説明

有機金属化合物製造

【課題】有機金属化合物を高収率で連続して製造する方法および装置の提供。
【解決手段】層流接触ゾーン15と、熱伝達ゾーン45と、乱流促進装置を有する混合ゾーン20とを有する反応器10に2種以上の反応物質が運ばれ;それら反応物質が有機金属化合物を形成するようにする、有機金属化合物(トリアルキルインジウム化合物、トリアルキルガリウム化合物、テトラキスアルキルアミノジルコニウム、テトラキスアルキルアミノハフニウムなど)を連続的に製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属含有化合物の分野に関し、特に有機金属化合物の製造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
金属含有化合物は様々な用途、例えば、触媒および金属膜を成長させるためのソースに使用される。そのような化合物の用途の1つは半導体のような電子デバイスの製造におけるものである。超純粋金属有機(有機金属)化合物を使用する充分に確立された堆積技術、例えば、有機金属気相成長法、有機金属分子線エピタキシー法、有機金属化学蒸着、および原子層堆積などを使用して多くの半導体材料が製造される。
【0003】
これら有機金属化合物またはその出発材料の多くは、その空気との反応性、自然発火性および/または毒性のせいで、取り扱いにかなりの難しさを有している。これら有機金属化合物の製造において注意が払われなければならない。従来の有機金属化合物製造方法は小スケールのバッチプロセスであり、そこでは反応を制御しかつ酸素を排除するのが比較的容易である。これらバッチプロセスからの生成物収率は広範囲にわたって変動する。例えば、トリメチルガリウム、トリエチルガリウムおよびトリメチルインジウムを製造するための従来のバッチプロセスは精製前に80〜100%の収率を有する。これらプロセスは効率的であるけれども、それらは所望の化合物の限定された生産についてだけを可能にする。より多量のこれら有機金属化合物の必要性は、多数のこのような小スケール製造操作が行われなければならないことを意味し、このことは所望の化合物のコストを非常に増大させる。
【0004】
米国特許第6,495,707号は、三塩化ガリウムおよびトリメチルアルミニウムの双方を蒸留カラムの反応中央に添加し、生じたトリメチルガリウム(TMG)を気化させ、そして蒸留カラムの頂部からTMGを集めることにより、トリメチルガリウム(TMG)を連続して製造する方法を開示する。この特許における図面は、これら反応物質が対向する入口からこのカラムに入ることを示す。この特許におけるこの装置はこれら反応物質の素早い混合のための乱流を生じさせるように設計されていると思われる。乱流は4000以上のレイノルズ数(Re)を有するとして定義される。しかし、このプロセスから得られるTMGの収率は低く、わずか50〜68%であり、かつ得られたTMGの純度は論じられていない。
【0005】
中国特許出願公開第1872861号は米国特許第6,495,707号のプロセスに対する改良を開示し、そこでは、窒素ガス流れが蒸留カラムの底に導入されてカラム内の液相部分における攪拌を増大させ、かつTMGの発生を促進させて、このことは反応効率を向上させることを意味する。しかし、この特許出願におけるTMGの報告された収率は依然として低く、52%にすぎず、米国特許第6,495,707号に報告されたものと異ならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,495,707号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第1872861号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有機金属化合物を高収率で連続して製造する方法についての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)反応器ユニットを含む装置を提供し、前記反応器ユニットは層流接触ゾーンと混合ゾーンと熱伝達ゾーンとを含み、前記混合ゾーンは乱流促進装置を含み;(b)第1の反応物質流れおよび第2の反応物質流れを前記接触ゾーンに連続的に送達して、反応混合物流れを形成し、前記第1の反応物質流れおよび第2の反応物質流れは並流であって、かつ実質的に層流を有しており、かつ前記第1の反応物質は金属含有化合物であり;(c)前記反応混合物流れを前記接触ゾーンから熱伝達ゾーンに運び、次いで混合ゾーンに運び;(d)前記反応混合物流れが有機金属化合物生成物流れを形成するようにし;(e)前記有機金属化合物の過半量を液相に維持するように、前記熱伝達ゾーンにおける前記生成物流れの温度および圧力を制御し;並びに、(f)前記生成物流れを分離ユニットに運んで前記有機金属化合物を分離する;ことを含む、有機金属化合物を連続的に製造する方法を提供する。
【0009】
本発明によって、(a)第1の反応物質が金属を含む、第1の反応物質流れのソース;(b)第2の反応物質流れのソース;(c)前記第1の反応物質流れと前記第2の反応物質流れとを並流で接触させるための層流接触ゾーン;(d)乱流促進装置を含む混合ゾーン;並びに(e)熱伝達ゾーン;を含む有機金属化合物を連続的に製造するための装置も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の方法で使用するのに適する本発明の装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の方法で使用するのに適する本発明の装置の概略図である。
【図3】図3は、本発明の方法で使用するのに適する本発明の装置の概略図である。
【図4A】図4Aは、本発明の方法に適する装置において使用するのに適する接触ゾーン入口の断面概略図である。
【図4B】図4Bは、本発明の方法に適する装置において使用するのに適する接触ゾーン入口の断面概略図である。
【図4C】図4Cは、本発明の方法に適する装置において使用するのに適する接触ゾーン入口の断面概略図である。
【図4D】図4Dは、本発明の方法に適する装置において使用するのに適する接触ゾーン入口の断面概略図である。
【図4E】図4Eは、本発明の方法に適する装置において使用するのに適する接触ゾーン入口の断面概略図である。
【図4F】図4Fは、本発明の方法に適する装置において使用するのに適する接触ゾーン入口の断面概略図である。
【図5A】図5Aは、本発明の方法に使用するのに適する装置の断面概略図である。
【図5B】図5Bは、本発明の方法に使用するのに適する装置の断面概略図である。
【図5C】図5Cは、本発明の方法に使用するのに適する装置の断面概略図である。
【図6A】図6Aは、複数の混合ゾーンを有する本発明に使用するのに適した装置の概略図である。
【図6B】図6Bは、複数の混合ゾーンを有する本発明に使用するのに適した装置の概略図である。
【図6C】図6Cは、複数の混合ゾーンを有する本発明に使用するのに適した装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「アルキル」は直鎖、分岐および環式アルキルを含む。「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素をいう。用語「複数の」とは、ある品目が2以上であることをいう。「流れ」とは流体の流れをいう。「流体」とは気体、液体またはこれらの組み合わせをいう。用語「並流(cocurrent)」とは同じ方向の2つの流体の流れをいう。用語「向流(countercurrent)」とは、反対方向の2つの流体の流れをいう。以下の略語は以下の意味を有するものとする:ppm=百万分率;m=メートル;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;kg=キログラム;kPa=キロパスカル;psi=ポンド/平方インチ;並びに℃=摂氏度。図においては、同様の数値は同様の要素を意味する。
【0012】
ある要素が別の要素の「上」にあると称される場合には、その要素が別の要素の直接上にあることができるか、または介在する要素がこれらの間に存在してもよいと理解される。これに対して、ある要素が別の要素の「直接上」にあると称される場合には、介在する要素は存在していない。
【0013】
様々な要素、成分、領域、層、ゾーンまたはセクションを説明するために、本明細書において第1の、第2の、第3のなどの用語が使用されうるが、これら要素、成分、領域、層、ゾーンまたはセクションはこれらの用語によって限定されるべきではないと理解される。これらの用語は1つの要素、成分、領域、層、ゾーンまたはセクションを別の要素、成分、領域、層、ゾーンまたはセクションと区別するだけのために使用される。よって、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層、ゾーン、またはセクションは、本発明の教示から逸脱することなく第2の要素、成分、領域、層、ゾーンまたはセクションと称されることができる。
【0014】
さらに、「下部」または「底部」および「上部」または「頂部」のような相対的な用語が本明細書において、図面に示されうるような、1つの要素の別の要素に対する関連性を説明するために使用されうる。相対的な用語は、図面に示された向きに加えて、その装置の別の向きも包含することを意図すると理解される。例えば、別の要素の「下部」側にあると説明される要素は、複数の図面のうちの1つにおいてその装置が上下逆にされる場合に、ひいてはその別の要素の「上部」側に位置付けられる。よって、典型的な用語「下部」は、その図面の具体的な方向に応じて「下部」および「上部」の方向を両方とも包含しうる。同様に、別の要素の「下」または「下方」と説明される要素は、複数の図面のうちの1つにおいてその装置が上下逆にされる場合に、ひいては、その別の要素の「上方」に位置付けられるであろう。よって、典型的な用語「下」または「下方」は、上および下の方向を両方とも包含しうる。
【0015】
他に示されない限りは、全ての量は重量パーセンテージであり、かつ全ての比率はモル比である。全ての数値範囲は包括的であり、かつそのような数値範囲が合計で100%になることに制約されることが明らかである場合を除いて任意に組み合わせ可能である。
【0016】
本発明は有機金属化合物の連続製造のための方法を提供する。1以上の反応器ユニットを含む装置が使用されることができ、この場合、各反応器ユニットは(a)第1の反応物質が金属を含む、第1の反応物質流れのソース;(b)第2の反応物質流れのソース;(c)前記第1の反応物質流れと前記第2の反応物質流れとを並流で接触させるための層流接触ゾーン;(d)乱流促進装置(turbulence−promoting device)を含む混合ゾーン;並びに(d)熱伝達ゾーンを含む。適する反応器は複数の混合ゾーンおよび/または複数の熱伝達ゾーンを含むことができる。この方法においては、第1の反応物質流れが反応器ユニットの接触ゾーンに連続的に送達され、かつ第2の反応流れがこの接触ゾーンに連続的に送達されて、反応混合物流れを形成する。この第1の反応物質流れと第2の反応物質流れとの流れは並流でかつ実質的に層流である。少なくとも第1の反応物質は金属含有化合物である。使用される具体的な反応物質および望まれる有機金属化合物に応じて、場合によっては、第2の反応物質は金属含有化合物であってよい。反応混合物流れは、有機金属生成物流れを形成する条件にかけられ、かつ生成物流れの温度および圧力は、有機金属化合物の過半量を液相に維持するように熱伝達ゾーンにおいて制御される。次いで、有機金属化合物を分離するために、有機金属生成物流れは反応器ユニットから分離ユニットに運ばれる。
【0017】
様々な異なる反応器ユニットが本方法において使用されうる。図1は、接触ゾーン15、混合ゾーン20および熱伝達ゾーン45を有する反応器10を有する、本発明の方法で使用するのに適する装置の概略図である。接触ゾーン15、混合ゾーン20および熱伝達ゾーン45のそれぞれは任意の適切な長さであり得る。図1においては、接触ゾーン15および熱伝達ゾーンは同一の広がりを有しているように示されているが、それは必須ではない。反応器10は、接触ゾーン15に第1のおよび第2の反応物質流れをそれぞれ供給するための第1の入口25および第2の入口30を有する。反応器10は出口35を有し、これは分離ユニット40と流体連通している。
【0018】
図1を参照すると、操作においては、第1の反応物質流れ17は第1の入口25を経由して反応器10の接触ゾーン15に運ばれる。第2の反応物質流れ27は第2の入口30を経由して反応器10の接触ゾーン15に運ばれる。接触ゾーンにおける第1の反応物質流れおよび第2の反応物質流れのフローは並流でかつ層流である。生じる反応混合物流れは反応器10に沿って混合ゾーン20に運ばれ、この混合ゾーンは乱流を促進するように設計されている。有機金属化合物生成物流れは出口35を経由して反応器10から出て、次いで分離ユニット40に運ばれて、そこで所望の有機金属化合物が副生成物、未反応の第1および第2の反応物質などから分離される。
【0019】
図2は、混合ゾーン20の後に反応ゾーン50も含むことを除き、図1に示されるのと類似の別の反応器を示す。反応器10は複数の熱伝達ゾーン45も有し、1つの熱伝達ゾーン45aは接触ゾーン15と同一の広がりを有しており、かつ第2の熱伝達ゾーン45bは反応ゾーン50と同一の広がりを有している。示されていないが、混合ゾーン20も熱伝達ゾーン内に含まれることができ、かつ熱伝達ゾーンは接触ゾーンまたは反応ゾーンのいずれかと同一の広がりを有している必要がないことが当業者によって認識されるであろう。
【0020】
図3は接触ゾーン15、混合ゾーン20および反応ゾーン50を有するさらに別の適する反応器10を示す。図3に示されていないが、接触ゾーン、混合ゾーンおよび反応ゾーンのそれぞれは1以上の熱伝達ゾーン内に含まれることができる。混合ゾーン20は「U−ベンド(U−bend)」(180°)として示されるが、示されていないが45°、90°および360°をはじめとする他の適するベンド形態も使用されうる。
【0021】
図1を参照すると、第1の反応物質流れ17および第2の反応物質流れ27が層流で接触ゾーン15に送達される。図4A〜4Fは反応器10の別の接触ゾーン15の概略断面図である。図4Aは、単一の第1の入口25および単一の第2の入口30を有し、この第2の入口が反応器10の末端の相対的中央に配置されている反応器10における接触ゾーン15を示す。図4Bは、第1の反応物質流れ17と第2の反応物質流れ27との接触の開始を遅らせるためにバッフルプレート11が存在していることを除いて図4Aと同様の接触ゾーン15を示す。複数の第1の入口25(2つのみが示されている)および単一の第2の入口30を有する別の反応ゾーン15が図4Cに示されている。図4Dは、第2の入口30が反応器10内に延びているさらなる別の接触ゾーン15を示す。図4Eにおいては、複数の第1の入口25(2つのみが示されている)を有し、および反応器10内に延びた第2の入口30を有する別の代替的な接触ゾーン15が示されている。図4Fは図4Dに示されるのと類似するが別の接触セクションを示す。図4Cおよび4Eにおける複数の第1の入口25は第2の入口30の周りに任意のパターンで配置されうる。
【0022】
反応器10は、使用される反応物質または製造されるべき有機金属化合物と反応しないであろう任意の適切な材料から構成されることができる。適切な材料には、限定されないが、ガラス、例えば、ホウケイ酸ガラスおよびパイレックス(登録商標)ガラス;プラスチック、例えば、過フッ素化プラスチック、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン);石英または金属が挙げられる。金属が好ましく、限定されないが、ニッケル合金およびステンレス鋼が挙げられる。適切なステンレス鋼には、限定されないが、304、304L、316、316L、321、347および430が挙げられる。適切なニッケル合金には、これに限定されないが、インコネル、モネルおよびハステロイ耐腐食性合金が挙げられる。場合によっては、反応器10が金属から構成される場合には、耐腐食性を向上させるためにこの反応器は適切なコーティング、例えば、窒化ケイ素または四フッ化ケイ素などで被覆されていて良い。このコーティングは蒸着によるような任意の適切な技術によって適用されうる。反応器はガラスライニングステンレス鋼のような材料の混合物から構成されていて良い。反応器に適する材料の選択は充分に当業者の能力の範囲内のことである。適切な反応器は概して様々なソースから市販されている。
【0023】
反応器10の寸法は重要ではない。反応器10はあらゆる適切な長さおよび直径を有することができる。このような長さおよび直径の選択は、製造されるべき有機金属化合物の体積、並びに反応物質間に必要とされる反応時間量、当業者の能力の範囲内の他の要因などに応じて変化しうる。典型的な長さは1〜15m、好ましくは1.5〜12m、より好ましくは1.5〜10m、さらにより好ましくは1.5〜8mの範囲である。特に好ましい長さは、1.5、2、3、4、5、6、7、8および10mである。典型的な直径は、5mm〜25cm、より好ましくは5mm〜20cm、さらにより好ましくは5mm〜15cm、さらにより好ましくは5mm〜5cm、さらにより好ましくは6〜25mm、最も好ましくは8〜10mmの範囲である。特に好ましい直径は、5、6、7、8、9、10、12および15mmである。
【0024】
反応器10は接触ゾーン、少なくとも1つの混合ゾーン、および1以上の熱伝達ゾーンを含む。接触ゾーンは典型的には熱伝達ゾーン内に延びる。好ましくは、接触ゾーンは熱伝達ゾーン内に含まれる。より好ましくは、接触ゾーンは1つの熱伝達ゾーンまたは複数の熱伝達ゾーンと同一の広がりを有する。接触ゾーンの長さは、使用される反応物質、および生じさせられる有機金属化合物、反応が発熱的かまたは吸熱的か、混合セクションの効率、反応物質の流量、並びに反応に必要とされる時間、当業者の能力の範囲内の他の要因に応じて変化するであろう。例として、接触ゾーンは反応器長さの1〜99%、好ましくは1〜95%、より好ましくは1〜75%、さらにより好ましくは5〜50%を構成しうる。接触ゾーンにおける第1のおよび第2の反応物質流れは層流を有するので、接触ゾーンにおいてほとんど混合が起こらない。その代わりに、これら反応物質間の反応はこの2つの流れの界面で起こる。このようにして、反応の初速度が制御されうる。
【0025】
本反応器は、乱流を促進するように設計された1以上の混合ゾーンを含む。すなわち、混合ゾーンは接触ゾーンにおける反応物質の層流よりも乱流である反応物質流れのフローを促進するように設計される。混合ゾーンは、反応物質の混合のレベルを制御するために使用されうるあらゆる適切なデザインを有することができる。典型的な混合ゾーンは、静的ミキサー、ベンチュリ、オリフィス、ベンド(bend)、波状壁反応器(wavy−walled reactor)および他の適切な混合手段を含むことができる。好ましくは、混合ゾーンは、ベンチュリ、オリフィス、ベンド、波状壁反応器およびこれらの組み合わせから選択される混合手段を含み、より好ましくはベンチュリ、ベンド、波状壁反応器およびこれらの組み合わせから選択される混合手段を含む。エルボウ(1〜90°の曲げ角度を有する)、U−ベンド(91〜180°の曲げ角度を有する)およびループ(181〜360°の曲げ角度を有する)のような様々な「ベンド」が混合手段として使用されうる。図6Cにおいて示されるような「蛇行した」混合ゾーンにおけるようなベンドの組み合わせが使用されうる。ベンドは、0.5cm〜1m、好ましくは1cm〜50cm、より好ましくは1cm〜30cm、最も好ましくは1〜10cmのような任意の適切な曲率半径を有することができる。特に好ましい曲率半径は3、3.2、3.25、3.3、3.5、3.6、3.7、3.8、4、4.1、4.25、4.5、4.6、4.75、5、5.1、5.2、5.25、5.5、5.6、5.7、6、6.1、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.5、7、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、76.75、8、8.1、8.25、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.25、9.5、9.75、および10cmである。曲率半径がより小さくなるほど、より多くの二次混合が促進される。
【0026】
具体的な混合手段の選択は反応がどのように発熱するかに依存するであろう。例えば、相対的により発熱性の反応については、混合ゾーンが、ベンチュリ、ベンド、波状壁反応器およびこれらの組み合わせのような相対的により小さな程度の混合を提供する混合手段を含むことが好ましい。相対的により発熱性の反応のために使用される混合手段は完全な乱流よりむしろマイクロフローレジーム(micro flow regimes)を提供する。相対的により小さな発熱性の発熱反応について、および吸熱反応については、所望のレベルの混合を促進するのに適する任意の混合手段を含む混合ゾーンが使用されうる。所望のレベルの混合を提供するような混合手段のサイズは当業者によって容易に選択されうる。このような混合ゾーンは反応器に沿った任意の適切な場所に配置されうる。1以上の混合ゾーンが本反応器において使用されうる。それぞれの混合ゾーンは1以上の混合手段を含むことができる。1つより多い混合手段が使用される場合、例えば、単一の混合手段を有する混合ゾーンが1つより多く使用される場合、または複数の混合手段を有する単一の混合ゾーンが使用される場合には、これら複数の混合手段は同じであってよくまたは異なっていてよい。本明細書において使用される場合、「異なる混合手段」には、異なるサイズの構成要素を有する2以上の同じ種類の混合手段、例えば、異なる直径の開口を有する2以上のベンチュリまたは異なる曲率半径を有する2以上のベンドが挙げられる。2以上の波状壁反応器が使用される場合には、それぞれのその反応器は、波状壁セクションを構成する異なる長さおよび異なる半径の要素を有することができる。好ましくは、複数の混合手段が使用される。相対的により発熱性の反応を介して有機金属化合物を連続的に製造するために本反応器が使用される場合には、複数の混合ゾーンが使用されるのが好ましい。このような複数の混合ゾーンが異なる混合手段から構成されることがさらに好ましい。
【0027】
先に論じられた図3は、混合ゾーン20としてU−ベンドを示す。図5Aは接触ゾーン15、混合ゾーン20および熱伝達ゾーン45を有する反応器10の断面図を示し、この熱伝達ゾーン45は接触ゾーン15と混合ゾーン20とを含み、混合ゾーン20は構成要素21を有する波状壁反応器から構成される。図5Bは構成要素21aを有するベンチュリから構成される混合ゾーン20を有する反応器10の断面図を示す。図5Bにおいては、接触ゾーン15および混合ゾーン20は両方とも熱伝達ゾーン45内に含まれている。図5Cは複数のベンチュリ21aおよび21bから構成される混合ゾーン20を有する反応器10の断面図を示す。反応ゾーン50によって隔てられた複数の混合ゾーン20aおよび20bが図6Aに示され、そこでは、示されていないが、各混合ゾーンはU−ベンドであり、それぞれのU−ベンドは異なる曲率半径を有する。図6Bは複数の混合ゾーン20aおよび20bと、並びに熱伝達ゾーン45内に配置された反応ゾーン50とを有する反応器10を示す。接触ゾーン15および混合ゾーン20aは両方とも熱伝達ゾーン(示されていない)内に含まれる。図6Cは、接触ゾーン15、複数の混合ゾーン20a、20bおよび20c、並びに反応ゾーン50を有する反応器10を示す。図6Cにおいては、複数の混合ゾーンは直列に接続されて示されており(「蛇行した」混合ゾーン)、20a、20b、および20cのそれぞれは異なる曲率半径を有する(示されていない)。熱伝達ゾーンは図5C、6Aおよび6Cには示されていない。
【0028】
本反応は場合によっては混合ゾーンの後の反応ゾーンを含むことができる。好ましくは、本反応器は少なくとも1つの反応ゾーンを含む。複数の混合ゾーンが使用される場合には、反応ゾーンは複数の混合ゾーンのいずれかの後に、好ましくはそれぞれの混合ゾーンの後に存在することができる。反応ゾーンの長さは、使用される反応物質、および製造されるべき有機金属化合物、反応が発熱的かまたは吸熱的か、混合セクションの効率、反応の速度、並びに反応に必要な時間、当業者に知られている他の要因に応じて変化するであろう。例として、反応ゾーンは反応器長さの1〜99%、好ましくは1〜95%、より好ましくは1〜75%、さらにより好ましくは5〜50%を構成することができる。接触ゾーンおよび任意の反応ゾーンは同じ長さまたは異なる長さを有することができる。
【0029】
本反応器は少なくとも1つの熱伝達ゾーンも有する。この熱伝達ゾーンは接触ゾーン、混合ゾーンおよび任意の反応ゾーンのいずれかまたは全てを含むことができる。好ましくは、熱伝達ゾーンは接触ゾーンおよび任意の反応ゾーンを含む。例えば、反応器が接触ゾーンおよび反応ゾーンの両方を含む場合には、それらゾーンのそれぞれは単一の熱伝達ゾーン内に含まれることができるか、またはそれぞれは別々の熱伝達ゾーン内に含まれることができる。接触ゾーンは1以上の熱伝達ゾーンから、好ましくは1つの熱伝達ゾーンから構成されることができる。好ましくは、接触ゾーンは熱伝達ゾーンと同一の広がりを有する。任意の反応ゾーンが熱伝達ゾーンに含まれることも好ましく、より好ましくはそれぞれの反応ゾーンが熱伝達ゾーンと同一の広がりを有する。
【0030】
適切な熱伝達ゾーンは熱交換器、例えば、凝縮器、冷却装置、およびヒーターを含む。具体的な熱伝達ゾーンの選択、その長さ、および反応器におけるその位置は、反応器のサイズ、製造されるべき有機金属化合物の体積、有機金属化合物を製造する反応が発熱的かまたは吸熱的か、並びに具体的な製造されるべき有機金属化合物、当業者に知られている他の要因に応じて変化するであろう。熱伝達ゾーン、および反応器におけるその位置のこのような選択は当業者の能力の範囲内のことである。
【0031】
第1の反応物質流れは第1の入口から反応器の接触ゾーンに入る。第1の反応物質は液相、気相、または液相および気相の双方であることができる。好ましくは、第1の反応物質の過半量は液相である。第2の反応物質流れは第2の入口を通って反応器の接触ゾーンに入る。第2の反応物質は、液相、気相、または液相および気相の両方であることができる。好ましくは、第2の反応物質の過半量は液相である。第1の反応物質および第2の反応物質が両方とも液相、気相または液相および気相の双方であることも好ましい。第1の反応物質および第2の反応物質が両方とも液相であるのがさらに好ましい。
【0032】
相対的に低い融点の固体反応物質は、反応器をその反応物質の融点を超える温度に適切に加熱することによって本方法において使用されうる。反応器の温度において固体または液体である反応物質は溶媒に溶かされて、液相反応物質を提供することができ、次いでそれが反応器に運ばれる。反応器の温度において反応物質または製造される有機金属化合物が固体である場合には、有機溶媒が好ましい。任意の有機溶媒が使用されうるが、ただし、それは反応物質または製造される有機金属化合物と反応せず、またはこれらを不安定化させない。適切な溶媒は当該技術分野において知られている。好ましい溶媒には炭化水素、例えば、線状アルキルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジュレン、キノリン、イソキノリン、スクアラン、インダン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)およびデカヒドロナフタレン;並びにイオン性液体がある。イオン性液体は、一般的には、100℃以下の融点を有し、低温で液体である塩である。イオン性液体は全体的にイオンからなり、および典型的にはイオン性液体は嵩高な有機カチオンおよび無機アニオンから構成される。これら化合物における高いクーロン力のせいで、イオン性液体は、実質的には、蒸気圧を有さない。本発明においては、適切なイオン性液体は溶媒として使用されうる。イオン性液体に使用される典型的なカチオンには、これに限定されないが、ヒドロカルビルアンモニウムカチオン、ヒドロカルビルホスホニウムカチオン、ヒドロカルビルピリジニウムカチオンおよびジヒドロカルビルイミダゾリウムカチオンが挙げられる。本イオン性液体において有用な典型的なアニオンには、限定されないが、クロロメタラートアニオン;フルオロボラートアニオン、例えば、テトラフルオロボラートアニオン、およびヒドロカルビル置換フルオロボラートアニオン;並びに、フルオロホスファートアニオン、例えば、ヘキサフルオロホスファートアニオンおよびヒドロカルビル置換フルオロホスファートアニオンが挙げられる。典型的なクロロメタラートアニオンには、クロロアルミナートアニオン、例えば、テトラクロロアルミナートアニオンおよびクロロトリアルキルアルミナートアニオン;クロロガラートアニオン、例えば、クロロトリメチルガラートおよびテトラクロロガラート;クロロインダートアニオン、例えば、テトラクロロインダートおよびクロロトリメチルインダートが挙げられる。
【0033】
固体反応物質を有機溶媒に溶解して液相反応物質を提供することは、この固体反応物質が本方法において使用されるのを可能にする。さらに、有機溶媒を使用することが、反応器の条件下で固体でありうる本方法に従った有機金属化合物の製造を可能にし、かつ反応器における沈殿を低減させる。例えば、本方法に従って製造されうるトリメチルインジウムは88℃で溶融し、101〜103℃で爆発的に分解する。トリメチルインジウムの製造において有機溶媒を使用することが、その融点未満の反応器温度を可能にする。さらに、トリメチルインジウムは溶液中で、例えば、スクアラン中で、125℃を超える温度で、長期間安定であることが知られている。トリメチルインジウムを製造する際にスクアランのような溶媒を使用することは、トリメチルインジウムを分解することなくより広い範囲の反応器温度が使用されるのを可能にする。
【0034】
流体中で第2の反応物質と反応されうる任意の金属含有化合物が第1の反応物質として使用されることができる。本明細書において使用される場合、用語「金属」は「メタロイド」を含む。本明細書において使用される、用語「メタロイド」とは、ホウ素(第13族)、ゲルマニウム(第14族)、リン(第15族)、アンチモン(第15族)およびヒ素(第15族)をいう。金属を含有する適切な第1の反応物質は、第2族〜第15族から選択される、好ましくは第3族〜第15族から選択される、より好ましくは第4族〜第15族から選択される少なくとも1種の金属原子を含む。本明細書において使用される場合、第14族金属は炭素およびケイ素を含まず、かつ第15族金属は窒素を含まない。特に好ましい金属は、第3、4、5、8、9、10、11、12、13および15族のものであり、さらにより好ましくは第4、5、8、11、12、13および15族のものであり、さらにより好ましくは第5、12、13および15族のものである。典型的な金属原子には、限定されないが、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、スカンジウム、イットリウム、ルテニウム、ローレンシウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、白金、パラジウム、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、リン、アンチモンおよびアンチモンが挙げられる。好ましい金属原子には、マグネシウム、ストロンチウム、スカンジウム、イットリウム、ルテニウム、ローレンシウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、ルテニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、白金、パラジウム、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、アンチモンおよびヒ素が挙げられる。金属原子が、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ルテニウム、ローレンシウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ルテニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、白金、パラジウム、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、アンチモンおよびヒ素であるのがより好ましく、さらにより好ましいのはマグネシウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ルテニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、アンチモンおよびヒ素であり、さらにより好ましいのは、マグネシウム、ジルコニウム、ハフニウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、アンチモンおよびヒ素である。特に好ましい金属は、ジルコニウム、ハフニウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、アンチモンおよびヒ素である。
【0035】
第1の反応物質として有用な好ましい金属含有化合物は第2族〜第15族から選択される金属原子のハロゲン化物、(C−C)カルボン酸塩、アミノおよびヒドロカルビル含有化合物である。このような好ましい金属含有化合物は一般式(I)を有する:
【化1】


式中、各Rは独立して、Hまたは(C−C10)ヒドロカルビル基から選択され;各Yは独立してハライド、(C−C)カルボキシラート、(C−C)アルコキシ、RNまたはジアミノまたはトリアミノ基から選択され;M=第2族〜第15族金属;RおよびRは独立してHまたは(C−C)アルキルから選択され;L=中性リガンド;m=Mの価数;a=0〜m;b=0〜m;並びに、a+b=mである。aおよびbは両方とも0になり得ないことは当業者に理解されるであろう。用語「ヒドロカルビル」とは任意の炭化水素基をいい、アルキル基およびアリール基を含む。このヒドロカルビル基は場合によっては、炭素および水素以外の原子、例えば、酸素または窒素を含むことができる。好ましいヒドロカルビル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオ−ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、アミジナト、ホルムアミジナト、およびβ−ジケトナトである。第1の反応物質がヒドロカルビル基を含む場合には、その基は金属−炭素結合によって金属に結合される。Yのための典型的なジアミノおよびトリアミノ基には、限定されないが、1,2−ジアミノエチル、1,2−ジ−(N−メチルアミノ)エチル、1,3−ジアミノプロピル、1,3−ジ−(N−メチルアミノ)プロピル、1,2−ジアミノプロピルおよびジエチレントリアミンが挙げられる。Yは好ましくは、塩素、臭素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ、1,2−ジアミノエチル、1,2−ジ−(N−メチルアミノ)エチル、1,3−ジアミノプロピル、および1,3−ジ−(N−メチルアミノ)プロピルである。Yは塩素、臭素、アセトキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノおよびジエチルアミノであるのがより好ましい。
【0036】
中性リガンド(L)は金属含有反応物質において任意であり得る。この中性リガンドは全体的な電荷を有さず、かつ安定化剤として機能することができる。中性リガンドには、限定されないが、CO、NO、窒素(N)、アミン、ホスフィン、アルキルニトリル、アルケン、アルキンおよび芳香族化合物が挙げられる。用語「アルケン」には、1以上の炭素−炭素二重結合を有する任意の脂肪族化合物が挙げられる。典型的な中性リガンドには、これに限定されないが、(C−C10)アルケン、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ノルボルネン、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルトリ(C−C)アルキルシラン、ジビニルジ(C−C)アルキルシラン、ビニルトリ(C−C)アルコキシシラン、およびジビニルジ(C−C)アルコキシシラン;(C−C12)ジエン、例えば、ブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、オクタジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエンおよびα−テルピネン;(C−C16)トリエン;(C−C10)アルキン、例えば、アセチレンおよびプロピン;並びに、芳香族化合物、例えば、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、o−シメン、m−シメン、p−シメン、ピリジン、フランおよびチオフェンが挙げられる。中性リガンドの数はMとして選択される具体的な金属に応じて変化する。2以上の中性リガンドが存在する場合には、これらリガンドは同じであっても異なっていてもよい。
【0037】
第1の反応物質が
式(II) R
(式中、各RはHまたは(C−C)アルキルから選択され;各Yはハライドから選択され;Mは第13族金属であり;Lは上に定義される通りであり;c=0〜3;d=0〜3;c+d=3;並びにn=0〜1である)
を有することがさらに好ましい。Rは好ましくはH、メチルまたはエチルである。Yは好ましくは塩素または臭素である。式IIにおいては、Lが存在する場合には、中性リガンドは第三級アミンまたは第三級ホスフィンであることが好ましい。Mがインジウムまたはガリウムであるのが好ましい。好ましい第三級アミンおよび第三級ホスフィンはトリ(C−C)アルキルアミンおよびトリ(C−C)アルキルホスフィンである。
【0038】
適切な第2の反応物質は、第1の反応物質として有用な上述された金属含有化合物のいずれかであり得る。第2の反応物質として有用な他の化合物には、限定されないが、第1の反応物質をアルキル化するのに適する化合物、または第1の反応物質中の金属原子のためのリガンドとして機能するのに適した化合物が挙げられる。式Iの金属含有化合物に加えて、第2の反応物質として有用な他の好ましい化合物は、アルキルアミン;アルキルホスフィン;β−ジケトナート、アミジナート、ホルムアミジナート、グアニジナートおよびシクロペンタジエニルのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩;(C−C)アルコキシド;(C−C)アルキルリチウム化合物;並びに、(C−C)アルキルグリニャール(Grignard)試薬である。適するアルキルアミンはモノ−、ジ−およびトリ−(C−C)アルキルアミン、好ましくは、モノ−、ジ−およびトリ−(C−C)アルキルアミン、並びにより好ましくは、トリ−(C−C)アルキルアミンである。特に好ましいアルキルアミンはトリメチルアミン、トリエチルアミンおよびトリプロピルアミンである。適するアルキルホスフィンはモノ−、ジ−およびトリ−(C−C)アルキルホスフィン、好ましくは、モノ−、ジ−およびトリ−(C−C)アルキルホスフィン、並びにより好ましくは、トリ−(C−C)アルキルホスフィンである。特に好ましいアルキルホスフィンはトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンおよびトリプロピルホスフィンである。β−ジケトナート、アミジナート、ホルムアミジナート、グアニジナートおよびシクロペンタジエニルの塩は、対応するβ−ジケトン、アミジニン、ホルムアミジン、グアニジンまたはシクロペンタジエンを適切な塩基、例えば、水酸化ナトリウムと反応させることによって容易に製造される。この塩はアルカリ金属塩であるのが好ましい。適切なアミジンおよびホルムアミジンは米国特許出願公開第2006/0141155号および第2008/0305260号に開示されているものである。好ましいシクロペンタジエンはシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンおよびペンタメチルシクロペンタジエンである。第1の反応物質と第2の反応物質とが異なっていることが当業者によって認識されるであろう。
【0039】
第2の反応物質がアルキルアミン、アルキルホスフィンおよび上述の式(II)の化合物から選択されることが好ましい。第2の反応物質がトリ(C−C)アルキルアミン、トリ(C−C)アルキルホスフィン、および上述の式(II)の化合物(ただし、Mがインジウムおよびガリウムから選択され、かつYが塩素および臭素から選択される)から選択されることがさらに好ましい。
【0040】
これら反応物質のいずれかが場合によっては有機溶媒中に存在している、第1の反応物質および第2の反応物質は、反応器ユニットの接触ゾーンに運ばれ、そして1以上の混合ゾーンにおいてこれら反応物質の制御された混合を提供する条件にかけられる。これら反応物質の混合を制御することは、有機金属化合物をもたらす全体的な反応のより精密な制御を可能にする。接触ゾーンでの層流レジームにおける反応物質の流れを制御することにより、および混合ゾーンにおける混合の程度によって、本方法における混合が制御される。並流でかつ実質的に層流を有するような方法で、反応物質が反応器の接触ゾーンに導入される。「実質的に層流」とは、混合ゾーンに入るそれぞれの反応物質流れのフローが2100以下の、好ましくは2000以下の、より好ましくは1500以下の、および最も好ましくは1000以下のレイノルズ数(Re)を有することを意味する。第1の反応物質流れおよび第2の反応物質流れのフローが同心性であることがさらに好ましい。これら反応物質流れが同心フローを有する場合には、中央の反応物質流れが外側の反応物質流れよりも低いReを有することが好ましい。第1の反応物質と第2の反応物質とは、接触ゾーンにおいてこれら反応物質流れの界面で反応する。これは有機金属化合物のための、特に発熱反応のための非常に制御された反応速度を提供する。次いで、この反応物質流れは混合ゾーンに入り、そこではより大きな程度の混合が達成され、結果的に、特に発熱反応について反応速度の増大を伴う。これら反応物質の混合の程度の制御は、低減された量の反応副生成物を伴う、より高い全収率での有機金属化合物の製造を可能にする。
【0041】
第1の反応物質と第2の反応物質とが混合されたら、生じた反応混合物流れは、これら反応物質を反応させて所望の有機金属化合物を形成させるのに充分な条件にかけられる。この条件は当業者に周知であり、かつ加熱、冷却またはこれらの組み合わせを含むことができる。発熱反応については、反応の速度を制御するために、反応器ユニットの熱伝達ゾーンが冷却ユニットを含むであろう。吸熱反応については、熱伝達ゾーンが加熱ユニットを含むであろう。反応時間は、反応器ユニット内での反応物質の滞留時間を制御することによって制御される。
【0042】
反応の後で、生じた有機金属化合物、何らかの未反応の第1および第2の反応物質、反応副生成物、並びに使用される任意の有機溶媒を含む反応混合物流れは熱伝達ゾーンにおける出口を通って反応器ユニットから出る。典型的には、有機金属化合物は、何らかの精製工程の前に70%以上の収率で得られる。好ましくは、有機金属化合物は90%以上の収率、より好ましくは95%以上の収率、さらにより好ましくは97%以上の収率、さらにより好ましくは98%以上の収率で得られる。
【0043】
生じた有機金属化合物、未反応の第1および第2の反応物質、反応副生成物、並びに任意の有機溶媒は反応器ユニットの出口から分離ユニットに運ばれる。この分離ユニットは、有機金属化合物の精製のための任意の従来の技術、例えば、結晶化、蒸留または昇華などを使用することができる。この分離技術は当該技術分野において周知である。好ましくは、有機金属化合物は95%以上、より好ましくは97%以上、さらにより好ましくは98%以上、さらにより好ましくは99%以上、さらにより好ましくは99.99%以上、最も好ましくは99.9999%以上の純度で得られる。
【0044】
本発明の連続方法は様々な有機金属化合物を製造するのに適する。好ましい有機金属化合物は式
【化2】


のものであり、式中、各Rは独立して、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アリール、(C−C20)アリール(C−C10)アルキル、(C−C20)アルコキシ、(C−C10)カルバルコキシ(carbalkoxy)、アミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドであり;各Xは独立してH、R、シアノおよびハロゲンであり;L=中性リガンド;e=R基の価数であって、かつ1以上の整数であり;並びに、m=Mの価数である。「アミノ」基には、−NH、(C−C12)アルキルアミノ、およびジ(C−C12)アルキルアミノが挙げられる。好ましくは、アミノ基は−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノであり、より好ましくは、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノである。「ホスフィノ」基には、−PH、(C−C12)アルキルホスフィノ、およびジ(C−C12)アルキルホスフィノが挙げられ、好ましくは−PH、(C−C)アルキルホスフィノ、およびジ(C−C)アルキルホスフィノが挙げられ、より好ましくは−PH、(C−C)アルキルホスフィノ、およびジ(C−C)アルキルホスフィノが挙げられる。上記R基は、場合によっては、1以上の水素原子を1以上の置換基、例えば、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルコキシで置き換えることによって置換されてよい。例えば、Rが(C−C20)アルキル基である場合には、この基はアルキル鎖内にカルボニルを含んでいても良い。適切な二価のリガンドには、限定されないが、β−ジケトナート、アミジナート、ホルムアミジナート、ホスホアミジナート、グアニジナート、β−ジケチミナート、2環式アミジナートおよび2環式グアニジナートが挙げられる。好ましい二価のリガンドには、β−ジケトナート、アミジナート、ホルムアミジナート、ホスホアミジナートおよびグアニジナートが挙げられる。具体的な金属原子に応じて、式IIIの有機金属化合物は、場合によっては、1以上の中性リガンド(L)を含むことができる。この中性リガンドは全体的な電荷を有していない。中性リガンドには、限定されないが、CO、NO、窒素、アミン、エーテル、ホスフィン、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、ニトリル、アルケン、ジエン、トリエン、アルキンおよび芳香族化合物が挙げられる。式IIIの有機金属化合物と、第三級アミンまたは第三級ホスフィンのようなアミンまたはホスフィンとの付加物は本発明によって企図される。
【0045】
好ましくは、式IIIにおける各R基は独立して(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C15)アリール、(C−C10)アリール(C−C)アルキル、(C−C10)アルコキシ、(C−C10)カルバルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから選択され;より好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C10)アリール、(C−C)アリール(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)カルバルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから選択される。各Rが、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アリール、(C−C)アリール(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)カルバルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから独立して選択されることがさらに好ましく、さらにより好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アリール、(C−C)アルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから独立して選択される。
【0046】
好ましい有機金属化合物は式(IV)の構造を有する
(式IV) Rp−x3p
式中、各Rは独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、(C−C10)アリール、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノから選択され;各Xは独立してH、ハロゲン、(C−C10)アルコキシおよびRから選択され;Mは第2族、第4族または第13族金属であり;xはR基の価数であって、かつ整数であり;pはMの価数であり;並びに1≦x≦pである。式IIの有機金属化合物と第三級アミンもしくは第三級ホスフィンのようなアミンもしくはホスフィンとの付加物は本発明によって企図される。各Rが独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C10)アリール、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノから選択されることが好ましく、より好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アリール、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノから独立して選択される。R1のために典型的な基には、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、tert−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、neo−ペンチル、ビニル、アリル、プロパルギル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、ジメチルアミノプロピル、フェニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、メチルアミノ、ジメチルアミノおよびエチルメチルアミノが挙げられる。Xがハロゲンである場合には、塩素および臭素が好ましく、塩素がより好ましい。Mが第2族金属である場合には、x=1または2である。Mが第4族金属である場合には、x=1、2、3または4である。M=第13族金属である場合には、x=1、2または3である。Mは好ましくは、マグネシウム、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、インジウムまたはガリウムであり、より好ましくはアルミニウム、インジウムまたはガリウムである。
【0047】
典型的な有機金属化合物には、これに限定されないが、トリアルキルインジウム化合物、例えば、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、トリ−n−プロピルインジウム、トリ−イソ−プロピルインジウム、ジメチルイソ−プロピルインジウム、ジメチルエチルインジウム、ジメチルtert−ブチルインジウム、メチルジ−tert−ブチルインジウム、メチルジ−イソプロピルインジウム、およびトリ−第三級ブチルインジウム;トリアルキルインジウム−アミン付加物;ジアルキルハロインジウム化合物、例えば、ジメチルインジウムクロリド;アルキルジハロインジウム化合物、例えば、メチルジクロロインジウム;シクロペンタジエニルインジウム;トリアルキルインジウム−トリアルキル−ホスフィン付加物、例えば、トリメチルインジウム−トリメチルホスフィン付加物;トリアルキルガリウム化合物、例えば、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリ−イソ−プロピルガリウム、トリ−tert−ブチルガリウム、ジメチルイソ−プロピルガリウム、ジエチルtert−ブチルガリウム、メチルジ−イソ−プロピルガリウム、ジメチルtert−ブチルガリウム、ジメチルneo−ペンチルガリウム、およびメチルエチルイソ−プロピルガリウム;トリアルキルガリウム−アミン付加物;トリアルキルガリウム−ホスフィン付加物;アルキルジハロガリウム化合物、例えば、メチルジクロロガリウム、エチルジクロロガリウムおよびメチルジブロモガリウム;ジアルキルハロガリウム化合物、例えば、ジメチルガリウムクロリドおよびジエチルガリウムクロリド;トリアルキルアルミニウム化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−イソ−プロピルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、ジメチルイソ−プロピルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、ジメチルtert−ブチルアルミニウム、メチルジ−tert−ブチルアルミニウム、およびメチルジ−イソ−プロピルアルミニウム;ジアルキルハロアルミニウム化合物、例えば、ジメチルアルミニウムクロリドおよびジエチルアルミニウムクロリド;アルキルジハロアルミニウム化合物、例えば、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、およびエチルアルミニウムジブロミド;金属ジアルキルアミド化合物、例えば、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウムおよびテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム;金属ベータ−ジケトナート、例えば、ハフニウムのベータジケトナート、ジルコニウムのベータジケトナート、タンタルのベータジケトナートおよびチタンのベータジケトナート;並びに金属アミジナート、例えば、銅のアミジナート、ランタンのアミジナート、ルテニウムのアミジナートおよびコバルトのアミジナートが挙げられる。例えば、第13族有機金属化合物は、例えば、米国特許第5,756,786号;第6,680,397号;および第6,770,769号に記載される反応物質を用いて製造されうる。金属アミジナート化合物は、例えば、米国特許第7,638,645号および第7,816,550号に記載される反応物質を用いて製造されうる。
【0048】
本発明の方法によって製造される有機金属化合物は、高純度有機金属化合物の使用を要求する様々な用途に、例えば、特定の触媒用途に、および発光ダイオードのような電子デバイスの製造に使用されることができる。本発明の有機金属化合物は他の有機金属化合物の製造における中間体として使用されることも可能である。
【実施例】
【0049】
実施例1
以下の表は、本方法に従って製造される様々な有機金属化合物を示す。適切な有機溶媒が表示され、このような溶媒は必要とされるかまたは場合によって使用されうる。
【0050】
【表1】


略語は以下の意味を有する:LAB=線状アルキルベンゼン;TDMA=テトラキス(ジメチルアミノ)すなわち[(CHN];および、TEMA=テトラキス(エチルメチルアミノ)すなわち[(CH)(CHCH)N]
【0051】
実施例2
第1のおよび第2の入口を有する接触ゾーンと、複数の熱伝達ゾーンと、異なる曲率半径を有する複数の混合ゾーンと、各混合ゾーンの後の反応ゾーンとを有する反応器に、第1の反応物質として過半量が液体のTMAの流れを200〜300kPaで10〜30℃の温度で10〜20単位/時間の流量で、並びに第2の反応物質として過半量が液体のトリプロピルアミン(TPA)の流れを200〜300kPaで10〜30℃の温度で20〜40単位/時間の流量で反応器入口の層流環境に供給した。これら流量はTMAに対して1/1よりわずかに多くモル過剰にTPAを制御するように設定された。両方の反応物質流れは、同心で実質的に層流のフローを有する反応器の混合ゾーンに送達された。混合ゾーンに入るそれぞれの反応物質流れのレイノルズ数は1000以下であった。これら反応物質流れは20秒を超える反応器内全滞留時間を有していた。反応器を出てから、生成物(TMA−TPA付加物)流れは不純物を除去するために分離ユニットに運ばれた。この反応は、数回の短い中断を伴うが24時間を超えてほぼ連続的に操作されて、450kgを超える物質の生産をもたらした。
【0052】
実施例3
実施例2において使用されたのと同様の反応器に、第1の反応物質として過半量が液体の実施例2からのTMA−TPA付加物の流れを200〜300kPaの圧力で40〜60℃の温度でおよび20〜40単位/時間の流量で、および第2の反応物質として過半量が液体の芳香族炭化水素溶媒中の塩化ガリウムの流れを2〜10℃の温度で200〜300kPaの圧力でおよび20〜40単位/時間の流量で、アルミニウムのガリウム金属に対するモル比を1より大/1に維持するように供給した。反応器の熱伝達ゾーンは85〜100℃の反応器出口温度を維持した。反応器は24時間を超えて連続的に操作され、この時間中、生成物(トリメチルガリウム、すなわち「TMG」)が分離ユニットにおいて連続的に精製されて、高純度のTMGを100kgを超えて、85%を超える全収率で生じさせた。
【0053】
実施例4
実施例3の手順が繰り返され、精製後の全収率は90%を超えていた。
【0054】
実施例5
トリエチルアルミニウム−TPA付加物を生じさせるためにトリエチルアルミニウムが第1の反応物質として使用されることを除いて実施例2の手順が繰り返される。
【0055】
実施例6
トリエチルガリウムを生じさせるために、実施例5からのトリエチルアルミニウム−TPA付加物が第1の反応物質として使用されることを除いて、実施例3の手順が繰り返される。
【0056】
実施例7
テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウムを生じさせるために、メシチレン中のリチウムジメチルアミドが第1の反応物質として使用され、かつメシチレン中のハフニウムテトラクロリドが第2の反応物質として使用されることを除いて実施例3の手順が繰り返される。
【0057】
実施例8
テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウムを生じさせるために、ハフニウムテトラクロリドがジルコニウムテトラクロリドで置換えられることを除いて実施例7の手順が繰り返される。
【0058】
実施例9
テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウムを生じさせるために、メシチレン中のリチウムエチルメチルアミドが第1の反応物質として使用されることを除いて実施例7の手順が繰り返される。
【符号の説明】
【0059】
10 反応器
11 バッフルプレート
15 接触ゾーン
17 第1の反応物質流れ
20、20a、20b、20c 混合ゾーン
21 構成要素
21a、21b ベンチュリ
25 第1の入口
27 第2の反応物質流れ
30 第2の入口
35 出口
40 分離ユニット
45、45a、45b 熱伝達ゾーン
50 反応ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)反応器ユニットを含む装置を提供し、前記反応器ユニットは複数の混合ゾーンと1以上の熱伝達ゾーンとを含み;
(b)第1の反応物質流れおよび第2の反応物質流れを層流で接触ゾーンに連続的に送達して、反応混合物流れを形成し、前記第1の反応物質流れおよび第2の反応物質流れは並流であって、かつ実質的に層流を有しており、かつ前記第1の反応物質は金属含有化合物であり;
(c)前記反応混合物流れを前記層流混合ゾーンから熱伝達ゾーンに運び、次いで乱流促進装置を含む混合ゾーンに運び;
(d)前記反応混合物流れが有機金属化合物生成物流れを形成するようにし;
(e)前記有機金属化合物の過半量を液相に維持するように、前記熱伝達ゾーンにおける前記生成物流れの温度および圧力を制御し;並びに、
(f)前記生成物流れを分離ユニットに運んで前記有機金属化合物を分離する;
ことを含む、有機金属化合物を連続的に製造する方法。
【請求項2】
前記有機金属化合物が70%以上の収率で得られる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機金属化合物が90%以上の収率で得られる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の反応物質が金属錯体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の反応物質が第13族金属錯体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記装置が複数の反応器ユニットを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記乱流促進装置がベンド、スパイラル、ベンチュリ、波状壁カラム、オリフィスおよび静的ミキサーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
乱流促進装置を備えた複数の混合ゾーンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の乱流促進装置が少なくとも2つの異なる混合ゾーンを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の反応物質および前記第2の反応物質が両方とも気相、液相またはこれらの組み合わせである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記層流混合ゾーンに運ばれる前記第1のおよび第2の反応物質流れのそれぞれが2000以下のレイノルズ数を有する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(a)第1の反応物質が金属を含む、第1の反応物質流れのソース;
(b)第2の反応物質流れのソース;
(c)前記第1の反応物質流れと前記第2の反応物質流れとを並流で接触させるための層流接触ゾーン;
(d)乱流促進装置を含む混合ゾーン;並びに
(e)熱伝達ゾーン;
を含む有機金属化合物を連続的に製造するための装置。
【請求項13】
前記乱流促進装置がベンド、スパイラル、ベンチュリ、波状壁カラム、オリフィスおよび静的ミキサーから選択される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
複数の乱流促進装置をさらに含む請求項12に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2013−67608(P2013−67608A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180029(P2012−180029)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】