説明

材料およびそれから製造される歯科複合材料

本発明は、修復歯科学のための複合材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、優れた機械的性質および低収縮率の魅力的な組み合わせを付与する、歯科複合材料のための新規な成分に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2005年5月13日出願の米国特許仮出願第60/680,610号明細書からの35U.S.C.§119の下で優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、修復歯科学のための複合材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、優れた機械的性質と低収縮の魅力的な組み合わせを付与する、歯科複合材料の新規な成分に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、高充填化ポリマーを含んでなる複合材料が、歯科修復物に一般に使用されるようになっている。現在使用されている複合材料は、架橋性アクリレートまたはメタクリレート、ガラスまたは石英などの無機充填剤、および可視光により硬化するのに適している光開始剤システムを含有する。一般的なメタクリレート材料としては、2,2’−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]プロパン(「ビス−GMA」);エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(「EBPDMA」);1,6−ビス−[2−メタクリロイルオキシエトキシカルボニルアミノ]−2,4,4−トリメチルヘキサン(「UDMA」);ドデカンジオールジメタクリレート(「DMA」);トリエチレングリコールジメタクリレート(「TEGDMA」)が挙げられる。これらの構造式を以下に示す。
【0004】
【化1】

【0005】
歯科複合材料は、従来の金属アマルガムと比較して、異なる美容的利点を提供する。しかしながら、歯科充填におけるアマルガムの長寿命を持っていない。破損の主な理由は、歯の窩洞内での光重合中の過度な収縮であり、それによって、漏出および細菌の再入が起こり得る。他の理由は、曲げ強さおよび破壊靱性の測定特性に反映される、不十分な強度および靱性を有することである。したがって、重合した場合に、得られた複合材料に破壊靱性および曲げ強さを付与する、新規なモノマーおよび新規なモノマーの組み合わせが今もなお必要とされている。重合時に低収縮応力を有することも非常に望ましい。
【0006】
工業的に使用されている、より一般的なモノマーのうちの1つは、ビス−GMAである。しかしながら、室温で非常に粘性であり、取り扱いが難しい。したがって、それは、第2の低粘度重合性成分(「流動化剤(fluidizer)」)、TEGDMAなどのメタクリレートモノマー、テトラエチレングリコールジメタクリレート、またはドデカンジオールジメタクリレートで希釈される。しかしながら、低い粘度を提供すると同時に、低粘度成分(一般に低分子量モノマー)は、収縮率増加の原因となり得る。ビス−GMAおよびTEGDMAはますます、UDMAおよびEBPDMAと組み合わせられるようになっているが、改善が望まれるほど収縮率が高いままである。
【0007】
システムの機械的性質または重合収縮を損なうことなく、歯科複合材料をより高い割合の高粘度モノマーと配合することを可能にするであろう、より効率的かつ有効な流動化モノマーが、望ましい発明である。有効な流動化モノマーは、複合材料をより高い充填剤レベルで配合することも可能にし、さらに収縮率を下げ得る。
【0008】
カプロラクトンとトリシクロデカンメチロールの(メタ)アクリル化付加物が、歯科複合材料用途用ではないが、特許文献1に光ファイバー用の樹脂コーティング材料として記載されている。
【0009】
歯科複合材料用途用ではないが、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートとラクトンとの反応によって生成されたコーティングシステム用の付加物が、特許文献2に記載されている。
【0010】
歯科複合材料用途用ではないが、シクロヘキサンジメタノールとカプロラクトンとの反応によって生成され、続いて(メタ)アクリル化されたインク用の付加物が、特許文献3に記載されている。
【0011】
歯科複合材料用途用ではないが、コーティングシステム用の、(メタ)アクリル化されていない、1,4−シクロヘキサンジメタノールとカプロラクトンとの付加物が、特許文献4に記載されている。
【0012】
歯科複合材料用途用ではないが、アジピン酸(非特許文献1において「アクリル酸」と日本語から誤って翻訳されている)、ε−カプロラクトン、および2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノールのコポリマーが、スパンデックスフィラメントの前駆物質として特許文献5に記載されている。
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,843,111号明細書
【特許文献2】特開2000−016967号公報
【特許文献3】特開2000−169431号公報
【特許文献4】米国特許第5,159,047号明細書
【特許文献5】特開2002−069163号公報
【非特許文献1】Chemical Abstracts 136:233450
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、十分に低い粘度、高い重合率、および許容可能な機械的性質と低減した収縮率を併せ持つ、歯科複合材料のための効率的かつ有効な流動化モノマーが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様において、本発明は、
(i)式I:
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、Qが、
(a)環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に、炭素原子5または6個を含有する炭素環;
(b)S−R−T、ここで、式中、SおよびTはそれぞれ独立して環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に、炭素原子5または6個を含有する炭素環であり、Rは、共有結合または炭素原子1、2、3もしくは4個を含有するアルキレン基である;
(c)縮合環系上のC1−3アルキル置換基4個までと共に、炭素原子を合計8〜10個含有する、2つの縮合環を含有する炭素環式縮合環系;
よりなる群から選択され、
およびRがそれぞれ独立して共有結合または炭素原子1、2、3または4個を含有するアルキレン基よりなる群から選択され;
が、次式
【0018】
【化3】

【0019】
の反復単位であり、
が、次式
【0020】
【化4】

【0021】
の反復単位であり、
およびEがそれぞれ独立して、
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、Rは、H(アクリリル)またはCH(メタクリリル)である)であり、
nおよびmがそれぞれ独立して0を超える整数であり、
但し、次式
【0024】
【化6】

【0025】
のn個の基それぞれについて、
aは独立して3〜6の整数であり、
但し、次式
【0026】
【化7】

【0027】
のm個の基それぞれについて、
a’は独立して3〜6の整数であり、
但し、RもRも、芳香族環に直接結合する共有結合ではなく、
但し、化合物の重合度(dp=n+m)は2〜30である)
を有する、少なくとも1つの化合物を含んでなる組成物;
(ii)場合により、少なくとも1つの付加重合性(メタ)アクリル酸エステル;
(iii)少なくとも1つの重合開始剤化合物;そして
(iv)少なくとも1つの充填剤;
を含んでなる未硬化歯科複合材料である。
【0028】
第2の態様において、本発明は、式Iの少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの重合開始剤化合物と、少なくとも1つの充填剤と、および式II:
【0029】
【化8】

【0030】
(式中、Rはそれぞれ独立して水素またはメチルであり;
はそれぞれ炭素原子2〜14個を有するアルキレン、または炭素原子2〜8個を有するアルケニレン、または炭素原子5〜14個を有する二価脂環式炭化水素、またはフェニレンであり、ハロゲンまたは炭素原子1〜5を有するアルキル基で場合により置換されていてもよく;
はそれぞれ独立して水素、アセチル、メチル、エチル、C3−6直鎖状または分岐状アルキル、またはベンジルから選択され;
10は独立して水素、メチル、エチル、C3−6直鎖状または分岐状アルキル、フェニル、またはベンジルから選択され;そして
Aはそれぞれ、次式:
【0031】
【化9】

【0032】
(式中、R11がそれぞれ独立して炭素原子2または3個を有するアルキレンであり、
12がそれぞれ独立して炭素原子2〜7個を有するアルキレンであり、
13がそれぞれ独立して炭素原子2〜5個を有するアルキレンであり、
pが、1〜10の整数であり、
qが、1〜10の整数である)の反復単位である)
の少なくとも1つの化合物とが組み込まれた、未硬化歯科複合材料である。
【0033】
第3の態様において、本発明は、式Iの少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの重合開始剤化合物と、少なくとも1つの充填剤と、および式V:
【0034】
【化10】

【0035】
(式中、R、A、R、Rが、式IIの化合物に関して定義されるとおりであり、R14がそれぞれ独立して水素、メチル、エチル、C3−6直鎖状または分岐状アルキル、フェニル、ベンジルよりなる群から選択され、その2つのR14基が互いに結合し、両方のR14基が結合している炭素を含む、環中の炭素5または6個を有する、置換または非置換環状脂肪族環を形成し得る)
の少なくとも1つの化合物とが組み込まれた、未硬化歯科複合材料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本出願の文脈において、多くの用語が用いられている。
【0037】
本明細書で使用される「歯科複合材料」という用語は、歯における、または歯に関連する、天然の欠陥または誘導された欠陥を直すために使用され得る組成物を意味する。かかる材料の例は、充填材料、再建材料、修復材料、クラウンおよびブリッジ材料、インレー、オンレー、ラミネートベニア、歯科用接着剤、歯、前装、小窩裂溝封鎖材、セメント、義歯床および義歯裏装材、歯科矯正スプリント材料、および歯科矯正装置用接着剤である。「未硬化歯科複合材料」という用語は具体的には、硬化プロセスにかけられる前のかかる材料を意味する。
【0038】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、いずれかの炭素原子から水素原子を除去することによってアルカンから誘導される一価の基:−C2n+1(n≧1)を意味する。
【0039】
本明細書で使用される「ヒドロカルビル」という用語は、ラジカルに関して使用される場合、炭素と水素のみを含有する一価ラジカルを意味する。
【0040】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、2つの異なる炭素原子それぞれから水素原子を除去することによってアルカンから誘導される二価ラジカル:−C2n−(n≧1)を意味する。
【0041】
本明細書で使用される「アルケニレン」という用語は、その鎖中に1つのオレフィン結合を含有する直鎖または分枝鎖アルケンジイル、例えば−CH=CH−(エテニレン)、−CHCH=CH−(プロペニレン)等を意味する。
【0042】
本明細書で使用される「炭素環式」という用語は、炭素原子で構成される環を有する、またはその環に関連する、またはその環を特徴とすることを意味する。
【0043】
本明細書で使用される「脂環式基」という用語は、その中に環状構造を含有する非芳香族炭化水素基を意味する。
【0044】
本明細書で使用される「ベンジル」という用語は、CCH−ラジカルを意味する。
【0045】
本明細書で使用される「フェニル」という用語は、C−ラジカルを意味する。
【0046】
本明細書で使用される「フェニレン」という用語は、二価ラジカル、次式−C−を意味する:
【0047】
【化11】

【0048】
本明細書で使用される「シクロヘキシレン」という用語は、二価ラジカル、次式−C10−を意味する:
【0049】
【化12】

【0050】
本明細書で使用される「カルボキシメタクリレート」という用語は、カルボン酸およびメタクリレート基を含有する化合物を意味する。
【0051】
本明細書で使用される「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」という用語はそれぞれ、メタクリルおよびアクリルと、メタクリレートおよびアクリレートのどちらも意味する。
【0052】
本明細書で使用される「アクリリル」および「メタクリリル」という用語は、次式一価ラジカルをそれぞれ意味する。
【0053】
【化13】

【0054】
本明細書で使用される「重合性(メタ)アクリル酸エステル成分」とは、材料がラジカル重合を受けることができるように、(メタ)アクリレート基を有する、1つもしくはそれ以上の材料を意味する。
【0055】
本明細書で使用される「ジオール」という用語は、1分子当たり2個のヒドロキシル(−OH)基を有する有機化合物を意味する。
【0056】
本明細書で使用される「カプロラクトン」という用語は、ε−カプロラクトン、CAS登録番号502−44−3の次式を意味する:
【0057】
【化14】

【0058】
本明細書で使用される「1,4−シクロヘキサンジメタノール」という用語は、CAS登録番号105−08−8によって指定される次の材料を意味する:
【0059】
【化15】

【0060】
数値の範囲が本明細書に記載されている場合、別段の指定がない限り、その範囲には、その範囲内のその終点、およびすべての整数および分数(但し、文脈を考慮して)を包含することが意図される。
【0061】
式Iの化合物の重合度、略記dpは、反復単位RおよびRの数の合計として定義される。式Iの異なる分子を含んでなる、異種組成物のある特定の例の平均dpは、試料における式Iの各分子についてのdpの平均によって定義される。
【0062】
(メタ)アクリル化ポリエステルジオール
本発明は、以下に示す式Iの少なくとも1つの化合物を含有する(メタ)アクリル化ポリエステルジオール組成物を含んでなる歯科複合材料を提供する。
【0063】
【化16】

【0064】
式中、
Qが、
(a)環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に、炭素原子5または6個を含有する炭素環;
(b)S−R−T、ここで、式中、SおよびTはそれぞれ独立して環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に、炭素原子5または6個を含有する炭素環であり、Rは、共有結合または炭素原子1、2、3もしくは4個を含有するアルキレン基である;
(c)縮合環系上のC1−3アルキル置換基4個までと共に、炭素原子を合計8〜10個含有する、2つの縮合環を含有する炭素環式縮合環系;よりなる群から選択され、
およびRがそれぞれ独立して共有結合または炭素原子1、2、3または4個を含有するアルキレン基よりなる群から選択され;
が、次式
【0065】
【化17】

【0066】
の反復単位であり、
が、次式
【0067】
【化18】

【0068】
の反復単位であり、
およびEがそれぞれ独立して、
【0069】
【化19】

【0070】
(式中、Rは、H(アクリリル)またはCH(メタクリリル)である)であり、
nおよびmがそれぞれ独立して0を超える整数であり、
但し、次式
【0071】
【化20】

【0072】
のn個の基それぞれについて、
aは独立して3〜6の整数であり、
但し、次式
【0073】
【化21】

【0074】
のm個の基それぞれについて、
a’は独立して3〜6の整数であり、
但し、RもRも、芳香族環に直接結合する共有結合ではなく、
但し、化合物の重合度(dp)が2〜30である。
【0075】
Qが、環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に炭素原子5または6個を含有する炭素環である、Qの例としては、限定されないが次式が挙げられる:
【0076】
【化22】

【0077】
Qが、S−R−T、ここで、式中、SおよびTがそれぞれ独立して環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に炭素原子5または6個を含有する炭素環であり、Rが、共有結合または炭素原子1、2、3もしくは4個を含有するアルキレン基である、である、Qの例としては、限定されないが次式が挙げられる:
【0078】
【化23】

【0079】
Qが、縮合環系上のC1−3アルキル置換基4個までと共に合計8〜10個の炭素原子を含有する、2つの縮合環を含有する炭素環式縮合環系である、Qの例としては、限定されないが次式が挙げられる:
【0080】
【化24】

【0081】
およびRは同一であり、かつそれぞれが共有結合またはメチレン(−CH−)であることが好ましい。
【0082】
本発明の好ましい実施形態において、Qは、炭素環であり、さらに好ましくはシクロヘキシレン、最も好ましくは1,4−シクロヘキシレンである。
【0083】
QがS−R−Tである場合、Rは、2,2−プロピレンまたはメチレンであることが好ましい。SおよびTがそれぞれシクロヘキシレンであることも好ましく、SおよびTが、1,4−シクロヘキシレンであることがさらに好ましい。
【0084】
本発明の好ましい実施形態において、本明細書において「DM−CL−CHDM」と呼ばれ、Qは、1,4−シクロヘキシレン、R=R=CHであり、a=a’=5であり、Rは、CHであり、dpは、2〜6である。
【0085】
本発明は、式Iの(メタ)アクリル化ポリエステルジオール化合物を含んでなる歯科複合材料を提供する。これらの(メタ)アクリル化ポリエステルジオール化合物は、(1)ポリエステルジオールを生成し、(2)ポリエステルジオールの、90%を超える、好ましくはすべての末端ヒドロキシル基を(メタ)アクリレートに変換する方法によって生成される。
【0086】
ポリエステルジオールは、
(1)少なくとも1つのラクトン
【0087】
【化25】

【0088】
(式中、上記で定義されるように、r=aまたはa’である);
(2)ジオール、HO−O−R−Q−R−OH(式中、R、Q、およびRは、上記の通り定義される);
(3)場合により、ポリエステル重合触媒(以下参照);
(4)場合により、溶媒;
を含む混合物を加熱することによって生成することができる。
【0089】
この反応に適している、いくつかの溶媒は、トルエン、ベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、およびその混合物である。本発明の好ましい実施形態において、この反応は、溶媒なしで行われる。
【0090】
この反応において有用な、代表的なポリエステル重合触媒としては、限定されないが、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、Sn(2−エチルヘキサノエート)、Sn(n−オクタノエート);p−トルエンスルホン酸;メタンスルホン酸が挙げられる。スズ(II)触媒が好ましい。
【0091】
次いで、ポリエステルジオールを、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロライド、および(メタ)アクリル酸無水物から選択される1つもしくはそれ以上の末端キャップ剤と合わせ、場合により加熱する。ジオール末端の少なくとも90%が(メタ)アクリレートキャップでキャップされることが好ましい。ラジカル重合性末端基でのキャップの程度は、H NMR、13C NMRおよび二次元NMR分光法の組み合わせによって決定することができる。
【0092】
このキャップ反応に適しているいくつかの溶媒は、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジエチルエーテル、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、CHCl、CHCl、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびその混合物である。好ましくは、この反応は溶媒なしで行われる。
【0093】
溶媒を使用しない場合、一般に、飽和NaCO(水性)などの塩基性水溶液で反応生成物を洗浄し、酸性不純物を除去する。次いで、反応生成物を水で洗浄し、最後に飽和NaCl溶液で洗浄して、水の大部分を除去する。場合により、それをNaSOなどの乾燥剤で乾燥させ、最終的に微量の水分を除去する。
【0094】
溶媒を使用する場合、反応生成物は一般に、2つの方法のいずれかによって単離される。第1の方法は、水性ワークアップを含む。一般に、飽和NaCO(水性)などの塩基性水溶液で有機相を洗浄し、酸性不純物を除去する。場合により、酸性希釈水溶液(例えば、10%HCl)で洗浄でき、ピリジンなどの塩基性不純物を除去し得る。次いで、飽和NaCl溶液で洗浄して、水の大部分を除去する。場合により、それを無水NaSOなどの乾燥剤で乾燥させ、最終的に微量の水分を除去する。次いで、有機溶媒を場合により真空下にて除去し、最終生成物が得られる。生成物を単離するための第2の方法は、反応混合物に直接、高真空蒸留を実施することである。これは一般に、0.5トル(66Pa)で行われ、メタクリル酸および未反応メタクリル酸無水物が蒸留除去される。メタクリロイルクロライドがキャップ剤として使用される場合、第2の方法は一般に使用されない。
【0095】
式Iの個々の分子のdpは様々であり、式Iの異なる分子を含んでなる異種組成物のある特定の例についての重合度dpは、反応が完全に行われたということを前提として、試料の調製に使用されたラクトンとジオールの元のモル比によって決定されることは、当業者によって理解されよう。
【0096】
さらに詳細に説明すると、好ましい(メタ)アクリル化ポリエステルジオールは:
(a)モル比2:1〜6:1でカプロラクトン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびジブチルスズジラウレート、キシレンを合わせる工程;
(b)混合物を140℃にゆっくり加熱し、4時間維持する工程;
(c)混合物を80℃に冷却し、生成物を濾過する工程;
(d)工程(c)から得た生成物をメタクリル酸無水物および酢酸ナトリウムと合わせる工程;
(e)工程(d)から得た混合物を空気下にて6時間、80℃に加熱する工程;
(f)1時間攪拌しながら、工程(e)から得た生成物を炭酸ナトリウム水溶液に添加する工程;
(g)工程(f)から得た混合物をエチルエーテルと合わせ、次いで得られた混合物を12時間攪拌する工程;
(h)工程(g)から得た混合物を有機相と水相に分離する工程;
(i)工程(h)から得た有機相を最初に水で洗浄し、次いで、濃塩化ナトリウム水溶液で洗浄する工程;
(j)工程(i)から得た溶液を無水硫酸ナトリウムによって乾燥させる工程;
(k)工程(j)から得た乾燥溶液をMEHQと合わせる工程;
(l)工程(k)から得た溶液を真空内で濃縮し、所望の生成物を得る工程;
を含んでなる方法によって製造することができる。
【0097】
本発明の(メタ)アクリル化ポリエステルジオールは、歯科複合材料以外の用途で、特に、例えば、金属コーティング、工業的な仕上げ塗装、木材仕上げ塗装、および硬質プラスチックコーティング用のコーティングシステムにおいても有用であると思われる。
【0098】
歯科複合材料
本発明はさらに、
(a)式Iの少なくとも1つの化合物;
(b)場合により、少なくとも1つの他の重合性(メタ)アクリル酸エステル;
(c)少なくとも1つの重合開始剤化合物;そして
(d)少なくとも1つの充填剤;
を含んでなる未硬化歯科複合材料を提供する。
【0099】
他の重合性(メタ)アクリル酸エステル成分
重合性(メタ)アクリル酸エステル成分の適切な材料の例としては、限定されないが、2,2’−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]プロパン(「ビス−GMA」);エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(「EBPDMA」);1,6−ビス−[2−メタクリロイルオキシエトキシカルボニルアミノ]−2,4,4−トリメチルヘキサン(「UDMA」);1,1,1−トリ[4−2−メチル−2−メタクリルオキシエトキシ)−フェニル]エタン(「THPE PO MA」);ブタン二酸、エチリジントリス[4,1フェニレンオキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイルトリス[2−[[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]エステル(「THPE GE Su−HEMA」)が挙げられる。
【0100】
本発明による好ましい付加重合性(メタ)アクリル酸エステル成分は、以下の式IIの化合物:
【0101】
【化26】

【0102】
(式中:Rがそれぞれ独立して水素またはメチルであり;
はそれぞれ炭素原子2〜14個を有するアルキレン、または炭素原子2〜8個を有するアルケニレン、または炭素原子5〜14個を有する二価脂環式炭化水素、またはフェニレンであり、ハロゲンまたは炭素原子1〜5を有するアルキル基で場合により置換されていてもよく;
がそれぞれ独立して水素、アセチル、メチル、エチル、C3−6直鎖状または分岐状アルキル、またはベンジルから選択され;
10は独立して水素、メチル、エチル、C3−6直鎖状または分岐状アルキル、フェニル、またはベンジルから選択され;
Aはそれぞれ、次式:
【0103】
【化27】

【0104】
(式中、R11がそれぞれ独立して炭素原子2または3個を有するアルキレンであり、
12がそれぞれ独立して炭素原子2〜7個を有するアルキレンであり、
13がそれぞれ独立して炭素原子2〜5個を有するアルキレンであり、
pが、1〜10の整数であり、
qが、1〜10の整数である)の反復単位である)
を含んでなる。
【0105】
式IIの特に好ましい化合物は、下に示すブタン二酸、エチリジントリス[4,1フェニレンオキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイルトリス[2−[[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]エステル(「THPEGE Su−HEMA」)である:
【0106】
【化28】

【0107】
式IIの化合物を製造するための一方法は以下の方法である:
【0108】
【化29】

【0109】
式IIIのトリエポキシドは、市販されている。例えば、化合物II(R10=メチル(つまり、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニルエタン)トリグリシジルエーテル)は、商品名ティーエッチピーイー−ジーイー(THPE−GE)でデュポン社(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware))から市販されている。式III(R10は、上記の通り定義される)の他の化合物は、以下のスキームによって製造することができる。
【0110】
【化30】

【0111】
少なくとも3モルの式IVのカルボキシメタクリレート化合物で式IIIの化合物を処理する。式IVのカルボン酸は式IIIにおけるエポキシド環を開環し、所望の生成物が得られる。反応によって、ヒドロキシ化合物(R=H)が生成される。当技術分野で公知の手段によって、ヒドロキシ化合物をさらにアルキル化またはアシル化することができる。例えば、それを無水酢酸で処理して、アセチル化生成物(R=−−C(O)CH)が得られる。
【0112】
例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを環状無水物で処理し、相当するカルボキシメタクリレート化合物を生成することによって、適切なカルボキシメタクリレート化合物を製造することができる。好ましい無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、および無水フタル酸が挙げられる。他の適切な無水物としては、5員または6員環の一部として無水物官能基を含有するものが挙げられる。
【0113】
カルボキシメタクリレート(IVA、IVB、IVC)の合成および構造のいくつかの例を以下に示す。
【0114】
【化31】

【0115】
他の適切なカルボキシメタクリレートが、米国特許第4,883,899号明細書の第2欄37行目から第3欄17行目に記載されている。そこでは、ヒドロキシエチルメタクリレートが、カプロラクトンの開環重合の開始剤として使用されている。得られるヒドロキシメタクリレートは、商品名プラセル(Placcel)でダイセル化学工業株式会社(Daicel Chemical Industries,Ltd.)(日本、東京)から市販されている。例えば、プラセル(Placcel)FM3は、ヒドロキシエチルメタクリレートとカプロラクトン3モルとの付加生成物である。これらの生成物を環状無水物と反応させて、本発明において有用なカルボキシ官能性メタクリレートを得ることができる。
【0116】
この反応に使用される触媒としては、カルボン酸とエポキシドとの反応に使用される、当技術分野で公知のいずれかの触媒が挙げられる。その触媒としては、トリエチルアミン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン等の窒素含有化合物が挙げられる。触媒としては、酢酸亜鉛またはステアリン酸亜鉛などのルイス酸が挙げられる。
【0117】
これらの化合物は、当業者に指示されるいずれかの方法によって精製することができる。代表的な精製法は、抽出、蒸留、結晶化、および分取クロマトグラフィーが挙げられる。
【0118】
好ましい未硬化歯科複合材料において、式Iおよび式IIの化合物が、範囲約1:99〜25:75の重量比で使用される。この重量比での未硬化歯科複合材料の粘度は、充填剤を添加し、適切に混合するのに十分に低い。得られた材料は、硬化した場合に、優れた機械的性質と共に比較的低い収縮率を示す。
【0119】
式IIの化合物に加えて、またはその代わりに使用することができる他の化合物は、式Vの化合物である。
【0120】
【化32】

【0121】
式中、R、A、R、Rは、式IIの化合物に関して定義されるとおりであり、R14はそれぞれ独立して水素、メチル、エチル、C3−6直鎖状または分岐状アルキル、フェニル、ベンジルよりなる群から選択され、その2つのR14基が互いに結合して、両方のR14基が結合している炭素を含む、環中の炭素5または6個を有する、置換または非置換環状脂肪族環を形成し得る。
【0122】
式Vの好ましい化合物を以下に示す。
【0123】
【化33】

【0124】
かかる化合物は、以下に示すように合成され得る。
【0125】
【化34】

【0126】
式Vの化合物のいくつかが、例えば米国特許第3,367,992号明細書の第6欄27行目から第7欄21行目まで記載されているが、歯科複合材料における使用に関してではない。
【0127】
重合性(メタ)アクリル酸エステル成分は、付加重合性(メタ)アクリル酸エステル化合物を含み得る。これらの付加重合性(メタ)アクリル酸エステル化合物は、単官能化合物および多官能性化合物の両方を含むことができ、「単官能性」とは、(メタ)アクリル基1個を有する化合物を意味し、「多官能性」とは、(メタ)アクリル酸エステル基を2個以上有する化合物を意味する。
【0128】
多官能性(メタ)アクリル酸エステル化合物の他の例としては、限定されないが、ビス−GMA、EBPDMA、UDMA、および他のウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0129】
重合開始剤化合物
適切な重合開始剤化合物としては、過酸化ベンゾイル、ジクミルペルオキシド、過酸化ラウリル、トリブチルヒドロペルオキシド等のペルオキシ型開始剤、および当業者に知られている他の材料が挙げられる。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、および4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)などのアゾ型開始剤も使用することができる。
【0130】
好ましい開始剤システムは、エチルジメチルアミノベンゾエートまたはジメチルアミノエチルメタクリレートなどの第3級アミンと共に使用される光増感剤カンファーキノンである。
【0131】
重合開始剤(場合により、光増感剤を有する)は、約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは約0.2重量%〜約3重量%、さらに好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の範囲で使用され得る。これらのパーセンテージは、充填剤を除いた未硬化歯科複合材料の全重量に対するものである。
【0132】
充填剤
本発明の未硬化歯科複合材料で使用することができる充填剤の一種類は、無機充填剤である。特に好ましい無機充填剤は、バリウムアルミニウムシリケート、バリウムアルミニウムボロシリケート、イッテルビウムトリフルオライド、ガラスビーズ、シリカ、石英、ボロシリケート、アルミナ、およびアルミナシリケートであり、無機充填剤の混合物も使用することができる。無機充填剤の平均粒径は、好ましくは約0.5〜15μmである。
【0133】
本発明の未硬化歯科複合材料で使用することができる充填剤の他の種類は、有機充填剤である。適切な有機充填剤としては、プレ重合充填剤(有機モノマーが重合されて、有機樹脂を製造されているという意味での「プレ重合」であり、その有機樹脂を場合により、本発明の未硬化歯科複合材料にそれを含有させる前に粉砕することができる)が挙げられる。かかるプレ重合充填剤は、単独で、または無機充填剤と組み合わせて、本発明の未硬化歯科複合材料に含有させることができる。これらのプレ重合充填剤は場合により、上述の充填剤などの無機充填剤も含有することができる。
【0134】
本発明の未硬化歯科複合材料中の充填剤の総量は、約20重量%〜約90重量%、好ましくは約40重量%〜約90重量%、さらに好ましくは約50重量%〜約85重量%の範囲であることができる。このパーセンテージは、未硬化歯科複合材料の全重量に対するものである。
【0135】
更なる任意の成分
上述の成分に加えて、複合材料は、更なる、任意の成分を含有することができる。これらは、活性化剤、顔料、放射線不透過剤(radiopaquing agent)、安定剤、酸化防止剤、および他の材料を含んでなることができる。
【0136】
本発明の未硬化歯科複合材料は、当技術分野で公知の混合手段を用いて製造することができる。かかる方法としては、限定されないが、ロールミル、振動ミキサー、シグマミキサー、遊星形ミキサー、スピードミキサー(SpeedMixers)(商標)(サウスカロライナ州ランドラムのフラック・テック社(Flack Tek,Inc.,Landrum,South Carolina)製)、押出機、バス(Buss)ニーダー(ドイツ,シュツットガルトのコペリオン・ホールディング社(Coperion Holding GmbH,Stuttgart,Germany))およびブラベンダー・プラスチックオーダーズ(Brabender Plasticorders)(登録商標)(ニュージャージー州ハッケンサックのインテリトルク,ブラベンダー社(Intellitorque,Brabender,Hackensack,NJ))が挙げられる。
【0137】
本発明の歯科複合材料を使用して、歯の窩洞を充填することができる。他の処置としては、歯における、予防、修復、または美的処置が挙げられる。一般に、この方法を工程の特定の順序に制限することなく、歯科複合材料は、天然または合成の歯組織上に配置され、硬化され、必要に応じて成形されて、目的の歯組織に合致する。歯組織としては、限定されないが、エナメル、象牙質、セメント質、パルプ、骨、および歯肉が挙げられる。
【0138】
歯科複合材料は、歯科用接着剤、プライマー、ボンディング剤、小窩裂溝封鎖材、セメント、義歯床および義歯裏装材、歯科矯正スプリント材料、および歯科矯正装置用接着剤としても有用であり得る。材料は、ブリッジ、クラウン、インレー、オンレー、ラミネートベニア、および前装を製造するのにも有用であり得る。本発明の材料は、骨などの様々な硬質体構造の補綴置換または修復にも有用であり、かつ手術中の、特に口腔外科手術中の再建目的にも有用であり得る。
【実施例】
【0139】
本発明はさらに、以下の実施例において定義される。本発明の好ましい実施形態を示すと同時に、これらの実施例は、あくまでも実例として示されていることを理解されたい。上記の説明およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を把握することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えて、それを様々な用途および条件に適応させることができる。
【0140】
略語
略語の意味は以下の通りである:「hr」は、時間を意味し、「min」は、分を意味し、「mL」は、ミリリットルを意味し、「m」は、メートルを意味し、「cm」は、センチメートルを意味し、「mm」は、ミリメートルを意味し、「μm」は、マイクロメートルを意味し、「nm」は、ナノメートルを意味し、「g」は、グラムを意味し、「mol」は、モルを意味し、「mmol」は、ミリモルを意味し、「N」は、ニュートンを意味し、「rpm」は、毎分回転数を意味し、「wt%」は、重量%を意味し、「mW」は、ミリワットを意味し、「Mw」は、重量平均分子量を意味し、「MPa」は、メガパスカルを意味し、「MHz」は、メガヘルツを意味し、「std dev」は、標準偏差を意味し、「avg dev」は、平均偏差を意味し、「d50」は、粒子の50%が所定のサイズ未満の直径を有することを意味し、「EtOAc」は、酢酸エチルを意味し、「MEHQ」は、4−メトキシフェノールを意味し、「PTFE」は、ポリテトラフルオロエチレンを意味し、「THF」は、テトラヒドロフランを意味し、「NMR」は、核磁気共鳴(分光法)を意味し、「IR」は、赤外線(分光法)を意味し、「ATR」は、減衰全反射法を意味し、「DSC」は、示差走査熱量測定を意味し、「GPC」は、ゲル浸透クロマトグラフィーを意味し、「THPE GE」は、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタントリグリシジルエーテルを意味し、「ビス−GMA」は、ビスフェノール−A−グリシジルメタクリレートを意味し、「TEGDMA」は、トリエチレングリコールジメタクリレートを意味し、「EDB」は、エチル4−ジメチルアミノベンゾエートを意味する。
【0141】
材料
1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタントリグリシジルエーテル(「THPE GE」)は、デュポン社(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware))から入手した。カプロラクトンは、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)(ミシガン州ミッドランド(Midland,Michigan))から入手した。モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネート、メタクリル酸無水物(アルドリッチ(Aldrich)カタログ番号276685,2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール2000ppmで安定化されている)、およびMEHQは、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin))から入手した。1,4−シクロヘキサンジメタノール(CAS#105−08−8,イーストマン(Eastman)製品コード番号CHDM−D)は、イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company)(テネシー州キングスポート(Kingsport,Tennessee))から入手し、ビスフェノール−A−グリシジルメタクリレート付加物(「ビス−GMA」)、製品コードX950−0000は、エステック社(EssTech)(ペンシルバニア州エシングトン(Essington,Pennsylvania))から入手した。トリエチレングリコールジメタクリレート(「TEGDMA」)、製品コードX943−7424(ヒドロキノン(50〜70ppm)で抑制されている)は、エステック社(EssTech)(ペンシルバニア州エシングトン(Essington,Pennsylvania))から入手した。光増感剤:カンファーキノン(97%,カタログ番号12,489−3)およびエチル4−ジメチルアミノベンゾエート(99+%,カタログ番号E2,490−5)は、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin))から入手した。アエロジル(Aerosil)(登録商標)OX−50ヒュームドシリカは、デグサ社(Degussa)(ドイツ、デュッセルドルフ(Dusseldorf,Germany))から入手した。ショット(Schott)8235 UF1.5ガラス粉末は、ショット社(Schott AG)(ドイツ、マインツ(Mainz,Germany))から入手し;その粉末は1.5μmの平均直径d50を有し、C1020Siでシラン2.3重量%のレベルに処理されていた。
【0142】
試料の調製
未硬化組成物の2つの面が露出されるように、少なくとも1つの2mm×25mm開口部を有する、厚さ2mmのステンレス鋼型に試験用の未硬化組成物を充填した。充填された型をどちらかの側でポリエステルフィルムで挟み、次にガラスプレートで挟んだ。指定される時間の長さ/面および光の強さで未硬化組成物の試験片を硬化させた。
【0143】
分析方法
ポリスチレン標準を使用して、THFにおけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、分子量を決定した。
【0144】
減衰全反射法(ATR)を用いたフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって、モノマー重合度(「転化率」)を測定した。1610cm−1(芳香族C=C伸縮に相当する)および1640cm−1(メタクリレートC=C伸縮に相当する)でのIRピークの吸光度を照射前および照射後に測定した。適切なベースラインを用いて、ピーク吸光度をすべて正規化し、正規化吸光度値を用いて、以下の式に従って、C=C(%)値およびDC値を計算した:
C=C(%)=[(A1640/A1610)後/(A1640/A1610)前]×100
DC(転化率)=100−C=C(%)
DCは、「Cピーク」転化率と呼ばれる。
【0145】
いわゆる「Eピーク」転化率も、Dental Materials(1990),6(4),241−249に記載のように測定された。この代替法では、1640cm−1ピークと1610cm−1ピークではなく、1640cm−1ピークと1580cm−1ピークの比が使用される。1640cm−1ピークのベースラインは、1660cm−1での値から約1590cm−1での値までのベースラインを引くことによって定義される。
【0146】
上述のステンレス鋼型を使用して成形された(2mm×2mm×25mm)試験片で、破壊靱性(KIC)、曲げ強さ(ISO4049)、および密度を決定した。
a)550mW/cmにて、それぞれが8mmライト先端部を有する、3つのスペクトラム(Spectrum)(登録商標)800歯科ランプ(ペンシルバニア州ヨークのデンツプライ・インターナショナル社(DENTSPLY International,York,Pennsylvania))のアレイ、または
b)Qバルブを備えたフュージョンUVシステム社(Fusion UV Systems Inc.)(登録商標)(メリーランド州ゲーサーズバーグ(Gaithersburg,Maryland))硬化装置(カンファーキノンの励起に適した波長で光を放射するように設計されている)
のいずれかを用いて、各露出面を1分間照射することによって、成形試験片を型内で硬化させた。
【0147】
金型の両面を3ミル(76ミクロン)ポリエステルフィルムで覆い、酸素を排除した。
【0148】
破壊靱性および曲げ強さ試験それぞれに、5つの試験片を使用した。試験片は使用するまでガラスバイアル中に保管し、試験直前に37℃にて水中で24時間コンディショニングした。
【0149】
破壊靱性試験は、ASTMポリマー標準(ASTM D5045)およびASTMセラミック標準(ASTM C1421,予亀裂導入法(precracked beam method))の両方に基づく。三点曲げ固定具(スパンと深さの比10)を用いて、室温および周囲湿度にて試験速度0.5mm/分で試験を行った。ISO 4049で指定される曲げ試験片型を使用して、試験片を成形した。その深さの中間まで試験片に予亀裂を入れた。試験手順に2つの修正を加えた。第1の修正は、ASTM C1421標準で推奨されている試験片より小さな試験片(推奨される最小寸法3mm×4mm×20mmではなく、2mm×2mm×25mm)を使用したことである。第2の修正は、予亀裂を機械加工するために円形スリットナイフを使用したことである。ナイフは、厚さ0.31mm、9°シングルベベルを有した。修正された試験手順によって、ASTM D5045で推奨される技術を用いて作られた予亀裂と等しい予亀裂が作られた。
【0150】
未硬化歯科複合材料の密度と硬化歯科複合材料の密度を測定することによって、収縮率%(%S)を決定した。アルゴンを使用して、1cm試料用のアキュピック(AccuPyc)1330ピクノメータ(ジョージア州ノルクロスのマイクロメリティクス・インスツルメント社(Micromeritics Instrument Corporation,Norcross,Georgia))で、体積を測定した。既知の重量の複合材料の体積を測定することによって、未硬化歯科複合材料の密度を決定した(分解能±0.0001gを有する化学てんびんによって測定した)。簡潔には、1つの試料につき5パージおよび3体積測定に対して、ピクノメータを設定した。ガラスカップの体積(約0.36cm)、次いで未硬化複合材料(約0.3〜1g)を含有するカップを逐次測定した。未硬化歯科を有するカップの全体積から、ガラスカップの体積を差し引くことによって、未硬化歯科複合材料の体積を計算した。未硬化複合材料の密度、ρ未硬化は、未硬化複合材料の体積(cm)で割られた未硬化複合材料のグラムとして定義される。次いで、マイラー(Mylar)(登録商標)ポリエステルフィルムの2枚のシート間で未硬化ペーストを薄くプレスし、トリアド(Triad)(登録商標)2000−可視光硬化装置(デンツプライ・インターナショナル社(DENTSPLY International))において各面を2分間硬化させた。硬化フィルムをマイラー(Mylar)(登録商標)から剥がし、乳鉢および乳棒で粗い粒子に粉砕した。上述のように硬化複合材料と同様な手法で、硬化歯科複合材料の密度を計算した。硬化複合材料の密度、ρ硬化は、硬化複合材料の体積(cm)で割られた硬化複合材料のグラムとして定義される。
【0151】
収縮率%(%S)を次式:
[(ρ硬化−ρ未硬化)/(ρ硬化)]×100=%S
から計算した。
【0152】
実施例1
THPE GE Su HEMAの製造および精製
機械攪拌機、凝縮器、熱電対、添加漏斗を備えた1L三口フラスコに、THPE GE(112.5g)、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネート(218.3g)、トリエチルアミン(1.2g)、およびプロスタブ(Prostab)(登録商標)5415(0.2g)を装入した。混合物を80℃に7.5時間加熱し、淡黄色の混合物を得た。混合物を酢酸エチル1250mLに溶解し、水500mLで抽出し、続いて飽和重炭酸ナトリウム溶液500mLで抽出した。溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いでシリカゲル(メルク(Merck)シリカゲル60)1リットルに添加し、溶媒を除去した。シリカゲル2500gを有するカラムに、化合物を含有するシリカゲルを添加し、ヘキサンと酢酸エチルとの混合物で溶出し、所望の化合物、THPE GE Su HEMAの精製画分を単離した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ1.93(s,9H),2.08(s,3H),2.61−2.7(m,12H),3.8−4.2(m,15H),4.3−4.4(m,12H),5.6(m,3H),6.1(m,3H),6.75(m,6H),6.98(m,6H)。
【0153】
実施例2
ジメタクリル化ε−カプロラクトン−1,4−シクロヘキサン−ジメタノール付加物(「DM−CL−CHDM」)の製造
ジブチルスズジラウレート0.01重量%およびキシレン0.1重量%と共に、カプロラクトン3モルを1,4−シクロヘキサンジメタノール1モルと140℃で4時間加熱することによって、付加物を生成した。次いで、材料を80℃に冷却し、スパークラーフィルターを通して濾過することによって精製した。
【0154】
ε−カプロラクトン−1,4−シクロヘキサンジメタノール付加物(平均Mw=487;194g,398mmol,反応性OH797mmol)、トパノール(Topanol)A2000ppmを含有するメタクリル酸無水物(140g,908mmol)および酢酸ナトリウム(1.40g,17.1mmol)の溶液を一定の乾燥空気流量下にて、75〜80℃に6時間加熱した。室温に冷却した後、得られた生成混合物を5%炭酸ナトリウム水溶液(500mL)と共に1時間攪拌した。次いで、混合物をエチルエーテル(300mL)で処理し、穏やかに一晩攪拌した。混合物を有機相と水相に分離させ、水相を廃棄した。有機(エーテル)相を最初に5%炭酸ナトリウム水溶液(2×300mL)で洗浄し、次いで水(6×200mL)で洗浄し、最後に食塩水(濃塩化ナトリウム水溶液)(100ml)で洗浄した。エーテル溶液を無水炭酸ナトリウムで乾燥させ、次いでMEHQ(0.050g)で処理した。得られた溶液を穏やかに加熱して真空内で濃縮し、透明なオイルを得た。室温で維持されたオイルをさらに、最初に4時間低真空(約20トル,濾過空気ブリードで)にかけ、続いて、3時間高真空にかけ、最終的に生成物210gmが得られた。
【0155】
そのままの生成物を赤外分光分析すると、3450〜3550cm−1の間にOH伸縮が存在しないことが示された。さらに、1732cm−1付近に集中する強いエステルピークおよびメタクリレート二重結合を表す1637cm−1でのピークが、赤外スペクトルにおいて示された。H NMR分光法(CDCl)によって、生成物中に末端メタクリレート基が存在することが確認され、5.5(1H)および6.1ppm(1H)付近のビニルプロトン共鳴を有した。
【0156】
実施例3、4、および5
THPE−GE Su HEMAおよび2〜10重量%のDM−CL−CHDMで製造された歯科複合材料
第1モノマー成分、実施例1から得た精製THPE GE Su HEMA、および第2モノマー成分、実施例2から得たジメタクリル化ε−カプロラクトン−1、4−シクロヘキサンジメタノール付加物を用いて、歯科複合材料を製造した。使用した光開始剤は、カンファーキノンおよびEDBである。使用した充填剤は、ショット(Schott)8235グラスおよびデグサ(Degussa)アエロジル(Aerosil)(登録商標)OX−50である。
【0157】
早期重合を防ぐために黄色の光の下にて、フラック・テック・スピードミキサー(Flack Tek SpeedMixer)(商標)の「最大40」サイズのカップ中で、モノマー成分、光開始剤、および充填剤を表1に示す量で合わせた。3500rpmにて30秒間隔で2回内容物を混合した。混合物をホイルで包み、光を遮断し、45℃に予熱されたシグマミキサー(Sigma mixer)(「B&Pモデル2立方インチ水平型バッチミキサー(B&P Model 2 cubic inch Horizontal Batch Mixer)」,米国ミシガン州サギノー、ヘスアベニュー1000のB&Pプロセス・エクイップメント・アンド・システムズ社(B&P Process Equipment and Systems LLC,1000 Hess Ave.,Saginaw,Michigan,USA))に移した。試料を黄色の光の下で10rpm、気圧にて15分間、20rpm、気圧にて15分間、210トルの真空下にて15rpmで30分間混合した。各工程間に、スパチュラでミキサーブレード上のペーストの蓄積を混合物の主要部分中に押し下げた。光を遮断するため、得られたペーストをホイルで包んだ容器内で保管し、使用するまで冷蔵し、早すぎる硬化を防いだ。
【0158】
上述のように、ペーストを試験片に形成し、硬化させ、試験した。その結果を表1に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
実施例6、7、および8
ビス−GMA/TEGDMA複合材料に対するビス−GMA/DM−CL−CHDM複合材料の収縮率
ビスフェノール−A−グリシジルメタクリレート付加物(「ビス−GMA」)、製品コードX950−0000をエステック社(EssTech)(ペンシルバニア州エシングトン(Essington,Pennsylvania))から入手した。トリエチレングリコールジメタクリレート(「TEGDMA」)、製品コードX943−7424をエステック社(EssTech)(ペンシルバニア州エシングトン(Essington,Pennsylvania))から入手した。DM−CL−CHDMは、上記の実施例2において製造された。早期重合を防ぐために黄色の光の下にて、フラック・テック・スピードミキサー(Flack Tek SpeedMixer)(商標)の「最大40」サイズのカップ中で、モノマー成分、光開始剤、および充填剤を合わせた。3500rpmにて30秒間隔で2回内容物を混合した。混合物を真空オーブン内で40℃にて12時間気泡除去した。光を遮断するため、得られたペーストをホイルで包んだ容器内で保管し、使用前にデシケーター中で保管した。
【0161】
歯科複合材料の組成および収縮率を表2に示す。粉砕フィルムAr(ground−film Ar)法による収縮率の測定を上述のように行った。
【0162】
この結果から、従来の歯科複合材料においてTEGDMAの代わりにDM−CL−CHDMを使用することによって、収縮率が著しく減少されたことが示されている。ビス−GMA DM−CL−CHDM複合材料の収縮率は、DM−CL−CHDMの量の減少に伴って低下した。
【0163】
【表2】

【0164】
この実験から、DM−CL−CHDMによって、TEGDMAに比べて優れた性能を有する複合材料を製造することが可能となることが実証されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.次式:E−R−O−R−Q−R−O−R−E
(式中、Qが、
(i)環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に、炭素原子5または6個を含有する炭素環;
(ii)S−R−T、ここで、式中、SおよびTはそれぞれ独立して環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に、炭素原子5または6個を含有する炭素環であり、Rは、共有結合または炭素原子1、2、3もしくは4個を含有するアルキレン基である;
(iii)縮合環系上のC1−3アルキル置換基4個までと共に、炭素原子を合計8〜10個含有する、2つの縮合環を含有する炭素環式縮合環系;よりなる群から選択され、
およびRがそれぞれ独立して共有結合および炭素原子1、2、3または4個を含有するアルキレン基よりなる群から選択され;
が、次式
【化1】


の反復単位であり、
が、次式
【化2】


の反復単位であり、
およびEがそれぞれ独立して、
【化3】


ここで、式中、RはH(アクリロイル)またはCH(メタクリロイル)である、であり、
nおよびmがそれぞれ独立して0を超える整数であり、
但し、次式
【化4】


のn個の基それぞれについて、
aは独立して3〜6の整数であり、
但し、次式
【化5】


のm個の基それぞれについて、
a’は独立して3〜6の整数であり、
但し、RもRも、芳香族環に直接結合する共有結合ではなく、かつ
但し、少なくとも1つの化合物の重合度は2〜30である)
の少なくとも1つの化合物を含んでなる組成物;
b.場合により、少なくとも1つの他の重合性(メタ)アクリル酸エステル成分;
c.少なくとも1つの重合開始剤化合物;および
d.少なくとも1つの充填剤;
を含んでなる未硬化歯科複合材料。
【請求項2】
Qが、
【化6】


よりなる群から選択される、請求項1に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項3】
Qが1,4−シクロヘキシレンである請求項2に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項4】
QがS−R−Tであり、Rが2,2−プロピレンまたはメチレンであり、SおよびTがそれぞれシクロヘキシレンまたはフェニレンである請求項1に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項5】
Qが、
【化7】


よりなる群から選択される請求項4に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項6】
Qが、
【化8】


よりなる群から選択される請求項1に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項7】
=Rであり、RおよびRがそれぞれ共有結合またはメチレン基である請求項1に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項8】
前記重合度が2〜10である請求項1に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項9】
aとa’がどちらも5である請求項1に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項10】
およびRがそれぞれメチレン基であり、Qが1,4−シクロヘキシレンであり、Rがメチル基であり、重合度が2〜6である請求項9に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項11】
少なくとも1つの光開始促進剤、活性化剤、顔料、放射線不透過剤、安定剤、および酸化防止剤をさらに含んでなる請求項1に記載の未硬化歯科複合材料。
【請求項12】
請求項10に記載の未硬化歯科複合材料を形成し、硬化させることによって製造される歯科修復物品。
【請求項13】
式I
【化9】


(式中、Qが、
(i)
【化10】


(ii)S−R−T、ここで、式中、SおよびTはそれぞれ独立して環上のC1−3アルキル置換基3個までと共に、炭素原子5または6個を含有する炭素環であり、Rは、共有結合または炭素原子1、2、3もしくは4個を含有するアルキレン基である;そして
(iii)縮合環系上のC1−3アルキル置換基4個までと共に、炭素原子を合計8〜10個含有する、2つの縮合環を含有する炭素環式縮合環系;よりなる群から選択され、
およびRがそれぞれ独立して共有結合および炭素原子1、2、3または4個を含有するアルキレン基よりなる群から選択され;
が、次式
【化11】


の反復単位であり、
が、次式
【化12】


の反復単位であり、
およびEがそれぞれ独立して、
【化13】


ここで、式中、RはH(アクリロイル)またはCH(メタクリロイル)である、であり、
nおよびmがそれぞれ独立して0を超える整数であり、
但し、次式
【化14】


のn個の基それぞれについて、
aは独立して3〜6の整数であり、
但し、次式
【化15】


のm個の基それぞれについて、
a’は独立して3〜6の整数であり、
但し、RもRも、芳香族環に直接結合する共有結合ではなく、かつ但し、化合物の重合度が2〜30である)
の少なくとも1つの化合物を含んでなる組成物。
【請求項14】
a.(i)少なくとも1つのラクトン
【化16】


(式中、r=aまたはa’である);
(ii)ジオール、HO−O−R−Q−R−OH;そして
(iii)場合により、ポリエステル重合触媒;そして
(iv)場合により、溶媒;
の混合物を加熱する工程であって、前記の少なくとも1つのラクトンと前記ジオールとのモル比が、1:1〜30:1である、工程と、
b.工程a.の反応生成物を、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロライド、および(メタ)アクリル酸無水物から選択される1つもしくはそれ以上の末端キャップ剤と合わせ、加熱する工程であって、但し、得られる末端キャップ率が、少なくとも90%である工程と、
を含んでなる請求項1に記載の組成物の製造方法。

【公表番号】特表2008−540775(P2008−540775A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511427(P2008−511427)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018520
【国際公開番号】WO2006/124655
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】