有機光導電性化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記目的を達成すべく光導電性化合物の研究を行なった結果、特定の構造を有する有機光導電性化合物が有効であることを見出し、本発明に至った。上記で特定の構造を有する有機光導電性化合物とは、下記一般式(1)で示されるビススチルベン系化合物があげられ、この中でも、本発明において好ましくは下記一般式(2)で示されるビススチルベン系化合物があげられる。
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

【0015】
一般式(1)或いは(2)において、Xは酸素原子、または硫黄原子を示し、R4は置換基を有していてもよいアルケニル基、またはシクロアルケニル基を示し、R5、及びR6は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、またはアルケニル基を示し、R7は置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示し、R8は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。
【0016】
また、更に、本発明の特定の構造を有する有機光導電性化合物として、下記一般式(3)で示されるビススチルベン系化合物があげられ、この中でも、本発明において好ましくは下記一般式(4)で示されるビススチルベン系化合物があげられる。
【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】
一般式(3)或いは(4)において、Xは一般式(1)と同じである。R9は 水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。Ar2は置換基を有していてもよいアリール基、または複素環を示す。nは3〜6の整数を示す。
【0020】
また、更に、本発明の特定の構造を有する有機光導電性化合物として、下記一般式(5)で示されるビススチルベン系化合物があげられ、この中でも、本発明において好ましくは下記一般式(6)で示されるビススチルベン系化合物があげられる。
【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
一般式(5)或いは(6)において、Xは一般式(1)と同じである。R10は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。Ar3は置換基を有していてもよいアリール基、または複素環を示す。mは2〜5の整数を示す。
【0024】
また、更に、本発明の特定の構造を有する有機光導電性化合物として、下記一般式(7)で示されるビススチルベン系化合物があげられ、この中でも、本発明において好ましくは下記一般式(8)で示されるビススチルベン系化合物があげられる。
【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
一般式(7)或いは(8)において、Xは一般式(1)と同じである。Aは置換基を有していてもよいアリール基、または4−ビフェニル基を示す。R11は置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。R12は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。
【0028】
また、更に、本発明の特定の構造を有する有機光導電性化合物として、下記一般式(9)で示されるビススチルベン系化合物があげられ、この中でも、本発明において好ましくは下記一般式(10)で示されるビススチルベン系化合物があげられる。
【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
一般式(9)或いは(10)において、Xは一般式(1)と同じである。R13及びR14は、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。R15は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。pは3〜6の整数を示す。
【0032】
また、更に、本発明の特定の構造を有する有機光導電性化合物として、下記一般式(11)で示されるビススチルベン系化合物があげられ、この中でも、本発明において好ましくは下記一般式(12)で示されるビススチルベン系化合物があげられる。
【0033】
【化11】

【0034】
【化12】

【0035】
一般式(11)或いは(12)において、Xは一般式(1)と同じである。R19は置換基を有していてもよいアルキル基、またはアラルキル基を示す。R20は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示す。R21は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。
【0036】
また、更に、本発明の特定の構造を有する有機光導電性化合物として、下記一般式(13)で示されるビススチルベン系化合物があげられ、この中でも、本発明において好ましくは下記一般式(14)で示されるビススチルベン系化合物があげられる。
【0037】
【化13】

【0038】
【化14】

【0039】
一般式(13)或いは(14)において、Xは一般式(1)と同じである。R22は、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、または複素環を示し、R23は、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはハロゲン原子を示す。R24は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。
【0040】
ここで、Xの具体例としては、酸素原子、または硫黄原子があげられる。
【0041】
また、R23の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基などの低級アルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子などを挙げることができる。
【0042】
また、R7、R11、R13、及びR14の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メトキシプロピル基、2−クロル−3−メチルヘキシル基などの無置換或いは置換アルキル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、p−メチルベンジル基、o−メトキシベンジル基、3,5−ジクロルベンジル基、2,4−ジメチルフェネチル基、p−メトキシフェネチル基、2−メチル−3−フェニルプロピル基などの無置換或いは置換アラルキル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−クロルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−2−クロルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基などの無置換或いは置換アリール基、または2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、2,6−ジメチル−4−ピリジル基、3−インドリル基、2−キノリル基などの無置換或いは置換複素環基などを挙げることができる。
【0043】
また、R4の具体例としては、ビニル基、プロペニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、2−ブテニル基、3−メトキシクロチル基などの無置換或いは置換アルケニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、4−メチル−2−シクロヘキセニル基などの無置換或いは置換シクロアルケニル基などを挙げることができる。
【0044】
また、R5及びR6の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メトキシプロピル基、2−クロル−3−メチルヘキシル基などの無置換或いは置換アルキル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、2−ブテニル基、3−メトキシクロチル基などの無置換或いは置換アルケニル基などを挙げることができる。
【0045】
また、R8、R9、R10、R12、R15、R21、及びR24の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メトキシプロピル基、2−クロル−3−メチルヘキシル基などの無置換或いは置換アルキル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、p−メチルベンジル基、o−メトキシベンジル基、3,5−ジクロルベンジル基、2,4−ジメチルフェネチル基、p−メトキシフェネチル基、2−メチル−3−フェニルプロピル基などの無置換或いは置換アラルキル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−クロルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−2−クロルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基などの無置換或いは置換アリール基、または2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、2,6−ジメチル−4−ピリジル基、3−インドリル基、2−キノリル基などの無置換或いは置換複素環基などを挙げることができる。
【0046】
また、R19の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メトキシプロピル基、2−クロル−3−メチルヘキシル基などの無置換或いは置換アルキル基、またはベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、p−メチルベンジル基、o−メトキシベンジル基、3,5−ジクロルベンジル基、2,4−ジメチルフェネチル基、p−メトキシフェネチル基、2−メチル−3−フェニルプロピル基などの無置換或いは置換アラルキル基などを挙げることができる。
【0047】
また、R20の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基などの低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基などのベンジルオキシ基などを挙げることができる。
【0048】
また、R22の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メトキシプロピル基、2−クロル−3−メチルヘキシル基などの無置換或いは置換アルキル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−クロルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−2−クロルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基などの無置換或いは置換アリール基、または2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、2,6−ジメチル−4−ピリジル基、3−インドリル基、2−キノリル基などの無置換或いは置換複素環基などを挙げることができる。
【0049】
また、Ar2、及びAr3の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−クロルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−2−クロルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基などの無置換或いは置換アリール基、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、2,6−ジメチル−4−ピリジル基、3−インドリル基、2−キノリル基などの無置換或いは置換複素環基などを挙げることができる。
【0050】
また、Aの具体例としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−クロルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−メトキシ−2−クロルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基などの無置換或いは置換アリール基、または4−ビフェニル基などを挙げることができる。
【0051】
また、nは3〜6の整数を、mは2〜5の整数を、pは3〜6の整数を、それぞれ示す。
【発明の効果】
【0052】
本発明の有機光導電性化合物を用いれば高感度で高耐久性を有する、優れた電子写真感光体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明にかかわる一般式(1)、または(2)で示される有機光導電性化合物の具体例としては、以下に示すEB−01〜20のビススチルベン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
【化15】

【0055】
【化16】

【0056】
【化17】

【0057】
【化18】

【0058】
本発明にかかわる一般式(3)、または(4)で示される有機光導電性化合物の具体例としては、以下に示すEC−01〜20のビススチルベン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
【化19】

【0060】
【化20】

【0061】
【化21】

【0062】
【化22】

【0063】
本発明にかかわる一般式(5)、または(6)で示される有機光導電性化合物の具体例としては、以下に示すED−01〜20のビススチルベン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
【化23】

【0065】
【化24】

【0066】
【化25】

【0067】
【化26】

【0068】
本発明にかかわる一般式(7)、または(8)で示される有機光導電性化合物の具体例としては、以下に示すEE−01〜20のビススチルベン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
【化27】

【0070】
【化28】

【0071】
【化29】

【0072】
【化30】

【0073】
本発明にかかわる一般式(9)、または(10)で示される有機光導電性化合物の具体例としては、以下に示すEF−01〜20のビススチルベン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
【化31】

【0075】
【化32】

【0076】
【化33】

【0077】
【化34】

【0078】
本発明にかかわる一般式(11)、または(12)で示される有機光導電性化合物の具体例としては、以下に示すEH−02〜5、EH−08〜12、EH−14〜20のビススチルベン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
【化35】

【0080】
【化36】

【0081】
【化37】

【0082】
【化38】

【0083】
本発明にかかわる一般式(13)、または(14)で示される有機光導電性化合物の具体例としては、以下に示すEJ−01〜20のビススチルベン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
【化39】

【0085】
【化40】

【0086】
【化41】

【0087】
【化42】

【0088】
本発明の、一般式(1)〜(14)で示される有機光導電性化合物を含有する感光層を含む電子写真感光体の形態は、そのいずれを用いることもできる。例えば、導電性支持体上に電荷発生物質、電荷輸送物質、及びフィルム形成性結着剤樹脂からなる感光層を設けたものがある。また、導電性支持体上に、電荷発生物質と結着剤樹脂からなる電荷発生層と、電荷輸送物質と結着剤樹脂からなる電荷輸送層を設けた積層型の感光体も知られている。電荷発生層と電荷輸送層はどちらが上層となっても構わない。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に下引き層を、感光体表面にオーバーコート層を、積層型感光体の場合は電荷発生層と電荷輸送層との間に中間層を設けることもできる。本発明の化合物を用いて感光体を作製する支持体としては、金属製ドラム、金属板、導電性加工を施した紙やプラスチックフィルムのシート状、ドラム状あるいはベルト状の支持体などが使用される。
【0089】
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)〜(14)で示される有機光導電性化合物、及び電荷発生物質をそれぞれ1種類あるいは2種類以上含有することにより得られる。電荷発生物質には無機系電荷発生物質と有機系電荷発生物質があり、前者の例としては例えばセレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコンなどが挙げられる。有機系電荷発生物質の例としては、例えばメチルバイオレット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレットなどのトリフェニルメタン系染料、メチレンブルーなどのチアジン染料、キニザリンなどのキノン染料、シアニン染料、アクリジン染料、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、スクエアリウム色素、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、金属含有あるいは無金属のフタロシアニン系顔料などが挙げられ、また、アゾ顔料も用いられる。
【0090】
アゾ顔料としては、例えば特開昭47−37543号公報、特開昭53−95033号公報、特開昭53−132347号公報、特開昭53−133445号公報、特開昭54−12742号公報、特開昭54−20736号公報、特開昭54−20737号公報、特開昭54−21728号公報、特開昭54−22834号公報、特開昭55−69148号公報、特開昭55−69654号公報、特開昭55−79449号公報、特開昭55−117151号公報、特開昭56−46237号公報、特開昭56−116039号公報、特開昭56−116040号公報、特開昭56−119134号公報、特開昭56−143437号公報、特開昭57−63537号公報、特開昭57−63538号公報、特開昭57−63541号公報、特開昭57−63542号公報、特開昭57−63549号公報、特開昭57−66438号公報、特開昭57−74746号公報、特開昭57−78542号公報、特開昭57−78543号公報、特開昭57−90056号公報、特開昭57−90057号公報、特開昭57−90632号公報、特開昭57−116345号公報、特開昭57−202349号公報、特開昭58−4151号公報、特開昭58−90644号公報、特開昭58−144358号公報、特開昭58−177955号公報、特開昭59−31962号公報、特開昭59−33253号公報、特開昭59−71059号公報、特開昭59−72448号公報、特開昭59−78356号公報、特開昭59−136351号公報、特開昭59−201060号公報、特開昭60−15642号公報、特開昭60−140351号公報、特開昭60−179746号公報、特開昭61−11754号公報、特開昭61−90164号公報、特開昭61−90165号公報、特開昭61−90166号公報、特開昭61−112154号公報、特開昭61−269165号公報、特開昭61−281245号公報、特開昭61−51063号公報、特開昭62−267363号公報、特開昭63−68844号公報、特開昭63−89866号公報、特開昭63−139355号公報、特開昭63−142063号公報、特開昭63−183450号公報、特開昭63−282743号公報、特開昭64−21455号公報、特開昭64−78259号公報、特開平1−200267号公報、特開平1−202757号公報、特開平1−319754号公報、特開平2−72372号公報、特開平2−254467号公報、特開平3−95561号公報、特開平3−278063号公報、特開平4−96068号公報、特開平4−96069号公報、特開平4−147265号公報、特開平5−142841号公報、特開平5−303226号公報、特開平6−324504号公報、特開平7−168379号公報などに記載の化合物が挙げられる。
【0091】
また、これらのアゾ顔料に用いられるカプラー成分の構造は多岐に渡る。例えば特開昭54−17735号公報、特開昭54−79632号公報、特開昭57−176055号公報、特開昭59−197043号公報、特開昭60−130746号公報、特開昭60−153050号公報、特開昭60−103048号公報、特開昭60−189759号公報、特開昭63−131146号公報、特開昭63−155052号公報、特開平2−110569号公報、特開平4−149448号公報、特開平6−27705号公報、特開平6−348047号公報などに記載の化合物が挙げられる。
【0092】
上記アゾ顔料の具体例としては、以下の表1〜45に示す化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物と他の電荷発生物質を併用することも可能である。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
【表9】

【0102】
【表10】

【0103】
【表11】

【0104】
【表12】

【0105】
【表13】

【0106】
【表14】

【0107】
【表15】

【0108】
【表16】

【0109】
【表17】

【0110】
【表18】

【0111】
【表19】

【0112】
【表20】

【0113】
【表21】

【0114】
【表22】

【0115】
【表23】

【0116】
【表24】

【0117】
【表25】

【0118】
【表26】

【0119】
【表27】

【0120】
【表28】

【0121】
【表29】

【0122】
【表30】

【0123】
【表31】

【0124】
【表32】

【0125】
【表33】

【0126】
【表34】

【0127】
【表35】

【0128】
【表36】

【0129】
【表37】

【0130】
【表38】

【0131】
【表39】

【0132】
【表40】

【0133】
【表41】

【0134】
【表42】

【0135】
【表43】

【0136】
【表44】

【0137】
【表45】

【0138】
本発明において使用するフタロシアニン系顔料としては、それ自体公知のフタロシアニン及びその誘導体のいずれでも使用でき、具体的には、無金属フタロシアニン類、チタニルオキシフタロシアニン類、銅フタロシアニン類、アルミニウムフタロシアニン類、ジフェノキシゲルマニウムフタロシアニン類、ゲルマニウムフタロシアニン類、ガリウムフタロシアニン類、クロルガリウムフタロシアニン類、ブロムガリウムフタロシアニン類、クロルインジウムフタロシアニン類、ブロムインジウムフタロシアニン類、ヨードインジウムフタロシアニン類、マグネシウムフタロシアニン類、クロルアルミニウムフタロシアニン類、ブロムアルミニウムフタロシアニン類、スズフタロシアニン類、ジクロルスズフタロシアニン類、バナジルオキシフタロシアニン類、亜鉛フタロシアニン類、コバルトフタロシアニン類、ニッケルフタロシアニン類、ヒドロキシガリウムフタロシアニン類、ジヒドロキシガリウムフタロシアニン類、バリウムフタロシアニン類、ベリリウムフタロシアニン類、カドミウムフタロシアニン類、クロルコバルトフタロシアニン類、ジクロルチタニルフタロシアニン類、鉄フタロシアニン類、シリコンフタロシアニン類、鉛フタロシアニン類、白金フタロシアニン類、無金属ナフタロシアニン類、アルミニウムナフタロシアニン類、チタニルオキシナフタロシアニン類、ルテニウムフタロシアニン、パラジウムフタロシアニンなどが挙げられる。特にその中でも無金属フタロシアニン、チタニルオキシフタロシアニン、銅フタロシアニン、クロルアルミニウムフタロシアニン、クロルインジウムフタロシアニン、バナジルオキシフタロシアニン、ジフェノキシゲルマニウムフタロシアニン、クロルガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが本発明では好ましく用いられる。
【0139】
また、フタロシアニン系顔料は結晶多型の化合物として知られ、各種結晶型のフタロシアニン系顔料が見出されている。これらの結晶型や製造方法に関する記述として、無金属フタロシアニンは、特公昭49−4338号公報、特開昭58−182639号公報、特開昭60−19151号公報、特開昭62−47054号公報、特開昭62−143058号公報、特開昭63−286857号公報、特開平1−138563号公報、特開平1−230581号公報、特開平2−233769号公報、更にはJ.Phys.Chem.72,3230(1968)に記載されているものを挙げることができる。
【0140】
チタニルオキシフタロシアニンは、特開昭61−217050号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭62−229253号公報、特開昭63−364号公報、特開昭63−365号公報、特開昭63−366号公報、特開昭63−37163号公報、特開昭63−80263号公報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−198067号公報、特開昭63−218768号公報、特開昭64−17066号公報、特開平1−123868号公報、特開平1−138562号公報、特開平1−153757号公報、特開平1−172459号公報、特開平1−172462号公報、特開平1−189200号公報、特開平1−204969号公報、特開平1−207755号公報、特開平1−299874号公報、特開平2−8256号公報、特開平2−99969号公報、特開平2−131243号公報、特開平2−165156号公報、特開平2−165157号公報、特開平2−215866号公報、特開平2−267563号公報、特開平2−297560号公報、特開平3−35064号公報、特開平3−54264号公報、特開平3−84068号公報、特開平3−94264号公報、特開平3−100658号公報、特開平3−100659号公報、特開平3−123359号公報、特開平3−199268号公報、特開平3−200790号公報、特開平3−269064号公報、特開平4−145166号公報、特開平4−145167号公報、特開平4−153273号公報、特開平4−159373号公報、特開平4−179964号公報、特開平5−202309号公報、特開平5−279592号公報、特開平5−289380号公報、特開平6−336554号公報、特開平7−82503号公報、特開平7−82505号公報、更には特開平8−110649号公報に記載されているものを挙げることができる。
【0141】
また、銅フタロシアニンは、特公昭52−1667号公報、特開昭51−108847号公報、特開昭55−60958号公報に記載されているものや、更にはγ型、π型、χ型、ρ型などが知られておりこれらを挙げることができる。クロルアルミニウムフタロシアニンは、特開昭58−158649号公報、特開昭62−133462号公報、特開昭62−163060号公報、特開昭63−43155号公報、更には特開昭64−70762号公報に、クロルインジウムフタロシアニンは特開昭59−44054号公報、特開昭60−59355号公報、特開昭61−45249号公報、更には特開平7−13375号公報に、バナジルオキシフタロシアニンは、特開昭63−18361号公報、特開平1−204968号公報、特開平1−268763号公報、特開平3−269063号公報、更には特開平7−247442号公報に、ジフェノキシゲルマニウムフタロシアニンは、特開平4−360150号公報に、クロルガリウムフタロシアニンは、特開平5−194523号公報、更には特開平7−102183号公報に、ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、特開平5−263007号公報、更には特開平7−53892号公報に記載されているものを挙げることができる。
【0142】
本発明の一般式(1)〜(14)で示される有機光導性化合物を含む感光層を形成するために用いるフィルム形成性結着剤樹脂としては利用分野に応じて種々のものがあげられる。例えば複写用感光体の用途ではポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢ビ・クロトン酸共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂あるいはポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂などは感光体としての電位特性に優れている。また、これらの樹脂は、単独あるいは共重合体のいずれでもよく、またこれらを1種または2種以上を混合して用いることができる。これら結着剤樹脂の光導電性化合物に対して加える量は、20〜1000重量%が好ましく、50〜500重量%がより好ましい。
【0143】
積層型感光体の場合、電荷発生層に含有されるこれらの樹脂は、電荷発生物質に対して10〜500重量%が好ましく、50〜150重量%がより好ましい。樹脂の比率が高くなりすぎると電荷発生効率が低下し、また樹脂の比率が低くなりすぎると成膜性に問題が生じる。また、電荷輸送層に含有されるこれらの樹脂は、電荷輸送物質に対して20〜1000重量%が好ましく、50〜500重量%がより好ましい。樹脂の比率が高すぎると感度が低下し、また、樹脂の比率が低くなりすぎると繰り返し特性の悪化や塗膜の欠損を招くおそれがある。
【0144】
これらの樹脂の中には、引っ張り、曲げ、圧縮などの機械的強度に弱いものがある。この性質を改良するために、可塑性を与える物質を加えることができる。具体的には、フタル酸エステル(例えばDOP、DBPなど)、リン酸エステル(例えばTCP、TOPなど)、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル、ニトリルゴム、塩素化炭化水素などが挙げられる。これらの物質は、必要以上に添加すると電子写真特性の悪影響を及ぼすので、その割合は結着剤樹脂に対し20重量%以下が好ましい。
【0145】
その他、感光体中への添加物として酸化防止剤やカール防止剤など、塗工性の改良のためレベリング剤などを必要に応じて添加することができる。
【0146】
一般式(1)〜(14)で示される化合物は更に他の電荷輸送物質と組み合わせて用いることができる。電荷輸送物質には正孔輸送物質と電子輸送物質がある。前者の例としては、例えば特公昭34−5466号公報などに示されているオキサジアゾール類、特公昭45−555号公報などに示されているトリフェニルメタン類、特公昭52−4188号公報などに示されているピラゾリン類、特公昭55−42380号公報などに示されているヒドラゾン類、特開昭56−123544号公報などに示されているオキサジアゾール類などを挙げることができる。一方、電子輸送物質としては、例えばクロラニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシドなどがある。これらの電荷輸送物質は単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0147】
また、一般式(1)〜(14)で示される化合物と電荷移動錯体を形成し、更に増感効果を増大させる増感剤として、ある種の電子吸引性化合物を添加することもできる。この電子吸引性化合物としては例えば、2,3−ジクロル−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロル−5−ニトロアントラキノン、2−クロルアントラキノン、フェナントレンキノンなどのキノン類、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノンなどのケトン類、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリルなどのシアノ化合物、3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロルフタリドなどのフタリド類などを挙げることができる。
【0148】
本発明の有機光導電性化合物は、感光体の形態に応じて上記の種々の添加物質と共に適当な溶剤中に溶解または分散し、その塗布液を先に述べた導電性支持体上に塗布し、乾燥して感光体を製造することができる。
【0149】
塗布溶剤としてはクロルホルム、ジクロルエタン、ジクロルメタン、トリクロルエタン、トリクロルエチレン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、ギ酸メチル、メチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶剤及びn−ブタノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶剤などを挙げることができる。これらの溶剤は単独または2種以上の混合溶剤として使用することができる。
【実施例】
【0150】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0151】
【化43】

【0152】
【化44】

【0153】
合成例1 例示化合物(EB−01)の合成
上記(21)で示されるアルデヒド化合物5.0g、及び上記(22)で示されるフォスフォネート化合物10.6gを溶かした1,3−ジオキソラン50ml溶液に、室温で撹拌下、カリウムt−ブトキシド2.7gをゆっくりと加えた。室温下30分撹拌を続けた後、反応液を氷水400mlと酢酸エチル100mlの混合液に注ぎ込んで反応を停止し、30分撹拌した後有機層を分液し、更に水層を酢酸エチル100mlで2回抽出した。有機層をまとめ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られたオイル状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=7/1)で精製して目的とする化合物(EB−01)2.48gを得た。
【0154】
実施例1
アゾ顔料(K−1)1重量部及びポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン200)1重量部をテトラヒドロフラン100重量部と混合し、ペイントコンディショナー装置でガラスビーズと共に2時間分散した。こうして得た分散液を、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗布して乾燥し、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。次に例示化合物(EB−01)を、ポリアリレート樹脂(ユニチカ製U−ポリマー)と1:1の重量比で混合し、ジクロルエタンを溶媒として10重量%の溶液を作り、上記の電荷発生層の上にアプリケーターで塗布して膜厚約20μmの電荷輸送層を形成した。
【0155】
この様にして作製した積層型感光体について、静電記録試験装置(川口電機製SP−428)を用いて電子写真特性の評価を行なった。
測定条件:印加電圧−6kV、スタティックNo. 3(ターンテーブルの回転スピードモード:10m/min )。その結果、帯電電位(V0)が−750V半減露光量(E1/2)が1.2ルックス・秒と高感度の値を示した。
【0156】
更に同装置を用いて、帯電−除電(除電光:白色光で400ルックス×1秒照射)を1サイクルとする繰返し使用に対する特性評価を行った。5000回での繰返しによる帯電電位の変化を求めたところ、1回目の帯電電位(V0)−750Vに対し、5000回目の帯電電位(V0)は−740Vであり、繰返しによ る電位の低下がほとんどなく安定した特性を示した。また、1回目の半減露光量(E1/2)1.2ルックス・秒に対して5000回目の半減露光量(E1/2)は1.2ルックス・秒と変化がなく優れた特性を示した。
【0157】
実施例2〜69
実施例1のアゾ顔料(K−1)及び例示化合物(EB−01)の代わりに、それぞれ表46〜表52に示すアゾ顔料、及び本発明の化合物を用いた他は、実施例1と同様にして感光体を作製してその特性を評価した。結果を表46〜表52に示す。
【0158】
【表46】

【0159】
【表47】

【0160】
【表48】

【0161】
【表49】

【0162】
【表50】

【0163】
【表51】

【0164】
【表52】

【0165】
実施例70
アゾ顔料(J−2)1重量部とテトラヒドロフラン40重量部を、ペイントコンディショナー装置でガラスビーズと共に8時間分散処理した。こうして得た分散液に、例示化合物(EJ−03)を2.5重量部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学製PCZ−200)10重量部、テトラヒドロフラン60重量部を加え、更にペイントコンディショナー装置で30分間分散処理を行った後、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗布し、膜厚約15μmの感光層を形成した。この感光体の電子写真特性を、実施例1と同様にして評価した。ただし、印加電圧のみ+5kVに変更した。その結果、1回目の帯電電位(V0)+460V、半減露光量(E1/2)1.4ルックス・秒、5000回繰り返し後の帯 電電位(V0)+450V、半減露光量(E1/2)1.4ルックス・秒と、高感度でしかも変化の少ない、優れた特性を示した。
【0166】
実施例71〜137
実施例70のアゾ顔料(J−2)及び例示化合物(EJ−03)の代わりに、それぞれ表53〜表59に示すアゾ顔料及び本発明の化合物を用いた他は、実施例70と同様にして感光体を作製してその特性を評価した。結果を表53〜表59に示す。
【0167】
【表53】

【0168】
【表54】

【0169】
【表55】

【0170】
【表56】

【0171】
【表57】

【0172】
【表58】

【0173】
【表59】

【0174】
実施例138〜170
実施例1のアゾ顔料(K−1)の代わりにCuKα1.541オンク゛ストロームのX 線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が、9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に主要なピークを示すX線回折スペクトルを有するチタニルオキシフタロシアニン(Y型チタニルオキシフタロシアニン)を、例示化合物(EB−01)の代わりにそれぞれ表60〜66に示す本発明の化合物を用いた他は、実施例1と同様にして感光体を作製してその特性を評価した。結果を表60〜66に示す。
【0175】
【表60】

【0176】
【表61】

【0177】
【表62】

【0178】
【表63】

【0179】
【表64】

【0180】
【表65】

【0181】
【表66】

【0182】
実施例171〜204
実施例70のアゾ顔料(J−2)の代わりにY型チタニルオキシフタロシアニンを、例示化合物(EJ−03)の代わりにそれぞれ表67〜73に示す本発明の化合物を用いた他は、実施例70と同様にして感光体を作製してその特性を評価した。結果を表67〜73に示す。
【0183】
【表67】

【0184】
【表68】

【0185】
【表69】

【0186】
【表70】

【0187】
【表71】

【0188】
【表72】

【0189】
【表73】

【0190】
比較例1
電荷輸送物質として例示化合物(EB−01)の代わりに下記に示す比較化合物(RA−1)を用いた他は、実施例1と同様の操作で感光体を作製し特性を評価した結果、1回目の帯電電位(V0)−640Vに対し、5000回目の帯電電位(V0)は−340Vであり、初期の帯電電位が悪い上に、繰返しによる大 幅な電位の低下がみられた。また、1回目の半減露光量(E1/2)2.3ルックス・秒に対して5000回目の半減露光量(E1/2)は5.5ルックス・秒と感度の低下もみられた。
【0191】
【化45】

【0192】
比較例2〜10
同様にして、電荷輸送物質として例示化合物(EB−01)の代わりに下記に示す比較化合物(RB−1〜RK−1)を用いた他は、実施例1と同様の操作で感光体を作製し特性を評価した。結果は表74に示したように、全てのもので感度の低下や、繰り返しによる帯電電位の低下がみられた。
【0193】
【化46】

【0194】
【化47】

【0195】
【化48】

【0196】
【化49】

【0197】
【化50】

【0198】
【化51】

【0199】
【化52】

【0200】
【化53】

【0201】
【化54】

【0202】
【表74】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される有機光導電性化合物。
【化1】

(一般式(1)において、Xは酸素原子、または硫黄原子を示し、R4は置換基を有していてもよいアルケニル基、またはシクロアルケニル基を示し、R5及びR6は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、またはアルケニル基を示し、R7は置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示し、R8は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で示される請求項1記載の有機光導電性化合物。
【化2】

(一般式(2)において、X及びR4は一般式(1)と同じである。)
【請求項3】
下記一般式(3)で示される有機光導電性化合物。
【化3】

(一般式(3)において、Xは一般式(1)と同じである。R9は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。Ar2は置換基を有していてもよいアリール基、または複素環を示す。nは3〜6の整数を示す。)
【請求項4】
下記一般式(4)で示される請求項3記載の有機光導電性化合物。
【化4】

(一般式(4)において、X及びAr2は一般式(3)と同じである。)
【請求項5】
下記一般式(5)で示される有機光導電性化合物。
【化5】

(一般式(5)において、Xは一般式(1)と同じである。R10は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。Ar3は置換基を有していてもよいアリール基、または複素環を示す。mは2〜5の整数を示す。)
【請求項6】
下記一般式(6)で示される請求項5記載の有機光導電性化合物。
【化6】

(一般式(6)において、X及びmは一般式(5)と同じである。)
【請求項7】
下記一般式(7)で示される有機光導電性化合物。
【化7】

(一般式(7)において、Xは一般式(1)と同じである。Aは置換基を有していてもよいアリール基、または4−ビフェニル基を示す。R11は置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。R12は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。)
【請求項8】
下記一般式(8)で示される請求項7記載の有機光導電性化合物。
【化8】

(一般式(8)において、X及びAは一般式(7)と同じである。)
【請求項9】
下記一般式(9)で示される有機光導電性化合物。
【化9】

(一般式(9)において、Xは一般式(1)と同じである。R13及びR14は、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。R15は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。pは3〜6の整数を示す。)
【請求項10】
下記一般式(10)で示される請求項9記載の有機光導電性化合物。
【化10】

(一般式(10)において、X、R13、及びR14は一般式(9)と同じである。)
【請求項11】
下記一般式(11)で示される有機光導電性化合物。
【化11】

(一般式(11)において、Xは一般式(1)と同じである。R19は置換基を有していてもよいアルキル基、またはアラルキル基を示す。R20は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示す。R21は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。)
【請求項12】
下記一般式(12)で示される請求項11記載の有機光導電性化合物。
【化12】

(一般式(12)において、X、R19、及びR20は一般式(11)と同じである。)
【請求項13】
下記一般式(13)で示される有機光導電性化合物。
【化13】

(一般式(13)において、Xは一般式(1)と同じである。R22は、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示し、R23は、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはハロゲン原子を示す。R24は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、または複素環を示す。)
【請求項14】
下記一般式(14)で示される請求項13記載の有機光導電性化合物。
【化14】

(一般式(14)において、X、R22、及びR23は一般式(13)と同じである。)
【請求項15】
導電性支持体上に上記一般式(1)〜(14)で示される有機光導電性化合物の少なくとも1種を含む感光層を有することを特徴とする電子写真感光体。
【請求項16】
感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有し、この電荷輸送物質が上記一般式(1)〜(14)で示される有機光導電性化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項15記載の電子写真感光体。

【公開番号】特開2006−70031(P2006−70031A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239298(P2005−239298)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【分割の表示】特願平10−247678の分割
【原出願日】平成10年9月2日(1998.9.2)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】