説明

有機発光表示装置

【課題】有機発光表示装置の表示品質向上を図る。
【解決手段】主面に複数の画素1がマトリクス状に配置された第1の基板10と、主面に封止樹脂層21を介して多数の微小粒子からなる光取出し層22が設けられた第2の基板20と、前記複数の画素1と前記光取出し層22との間に介在され、前記第1の基板10と前記第2の基板20とを接着する接着層30とを有し、前記複数の画素1の各々は、発光領域2と、これをを囲む非発光領域3とからなり、前記非発光領域3にバンク層17が形成され、前記発光領域2に発光材料層18と、これを挟持する下部電極15及び上部電極19が設けられ、前記上部電極19は前記バンク層17の上層に前記各画素1に及んで形成される有機発光表示装置であって、前記非発光領域3は、前記第1の基板10の主面から前記上部電極19の上面までの高さが第1の高さからなる第1の部分と、前記第1の高さよりも低い第2の部分とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関し、特に、トップエミッション型有機発光表示装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光表示装置(有機EL(Electro Luminescence)表示装置)が次世代平面型表示装置として注目されている。この有機発光表示装置は、自発光、広視野角、高速応答特性などの優れた特性を有する。
【0003】
通常、有機発光素子は、ガラス基板上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極と、正孔輸送層、発光層、電子輸送層等からなる有機EL層(発光材料層)と、低仕事関数の反射電極とが積層された構造になっており、発光光は電極を透過して、ガラス基板裏面から取出される。
【0004】
このような有機発光表示装置では、発光層で発光した光は素子外部に放出される以外、有機EL層或いはガラス基板内を伝播する。そのため、素子外部に取り出される光は内部で発光した光の凡そ20−30%程度であることが、下記の非特許文献1に開示されている。そのため、この内部を面内方向に伝播する光を外部に取り出す方法が検討され、下記の非特許文献1、特許文献1,2などに開示されている。
【0005】
一方、有機発光表示装置においては、薄膜トランジスタを駆動スイッチとして用いたアクティブ駆動の開発が盛んに行われてきている。アクティブ駆動の有機発光表示装置では、発光部を出来るだけ広く取るため、光を薄膜トランジスタの反対側に取り出す、所謂トップエミッション型が主流である。しかしながら、前記の光取出し効率向上技術をトップエミッション型有機発光表示装置に用いる際に必要な技術は開示されていない。
【0006】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては、上記の非特許文献1、特許文献1,2以外に下記の特許文献3がある。
【0007】
【非特許文献1】Jpn. J. Appl. Phys., 44(6A), 3669(2005)
【特許文献1】特開2004-296437号公報
【特許文献2】特開2005-353367号公報
【特許文献3】特開2003-229247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、光取出し層を有するトップエミッション型有機発光表示装置について検討した結果、以下の問題点を見出した。
【0009】
本発明者が検討したトップエミッション型有機発光表示装置は、主面に複数の画素がマトリクス状に配置された第1の基板と、主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板とを、前記複数の画素と前記光取出し層との間に接着層を介在させて接着した構造になっている。そして、前記複数の画素は、前記第1の基板側から下部電極、有機EL層(発光材料層)、上部電極が順次積層された構造になっており、前記下部電極は、前記有機EL層の発光層で発光した光を反射する機能を有し、前記上部電極は、前記有機EL層の発光層で発光した光を透過する機能を有する。
【0010】
このように構成されたトップエミッション型有機発光表示装置においては、第1の基板側の複数の画素と第2の基板側の光取出し層との間に接着層が介在される。有機EL層の発光層で発光した光は接着層中を伝播するが、接着層の厚さが厚いと、接着層中を横方向(平面方向)に伝播した光により、異なる色の画素間で混色が起き易くなる。この異なる色の画素間での混色は、色再現性が低下する等の表示品質が著しく低下する要因となるため、接着層の厚さを出来るだけ薄くする必要がある。そこで、本発明者は、基板の主面から画素の接着層と接する面までの高さに着目し、本発明をなした。
【0011】
また、このように構成されたトップエミッション型有機発光表示装置においては、接着層と光取出し層とを密着する際に、光取出し層の空隙が埋まってしまい、光取出し効果が低下してしまう。
【0012】
本発明の目的は、有機発光表示装置の光取出し効率向上を図るとともに表示品質向上を図ることが可能な技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
(1)主面に複数の画素が第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記非発光領域は、前記第1の基板の主面から前記上部電極の上面までの高さが第1の高さからなる第1の部分と、前記第1の高さよりも低い第2の部分とを含むことを特徴とする。
(2)主面に複数の画素がマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取り出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記第2の基板の前記封止樹脂層と前記光取出し層との間に、凹凸層が設けられ、
前記凹凸層の凹部の幅は、前記光取出し層の微小粒子の直径よりも小さいことを特徴とする。
(3)主面に複数の画素がマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取り出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記光取出し層の前記接着層側の表面は、フッ素化処理されていることを特徴とする。
(4)主面に複数の画素がマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取り出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記光取出し層は、前記複数の画素の前記発光領域に対応して選択的に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0016】
本発明によれば、有機発光表示装置の光取出し効率向上を図りつつ表示品質向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
以下の実施例では、光取出し層を有するトップエミッション型有機発光表示装置に本発明を適用した例について説明する。
【0019】
また、文字やグラフィックを表示する最小単位のものをドットと呼ぶが、この最小単位のドット(ピクセル)を以下の実施例では画素と呼ぶ。カラー表示においては、一般的に、画素を赤(R),緑(G),青(B)の3色に分割するためにRGBの3色を一まとめにして画素(ピクセル)と呼び、RGBで分割した3分の1(1/3)ドットをサブ画素(サブピクセル)と呼ぶが、以下の実施例ではRGBで分割した3分の1(1/3)ドットも画素と呼ぶ。
【0020】
[実施例1]
図1乃至図8は、本発明の実施例1である有機発光表示装置に係る図であり、
図1は、有機発光表示装置において、複数の画素の配置状態を示す平面図、
図2は、図1の1つの画素を拡大した平面図、
図3は、図2のA−A’線に沿った断面構造を示す断面図、
図4は、図1を簡略化して示す平面図、
図5は、図4の一部を拡大した平面図、
図6は、図5のB−B’線に沿った断面構造を示す断面図、
図7は、図5のC−C’線に沿った断面構造を示す断面図、
図8は、図6の有機EL層の発光層を拡大した断面図である。
【0021】
本実施例1のトップエミッション型有機発光表示装置は、図4乃至図7に示すように、主面に複数の画素1がマトリクス状に配置された第1の基板10と、主面に封止樹脂層21を介して多数の微小粒子からなる光取出し層22が設けられた第2の基板20とを、複数の画素1と光取出し層22との間に接着層30を介在させて接着した構造になっており、第2の基板20の主面とは反対側の裏面側が観察者側となっている。
【0022】
また、第1の基板10の主面には、平面的に見たとき、図1に示すように、X方向(例えば第1の方向)に延在し、X方向と直交するY方向(例えば第2の方向)に所定の間隔をおいて並設された複数の走査信号線GLと、Y方向に延在し、X方向に所定の間隔をおいて交互に並設された複数の映像信号線DL及び電源線VLとが配置されている。
【0023】
複数の画素1の各々は、図4乃至図7に示すように、発光領域2と、この発光領域2を囲む非発光領域3とで構成されている。非発光領域3には、バンク層BNKが形成され、発光領域2には、下部電極15、有機EL層(発光材料層)18、上部電極19がこの順序で積層され配置されている。発光領域2は、下部電極15と上部電極19との間に有機EL層18を挟持した有機発光素子構造(OLED(Organic Light-Emitting Diode)構造)になっており、下部電極15と上部電極19との間の有機EL層18に流れる電流の大小に応じて有機EL層18が発光するようになっている。
【0024】
なお、複数の画素1は、X方向及びY方向においてマトリスク状に配置されており、X方向に沿って1列で配置された複数の画素1で1表示ラインが構成され、この1表示ラインはY方向に複数設けられている。
【0025】
図3、図6及び図7に示すように、第1の基板10の主面側には、この第1の基板10から接着層30に向かって順に、半導体層(活性層(11a,11b)),下部容量電極11c、絶縁膜12、導電層(ゲート電極(GD1,GD2),走査信号線GL,容量上部電極108)、絶縁膜13、導電層(映像信号線DL,電源線VL,配線(SD1〜SD4))、絶縁膜14、下部電極15,バンク層BNK,有機EL層18,上部電極19等が形成されている。
【0026】
第2の基板20の主面側には、この第2の基板20から接着層30に向かって順に、封止樹脂層21、光取出し層22等が形成されている。
【0027】
複数の画素1の各々は、図2及び図3に示すように、薄膜トランジスタTFT1及びTFT2、並びに保持容量素子を有している。この薄膜トランジスタTFT1及びTFT2、並びに保持容量素子は、画素1の非発光領域3に配置されている。薄膜トランジスタTFT1及びTFT2は、主に、半導体層からなる活性層(11a,11b)、この活性層(11a,11b)に形成され、ソース領域及びドレイン領域とした機能する一対の半導体領域、この一対の半導体領域間における活性層(11a,11b)に形成されたチャネル形成領域、このチャネル形成領域上に絶縁膜12からなるゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極(GD1,GD2)等を有する構成になっている。保持容量素子は、下部容量電極11c、絶縁膜12からなる誘電体膜、導電層からなる上部容量電極108等を有する構成になっている。
【0028】
薄膜トランジスタTFT1のソース領域及びドレイン領域として機能する一対の半導体領域のうち、一方の半導体領域には配線SD1を介して映像信号線DLが接続され、他方の半導体領域には薄膜トランジスタのゲート電極GD2が接続されている。
【0029】
薄膜トランジスタTFT2のソース領域及びドレイン領域として機能する一対の半導体領域のうち、一方の半導体領域には配線SD3を介して下部電極15が接続され、他方の半導体領域には配線SD4を介して電源線VLが接続されている。また、薄膜トランジスタTFT2のゲート電極GD2は、下部容量電極11cと接続されている。
【0030】
各画素1において、有機EL層18は、図6中、下から順(第1の基板側から順)に、図8に示すように、正孔注入層18a、正孔輸送層18b、発光層18c、電子輸送層18d、電子注入層18eを備えている。
【0031】
下部電極15は、発光層18cで発光した光を上部に反射し、且つ有機EL層18に正孔を注入する機能を有する。下部電極15としては例えばAl/ITO積層構造を用いており、パターン形成はホトリソグラフィーで行うことができる。下部電極15の材料はAl/ITOに限定されない。Al、Ag、Moなどの高反射金属と、ITO、IZO、ZnOなどの透明導電性薄膜との積層構造を用いることができる。また、Cr電極単独やAl電極単独でも用いることができる。
【0032】
上部電極19は、発光層18cからの発光光を外部に取り出す透明電極であり、発光層18cで発光した光を透過する機能を有する。上部電極19には、ITOを用いた。上部電極19はITOに限られるわけではなく、IZO、ZnO、薄膜化したMg,Agなども用いることができる。
【0033】
有機EL層18において、正孔注入層18aは、正孔を下部電極15から注入する層である。正孔注入層18aには、4,4‘、4“−トリス(m−トシルフェニルアミノ)−トリフェニルアミン(m−MTDATA)を用いている。正孔注入層18aに用いられる材料は、m−MTDATAに限られるわけではなく、その他のトリフェニルアミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール系材料、トリフェニルアミン系ポリマーなどの材料を用いることができる。
【0034】
正孔輸送層18bは、正孔を輸送する層である。正孔輸送層18bには、N4,N4'−ジ−ナフタレン−1−イル−N4,N4'−ジフェニル−ビフェニル−4,4ジアミン(αNPD)を用いている。正孔輸送層18bの材料はαNPDに限定されるわけではない。これ以外のフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン系、ポリパラフェニレン系、ポリアリーレン系、ポリカルバゾール系の各種ポリマーを用いることができる。
【0035】
発光層18cは、注入された正孔、電子が再結合し、材料固有の波長で発光する層である。発光層18cは、ホスト材料と発光ドーパントを含んでいる。ここでは、ホスト材料には下記のh−1で表されるCBP(4,4,’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル)、発光ドーパントには下記のd−1で表されるIr錯体を用いた。ホスト材料と発光ドーパントとの重量比は、10:1とした。
【0036】
【化1】

それぞれの材料は、上記の材料に限定されるわけではない。例えば、ホスト材料としては、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)やN,N‘−ジカルバゾリルー3,5−ベンゼン(mCP)などのカルバゾール誘導体や、アルミニウム(III)ビス(2−メチルー8−キノリナト)4−フェニルフェノレート)(Balq)などのキノリノール錯体やイリジウム錯体も用いることができる。また、これらの材料を2種類以上混合することもできる。また、トリフェニルアミン誘導体のような正孔輸送材料やオキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体などの電子輸送性材料も混合して用いることができる。発光ドーパントとしては、上記のIr錯体だけではなく、その他のIr錯体、Pt錯体、Os錯体などの燐光発光材料を用いることができる。また、それ以外にもジスチリルアリレン誘導体やクマリン誘導体、キナクリドン誘導体などの蛍光発光材料も用いることができる。
【0037】
電子輸送層18dは、電子を輸送する層である。電子輸送層18dには、アルミニウム(III)ビス(2−メチルー8−キノリナト)4−フェニルフェノレート)(Balq)とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を積層して用いた。電子輸送層18dの材料は、上記に限られるわけではなく、例えば、その他のキノリノール誘導体やオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体などを用いることができる。また、正孔をブロックし、かつ発光層で生成された励起子が電子輸送材料に移動して発光しないようにブロッキング材と電子輸送材料を積層して用いることもできる。
【0038】
図3、図6及び図7に示すように、上部電極19は、画素1の発光領域2から非発光領域3に亘って形成され、バンク層BNKの上層に各画素1に及んで形成されている。
【0039】
第1の基板10側の複数の画素1と第2の基板20側の光取出し層22との間には、これらの複数の画素1と光取出し層22とを接着するための接着層30が介在されている。本実施例1において、上部電極19がバンク層BNKの上層に各画素1に及んで形成されおり、更に上部電極19が第1の基板10側の最上層となるため、上部電極19が接着層30と接している。
【0040】
接着層30としては、屈折率を大きくするためTiOの超微粒子を分散させたアクリル樹脂を使用した。接着層30の材料はこれらの材料に限定されない。屈折率を上げるための分散材には、TiO2以外にZrO、InO、ZnO、BaTiOなどを用いることができる。バインダ樹脂としては、アクリル樹脂以外にエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0041】
光取出し層22は発光素子から外部に取り出せない光を取り出すための層である。光取出し層22は基本的に高屈折率の微粒子からなる。高屈折率微粒子としては、BaTiOを用いた。粒子径は約100nmのものを用いた。材料はBaTiOに限定されるわけではなく、TiO、ZrO、InO、ZnOなどの微粒子を用いることができる。また、粒子径も100−800nmの材料が使用可能である。
【0042】
封止樹脂層21は第2の基板(対向基板)20と光取り出し層22の間を埋めるための層である。封止樹脂層21にはアクリル樹脂を用いた。封止樹脂層21の材料はアクリル樹脂に限定されるわけではない。各種のエポキシ樹脂などを用いることもできる。また、この封止樹脂層21は、吸湿性を有するフィラーを含んでいてもよい。
【0043】
第2の基板(対向基板)20は封止樹脂層21、光取出し層22を形成するための基板である。第2の基板20には光透過性を有する基板として例えばガラス基板を用いている。ただし、特にガラス基板に限定されるわけではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、などの各種プラスチック基板を用いることができる。また、第2の基板20は上記の基板単独ではなく、上記の基板上に水分や酸素などの活性成分の進入を除くための層を積層していてもよい。
【0044】
なお、第1の基板10としては、例えば第2の基板20と同様のガラス基板が用いられている。
【0045】
各画素1の発光色は、有機EL層18の発光層18cの材料を変えることよってR(赤)、G(緑)、B(青)の何れかの色に設定することができる。複数の画素1は、1表示ラインにおいて、第1の色(例えばR)、第2の色(例えばG)、第3の色(例えばB)の順に配置された3つの画素1を1つのグループとし、このグループを表示ラインの方向に順次繰り返し配置した画素構成になっている。
【0046】
図3乃至図7に示すように、各画素1の非発光領域3は、X方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3aと、Y方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3bと、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3cとを有する構成になっている。
【0047】
また、各画素1の非発光領域3は、第1の基板10の主面から上部電極19の上面までの高さが第1の高さh1(図6参照)からなる第1の部分と、この第1の高さh1よりも低い第2の高さh2(図7参照)からなる第2の部分とを含む構成になっている。即ち、各画素1の非発光領域3では、上部電極19に高低差を付けている。本実施例1において、第1の高さh1からなる第1の部分は、X方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3a(図5及び図6参照)と、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3c(図5、図2及び図3参照)であり、第2の高さh2からなる第2の部分は、Y方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3b(図5及び図7参照)である。
【0048】
非発光領域3における上部電極19の高低差(第1の高さh1からなる第1の部分と第2の高さh2からなる第2の部分)は、バンク層BNKの厚さを変えることによって構成されている。本実施例では、バンク層BNKは、図3、図6及び図7に示すように、主に絶縁膜16と、この絶縁膜16よりも膜厚が厚い絶縁膜17とで構成されている。X方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3aでのバンク層BNKは絶縁膜17(図6参照)からなり、Y方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3bでのバンク層BNKは絶縁膜16(図7参照)からなり、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3cでのバンク層BNKは絶縁膜16及び絶縁膜17の積層膜(図3参照)からなる。
【0049】
絶縁膜16は、X方向に沿ってストライプ状に延在し、Y方向に所定の間隔をおいて並設された状態で複数配置されており、各画素1の下部電極15のY方向において互いに離隔された各々の周縁部(下部電極15のX方向に延びる周縁部)は絶縁膜16で覆われている。絶縁膜17は、Y方向に沿ってストライプ状に延在し、X方向に所定の間隔をおいて並設された状態で複数配置されており、各画素1の下部電極15のX方向において互いに離隔された各々の周縁部(下部電極15のY方向に延びる周縁部)は絶縁膜17で覆われている。
【0050】
バンク層BNKは、隣接する画素1を分離するものである。絶縁膜17としてはアクリル系レジスト材料を、絶縁膜16としてはSiNxを用いている。パターン形成はいずれもホトリソグラフィーを用いて行った。絶縁膜17の材料としては、アクリル系材料に限られるわけではなく、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂などの各種高分子材料を用いることができる。また、絶縁膜17もSiNxに限定されない。SiOやアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。絶縁膜17の膜厚は例えば1μm、絶縁膜16の膜厚は例えば300nmである。
【0051】
各画素1の発光領域2は、第1の基板10の主面から上部電極19の上面までの高さが非発光領域3の第1の高さh1からなる第1の部分よりも低くなっており、第1の高さh1からなる第1の部分(非発光領域3の部分3a及び部分3c)を凸部とし、第2の高さh2からなる第2の部分(非発光領域3の部分3b)及び発光領域2を凹部とする溝がY方向に沿って連続的に形成されている。
【0052】
第1の基板10の主面から発光領域2における上部電極19の上面までの高さは、第1の高さh1からなる第1の部分における上部電極19の上面よりも低くなっており、本実施例1では、図6に示すように、X方向に互いに隣接する2つの画素の各々の発光領域2間の部分3aにおける上部電極19の上面よりも低くなっている。
【0053】
また、第1の基板10の主面から発光領域2における上部電極19の上面までの高さは、第2の高さh2からなる第2の部分における上部電極19の上面と同一若しくはそれも低くなっており、本実施例1では、図7に示すように、X方向に互いに隣接する2つの画素の各々の発光領域2間の部分3aにおける上部電極19の上面とほぼ同一になっている。
【0054】
ここで、本実施例1のように、主面に複数の画素1がマトリクス状に配置された第1の基板10と、主面に封止樹脂層21を介して多数の微小粒子からなる光取出し層22が設けられた第2の基板20とを、複数の画素1と光取出し層22との間に接着層30を介在させて接着するトップエミッション型有機発光表示装置においては、図6及び図7に示すように、第1の基板10側の複数の画素1と第2の基板20側の光取出し層22との間に接着層30が介在されるため、有機EL層18の発光層18cで発光した光は接着層30中を伝播する。接着層30の厚さが厚いと、接着層30中を横方向(平面方向)に伝播した光により、異なる色の画素1間で混色が起き易くなる。この異なる色の画素1間での混色は、色再現性が低下する等の表示品質が著しく低下する要因となるため、接着層の厚さを出来るだけ薄くする必要がある。
【0055】
そこで、本実施例1では、接着層30の厚さを薄くするため、各画素1の非発光領域3は、第1の基板10の主面から上部電極19の上面までの高さが第1の高さh1からなる第1の部分と、第1の高さよりも高さが低い第2の高さh2からなる第2の部分とを含む構成になっており、第1の高さh1からなる第1の部分は、X方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3aと、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3cであり、第2の高さh2からなる第2の部分は、Y方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3bである。
【0056】
ここで、図19及び図20は、比較例1として作成した有機発光表示装置に係る図であり、
図19は、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図、
図20は、図5のC−C’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0057】
本比較例1では、図19及び図20に示すように、前述の実施例1で説明した「非発光領域3における上部電極19に高低差(第1の高さh1からなる第1の部分と第2の高さh2からなる第2の部分)を付ける」とする構成を設けておらず、それ以外は本実施例1と同様の構成になっている。
【0058】
本実施例1のトップエミッション型光発光表示装置では、光取出し層なしの場合と比べて、光取出し効率が50%向上した。また、赤、緑、青の各画素1での混色が見られなかった。一方、比較例1では、光取出し効率が40%向上したものの、赤、緑、青の各画素間での混色が見られた。本実施例1では、各画素1の非発光領域3は、第1の基板10の主面から上部電極19の上面までの高さが第1の高さh1からなる第1の部分と、この第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分とを含む構成、即ち、各画素1の非発光領域3では、上部電極19に高低差を付けているため、第1の基板10側の複数の画素1と第2の基板20側の光取出し層22との間に接着層30を介在させて第1の基板10と第2の基板20とを接着する際に接着層材料の流動が生じやすく、そのため、接着層30の膜厚が十分に薄くなり、各色画素間の混色が見られなくなったものと考えられる。
【0059】
このように、実施例1では、接着層30の厚さを薄くすることができるため、接着層30中を横方向(平面方向)に伝播した光に起因して起こる、異なる色の画素1間で混色を抑制することができる。これにより、トップエミッション型有機発光表示装置の表示品質向上を図ることが可能となる。
【0060】
なお、上記の特許文献3(特開2003-229247号公報)には、本実施例1の「非発光領域3、第1の基板10の主面から上部電極19の上面までの高さが第1の高さh1からなる第1の部分と、第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分とを含む」とする構成については、記載されていない。
【0061】
図9は、本発明の実施例1の変形例である有機発光表示装置において、図2のA−A’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0062】
前述の実施例1では、非発光領域3において、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3c(図5、図2及び図3参照)を、第1の高さh1からなる第1の部分とする例で説明したが、図9に示すように、部分3cを第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分としてもよい。この場合においても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0063】
[実施例2]
図10乃至及び図12は、本発明の実施例2である有機発光表示装置に係る図であり、
図10は、図2のA−A’線に対応する位置での断面構造を示す断面図
図11は、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図、
図12は、図5のC−C’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0064】
本実施例2の有機発光表示装置は、基本的に前述の実施例1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0065】
即ち、前述の実施例1では、非発光領域3の第1の高さh1からなる第1の部分は、X方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3a(図5及び図6参照)と、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3c(図5、図2及び図3参照)であり、第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分は、Y方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3b(図5及び図7参照)である。
【0066】
これに対し、本実施例2では、非発光領域3の第1の高さh1からなる第1の部分は、Y方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3b(図5及び図12参照)と、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3c(図5、図2及び図10参照)であり、第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分は、X方向に互いに隣接する2つの画素1の各々の発光領域2の間における部分3a(図5及び図11参照)である。この場合、部分3b及び部分3cを凸部とし、部分3aを凹部とする溝がX方向に沿って連続的に形成される。
【0067】
このように構成された本実施例2においても、前述の実施例1と同様の効果が得られる。
【0068】
なお、本実施例2では、非発光領域3において、X方向及びY方向に互いに隣接する4つの画素1の各々の発光領域2で囲まれた部分3c(図5、図2及び図3参照)を、第1の高さh1からなる第1の部分とする例で説明したが、前述の実施例1の変形例のように、部分3cを第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分としてもよい。この場合においても、実施例1の変形例と同様の効果が得られる。
【0069】
[実施例3]
図13は、本発明の実施例3である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0070】
本実施例3の有機発光表示装置は、基本的に前述の実施例1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0071】
即ち、前述の実施例1では、上部電極19が第1の基板10側の最上層となり、上部電極19が接着層30と接している。
【0072】
これに対し、本実施例3では、図13に示すように、上部電極19は接着層30と接する最上層の絶縁膜31で覆われている。絶縁膜30は、下層の上部電極19の高低差(凹凸)が反映される膜厚で形成されている。
【0073】
このように構成された本実施例3においても、前述の実施例1と同様の効果が得られる。
【0074】
[実施例4]
図14は、本発明の実施例4である有機発光表示装置において、図2のA−A’線に対する位置での断面構造を示す断面図である。
【0075】
本実施例4の有機発光表示装置は、基本的に前述の実施例1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0076】
即ち、前述の実施例1では、非発光領域3の第1の高さh1からなる第1の部分と、第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分との高低差は、バンク層BNKの厚さによって構成されている。
【0077】
これに対し、本実施例4では、非発光領域3の第1の高さh1からなる第1の部分と、第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分との高低差は、第1の基板10とバンク層BNKとの間の絶縁膜のパターンによって構成されている。本実施例4では、絶縁膜12が映像信号線DLの下部でパターニングされており、そのために、各画素1の非発光領域3は、第1の基板10の主面から上部電極19の上面までの高さが第1の高さH1からなる第1の部分と、第1の高さh1よりも低い第2の高さh2からなる第2の部分とを含む構成になっている。本実施例4においては、バンク層BNKを厚さの異なる絶縁膜で形成しなくても、上部電極19に高低差を付けることができる。
【0078】
本実施例4でも、光取出し層がない場合と比較し、効率が40%向上した。また、赤、緑、青の各画素の混色が見られなかった。これは、上記のように上部電極19の高低差によって、接着層30が十分に薄くなったためと考えられる。
【0079】
[実施例5]
図15は、本発明の実施例5である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0080】
本実施例5の有機発光表示装置は、基本的に前述の実施例1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0081】
即ち、前述の実施例1では、第2の基板20側において、図6及び図7に示すように、封止樹脂層21と光取出し層22との間にカラーフィルタ層及び遮光膜(ブラックマトリクス)が存在しないが、本実施例5では、第2の基板20側において、図15に示すように、封止樹脂層21と光取出し層22との間にカラーフィルタ層CF及び遮光膜(ブラックマトリクス)BMが配置されている。
【0082】
カラーフィルタ層CFは、赤色(R)のカラーフィルタ層、緑色(G)のカラーフィルタ層、青色(B)のカラーフィルタ層からなり、各色のカラーフィルタ層CFは、複数の画素1の各々の発光領域2及び各々の発光色に対応して配置されている。遮光膜BMは、複数の画素1の各々の非発光領域3に対応して配置されている。
【0083】
本実施例5においては、光取出し層がない場合と比較して、光取出し効率が50%向上した。また、赤、緑、青の各画素での混色が見られなかった。一方、比較例2として、本実施例5のように封止樹脂層21と光取出し層22との間にカラーフィルタ層CF及び遮光膜(ブラックマトリクス)BMが配置され、それ以外は比較例1と同一の有機発光表示装置を作成し、この比較例2を評価したところ、比較例2では、効率が40%向上したものの、赤、緑、青の各画素間で混色が見られた。
【0084】
本実施例5では、赤、緑、青の各画素上にそれらの発光色の色純度を向上させる、カラーフィルタ層CFがある。この場合とは別に、白色に発光する有機EL層を全面に形成しても、同様な効果を得ることが出来る。
【0085】
[実施例6]
図16は、本発明の実施例6である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0086】
本実施例6は、基本的に前述の比較例1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0087】
即ち、本実施例6と比較例1との違いは、図16に示すように、封止樹脂層21と光取出し層22との間に、凹凸層23が存在することである。この凹凸層23の凹部の幅は光取出し層22中の高屈折率粒子の直径以下である。このような構造とすることにより、実施例1と同等に接着層30を薄くする際、光取出し層22の空隙が接着層30の材料で埋められたとしても、凹凸層23に高屈折率粒子と空隙との界面が残る。そのため、光取出し効果が消失することがない。
【0088】
このような凹凸層23はナノプリントなどの極微小なプリンティング技術を用いることにより、形成することが可能である。
【0089】
また、この凹凸層23の表面はSFなどのガス中でプラズマ処理することにより、フッ素化処理されている。このことにより、更に凹凸層23の空隙が接着層30で埋まりにくくなり、光取出し効率が消失しにくくなる。本実施例6では、光取出し層無しの場合と比べて、効率が40%向上し、赤、緑、青の混色が見られなかった。
【0090】
このように、本実施例6では、接着層30に起因する光取出し効果の消失を抑制することができるため、トップエミッション型有機発光表示装置の光取出し効率向上を図ることができる。
【0091】
[実施例7]
図17は、本発明の実施例7である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0092】
本実施例7は、基本的に前述の比較例1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0093】
即ち、本実施例7と比較例1との違いは、光取出し層22の接着層30側の表面がフッ素化されており、光取り出し層22の接着層30側の表面にフッ素原子層22aが形成されていることである。これは、SFなどのガス中でプラズマ処理することにより、フッ素化処理されている。また、フッ素化処理されることにより、光取出し層22の微小粒子表面にフッ素原子が存在する。このことにより、実施例1と同等に接着層30を薄くする際、光取出し層22の空隙が接着層30で埋まることがなく、光取出し効率向上効果がおこる。本実施例では、光取出し層無しの場合と比べて、光取出し効率が30%向上した。また、赤、緑、青の混色も見られなかった。
【0094】
このように、本実施例7においても、接着層30に起因する光取出し効果の消失を抑制することができるため、トップエミッション型有機発光表示装置の光取出し効率向上を図ることができる。
【0095】
[実施例8]
図18は、本発明の実施例8である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【0096】
本実施例8は、基本的に前述の比較例1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0097】
即ち、本実施例8と比較例1との違いは、本実施例8では、光取出し層22が発光部の上部のみに存在することである。換言すれば、本実施例8の光取出し層22は、複数の画素1の各々の発光領域2に対応して選択的に形成されていることである。このことにより、接着層30の厚みが厚くても、各画素間の混色がおこりにくくなる。
【0098】
本実施例8では、光取出し層無しの場合と比べて、光取出し効率が40%向上した。また、赤、緑、青の混色も見られなかった。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0100】
例えば、実施例1〜8の各々を組み合わせて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施例1である有機発光表示装置において、複数の画素の配置状態を示す平面図である。
【図2】図1の1つの画素を拡大した平面図である。
【図3】図2のA−A’線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図4】図1を簡略化して示す平面図である。
【図5】図4の一部を拡大した平面図である。
【図6】図5のB−B’線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図7】図5のC−C’線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図8】図6の発光層を拡大した断面図である。
【図9】本発明の実施例1の変形例である有機発光表示装置において、図2のA−A’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例2である有機発光表示装置において、図2のA−A’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図11】本発明の実施例2である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例2である有機発光表示装置において、図5のC−C’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図13】本発明の実施例3である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図14】本発明の実施例4である有機発光表示装置において、図2のA−A’線に対する位置での断面構造を示す断面図である。
【図15】本発明の実施例5である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図16】本発明の実施例6である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図17】本発明の実施例7である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図18】本発明の実施例8である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図19】本発明の比較例1である有機発光表示装置において、図5のB−B’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【図20】本発明の比較例1である有機発光表示装置において、図5のC−C’線に対応する位置での断面構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1…画素、2…発光領域、3…非発光領域、3a…部分、3b…部分、3c…部分、
10…第1の基板、11a,11b…半導体層、11c…下部容量電極、12,13,14…絶縁膜、15…下部電極、16,17…絶縁膜、18…発光材料層(有機EL層)、18a…正孔注入層、18b…正孔輸送層、18c…発光層、18d…電子輸送層、18e…電子注入層、19…上部電極、
20…第2の基板、21…封止樹脂層、22…光取出し層、22a…フッ素原子層、23…凹凸層、
30…接着層、31…絶縁膜、
BM…遮光膜(ブラックマトリクス)、BNK…バンク層、CF…カラーフィルタ層、DD1,DD2…ドレイン電極、DL…映像信号線、GL…走査信号線、GD1,GD2…ゲート電極、SD1,SD2…配線、TFT1,TFT2…薄膜トランジスタ、VL…電源線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に複数の画素が第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向にマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記非発光領域は、前記第1の基板の主面から前記上部電極の上面までの高さが第1の高さからなる第1の部分と、前記第1の高さよりも低い第2の部分とを含むことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記非発光領域の前記第1の部分は、前記第1の方向に互いに隣接する前記画素の前記発光領域間における前記非発光領域と、前記第1の方向及び前記第2の方向に互いに隣接する4つの前記画素の前記発光領域で囲まれた前記非発光領域であり、
前記非発光領域の前記第2の部分は、前記第2の方向に互いに隣接する前記画素の前記発光領域間における前記非発光領域であることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記非発光領域の前記第1の部分は、前記第1の方向に互いに隣接する前記画素の前記発光領域間における前記非発光領域であり、
前記非発光領域の前記第2の部分は、前記第2の方向に互いに隣接する前記画素の前記発光領域間における前記非発光領域と、前記第1の方向及び前記第2の方向に互いに隣接する4つの前記画素の前記発光領域で囲まれた前記非発光領域であることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記第1の基板の主面から前記発光領域における前記上部電極の上面までの高さは、前記非発光領域の前記第1の部分の前記第1の高さよりも低いことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
走査信号線と、映像信号線とを有し、
前記第1の方向は、前記走査信号線の延在方向であり、
前記第2の方向は、前記映像信号線の延在方向であることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
走査信号線と、映像信号線とを有し、
前記第1の方向は、前記映像信号線の延在方向であり、
前記第2の方向は、前記走査信号線の延在方向であることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記非発光領域の前記第1の部分と前記第2の部分との高低差は、前記バンク層の厚さによって構成されていることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記非発光領域の前記第1の部分と前記第2の部分との高低差は、前記第1の基板と前記バンク層との間の絶縁膜のパターンによって構成されていることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記下部電極は、前記発光材料層で発光した光を反射する機能を有し、
前記上部電極は、前記発光材料層で発光した光を透過する機能を有することを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記上部電極は、前記接着層と接していることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記上部電極は、前記接着層と接する絶縁膜で覆われていることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の有機発光表示装置において、
前記第2の基板の前記封止樹脂層と前記光取出し層との間に、前記複数の画素の各々の前記発光領域に対応してカラーフィルタ層、前記非発光領域に対応して遮光層が設けられていることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項13】
主面に複数の画素がマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取り出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記第2の基板の前記封止樹脂層と前記光取出し層との間に、凹凸層が設けられ、
前記凹凸層の凹部の幅は、前記光取出し層の微小粒子の直径よりも小さいことを特徴とする有機光発光表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の有機発光表示装置において、
前記凹凸層の前記光取出し層側の表面は、フッ素化処理されていることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の有機発光表示装置において、
前記下部電極は、前記発光材料層で発光した光を反射する機能を有し、
前記上部電極は、前記発光材料層で発光した光を透過する機能を有することを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項16】
主面に複数の画素がマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取り出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記光取出し層の前記接着層側の表面は、フッ素化処理されていることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項17】
請求項16に記載の有機発光表示装置において、
前記下部電極は、前記発光材料層で発光した光を反射する機能を有し、
前記上部電極は、前記発光材料層で発光した光を透過する機能を有することを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項18】
主面に複数の画素がマトリクス状に配置された第1の基板と、
主面に封止樹脂層を介して多数の微小粒子からなる光取出し層が設けられた第2の基板と、
前記第1の基板の前記複数の画素と前記第2の基板の前記光取り出し層との間に介在され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層とを有し、
前記複数の画素の各々は、発光領域と前記発光領域を囲む非発光領域とからなり、前記非発光領域にバンク層が形成され、前記発光領域に発光材料層と前記発光材料層を挟持する下部電極及び上部電極が設けられ、
前記上部電極は前記バンク層の上層に前記各画素に及んで形成される有機発光表示装置であって、
前記光取出し層は、前記複数の画素の前記発光領域に対応して選択的に形成されていることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項19】
請求項18に記載の有機発光表示装置において、
前記下部電極は、前記発光材料層で発光した光を反射する機能を有し、
前記上部電極は、前記発光材料層で発光した光を透過する機能を有することを特徴とする有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−153282(P2010−153282A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331967(P2008−331967)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】