説明

有機EL表示装置

【課題】有機EL素子の外光照射による劣化を十分に抑制する。
【解決手段】本発明の有機EL表示装置は、有機EL素子OLEDと、その前面側に配置されると共に可視光線についての透過率が418nm以下の各波長で3%以下であり且つ450nm乃至770nmの各波長で40%以上である紫外線遮断層MLFとを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置を搭載した電子機器では、表示パネルの前面側に偏光板を配置することがある。これら偏光板の多くは紫外線遮断機能を有しており、したがって、有機EL素子の紫外線照射による劣化を抑制する役割を担っている。しかしながら、そのような偏光板を有機EL表示パネルの前面側に配置したとしても、外光照射による有機EL素子の劣化を十分に抑制できる訳ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、有機EL素子の外光照射による劣化を十分に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1側面によると、有機EL素子と、その前面側に配置されると共に可視光線についての透過率が418nm以下の各波長で3%以下であり且つ450nm乃至770nmの各波長で40%以上である紫外線遮断層とを具備したことを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【0005】
本発明の第2側面によると、有機EL素子と、その前面側に配置されると共に波長が418nmの光についての透過率T418と波長が450nmの光についての透過率T450との比T418/T450が0.1以下である紫外線遮断層とを具備したことを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【0006】
本発明の第3側面によると、有機EL素子と、その前面側に配置されると共に波長が418nm以下の可視光線についての透過率の最大値Tmaxと波長が450nm乃至770nmの範囲内にある光についての透過率の最小値Tminとの比Tmax/Tminが0.1以下である紫外線遮断層とを具備したことを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、有機EL素子の外光照射による劣化を十分に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
図1は、本発明の一態様に係る表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1の表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図である。なお、図2では、表示装置を、その表示面,すなわち前面又は光出射面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
【0010】
図1及び図2の表示装置は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置は、表示パネルDPと、映像信号線ドライバXDRと、走査信号線ドライバYDRと、多層フィルムMLFとを含んでいる。
【0011】
表示パネルDPは、アレイ基板ASと、封止基板CSと、それらの間に介在したシール層SSとを含んでいる。アレイ基板ASと封止基板CSとは向き合っている。シール層SSは、枠形状を有しており、アレイ基板ASと封止基板CSとの間に密閉空間を形成している。この密閉空間は、不活性ガスで満たされている。
【0012】
アレイ基板ASは、例えば、ガラス基板などの絶縁基板SUBを含んでいる。
基板SUB上には、図2に示すように、アンダーコート層UCとして、例えば、SiNx層とSiOx層とが順次積層されている。
【0013】
アンダーコート層UC上には、例えばチャネル及びソース・ドレインが形成されたポリシリコン層である半導体層SC、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)などを用いて形成され得るゲート絶縁膜GI、及び例えばMoWなどからなるゲートGが順次積層されており、それらは電界効果トランジスタであるトップゲート型の薄膜トランジスタを構成している。この例では、これら薄膜トランジスタは、pチャネル薄膜トランジスタであり、図1の駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWcとして利用している。
【0014】
ゲート絶縁膜GI上には、図1に示す走査信号線SL1及びSL2と、図示しない下部電極とがさらに配置されている。走査信号線SL1及びSL2並びに下部電極は、ゲートGと同一の工程で形成可能である。
【0015】
走査信号線SL1及びSL2は、図1に示すように、各々が画素PXの行方向(X方向)に延びており、画素PXの列方向(Y方向)に交互に配列している。これら走査信号線SL1及びSL2は、走査信号線ドライバYDRに接続されている。
【0016】
下部電極は、駆動制御素子DRのゲートに接続されている。下部電極は、後述するキャパシタCの一方の電極として利用する。
【0017】
ゲート絶縁膜GI、ゲートG、走査信号線SL1及びSL2、並びに下部電極は、図2に示す層間絶縁膜IIで被覆されている。層間絶縁膜IIは、例えばプラズマCVD法などにより成膜されたSiOxなどからなる。この層間絶縁膜IIのうち下部電極上の部分は、キャパシタCの誘電体層として利用する。
【0018】
層間絶縁膜II上には、図2に示すソース電極SE及びドレイン電極DE、図1に示す映像信号線DL、電源線PSL、並びに図示しない上部電極が配置されている。これらは、同一工程で形成可能であり、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有している。
【0019】
ソース電極SE及びドレイン電極DEは、層間絶縁膜IIに設けられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタのソース及びドレインに電気的に接続されている。
【0020】
映像信号線DLは、図1に示すように、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。これら映像信号線DLの各々の一端は、映像信号線ドライバXDRに接続されている。
【0021】
電源線PSLは、この例では、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。また、この例では、電源線PSLは、映像信号線ドライバXDRに接続されている。
【0022】
上部電極は、電源線PSLに接続されている。上部電極は、キャパシタCの他方の電極として利用する。
【0023】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、映像信号線DL、電源線PSL、及び上部電極は、パッシベーション膜PSで被覆されている。パッシベーション膜PSは、例えばSiNxなどからなる。
【0024】
パッシベーション膜PS上には、前面電極として、光透過性の画素電極PEが形成されている。画素電極PEは、パッシベーション膜PSに設けた貫通孔を介して、スイッチSWaのドレイン電極DEに接続されている。
【0025】
画素電極PEは、この例では陽極である。画素電極PEの材料としては、例えば、ITO(indium tin oxide)のような透明導電性酸化物を使用することができる。
【0026】
パッシベーション膜PS上には、さらに、図2に示す隔壁絶縁層PIが形成されている。隔壁絶縁層PIには、画素電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられているか、或いは、画素電極PEが形成する列又は行に対応した位置にスリットが設けられている。ここでは、一例として、隔壁絶縁層PIには、画素電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられていることとする。
【0027】
隔壁絶縁層PIは、例えば、有機絶縁層である。隔壁絶縁層PIは、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
【0028】
画素電極PE上には、活性層として発光層を含んだ有機物層ORGが配置されている。発光層は、例えば、発光色が青、緑又は赤色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層ORGは、発光層に加え、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などもさらに含むことができる。
【0029】
隔壁絶縁層PI及び有機物層ORGは、図2に示すように、背面電極である対向電極CEで被覆されている。対向電極CEは、画素PX間で互いに接続された共通電極であり、この例では例えばアルミニウムからなる光反射性の陰極である。対向電極CEは、例えば、パッシベーション膜PSと隔壁絶縁層PIとに設けられたコンタクトホールを介して、映像信号線DLと同一の層上に形成された電極配線(図示せず)に電気的に接続されている。各々の有機EL素子OLEDは、画素電極PE、有機物層ORG及び対向電極CEで構成されている。
【0030】
画素PXの各々が含む画素回路は、この例では、駆動制御素子(駆動トランジスタ)DRと、出力制御スイッチSWaと、映像信号供給制御スイッチSWbと、ダイオード接続スイッチSWcと、キャパシタCとを含んでいる。上記の通り、この例では、駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWcはpチャネル薄膜トランジスタである。また、この例では、映像信号供給制御スイッチSWbとダイオード接続スイッチSWcとは、駆動制御素子DRのドレインと映像信号線DLと駆動制御素子DRのゲートとの接続状態を、それらが互いに接続された第1状態と、それらが互いから遮断された第2状態との間で切り替えるスイッチ群を構成している。
【0031】
駆動制御素子DRと出力制御スイッチSWaと有機EL素子OLEDとは、第1電源端子ND1と第2電源端子ND2との間で、この順に直列に接続されている。この例では、第1電源端子ND1は高電位電源端子であり、第2電源端子ND2は低電位電源端子である。
【0032】
出力制御スイッチSWaのゲートは、走査信号線SL1に接続されている。映像信号供給制御スイッチSWbは映像信号線DLと駆動制御素子DRのドレインとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。ダイオード接続スイッチSWcは駆動制御素子DRのゲートとドレインとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。
【0033】
キャパシタCは、駆動制御素子DRのゲートと定電位端子ND1’との間に接続されている。定電位端子ND1’は、例えば第1電源端子ND1に接続する。
【0034】
映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、この例では、アレイ基板AS上に配置されている。すなわち、この例では、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRをCOG(chip on glass)実装している。映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、COG実装する代わりに、TCP(tape carrier package)実装してもよい。
【0035】
多層フィルムMLFは、表示パネルDPの前面に貼り付けられている。多層フィルムMLFは、偏光フィルタとしての機能を有する紫外線遮断層である。
【0036】
図3は、図1及び図2の有機EL表示装置で使用可能な多層フィルムの一例を概略的に示す断面図である。この多層フィルムMLFは、位相差板RTDと、接着剤層AD1と、偏光板PLZと、硬質樹脂層HRと、紫外線吸収層UVAと、反射防止層ARとを含んでいる。多層フィルムMLFは、位相差板RTDが基板SUBと向き合うように配置されてると共に、接着剤層AD2を介してアレイ基板ASに貼り付けられている。偏光板PLZと紫外線吸収層UVAとは、図3に示したのとは逆の順番で積層してもよい。
【0037】
多層フィルムMLFは、紫外線を遮断するのに加え、可視光線のうち波長の短い光線を遮断する。典型的には、この光学特性は、主として、紫外線吸収層UVAによりもたらされる。
【0038】
紫外線吸収層UVAとしては、例えば、有機高分子フィルムに金属酸化物からなる超微粒子を支持させたものを使用することができる。例えば、紫外線吸収層UVAとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にATO(antimony tin oxide)やITO(indium tin oxide)などからなる超微粒子を分散させたものを使用することができる。また、この紫外線吸収層UVAの代わりに、誘電体多層膜からなる干渉フィルタを使用することもできる。
【0039】
この有機EL表示装置で画像を表示する場合、例えば、走査信号線SL1及びSL2の各々を線順次駆動する。そして、或る行の画素PXに映像信号を書き込む書込期間では、まず、走査信号線ドライバYDRから、先の画素PXが接続された走査信号線SL1にスイッチSWaを開く(OFF)走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PXが接続された走査信号線SL2にスイッチSWb及びSWcを閉じる(ON)走査信号を電圧信号として出力する。この状態で、映像信号線ドライバXDRから、先の画素PXが接続された映像信号線DLに映像信号を電流信号としてそれぞれ出力し、駆動制御素子DRのゲート−ソース間電圧を、先の映像信号に対応した大きさに設定する。その後、走査信号線ドライバYDRから、先の画素PXが接続された走査信号線SL2にスイッチSWb及びSWcを開く(OFF)走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PXが接続された走査信号線SL1にスイッチSWaを閉じる(ON)走査信号を電圧信号として出力する。
【0040】
スイッチSWaを閉じ(ON)ている有効表示期間では、有機EL素子OLEDには、駆動制御素子DRのゲート−ソース間電圧に対応した大きさの駆動電流が流れる。有機EL素子OLEDは、駆動電流の大きさに対応した輝度で発光する。
【0041】
さて、この有機EL表示装置で使用している多層フィルムMLFは、紫外線を遮断するのに加え、可視光線のうち波長の短い光線を遮断する。そのため、有機EL素子OLEDの太陽光等の外光照射による劣化を十分に抑制することが可能となる。これについて、以下に詳細に説明する。
【0042】
図4は、有機EL素子が含む有機物層の光学特性の一例を示すグラフである。図中、横軸は波長を示し、縦軸は屈折率及び消衰係数を示している。また、曲線Cnは有機物層ORGの屈折率を示し、曲線Ckは有機物層ORGの消衰係数を示している。
【0043】
図4に示すように、有機EL素子OLEDの有機物層ORGは、波長が400nm以下の紫外域に吸収のピークがある。但し、有機物層ORGは、紫外線のみを吸収する訳ではなく、波長が400nmよりも長い可視光線のうち波長が短い光線も吸収する。そのため、紫外線のみを遮断しても、有機EL素子OLEDの外光照射による劣化を十分に抑制することはできない。
【0044】
これに対し、上記の通り、多層フィルムMLFは、紫外線を遮断するのに加え、可視光線のうち波長の短い光線を遮断する。そのため、有機EL素子OLEDの外光照射による劣化を十分に抑制することができる。
【0045】
なお、波長が450nm以上の可視光線を遮断すると、波長が約500nm以下の光線を遮断すれば、有機EL素子OLEDの外光照射による劣化をほぼ完全に防止できる。しかしながら、この場合、色再現性が不十分となる。したがって、多層フィルムMLFは、波長が450nm以上の可視光線を透過するように設計し、より高い色再現性が要求される場合には波長が430nm以上の可視光線を透過するように設計する。
【0046】
図5は、図1及び図2の有機EL表示装置で使用可能な多層フィルムの光学特性の一例を示すグラフである。図6は、図5の一部を拡大して示すグラフである。図5及び図6において、横軸は波長を示し、縦軸は透過率を示している。
【0047】
図5及び図6において、曲線C1は、図3の構造を有する多層フィルムMLFの透過率を示している。ここでは、硬質樹脂層HRとしてポリカーボネート層層を使用し、紫外線吸収層UVAとしてポリエチレンテレフタレートフィルム上にATOからなる超微粒子を分散させたものを使用し、反射防止層ARとしてSiO2層とTiO2層との積層体を使用している。曲線C2は、先の多層フィルムMLFから紫外線吸収層UVAを省略したものの透過率を示している。また、曲線C3は、先の多層フィルムMLFから紫外線吸収層UVAと反射防止層ARとを省略したものの透過率を示している。
【0048】
この多層フィルムMLFは、曲線C1で示すように、紫外線についての透過率が0%であるのに加え、可視光線についての透過率が418nm以下の各波長で0%である。測定誤差が最大で2乃至3%であることを考慮すると、この多層フィルムMLFは、紫外線についての透過率が3%以下であるのに加え、可視光線についての透過率が418nm以下の各波長で3%以下である。また、この多層フィルムMLFは、可視光線についての透過率が420nm以上の各波長で10%以上であり、450nm乃至770nmの各波長で40%以上である。
【0049】
すなわち、この多層フィルムMLFは、波長が紫外線に近い可視光線についての透過率とそれ以外の波長の可視光線についての透過率との比が小さい。例えば、この多層フィルムMLFは、波長が418nmの光についての透過率T418と波長が450nmの光についての透過率T450との比T418/T450は0.1以下である。また、この多層フィルムMLFは、波長が418nm以下の可視光線についての透過率の最大値Tmaxと波長が450nm乃至770nmの範囲内にある光についての透過率の最小値Tminとの比Tmax/Tminが0.1以下である。
【0050】
これに対し、先の多層フィルムMLFから紫外線吸収層UVAなどを省略すると、曲線C2及びC3から明らかなように、可視光線についての透過率は410nm以上の各波長で10%を超えてしまう。このように、先の多層フィルムMLFから紫外線吸収層UVAを省略すると、曲線C1で示すような透過率を実現できない。
【0051】
この光学特性の相違が有機EL表示装置の耐光特性に与える影響を調べるべく、以下の耐光試験を行った。すなわち、表示面に光を照射しながら有機EL表示装置を連続点灯し、一定時間毎に輝度を測定した。ここでは、光源としてサンシャインカーボンアークを使用し、温度は約63℃に、相対湿度は約30乃至約70%に管理した。また、波長300乃至700nmの光線についての照射照度は255W/m2とした。なお、この条件のもとでは、試験を360時間継続することは、表示装置を自動車の車内に設置してから15年間経過したことに相当する。
【0052】
図7乃至図10は、有機EL表示装置の耐光特性を示すグラフである。図7には、有機EL表示装置に白色画像を表示させた場合に得られたデータを示している。図8には、有機EL表示装置に青色画像を表示させた場合に得られたデータを示している。図9には、有機EL表示装置に緑色画像を表示させた場合に得られたデータを示している。図10には、有機EL表示装置に赤色画像を表示させた場合に得られたデータを示している。
【0053】
図7乃至図10において、横軸は耐光試験開始からの経過時間を示し、縦軸は初期輝度を基準とした相対輝度を示している。また、曲線CAは、図5及び図6において曲線C1で表す光学特性を有する多層フィルムMLFを用いた場合のデータを示している。他方、曲線CBは、この多層フィルムMLFの代わりに、図5及び図6において曲線C2で表す光学特性を有するフィルムを用いた場合のデータを示している。
【0054】
曲線CAと曲線CBとの比較から明らかなように、紫外線吸収層UVAを含む多層フィルムMLFを用いた場合には、相対輝度の低下を十分に抑制することができた。すなわち、紫外線吸収層UVAを含む多層フィルムMLFを用いた場合、優れた耐光特性を実現することができた。
【0055】
また、紫外線遮蔽層UVAをパネル外側に配置することにより、紫外線遮蔽層UVA内で吸収する熱が有機EL素子OLEDへ及ぼす影響を抑制することが可能となる。したがって、パネル内部に紫外線遮蔽層UVAを設けた場合と比べ、より長寿命な表示装置を実現することが可能となる。
【0056】
本態様では、本発明を下面発光型の有機EL表示装置に適用したが、本発明は上面発光型の有機EL表示装置にも適用可能である。また、本態様では、画素回路に映像信号として電流信号を書き込む構成を採用したが、画素回路に映像信号として電圧信号を書き込む構成を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の本発明の一態様に係る表示装置を概略的に示す平面図。
【図2】図1の表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図。
【図3】図1及び図2の有機EL表示装置で使用可能な多層フィルムの一例を概略的に示す断面図。
【図4】有機EL素子が含む有機物層の光学特性の一例を示すグラフ。
【図5】図1及び図2の有機EL表示装置で使用可能な多層フィルムの光学特性の一例を示すグラフ。
【図6】図5の一部を拡大して示すグラフ。
【図7】有機EL表示装置の耐光特性を示すグラフ。
【図8】有機EL表示装置の耐光特性を示すグラフ。
【図9】有機EL表示装置の耐光特性を示すグラフ。
【図10】有機EL表示装置の耐光特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0058】
AD1…接着剤層、AD2…接着剤層、AR…反射防止層、AS…アレイ基板、C…キャパシタ、C1…透過率、C2…透過率、C3…透過率、CA…相対輝度、CB…相対輝度、Ck…消衰係数、Cn…屈折率、CE…対向電極、CS…封止基板、DE…ドレイン電極、DL…映像信号線、DP…表示パネル、DR…駆動制御素子、G…ゲート、GI…ゲート絶縁膜、HR…硬質樹脂層、II…層間絶縁膜、MLF…多層フィルム、ND1…電源端子、ND1’…定電位端子、ND2…電源端子、OLED…有機EL素子、ORG…有機物層、PE…画素電極、PI…隔壁絶縁層、PLZ…偏光板、PS…パッシベーション膜、PSL…電源線、PX…画素、RTD…位相差板、SC…半導体層、SE…ソース電極、SL1…走査信号線、SL2…走査信号線、SS…シール層、SUB…絶縁基板、SWa…出力制御スイッチ、SWb…映像信号供給制御スイッチ、SWc…ダイオード接続スイッチ、UC…アンダーコート層、UVA…紫外線吸収層、XDR…映像信号線ドライバ、YDR…走査信号線ドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL素子と、その前面側に配置されると共に可視光線についての透過率が418nm以下の各波長で3%以下であり且つ450nm乃至770nmの各波長で40%以上である紫外線遮断層とを具備したことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記紫外線遮断層は可視光線についての透過率が420nm以上の各波長で10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
有機EL素子と、その前面側に配置されると共に波長が418nmの光についての透過率T418と波長が450nmの光についての透過率T450との比T418/T450が0.1以下である紫外線遮断層とを具備したことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
有機EL素子と、その前面側に配置されると共に波長が418nm以下の可視光線についての透過率の最大値Tmaxと波長が450nm乃至770nmの範囲内にある光についての透過率の最小値Tminとの比Tmax/Tminが0.1以下である紫外線遮断層とを具備したことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
前記紫外線遮断層は偏光板を含んでいることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の有機EL表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−27043(P2007−27043A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211356(P2005−211356)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】