説明

有用物質含有ナノバブル発生方法、および有用物質含有ナノバブル発生装置

【課題】有用物質が構成要素として含有されているナノバブルおよび、当該ナノバブルを製造するための装置を提供する。
【解決手段】本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置1は、混合手段32、供給手段31、およびナノバブル発生手段24を備えている。それ故、混合手段32において、有用物質と液体との混合溶液が得られ、供給手段において上記混合溶液と気体との気液混合物が得られる。また、上記ナノバブル発生手段24は、気液吸い込み配管15と液体吸い込み配管3とを有する気液混合循環ポンプ11を備えているので、上記気液混合物を上記気体取り込み管15から気液混合循環ポンプ11に取り込み、有用物質含有ナノバブルを発生することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブルを発生させる方法、およびそれに用いる装置に関し、詳しくは、有用物質を含有するナノバブルを発生させる方法、およびそれ用いる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、微細バブルを用いることにより有用物質の経皮吸収を促進することができる経皮吸収促進方法、有用物質を含有する液体中に微細バブルを発生させる経皮吸収促進装置、および上記方法または装置を用いて製造された有用物質含有物が開示されている(特許文献1)。
【0003】
詳しくは、上記特許文献1には、有用物質を含有する液体を収容する容器、および浴槽内の液体中に微細バブルを発生させる微細バブル発生装置を備えた微細バブル発生装置搭載風呂(経皮吸収促進装置)が開示されている。微細バブル発生装置搭載風呂では、微細バブル発生装置により浴槽内の湯水中に微細バブルが発生し、この微細バブルを利用することにより、湯水中の有用物質が経皮から吸収されることが開示されている。
【0004】
また、ナノバブルの利用方法および装置が開示されている(特許文献2)。上記特許文献2に開示の利用方法では、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用と殺菌作用などの特性を利用している。より具体的には、これら特性が相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能が発揮される。そしてこれら機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができることや、汚濁水を浄化することができることが開示されている。
【0005】
また、ナノ気泡の生成方法が開示されている(特許文献3)。上記特許文献3に開示されている生成方法は、液体中において、(1)液体の一部を分解ガス化する工程、(2)液体中で超音波を印加する工程または、(3)液体の一部を分解ガス化する工程および超音波を印加する工程から構成されている。
【0006】
また、オゾンマイクロバブルを利用する廃液の処理装置が開示されている(特許文献4)。上記特許文献4に開示されている処理装置では、マイクロバブル発生装置に、オゾン発生装置より生成されたオゾンガスと処理槽の下部から抜き出された廃液とを加圧ポンプを介して供給している。そして、このことによって生成されたオゾンマイクロバブルをガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気することが開示されている。
【特許文献1】特開2006−305158(2006年11月9日公開)
【特許文献2】特開2004−121962(2004年4月22日公開)
【特許文献3】特開2003−334548(2003年11月25日公開)
【特許文献4】特開2004−321959(2004年11月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、有用物質を含有する液体中に微細バブルを発生させるため、有用物質を微細バブルの気体部分と液体部分の界面に存在させることが困難であった。このため、微細バブルと共に有用物質を皮膚または粘膜から取り込むことができないので、有用物質の体内への吸収効率が非常に悪いという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有用物質が構成要素として含有されているナノバブルおよび、当該ナノバブルを製造するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置は、上記課題を解決するために、有用物質と液体との混合溶液を製造する混合手段、上記混合溶液と気体との気液混合物をナノバブル発生手段に供給する供給手段、および上記気液混合物を用いて有用物質含有ナノバブルを発生するナノバブル発生手段を備えおり、上記ナノバブル発生手段は、気体取り込み手段と液体取り込み手段とを有し、且つ上記気体取り込み手段から取り込んだ上記気液混合物、および液体取り込み手段から取り込んだ液体から気液二相流体を発生する気液混合循環ポンプを備えることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、有用物質を含む液体と気体とが予め混合されている気液混合物、および液体を気液混合循環ポンプに供給して、上記気液混合物と液体とを混合する。これにより、有用物質を含む液体は気体と2回混合されるので、有用物質をナノバブルの界面に容易に存在させることができる。それ故、有用物質を構成要素として含有するナノバブル(以下、「有用物質含有ナノバブル」と記載する。)を効率よく発生させることができる。
【0011】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記ナノバブル発生手段は、上記気液混合循環ポンプによって生成された気液二相流体を混合攪拌し、上記気液二相流体中に有用物質含有マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生部と、上記マイクロバブル発生部によって発生した有用物質含有マイクロバブルに対してせん断力を生じせしめ、上記有用物質含有マイクロバブルをせん断・破砕することによって上記気液二相流体中に有用物質含有ナノバブルを発生する第1気体せん断部とを備えることが好ましい。
【0012】
これによれば、上記マイクロバブル発生部において上記気液二相流体を混合攪拌することにより、有用物質含有マイクロバブルを発生させることが出来る。そして、上記第1気体せん断部において有用物質含有マイクロバブルを高速流体運動させることにより、流体運動によって生じるせん断力が生じる。このせん断力により有用物質含有マイクロバブルはせん断および破砕されるので、有用物質含有ナノバブルを簡便に発生させることが出来る。
【0013】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記ナノバブル発生手段に、発生した有用物質含有ナノバブルを貯留するための有用物質含有ナノバブル貯槽が設けられていることが好ましい。これによれば、上記有用物質含有ナノバブル貯槽に有用物質含有ナノバブルを貯留することができるので、所望の時期に有用物質含有ナノバブルを取り出すことができる。
【0014】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記混合手段は、有用物質と液体とを貯留するための有用物質貯槽、および有用物質と液体とを攪拌するための攪拌手段を備えていることが好ましい。これによれば、有用物質貯槽内で有用物質と液体とを攪拌手段を用いて混合することができるので、より簡便に有用物質と液体との混合物を製造することができる。
【0015】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記混合手段は、上記マイクロバブル発生部によって発生した有用物質含有マイクロバブルを吐出する第3気体せん断部を備えており、上記第3気体せん断部は、上記マイクロバブル発生部から発生した有用物質含有マイクロバブルを取り込むためのマイクロバブル吸い込み管を備えていることが好ましい。
【0016】
これによれば、混合手段において、上記マイクロバブル発生部から発生した有用物質含有マイクロバブルを第3気体せん断部から吐出できるので、この有用物質含有マイクロバブルを用いて有用物質を液体をと混合することができる。
【0017】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記供給手段が、上記気液混合物をナノバブル発生手段に圧送する移送ポンプを備えていることが好ましい。これによれば、移送ポンプにより気液混合物を気液混合循環ポンプに圧送することができるので、マイクロバブル発生部での気液二相流体の高速旋回運動の回転数を向上することができる。それ故、上記有用物質含有マイクロバブルをより細かくせん断・破砕することができるので、より微細なナノバブルを製造することができる。
【0018】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記供給手段は、所望の気体を取り込むための気体吸い込み配管を備えており、上記気体吸い込み配管は、上記供給手段に対して、取り込んだ所望の気体を供給可能であることが好ましい。これにより、所望の気体と混合溶液との気液混合物を気液混合循環ポンプに供給することができる。それ故、上記ナノバブル発生装置を用いて、所望の気体を含む有用物質含有ナノバブルを製造することができる。
【0019】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記供給手段が、上記所望の気体を気体吸い込み配管に送るためのブロワーを備えることが好ましい。これによれば、上記ブロワーを用いることにより、容易に気体吸い込み配管に送ることができる。
【0020】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記マイクロバブル発生部の内部が、鏡面仕上げとなっていることが好ましい。これによれば、マイクロバブル発生部の内部と気液二相流体との間に発生する摩擦を低減できるので、高速旋回運動のエネルギーの損失を低減することができる。
【0021】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記マイクロバブル発生部の内部に、流体の旋回乱流を制御する溝が1本以上設けられていることが好ましい。これによれば、マイクロバブル発生部において、気液二相流体の高速旋回運動をより簡便に制御することができる。
【0022】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記マイクロバブル発生部の気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、楕円または真円であることが好ましい。これによれば、気液二相流体の高速旋回運動を効率よく行うことができるので、せん断力を向上させることができ、発生する有用物質含有マイクロバブルの効率を上げることができる。
【0023】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第1気体せん断部の内部が、鏡面仕上げとなっていることが好ましい。これによれば、上記第1気体せん断部の内部と気液二相流体との間に発生する摩擦を低減できるので、高速旋回運動のエネルギーの損失を低減することができる。
【0024】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第1気体せん断部の内部に、流体の旋回乱流を制御する溝が1本以上設けられていることが好ましい。これによれば、上記第1気体せん断部において、気液二相流体の高速旋回運動をより簡便に制御することができる。
【0025】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第1気体せん断部の気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、楕円または真円であることが好ましい。これによれば、気液二相流体の高速旋回運動を効率よく行うことができるので、せん断力を向上させることができ、発生する有用物質含有ナノバブルの効率を上げることができる。
【0026】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第1気体せん断部の有用物質含有ナノバブル吐出口に複数の孔が形成されていることが好ましい。これによれば、有用物質含有ナノバブルが吐出する箇所が複数あるので、有用物質含有ナノバブルの吐出量を増やすことができる。
【0027】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第1気体せん断部の形状が円柱であって、気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、真円であり、有用物質含有ナノバブルの吐出口に複数の孔が形成されており、当該円柱の高さが30mm〜180mmであり、上記真円の直径が50mmであり、上記孔は、直径が4mm〜9mmの真円であることが好ましい。第1気体せん断部の形状を上述のようにすることにより、有用物質含有ナノバブルの発生をより効率よく行うことができる。
【0028】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記ナノバブル発生手段に、第1気体せん断部によって発生した有用物質含有ナノバブルをせん断・破砕することによって上記気液二相流体中に有用物質含有ナノバブルを更に発生する第2気体せん断部が備えられることが好ましい。これにより、第1気体せん断部14で発生した有用物質含有ナノバブルおよび/または第1気体せん断部14ではせん断できなかった有用物質含有マイクロバブルが、第2気体せん断部17においてさらに高速せん断されるので、一層微細な有用物質含有ナノバブルを多量に発生させることができる。
【0029】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第2気体せん断部の内部が、鏡面仕上げとなっていることが好ましい。これによれば、上記第2気体せん断部の内部と気液二相流体との間に発生する摩擦を低減できるので、高速旋回運動のエネルギーの損失を低減することができる。
【0030】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第2気体せん断部の内部に、流体の旋回乱流を制御する溝が1本以上設けられていることが好ましい。これによれば、上記第2気体せん断部において、気液二相流体の高速旋回運動をより簡便に制御することができる。
【0031】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第2気体せん断部の気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、楕円または真円であることが好ましい。
【0032】
これによれば、気体せん断部において、気液二相流体の高速旋回運動を効率よく行うことができるので、せん断力を向上させることができ、発生する有用物質含有ナノバブルの効率を上げることができる。
【0033】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第2気体せん断部の有用物質含有ナノバブル吐出口に複数の孔が形成されていることが好ましい。これによれば、有用物質含有ナノバブルが吐出する箇所が複数あるので、有用物質含有ナノバブルの吐出量を増やすことができる。
【0034】
本発明のナノバブル発生装置では、上記第2気体せん断部の形状が円柱であって、気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、真円であり、有用物質含有ナノバブルの吐出口に複数の孔が形成されており、当該円柱の高さが30mm〜180mmであり、上記真円の直径が50mmであり、上記孔は、直径が4mm〜9mmの真円であることが好ましい。第2気体せん断部の形状を上述のようにすることにより、有用物質含有ナノバブルの発生をより効率よく行うことができる。
【0035】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記気液混合循環ポンプを構成する材料の厚みが、6mm〜12mmであることが好ましい。
【0036】
気液混合循環ポンプが運転されて、マイクロバブル発生部で気液二相流体が高速旋回運動すると、高速旋回運動のエネルギーが、気液混合循環ポンプに伝わり、気液混合循環ポンプを振動させる。この振動により、高速旋回運動のエネルギーが消費されて高速旋回運動の効率が低下するのでせん断力も低下する。そこで、気液混合循環ポンプを構成する材料の厚みを上述の範囲にすることにより、上記振動を低減することができるので、高速流動運動を効率よく行うことができる。
【0037】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記気液混合循環ポンプを構成する材料が、ステンレス、プラスチック、および樹脂からなる群より選ばれる1つ以上の材料であることが好ましい。上記材料は、入手および加工が容易であるので、気液混合循環ポンプのコストを下げることができる。それ故、安価なナノバブル発生装置を提供することができる。
【0038】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記気液混合循環ポンプにおける気液二相流体の吐出口の口径断面積が、気液混合循環ポンプにおける上記気体取り込み手段の口径断面積よりも小さいことが好ましい。
【0039】
これによれば、上記吐出口の口径断面積は上記気体吸い込み配管の口径断面積よりも小さいので、気液二相流体をマイクロバブル発生部に圧力をかけて吐出することができる。この圧力により、マイクロバブル発生部での気液二相流体の高速旋回運動の回転を速くすることができるので、有用物質含有マイクロバブルをより簡単に且つ安定に発生させることができる。従って、ナノバブル発生装置では、有用物質含有ナノバブルをより簡単に且つ安定に発生させることができる。
【0040】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記気液混合循環ポンプを運転する時期と、上記気液混合物を気液混合循環ポンプへ供給する時期とを調節する時期調節手段が備えられていることが好ましい。これによれば、気液混合循環ポンプを運転させた後に、気液混合物を気液混合循環ポンプに供給することができる。予め運転している気液混合循環ポンプに気液混合物を供給することにより、気液混合循環ポンプにかかる負荷を軽減することができる。
【0041】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、前記供給手段に、気液混合循環ポンプへ供給される上記気液混合物の量を調節する第1調節手段が備えられていることが好ましい。これによれば、気液混合循環ポンプに供給される気液混合物量を最適化することができるので、ナノバブルの発生効率を向上させることができる。
【0042】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第1調節手段は、気液混合循環ポンプへ供給される上記気液混合物の量を毎分0.3リットル〜毎分1.5リットルに調節することが好ましい。気液混合循環ポンプに供給される気液混合物量が上記範囲であれば、非常に効率よく有用物質含有ナノバブルを発生させることができる。
【0043】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記マイクロバブル発生部に、上記マイクロバブル発生部から吐出される有用物質含有マイクロバブルを含有する気液二相流体の量を調節する第2調節手段が備えられていることが好ましい。これによれば、当該マイクロバブル発生部から吐出される上記気液二相流体の量を最適化することができるので、有用物質含有ナノバブルの発生効率を向上させることができる。
【0044】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、上記第2調節手段は、上記マイクロバブル発生部から吐出される有用物質含有マイクロバブルを含有する気液二相流体の量を毎分1.5リットル〜毎分120リットルに調節することが好ましい。マイクロバブル発生部から吐出される上記気液二相流体の量が上記範囲であれば、非常に効率よく有用物質含有ナノバブルを発生させることができる。
【0045】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置では、液体中の浮遊物質を除去する除去手段が、ナノバブル発生手段、混合手段、および供給手段からなる群より選ばれる1つ以上の手段に設けられていることが好ましい。液体中に存在する浮遊物質を除去しないまま上記3つの手段を運転していると、浮遊物質が上記3つの手段に堆積する。これにより上記3つの手段の性能が低下する。例えば、ナノバブル発生手段に備えられた気液混合循環ポンプの液体取り込み管に浮遊物質が堆積すると、液体取り込み量が減少する。その結果、ナノバブル発生手段から発生する有用物質含有ナノバブルの効率が低下する。
【0046】
それ故上記3つの除去手段により液体中の浮遊物質を除去することにより、上記3つの手段に浮遊物質が堆積することを防ぐことができるので、上記3つの手段の性能の低下を防ぐことができる。
【0047】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生方法は、有用物質と液体とを混合して混合溶液を製造する第1工程、上記混合溶液と気体とを混合して気液混合物を製造する第2工程、および上記気液混合物を用いて有用物質含有ナノバブルを発生させる第3工程を含み、上記第3工程は、気体取り込み手段と液体取り込み手段とを有し、且つ上記気体取り込み手段から取り込んだ気液混合物、および液体取り込み手段から取り込んだ液体から気液二相流体を発生する気液混合循環ポンプを用いることを特徴としている。
【0048】
上記の構成によれば、有用物質を含む液体と気体とが予め混合されている気液混合物、および液体を気液混合循環ポンプに供給して、上記気液混合物と液体とを混合する。これにより、有用物質を含む液体は気体と2回混合されるので、有用物質をナノバブルの界面に容易に存在させることができる。それ故、有用物質含有ナノバブルを効率よく発生させることができる。
【0049】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生方法では、上記第3工程は、気液混合循環ポンプによって生成された気液二相流体を混合攪拌し、上記気液二相流体中に有用物質含有マイクロバブルを発生する第4工程と、上記第4工程で発生した有用物質含有マイクロバブルに対してせん断力を生じせしめ、上記有用物質含有マイクロバブルをせん断・破砕することによって上記気液二相流体中に有用物質含有ナノバブルを発生する第5工程とを含むことが好ましい。
【0050】
これによれば、当該気液二相流体から有用物質含有マイクロバブルを発生させ、この有用物質含有マイクロバブルをせん断および破砕することにより、有用物質含有ナノバブルを発生している。このように徐々にバブルの大きさを小さくすることにより、容易に有用物質含有ナノバブルを発生させることが出来る。
【発明の効果】
【0051】
本発明のナノバブル発生装置は、以上のように、有用物質と液体との混合溶液を製造する混合手段、上記混合溶液と気体との気液混合物をナノバブル発生手段に供給する供給手段、および上記気液混合物を用いて有用物質含有ナノバブルを発生するナノバブル発生手段を備えており、上記ナノバブル発生手段は、気体取り込み手段と液体取り込み手段とを有し、且つ上記気体取り込み手段から取り込んだ上記気液混合物、および液体取り込み手段から取り込んだ液体から気液二相流体を発生する気液混合循環ポンプを備える装置である。
【0052】
また、本発明のナノバブル発生方法は、以上のように、有用物質と液体とを混合して混合溶液を製造する第1工程、上記混合溶液と気体とを混合して気液混合物を製造する第2工程、および上記気液混合物を用いて有用物質含有ナノバブルを発生させる第3工程を含み、上記第3工程は、気体取り込み手段と液体取り込み手段とを有し、且つ上記気体取り込み手段から取り込んだ気液混合物、および液体取り込み手段から取り込んだ液体から気液二相流体を発生する気液混合循環ポンプを用いる方法である。
【0053】
それ故、上記ナノバブル発生装置、ナノバブル発生方法を用いることにより、有用物質を構成要素として含有するナノバブル有用物質含有ナノバブルを効率よく発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。図1は本実施の形態の有用物質含有ナノバブル発生装置1を示す断面図である。即ち、有用物質含有ナノバブル発生装置1は、有用物質と液体との混合溶液を製造する混合手段32、上記混合溶液と気体との気液混合物をナノバブル発生手段に供給する供給手段31、上記気液混合物を用いて有用物質含有ナノバブルを発生するナノバブル発生手段24、およびシーケンサー6を備えている。これらの位置関係は特に限定されず、設置する場所等の条件によって、適宜決定すれば良い。
【0055】
ナノバブル発生手段24には、気液混合循環ポンプ11、マイクロバブル発生部12、第1気体せん断部14、第2気体せん断部17、第3バルブ26、および有用物質含有ナノバブル貯槽2が備えてられている。
【0056】
マイクロバブル発生部12の内部には、気液混合循環ポンプ11が設けられている。上記気液混合循環ポンプ11は、供給手段31から気液混合物または気体を取り込むための気液吸い込み配管(気体取り込み手段)15、有用物質含有ナノバブル貯槽2から液体を取り込むための液体吸い込み配管(液体取り込み手段)3、図示しない攪拌翼(インペラ)および当該インペラの回転数を制御するための図示しない回転数制御器(インバーター)を備えている。これにより、気液混合循環ポンプ11において、気液混合物または気体と液体とから気液二相流体を発生させることができる。
【0057】
気液混合循環ポンプ11、マイクロバブル発生部12、第1気体せん断部14、および第2気体せん断部17は、特に限定されず、市販品を用いることができる。そのような市販品として、例えば、株式会社 協和機設の商品(カタログ番号:バビタスHYK−20)を用いることが出来る。
【0058】
また、有用物質含有ナノバブル貯槽2には、第5バルブ30が備えられており、第5バルブ30を開いた状態にすることにより、有用物質含有ナノバブルを取り出すことが、可能となる。
【0059】
上記供給手段31は、移送ポンプ9、ブロワー23、第1バルブ7、第2バルブ8、第4バルブ27、混合溶液の逆流を防止するための逆止弁22、所望の気体を取り込むための気体吸い込み配管33、および電動ニードルバルブ13(第1調節手段)を備えている。電動ニードルバルブ13特に限定されず、市販品を用いることができる。そのような市販品として、例えば、株式会社 協和機設の商品(カタログ番号:バビタスHYK−20)を用いることが出来る。
【0060】
また、上記混合手段32は、第3気体せん断部18(攪拌手段)、有用物質貯槽10を備えている。
【0061】
上記電動ニードルバルブ13の開き具合を調節することによって、上記気液吸い込み配管15から供給される気液混合物の量を調節することが出来る。これによれば、気液混合循環ポンプに供給される気液混合物量を最適化することができるので、ナノバブルの発生効率を向上させることができる。気液混合循環ポンプ11へ供給される上記気液混合物の量は、毎分0.3リットル〜毎分1.5リットルであることがより好ましい。気液混合循環ポンプ11に供給される気液混合物量が上記範囲であれば、非常に効率よくナノバブルを発生させることができる。
【0062】
供給手段31、ナノバブル発生手段24は、気液吸い込み配管15により連結されている。即ち、電動バブル8および電気ニードルバルブ13の間で気液吸い込み配管15が分岐しており、移送ポンプ9と気液混合循環ポンプ11とが、第2バルブ8、電気ニードルバルブ13を介して気液吸い込み配管15により連結し、第1バルブ7と移送ポンプ9とが気液吸い込み配管15により連結している。
【0063】
これによれば、第2バルブ8を閉じた状態にし、第1バルブ7を開いた状態にし、電気ニードルバブル13を開いた状態にし、ブロワー23が運転されることにより、気液吸い込み配管15から空気が気液混合循環ポンプ11に供給される。
【0064】
また、移送ポンプ9、ブロワー23を稼動させ、第2バルブ8を開いた状態、電動ニードルバルブ13を開いた状態、第1バルブ7を開いた状態にすることにより、ブロワー23からの空気と移送ポンプ9からの有用物質含有マイクロバブルとの気液混合物が、気液吸い込み配管15から気液混合循環ポンプ11に供給される。
【0065】
また、ブロワー23は、逆止弁22を介して気体取り込み管33により第1バルブ7と連結している。これによりブロワー23から取り込んだ気体を気体取り込み管33を通して供給手段31に供給することが出来る。
【0066】
また、混合手段32とナノバブル発生手段24とが、第2水配管28(マイクロバブル吸い込み管)により連結している。即ち、第3気体せん断部18とマイクロバブル発生部12とが第4バルブ27を介して第2水配管28により連結している。具体的には、マイクロバブル発生部12と第3バルブ26との間で第2水配管28が分岐しておりマイクロバブル発生部12と第3気体せん断部18とが、第4バルブ27を介して第2水配管28により連結し、またマイクロバブル発生部12と第1気体せん断部14とが、第3バルブ26を介して第2水配管28により連結している。
【0067】
これにより、第3バルブ26を閉じた状態にし、第4バルブ27を開いた状態にすることにより、マイクロバブル発生部12で発生したマイクロバブルを第3気体せん断部18に供給することができる。また、第3バルブ26を開いた状態にし、第4バルブ27を閉じた状態にすることにより、マイクロバブル発生部12で発生したマイクロバブルを第1気体せん断部14に供給することができる。
【0068】
また、有用物質貯槽10にオーバーフロー配管29の一方が連結されており、オーバーフロー配管29のもう一方は、有用物質含有ナノバブル貯槽2内部に到達するように設けられている。これにより有用物質貯槽10に貯留されている液体の液面が、オーバーフロー配管29が設けられている位置よりも高くなると、液体がオーバーフロー配管29を通って有用物質含有ナノバブル貯槽2に移動する。このため、有用物質貯槽10に貯留されている液体の液面を常に一定に保つことができる。
【0069】
上記気液混合循環ポンプ11は、有用物質含有ナノバブル貯槽2と、液体吸い込み配管3により連結されている。これにより、有用物質含有ナノバブル貯槽2に貯留された液体を液体吸い込み配管3を介して気液混合ポンプ11に送ることができる。このため、気液混合物と液体との気液二相流体を生成することができる。
【0070】
第1気体せん断部14と第2気体せん断部17とは、第1水配管16により連結されている。これにより、第1気体せん断部によって発生したナノバブルを第2気体せん断部17でさらにせん断・破砕することができるので、上記気液二相流体中にナノバブルを更に発生させることができる。上記第2気体せん断部17は有用物質含有ナノバブル貯槽2内部に設けられている。これにより、有用物質含有ナノバブル貯槽2には、第2気体せん断部17から発生した有用物質含有ナノバブルが発生する。
【0071】
上記移送ポンプ9は、有用物質貯槽10と配管により連結されている。これにより、混合手段32で製造された混合溶液を移送ポンプ9に供給することができる。また、第3気体せん断部18は、有用物質貯槽10内部に設置されている。
【0072】
気液混合循環ポンプ11としては、例えば、揚程40m以上(即ち、4kg/cmの高圧)の高揚程のポンプであることが好ましい。また、気液混合循環ポンプ11のポールとしては、2ポールまたは4ポールのどちらも用いることが出来るが、トルクの安定性の観点から2ポールが好ましい。
【0073】
上記気液混合循環ポンプ11における気液二相流体の吐出口の口径断面積が、気液混合循環ポンプ11における上記気液吸い込み配管15の口径断面積の50%〜80%であることが好ましい。これによれば、上記吐出口の口径断面積は上記気液吸い込み配管15の口径断面積よりも小さいので、気液二相流体をマイクロバブル発生部に圧力をかけて吐出することができる。この圧力により、マイクロバブル発生部での気液二相流体の高速旋回運動の回転を速くすることができるので、マイクロバブルをより簡単に且つ安定に発生させることができる。従って、ナノバブル発生装置では、ナノバブルをより簡単に且つ安定に発生させることができる。
【0074】
また、上記気液混合循環ポンプおよび/またはマイクロバブル発生部を構成する材料として、特に限定されないが、例えばステンレス、プラスチック、樹脂等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられても良いし、2つ以上を併用して用いられても良い。
【0075】
上記気液混合循環ポンプ11および/またはマイクロバブル発生部12を構成する材料の厚みは厚い方が好ましく、例えば、6mm〜12mmであることがより好ましい。気液混合循環ポンプ11が運転されて、マイクロバブル発生部12で気液二相流体が高速旋回すると、高速旋回のエネルギーが、気液混合循環ポンプ11および/またはマイクロバブル発生部12に伝わり、気液混合循環ポンプ11および/またはマイクロバブル発生部12を振動させる。
【0076】
それゆえ、気液混合循環ポンプ11および/またはマイクロバブル発生部12に振動が発生すると、高速旋回のエネルギーが消費されるので、高速旋回の効率が低下するのでせん断力も低下する。そこで、気液混合循環ポンプ11および/またはマイクロバブル発生部12を構成する材料の厚みを厚くすることにより、上記振動を低減することができるので、高速流動運動を効率よく行うことができる。
【0077】
マイクロバブル発生部12、第1気体せん断部14、第2気体せん断部17の少なくとも1つの形状は、円柱であることが好ましい。さらにマイクロバブル発生部12、第1気体せん断部14、第2気体せん断部17、および第3気体せん断部の気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状の少なくとも1つは、楕円であることが好ましく、真円であることがより好ましい。これによれば、気液二相流体の高速旋回運動を効率よく行うことができるので、せん断力を向上させることができる。
【0078】
また、マイクロバブル発生部12、第1気体せん断部14、および第2気体せん断部17の少なくとも1つの内部は、鏡面構造であることが好ましい。これによれば、上記内部と気液二相流体との間に発生する摩擦を低減できるので、高速旋回運動のエネルギーの損失を低減することができる。
【0079】
また、マイクロバブル発生部12、第1気体せん断部14、第2気体せん断部17、および第3気体せん断部18の少なくとも1つ内部に、螺旋状の溝が設けられていても良い。螺旋の方向としては、気液二相流体の進行方向であることが好ましい。これによれば、気液二相流体の旋回運動を制御することができる。溝の大きさとしては、例えば、深さ0.3mm〜0.6mm、溝幅0.5mm〜0.8mmが挙げられるが、これに限定されない。溝の大きさを上記範囲に設定することにより、気液二相流体の旋回運動をより適切に制御することができる。
【0080】
また、第1気体せん断部14、および/または第2気体せん断部17のナノバブル吐出口には、複数の孔が形成されていても良い。上記孔の形状は特に限定されないが、例えば、楕円、真円、三角、長方形、正方形等が挙げられる。上記孔の形状が真円である場合には、直径が4mm〜9mmであることがより好ましい。これにより、ナノバブルの発生をより効率よく行うことができる。
【0081】
また、上記マイクロバブル発生部12に、当該マイクロバブル発生部12から吐出される有用物質含有マイクロバブルを含有する気液二相流体の量を調節する図示しないバルブ(第2調節手段)が備えられていることが好ましい。これによれば、上記バルブの開き具合を調節することにより、当該マイクロバブル発生部から吐出される上記気液二相流体の量を最適化することができるので、ナノバブルの発生効率を向上させることができる。
【0082】
また、上記気液混合循環ポンプ11から吐出されるマイクロバブルを含有する気液二相流体の量を毎分1.5リットル〜毎分120リットルに調節することが好ましい。マイクロバブル発生部11から吐出される上記気液二相流体の量が上記範囲であれば、非常に効率よくナノバブルを発生させることができる。
【0083】
上記第1水配管16および第2水配管28の材料としては、例えば硬質塩ビニールを用いることができるが、これに限定されない。また、第3気体せん断部18としては、特に限定されず、マイクロバブルを吐出するものや、上記第1気体せん断部14等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0084】
また、ナノバブル発生手段、混合手段、および供給手段の少なくとも一つに液体中の浮遊物質を除去する除去手段が、設けられていることが好ましい。液体中に存在する浮遊物質を除去しないまま上記3つの手段を運転していると、浮遊物質が上記3つの手段に堆積する。これにより上記3つの手段の性能が低下する。例えば、ナノバブル発生手段に備えられた気液混合循環ポンプの液体取り込み管に浮遊物質が堆積すると、液体取り込み量が減少する。その結果、ナノバブル発生手段から発生する有用物質含有ナノバブルの効率が低下する。
【0085】
それ故上記除去手段により液体中の浮遊物質を除去することにより、上記3つの手段に浮遊物質が堆積することを防ぐことができるので、上記3つの手段の性能の低下を防ぐことができる。除去後の水質としては、例えば、液体中の浮遊物質の濃度が1ppm以下である水質が好ましい。これによれば、上記3つの手段に堆積する浮遊物質が液体中にほとんど存在しないので、上記3つの手段の性能を高い状態で維持したまま長期間運転することができる。
【0086】
除去手段としては特に限定されず、フィルター等の従来公知のものを用いることができる。フィルターを、例えば、気液吸い込み配管15と気液混合循環ポンプ11との間に取り付けることにより、気液混合物に含まれる浮遊物質を除去することができる。
【0087】
有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10には、液体がそれぞれ貯留される。上記液体としては、特に限定されず、水、油、懸濁水、化粧水、液剤等の液体を用いることができる。これら液体は単独で用いられても良いし、2つ以上を併用して用いられても良い。上記懸濁水とは、溶解していない浮遊物質が、水中に懸濁している水または油のことである。懸濁水として、例えば、ミセル等を含むコロイド溶液、すりおろした果実および/または野菜を含むジュース等が挙げられるが、これらに限定されない。上記液剤としては、例えば、エキス剤、乳剤、シロップ剤、チンキ剤、リモナーデ剤等が挙げられるが、これらに限定されない。これら液剤は、単独で使用されても良いし、2つ以上を併用して使用されても良い。
【0088】
また、有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10に貯留される液体は、それぞれ別の液体であっても良いし、同じ液体であっても良い。例えば、有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10に水が貯留されていれば、親水性の有用物質を用いることにより、親水性の有用物質が溶解した混合溶液を得ることができる。そのため、親水性の有用物質を構成要素として含有するナノバブルを製造することができる。
【0089】
また、有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10に油が貯留されていれば、疎水性の有用物質を用いることにより、疎水性の有用物質が溶解した混合溶液を得ることができる。そのため、疎水性の有用物質を構成要素として含有するナノバブルを製造することができる。
【0090】
また、有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10に懸濁水が貯留されていれば、懸濁液に容易に混合できる朝鮮人参エキス、サイコエキス等の有用物質を用いることができる。そのため、朝鮮人参エキス、サイコエキス等を構成要素として含有するナノバブルを製造することができる。
【0091】
また、有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10に化粧水が貯留されていれば、化粧水に容易に溶解できるショウブエキス、ユズエキス、トウキエキス等の有用物質を用いることができる。そのため、ショウブエキス、ユズエキス、トウキエキス等を構成要素として含有するナノバブルを製造することができる。
【0092】
また、有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10に液剤が貯留されていれば、有用物質が、液剤に容易に溶解できる漢方製剤、保湿成分等の有用物質を用いることができる。そのため、漢方製剤、保湿成分等を構成要素として含有するナノバブルを製造することができる。
【0093】
有用物質含有ナノバブル貯槽2の容量は、有用物質貯槽10の容量の2倍以上であることが好ましい。これにより、有用物質貯槽10に貯留されていた液体の全てが、オーバーフロー配管29を通って有用物質含有ナノバブル貯槽2に移動したとしても、有用物質含有ナノバブル貯槽2から液体が溢れだすことを防ぐことができる。
【0094】
また、有用物質含有ナノバブル貯槽2および有用物質貯槽10としては、例えば、ステンレスの容器等を用いることができるが、これに限定されない。
【0095】
有用物質貯槽10に添加される有用物質としては、薬物、生薬、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンD等の各種様々の有用物質を用いることができる。これら有用物質は、単独で使用されても良いし、2つ以上を併用して使用されても良い。
【0096】
上記薬物としては、特に限定されないが、例えば、シコンエキス、アミノ安息香酸エチル、塩酸ジブカイン、ヒドロコルチゾン、硫酸フラジオマイシン等の痔の治療用に用いられる薬物が挙げられる。これらの薬物は1種類が用いられても良いし、2種類以上が用いられても良い。また、上記薬物の形態は、例えば、散剤、カプセル、錠剤等が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、液体に溶けやすいという理由から、散剤がより好ましい。
【0097】
上記生薬とは、植物・動物・鉱物などを、そのままで、あるいは性質を変えない程度に切断・破砕・乾燥するなどの簡単な加工・調製をして、薬用に供するものの総称である。例えば、キハダ、ニワトコ、ジオウ、ヨモギ、ユキノシタ、ショウブの葉、ユズ、トウキ、カミツレ、センキュウ、チンピ、および人参が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの生薬は1種類が用いられても良いし、2種類以上が用いられても良い。
【0098】
なお、本実施の形態では、有用物質貯槽10のみに有用物質を加えたが、有用物質を有用物質含有ナノバブル貯槽2のみに加えても良いし、有用物質貯槽10および有用物質含有ナノバブル貯槽2の両方に加えても良い。
【0099】
上記シーケンサー6(時期調節手段)は、信号線5により移送ポンプ9、第1バルブ7、ブロワー23、第4バルブ27、第3バルブ26、および気液混合循環ポンプ11と接続している。上記シーケンサー6には、機器の動運転き制御するプログラムが組み込まれている。このため、このプログラムによって、上記シーケンサー6から信号を出すことにより、気液混合循環ポンプ11、第3バルブ26、第4バルブ27、電動ニードルバルブ13、第1バルブ7、小型ブロワー23、および移送ポンプ9を運転させることができる。
【0100】
それ故、上記シーケンサー6により、上記気液混合循環ポンプ11を運転する時期と、上記気液混合物を気液混合循環ポンプへ供給する時期とを調節することができる。具体的には、シーケンサー6により上記気液混合循環ポンプ11を運転した後に、上記気液混合物を気液混合循環ポンプ11へ供給することができる。例えば、上記気液混合循環ポンプ11を運転した60秒後に、上記気液混合物を気液混合循環ポンプ11へ供給することが好ましい。これによれば、予め運転している気液混合循環ポンプ11に気液混合物を供給することにより、気液混合循環ポンプ11にかかる負荷を軽減することができる。
【0101】
次に、ナノバブル発生手段24によるナノバブルの製造について説明する。ナノバブルは、第1段階と第2段階とを経て製造される。第1段階では、まず、気液混合循環ポンプ11を駆動して、上記気液吸い込み配管15を通して気液混合物をマイクロバブル発生部12に供給する。
【0102】
次に、インペラを回転させることによりマイクロバブル発生部12において水および気液混合物を混合攪拌する。上インペラの回転を調節することによって、マイクロバブル発生部12の中心部に高速旋回する気液二相流体が発生するので、マイクロバブル発生部12の中心部に気体の空洞部が形成される。
【0103】
更に、マイクロバブル発生部12の出口と第2水配管28の入口とでは、上記気液二相流体の旋回速度が異なる。例えば、上記マイクロバブル発生部12の出口における気液二相流体の回転速度が、500回転/秒〜600回転/秒であれば、気液二相流体にマイクロバブル発生部12の中心部へと向かう圧力(マイナス圧(負圧))が生じる。このマイナス圧によって生じる気液二相流体の部分を「負圧形成部分」という。
【0104】
上記マイナス圧によって上記気液二相流体が圧縮されるので、上記空洞部が竜巻状に細くなると共に、上記気液二相流体に含有される空気が上記空洞部に自動的に供給される。これにより、当該気液二相流体に対してせん断力および粉砕力が生じ、気液二相流体からマイクロバブルを発生させることが出来る。
【0105】
以上のように、第1段階では、マイクロバブル発生部12において、水と気液混合物とを高速流体運動させることにより、流体力学的に圧力を制御し、負圧形成部分から気体を吸入する。これにより負圧部が形成され、マイクロバブルが発生する。より解かりやすく簡単に説明すると、水と気液混合物とを効果的に自給混合溶解し、圧送することにより、マイクロバブル白濁水が製造される。本明細書において「負圧部」とは、気液二相流体において、周りと比較して圧力が小さな領域のことである。
【0106】
次に第2段階について説明する。第2段階では、上記第1段階で発生したマイクロバブルを、第2水配管28を通じて第1気体せん断部14に圧送する。上記第1気体せん断部14には、気液混合循環ポンプ21と同様に図示しない攪拌翼(インペラ)および当該インペラの回転数を制御するための回転数制御器(インバーター)が備えられている。このため、上記マイクロバブルを高速流体運動させて、竜巻状に細くすることが出来る。
【0107】
第2段階では、上記マイクロバブルの高速流体運動の速度は、上記気液二相流体の高速流体運動の速度よりも早く設定する。また、第1気体せん断部14の配管サイズをマイクロバブル発生部12のものより細く設定する。これにより、上記マイクロバブル内に、回転せん断流を発生させることが出来る。この回転せん断流によってせん断力が発生するので、上記マイクロバブルをせん断、および破砕することができる。このようにして、マイクロバブルからナノバブルを発生することが出来る。
【0108】
また、上記回転せん断流によってマイクロバブル内に超高温の極限反応場が形成される。これにより、マイクロバブルの局部が高温高圧状態となり、フリーラジカルが生じる。フリーラジカルは強い酸化作用を有するので、この酸化作用によって細菌やウィルスを殺菌することが出来る。
【0109】
このように、第2段階では、上記第1段階において発生したマイクロバブルを第3配管34を通じて第1気体せん断部14へ供給する。そして、上記第1気体せん断部14を高速流体運動させて、この流体運動によって生じるせん断力によりマイクロバブルをせん断および破砕する。これにより、ナノバブルを発生させることが出来る。以上が、ナノバブル発生手段24によるナノバブル発生のメカニズムである。
【0110】
〔ナノバブル発生方法〕
以下では、上記有用物質含有ナノバブル発生装置1を用いたナノバブル発生方法について説明する。本実施の形態の有用物質含有ナノバブル発生方法では、有用物質含有マイクロバブルを発生させた後に、有用物質含有ナノバブルを発生させる。
【0111】
まず、有用物質含有マイクロバブルを発生させる方法について説明する。始めに、マイクロバブル吐出部18が設置された有用物質貯槽10に有用物質と液体とを投入する。また、有用物質含有ナノバブル貯槽2に液体を投入する。その後、シーケンサー6から発せられる信号により、自動的にナノバブル発生手段24を構成している気液混合循環ポンプ11が、稼動する。これにより、液体吸い込み配管3から気液混合循環ポンプ11へ有用物質含有ナノバブル貯槽2の液体が供給される。
【0112】
そして、シーケンサー6の信号により、第2バルブ8を閉じた状態にし、第1バルブ7を開いた状態にし、電気ニードルバブル13を開いた状態にし、ブロワー23を稼動することにより、気液吸い込み配管15から空気が気液混合循環ポンプ11に供給される。気液混合循環ポンプ11に供給された液体および空気を用いて、マイクロバブル発生部12において、マイクロバブルが発生する。
【0113】
次に、第3バルブ26を閉いた状態にし、第4バルブ27を開いた状態にすることにより、マイクロバブル発生部12から吐出するマイクロバブルが、第3気体せん断部18に供給される。そして、当該第3気体せん断部18からマイクロバブルが吐出して、水流4が発生する。この水流4により有用物質と液体とが混合撹拌されるので、有用物質と液体との混合溶液(有用物質含有マイクロバブル)が製造される。またマイクロバブルは、他のマイクロバブルも撹拌する。これにより、有用物質を含む液体と有用物質含有マイクロバブルとが十分攪拌されることになり、有用物質がマイクロバブルの気体部分と液体部分との界面にさらに存在しやすくなる。
【0114】
その後、シーケンサー6から発せられる信号により、バルブ8を開いた状態にし、移送ポンプ9を稼動させることによって、混合溶液が供給手段31に供給される。供給手段31では、既に、シーケンサー6から発せられる信号により、電動ニードルバルブ13が開いた状態になり、第1バルブ7が開いた状態になり、ブロワー23は稼動しているので、上記混合溶液にブロワー23からの空気が供給される。これにより、空気と混合溶液とが混合されるので、気液混合物が生じる。そして、上記気液混合物は、気液吸い込み配管15から、気液混合循環ポンプ11に供給される。
【0115】
そして、移送ポンプ9から吐出される有用物質含有マイクロバブルの量よりも、気液混合循環ポンプ11から吐出される有用物質を含むマイクロバブルの量の方が、多くなるように設定する。例えば、移送ポンプ9の吐出量を5リットル/分、ブロワー23の空気の吐出量を0.7リットル/分、気液混合循環ポンプ11の吐出量を30リットル/分に設定する。
【0116】
これによれば、有用物質貯槽10に貯留される有用物質含有マイクロバブルの量が増加するので、液面が上昇する。そして、液面の位置がオーバーフロー配管29よりも上になると、有用物質含有マイクロバブルは、オーバーフロー配管29を通って、有用物質含有ナノバブル貯槽2に供給されることになる。
【0117】
即ち、有用物質貯槽10においては、入りと出の有用物質含有マイクロバブルの量が異なるが、有用物質含有マイクロバブルは、オーバーフロー配管29を通って、有用物質含有ナノバブル貯槽2に供給されるので、有用物質貯槽10の液面が一定の高さに維持されることになる。
【0118】
このように、気液混合循環ポンプ11を用いて、有用物質貯槽10と有用物質含有ナノバブル貯槽2との間に有用物質含有マイクロバブルを循環させることにより、有用物質、液体、およびマイクロバブルが十分混合されるので、有用物質含有マイクロバブルを多量に製造することができる。
【0119】
例えば、有用物質として薬物を用いた場合、本実施の形態では、10分間この循環を実施して、有用物質貯槽10から有用物質含有ナノバブル貯槽2に有用物質含有マイクロバブルを供給した。なお、上記循環の時間は特に限定されず、例えば、用いる有用物質の種類に応じて適宜設定することができる。
【0120】
そして、次に、有用物質含有マイクロバブルから有用物質含有ナノバブルを発生させる。即ち、シーケンサー6の信号により、移送ポンプ9、ブロワー23、および気液混合循環ポンプ11を稼動させ、バルブ8を開いた状態、電動ニードルバルブ13を開いた状態、第1バルブ7を開いた状態、第3バルブ26を開いた状態、第4バルブ27を閉じた状態にする。これにより、ブロワー23からの空気と移送ポンプ9からの有用物質含有マイクロバブルとの気液混合物が、気液吸い込み配管15からマイクロバブル発生部12に供給される。なお、気液混合循環ポンプ11の稼動により気液吸い込み配管15内に移送ポンプ9から気液混合循環ポンプ11へ向かうの圧力(吸い込み圧)が有用物質含有マイクロバブルに加わるので、移送ポンプ9を停止させても良い。この場合、有用物質含有マイクロバブルは、有用物質貯槽10から気液吸い込み配管15を通じて気液混合循環ポンプ11へと自然に供給される。
【0121】
そして、有用物質含有ナノバブル貯槽2から液体が液体吸い込み配管3を介して気液混合循環ポンプ11供給される。これにより、マイクロバブル発生部12において、気液混合物と有用物質含有ナノバブル貯槽2からの液体とが高速回転および混合されるので、有用物質含有マイクロバブルと液体とがさらに混合攪拌される。これにより、有用物質含有マイクロバブルをより一層発生させることができる。
【0122】
第3バルブ26を開いた状態、第4バルブ27を閉じた状態にすることにより、有用物質含有マイクロバブルは、第1気体せん断部14に供給される。第1気体せん断部14において、有用物質含有マイクロバブルが、せん断および破砕されることにより、有用物質含有ナノバブルが製造される。上記有用物質含有ナノバブルは、第1水配管16を通して第2気体せん断部17に供給される。これにより、第1気体せん断部14で発生した有用物質含有ナノバブル、第1気体せん断部14ではせん断および破砕できなかった有用物質含有マイクロバブルが、第2気体せん断部17においてさらに高速せん断されるので、一層微細な有用物質含有ナノバブルを多量に発生させることができる。上記有用物質含有ナノバブルは有用物質含有ナノバブル貯槽2に貯留される。そして、第5バルブ30より、有用物質含有ナノバブルを取り出すことが、可能となる。
【0123】
なお、上述の説明では、マイクロバブルを吐出する第3気体せん断部18を用いたが、これに限定されず、ナノバブルを吐出する気体せん断部を用いても良い。そのような気体専断部としては、上記第1気体せん断部14を用いることが出来る。これによれば、有用物質貯槽において、ナノバブルにより有用物質と液体とを攪拌することにより、有用物質含有ナノバブルを製造することができる。
【0124】
従って、上記第1気体せん断部14、第2気体せん断部18での有用物質含有ナノバブルの製造を加えると、合計3回有用物質含有ナノバブルを製造する機会があるので、より多量の有用物質含有ナノバブルを製造することができる。
【0125】
また、ナノバブル発生手段24には、2つ気体せん断部が設けられているが、ナノバブルを発生させる気体せん断部がさらに設けられていても良いし、第1気体せん断部14のみであっても良い。ナノバブル発生手段24に気体せん断部がさらに設けられている場合には、有用物質含有ナノバブルを製造する機会が増えるので、より一層多量の有用物質含有ナノバブルを製造することができる。また、ナノバブル発生手段24に第1気体せん断部14のみが設けられている場合には、ナノバブル発生手段24の省スペース化や、ナノバブル発生手段24を作製するコストを下げることができる。
【0126】
以上のように、本実施の形態では、有用物質含有ナノバブルを効率よく製造することができる。なお、本明細書において、「有用物質含有ナノバブル」とは、有用物質がナノバブルの構成要素として含まれているナノバブルのことである。具体的には、ナノバブルの気体部分と液体部分の界面に有用物質が存在するナノバブルのことである。また、「有用物質含有マイクロバブル」とは、有用物質がマイクロバブルの構成要素として含まれているマイクロバブルのことである。具体的には、マイクロバブルの気体部分と液体部分の界面に有用物質が存在するマイクロバブルのことである。
【0127】
ここで、ナノバブルは、マイナスに帯電しているので、水中またはナノバブルが接触した面の菌や有機物質を吸着する性質がある。即ちナノバブルは、殺菌作用および洗浄作用を有している。また、ナノバブルは、超微細であるので、皮膚や粘膜から容易に吸収されて、毛細血管に取り込まれる。これにより、ナノバブルは全身を巡ることになるので、体内の血流量を増加させる。
【0128】
また、ナノバブルによって知覚神経が刺激されるので、インスリン様成長因子−1の血液への放出を促進することが出来る。即ち、ナノバブルを服用するまたは皮膚に塗布することにより体内の血流量と、血中のIGF−1量を増加することが出来る。
【0129】
血液中のIGF−1が増加すると、血糖を低下させることが出来るので、糖尿病を改善する事が出来る。更に、IGF−1は、蛋白質分解抑制、血圧低下、心機能の改善(強心効果)、動脈硬化抑制、高脂血症の改善、インスリン抵抗性改善、認知機能上昇、抗うつ作用、アルツハイマー病の予防並びに改善、胃潰瘍抑制、肝機能亢進、美肌効果、生殖機能活性化、筋肉量増加、骨密度上昇、しわ並びにたるみの改善、育毛作用、創傷治癒の促進、赤血球産生促進、抗炎症作用、およびナチュラルキラー細胞の活性化による免疫機能活性化作用等を有する。従って、血液中のIGF−1が増加することにより、健康を改善することや各種疾病の改善をすることが出来る。
【0130】
上記疾病としては、特に限定されず、中枢神経系疾患(例えば、うつ病、認知症、アルツハイマー病等)、心血管系疾患(例えば、狭心症、低血圧症、高血圧症、動脈硬化等)、上記代謝系疾患(例えば、糖尿病、インスリン抵抗性疾患等)、消化器系疾患(例えば、胃潰瘍および/または肝硬変等)、血液並びに免疫系疾患(例えば、血栓症、白血病等)、泌尿生殖器系疾患(例えば、生殖機能不全症)、筋骨格系疾患(例えば、ミオパチー、骨粗鬆症等)、皮膚疾患(例えば、痔、皮膚老化)、上記毛髪疾患(例えば、抜け毛等)等が挙げられる。上記疾患は、1種のみであっても良いし2種以上であっても良い。
【0131】
なお、本明細書において、バブルは水の中を上昇して、水面ではじけて消滅する気泡ことである。また、マイクロバブルは、その直径が1μmより大きく50μm以下の微細気泡で、水中で縮小していき、ついには消滅(完全溶解)してしまう気泡のことである。また、マイクロナノバブルとは、マイクロバブルとナノバブルとが混在する気泡である。
【0132】
また、ナノバブルとは、その発生時において、1μm以下、好ましくは100nm〜200nmの直径を有し、水の中に長時間、好ましくは1週間以上、存在することが可能な気泡のことである。
【0133】
ナノバブルの直径が上記範囲であれば、単位面積あたりのナノバブルの表面積を増加させることが出来るので、ナノバブルと有用物質、皮膚、または粘膜との接触を良好に行うことが出来る。そのため、上述したナノバブルの洗浄作用、殺菌作用、血流量増加作用、および血中のIGF−1量を増加作用をより優れたものにすることが出来る。
【0134】
従来、有用物質を経口投与または皮膚に塗布した場合には、上記有用物質が効率よく体内に吸収されず、目的とする作用部位まで有用物質の全量が到達することはなかった。
【0135】
一方、上記有用物質含有ナノバブルを経口投与または皮膚に塗布した場合には、ナノバブルと共に上記有用物質を効率よく体内に吸収させることが出来る。これにより、上記有用物質は体内の臓器で分解されることなく全身を巡るため、上記有用物質の作用を格段に高めることが出来る。
【0136】
例えば、有用物質として薬物を用いた場合には、上記有用物質含有ナノバブル発生装置を用いることにより、薬物含有ナノバブルを製造することが出来る。上述したようにナノバブルには、血流量と、血中のIGF−1量を増加する作用がある。血流量が増加することによって体内に取り込まれた薬物の循環を促進することが出来る。また、IGF−1には、薬物の薬理作用を増加させる効果がある。従って、薬物含有ナノバブルを経口投与または、皮膚に塗布すれば、体内で薬物とナノバブルとの相乗効果により薬物の薬理作用が増強する。そのため、使用する薬物の量を低減することが出来る。
【0137】
また、薬物含有ナノバブルを用いて、体、顔、頭髪等を洗浄した場合は、ナノバブルの優れた洗浄力により汚れを落とすだけでなく、洗浄部位から薬物を吸収させることができる。そのため、洗顔量、シャンプー量、ボディーソープ量等を減少させることができるだけでなく、薬物により上述した各種疾病を治療することが出来る。
【0138】
なお、上述の説明では、攪拌手段として第3気体せん断部18を用いた場合について説明したが、これに限るものではない。図2に示すように攪拌手段は、撹拌機25であっても良い。上記撹拌機25は、回転軸に羽が設けられている。これによれば、回転軸を回転させることにより、羽が回転するので、有用物質と液体とを混合することが出来る。
【0139】
また、上述の説明では、混合手段に移送ポンプ9を備えた場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、移送ポンプ9が備えてなくても良い。しかし移送ポンプ9を備えていれば、気液混合物を気液混合循環ポンプに圧送することができるので、マイクロバブル発生部での気液二相流体の高速旋回運動の回転数を向上することができる。それ故、上記マイクロバブルをより細かくせん断・破砕することができるので、下記の表1に示すようにより多量のナノバブルを製造することができる。
【0140】
【表1】

【0141】
表1は、移送ポンプ9を備えている有用物質含有ナノバブル発生装置、および移送ポンプ9を備えていない有用物質含有ナノバブル発生装置を用いて、気液混合循環ポンプ11を2分間運転した後の、各大きさのナノバブルの液体中の割合を示す表である。なお、各大きさのナノバブルの液体中の割合は、ベックマンコールター社の測定器(レーザー回析散乱方式)を用いて測定した。
【0142】
表1によれば、移送ポンプを備えていることにより、ナノバブルの発生効率が向上することがわかる。
【0143】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、実施の形態2において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0144】
図3は、本実施の形態の別のナノバブル発生装置1の概略構成を示す概略図である。本実施の形態のナノバブル発生装置1は、供給手段31に、所望の気体を取り込むための気体吸い込み配管33を備えており、上記気体吸い込み配管33は、上記供給手段に対して、取り込んだ所望の気体を供給可能である点が、前記実施の形態1と異なっている。即ち、図2に示すように、第1バルブ7は、減圧弁20を介して気体吸い込み配管33により液化炭酸ガスボンベ19と連結している。これにより、液化炭酸ガスボンベ19からの液化炭酸ガスを減圧弁20で減圧し、第1バルブ7を通して供給手段31に供給することができる。
【0145】
従って、供給手段31において、混合溶液と炭酸ガスとの気液混合物を製造することができるので、ナノバブル発生手段24において、有用物質と炭酸ガスとを含有するナノバブル(以下、「有用物質含有炭酸ガスナノバブル」と記載する。)を製造することができる。上記有用物質含有炭酸ガスナノバブルでは、炭酸ガスがナノバブル内側の気体部分に存在している。
【0146】
これによれば、皮膚や粘膜から吸収され易いナノバブルに炭酸ガスが含有されているので、上記有用物質含有炭酸ガスナノバブルを皮膚または粘膜に付着させることにより、炭酸ガスを皮膚や粘膜から容易に吸収させることが出来る。これにより、炭酸ガスの血流量増加作用、および血行促進作用を効果的に発揮することが出来るので、各種疾病の治療を行うことができる。
【0147】
また、減圧弁20を介して気体吸い込み配管33と連結しているのは、液化炭酸ガスボンベに限定されず、例えば、窒素ガスボンベ、酸素ガスボンベ、アルゴンガスボンベ等の所望の気体を有するボンベを用いることができる。これら所望の気体を有するボンベは、単独で用いられても良いし、2つ以上を併用して用いられても良い。
【0148】
窒素ガスボンベを用いた場合には、供給手段31において、混合溶液と窒素ガスとの気液混合物を製造することができるので、ナノバブル発生手段24において、有用物質と窒素ガスとを含有するナノバブル(以下、「有用物質含有窒素ガスナノバブル」と記載する。)を製造することができる。上記有用物質含有窒素ガスナノバブルでは、窒素ガスがナノバブル内側の気体部分に存在している。
【0149】
これによれば、窒素ガスがナノバブルに含まれていることにより、有用物質の酸化を防止することができるので、有用物質の品質を保持することができる。それゆえ、酸化により品質の劣化しやすい有用物質を用いることができる。
【0150】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0151】
〔実施例1〕
図1に基づき、有用物質貯槽10(ステンレス製、容量:0.05m)、小型ブロワー23(空気吐出量:1リットル/分)、気液混合循環ポンプ11(電動機3.7kw)、移送ポンプ9および有用物質含有ナノバブル貯槽2(ステンレス製、容量:0.15m)を備える有用物質含有ナノバブル発生装置1を作製した。
【0152】
そして、有用物質として、健康に良いと言われているポリフェノールを有用物質貯槽に投入した。その後、有用物質含有ナノバブル発生装置1を用いて、ポリフェノール含有ナノバブルを製造した。その製造したポリフェノール含有ナノバブル溶液をベックマンコールター社の測定器(レーザー回析散乱方式)で測定したところ、下記の表2に示すポリフェノール含有ナノバブルを製造することができた。
【0153】
【表2】

【0154】
表2は、有用物質貯槽に投入されたポリフェノールの濃度と生じたポリフェノール含有ナノバブルの平均径および中心径との関係を示している。表2によれば、有用物質貯槽に投入されたポリフェノールの濃度が高いほど、生じるポリフェノール含有ナノバブルの平均径および中心径が小さくなることを示している。
【0155】
〔実施例2〕
(ビタミンB1含有ナノバブルの製造)
実施例1と同様の有用物質含有ナノバブル発生装置を用いてビタミンB1含有ナノバブルを製造した。
【0156】
即ち、ビタミンB1誘導体10mg/100mlを含有するドリンク剤(第一三共ヘルスケア株式会社:リゲイン(登録商標)3000)の液体10リットルを有用物質貯槽、および有用物質含有ナノバブル貯槽にそれぞれ投入した。
【0157】
次に、ナノバブル発生手段の運転から1分後に移送ポンプ、小型ブロワーを同時運転させて、ナノバブル発生手段に、ビタミンB1含有空気を導入した。そして、有用物質貯槽と有用物質含有ナノバブル貯槽との間で、ドリンク剤を循環させた。
【0158】
その後、第4バルブ27を閉じ、第3バルブ26を開くことにより、有用物質貯槽と有用物質含有ナノバブル貯槽との間のドリンク剤の循環を停止させた。そして、ナノバブル発生手段24を継続運転して、有用物質含有ナノバブル貯槽2にビタミンB1含有ナノバブルを製造した。
【0159】
(ビタミンB1含有ナノバブルの飲用実験)
試験者は、寝る前に、排尿を済ませておき、午後10時に就寝した。そして、起床と同時に排尿をし、食事をしないでビタミンB1含有ナノバブルまたはナノバブルを含有していないドリンク剤を、200ml(ビタミンB1として20mg)飲用した。
【0160】
即ち、初日(1日目)は、ナノバブルを含有していないビタミンB1含有ドリンク剤200mlを6時ごろ飲用した。そして、飲用後1時間以内の尿を全て集めた後、尿中のビタミンB1量を定量測定した。具体的には、ビタミンB1以外の成分を遠心分離により除去した後、紫外線を発する光源および可視線ろ光板を有する蛍光光度計を用いて尿中のビタミンB1量を定量測定した(コントロール1)。
【0161】
また、2日目も、1日目と同様にナノバブルを含有していないビタミンB1含有ドリンク剤200mlを6時ごろ飲用した。そして、飲用後1時間以内の尿を全て集めて、尿中のビタミンB1量を定量測定した(コントロール2)。
【0162】
3日目は、ビタミンB1含有ナノバブルドリンク剤200mlを6時ごろ飲用した。そして、飲用後1時間以内の全ての尿を集めて、尿中のビタミンB1量を1日目と同様にして定量測定した(1回目の実験)。
【0163】
3日目以降、3日目と同様の実験を4回、合計で5回繰り返した。即ち、コントロール1および2〔ブランク2回〕を加えると7回、尿中のビタミンB1を定量測定した。それら測定結果を表3に示す。
【0164】
【表3】

【0165】
表3は、ナノバブルを含有していないビタミンB1含有ドリンク剤、またはビタミンB1含有ナノバブルの摂取から1時間後の尿中ビタミン総量、および上記尿中ビタミンB1総量の増加率を示す表である。
【0166】
表3によれば、1回目〜5回目の実験の方が、コントロール1、2よりも尿中のビタミンB1量が約12%から26%程度高くなっていることが分かる。このことから、ビタミンB1がナノバブルに含有されることにより、ビタミンB1の体内への吸収が早くなることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置によれば、有用物質が微細バブルの構成要素として含有されるナノバブルを製造することができる。このため、ナノバブルと共に上記有用物質を効率よく皮膚や粘膜から吸収させることが出来る。それ故、本発明を医療機器や健康管理等の様々な産業に利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置の実施の一形態を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置のその他の実施の一形態を模式的に示す概略図である。
【図3】本発明の有用物質含有ナノバブル発生装置のさらにその他の実施の一形態を模式的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0169】
1 有用物質ナノ化装置
2 有用物質含有ナノバブル貯槽
3 液体吸い込み配管(液体取り込み手段)
4 水流
5 信号線
6 シーケンサー(時期調節手段)
7 第1バルブ
8 第2バルブ
9 移送ポンプ
10 有用物質貯槽
11 気液混合循環ポンプ
12 マイクロバブル発生部
13 電動ニードルバルブ(第1調節手段)
14 第1気体せん断部
15 気液吸い込み配管(気体取り込み手段)
16 第1水配管
17 第2気体せん断部
18 第3気体せん断部(攪拌手段)
19 液化炭酸ガスボンベ
20 減圧弁
21 窒素ガスボンベ
22 逆止弁
23 ブロワー
24 ナノバブル発生手段
25 攪拌機
26 第3バルブ
27 第4バルブ
28 第2水配管(マイクロバブル吸い込み管)
29 オーバーフロー配管
30 第5バルブ
31 供給手段
32 混合手段
33 気体吸い込み配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有用物質と液体との混合溶液を製造する混合手段と、
上記混合溶液と気体との気液混合物をナノバブル発生手段に供給する供給手段と、
および上記気液混合物を用いて有用物質含有ナノバブルを発生するナノバブル発生手段とを備えており、
上記ナノバブル発生手段は、
気体取り込み手段と液体取り込み手段とを有し、且つ上記気体取り込み手段から取り込んだ上記気液混合物、および液体取り込み手段から取り込んだ液体から気液二相流体を発生する気液混合循環ポンプを備えることを特徴とする有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項2】
上記ナノバブル発生手段は、
上記気液混合循環ポンプによって生成された気液二相流体を混合攪拌し、上記気液二相流体中に有用物質含有マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生部と、
上記マイクロバブル発生部によって発生した有用物質含有マイクロバブルに対してせん断力を生じせしめ、上記有用物質含有マイクロバブルをせん断・破砕することによって上記気液二相流体中に有用物質含有ナノバブルを発生する第1気体せん断部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項3】
上記ナノバブル発生手段に、発生した有用物質含有ナノバブルを貯留するための有用物質含有ナノバブル貯槽が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項4】
上記混合手段は、有用物質と液体とを貯留するための有用物質貯槽、および有用物質と液体とを攪拌するための攪拌手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項5】
上記混合手段は、上記マイクロバブル発生部によって発生した有用物質含有マイクロバブル吐出する第3気体せん断部を備えており、
上記第3気体せん断部は、上記マイクロバブル発生部から発生した有用物質含有マイクロバブルを取り込むためのマイクロバブル吸い込み管を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項6】
上記供給手段が、上記気液混合物をナノバブル発生手段に圧送する移送ポンプを備えていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項7】
上記供給手段は、所望の気体を取り込むための気体吸い込み配管を備えており、
上記気体吸い込み配管は、上記供給手段に対して、取り込んだ所望の気体を供給可能であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項8】
上記供給手段が、上記所望の気体を気体吸い込み配管に送るためのブロワーを備えることを特徴とする請求項7に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項9】
上記マイクロバブル発生部の内部が、鏡面仕上げとなっていることを特徴とする請求項2〜8の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項10】
上記マイクロバブル発生部の内部に、流体の旋回乱流を制御する溝が1本以上設けられていることを特徴とする請求項2〜9の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項11】
上記マイクロバブル発生部の気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、楕円または真円であることを特徴とする請求項2〜10の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項12】
上記第1気体せん断部の内部が、鏡面仕上げとなっていることを特徴とする請求項2〜11の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項13】
上記第1気体せん断部の内部に、流体の旋回乱流を制御する溝が1本以上設けられていることを特徴とする請求項2〜12の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項14】
上記第1気体せん断部の気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、楕円または真円であることを特徴とする請求項2〜13の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項15】
上記第1気体せん断部の有用物質含有ナノバブル吐出口に複数の孔が形成されていることを特徴とする請求項2〜14の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項16】
上記第1気体せん断部の形状が円柱であって、気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、真円であり、有用物質含有ナノバブルの吐出口に複数の孔が形成されており、
当該円柱の高さが30mm〜180mmであり、上記真円の直径が50mmであり、上記孔は、直径が4mm〜9mmの真円であることを特徴とする請求項2〜13の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項17】
上記ナノバブル発生手段に、第1気体せん断部によって発生した有用物質含有ナノバブルをせん断・破砕することによって上記気液二相流体中に有用物質含有ナノバブルを更に発生する第2気体せん断部が備えられることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項18】
上記第2気体せん断部の内部が、鏡面仕上げとなっていることを特徴とする請求項17に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項19】
上記第2気体せん断部の内部に、流体の旋回乱流を制御する溝が1本以上設けられていることを特徴とする請求項17または18に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項20】
上記第2気体せん断部の気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、楕円または真円であることを特徴とする請求項17〜19の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項21】
上記第2気体せん断部の有用物質含有ナノバブル吐出口に複数の孔が形成されていることを特徴とする請求項17〜20の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項22】
上記第2気体せん断部の形状が円柱であって、気液二相流体の進行方向に垂直な断面形状が、真円であり、有用物質含有ナノバブルの吐出口に複数の孔が形成されており、
当該円柱の高さが30mm〜180mmであり、上記真円の直径が50mmであり、上記孔は、直径が4mm〜9mmの真円であることを特徴とする請求項17〜19の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項23】
上記気液混合循環ポンプを構成する材料の厚みが、6mm〜12mmであることを特徴とする請求項1〜22の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項24】
上記気液混合循環ポンプを構成する材料が、ステンレス、プラスチック、および樹脂からなる群より選ばれる1つ以上の材料であることを特徴とする請求項1〜23の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項25】
上記気液混合循環ポンプにおける気液二相流体の吐出口の口径断面積が、気液混合循環ポンプにおける上記気体取り込み手段の口径断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1〜24の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項26】
上記気液混合循環ポンプを運転する時期と、上記気液混合物を気液混合循環ポンプへ供給する時期とを調節する時期調節手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜25の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項27】
前記供給手段に、気液混合循環ポンプへ供給される上記気液混合物の量を調節する第1調節手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜26の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項28】
上記第1調節手段は、気液混合循環ポンプへ供給される上記気液混合物の量を毎分0.3リットル〜毎分1.5リットルに調節することを特徴とする請求項27に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項29】
上記マイクロバブル発生部に、上記マイクロバブル発生部から吐出される有用物質含有マイクロバブルを含有する気液二相流体の量を調節する第2調節手段が備えられていることを特徴とする請求項2〜28の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項30】
上記第2調節手段は、上記マイクロバブル発生部から吐出される有用物質含有マイクロバブルを含有する気液二相流体の量を毎分1.5リットル〜毎分120リットルに調節することを特徴とする請求項29に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項31】
液体中の浮遊物質を除去する除去手段が、ナノバブル発生手段、混合手段、および供給手段からなる群より選ばれる1つ以上の手段に設けられていることを特徴とする請求項1〜30の何れか1項に記載の有用物質含有ナノバブル発生装置。
【請求項32】
有用物質と液体とを混合して混合溶液を製造する第1工程、
上記混合溶液と気体とを混合して気液混合物を製造する第2工程、
および上記気液混合物を用いて有用物質含有ナノバブルを発生させる第3工程を含み、
上記第3工程は、気体取り込み手段と液体取り込み手段とを有し、且つ上記気体取り込み手段から取り込んだ上記気液混合物、および液体取り込み手段から取り込んだ液体から気液二相流体を発生する気液混合循環ポンプを用いることを特徴とする有用物質含有ナノバブル発生方法。
【請求項33】
上記第3工程は、気液混合循環ポンプによって生成された気液二相流体を混合攪拌し、上記気液二相流体中に有用物質含有マイクロバブルを発生する第4工程と、
上記第4工程で発生した有用物質含有マイクロバブルに対してせん断力を生じせしめ、上記有用物質含有マイクロバブルをせん断・破砕することによって上記気液二相流体中に有用物質含有ナノバブルを発生する第5工程とを含むことを特徴とする請求項33に記載の有用物質含有ナノバブル発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−296095(P2008−296095A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142628(P2007−142628)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(507175843)株式会社協和機設 (8)
【Fターム(参考)】