説明

有機化合物

少なくとも1つのS1Pレセプターアゴニストを含んでなる医薬組合せ剤、ならびに脱髄疾患、たとえば多発性硬化症またはそれに関連する障害またはギラン−バレー症候群の処置方法であって、たとえば同時的または逐次的な、治療上有効量の(a)S1Pレセプターアゴニスト、および(b)脱髄疾患の少なくとも1つの徴候に対して臨床活性を有することが示された少なくとも1つの併用剤の共投与を含んでなる方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのS1Pレセプターアゴニストを含んでなる医薬組合せ剤(pharmaceutical combination)および脱髄疾患(demyelinating disease)、たとえば多発性硬化症およびそれらに関連する障害の処置におけるそれらの使用に関する。
【0002】
多発性硬化症は、運動および感覚機能の進行性減少ならびに永久的な能力喪失(permanent disability)をもたらす慢性的炎症脱髄を有する中枢神経系白質の免疫介在性疾患である。臨床疾患の徴候は、通常、成人早期に始まり、2:1で女性が男性を上回る。多発性硬化症の治療は、部分的にのみ有効であり、そしてたいていの場合において、抗炎症および免疫抑制処置にもかかわらず疾患進行の遅延をもたらすのみである。臨床医は、通常、4つのタイプの疾患パターンに患者を分類する:
・ 再発寛解型(RR−MS):1〜2週間起こり、そしてしばしば処置で、または処置なしで1〜2ヶ月間かけて解消する、独立した運動、感覚、小脳または視覚の発症。一部の患者は各症状の発現で能力を喪失し、再発するまでは臨床的安定を維持している。約85%の患者は、最初に、MSのRR型を経験するが、10年以内に約半数が二次進行型を発症する。
・ 二次進行型(SP−MS):最初RRで、続いて、再発を伴いまたは伴うことなく、徐々に能力喪失が増加する。主要な不可逆的能力喪失がSP中に最も頻繁に見られる。
・ 一次進行型(PP−MS):約15%のMS患者に影響する、再発または寛解なしの発症からの進行疾患過程。
・ 進行再発型(PR−MS):明らかな急性再発を有する発症からの進行性疾患;連続的な進行により特徴づけられる再発の間の期間。
【0003】
したがって、たとえば生物に影響する徴候または病気の低減、軽減、安定化または緩和を含む、脱髄疾患、たとえば多発性硬化症またはギラン−バレー(Guillain-Barre)症候群の処置において有効な剤についての必要性が存在する。
【0004】
今回、少なくとも1つのS1Pレセプターアゴニストおよび併用剤、たとえば以下で定義したものを含んでなる組合せ剤が、脱髄疾患、たとえば多発性硬化症およびこれらに関連する障害に対して有利な効果を有することが見いだされた。
【0005】
本発明の特定の知見にしたがって、以下のものが提供される。
1. a)S1Pレセプターアゴニスト、および
b)少なくとも1つの脱髄疾患の徴候、たとえば多発性硬化症の徴候またはギラン−バレー症候群の徴候に対する臨床的活性を有することが示された少なくとも1つの併用剤
を含んでなる医薬組合せ剤。
【0006】
2.1 脱髄疾患、たとえば多発性硬化症またはこれらに関連する障害またはギラン−バレー症候群の処置方法であって、たとえば同時的または逐次的な、治療上有効量のS1Pレセプターアゴニスト、たとえば以下で定義した式I〜VIIの化合物、および少なくとも1つの併用剤、たとえば以下に示したものの共投与を含んでなる方法。
【0007】
2.2 脱髄疾患、たとえば多発性硬化症またはギラン−バレー症候群の徴候の軽減または進行遅延のための方法であって、たとえば同時的または逐次的な、治療上有効量のS1Pレセプターアゴニスト、たとえば以下で定義した式I〜VIIの化合物、および少なくとも1つの併用剤、たとえば以下に示したものの共投与を含んでなる方法。
【0008】
多発性硬化症の初期徴候は視神経炎である。したがって、本発明は、また、以下のものを提供する。
【0009】
2.3 視神経炎の処置、軽減または進行遅延のための方法であって、それを必要としている対象において、当該対象に、治療上有効量のS1Pレセプターアゴニスト、たとえば以下で特定した式I〜VIIの化合物、たとえば化合物AもしくはBまたは医薬上許容されるそれらの塩を投与することを含んでなる方法。
【0010】
3. 方法2.1〜2.3のいずれか1つにおいて使用するための、本明細書において開示した医薬組合せ剤。
【0011】
4.1 1またはそれ以上の医薬上許容される希釈剤または担体とともに、S1Pレセプターアゴニスト、たとえば以下で定義した式I〜VIIの化合物、たとえば化合物AまたはBを含んでなる、視神経炎の処置、軽減または進行遅延のための医薬組成物(pharmaceutical composition)。
【0012】
4.2 視神経炎の処置、軽減または進行遅延において使用するための、以下で定義した式I〜VIIの化合物、たとえば化合物AまたはB。
【0013】
4.3 視神経炎の処置、軽減または進行遅延において使用するための医薬の製造において使用するための、S1Pレセプターアゴニスト、たとえば以下で定義した式I〜VIIの化合物、たとえば化合物AまたはB。
【0014】
5.1 視神経炎の処置、軽減または進行遅延用医薬の製造のための、S1Pレセプターアゴニスト、たとえば以下で定義した式I〜VIIの化合物、たとえば化合物AまたはBの使用。
【0015】
5.2 脱髄疾患の徴候の処置、軽減または進行遅延用医薬組合せ剤の製造のための、たとえばかかる方法における個別的、同時的または逐次的使用のための医薬組合せ剤の製造のための、a)スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)レセプターアゴニスト、およびb)脱髄疾患の少なくとも1つの徴候に対して臨床的活性を有することが示された少なくとも1つの併用剤の使用。
【0016】
5.3 たとえば2.1〜2.3で開示した方法における、医薬における個別的、同時的または逐次的使用のための、本明細書において開示した医薬組成物。
【0017】
本明細書において使用される「医薬組合せ剤」なる用語は、1を超える活性成分の混合または配合により得られる製品を意味し、そして活性成分の固定および非固定組合せ剤の両方を含む。
【0018】
本明細書において使用される「固定組合せ剤」なる用語は、活性成分、たとえばS1Pレセプターアゴニストおよび併用剤がともに、患者に、単一体または剤形の形態で同時的に投与されることを意味する。例としては、固定組合せ剤は、2つの活性成分を含有する1つのカプセルである。
【0019】
本明細書において使用される「非固定組合せ剤」なる用語は、活性成分、たとえばS1Pレセプターアゴニストおよび併用剤がともに、同時的、同時一体的または時間を特に限定することなく逐次的に投与されることを意味する。ここで、かかる投与は、体内で、好ましくは同時に2つの化合物の治療上有効量を提供する。例としては、非固定組合せ剤は、それぞれ1つの活性成分を含有する2つのカプセルである。その目的は、両活性成分が体内でともに患者の処置を達成することである。
【0020】
S1Pレセプターアゴニストは、全身的な免疫抑制を引き起こすことなく、循環から二次リンパ組織への再分布、好ましくは不可逆的再分布に由来するリンパ球減少を誘導する免疫調節物質である。ナイーブ細胞は金属封鎖され(sequestered);血液からのCD4およびCD8 T−細胞およびB−細胞は、リンパ節(LN)およびパイエル板(PP)に遊走するように刺激され、したがって、たとえば移植器官への細胞の浸潤が阻害される。
【0021】
適当なS1Pレセプターアゴニストの例は、たとえば:
− EP627406A1において開示された化合物、たとえば式I
【化1】

〔式中、Rは、直鎖−または分枝鎖(C12−22)炭素鎖[ここで、
− 当該炭素鎖は、鎖中に、二重結合、三重結合、O、S、NR(ここで、Rは、H、アルキル、アラルキル、アシルまたはアルコキシカルボニルである。)、およびカルボニルから選択される結合またはヘテロ原子を有していてもよく、そして/あるいは
− 当該炭素鎖は、置換基としてアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシイミノ、ヒドロキシまたはカルボキシを有してもよい。]であるか;あるいは
は、
− アルキルが直鎖−または分枝鎖(C6−20)炭素鎖であるフェニルアルキル;あるいは
− アルキルが直鎖−または分枝鎖(C1−30)炭素鎖であるフェニルアルキル[当該フェニルアルキルは、
− 所望によりハロゲンにより置換されていてもよい直鎖−または分枝鎖(C6−20)炭素鎖、
− 所望によりハロゲンにより置換されていてもよい直鎖−または分枝鎖(C6−20)アルコキシ鎖、
− 直鎖−または分枝鎖(C6−20)アルケニルオキシ、
− フェニルアルコキシ、ハロフェニルアルコキシ、フェニルアルコキシアルキル、フェノキシアルコキシまたはフェノキシアルキル、
− C6−20アルキルにより置換されたシクロアルキルアルキル、
− C6−20アルキルにより置換されたヘテロアリールアルキル、
− 複素環C6−20アルキル、または
− C2−20アルキルにより置換された複素環アルキル
により置換されている。]であり、
そして
前記アルキル部分は、
− 炭素鎖において、二重結合、三重結合、O、S、スルフィニル、スルホニル、またはNR(Rは、上で定義したとおりである。)から選択される結合またはヘテロ原子、ならびに
− 置換基としてアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシを有し得、そして
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、C1−4アルキルまたはアシルである。〕
で示される化合物または医薬上許容されるその塩;
【0022】
−EP 1002792A1において開示された化合物、たとえば式II
【化2】

〔式中、mは1〜9であり、そしてR'、R'、R'およびR'は、それぞれ独立してH、アルキルまたはアシルである。〕
で示される化合物、または医薬上許容されるその塩;
【0023】
−EP0778263 A1において開示された化合物、たとえば式III
【化3】

〔式中、WはH;C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;非置換またはOHにより置換されたフェニル;R''O(CH;あるいはハロゲン、C3−8シクロアルキル、フェニル、およびOHにより置換されたフェニルからなる群から選択される1〜3個の置換基により置換されたC1−6アルキルであり;
XはHまたはp個の炭素原子を有する非置換もしくは置換直鎖アルキルであるか、または(p−1)個の炭素原子を有する非置換もしくは置換直鎖アルコキシ、たとえばC1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、オキソ、ハロC1−6アルキル、ハロゲン、非置換フェニル、ならびにC1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロC1−6アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される1〜3個の置換基により置換されたフェニルからなる群から選択される1〜3個の置換基により置換された直鎖アルコキシ;YはH、C1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロC1−6アルキルまたはハロゲンであり、Zは単結合またはq個の炭素原子を有する直鎖アルキレンであり、
pおよびqは、それぞれ独立して1〜20の整数であるが、6≦p+q≦23であるものとし、m'は1、2または3であり、nは2または3であり、
R''、R''、R''およびR''は、それぞれ独立してH、C1−4アルキルまたはアシルである。〕
で示される化合物、または医薬上許容されるその塩、
【0024】
−WO 02/18395において開示された化合物、たとえば式IVaまたはIVb
【化4】

〔式中、XはO、S、NR1sまたは−(CHna−であり、この基は非置換であるか、または1〜4個のハロゲンにより置換されており;nは1または2であり、R1sはHまたは(C1−4)アルキルであり、当該アルキルは非置換であるか、またはハロゲンにより置換されており;R1aはH、OH、(C1−4)アルキルまたはO(C1−4)アルキルであり、前記アルキルは非置換であるか、または1〜3個のハロゲンにより置換されており;R1bはH、OHまたは(C1−4)アルキルであり、前記アルキルは非置換であるか、またはハロゲンにより置換されており;各R2aは、独立してHまたは(C1−4)アルキルから選択され、前記アルキルは非置換であるか、またはハロゲンにより置換されており;R3aはH、OH、ハロゲンまたはO(C1−4)アルキルであり、前記アルキルは非置換であるか、またはハロゲンにより置換されており;そしてR3bはH、OH、ハロゲン、(C1−4)アルキルであり、前記アルキルは非置換であるか、またはヒドロキシ、もしくはO(C1−4)アルキル[ここで、アルキルは非置換であるか、もしくはハロゲンにより置換されている。]により置換されており;Yは−CH−、−C(O)−、−CH(OH)−、−C(=NOH)−、OまたはSであり、そしてR4aは(C4−14)アルキルまたは(C4−14)アルケニルである。〕
で示される化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは水和物;
【0025】
− WO 02/076995において開示された化合物、たとえば式V
【化5】

〔式中、
は1、2または3であり;
はOまたは直接結合であり;
1cはH;所望によりOH、アシル、ハロゲン、C3−10シクロアルキル、フェニルもしくはヒドロキシ−フェニレンにより置換されていてもよいC1−6アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;または所望によりOHにより置換されていてもよいフェニルであり;
2c
【化6】

{式中、R5cはHまたは所望により1、2もしくは3個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1−4アルキルであり、そしてR6cはHまたは所望によりハロゲンにより置換されていてもよいC1−4アルキルである。}
であり;
3cおよびR4cは、それぞれ独立してH、所望によりハロゲンにより置換されていてもよいC1−4アルキル、またはアシルであり、そして
は、鎖中に所望により酸素原子を有していてもよく、そして所望によりニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシもしくはカルボキシにより置換されていてもよいC13−20アルキル;または式(a)
【化7】

{式中、R7cはH、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり、そしてR8cは置換C1−20アルカノイル、フェニルC1−14アルキル[ここで、C1−14アルキルは、ハロゲンもしくはOHにより置換されていてもよい。]、シクロアルキルC1−14アルコキシまたはフェニルC1−14アルコキシ[ここで、シクロアルキルまたはフェニル環は、所望によりハロゲン、C1−4アルキルおよび/またはC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。]、フェニルC1−14アルコキシ−C1−14アルキル、フェノキシC1−14アルコキシまたはフェノキシC1−14アルキルである。}
で示される残基であり、
は、また、R1cがC1−4アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである場合には、R8cがC1−14アルコキシである式(a)の残基である。〕
で示される化合物、
あるいは式VI
【化8】

〔式中、
は2、3または4であり、
1xはH;所望によりOH、アシル、ハロゲン、シクロアルキル、フェニルもしくはヒドロキシ−フェニレンにより置換されていてもよいC1−6アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;または所望によりOHにより置換されていてもよいフェニルであり;
2xはH、C1−4アルキルまたはアシルであり、
3xおよびR4xは、それぞれ独立してH、所望によりハロゲンにより置換されていてもよいC1−4アルキル、またはアシルであり、
5xはH、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり、そして
6xはシクロアルキルにより置換されたC1−20アルカノイル;シクロアルキルアルキルC1−14アルコキシ[ここで、シクロアルキル環は、所望によりハロゲン、C1−4アルキルおよび/またはC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。];フェニルC1−14アルコキシ[ここで、フェニル環は所望によりハロゲン、C1−4アルキルおよび/またはC1−4アルコキシにより置換されていてもよい。]であり、
6xは、また、R1xがOHにより置換されたC2−4アルキルである場合には、C4−14アルコキシであり、またはR1xがC1−4アルキルである場合には、ペンチルオキシまたはヘキシルオキシである。
ただし、R5xがHであるか、またはR1xがメチルである場合、R6xはフェニル−ブチレンオキシでないものとする。〕
で示される化合物、または医薬上許容されるその塩;
【0026】
−WO 02/06268AIにおいて開示された化合物、たとえば式VII
【化9】

〔式中、R1dおよびR2dは、それぞれ独立して、Hまたはアミノ−保護基であり;
3dは水素またはヒドロキシ−保護基であり;
4dは低級アルキルであり;
は1〜6の整数であり;
はエチレン、ビニレン、エチニレン、式−D−CH−(式中、Dはカルボニル、−CH(OH)−、O、SまたはNである。)を有する基、アリール、または以下で定義した基から選択される3までの置換基により置換されたアリールであり;
は単結合、C1−10アルキレン、群aおよびbから選択される3までの置換基により置換されたC1−10アルキレン、炭素鎖の中途または末端にOまたはSを有するC1−10アルキレン、あるいは群aおよびbから選択される3までの置換基により置換された炭素鎖の中途または末端にOまたはSを有するC1−10アルキレンであり;
5dは水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、群aおよびbから選択される3までの置換基により置換されたシクロアルキル、群aおよびbから選択される3までの置換基により置換されたアリール、あるいは群aおよびbから選択される3までの置換基により置換されたヘテロ環であり;そして
6dおよびR7dは、それぞれ独立してHまたは群aから選択される置換基であり;
<群a>は、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲノ 低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級脂肪族アシル、アミノ、モノ−低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、低級脂肪族アシルアミノ、シアノまたはニトロであり;
<群b>は、シクロアルキル、アリール、ヘテロ環であり、これらはそれぞれ、所望により群aから選択される3までの置換基により置換されていてもよい。
ただし、R5dが水素である場合、Yは単結合または直鎖C1−10アルキレンであるものとする。〕
で示される化合物、または薬理学的に許容されるその塩もしくはエステル。
【0027】
−JP−14316985(JP2002316985)において開示された化合物、たとえば式VIII:
【化10】

〔式中、R1e、R2e、R3e、R4e、R5e、R6e、R7e、n、XおよびYはJP−14316985において定義されたとおりである。〕
で示される化合物、または薬理学的に許容されるその塩もしくはエステル;
【0028】
−WO 03/29184およびWO 03/29205において開示された化合物、たとえば式IX
【化11】

〔式中、XはOまたはSであり、そしてR1f、R2f、R3fおよびnはWO 03/29184およびO3/29205において開示されたとおりである。〕
で示される化合物、たとえば2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェノキシ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパン−ジオールまたは2−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパン−ジオール
である。
【0029】
特許出願が引用されたそれぞれの場合において、化合物に関する発明主題を、出典明示により本願の一部とする。
【0030】
アシルは、R−CO−〔式中、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはフェニル−C1−4アルキルである。〕の残基であり得る。特記しない限り、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルキニルは直鎖または分枝鎖であり得る。
【0031】
式Iの化合物において、Rとしての炭素鎖が置換されている場合、それは、好ましくは、ハロゲン、ニトロ、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシにより置換されている。炭素鎖に、所望により置換されていてもよいフェニレンが割り込んでいる場合、当該炭素鎖は、好ましくは非置換である。フェニレン部分が置換されている場合、それは、好ましくはハロゲン、ニトロ、アミノ、メトキシ、ヒドロキシまたはカルボキシにより置換されている。
【0032】
好適な式Iの化合物は、RがC13−20アルキル(これは、所望によりニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシにより置換されていてもよい。)である化合物であり、そして、さらに好ましくは、Rが、C6−14−アルキル鎖(これは、所望によりハロゲンにより置換されていてもよい。)により置換されたフェニルアルキルであり、そしてアルキル部分がC1−6アルキル(これは、所望によりヒドロキシにより置換されていてもよい。)である化合物である。さらに好ましくは、Rは、フェニルが直鎖または分枝鎖、好ましくは直鎖、C6−14アルキル鎖により置換されたフェニル−C1−6アルキルである。C6−14アルキル鎖は、オルト、メタまたはパラ位、好ましくはパラ位に存在し得る。
【0033】
好ましくは、R〜RはそれぞれHである。
【0034】
好適な式Iの化合物は、2−アミノ−2−テトラデシル−1,3−プロパンジオールである。特に好適な式IのS1Pレセプターアゴニストは、遊離の形態または医薬上許容される塩の形態のFTY720、すなわち2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール(以下、「化合物A」という)、たとえば以下:
【化12】

に示すような塩酸塩である。
【0035】
好適な式IIの化合物は、R'〜R'がそれぞれHであり、そしてmが4である化合物、すなわち遊離の形態または医薬上許容される塩の形態の2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオール(以下、「化合物B」という)、たとえばその塩酸塩である。
【0036】
好適な式IIIの化合物は、WがCHであり、R''〜R''がそれぞれHであり、Zがエチレンであり、Xがヘプチルオキシであり、そしてYがHである化合物、すなわち遊離の形態または医薬上許容される塩の形態の2−アミノ−4−(4−ヘプチルオキシフェニル)−2−メチル−ブタノール(以下、「化合物C」という)、たとえばその塩酸塩である。R−エナンチオマーが特に好適である。
【0037】
好適な式IVaの化合物は、FTY720−ホスフェート(R2aがHであり、R3aがOHであり、XがOであり、R1aおよびR1bがOHである。)である。好適な式IVbの化合物は、「化合物C」−ホスフェート(R2aがHであり、R3bがOHであり、XがOであり、R1aおよびR1bがOHであり、YがOであり、そしてR4aがヘプチルである。)である。好適な式Vの化合物は、「化合物B」−ホスフェートである。
【0038】
好適な式Vの化合物は、リン酸 モノ−[(R)−2−アミノ−2−メチル−4−(4−ペンチルオキシ−フェニル)−ブチル]エステルである。
【0039】
好適な式VIIIの化合物は、(2R)−2−アミノ−4−[3−(4−シクロヘキシルオキシブチル)ベンゾ[b]チエン−6−イル]−2−メチルブタン−1−オールである。
【0040】
式I〜IXの化合物が分子内に1またはそれ以上の不斉中心を有する場合、本発明は、さまざまな光学異性体、ならびにラセミ体、ジアステレオ異性体およびこれらの混合物を包含するものとして理解されるべきである。式IIIまたはIVbの化合物は、アミノ基を担持する炭素原子が不斉である場合、好ましくは、この炭素原子においてRの立体配置である。
【0041】
式I〜IXの化合物の医薬上許容される塩の例には、無機酸との塩、たとえば塩酸塩、臭化水素酸塩および硫酸塩、有機酸との塩、たとえば酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩が含まれ、または適当な場合には、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウムのような金属との塩、アミン、たとえばトリエチルアミンのような塩、および二塩基性アミノ酸、たとえばリジンとの塩が含まれる。本発明の方法の化合物および塩には、水和物および溶媒和物の形態が含まれる。
【0042】
併用剤b)は、以下の化合物群から選択され得る:
i) インターフェロン、たとえばPEG化(pegylated)または非PEG化(non-pegylated)α−インターフェロン、またはβ−インターフェロンまたはτ−インターフェロン、たとえば皮下、筋肉内または経口経路により投与されるもの、好ましくはβ−インターフェロン;
ii) 改変ペプチドリガンド、たとえばグラチラマー(Glatiramer)、たとえばアセテート形態のもの;
iii) 所望により抗増殖/抗新生物活性を有していてもよい免疫抑制剤、たとえばミトキサントロン、メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミド、またはステロイド、たとえばメチルプレドニゾロン、プレドニゾンまたはデキサメタゾン、またはステロイド分泌剤、たとえばACTH;
iv) アデノシンデアミナーゼインヒビター、たとえばクラドリビン;
v) IVイムノグロブリンG(たとえばNeurology, 1998, May 50(5): 1273-81において開示されたもの)
vi) 種々のT細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体、たとえばナタリズマブ(natalizumab)(ANTEGREN(登録商標))またはアレムツズマブ(alemtuzumab);
vii) TH2促進サイトカイン、たとえばIL−4、IL−10、またはTH1促進サイトカインの発現を阻害する化合物、たとえばホスホジエステラーゼインヒビター、たとえばペントキシフィリン;
viii) 抗痙縮剤、たとえばバクロフェン、ジアゼパム、ピラセタム、ダントロレン、ラモトリジン、リフルゾール(rifluzole)、チザニジン、クロニジン、β−ブロッカー、シプロヘプタジン、オルフェナドリンまたはカンナビノイド;
ix) AMPAグルタミン酸レセプターアンタゴニスト、たとえば2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ(f)キノキサリン、[1,2,3,4,−テトラヒドロ−7−モルホリン−イル−2,3−ジオキソ−6−(トリフルオロメチル)キノキサリン−1−イル]メチルホスホネート、1−(4−アミノフェニル)−4−メチル−7,8−メチレン−ジオキシ−5H−2,3−ベンゾジアゼピン、または(−)1−(4−アミノフェニル)−4−メチル−7,8−メチレン−ジオキシ−4,5−ジヒドロ−3−メチルカルバモイル−2,3−ベンゾジアゼピン;
x) VCAM−1発現のインヒビターまたはそのリガンドのアンタゴニスト、たとえばα4β1インテグリンVLA−4および/またはアルファ−4−ベータ−7インテグリンのアンタゴニスト、たとえばナタリズマブ(ANTEGREN(登録商標));
xi) 抗−マクロファージ誘導阻害因子(抗−MIF);
xii) カテプシンSインヒビター;
xiii) mTorインヒビター。
【0043】
カテプシンSインヒビターは、たとえば以下のものを含む:
a)WO 03/20721において開示された化合物、たとえば式:
【化13】

〔式中、
Rは、H、−R2、−OR2またはNR1R2であり、
ここで、R1は、H、低級アルキルまたはC〜C10シクロアルキルであり、そして
R2は、低級アルキルまたはC〜C10シクロアルキルであり、そして
R1およびR2は、それぞれ独立して、所望により、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、CN、NO、または所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノにより置換されていてもよく;
Xは、=N−または=C(Z)−であり、
ここで、Zは、H、−C(O)−NR3R4、−NH−C(O)−R3、−CH−NH−C(O)−R3、−C(O)−R3、−S(O)−R3、−S(O)−R3、−CH−C(O)−R3、−CH−NR3R4、−R4、−C≡C−CH−R5、N−ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル−カルボニル、または−C(P)=C(Q)−R4であり、
ここで、
PおよびQは、それぞれ独立して、H、低級アルキルまたはアリールであり、
R3は、アリール、アリール−低級アルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−低級アルキルであり、
R4は、H、アリール、アリール−低級アルキル、アリール−低級アルケニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−低級アルキルであるか、あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一体となって、N−ヘテロシクリル基を形成し、
ここで、N−ヘテロシクリルは、窒素原子を介して結合した飽和、部分的不飽和または芳香族含窒素複素環部分を示し、3〜8個の環原子を有し、所望により、N、NR6、O、S、S(O)またはS(O)から選択されるさらなる1、2または3個のヘテロ原子を有してもよく、ここで、R6は、Hまたは所望により置換されていてもよい(低級アルキル、カルボキシ、アシル(低級アルキルアシル、たとえばホルミル、アセチルもしくはプロピオニル、またはアリールアシル、たとえばベンゾイルの両方を含む)、アミド、アリール、S(O)またはS(O))であり、そして当該N−ヘテロシクリルは、所望により、たとえばベンゼンまたはピリジン環と縮合した二環構造であってもよく、そして当該N−ヘテロシクリルは、所望により3〜8員のシクロアルキルまたは複素環と結合したスピロ構造であってもよく、ここで前記複素環は、3〜10員環であり、そしてN、NR6、O、S、S(O)またはS(O)(ここで、R6は上で定義したとおりである。)から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有し、そして
ヘテロシクリルは、3〜10員環であり、そしてN、NR6、O、S、S(O)またはS(O)(ここで、R6は上で定義したとおりである。)から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有し、そして
R3およびR4は、それぞれ独立して、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、低級アルコキシ、CNまたはNOから選択される1またはそれ以上の基、たとえば1〜3個の基により置換されていてもよいか、または所望により置換されていてもよい(所望によりモノ−またはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、アリール、アリール−低級アルキル、N−ヘテロシクリルまたはN−ヘテロシクリル−低級アルキル(ここで、所望による置換は、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、CN、NO、または所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノから選択される1〜3個の置換基を含む。)であり、そして
R5は、アリール、アリール−低級アルキル、アリールオキシ、アロイルまたは上で定義したN−ヘテロシクリルであり、そして
R5は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、CN、NOもしくはオキソ、または所望により置換されていてもよい(低級アルコキシ、低級アルキル、アリール、アリールオキシ、アロイル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、またはN−ヘテロシクリル、またはN−ヘテロシクリル−低級アルキル(ここで、N−ヘテロシクリルは上で定義したとおりである。)から選択される1〜5個の置換基を表すR7により置換されていてもよく、そして
R7は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、低級アルキルカルボニル、低級アルコキシまたは低級アルキルアミドから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく;
R13は、低級アルキル、C3〜C10シクロアルキルまたはC3〜C10シクロアルキル−低級アルキルであり、これらはすべて、独立して、所望により、ハロ、ヒドロキシ、CN、NO2または所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノにより置換されていてもよく;そして
R14は、Hあるいは所望により置換されていてもよい(アリール、アリール−W−、アリール−低級アルキル−W−、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10シクロアルキル−W−、N−ヘテロシクリルもしくはN−ヘテロシクリル−W−(ここで、N−ヘテロシクリルは上で定義したとおりである。)、フタルイミド、ヒダントイン、オキサゾリジノン、または2,6−ジオキソ−ピペラジン)であり、
ここで、−W−は、−O−、−C(O)−、−NH(R6)−、−NH(R6)−C(O)−、−NH(R6)−C(O)−O−(ここで、R6は上で定義したとおりである。)、−S(O)−、−S(O)−または−S−であり、
ここで、R14は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、CN、NO、オキソ、アミド、カルボニル、スルホンアミド、低級アルキルジオキシメチレン、または所望により置換されていてもよい(低級アルコキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシカルボニル、所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、アリール、アリール−低級アルキル、アリール−低級アルケニル、アリールオキシ、アロイル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、N−ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル−低級アルキル(ここで、N−ヘテロシクリルは上で定義したとおりである。))から選択される1〜10の置換基を表すR18により置換されていてもよく、アリールを含むヘテロシクリルまたはR14は、ヘテロ原子含有環と縮合したアリールを有し、そして
R18は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、CN、NOもしくはオキソ、または所望により置換されていてもよい(低級アルコキシ、低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、C−C10シクロアルキル、低級アルコキシカルボニル、ハロ−低級アルキル、所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、アリール、アリールオキシ、アロイル(たとえばベンゾイル)、アシル(たとえば低級アルキルカルボニル)、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニルまたはN−ヘテロシクリル、またはN−ヘテロシクリル−低級アルキル(ここで、N−ヘテロシクリルは上で定義したとおりである。))から選択される1〜4個の置換基を表すR19により置換されていてもよく、
R19は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、CN、NO、オキソ、所望によりモノ−もしくはジ−低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、低級アルキル、または低級アルコキシから選択される1〜4個の置換基により置換されていてもよい。〕
で示される化合物;
b)WO 00/69855において開示された化合物、たとえばN2−(3−フラニルカルボニル)−L−ノルロイシン−2(S)−メチル−4−オキソテトラヒドロフラン−3(R)−イル アミド;
c)WO 01/19796、WO 01/19808、WO 02/51983、WO 03/24923、WO 03/24924、WO 03/41649またはWO 03/42197において開示された化合物、たとえばN−(2−(1−シアノシクロプロピルアミノ)−1(R)−(2−ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)モルホリン−4−カルボキサミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)ピリジン−4−カルボキサミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)−3,4−ジフルオロベンズアミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)−3−メチルベンズアミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)−1H−インドール−5−カルボキサミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミド、N−(2−(4−シアノ−1−メチルピペリジン−4−イルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)モルホリン−4−カルボキサミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)−4−フルオロベンズアミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)チオフェン−3−カルボキサミド、N−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)チオフェン−2−カルボキサミドまたはN−(2−(シアノメチルアミノ)−1(R)−(2−(ジフルオロメトキシ)ベンジルスルホニルメチル)−2−オキソエチル)モルホリン−4−カルボキサミド;
d)WO 00/51998、WO 03/29200またはWO 03/37892において開示された化合物、たとえばN−(1(S)−(N−(2−(ベンジルオキシ)−1(R)−シアノエチル)カルバモイル)−2−シクロヘキシルエチル)モルホリン−4−カルボキサミド;
e)WO 02/14314、WO 02/14315またはWO 02/14317において開示された化合物、たとえばN1−(3−クロロ−2−(4−(2−ヒドロキシ−3−(5−(メチルスルホニル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ(4,3−ピリジン−1−イル)プロピル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−N3−メチルウレア、1−(1−(3−(3−(4−ブロモフェニル)−5−(メチルスルホニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ(4,3−c)ピリジン−1−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−4−イル)−6−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−2−オン、または1−(5−(メチルスルホニル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ(4,3−c)ピリジン−1−イル)−3−(4−(6−(4−モルホリニル)−1H−ピロロ(3,2−c)ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イル)プロパン−2−オール;
f)WO 01/89451において開示された化合物、たとえば5−(2−モルホリン−4イルエトキシ)ベンゾフラン−2−カルボン酸((S)−3−メチル−1−((S)−3−オキソ−1−(2−(3−ピリジン−2−イルフェニル)−アセチル)アゼパン−4−イルカルバモイル)ブチルアミド;
g)WO 02/32879、WO 01/09169またはWO 00/59881A1において開示された化合物、たとえばN−(1−ベンゾチエン−2−イルカルボニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−L−ロイシンアミド;
h)WO 00/48992、WO 00/49007またはWO 00/49008において開示された化合物。
【0044】
本明細書において使用される「mTORインヒビター」なる用語は、ラパマイシン(シロリムス)またはその誘導体を含むが、これらに限定されるわけではない。ラパマイシンは、ストレプトマイセス・ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)により産生される既知のマクロライド抗生物質である。ラパマイシンの適当な誘導体としては、たとえば式A
【化14】

〔式中、
1aaは、CHまたはC3−6アルキニルであり、
2aaは、Hまたは−CH−CH−OH、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−プロパノイルまたはテトラゾリルであり、そして
aaは、=O、(H,H)または(H,OH)である。
ただし、Xaaが=Oであり、そしてR1aaがCHである場合、R2aaはHでないものとする。〕
で示される化合物、
またはR2aaが−CH−CH−OHである場合のプロドラッグ、たとえばその生理的に加水分解されるエーテルが挙げられる。
【0045】
式Aの化合物は、たとえばWO 94/09010、WO 95/16691、WO 96/41807、USP 5,362,718またはWO 99/15530において開示されており、これらを出典明示により本願の一部とする。それらは、これらの文献において開示されたとおりに、またはこれらの文献において記載された手順と同様に製造され得る。
【0046】
好適なラパマイシン誘導体は、32−デオキソラパマイシン、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンおよび、さらに好ましくは、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンである。ラパマイシン誘導体のさらなる例としては、たとえばCCI779または40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシンまたは医薬上許容されるその塩、USP 5,362,718において開示されたもの、ABT578または40−(テトラゾリル)−ラパマイシン、特に40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン、たとえばWO 99/15530において開示されたもの、またはたとえばWO 98/02441およびWO 01/14387において開示されたようなラパログ、たとえばAP23573またはTAFA−93が挙げられる。
【0047】
特許出願または科学刊行物が引用されるそれぞれの場合において、化合物に関する発明主題を、出典明示により本願の一部とする。同様に、医薬上許容されるそれらの塩、対応するラセミ体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体ならびに、存在する場合には上で開示された化合物の対応する結晶変態、たとえば、溶媒和物、水和物および多形(これらはそれらの中に開示されている。)も含まれる。本発明の組合せ剤において活性成分として使用される化合物は、それぞれ、引用文献において記載されたように製造および投与され得る。また、上に示した2を超える別々の活性成分の組合せも本発明の範囲内である。すなわち、本発明の範囲内の医薬組合せ剤は、3またはそれ以上の活性成分を含み得る。さらに、第1の剤および併用剤の両方が、同一の成分ということはない。
【0048】
脱髄疾患、たとえば上記の多発性硬化症またはギラン−バレー症候群の処置における式Iの化合物の有用性は、動物試験の方法においてならびに臨床において、たとえば後記の方法にしたがって証明され得る。多発性硬化症について最も広く使用される動物モデルは、ヒトの疾患と共通の組織病理学的および臨床的特徴に基づく、実験的自己免疫性能脊髄炎(EAE)である。
【0049】
A.1 インビボ:慢性進行性EAEのSJL/Jマウスモデル
この動物モデルにおける疾患過程は、SP−およびPR−MSといくつか共通の特徴を共有する。免疫化:第0日に、雌性SJL/Jマウスを、完全フロイントアジュバント(CFA)中に乳化させた500μgのウシミエリン塩基性タンパク質(MBP)を含有する200μlの接種で免疫化する(皮下脇腹注射)。第9日に、マウスを、第二のMBP注射および200ngの百日咳毒素からなるさらなる静脈内アジュバント注射により追加免役する。最後の百日咳の注射を第11日に行う。
【0050】
たいていのMBP免疫化マウスは、第21日までにEAEの重度の発作を示す。これに、第25日頃に始まる回復相が続き、この間、マウスは約20日間症状がないままである。その後、第45〜47日までに、約50%の動物が疾患進行相に入る。したがって、試験化合物での治療的処置を、疾患が十分に確立されている第21日に開始し、そして特記しない限り第70日まで継続する。組換えマウスのインターフェロンβ(INFβ Calbiochem/Biosciences)を生理食塩水に溶かし、そして週に3回腹腔内注射により投与する。化合物(a)、たとえば化合物AまたはBを水で希釈し、そして週に5回強制飼養により投与する。ビヒクル対照群のマウスをMBPで免疫化し、そして水で処置する。
【0051】
各実験群は、10匹のマウスからなり、これらを、臨床的EAE徴候について毎日試験する。疾患の発生およびEAE発症の日も記録する。EAEの臨床的評価を、0〜3のスケールを用いて行う。薬物処置開始後に起こるあらゆる疾患関連死亡率を、最高スコア3として記録する。
【0052】
INFβ(10000 IU)と組み合わせた0.6mg/kg(経口)の化合物(a)、たとえば化合物AまたはBは、ビヒクル処置対照と比べて、1ヶ月間(第45日〜第75日)疾患の進行を予防する。対照的に、INFβの単独投与(10000 IU 3回/週)は、約1週間疾患の進行を僅かに阻害するのみであり、この後、マウスは、第68日までにビヒクル処置対照の疾患過程から区別できない完全EAE応答を発症した。
【0053】
A.2 インビボ:慢性的に長引いたEAEのDAラットモデルにおける視神経炎
眼病の徴候、たとえば視神経炎(視神経脊髄炎)は多発性硬化症において頻発し、そしてしばしば脳白質のプラーク形成に先立つか、またはそれに付随する。眼領域、とりわけ視交差も、EAEの脱髄形態における重要な標的である。かかるEAEモデルにおいて、視神経の脱髄により引き起こされる機能障害は、眼組織の形態学的分析と連係的に、電気生理学的方法、たとえば視覚誘発皮質電位および網膜電図により評価され得る。
【0054】
免疫化:第0日に、雌性DAラットを、組換え脳炎誘発性ペプチド、たとえばミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、または一部のCFA(容積:容積)中に乳化させた同系中枢神経系組織のホモジネートを含む、100−200μlの接種で尾基底部にて単回皮内注射により免疫化する。神経症状が免疫後10日までに発症し、そしてEAEの臨床的評価を、0〜4のスケールを用いて行う。試験化合物での治療的処置を、疾患が十分に確立されたとき、通常第12日に開始し、そして2週間継続する。0.3mg/kg(経口)にて1日1回1週間投与された化合物(a)、たとえば化合物AまたはBは、ビヒクル処置対照と比べて、少なくとも2ヶ月間疾患進行を妨げる。組合せ処置を用いて、化合物AまたはB(<0.1mg/kg経口)およびmTORインヒビター(<1mg/kg経口)の最適以下用量は、また、EAE徴候の発症を抑え、そしてDAラットモデルにおける治療的投薬後の疾患関連体重損失を予防する。予防的処置レジメンにおいて、化合物AまたはBおよびmTORインヒビターの同様の組合せ剤は、モルモット神経抗原(neuroantigen)の皮内注射により誘導された、EAEのルイス(Lewis)ラットモデルにおける疾患発症を予防する。
【0055】
B 臨床試験
適当な臨床試験は、たとえば、多発性硬化症を有する患者におけるオープンラベル、用量漸増試験である。かかる試験は、特に本発明の組合せ剤の活性成分の相乗効果を証明する。多発性硬化症に対する有利な効果は、当業者に自体公知のこれらの試験の結果を通して直接的に測定され得る。かかる試験は、特に、活性成分を用いる単剤療法および本発明の組合せ剤の効果を比較するのに適している。好ましくは、剤(a)の用量を最大耐量に達するまで増加させ、そして併用剤(b)を固定用量で投与する。あるいは、剤(a)を固定された用量で投与し、そして併用剤(b)の用量を増加させる。各患者に、毎日または断続的に剤(a)の用量を投与する。処置の効果を、6週ごとの徴候スコアの評価により、たとえば12、18または24週間後にかかる試験において測定し得る。
【0056】
あるいは、プラセボ制御、二重盲検試験を、本明細書において記載した本発明の組合せ剤の効果を証明するために使用し得る。
【0057】
本発明の医薬組合せ剤の投与は、有利な効果、たとえば相乗的治療効果、たとえば徴候の軽減、進行遅延または阻害に関する効果をもたらすだけでなく、本発明の組合せ剤において使用される医薬活性成分の1つのみを提供する単剤療法と比べて、さらに驚くべき有利な効果、たとえばより少ない副作用、改善されたクオリティーオブライフまたは疾病率の減少ももたらす。
【0058】
さらなる利点は、本発明の組合せ剤のより少ない用量の活性成分が使用され得ること、たとえば、多くの場合、より少ない用量を必要とするだけでなく、より少ない頻度で適用されること(このことは、副作用の発生または重度を低減し得る。)である。このことは、処置されるべき患者の要望および要求に合致する。
【0059】
本明細書において使用される「共投与」または「組合せ投与」などの用語は、単一の患者への選択的な治療剤の投与を包含することを意味し、そして剤を同一の投与経路によりまたは同時に投与する必要がない投与レジメンを含むことを意図する。
【0060】
本発明の1つの目的は、本発明の組合せ剤を含む、多発性硬化症またはこれに関連する障害に対して共同で治療上有効量を含んでなる医薬組成物を提供することである。本組成物において、第1の剤(a)および併用剤(b)は、一緒に、一方の後に他方を、または1つの組合せ単位投与形態もしくは2つの個別単位投与形態で投与され得る。単位投与形態は、また、固定組合せ剤であり得る。
【0061】
第一の剤(a)および併用剤(b)の個別投与のための、および固定組合せ剤、すなわち少なくとも2つの組合せパートナー(a)および(b)を含んでなる単一ガレヌス組成物での投与のための本発明の医薬組成物は、自体既知の方法で製造され得、そしてヒトを含む哺乳類(温血動物)への経腸、たとえば経口または経直腸、および非経腸投与に適したものであり、そして単独で、たとえば上で示したように、または1もしくはそれ以上の医薬上許容される担体(とりわけ、経腸もしくは非経腸適用に適したもの)と組み合わせて少なくとも1つの薬理学的に活性な組合せパートナーの治療上有効量を含む。
【0062】
適当な医薬組成物は、たとえば、約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%の活性成分(複数も可)を含有する。経腸もしくは非経腸投与のための組合せ治療用医薬調製物は、たとえば、単位用量形態のもの、たとえば糖衣錠、錠剤、カプセル剤もしくは坐剤、またはアンプル剤である。特記しない限り、これらは自体公知の方法で、たとえば慣用的混合、造粒、シュガーコーティング、溶解または凍結乾燥により製造される。各投与形態のそれぞれの用量に含まれる組合せパートナーの単位含量はそれ自体で有効量を構成する必要はない。というのは、必要な有効量は複数の投与単位の投与により達成され得るからである。
【0063】
特に、本発明の組合せ剤の組合せパートナーのそれぞれの治療上有効量は、同時的または逐次的に、および任意の順序で投与され得、そして成分は個別的または固定された組合せとして投与され得る。たとえば、本発明の多発性硬化症またはそれに関連する障害の進行遅延または処置方法は、同時的または任意の順序で逐次的に、共同で治療上有効量の、好ましくは相乗的に有効な量で、たとえば本明細書において記載した量に対応する1日または断続的用量で、(i)遊離または医薬上許容される塩の形態の第一の剤(a)の投与および(ii)遊離または医薬上許容される塩の形態の併用剤(b)の投与を含み得る。本発明の組合せ剤の個々の組合せパートナーは、治療過程の異なる時点で個別的に、または分割もしくは単一組合せ形態で同時一体的(concurrently)に投与され得る。さらに、「投与」なる用語は、また、インビボで組合せパートナー自体に変換される組合せパートナーのプロドラッグの使用を含む。したがって、本発明は、同時的または交互的処置のかかるレジメンのすべてを包含すると理解されるべきであり、そして「投与」なる用語もそれに応じて解釈されるべきである。
【0064】
本発明の組合せ剤において使用される各組合せパートナーの有効用量は、使用される特定の化合物または医薬組成物、投与様式、処置される病状、処置される病状の重度に依存して変動する。したがって、本発明の組合せ剤の投与レジメンは、投与経路ならびに患者の腎臓および肝臓機能を含む種々の因子にしたがって選択される。通常の知識を有する医師、臨床医または獣医は、病状の進行を予防し、対抗し、または阻止するのに必要とされる単一活性成分の有効量を容易に決定し、そして処方することができる。有効性を示し毒性を示さない範囲内での活性成分濃度を決める最適精度を得るには、特に併用剤(b)が小分子である場合には、標的部位での活性成分の動力学に基づくレジメンが必要である。
【0065】
第一の剤(a)の1日用量は、もちろん、種々の因子、たとえば選択された化合物、処置されるべき特定の病状および所望の効果に依存して変動する。一般に、しかしながら、満足な結果が、単回投与としてまたは分割投与で、約0.03〜2.5mg/kg/日、特に0.1〜2.5mg/kg/日、たとえば0.5〜2.5mg/kg/日のオーダーの1日用量の剤(a)の投与で達成される。S1Pレセプターアゴニスト、たとえば式I〜VIIの化合物、たとえば化合物AまたはBを、任意の慣用的経路により、特に経腸的に、たとえば経口的に、たとえば錠剤、カプセル剤、内用液の形態で、または非経腸的に、たとえば注射可能な溶液もしくは懸濁液の形態で投与し得る。経口投与に適した単位投与形態は、1またはそれ以上の医薬上許容される希釈剤または担体とともに、約0.02〜50mgの活性成分、通常0.1〜30mg、たとえば化合物AまたはBを含んでなる。S1Pレセプターアゴニストが視神経炎の処置において単独で使用される場合、これらの用量も適用される。
【0066】
インターフェロンは、以下の用量範囲でヒトに投与され得る:
インターフェロンβ−1b:0.25mg(皮下)まで;インターフェロンβ−1a:30μg(筋肉内)まで;インターフェロンα−2a:10MIU(MIU)(Mは100万)(皮下)まで、または1 MIU(経口)まで;インターフェロンα−2b:10 MIU(皮下)まで、または1 MIU(経口)まで;PEG化インターフェロンα−2a:270μg(皮下)まで;PEG化インターフェロンα−2b:2.0μg/kg(皮下)まで。
【0067】
グラチラマーは、ヒトに、20mg(皮下)まで、または50mg(経口)までの用量範囲で投与され得る。
【0068】
抗新生物性/抗増殖性免疫抑制剤は、ヒトに、以下の用量範囲で投与され得る:シクロホスファミド 500〜1500mg/m(静脈注射);メトトレキサート 20mg(経口)まで;ミトキサントロン 12mg/m(静脈注射)、またはアザチオプリン 2mg/kg(経口)。
【0069】
ステロイドは、ヒトに、以下の用量範囲で投与され得る:メチルプレドニゾロン 1〜2mg(静脈注射)、または24〜48mg(経口);プレドニゾン 1mg/kg(経口)、またはACTH 100 MIUまで。
【0070】
ADAインヒビター、たとえばクラドリビンは、ヒトに、0.07mg/kg/日までの用量範囲で投与され得る。
【0071】
IVイムノグロブリンGは、ヒトに、400mg/kg(静脈注射)までの用量範囲で投与され得る。
【0072】
種々のT細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体は、ヒトに、以下の用量範囲で投与され得る:ナタリズマブ 3mg/kg(静脈注射)まで、アレムツズマブ 30mg(皮下または静脈注射)まで。
【0073】
TH2促進サイトカインは、ヒトに以下の用量範囲で投与され得る:IL−4 3μg/kg(皮下)まで、またはIL−10 20μg/kg(皮下)まで。TH1促進サイトカインの発現を阻害する化合物、たとえばホスホジエステラーゼインヒビター ペントキシフィリンは、ヒトに、4mg(経口)までの用量範囲で投与され得る。
【0074】
抗痙縮剤は、ヒトに、以下の用量範囲で投与され得る:バクロフェン 100mg(経口)まで、ジアゼパム 20mg(経口)まで、ピラセタム 24mg(経口)まで、ダントロレン 100mg(経口)まで、ラモトリジン 100mg/日まで、リルゾール 100mg(経口)まで、チザニジン 12mg(経口)まで、クロニジン 0.1mg(経口)まで、β−ブロッカー(たとえばプロパノロール) 160mg(経口)まで、シプロヘプタジン 8mg(経口)まで、オルフェナドリン 100mg(経口)まで、およびカンナビノイド(たとえばドロナビノール) 5mg(経口)まで。
【0075】
カテプシンSインヒビター、たとえばWO 03/20721において開示された化合物は、ヒトに、0.1〜100mg/kg/日の用量範囲で投与され得る。
【0076】
mTorインヒビター、たとえばラパマイシンまたはその誘導体、たとえば40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンは、約0.1〜25mg/kg/日を変動する用量範囲で投与され得る。
【0077】
視神経炎の処置、軽減または進行遅延において使用される場合、S1Pレセプターアゴニスト、たとえば式I〜VIIの化合物、たとえば化合物AまたはBは、全身的または局所的に、任意の慣用的経路により、特に経腸的に、たとえば経口的に、たとえば錠剤またはカプセル剤の形態で、局所的に、たとえば局所眼用組成物(たとえば眼用担体を含むもの)の形態で投与され得る。少なくとも1つの医薬上許容される担体または希釈剤とともにS1Pレセプターアゴニストを含んでなる医薬組成物は、慣用的方法、たとえば成分の混合により製造され得る。
【0078】
式I〜VIIの化合物は、本発明での使用に必要とされる用量で十分に忍容性である。たとえば、化合物Aの急性LD50は、ラットおよびサルにおいて>10mg/kg(経口)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)レセプターアゴニスト、および
b)脱髄疾患の少なくとも1つの徴候に対して臨床的活性を有することが示された少なくとも1つの併用剤
を含んでなる医薬組合せ剤。
【請求項2】
1またはそれ以上の医薬上許容される希釈剤または担体とともに、S1Pレセプターアゴニストを含んでなる視神経炎の処置、軽減または進行遅延のための医薬組成物。
【請求項3】
S1Pレセプターアゴニストが、本明細書において実質的に記載および定義された式I〜III、IVa、IVb、およびV〜VIIの化合物から選択される、請求項1または請求項2に記載の組合せ剤または組成物。
【請求項4】
併用剤b)がインターフェロン、改変ペプチドリガンド、免疫抑制剤、アデノシンデアミナーゼインヒビター、IVイムノグロブリンG、T細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体、TH2促進サイトカイン、TH1促進サイトカインの発現を阻害する化合物、抗痙縮剤、AMPAグルタミン酸レセプターアンタゴニスト、VCAM−1発現のインヒビターまたはそのリガンドのアンタゴニスト、抗マクロファージ遊走阻害因子、カテプシンSインヒビターおよびmTORインヒビターからなる群から選択される、請求項1または3に記載の組合せ剤。
【請求項5】
S1Pレセプターアゴニストが遊離の形態または医薬上許容される塩の形態の2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール、2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオールおよびそれらの各ホスフェートから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の組合せ剤または組成物。
【請求項6】
脱髄疾患の徴候の処置、軽減または進行遅延のための方法であって、(a)S1Pレセプターアゴニスト、および(b)脱髄疾患の少なくとも1つの徴候に対する臨床的活性を有することが示された少なくとも1つの併用剤の治療上有効量の共投与を含んでなる方法。
【請求項7】
視神経炎の処置、軽減または進行遅延のための方法であって、それを必要としている対象において、当該対象に、S1Pレセプターアゴニストの治療上有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項8】
S1Pレセプターアゴニストが本明細書において実質的に記載および定義した式I〜VIIの化合物から選択される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
S1Pレセプターアゴニストが遊離の形態または医薬上許容される塩の形態の、2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール、2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオールおよびそれらの各ホスフェートから選択される、請求項6、7または8に記載の方法。
【請求項10】
併用剤(b)がインターフェロン、改変ペプチドリガンド、免疫抑制剤、アデノシンデアミナーゼインヒビター、IVイムノグロブリンG、T細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体、TH2促進サイトカイン、TH1促進サイトカインの発現を阻害する化合物、抗痙縮剤、AMPAグルタミン酸レセプターアンタゴニスト、VCAM−1発現のインヒビターまたはそのリガンドのアンタゴニスト、抗マクロファージ遊走阻害因子、カテプシンSインヒビターおよびmTORインヒビターからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
脱髄疾患の徴候の処置、軽減または進行遅延のための、請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ剤または組成物。
【請求項12】
脱髄疾患の徴候の処置、軽減または進行遅延用医薬組合せ剤の製造のための、(a)スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)レセプターアゴニスト、ならびに(b)脱髄疾患の少なくとも1つの徴候に対して臨床上活性を有することが示された少なくとも1つの併用剤の使用。
【請求項13】
視神経炎の処置、軽減または進行遅延用医薬の製造のための、S1Pレセプターアゴニストの使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)レセプターアゴニスト、および
b)脱髄疾患の少なくとも1つの徴候に対して臨床的活性を有することが示された少なくとも1つの併用剤
を含んでなる医薬組合せ剤。
【請求項2】
1またはそれ以上の医薬上許容される希釈剤または担体とともに、S1Pレセプターアゴニストを含んでなる視神経炎の処置、軽減または進行遅延のための医薬組成物。
【請求項3】
S1Pレセプターアゴニストが、本明細書において実質的に記載および定義された式I〜III、IVa、IVb、およびV〜VIIの化合物から選択される、請求項1または請求項2に記載の組合せ剤または組成物。
【請求項4】
併用剤b)がインターフェロン、改変ペプチドリガンド、免疫抑制剤、アデノシンデアミナーゼインヒビター、IVイムノグロブリンG、T細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体、TH2促進サイトカイン、TH1促進サイトカインの発現を阻害する化合物、抗痙縮剤、AMPAグルタミン酸レセプターアンタゴニスト、VCAM−1発現のインヒビターまたはそのリガンドのアンタゴニスト、抗マクロファージ遊走阻害因子、カテプシンSインヒビターおよびmTORインヒビターからなる群から選択される、請求項1または3に記載の組合せ剤。
【請求項5】
S1Pレセプターアゴニストが遊離の形態または医薬上許容される塩の形態の2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール、2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオールおよびそれらの各ホスフェートから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の組合せ剤または組成物。

【公表番号】特表2006−503924(P2006−503924A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509665(P2005−509665)
【出願日】平成15年9月23日(2003.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010579
【国際公開番号】WO2004/028521
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】