説明

有機発光表示装置

【課題】本発明が目的とする技術的課題は、発光に寄与する励起子の比率を高めて、有機発光表示装置の内部発光効率を高めることにある。
【解決手段】本発明による有機発光表示装置は、基板上に形成されている第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、前記第1電極及び前記第2電極の間に位置して、可視光線領域の光を放出する第1発光部材、及び前記発光層と接触して、600乃至2500nmの波長領域の光を放出する第2発光部材を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、モニターまたはテレビなどの軽量化及び薄型化が要求されており、このような要求に対応して、陰極線管(cathode ray tube、CRT)に代わって液晶表示装置(liquid crystal display、LCD)が使用されている。
しかし、液晶表示装置は、受発光素子であって、別途のバックライト(backlight)が必要であるばかりか、応答速度及び視野角などに限界がある。
【0003】
そのため、最近では、このような問題を克服することができる表示装置として、有機発光表示装置(organic light emitting diode display、OLED display)が注目されている。
有機発光表示装置は、1つの電極から注入された電子(electron)及び他の電極から注入された正孔(hole)が2つの電極の間に位置する発光層で結合して励起子(exciton)を生成し、励起子がエネルギーを放出して発光する。
【0004】
励起子は、スピン状態によって、一重項励起子(singlet exciton)及び三重項励起子(triplet exciton)に分類することができ、このうち発光に主に寄与するのは一重項励起子である。
一方、発光効率は、発光材料効率、内部量子効率(internal quantum efficiency)、及び外部量子効率(external quantum efficiency)によって決定される。内部量子効率は、電極から注入された電荷の数及び発光層で生成された光子の数の比率(ratio)であり、外部量子効率は、発光層で生成された光子の数及び外部に放出される光子の数の比率である。
【0005】
このうち内部量子効率は、発光層で生成される励起子のうちの主に発光に寄与する一重項励起子の収率によって決定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一重項励起子及び三重項励起子は、量子統計的に1:3の比率で生成されるので、生成された全ての励起子のうちの発光に主に寄与する一重項励起子は、最大で25%程度である。
【0007】
本発明が目的とする技術的課題は、これを解決するためのものであって、発光に寄与する励起子の比率を高めて、有機発光表示装置の内部発光効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明1による有機発光表示装置は、基板上に形成されている第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、前記第1電極及び前記第2電極の間に位置して、可視光線領域の光を放出する第1発光部材、及び前記発光層と接触して、600乃至2500nmの波長領域の光を放出する第2発光部材を含む。
第1及び第2電極から第2発光部材に正孔及び電子が注入されると、注入された正孔及び電子は結合して励起子を生成し、エネルギーを放出して約600乃至2500nmの領域の光10bを放出する。この時、放出されるエネルギーは、第1発光部材に伝達されて一重項励起子及び/又は三重項励起子の収率を高めるのに使用される。
【0009】
つまり、第2発光部材から放出されたエネルギーは第1発光部材32に伝達され、束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))にある三重項励起子を電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)に励起させる三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)として作用する。それによって、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)にある三重項励起子が束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))に低下する比率は、三重項励起子の逆内部転換率(k3v)程度減少する。三重項励起子の逆内部転換率(k3v)程度励起された三重項励起子は、組織間交替率(kisc)によって電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に移動することができ、このように移動した励起子が束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))に遷移することによって、一重項励起子の内部転換率(k11)が増加する。
【0010】
逆に、第2発光部材から放出されたエネルギーは第1発光部材32に伝達され、束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))にある一重項励起子を電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に励起させる一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)として作用する。それによって、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)にある一重項励起子が束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))に低下する比率は、一重項励起子の逆内部転換率(k1v)程度減少する。一重項励起子の逆内部転換率(k1v)程度励起された一重項励起子は、組織間交替率(kisc)によって電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)に移動することができ、このように移動した励起子が束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))に遷移することによって、三重項励起子の内部転換率(k31)が増加する。
【0011】
このように、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)から電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に移動する励起子の比率または電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)から電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)に移動する励起子の比率である組織間交替率(kisc)を高めることによって、一重項励起子または三重項励起子の収率を高めることができる。
【0012】
発明2は、発明1において、前記第2発光部材は、前記第1電極及び前記第2電極のうちのいずれか1つと平行に形成されている。
発明3は、発明2において、前記第1発光部材は、隣接する前記第2発光部材の間に位置する。
発明4は、発明3において、前記第2発光部材は、化合物半導体を含む。
【0013】
発明5は、発明4において、前記化合物半導体は、InN、GaAs、GaInAs、InP、GaSb、(AlGa1−x0.5In0.5P、(AlGa1−xIn1−yP、AlIn1−xP、GaIn1−xPから選択される少なくとも1つを含む。
発明6は、発明5において、前記第2発光部材は、前記第1電極及び前記化合物半導体の間に位置する第1補助層、及び前記第2電極及び前記化合物半導体の間に位置する第2補助層をさらに含む。
【0014】
発明7は、発明6において、前記第1補助層は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)から選択される少なくとも1つを含み、前記第2補助層は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)から選択される少なくとも1つを含む。
発明8は、発明1において、前記第1発光部材及び前記第2発光部材は混合されている。
【0015】
発明9は、発明8において、前記第2発光部材は、発光性不純物を含む。
発明10は、発明9において、前記発光性不純物は、量子ドット(quantum dot)または発光色素を含む。
発明11は、発明10において、前記量子ドットは、CdSe、CdTe、ZnS、CdS、PdS、PbSe、及びCdHgTeから選択される少なくとも1つを含む。
【0016】
発明12は、発明10において、前記第1発光部材及び前記第2発光部材は、溶液工程(solution process)で形成される。
発明13は、発明1において、前記基板及び前記第1電極の間に、互いに交差する第1及び第2信号線、前記第1及び第2信号線と連結されている第1薄膜トランジスタ、そして前記第1薄膜トランジスタ及び前記第1電極と連結されている第2薄膜トランジスタをさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発光層にエネルギーを供給することによって、発光に寄与する励起子の比率を高めて、有機発光表示装置の内部発光効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な相異した形態で実現され、ここで説明する実施例に限定されない。
図面では、各層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体を通して類似した部分については、同一な図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする時、これは他の部分の「真上」にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も意味する。反対に、ある部分が他の部分の「真上」にあるとする時、これはその中間に他の部分がない場合を意味する。
【0019】
<第1実施例>
まず、本発明の一実施例による有機発光表示装置について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施例による受動型有機発光表示装置(passive matrix OLED display)の断面図であり、図2は図1の有機発光表示装置のA部分を拡大して示した概略図である。
【0020】
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板(図示せず)上に下部電極30が形成されている。下部電極30は、基板のいずれか一方向に沿って長くのびていて、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質からなる。
下部電極30上には、第1発光部材32及び第2発光部材31が形成されている。第1発光部材32及び第2発光部材31は、水平方向に交互に位置して、互いに接触している。
【0021】
第1発光部材32は、発光層(emitting layer)(図示せず)、及び発光層の発光効率を高めるための付帯層(auxiliary layer)(図示せず)を含む多層構造からなる。
発光層は、赤色、緑色、青色の三原色などの可視光線領域の光を放出する有機物質、または有機物質及び無機物質の混合物からなり、例えば、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(aluminium tris(8−hydroxyquinoline)、Alq3)、アントラセン(anthracene)、ディストリル(distryl)化合物、ポリフルオレン(polyfluorene)誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン((poly)paraphenylenevinylene)誘導体、ポリフェニレン(polyphenylene)誘導体、ポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)、ポリチオフェン(polythiophene)誘導体、またはこれらの高分子材料にペリレン(perylene)色素、クマリン(cumarine)色素、ロダミン色素、ルブレン(rubrene)、ペリレン(perylene)、9,10−ジフェニルアントラセン(9,10−diphenylanthracene)、テトラフェニルブタジエン(tetraphenylbutadiene)、ナイルレッド(Nile red)、キナクリドン(quinacridone)などをドーピングした化合物を含むことができる。有機発光表示装置は、発光層から放出される基本色光の空間的な合計によって所望の画像を表示する。
【0022】
付帯層としては、電子及び正孔の均衡を調整するための電子輸送層(electron transport layer)(図示せず)及び正孔輸送層(hole transport layer)(図示せず)、電子及び正孔の注入を強化するための電子注入層(electron injection layer)(図示せず)及び正孔注入層(hole injection layer)(図示せず)などがあり、付帯層は、これらから選択される1つまたは2つ以上の層からなることができる。
【0023】
第2発光部材31は、図2に示したように、下部補助層31P、活性層31A、及び上部補助層31Nを含む。下部補助層31P、活性層31A、及び上部補助層31Nは、化合物半導体接合構造からなる。
下部補助層31Pは、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)などのP型半導体物質からなることができる。
【0024】
上部補助層31Nは、例えば、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)などのN型半導体物質からなることができる。
活性層31Aは、P型(13族)元素を含む層及びN型(15族)元素を含む層が交互に積層されている超格子構造からなり、例えば、InN、GaAs、GaInAs、InP、GaSb、(AlGa1−x0.5In0.5P、(AlGa1−xIn1−yP、AlIn1−xP、GaIn1−xPなどの化合物半導体からなることができる。
【0025】
活性層31Aは、約600乃至2500nmの赤色または赤外線領域の光を放出する。超格子構造の周期、13族元素及び15族元素の混合比率、不純物の種類及び濃度によって変更される活性層31Aの格子定数を調整して、このような光の波長を形成することができる(Electronic and optoelectroic properties of semiconductor structures−J.Singh,Cambridge University Press 2003 <ISBN 0 521 8230 7>参照)。
【0026】
第2発光部材31は、真空蒸着法(vacuum evaporation)で形成することができ、第1発光部材32は、真空蒸着法や、第2発光部材31をバンク(bank)として、つまり隔壁として利用してインクジェット印刷法などの溶液工程(solution process)で形成することができる。
第1発光部材32及び第2発光部材31上には、上部電極33が形成されている。上部電極33は、電子の注入が良好で、有機物質に影響を与えない導電物質からなり、導電物質は、例えば、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、及びバリウム(Ba)などから選択されることができる。
【0027】
この時、下部電極30がアノード(anode)になって、上部電極33がカソード(cathode)になったり、反対に、下部電極30がカソードになって、上部電極33がアノードになることができる。
それでは、図3及び図4を参照して、本発明の一実施例による有機発光表示装置の発光メカニズムについて説明する。
【0028】
図3は図1及び図2に示した有機発光表示装置の発光を示した概略図であり、図4は図3の有機発光表示装置のB部分を拡大して示した概略図である。
前記のように、下部電極30及び上部電極33の間には、可視光線領域の光を放出する第1発光部材32、及び赤外線などの長波長領域の光を放出する第2発光部材31が水平方向に交互に形成されている。
【0029】
このような構造で、下部電極30及び上部電極33に各々電圧が印加される場合、下部電極30から第1発光部材32及び第2発光部材31に正孔(+)が注入され、上部電極33から第1発光部材32及び第2発光部材31に電子(−)が注入される。
第1発光部材32に注入された正孔及び電子は、結合して励起子を生成し、エネルギーを放出して可視光線領域の光10aを放出する。この時、生成された励起子は、スピン状態が0の一重項励起子(singlet exciton)及びスピン状態が1の三重項励起子(triplet exciton)に分類される。一重項励起子及び三重項励起子は、量子統計的に約1:3の比率で生成される。
【0030】
励起子がエネルギーを失って安定した状態になると、励起子は1つの分子に局所化(localiZed)され、このような励起子を束縛励起子(bound exciton)という。束縛励起子は、エネルギーを放出して光を放出して消滅する。このうち、一重項束縛励起子が光を放出して消滅する現象を蛍光(fluorescence)といい、三重項束縛励起子が光を放出して消滅する現象を燐光(phosphorescence)という。
【0031】
励起子がエネルギーの供給を受けて不安定な状態になると、励起子は周囲に存在する他の励起子と相互作用をする。このような励起子を電荷交換性励起子(charge transfer exciton)という。
一方、第2発光部材31に移動した正孔及び電子は、結合して励起子を生成し、エネルギーを放出して約600乃至2500nmの領域の光10bを放出する。この時、放出されるエネルギーは、第1発光部材32に伝達されて一重項励起子の収率を高めるのに使用される。しかし、放出されるエネルギーは、代案として、三重項励起子の収率を高めるのに使用されることもできる。
【0032】
このように、本発明の実施例では、第1発光部材32に所定のエネルギーを供給する第2発光部材31を含むことによって、一重項励起子の生成比率を人為的に高めるが、代案として、三重項励起子の生成比率を高めることもできる。
これについて、図5及び図6を図3及び図4と共に参照して説明する。
図5及び図6は第1発光部材32で生成された励起子のエネルギー準位を示したダイヤグラムである。
【0033】
図5及び図6で、自由エネルギー準位52は、下部電極30及び上部電極33から各々注入された正孔及び電子が自由に移動することができるエネルギー準位であり、基底エネルギー準位51は、励起子がエネルギーを放出して低下する安定したエネルギー準位である。
一重項励起子及び三重項励起子は、量子統計的に約1:3の比率で生成され、図面では、これを各々一重項励起子の生成率(k12)及び三重項励起子の生成率(k32)で示す。
【0034】
一重項励起子の生成率(k12)程度生成された一重項励起子は、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)から束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))に遷移し、これを一重項励起子の内部転換率(k11)で示す。この時、一重項励起子は、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)及び束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))の差程度のエネルギー(以下、一重項励起子の内部転換エネルギーという)(ΔE)を失う。
【0035】
次に、束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))にある一重項励起子は、一重項消滅率(k10)程度遷移して基底エネルギー準位51に低下して消滅して、蛍光(fluorescence)を発生させる。
一方、三重項励起子の生成率(k32)程度生成された三重項励起子は、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)から束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))に遷移し、これを三重項励起子の内部転換率(k31)で示す。この時、三重項励起子は、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)及び束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))の差程度のエネルギー(以下、三重項励起子の内部転換エネルギーという)(ΔE)を失う。
【0036】
次に、束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))にある三重項励起子は、三重項消滅率(k30)程度遷移して基底エネルギー準位51に低下して消滅して、燐光(phosphorescence)を発生させる。
この時、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)及び電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)はほぼ同一であって、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)にある一重項励起子または電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)にある三重項励起子は、組織間交替率(intersystem crossing rate、kisc)だけ電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)または電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に遷移することができる。
【0037】
本実施例では、このような組織間交替率(kisc)を高めることによって、一重項励起子または三重項励起子の収率を高めることができる。
まず、一重項励起子の収率を高める場合について説明する。
前記のように、三重項励起子は、三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)を失って、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)から束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))に低下する。これと反対に、三重項励起子が三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)程度エネルギーの供給を受ける場合、三重項励起子は、再び電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)に励起される。
【0038】
本発明の一実施例によれば、第2発光部材31は、励起子を生成して、約600乃至2500nmの領域のエネルギーを放出する。このようなエネルギーは、第1発光部材32に伝達され、束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))にある三重項励起子を電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)に励起させる三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)として作用することができる。
【0039】
図5に示したように、束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))にある三重項励起子が三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)の供給を受けて、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT)に励起される比率を三重項励起子の逆内部転換率(k3v)で示すことができる。
それによって、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)にある三重項励起子が束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))に低下する比率は、三重項励起子の逆内部転換率(k3v)程度減少する。
【0040】
一方、三重項励起子の逆内部転換率(k3v)程度励起された三重項励起子は、組織間交替率(kisc)によって電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に移動することができ、このように移動した励起子が束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))に遷移することによって、一重項励起子の内部転換率(k11)が増加する。
これと反対に、三重項励起子の収率を高める場合について説明する。
【0041】
三重項励起子と同様に、一重項励起子は、一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)を失って、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)から束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))に低下する。これと反対に、一重項励起子が一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)程度エネルギーの供給を受ける場合、一重項励起子は、再び電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に励起される。
【0042】
第2発光部材31から放出された約600乃至2500nmの領域のエネルギーは、第1発光部材32に伝達され、束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))にある一重項励起子を電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に励起させる一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)として作用することができる。
図6に示したように、束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))にある一重項励起子が一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)の供給を受けて、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に励起される比率を一重項励起子の逆内部転換率(k1v)で示すことができる。
【0043】
それによって、電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)にある一重項励起子が束縛一重項励起子のエネルギー準位(E(S))に低下する比率は、一重項励起子の逆内部転換率(k1v)程度減少する。
一方、一重項励起子の逆内部転換率(k1v)程度励起された一重項励起子は、組織間交替率(kisc)によって電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)に移動することができ、このように移動した励起子が束縛三重項励起子のエネルギー準位(E(T))に遷移することによって、三重項励起子の内部転換率(k31)が増加する。
【0044】
このように、電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)から電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)に移動する励起子の比率または電荷交換性一重項励起子のエネルギー準位(ECT1)から電荷交換性三重項励起子のエネルギー準位(ECT3)に移動する励起子の比率である組織間交替率(kisc)を高めることによって、一重項励起子または三重項励起子の収率を高めることができる。
【0045】
このように、第2発光部材31が第1発光部材32に所定のエネルギーを供給することによって、発光に寄与する一重項励起子または三重項励起子の比率を高めて、有機発光表示装置の内部発光効率を高めることができる。
<第2実施例>
図7乃至図9を参照して、本発明の第2実施例による有機発光表示装置について説明する。前記実施例と重複する内容は省略する。
【0046】
図7は本発明の第2実施例による受動型有機発光表示装置の断面図であり、図8は図7の有機発光表示装置のC部分を拡大して示した概略図であり、図9は図7及び図8の有機発光表示装置の発光を示した概略図である。
絶縁基板(図示せず)上に下部電極40が形成されており、下部電極40上には、発光部材41が形成されている。
【0047】
発光部材41は、発光層41a及び付帯層41b、41cを含む多層構造からなる。
発光層41aは、発光物質42及び発光性不純物43を含む。
発光物質42は、赤色、緑色、青色の三原色など可視光線領域の光を放出する有機物質、または有機物質及び無機物質の混合物からなり、前記実施例で例示した通りである。
発光性不純物43は、量子ドット(quantum dot)または発光色素である。
【0048】
量子ドットは、12族元素及び16族元素の化合物、13族元素及び16族元素の化合物、または14族元素及び16族元素の化合物などが数nmの直径の球形に形成されている化合物である。例えば、CdSe、CdTe、ZnS、CdS、PdS、PbSe、またはCdHgTe化合物からなるコア(core)構造であったり、CdSe化合物からなる量子ドット上をZnSなどの化合物が覆ったコア−セル(core−shell)構造である。
【0049】
量子ドットは、三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)または一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)によって約600乃至2500nmの赤色または赤外線領域の光を放出することができる。この時、三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)または一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)の大きさによって放出される光の波長が決定される。この時、光の波長は、量子ドットの直径を変化させることによって制御することができる。量子ドットの直径を変化させることによって光の波長を制御することができるのは、量子の大きさ効果(quantum size effect)に基づくものであって、一般に、量子ドットの直径が小さい場合に短波長の光を放出し、量子ドットの直径が大きい場合に長波長の光を放出する。
【0050】
例えば、約2.3乃至9.8nmの直径のPbS化合物(コア構造)は約850乃至2100nmの領域の光を放出することができ、約4.5nm乃至9nmの直径のPbSe化合物(コア構造)は約1200乃至2340nmの領域の光を放出することができる。また、約1.9乃至6.7nmの直径のCdSe/ZnS化合物(コア−セル構造)は約465乃至640nmの光を放出することができる。このような量子ドットは、quantum dot corporation及びEvident Technologiesなどの会社から商品化されている。
【0051】
一方、発光層41aに発光色素を添加する場合、色素分子の電気双極子モーメント(electric dipole moment)及び発光層41aの発光物質42の間の相互作用による溶媒色素性現象(solvatochromism)によって特定の波長の光を放出することができる。したがって、発光色素の種類及び濃度を制御して、前記三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)または一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)によって約600乃至2500nmの赤色または赤外線領域の光を放出することができる。
【0052】
発光色素は、レーザー染料(laser dye)でありうる。レーザー染料としては、例えば、Exciton社から商品化されている商品名S−14、LDS−925/S−13、LDS−867、LDS−860、IR140、IR144、IR−125、HITC、DTTC、HIDC、LDS−821、LDS−798、DOTC、LDS−765、Ox−750、LDS−759、LDS−751、LDS−750、LDS−730、LD−800、LD−700、Ox−725、LDS−722、LDS−720、Ox−720、NB−690、LD−690、LD−688、LDS−698、LDS−DODC、CV−670、DCM、SR−640、R−640、P−650、KR−620、R−610及びR−59などがある。
【0053】
量子ドットまたは発光色素などの発光性不純物43は、発光物質42に混合されており、発光層41aは、例えば、これらを溶解することができる溶媒に発光物質42及び発光性不純物43を溶解した後、スピンコーティング、スリットコーティング、及びインクジェット印刷法などの溶液工程(solution process)で形成することができる。
【0054】
下部付帯層41bは、正孔輸送層及び/または正孔注入層であり、上部付帯層41cは、電子輸送層及び/または電子注入層でありうる。
発光部材41上には、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、及びバリウム(Ba)などからなる上部電極44が形成されている。
このような構造で、下部電極40及び上部電極44に各々電圧が印加される場合、下部電極40から発光層41aに正孔(+)が注入され、上部電極44から発光層41aに電子(−)が注入される。
【0055】
発光層41aに注入された正孔及び電子は、結合して励起子を生成し、エネルギーを放出して可視光線領域の光20aを放出する。
一方、発光層41aのうちの発光性不純物43に注入された正孔及び電子は、結合して励起子を生成し、エネルギーを放出して約600乃至2500nmの領域の光20bを放出する。この時に放出されるエネルギーが発光物質42に伝達されて、一重項励起子または三重項励起子の収率を高めるのに使用される。
【0056】
本実施例で、発光性不純物43は、前記実施例の第2発光部材と同様に、約600乃至2500nmの領域の光20bを放出し、この時に放出されるエネルギーが発光物質42に伝達される。この時、発光性不純物43は、発光物質42と接触する面積が広く、エネルギーの伝達に有利である。このようなエネルギーは、前記実施例及び図5及び図6で説明した三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)または一重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)に相当し、最終的に一重項励起子または三重項励起子の収率を高めて、内部発光効率を高めることができる。
【0057】
本発明者は、前記構造の有機発光表示装置を製造して、三重項励起子の内部転換エネルギー(ΔE)程度のエネルギーを第1発光部材32や発光層41aに供給する場合の励起子の収率の変化を確認し、その結果を図10に示した。
図10は本発明の一実施例による有機発光表示装置において、電場の強さによる一重項励起子の個数及び三重項励起子の個数の比(ratio)を示したグラフである。
【0058】
ここで、N(S)は一重項励起子の個数、N(T)は三重項励起子の個数、nは単位体積当りの発光性不純物43の個数を示す。
図10に示したように、電場の強さが強くなるのに伴って、三重項励起子の個数/一重項励起子の個数の比は減少する。これは、電場の強さが強くなるのに伴って、三重項励起子の逆内部転換率(k3v)が増加して、三重項励起子の個数は減少し、一重項励起子の個数は増加することを意味する。また、一重項励起子の増加幅は、単位体積当りの発光性不純物の個数が多いほど大きくなることが分かる。
【0059】
このように、有機発光層に所定のエネルギーを供給することによって、励起子の収率が増加することを確認した。
<第3実施例>
以下、本発明の第3実施例による有機発光表示装置について、図11乃至図14を参照して説明する。本実施例では、前記実施例とは異なって、能動型有機発光表示装置(active matrix OLED display)について説明する。前記実施例と重複する内容は省略する。
【0060】
図11は本発明の第3実施例による有機発光表示装置の等価回路図である。
図11を参照すれば、本実施例による有機発光表示装置は、複数の信号線121、171、172、及びこれらに連結されていて、ほぼ行列(matrix)形態に配列されている複数の画素(pixel)を含む。
信号線は、ゲート信号(または走査信号)を伝達する複数のゲート線(gate line)121、データ信号を伝達する複数のデータ線(data line)171、及び駆動電圧を伝達する複数の駆動電圧線(driving voltage line)172を含む。ゲート線121は、ほぼ行方向にのびていて、互いにほぼ平行であり、データ線171及び駆動電圧線172は、ほぼ列方向にのびていて、互いにほぼ平行である。
【0061】
各画素(PX)は、スイッチングトランジスタ(switching transistor)(Qs)、駆動トランジスタ(driving transistor)(Qd)、ストレージキャパシタ(storage capacitor)(Cst)、及び有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)(LD)を含む。
【0062】
スイッチングトランジスタ(Qs)は、制御端子(control terminal)、入力端子(input terminal)、及び出力端子(output terminal)を有し、制御端子はゲート線121に連結されており、入力端子はデータ線171に連結されており、出力端子は駆動トランジスタ(Qd)に連結されている。スイッチングトランジスタ(Qs)は、ゲート線121に印加される走査信号に応答してデータ線171に印加されるデータ信号を駆動トランジスタ(Qd)に伝達する。
【0063】
駆動トランジスタ(Qd)も、制御端子、入力端子、及び出力端子を有し、制御端子はスイッチングトランジスタ(Qs)に連結されており、入力端子は駆動電圧線172に連結されており、出力端子は有機発光ダイオード(LD)に連結されている。駆動トランジスタ(Qd)は、制御端子及び出力端子の間にかかる電圧によってその大きさが変化する出力電流(ILD)を流す。
【0064】
ストレージキャパシタ(Cst)は、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子及び入力端子の間に連結されている。前記キャパシタ(Cst)は、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子に印加されるデータ信号を充電して、スイッチングトランジスタ(Qs)がターンオフ(turn−off)された後にもこれを維持する。
有機発光ダイオード(LD)は、駆動トランジスタ(Qd)の出力端子に連結されているアノード(anode)、及び共通電圧(Vss)に連結されているカソード(cathode)を有する。有機発光ダイオード(LD)は、駆動トランジスタ(Qd)の出力電流(ILD)によって異なる強さで発光することによって、画像を表示する。
【0065】
スイッチングトランジスタ(Qs)及び駆動トランジスタ(Qd)は、n−チャンネル電界効果トランジスタ(field effect transistor、FET)である。しかし、スイッチングトランジスタ(Qs)及び駆動トランジスタ(Qd)のうちの少なくとも1つは、p−チャンネル電界効果トランジスタであってもよい。また、トランジスタ(Qs、Qd)、キャパシタ(Cst)、及び有機発光ダイオード(LD)の連結関係は変更することができる。
【0066】
それでは、図11に示した能動型有機発光表示装置の詳細な構造について、図12乃至図14を参照して説明する。
図12は本発明の他の実施例による有機発光表示装置の配置図であり、図13は図12の有機発光表示装置のXIII−XIII線による断面図であり、図14は図13の有機発光表示装置のD部分を拡大して示した概略図である。
【0067】
絶縁基板110上に、第1制御電極(control electrode)124aを含む複数のゲート線121、及び維持電極127を含む複数の第2制御電極124bを含む複数のゲート導電体(gate conductor)が形成されている。
ゲート線121は、ゲート信号を伝達し、主に横方向にのびている。各ゲート線121は、他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広い端部129を含み、第1制御電極124aは、ゲート線121から上に突出して形成されている。ゲート信号を生成するゲート駆動回路(図示せず)が基板110上に集積されている場合、ゲート線121がのびて、ゲート駆動回路と直接連結される。
【0068】
第2制御電極124bは、ゲート線121と分離されていて、データ線方向又はゲート線方向のいずれか一方向に長くのびている維持電極127を含む。
ゲート導電体121、124bは、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などのアルミニウム系金属、銀(Ag)や銀合金などの銀系金属、銅(Cu)や銅合金などの銅系金属、モリブデン(Mo)やモリブデン合金などのモリブデン系金属、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、及びチタニウム(Ti)などからなることができる。しかし、これらは、物理的性質が異なる2つの導電膜(図示せず)を含む多重膜構造からなることもできる。
【0069】
ゲート導電体121、124bの側面は基板110の面に対して傾いていて、その傾斜角は30゜乃至約80゜程度であるのが好ましい。
ゲート導電体121、124b上には、窒化ケイ素または酸化ケイ素などからなるゲート絶縁膜(gate insulating layer)140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には、水素化非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon)(非晶質シリコンは略してa−Siとする)または多結晶シリコン(polysilicon)などからなる複数の第1半導体154a及び第2半導体154bが形成されている。第1半導体154a及び第2半導体154bは島型で、各々第1制御電極124a及び第2半導体154b上に位置する。
【0070】
第1及び第2半導体154a、154b上には、各々複数対の第1抵抗性接触部材(ohmic contact)163a、165a及び複数対の第2抵抗性接触部材163b、165bが形成されている。抵抗性接触部材163a、163b、165a、165bは島形で、リン(P)などのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどからなったり、シリサイド(silicide)からなることができる。第1抵抗性接触部材163a、165aは、対をなして第1半導体154a上に位置し、第2抵抗性接触部材163b、165bも、対をなして第2半導体154b上に位置する。
【0071】
抵抗性接触部材163a、163b、165a、165b及びゲート絶縁膜140上には、複数のデータ線171、複数の駆動電圧線172、及び複数の第1及び第2出力電極(output electrode)175a、175bを含む複数のデータ導電体(data conductor)が形成されている。
データ線171は、データ信号を伝達し、主に縦方向にのびてゲート線121と交差している。各データ線171は、第1制御電極124aに向かって突出するように形成されている複数の第1入力電極(input electrode)173a、及び他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広い端部179を含む。データ信号を生成するデータ駆動回路(図示せず)が基板110上に集積されている場合、データ線171がのびて、データ駆動回路と直接連結される。
【0072】
駆動電圧線172は、駆動電圧を伝達し、主に縦方向にのびてゲート線121と交差している。各駆動電圧線172は、第2制御電極124bに向かって突出するように形成されている複数の第2入力電極173bを含み、維持電極127と重畳する部分を含む。
第1及び第2出力電極175a、175bは、互いに分離されていて、データ線171及び駆動電圧線172とも分離されている。第1入力電極173a及び第1出力電極175aは、第1制御電極124aを中心に互いに対向し、第2入力電極173b及び第2出力電極175bは、第2制御電極124bを中心に互いに対向する。
【0073】
データ導電体171、172、175a、175bは、モリブデン、クロム、タンタル、及びチタニウムなどの耐火性金属、またはこれらの合金からなるのが好ましく、耐火性金属膜(図示せず)及び低抵抗導電膜(図示せず)を含む多重膜構造からなることができる。
ゲート導電体121、124bと同様に、データ導電体171、172、175a、175bの側面も基板110の面に対して傾いていて、その傾斜角は30゜乃至80゜程度であるのが好ましい。
【0074】
抵抗性接触部材163a、163b、165a、165bは、その下の第1及び第2半導体154a、154bとその上のデータ導電体171、172、175a、175bとの間にだけ位置して、接触抵抗を低下させる。第1及び第2半導体154a、154bには、入力電極173a、173b及び出力電極175a、175bの間をはじめとして、データ導電体171、172、175a、175bで覆われずに露出された部分がある。
【0075】
データ導電体171、172、175a、175b及び露出された部分の半導体154a、154b上には、保護膜(passivation layer)180が形成されている。保護膜180は、無機絶縁物または有機絶縁物などからなって、表面が平坦である。
保護膜180には、データ線171の端部179及び第1及び第2出力電極175a、175bを各々露出する複数の接触孔(contact hole)182、185a、185bが形成されており、保護膜180及びゲート絶縁膜140には、ゲート線121の端部129及び第2制御電極124bを各々露出する複数の接触孔181、184が形成されている。
【0076】
保護膜180上には、複数の画素電極(pixelel ectrode)191、複数の連結部材(connecting member)85、及び複数の接触補助部材(contact assistant)81、82が形成されている。これらは、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質、アルミニウム、銀、またはその合金などの反射性金属からなることができる。
【0077】
画素電極191は、接触孔185bを通じて第2出力電極175bと物理的、電気的に連結されている。
連結部材85は、接触孔184、185aを通じて第2制御電極124b及び第1出力電極175aに連結されている。
接触補助部材81、82は、各々接触孔181、182を通じてゲート線121の端部129及びデータ線171の端部179に連結されている。接触補助部材81、82は、ゲート線121及びデータ線171の端部129、179と外部装置との接続性を補完して、これらを保護する。
【0078】
保護膜180上には、隔壁(partition)361が形成されている。隔壁361は、画素電極191の周囲を囲んで開口部(opening)365を定義し、有機絶縁物または無機絶縁物からなる。隔壁361は、また、黒色顔料を含む感光材からなることもでき、この場合、隔壁361は遮光部材の役割を果たし、その形成工程が簡単である。
【0079】
隔壁361が定義する画素電極191上の開口部365には、有機発光部材370が形成されている。
有機発光部材370は、発光層372、及び発光層の発光効率を高めるための複数の付帯層371、373を含む。
付帯層371は正孔輸送層または正孔注入層であり、付帯層373は電子輸送層及び電子注入層でありうる。
【0080】
発光層372は、実施例1で説明したように、可視光線領域の光を放出する第1発光部材、及び赤外線などの長波長領域の光を放出する第2発光部材が交互に形成されたり、実施例2で説明したように、可視光線領域の光を放出する発光物質、及び長波長領域の光を放出する発光性不純物が混合されている構造からなる。この時、第1発光部材または発光物質は、第2発光部材または発光性不純物からエネルギーの伝達を受けて、内部発光効率を高めることができる。具体的な説明は、実施例1及び2と同一である。
【0081】
有機発光部材370上には、共通電極(common electrode)270が形成されている。
共通電極270上には、密封層(encapsulation layer)(図示せず)が形成される。密封層は、有機発光部材370及び共通電極270を密封(encapsulation)して、外部から水分及び/または酸素が浸透するのを防止する。
【0082】
このような有機発光表示装置で、ゲート線121に連結されている第1制御電極124a、データ線171に連結されている第1入力電極173a及び第1出力電極175aは、第1半導体154aと共にスイッチング薄膜トランジスタ(switching TFT)(Qs)を構成し、スイッチング薄膜トランジスタ(Qs)のチャンネル(channel)は、第1入力電極173a及び第1出力電極175aの間の第1半導体154aに形成される。第1出力電極175aに連結されている第2制御電極124b、駆動電圧線172に連結されている第2入力電極173b、及び画素電極191に連結されている第2出力電極175bは、第2半導体154bと共に駆動薄膜トランジスタ(drivingTFT)(Qd)を構成し、駆動薄膜トランジスタ(Qd)のチャンネルは、第2入力電極173b及び第2出力電極175bの間の第2半導体154bに形成される。駆動電流を大きくするために、駆動薄膜トランジスタ(Qd)のチャンネルの幅を大きくしたり、チャンネルの長さを短くすることができる。
【0083】
画素電極191、有機発光部材370、及び共通電極270は、有機発光ダイオード(LD)を構成し、画素電極191がアノード(anode)になって、共通電極270がカソード(cathode)になったり、反対に、画素電極191がカソードになって、共通電極270がアノードになる。また、互いに重畳する維持電極127及び駆動電圧線172は、ストレージキャパシタ(storagecapacitor)(Cst)を構成する。
【0084】
一方、半導体154a、154bが多結晶シリコンである場合には、半導体154a、154bは、制御電極124a、124bと対向する真性領域(intrinsic region)(図示せず)及びその両側に位置する不純物領域(extrinsic region)(図示せず)を含む。不純物領域は、入力電極173a、173b及び出力電極175a、175bと電気的に連結され、抵抗性接触部材163a、163b、165a、165bは省略することもできる。
【0085】
また、制御電極124a、124bを半導体154a、154b上に位置させることもでき、この時にも、ゲート絶縁膜140は、半導体154a、154b及び制御電極124a、124bの間に位置する。この時、データ導電体171、172、173b、175bは、ゲート絶縁膜140上に位置して、ゲート絶縁膜140に形成された接触孔(図示せず)を通じて半導体154a、154bと電気的に連結される。これとは異なって、データ導電体171、172、173b、175bは、半導体154a、154b下に位置して、その上の半導体154a、154bと電気的に接触することもできる。
【0086】
以上で、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施例による受動型有機発光表示装置の断面図である。
【図2】図1の有機発光表示装置のA部分を拡大して示した概略図である。
【図3】図1及び図2に示した有機発光表示装置の発光を示した概略図である。
【図4】図3の有機発光表示装置のB部分を拡大して示した概略図である。
【図5】励起子のエネルギー準位を示したダイヤグラムである。
【図6】励起子のエネルギー準位を示したダイヤグラムである。
【図7】本発明の第2実施例による受動型有機発光表示装置の断面図である。
【図8】図7の有機発光表示装置のC部分を拡大して示した概略図である。
【図9】図7及び図8の有機発光表示装置の発光を示した概略図である。
【図10】本発明の一実施例による有機発光表示装置において、電場の強さによる一重項励起子の個数及び三重項励起子の個数の比を示したグラフである。
【図11】本発明の第3実施例による能動型有機発光表示装置の等価回路図である。
【図12】図11の有機発光表示装置の配置図である。
【図13】図12の有機足光表示装置のXIII−XIII線による断面図である。
【図14】図13の有機発光表示装置のD部分を拡大して示した概略図である。
【符号の説明】
【0088】
30、40 下部電極
33、44 上部電極
31、32、41、370 発光部材
110 基板
41a、372 発光層
81、82 接触補助部材
85 連結部材
121、129 ゲート線
124a 第1制御電極
124b 第2制御電極
127 維持電極
140 ゲート絶縁膜
154a、154b 半導体
171、179 データ線
172 駆動電圧線
173a 第1入力電極
173b 第2入力電極
175a 第1出力電極
175b 第2出力電極
180 保護膜
191 画素電極
181、182、184、185a、185b 接触孔
270 共通電極
361 隔壁
371、373 付帯層
Qs スイッチングトランジスタ
Qd 駆動トランジスタ
LD 有機発光ダイオード
Vss 共通電圧
Cst ストレージキャパシタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されている第1電極、
前記第1電極と対向する第2電極、
前記第1電極及び前記第2電極の間に位置して、可視光線領域の光を放出する第1発光部材、そして
前記第1発光部材と接触して、600乃至2500nmの波長領域の光を放出する第2発光部材を含む有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第2発光部材は、前記第1電極及び前記第2電極のうちのいずれか1つと平行に形成されている請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1発光部材は、隣接する前記第2発光部材の間に位置する請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第2発光部材は、化合物半導体を含む請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記化合物半導体は、InN、GaAs、GaInAs、InP、GaSb、(AlGa1−x0.5In0.5P、(AlGa1−xIn1−yP、AlIn1−xP、GaIn1−xPから選択される少なくとも1つを含む請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第2発光部材は、
前記第1電極及び前記化合物半導体の間に位置する第1補助層、そして
前記第2電極及び前記化合物半導体の間に位置する第2補助層をさらに含む請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記第1補助層は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)から選択される少なくとも1つを含み、
前記第2補助層は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)から選択される少なくとも1つを含む請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第1発光部材及び前記第2発光部材は混合されている請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記第2発光部材は、発光性不純物を含む請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記発光性不純物は、量子ドット(quantum dot)または発光色素を含む請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記量子ドットは、CdSe、CdTe、ZnS、CdS、PdS、PbSe、及びCdHgTeから選択される少なくとも1つを含む請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記第1発光部材及び前記第2発光部材は、溶液工程(solution process)で形成される請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記基板及び前記第1電極の間に、
互いに交差する第1及び第2信号線、
前記第1及び第2信号線と連結されている第1薄膜トランジスタ、そして
前記第1薄膜トランジスタ及び前記第1電極と連結されている第2薄膜トランジスタをさらに含む請求項1に記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−53229(P2008−53229A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212092(P2007−212092)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【Fターム(参考)】