説明

有機発光ディスプレイ装置

【課題】制御信号伝達のタイミング遅延を防止し、さらに精密な発光制御が可能となる有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ゲート電極とソース/ドレイン電極を備える薄膜トランジスタと薄膜トランジスタを駆動する内蔵回路とを有する第1基板100と、第1基板と対面する第2基板200と、ソース/ドレイン電極と連結された第1電極と、第1電極に対向する第2電極143と、第1電極及び第2電極の間に介在された発光層142とを備える有機発光素子と、ソース/ドレイン電極と第2電極とにそれぞれ電圧を印加する電源配線310と、ゲート電極に電流を供給するタイミングをコントロールするための制御信号を内蔵回路に伝達する制御信号配線400と、を備え、制御信号配線は、第1基板上で電源配線より外側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光ディスプレイ装置に関し、詳細には、電源配線と制御信号配線間の配置構造が改善された有機発光ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、有機発光ディスプレイ装置は薄膜トランジスタ及び有機発光素子を備えて、有機発光素子が薄膜トランジスタから適切な駆動信号を印加されて発光し、所望の画像を具現する構造になっている。
【0003】
ここで、薄膜トランジスタは、ゲート電極と活性層及びソース/ドレイン電極などが基板上に積層された構造になっている。したがって、基板に内蔵された回路を通じてゲート電極に電流が供給されれば、活性層を通じてソース/ドレイン電極に電流が流れ、同時にこのソース/ドレイン電極と連結された有機発光素子の画素電極に電流が流れるようになる。
【0004】
そして、有機発光素子は画素電極と、これと対面する対向電極及び両電極との間に介在された発光層を備える。このような構造で前記のように薄膜トランジスタを通じて画素電極に電流が流れることにより、対向電極と画素電極との間に適正電圧が形成され、これにより発光層で発光が起きて、画像が具現される。
【0005】
したがって、有機発光ディスプレイ装置には、ソース/ドレイン電極と対向電極とに電圧をかけるための電源配線と、薄膜トランジスタのゲート電極に電流を供給するときに制御タイミングをコントロールするための電気信号を伝達する制御信号配線などが備えられている。
【0006】
ところが、この電源配線と制御信号配線とはいずれも電流が流れる配線であるため、これらがより近接な間隔でオーバーラップされる場合、部分的なキャパシタンス負荷が生じて正確な信号伝達が阻害され得る。すなわち、オーバーラップされた配線間にキャパシタンスが生じて制御信号の伝達を遅延させるおそれがあり、これにより制御タイミングを正確に合わせることが困難になるという問題が生じる。
【0007】
従来はこれらの配線が薄膜トランジスタが内蔵される基板にいずれも配置されるため、配線間の間隔を数マイクロメートルほどに狭くするしかなく、配線がオーバーラップされる場合、前記のようなキャパシタンス負荷による制御信号伝達の遅延現象が顕著になる。これを解決するための技術として、制御信号配線の入力ポイントをパネル上の複数の地点に配置して電源配線とのオーバーラップを低減する方法が提案されたことがある。
【0008】
しかし、この方法によれば、構造がより複雑になるという問題が生じる。
【0009】
したがって、構造を複雑化させずにさらに精密な発光制御を実現するためには、電源配線と制御信号配線とがオーバーラップする領域を効果的に低減させることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
電源配線と制御信号配線間のオーバーラップされる領域を縮小してキャパシタンス負荷を低減させることにより、さらに精密な発光制御が可能となる有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段により解決し得る。
【0012】
(1)ゲート電極とソース/ドレイン電極を備える薄膜トランジスタと前記薄膜トランジスタを駆動する内蔵回路とを有する第1基板と、前記第1基板と対面する第2基板と、前記ソース/ドレイン電極と連結された第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在された発光層とを備える有機発光素子と、前記ソース/ドレイン電極と前記第2電極とにそれぞれ電圧を印加する電源配線と、前記ゲート電極に電流を供給するタイミングをコントロールするための制御信号を前記内蔵回路に伝達する制御信号配線と、を備え、前記制御信号配線は、前記第1基板上で前記電源配線より外側に配置された有機発光ディスプレイ装置。
【0013】
(2)前記電源配線は、前記ソース/ドレイン電極と連結された第1電源配線と、前記第2電極に連結された第2電源配線と、を備える上記(1)に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0014】
(3)前記第1電源配線は、前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面に設けられた第1電源入力部と、前記第1電源入力部に連結されて前記第2基板を貫通して配置された第1貫通部と、前記第1貫通部に連結されて前記第1基板と第2基板との間に介在された第1ショート部と、前記第1ショート部と前記ソース/ドレイン電極とを連結するように前記第1基板に設けられた第1連結部と、を備える上記(1)または(2)に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0015】
(4)前記第1基板と前記第2基板との間に前記有機発光素子を取り囲む第1シーリング部、及び前記第1シーリング部の外側を取り囲む第2シーリング部が設けられ、前記第1シーリング部と前記第2シーリング部との間に前記第1ショート部が配された上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0016】
(5)前記第2電源配線は、前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面に設けられる第2電源入力部と、前記第2電源入力部に連結されて前記第2基板を貫通して配置された第2貫通部と、前記第2貫通部に連結されて前記第1及び第2基板の間に介在された第2ショート部及び、前記第2ショート部と前記第2電極とを連結するように前記第1基板に設けられた第2連結部と、を備える上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0017】
(6)前記第1基板と第2基板との間に前記有機発光素子を取り囲む第1シーリング部、及び前記第1シーリング部の外側を取り囲む第2シーリング部が設けられ、前記第1シーリング部と前記第2シーリング部との間に前記第2ショート部が配置された上記(1)〜 (5)のいずれかに記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0018】
(7)前記第2電源配線は、前記第2貫通部から延びて前記第2基板の前記第1基板との対向面を覆うカプセル化部をさらに備える請求項5に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0019】
(8)前記第2基板は、カーボンプレート材質である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0020】
(9)前記制御信号配線を通じて前記内蔵回路に前記制御信号を送る駆動回路部と、前記駆動回路部と前記制御信号配線とを連結するための接続パッドと、をさらに備え、前記接続パッドは、前記第1基板上の前記電圧配線の外側に配置される上記(1)〜(8)のいずれかに記載の有機発光ディスプレイ装置。
【0021】
(10)前記駆動回路部は、異方性導電フィルムを介在して前記接続パッドに連結される上記(9)に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0022】
電源配線と制御信号配線間のオーバーラップされる領域を縮小してキャパシタンス負荷を低減させることにより、制御信号伝達のタイミング遅延を防止し、さらに精密な発光制御が可能となる有機発光ディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の断面図である。
【図2】図1に図示された有機発光ディスプレイ装置で薄膜トランジスタと有機発光素子との断面図である。
【図3】図1のA部位を拡大した断面図である。
【図4】図1のB部位を拡大した断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置を概略的に図示した断面図である。
【0026】
図1に図示されたように、本実施形態に係る有機発光表示装置は、薄膜トランジスタ130(図2参照)、及びその薄膜トランジスタ130を駆動するための内蔵回路401が設けられた第1基板100と、その第1基板100に対面する第2基板200、そして第1基板100と第2基板200との間に介在された有機発光素子140を備えている。参照符号13は、吸湿充填材を示す。
【0027】
薄膜トランジスタ130と有機発光素子140との構造を図2を参照して説明する。図2は、有機発光表示装置のうち一つの画素部位を図示したものであり、このような画素が多く存在する。そして、図2に示された構造は、薄膜トランジスタ130と有機発光素子140との積層構造の一例であり、多様な変形が可能であることは勿論である。
【0028】
有機発光素子140は、薄膜トランジスタ130と電気的に連結されて発光する。有機発光素子140は、各画素に備えられた画素電極141(以下、第1電極という)と、共通電極である対向電極143(以下、第2電極という)、そしてこれらの電極141、143の間に介在された発光層142を備える。したがって、薄膜トランジスタ130から第1電極141に電圧が印加されて第2電極143との間に適切な電圧条件が形成されれば、発光層142で発光が起きる。
【0029】
第1電極141と第2電極143との間に介在された発光層142は、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層がいずれもまたは選択的に積層されて備えられうる。ただし、発光層は必ず備えられる。
【0030】
図示されていないが、第2電極143上には保護層がさらに形成されうる。
【0031】
薄膜トランジスタ130は、ガラス板110上に形成されたゲート電極131と、このゲート電極131を覆う第1絶縁層132と、第1絶縁層132上に形成された活性層133と、活性層133を覆うように第1絶縁層132上に形成された第2絶縁層134と、第2絶縁層134の開口134aを通じて活性層133と連結されるソース/ドレイン電極135a、135bと、を備える。
【0032】
ガラス板110上には平坦度を改善するために酸化シリコンなどの無機物でバッファ層120を形成できる。
【0033】
このようなガラス板110上に形成されたゲート電極131は、導電性金属で単層あるいは複数層で形成できる。ゲート電極131はモリブデンを含むことができる。
【0034】
第1絶縁層132は、酸化シリコン、酸化タンタル、または酸化アルミニウムで形成できるが、これに限定されない。
【0035】
第1絶縁層132上にはパターニングされた活性層133が形成される。活性層133は結晶化工程が必要なく非晶質状態であるので、均一度の良好な酸化物半導体で形成されうるが、例えば、G−I−Z−O層[a(In)b(Ga)c(ZnO)層](a、b、cはそれぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす実数)でありうるが、これに限定されない。
【0036】
活性層133を覆うように第2絶縁層134が形成され、この第2絶縁層134も酸化シリコン、酸化タンタル、または酸化アルミニウム等で形成できるが、これに限定されない。
【0037】
第2絶縁層134上には、導電性金属であるソース/ドレイン電極135a、135bが活性層133と接触するように形成される。
【0038】
第2絶縁層134上には、ソース/ドレイン電極135a、135bを覆うようにパッシベーション層150が形成され、このパッシベーション層150上にはソース/ドレイン電極135a、135bのうち、ドレイン電極135bと接続された有機発光素子140の第1電極141が形成される。
【0039】
パッシベーション層150上には、第1電極141の一部を露出させる画素定義膜151が形成され、画素定義膜151で露出された第1電極141の上部に発光層142及び第2電極143が形成される。
【0040】
本実施形態においては、第1基板100は、ガラス板110から第1電極141と画素定義膜151までであり、その上に有機発光素子140の発光層142と第2電極143とが形成される。すなわち、第1基板100に薄膜トランジスタ130と第1電極141及び薄膜トランジスタ130を駆動するための内蔵回路401が内蔵され、その上に発光層142と第2電極143とが位置し、第2基板200は封止基板であって、有機発光素子140を覆う。
【0041】
したがって、内蔵回路401の駆動によりゲート電極131に電流が印加されれば、活性層133が通電の可能な状態に変わり、これにより、ソース/ドレイン電極135a、135bのソース電極135aに印加された電流が、活性層133を通じてドレイン電極135bと第1電極141とに流れる。第2電極143には、後述する第2電源配線320を通じて常に適正電圧が印加されているので、第1電極141と第2電極143との間に適正な電圧が形成され、これにより発光層142で発光が起きる。
【0042】
したがって、このような動作のためには、ソース/ドレイン電極135a、135bを通じて第1電極141に電圧を印加する第1電源配線310と、第2電極143に電圧を印加する第2電源配線320とが必要になり、内蔵回路401で、ゲート電極131に電流を印加する制御タイミングを合わせるためのクロック(clock)信号をその内蔵回路401に送るための制御信号配線400が必要である。
【0043】
しかし、これらの配線310、320、400が同じ第1基板100内において近接距離でオーバーラップされれば、前述したようにキャパシタンス負荷が生じて制御信号伝達の遅延が顕著になるおそれがある。そこで、本実施形態においては、かかる問題を解決するために配線310、320、400の配置構造を下記のように構成する。
【0044】
まず、図1に図示されたように、制御信号配線400は第1基板100の外側に配置される。これは、後述する第1電源配線310及び第2電源配線320と第1基板100内でオーバーラップされる領域を縮小するためである。すなわち、制御信号配線400を第1基板100の外側に配し、第1電源配線310及び第2電源配線320はその内側に配することで、第1基板100内で第1電源配線310及び第2電源配線320の通過経路に制御信号配線400が重畳しないようにする。参照符号420は、制御信号配線400を通じて内蔵回路401に制御信号を送る駆動回路部を示し、参照符号410は、駆動回路部420と制御信号配線400とを連結するための接続パッドを示す。この接続パッド410も第1基板100の外側に配置され、第1基板100の外側を回って制御信号配線400と連結される。すなわち、接続パッド410と制御信号配線400との連結も、第1電源配線310及び第2電源配線320とはオーバーラップしないように第1基板100の外側を回るように構成される。参照符号440は、駆動回路部420が搭載される軟性回路基板を、参照保護430はその軟性回路基板440と接続パッド410とを連結する異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film;ACF)をそれぞれ示す。
【0045】
次いで、図1及び図3を参照して、第1電源配線310及び第2電源配線320のうち 第1電源配線310の構造をまず説明する。
第1電源配線310は、有機発光素子140の第1電極141に電圧を印加できるようにソース/ドレイン電極135a、135bのうちソース電極135aに連結される配線であって、Cu、Al、ITO、Agなどの導電性材質で形成される。この第1電源配線310は、第1基板100上のみに形成されたものではなく、第2基板200から第1基板100までつながるように形成されている。すなわち、制御信号配線400のある部分は第2基板200上に第1電源配線310を形成することで、同じ第1基板100内では配線が互いにオーバーラップされないようにしたものである。
【0046】
このような第1電源配線310は、第2基板200の上面、すなわち、第1基板100と対向する面の反対面に配された第1電源入力部311と、第2基板200を貫通して配置された第1貫通部312、第1基板100と第2基板200との間に介在された第1ショート部313及び、ソース/ドレイン電極135a、135bに連結される第1連結部314が順次連結された構造を持っている。すなわち、第2基板200から制御信号配線400を避けて第1基板100につながるように配線が形成されたものである。参照符号135は、ソース/ドレイン電極135a、135bにつながるソース/ドレイン接続部を示す。このような構成によれば、第1基板100内では制御信号配線400と第1電源配線310とがオーバーラップされなくなるので、キャパシタンス負荷が生じることはなく、信号伝達遅延の問題が解消される。一方、図1で第1電源入力部311が制御信号配線400とオーバーラップされているように見えるが、これらは、第1基板100と第2基板200との間のギャップと第2基板200の厚さとを合わせたほどの間隔をおいて離隔されているため、キャパシタンス負荷は実際には発生しない。すなわち、キャパシタンス負荷は、同じ第1基板100内で数マイクロメートル以内の間隔をおいて配線がオーバーラップされる場合に発生するものであるが、第1電源入力部311と制御信号配線400との間には数ミリメートル以上の間隔があるため、キャパシタンス負荷は生じない。
【0047】
したがって、制御信号配線400と第1電源配線310との近接したオーバーラップを無くす配置構造となり、これによりキャパシタンス負荷の発生を防止して制御タイミングの信号伝達遅延の問題を防止できる。
【0048】
ここで、第2基板200は、第1貫通部312と、後述する第2貫通部322とを容易に形成できるように、ガラス材質よりカーボンプレート材質で形成することが望ましい。このカーボンプレートは、例えば、樹脂マトリックスに複数の炭素繊維を含浸した構造になり、次のような特性を持っている。
【0049】
まず、炭素繊維はガラス材質より低い熱膨張係数を持ち、樹脂マトリックスはガラス材質より高い熱膨張係数を有する。特に炭素繊維の長手方向熱膨張係数はマイナス値を有する。したがって、炭素繊維の量と樹脂マトリックスの量との比率を調節すれば、第2基板200の熱膨張係数を所望のレベルに調節できる。
【0050】
また、炭素繊維は水分を吸収しないため、防湿能力に優れる。
【0051】
そして、炭素繊維は機械的物性に優れるため、薄くても大きい機械的剛性を有する。したがって、有機発光ディスプレイ装置の全体の厚さを抑えるのに有利であり、厚さが薄いほど第1貫通部312及び第2貫通部322を容易に形成できる。
【0052】
複数の炭素繊維は互いに平行に配置されてもよく、多様な角度で互いに交差して配置されてもよい。
また、第2基板200は、複数個のカーボンプレートが複数層に積層された構造に構成してもよい。このとき、各層の炭素繊維の配列方向を互いに同じにしてもよく、多様な角度で互いに交差して配してもよい。例えば、第2基板200をカーボンプレート4枚の積層体で構成する場合、第1層及び第4層の炭素繊維は第1方向に配列し、第2層及び第3層の炭素繊維は第1方向と異なる第2方向に配列することができる。このように炭素繊維の配列方向を相異ならせることにより、第2基板200の平坦度を向上させることができる。
【0053】
このようなカーボンプレートを利用して第2基板200を構成できる。
【0054】
参照符号11と12とは、第1ショート部313を介して有機発光素子140を二重に取り囲む第1シーリング部と第2シーリング部とをそれぞれ示す。
【0055】
図1及び図4を参照すれば、第2電源配線320もこのような構造になっている。
【0056】
第2電源配線320は、有機発光素子140の第2電極143に連結される配線であって、Cu、Al、ITO、Agなどの導電性材質で形成される。この第2電源配線320は第2基板200の上面、すなわち、第1基板100と対向する面の反対面に設けられる第2電源入力部321と、第2基板200を貫通して配された第2貫通部322、第1基板100と第2基板200との間に介在された第2ショート部323及び、第2電極143に連結された第2連結部324a、324b、324cが順次連結された構造になっている。すなわち、第2基板200から制御信号配線400の接続パッド410を避けて第1基板100につながるように配線が形成されている。このような構成によれば、第1基板100内では制御信号配線400と第2電源配線320とがオーバーラップされないようになるので、キャパシタンス負荷が生じなくなって信号伝達遅延の問題が解消される。ここで、第2ショート部323も、第1ショート部313と同様に第1シーリング部11と第2シーリング部12との間に配置される。
【0057】
したがって、図5に示すように、制御信号配線400と第2電源配線320との間の近接オーバーラップを無くす配置構造になり、これにより、キャパシタンス負荷の発生を防止して制御タイミングの信号伝達遅延の問題を防止できるようになる。
【0058】
第2電源配線320には第2貫通部322から延びたカプセル化部325がさらに備えられるが、このカプセル化部325は、第2基板200の第1基板100との対向面を覆う金属封止層の役割を担う。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る有機発光ディスプレイ装置によれば、第1基板100内で第1電源配線310及び第2電源配線320と制御信号配線400とがオーバーラップされないような配線構造を有するので、キャパシタンス負荷の発生を抑制でき、これにより、制御信号伝達が遅延される問題を解決できる。
【0060】
本発明は、添付した図面に図示された一実施形態を参考として説明されたが、この実施形態は例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は特許請求の範囲によって定められねばならない。
【符号の説明】
【0061】
11 第1シーリング部、
12 第2シーリング部、
13 吸湿充填材、
100 第1基板、
140 有機発光素子、
141 画素電極(第1電極)、
142 発光層、
143 対向電極(第2電極)、
200 第2基板、
310 第1電源配線、
320 第2電源配線、
400 制御信号配線、
401 内蔵回路、
410 接続パッド、
420 駆動回路部、
430 異方性導電フィルム(ACF)、
440 軟性回路基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極とソース/ドレイン電極を備える薄膜トランジスタと前記薄膜トランジスタを駆動する内蔵回路とを有する第1基板と、
前記第1基板と対面する第2基板と、
前記ソース/ドレイン電極と連結された第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在された発光層とを備える有機発光素子と、
前記ソース/ドレイン電極と前記第2電極とにそれぞれ電圧を印加する電源配線と、
前記ゲート電極に電流を供給するタイミングをコントロールするための制御信号を前記内蔵回路に伝達する制御信号配線と、を備え、
前記制御信号配線は、前記第1基板上で前記電源配線より外側に配置された有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記電源配線は、前記ソース/ドレイン電極と連結された第1電源配線と、前記第2電極に連結された第2電源配線と、を備える請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1電源配線は、前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面に設けられた第1電源入力部と、前記第1電源入力部に連結されて前記第2基板を貫通して配置された第1貫通部と、前記第1貫通部に連結されて前記第1基板と第2基板との間に介在された第1ショート部と、前記第1ショート部と前記ソース/ドレイン電極とを連結するように前記第1基板に設けられた第1連結部と、を備える請求項1または2に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1基板と前記第2基板との間に前記有機発光素子を取り囲む第1シーリング部、及び前記第1シーリング部の外側を取り囲む第2シーリング部が設けられ、前記第1シーリング部と前記第2シーリング部との間に前記第1ショート部が配された請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2電源配線は、前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面に設けられる第2電源入力部と、前記第2電源入力部に連結されて前記第2基板を貫通して配置された第2貫通部と、前記第2貫通部に連結されて前記第1及び第2基板の間に介在された第2ショート部及び、前記第2ショート部と前記第2電極とを連結するように前記第1基板に設けられた第2連結部と、を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1基板と第2基板との間に前記有機発光素子を取り囲む第1シーリング部、及び前記第1シーリング部の外側を取り囲む第2シーリング部が設けられ、前記第1シーリング部と前記第2シーリング部との間に前記第2ショート部が配置された請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第2電源配線は、前記第2貫通部から延びて前記第2基板の前記第1基板との対向面を覆うカプセル化部をさらに備える請求項5に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第2基板は、カーボンプレート材質である請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記制御信号配線を通じて前記内蔵回路に前記制御信号を送る駆動回路部と、前記駆動回路部と前記制御信号配線とを連結するための接続パッドと、をさらに備え、
前記接続パッドは、前記第1基板上の前記電圧配線の外側に配置される請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記駆動回路部は、異方性導電フィルムを介在して前記接続パッドに連結される請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−68639(P2012−68639A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206622(P2011−206622)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】