有機EL装置及び光学装置
【課題】平坦な表面を有する有機EL層をインクジェット法を用いて形成する。
【解決手段】孔部90は、第1側壁面48aから塗布液51に開口し、図中Y方向に沿ってバンク部47中に延在される。孔部は、凹部62に塗布液51が塗布された際に、塗布液の一部を孔部を介して凹部から逃がす。乾燥前の塗布液は、毛細管現象によって孔部から凹部の外側、即ちバンク部47中に延びる孔部に吸い出される。この際、凹部に残留する塗布液に対して、図中Y方向に沿って力Fy1が作用し、塗布液の表面はY方向に沿って平坦となる。これと同時に、Y方向に沿って塗布液に力Fy1が作用することによって、X方向に沿った塗布液の表面を平坦化するように力Fx1が作用し、第1側壁面48bから塗布液に作用する力が相対的に小さくなるように第1側壁面及び第2側壁面48bの夫々から塗布液に作用する力が調整され、Y方向、X方向に沿って塗布液の表面が平坦化される。
【解決手段】孔部90は、第1側壁面48aから塗布液51に開口し、図中Y方向に沿ってバンク部47中に延在される。孔部は、凹部62に塗布液51が塗布された際に、塗布液の一部を孔部を介して凹部から逃がす。乾燥前の塗布液は、毛細管現象によって孔部から凹部の外側、即ちバンク部47中に延びる孔部に吸い出される。この際、凹部に残留する塗布液に対して、図中Y方向に沿って力Fy1が作用し、塗布液の表面はY方向に沿って平坦となる。これと同時に、Y方向に沿って塗布液に力Fy1が作用することによって、X方向に沿った塗布液の表面を平坦化するように力Fx1が作用し、第1側壁面48bから塗布液に作用する力が相対的に小さくなるように第1側壁面及び第2側壁面48bの夫々から塗布液に作用する力が調整され、Y方向、X方向に沿って塗布液の表面が平坦化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インクジェット法を用いて製造される有機EL表示装置等の有機EL装置及びカラーフィルタ等の光学装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の有機EL装置では、発光層である有機EL層を構成する材料として低分子の発光材料又は高分子の発光材料が用いられる。低分子の発光材料によって構成される発光層は、真空蒸着法に代表される乾式法によって形成されている。このため、低分子材料によって構成された発光層を大型基板上に均一な膜厚で形成することは困難であると考えられている。高分子の発光材料によって構成される発光層は、一般的に高分子材料で発光材料を溶媒に分散及び溶解させることによって得られる塗布液をスピンコート法等の塗布方法を用いて基板上に塗布することによって形成される。したがって、各色に発光する発光材料を含む塗布液を塗り分けることによってフルカラー表示可能なフルカラーディスプレイを製造することは困難であると考えられてきた。
【0003】
このような実情の下、特許文献1は、赤色及び緑色の有機EL材料をインクジェット法を用いて塗り分けた後、赤色及び緑色に発光する有機層上及び所定の領域に青色の発光材料を蒸着することによってフルカラー表示を可能とする有機EL表示装置を提案している。加えて、特許文献1は、大型基板を用いて製造される有機EL表示装置に特許文献1に開示された有機EL表示装置を応用できる可能性があることを示唆している。
【0004】
また、インクジェット法を用いて発光層を形成する場合、発光層を互いに隔てるための隔壁によって規定される領域に有機EL材料を含む液滴を塗布し、その後液適を乾燥させることによって、平坦な発光層を形成することになる。この際、液滴から溶媒が気化する際の液滴の挙動は、液滴に含まれる有機EL材料及び溶媒の種類、並びに乾燥条件によって異なるため、発光層の輝度を画素内及び基板全体で均一にするためには液滴を乾燥して得られる発光層の平坦性が損なわれないように留意しなければならない。このような留意点を考慮したうえで、特許文献2は、急激な乾燥を抑制するために本来画素領域として機能しない領域に液滴を塗布する技術を開示している。
【0005】
また、特許文献3は、発光層が形成される領域、即ち有機EL材料を含む液滴が塗布される領域を規定する隔壁の表面に粗面処理を施すことにより、隔壁の表面における液滴の濡れ性を改善し、乾燥工程を経て形成される発光層を平坦にする技術を開示している。
【0006】
【特許文献1】特開平10−153967号公報
【特許文献2】特開2002−252083号公報
【特許文献3】特開2002−148429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の有機EL装置では、更なる開口率の向上に対する要請の下、有機EL材料を塗布してなる発光部の平面形状は、円形より非円形であることが望ましい。より具体的には、有機EL装置の開口率を更に向上させるためには、一方の方向に沿って延びる非等方的な俵状の平面形状を有する発光部をアレイ状に配列するほうが、平面形状が円形の発光部をアレイ状に配列するより有機EL装置全体の開口率を高めることができる。
【0008】
しかしながら、このような非等方的な平面形状を有する発光部を形成するために、隔壁に囲まれた俵状の領域に液滴を塗布した場合、塗布された液滴に隔壁の側壁面から作用する力は非等方的であり、液滴を乾燥させる際に液滴に接する各側壁面から液滴に加わる力は各方向について不均一となり、平坦な発光層を形成し難いという技術的問題点がある。
【0009】
このような技術的問題点を考慮した場合、特許文献1及び2に開示された技術では、十分均一な膜厚を有する発光層を形成することは困難である。また、特許文献3に開示された技術によれば、隔壁の側壁面に粗面処理を施すだけでは、液滴が塗布される非等方的な領域を規定する側壁面から液滴に作用する力を各方向間で調整し、液滴の表面を平坦にすることは困難であり、乾燥工程を経て平坦な発光層を形成することは困難である。加えて、大型基板上における隔壁によって規定された複数の画素の夫々にインクジェット法を用いて発光層を形成した場合、基板の端に近い領域及び中央に近い領域の夫々の間の位置の相違によりこれら領域の夫々に塗布された液滴を均一に乾燥させ、平坦な発光層を形成することは製造プロセス上の困難を伴う問題点がある。
【0010】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、俵状等の非等方的な領域にインクジェット法を用いて有機EL材料を含む塗布液を塗布した後、乾燥工程を経て形成される平坦な発光層を有する有機EL装置、及びこのような有機EL装置と同様にインクジェット法を用いて非等方的な領域に光学材料を含む塗布液を塗布してなるカラーフィルタ等の光学装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された発光部と、前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記発光部の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備える。
【0012】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、隔壁部は、例えば各画素に個別に設けられる複数の凹部の夫々を規定する。より具体的には、隔壁部は、複数の凹部に有機EL材料を含む塗布液を塗布することによって形成される発光層を互いに電気的に分離する。このような発光部は互いに独立して発光でき、例えば複数の凹部の夫々に赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液を塗り分けることにより発光部を形成することにより、フルカラーの画像が表示される。
【0013】
発光部は、例えばインクジェット法等の塗布法を用いて塗布液を複数の凹部の夫々に塗り分けた後、各凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成される。複数の凹部は、有機EL装置の開口率を高めるために平面的にみて非等方的な平面形状を有しており、例えば基板上の画素領域にアレイ状に配列されるように隔壁部によって規定された俵状の平面形状を有する。したがって、各凹部に形成された発光部によれば、円形等の等方的な平面形状を有する発光部が配列されてなる有機EL装置に比べて開口率を高めることが可能である。尚、本明細書では、発光部が形成された各画素或いは各画素部において、発光可能な領域を「開口領域」と称すると共に開口領域以外の領域を「非開口領域」と称し、更には、各画素の全領域(即ち、開口領域及びそれ以外の非開口領域)に占める開口領域の面積割合を「開口率」と称して説明する。
【0014】
ここで、凹部に塗布された塗布液は、非等方的な各凹部の平面形状に起因して、凹部に塗布液が塗布された状態で或いは凹部に塗布された塗布液を乾燥させる際に、これら凹部を規定する隔壁部の側壁面から受ける力も非等方的となり、その表面はこれら非等方的な力により、凹部の中心からみた各方向に沿って不均一な高さを有する面となる。凹部に塗布された塗布液をこのままの状態で乾燥させた場合、発光部の表面を平坦にすることは困難であり、同一の凹部に形成された発光部の各部分における膜厚もばらつくことになる。このような発光部によれば、同一の発光部に流れる駆動電流が膜厚ばらつきに応じて発光部内の各部で互いに相違することになり、同一の発光部内の各部において輝度ばらつきが生じる。
【0015】
そこで、本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、塗布液を乾燥させる前に、塗布液の一部を排液手段を介して凹部から逃がすことにより、凹部に塗布された塗布液の液面が平坦になるように、隔壁部から塗布液に力が加わる。このようにして平坦化された塗布液の表面から、例えば塗布液に含まれる溶媒を均一に気化させることによって最終的に形成される発光部の表面を平坦にできる。
【0016】
よって、本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、例えば赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液をインクジェット法を用いて各凹部に塗り分けた場合でも、発光部の表面を平坦にすることができ、発光部内の膜厚ばらつきに起因する輝度のばらつきを低減でき、輝度むらが低減された高品位の画像を表示できる。
【0017】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記排液手段は、前記隔壁部の側壁面から前記塗布液に接するように設けられていてもよい。
【0018】
この態様によれば、前記隔壁部の側壁面から前記塗布液に接する排液手段から塗布液に直接力が加わる。より具体的には、排液手段から直接塗布液に力が加わることにより凹部の中心からみた各方向に沿って塗布液に加わる力が調整され、凹部内で塗布液の表面を平坦にできる。
【0019】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記側壁面のうち前記凹部の幅方向に沿って延びる第1側壁面の面積は、前記側壁面のうち前記凹部の長さ方向に沿って延びる第2側壁面の面積に比べて小さく、前記排液手段は、前記第1側壁面から前記塗布液に接するように設けられていてもよい。
【0020】
この態様によれば、例えば凹部の平面形状が俵状である場合、第1側壁面は、側壁面のうち長さ方向に対して相対的に短い幅方向に沿って延びる。凹部の深さが凹部内で一定である場合、第1側壁面の面積は長さ方向に延びる第2側壁面に比べて相対的に小さくなる。このような第1側壁面及び第2側壁面から塗布液に加わる力は、この塗布液が接する第1側壁面及び第2側壁面の面積に応じて幅方向及び長さ方向に沿って互いに異なる。より具体的には、塗布液が第1側壁面に接する接触面積は、塗布液が第2側壁面に接する接触面積に比べて相対的に小さくなり、第1側壁面から長さ方向に沿って塗布液が受ける力は、第2側壁面から幅方向に沿って塗布液が受ける力に比べて小さくなる。
【0021】
そこで、この態様では、第1側壁面に接するように設けられた排液手段が、凹部に塗布された塗布液の一部を第1側壁面から直接凹部の外に逃がし、塗布液の表面が平坦になるように第1側壁面及び第2側壁面から塗布液に加わる力が調整される。これにより、凹部に塗布された塗布液をこのまま乾燥させることによって平坦な発光部を形成できる。
【0022】
この態様では、前記排液手段は、前記第1側壁面に開口するように前記長さ方向に沿って前記隔壁部内に延びる孔部であり、前記塗布液は、前記孔部を介して前記凹部から逃がされてもよい。
【0023】
この態様によれば、第1側壁面から孔部を介して塗布液の一部が逃がされることによって第1側壁面及び第2側壁面から塗布液に加わる力が調整され、塗布液の表面が平坦となる。孔部は、長さ方向に沿って隔壁部内に延びている。塗布液の一部は、毛細管現象によって孔部から凹部の外に逃がされる。この際、塗布液の一部が逃がされたことにより、凹部に残留する塗布液に長さ方向に沿って力が加わり、例えば凹部に塗布された塗布液の表面が第1側壁面の近傍で第1側壁面に向かって落ち込むことを低減できる。加えて、塗布液が第1側壁面から受ける力を増大させることにより、塗布液が第2側壁面から受ける力を相対的に小さくでき、塗布液の表面のうち第2側壁面の近傍において第2側壁面に向かって盛り上がる部分を平坦に近づけることが可能である。また、孔部から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、孔部のサイズ、より具体的には第1側壁面から凹部に臨む開口部のサイズ、及び長さ方向に沿って延びる孔部の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に設定すればよい。
【0024】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の他の態様では、前記排液手段は、前記第1側壁面及び前記隔壁部上に開口するように前記長さ方向に沿って延びる溝部であり、前記塗布液は、前記溝部を介して前記凹部から逃がされてもよい。
【0025】
この態様によれば、第1側壁面及び第2側壁面から塗布力を均一にするように第1側壁面から孔部を介して塗布液の一部が逃がされる。溝部は、長さ方向に沿って延びるように隔壁部に設けられている。塗布液の一部は、毛細管現象によって溝部から凹部の外に逃がされる。これにより、例えば凹部に塗布された塗布液の表面が第1側壁面の近傍で第1側壁面に向かって落ち込むことを低減できる。加えて、塗布液が第1側壁面から受ける力を増大させることにより、塗布液が第2側壁面から受ける力を相対的に小さくでき、塗布液の表面が第2側壁面の近傍において第2側壁面に向かって盛り上がる部分を平坦に近づけることが可能である。また、溝部から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、溝部のサイズ、より具体的には第1側壁面から凹部に臨む開口部のサイズ、及び長さ方向に沿って延びる孔部の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に設定すればよい。
【0026】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の発光部と、前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の発光部の夫々の発光面を平坦にする排液手段とを備える。
【0027】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置によれば、隔壁部は、例えば各画素に個別に設けられる複数の凹部の夫々を規定する。より具体的には、複数の凹部に有機EL材料を含む塗布液を塗布することによって形成される発光層を互いに電気的に分離する。各発光部を互いに独立して発光させることができ、例えば複数の凹部の夫々に赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液を塗り分けることにより、フルカラーの画像が表示される。
【0028】
発光部は、例えばインクジェット法等の塗布法を用いて塗布液を複数の凹部の夫々に塗り分けた後、各凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成される。複数の凹部は、有機EL装置の開口率を高めるために平面的にみて非等方的な平面形状を有しており、例えば基板上の画素領域にアレイ状に配列されるように隔壁部によって規定された俵状の平面形状を有する。したがって、各凹部に形成された発光部によれば、円形等の等方的な平面形状を有する発光部が配列されてなる有機EL装置に比べて開口率を高めることが可能である。
【0029】
ここで、凹部に塗布された塗布液は、非等方的な各凹部の平面形状に起因して、これら凹部を規定する隔壁部の側壁面から受ける力も非等方的となり、その表面はこれら非等方的な力により凹部の中心からみた各方向に沿って不均一な高さを有する面となる。加えて、基板上における複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて、これら複数の凹部に塗布された塗布液の乾燥速度に相違が生じる。より具体的には、例えば基板の縁に近い領域に規定された凹部では、塗布液が乾きやすく、基板の中央付近の領域に規定された凹部では塗布液が縁に近い領域の凹部に比べて相対的に乾きにくい。特に、有機EL装置の大型化の要請に伴い、大型基板上に規定された複数の凹部では、各凹部が設けられた基板上の位置の相違により塗布液の乾燥速度の相違は顕在化する。このような乾燥速度の違いにより、各凹部に形成される発光部の平坦性に相違が生じ、輝度ばらつきが生じる場合がある。
【0030】
そこで、本発明の第2の発明に係る有機EL装置によれば、複数の発光部の夫々の発光面を平坦にするように、排液手段を介して基板上における複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がす。
【0031】
これにより、各凹部に塗布された塗布液の表面を平坦にできる。このような塗布液を乾燥させることにより、各発光部の夫々を平坦にでき、且つ各発光部の膜厚が相互にばらつくことを低減することが可能である。より具体的には、大型基板を用いて形成された有機EL装置であっても、基板の縁に近い領域に形成された発光部と、基板の中央付近の領域に形成された発光部との間で生じる輝度ばらつきを低減でき、高品位の画像を表示できる。
【0032】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記排液手段は、前記位置に応じて互いに異なるサイズを有するように前記隔壁部に形成された複数の孔部又は溝部であってもよい。
【0033】
この態様によれば、孔部又は溝部を介した毛細管現象をよって塗布液を凹部から逃がすことが可能である。尚、孔部又は溝部のサイズは、凹部の夫々の位置に応じて実験的、理論的或いはシミュレーション的に設定すればよく、孔部又は溝部のサイズに応じて各凹部から逃がす塗布液の量を設定でき、これに伴い各凹部に塗布された塗布液の表面が平坦となるように隔壁部から塗布液に加わる力が調整される。
【0034】
本発明の第3の発明に係る光学装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された光学層と、前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記光学層の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備える。
【0035】
本発明の第3の発明に係る光学装置によれば、本発明の第1の発明に係る有機EL装置と同様に、平坦な光学層を形成でき、光学層内の膜厚ばらつきに起因する光学特性の低下を抑制できる。
【0036】
本発明の第4の発明に係る光学装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、該複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の光学層と、前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の光学層の夫々の表面を平坦にする排液手段とを備える。
【0037】
本発明の第4の発明に係る光学装置によれば、本発明の第2の発明に係る有機EL装置と同様に、各光学層の夫々を平坦にでき、且つ各光学層の膜厚が相互にばらつくことを低減でき、光学装置全体で均一な光学特性を確保することが可能である。
【0038】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下図面を参照しながら、本実施形態に係る有機EL装置及び光学装置を詳細に説明する。
【0040】
(第1実施形態)
先ず、図1乃至図7を参照しながら第1実施形態に係る有機EL装置を説明する。図1は、本実施形態の有機EL装置10の全体構成を示すブロック図である。
【0041】
図1において、有機EL装置10は、駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式で駆動される表示装置であり、有機EL装置10が有する各画素部70は有機EL素子72を備えている。
【0042】
有機EL装置10の画素領域110には、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各サブ画素部70R、70G、及び70Bはマトリクス状に配列され、これら3つのサブ画素部を一組として一つの画素部70が構成されている。サブ画素部70R、70G及び70Bは、赤色に発光する有機EL素子72R、緑色に発光する有機EL素子72G及び青色に発光する有機EL素子72Bを夫々有している。更に、画素領域110には各データ線114に対して配列されたサブ画素部70R、70G及び70Bに対応する電源供給線117が設けられている。
【0043】
画素領域110の周辺に位置する周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。データ線駆動回路150は、画素領域110に配線されたデータ線114に画像信号を供給する。尚、走査線駆動回路130の動作とデータ線駆動回路150の動作とは、同期信号線160を介して相互に同期が図られる。電源供給線117には、外部回路から画素部を駆動するための画素駆動用電源が供給される。図1中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72R、72Gお呼び72Bが設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78がサブ画素部毎に設けられている。スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。駆動用トランジスタ74のドレイン電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のソース電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。尚、図1に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム方式の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能である。
【0044】
次に、図2及び図3を参照しながら有機EL装置10の具体的な構成を説明する。図2は、有機EL装置10の概略構成を示す平面図であり、図3は図2のIII−III´線断面図である。
【0045】
図2において、有機EL装置10は、基板1、画素部70、本発明の「隔壁部」の一例であるバンク部47、及び本発明の「排液手段」の一例である孔部90、有機EL素子72を備えている。
【0046】
画素部70は、基板1上における画素領域110にマトリクス状に配設されている。画素部70は、図中横方向に沿って配列された3つのサブ画素部70R、70G及び70Bを一組として構成されており、画素領域110の図中縦方向及び横方向の夫々に沿って配列されている。
【0047】
バンク部47は、各画素においてこれら有機EL素子72が形成される凹部62を規定しつつ、基板1上における画素領域110の全体に延在している。サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々に設けられた有機EL素子72R、72G及び72Bは、凹部62の底部から基板1の上側、即ち図中手前側に臨む。孔部90は、バンク部47に設けられており、その開口部は凹部62に臨む。有機EL層50が形成される凹部62は、最終的に凹部62の底に形成される有機EL層50による開口率を画素領域110において高めるために平面的にみて細長い俵状の平面形状を有している。有機EL素子72が備える有機EL層は、不図示の陰極を介して凹部62の底から基板1上に向かって臨む。尚、孔部90の構成及び機能については後に詳細に説明する。
【0048】
図3において、有機EL装置10は、基板1、基板1上に形成された有機EL素子72、駆動用トランジスタ74、バンク部47及び封止部20を備えている。尚、有機EL素子72は、図中下側に光を出射するボトムエミッション型の有機EL素子であるが、図中上側に光を出射するトップエミッション型の有機EL素子を備えた有機EL装置でも本発明の発光装置は適用可能であることは言うまでもない。また、バンク部47の下側が有機EL層50から光が出射されない非開口領域であり、有機EL層50の下側が開口領域である。
【0049】
基板1は、例えば、ガラス基板等で構成されており、有機EL素子72が図中下側に出射する光を透過させる。したがって、図1に示す駆動用トランジスタ74及びスイッチング用トランジスタ76は、基板1における有機EL素子72の下側の領域を避けるように形成されている。基板1は、基板1上に有機EL素子72が形成されているだけでなく、図1に示す走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150の各種回路を備えている。このような回路は、基板1における画素領域110の周辺領域に設けられる。
【0050】
有機EL素子72は、本発明の「発光部」の一例である有機EL層50、陰極49、及び陽極34を備えて構成されている。
【0051】
有機EL層50の夫々は、後述するように発光層を含む複数の有機層を備えており、これら有機層は、複数の有機EL層50を互いに隔てるための素子分離部として機能するバンク部47に囲まれた凹部62に有機EL材料を含む塗布液を個別に塗布することによって形成されている。より具体的には、有機EL層50は、塗布法の一例であるインクジェット法を用いて各有機EL層50を形成するインクを凹部62に個別に塗布し、その後所定の乾燥条件下で凹部62に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成されている。有機EL層50の表面は平坦であり、その駆動時に各有機EL層50に均一に駆動電流が流れ、均一な輝度で発光できる。尚、本実施形態では有機EL素子72は、陽極34、有機EL層50及び陰極49からなる3層構造を有しているが、正孔注入/輸送層が陽極343及び有機EL層50間に形成されていてもよいし、電子注入/輸送層が、陰極49及び有機EL層50間に形成されていてもよい。
【0052】
バンク部47は、第1バンク部47a及び第2バンク部47bから構成されており、有機EL層50が形成される凹部62を規定する。第1バンク部47aは、SiO、SiO2又はTiO2等の無機材料で構成される無機材料層であり、例えば、保護層45上にCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)法、コート法、スパッタ法等の膜形成法を用いて形成されている。第2バンク部47bは、アクリル樹脂、又はポリイミド樹脂等の有機材料で構成される有機材料層であり、図中上側に向かって先細りとなるテーパー形状を有している。第2バンク部47bは、第1バンク部47a上に有機材料層を形成した後、この有機材料層をフォトリソグラフィ技術等を用いてパターニングすることによって形成されている。第2バンク部47bは、その底部が図中横方向に沿って第1バンク部47aより小さめとなるように形成されている。
【0053】
陰極49は、第2バンク部47bの表面及び有機EL層50の表面を被うように形成されている。陰極49は、基板1上に形成された各有機EL素子72で共通とされる共通電極であり、基板1上で平面的に見て複数の有機EL素子72間で物理的に接続された電極、或いは一枚の連続した電極として延在している。陰極49は、例えばAl、Cu、Ag、Auから選ばれた少なくとも一種の材料を含んで構成されており、真空蒸着法等の物理的薄膜形成法を用いてこれらの材料を有機EL層50及びバンク部47の夫々の表面に蒸着させることにより形成されている。
【0054】
陽極34は、基板1上に順次形成されたゲート絶縁層2、層間絶縁膜41、保護層45、及び第1バンク部47aのうち第1バンク部47aに埋め込まれるように形成されている。陽極34は、例えば、有機EL層50から出射された光を図中下側に透過するようにITO等の透明材料で形成された透明電極である。
【0055】
駆動用トランジスタ74のソース電極74sは、図1に示す電源供給線117に電気的に接続されており、ドレイン電極74dは陽極34に電気的に接続されている。駆動用トランジスタ74は、図1に示すデータ線114を介してゲート電極3aに供給されるデータ信号に応じてオンオフされ、駆動電流を有機EL素子72に供給する。このような素子を含む回路は、有機EL素子50から基板1側に出射される光を遮らないように、有機EL素子50の下側を避けるように設けられている。また、駆動用トランジスタ74と同様に図1に示すスイッチング用トランジスタ76も基板1上に形成されている。
【0056】
半導体層3は、例えば低温ポリシリコン技術を用いて形成された多結晶シリコン層或いはアモルファスシリコン層である。半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び図1に示す走査線112は、ゲート絶縁層2上に形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。
【0057】
走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁層2上には図3に示す層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41及びゲート絶縁層2は例えばシリコン酸化膜から構成されている。層間絶縁層41上には、例えばアルミニウム(Al)又はITO(Indium Tin Oxide)を含む導電材料から夫々構成される、データ線114及び電源供給線117、更には駆動用トランジスタ74のソース電極74sが形成されている。層間絶縁層41には、層間絶縁層41の表面から層間絶縁層41及びゲート絶縁層2を貫通して、駆動用トランジスタ74の半導体層3に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。電源供給線117及びドレイン電極74dを構成する導電膜は、コンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層3の表面に至るように連続的に形成されている。層間絶縁層41上には、電源供給線117及びドレイン電極74dを埋め込んで、保護層45として例えばシリコン窒化膜(SiNx)ないしシリコン酸化膜(SiOx)が形成されている。保護層45上には、例えばシリコン酸化膜よりなる第1バンク部47aが形成され、更に第1バンク部47a上に第2バンク部47bが形成されている。第1バンク部47a及び第2バンク部47bによって、画素部における有機EL層50の形成領域が規定されている。
【0058】
封止板20は、水分が有機EL装置10の外部から有機EL層50に浸入することを防止する。より具体的には、封止板20は、基板1上に接着剤によって接着されており、有機EL装置10の外気が有機EL素子72に触れないように有機EL素子72を封止する。基板1上に封止板20を接着する接着剤は、熱硬化樹脂或いは紫外線硬化樹脂を含んでおり、例えば、熱硬化樹脂の一例であるエポキシ樹脂を封止板20の周縁部にディスペンサ等の塗布手段を用いて塗布される。
【0059】
次に、図4乃至図7を参照しながら、有機EL装置10が備える孔部90の具体的な構成及びこのような孔部を設けるに至った本願発明者の着眼点を説明する。
【0060】
図4は、凹部62の底から臨む有機EL層50の平面形状を比較した平面図である。図4(a)は従来の有機EL層50の平面形状を示す平面図であり、図4(b)は本実施形態に係る有機EL装置10が備える有機EL層50の平面形状を示す平面図である。図5(a)及び(b)は、図4(b)のVa−Va´線断面図及びVb−Vb´線断面図である。 図4(a)において、バンク部47´は、有機EL材料を含む塗布液が塗布される凹部62´を規定する。凹部62´の平面形状は円形である。したがって、有機EL材料を含む塗布液を凹部62´に塗布した際に、図中X方向及びY方向の夫々の方向に沿って等しい力Fが塗布液51´を引っ張るようにバンク部47´の側壁面から凹部62´に塗布された塗布液51´に加わる。言い換えれば、凹部62´に塗布された塗布液51´に対して平面的に見て等方的にバンク部47´の側壁面から力Fが加わる。したがって、凹部62´が円形である場合には、凹部62´に塗布された塗布液の表面は、最終的に塗布液を乾燥させてなる有機EL層の表面が平坦となるように各方向に沿って均一に平坦化されている。
【0061】
一方、図4(b)に示すように、凹部62の平面形状が図中Y方向に沿った長さ方向を有する俵状である場合、バンク部47のうち凹部62を規定する側壁面のうち図中X方向に沿った幅方向に延びる第1側壁面48aから塗布液51に加わる力Fyの大きさと、長さ方向に沿って延びる第2側壁面48bから塗布液に加わる力Fxの大きさとが互いに相違することになる。より具体的には、第1側壁面48aが塗布液51に接する面積が、第2側壁面48bが塗布液51に接する面積に比べて相対的に小さいことに起因して、塗布液51に加わる力Fx及びFyが互いに異なる。このような力Fx及びFyによれば、図5(a)に示すように、Y方向に沿って塗布液51の表面が凹部62の第1側壁面48a付近で落ち込み、塗布液51の中央部が第1側壁面48aに近い側の部分に比べて盛り上がる。また、図5(b)に示すように、塗布液51の表面の中央部が第1側壁面48aに近い側の部分に比べて窪んでしまう。よって図5(a)及び(b)に示すように、塗布液51を乾燥させることによって凹部62の底に形成される有機EL層50の表面を平坦にすることが困難となる。
【0062】
そこで、本願発明者は、非等方的な平面形状を有する凹部62に塗布された塗布液51の表面が凹部62の平面形状に起因する力によって平坦性が損なわれることに着目し、図6に示すように、有機EL装置10に孔部90を設けた。図6は、有機EL装置10の画素部70を拡大して示した平面図である。尚、図5に示した塗布液の断面形状は、一例であり、塗布液に含まれる有機EL材料及び溶剤の種類に応じて凹部62内における塗布液の断面形状は様々の形状をとりうるため、例えばVa−Va´線で塗布液を切った断面形状及びVb−Vb´線で塗布液をきった断面形状が相互に入れ替わる場合もある。このような場合でも、後述する孔部60等の形状を最適化することにより、凹部62に塗布された塗布液の表面を平坦にできる。
【0063】
図6において、孔部90は、第1側壁面48aから塗布液51に開口し、図中Y方向に沿ってバンク部47中に延在されている。孔部90は、凹部62に塗布液51が塗布された際に、塗布液51の一部を孔部90を介して凹部62から逃がす。乾燥前の塗布液51は、毛細管現象によって孔部90から凹部62の外側、即ちバンク部47中に延びる孔部90に吸い出される。この際、凹部62に残留する塗布液51に対して、図中Y方向に沿って力Fy1が作用し、塗布液51の表面はY方向に沿って平坦となる。これと同時に、Y方向に沿って塗布液51に力Fy1が作用することによって、X方向に沿った塗布液51の表面を平坦化するように力Fx1が作用し、第1側壁面48bから塗布液51に作用する力が相対的に小さくなるように第1側壁面48a及び第2側壁面48bの夫々から塗布液51に作用する力が調整される。これにより、Y方向だけでなく、X方向に沿って塗布液51の表面が平坦化される。尚、孔部90から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、孔部90のサイズ、より具体的には第1側壁面48aから凹部62に臨む開口部のサイズ、及びY方向に沿って延びる孔部90の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に個別具体的に設定すればよい。
【0064】
図7(a)及び(b)に示すように、X方向及びY方向に沿って塗布液51の表面を平坦化させてなる塗布液52を乾燥させることによって、非等方的な平面形状を有する俵状の凹部62の底に平坦な表面を有する有機EL層50が形成される。
【0065】
このような有機EL層50によれば、赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液をインクジェット法を用いて各凹部62に塗り分けた場合でも、有機EL層50の表面を平坦にすることができ、有機EL層50内の膜厚ばらつきに起因する輝度のばらつきを低減でき、輝度むらが低減された高品位の画像を表示できる。
【0066】
(変形例)
次に、図8及び図9を参照しながら本実施形態に係る有機EL装置の変形例を説明する。図8は、本実施形態に係る有機EL装置の変形例の一例を示す平面図であり、図9は、本実施形態に係る有機EL装置の変形例の他の例の一部を破断して示した斜視図である。尚、以下の各例及び第2実施形態では、上述の有機EL装置と共通する部分に共通の参照符合し、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0067】
図8において、本例に係る有機EL装置100は、平面形状が俵状である凹部62の長さ方向に延びる第2側壁面48bに開口するように孔部91が形成されている。凹部62に塗布された塗布液の表面の平坦性は、塗布液に含まれる有機EL材料及び溶剤の特性によって異なるため、凹部62の長さ方向に沿って延びる第2側壁面48bに開口するように孔部91を設けておいたほうが、第1側壁面48aに開口するように孔部を設ける場合に比べて塗布液の表面を平坦化できる場合もある。したがって、第1側壁面48aに開口する孔部90を設ける場合に限定されず、本例の有機EL装置100のように第2側壁面48bに開口するように孔部91を設けておくことにより塗布液51の表面を平坦化できる。これにより、平坦な表面を有する有機EL層50を乾燥工程を介して形成できる。
【0068】
図9において、本例の有機EL装置200は、凹部62から塗布液の一部を逃がす溝部92を備えている。溝部92は、図中凹部62の長さ方向であるY方向に沿って延在されており、第1側壁面48aから凹部62に開口している。溝部92によれば、凹部62に塗布された塗布液の一部が毛細管現象により凹部62から溝部92に逃がされ、塗布液の表面を平坦化できる。このように表面が平坦化された塗布液を乾燥させることにより、図中凹部62の底から上側に臨むように平坦な表面を有する有機EL層50を形成できる。尚、溝部92から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、溝部92のサイズ、より具体的には第1側壁面48aから凹部62に臨む開口部のサイズ、及び長さ方向に沿って延びる溝部92の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に個別具体的に設定すればよい。また、図3に示した駆動用トランジスタ74は、保護層45の下側に形成された層間絶縁膜41中に有機EL層50を避けるように形成されているため、図9では図示していない。
【0069】
(第2実施形態)
次に、図10及び図11を参照しながら、本発明の第2の発明に係る有機EL装置の実施形態を説明する。図10は、本実施形態に係る有機EL装置300の平面図である。
【0070】
図10において、有機EL装置300は、インクジェット法を用いて形成された有機EL層50を備えた複数の画素部70を備えている。画素領域を構成する複数の画素部70のうち基板301上の縁に沿った領域に形成された画素部70bと、基板301の中央付近に形成された画素部70aとの間では、バンク部47によって規定された凹部62に塗布された塗布液の乾燥速度が相互に異なる。より具体的には、基板301が大型サイズの基板になるほど乾燥条件を細かく制御したとしても画素部70aに比べて画素部70bにおける塗布液の乾燥速度が相対的に速くなり、塗布液の乾燥速度を基板301上の各領域で均一に維持することが困難となる。
【0071】
そこで、図11に示すように、有機EL装置300は、基板301の縁に近い領域に位置する画素部70b及び基板301の中央付近に位置する画素部70bの夫々に、塗布液を乾燥させる前に各画素部70a及び70bの位置に応じて相互に異なる量の塗布液を各凹部62から逃がす孔部93a及び93bを備えている。
【0072】
図11は、図10の画素部70a及び70bを拡大して示した平面図である。
【0073】
図11(a)において、画素部70aは、凹部62の第1側壁面48aに開口するようにバンク部47内に形成された孔部93aを備えている。図11(b)に示すように、画素部70bは、凹部62の第1側壁面48aに開口するようにバンク部47内に形成された孔部93bを備えている。図11(a)及び(b)に示すように、孔部93a及び93bの夫々は、図中Y方向、即ち俵状の平面形状を有する凹部62の長さ方向に沿って第1側壁面48aからバンク部47内に延在されており、孔部93a及び93bの長さは、相互に異なる。より具体的には、孔部93bの長さは、孔部93bの長さに比べて相対的に大きい。したがって、画素部70bでは、塗布液の乾燥工程に先立って凹部62に塗布された塗布液のうち孔部93bを介して凹部62から逃がされる塗布液の量が、画素部70aにおいて凹62から逃がされる塗布液の量に比べて多い。画素部70a及び70bの夫々から逃がされる塗布液の量は、画素部70a及び70bの基板301上における位置の相違、即ち凹部62に塗布された塗布液の乾燥速度によって決められている。凹部62から逃がされる塗布液の量を画素部70の位置に応じて変えておくことにより、乾燥時における塗布液の挙動、例えば塗布液の乾燥速度に起因して有機EL層50の表面に凹凸が生じることを低減できる。これにより、インクジェット法等の塗布法を用いて各凹部62の夫々に個別に塗布液を塗布した場合でも、各画素部70に平坦な表面を有する有機EL層50を形成できる。尚、本実施形態では、画素部70aが備える孔部のサイズを画素部70bが備える孔部93bのサイズより小さく設定しているが、有機EL層50を形成するための塗布液に含まれる有機EL材料及び溶剤の特性、塗布液の乾燥条件、並びに基板301のサイズに応じて各画素部70に形成される孔部のサイズを個別に具体的に最適化すればよい。また、基板301の中央付近から縁に向かって序々にサイズが大きくなるように形成された孔部を各画素部に延びるバンク部47に形成しておいてもよい。また、孔部に代えて溝部部を隔壁部に設け、この溝部を介して各凹部から異なる量の塗布液を逃がしてもよい。
【0074】
以上説明したように第1実施形態に係る有機EL装置によれば、赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液をインクジェット法を用いて各凹部に塗り分けた場合でも、開口率を高めつつ、有機EL層の表面を平坦にすることができる。これにより、有機EL層内の膜厚ばらつきに起因する輝度のばらつきを低減でき、輝度むらが低減された高品位の画像を表示可能である。また、第2実施形態に係る有機EL装置によれば、大型基板を用いて形成された有機EL装置であっても、基板の縁に近い領域に形成された有機EL層と、基板の中央付近の領域に形成された有機EL層との間で生じる輝度ばらつきを低減でき、高品位の画像を表示できる。
【0075】
尚、第1及び第2実施形態に係る有機EL装置の構造を、バンク部によって規定された領域に赤色、緑色及び青色の夫々の色を透過させる光学層を備えてなるカラーフィルタに応用することも可能である。このようなカラーフィルタは、インクジェット法等の塗布法を用いて光学材料を塗布した後、バンク部に設けられた孔部或いは溝部を介して塗布された塗布液の液面を平坦にすることが可能である。その後、塗布された塗布液を乾燥させることによって平坦な表面を有する光学層を形成でき、各光学層の光学特性が揃ったカラーフィルタが提供可能となる。
【0076】
(電子機器)
次に、図12及び図13を参照しながら上述した有機EL装置を具備してなる各種電子機器を説明する。
【0077】
<A:モバイル型コンピュータ>
図12を参照しながらモバイル型のコンピュータに上述した有機EL装置を適用した例について説明する。図12は、コンピュータ1200の構成を示す斜視図である。
【0078】
図12において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、図示しない有機EL装置を用いて構成された表示部1005を有する表示ユニット1206とを備えている。表示部1005は、平坦な有機EL層を備えているため高品位の画像を表示できる。また、表示部1005のサイズを大型化した場合でも、基板上の各画素部の夫々が平坦な有機EL層を備えているため、大画面で且つ高品位の画像を表示できる。また、表示部1005が備える複数の有機ELディスプレイ基板に赤、緑、青の光の三原色の光を発光する有機EL素子を形成しておくことによって、表示部1005はフルカラー表示で画像表示を行うことができる。
【0079】
<B:携帯型電話機>
更に、上述した有機EL装置を携帯型電話機に適用した例について、図13を参照して説明する。図13は、携帯型電話機1300の構成を示す斜視図である。
【0080】
図13において、携帯型電話機1300は、複数の操作ボタン1302と共に、本発明の一実施形態である有機EL装置を有する表示部1305を備えるものである。
【0081】
表示部1305は、平坦な有機EL層を備えているため、高品質の画像を表示することができる。また、表示部1305が備える複数の有機EL素子が夫々赤、緑、青の光の三原色の光を発光することによって、表示部1305はフルカラー表示で画像表示を行うこともできる。
【0082】
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL装置及び光学装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る有機EL装置10の概略構成を示す平面図である。
【図3】図3は図2のIII−III´線断面図である。
【図4】凹部62の底から臨む有機EL層50の平面形状を比較した平面図である。
【図5】図4(b)のVa−Va´線断面図及びVb−Vb´線断面図である。
【図6】第1実施形態に係る有機EL装置10の画素部70を拡大して示した平面図である。
【図7】図6のVIIa−VIIa´線断面図及びVIIb−VIIb´線断面図である。
【図8】第1実施形態に係る有機EL装置の変形例の一例を示す平面図である。
【図9】第2実施形態に係る有機EL装置の変形例の他の例の一部を破断して示した斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る有機EL装置300の平面図である。
【図11】図10に示した画素部70a及び70bを拡大して示す平面図である。
【図12】本発明に係る有機EL装置を具備してなる電子機器の一例の斜視図である。
【図13】本発明に係る有機EL装置を具備してなる電子機器の他の例の斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
10、100、200、300・・・有機EL装置、34・・・陽極、47・・・バンク部、50・・・有機EL層、62・・・凹部、70・・・画素部、90、91、93a。93b・・・孔部、92・・・溝部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インクジェット法を用いて製造される有機EL表示装置等の有機EL装置及びカラーフィルタ等の光学装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の有機EL装置では、発光層である有機EL層を構成する材料として低分子の発光材料又は高分子の発光材料が用いられる。低分子の発光材料によって構成される発光層は、真空蒸着法に代表される乾式法によって形成されている。このため、低分子材料によって構成された発光層を大型基板上に均一な膜厚で形成することは困難であると考えられている。高分子の発光材料によって構成される発光層は、一般的に高分子材料で発光材料を溶媒に分散及び溶解させることによって得られる塗布液をスピンコート法等の塗布方法を用いて基板上に塗布することによって形成される。したがって、各色に発光する発光材料を含む塗布液を塗り分けることによってフルカラー表示可能なフルカラーディスプレイを製造することは困難であると考えられてきた。
【0003】
このような実情の下、特許文献1は、赤色及び緑色の有機EL材料をインクジェット法を用いて塗り分けた後、赤色及び緑色に発光する有機層上及び所定の領域に青色の発光材料を蒸着することによってフルカラー表示を可能とする有機EL表示装置を提案している。加えて、特許文献1は、大型基板を用いて製造される有機EL表示装置に特許文献1に開示された有機EL表示装置を応用できる可能性があることを示唆している。
【0004】
また、インクジェット法を用いて発光層を形成する場合、発光層を互いに隔てるための隔壁によって規定される領域に有機EL材料を含む液滴を塗布し、その後液適を乾燥させることによって、平坦な発光層を形成することになる。この際、液滴から溶媒が気化する際の液滴の挙動は、液滴に含まれる有機EL材料及び溶媒の種類、並びに乾燥条件によって異なるため、発光層の輝度を画素内及び基板全体で均一にするためには液滴を乾燥して得られる発光層の平坦性が損なわれないように留意しなければならない。このような留意点を考慮したうえで、特許文献2は、急激な乾燥を抑制するために本来画素領域として機能しない領域に液滴を塗布する技術を開示している。
【0005】
また、特許文献3は、発光層が形成される領域、即ち有機EL材料を含む液滴が塗布される領域を規定する隔壁の表面に粗面処理を施すことにより、隔壁の表面における液滴の濡れ性を改善し、乾燥工程を経て形成される発光層を平坦にする技術を開示している。
【0006】
【特許文献1】特開平10−153967号公報
【特許文献2】特開2002−252083号公報
【特許文献3】特開2002−148429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の有機EL装置では、更なる開口率の向上に対する要請の下、有機EL材料を塗布してなる発光部の平面形状は、円形より非円形であることが望ましい。より具体的には、有機EL装置の開口率を更に向上させるためには、一方の方向に沿って延びる非等方的な俵状の平面形状を有する発光部をアレイ状に配列するほうが、平面形状が円形の発光部をアレイ状に配列するより有機EL装置全体の開口率を高めることができる。
【0008】
しかしながら、このような非等方的な平面形状を有する発光部を形成するために、隔壁に囲まれた俵状の領域に液滴を塗布した場合、塗布された液滴に隔壁の側壁面から作用する力は非等方的であり、液滴を乾燥させる際に液滴に接する各側壁面から液滴に加わる力は各方向について不均一となり、平坦な発光層を形成し難いという技術的問題点がある。
【0009】
このような技術的問題点を考慮した場合、特許文献1及び2に開示された技術では、十分均一な膜厚を有する発光層を形成することは困難である。また、特許文献3に開示された技術によれば、隔壁の側壁面に粗面処理を施すだけでは、液滴が塗布される非等方的な領域を規定する側壁面から液滴に作用する力を各方向間で調整し、液滴の表面を平坦にすることは困難であり、乾燥工程を経て平坦な発光層を形成することは困難である。加えて、大型基板上における隔壁によって規定された複数の画素の夫々にインクジェット法を用いて発光層を形成した場合、基板の端に近い領域及び中央に近い領域の夫々の間の位置の相違によりこれら領域の夫々に塗布された液滴を均一に乾燥させ、平坦な発光層を形成することは製造プロセス上の困難を伴う問題点がある。
【0010】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、俵状等の非等方的な領域にインクジェット法を用いて有機EL材料を含む塗布液を塗布した後、乾燥工程を経て形成される平坦な発光層を有する有機EL装置、及びこのような有機EL装置と同様にインクジェット法を用いて非等方的な領域に光学材料を含む塗布液を塗布してなるカラーフィルタ等の光学装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された発光部と、前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記発光部の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備える。
【0012】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、隔壁部は、例えば各画素に個別に設けられる複数の凹部の夫々を規定する。より具体的には、隔壁部は、複数の凹部に有機EL材料を含む塗布液を塗布することによって形成される発光層を互いに電気的に分離する。このような発光部は互いに独立して発光でき、例えば複数の凹部の夫々に赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液を塗り分けることにより発光部を形成することにより、フルカラーの画像が表示される。
【0013】
発光部は、例えばインクジェット法等の塗布法を用いて塗布液を複数の凹部の夫々に塗り分けた後、各凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成される。複数の凹部は、有機EL装置の開口率を高めるために平面的にみて非等方的な平面形状を有しており、例えば基板上の画素領域にアレイ状に配列されるように隔壁部によって規定された俵状の平面形状を有する。したがって、各凹部に形成された発光部によれば、円形等の等方的な平面形状を有する発光部が配列されてなる有機EL装置に比べて開口率を高めることが可能である。尚、本明細書では、発光部が形成された各画素或いは各画素部において、発光可能な領域を「開口領域」と称すると共に開口領域以外の領域を「非開口領域」と称し、更には、各画素の全領域(即ち、開口領域及びそれ以外の非開口領域)に占める開口領域の面積割合を「開口率」と称して説明する。
【0014】
ここで、凹部に塗布された塗布液は、非等方的な各凹部の平面形状に起因して、凹部に塗布液が塗布された状態で或いは凹部に塗布された塗布液を乾燥させる際に、これら凹部を規定する隔壁部の側壁面から受ける力も非等方的となり、その表面はこれら非等方的な力により、凹部の中心からみた各方向に沿って不均一な高さを有する面となる。凹部に塗布された塗布液をこのままの状態で乾燥させた場合、発光部の表面を平坦にすることは困難であり、同一の凹部に形成された発光部の各部分における膜厚もばらつくことになる。このような発光部によれば、同一の発光部に流れる駆動電流が膜厚ばらつきに応じて発光部内の各部で互いに相違することになり、同一の発光部内の各部において輝度ばらつきが生じる。
【0015】
そこで、本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、塗布液を乾燥させる前に、塗布液の一部を排液手段を介して凹部から逃がすことにより、凹部に塗布された塗布液の液面が平坦になるように、隔壁部から塗布液に力が加わる。このようにして平坦化された塗布液の表面から、例えば塗布液に含まれる溶媒を均一に気化させることによって最終的に形成される発光部の表面を平坦にできる。
【0016】
よって、本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、例えば赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液をインクジェット法を用いて各凹部に塗り分けた場合でも、発光部の表面を平坦にすることができ、発光部内の膜厚ばらつきに起因する輝度のばらつきを低減でき、輝度むらが低減された高品位の画像を表示できる。
【0017】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記排液手段は、前記隔壁部の側壁面から前記塗布液に接するように設けられていてもよい。
【0018】
この態様によれば、前記隔壁部の側壁面から前記塗布液に接する排液手段から塗布液に直接力が加わる。より具体的には、排液手段から直接塗布液に力が加わることにより凹部の中心からみた各方向に沿って塗布液に加わる力が調整され、凹部内で塗布液の表面を平坦にできる。
【0019】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記側壁面のうち前記凹部の幅方向に沿って延びる第1側壁面の面積は、前記側壁面のうち前記凹部の長さ方向に沿って延びる第2側壁面の面積に比べて小さく、前記排液手段は、前記第1側壁面から前記塗布液に接するように設けられていてもよい。
【0020】
この態様によれば、例えば凹部の平面形状が俵状である場合、第1側壁面は、側壁面のうち長さ方向に対して相対的に短い幅方向に沿って延びる。凹部の深さが凹部内で一定である場合、第1側壁面の面積は長さ方向に延びる第2側壁面に比べて相対的に小さくなる。このような第1側壁面及び第2側壁面から塗布液に加わる力は、この塗布液が接する第1側壁面及び第2側壁面の面積に応じて幅方向及び長さ方向に沿って互いに異なる。より具体的には、塗布液が第1側壁面に接する接触面積は、塗布液が第2側壁面に接する接触面積に比べて相対的に小さくなり、第1側壁面から長さ方向に沿って塗布液が受ける力は、第2側壁面から幅方向に沿って塗布液が受ける力に比べて小さくなる。
【0021】
そこで、この態様では、第1側壁面に接するように設けられた排液手段が、凹部に塗布された塗布液の一部を第1側壁面から直接凹部の外に逃がし、塗布液の表面が平坦になるように第1側壁面及び第2側壁面から塗布液に加わる力が調整される。これにより、凹部に塗布された塗布液をこのまま乾燥させることによって平坦な発光部を形成できる。
【0022】
この態様では、前記排液手段は、前記第1側壁面に開口するように前記長さ方向に沿って前記隔壁部内に延びる孔部であり、前記塗布液は、前記孔部を介して前記凹部から逃がされてもよい。
【0023】
この態様によれば、第1側壁面から孔部を介して塗布液の一部が逃がされることによって第1側壁面及び第2側壁面から塗布液に加わる力が調整され、塗布液の表面が平坦となる。孔部は、長さ方向に沿って隔壁部内に延びている。塗布液の一部は、毛細管現象によって孔部から凹部の外に逃がされる。この際、塗布液の一部が逃がされたことにより、凹部に残留する塗布液に長さ方向に沿って力が加わり、例えば凹部に塗布された塗布液の表面が第1側壁面の近傍で第1側壁面に向かって落ち込むことを低減できる。加えて、塗布液が第1側壁面から受ける力を増大させることにより、塗布液が第2側壁面から受ける力を相対的に小さくでき、塗布液の表面のうち第2側壁面の近傍において第2側壁面に向かって盛り上がる部分を平坦に近づけることが可能である。また、孔部から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、孔部のサイズ、より具体的には第1側壁面から凹部に臨む開口部のサイズ、及び長さ方向に沿って延びる孔部の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に設定すればよい。
【0024】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の他の態様では、前記排液手段は、前記第1側壁面及び前記隔壁部上に開口するように前記長さ方向に沿って延びる溝部であり、前記塗布液は、前記溝部を介して前記凹部から逃がされてもよい。
【0025】
この態様によれば、第1側壁面及び第2側壁面から塗布力を均一にするように第1側壁面から孔部を介して塗布液の一部が逃がされる。溝部は、長さ方向に沿って延びるように隔壁部に設けられている。塗布液の一部は、毛細管現象によって溝部から凹部の外に逃がされる。これにより、例えば凹部に塗布された塗布液の表面が第1側壁面の近傍で第1側壁面に向かって落ち込むことを低減できる。加えて、塗布液が第1側壁面から受ける力を増大させることにより、塗布液が第2側壁面から受ける力を相対的に小さくでき、塗布液の表面が第2側壁面の近傍において第2側壁面に向かって盛り上がる部分を平坦に近づけることが可能である。また、溝部から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、溝部のサイズ、より具体的には第1側壁面から凹部に臨む開口部のサイズ、及び長さ方向に沿って延びる孔部の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に設定すればよい。
【0026】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の発光部と、前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の発光部の夫々の発光面を平坦にする排液手段とを備える。
【0027】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置によれば、隔壁部は、例えば各画素に個別に設けられる複数の凹部の夫々を規定する。より具体的には、複数の凹部に有機EL材料を含む塗布液を塗布することによって形成される発光層を互いに電気的に分離する。各発光部を互いに独立して発光させることができ、例えば複数の凹部の夫々に赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液を塗り分けることにより、フルカラーの画像が表示される。
【0028】
発光部は、例えばインクジェット法等の塗布法を用いて塗布液を複数の凹部の夫々に塗り分けた後、各凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成される。複数の凹部は、有機EL装置の開口率を高めるために平面的にみて非等方的な平面形状を有しており、例えば基板上の画素領域にアレイ状に配列されるように隔壁部によって規定された俵状の平面形状を有する。したがって、各凹部に形成された発光部によれば、円形等の等方的な平面形状を有する発光部が配列されてなる有機EL装置に比べて開口率を高めることが可能である。
【0029】
ここで、凹部に塗布された塗布液は、非等方的な各凹部の平面形状に起因して、これら凹部を規定する隔壁部の側壁面から受ける力も非等方的となり、その表面はこれら非等方的な力により凹部の中心からみた各方向に沿って不均一な高さを有する面となる。加えて、基板上における複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて、これら複数の凹部に塗布された塗布液の乾燥速度に相違が生じる。より具体的には、例えば基板の縁に近い領域に規定された凹部では、塗布液が乾きやすく、基板の中央付近の領域に規定された凹部では塗布液が縁に近い領域の凹部に比べて相対的に乾きにくい。特に、有機EL装置の大型化の要請に伴い、大型基板上に規定された複数の凹部では、各凹部が設けられた基板上の位置の相違により塗布液の乾燥速度の相違は顕在化する。このような乾燥速度の違いにより、各凹部に形成される発光部の平坦性に相違が生じ、輝度ばらつきが生じる場合がある。
【0030】
そこで、本発明の第2の発明に係る有機EL装置によれば、複数の発光部の夫々の発光面を平坦にするように、排液手段を介して基板上における複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がす。
【0031】
これにより、各凹部に塗布された塗布液の表面を平坦にできる。このような塗布液を乾燥させることにより、各発光部の夫々を平坦にでき、且つ各発光部の膜厚が相互にばらつくことを低減することが可能である。より具体的には、大型基板を用いて形成された有機EL装置であっても、基板の縁に近い領域に形成された発光部と、基板の中央付近の領域に形成された発光部との間で生じる輝度ばらつきを低減でき、高品位の画像を表示できる。
【0032】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記排液手段は、前記位置に応じて互いに異なるサイズを有するように前記隔壁部に形成された複数の孔部又は溝部であってもよい。
【0033】
この態様によれば、孔部又は溝部を介した毛細管現象をよって塗布液を凹部から逃がすことが可能である。尚、孔部又は溝部のサイズは、凹部の夫々の位置に応じて実験的、理論的或いはシミュレーション的に設定すればよく、孔部又は溝部のサイズに応じて各凹部から逃がす塗布液の量を設定でき、これに伴い各凹部に塗布された塗布液の表面が平坦となるように隔壁部から塗布液に加わる力が調整される。
【0034】
本発明の第3の発明に係る光学装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された光学層と、前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記光学層の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備える。
【0035】
本発明の第3の発明に係る光学装置によれば、本発明の第1の発明に係る有機EL装置と同様に、平坦な光学層を形成でき、光学層内の膜厚ばらつきに起因する光学特性の低下を抑制できる。
【0036】
本発明の第4の発明に係る光学装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、該複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の光学層と、前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の光学層の夫々の表面を平坦にする排液手段とを備える。
【0037】
本発明の第4の発明に係る光学装置によれば、本発明の第2の発明に係る有機EL装置と同様に、各光学層の夫々を平坦にでき、且つ各光学層の膜厚が相互にばらつくことを低減でき、光学装置全体で均一な光学特性を確保することが可能である。
【0038】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下図面を参照しながら、本実施形態に係る有機EL装置及び光学装置を詳細に説明する。
【0040】
(第1実施形態)
先ず、図1乃至図7を参照しながら第1実施形態に係る有機EL装置を説明する。図1は、本実施形態の有機EL装置10の全体構成を示すブロック図である。
【0041】
図1において、有機EL装置10は、駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式で駆動される表示装置であり、有機EL装置10が有する各画素部70は有機EL素子72を備えている。
【0042】
有機EL装置10の画素領域110には、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各サブ画素部70R、70G、及び70Bはマトリクス状に配列され、これら3つのサブ画素部を一組として一つの画素部70が構成されている。サブ画素部70R、70G及び70Bは、赤色に発光する有機EL素子72R、緑色に発光する有機EL素子72G及び青色に発光する有機EL素子72Bを夫々有している。更に、画素領域110には各データ線114に対して配列されたサブ画素部70R、70G及び70Bに対応する電源供給線117が設けられている。
【0043】
画素領域110の周辺に位置する周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。データ線駆動回路150は、画素領域110に配線されたデータ線114に画像信号を供給する。尚、走査線駆動回路130の動作とデータ線駆動回路150の動作とは、同期信号線160を介して相互に同期が図られる。電源供給線117には、外部回路から画素部を駆動するための画素駆動用電源が供給される。図1中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72R、72Gお呼び72Bが設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78がサブ画素部毎に設けられている。スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。駆動用トランジスタ74のドレイン電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のソース電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。尚、図1に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム方式の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能である。
【0044】
次に、図2及び図3を参照しながら有機EL装置10の具体的な構成を説明する。図2は、有機EL装置10の概略構成を示す平面図であり、図3は図2のIII−III´線断面図である。
【0045】
図2において、有機EL装置10は、基板1、画素部70、本発明の「隔壁部」の一例であるバンク部47、及び本発明の「排液手段」の一例である孔部90、有機EL素子72を備えている。
【0046】
画素部70は、基板1上における画素領域110にマトリクス状に配設されている。画素部70は、図中横方向に沿って配列された3つのサブ画素部70R、70G及び70Bを一組として構成されており、画素領域110の図中縦方向及び横方向の夫々に沿って配列されている。
【0047】
バンク部47は、各画素においてこれら有機EL素子72が形成される凹部62を規定しつつ、基板1上における画素領域110の全体に延在している。サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々に設けられた有機EL素子72R、72G及び72Bは、凹部62の底部から基板1の上側、即ち図中手前側に臨む。孔部90は、バンク部47に設けられており、その開口部は凹部62に臨む。有機EL層50が形成される凹部62は、最終的に凹部62の底に形成される有機EL層50による開口率を画素領域110において高めるために平面的にみて細長い俵状の平面形状を有している。有機EL素子72が備える有機EL層は、不図示の陰極を介して凹部62の底から基板1上に向かって臨む。尚、孔部90の構成及び機能については後に詳細に説明する。
【0048】
図3において、有機EL装置10は、基板1、基板1上に形成された有機EL素子72、駆動用トランジスタ74、バンク部47及び封止部20を備えている。尚、有機EL素子72は、図中下側に光を出射するボトムエミッション型の有機EL素子であるが、図中上側に光を出射するトップエミッション型の有機EL素子を備えた有機EL装置でも本発明の発光装置は適用可能であることは言うまでもない。また、バンク部47の下側が有機EL層50から光が出射されない非開口領域であり、有機EL層50の下側が開口領域である。
【0049】
基板1は、例えば、ガラス基板等で構成されており、有機EL素子72が図中下側に出射する光を透過させる。したがって、図1に示す駆動用トランジスタ74及びスイッチング用トランジスタ76は、基板1における有機EL素子72の下側の領域を避けるように形成されている。基板1は、基板1上に有機EL素子72が形成されているだけでなく、図1に示す走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150の各種回路を備えている。このような回路は、基板1における画素領域110の周辺領域に設けられる。
【0050】
有機EL素子72は、本発明の「発光部」の一例である有機EL層50、陰極49、及び陽極34を備えて構成されている。
【0051】
有機EL層50の夫々は、後述するように発光層を含む複数の有機層を備えており、これら有機層は、複数の有機EL層50を互いに隔てるための素子分離部として機能するバンク部47に囲まれた凹部62に有機EL材料を含む塗布液を個別に塗布することによって形成されている。より具体的には、有機EL層50は、塗布法の一例であるインクジェット法を用いて各有機EL層50を形成するインクを凹部62に個別に塗布し、その後所定の乾燥条件下で凹部62に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成されている。有機EL層50の表面は平坦であり、その駆動時に各有機EL層50に均一に駆動電流が流れ、均一な輝度で発光できる。尚、本実施形態では有機EL素子72は、陽極34、有機EL層50及び陰極49からなる3層構造を有しているが、正孔注入/輸送層が陽極343及び有機EL層50間に形成されていてもよいし、電子注入/輸送層が、陰極49及び有機EL層50間に形成されていてもよい。
【0052】
バンク部47は、第1バンク部47a及び第2バンク部47bから構成されており、有機EL層50が形成される凹部62を規定する。第1バンク部47aは、SiO、SiO2又はTiO2等の無機材料で構成される無機材料層であり、例えば、保護層45上にCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)法、コート法、スパッタ法等の膜形成法を用いて形成されている。第2バンク部47bは、アクリル樹脂、又はポリイミド樹脂等の有機材料で構成される有機材料層であり、図中上側に向かって先細りとなるテーパー形状を有している。第2バンク部47bは、第1バンク部47a上に有機材料層を形成した後、この有機材料層をフォトリソグラフィ技術等を用いてパターニングすることによって形成されている。第2バンク部47bは、その底部が図中横方向に沿って第1バンク部47aより小さめとなるように形成されている。
【0053】
陰極49は、第2バンク部47bの表面及び有機EL層50の表面を被うように形成されている。陰極49は、基板1上に形成された各有機EL素子72で共通とされる共通電極であり、基板1上で平面的に見て複数の有機EL素子72間で物理的に接続された電極、或いは一枚の連続した電極として延在している。陰極49は、例えばAl、Cu、Ag、Auから選ばれた少なくとも一種の材料を含んで構成されており、真空蒸着法等の物理的薄膜形成法を用いてこれらの材料を有機EL層50及びバンク部47の夫々の表面に蒸着させることにより形成されている。
【0054】
陽極34は、基板1上に順次形成されたゲート絶縁層2、層間絶縁膜41、保護層45、及び第1バンク部47aのうち第1バンク部47aに埋め込まれるように形成されている。陽極34は、例えば、有機EL層50から出射された光を図中下側に透過するようにITO等の透明材料で形成された透明電極である。
【0055】
駆動用トランジスタ74のソース電極74sは、図1に示す電源供給線117に電気的に接続されており、ドレイン電極74dは陽極34に電気的に接続されている。駆動用トランジスタ74は、図1に示すデータ線114を介してゲート電極3aに供給されるデータ信号に応じてオンオフされ、駆動電流を有機EL素子72に供給する。このような素子を含む回路は、有機EL素子50から基板1側に出射される光を遮らないように、有機EL素子50の下側を避けるように設けられている。また、駆動用トランジスタ74と同様に図1に示すスイッチング用トランジスタ76も基板1上に形成されている。
【0056】
半導体層3は、例えば低温ポリシリコン技術を用いて形成された多結晶シリコン層或いはアモルファスシリコン層である。半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び図1に示す走査線112は、ゲート絶縁層2上に形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。
【0057】
走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁層2上には図3に示す層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41及びゲート絶縁層2は例えばシリコン酸化膜から構成されている。層間絶縁層41上には、例えばアルミニウム(Al)又はITO(Indium Tin Oxide)を含む導電材料から夫々構成される、データ線114及び電源供給線117、更には駆動用トランジスタ74のソース電極74sが形成されている。層間絶縁層41には、層間絶縁層41の表面から層間絶縁層41及びゲート絶縁層2を貫通して、駆動用トランジスタ74の半導体層3に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。電源供給線117及びドレイン電極74dを構成する導電膜は、コンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層3の表面に至るように連続的に形成されている。層間絶縁層41上には、電源供給線117及びドレイン電極74dを埋め込んで、保護層45として例えばシリコン窒化膜(SiNx)ないしシリコン酸化膜(SiOx)が形成されている。保護層45上には、例えばシリコン酸化膜よりなる第1バンク部47aが形成され、更に第1バンク部47a上に第2バンク部47bが形成されている。第1バンク部47a及び第2バンク部47bによって、画素部における有機EL層50の形成領域が規定されている。
【0058】
封止板20は、水分が有機EL装置10の外部から有機EL層50に浸入することを防止する。より具体的には、封止板20は、基板1上に接着剤によって接着されており、有機EL装置10の外気が有機EL素子72に触れないように有機EL素子72を封止する。基板1上に封止板20を接着する接着剤は、熱硬化樹脂或いは紫外線硬化樹脂を含んでおり、例えば、熱硬化樹脂の一例であるエポキシ樹脂を封止板20の周縁部にディスペンサ等の塗布手段を用いて塗布される。
【0059】
次に、図4乃至図7を参照しながら、有機EL装置10が備える孔部90の具体的な構成及びこのような孔部を設けるに至った本願発明者の着眼点を説明する。
【0060】
図4は、凹部62の底から臨む有機EL層50の平面形状を比較した平面図である。図4(a)は従来の有機EL層50の平面形状を示す平面図であり、図4(b)は本実施形態に係る有機EL装置10が備える有機EL層50の平面形状を示す平面図である。図5(a)及び(b)は、図4(b)のVa−Va´線断面図及びVb−Vb´線断面図である。 図4(a)において、バンク部47´は、有機EL材料を含む塗布液が塗布される凹部62´を規定する。凹部62´の平面形状は円形である。したがって、有機EL材料を含む塗布液を凹部62´に塗布した際に、図中X方向及びY方向の夫々の方向に沿って等しい力Fが塗布液51´を引っ張るようにバンク部47´の側壁面から凹部62´に塗布された塗布液51´に加わる。言い換えれば、凹部62´に塗布された塗布液51´に対して平面的に見て等方的にバンク部47´の側壁面から力Fが加わる。したがって、凹部62´が円形である場合には、凹部62´に塗布された塗布液の表面は、最終的に塗布液を乾燥させてなる有機EL層の表面が平坦となるように各方向に沿って均一に平坦化されている。
【0061】
一方、図4(b)に示すように、凹部62の平面形状が図中Y方向に沿った長さ方向を有する俵状である場合、バンク部47のうち凹部62を規定する側壁面のうち図中X方向に沿った幅方向に延びる第1側壁面48aから塗布液51に加わる力Fyの大きさと、長さ方向に沿って延びる第2側壁面48bから塗布液に加わる力Fxの大きさとが互いに相違することになる。より具体的には、第1側壁面48aが塗布液51に接する面積が、第2側壁面48bが塗布液51に接する面積に比べて相対的に小さいことに起因して、塗布液51に加わる力Fx及びFyが互いに異なる。このような力Fx及びFyによれば、図5(a)に示すように、Y方向に沿って塗布液51の表面が凹部62の第1側壁面48a付近で落ち込み、塗布液51の中央部が第1側壁面48aに近い側の部分に比べて盛り上がる。また、図5(b)に示すように、塗布液51の表面の中央部が第1側壁面48aに近い側の部分に比べて窪んでしまう。よって図5(a)及び(b)に示すように、塗布液51を乾燥させることによって凹部62の底に形成される有機EL層50の表面を平坦にすることが困難となる。
【0062】
そこで、本願発明者は、非等方的な平面形状を有する凹部62に塗布された塗布液51の表面が凹部62の平面形状に起因する力によって平坦性が損なわれることに着目し、図6に示すように、有機EL装置10に孔部90を設けた。図6は、有機EL装置10の画素部70を拡大して示した平面図である。尚、図5に示した塗布液の断面形状は、一例であり、塗布液に含まれる有機EL材料及び溶剤の種類に応じて凹部62内における塗布液の断面形状は様々の形状をとりうるため、例えばVa−Va´線で塗布液を切った断面形状及びVb−Vb´線で塗布液をきった断面形状が相互に入れ替わる場合もある。このような場合でも、後述する孔部60等の形状を最適化することにより、凹部62に塗布された塗布液の表面を平坦にできる。
【0063】
図6において、孔部90は、第1側壁面48aから塗布液51に開口し、図中Y方向に沿ってバンク部47中に延在されている。孔部90は、凹部62に塗布液51が塗布された際に、塗布液51の一部を孔部90を介して凹部62から逃がす。乾燥前の塗布液51は、毛細管現象によって孔部90から凹部62の外側、即ちバンク部47中に延びる孔部90に吸い出される。この際、凹部62に残留する塗布液51に対して、図中Y方向に沿って力Fy1が作用し、塗布液51の表面はY方向に沿って平坦となる。これと同時に、Y方向に沿って塗布液51に力Fy1が作用することによって、X方向に沿った塗布液51の表面を平坦化するように力Fx1が作用し、第1側壁面48bから塗布液51に作用する力が相対的に小さくなるように第1側壁面48a及び第2側壁面48bの夫々から塗布液51に作用する力が調整される。これにより、Y方向だけでなく、X方向に沿って塗布液51の表面が平坦化される。尚、孔部90から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、孔部90のサイズ、より具体的には第1側壁面48aから凹部62に臨む開口部のサイズ、及びY方向に沿って延びる孔部90の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に個別具体的に設定すればよい。
【0064】
図7(a)及び(b)に示すように、X方向及びY方向に沿って塗布液51の表面を平坦化させてなる塗布液52を乾燥させることによって、非等方的な平面形状を有する俵状の凹部62の底に平坦な表面を有する有機EL層50が形成される。
【0065】
このような有機EL層50によれば、赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液をインクジェット法を用いて各凹部62に塗り分けた場合でも、有機EL層50の表面を平坦にすることができ、有機EL層50内の膜厚ばらつきに起因する輝度のばらつきを低減でき、輝度むらが低減された高品位の画像を表示できる。
【0066】
(変形例)
次に、図8及び図9を参照しながら本実施形態に係る有機EL装置の変形例を説明する。図8は、本実施形態に係る有機EL装置の変形例の一例を示す平面図であり、図9は、本実施形態に係る有機EL装置の変形例の他の例の一部を破断して示した斜視図である。尚、以下の各例及び第2実施形態では、上述の有機EL装置と共通する部分に共通の参照符合し、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0067】
図8において、本例に係る有機EL装置100は、平面形状が俵状である凹部62の長さ方向に延びる第2側壁面48bに開口するように孔部91が形成されている。凹部62に塗布された塗布液の表面の平坦性は、塗布液に含まれる有機EL材料及び溶剤の特性によって異なるため、凹部62の長さ方向に沿って延びる第2側壁面48bに開口するように孔部91を設けておいたほうが、第1側壁面48aに開口するように孔部を設ける場合に比べて塗布液の表面を平坦化できる場合もある。したがって、第1側壁面48aに開口する孔部90を設ける場合に限定されず、本例の有機EL装置100のように第2側壁面48bに開口するように孔部91を設けておくことにより塗布液51の表面を平坦化できる。これにより、平坦な表面を有する有機EL層50を乾燥工程を介して形成できる。
【0068】
図9において、本例の有機EL装置200は、凹部62から塗布液の一部を逃がす溝部92を備えている。溝部92は、図中凹部62の長さ方向であるY方向に沿って延在されており、第1側壁面48aから凹部62に開口している。溝部92によれば、凹部62に塗布された塗布液の一部が毛細管現象により凹部62から溝部92に逃がされ、塗布液の表面を平坦化できる。このように表面が平坦化された塗布液を乾燥させることにより、図中凹部62の底から上側に臨むように平坦な表面を有する有機EL層50を形成できる。尚、溝部92から逃がされる塗布液の量は、塗布液の組成及び塗布液を乾燥させる塗布液の挙動を観察したうえで、溝部92のサイズ、より具体的には第1側壁面48aから凹部62に臨む開口部のサイズ、及び長さ方向に沿って延びる溝部92の長さを実験的、理論的、シミュレーション的に個別具体的に設定すればよい。また、図3に示した駆動用トランジスタ74は、保護層45の下側に形成された層間絶縁膜41中に有機EL層50を避けるように形成されているため、図9では図示していない。
【0069】
(第2実施形態)
次に、図10及び図11を参照しながら、本発明の第2の発明に係る有機EL装置の実施形態を説明する。図10は、本実施形態に係る有機EL装置300の平面図である。
【0070】
図10において、有機EL装置300は、インクジェット法を用いて形成された有機EL層50を備えた複数の画素部70を備えている。画素領域を構成する複数の画素部70のうち基板301上の縁に沿った領域に形成された画素部70bと、基板301の中央付近に形成された画素部70aとの間では、バンク部47によって規定された凹部62に塗布された塗布液の乾燥速度が相互に異なる。より具体的には、基板301が大型サイズの基板になるほど乾燥条件を細かく制御したとしても画素部70aに比べて画素部70bにおける塗布液の乾燥速度が相対的に速くなり、塗布液の乾燥速度を基板301上の各領域で均一に維持することが困難となる。
【0071】
そこで、図11に示すように、有機EL装置300は、基板301の縁に近い領域に位置する画素部70b及び基板301の中央付近に位置する画素部70bの夫々に、塗布液を乾燥させる前に各画素部70a及び70bの位置に応じて相互に異なる量の塗布液を各凹部62から逃がす孔部93a及び93bを備えている。
【0072】
図11は、図10の画素部70a及び70bを拡大して示した平面図である。
【0073】
図11(a)において、画素部70aは、凹部62の第1側壁面48aに開口するようにバンク部47内に形成された孔部93aを備えている。図11(b)に示すように、画素部70bは、凹部62の第1側壁面48aに開口するようにバンク部47内に形成された孔部93bを備えている。図11(a)及び(b)に示すように、孔部93a及び93bの夫々は、図中Y方向、即ち俵状の平面形状を有する凹部62の長さ方向に沿って第1側壁面48aからバンク部47内に延在されており、孔部93a及び93bの長さは、相互に異なる。より具体的には、孔部93bの長さは、孔部93bの長さに比べて相対的に大きい。したがって、画素部70bでは、塗布液の乾燥工程に先立って凹部62に塗布された塗布液のうち孔部93bを介して凹部62から逃がされる塗布液の量が、画素部70aにおいて凹62から逃がされる塗布液の量に比べて多い。画素部70a及び70bの夫々から逃がされる塗布液の量は、画素部70a及び70bの基板301上における位置の相違、即ち凹部62に塗布された塗布液の乾燥速度によって決められている。凹部62から逃がされる塗布液の量を画素部70の位置に応じて変えておくことにより、乾燥時における塗布液の挙動、例えば塗布液の乾燥速度に起因して有機EL層50の表面に凹凸が生じることを低減できる。これにより、インクジェット法等の塗布法を用いて各凹部62の夫々に個別に塗布液を塗布した場合でも、各画素部70に平坦な表面を有する有機EL層50を形成できる。尚、本実施形態では、画素部70aが備える孔部のサイズを画素部70bが備える孔部93bのサイズより小さく設定しているが、有機EL層50を形成するための塗布液に含まれる有機EL材料及び溶剤の特性、塗布液の乾燥条件、並びに基板301のサイズに応じて各画素部70に形成される孔部のサイズを個別に具体的に最適化すればよい。また、基板301の中央付近から縁に向かって序々にサイズが大きくなるように形成された孔部を各画素部に延びるバンク部47に形成しておいてもよい。また、孔部に代えて溝部部を隔壁部に設け、この溝部を介して各凹部から異なる量の塗布液を逃がしてもよい。
【0074】
以上説明したように第1実施形態に係る有機EL装置によれば、赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を含む塗布液をインクジェット法を用いて各凹部に塗り分けた場合でも、開口率を高めつつ、有機EL層の表面を平坦にすることができる。これにより、有機EL層内の膜厚ばらつきに起因する輝度のばらつきを低減でき、輝度むらが低減された高品位の画像を表示可能である。また、第2実施形態に係る有機EL装置によれば、大型基板を用いて形成された有機EL装置であっても、基板の縁に近い領域に形成された有機EL層と、基板の中央付近の領域に形成された有機EL層との間で生じる輝度ばらつきを低減でき、高品位の画像を表示できる。
【0075】
尚、第1及び第2実施形態に係る有機EL装置の構造を、バンク部によって規定された領域に赤色、緑色及び青色の夫々の色を透過させる光学層を備えてなるカラーフィルタに応用することも可能である。このようなカラーフィルタは、インクジェット法等の塗布法を用いて光学材料を塗布した後、バンク部に設けられた孔部或いは溝部を介して塗布された塗布液の液面を平坦にすることが可能である。その後、塗布された塗布液を乾燥させることによって平坦な表面を有する光学層を形成でき、各光学層の光学特性が揃ったカラーフィルタが提供可能となる。
【0076】
(電子機器)
次に、図12及び図13を参照しながら上述した有機EL装置を具備してなる各種電子機器を説明する。
【0077】
<A:モバイル型コンピュータ>
図12を参照しながらモバイル型のコンピュータに上述した有機EL装置を適用した例について説明する。図12は、コンピュータ1200の構成を示す斜視図である。
【0078】
図12において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、図示しない有機EL装置を用いて構成された表示部1005を有する表示ユニット1206とを備えている。表示部1005は、平坦な有機EL層を備えているため高品位の画像を表示できる。また、表示部1005のサイズを大型化した場合でも、基板上の各画素部の夫々が平坦な有機EL層を備えているため、大画面で且つ高品位の画像を表示できる。また、表示部1005が備える複数の有機ELディスプレイ基板に赤、緑、青の光の三原色の光を発光する有機EL素子を形成しておくことによって、表示部1005はフルカラー表示で画像表示を行うことができる。
【0079】
<B:携帯型電話機>
更に、上述した有機EL装置を携帯型電話機に適用した例について、図13を参照して説明する。図13は、携帯型電話機1300の構成を示す斜視図である。
【0080】
図13において、携帯型電話機1300は、複数の操作ボタン1302と共に、本発明の一実施形態である有機EL装置を有する表示部1305を備えるものである。
【0081】
表示部1305は、平坦な有機EL層を備えているため、高品質の画像を表示することができる。また、表示部1305が備える複数の有機EL素子が夫々赤、緑、青の光の三原色の光を発光することによって、表示部1305はフルカラー表示で画像表示を行うこともできる。
【0082】
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL装置及び光学装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る有機EL装置10の概略構成を示す平面図である。
【図3】図3は図2のIII−III´線断面図である。
【図4】凹部62の底から臨む有機EL層50の平面形状を比較した平面図である。
【図5】図4(b)のVa−Va´線断面図及びVb−Vb´線断面図である。
【図6】第1実施形態に係る有機EL装置10の画素部70を拡大して示した平面図である。
【図7】図6のVIIa−VIIa´線断面図及びVIIb−VIIb´線断面図である。
【図8】第1実施形態に係る有機EL装置の変形例の一例を示す平面図である。
【図9】第2実施形態に係る有機EL装置の変形例の他の例の一部を破断して示した斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る有機EL装置300の平面図である。
【図11】図10に示した画素部70a及び70bを拡大して示す平面図である。
【図12】本発明に係る有機EL装置を具備してなる電子機器の一例の斜視図である。
【図13】本発明に係る有機EL装置を具備してなる電子機器の他の例の斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
10、100、200、300・・・有機EL装置、34・・・陽極、47・・・バンク部、50・・・有機EL層、62・・・凹部、70・・・画素部、90、91、93a。93b・・・孔部、92・・・溝部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された発光部と、
前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記発光部の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備えたこと
を特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記排液手段は、前記隔壁部の側壁面から前記塗布液に接するように設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記側壁面のうち前記凹部の幅方向に沿って延びる第1側壁面の面積は、前記側壁面のうち前記凹部の長さ方向に沿って延びる第2側壁面の面積に比べて小さく、
前記排液手段は、前記第1側壁面から前記塗布液に接するように設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記排液手段は、前記第1側壁面に開口するように前記長さ方向に沿って前記隔壁部内に延びる孔部であり、前記塗布液は、前記孔部を介して前記凹部から逃がされること
を特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記排液手段は、前記第1側壁面及び前記隔壁部上に開口するように前記長さ方向に沿って延びる溝部であり、前記塗布液は、前記溝部を介して前記凹部から逃がされること
を特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の発光部と、
前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の発光部の夫々の表面を平坦にする排液手段とを備えたこと
を特徴とする有機EL装置。
【請求項7】
前記排液手段は、前記位置に応じて互いに異なるサイズを有するように前記隔壁部に形成された複数の孔部又は溝部であること
を特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された光学層と、
前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記光学層の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備えたこと
を特徴とする光学装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の光学層と、
前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の光学層の夫々の表面を平坦にする排液手段とを備えたこと
を特徴とする光学装置。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された発光部と、
前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記発光部の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備えたこと
を特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記排液手段は、前記隔壁部の側壁面から前記塗布液に接するように設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記側壁面のうち前記凹部の幅方向に沿って延びる第1側壁面の面積は、前記側壁面のうち前記凹部の長さ方向に沿って延びる第2側壁面の面積に比べて小さく、
前記排液手段は、前記第1側壁面から前記塗布液に接するように設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記排液手段は、前記第1側壁面に開口するように前記長さ方向に沿って前記隔壁部内に延びる孔部であり、前記塗布液は、前記孔部を介して前記凹部から逃がされること
を特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記排液手段は、前記第1側壁面及び前記隔壁部上に開口するように前記長さ方向に沿って延びる溝部であり、前記塗布液は、前記溝部を介して前記凹部から逃がされること
を特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
有機EL材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の発光部と、
前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の発光部の夫々の表面を平坦にする排液手段とを備えたこと
を特徴とする有機EL装置。
【請求項7】
前記排液手段は、前記位置に応じて互いに異なるサイズを有するように前記隔壁部に形成された複数の孔部又は溝部であること
を特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された光学層と、
前記隔壁部に形成されており、前記凹部に塗布された塗布液の一部を前記光学層の表面が平坦となるように前記凹部から逃す排液手段とを備えたこと
を特徴とする光学装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に設けられており、平面的にみて非等方的な形状を有する複数の凹部を規定する隔壁部と、
光学材料を含む塗布液を前記複数の凹部の夫々に個別に塗布した後、前記複数の凹部に塗布された塗布液を乾燥させることによって形成された複数の光学層と、
前記基板上における前記複数の凹部の夫々が規定された位置に応じて前記複数の凹部の夫々から互いに異なる量の塗布液を逃がすことによって、前記複数の光学層の夫々の表面を平坦にする排液手段とを備えたこと
を特徴とする光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−95614(P2007−95614A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286415(P2005−286415)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]