説明

有機性剤で予め表面処理した顔料及び/またはフィラーと求電子性モノマーとを含む化粧品組成物

【課題】暗色の支持体についても、前記繊維の明色化または漂白を必要とせずに顕著な着色を得ること、あるいはケラチン物質、特に、十分に明白な、長期継続性の、さらにシャンプーなどの標準処理に対して耐性のケア効果を髪に得ることを可能にする、ケラチン物質、特に髪等のケラチン繊維の処理のための組成物を提供する。
【解決手段】化粧品として許容される媒質中に、少なくとも1つの求電子性モノマーと、有機性剤で予め表面処理を施した少なくとも1つの顔料及び/または1つのフィラーとを含むケラチン物質の処理のための組成物であって、前記の表面処理顔料または前記の表面処理フィラーが、チタン及びさらに有機顔料で被覆されたマイカ以外である組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品として許容される媒質中に、少なくとも1つの求電子性モノマーと、少なくとも1つの有機性剤で予め表面処理を施した少なくとも1つの顔料及び/または1つのフィラーとを含む、ケラチン物質、例えば皮膚、髪、睫、及び爪、特にケラチン繊維、例えば髪の処理のための組成物であって、前記顔料または前記フィラーが、チタン及び有機顔料で被覆されたマイカ以外である、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維の染色の分野においては、非永久的染色のための直接染料または顔料、あるいは永久染色のための染料前駆体を使用する様々な技術を経てケラチン繊維を染色することが慣行されている。
【0003】
非永続的な着色又は直接的な着色は、直接染料を含有する染色用組成物を用いて、ケラチン繊維を染色することからなる。これらの染料は、ケラチン繊維に対する親和性を有する有色のまたは着色性の分子である。これらは、所望の着色を得るために必要な時間に亘ってケラチン繊維に適用され、その後すすぎ落とされる。
【0004】
使用される標準染料は、特にニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジン、又はトリアリールメタンタイプの染料、又は天然染料である。
【0005】
これらの染料には、明色化条件下で使用してよく、暗色の毛髪を目に見えて着色することを可能にするものがある。
【0006】
また、酸化染色により、ケラチン繊維を永久的に染色することも既知である。この着色技術は、染料前駆体、例えば酸化ベース及びカップラー等を含む組成物を、ケラチン繊維に適用することからなる。酸化剤の作用下にて、これらの前駆体は、毛髪において1つ以上の色種を形成する。
【0007】
酸化ベース及びカップラーとして使用される多様な分子により、広範な色を得ることができ、そこから得られる着色は永続的で強く、且つ外的要因、特に光、悪天候、洗浄、発汗及び摩擦に対して優れた耐性を示す。
【0008】
暗色の毛髪上でも目に見えるようにするために、これら2つの着色技術には、ケラチン繊維を予めまたは同時に脱色することが必要である。酸化剤、例えば過酸化水素又は過酸化塩を用いて実施されるこの脱色工程は、ケラチン繊維を明らかに劣化させ、その化粧特性を損なうことになる。その後、髪は粗くなり、もつれ解きがより困難になり、且ついっそう脆くなる。
【0009】
別の着色方法は、顔料を使用することを含む。特に、ケラチン繊維の表面に顔料を使用することにより、表面の顔料が繊維の本来の色調を隠すため、一般的には暗色の毛髪上でも顕著な着色を得ることができる。ケラチン繊維を着色するための顔料の使用は、例えば仏国特許出願第2741530号に記載されており、ここでは、少なくとも1つの酸性官能基を有する皮膜形成ポリマー粒子の少なくとも1つの分散液と、該分散液の連続相に分散した少なくとも1つの顔料を含有する組成物の、ケラチン繊維を着色するための使用が推奨されている。
【0010】
この染色方法を経て得られる着色は、シャンプー定着性に乏しいという欠点を有する。
【0011】
ケラチン繊維のケアの分野においては、前記ケラチン繊維に柔らかさ及び光沢の特性を与えるフィラー、髪の場合には嵩及び滑らかさを与えるフィラーの使用が慣行されている。しかしながら、標準処理方法を用いて得られる効果は、有効性及び持続性の点で、しばしば不十分である。
【0012】
求電子性モノマーを含む組成物を使用する髪の処理用組成物は、仏国特許出願第2833489号によって既知である。こうした組成物によれば、完全に被覆され、且つ非脂性の髪を得ることが可能である。
【0013】
従来技術から、求電子性モノマーの重合は、顔料またはフィラーを用いて促進しうることもまた知られている。挙げて良い例はアルキルシアノアクリレートを用いるこの現象を開示する、米国特許5290825号である。
【特許文献1】仏国特許出願第2741530号
【特許文献2】仏国特許出願第2833489号
【特許文献3】米国特許5290825号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、ケラチン物質、特に髪等のケラチン繊維の処理のための組成物であって、暗色の支持体についても、前記繊維の明色化または漂白を必要とせずに顕著な着色を得ること、あるいはケラチン物質、特に、十分に明白な、長期継続性の、さらにシャンプーなどの標準処理に対して耐性のケア効果を髪に得ることを可能にする、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は本発明をもって達成されるが、その1つの主題は、化粧品として許容される媒質中に、少なくとも1つの求電子性モノマーと、有機性剤で予め表面処理を施した少なくとも1つの顔料及び/または1つのフィラーとを含むケラチン物質の処理のための組成物(前記の表面処理顔料または前記の表面処理フィラーは、チタン及びさらに有機顔料で被覆されたマイカではない)である。
【0016】
本発明による組成物は、顔料の場合には暗色のケラチン物質に対する着色の明らかさを改善することができる。特に、暗色のケラチン繊維の場合には、前記ケラチン繊維を明色化または漂白することなく、また前記ケラチン繊維のいかなる物理的変性も伴わずに非常に顕著な着色が得られる。
【0017】
さらにまた、得られる着色は、毛髪がさらされるであろう種々の攻撃的影響力、例えばシャンプー、摩擦、光、悪天候、汗及び永続的なパーマネント成形に対して、優れた耐性を示す。これらの特性は、着色のシャンプー耐性に関して特に顕著である。前記着色は、様々な色合いで得られ、色彩的で、強く、美的で、且つ選択性の低いものである。前記髪は、さらに、柔らかさ及び自然な感触などの優れた化粧品特性を示す。
【0018】
フィラーの場合には、本発明の組成物は、経時的に且つシャンプーに対しても残留する良好なレベルの柔らかさを、ケラチン物質に付与することを可能にする。さらにまた、ケラチン支持体に対する優れた均一性の効果が観察される。
【0019】
更にまた、本発明による組成物中に存在する顔料及び/またはフィラーの表面処理により、本発明による組成物の優れた安定性を得ることが可能になる。
【0020】
本発明の主題はまた、本発明による組成物を使用するケラチン繊維の処置方法、並びにケラチン繊維の処理のためのこの組成物の使用である。
【0021】
本発明の主題はまた、一方では少なくとも1つの有機性剤で予め表面処理された顔料及び/またはフィラーを含み、他方では求電子性モノマーを含む処理キットである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の文脈においては、前記の表面処理した顔料または前記の表面処理したフィラーは、チタン及びさらに有機顔料で被覆されたマイカではないが、これは表面処理した顔料または表面処理したフィラーが、チタンで被覆したマイカに有機顔料で表面処理したもの以外であることを意味する。
【0023】
本発明の文脈においては、表面処理されていない顔料は、20℃にて、水中に0.01%未満、好ましくは0.0001%未満の溶解度を有し、更に350nm乃至700nmの吸収、好ましくは極大を伴う吸収を有する。
【0024】
表面処理されていない前記顔料は、本明細書中では「顔料」と呼称され、有機顔料であってよい。「有機顔料」なる語は、ウルマン百科事典における有機顔料についての章中の定義を満たす、あらゆる顔料であってよい。この有機顔料は、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、及びキノフタロン化合物から、特に選択してよい。
【0025】
前記有機顔料は、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、品番CI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160として色指標(Colour Index)に分類されている青色顔料、品番CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005として色指標に分類されている黄色顔料、品番CI 61565、61570、74260として色指標に分類されている緑色顔料、品番CI 11725、15510、45370及び71105として色表に分類されているオレンジ色顔料、品番CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470として色指標に分類されている赤色顔料、並びに仏国特許第2679771号に記載の通りインドール又はフェノール誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択してもよい。
【0026】
これらの顔料はまた、欧州特許第1184426号に記載のように複合顔料の形態であってもよい。これらの複合顔料は、特に、有機顔料で少なくとも部分的に被覆された無機核と、前記核に有機顔料を固定する少なくとも1つのバインダーとを含んで良い。
【0027】
更に挙げて良い例には、Hoechst社により下記の名称:
− ジュネ・コスメニル(Jaune Cosmenyl)IOG:ピグメント・イエロー3(CI 11710);
− ジュネ・コスメニルG:ピグメント・イエロー1(CI 11680);
− オレンジ・コスメニルGR:ピグメント・オレンジ43(CI 71105);
− ルージュ・コスメニルR:ピグメント・レッド4(CI 12085);
− カルミン・コスメニルFB:ピグメント・レッド5(CI 12490);
− ヴァイオレット・コスメニルRL:ピグメント・ヴァイオレット23(CI 51319);
− ブルー・コスメニルA2R:ピグメント・ブルー15.1(CI 74160);
− ヴェール・コスメニルGG:ピグメント・グリーン7(CI 74260);
− ノワール・コスメニルR:ピグメント・ブラック7(CI 77266);
で市販されている製品などの有機顔料の顔料ペーストが含まれる。
【0028】
前記顔料はレーキであってもよい。「レーキ」なる語は、不溶性の粒子に吸着した不溶性染料を意味し、かくして得られるアッセンブリは、使用の間、不溶性を維持する。
【0029】
染料が吸着する無機基質は、例えばアルミナ、シリカ、ナトリウムホウケイ酸カルシウム、又はアルミニウムホウケイ酸カルシウム、及びアルミニウムである。
【0030】
有機染料の中では、コチニールカルミンを挙げることができる。以下の名称:D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 10(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)、D&C Blue 1(CI 42090)で公知の製品も挙げて良い。
【0031】
挙げて良いレーキの例は、以下の名称:D&C Red 7(CI 15850:1)で既知の製品である。
【0032】
前記顔料はまた、特定効果を有する顔料であってもよい。「特定効果を有する顔料」なる語は、一般的に、観察条件(光、温度、観測角等)の関数として変化する、不均一に着色された外観(所定の色調、所定の快活さ、及び所定の明度により特徴付けられる)を創造する顔料を意味する。従って、これらは、通常の均一な不透明、半透明、もしくは透明な色調を付与する白色または有色の顔料と対照を成す。
【0033】
特定の効果を有する2つのタイプの顔料は、低い屈折率を有するもの、例えば蛍光顔料、フォトクロミック顔料、もしくは熱変色顔料及び、高い屈折率を有するもの、例えば真珠光沢顔料もしくはフレークである。
【0034】
挙げて良い特定効果を有する顔料には、白色の真珠光沢顔料、例えばチタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、有色の真珠光沢顔料、例えばチタン及び酸化鉄で被覆されたマイカ、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、上述のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ、並びにオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料が含まれる。
【0035】
基質に固定されることなく干渉効果を有する顔料、例えば液晶(ワッカー社(Wacker)のヘリコーン(Helicones)HC)、ホログラフィー干渉フレーク類(スペクトラテック社(Spectratek)の幾何学的顔料又はスペクトラf/x)を挙げることもできる。特定の効果を有する顔料には、日中の光の下で蛍光性の物質であるか紫外線蛍光を生じる物質であるかによらない蛍光顔料、燐光顔料、ホトクロミック顔料、熱変色顔料、及び、例えばクアンチューム・ドッツ・コーポレーション(Quantum Dots Corporation)から販売されている量子ドットも含まれる。
【0036】
量子ドットは、光による励起下で、400nm〜700nmの波長を有する放射線を発することができる、発光性半導体ナノ粒子である。これらのナノ粒子は文献によっても公知である。これらは特に、例えば米国特許第6225198号又は米国特許第5990479号、ここに引用されている出版物、また以下の出版物:Dabboussi B.O.らの「(CdSe)ZnSコア-シェル量子ドット:高度発光性ナノクリスタリットのサイズ系の合成と特徴((CdSe)ZnS core-shell quantum dots: synthesis and characterisation of a size series of highly luminescent nanocrystallites)」、Journal of Physical Chemistry B, Vol. 101, 1997, pp 9463-9475、及びPeng, Xiaogangら、「光安定性と電子的アクセス容易性を有する高度発光性CdSe/CdSコア/シェルナノ結晶のエピタキシャル成長(Epitaxial Growth of highly Luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility)」、 Journal of the American Chemical Society, Vol. 119, No. 30, pp 7019-7029に記載された方法により製造してよい。
【0037】
特定の効果を有する顔料はまた、日中の光の下で蛍光性の物質であるか紫外線蛍光を生じる物質であるかによらない蛍光顔料、燐光顔料、ホトクロミック顔料、熱変色顔料を含んでよい。
【0038】
前記顔料は、無機顔料であってよい。「無機顔料」なる語は、ウルマン百科事典における無機顔料についての章中の定義を満たす、あらゆる顔料であってよい。本発明において有用な無機顔料の中では、ジルコニウム又はセリウムの酸化物、鉄又はクロムの酸化物、マンガンヴァイオレット、ウルトラマリンブルー、水和クロム、フェリックブルー、及び二酸化チタンを挙げて良い。以下の無機顔料もまた使用して良い:Ta、Ti、Ti、TiO、ZrOを、TiO、ZrO、Nb、CeO、ZnSとの混合物として使用してもよい。
【0039】
前記顔料はまた、白色真珠光沢顔料等の真珠光沢顔料であってよく、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、有色の真珠光沢顔料、例えばチタン及び酸化鉄で被覆されたマイカ、チタン、特にフェリックブルー又は酸化クロムで被覆されたマイカ、チタン及び上述した有機顔料で被覆されたマイカ、並びにオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料であってよい。挙げて良い例には、エンゲルハルト社(Engelhard)から販売されているセリニ(Cellini)顔料(マイカ-TiO-レーキ)、エッカート社(Eckart)から販売されているプレステージ(Prestige)(マイカ-TiO)、及びメルク社(Merck)から販売されているコロロナ(Colorona)(マイカ-TiO-Fe)が含まれる。
【0040】
マイカ支持体表面の真珠光沢顔料に加えて、合成基質に基づく多層顔料、例えばアルミナ、シリカ、ナトリウムホウケイ酸カルシウム、またはアルミニウムホウケイ酸カルシウム、及びアルミニウムを想定して良い。
【0041】
本発明の文脈において有用な顔料のサイズは、一般的に10nm乃至200μm、好ましくは20nm乃至80μm、より好ましくは30nm乃至50μmである。
【0042】
「フィラー」なる語は、室温及び常圧にて固体であって、該組成物の様々な成分に対して、たとえこれらの成分が室温よりも高温に加温された場合でも不溶性である、実質的に無着色の化合物を意味する。
【0043】
フィラーは、無機又は有機のものであってよい。前記フィラーは、あらゆる形態の粒子、特に小板形状、球状、または長楕円それぞれの結晶形態(例えばラメラ、立方晶、六方晶、または斜方晶)であってよい。
【0044】
本発明の組成物中に使用して良いフィラーの中では、特にタルク;天然もしくは合成のマイカ;シリカ;カオリン;ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリ-β-アラニン、及びポリエチレンパウダー;テトラフルオロエチレンポリマー(テフロン(登録商標))パウダー;ラウロイルリシン;澱粉;窒化ホウ素;アクリル酸ポリマーパウダー;シリコーン樹脂ミクロビーズ、例えばToshiba社製の「トスパール(登録商標)」;オキシ塩化ビスマス;沈降炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム、及び炭酸水素マグネシウム;ヒドロキシアパタイト;中空シリカミクロスフェア、例えばMaprecos社製の「シリカビーズSB 700/HA(登録商標)」または「シリカビーズSB 700(登録商標)」、Asahi Glass社製の「サンスフェアH-33(登録商標)」及び「サンスフェアH-51(登録商標)」;アクリル性ポリマーミクロスフェア、例えばRP Scherrer社製の「ポリトラップ6603アドソーバー(登録商標)」、及びSEPPIC社性のポリメチルメタクリレート「ミクロパールM 100(登録商標)」;ポリウレタンパウダー、例えばヘキサメチレンジイソシアネート及びToshiki社により「プラスチックパウダーD-400(登録商標)」の名で市販のトリメチロールヘキシルラクトンコポリマーパウダー;ガラスもしくはセラミックのミクロカプセル;8乃至22の炭素原子、特に12乃至18の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、もしくはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、もしくはミリスチン酸マグネシウム;メチルアクリレートもしくはメタクリレートのポリマーもしくはコポリマー、あるいはまた塩化ビニリデン及びアクリロニトリルコポリマーのミクロカプセル、例えばExpancel社製の「Expancel(登録商標)」;弾性架橋オルガノポリシロキサンパウダー、例えばDow Corningにより「トレフィルパウダーE-506C」の名で市販のもの;並びにこれらの混合物を挙げて良い。
【0045】
フィラーは、表面処理の有無に寄らず、0.01乃至150μm、更に好適には0.5乃至150μmの視直径を有してよい。視直径は、基本粒子がその最小の寸法(ラメラ層の厚さ)に沿って内接する円の直径に相当する。
【0046】
本発明の内容において有用である、予め表面処理した顔料及びフィラーは、有機性剤、例えば特にCosmetic and Toiletries, February 1990, vol. 105, pp. 53-64に記載のものを用いて、本発明による組成物中に分散させられる前に、化学的、電気的、電気化学的、機械化学的、または機械的な性質の表面処理を全体的もしくは部分的に経た顔料またはフィラーである。これらの有機性剤は、例えば、アミノ酸;ワックス、例えばカルナウバワックス及びミツロウ;脂肪酸、脂肪アルコール、及びこれらの誘導体、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、及びラウリン酸、並びにこれらの誘導体;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、チタン塩、亜鉛塩、もしくはアルミニウム塩、例えばステアリン酸アルミニウムまたはラウリン酸アルミニウム;金属アルコキシド;多糖類、例えばキトサン、セルロース、及びこれらの誘導体;ポリエチレン;(メタ)アクリル性ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含むポリマー及びコポリマー;タンパク質;アルカノールアミン;アクリレート単位を含むシリコーン化合物;タンパク質;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、ポリジメチルシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン、及びシロキシシリケート;有機フッ素化合物、例えばペルフルオロアルキルエーテル;フッ化シリコーン化合物から選択してよい。
【0047】
本発明の目的のためには、表面処理は、表面処理された顔料がその本来の処理前の顔料特性を保持し、表面処理されたフィラーがその本来の処理前のフィラー特性を保持するようなものである。例えば、表面に有機染料が吸着した無機基質、例えばアルミナもしくはシリカは、本発明の目的にかなう表面処理フィラーではない。
【0048】
本発明の内容において有用である表面処理顔料及びフィラーは、これらの化合物の混合物で処理されているか、幾つかの表面処理を経ていて良い。
【0049】
本発明の内容において有用である表面処理顔料及びフィラーは、当業者には周知の表面処理技術によって調製して良く、あるいは必要とされる形態で市販品を入手可能である。
【0050】
好ましくは、表面処理された顔料及び/またはフィラーは、有機層で被覆されている。
【0051】
前記顔料及びフィラーを処理するための有機性剤は、溶媒蒸発により、表面作用剤の分子間の化学反応により、または表面作用剤と顔料もしくはフィラーとの間の共有結合の生成により、該顔料またはフィラー表面に付着してよい。
【0052】
表面処理は、例えば、表面作用剤と顔料もしくはフィラーの表面との化学反応及び、表面作用剤と顔料もしくはフィラーとの間の共有結合の生成によって行って良い。この方法は、特に米国特許第4578266号に開示されている。
【0053】
顔料またはフィラーに共有結合した有機性剤が好ましく使用される。
【0054】
表面処理のための作用剤は、表面処理顔料もしくはフィラーの全重量に対して、0.1乃至50重量%、好ましくは0.5乃至30重量%、更に好ましくは1乃至10重量%を占めて良い。
【0055】
好ましくは、顔料及びフィラーの表面処理は、下記の処理から選択される。
・PEG-シリコーン処理、例えばLCWにより市販のAQ表面処理;
・キトサン処理、例えばLCW社により市販のCTS表面処理;
・トリエトキシカプリリルシラン処理、例えばLCW社により市販のAS表面処理;
・メチコーン処理、例えばLCW社により市販のSI表面処理;
・ジメチコーン処理、例えばLCW社により市販のCovasil 3.05表面処理;
・ジメチコーン/トリメチルシロキシシリケート処理、例えばLCW社により市販のCovasil 4.05表面処理;
・ラウロイルリシン処理、例えばLCW社により市販のLL表面処理;
・ラウロイルリシンジメチコーン処理、例えばLCW社により市販のLL/SI表面処理;
・マグネシウムミリステート処理、例えばLCW社により市販のMM表面処理;
・アルミニウムジミリステート処理、例えばMiyoshi社により市販のMI表面処理;
・ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えばLCW社により市販のFHC表面処理;
・イソステアリルセバケート処理、例えばMiyoshi社により市販のHS表面処理;
・ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えばMiyoshi社により市販のNAI表面処理;
・ジメチコーン/ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えばMiyoshi社により市販のSA/NAI表面処理;
・ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えばDaito社により市販のPF表面処理;
・アクリレート/ジメチコーンコポリマー及びペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えばDaito社により市販のFSA表面処理;
・ポリメチルヒドロゲノシロキサン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えばDaito社により市販のFS01表面処理;
・ラウロイルリシン/アルミニウムトリステアレート処理、例えばDaito社により市販のLL-AlSt表面処理;
・オクチルトリエチルシラン処理、例えばDaito社により市販のOTS表面処理;
・オクチルトリエチルシラン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えばDaito社により市販のFOTS表面処理;
・アクリレート/ジメチコーンコポリマー処理、例えばDaito社により市販のASC表面処理;
・イソプロピルチタニウムトリイソステアレート処理、例えばDaito社により市販のITT表面処理;
・ミクロクリスタリンセルロース及びカルボキシメチルセルロース処理、例えばDaito社により市販のAC表面処理;
・セルロース処理、例えばDaito社により市販のC2表面処理;
・アクリレートコポリマー処理、例えばDaito社により市販のAPD表面処理;
・ペルフルオロアルキルホスフェート/イソプロピルチタニウムトリイソステアレート処理、例えばDaito社により市販のPF+ITT表面処理。
【0056】
表面処理顔料は、一般的に、組成物中に、組成物全重量に対して0.05乃至50重量%、好ましくは0.1乃至35重量%、更に好ましくは0.5乃至20重量%の合計量で存在する。
【0057】
表面処理または表面未処理のフィラーは、一般的に、組成物中に、組成物全重量に対して0.05乃至95重量%、好ましくは0.1乃至50重量%、更に好ましくは0.5乃至30重量%の合計量で存在する。
【0058】
本発明による組成物は、1つ以上の表面未処理のフィラーを更に含んでも良い。
【0059】
本発明による組成物は、1つ以上の表面未処理の顔料を更に含んでも良い。
【0060】
「求電子モノマー」なる語は、求核性剤の存在下にて、アニオン重合を経て重合化可能なモノマーを意味する。
【0061】
「アニオン重合」なる語は、文献"Advanced Organic Chemistry", third edition, by Jerry March, pages 151 to 161に定義される機構を意味する。
【0062】
アニオン重合を開始させることのできる求核性剤は、求電子性剤、例えば中性のpHにて水中に含まれる水酸化物イオン等と接触するとカルバニオンを生成可能な、既知の系である。「カルバニオン」なる語は、文献"Advanced Organic Chemistry", third edition, by Jerry March, pge 141に定義される化学種を意味する。
【0063】
本発明の組成物中に存在する求電子性モノマーは、例えば下記より選択される。
・Sayyahにより、J. Polymer Research, 2000, p. 97に記載の、ベンジリデンマロノニトリル誘導体(A)、2-(4-クロロベンジリデン)マロノニトリル(A1)、エチル2-シアノ-3-フェニルアクリレート(B)、及びエチル2-シアノ-3-(4-クロロフェニル)アクリレート(B1)。
【0064】
【化1】

【0065】
・HopffによるMakromoleculare Chemie, 1961, p. 95, De Keyser, J. Pharm, Sci, 1991, p. 67及びKlemarczykによるPolymer, 1998, p. 173に記載のメチリデンマロネート誘導体、例えばジエチル2-メチレンマロネート(C):
【化2】

【0066】
・BretonによるBiomaterials, 1998, p. 271及びCouvreur, Pharmaceutical Research, 1994, p. 1270に記載のエチル2-エトキシカルボニルメチレンカルボニルアクリレート(D):
【化3】

【0067】
・BachrachによるEuropean Polymer Journal, 1976, p. 563に記載のイタコネート及びイタコンイミド誘導体、例えばジメチルイタコネート(E)及び、Watanabeによる、J. Polymer Science: Part A: Polymer chemistry, 1994, p. 2073に記載のN-ブチルイタコンイミド(F)、N-(4-トルイル)イタコンイミド(G)、N-(2-エチルフェニル)イタコンイミド(H)、N-(2,6-ジエチルフェニル)イタコンイミド(I):
【化4】

(式中、R=ブチル(F)、4-トルイル(G)、2-エチルフェニル(H)、2,6-ジエチルフェニル(I))
【0068】
・Gipsteinによる、J. Org. Chem, 1980, p. 1486に記載の誘導体、メチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(K)、エチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(L)、メチルα-(tert-ブチルスルホニル)アクリレート(M)、tert-ブチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(N)、及びtert-ブチルα-(tert-ブチルスルホニル)アクリレート(O)、及び
・Shearerによる米国特許第2748050号に記載の誘導体、1,1-ビス(メチルスルホニル)エチレン(P)、1-アセチル-1-メチルスルホニルエチレン(Q)、メチルα-(メチルスルホニル)ビニルスルホネート(R)、及びα-メチルスルホニルアクリロニトリル(S):
【化5】

【0069】
・BoorによりJ. Polymer Science, 1971, p. 249に記載のメチルビニルスルホン(T)及びフェニルビニルスルホン(U)誘導体:
【化6】

【0070】
・kangaによるPolymer preprints(ACS, Division of Polymer Chemistry), 1987, p.322に記載のフェニルビニルスルホキシド誘導体(V):
【化7】

【0071】
・BonnerによるPolymer Bulletin, 1992, p.517に記載の誘導体3-メチル-N-(フェニルスルホニル)-1-アザ-1,3-ブタジエン(W):
【化8】

【0072】
・KobayashiによるJournal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry, 2005, p. 2754に記載のアクリレート及びアクリルアミド誘導体、例えば、
・N-プロピル-N-(3-トリイソプロポキシシリルプロピル)アクリルアミド(X)及びN-プロピル-N-(3-トリエトキシシリルプロピル)アクリルアミド(Y):
【化9】

・RozenbergによるInternational Journal of Plastics Technology, 2003, p. 17に記載の2-ヒドロキシエチルアクリレート(Z)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(AA):
【化10】

・SchmittによるMacromolecules, 2001, p. 2115のN-ブチルアクリレート及びIshizoneによるmacromolecules, 1999, p. 955のtert-ブチルアクリレート(AC)。
【化11】

【0073】
本発明において有用な求電子性モノマーは、環状または直鎖状であってよい。これが環状である場合には、電子吸引基は好ましくは環外にあり、すなわち該モノマーの環状構造の不可欠な部分を構成しない。
【0074】
本発明の特段の実施態様によれば、本発明の内容において有用な電子求引性モノマーは少なくとも2つの電子吸引基を含む。
【0075】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、電子求引性モノマーは、下式(I):
【化12】

[式中、
及びRは、それぞれ互いに独立に、わずかに電子求引性または非電子求引性の基(わずかに誘引性または非誘引性である)、例えば下記:
・水素原子、
・飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、1乃至20の炭素原子、更に好適には1乃至10の炭素原子を含む炭化水素系基であって、1つ以上の窒素、酸素もしくは硫黄原子を任意に含み、且つ-OR、-COOR、-COR、-SH、-SR、-OH、及びハロゲン原子から選択される1つ以上の基で任意に置換された炭化水素系基
・変性または未変性のポリオルガノシロキサン残基、
・ポリオキシアルキレン基、
を示し;
・R及びRは、それぞれ互いに独立に、電子求引(もしくは誘引性)基、好ましくは-N(R)3+、-S(R)2+、-SH2+、-NH3+、-NO2、-SO2R、-C≡N、-COOH、-COOR、-COSR、-CONH2、-CONHR、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-COR、-SH、-SR、及び-OH基、直鎖状もしくは分枝状のアルケニル基、直鎖状もしくは分枝状のアルキニル基、C1-C4モノフルオロアルキルもしくはポリフルオロアルキル基、アリール、例えばフェニル、またはアリールオキシ基、例えばフェノキシルオキシ基から選択される基を表し;
・Rは、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、1乃至20の炭素原子、更に好適には1乃至10の炭素原子を含む炭化水素系基であって、1つ以上の窒素、酸素もしくは硫黄原子を任意に含み、且つ-OR'、-COOR'、-COR'、-SH、-SR'、及び-OH、ハロゲン原子から選択される1つ以上の基で任意に置換された炭化水素系基、またはポリマー残基を表し、R'はC1-C10アルキル基を示すが、このポリマーは、フリーラジカル重合または重縮合、または開環によって得ることが可能であり、R'はC1-C10アルキル基を示す]
の化合物から選択される。
【0076】
「電子求引性または誘引性基(I)」なる語は、炭素よりも電気陰性であるあらゆる基を意味する。P.R. Wellsによる文献、Prog. Phys. Org. Chem., vol. 6111(1968)を参照して良い。
【0077】
「わずかに電子求引性または非電子求引性の基」なる語は、その電気陰性が炭素と同等またはそれ以下であるあらゆる基を意味する。
【0078】
前記アルケニル基またはアルキニル基は、好ましくは2乃至20の炭素原子、更に好適には2乃至10の炭素原子を含む。
【0079】
飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、好ましくは1乃至20の炭素原子、更に好適には1乃至10の炭素原子を含む炭化水素系基としては、特に直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、例えばメチル、エチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ブテニル、もしくはブチニル;シクロアルキル、または芳香族基を挙げて良い。
【0080】
挙げて良い置換炭化水素系基の例には、ヒドロキシアルキル及びポリハロアルキル基が含まれる。
【0081】
特に挙げて良い未変性ポリオルガノシロキサンの例には、ポリアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン、ポリアリールシロキサン、例えばポリフェニルシロキサン、及びポリアリールアルキルシロキサン、例えばポリメチルフェニルシロキサンが含まれる。
【0082】
特に挙げて良い変性ポリオルガノシロキサンの中には、ポリオキシアルキレン及び/またはシロキシ及び/またはシラノール及び/またはアミン及び/またはイミン及び/またはフルオロアルキル基を含むポリジメチルシロキサンがある。
【0083】
特に挙げて良いポリオキシアルキレン基の中には、好ましくは1乃至200のオキシアルキレン単位を含む、ポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基がある。
【0084】
特に挙げて良いモノフルオロアルキル基またはポリフルオロアルキル基の中には、例えば-(CH2)n-(CF2)m-CF3または-(CH2)n-(CF2)m-CHF2 (ここでnは1乃至20、mは1乃至20である)がある。
【0085】
置換基R1乃至R4は、化粧品活性を有する基で任意に置換されていて良い。特に利用される化粧品活性は、着色機能、抗酸化機能、UVスクリーン機能、及び調整機能を有する基から得られる。
【0086】
着色機能を有する基の例としては、特にアゾ、キノン、メチン、シアノメチン、及びトリアリールメタン基を挙げて良い。
【0087】
抗酸化機能を有する基の例としては、特にブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、またはビタミンEタイプの基を挙げて良い。
【0088】
UVスクリーン機能を有する基の例としては、特にベンゾフェノン、シンナメート、ベンゾエート、ベンジリデンカンファ、及びジベンゾイルメタンタイプの基を挙げて良い。
【0089】
調整機能を有する基の例としては、特にカチオン性基及び脂肪エステルタイプの基を挙げて良い。
【0090】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記電子求引性モノマーは、下式(II):
【化13】

[式中、
・Xは、NH、S、またはOを示して良く、
・R'は、水素原子またはR基を示して良く、
・R、R、及びRは、以上に定義される通りである]
のシアノアクリレート族のモノマーから選択される。
【0091】
式(I)及び(II)において、R及びRは、好ましくは水素原子を表す。
【0092】
式(II)において、Xは好ましくはOを示し、R'は好ましくはC6-C10のアルキル基水素原子を表す。
【0093】
挙げて良い式(II)の化合物には、下記のモノマー:
a)ポリフルオロアルキル2-シアノアクリレートの族に属するモノマー、例えば下式(III):
【化14】

のエステル2,2,3,3-テトラフルオロプロピル2-シアノ-2-プロペノエート、または下式(IV):
【化15】

のエステル2,2,2-トリフルオロエチル2-シアノ-2-プロペノエート、
b)下式(VI):
【化16】

[式中、
・R'3は、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、または(C1-C4)アルコキシ(C1-C10)アルキル基、好ましくはC1-C10アルキルまたは(C1-C4)アルコキシ(C1-C10)アルキル基を表し;
・R及びRは、以上に定義される通りである]
のアルキルもしくはアルコキシアルキルの2-シアノアクリレート族に属するモノマー、
が含まれる。
【0094】
特に、エチル2-シアノアクリレート、メチル2-シアノアクリレート、n-プロピル2-シアノアクリレート、イソプロピル2-シアノアクリレート、tert-ブチル2-シアノアクリレート、n-ブチル2-シアノアクリレート、イソブチル2-シアノアクリレート、3-メトキシブチルシアノアクリレート、n-デシルシアノアクリレート、ヘキシル2-シアノアクリレート、2-エトキシエチル2-シアノアクリレート、2-メトキシエチル2-シアノアクリレート、2-オクチル2-シアノアクリレート、2-プロポキシエチル2-シアノアクリレート、n-オクチル2-シアノアクリレート、アリル2-シアノアクリレート、メトキシプロピル2-シアノアクリレート、及びイソアミルシアノアクリレートを挙げて良い。
【0095】
上記式(VI)においては、R'3は、好ましくはC6-C10アルキル基を表し、R及びRは、水素原子を表す。
【0096】
本発明の内容においては、b)に定義されるモノマーを用いることが好ましい。
【0097】
最も好ましいモノマーは、下式(VII):
【化17】

[式中、R'3は、下記の基:
【化18】

から選択される]
の化合物及びこれらの混合物である。
【0098】
本発明によって使用されるモノマーは、支持体、例えばポリマー、オリゴマー、またはデンドリマーなどに共有結合していて良い。前記ポリマーまたはオリゴマーは、直鎖状、分枝状、櫛形、またはブロック形態であって良い。本発明のモノマーの、前記ポリマー、オリゴマー、またはデンドリマー構造上での分布は、ランダムであっても、末端位置にあっても、またはブロック形態であっても良い。
【0099】
電子求引性モノマーは、一般的に本発明による組成物中に、組成物全重量に対しておよそ0.1乃至80重量%、好ましくはおよそ1乃至50重量%の量で存在する。
【0100】
本発明の内容において有用である電子求引性モノマーは、文献に記載の既知の方法に従って合成して良い。特に、シアノアクリレート族のモノマーは、米国特許3527224号、米国特許3591767号、米国特許3667472号、米国特許3995641号、米国特許4035334号、及び米国特許4650826号の教示に従って合成して良い。
【0101】
本発明によれば、前記モノマーは、好ましくは、化粧品として許容される条件下にあるケラチン繊維上で重合しうるモノマーから選択される。特に、前記モノマーの重合化は、該適用を、フード下での乾燥、ブロー乾燥、またはストレートアイロンもしくはウェーブ用アイロンによる処理によって完了することを妨げない、好ましくは80℃以下の温度にて、好ましくは10乃至80℃、好ましくは20乃至80℃にて起こる。
【0102】
前記求核性剤は、本発明の組成物と別個に適用して良い。これはまた、本発明の組成物に、その使用時に添加してもよい。この場合は、本発明による組成物は少なくとも1つの求核性剤を更に含む。
【0103】
本発明の1つの特段の実施態様によれば、前記求核性剤は、分子化合物、オリゴマー、デンドリマー、及び、R、NH、Ph、R、PhNH、ピリジン、ArS、R-C≡C、RS、SH、RO、RNH、ArO、N、OH−、ArNH、NH、I、Br、Cl、RCOO、SCN、ROH、RSH、NCO、CN、NO、ClO、及びHOを含み、Phはフェニル基を表し;Arはアリール基を表し、RはC-C10アルキル基を表す、少なくとも1つの求核性官能基を担持するポリマーから選択される。
【0104】
前記求核性基は、好ましくは水である。
【0105】
本発明の組成物の化粧品として許容される媒質は、好ましくは無水及び非吸湿性の媒質の形態である。「無水媒質」なる語は、1%未満の水を含む媒質を意味する。
【0106】
本発明の組成物の化粧品として許容される媒質は、好ましくは:
・芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール;
・脂肪アルコール;
・変性又は未変性のポリオール類、例えばグリセロール、グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及びブチルジグリコール;
・揮発性又は不揮発性のシリコーン類、例えばシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ポリジメチルシロキサンであって、場合によりフェニル及び/又はシロキシ及び/又はシラノール及び/又はアミン及び/又はイミン及び/又はフルオロアルキル及び/又はカルボキシル及び/又はベタイン及び/又は第4級アンモニウム官能基で変性されているもの;
・鉱物油、有機油又は植物油;
・オキシエチレン化又は非オキシエチレン化されたワックス、パラフィン、及びアルカン類、特にCないしC10アルカン類;
・脂肪酸、脂肪アミド類、脂肪エステル、特に脂肪アルコールサリチレート又はベンゾエート;
から選択される。
【0107】
本発明の組成物の化粧品として許容される媒質は、直接及び/または逆エマルションの形態であっても、並びに/あるいはカプセル封入されていてもよく、前記求電子性モノマーは使用時まで無水媒質中に維持される。エマルションの分散もしくは連続相は、水、C1-C4脂肪族アルコールもしくはシリコーン、またはこれらの混合物から成るものであって良い。本発明の組成物を封入するカプセルまたはミクロカプセルは、以上に定義される無水媒質中、水中、またはC1-C4脂肪族アルコール中に分散されていてよい。
【0108】
本発明による組成物は、少なくとも1つの重合阻害剤を更に含んで良い。
【0109】
好ましくは、前記重合阻害剤は、アニオン重合及び/またはラジカル重合阻害剤である。
【0110】
挙げて良いアニオン重合及び/またはラジカル重合阻害剤の例には、二酸化硫黄、酸化窒素、有機酸、例えばスルホン酸、ホスホン酸、もしくは酢酸、ラクトン、三フッ化ホウ素、ヒドロキノン及びその誘導体、例えばヒドロキノンモノエチルエーテル、またはtert-ブチルヒドロキノン、ベンゾキノン及びその誘導体、例えばジュロキノン、カテコール及びその誘導体、例えばt-ブチルカテコール及びメトキシカテコール、アニソール及びその誘導体、例えばメトキシアニソールまたはヒドロキシアニソール、ピロガロール及びその誘導体、p-メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、硫酸アルキル、亜硫酸アルキル、アルキルスルホン、アルキルスルホキシド、アルキルスルフィド、メルカプタン、及び3-スルホン、並びにこれらの混合物が含まれる。前記アルキル基は、好ましくは1乃至6の炭素原子を含む基を示す。
【0111】
前記重合阻害剤は、一般的には本発明による組成物中に、該組成物全重量に対しておよそ0.01乃至10重量%、さらに好ましくは該組成物全重量に対しておよそ0.05乃至5重量%の量で存在する。
【0112】
本発明による組成物は、本発明の内容において有用な求電子性モノマーに対して全く反応性を持たない、少なくとも1つの増粘ポリマーを更に含んで良い。
【0113】
本発明の内容において有用な求電子性モノマーに対して全く反応性を持たない増粘ポリマーの例としては、非網羅的に、ポリメチルメタクリラート(PMMA)又は米国特許第6224622号に記載のシアノアクリラート系コポリマーを挙げて良い。
【0114】
前記増粘ポリマーは、一般的には本発明による組成物中に、該組成物全重量に対しておよそ0.1乃至50重量%、好ましくは該組成物全重量に対しておよそ0.5乃至25重量%の量で存在する。これらは、とりわけ、求電子性モノマーの重合速度を調整するために有用である。
【0115】
本発明による組成物は、化粧品に従来使用されている付加的化合物を更に含有していてよい。これらの化合物は、還元剤、脂肪物質、オルガノ変性もしくは非オルガノ変性シリコーン、上述したもの以外の増粘剤、カチオン性、アニオン性、中性、もしくは両性のポリマー、柔軟剤、消泡剤、保湿剤、エモリエント、アルカリ性化剤、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー、キレート剤、フケ防止剤、脂漏制御剤、鎮静剤、可塑剤、サンスクリーン剤、直接染料(天然または非天然)、または酸化剤(ベース及び/またはカップラー)、顔料、無機フィラー、粘土類、コロイド状ミネラル、真珠顔料、香料、ペプタイザー、防腐剤、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性又は非イオン性の界面活性剤、固定又は非固定ポリマー、コンディショニングポリマー、加水分解もしくは非加水分解タンパク質、酵素、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、ビタミン、糖類、オリゴ糖類、多糖類(これらは加水分解されていても非加水分解でも良い)、変性もしくは未変性のアミノ酸、動物、植物、もしくは鉱物性のワックス、セラミド、シュードセラミド、ヒドロキシル化有機酸、ポリイソブテン、及びポリ(α-オレフィン)、脂肪エステル、溶解もしくは分散形態であるアニオン性ポリマー、並びに溶解もしくは分散形態である非イオン性ポリマーから選択して良い。
【0116】
言うまでもないが、当業者であれば、こうした任意の付加的化合物を、その想定される添加によって本発明による組成物に本来的に付随する有利な特性を損なうことのないように、もしくは実質的に損なうことのないように選択するであろう。
【0117】
本発明による組成物は、ローション、スプレー、またはムース等の様々な形態であってよく、またシャンプーまたはヘアコンディショナーの形態で適用して良い。
【0118】
本発明による組成物は、噴射剤を更に含んで良い。前記噴射剤は、エアロゾル組成物の調製に使用される、一般的には加圧もしくは液化されたガスからなる。好ましくは、加圧もしくは液化ガスは、空気、二酸化炭素、圧縮窒素、可溶性ガス、例えばジメチルエーテル、ハロゲン化炭化水素、例えばフッ化炭化水素、または非ハロゲン化炭化水素、並びにこれらの混合物から選択される。
【0119】
本発明による組成物は、未変性の形態であっても、または使用時に2つの組成物を混合することによって生成させてもよい。例えば、第一の組成物は電子求引性モノマーを含んでよく、第二の組成物は表面処理顔料及び/またはフィラーを含んで良い。
【0120】
本発明による方法は、化粧品として許容される媒質中に、予め表面処理を施した少なくとも1つの顔料及び/または1つのフィラーと、以上に定義される少なくとも1つの求電子性モノマーとを含む組成物を、少なくとも1つの求核剤の存在下でケラチン繊維に適用する工程を含む。
【0121】
本発明の方法の変形によれば、本発明による組成物の適用は、一方が表面処理を施した顔料及び/またはフィラーを含む組成物をケラチン繊維に適用する工程であり、他方が求電子性モノマーを含む組成物をケラチン繊維に適用する工程である少なくとも2つの工程によって、前記工程の順序は無関係に、行われる。
【0122】
有用な前記求核剤は、純粋形態、溶液として、またはエマルションの形態で使用して良く、あるいはカプセル実装されていてよい。これは、表面処理した顔料を含む組成物中に存在して良い。これは別途適用しても良い。この場合は、例えば、この求核剤を用いてケラチン繊維に含浸させておくことができる。
【0123】
前記求核剤が水である場合には、酸性化剤及び/または塩基性化剤を使用してpHを調整した水性溶液でケラチン繊維を予め湿らせておくことができる。
【0124】
酸性化剤の中で挙げてよい例には、無機もしくは有機の酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸、もしくは乳酸、及びスルホン酸が含まれる。
【0125】
塩基性化剤の中で挙げて良い例には、アンモニア水、アルカリ性カーボネート、アルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン、並びにこれらの誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び下式(VII):
【化19】

[式中、
Wは、ヒドロキシル基またはC1-C4アルキル基で任意に置換されたプロピレン残基であり;Ra、Rb、Rc、及びRdは、同一又は相違して良く、水素原子またはC1-C4アルキル基またはC1-C4ヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物が含まれる。
【0126】
本発明の特段の実施態様によれば、ケラチン繊維の求核性は、ケラチン繊維の化学変化によって増大する。例としては、ケラチンの一部を成すジスルフィド架橋をチオールに還元するために、少なくとも1つのケラチン還元剤を、以上に定義される本発明の組成物の適用の前にケラチン繊維に適用して良い。
【0127】
有用なケラチン還元剤の中では、下記:
・無水チオ硫酸ナトリウム、
・パウダー状のメタ重亜硫酸ナトリウム、
・チオ尿素、
・亜硫酸アンモニウム、
・チオグリコール酸、
・チオ乳酸、
・チオ乳酸アンモニウム、
・モノチオグリコール酸グリセロール、
・チオグリコール酸アンモニウム、
・チオグリセロール、
・2,5-ジヒドロキシ安息香酸、
・ジチオグリコール酸ジアンモニウム、
・チオグリコール酸ストロンチウム、
・チオグリコール酸カルシウム、
・ホルムアルデヒド-スルホキシル酸亜鉛、
・チオグリコール酸イソオクチル、
・dl-システイン、及び
・モノエタノールアミンチオグリコラート、
を挙げることができる。
【0128】
特に原位置で生成するポリシアノアクリレートの付着を改善するために、ケラチン繊維を如何なるタイプのポリマーで前処理しても、または例えば直接染色もしくは酸化染色、パーマネントウェーブもしくはストレートパーマ処理等の毛髪処理を行っても良い。
【0129】
ケラチン繊維への組成物の適用の後に、濯ぎ及び/または乾燥を行っても行わなくともよい。
これらの組成物は、以上に定義される様々な付加的化合物を更に含んで良い。
本発明の方法によれば、多数回重ねて適用することが可能である。
【0130】
本発明の主題はまた、以上に定義されるように予め表面処理を施した少なくとも1つの顔料及び/または1つのフィラーを含む組成物を含み、また、以上に定義される少なくとも1つの求電子性モノマーと少なくとも1つの任意の重合阻害剤とを含む組成物を含むことを特徴とする、ケラチン繊維を処理するためのキットである。
【0131】
本発明によるキットの1つの特定の実施態様によれば、表面処理した顔料及び/またはフィラーを含む前記組成物は、以上に定義される求核剤を更に含む。
【0132】
本発明による別の特定の実施態様によれば、前記キットは以上に定義される少なくとも1つの求核剤を含む組成物を更に含む。
【0133】
本発明の第一の変形によれば、表面処理を施した顔料及び/またはフィラーを含む前記組成物と、求電子性モノマー及び任意の重合阻害剤を含む前記組成物は、同一の無水組成物中に存在する。
【0134】
第二の変形によれば、表面処理を施した顔料及び/またはフィラーを含む前記組成物は水性組成物であり、求電子性モノマー及び任意の重合阻害剤を含む前記組成物は無水組成物である。
【0135】
前記求電子性モノマーは、これを含む組成物中に、一般的に該組成物全重量に対して0.05乃至30重量%、好ましくは0.01乃至50重量%、更に好ましくは0.1乃至20重量%の濃度で存在する。
【0136】
本発明の主題はまた、以上に定義される組成物のケラチン繊維の処理のための使用である。
該組成物が1つ以上の表面処理顔料を含む場合は、ケラチン繊維の該処理は染色処理である。
該組成物が1つ以上の表面処理フィラーを含む場合は、ケラチン繊維の該処理はケア処理である。
【0137】
本発明を、以下の非限定的実施例によっていっそう詳細に説明する。
【実施例】
【0138】
(実施例1)
下記の組成物を調製する。
【表1】

【0139】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた該毛束は、柔らかな感触を有する。
【0140】
(実施例2)
下記の組成物を調製する。
【表2】

【0141】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。該染色組成物は、経時的に優れた安定性を示す。
【0142】
(実施例3)
下記の組成物を調製する。
【表3】

【0143】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。該染色組成物は、経時的に優れた安定性を示す。
【0144】
(実施例4)
下記の組成物を調製する。
【表4】

【0145】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた毛束の美容特性は非常に満足のいくものである。
【0146】
(実施例5)
下記の組成物を調製する。
【表5】

【0147】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた毛束の美容特性は非常に満足のいくものである。
【0148】
(実施例6)
下記の組成物を調製する。
【表6】

【0149】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた該毛束は、柔らかな感触を有する。
【0150】
(実施例7)
下記の組成物を調製する。
【表7】

【0151】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。該染色組成物は、経時的に優れた安定性を示す。
【0152】
(実施例8)
下記の組成物を調製する。
【表8】

【0153】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた毛束の美容特性は非常に満足のいくものである。
【0154】
(実施例9)
下記の組成物を調製する。
【表9】

【0155】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた毛束の美容特性は非常に満足のいくものである。
【0156】
(実施例10)
下記の組成物を調製する。
【表10】

【0157】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた該毛束は、自然な感触を有する。
【0158】
(実施例11)
下記の組成物を調製する。
【表11】

【0159】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた該毛束は、自然な感触を有する。
【0160】
(実施例12)
下記の組成物を調製する。
【表12】

【0161】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は黄色に染色され、得られた着色の残留は、とりわけシャンプーに対して優れている。
【0162】
(実施例13)
下記の組成物を調製する。
【表13】

【0163】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は橙色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた該毛束は、自然な感触を有する。
【0164】
(実施例14)
下記の組成物を調製する。
【表14】

【0165】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束はブロンズ色に染色され、得られた着色はシャンプー耐性である。得られた該毛束は、柔らかな感触を有する。
【0166】
(実施例15)
下記の組成物を調製する。
【表15】

【0167】
0.5gのこの組成物を、清浄な、湿った、未処理の、90%の白髪を含む白髪交じりの髪の毛束1gに適用する。室温にて15分間の静置時間の後に、毛束をヘアドライヤーで2分間乾燥させる。
前記毛束は柔らかな感触を有し、且つシャンプー耐性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容される媒質中に、少なくとも1つの求電子性モノマーと、有機性剤で予め表面処理を施した少なくとも1つの顔料及び/または1つのフィラーとを含むケラチン物質の処理のための組成物であって、前記の表面処理顔料または前記の表面処理フィラーが、チタン及びさらに有機顔料で被覆されたマイカ以外である組成物。
【請求項2】
前記顔料が、有機のものであり、且つニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピローロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、またはキノフタロンタイプの顔料から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記顔料が、有機顔料で少なくとも部分的に被覆された無機核及び、前記核に前記有機顔料を固定するための少なくとも1つのバインダーを含む粒子を含む複合顔料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記顔料が、アルミナ、シリカ、ナトリウムホウケイ酸カルシウム、アルミニウムホウケイ酸カルシウム、及びアルミニウムからなり、その表面に有機染料が吸着したレーキである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記顔料が、真珠光沢顔料、基質に固定されない干渉効果を有する顔料、蛍光顔料、燐光顔料、フォトクロミック顔料、熱変色顔料、及び量子ドットから選択される、特定の効果を備えた顔料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記顔料が、チタン及びさらに酸化鉄もしくは酸化クロムで被覆されたマイカ、チタン及びさらに有機顔料で被覆されたマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択される真珠光沢顔料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記顔料が、無機のものであり、且つ酸化ジルコニウムもしくは酸化セリウム、さらにまた酸化鉄もしくは酸化クロム、マンガンヴァイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー、及び二酸化チタンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記フィラーが、タルク、天然もしくは合成のマイカ、シリカ、カオリン、オキシ塩化ビスマス、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア、及びガラスもしくはセラミックのミクロカプセルから選択される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記フィラーが、
・ポリアミド、ポリ-β-アラニン、及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、ラウロイルリシン、澱粉、窒化ホウ素、及びアクリル酸ポリマー粉末;
・シリコーン樹脂ミクロビーズ;
・アクリル性ポリマーミクロビーズ;
・ポリウレタン粉末;
・8乃至22の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸;
・メチルアクリレートもしくはメタクリレートのポリマーもしくはコポリマーの、あるいはまたビニリデンクロライドとアクリロニトリルとのコポリマーのミクロカプセル;
・弾性架橋オルガノポリシロキサン粉末;
から選択される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
顔料およびフィラーを処理するための前記有機性剤が、アミノ酸;ワックス;脂肪酸及び脂肪アルコール及びこれらの誘導体;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、チタン塩、亜鉛塩、もしくはアルミニウム塩;金属アルコキシド;多糖類;ポリエチレン;(メタ)アクリル性ポリマー;アクリレート単位を含むポリマー及びコポリマー;タンパク質;アルカノールアミン;シリコーン化合物;有機フッ素化合物;フッ化シリコーン化合物から選択される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記求電子性モノマーが、下式(I):
【化1】

[式中、
・R及びRは、それぞれ互いに独立に、わずかに電子求引性または非電子求引性の基を示し;また
・R及びRは、それぞれ互いに独立に、電子求引基を示す]
の化合物から選択される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記式中、R及びRが、互いに独立に、水素原子;直鎖状、分枝状、もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、1乃至20の炭素原子を含む炭化水素系基であって、1つ以上の窒素、酸素もしくは硫黄原子を任意に含み、且つ-OR、-COOR、-COR、-SH、-SR、-OH、及びハロゲン原子から選択される1つ以上の基で任意に置換された炭化水素系基;変性もしくは未変性のポリオルガノシロキサン残基;ポリオキシアルキレン基を表し;Rは、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、1乃至20の炭素原子を含む炭化水素系基であって、1つ以上の窒素、酸素もしくは硫黄原子を任意に含み、且つ-OR'、-COOR'、-COR'、-SH、-SR'、-OH、及びハロゲン原子から選択される1つ以上の基で任意に置換された炭化水素系基、またはポリマー残基を表し、R'はC1-C10アルキル基である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
及びRが、互いに独立に、-N(R)3+、-S(R)2+、-SH2+、-NH3+、-NO2、-SO2R、-C≡N、-COOH、-COOR、-COSR、-CONH2、-CONHR、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-COR、-SH、-SR、-OH、直鎖状もしくは分枝状のアルケニル基、直鎖状もしくは分枝状のアルキニル基、C1-C4モノフルオロアルキルもしくはポリフルオロアルキル基、アリール及びアリールオキシ基から選択される基を表し;Rは、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、1乃至20の炭素原子を含む炭化水素系基であって、1つ以上の窒素、酸素もしくは硫黄原子を任意に含み、且つ-OR'、-COOR'、-COR'、-SH、-SR'、-OH、及びハロゲン原子から選択される1つ以上の基で任意に置換された炭化水素系基、またはポリマー残基を表し、R'はC1-C10アルキル基である、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
前記電子求引性モノマーが、式(II):
【化2】

[式中、
・Xは、NH、S、またはOを示して良く、
・R'は、水素原子またはR基を示して良く、
・R、R、及びRは、請求項12に規定される通りである]
のシアノアクリレート族のモノマーから選択される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に規定される組成物を、少なくとも1つの求核剤の存在下でケラチン繊維に適用する工程を含むケラチン繊維の処理方法。

【公開番号】特開2007−106764(P2007−106764A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−275679(P2006−275679)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】