説明

有機絶縁材料、それを用いた絶縁膜用ワニス、絶縁膜及びその製造方法並びに半導体装置

【課題】 高弾性率かつ密着性に優れる樹脂膜が得られる有機絶縁材料を提供することにあり、それを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物、又は前記化合物を重合して得られる重合体、又は前記化合物及び前記重合体の混合物を含む有機絶縁材料。


(Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。A1及びA2はアセチレン結合を含む有機基を示す。n1及びn2は1以上5以下の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機絶縁材料、それを用いた絶縁膜用ワニス、絶縁膜及びその製造方法並びに半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用の層間絶縁膜としては、現在、CVD法(化学蒸着法)等で作製した酸化膜(SiOx膜)が主に使用されている。しかし、酸化膜等の無機絶縁膜は、誘電率が高いため、半導体の高速化、高性能化に対応するのが困難である。そこで、低誘電率の層間絶縁膜として、有機材料の適用が検討されている。層間絶縁膜に用いられる有機材料としては、耐熱性、電気特性、高弾性率かつ密着性に優れていることが要求される。
【0003】
従来、有機材料としては、例えば、1,2−ジヨードベンゼンと4,4−ジエチニルジフェニルエーテルとをパラジウム触媒下で重合して得られる組成物が検討されているが(例えば、特許文献1参照。)、該組成物からなる絶縁膜の機械強度と密着性は充分なものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−322246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高弾性率かつ密着性に優れる樹脂膜が得られる有機絶縁材料を提供することにあり、それを用いた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、第(1)項から第(9)項の本発明により達成される。
(1) 下記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物及び前記重合体の混合物を含む有機絶縁材料。
【0007】
【化1】

(式(1)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(1)中、A1及びA2は、それぞれ独立して、アセチレン結合を含む有機基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【0008】
(2) 前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物である第(1)項に記載の有機絶縁材料。
【0009】
【化2】

(式(2)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(2)中、ベンゼン環上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(2)中のB1及びB2は、それぞれ独立して、水素原子又は有機基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【0010】
(3) 前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(3)で表される化合物である第(1)項又は第(2)項に記載の有機絶縁材料。
【0011】
【化3】

(式(3)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(3)中、ベンゼン環上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【0012】
(4) 前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(4)で表される化合物である第(1)項乃至第(3)項のいずれか1項に記載の有機絶縁材料。
【0013】
【化4】

(式(4)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(4)中、ベンゼン環上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【0014】
(5) 前記一般式(1)で表される化合物は、アダマンタン構造を含む基を有するものである第(1)項乃至第(4)項のいずれか1項に記載の有機絶縁材料。
(6) 第(1)項乃至第(5)項いずれか1項に記載の有機絶縁材料を含む絶縁膜用ワニス。
(7) 第(1)項乃至第(5)項のいずれか1項に記載の有機絶縁材料、又は、第(6)項に記載の絶縁膜用ワニスを、加熱又は活性放射線照射し、架橋反応及び縮合反応させて得られる絶縁膜。
(8) 第(6)項記載の絶縁膜用ワニスを基材に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を加熱又は活性放射線照射する工程を有する絶縁膜の製造方法。
(9) 第(7)項に記載の絶縁膜、又は第(8)項に記載の絶縁膜の製造方法により得られる絶縁膜を有する半導体装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高弾性率かつ密着性に優れる絶縁膜が得られる有機絶縁材料を提供することができ、それを用いた半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の有機絶縁材料は、前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物及び前記重合体の混合物を含むものであり、本発明の絶縁膜用ワニスは、前記有機絶縁材料を含むものである。
また、本発明の絶縁膜は、前記有機絶縁材料を用いて得られるものであり、前記有機絶縁材料における前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物及び前記重合体の混合物を脱水閉環反応して得られるものであり、これにより高弾性率かつ密着性に優れる絶縁膜が得られるものである。
また、本発明の半導体装置は、上記絶縁膜を有するものである。
【0017】
まず、本発明の有機絶縁材料について説明する。
本発明の有機絶縁材料における前記一般式(1)で表される化合物は、その構造中に含まれるアセチレン結合同士の一部又は全部を反応させて、重合体が得られる。
本発明において、前記式(1)で表される化合物の重合体は、オリゴマーであってもポリマーであっても良いが、その分子量としては、1000以上300000以下が好ましく、塗布膜作製時に必要な溶解性を保つためには、1000以上100000以下がより好ましい。
【0018】
本発明の有機絶縁材料において、前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(2)で表される構造を有するものであることが好ましく、前記一般式(3)又は一般式(4)で表される構造を有することがより好ましい。前記一般式(2)表される化合物は、オキサゾール前駆体基に隣接するフェニル基にアセチレン結合からなる基を有することから、有機絶縁膜とした場合に耐熱性に優れるものとなる。また、前記一般式(3)及び一般式(4)で表される化合物は、有機絶縁膜とした場合に耐熱性に優れ、さらに、アセチレン結合が架橋反応することにより、その構造が剛直なものとなることから機械特性にも優れるものとなる。
【0019】
前記一般式(1)から一般式(4)における芳香族基Xとしては、芳香環を有する有機基であれば良いが、例えば、以下のような構造が挙げられるがこれに限られるものではない。
【0020】
【化5】

これらの構造のうち、芳香族基上の水素原子は、アダマンタン構造を含む基で置換されていても良く、前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。
【0021】
前記構造中Yとして、例えば、以下のような構造が挙げられるがこれに限られるものではない。
【0022】
【化6】

これらの構造のうち、芳香族基上の水素原子は、アダマンタン構造を含む基で置換されていても良く、前記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良い。
【0023】
また、前記一般式(1)から一般式(4)におけるアダマンタン構造を含む基としては、アダマンタン構造を最小単位とする構造を有するものであり、例えば、アダマンチル基、ジアダマンチル基、トリアダマンチル基、テトラアダマンチル基、ペンタアダマンチル基、ヘキサアダマンチル基、ヘプタアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基及びウンデカアダマンチル基など(脂肪族)多環式骨格構造を有する基が挙げられ、更には、前記多環式骨格構造を有する基を複数個有する基などが挙げられる。前記多環式骨格構造を有する基を複数個有する基としては、オリゴ構造やポリ構造を有する基などが挙げられるが、前記多環式骨格構造を有する基としてアダマンチル基の場合、例えば、ジ(1,3−アダマンタン)基及びジ(2,2−アダマンタン)基などのビアダマンチル基、トリ(1,3−アダマンタン)基及びトリ(2,2-アダマンタン)基などのトリアダマンチル基、テトラ(1,3−アダマンタン)基及びテトラ(2,2−アダマンタン)基などのテトラアダマンチル基、ペンタ(1,3-アダマンタン)基及びペンタ(2,2−アダマンタン)基などのペンタアダマンチル基、ヘプタ(1,3-アダマンタン)基及びヘプタ(2,2−アダマンタン)基などのヘプタアダマンチル基、ヘキサアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基、ウンデカアダマンチル基などのオリゴアダマンタン構造を有する基や、更にアダマンチル基の個数の多いポリアダマンタン構造を有する基などが挙げられ、また、前記多環式骨格構造を有する基としてアダマンチル基以外の基の場合、前記オリゴアダマンタン構造を有する基やポリアダマンタン構造を有する基において該アダマンチル基を置換した基が挙げられ、例えば、ジ−(ジアダマンタン)基、トリ−(ジアダマンタン)基、テトラ−(ジアダマンタン)基、ペンタ−(ジアダマンタン)基、ヘキサ−(ジアダマンタン)基、ヘプタ−(ジアダマンタン)基、オクタ−(ジアダマンタン)基、ノナ−(ジアダマンタン)基、デカ−(ジアダマンタン)基及びウンデカ−(ジアダマンタン)基、などのジアダマンタン基を複数個有する基、ジ−(トリアダマンタン)基、トリ−(トリアダマンタン)基、テトラ−(トリアダマンタン)基、ペンタ−(トリアダマンタン)基、ヘキサ−(トリアダマンタン)基、ヘプタ−(トリアダマンタン)基、オクタ−(トリアダマンタン)基、ノナ−(トリアダマンタン)基、デカ−(トリアダマンタン)基及びウンデカ−(トリアダマンタン)基、などのトリアダマンタン基を複数個有する基、ジ−(テトラアダマンタン)基、トリ−(テトラアダマンタン)基、テトラ−(テトラアダマンタン)基、ペンタ−(テトラアダマンタン)基、ヘキサ−(テトラアダマンタン)基、ヘプタ−(テトラアダマンタン)基、オクタ−(テトラアダマンタン)基、ノナ−(テトラアダマンタン)基、デカ−(テトラアダマンタン)基及びウンデカ−(テトラアダマンタン)基、などのテトラアダマンタン基を複数個有する基、などが挙げられる。これらの中でも、アダマンチル基、ジアダマンチル基、ジ(1,3−アダマンタン)基、ジ(2,2−アダマンタン)が好ましく、アダマンチル基、ジアダマンチル基、がより好ましい。アダマンタン構造を含む基を導入することにより、耐熱性、溶媒への溶解性を低下させることなく、低誘電率化、耐湿性を向上することができる。上記アダマンタン構造を含む基は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していてもよく、そのようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、この中でもメチル基、エチル基がより好ましい。アダマンタン構造にアルキル基を導入することで、溶媒への溶解性及び耐熱性が向上させることができる。
【0024】
また、一般式(1)で表される化合物におけるアセチレン結合を含む有機基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、フェニルエチニル基、フェノキシフェニルエチニル基、ナフチルエチニル基及びフルオレニルエチニル基、アダマンチルエチニル基などが挙げられ、この中でもエチニル基、フェニルエチニル基、アダマンチルエチニル基がより好ましい。
【0025】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、例えば、以下のルートによって合成することができる。
【0026】
【化7】

(式中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式中、A、A1及びA2、はアセチレン結合を含む有機基を示す。式中、n、n1及びn2は1以上5以下の整数を示す。)
式中nは、1以上5以下の整数であるが、重合時にゲル化せず、樹脂膜としたときに高弾性率を示すために、2〜3が好ましい。
【0027】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、特願2003−199837号を参考にして、製造することができる。さらに具体的には、まず、一般式(5)で表される化合物を、適当な溶媒に溶解するか、懸濁させ、一般式(6)で表される化合物を添加し、混合して反応させることにより、製造することができる。このとき、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物の仕込みは、同時に一括で行っても良い。また、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物は、固体のまま添加しても、予め適当な溶媒に溶解させて添加してもよい。
【0028】
前記溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジクロロメタン、クロロホルム及びジメチルスルホキシドなどが挙げられる。このとき、一般式(6)で表される化合物が、水分により分解するために、使用する溶媒は、無水の極性溶媒を用いることが好ましい。あるいは、予め、含まれる水分量を把握して、原料の使用量を調整して、理論的な当量より多く仕込んでおくことが望ましい。
また、反応を促進するために、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド及びピリジンなどの塩基を添加しても良い。
【0029】
反応に使用される原料のモル比は、一般式(5)で表される化合物に対して、一般式(6)で表される化合物が、2当量倍以上、4当量倍以下であることが望ましく、好ましくは、2当量倍以上、2.5当量倍以下である。
【0030】
反応時は、一般式(6)で表される化合物と、一般式(5)で表される化合物の水酸基とが反応することを防ぐために、低温で行う。反応温度としては、−80℃以上、50℃以下が望ましく、好ましくは、前記溶媒の凝固点以上、30℃以下である。
【0031】
反応時間としては、それぞれの化合物が有する反応の活性度や反応温度により、適宜決定すればよいが、5分間以上、7日間以下が望ましく、好ましくは、10分以上、12時間以下である。
【0032】
上記の条件で反応させて得られる生成物は、水やヘキサンなどのような、生成物が溶解しない溶媒に、反応液を敵下又は注入して、析出物を析出させ、これを濾過や遠心分離法などにより、溶液から分離して得ることができる。また、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物とを過不足なく反応させる場合、生成物が溶解する適当な溶媒中で反応を行い、反応終了後に、生成した塩などの不溶物が存在する場合には、それを除去し、目的物のみが溶解している状態の反応液をそのまま目的の用途に用いても構わない。
【0033】
前記一般式(5)で表される化合物としては、例えば、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、9,9−ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、9,9−ビス((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、9,9−ビス(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)−3−フェニル−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェノキシ)−3−フェニル−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−フェニル)−フェニル)−フルオレン及び9,9−ビス((2−ヒドロキシ−3−アミノ−4−フェニル)−フェニル)−フルオレン、2−メチル−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジメチル−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジメチル−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ジメチル−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラメチル−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(2−ブテニル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(2−ブチニル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(1−ヘキシル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−ヘキシル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラ(1−ヘキシル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び2−シクロヘキシル−7−メチル−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられ、アダマンタン構造を含む基を有するものとしては、例えば、2−(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び2,4,5,7−テトラキス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
前記一般式(6)で表される化合物としては、4−エチニル安息香酸塩化物、2−エチニル安息香酸塩化物、3−エチニル安息香酸塩化物、2,3−ジエチニル安息香酸化合物、2,4−ジエチニル安息香酸化合物、2,5−ジエチニル安息香酸化合物、3,4−ジエチニル安息香酸化合物、3,5−ジエチニル安息香酸化合物、2,4,5−トリエチニル安息香酸化合物、2,3,4−トリエチニル安息香酸化合物、3,4,5−トリエチニル安息香酸化合物、4−(1−プロピニル)安息香酸塩化物、2−(1−プロピニル)プロピニル安息香酸塩化物、3−(1−プロピニル)プロピニル安息香酸塩化物、2−フェニルエチニル安息香酸塩化物、3−フェニルエチニル安息香酸塩化物、4−フェニルエチニル安息香酸塩化物、5−フェニルエチニル安息香酸塩化物、3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物、2,3−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物、2,4−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物、2,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物、2,6−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物、3,4−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物、2−ナフチルエチニル安息香酸塩化物、3−ナフチルエチニル安息香酸塩化物、4−ナフチルエチニル安息香酸塩化物及び5−ナフチルエチニル安息香酸塩化物などが挙げられ、特にアダマンタン構造を含む基を有するものとしては、3−アダマンチル−4−エチニル安息香酸塩化物、4−アダマンチル−3,5−ジエチニル安息香酸化合物、3−アダマンチル−4−フェニルエチニル安息香酸塩化物、4−アダマンチル−3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
上記で得られる本発明に用いる一般式(1)で表される化合物の具体例としては、左右それぞれ2つのエチニル基がベンゼン環上の第3位及び5位に配位した場合、例えば、ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、9,9−ビス(4−(4−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−((4−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−((3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、9,9−ビス((3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、3,3’−ビス(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’ −ビス(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、2,2−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2−(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び2,4,5,7−テトラキス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられ、左右それぞれ3つのエチニル基がベンゼン環上の第3位、4位及び5位に配位した場合、例えば、ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、9,9−ビス(4−(4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−((4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−((3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、9,9−ビス((3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、3,3’−ビス(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’ −ビス(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、2,2−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2−(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び2,4,5,7−テトラキス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられ、左右それぞれ2つのフェニルエチニル基がベンゼン環上の第3位及び5位に配位した場合、例えば、ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、9,9−ビス(4−(4−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−((4−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−((3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、9,9−ビス((3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、3,3’−ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’ −ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、2,2−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2−(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,
9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラ(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、2,7−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ビス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び2,4,5,7−テトラキス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられ、左右異なるエチニル基を有する場合の例として、一方に2つのエチニル基がベンゼン環上の第3位及び5位に配位しており、さらに他方に3つのエチニル基がベンゼン環上の第3位、4位及び5位に配位した場合、例えば、(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、9−(4−(4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−9−(4−(4−(3,5−ビス(フェニルエチニル)))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9−(4−((4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)−9−(4−((4−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−3’−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4’−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、2−(1−アダマンチル)−9−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジ(1−アダマンチル)−9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラ(1−アダマンチル)−9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,4,5,7−テトラキス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−9−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−((3−(1,1’−ビアダマンチル))))−9−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2−(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び2,7−ビス(((3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))))))−9−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0036】
本発明に用いる一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体において、一般式(1)で表される化合物を重合する方法としては、公知の重合方法を適用することが可能であり、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシド及びアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いたラジカル重合による方法、光照射等を用いた光ラジカル重合による方法、熱重合による方法、などを挙げることができる。これらの重合は、通常、一般式(1)で表される化合物が有するアセチレン結合同士が反応することにより進行する。重合により、一般式(1)で表される化合物がとり得る構造は、例えば以下のようなものが挙げられるが、重合により得られた重合溶液には、未反応の一般式(1)で表される化合物を含んでいても良い。
【0037】
【化8】

【0038】
ここでは、上記化学構造式における左右のベンゼン環上に、2つのエチニル基が配位した例を示したが、他のアセチニル基が配位していてもよく、その数は左右それぞれ1〜5個の整数のいずれでもよく、さらに左右ベンゼン環上において、非対称に配位していてもよい。
【0039】
前記重合反応に反応溶媒として有機溶媒を用いることができるが、そのような有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1―ブタノール及び2―ブタノール等のアルコール系溶剤;アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン及び2−ヘプタノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル及びアニソールなどのエーテル系溶剤;メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系用材などが工業的に入手可能であり、安全であるため溶剤とし好適であり、これらは単独でも2種以上を混合して用いても良い。
【0040】
本発明の有機絶縁材料は、一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物及び前記重合体の混合物を混合して得られるが、これを用いて、均一な絶縁膜を得るためには、前記重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記重合体の混合物からなることが好ましい。前記一般式(1)で表される化合物と前記重合体の混合物の場合、前記一般式(1)で表される化合物の、前記一般式(1)で表される化合物と前記重合体の合計重量に対する割合は、1重量%から60重量%が好ましく、さらには、1重量%から30重量%がより好ましい。また、本発明の有機絶縁材料には、これらの成分のほかに、後述する絶縁膜用ワニスにおいて、任意に用いることができる添加剤を混合しても良い。
【0041】
本発明の絶縁膜用ワニスは、前記有機絶縁材料を適当な有機溶媒に溶解させることによって得ることができる。前記有機絶縁材料は、乾燥させて固形としたものを有機溶剤に溶解させて絶縁膜用ワニスとしてもよいし、前記有機絶縁材料の製造により得られた反応溶液を直接ワニスとして用いてもよい。絶縁膜用ワニスに用いる有機溶媒としては、前記有機絶縁材料を溶解又は分散させることができるものであれば、特に限定されないが、上記重合反応に用いる有機溶媒と同様のものを挙げることができる。絶縁膜用ワニスの濃度としては、有機絶縁材料の構造や分子量により適宜決めればよいが、絶縁膜用ワニス中に前記有機絶縁材料が、0.1重量%から50重量%が好ましく、さらには0.5重量%から15重量%がより好ましい。
【0042】
また、前記絶縁膜用ワニスには、必要に応じて、界面活性剤、シランカップリング剤に代表されるカップリング剤、加熱により酸素ラジカルやイオウラジカルを発生するラジカル開始剤、ジスルフィド類等の触媒等の各種添加剤を添加して、樹脂組成物として用いることができる。
また、前記絶縁膜用ワニスに感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物等を添加することにより、感光性を有する表面保護膜として用いることもできる。
また、前記絶縁膜用ワニスに、ナノサイズの微細孔を形成する発泡剤(ポロゲン、ポア・ジェネレーター)を添加しても良い。
前記発泡剤としては、例えば、中空構造を有するカーボンナノチューブやフラーレン、かご型シルセスキオキサン、シクロデキストリン、融点の高い有機化合物、界面活性剤、アゾビス化合物、有機化酸化物、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー等が挙げられる。これらの中でも、界面活性剤又はハイパーブランチポリマーが好ましい。これにより、発泡剤を、有機絶縁材料中に、均一に分散することが可能となる。発泡剤を均一に分散できると、更に加熱、抽出処理により、微細孔を有する絶縁膜を得ることができる。
【0043】
次に、絶縁膜ついて説明する。
本発明の絶縁膜は、例えば、上記で得られた絶縁膜用ワニスを、基板などの支持体に塗布し、これを、加熱などの処理をすることで製造できる。また、上記で得られた重合溶液をそのまま、又は有機絶縁材料を加熱して溶解して、支持体に塗布して製造しても良い。前記加熱など処理を行うことにより、前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物及び前記重合体の混合物の構造中に含まれるベンゾオキサゾール前駆体基が閉環し、ベンゾオキサゾール基を形成されることから、基板などに対して強い密着力を発現するものである。
【0044】
また、前記一般式(1)で表される化合物におけるアセチレン結合や、その重合体を得る時に反応せず残存したアセチレン結合が、加熱などの処理において、同時に架橋反応することにより、弾性率に優れる熱硬化性樹脂を提供することができる。さらに、特に、前記一般式(1)で表される化合物が、アダマンタン構造を含む基を有する場合、低誘電率の絶縁膜を得ることができる。
【0045】
本発明の絶縁膜の製造方法について、前記絶縁膜用ワニスを用いる場合の具体例を説明すると、まず、前記絶縁膜用ワニスを、適当な支持体、例えば、シリコンウエハやセラミック基板等の基材に、塗布して塗膜を形成する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等の方法が挙げられる。その後、塗膜を乾燥し、加熱等の処理をして、溶媒除去に続いて、加熱による方法や活性放射線を照射する方法などにより、縮合反応及び架橋反応させ、ベンゾオキサゾール基を有する樹脂として、それを含む樹脂で構成される絶縁膜とすることができる。前記加熱による方法においては、例えば、150〜425℃×5分〜24時間で加熱して行うことができる。前記活性放射線としては、マイクロ波、可視光、UV光及びX線などの活性エネルギー光線ならびに電子線などが挙げられる。また、前記有機絶縁材料をそのまま支持体に直接塗布して塗膜を形成し、上記同様にして絶縁膜を形成することができる。
【0046】
前記絶縁膜の用途としては、例えば、半導体用の層間絶縁膜や表面保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜、エッチング保護膜(エッチングストッパー)、接着剤等が挙げられる。これらの中でも、半導体用の層間絶縁膜及び表面保護膜、エッチング保護膜として好適に用いられる。
【0047】
前記絶縁膜の厚さは、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜などにおいては、0.01〜20μmが好ましく、特に0.05〜10μmが好ましく、最も0.1〜0.7μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、半導体の製造プロセス適合性に優れる。
【0048】
ここで用いる有機絶縁材料のガラス転移温度は、特に限定されないが、400℃以上が好ましく、特に420℃以上が好ましく、最も450〜500℃が好ましい。ガラス転移温度が前記範囲内であると、前記絶縁膜の線膨張係数を低下することができる。
【0049】
また、絶縁膜が前記半導体用の保護膜の場合も、前記層間絶縁膜同様に、前記絶縁膜用ワニスを適当な支持体、例えば、シリコンウエハやセラミック基板等に塗布する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等の方法が挙げられる。その後、乾燥し、加熱処理をして、溶媒除去に続いて、縮合反応及び架橋反応させ、ベンゾオキサゾール基を含む樹脂とし、それを含む樹脂組成物で構成される保護膜とすることができる。
【0050】
前記半導体用保護膜の厚さは、特に限定されないが、0.05〜70μmが好ましく、特に0.1〜50μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に半導体素子の保護特性及び加工性の両方に優れる。
【0051】
次に、半導体装置について好適な実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
半導体装置100は、素子が形成された半導体基板1と、半導体基板1の上側(図1上側)に設けられた窒化珪素膜2と、窒化珪素膜2の上に設けられた層間絶縁膜3及びバリア層6で覆われた銅配線層7を有している。
層間絶縁膜3には、配線すべきパターンに対応した凹部が形成されており、その凹部内には銅配線層7が設けられている。
層間絶縁膜3と、銅配線層7との間には、改質処理層5が設けられている。
また、層間絶縁膜3の上側(窒化珪素膜2と反対側面)には、ハードマスク層4が形成されている。
【0052】
本実施の形態では、層間絶縁膜3を用いた半導体装置100について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0053】
本発明の半導体装置は、上述したような層間絶縁膜を用いているので寸法精度に優れ、絶縁性を十分に発揮できるので、それにより接続信頼性が優れている。
また、上述したような層間絶縁膜は、配線層との密着性に優れるので、半導体装置の接続信頼性をさらに向上できる。
また、上述したような層間絶縁膜は、弾性率に優れているので、半導体装置の配線を形成するプロセスに適合することができる。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、配線遅延を低下することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)
(1)ベンゾオキサゾール前駆体基を含む化合物の製造
9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン3.81g(10mmol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン16mLに溶解し、この溶液に、3,5−ジエチニル安息香酸塩化物4.14g(22mmol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間撹拌した。攪拌後、10℃でトリエチルアミン2.53g(25mmol)を添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間攪拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水1Lとイソプロパノール0.5Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン5.6gを得た。
【0056】
(2)ベンゾオキサゾール前駆体基を含む化合物の重合と絶縁膜用ワニスの製造
実施例1(1)で得られた化合物3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、乾燥窒素下160℃で10時間反応させた。得られた反応液を、絶縁膜用ワニスとした。
また、反応液の一部を10倍の体積のメタノールに滴下して沈殿物を集めて乾燥し、得られた重合体の分子量を、東ソー株式会社製ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)を用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量53,700であった。
【0057】
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
上記で得た絶縁膜用ワニスを、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、コーティング用のワニスをとした。
半導体基板の上に窒化珪素層を形成し、該窒化珪素層上に上記コーティング用ワニスを塗布して、400℃で1時間加熱処理して、厚さ0.1μmの層間絶縁膜を形成した。
次に、前記層間絶縁膜に、所定のパターンを形成するように、金属配線を形成して、半導体装置を得た。
【0058】
(実施例2)
実施例1(1)において、3,5−ジエチニル安息香酸塩化物4.14g(22mmol)を、3,4,5−トリエチニル安息香酸塩化物4.66g(22mmol)とする以外は全て同様に行うことにより、9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン6.2gを得た。さらに、得られた化合物を、実施例1(2)(3)と同様に行うことにより、半導体装置を得た。
【0059】
(実施例3)
実施例1(1)において、3,5−ジエチニル安息香酸塩化物4.14g(22mmol)を、3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物7.50g(22mmol)とし、重合時間を30時間とする以外は全て同様に行うことにより、9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン8.0gを得た。さらに、得られた化合物を、実施例1(2)(3)と同様に行うことにより、半導体装置を得た。
【0060】
(実施例4)
実施例1(1)において、3,5−ジエチニル安息香酸塩化物4.14g(22mmol)を、3,4,5−トリエチニル安息香酸塩化物2.33g(11mmol)と3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸塩化物3.75g(11mmol)とする以外は全て同様に行うことにより、9−(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)−9−(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(3,4,5−トリエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−(3,5−ビス(フェニルエチニル))ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの混合物7.1gを得た。さらに、得られた化合物を、実施例1(2)(3)と同様に行うことにより、半導体装置を得た。
【0061】
(実施例5)
実施例1(1)において、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン3.81g(10mmol)を2−(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン7.01g(10mmol)とする以外は全て同様に行うことにより、2−(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン6.5gを得た。さらに、得られた化合物を、実施例1(2)(3)と同様に行うことにより、半導体装置を得た。
【0062】
(実施例6)
実施例1(2)で得られた反応液10gに、実施例5(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−9,9−ビス(3−(3,5−ジエチニル)ベンゾイルアミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン0.2gを添加したものを、絶縁膜ワニスとし、実施例1(3)と同様に行うことにより、半導体装置を得た。
【0063】
(比較例1)
テトラヒドロフラン60ml、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.73g、ヨウ化銅0.72g、ビペリジン10ml、1,2,4−トリヨードベンゼン54.7g(120mmol)を加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル32.74g(150mmol)を加え25℃で20時間反応させた。この反応液を酢酸1Lに滴下し、沈殿物集めて乾燥した。得られた重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量102,900であった。得られた重合体3gをアニソール27gに溶解させて絶縁膜用ワニスとした。この絶縁膜用ワニスについて、実施例1(3)と同様の処理を行った。
【0064】
実施例1〜6及び比較例1で得られた層間絶縁膜及び半導体装置について、以下の評価を行った。評価項目を方法と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1. 弾性率
エリオニクス社製の超微小硬度計ENT−1100を用い、最大荷重10mg、負荷速度1mg/secで測定を行った。
【0065】
2. 比誘電率
JIS−K6911に準拠し、周波数100kHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて、半導体用接着フィルムの容量測定を行い、下記計算式により比誘電率を算出した。
比誘電率=(容量測定値×フィルムの厚み)/(真空の誘電率×測定面積)
【0066】
3. 耐熱性
耐熱性は、ガラス転移温度及び熱分解温度で評価した。ガラス転移温度は、得られた樹脂膜を、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製DMS6100)で、窒素ガス300mL/min.フロー下、昇温速度3℃/min.、周波数1Hzの条件により測定し、tanδのピークトップ温度をガラス転移温度とした。
また、熱分解温度は、得られた絶縁膜をTG/DTA測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製TG/DTA220)を用いて、窒素ガス200mL/min.フロー下、昇温速度10℃/min.の条件により測定し、重量の減少が5%に到達した温度を、熱分解温度とした。
【0067】
4. 密着性
密着性はテープテストで評価した。カッターナイフで1mm角の正方形の升目を100個作り、その上にセロテープ(登録商標)を張った。1分後、基盤を抑えてセロテープ(登録商標)を剥がし、基盤から樹脂膜がいくつ剥がれるかを数えた。
【0068】
【表1】

【0069】
表1より、実施例1〜6は、比較例に対して密着性に優れていることが示された。また、実施例1〜6は弾性率が高く、機械特性にも優れていた。また、実施例1〜6は、比較例に対して比誘電率が低く、誘電特性に優れていることが示された。さらに、実施例1〜6は熱分解温度高く、耐熱性に優れていることが示された。
【0070】
次に、得られた半導体装置について、配線遅延速度を評価した。
実施例1〜6の層間絶縁膜を用いて得られた半導体装置と、この半導体装置と同様な構成でSiO2絶縁膜を有する半導体装置との配線遅延の程度を比較した。評価の基準には、リングオシュレータの発信周波数から換算して求めた信号遅延時間を採用した。両者を比較した結果、本発明で得られた半導体装置では、配線遅延が少なく、約20%の速度の向上があることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 半導体基板
2 窒化珪素膜
3 層間絶縁膜
4 ハードマスク層
5 改質処理層
6 バリア層
7 銅配線層
100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物及び前記重合体の混合物を含む有機絶縁材料。
【化1】

(式(1)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(1)中、A1及びA2は、それぞれ独立して、アセチレン結合を含む有機基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物である請求項1記載の有機絶縁材料。
【化2】

(式(2)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(2)中、ベンゼン環上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(2)中のB1及びB2は、それぞれ独立して、水素原子又は有機基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(3)で表される化合物である請求項1又は2に記載の有機絶縁材料。
【化3】

(式(3)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(3)中、ベンゼン環上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(4)で表される化合物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機絶縁材料。
【化4】

(式(4)中、Xは芳香族基を示し、前記Xにおける芳香族基上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(4)中、ベンゼン環上の水素原子は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していても良いアダマンタン構造を含む基で置換されていても良い。式(1)中のn1及びn2は、それぞれ独立して、1以上5以下の整数を示す。)
【請求項5】
前記一般式(1)で表される化合物は、アダマンタン構造を含む基を有するものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機絶縁材料。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか1項に記載の有機絶縁材料を含む絶縁膜用ワニス。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機絶縁材料、又は、請求項6に記載の絶縁膜用ワニスを、加熱又は活性放射線照射し、架橋反応及び縮合反応させて得られる絶縁膜。
【請求項8】
請求項6記載の絶縁膜用ワニスを基材に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を加熱又は活性放射線照射する工程を有する絶縁膜の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の絶縁膜、又は請求項8に記載の絶縁膜の製造方法により得られる絶縁膜を有する半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−238696(P2007−238696A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60779(P2006−60779)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】