有機発光素子及びその製造方法
【課題】有機発光素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、基板及び第2電極を覆うパッシベーション膜とを含む有機発光素子、及びその製造方法である。
【解決手段】第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、基板及び第2電極を覆うパッシベーション膜とを含む有機発光素子、及びその製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記第2電極を覆うパッシベーション膜とを含む有機発光素子、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在適用されている電子機器の水分遮断技術には、接着剤で封止を行う場合に使われる接着剤と、基板を介して微量の水分が浸透するため、機器内に流入した水分を積極的に除去できる吸湿剤とが使われている。このような吸湿剤は不透明であるので、透過度が確保される薄膜を適用し、10層以上の多層にすることが試みられているが、多層積層により、透過度、タクトタイム(tact time)、薄膜のストレスが問題になっており、このための努力として、有機物/無機物の積層構造が現在進められている状況である。
【0003】
現在出願されている特許を参照すると、有機/無機の多層積層が最近の技術として議論されているが、このときの透過度とタクトタイムとが工程適用の問題点として明らかになってきている。
【0004】
それだけではなく、有機発光素子の上部からの水分の浸透と比較して、コーナーから透湿してくる水分の遮断が完全になされない状況にあるため、コーナーから浸透してくる水分による素子の損傷を克服することがいまだに問題点として残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記有機発光部を覆う順次に積層された2層のパッシベーション膜とを含む有機発光素子であり、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、前記第1パッシベーション膜と、該第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む、水分を遮断する有機発光素子を提供するものである。
【0006】
本発明はまた、前記有機発光素子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によって、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記有機発光部を覆う順次に積層された2層のパッシベーション膜とを含む有機発光素子であり、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、前記第1パッシベーション膜と、該第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む有機発光素子が提供される。
【0008】
本発明の一具現例によれば、イオン注入による前記成分は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択された一つ以上でありうる。
【0009】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物からなりうる。
【0010】
本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiでありうる。
【0011】
本発明の一具現例によれば、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOでありうる。
【0012】
本発明の一具現例によれば、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNでありうる。
【0013】
本発明の一具現例によれば、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0014】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜それぞれは、透光度が90%以上100%以下でありうる。
【0015】
本発明の一具現例によれば、前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0016】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層の厚みは、それぞれ0を超えて約6,000nmまででありうる。
【0017】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層内で、前記第1パッシベーション膜の成分の濃度、または前記第2パッシベーション膜の成分の濃度が、それぞれのパッシベーション膜から基板側に、順次低下しうる。
【0018】
本発明の他の側面によって、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板を準備する段階と、前記基板及び前記有機発光部の上に第1パッシベーション膜を蒸着させる段階と、前記第1パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階と、第2パッシベーション膜を、前記第1パッシベーション膜上に蒸着させる段階と、前記第2パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階と、を含む有機発光素子の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物でありうる。
【0020】
本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiでありうる。
【0021】
本発明の一具現例によれば、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOでありうる。
【0022】
本発明の一具現例によれば、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNでありうる。
【0023】
本発明の一具現例によれば、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0024】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ透光度が90%以上100%以下でありうる。
【0025】
本発明の一具現例によれば、前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0026】
本発明の一具現例によれば、前記イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上でありうる。
【0027】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階は、前記有機発光部を除外した第1パッシベーション膜部分にイオンビームを注入し、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を形成する段階でありうる。
【0028】
本発明の一具現例によれば、前記第2パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階は、第2パッシベーション膜全体にイオンビームを注入し、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を形成する段階でありうる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、イオン注入(ion implantation)法によって、基板とパッシベーション膜との界面にエネルギーを加え、基板とパッシベーション膜との混合層を形成して界面をなくし、新しい層を設けて水分を遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】有機発光素子に水分が浸透する経路を模式的に示した図面である。
【図2A】基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【図2B】基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【図2C】基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【図3】ガラス基板にSiNxを蒸着させ、He、N2、Ne、Arなどのガスを利用し、それらガスのイオンを注入(implantation)させた後、二次イオン質量分析機であるSIMS(secondary ion mass spectroscopy)分析機を利用した分析結果を図示したグラフである(X=1.0〜1.5)。
【図4A】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4B】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4C】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4D】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4E】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図5】本発明の一具現例による有機発光素子の一部を拡大して模式的に図示した図面である。
【図6】本発明の一具現例による有機発光素子が、高電圧でも損傷なしに発光する様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0032】
本発明の一具現例による有機発光素子(OLED)は、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記有機発光部を覆う順次に積層された2層のパッシベーション膜とを含む有機発光素子であり、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、前記第1パッシベーション膜と、該第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む。
【0033】
現在、水分に敏感なさまざまな電子機器は、それらの安定した駆動と寿命の確保とのための方策として、水分を吸収するゲッタ(getter)や吸湿剤を使用したり、上下のガラスにシーラントやフリット(frit)を利用して、寿命を確保している状況である。最近では、有機素子に無機薄膜を単一膜または多層膜で積層し、パッシベーション膜として使用している。前記のような場合、多層の薄膜積層時に、ストレスが加わり、かつタクトタイム(tact time)がかかり、透過度もまた問題視されている。
【0034】
そのうちでも最も重要なのは、水分の吸湿経路である。図1は、有機発光素子(OLED)に水分が浸透する経路を模式的に示した図面である。図1から分かるように、水分浸透経路は、例えば、ガラスのような基板とパッシベーション膜との界面で、吸湿されてくる経路1、上部から入り込む経路2、及び有機発光素子のステップ・カバリッジ(step coverage )になるコーナーから入る経路3に分類され、これを完全に遮断するには、数μm厚の厚膜が必要であり、かつ多くの時間がかかるというような困難さがある状況である。特に、このような水分浸透経路のうち問題になるのは、経路1及び経路3のようなものである。
【0035】
本発明の一具現例によれば、イオン注入方法によって、基板と第1パッシベーション膜とに、イオンを適切な条件で照射することによって、基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を生成することができる。
【0036】
また、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜とにイオンを適切な条件で照射することによって、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を生成することができる。
【0037】
第1混合層及び第2混合層の生成は、第1パッシベーション膜の種類、第2パッシベーション膜の種類、イオンの種類、イオン注入電圧、イオン注入圧力、イオン注入時間、並びに第1混合層及び第2混合層が生じる深さのような多くの条件に依存する。いくつかの例について、実施例で説明する。
【0038】
このように、基板と第1パッシベーション膜との明確な界面、そして第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との明確な界面が消え、代わりに、混合層が生成されることによって、水分浸透は、効果的に抑制される。
【0039】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物からなりうる。
【0040】
本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであり、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであり、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであり、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0041】
図2Aないし図2Cは、基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【0042】
図2Aは、基板と、その上に蒸着されたパッシベーション膜との境界が明確に区分されることを示す図面である。
【0043】
図2Bでは、基板とパッシベーション膜との界面に、エネルギーを有するイオンが注入(implantation)され、境界面が活性化される状態を示している。使われるガスは、不活性気体であるHe、Ne、Ar、Xeなどであり、使われる用途によって、N2,O2ガスなども使用可能である。前記ガスがイオン化されて注入される場合、イオンは、適切な作業条件で、基板及びパッシベーション膜の明確な界面を不明確にし、このような過程を経て、図2Cのような混合層が生成される。
【0044】
図2Cの状態は、図2Aの状態とは異なり、その境界が明確ではなく、これは、あたかも図2Aの状態の基板及びパッシベーション膜が、互いに強力に接着された状態であると見ることができる。従って、水分浸透は困難になる。
【0045】
本発明の一具現例によれば、イオン注入による前記成分は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択された一つ以上でありうる。
【0046】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜それぞれは、透光度が90%以上100%以下でありうる。
【0047】
それぞれのパッシベーション膜の透光度が90%未満である場合、効率及び視野角に問題点が生じうる。
【0048】
本発明の一具現例によれば、前記基板は、一般的に基板として使われる材質が使われ、例えば、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0049】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層の厚みは、それぞれ0を超えて約6,000nmまででありうる。
【0050】
それぞれの混合層の厚みが、6,000nmを超える場合、薄膜のストレスによって、膜が裂けて浮き上がるような現象の問題が起こりうる。
【0051】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層内で、前記第1パッシベーション膜の成分の濃度、または前記第2パッシベーション膜の成分の濃度が、それぞれのパッシベーション膜から基板側に、順次低下しうる。
【0052】
図3は、例えば、ガラスのような基板に、例えば、SiNxのような窒化物膜を蒸着させ、多様なガスを利用して注入(implantation)した後、二次イオン質量分析機であるSIMS(secondary ion mass spectroscopy)分析機を利用した分析結果を図示した図面である(X=1.0〜1.5)。
【0053】
図3を参照すれば、注入させた成分の原子番号が増加するほど、界面のシャープネス(sharpness)は低下する。すなわち、界面の拡張(broadening)程度は、Ar>Ne>N>Heの順序である(ただし、注入時のドース量(dose)は同一であり、Rp(projected range)は全ての試料において類似していると仮定)。
【0054】
また、図3の横軸を参照すれば、混合層の深さは、100nmないし500nmであることが分かる。混合層でパッシベーション膜の成分であるSiNの濃度が、パッシベーション膜(ここでは、SiNx)から基板(ここでは、ガラス)側に、順次低下することが分かる。
【0055】
次に、本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法について説明する。
【0056】
本発明の他の側面によって、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板を準備する段階と、前記基板及び前記有機発光部の上に、第1パッシベーション膜を蒸着させる段階と、前記第1パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階と、第2パッシベーション膜を前記第1パッシベーション膜上に蒸着させる段階と、前記第2パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階とを含む有機発光素子の製造方法が提供される。
【0057】
図4Aないし図4Eは、本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を、模式的に図示した図面である。
【0058】
図4Aを参照すれば、まず、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部20が形成された基板10を準備する。ここで、前記基板は、有機発光素子の製造において、一般的に基板として使われる材質が使われ、例えば、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0059】
次に、図4Bを参照すれば、前記基板10及び前記有機発光部20の上に、第1パッシベーション膜30を蒸着させる。ここで、第1パッシベーション膜30は、有機発光素子の製造において、一般的にパッシベーション膜として使われる材質が使われ、例えば、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物でありうる。本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであり、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであり、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであり、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0060】
一方、第1パッシベーション膜の透光度は、90%以上100%以下でありうる。パッシベーション膜の透光度が90%未満である場合、効率及び視野角に問題点が生じうる。
【0061】
次に、図4Cを参照すれば、前記第1パッシベーション膜30上に、イオンビームを注入するが、イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上であり、前記有機発光部20を除外した第1パッシベーション膜部分30に、イオンビームを注入し、前記基板10及び第1パッシベーション膜30間に、基板10の成分、第1パッシベーション膜30成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層(図示せず)を形成する。
【0062】
イオンビーム注入で、前記有機発光部を除外する理由は、イオンビームからの有機発光部の損傷を避けるためである。
【0063】
次に、図4Dを参照すれば、第2パッシベーション膜40を、前記第1パッシベーション膜30上に蒸着させる。ここで、第2パッシベーション膜40は、有機発光素子の製造において、一般的にパッシベーション膜として使われる材質が使われ、例えば、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物でありうる。第2パッシベーション膜の透光度は、90%以上100%以下でありうる。パッシベーション膜の透光度が90%未満である場合、効率及び視野角に問題点が生じうる。
【0064】
第2パッシベーション膜40は、第1パッシベーション膜30と異なる成分でありうる。例えば、第1パッシベーション膜30が金属である場合、第2パッシベーション膜40は、酸化物または窒化物であって、第1パッシベーション膜30が酸化物である場合、第2パッシベーション膜40は、金属または窒化物であって、第1パッシベーション膜30が窒化物である場合、第2パッシベーション膜40は、金属または酸化物でありうる。
【0065】
最後に、図4Eを参照すれば、前記第2パッシベーション膜40上に、イオンビームを注入するが、イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上であり、前記第2パッシベーション膜40の全体にイオンビームを注入し、前記第1パッシベーション膜30と第2パッシベーション膜40との間に、第1パッシベーション膜30の成分、第2パッシベーション膜40成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層(図示せず)を形成する。
【0066】
図5は、本発明の一具現例による有機発光素子の一部を拡大し、模式的に図示した図面である。
【0067】
図5を参照すれば、基板10と第1パッシベーション膜30との間に、基板10の成分、第1パッシベーション膜30成分及びイオン注入による成分50からなる第1混合層が形成され、第1パッシベーション膜30と第2パッシベーション膜40との間に、第1パッシベーション膜30の成分、第2パッシベーション膜40成分及びイオン注入による成分50からなる第2混合層が形成されていることが分かる。有機発光部20の近くには、イオン注入による成分50が存在しない。
【0068】
第1混合層及び第2混合層によって、図1での水分浸透経路1ないし3がいずれも効率的に遮断される。
【0069】
本発明による有機発光素子は、従来技術で使われる10層のパッシベーション膜よりも単純なパッシベーション膜を含むことによって、タクトタイムを効果的に短縮することができ、工程性が向上するのである。
【0070】
以下、本発明で使われる一般的な有機発光素子の構造について説明する。
【0071】
本発明で使われる有機発光素子の構造は、一般的なものであって、非常に多様である。前記第1電極と第2電極との間に、有機膜として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された1層以上の層を有機膜としてさらに含むことができる。
【0072】
本発明で使われる有機発光素子は、例えば、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有する。
【0073】
以下、前述の積層構造を有する有機発光素子の製造方法について述べる。
【0074】
まず、基板上部に、大きい仕事関数を有するアノード(正極)電極用物質を蒸着法またはスパッタリングによって形成し、第1電極であるアノードとして使用する。ここで、基板としては、一般的な有機発光素子で使われる基板を使用するが、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性にすぐれる有機基板または透明プラスチック基板が望ましい。そして、アノード電極用物質としては、透明であって伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用する。
【0075】
前記アノード電極の上部に、正孔注入層物質を真空熱蒸着またはスピンコーティングさせる。前記正孔注入層物質としては、例えば、銅フタロシアニン(CuPc)などのフタロシアニン化合物;スターバースト型アミン誘導体類である(4,4−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)(TCTA)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、1,3,5−トリス[4−(3−メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m−MTDAPB);溶解性のある伝導性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
【化1】
【0077】
正孔注入層の上部に、正孔輸送層物質を真空熱蒸着またはスピンコーティングさせ、正孔輸送層を形成する。前記正孔輸送層物質は、例えば、1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4’−ビスカルバゾリル−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(NPB)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)、またはポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(PFB)などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
【化2】
【0079】
次に、正孔輸送層の上部に発光層が導入され、発光層の材料は、特別に制限されるものではなく、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、TCB、(4,4−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)(TCTA)、SDI−BH−18、SDI−BH−19、SDI−BH−22、SDI−BH−23、dmCBP、Liq、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、ビス(2−メチル−8−キノリラート)−(p−フェニルフェノラート)−アルミニウム(Balq)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)などをホストとして使用でき、ドーパントの場合、蛍光ドーパントとしては、出光社(Idemitsu Co.)から購入可能なIDE102、IDE105や、リン光ドーパントとしては周知の緑色リン光ドーパントであるIr(ppy)3、青色リン光ドーパントである(4,6−F2ppy)2Irpicなどが共に真空熱蒸着されうる。
【0080】
【化3】
【0081】
ドーピング濃度は、特別に制限されるものではないが、一般的に、0.5〜12重量%で使用する。発光層上に、電子輸送層が、真空蒸着法、またはスピンコーティング法でもって薄膜を形成できる。
【0082】
一方、発光層にリン光ドーパントを共に使用する場合、三重項励起子または正孔が、電子輸送層に拡散する現象を防止するために、さらに正孔阻止物質を真空熱蒸着し、正孔阻止層を形成できる。このときに使用できる正孔阻止層の材料は、特別に制限されるものではないが、電子輸送能を有しつつ、発光化合物より高いイオン化ポテンシャルを有さねばならず、代表的なものとしてBalq、BCPなどがある。
【0083】
正孔阻止層上に、電子輸送層が、真空蒸着法またはスピンコーティング法でもって薄膜を形成できる。
【0084】
前記電子輸送層の材料は、例えば、公知の材料であるAlq3などを利用できる。
【0085】
また、電子輸送層上に、電子注入層が積層されうる。前記電子注入層の材料は、例えば、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaOなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
そして、電子注入層の上部に、カソード形成用金属を真空熱蒸着し、カソード電極を形成する。ここで、カソード形成用金属としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などが使われうる。また、電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層またはカソード電極に、必要によってさらに、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用した透過型カソードを使用できる。本発明の有機発光素子は、アノードまたは2層の中間層をさらに形成することも可能である。
【0087】
次に、カソード電極及び基板上に、前述の方法によってパッシベーション膜を蒸着し、かつイオン注入を経ることによって、有機発光素子が完成される。
【0088】
以下、本発明による有機発光素子の実施例を具体的に例示するが、本発明が、下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0089】
〔実施例1〕
[m−MTDATA(750Å)/α−NPD(150Å)/ジスチリルアリーレン(DSA)(300Å):2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBPe)(3%)/Alq3(200Å)/LiF(80Å)/Al(3,000Å)]
アノードは、コーニング(Corning)15Ω/cm2(1,200Å)ITOガラス基板を、50mmx50mmx0.7mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水との中で、それぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間UV(ultraviolet)オゾン洗浄して使用する。前記基板上部にm−MTDATAを真空蒸着し、正孔注入層を750Å厚に形成する。次に、前記正孔注入層の上部にα−NPDを150Å厚に真空蒸着し、正孔輸送層を形成する。正孔輸送層を形成した後、この正孔輸送層の上部に、DSAをホストとし、ドーパントとしてTBPeを3%使用し、これを真空蒸着し、300Å厚に発光層を形成する。その後、前記発光層の上部にAlq3を真空蒸着し、200Å厚の電子輸送層を形成する。この電子輸送層の上部に、LiF 80Å(電子注入層)と、Al 3,000Å(カソード電極)とを順次に真空蒸着し、LiF/Al電極を形成する。
【0090】
次に、2×10−6Torrの圧力を有した熱蒸着機(thermal evaporator)で、前記基板及びLiF/Al電極上に、第1パッシベーション膜としてSiNxを5,000Å厚に蒸着する(xは、1.2〜1.4)。
【0091】
前記第1パッシベーション膜が形成された部分のうち、有機発光部が形成された部分を覆った後、40kV、1×10−6Torrで、N2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、60分間イオン注入(ion implantation)を実施し、第1パッシベーション膜と基板との間に、第1混合層を形成する。
【0092】
次に、前記第1パッシベーション膜上に、SiONを9,000Å厚に蒸着し、第2パッシベーション膜を形成する。
【0093】
次に、60kV、1×10−6Torrで、N2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、80分間イオン注入(ion implantation)を第2パッシベーション膜全体に実施し、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に第2混合層を形成し、有機発光素子を製造する。
【0094】
図6は、実施例1によってイオン注入(ion implantation)させた後の素子の発光を示している写真である。図6を参照すれば、20kVの高い電圧でも、本発明の一実施例による有機発光素子が、損傷なしに発光する様子を観察できた。
【0095】
実施例1の有機発光素子の断面をSEM(scanning electron microscope)測定し、第1混合層及び第2混合層の厚みが、それぞれ約300nmであることを確認した。
【0096】
第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜の透光度は、それぞれ約90%、約90%と測定された。
【0097】
〔実施例2〕
第1パッシベーション膜として、酸化物であるSiO2を使用し、第2パッシベーション膜として、窒化物であるSiNxを使用したことを除いては、実施例1と同一に有機発光素子を製造する。
【0098】
第1パッシベーション膜の場合、30kV、1×10−6TorrでN2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、70分間イオン注入(ion implantation)を実施し、第1パッシベーション膜と基板との間に、第1混合層を形成する。次に、60kV、1×10−6TorrでN2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、90分間イオン注入(ion implantation)を第2パッシベーション膜全体に実施し、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に、第2混合層を形成して有機発光素子を製造する。
【0099】
〔実施例3〕
50kV、2×10−6TorrでO2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、60分間実施したことを除いては、実施例1と同一に有機発光素子を製造する。
【0100】
〔比較例〕
第1電極、有機膜及び第2電極が順次に積層されてなされた有機電界発光部が形成された封止基板を製造する。次に、前記第2電極の上部に、平均粒径100nm以下のCa粉末を、酸素ガス雰囲気下で真空熱蒸着させることによって、水分吸収層を形成する。
【0101】
前記CaO水分吸収層の上部に、無機保護層として、シリコン窒化物を真空蒸着させ、その上に、さらに同じ方法で、CaO水分吸収層をコーティングする。有機保護層として、アクリル系樹脂を使用してスピンコーティングした後、これを100℃で熱処理し、第2電極/水分吸収層/無機保護層/水分吸収層/有機保護層が順次に積層された封止基板を製造する。
【0102】
最後に、前記の通りに製造された封止基板と基板とを合着し、有機発光素子を製造する。
【0103】
〔水分及び外気透過試験〕
前記実施例1及び比較例によって製造された有機発光素子に対して、水分及び外気に対する透過程度を調べた。
【0104】
その結果、実施例1による有機発光素子及び比較例による有機発光素子は、透湿度がそれぞれ10−5g/m2/day以上であって、ほとんど同等な水分及び外気に対する浸透抑制能があることが分かった。
【符号の説明】
【0105】
1,2,3 水分の浸透経路
10 基板
20 有機発光部
30 第1パッシベーション膜
40 第2パッシベーション膜
50 イオン注入による成分
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記第2電極を覆うパッシベーション膜とを含む有機発光素子、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在適用されている電子機器の水分遮断技術には、接着剤で封止を行う場合に使われる接着剤と、基板を介して微量の水分が浸透するため、機器内に流入した水分を積極的に除去できる吸湿剤とが使われている。このような吸湿剤は不透明であるので、透過度が確保される薄膜を適用し、10層以上の多層にすることが試みられているが、多層積層により、透過度、タクトタイム(tact time)、薄膜のストレスが問題になっており、このための努力として、有機物/無機物の積層構造が現在進められている状況である。
【0003】
現在出願されている特許を参照すると、有機/無機の多層積層が最近の技術として議論されているが、このときの透過度とタクトタイムとが工程適用の問題点として明らかになってきている。
【0004】
それだけではなく、有機発光素子の上部からの水分の浸透と比較して、コーナーから透湿してくる水分の遮断が完全になされない状況にあるため、コーナーから浸透してくる水分による素子の損傷を克服することがいまだに問題点として残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記有機発光部を覆う順次に積層された2層のパッシベーション膜とを含む有機発光素子であり、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、前記第1パッシベーション膜と、該第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む、水分を遮断する有機発光素子を提供するものである。
【0006】
本発明はまた、前記有機発光素子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によって、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記有機発光部を覆う順次に積層された2層のパッシベーション膜とを含む有機発光素子であり、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、前記第1パッシベーション膜と、該第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む有機発光素子が提供される。
【0008】
本発明の一具現例によれば、イオン注入による前記成分は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択された一つ以上でありうる。
【0009】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物からなりうる。
【0010】
本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiでありうる。
【0011】
本発明の一具現例によれば、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOでありうる。
【0012】
本発明の一具現例によれば、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNでありうる。
【0013】
本発明の一具現例によれば、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0014】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜それぞれは、透光度が90%以上100%以下でありうる。
【0015】
本発明の一具現例によれば、前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0016】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層の厚みは、それぞれ0を超えて約6,000nmまででありうる。
【0017】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層内で、前記第1パッシベーション膜の成分の濃度、または前記第2パッシベーション膜の成分の濃度が、それぞれのパッシベーション膜から基板側に、順次低下しうる。
【0018】
本発明の他の側面によって、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板を準備する段階と、前記基板及び前記有機発光部の上に第1パッシベーション膜を蒸着させる段階と、前記第1パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階と、第2パッシベーション膜を、前記第1パッシベーション膜上に蒸着させる段階と、前記第2パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階と、を含む有機発光素子の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物でありうる。
【0020】
本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiでありうる。
【0021】
本発明の一具現例によれば、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOでありうる。
【0022】
本発明の一具現例によれば、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNでありうる。
【0023】
本発明の一具現例によれば、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0024】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ透光度が90%以上100%以下でありうる。
【0025】
本発明の一具現例によれば、前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0026】
本発明の一具現例によれば、前記イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上でありうる。
【0027】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階は、前記有機発光部を除外した第1パッシベーション膜部分にイオンビームを注入し、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を形成する段階でありうる。
【0028】
本発明の一具現例によれば、前記第2パッシベーション膜上に、イオンビームを注入する段階は、第2パッシベーション膜全体にイオンビームを注入し、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を形成する段階でありうる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、イオン注入(ion implantation)法によって、基板とパッシベーション膜との界面にエネルギーを加え、基板とパッシベーション膜との混合層を形成して界面をなくし、新しい層を設けて水分を遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】有機発光素子に水分が浸透する経路を模式的に示した図面である。
【図2A】基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【図2B】基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【図2C】基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【図3】ガラス基板にSiNxを蒸着させ、He、N2、Ne、Arなどのガスを利用し、それらガスのイオンを注入(implantation)させた後、二次イオン質量分析機であるSIMS(secondary ion mass spectroscopy)分析機を利用した分析結果を図示したグラフである(X=1.0〜1.5)。
【図4A】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4B】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4C】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4D】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図4E】本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を模式的に図示した図面である。
【図5】本発明の一具現例による有機発光素子の一部を拡大して模式的に図示した図面である。
【図6】本発明の一具現例による有機発光素子が、高電圧でも損傷なしに発光する様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0032】
本発明の一具現例による有機発光素子(OLED)は、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、前記基板及び前記有機発光部を覆う順次に積層された2層のパッシベーション膜とを含む有機発光素子であり、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、前記第1パッシベーション膜と、該第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む。
【0033】
現在、水分に敏感なさまざまな電子機器は、それらの安定した駆動と寿命の確保とのための方策として、水分を吸収するゲッタ(getter)や吸湿剤を使用したり、上下のガラスにシーラントやフリット(frit)を利用して、寿命を確保している状況である。最近では、有機素子に無機薄膜を単一膜または多層膜で積層し、パッシベーション膜として使用している。前記のような場合、多層の薄膜積層時に、ストレスが加わり、かつタクトタイム(tact time)がかかり、透過度もまた問題視されている。
【0034】
そのうちでも最も重要なのは、水分の吸湿経路である。図1は、有機発光素子(OLED)に水分が浸透する経路を模式的に示した図面である。図1から分かるように、水分浸透経路は、例えば、ガラスのような基板とパッシベーション膜との界面で、吸湿されてくる経路1、上部から入り込む経路2、及び有機発光素子のステップ・カバリッジ(step coverage )になるコーナーから入る経路3に分類され、これを完全に遮断するには、数μm厚の厚膜が必要であり、かつ多くの時間がかかるというような困難さがある状況である。特に、このような水分浸透経路のうち問題になるのは、経路1及び経路3のようなものである。
【0035】
本発明の一具現例によれば、イオン注入方法によって、基板と第1パッシベーション膜とに、イオンを適切な条件で照射することによって、基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を生成することができる。
【0036】
また、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜とにイオンを適切な条件で照射することによって、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を生成することができる。
【0037】
第1混合層及び第2混合層の生成は、第1パッシベーション膜の種類、第2パッシベーション膜の種類、イオンの種類、イオン注入電圧、イオン注入圧力、イオン注入時間、並びに第1混合層及び第2混合層が生じる深さのような多くの条件に依存する。いくつかの例について、実施例で説明する。
【0038】
このように、基板と第1パッシベーション膜との明確な界面、そして第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との明確な界面が消え、代わりに、混合層が生成されることによって、水分浸透は、効果的に抑制される。
【0039】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物からなりうる。
【0040】
本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであり、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであり、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであり、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0041】
図2Aないし図2Cは、基板とパッシベーション膜とにイオン注入法でイオンを照射して生成される混合層の生成原理を模式的に示した図面である。
【0042】
図2Aは、基板と、その上に蒸着されたパッシベーション膜との境界が明確に区分されることを示す図面である。
【0043】
図2Bでは、基板とパッシベーション膜との界面に、エネルギーを有するイオンが注入(implantation)され、境界面が活性化される状態を示している。使われるガスは、不活性気体であるHe、Ne、Ar、Xeなどであり、使われる用途によって、N2,O2ガスなども使用可能である。前記ガスがイオン化されて注入される場合、イオンは、適切な作業条件で、基板及びパッシベーション膜の明確な界面を不明確にし、このような過程を経て、図2Cのような混合層が生成される。
【0044】
図2Cの状態は、図2Aの状態とは異なり、その境界が明確ではなく、これは、あたかも図2Aの状態の基板及びパッシベーション膜が、互いに強力に接着された状態であると見ることができる。従って、水分浸透は困難になる。
【0045】
本発明の一具現例によれば、イオン注入による前記成分は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択された一つ以上でありうる。
【0046】
本発明の一具現例によれば、前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜それぞれは、透光度が90%以上100%以下でありうる。
【0047】
それぞれのパッシベーション膜の透光度が90%未満である場合、効率及び視野角に問題点が生じうる。
【0048】
本発明の一具現例によれば、前記基板は、一般的に基板として使われる材質が使われ、例えば、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0049】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層の厚みは、それぞれ0を超えて約6,000nmまででありうる。
【0050】
それぞれの混合層の厚みが、6,000nmを超える場合、薄膜のストレスによって、膜が裂けて浮き上がるような現象の問題が起こりうる。
【0051】
本発明の一具現例によれば、前記第1混合層及び第2混合層内で、前記第1パッシベーション膜の成分の濃度、または前記第2パッシベーション膜の成分の濃度が、それぞれのパッシベーション膜から基板側に、順次低下しうる。
【0052】
図3は、例えば、ガラスのような基板に、例えば、SiNxのような窒化物膜を蒸着させ、多様なガスを利用して注入(implantation)した後、二次イオン質量分析機であるSIMS(secondary ion mass spectroscopy)分析機を利用した分析結果を図示した図面である(X=1.0〜1.5)。
【0053】
図3を参照すれば、注入させた成分の原子番号が増加するほど、界面のシャープネス(sharpness)は低下する。すなわち、界面の拡張(broadening)程度は、Ar>Ne>N>Heの順序である(ただし、注入時のドース量(dose)は同一であり、Rp(projected range)は全ての試料において類似していると仮定)。
【0054】
また、図3の横軸を参照すれば、混合層の深さは、100nmないし500nmであることが分かる。混合層でパッシベーション膜の成分であるSiNの濃度が、パッシベーション膜(ここでは、SiNx)から基板(ここでは、ガラス)側に、順次低下することが分かる。
【0055】
次に、本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法について説明する。
【0056】
本発明の他の側面によって、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板を準備する段階と、前記基板及び前記有機発光部の上に、第1パッシベーション膜を蒸着させる段階と、前記第1パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階と、第2パッシベーション膜を前記第1パッシベーション膜上に蒸着させる段階と、前記第2パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階とを含む有機発光素子の製造方法が提供される。
【0057】
図4Aないし図4Eは、本発明の一具現例による有機発光素子の製造方法を、模式的に図示した図面である。
【0058】
図4Aを参照すれば、まず、第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部20が形成された基板10を準備する。ここで、前記基板は、有機発光素子の製造において、一般的に基板として使われる材質が使われ、例えば、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属でありうる。
【0059】
次に、図4Bを参照すれば、前記基板10及び前記有機発光部20の上に、第1パッシベーション膜30を蒸着させる。ここで、第1パッシベーション膜30は、有機発光素子の製造において、一般的にパッシベーション膜として使われる材質が使われ、例えば、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物でありうる。本発明の一具現例によれば、前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであり、前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであり、前記窒化物は、AlN、BN、NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであり、前記酸窒化物は、SiONまたはAlONでありうる。
【0060】
一方、第1パッシベーション膜の透光度は、90%以上100%以下でありうる。パッシベーション膜の透光度が90%未満である場合、効率及び視野角に問題点が生じうる。
【0061】
次に、図4Cを参照すれば、前記第1パッシベーション膜30上に、イオンビームを注入するが、イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上であり、前記有機発光部20を除外した第1パッシベーション膜部分30に、イオンビームを注入し、前記基板10及び第1パッシベーション膜30間に、基板10の成分、第1パッシベーション膜30成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層(図示せず)を形成する。
【0062】
イオンビーム注入で、前記有機発光部を除外する理由は、イオンビームからの有機発光部の損傷を避けるためである。
【0063】
次に、図4Dを参照すれば、第2パッシベーション膜40を、前記第1パッシベーション膜30上に蒸着させる。ここで、第2パッシベーション膜40は、有機発光素子の製造において、一般的にパッシベーション膜として使われる材質が使われ、例えば、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物でありうる。第2パッシベーション膜の透光度は、90%以上100%以下でありうる。パッシベーション膜の透光度が90%未満である場合、効率及び視野角に問題点が生じうる。
【0064】
第2パッシベーション膜40は、第1パッシベーション膜30と異なる成分でありうる。例えば、第1パッシベーション膜30が金属である場合、第2パッシベーション膜40は、酸化物または窒化物であって、第1パッシベーション膜30が酸化物である場合、第2パッシベーション膜40は、金属または窒化物であって、第1パッシベーション膜30が窒化物である場合、第2パッシベーション膜40は、金属または酸化物でありうる。
【0065】
最後に、図4Eを参照すれば、前記第2パッシベーション膜40上に、イオンビームを注入するが、イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上であり、前記第2パッシベーション膜40の全体にイオンビームを注入し、前記第1パッシベーション膜30と第2パッシベーション膜40との間に、第1パッシベーション膜30の成分、第2パッシベーション膜40成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層(図示せず)を形成する。
【0066】
図5は、本発明の一具現例による有機発光素子の一部を拡大し、模式的に図示した図面である。
【0067】
図5を参照すれば、基板10と第1パッシベーション膜30との間に、基板10の成分、第1パッシベーション膜30成分及びイオン注入による成分50からなる第1混合層が形成され、第1パッシベーション膜30と第2パッシベーション膜40との間に、第1パッシベーション膜30の成分、第2パッシベーション膜40成分及びイオン注入による成分50からなる第2混合層が形成されていることが分かる。有機発光部20の近くには、イオン注入による成分50が存在しない。
【0068】
第1混合層及び第2混合層によって、図1での水分浸透経路1ないし3がいずれも効率的に遮断される。
【0069】
本発明による有機発光素子は、従来技術で使われる10層のパッシベーション膜よりも単純なパッシベーション膜を含むことによって、タクトタイムを効果的に短縮することができ、工程性が向上するのである。
【0070】
以下、本発明で使われる一般的な有機発光素子の構造について説明する。
【0071】
本発明で使われる有機発光素子の構造は、一般的なものであって、非常に多様である。前記第1電極と第2電極との間に、有機膜として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された1層以上の層を有機膜としてさらに含むことができる。
【0072】
本発明で使われる有機発光素子は、例えば、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有する。
【0073】
以下、前述の積層構造を有する有機発光素子の製造方法について述べる。
【0074】
まず、基板上部に、大きい仕事関数を有するアノード(正極)電極用物質を蒸着法またはスパッタリングによって形成し、第1電極であるアノードとして使用する。ここで、基板としては、一般的な有機発光素子で使われる基板を使用するが、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性にすぐれる有機基板または透明プラスチック基板が望ましい。そして、アノード電極用物質としては、透明であって伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用する。
【0075】
前記アノード電極の上部に、正孔注入層物質を真空熱蒸着またはスピンコーティングさせる。前記正孔注入層物質としては、例えば、銅フタロシアニン(CuPc)などのフタロシアニン化合物;スターバースト型アミン誘導体類である(4,4−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)(TCTA)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、1,3,5−トリス[4−(3−メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m−MTDAPB);溶解性のある伝導性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
【化1】
【0077】
正孔注入層の上部に、正孔輸送層物質を真空熱蒸着またはスピンコーティングさせ、正孔輸送層を形成する。前記正孔輸送層物質は、例えば、1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4’−ビスカルバゾリル−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(NPB)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)、またはポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(PFB)などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
【化2】
【0079】
次に、正孔輸送層の上部に発光層が導入され、発光層の材料は、特別に制限されるものではなく、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、TCB、(4,4−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)(TCTA)、SDI−BH−18、SDI−BH−19、SDI−BH−22、SDI−BH−23、dmCBP、Liq、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、ビス(2−メチル−8−キノリラート)−(p−フェニルフェノラート)−アルミニウム(Balq)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)などをホストとして使用でき、ドーパントの場合、蛍光ドーパントとしては、出光社(Idemitsu Co.)から購入可能なIDE102、IDE105や、リン光ドーパントとしては周知の緑色リン光ドーパントであるIr(ppy)3、青色リン光ドーパントである(4,6−F2ppy)2Irpicなどが共に真空熱蒸着されうる。
【0080】
【化3】
【0081】
ドーピング濃度は、特別に制限されるものではないが、一般的に、0.5〜12重量%で使用する。発光層上に、電子輸送層が、真空蒸着法、またはスピンコーティング法でもって薄膜を形成できる。
【0082】
一方、発光層にリン光ドーパントを共に使用する場合、三重項励起子または正孔が、電子輸送層に拡散する現象を防止するために、さらに正孔阻止物質を真空熱蒸着し、正孔阻止層を形成できる。このときに使用できる正孔阻止層の材料は、特別に制限されるものではないが、電子輸送能を有しつつ、発光化合物より高いイオン化ポテンシャルを有さねばならず、代表的なものとしてBalq、BCPなどがある。
【0083】
正孔阻止層上に、電子輸送層が、真空蒸着法またはスピンコーティング法でもって薄膜を形成できる。
【0084】
前記電子輸送層の材料は、例えば、公知の材料であるAlq3などを利用できる。
【0085】
また、電子輸送層上に、電子注入層が積層されうる。前記電子注入層の材料は、例えば、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaOなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
そして、電子注入層の上部に、カソード形成用金属を真空熱蒸着し、カソード電極を形成する。ここで、カソード形成用金属としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などが使われうる。また、電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層またはカソード電極に、必要によってさらに、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用した透過型カソードを使用できる。本発明の有機発光素子は、アノードまたは2層の中間層をさらに形成することも可能である。
【0087】
次に、カソード電極及び基板上に、前述の方法によってパッシベーション膜を蒸着し、かつイオン注入を経ることによって、有機発光素子が完成される。
【0088】
以下、本発明による有機発光素子の実施例を具体的に例示するが、本発明が、下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0089】
〔実施例1〕
[m−MTDATA(750Å)/α−NPD(150Å)/ジスチリルアリーレン(DSA)(300Å):2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBPe)(3%)/Alq3(200Å)/LiF(80Å)/Al(3,000Å)]
アノードは、コーニング(Corning)15Ω/cm2(1,200Å)ITOガラス基板を、50mmx50mmx0.7mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水との中で、それぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間UV(ultraviolet)オゾン洗浄して使用する。前記基板上部にm−MTDATAを真空蒸着し、正孔注入層を750Å厚に形成する。次に、前記正孔注入層の上部にα−NPDを150Å厚に真空蒸着し、正孔輸送層を形成する。正孔輸送層を形成した後、この正孔輸送層の上部に、DSAをホストとし、ドーパントとしてTBPeを3%使用し、これを真空蒸着し、300Å厚に発光層を形成する。その後、前記発光層の上部にAlq3を真空蒸着し、200Å厚の電子輸送層を形成する。この電子輸送層の上部に、LiF 80Å(電子注入層)と、Al 3,000Å(カソード電極)とを順次に真空蒸着し、LiF/Al電極を形成する。
【0090】
次に、2×10−6Torrの圧力を有した熱蒸着機(thermal evaporator)で、前記基板及びLiF/Al電極上に、第1パッシベーション膜としてSiNxを5,000Å厚に蒸着する(xは、1.2〜1.4)。
【0091】
前記第1パッシベーション膜が形成された部分のうち、有機発光部が形成された部分を覆った後、40kV、1×10−6Torrで、N2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、60分間イオン注入(ion implantation)を実施し、第1パッシベーション膜と基板との間に、第1混合層を形成する。
【0092】
次に、前記第1パッシベーション膜上に、SiONを9,000Å厚に蒸着し、第2パッシベーション膜を形成する。
【0093】
次に、60kV、1×10−6Torrで、N2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、80分間イオン注入(ion implantation)を第2パッシベーション膜全体に実施し、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に第2混合層を形成し、有機発光素子を製造する。
【0094】
図6は、実施例1によってイオン注入(ion implantation)させた後の素子の発光を示している写真である。図6を参照すれば、20kVの高い電圧でも、本発明の一実施例による有機発光素子が、損傷なしに発光する様子を観察できた。
【0095】
実施例1の有機発光素子の断面をSEM(scanning electron microscope)測定し、第1混合層及び第2混合層の厚みが、それぞれ約300nmであることを確認した。
【0096】
第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜の透光度は、それぞれ約90%、約90%と測定された。
【0097】
〔実施例2〕
第1パッシベーション膜として、酸化物であるSiO2を使用し、第2パッシベーション膜として、窒化物であるSiNxを使用したことを除いては、実施例1と同一に有機発光素子を製造する。
【0098】
第1パッシベーション膜の場合、30kV、1×10−6TorrでN2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、70分間イオン注入(ion implantation)を実施し、第1パッシベーション膜と基板との間に、第1混合層を形成する。次に、60kV、1×10−6TorrでN2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、90分間イオン注入(ion implantation)を第2パッシベーション膜全体に実施し、第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に、第2混合層を形成して有機発光素子を製造する。
【0099】
〔実施例3〕
50kV、2×10−6TorrでO2(10sccm)ガスでもってイオンドース量1×1017イオン/cm2で、60分間実施したことを除いては、実施例1と同一に有機発光素子を製造する。
【0100】
〔比較例〕
第1電極、有機膜及び第2電極が順次に積層されてなされた有機電界発光部が形成された封止基板を製造する。次に、前記第2電極の上部に、平均粒径100nm以下のCa粉末を、酸素ガス雰囲気下で真空熱蒸着させることによって、水分吸収層を形成する。
【0101】
前記CaO水分吸収層の上部に、無機保護層として、シリコン窒化物を真空蒸着させ、その上に、さらに同じ方法で、CaO水分吸収層をコーティングする。有機保護層として、アクリル系樹脂を使用してスピンコーティングした後、これを100℃で熱処理し、第2電極/水分吸収層/無機保護層/水分吸収層/有機保護層が順次に積層された封止基板を製造する。
【0102】
最後に、前記の通りに製造された封止基板と基板とを合着し、有機発光素子を製造する。
【0103】
〔水分及び外気透過試験〕
前記実施例1及び比較例によって製造された有機発光素子に対して、水分及び外気に対する透過程度を調べた。
【0104】
その結果、実施例1による有機発光素子及び比較例による有機発光素子は、透湿度がそれぞれ10−5g/m2/day以上であって、ほとんど同等な水分及び外気に対する浸透抑制能があることが分かった。
【符号の説明】
【0105】
1,2,3 水分の浸透経路
10 基板
20 有機発光部
30 第1パッシベーション膜
40 第2パッシベーション膜
50 イオン注入による成分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、
前記基板及び前記有機発光部を覆う、順次に積層された2層のパッシベーション膜と、を含む有機発光素子であり、
前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、
前記第1パッシベーション膜と、前記第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む有機発光素子。
【請求項2】
イオン注入による前記成分は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記窒化物は、AlN、BN,NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記酸窒化物は、SiONまたはAlONであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜それぞれは、透光度が90%以上100%以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記第1混合層及び第2混合層の厚みは、それぞれ0を超えて約6,000nmまでであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記第1混合層及び第2混合層内で、前記第1パッシベーション膜の成分の濃度、または前記第2パッシベーション膜の成分の濃度が、それぞれのパッシベーション膜から基板側に、順次低下することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項12】
第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板を準備する段階と、
前記基板及び前記有機発光部の上に第1パッシベーション膜を蒸着させる段階と、
前記第1パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階と、
第2パッシベーション膜を前記第1パッシベーション膜上に蒸着させる段階と、
前記第2パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階と、を含む有機発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記窒化物は、AlN、BN,NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記酸窒化物は、SiONまたはAlONであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ透光度が90%以上100%以下であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項19】
前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項21】
前記第1パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階が、前記有機発光部を除外した第1パッシベーション膜の部分にイオンビームを注入し、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を形成することを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項22】
前記第2パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階が、第2パッシベーション膜全体にイオンビームを注入し、前記第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を形成することを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項1】
第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板と、
前記基板及び前記有機発光部を覆う、順次に積層された2層のパッシベーション膜と、を含む有機発光素子であり、
前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を含み、
前記第1パッシベーション膜と、前記第1パッシベーション膜を覆う第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を含む有機発光素子。
【請求項2】
イオン注入による前記成分は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記窒化物は、AlN、BN,NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記酸窒化物は、SiONまたはAlONであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜それぞれは、透光度が90%以上100%以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記第1混合層及び第2混合層の厚みは、それぞれ0を超えて約6,000nmまでであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記第1混合層及び第2混合層内で、前記第1パッシベーション膜の成分の濃度、または前記第2パッシベーション膜の成分の濃度が、それぞれのパッシベーション膜から基板側に、順次低下することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項12】
第1電極、有機膜及び第2電極を順次に含む有機発光部が形成された基板を準備する段階と、
前記基板及び前記有機発光部の上に第1パッシベーション膜を蒸着させる段階と、
前記第1パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階と、
第2パッシベーション膜を前記第1パッシベーション膜上に蒸着させる段階と、
前記第2パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階と、を含む有機発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ互いに異なる成分からなり、該成分は、金属、酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記金属は、Al、Ag、Yb、Si、Ti、W、Zn、MgまたはNiであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記酸化物は、MoOx(x=2〜4)、Al2O3、Sb2O3、BaO、CdO、CaO、Ce2O3、CoO、Cu2O、DyO、GdO、HfO2、La2O3、Li2O、MgO、NbO、NiO、Nd2O3、PdO、Sm2O3、ScO、SiO2、SrO、Ta2O3、TiO、WO3、VO2、YbO、Y2O3、ZnOまたはZrOであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記窒化物は、AlN、BN,NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbNまたはZrNであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記酸窒化物は、SiONまたはAlONであることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記第1パッシベーション膜及び第2パッシベーション膜は、それぞれ透光度が90%以上100%以下であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項19】
前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは金属であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記イオンビームは、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N2またはO2からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項21】
前記第1パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階が、前記有機発光部を除外した第1パッシベーション膜の部分にイオンビームを注入し、前記基板と第1パッシベーション膜との間に、基板の成分、第1パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第1混合層を形成することを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項22】
前記第2パッシベーション膜上にイオンビームを注入する段階が、第2パッシベーション膜全体にイオンビームを注入し、前記第1パッシベーション膜と第2パッシベーション膜との間に、第1パッシベーション膜の成分、第2パッシベーション膜の成分及びイオン注入による成分からなる第2混合層を形成することを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−113969(P2011−113969A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231477(P2010−231477)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】
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