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有機無機複合体
説明

有機無機複合体

【課題】高い吸水性を有し、吸水時に、優れた力学的性質を有する柔軟性に富んだ有機無機複合体を提供する。
【解決手段】ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と、水膨潤性粘土鉱物(B)とからなる有機無機複合体であって、
前記重合体が、下記構造式(1)で表されるモノマー(A1)を含有するラジカル重合性モノマー(A)を重合して得られる重合体であり、
前記水膨潤性粘土鉱物(B)の有機無機複合体中の質量割合{(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量)÷(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量+ラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量)×100%}が、1〜20質量%であることを特徴とする有機無機複合体。
【化1】


(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはメチル基又はエチル基、nは2〜100の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性に優れた有機無機複合体で、且つ、大きな水膨潤性能力を有し、含水後、優れた力学的性質を示す高吸水性の有機無機複合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水と接触すると大きく膨潤する水膨潤性の高分子は、ケーブル用などの止水材、土木工事用などの空隙充填材、農園芸用の保水材、水のう、おむつなどの衛生材料用高吸水性材などとして広く用いられている(非特許文献1、2参照)。しかし、有機高分子系の吸水材の場合、水を含むと強度が大きく低下するとか、或いは、強度を増すために架橋剤量を増加させると吸水能力が低下するなどの問題があり、利用できる領域や製品として形態が制限されるという問題があった。また、止水材などのように高強度が必要な材料の場合は、非膨潤性で柔軟なゴムと高吸水性樹脂とを混合したり、複合化することにより、高強度化をはかっている。そのため、水膨潤度が大きく低下するという問題があった。
【0003】
有機高分子系の吸水材における吸水時の力学的強度の低下を改良する方法として、ラジカル重合性モノマーの重合体と粘土鉱物とにより形成された三次元網目中に水を含有する有機無機ナノコンポジット型の水性ゲルに関する技術が開示されている(特許文献1、非特許文献3など)。該有機無機ナノコンポジット型ゲルは、十分な強度と高い伸縮性を合わせ持つことからソフトマテリアルとしてのゲル材料の新たな展開を開くことができうる材料として注目されている。しかし、ここに開示されているゲルは全て乾燥すると高分子材料に特有な伸張性や柔軟性が全く失われ、固く非常に脆い材料となるという問題があり、常に水と接触した状態で使用する必要があり、用途が限定されるという問題があった。また、上記有機高分子と粘土鉱物からなる有機無機ナノコンポジット型水性ゲルにグリセリンやポリエチレングリコールなどの低揮発性媒体を含む有機無機複合ゲルについて開示されている(特許文献2参考)。ここで得られるゲルは水が揮発後もポリエチレングリコールなどが残るために乾燥後も柔軟性が保持される。しかし、該ゲルを水に浸漬したり、水と接触させると低揮発性媒体が流出するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−53629号広報
【特許文献2】特開2006−28446号広報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】季刊化学総説「有機高分子ゲル」、日本化学会編、学会出版センター(1990)
【非特許文献2】荻野一善、長田義仁、伏見隆夫、山内愛造、「ゲル」、産業図書、(1991)
【非特許文献3】Kazutoshi Haraguchi, Toru Takehisa, Advanced Materials, Vol. 14, No. 16, page 1120-1124, (2002).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い吸水性を有し、吸水時に、優れた力学的性質を有する柔軟性に富んだ有機無機複合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定構造のポリエチレングリコール(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性モノマーの重合体と特定量の粘土鉱物からなる有機無機複合体が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と、水膨潤性粘土鉱物(B)とからなる有機無機複合体であって、前記重合体が、下記構造式(1)で表されるモノマー(A1)を含有するラジカル重合性モノマー(A)を重合して得られる重合体であり、前記水膨潤性粘土鉱物(B)の有機無機複合体中の質量割合{(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量)÷(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量+ラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量)×100%}が、1〜20質量%であることを特徴とする有機無機複合体を提供することにある。
【0009】
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはメチル基又はエチル基、nは2〜100の整数である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機無機複合体は柔軟性に富んだ材料であり、高い水吸収性を有し、吸水時には優れた力学的性質を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の有機無機複合体の特徴は、(1)柔軟性、(2)高い水吸収性、(3)水吸水時の高い力学的性質である。
【0012】
(1)本発明の有機無機複合体は、柔軟性に富んだものである。本発明の柔軟性とはフィルム状やロット状の形状のような折り曲げ変形が可能な形状において、折り曲げてもクラックが発生したり、破壊したりしないものである。本発明の有機無機複合体が示す柔軟性は使用する有機無機複合体の形状などにより異なるため、一概には規定できないが、0.1〜0.5mmの厚みのフィルムの場合、90°折り曲げても、好ましくは180°折り曲げてもクラックが発生したり、破壊したりしないものである。また、機械的強度に優れたものが好ましく、引張破壊試験において、強度は0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上であり、且つ、伸びが50%以上、好ましくは100%以上のものである。加えて、柔軟性の観点から、50%延伸での応力が20MPa以下、好ましくは10MPa以下、特に好ましくは5MPa以下のものが用いられる。50%延伸での応力の下限は0.05MPa、好ましくは0.1MPaである。0.05MPa未満では複合体としての強度が不十分となる場合がある。更に、ガラス転移温度が室温(25℃)以下にある場合は極めて柔軟性な複合体となるため、特に好ましい。
【0013】
また、本発明の有機無機複合体では、材料によっては極めて柔軟な複合体を提供することができる。場合によっては、ガラス板、プラスチック、金属板やシート、紙類、或いは、皮膚などに対して粘着性や圧着性を有する複合体を提供することが可能となる。これら粘着性や圧着性を示す場合、使用する基板により異なることや使用目的などにより、粘着力が大きく異なるため一概には規定できないが、本発明の複合体の場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに対して、JIS−Z0237などの粘着フィルム等の粘着力評価法に準じて行った180°剥離試験で得られる粘着力(剥離強度)が20〜0.01N/cm、好ましくは15〜0.05N/cmの範囲のものである。また、圧着により粘着させる方法は公知の方法を利用することができ、必要に応じて温度制御を行った状態でプレスや加圧ローラーを施すなどの方法が利用できる。
【0014】
尚、本発明の有機無機複合体は吸湿により多少の水分を含む場合があるが、本発明の有機無機複合体の柔軟性は、通常の気温、20±10℃で相対湿度50±20%の雰囲気で保管した状態での性質であり、この条件で吸湿していても構わない。更に、本発明の有機無機複合体の形状はフィルムやロット状の形状に限られなく、任意の形状が可能である。また、本発明の有機無機複合体のガラス転移温度は、公知のガラス転移温度の測定法で求めることが可能で、例えば、比容の温度変化、示差走査熱量計などの熱分析による方法、動的粘弾性測定など力学特性による方法などを挙げることができる。
【0015】
(2)本発明の有機無機複合体は、水媒体に対し高い膨潤性を示す。膨潤度(R)は、有機無機複合体の質量(WC)(乾燥時)と含水した水の質量(WH)の比(R=WH/WC)により表すことができる。本発明の有機無機複合体は最大膨潤度(Rmax)が5倍以上、好ましくは10倍以上、特に好ましくは20倍以上の能力を有するものである。最大膨潤度(Rmax)の上限は特に規定されないが、通常、1000倍以下である。1000倍越えると膨潤時の機械的強度が弱くなるなどの問題が生じる場合がある。なお、本発明の有機無機複合体は吸水時には通常最大膨潤度(Rmax)以下の膨潤度で使用される。
【0016】
(3)また、本発明の有機無機複合体は、吸水時に優れた靱性、つまり強さと伸びを併せ持つ、いわゆるゲルとなる。材料としての強さ、伸びは、引張破壊試験を行った際の最大強度と破断伸度により知ることができる。本発明の有機無機複合体の吸水時の引張破壊特性は、破断伸度((破断時の長さ−初期長)×100/初期長)が、通常100%以上、好ましくは150%以上、特に好ましくは200%以上の延伸性を示すものであり、且つ、最大強度が5kPa以上、好ましくは10kPa以上のものである。伸張度と最大強度の上限は特に限定されないが、通常、伸張度は5000%以下、最大強度は10MPa以下である。尚、吸水時の強度や破断伸度は膨潤度により大きく異なり、膨潤度が大きくなるほど、強度や破断伸度は低くなる。強度と破断伸度に対する上記値は、水膨潤度が3〜8倍の範囲における含水状態に対するものである。
【0017】
本発明で使用するラジカル重合性モノマー(A)は、必須成分として下記構造式(1)のラジカル重合性モノマー(A1)を含むものである。式中のn=2未満では、モノマーの親水性が低下し、水膨潤性が損なわれる場合があり、nが100を越えると重合性が低下したり、含水時の強度が低下する場合がある。また、n=6〜100のモノマー(A1b)の場合、全ラジカル重合性モノマー中の5〜70質量%の範囲、特に10〜60質量%の範囲で用いると、有機無機複合体として十分な強度を得られやすく、また、吸水後の力学特性も損なわれ難く好ましい。
【0018】
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはメチル基又はエチル基、nは2〜100の整数である。)
【0019】
上記構造のラジカル重合性モノマー(A1)を用いることで、柔軟性に富み、高い吸水能力を有する高吸水性の有機無機複合体が得られる。特に、上記構造式中のnが6〜100の範囲のラジカル重合性モノマー(A1b)は、例えば、ジメチルアクリルアミドなどの複合体のように、吸水時は優れた力学的性質を示す複合体であるが、水を含まない状態では非常に脆く、折り曲げようとすると少したわませただけで破壊してしまうような複合体に対しても、柔軟性を付与させ、高い吸水性と吸水時の優れた力学的性質を保持した複合体を提供することができる。更に、メトキシエチルアクリレートを用いた複合体のように吸水性が無い複合体に対しても、該モノマーを併用することで、柔軟性に、高い吸水能力と吸水時の優れた力学的性質を有する複合体を提供することができる。特に、上記構造式中のnが6〜100の範囲のラジカル重合性モノマー(A1b)は下記で説明するラジカル重合性モノマー(A2)と併用した場合、本発明が目的とする好ましい効果がもたらされる。
【0020】
ラジカル重合性モノマー(A)中に含有可能な上記構造式(1)以外のラシカル重合性モノマー(A2)としては、N-置換(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、下記構造式2で表される(メタ)アクリル酸エステル、及び下記構造式3で表される(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができ、これらは混合して使用しても構わない。一般に、N−置換(メタ)アクリルアミドやアクリロイルモルホリンと粘土鉱物から得られる複合体は、優れた吸水性を有するが、柔軟性に乏しく、非常に脆く、折れ曲げると簡単に破壊する。しかし、構造式(1)のラジカル重合性モノマー(A1)を併用すると、優れた吸水性を保持したまま、柔軟性が付与される。N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、N,N’−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N,N’−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)、N,N’−ジエチルアクリルアミド(DEAA)などを挙げることができる。一方、構造式(2)や構造式(3)の(メタ)アクリル酸エステルと粘土鉱物から得られる複合体は、一般的に吸水性を示さなかったり、吸水性能力に劣るものである。これらにおいても、構造式(1)のラジカル重合性モノマー(A1)を併用すると、優れた吸水性が付与され、吸水時に優れた力学的性質を有し、柔軟性な複合体が提供される。構造式(2)の(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)を好ましいものとして挙げることができ、構造式(3)の(メタ)アクリル酸エステルとしては、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)などを好ましいものとして挙げることができる。
【0021】
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜5のアルキレン基、Rは分岐しても良い炭素数1〜4のアルキル基を表す。但し、RとRの炭素数の合計は6以下である。)
【0022】
【化4】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数2〜6のアルキレン基を表す。)
【0023】
構造式(1)中のnが6〜100の範囲のラジカル重合性モノマー(A1b)とそれ以外のラジカル重合性モノマー(A2)とを併用する場合、混合の割合は使用目的などにより異なるが、通常、ラジカル重合性モノマー(A1b)5〜70質量%、それ以外のラジカル重合性モノマー(A2)95〜30質量%、好ましくはラジカル重合性モノマー(A1b)10〜60質量%、それ以外のラジカル重合性モノマー(A2)90〜40質量%である。ラジカル重合性モノマー(A1b)が上記の範囲であると十分な柔軟性及び吸水率を得ることができて好ましい。
【0024】
また、本発明が目的とする効果を損なわない範囲内で上述した以外のラジカル重合性モノマーを使用することは可能である。
【0025】
また、構造式(1)中のnが2〜5の範囲のラジカル重合性モノマー(A1a)の場合、それ自身100質量%使用しても本発明の効果を十分に得ることができる。使用する下限は5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。他モノマーを併用する場合、上記ラジカル重合性モノマー(A2)が好ましく用いられる。
【0026】
上述した以外のラジカル重合性モノマーの使用量はモノマーの種類や使用目的などにより異なるが、通常、全ラジカル重合性モノマー中の0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。
【0027】
本発明の水膨潤性粘土鉱物(B)は、層状粘土鉱物であり、層間が水で膨潤し易い水膨潤性層状粘土鉱物である。水に均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物が好ましく用いられる。特に好ましくは水中で分子レベル、すなわち単一層、若しくはそれに近いレベルで剥離し均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物である。層状粘土鉱物としては、具体的には、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などの膨潤性粘土鉱物が用いられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。これら水膨潤性粘土鉱物は混合して用いても構わない。
【0028】
上記水膨潤性粘土鉱物は前記ラジカル重合性モノマーを含有する溶液中で微細かつ均一に分散することが必要で、特に該溶液中に溶解することが望ましい。ここで溶解とは、粘土鉱物の沈殿を生じるような大きな凝集体が無い状態を意味する。より好ましくは1〜10層程度のナノメーターレベルの厚みで分散しているもの、特に好ましくは1〜2層程度の厚みで分散しているものである。
【0029】
本発明における有機無機複合体に含有される水膨潤性粘土鉱物(B)の質量割合は、(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量)÷(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量+ラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量)×100%で計算される値であり、水膨潤性粘土鉱物(B)の質量及びラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量は、製造後の有機無機複合体を焼成して、焼成前後の質量から求める。
【0030】
本発明の有機無機複合体に含有される水膨潤性粘土鉱物(B)の質量割合は、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜18質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。かかる範囲であるならば、本発明の目的とする柔軟性を好ましく得ることができる。
【0031】
本発明の有機無機複合体の製造法は、例えば、ラジカル重合性モノマー(A)を重合させた後、混練機などで粘土鉱物と混練し複合化する方法や、水存在下でラジカル重合性モノマー(A)の重合物と水膨潤性粘土鉱物を混練し複合化する方法、更にラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)を溶媒中で均質混合分散させた後、水膨潤性粘土鉱物の存在下でラジカル重合性モノマー(A)を重合させ、ラジカル重合性モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との複合体を得る方法などの方法が挙げられる。
【0032】
具体的には、ラジカル重合性モノマー(A)を水溶液に溶解し、モノマーを重合させた後、別途水に均質分散させておいた粘土鉱物を添加し、攪拌機や混練機などで均質に分散混合させる。次いで、ポリマーと粘土鉱物の分散混合液を乾燥などの方法で溶媒を除去することにより複合体を得る方法や、ラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)とを水などの溶媒に入れ、均質混合溶液を調製した後、ラジカル重合性モノマー(A)を重合させて、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と水膨潤性粘土鉱物(B)との沈殿物やゲル状の複合体を得、次いで、乾燥などの方法で溶媒を除去ことにより複合体を得る方法などを挙げることができる。
【0033】
未反応モノマーやオリゴマー或いは重合開始剤などを除去する目的で重合後に得られた沈殿物やゲル状の複合体を必要に応じて、水や熱水、有機溶媒、或いは水蒸気などを用いて洗浄・精製することも可能である。
【0034】
本発明では重合溶液として使用する溶媒として、水が特に好ましいが、水と均質に混合する有機溶媒を混合して使用する方法も好ましく用いられる。水に均質に混合する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒などが挙げられる。これら有機溶媒の量は特に規定されないが、通常、重合に使用する全溶媒中の60質量%以下、好ましくは50質量%以下である。60質量%を越えると水膨潤性粘土鉱物(B)の分散性を損なう場合がある。
【0035】
重合を行う際の溶媒の使用量は使用するモノマーや粘土鉱物の種類や量、使用目的などにより異なるため一概には規定できないが、通常、モノマー(A)と粘土鉱物(B)の合計質量100質量部に対して、溶媒は200〜10000質量部、好ましくは250〜5000質量部が使用される。10000質量部を越えると重合効率が低下する場合があり、200質量部未満では重合溶液の調製が難しくなる場合がある。
【0036】
上述したラジカル重合性モノマー(A)を重合させる重合反応は、例えば、過酸化物の存在、加熱又は紫外線照射などの慣用の方法を用いたラジカル重合により行わせることができる。ラジカル重合開始剤及び触媒としては、慣用のラジカル重合開始剤及び触媒のうちから適宜選択して用いることができる。特に好ましいものとして、粘土鉱物と強い相互作用を有するカチオン系ラジカル重合開始剤を挙げることができる。
【0037】
具体的には、重合開始剤としては、過酸化物、例えば、ペルオキソ二硫化カリウムやペルオキソ二硫化アンモニウム、アゾ化合物、例えば、和光純薬工業株式会社製のVA−044、V−50、V−501、VA−057などが好ましく用いられる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有するラジカル開始剤なども用いられる。
【0038】
また触媒として、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが好ましく用いられる。重合温度は用いる重合溶液やラジカル重合性モノマー、重合触媒及び開始剤の種類などに合わせて設定される。通常、0〜100℃の範囲が用いられる。重合時間も触媒、開始剤、重合温度、重合溶液量などの重合条件により異なり、一概には規定できないが、一般に数十秒〜数十時間の間で行う。
【0039】
また、ラジカル重合性モノマー(A)の重合後、溶媒を除去する方法については、特に制限されることはなく、室温での風乾、加熱、及び/又は減圧による溶媒除去法など公知の方法が可能である。
【0040】
本発明の有機無機複合体は、塊状、繊維状、ロット状、フィルム状、塗膜状、袋状、球状、(微)粒子状など任意の形状が可能である。得られた有機無機複合体に溶媒を含浸させることにより、有機無機複合体のゲルを得ることができる。本発明の有機無機複合体は、含浸させる媒体が水以外の有機溶媒であっても良い、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトンや2−ブタノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、トルエン、キシレン、機械油などの炭化水素系溶媒、アセトニトリルなどの単独の有機溶媒やこれら複数の有機溶媒の混合溶媒、或いは上述した有機溶媒の中で水と混合する有機溶媒と水との混合溶媒が使用される。
【0041】
複合体内に上記溶媒を含浸させる方法には制限はなく公知の方法が可能であり、例えば、複合体を溶媒に浸漬させたり、複合体の一部分を溶媒に接触させる方法、更に、含水した綿などのような含水物に接触させる方法などが可能である。
【0042】
また、有機無機複合体の製造方法において、モノマーを重合させ一端ゲル状の有機無機複合体を得た後に、このゲル状複合体を乾燥などの方法によって有機無機複合体を得る方法の場合、複合体製造の中間体としてゲルが得られる。力学強度を比較してみると、本発明の複合体を含水させて得たゲルの方が、中間体として得られたゲルより、強度など力学的性質が優れている場合がある。恐らく、溶媒をいったん除去し乾燥させることにより、高分子同士や高分子と粘土との相互作用により構造が形成され、力学的強度を向上させたものと考えられる。
【実施例】
【0043】
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
【0044】
(合成例1)
ラシカル重合性モノマーとして、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(13EGA)(NKエステル AM−130G:新中村化学工業株式会社製、構造式(1)の化合物であり、Rは水素原子、Rはメチル基、nは13である)とジメチルアクリルアミド(DMAA:興人株式会社製)を使用した。粘土鉱物は水膨潤性の合成ヘクトライト(商品名 ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)を120℃で2時間真空乾燥させて用いた。溶媒は18Ωの超純水を用い、水は使用前に予め3時間以上窒素でバブリングさせて含有酸素を除去してから使用した。
【0045】
内部を窒素置換した100mLの丸底フラスコに純水47.5g入れたものに、撹拌下で0.8gの合成ヘクトライトと2.4gの13EGA、4.5gのDMAAを入れ、35℃で撹拌し透明な均質溶液を得た。この溶液を氷浴に入れ、10分間ゆっくりと撹拌した後、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)40μLを加え、次いで、予め調製した純水10gとペルオキソ二硫化カリウム(KPS:関東化学株式会社製)0.2gからなる重合開始剤の水溶液2.5mLを撹拌下で加えた。厚さ3mm、幅10mmのシリコンゴムのスペーサを15cm2のガラス板2枚の間に挟みこみ調製容器を作成した。重合溶液を窒素雰囲気下で調製容器中に入れた。尚、調製容器内への溶液の導入は窒素雰囲気としたグローブボックス内で行った。20℃で24時間保持することで重合を進行させた。重合後、重合液全体がゲル化しており、無色透明で十分な強度と高い伸縮性を有するゲルが得られた。得られたゲルを60℃の過剰量の水に浸漬させて、振とう下で3時間洗浄した。途中、3回新鮮な水に交換した。洗浄したゲルをポリプロピレンシートの上に載せ、40℃で24時間、更に、80℃で6時間乾燥させ、複合体1(膜厚0.3mm)を得た。尚、複合体1は吸水率や力学測定を行う前に室温(24±2℃、相対湿度45±15%)で3日以上保持させた。複合体1の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の13EGAの質量%(EG量)などを表1にまとめている。クレイ量は仕込値から算出したもの(クレイ量(計))と複合体を焼成して算出した実測値(クレイ量(測))を示している。仕込値と実測値は良く一致している。
【0046】
実測による複合体中のクレイの質量%(クレイ量(測))は、複合体を650℃で焼成して、焼成前後の質量比より算出した。焼成は熱質量計(TGA)を用いて、昇温速度を毎分10℃で行った。TGAは、セイコー電子工業株式会社製のTG/DTA220を用いた。
【0047】
(合成例2、3)
合成例1において、13EGAの代わりに23EGA(NKエステル AM−230G:新中村化学工業株式会社製、構造式(1)の化合物であり、Rは水素原子、Rはメチル基、nは23である)と9EGA(NKエステル AM−90G:新中村化学工業株式会社製、構造式(1)の化合物であり、Rは水素原子、nは9である)を使用して、合成例1と同じ方法でそれぞれ複合体2と複合体3を調製した。複合体2、3の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の13EGA及び23EGAの質量%(EG量)などを表1にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0048】
(合成例4)
合成例1において、合成ヘクトライト量を1.6g、13EGAの代わりに23EGを4.5g用いて、合成例1と同様な方法で、複合体4を調製した。複合体4の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の23EGAの質量%(EG量)などを表1にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0049】
(合成例5)
合成例1において、DMAAの代わりに2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA、ライトエステルHOP−A:共栄社化学株式会社製)を5.8g使用して、合成例1と同じ方法で複合体5を調製した。複合体5の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の13EGAの質量%(EG量)などを表1にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0050】
(合成例6)
13EGAを0g、DMAA5.0gとした以外は合成例1と同じ方法で複合体6を調製した。尚、モノマー重合後に無色透明なゲルが得られた。重合液全体がゲル化しており、ゲルは十分な強度と伸びを有していた。複合体6の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)を表1にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0051】
(合成例7)
13EGAを0g、DMAAの代わりにHPA6.5gとした以外は合成例1と同じ方法で複合体7を調製した。尚、モノマー重合後に真っ白いゲル状物が得られた。重合液全体がゲル化しているのでは無く、水を吐き出しており、ゲル状物は非常に弱く脆いものであった。複合体7の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)を表2にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0052】
(合成例8)
合成ヘクトライト量を1.2g、ラジカル重合性モノマーとして、2−メトキシエチルアクリレート(MEA、アクリックス C−1:東亜合成株式会社製)6.2g、13EGAを1.2g使用し、合成例1と同様な方法で複合体8を調製した。複合体8の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の13EGAの質量%(EG量)などを表2にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0053】
(合成例9)
13EGAを0g、DMAAの代わりにMEA6.5gとした以外は合成例8と同じ方法で複合体9を調製した。複合体9の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)を表2にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0054】
(合成例10)
ラジカル重合性モノマーとして、MEAを4.7g、DMAAを0.9g、13EGAを2.4g使用した以外は、合成例1と同様な方法で複合体10を調製した。複合体10の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の13EGAの質量%(EG量)などを表2にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0055】
(合成例11)
ラジカル重合性モノマーとして、13EGAを使用しないで、MEAを5.2g、DMAAを1.0g使用した以外は、合成例10と同様な方法で複合体11を調製した。複合体11の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)などを表2にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0056】
(合成例12)
合成例1において、DMAAの代わりにイソプロピルアクリルアミド(NIPA:興人株式会社製)を4.8g、13EGAを3.6g使用して、合成例1と同じ方法で複合体12を調製した。複合体12の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の13EGAの質量%(EG量)などを表2にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0057】
(合成例13)
ラジカル重合性モノマーとして、13EGAを使用しないで、NIPAを5.7g使用した以外は、合成例12と同様な方法で複合体13を調製した。複合体13の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)などを表3にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0058】
(合成例14)
合成例2において、DMAAの代わりにジエチルアクリルアミド(DEAA:興人株式会社製)を5.7g、23EGAを3.4g使用して、合成例2と同じ方法で複合体14を調製した。複合体14の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の23EGAの質量%(EG量)などを表3にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0059】
(合成例15)
ラジカル重合性モノマーとして、23EGAを使用しないで、DEAAを6.4g使用した以外は、合成例14と同様な方法で複合体15を調製した。複合体15の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)などを表3にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0060】
(合成例16)
合成例1において、ラジカル重合性モノマーとして、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(3EGA、ライトアクリレートMTG−A:共栄社化学株式会社製、構造式(1)の化合物であり、Rは水素原子、Rはメチル基、nは3である)を9.8g、DMAAを0.5g使用した以外は、合成例1と同じ方法で複合体16を調製した。複合体16の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の3EGAの質量%(EG量)などを表3にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0061】
(合成例17)
内部を窒素置換した100mLのガラス容器に純水48g入れたものに、撹拌下で4.0gの合成ヘクトライトと4.5gのDMAA、2.4gの13EGAを入れ、撹拌機(シンキー株式会社製の撹拌機AR−250)で撹拌し透明な均質液を得た。この溶液を氷浴に入れ、10分間冷却した後、TEMED40μLを加え、30秒間撹拌し、次いで、KPS水溶液2.5mLを加え、1分間撹拌した。重合液を窒素雰囲気下で厚さ3mmのゲル調製容器中に入れた。20℃で24時間保持することで重合を進行させた。無色透明なゲルが得られた。次いで、合成例1と同じ方法でゲルの洗浄と乾燥を行い複合体17を得た。複合体17の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の13EGAの質量%(EG量)などを表3にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0062】
(合成例18)
合成ヘクトライトを2.7g、13EGAの代わりに9EGAを2.4gを使用した以外は合成例17と同じ条件でクレイ量が28重量%の複合体18を得た。複合体18の合成に使用したモノマーとクレイの質量、複合体中のクレイの質量%(wt%)、使用モノマー中の9EGAの質量%(EG量)などを表3にまとめている。クレイの仕込値と実測値は良く一致している。
【0063】
【化5】

【0064】
【化6】

【0065】
【化7】

【0066】
(実施例1)
合成例1で得られた複合体1(0.3mm厚)は無色透明で、少々硬めであるが柔軟性に優れており、180°折り曲げてもクラックが発生したり、破壊することが無かった。複合体1の引張破壊試験を行った。結果は表4に示す。伸張性に優れ、力学強度も良好な複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax=WH/W)は77であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。尚、WCは複合体1の質量、WHは吸水した水の質量である。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表4に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0067】
尚、引張破壊試験は、島津製作所製の引張試験器(オートグラフAGS−H)を用いて測定した。複合体の測定は、幅5mm、厚み0.3mm、長さ60mmの試験片を用いて、試験長20mm、引張速度毎分100mmで測定を行い、含水物の測定は、幅5mm、厚み約2mm、長さ60mmの試験片を用いて、試験長30mm、引張速度毎分100mmで測定を行った。
【0068】
(実施例2)
合成例2で得られた複合体2(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、180°折り曲げてもクラックが発生したり、破壊することなかった。複合体2の引張破壊試験を行った。結果は表4に示す。伸張性に優れ、力学強度も良好で、弾性率が低く柔軟性に優れた複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は76であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表4に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0069】
(実施例3)
合成例3で得られた複合体3(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、180°折り曲げてもクラックが発生したり、破壊することなかった。複合体3の引張破壊試験を行った。結果は表4に示す。伸張性に優れ、力学強度も良好な複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は70であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表4に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0070】
(実施例4)
合成例4で得られた複合体4(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、クラックが発生したり、破壊することなく180°折り曲げることができた。複合体4の引張破壊試験を行った。結果は表4に示す。伸張性や力学強度に優れ、弾性率が低く柔軟性に優れた複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は60であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表4に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0071】
(実施例5)
合成例5で得られた複合体5(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、クラックが発生したり、破壊することなく180°折り曲げることができた。複合体5の引張破壊試験を行った。結果は表4に示す。伸張性や力学強度に優れ、弾性率が低く柔軟性に優れた複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は80であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表4に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0072】
(比較例1)
合成例6で得たDMAAのみから重合された複合体6は、非常に固く、柔軟性は全く見られなかった。少したわめるとクラックが発生し、破壊した。180°に折り曲げることは全くできなかった。引張破壊試験も、治具に固定しようとすると砕けてしまい、測定することすらできなかった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は85であった。複合体6は非常に脆く、フィルムやシートなどの材料として使用することは困難である。合成例6において複合体6調製時に得られたゲルでサンプル片を作成し(幅6×長さ60×厚み3mm)引張試験を行った。結果を表5にまとめている。ゲルとしては強度、伸びとも良好であることが判った。純水(20℃)に浸漬したところ、水には良く膨潤し、強度、伸び共に良好なゲルが得られた。複合体6は含水時に良好な強度を有するゲルとなるが、乾燥すると非常に脆い複合体であることが確認された。
【0073】
(比較例2)
合成例7で得たHPAのみから重合された複合体7は、柔軟性に優れており、180°折り曲げてもクラックが発生したり、破壊することは無かった。引張破壊試験を行った。結果は表5に示している。良好な強度と伸び、弾性率も低く、柔軟性に優れていた。一方、純水(20℃)に浸漬したところ、膨潤度は非常に小さく、膨潤度は2で飽和した。複合体7は柔軟性に優れた複合体であるが、吸水性材料としては劣った材料であることが確認された。
【0074】
(実施例6)
合成例8で得られた複合体8(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、粘着性を有していた。クラックが発生したり、破壊することなく180°折り曲げることができた。複合体8の引張破壊試験を行った。結果は表5に示す。伸張性や力学強度に優れ、弾性率が低く柔軟性に優れた複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は30であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表5に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0075】
複合体8を幅2cm、長さ10cmの短冊状に切り、50ミクロン厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡エステルフィルムE5000、東洋紡績株式会社製)の上に載せ、プレス機を使って、7cmの部分を室温で加圧し圧着させた。引張試験機を使用し、180°剥離試験を行い剥離強度を測定したところ、剥離強度は4.3N/cmであり、非常に強いものであった。試験速度は毎分100mm速度で行った。
【0076】
(比較例3)
合成例9で得たMEAのみから重合された複合体9(0.4mm厚)は、少々硬めであるが、柔軟性に優れており、180°折り曲げてもクラックが発生したり、破壊することは無かった。引張破壊試験を行った。結果は表5に示している。良好な強度と伸びを示す。一方、純水(20℃)に浸漬したところ、膨潤度は非常に小さく、膨潤度は0.2であった。複合体9は柔軟な複合体であるが、全く吸水性を示さない材料であることが確認された。13EGAを併用することで、柔軟性に優れた高吸水性の材料となることが確認された。
【0077】
(実施例7)
合成例10で得られた複合体10(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、クラックが発生したり、破壊することなく180°折り曲げることができた。複合体10の引張破壊試験を行った。結果は表6に示す。伸張性や力学強度に優れ、弾性率や降伏値が極めて低く柔軟性に優れた複合体であり、自己粘着性が見られた。複合体の粘土含有率は約10質量%であり、有機無機複合体としては、極めて高い粘度含有率である。通常、10質量%もの粘土を含有する複合体の場合、非常に硬く、脆い複合体となる。
純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は160であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度(R=5)の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表6に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。複合体10は、粘着性が見られる程、極めて柔軟な材料であるが、複合体としての強度は3MPaあり、吸水時の強度も145kPaあり、材料として十分な強度を有する材料であることが判る。実施例6と同様な方法で180°剥離試験を行い剥離強度を測定したところ、剥離強度は5.5N/cmであり、非常に強いものであった。
【0078】
(比較例4)
合成例11で得たMEAとDMAAのみから重合された複合体11(0.3mm厚)は、少々硬めであったが、180°折り曲げてもクラックが発生したり、破壊することは無かった。引張破壊試験を行った。結果は表5に示している。良好な強度と伸びを示したが、弾性率は少々高めであった。更に、自己粘着性は見られなかった。実施例7から判るように、13EGAを添加することで、極めて柔軟な複合体となり、自己粘着性が付与された。
【0079】
(実施例8)
合成例12で得られた複合体12(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、クラックが発生したり、破壊することなく180°折り曲げることができた。複合体12の引張破壊試験を行った。結果は表6に示す。伸張性や力学強度に優れた複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は50であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表6に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0080】
(比較例5)
合成例13で得たNIPAのみから重合された複合体13(0.3mm厚)は、非常に固く、柔軟性は全く見られなかった。少したわめるとクラックが発生し、破壊した。180°に折り曲げることは全くできなかった。引張破壊試験も、治具に固定しようとすると砕けてしまい、測定することすらできなかった。純水(20℃)に浸漬したところ、水には良く膨潤(膨潤度35)し、強度、伸び共に良好なゲルが得られた。引張破壊試験の結果を表6にまとめている。複合体13は含水時に良好な強度を有するゲルとなるが、乾燥すると非常に脆い複合体であることが確認された。
【0081】
(実施例9)
合成例14で得られた複合体14(0.3mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、クラックが発生したり、破壊することなく180°折り曲げることができた。複合体14の引張破壊試験を行った。結果は表7に示す。伸張性や力学強度に優れた複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は40であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表7に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0082】
(比較例6)
合成例15で得たDEAAのみから重合された複合体15(0.3mm厚)は、非常に固く、柔軟性は全く見られなかった。少したわめるとクラックが発生し、破壊した。180°に折り曲げることは全くできなかった。引張破壊試験も、治具に固定しようとすると砕けてしまい、測定することすらできなかった。純水(20℃)に浸漬したが、水への膨潤度は9で、さほど大きくなかった。しかし、十分な強度と伸びを有するゲルであった。引張破壊試験の結果を表7にまとめている。複合体15は含水時に良好な強度を有するゲルとなるが、乾燥すると非常に脆い複合体であることが確認された。
【0083】
(実施例10)
合成例16で得られた複合体16(0.4mm厚)は無色透明で、柔軟性に優れており、クラックが発生したり、破壊することなく180°折り曲げることができた。複合体16の引張破壊試験を行った。結果は表7に示す。伸張性や力学強度に優れた複合体であった。純水(20℃)に浸漬させたところ、飽和膨潤度(Rmax)は50であった。非常に高い水膨潤性を示すことが確認された。膨潤物は無色透明であった。膨潤度R=5の含水サンプルを調製し、含水物の引張破壊試験を行った。結果は表7に示している。延伸性に優れ、良好な強度を有するゲルであることが確認された。
【0084】
(比較例7)
合成例17で得られた粘土含有量37質量%の複合体17(膜厚0.3mm)は無色透明であったが、柔軟性に乏しく、折り曲げるとクラックが発生し破壊された。180°折り曲げることができなかった。複合体17の引張破壊試験を行ったところ、降伏値が非常に大きく、破断伸度も小さく、50%引き延ばすことができなかった。純水に対する吸水性を調べたところ、飽和膨潤度は20であった。複合体17は非常に脆い材料で吸水性材料として劣ることが確認された。
【0085】
(比較例8)
合成例18で得られた粘土含有量27質量%の複合体18(膜厚0.4mm)は無色透明であったが、折り曲げるとクラックが発生し破壊された。180°折り曲げることができなかった。複合体18の引張破壊試験を行ったところ、降伏値が非常に大きく、破断伸度も小さかった。また、50%延伸強度も大きなものであった。純水に対する吸水性を調べたところ、飽和膨潤度は35であった。複合体18は脆い材料で吸水性材料として劣ることが確認された。
【0086】
【化8】

【0087】
【化9】

【0088】
【化10】

【0089】
【化11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と、水膨潤性粘土鉱物(B)とからなる有機無機複合体であって、
前記重合体が、下記構造式(1)で表されるモノマー(A1)を含有するラジカル重合性モノマー(A)を重合して得られる重合体であり、
前記水膨潤性粘土鉱物(B)の有機無機複合体中の質量割合{(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量)÷(水膨潤性粘土鉱物(B)の質量+ラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量)×100%}が、1〜20質量%であることを特徴とする有機無機複合体。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはメチル基又はエチル基、nは2〜100の整数である。)
【請求項2】
前記構造式(1)中のnが6〜100の範囲であり、且つ、全ラジカル重合性モノマー中の前記モノマー(A1)の量が5〜70質量%の範囲である請求項1記載の有機無機複合体。
【請求項3】
ラジカル重合性モノマー(A)が、更に、N-置換(メタ)アクリルアミド、下記構造式2及び下記構造式3で表される(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種以上のラジカル重合性モノマーを含有する請求項1又は2に記載の有機無機複合体。
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜5のアルキレン基、Rは分岐しても良い炭素数1〜4のアルキル基を表す。但し、RとRの炭素数の合計は6以下である。)
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数2〜6のアルキレン基を表す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の有機無機複合体中に水媒体(C)が内包されているゲル状の有機無機複合体。

【公開番号】特開2010−254800(P2010−254800A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106314(P2009−106314)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000173751)財団法人川村理化学研究所 (206)
【Fターム(参考)】