説明

有色芳香族キノン誘導体を含有する皮膚外用剤

【課題】シコニンなどの有色芳香族キノン誘導体の光や熱に対する色安定性を高め、これらの成分を含む皮膚外用剤の退色を防ぐための簡便かつ安全な手段を提供する。
【解決手段】有色芳香族キノン誘導体を含有する皮膚外用剤に、4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有色芳香族キノン誘導体を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧料等の皮膚外用剤への色素配合においては、安全性への配慮からアゾ系の有機合成色素を天然色素に置換することが行われている。例えば、植物体には種々の有色芳香族キノン誘導体が含まれており、そのいくつかは単離されて化粧料などの皮膚外用剤に含有されている。この様な有色芳香族キノン誘導体としては、例えば、アルカンナ(Alkanet)より抽出されるアルカニン、紫根(シコン)より抽出されるアルカニンの光学異性体であるシコニンなどが代表的に例示できる。アルカニンやシコニンは着色作用だけでなく、抗炎症作用も有することが知られているため皮膚外用剤の薬効成分として用いることも行われている(特許文献1、特許文献2など)。一方、有色芳香族キノン誘導体は保存中に光や熱の影響を受けて容易に退色するという問題があり、皮膚外用剤に配合した当初の鮮やかな色を維持できないという問題があった。そこで、このような退色を防ぐために、EDTA、エチルホスホン酸等のキレート剤やBHA、BHT、トコフェロール等の抗酸化剤を使用することが検討されたが、EDTAやBHT等は、その安全性が懸念されており、特に、化粧料などのイメージも重要である皮膚外用剤に配合するには適していない場合もある。すなわち、EDTAやBHT等の成分の添加によらず、有色芳香族キノン誘導体を含む皮膚外用剤の退色を抑制する手段の開発が望まれていた。
【0003】
一方、4−n−ブチルレゾルシノールなどの4−アルキルレゾルシノールにはメラニン産生を抑制する作用が存することが知られており、これらを皮膚外用剤に配合して、美白作用を発揮させる技術も知られている(特許文献3、非特許文献1など)。しかしながら、かかる成分に有色芳香族キノン誘導体の色安定性を高める作用があることは知られていなかった。また、実際に有色芳香族キノン誘導体と組み合わせて皮膚外用剤に含有させることも知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−149482号公報
【特許文献2】特開2005−325063号公報
【特許文献3】特開2000−327557号公報
【非特許文献1】武田ら監修「化粧品の有用性 評価技術の進歩と将来展望」、株式会社薬事日報社、2001年3月31日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、シコニンなどの有色芳香族キノン誘導体の光や熱に対する色安定性を高め、これらの成分を含む皮膚外用剤の退色を防ぐための簡便かつ安全な手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、有色芳香族キノン誘導体を含む皮膚外用剤の退色を防ぐ手段について研究を重ねた結果、4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩に有色芳香族キノン誘導体の色安定性を高める作用があることを見いだし、発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1) 1)有色芳香族キノン誘導体(コエンザイムQ10を除く。)と、2)4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2) 有色芳香族キノン誘導体が、構造式(I)で表されることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
【0007】
【化1】

【0008】
(3) 有色芳香族キノン誘導体が、シコニンであることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
【0009】
【化2】

【0010】
(4) 4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノールが、4−n−ブチルレゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール及び4−シクロヘキシルレゾルシノールから選択される少なくとも1つであることを特徴とする、(1)〜(3)の何れか一に記載の皮膚外用剤。
(5) 4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩の含有量が、有色芳香族キノン誘導体の含有量に対して1〜100質量倍であることを特徴とする、(1)〜(4)の何れか一に記載の皮膚外用剤。
(6) 有色芳香族キノン誘導体の含有量が、0.001〜0.1質量%であることを特徴とする、(1)〜(5)の何れか一に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有色芳香族キノン誘導体と4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩を有色芳香族キノン誘導体を含有する皮膚外用剤は過酷条件下での保存においても退色しにくい。また、本発明の皮膚外用剤は安全性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<1>本発明の皮膚外用剤の必須成分である有色芳香族キノン誘導体
本発明の皮膚外用剤は、有色芳香族キノン誘導体を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤に含まれる有色芳香族キノン誘導体は、キノン構造を有し、無彩色以外の色を呈する化合物であって、皮膚外用剤の成分として安全なものであれば、コエンザイムQ10を除く以外には、特に制限されない。キノン構造としては、例えばベンゾキノン構造
、ナフトキノン構造及びアントラキノン構造などが挙げられるが、本発明の皮膚外用剤においては、ナフトキノン構造又はアントラキノン構造を有する有色芳香族キノン誘導体を用いることが好ましく、この中でも前記構造式(I)で表されるナフトキノン誘導体を用いることが好ましい。ここで、Rは炭素数4〜7のアルケニル基を表し、この中でもイソペンテニル基が好ましい。
また、本発明の皮膚外用剤に含まれる有色芳香族キノン誘導体は、生物由来の化合物であることが好ましく、例えば植物、動物、微生物に由来する化合物が好ましく挙げられる。ここで、有色芳香族キノン誘導体は、必ずしも着色を目的とするものでなくてもよく、例えば抗炎症などを目的とするものであってもよい。本発明に用いる生物由来の有色芳香族キノン誘導体としては、例えば、アルカンナを基源とするアルカニン(シコニンのOH基の光学異性体、赤〜赤紫)、紫根を基源とするシコニン(紫)等のp−ナフトキノン誘導体、及び紅花を基源とするカーサミン(赤)、臙脂虫を基源とするカルミン酸(赤)、ラックカイガラムシの分泌物を基源とするラッカイン酸(赤)等のp−アントラキノン誘導体があげられる。この中でも特に、シコニンが好適に例示できる。
有色芳香族キノン誘導体は、上記有色芳香族キノン誘導体を含む生物体から抽出して用いることができる。例えば、アルカニンはムラサキ科アルカネット(Anchusa officinals
LINNE)の根から抽出することができる。抽出は常法に従って行うことができる。また、市販品を用いることもでき、例えば、カルミン酸(Carminic acid: シグマ−アルドリッチ社)、カーサミン(Carthamin: 東京化成工業株式会社)、シコニン(丸善製薬株式会社)などが挙げられる。また、化学合成したものを用いてもよい。
【0013】
本発明の皮膚外用剤に用いられる有色芳香族キノン誘導体は、塩の形でも含有することができる。塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。本発明の皮膚外用剤において、かかる有色芳香族キノン誘導体は、唯一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。本発明の皮膚外用剤における有色芳香族キノン誘導体の好ましい含有量は、皮膚外用剤に着色するのに必要十分な量が好ましく、具体的には、総量で、皮膚外用剤全量に対して、0.0001〜0.1質量%であり、より好ましくは0.0005〜0.05質量%である。
【0014】
<2>本発明の皮膚外用剤の必須成分である4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩
本発明の皮膚外用剤は4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩を含有することを特徴とする。中でも、炭素数4〜6のアルキル基を有する4−アルキルレゾルシノールが好ましい。炭素数4〜8のアルキル基としては、具体的には、n−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基などが例示できる。本発明の皮膚外用剤においては、特に4−n−ブチルレゾルシノールが好ましく用いられる。4−n−ブチルレゾルシノールなどの4−アルキルレゾルシノールは、公知の物質であり、常法に従って製造することができ、例えば、Lille, J.; Bitter, L. A.; Peiner, V. Trudy-Nauchono-Issledovatel' skii Institut Slantsev (1969), No.18, 127-34に記載された方法に従って製造することができる。すなわち、4−n−ブチルレゾルシノールの製造方法としては、レゾルシンとブタン酸を塩化亜鉛の存在下縮合し、亜鉛アマルガム/塩酸で還元する方法や、レゾルシンとn−ブチルアルコールとを200〜400℃で縮合させる方法が例示できる。ここで、n−ブチルアルコールをn−ヘキシルアルコールやシクロヘキシルアルコールなどの他のアルコールに置換することにより他の4−アルキルレゾルシノールを合成することが可能である。4−n−ヘキシルレゾルシノールは、アルドリッチ社より市販されており、それを購入して使
用することも可能である。
【0015】
また、4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノールの塩は、通常化粧料などに使用され生理的に許容される塩であればよい。例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示される。
【0016】
本発明の皮膚外用剤においては、4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及びその塩のうち一種を単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩は、前記有色芳香族キノン誘導体の色安定性を高め、有色芳香族キノン誘導体を含む皮膚外用剤の退色を防ぐ作用を有する。
【0017】
本発明の皮膚外用剤中における4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール等の含有量は、有色芳香族キノン誘導体の含有量に対して、総量で1〜100質量倍であることが好ましい。また、含有量の下限は、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.01質量%が好ましくく、0.1質量%がより好ましい。また、含有量の上限は、皮膚外用剤全量に対して、総量で5質量%が好ましく、0.3質量%がより好ましい。これは、少なすぎると本発明の効果が十分でない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになる場合があるからである。
【0018】
<3>本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定なく適用することができ、例えば、化粧料(医薬部外品を含む)、皮膚外用医薬組成物、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、中でも化粧料が特に好ましい。なお、4−n−ブチルレゾルシノールなどを用いる場合には、化粧料の中でも医薬部外品に適用することがより望ましい。
また、皮膚外用剤の剤形は特に制限されず、例えば、可溶化ローション剤形、増粘エッセンス剤形、乳化剤形等とすることができる。特に、有色芳香族キノン誘導体の色剤としての効果を著しく発揮できるので乳化剤形とすることが好ましい。化粧料として用いる場合は、ローション、乳液、エッセンス、クリーム、パック料等とすることができる。例えば、有色系の基礎化粧料、サンケアローションやサンケアミルクなどの紫外線防護化粧料、アンダーメークアップ化粧料、コントロールカラー、ファンデーション、ポイントメークアップ化粧料とすることができる。また、本発明の皮膚外用剤は、有色芳香族キノン誘導体が有している作用に応じて、特定の皮膚の疾患や症状の治療、予防、改善の目的で用いることもできる。例えば、アルカニンやシコニンを含有する場合には抗炎症用とすることも好ましい。
なお、4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩を、抗菌やメラニン産生抑制等を目的として配合する場合であっても、有色芳香族キノン誘導体と組み合わせて皮膚外用剤に用いる限りにおいては、本発明の技術的範囲に属する。
【0019】
本発明の皮膚外用剤は、さらに通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することができる。このような任意成分は、本発明の効果を阻害しないものであれば特段の限定なく使用することができ、オイル・ワックス類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、合成エステル油類、油剤類、界面活性剤類、多価アルコール類、保湿成分類、粉体類、無機顔料類、有機色素類、有機粉体類、紫外線吸収剤類、低級アルコール類、ビタミン類、抗菌剤、増粘剤、各種薬効成分等が挙げられる。また、これらの任意成分は、本発明の効果を阻害しない範囲の配合量で配合することが可能である。
【0020】
オイル・ワックス類としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等が挙げられる。
【0021】
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0022】
高級脂肪酸類としては、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等が挙げられる。
【0023】
高級アルコール類としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。
【0024】
合成エステル油類としては、例えば、ステアリン酸ステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等が挙げられる。
【0025】
油剤類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0026】
界面活性剤類としては、例えば、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(POEモノオレート、POEステアレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック(登録商標)類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テト
ロニック(登録商標)類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類が挙げられる。
【0027】
多価アルコール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
【0028】
保湿成分類としては、例えば、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
粉体類としては、例えば、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0030】
無機顔料類としては、例えば、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等が挙げられる。
【0031】
有機色素類としては、例えば、表面を処理されていても良い、魚燐箔等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等が挙げられる。
【0032】
有機粉体類としては、例えば、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等が挙げられる。
【0033】
紫外線吸収剤類としては、例えば、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0034】
低級アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロパノールが挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0035】
増粘剤としては、例えば、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロ
イチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩、アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ベントナイト等が例示できる。
【0036】
各種薬効成分としては、例えば、ツボクササポニン、ローズマリー抽出物、シラカバ抽出物、クジン抽出物等が挙げられる。
【0037】
特に好ましい形態としては、BHAやBHT等の抗酸化剤、エデト酸、エチドロン酸などのキレート剤を含有しない形態である。
【0038】
この様な任意成分の中で特に好ましいものは、乳化系を安定できる、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩である。カルボキシビニルポリマーとその塩は、化粧料原料として古くから使用されている増粘剤であり、これをアルキル変性したものとしては、グッドリッチ社から販売されている「ペムレンTR−1」、「ペムレンTR−2」或いは「カーボポール1382」等が好ましく例示できる。又、これらの塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。これらは単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。かかる成分の好ましい含有量は、総量で、皮膚外用剤全量に対して、0.05〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜1質量%である。
【0039】
本発明の皮膚外用剤は、これらの成分を常法に従って処理することにより、製造することができる。
【0040】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことはいうまでもない。
【実施例】
【0041】
<実施例1>
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である乳液(化粧料)を作製した。すなわち、イ、ロ、ハの成分をそれぞれ80℃に加熱し、攪拌下、イに徐々にロを加え、しかる後にハを加えて中和し、攪拌冷却して実施例1の乳液を得た。このものの4−n−ブチルレゾルシノールを水に置換した比較例1、アスコルビン酸リン酸マグネシウム置換した比較例2の乳液も同様に作製した。
【0042】
成分 質量%

ベヘニルアルコール 1
ステアリルステアレート 1
グリセリルトリイソステアレート 10
ジメチコン 5
ソルビタンセスキステアレート 1
POE(25)ステアリン酸エステル 2
イソステアリン酸 3
シコニン(丸善製薬株式会社製) 0.01

カルボキシビニルポリマー 0.3
ツボクサエキス(INDENA社製、イタリア) 0.1
1,3−ブタンジオール 8
1,2−ペンタンジオール 2
PEG400 2
4−n−ブチルレゾルシノール 0.3
水 50

水 14.09
水酸化カリウム 0.2
計 100
【0043】
<試験例1>
実施例1、比較例1及び比較例2の乳液に対して光照射試験を行った。すなわち、室内蛍光灯下に、各乳液を5日間保存した後20℃に戻し、コニカミノルタ色彩色差計CR300で測色し、非照射品の色に対する照射品の色差(ΔE)を求めた。結果を表1に示す。これより、4−n−ブチルレゾルシノールは、シコニンの光に対する色安定性を高め、皮膚外用剤の退色を防ぐ効果を有することがわかる。
【0044】
【表1】

【0045】
<試験例2>
実施例1の乳液において、4−n−ブチルレゾルシノールを4−n−ヘキシルレゾルシノールに代えて実施例2の乳液を作製し、上記で作製した4−nブチルレゾルシノールを水に置換した比較例1と共に高温保存試験を行った。すなわち5℃、40℃で遮光下、それぞれ3ヶ月間保存し、5℃保存品に対する、40℃保存品の色差(ΔE)を試験例1と同様にして求めた。結果を表2に示す。これより4−n−ヘキシルレゾルシノールは、シコニンの熱に対する色安定性を高め、皮膚外用剤の退色を防ぐことがわかる。
【0046】
【表2】

【0047】
<試験例3>
実施例1の乳液において、シコニンをカーサミン(東京化成工業株式会社)に代えて実施例3の乳液を作製した。このものの4−n−レゾルシノールを水に置換した比較例3、
アスコルビン酸リン酸マグネシウムに置換した比較例4の乳液も同様に作製し、試験例1と同様に光照射試験を行った。結果を表3に示す。これより、4−n−ブチルレゾルシノールは、カーサミンの光に対する色安定性を高め、皮膚外用剤の退色を防ぐ効果を有することがわかる。
【0048】
【表3】

【0049】
実施例1の乳液において、シコニンをカルミン酸(シグマ−アルドリッチ社)に代えて実施例4の乳液を作製した。このものの4−n−レゾルシノールを水に置換した比較例5、アスコルビン酸リン酸マグネシウムに置換した比較例6の乳液も同様に作製し、試験例1と同様に光照射試験を行った。結果を表4に示す。これより、4−n−ブチルレゾルシノールはカルミン酸の光に対する色安定性を高め、皮膚外用剤の退色を防ぐ効果を有することがわかる。
【0050】

【表4】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)有色芳香族キノン誘導体(コエンザイムQ10を除く。)と、2)4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
有色芳香族キノン誘導体が、構造式(I)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【化1】

【請求項3】
有色芳香族キノン誘導体が、シコニンであることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【化2】

【請求項4】
4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノールが、4−n−ブチルレゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール及び4−シクロヘキシルレゾルシノールから選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
4−アルキル(炭素数4〜8)レゾルシノール及び/又はその塩の含有量が、有色芳香族キノン誘導体の含有量に対して1〜100質量倍であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
有色芳香族キノン誘導体の含有量が、0.001〜0.1質量%であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−332116(P2007−332116A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169121(P2006−169121)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】