説明

木質材料の表層改質処理方法

【課題】木質材料の表層に圧密部を形成し圧密部に樹脂を含浸硬化させる木質材料の表層改質処理方法において、含浸させた樹脂と木質材料との強い接着性を実現し、さらに品質面、製造面、及び意匠面の問題を解決する。
【解決手段】加熱圧縮により、木質材料1の表層に圧密部10を形成し、ウレタン結合4を促進させるために木質材料1の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、圧密部10にイソシアネート2を含浸させ、ウレタン結合4により圧密部10を硬化させる含浸工程と、ウレタン結合4を促進するために、イソシアネート2含浸後の圧密部10に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、ウレタン結合4を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の圧密部10を加熱する後加熱工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質材料の表層改質処理方法に関する。より詳しくは、木質材料の表層に圧密部を形成した場合に、形成した圧密部の復元を抑制する木質材料の復元抑制処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬度の低い針葉樹等からなる木質材料を、床材や階段踏み板といった建築材料等に用いるためには、その耐久性の向上が最も重要な課題の1つである。
従来、木質材料の耐久性の向上のため表面硬度を高めるものとして、熱ロールプレスや平盤ホットプレスにて熱圧することにより、表層に圧密部を形成する方法が行なわれている。しかし、熱圧しただけでは、熱圧後に木質材料が吸湿、吸水することにより圧密部が復元してしまうので、熱圧処理に加えて復元抑制処理を施す必要がある。
【0003】
この復元抑制処理で最も一般的な方法に、樹脂含浸硬化処理があるが、一口に樹脂含浸硬化処理と言っても、使用する樹脂の種類、処理条件等によって様々な方法が存在する。代表的なものとしては、フェノール樹脂やメラミン樹脂等、熱硬化型の樹脂を予め木質材料に塗布しておいて熱圧することにより、樹脂含浸、圧密化、樹脂硬化を同時に達成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、表層に圧密部を形成するものではないが、樹脂としてイソシアネートを用いる方法として、耐熱耐圧容器中で脱気後加圧することにより木質材料表層に有機ポリイソシアネートを含浸させ、その後常圧下で水蒸気に接触させてイソシアネートを水蒸気硬化させる方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平1−267001号公報
【特許文献2】特開2002−234002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された発明のように、フェノール樹脂やメラミン樹脂等、熱硬化型の樹脂を予め木質材料に塗布しておいて熱圧することにより、樹脂含浸、圧密化、樹脂硬化を同時に達成する方法では、早材部と晩材部へ均等に樹脂が注入されないので、部分的に復元してしまい表面が凸凹になるといった品質面の問題や、樹脂を含浸した後で熱圧するので、熱ロールや平盤に樹脂が付着し連続生産ができないという製造面の問題が生じる。
また、用いる樹脂の屈折率によっては、木目がぼやけてしまい、表面の木理を美しく強調することができないといった意匠面の問題も生じる。
さらに、フェノール樹脂やメラミン樹脂等、ホルムアルデヒド系樹脂を含浸させた木質材料が住宅内装材として使用された場合は、揮発性有機化合物が放散されることにより、シックハウス症候群を引き起こすといった、健康面の問題を生じさせる一因となることも考えられる。
【0006】
一方、特許文献2に開示された発明のように、樹脂としてイソシアネートを用い、木質材料の表層に有機ポリイソシアネートを含浸させ、その後常圧下で水蒸気に接触させてイソシアネートを水蒸気硬化させる方法では、木質材料表層に含浸したイソシアネートは水蒸気と反応してポリ尿素結合するが、反応時に炭酸ガスが発生して発泡硬化してしまうほか、樹脂と木質材料中のセルロースとの接着性の面でも未だ課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、木質材料の表層に圧密部を形成し圧密部に樹脂を含浸硬化させる木質材料の表層改質処理方法において、含浸させた樹脂と木質材料との強い接着性を実現し、さらに品質面、製造面、及び意匠面の問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の問題を解決するために、請求項1に係る発明の木質材料の表層改質処理方法は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、イソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程を有する。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、イソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、イソシアネート(2)含浸後の前記圧密部(10)を加熱する後加熱工程を有する。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、イソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、イソシアネート(2)含浸後の前記圧密部(10)に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程を有する。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、イソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、イソシアネート(2)含浸後の前記圧密部(10)に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の前記圧密部(10)を加熱する後加熱工程を有する。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、ヘキサメチレンジイソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にヘキサメチレンジイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程を有する。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、ヘキサメチレンジイソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にヘキサメチレンジイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネート(2)含浸後の前記圧密部(10)を加熱する後加熱工程を有する。
【0014】
また、請求項7に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、ヘキサメチレンジイソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にヘキサメチレンジイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネート(2)含浸後の前記圧密部(10)に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程を有する。
【0015】
また、請求項8に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、ヘキサメチレンジイソシアネート(2)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にヘキサメチレンジイソシアネート(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネート(2)含浸後の前記圧密部(10)に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の前記圧密部(10)を加熱する後加熱工程を有する。
【0016】
また、請求項9に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン(2)のイソシアネート基(20)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン(2)含浸後の前記圧密部(10)を加熱する後加熱工程を有する。
【0017】
また、請求項10に係る発明は、木質材料(1)中のセルロース(3)の水酸基(30)に、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン(2)のイソシアネート基(20)を反応させてウレタン結合(4)させる木質材料の表層改質処理方法であって、加熱圧縮により、木質材料(1)の表層に圧密部(10)を形成し、前記ウレタン結合(4)を促進させるために前記木質材料(1)の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、前記圧密部(10)にヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン(2)を含浸させ、前記ウレタン結合(4)により前記圧密部(10)を硬化させる含浸工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン(2)含浸後の前記圧密部(10)に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、前記ウレタン結合(4)を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の前記圧密部(10)を加熱する後加熱工程を有する。
【0018】
ここで、上記において「表層」とは、木質材料の表側の面に限定されるものではなく、裏面や側面等、木質材料を形作る一番外側の部分であれば、いずれの部分であってもよい。例えば、床材であれば表裏両面に適用したり、球状の木質材料であれば表面全体に適用することも可能である。
【0019】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、木質材料中のセルロースの水酸基に、イソシアネートのイソシアネート基を反応させてウレタン結合させることにより、木質材料とイソシアネートとの強い接着性を実現することができる。
特に、熱圧工程で木質材料の表層の含水率を概ね8%以下とすることにより、ウレタン結合を促進させることができる。
【0021】
さらに、含浸工程でイソシアネートを含浸させた後で、後加熱工程でイソシアネート含浸後の圧密部を加熱することにより、ウレタン結合をさらに促進させることができ、木質材料とイソシアネートとの強い接着性をさらに実現することができる。
さらに、含浸工程と後加熱工程との間に触媒塗布工程を設け、触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布することにより、ウレタン結合をさらに促進させることができ、木質材料とイソシアネートとの強い接着性をさらに実現することができる。
【0022】
また、本発明によれば、熱圧工程で木質材料の表層に圧密部を形成した後に、含浸工程でイソシアネートを含浸させることにより、早材部と晩材部へ均等に樹脂を注入することができる。何故なら、熱圧工程での圧密により、もともと密度の異なる早材部と晩材部が同時に圧密される結果、両者の密度の差が減少し、含浸工程でイソシアネートが均等に含浸するためである。従って、圧密部が後から部分的に復元して表面が凸凹になることがない。
【0023】
また、本発明によれば、熱圧した後でイソシアネートを含浸させることにより、熱ロールや平盤にイソシアネートが付着することがなく、連続生産が可能である。
【0024】
また、本発明によれば、イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートを用いることにより、木理を美しく強調した木質材料を得ることができる。ヘキサメチレンジイソシアネートは、木材樹脂であるロジンの屈折率(1.52)に近い屈折率を有するため、木目がぼやけることなく、表面の木理を美しく強調するためである。さらに、ヘキサメチレンジイソシアネートは無黄変であるため、時間が経過しても変色(ヤケ)することがなく、木理の美しさを持続できる。
【0025】
また、本発明によれば、イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンを用いることにより、水溶性にして低粘度であるため木質材料中に十分に含浸させることができる。この場合、熱圧工程で概ね8%以下に下げた木質材料表層の含水率が上昇し、ウレタン結合を阻害する要因となるが、後加熱工程を設けてウレタン結合を促進させることにより、カバーすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1を用いて、本発明の実施形態に係る木質材料の表層改質処理方法について説明する。図1は本発明の実施形態に係る木質材料の断面図である。
【0027】
本発明の実施形態に係る木質材料の表層改質処理方法は、図1に示すような木質材料1の表層に圧密部10を形成する熱圧工程、形成した圧密部10にイソシアネート2を含浸させる含浸工程、イソシアネート2含浸後の圧密部10に有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程、及び触媒塗布後の圧密部10を加熱する後加熱工程とからなる。
【0028】
最初に、熱圧工程について説明する。
木質材料1としては、無垢材、集成材、単板等、良好な木理を有するもので表面化粧性が求められるものの処理において効果が大きいが、特に限定されるものではなく、合板、単板積層材、木質繊維板等にも活用できる。ここで、木質材料1の含水率は予め8%〜12%に調整しておく。
まず、木質材料1の表面に、用途に適した素地調整、例えばサンダー掛けを行なう。
次に、木質材料1を熱圧して圧密部10を形成する。熱圧手段としては、熱ロールプレスや平盤ホットプレス等を用いる。
【0029】
ここで、圧密部10の厚さについては、例えば厚さ12mmのラジアータパインの板を床材として使用する場合、0.3〜0.8mm厚程度の圧密部が形成されれば、表面硬度には問題ない。
また、熱ロールプレスを用いる場合には、ロール温度を上下面とも150〜200℃とし、ロール速度を3〜5m/分とするとよい。
この熱圧工程により、木質材料1には圧密部10が形成されるとともに、木質材料1の表層の含水率は概ね8%以下に低減される。これは、後に説明するウレタン結合を促進させるためである。
【0030】
次に、含浸工程について説明する。
圧密部10にイソシアネート2を含浸させる方法としては、浸漬、シャワーコーター、フローコーター、ロールコーター、スプレー、刷毛塗り等、特に限定されないが、浸漬により行うのが確実であり望ましい。
また、イソシアネート2の種類については特に限定されないが、黄変性がなく、耐候性に優れる脂肪族、脂環族系が望ましい。例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水素化MDIなどが挙げられる。特に比較的に安価で低粘度であるHMDIが最適である。
【0031】
HMDIにはモノマー、トリマー(イソシアヌレート)、ビユウレットタイプなどがあるが、有機溶剤で薄めると、木質材料中に残った有機溶剤が揮発し、室内の空気を汚染する可能性があるので、無溶剤で木材中に浸透させるために、低粘度なモノマー主体に用いると良い。
また、シェル・コア−の水性HMDIエマルジョンタイプなど水溶性のHMDIを用いれば、さらに低粘度であるため木質材料中に十分に含浸させることができる。
また、一般的に広く使用されているトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系は、耐候性が良くなく黄変する可能性があるが、使用は可能である。
【0032】
次に、触媒塗布工程について説明する。この触媒塗布工程は、後に説明するウレタン結合を促進させるために行うものである。
ウレタン結合を促進させるための触媒としては、有機錫または亜鉛化合物を用いるとよい。代表的なものとして、ジブチル錫ジラウレートの1%アセトン分散液を、イソシアネート2を含浸させた直後にスプレー塗布するとよい。
なお、触媒をイソシアネート2に混合してもよいが、可使時間が短くなるため好ましくない。
【0033】
次に、後加熱工程について説明する。この後加熱工程も、後に説明するウレタン結合を促進させるために行うものである。
イソシアネート2を含浸させ、さらに触媒を塗布した後、圧密部10を加熱することにより、圧密部10内のウレタン結合を促進させる。
加熱の方法としては、熱ロール、ドライヤー、平盤プレス等が可能であり、熱ロールの場合は100〜140℃とするとよい。
【0034】
以上、本発明の実施形態に係る木質材料の表層改質処理方法の各工程について説明したが、ここで、木質材料1の圧密部10におけるウレタン結合について、図2及び図3を用いて説明する。
図2は木質材料に含まれるセルロース3とセルロース3の間にイソシアネート2が含浸した状態を示す図であり、図3はセルロース3の水酸基30とイソシアネート2のイソシアネート基20が反応し、ウレタン結合4した状態を示す図である。
【0035】
含浸工程により、イソシアネート2は木質材料1の圧密部に含浸させられる。図2はこのときの状態を示し、木質材料1中のセルロース3とセルロース3の間にイソシアネート2が入り込んでいる。
セルロース3は水酸基30を有しており、またイソシアネート2はイソシアネート基20を有する化合物である。
次に、セルロース3の水酸基30とイソシアネート基20が反応すると、図3に示すように、セルロース3とイソシアネート2はウレタン結合4により強固に結び付けられる。従って、ウレタン結合を促進させれば、木質材料とイソシアネートの強い接着性を実現することができるのである。
【0036】
なお、このウレタン結合に関しては、例えば、従来、ポリウレタン塗料を木質材料に塗装すると木材細胞壁構成成分であるセルロースの水酸基とウレタン結合して付着性が良いと言われているが、実際は殆どが水素結合しており、ウレタン結合は確認されていない。その理由は、一般のポリウレタン塗料は主剤と硬化剤の二液型であり、主剤は活性な水素を持つ水酸基を有するポリオール、硬化剤はポリイソシアネートを主成分とするものであって、この混合液を木質材料に塗布したとき、イソシアネートは木材のセルロースの水酸基よりも塗料の主剤であるポリオールの水酸基の方に優先的に反応するからである。
従って、本実施形態のようにイソシアネートのみを用いれば、木材のセルロースの水酸基とウレタン結合を起こさせて強い接着性を実現することができるのである。
【0037】
以上説明した、本発明の実施形態に係る木質材料の表層改質処理方法によれば、木質材料1中のセルロース3の水酸基30に、イソシアネート2のイソシアネート基20を反応させてウレタン結合4させることにより、木質材料1とイソシアネート2との強い接着性を実現することができる。
ウレタン結合は、これまで説明したとおり、木質材料1のセルロース3とイソシアネート2がウレタン結合4により強固に結びつくものである。一方、特許文献2に記載された発明のように、イソシアネートが水蒸気と反応してポリ尿素結合することにより硬化する場合は、木質材料中の空隙に発泡硬化した樹脂が埋まるだけである。従って、ウレタン結合により強固に結びついた本実施形態によれば、木質材料1とイソシアネート2との強い接着性を実現することができるのである。
【0038】
特に、熱圧工程で木質材料1の表層の含水率を概ね8%以下とするので、圧密部10におけるウレタン結合4を促進させることができる。
ここで、ウレタン結合は、平衡含水率程度でも形成されることが確認されているが、木質材料1が高含水率の状態でイソシアネート2を含浸させると、イソシアネート2のイソシアネート基20が、セルロース3の水酸基30ではなく、水の水酸基と反応して尿素結合してしまい、ウレタン結合が阻害される。従って、できるだけ低含水率とすることが望ましく、含水率を概ね8%以下まで下げると、圧密部10の復元を抑制するのに十分なウレタン結合が形成される。
【0039】
一方で、通常、木質材料は、8〜12%程度に調整されて活用される。木質材料全体の含水率を概ね8%以下まで下げると、割れる、劣化するなど品質面の問題が生じる恐れがあり、また、乾燥コストがかさむとともに、低含水率を維持するためにラッピングをしておく必要があるといったコスト面の問題も生じるからである。
そこで、本実施形態によれば、あらかじめ8〜12%の含水率に調整した木質材料1の表層に、熱圧工程により含水率概ね8%以下の圧密部10を形成するので、ウレタン結合4を促進させたい圧密部10のみの含水率を選択的に低下させることができる。従って、上記品質面の問題やコスト面の問題を生じることなく、圧密部10におけるウレタン結合4を促進させることができる。
【0040】
また、さらに圧密部10の含水率を概ね6%以下とすることが望ましい。
含水率が概ね6%以下では、木質材料中の水分は、水素結合やファンデルワールス力で結合する単分子層吸着水としてセルロースの水酸基に結合しており、含水率が概ね6%より高くなると、木質材料中の水分は、単分子層吸着水表面上にファンデルワールス力などによって順次層数を増加する多分子層吸着水として保持される。
よって、含水率が概ね6%以下では、水分はセルロースの水酸基に強い結合力によって結合しているため、含浸させたイソシアネートとポリ尿素結合しにくい。また、水分と結合していないセルロースの水酸基も多く存在する。
従って、ウレタン結合4をさらに促進させることができ、木質材料1とイソシアネート2との強い接着性をさらに実現することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、含浸工程でイソシアネート2を含浸させた後で、後加熱工程でイソシアネート2含浸後の圧密部10を加熱することにより、ウレタン結合4をさらに促進させることができ、木質材料1とイソシアネート2との強い接着性をさらに実現することができる。
さらに、含浸工程と後加熱工程との間に触媒塗布工程を設け、触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布することにより、ウレタン結合4をさらに促進させることができ、木質材料1とイソシアネート2との強い接着性をさらに実現することができる。
【0042】
また、熱圧工程で木質材料1の表層に圧密部10を形成した後に、含浸工程でイソシアネート2を含浸させることにより、早材部と晩材部へ均等に樹脂を注入することができる。何故なら、熱圧工程での圧縮により、もともと密度の異なる早材部と晩材部が同時に圧縮される結果、両者の密度の差が減少し、含浸工程でイソシアネート2が均等に含浸するためである。従って、圧密部10が後から部分的に復元して表面が凸凹になることがない。
【0043】
また、熱圧した後でイソシアネート2を含浸させるので、熱圧に用いる熱ロールや平盤プレスにイソシアネート2が付着することがなく、連続生産が可能である。
【0044】
また、イソシアネート2としてヘキサメチレンジイソシアネートを用いることにより、木理を美しく強調した木質材料1を得ることができる。ヘキサメチレンジイソシアネートは、木材樹脂であるロジンの屈折率(1.52)に近い屈折率を有するため、木目がぼやけることなく、表面の木理を美しく強調するためである。さらに、ヘキサメチレンジイソシアネートは無黄変であるため、時間が経過しても変色(ヤケ)することがなく、木理の美しさを持続できる。
【0045】
また、イソシアネート2としてヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンを用いることにより、低粘度であるため木質材料1中に十分に含浸させることができる。この場合、熱圧工程で概ね8%以下に下げた木質材料1表層の含水率が上昇し、ウレタン結合4を阻害する要因となるが、後加熱工程を設けてウレタン結合4を促進させることにより、カバーすることができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、熱圧工程、含浸工程、触媒塗布工程、及び後加熱工程の4工程からなる木質材料の表層改質処理方法について説明したが、熱圧工程と含浸工程の2工程からなる場合、または、熱圧工程、含浸工程、及び後加熱工程の3工程からなる場合、または、熱圧工程、含浸工程、及び触媒塗布工程の3工程からなる場合においても、それぞれウレタン結合を起こさせることにより、木質材料とイソシアネートとの強い接着性を実現することが可能である。
【0047】
また、本実施形態では、木質材料1の表側片面の表層について本発明を適用したが、本発明はこれに限定されることなく、裏面や側面等、木質材料を形作る一番外側の部分であれば、いずれの部分にも適用することができる。例えば、床材であれば表裏両面に適用したり、球状の木質材料であれば表面全体に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る木質材料の断面図である。
【図2】木質材料に含まれるセルロースとセルロースの分子間にイソシアネートが含浸した状態を示す図である。
【図3】セルロースの水酸基とイソシアネートのイソシアネート基が反応し、ウレタン結合した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 木質材料
2 イソシアネート
3 セルロース
4 ウレタン結合
10 圧密部
11 非圧密部
20 イソシアネート基
30 水酸基

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料中のセルロースの水酸基に、イソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項2】
木質材料中のセルロースの水酸基に、イソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、イソシアネート含浸後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項3】
木質材料中のセルロースの水酸基に、イソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、イソシアネート含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項4】
木質材料中のセルロースの水酸基に、イソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、イソシアネート含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項5】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項6】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネート含浸後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項7】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネート含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項8】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネート含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項9】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンのイソシアネート基を反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン含浸後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項10】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンのイソシアネート基を反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料中のセルロースの水酸基に、イソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記熱圧工程で形成した圧密部にイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項2】
木質材料中のセルロースの水酸基に、イソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記熱圧工程で形成した圧密部にイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、イソシアネート含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項3】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記熱圧工程で形成した圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項4】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記熱圧工程で形成した圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネート含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項5】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンのイソシアネート基を反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記熱圧工程で形成した圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン含浸後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。
【請求項6】
木質材料中のセルロースの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンのイソシアネート基を反応させてウレタン結合させる木質材料の表層改質処理方法であって、
加熱圧縮により、木質材料の表層に圧密部を形成し、前記ウレタン結合を促進させるために前記木質材料の表層の含水率を概ね8%以下にする熱圧工程と、
前記熱圧工程で形成した圧密部にヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョンを含浸させ、前記ウレタン結合により前記圧密部を硬化させる含浸工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、ヘキサメチレンジイソシアネートをコアとする水溶性シェル・コアエマルジョン含浸後の前記圧密部に触媒として有機錫または亜鉛化合物を塗布する触媒塗布工程と、
前記ウレタン結合を促進するために、有機錫または亜鉛化合物塗布後の前記圧密部を加熱する後加熱工程とからなる木質材料の表層改質処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−15665(P2006−15665A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197359(P2004−197359)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【特許番号】特許第3715982号(P3715982)
【特許公報発行日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【Fターム(参考)】