説明

有機化合物の反応装置および反応方法

【課題】有機化合物が保有するエネルギーを高効率で回収できる反応方法および反応装置を提供すること。
【解決手段】有機化合物101を加熱する第1の反応器203と、有機化合物101の熱化学反応により発生する生成物103と水207を直接接触させて熱交換することにより水蒸気を発生させる熱交換器204と、生成物103中の可燃成分の一部を燃焼させる燃焼器208と、燃焼器208得られる燃焼熱を熱源として未燃焼の生成物103と水蒸気とを熱化学反応させる第2の反応器209から構成されたものであり、有機化合物101から発生する生成物103の熱を回収して水蒸気を発生させて、さらに可燃成分の燃焼熱を未燃焼の可燃成分と水蒸気の熱化学反応の熱源として利用するため、有機化合物101の熱化学反応をさらに高効率で行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物を加熱反応させ、エネルギーを創出する有機化合物の反応装置および反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機化合物や有機廃棄物を熱分解あるいはガス化して、原料がもつエネルギーを回収し、有効利用するシステムの研究、開発が盛んに行われている。
【0003】
このようなシステムで重要なことは、原料がもつエネルギーを最大限に回収することと、エネルギー回収のためにシステムが消費するエネルギーを最小限に止めることにある。
【0004】
前者の指標としては、回収したガス発熱量を原料発熱量で除した冷ガス効率がある。また、後者の指標は定義や、実測が困難であり、明確な指標や検討例などの報告はほとんど見当たらない。
【0005】
有機化合物のガス化では、生成物として熱分解ガス、タールなどの揮発成分、チャー、灰分など残渣がある。冷ガス効率を向上させるためには、揮発成分、残渣をうまくガスに転換することが必要であるし、また、揮発成分は、低温部で凝縮することにより、長時間運転した場合等において排気管の閉塞等の原因となるため、非凝縮性ガスになるまで低分子化することが好ましい。
【0006】
前記揮発成分をガス化する一つの方法として、分解触媒がある。ここでいう揮発成分とは、高分子の炭化水素が主成分であるので、石油精製プロセスで使用されるニッケル等が効果的であると期待されている。また、前記ニッケルより高性能な触媒としてはルテニウム等がある。
【0007】
さらに、生成した揮発成分を多孔質粒子で一時的に捕捉し、その後、酸素や空気により燃焼する方法がある。この場合、燃焼熱をシステム内で利用することにより、システムのエネルギー消費量を低減できる。
【0008】
例えば、媒体粒子を循環させることにより、媒体粒子中に捕集されたチャーの燃焼熱を原料の熱分解に利用する循環流動床がある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図3は、特許文献1に記載された従来の統合型循環流動床ガス化炉の基本的構成図である。
【0010】
図3に示すように、統合型循環流動床ガス化炉は、ガス化室1、捕集装置2、燃焼室3を併せ持つことにより構成されている。ガス化室1には原料aが供給され、そのガス化室1において原料aの熱分解ガス化、および生成ガスの分解、改質が行われる。
【0011】
ガス化室1内で生成されたチャーや生成ガスは、流動媒体とともに捕集装置2に流入する。捕集装置2では、飛散粒子eの捕集と可燃ガスcの分離回収を行い、燃焼室3では飛散粒子中におけるチャー等の可燃分の燃焼を行う。
【0012】
ガス化室1の下部には、濃厚流動層または高速流動層が形成されている。そして、ガス化室1の下部が濃厚流動層である場合には、濃厚流動層上部から蒸気または窒素等のガスを流動化ガスb2として供給することによってガス化室1上部を高速流動層とする。
【0013】
ガス化室1では、熱分解ガス化により生成したガスを分解、改質することを目的として、高速流動層を高温化するために酸素を含むガスを流動化ガスb1、b2として供給してもよく、生成したガスの一部を燃焼させてもよい。酸素を含むガスは、流動化ガスb1とb2のいずれか一方もしくは双方に供給する。
【0014】
そして、燃焼室3でチャー等を燃焼した飛散粒子eは、再度ガス化室1に戻される。
【0015】
このことにより、有機化合物の熱分解ガス化プロセスにおいて発生するタールなどを分解、改質し、さらにチャーを燃焼した燃焼熱を再度熱分解に利用することにより、ガス転換率を向上させるとともに、システムの消費エネルギーを低減できる。
【特許文献1】特開2003−176486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来の構成は、熱分解ガス化で生成したガスを蒸気または窒素を外部から供給することにより分解、改質しており、蒸気を供給する場合には別途ボイラ等、窒素を供給する場合にも加熱器や熱交換器等が必要であり、システム全体が大型化するという課題があった。
【0017】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、システムの小型化がはかれ、またエネルギー効率の向上をはかることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために本発明は、有機化合物を加熱して熱化学反応を起こす第1の反応器と、前記有機化合物の熱化学反応により発生する生成物と水を熱交換することにより水蒸気を発生させる熱交換器と、前記生成物中の可燃成分の一部を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器で得られる燃焼熱を熱源として未燃焼の前記生成物と前記水蒸気とを熱化学反応させる第2の反応器を備えた有機化合物の反応装置としたものである。
【0019】
かかることにより、前記生成物の燃焼に伴い得られた燃焼熱を、未燃焼の生成物と水蒸気の熱化学反応に利用する構成であり、システムを小型化できるものである。
【0020】
また、本発明は、有機化合物の反応方法として、第1の反応器で有機化合物を加熱し、熱化学反応させて生成物を創出する創出工程と、前記創出された生成物を高加熱された熱交換器内で水と熱交換させる熱交換工程と、前記熱交換工程で発生した前記生成物の揮発成分に含まれる高沸点成分及び水蒸気を燃焼器に供給する供給工程と、前記燃焼器内の可燃性成分を燃焼させる燃焼行程を備えたものである。
【0021】
かかることにより、また可燃成分の一部を燃焼させて熱エネルギーとして利用するため、エネルギー効率が高い反応方法となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、特許文献1に記載の従来技術と比較し、有機化合物の熱分解ガス化で生成する水蒸気、揮発成分または熱分解ガスの顕熱または潜熱を回収して水蒸気を発生させ、また可燃成分の一部を燃焼させて熱エネルギーとして利用するため、エネルギー効率が高く、小型のシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
請求項1に記載の発明は、有機化合物を加熱して熱化学反応を起こす第1の反応器と、前記有機化合物の熱化学反応により発生する生成物と水を熱交換することにより水蒸気を発生させる熱交換器と、前記生成物中の可燃成分の一部を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器で得られる燃焼熱を熱源として未燃焼の前記生成物と前記水蒸気とを熱化学反応させる第2の反応器を備えたものである。
【0024】
かかる構成とすることにより、前記未燃焼の生成物と水蒸気の熱化学反応に、外部から蒸気あるいは窒素等を供給する必要がないため、かかる供給に付帯するボイラ等の設備が不要となり、システムの小型化がはかれるものである。
【0025】
また、有機化合物の熱化学反応で発生する水蒸気、揮発成分または熱分解ガスの顕熱または潜熱を回収して水蒸気を発生させ、さらに生成物中の可燃成分の一部を燃焼させて得られる燃焼熱を未燃焼の可燃成分と水蒸気の熱化学反応の熱源として利用するため、有機化合物の熱化学反応を高効率で行うことができる。
【0026】
請求項2に記載の発明は、前記第1の反応器の温度を、300℃以上としたものである。
【0027】
かかることにより、前記有機化合物から多量の水蒸気、揮発成分または熱分解ガスを発生させることができ、これらは高温であることから保有エネルギーも高く、このエネルギーを水蒸気発生用熱源として利用することによってより多くのエネルギーを回収することができ、有機化合物の熱化学反応をさらに高効率で行うことができる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、前記第2の反応器の内部に、前記生成物と水蒸気の熱化学反応に寄与しない余剰熱を蓄熱する蓄熱材を設けたものである。
【0029】
かかる構成により、前記有機化合物の生成物の部分燃焼で得た熱の利用率を向上することができ、有機化合物の熱化学反応をさらに高効率で行うことができる。
【0030】
請求項4に記載の発明は、前記第1の反応器と前記第2の反応器を、相互に熱交換させる構成としたものである。
【0031】
かかる構成とすることにより、前記第1の反応器または第2の反応器の余剰熱を一方の反応器の熱源として有効に利用できるので、有機化合物の熱化学反応をさらに高効率で行うことができる。
【0032】
請求項5に記載の発明は、前記有機化合物の熱化学反応により発生する生成物と水を直接接触させて熱交換し、水蒸気を発生させるものである。
【0033】
かかる構成とすることにより、前記水を事前に蒸気化する設備が不要となり、さらに装置の小型化がはかれるものである。
【0034】
請求項6に記載の発明は、第1の反応器で有機化合物を加熱し、熱化学反応させて生成物を創出する創出工程と、前記創出された生成物を高加熱された熱交換器内で水と熱交換させる熱交換工程と、前記熱交換工程で発生した前記生成物の揮発成分に含まれる高沸点成分及び水蒸気を燃焼器に供給する供給工程と、前記燃焼器内の可燃性成分を燃焼させる燃焼行程を備えた方法である。
【0035】
かかることにより、有機化合物の熱化学反応で発生する水蒸気、揮発成分または熱分解ガスの顕熱または潜熱を回収して水蒸気を発生させ、さらに生成物中の可燃成分の一部を燃焼させて得られる燃焼熱を未燃焼の可燃成分と水蒸気の熱化学反応の熱源として利用するため、有機化合物の熱化学反応を高効率で行うことができる。
【0036】
請求項7に記載の発明は、前記燃焼行程において発生した燃焼熱を、第2の反応器内部で行われる前記生成物の未燃焼成分と前記水蒸気の熱化学反応の熱源に利用する方法である。
【0037】
かかることにより、前記生成物中の可燃成分の一部を燃焼させて得られる燃焼熱を未燃焼の可燃成分と水蒸気の熱化学反応の熱源として利用するため、有機化合物の熱化学反応を高効率で行うことができる。
【0038】
請求項8に記載の発明は、前記第2の反応器の内部に蓄熱材を設け、この蓄熱材に蓄熱された燃焼熱を前記第1の反応器の熱源に利用する方法である。
【0039】
かかることにより、前記有機化合物の生成物の部分燃焼で得た熱の利用率を向上することができ、有機化合物の熱化学反応をさらに高効率で行うことができる。
【0040】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0041】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における有機化合物の反応方法のフロー図である。
【0042】
図1において、有機化合物101は、動植物由来の燃料であるバイオマスを想定しており、代表例として家庭や事業所等からの廃棄物、製材所などからの木屑、畜産業者などから家畜糞尿等がある。
【0043】
まず、第1の反応器102において有機化合物101は加熱されて熱化学反応する(ステップ1)。
【0044】
このときの生成物103としては、乾燥工程(大気圧下で100℃)で発生する水蒸気、熱分解工程(300℃以上)で発生する揮発成分や熱分解ガスなどがある。また、図示していないが、反応器102の雰囲気が水蒸気雰囲気のときには、有機化合物101の主成分である炭素と水蒸気が反応して水素、一酸化炭素、二酸化炭素を生成する反応が主反応となることもある。
【0045】
次に生成物103は、水104を貯留した熱交換器105に導入される。このとき、生成物103と水104は直接接触することにより熱交換する(ステップ2)。
【0046】
生成物103は、通常300℃以上の高温であるため、熱の移動は生成物103から水104の方向である。
【0047】
この熱交換により、生成物103の揮発成分に含まれる高沸点成分は水104中に凝縮され、非凝縮成分は水104を通過して燃焼器106に供給される。また、熱交換により加熱された水104の一部は水蒸気となって燃焼器106に供給される(ステップ3)。
【0048】
燃焼器106では、生成物103と水104から生成された水蒸気の混合流に空気107が混合されたところに、点火プラグ(図示せず)により、生成物103の可燃成分を燃焼させて燃焼熱を得る。
【0049】
この燃焼熱は、第2の反応器108において生成物103の未燃成分と水蒸気の熱化学反応の熱源として利用される(ステップ4)。
【0050】
また、第2の反応器108には蓄熱材109が備えられており、反応に利用されなかった燃焼熱の一部を蓄熱することができる。この蓄熱材109に蓄えられた熱は、第1の反応器102の熱源として利用する。
【0051】
以上のような反応プロセスを経て、燃料ガス110を得ることができる(ステップ6)。
【0052】
以上のように、本実施の形態1では、第1の反応器102内で有機化合物101を加熱して熱化学反応を起こし、有機化合物101の熱化学反応により発生する生成物103と水104を熱交換器105内で直接接触させて熱交換させて水蒸気を発生させ、さらに生成物103中の可燃成分の一部を燃焼器106内で燃焼させ、この燃焼器106で得られる燃焼熱を熱源として第2の反応器108内で未燃焼の生成物103と水蒸気とを熱化学反応させるものである。
【0053】
したがって、有機化合物101の熱化学反応で発生する水蒸気、揮発成分または熱分解ガスの顕熱または潜熱を回収して水蒸気を発生させることができる。
【0054】
さらに生成物103中の可燃成分の一部を燃焼させて得られる燃焼熱を、未燃焼の可燃成分と水蒸気の熱化学反応の熱源として利用するため、有機化合物101の熱化学反応を高効率で行うことができる。
【0055】
また、生成物103に含まれる高沸点成分や臭気成分が、ステップ2における水104中で回収、除去されるため、生成物103の浄化を行うことができる。
【0056】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における有機化合物の反応装置の構成図である。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同じものについては、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図2において、供給機201は反応装置202側面に備えられている。反応装置202は、下段の第1の反応器203と上段の熱交換器204とで構成されている。第1の反応器203と熱交換器204とは多孔板205で仕切られている。
【0058】
なお、多孔板205は、従来から知られているガス状物質は通過できるが、液状物質は通過できない性質のものを使用している。
【0059】
また、第1の反応器203上部には、多孔質粒子206の充填層が設けてあり、有機化合物101から発生する高沸点成分を除去することができる。
【0060】
さらに、熱交換器204には適量の水207が貯留されている。
【0061】
燃焼器208は、反応装置202の後段に備えられ、反応装置202へ燃焼助剤である空気の供給を行う。
【0062】
第2の反応器209は、反応装置202の下段に位置する第1の反応器203の外周部に接触して設けられている。
【0063】
第2の反応器209内部には、蓄熱材210が充填されている。
【0064】
そして、反応装置202、燃焼器208、第2の反応器209は、配管211a、211bにより同図に示すように接続されている。
【0065】
以上のように構成された有機化合物の反応装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0066】
まず、供給機201に有機化合物101を充填し、第1の反応器203に供給する。このとき、有機化合物101の熱化学反応を安定的に行うためには、有機化合物101を第1の反応器203に連続供給することが重要となる。このため、有機化合物101の流動性が悪い場合には、供給前に適宜粉砕機で有機化合物101を粉砕し、流動性を向上させておくことが望ましい。
【0067】
第1の反応器203は、壁面が定常状態で約300〜800℃に保持されており、壁面からの伝導熱、対流熱、放射熱により、前述の如く供給された有機化合物101を加熱する外熱式である。
【0068】
前記壁面からの伝熱により加熱された有機化合物101は、初期段階において含有水分の蒸発が開始される。例えば、食品残渣には、一般的に約70〜80重量%の水分が含有されている。
【0069】
水分蒸発終了後、さらに昇温した有機化合物101からはタール等の揮発成分または水素、メタン、エチレン、一酸化炭素、二酸化炭素等の熱分解ガスが発生する。
【0070】
このようにして有機化合物101の加熱により発生した水蒸気、揮発成分、熱分解ガス等の生成物103は、多孔質粒子層206を通過する。このとき、生成物103中のタール等の高沸点成分は、多孔質粒子層206で捕捉される。この捕捉成分は、定期的に燃焼することにより除去する必要がある。
【0071】
多孔質粒子層206で高沸点成分が除去された生成物103は、多孔板205を通過して熱交換器204の水207中に導入される。
【0072】
ここでは、高温の生成物103と水207とが直接接触することにより、生成物103が保有する熱によって水207が加熱され、水蒸気が発生する。その水蒸気は、配管211aを介して燃焼器208に供給される。
【0073】
燃焼器208では、生成物103中の可燃成分が燃焼助剤である空気と混合されて燃焼する。
【0074】
このとき得られる燃焼熱は、生成物103の未燃成分と水207から得られた水蒸気とともに配管211bを介して第2の反応器209に運ばれ、そこで熱化学反応の熱源として利用される。
【0075】
この熱化学反応に寄与しなかった熱は、蓄熱材210に蓄熱される。この蓄熱材210に蓄えられた熱は、第1の反応器203の熱源として利用される。
【0076】
このように、本実施の形態では、有機化合物101の熱化学反応で発生する水蒸気や揮発成分、または熱分解ガスの顕熱あるいは潜熱を回収して水蒸気を発生させ、さらに生成物103中の可燃成分の一部を燃焼させて得られる燃焼熱を、未燃焼の可燃成分と水蒸気の熱化学反応の熱源として利用するため、有機化合物101の熱化学反応をさらに高効率で行うことができる。
【0077】
また、生成物103に含まれる高沸点成分や臭気成分が水207で回収、除去されるため、生成物103の浄化を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明にかかる有機化合物の反応方法および反応装置は、有機化合物を加熱したときに発生する水蒸気、揮発成分、熱分解ガスの顕熱または潜熱を効率よく回収して熱源とし、水蒸気を発生させ、さらに、一部の可燃成分の燃焼熱を熱化学反応熱源として利用するものである。
【0079】
したがって、有機化合物の熱化学反応により発生する炭化水素成分の水蒸気改質を高効率で行うことが可能となり、システム全体を小型化できることから、設置面積が限られる小店舗、家庭等、有機系廃棄物が排出されるその場所で、ガスエンジン、ガスタービンあるいは燃料電池等の小型発電機を使用することでオンサイト発電も可能となり、その用途は幅広いものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1における有機化合物の反応方法のフロー図
【図2】本発明の実施の形態2における有機化合物の反応装置の構成図
【図3】従来の統合型循環流動床ガス化炉の基本的構成図
【符号の説明】
【0081】
101 有機化合物
102 第1の反応器
103 生成物
104 水
105 熱交換器
106 燃焼器
107 空気
108 第2の反応器
109 蓄熱材
201 供給機
202 反応装置
203 第1の反応器
204 熱交換器
205 多孔板
207 水
208 燃焼器
209 第2の反応器
210 蓄熱材
211a 配管
211b 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物を加熱して熱化学反応を起こす第1の反応器と、前記有機化合物の熱化学反応により発生する生成物と水を熱交換することにより水蒸気を発生させる熱交換器と、前記生成物中の可燃成分の一部を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器で得られる燃焼熱を熱源として未燃焼の前記生成物と前記水蒸気とを熱化学反応させる第2の反応器を備えた有機化合物の反応装置。
【請求項2】
前記第1の反応器の温度を、300℃以上とした請求項1に記載の有機化合物の反応装置。
【請求項3】
前記第2の反応器の内部に、前記生成物と水蒸気の熱化学反応に寄与しない余剰熱を蓄熱する蓄熱材を設けた請求項1または2に記載の有機化合物の反応装置。
【請求項4】
前記第1の反応器と前記第2の反応器を、相互に熱交換させる請求項1から3のいずれか一項に記載の有機化合物の反応装置。
【請求項5】
前記有機化合物の熱化学反応により発生する生成物と水を直接接触させて熱交換し、水蒸気を発生させる請求項1から4のいずれか一項に記載の有機化合物の反応装置。
【請求項6】
第1の反応器で有機化合物を加熱し、熱化学反応させて生成物を創出する創出工程と、前記創出された生成物を高加熱された熱交換器内で水と熱交換させる熱交換工程と、前記熱交換工程で発生した前記生成物の揮発成分に含まれる高沸点成分及び水蒸気を燃焼器に供給する供給工程と、前記燃焼器内の可燃性成分を燃焼させる燃焼行程を備えた有機化合物の反応方法。
【請求項7】
前記燃焼行程において発生した燃焼熱を、第2の反応器内部で行われる前記生成物の未燃焼成分と前記水蒸気の熱化学反応の熱源に利用する請求項6に記載の有機化合物の反応方法。
【請求項8】
前記第2の反応器の内部に蓄熱材を設け、この蓄熱材に蓄熱された燃焼熱を前記第1の反応器の熱源に利用する請求項6または7に記載の有機化合物の反応方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−69119(P2007−69119A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258806(P2005−258806)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】