説明

有機EL表示素子及び有機EL表示素子の製造方法

【課題】低抵抗化を実現する補助電極構造を有する有機EL表示素子を提供する。
【解決手段】第1基板101の上に薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されている第1電極110と、前記第1電極と対峙する第2電極203と、前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた有機発光層112とを有している。前記第2電極の上に第2基板201が配置されている。前記第2基板の前記第2電極側には、前記有機発光層からの光が前記第2電極を透過して前記第2基板側に放射される発光面を覆うように、透明導電膜からなる補助電極202が形成されている。前記第2電極と前記補助電極とが電気的に接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)表示素子に関し、特にトップエミッション方式のアクティブマトリクス有機EL表示素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示素子は、発光層にEL発光能をもつ有機低分子又は有機高分子で形成した素子であり、自発光のため視野角がよく、耐衝撃性に優れるなど、表示素子として理想的な特徴を有している。このため、各種の分野において研究、開発が進められている。
【0003】
有機EL表示素子の構造は、有機物からなる発光層とそれを挟み込む第1電極及び第2電極という3層構成が基本である。一方から正孔、他方から電子を注入し再結合させることにより発生する光を利用する。
【0004】
ちなみに、本明細書では第1電極及び第2電極をそれぞれ駆動回路が形成されている基板側からの積層順で数えるように定義している。第1電極及び第2電極に用いる材料の詳細や性能向上のために細分化される層構成については後述する。
【0005】
有機EL表示素子は、その駆動方式に従ってパッシブマトリクスEL素子と、アクティブマトリクスEL素子とに分けられる。パッシブマトリクスEL素子は列ごとの制御であるのに対し、アクティブマトリクスEL素子は、各画素に対して独立したスイッチング素子を含むことが特徴である。
【0006】
アクティブマトリクスEL素子は、光の取り出し方向によりトップエミッション方式とボトムエミッション方式とに分けられる。トップエミッション方式のアクティブマトリクスEL素子は、ボトムエミッション方式とは異なり、有機発光層から第2電極側に光を取り出すので基板側に位置するスイッチング素子が邪魔にならない。
【0007】
従って、トップエミッション方式の方がボトムエミッション方式と比べ開口率が高いEL素子を作成することができる。しかしながら、トップエミッション方式の第2電極は、効率的な光透過のために透明な材料で形成するか、若しくは光が十分に透過するように極薄く形成しなければならない。
【0008】
ここで、第1電極をアノード、第2電極をカソードとする場合を考える。この第2電極を透明導電膜で形成した場合、有機物からなる発光層のLUMO(最低空軌道:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)と、
第2電極の仕事関数とを合致させることができないため、電子を効率良く注入することができない。
【0009】
一方、第2電極を極薄の金属膜で形成した場合、熱によって第2電極が短絡したり、酸化したりする可能性がある。これは、有機EL表示素子の特性上、持続的に多量の電流が第2電極を通じて流れるからである。
【0010】
そこで、第2電極は極薄の金属膜と透明導電膜の積層構造とするケースが多い。しかしながら、有機物からなる発光層に密着する形で極薄の金属膜と透明導電膜を形成するためには有機物にダメージを与えない、低温かつ低加速エネルギー粒子による成膜が必須である。そのため、第2電極はAlなどの金属膜と比べて比抵抗で100倍以上高抵抗となってしまう。
【0011】
有機EL表示素子は通常基板端に第2電極の給電点がある。抵抗の大きい透明導電材料を第2電極に用いると、給電点から画素までの距離に応じて配線抵抗値が増加する。それにより、画素を構成する有機EL表示素子に印加される実効電圧が降下し、輝度低下が顕著となる。
【0012】
こうした第2電極の高抵抗化を回避する手段として、補助電極を設ける試みが各種提案されている。特許文献1においては、補助共通電極を設けることで共通電極の厚さが薄くても共通電極の過負荷及び短絡が防止できるとしている。
【0013】
また、導電性遮光パターンを上部電極(第2電極)と接続することで補助電極として用いる提案がある(特許文献2、特許文献3)。
【0014】
【特許文献1】特開2005−56846号公報
【特許文献2】特開2005−268062号公報
【特許文献3】特開2007−141844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の解決しようとする問題点は、従来のトップエミッション方式に適用する補助電極構造では低抵抗化が不十分な点である。
【0016】
より具体的には40インチを超える大面積の有機EL表示装置を実現しようとすると、依然として第2電極の高抵抗化が問題となる。遮光エリアとなるブラックマトリクスの部分のみで低抵抗化を図ろうとすると、導電材料の材質をより比抵抗が小さいアルミニウムや銅に切り替えたり、膜厚を厚くする必要がある。
【0017】
特許文献1と特許文献3では遮光エリアに形成する補助電極の膜厚は実施例の中で例示されていないが、特許文献2を参考にすると比抵抗5.6μΩ・cmのMoを使用し、300nmの膜厚で形成するとしている。さらには、アルミニウム等のさらに低抵抗な材料で補助電極を形成すれば大型の有機EL表示装置の実現が見込めるとしている。
【0018】
しかしながら、アルミニウムの場合には酸化被覆形成によるエッチングプロセスの安定性に不安があり、銅に切り替える場合には材料及びプロセスのコスト増大を招く。膜厚を厚くするにも膜応力やタクトの観点から限界がある。
【0019】
従って、遮光エリアに形成する補助電極の作成方法の変更のみでは対応できないため、新たな低抵抗化を実現する補助電極構造が必要であった。
【0020】
本発明は、低抵抗化を実現する補助電極構造を有する有機EL表示素子及び有機EL表示素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、
第1基板の上に薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されている第1電極と、前記第1電極と対峙する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた有機発光層とを有しており、
前記第2電極の上に第2基板が配置されており、
前記第2基板の前記第2電極側には、前記有機発光層からの光が前記第2電極を透過して前記第2基板側に放射される発光面を覆うように、透明導電膜からなる補助電極が形成されており、
前記第2電極と前記補助電極とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、低抵抗化を実現する補助電極構造を有する有機EL表示素子及び有機EL表示素子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<実施形態1>
以下に、本発明に係る有機EL表示素子の実施形態1を図面に基づいて説明する。図1は有機EL表示素子の断面図である。この有機EL表示素子は、第1基板101上に設けた第1電極110と、前記第1電極110と対峙する第2電極(透明電極)203とを有する。さらに前記第1電極110と前記第2電極203との間に挟まれた注入層111と、有機発光層112とを有する。
【0024】
前記第2電極203上に第2基板201が配置されている。前記第2基板201の前記第2電極側には、前記有機発光層112からの光が前記第2電極203を透過して前記第2基板側に放射される発光面を覆うように、透明導電膜からなる補助電極202が形成されている。ちなみに、本実施形態では3つ並んだ有機EL表示素子を覆うように補助電極202が形成されている。
【0025】
この第2電極203と補助電極202とが電気的に接続されている。補助電極202と第2電極203との接続には、導電部材からなるブラックマトリクス205が使用されている。ブラックマトリクス205は各画素を分離遮光する役割も有し、図1は単色光からなる表示素子を表している。
【0026】
上記構成の有機EL表示素子は、補助電極を画素全面に形成しているので、補助電極を低抵抗化することができる。さらには、第2電極と比べ、第2基板上に透明導電膜を形成する場合、第2基板201上に高温下で透明導電膜の成膜が可能である。そのため、第2電極203として形成する透明導電膜と比べ1桁以上低抵抗であり、かつ透過率が高い透明導電膜を形成することができる。
【0027】
上記有機EL表示素子は、下記の2通りの積層構造が考えられる。
【0028】
第1の構造は、第1電極が陽極、第2電極が陰極の場合である。第2の構造は、第1電極が陰極、第2電極が陽極の場合である。いずれの場合においても正孔注入層は有機発光層と陽極との間に、電子注入層は有機発光層と陰極との間に必要に応じて形成される。上記構成において注入層を有さない構造も考えられるし、発光層が輸送層を兼ねる場合も考えられる。
【0029】
図1は第1電極が陽極で、第2電極が陰極の場合の実施形態を示す。図1において、ガラス製の第1基板101上には、マトリクス状に複数の薄膜トランジスタ(TFT)を配置している。TFTを駆動するために、スキャンラインとデータラインとが一定間隔で配置されているが図面上は省略している。これらスキャンラインとデータラインとは格子状に配置され、直交する両者で囲まれた領域が1個ずつの画素となる。
【0030】
TFTの構成要素は、半導体層102、ゲート絶縁層103、ゲート電極104、ソース電極105及びドレイン電極106である。層間絶縁膜108にソース電極105及びドレイン電極106のための開口が設けられた後、電極材料を成膜して埋め込むことによってコンタクトをとる構造である。さらに、平坦化膜109にビアの開口107が設けられた後、第1電極110となる電極材料を成膜して埋め込んでいる。
【0031】
ここで半導体層102とゲート絶縁層103とはそれぞれ、ポリシリコンと窒化珪素(SiN)を用いている。ソース電極105及びドレイン電極106はどちらもアルミ銅合金を用いている。
【0032】
半導体材料としてはアモルファスシリコンを用いても良い。また上記実施形態は、トップゲート構造のTFTを用いているが、ボトムゲート構造でも良い。さらに、スイッチング特性の向上を目的として基板側に平坦化層などを設けることは当該業者には容易に類推できることである。
【0033】
各スキャンライン、データライン、電源線は第1基板101上に形成されている(不図示)。画素ごとに各薄膜トランジスタに対応して第1電極(陽極)110を設ける。第1電極はトップエミッション構造の場合、第2電極側に光を取り出すための反射膜としての機能が必要である。また、第1電極となる陽極材料としては、正孔の注入効率を高めるため仕事関数がなるべく大きなものがよく、例えば、金、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体が使用できる。或いはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いてもよく、複数併用することもできる。
【0034】
本実施形態では、膜厚350nmのアルミ銅合金上に膜厚200nmのITOを形成して第1電極110とした。充分に正孔が供給できるのであれば、この膜厚に限定されるものではない。薄膜トランジスタと第1電極110とはビア107を介して接続する。
【0035】
第1電極110の周囲及び薄膜トランジスタの上部には、絶縁体よりなる隔壁114を形成する。隔壁114は、発光層材料を分離することが目的である。有機発光層の形成にディスペンス方式を利用する場合、有機発光層材料の溶剤による希釈率が高いことから隔壁の膜厚が十分に厚いことが望ましい。
【0036】
本実施形態では隔壁114を3000nmの膜厚で形成した。また、隔壁114の端面形状は台形状としてカバレッジが良い形状が望ましい。
【0037】
なお、隔壁114の下に無機絶縁膜からなる補助隔壁113を設け、絶縁性を高めている。補助隔壁113は窒化珪素(SiN)で、厚さは100nmである。
【0038】
第1電極110と補助隔壁113と隔壁114を形成後、有機発光層112を形成する。
【0039】
有機発光層112は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層からなる構造とすることができる。
【0040】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層に用いられる有機化合物としては、低分子材料で構成しても、高分子材料で構成しても、両者を用いて構成してもよく、特に限定されるものではない。
【0041】
正孔輸送性材料としては、陽極からの正孔の注入を容易にし、また注入された正孔を発光層に輸送するに優れたモビリティを有することが好ましい。また、必要に応じて陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層を挟持しても良い。正孔輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体;
ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール);
ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0042】
発光材料としては、発光効率の高い蛍光色素や燐光材料が用いられる。発光層とは注入された正孔と電子が再結合し、材料固有の波長で発光する層を意味する。発光層を形成するホスト材料自体が発光する場合とホストに微量添加したドーパント材料が発光する場合がある。具体的なホスト材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体(DPVBi)、骨格にベンゼン環を有するシロール誘導体(2PSP)、トリフェニルアミン構造を両端に有するオキソジアゾール誘導体(EM2)、フェナンスレン基を有するペリノン誘導体(P1);
トリフェニルアミン構造を両端に有するオリゴチオフェン誘導体(BMA−3T)、ペリレン誘導体(tBu−PTC)、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体;
ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0043】
ドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン6、ナイルレッド、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM);
ジカルバゾール誘導体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0044】
電子輸送性材料としては、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、正孔輸送性材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体;
キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0045】
また、電子注入材料としては、前述した電子輸送性材料に、アルカリ金属やアルカリ土類金属、若しくはその化合物を0.1〜数十%含有させることにより、電子注入性を付与することができる。電子注入層は、必要不可欠な層ではないが、この後に透明な陰極を形成する際の成膜時に受けるダメージを考慮すると、良好な電子注入性を確保するために有機発光層と陰極との間に1nm〜10nm程度挿入した方が好ましい。
【0046】
電子注入層材料としては、炭酸セシウム、弗化リチウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化ストロンチウム、弗化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0047】
上記各層に用いられる有機化合物の薄膜は、一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマCVD等により形成できる。また、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディスペンス、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により形成することもできる。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0048】
結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂;
アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂;
尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本実施形態では、注入層111と有機発光層112とを形成した。注入層111は本実施形態においては正孔注入層であり、ディスペンサー装置を用いてPEDOT/PSSを連続的に塗布した。塗布条件は以下の通りである。隔壁114の幅100μmに対してテフロン(登録商標)加工した口径80μmの金属ニードルを使用し、大気中でニードルと塗布する面との間の距離を30μm、ニードルと基板101との相対速度を450mm/secで連続的に塗布した。塗布後、ホットプレートを用いて200℃、10分間ベークして厚さ30nmの正孔注入層を形成した。
【0050】
有機発光層112として、テトラリンにポリパラフェニレンビニレン誘導体poly[2−methoxy,5−(2’−ethylhexoxy)−1,4−phenylen vinylene]を1wt%溶かした溶液を隔壁114間にディスペンサー装置を用いて塗布した。塗布条件は以下の通りである。テフロン(登録商標)加工した口径80μmの金属ニードルを使用し、窒素中でニードルと塗布する面との間の距離を30μm、ニードルと基板101との相対速度を300mm/secで連続的に塗布した。塗布後、ホットプレートを用いて窒素雰囲気中で150℃、30分間ベークして厚さ100nmの有機発光層112を形成した。
【0051】
有機発光層112を形成した後、第2電極203を蒸着法とスパッタ法で形成する。第2電極203の電極材として、仕事関数の小さなものがよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体或いは複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。また、陰極である第2電極203は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
【0052】
ちなみに、前述の電子注入層を設ければ、陰極の条件として、低仕事関数の材料を用いる必要がなくなり、一般的な金属材料を用いることが可能となる。具体的には、アルミニウム、インジウム、モリブテン、ニッケル等の金属や、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン、アモルファスシリコンが望ましい。
【0053】
本実施形態では、炭酸セシウム(Cs2CO3)とAlとITOを用いる。膜厚は、Cs2CO3を3nm、Alを4nm、ITOを100nmとした。表示素子の給電点(不図示)は直流電源(不図示)のマイナス電極に接続されている。この給電点上に第2電極203が成膜されることで第2電極203が電極の機能を持つ。
【0054】
第2基板201上に補助電極202となる透明導電膜を形成する。透明導電膜としては、酸化物導電膜、具体的には、酸化インジウムと酸化錫の化合物膜(ITO)や酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物膜(IZO)等を用いることができる。
【0055】
本発明で用いる「透明」とは、可視光に対して70%以上100%以下の透過率を有していることであり、より具体的には、多重反射による減衰を抑える観点より、消衰係数κが0.05以下、好ましくは0.01以下であることが望ましい。
【0056】
本実施形態では、補助電極202としてITOをスパッタ法で形成した。基板温度250℃で成膜することにより比抵抗60μΩ・cmの膜が得られた。膜厚は300nmとした。透明導電膜の膜質は成膜条件で大きく変わることは知られており、特に透過率と比抵抗は、低温成膜の場合は吸収が多く比抵抗が高い膜になる。本発明においては第2基板201上に高温下で成膜が可能であることから第2電極203として形成する透明導電膜と比べ1桁以上比抵抗が小さい膜を得ることができる。
【0057】
第1基板101の画素に対応した位置を開口した、つまり隔壁114上に配置されるようにブラックマトリクス205を補助電極202に形成する。このブラックマトリクス205はAl、Cr、Ag、Cu、Mo、Niなどの金属や合金を用いる。一般的な金属膜での遮光層は、100nmから150nmの膜厚が一般的である。しかし、ブラックマトリクス205は遮光だけでなく、補助電極の一部としても機能させるため、第2電極203と同等の100nmから300nmの膜厚が望ましい。
【0058】
本実施形態では、ブラックマトリクス205の材料としてAl合金を用いた。Al合金の比抵抗は4μΩ・cmである。ここではブラックマトリクス205の膜厚を300nmとした。
【0059】
以上のように形成した第1基板101のブラックマトリクス側と第2基板201の補助電極側とを向き合わせて貼り合わせることで、第2電極203と補助電極202とを電気的に接続させる。
【0060】
有機EL表示素子では、有機発光層112に使用する材料が酸素や水に弱く、劣化しやすいことから酸素濃度や水分濃度が高い環境下で使用すると寿命が短いという問題がある。素子の劣化が発生しない酸素及び水分濃度の上限は一般的に10ppm以下とされている。このため、素子周辺を不活性ガスで取り囲み上記の上限以下にする必要がある。そこで、以下のように表示素子を組み立てることでこの問題を回避する。
【0061】
第1基板101或いは第2基板201のどちらか一方に対して、環状にUV接着材を塗布し、接着層(不図示)を形成する。そして、酸素及び水分の含有率が10ppm以下の窒素ガス内の環境で第1基板101と第2基板201との膜面を対向させながら、減圧雰囲気下で重ね合わせる。その状態で第2電極203とブラックマトリクス205とが密着するように第1基板101と第2基板201とを加圧して接着層に紫外線光を照射し、硬化・封止する。
【0062】
上記では不活性ガスである窒素ガスを封入したが、これに限定されるものではない。封止した内部に吸湿剤を配置したり、空間部分を他の液状、固体状物質で埋めても良い。
【0063】
有機EL表示素子の駆動は第1基板に複数有する素子の駆動回路(薄膜トランジスタ)で行う。図2は、1画素409の駆動回路の一例を示す模式図である。表示素子外部のスキャンライン駆動回路(不図示)及びデータライン駆動回路(不図示)につながれたスキャンライン401とデータライン402とは、それぞれ第1トランジスタ403のゲート電極とソース電極とにつながれている。スキャンライン401とデータライン402とにそれぞれ電圧信号が入力されると、第1トランジスタ403のドレイン電極に電圧が加わる。第1トランジスタ403のドレインにつながれた第2トランジスタ404のゲートとキャパシタ408とに信号が入力される。すると、電源407が接続された電流供給線405につながれた第2トランジスタ404のソースからドレインに電流が流れ、更にドレインにつながれた第1電極を経て有機発光層406に正孔を供給する。同時に基板端部で電源線につながれた第2電極より電子を有機発光層406に注入し、有機発光層406の中の発光層で正孔と電子とが再結合することにより、素子が発光する。
【0064】
このような有機EL表示素子が画素として同一面内に複数配置されている領域が、表示装置の表示領域である。図3に2次元状に複数配置した状態、即ちマトリックス状に配置したものを模式的に示す。図3に示す画素は、配線を介してゲートドライバ503、ソースドライバ504と接続され、駆動パルスが供給されることで、発光状態或いは非発光状態となる。
【0065】
図3で示した表示装置をパネルモジュール化した構成を図4に示す。パネルモジュール508とは、図3で示した構成に加え、インターフェースドライバ505、接続端子506などの外部機器との接続に必要な部品を筐体507で一体化した構成を意味する。
【0066】
表示装置は例えばテレビ(図5(b)参照)やPC用の表示装置、或いは画像を表示する部分を有する機器であれば如何なる形態も問わない。例えば携帯型の表示装置であってもよい。或いはデジタルカメラ等の電子撮像装置や携帯電話(図5(a)参照)の表示部に本実施形態に係る表示装置を用いても良い。しかしながら、本発明の効果を最も享受できるのは対角40インチ以上の大画面とする場合であり、その理由を以下に説明する。
【0067】
ここで、特開2005−56846号公報を参考に、第2電極の電圧降下の計算例を示す。前提条件として単位電流当りの発光光量が10cd/Aという高い発光効率を有する有機発光材料を用いたとし、発光輝度を300cd/m2と設定した。また、定電流駆動を行う電圧許容範囲を10Vと設定する。表示装置としては、画面の縦横寸法比を9:16とし、画素の縦横の数をそれぞれ、1200ドット、2000ドットとした。また、図6に示すように表示領域502の長辺に沿った2端部を給電点501とした。
【0068】
まず、最も単純な系として第2電極のみの場合を計算する。この場合の表示領域の中央部での電圧降下ΔVを式(1)に示す。
ΔV=(中央までの総和×i×r)=1/2×M(N+1)×i×r (1)
N:縦方向の全画素数
M:横方向の全画素数
i:1画素に流れる定電流値
r:1画素当りの第2電極の抵抗値
【0069】
ここで、第2電極の比抵抗をρ1、膜厚をt1、画素の幅を横w、縦Lとする。
【0070】
1画素当りの電流値は、
i=300〔cd/m2〕/10〔cd/A〕×w×L=30wL〔A〕 (2)
となる。また、1画素当りの抵抗値は、
r=ρ1×L/(w×t1)〔Ω〕 (3)
と表せる。縦方向と横方向の表示領域の幅をそれぞれW0、L0とすると、
w=W0/2000〔m/ドット〕 (4)
L=L0/1200〔m/ドット〕 (5)
である。
【0071】
次に、導電性ブラックマトリクスを設けた場合を示す。導電性ブラックマトリクスの膜厚t2は、第2電極と同じ膜厚300nmで計算した。ここでの計算は導電性ブラックマトリクスの比抵抗をρ2とした。
【0072】
開口率80%を前提とすると、導電性ブラックマトリクスの縦方向と横方向の幅は画素の寸法に対して同じ比率の10.56%となる。
【0073】
1画素当りに流れる電流は前述の(2)式と同じである。抵抗値rは第2電極側の抵抗r1と導電性ブラックマトリクス側の抵抗r2との合成抵抗になる。
【0074】
導電性ブラックマトリクスの横方向の幅は、0.1056wと表せることから、導電性ブラックマトリクスの縦方向の抵抗値r2は以下のようになる。
2=ρ2×L/(0.1056w×t2)〔Ω〕 (6)
また、第2電極側の画素単位の抵抗値は、
1=ρ1×L/(w×t)〔Ω〕 (7)
であるから、合成抵抗値は、
r=r1×r2/(r1+r2)〔Ω〕 (8)
となる。
【0075】
さらに同じ要領で、第2基板に設けた透明導電膜による補助電極の効果を計算する。
【0076】
この場合、補助電極として使用できる領域は画素全面であることから、導電性ブラックマトリクスの場合のように配線幅による抵抗増大はない。さらには、第2電極と比べ、第2基板上に透明導電膜を形成する場合、低抵抗化する成膜条件にすることが可能であるため1桁以上低抵抗であり、かつ透過率が高い透明導電膜を形成することができる。
【0077】
従って、第2基板に設けた透明導電膜による補助電極の抵抗をr3とし、透明導電膜の比抵抗をρ3とすると以下のようになる。
3=ρ3×L/(w×t3)〔Ω〕 (9)
であるから、合成抵抗値は、
r=r1×r2×r3/(r1×r2+r2×r3+r3×r1)〔Ω〕 (10)
となる。
【0078】
(1)〜(2)式、(4)〜(10)式に基づき、電圧降下ΔVを計算した結果を図7に示す。ΔV1、ΔV2、ΔV3は、それぞれ第2電極のみの場合、第2電極と導電性ブラックマトリクスの場合、第2電極と導電性ブラックマトリクスと第2基板に設けた補助電極を使用する場合(本発明)である。
【0079】
用いたパラメータの値は以下の通りである。
ρ1・・・600μΩ・cm
1・・・300nm
ρ2・・・4μΩ・cm
2・・・300nm
ρ3・・・60μΩ・cm
3・・・300nm
【0080】
図7ではΔV2(第2電極と導電性ブラックマトリクス)の場合、対角寸法が50インチよりも小さいもので、既に電圧降下が定電流駆動の電圧許容値10Vを超えてしまう。従って、定電流駆動が困難になり、表示装置の大型化に制限が生じる。膜厚を厚くして電圧降下を抑制することが考えられるが、材料コスト・プロセス時間の増大が発生するだけでなく、基板自体が金属膜の影響で反りを生じてしまい、組立時に支障が生じる。
【0081】
一方、本提案である、ΔV3(第2電極と導電性ブラックマトリクスと第2基板に設けた補助電極)の場合では、50インチにおいても電圧許容値10Vを超えることがない。従って、家庭用向け表示装置として十分な低抵抗化が得られている。
【0082】
上記の計算例で本発明の効果を立証できたと考えられるが、計算結果は前提条件により変わる。従って、本発明が効果的な画面サイズを明確にすることは容易ではない。しかしながら、前出の計算をベースに設計マージンなどを考慮すると、本発明の効果的な画面サイズは40インチ以上である。
【0083】
図1において、図示した3画素いずれも同一の有機発光層112を使用していることから、得られる発光はモノカラーであり、画素ごとに薄膜トランジスタを制御することにより発光301、302、303が得られる。以上のような構成により低コストで生産でき、かつ第2電極203に起因する電圧降下による発光輝度低下のない大面積な有機EL表示装置が実現可能となる。
【0084】
<実施形態2>
図8に異なるブラックマトリクス形態を持つ有機EL表示素子の断面図を示す。
【0085】
図8に示すように、絶縁部材からなるブラックマトリクス211と低抵抗な導電層204とが積層されており、ブラックマトリクス211内に導電ビア208を形成して第2電極203と補助電極202とを接続した構造となっている。
【0086】
ブラックマトリクス211は黒色顔料を含んだ材料を用いることによって、金属のみの導電性ブラックマトリクスに比べて画像のコントラストを向上することが可能である。本実施形態においては、感光性ポリイミドにカーボンなどの黒色顔料を分散させた材料を用いて、フォトリソプロセスを用いてブラックマトリクス211を形成した。ブラックマトリクス211の厚さは3000nmである。
【0087】
導電ビア208の形成手法としてはスクリーン印刷での導電性ペーストの埋め込みを使用した。導電性ペーストは銀ペーストの硬化物で、150℃の温度で1時間、オーブン乾燥して硬化させた。
【0088】
導電層204はアルミニウムをスパッタ成膜して形成した。膜厚は300nmである。
【0089】
その他の構造は実施形態1と同様にして有機EL表示素子が得られる。
【0090】
<実施形態3>
図9は第2電極203を形成後に絶縁体よりなる保護膜115を成膜し、導電ビーズ209を用いて保護膜115を貫通させることで第2電極203と補助電極202との接続を取る例の断面構造である。
【0091】
実施形態1と同様な方法で第1基板101、第2基板201を成膜した。第2基板201には導電性ポリマーに導電ビーズ209として金メッキしたシリカビーズや金属ボールを分散させて、スピンコートで塗布し、フォトリソプロセスを行った。これによりブラックマトリクス205上に導電ビーズ209を選択的に固着させた。ビーズの直径は5μm〜30μm程度が適当である。
【0092】
第1基板101と第2基板201とを重ね合わせる時に、導電ビーズ209を強く押し付けて保護膜115に孔を開け貫通させた。
【0093】
保護膜115は樹脂系の場合、パリレンのような化学気相成長でダイマーからポリマーを低温形成するプロセスや、モノマーの材料を蒸着し、紫外線重合によりポリマー化する手法が実用的である。例えば、保護膜115としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の金属窒化物膜や、酸化タンタル等の金属酸化物膜、ダイヤモンド薄膜;
また、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられ、複数の組合せでも良い。
【0094】
また、酸素透過性や水分透過性に対する抑制効果を向上させるために、酸化珪素や窒化珪素等の膜を更に積層してもよい。膜厚としては合計で0.5μm〜2μmが適当である。本実施形態ではポリパラキシレンを1μmの厚さに形成して用いている。
【0095】
その他の構造は実施形態1と同様にして有機EL表示素子が得られる。
【0096】
<実施形態4>
図10は第2電極203を形成後に絶縁体よりなる保護膜115を成膜し、導電バンプ210を用いて保護膜115を貫通させることで、第2電極203と補助電極202との接続を取る例の断面構造である。
【0097】
実施形態1と同様な方法で第1基板101、第2基板201を成膜した。第2基板201にはブラックマトリクス205を形成後、円柱状又は壁状の導電バンプ210をディスペンス法を用いて形成した。材質は銀ペーストの硬化物である。この導電バンプ210の高さは5μm〜30μmとする。銀ペーストは、150℃の温度で1時間、オーブン乾燥して硬化した。第1基板101と第2基板201とを重ね合わせた時に、導電バンプ210を強く押し付けて保護膜115に孔を開け貫通させた。
【0098】
保護膜115は実施形態3と同じポリパラキシレンを1μmの厚さに形成した。給電点と画素の間の距離と比べ、導電バンプ210の高さは無視できる。このため導電バンプ210には、第2電極203と同程度の比抵抗の材料を用いても構わない。
【0099】
その他の構造は実施形態1と同様にして有機EL表示素子が得られる。
【0100】
<実施形態5>
図11にカラーフィルタを設けた有機EL表示素子の断面図を示す。ブラックマトリクス205で囲まれた画素領域にフォトリソプロセスを使用しカラーフィルタ214、215、216を形成した。図11は3つの画素(表示素子)を示しており、いずれも同じ材料であることから同じ色を発光する。そして、3つの画素に、それぞれ異なる分光特性を有するカラーフィルタ214、215、216を設けていることから、対応した発光304、305、306が得られる。
【0101】
表示素子が白色に発光する場合、ブラックマトリクス205の開口部に設けるカラーフィルタは、赤、緑、青の3色を形成する。表示素子が青色に発光する場合、赤、緑、青に発光色を変換する色変換フィルタを形成する。カラーフィルタ及び色変換フィルタには赤、緑、青色の光が得られるだけでなく、白色が得られるようにした領域を設けても構わない。また、複数のフィルタを重ねて目的とする発光が得られる構造としても良い。
【0102】
その他の構造は実施形態1と同様にして有機EL表示素子が得られる。
【0103】
フルカラーであれば画素の表示素子を薄膜トランジスタでそれぞれ制御する。また、フルカラーの場合の選択枝として、上記の3色の画素の他に白色の画素を加えた4色を1画素として表示の制御をする手法もある。
【0104】
上記では有機発光層が単色発光する場合を示した。しかし、インクジェット、ディスペンスなどの塗布プロセスを用いたり、高精度のメタルマスクを用いた蒸着を用いたりといったパターン分離の課題が解決されるのであれば、画素毎に赤色・緑色・青色に発光する有機発光層を持つようにしても良い。
【0105】
<実施形態6>
図12に、第2電極と補助電極との間に充填材207を設けた有機EL表示素子の断面図を示す。
【0106】
充填材207は、光学的に透明であることが望ましく、化学的には第2電極若しくはカラーフィルタ側への侵食が生じない安定な物質であることが望ましい。本発明においてはアクリル系樹脂を用いて凹凸段差を埋める構造としている。その他の構造は実施形態1と同様にして有機EL表示素子が得られる。
【0107】
この場合、図12に示すように補助電極202と第2電極203との間に充填材207が閉じ込められた状態を作っても良い。補助電極202と充填材207との間にカラーフィルタがあっても良い(不図示)。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の有機EL表示素子は、テレビ、携帯電話、コンピュータ、ゲーム機、その他各種機器などに使用される表示装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態1を示す有機EL表示素子の断面図である。
【図2】本発明の有機EL表示素子の駆動回路を示す模式図である。
【図3】図2の回路を1画素としてマトリックス状に配置し、表示装置を構成した状態を示す模式図である。
【図4】図3の表示装置をパネルモジュール化した構成を示す模式図である。
【図5】図4に示したパネルモジュールの応用製品例を示す模式図である。
【図6】本発明における表示装置と給電部の位置関係を示す模式図である。
【図7】本発明における表示領域中央部の電圧降下を計算した結果の一例を示す。
【図8】本発明の実施形態2を示す有機EL表示素子の断面図である。
【図9】本発明の実施形態3を示す有機EL表示素子の断面図である。
【図10】本発明の実施形態4を示す有機EL表示素子の断面図である。
【図11】本発明の実施形態5を示す有機EL表示素子の断面図である。
【図12】本発明の実施形態6を示す有機EL表示素子の断面図である。
【符号の説明】
【0110】
101 第1基板
102 半導体層
103 ゲート絶縁層
104 ゲート電極
105 ソース電極
106 ドレイン電極
107 ビアの開口
108 層間絶縁膜
109 平坦化膜
110 第1電極
111 注入層
112 有機発光層
113 補助隔壁
114 隔壁
115 保護膜
201 第2基板
202 補助電極
203 第2電極
204 導電層
205 導電性のブラックマトリクス
207 充填材
208 導電ビア
209 導電ビーズ
210 導電バンプ
211 絶縁性のブラックマトリクス
214、215、216 カラーフィルタ若しくは色変換フィルタ
301 1画素からの光の取り出し
302 1画素からの光の取り出し
303 1画素からの光の取り出し
304 1画素からの光の取り出し
305 1画素からの光の取り出し
306 1画素からの光の取り出し
401 スキャンライン
402 データライン
403 第1トランジスタ
404 第2トランジスタ
405 電流供給線
406 有機発光層
407 電源
408 キャパシタ
409 1画素の駆動回路範囲
501 給電点
502 表示領域
503 ゲートドライバ
504 ソースドライバ
505 インターフェースドライバ
506 接続端子
507 筐体
508 パネルモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の上に薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されている第1電極と、前記第1電極と対峙する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた有機発光層とを有しており、
前記第2電極の上に第2基板が配置されており、
前記第2基板の前記第2電極側には、前記有機発光層からの光が前記第2電極を透過して前記第2基板側に放射される発光面を覆うように、透明導電膜からなる補助電極が形成されており、
前記第2電極と前記補助電極とが電気的に接続されていることを特徴とする有機EL表示素子。
【請求項2】
前記第2電極と前記補助電極とを電気的に接続する手段として、導電部材からなるブラックマトリクスを用いることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示素子。
【請求項3】
前記第2電極と前記補助電極とを電気的に接続する手段として、絶縁部材からなるブラックマトリクスの内に形成した導電ビアを用いることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示素子。
【請求項4】
前記第2電極の第2基板側に保護膜を有し、前記保護膜を貫通する導電ビーズにより前記第2電極と前記補助電極とが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示素子。
【請求項5】
前記第2電極の第2基板側に保護膜を有し、前記保護膜を貫通する導電バンプにより前記第2電極と前記補助電極とが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示素子。
【請求項6】
前記第2電極と前記補助電極との間にカラーフィルタ若しくは色変換フィルタを挿入していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の有機EL表示素子。
【請求項7】
前記第2電極と前記補助電極との間に充填材を挿入していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の有機EL表示素子。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載された前記有機EL表示素子と該有機EL表示素子の駆動回路を複数有することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項9】
画面サイズが対角40インチ以上であることを特徴とする請求項8に記載した有機EL表示装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載された有機EL表示装置と外部機器とのインターフェースとを有することを特徴とするパネルモジュール。
【請求項11】
第1基板の上に薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されている第1電極と、前記第1電極と対峙する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた有機発光層とを有しており、
前記第2電極の上に第2基板が配置されており、
前記第2基板の前記第2電極側には、前記有機発光層からの光が前記第2電極を透過して前記第2基板側に放射される発光面を覆うように、透明導電膜からなる補助電極が形成されており、
前記第1基板の上の第2電極と前記第2基板の上の補助電極とを重ねて貼り合せることで第2電極と補助電極とを電気的に接続することを特徴とする有機EL表示素子の製造方法。
【請求項12】
前記第2電極と前記補助電極とを電気的に接続する手段として、導電部材からなるブラックマトリクスを用いることを特徴とする請求項11に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項13】
前記第2電極と前記補助電極とを電気的に接続する手段として、絶縁部材からなるブラックマトリクスの内に形成した導電ビアを用いることを特徴とする請求項11に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項14】
前記導電ビアとしてスクリーン印刷による銀ペーストの硬化物を用いることを特徴とする請求項13に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項15】
前記第2電極の第2基板側に保護膜を有し、前記保護膜を貫通する導電ビーズにより前記第2電極と前記補助電極とが接続されていることを特徴とする請求項11に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項16】
前記導電ビーズとして金メッキしたシリカビーズを用いることを特徴とする請求項15に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項17】
前記第2電極の第2基板側に保護膜を有し、前記保護膜を貫通する導電バンプにより前記第2電極と前記補助電極とが接続されていることを特徴とする請求項11に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項18】
前記導電バンプとしてディスペンス法による銀ペーストの硬化物を用いることを特徴とする請求項17に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項19】
前記第2電極と前記補助電極との間にカラーフィルタ若しくは色変換フィルタを挿入していることを特徴とする請求項11乃至請求項18のいずれか1項に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項20】
前記第2電極と前記補助電極との間に充填材を挿入していることを特徴とする請求項11乃至請求項19のいずれか1項に記載の有機EL表示素子の製造方法。
【請求項21】
前記充填材としてアクリル系樹脂を用いることを特徴とする請求項20に記載の有機EL表示素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−128671(P2009−128671A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304111(P2007−304111)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】