説明

材料ウェブを製造するおよび/または処理するための装置

【課題】 材料ウェブを製造するおよび/または処理するための装置を提供する。
【解決手段】 ロールの一方の端部にある軸受ジャーナルを備えたロールと、ロールを回転可能に取り付けるためのフレームと、ロールの軸受ジャーナルに差し込まれた中空軸モータとを有する、材料ウェブ、特に紙または板紙ウェブを製造するおよび/または処理するための装置であって、モータは、この種の装置の使用範囲を拡大するために、モータ固定手段を介してロールフレームに接続される。
本発明はまた、中空軸駆動モータ(6)をロール(1)に接続する、または材料ウェブ、特に紙または板紙ウェブを製造するおよび/または処理するための機械のロール(1)の駆動装置を変更するまたは後付けする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールの一方の端部にある軸受ジャーナルを備えたロールと、回転可能にロールを取り付けるためのフレームと、ロールの軸受ジャーナルに差し込まれた中空軸モータとを有する、材料ウェブ、特に紙または板紙ウェブを製造するおよび/または処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中空軸モータは、小型であるという優れた長所を有している。これは、軸受ジャーナルがその総重量を実質的に支えるような形で配置される。しかし、この結果、この種のモータは、割合に薄い軸受ジャーナルが比較的大きいモータの重量を長期間支え得ないので、そのモータ出力について、その使用が制限される。比較的厚い軸受ジャーナルを使用した場合にも、比較的重いモータが使用され、振動する傾向を有する場合、設備全体が余りにも不安定となるという問題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、導入部で述べたロールを駆動するための差し込みモータの使用範囲を拡大するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、モータがモータ固定手段を介してロールフレームに接続されることによって達成される。
【0005】
モータの重量は、モータをロールフレームに接続するモータ固定手段を使用することにより、ロールフレームに伝達される。したがって、比較的高い電力出力を有する差し込みモータが、上述した問題が発生することなく、導入部で述べたロールと合わせて使用され得る。
【0006】
振動的に安定した固定手段が、差し込みモータ用に使用されることが好ましい。この結果、重いモータの場合に発生する振動の問題も、解決され得る。
【0007】
モータの中空軸が継手を介してロールの軸受ジャーナルに接続される場合、本発明の有利な一発展形態が生じる。したがって、本発明による差し込みモータが、好適な継手を使用することにより、既存の装置にも後付けされ得る。軸受ジャーナルの異なる形状寸法は、継手によって補償される。
【0008】
継手は、軸方向補償手段を備えることが好ましい。軸方向補償手段により、たとえば温度変化による、軸方向の遊びが補償され得る。
【0009】
継手は、同様に、半径方向補償手段も備えることが好ましい。これは、古い軸受ジャーナルは、多くの場合正確な真円度を失っており、比較的高速で動作できるためには許容差が大きすぎるために、特に後付する場合に好ましい。
【0010】
継手は、2つの部分、すなわちモータ部とジャーナル部とからなる構成であることが好ましい。次いで、モータ部は標準化され得ることが好ましく、この結果、ジャーナルの形状寸法に関係なく、同じモータ部が常に使用され得る。この結果、特に後付けする場合の費用が減少され得る。継手のジャーナル部の長さおよび直径をジャーナルの形状寸法に適応するだけで良く、本明細書においては、取り扱いが容易であり、製造および調達費用が廉価な、小型の構成要素が可能となる。
【0011】
いわゆる湾曲した歯形継手が、特に好適な継手であることが実証されている。この種の継手を用いて、満足できる力の伝達が可能となる。
【0012】
本発明に従って使用され得るモータの電力出力は、20kW以上であり得ることが好ましい。したがって、非常に高いロール速度で動作することもできる。
【0013】
本発明はまた、中空軸駆動モータを抄紙機のロールに接続する方法、または後付けするまたは変更する方法に関する。
【0014】
本発明による方法によれば、簡単な方法で、モータをモータ固定手段またはブラケットを介してロールフレームに接続することができる。
【0015】
この結果、特に本発明の利点は、たとえば、真円度の精度を出すよう軸受ジャーナルを機械加工できるようにするために、駆動すべきロールを取り外す必要がないことにある。
【0016】
したがって、モータはフレームの中に入ったままとなる。このような簡単な装着および取付けにより、関節式の軸を備えた、これまで使用されていた重くて持ち運びにくい駆動装置を、ロールジャーナル上に置かれた中空軸モータと取り替えることもできる。
【0017】
本明細書においては、固定手段は、振動的に安定するよう構成される。
【0018】
後付けする場合、モータの現在のハブを継手を介して軸受ジャーナルに接続することが適切である。
【0019】
本発明によれば、継手は、温度変化による軸方向の遊びを補償するための軸方向補償手段を備えるだけでなく、半径方向補償手段も備える。これは、概して古い既存のジャーナルが正確な真円度をもはや保証せず、過度に大きい許容差を有するようになるために、後付けする場合に特に重要である。
【0020】
従属請求項には、さらに便利な実施形態の特徴が記載されている。
【0021】
本発明の例示的実施形態が図面に示されており、これについて以下に記述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1に示されている装置は、一方の端部に軸受ジャーナル2を備えた、特に抄紙機の、ロール1を有し、ロール1は、この軸受ジャーナル2を介して、ロールフレーム3によって担持される軸受4内に取り付けられている。軸受ジャーナル2は、ロール1から向きがそれた側に軸受4を超えて突き出た、短い直径の端部区間5を有する。以下に記述する方法で回転するようにロール1を駆動するための駆動モータ6が、この区間5内に差し込まれる。ロール1は、モータ6を介して、その長手軸Iを中心として回転するように駆動され得る。
【0023】
駆動モータ6は中空軸7を有し、この中に、モータ部9を有する継手8が差し込まれる。継手8のモータ部9は、一般に知られている方法で、ロール1の軸受ジャーナル2の区間5に差し込まれたジャーナル部10に接続される。このため、ジャーナル部10は、軸受ジャーナル2の区間5の形状寸法、特に長さおよび直径に適応される。その上、モータ6は、モータ固定手段11を介してロールフレーム3上に支持される。この結果、モータ6の重量が、ロールフレーム3により、少なくとも一部分吸収される。したがって、ロール1の軸受ジャーナル2の負担が軽減される。モータ固定手段11は、モータ6が固定された固定リング12と、ロールフレーム3に側方で支持された支持部13とを有する。この結果、固定手段は、振動的に安定するよう構成され、この結果、比較的高速で動作することもできる。
【0024】
その上、軸受ジャーナル2と駆動モータ6との間の継手8は、軸方向補償手段と半径方向補償手段の両方を備える。継手は、湾曲した歯形継手として構成され得ることも好ましい。モータの電力出力は、20kW以上であり得る。
【0025】
図2に示されている変形形態は、図1の変形形態に実質的に対応する。軸受ジャーナル2の短い直径の区間5は、ここではより大きい直径を有するにすぎない。したがって、継手8のジャーナル部10は、より大きい内径を有して構成されるが、モータ部9は同じである。したがって、標準化された継手部が、継手8のモータ部9として使用され得る。この結果、それぞれ、ロール1の軸受ジャーナル2に従って、ジャーナル部10のみを交換すればよい。この結果、装置の費用が減少し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による装置の第1の変形形態の詳細を示す部分断面図である。
【図2】これに対応する、本発明による装置の第2の変形形態の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ロール
2 軸受ジャーナル
3 ロールフレーム
4 軸受
5 軸受ジャーナルの区間
6 差し込みモータ
7 中空軸
8 継手
9 継手のモータ部
10 継手のジャーナル部
11 モータ固定手段
12 固定リング
13 支持部
I 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール(1)の一方の端部にある軸受ジャーナル(2)を備えた前記ロールと、回転可能に前記ロール(1)を取り付けるためのフレーム(3)と、前記ロール(1)の前記軸受ジャーナル(2)に差し込まれた中空軸モータ(6)とを有する、材料ウェブ、特に紙または板紙ウェブを製造するおよび/または処理するための装置であって、
前記中空軸モータ(6)が、モータ固定手段(11)を介して前記ロールフレーム(3)に接続されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記モータ固定手段(11)が、振動的に安定するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
特に永久磁石を備えた、同期モータが、中空軸モータ(6)として設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記中空軸モータ(6)の中空軸(7)が、継手(8)を介して前記ロール(1)の前記軸受ジャーナル(2)に接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記継手(8)が、軸方向補償手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記継手(8)が、半径方向補償手段を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記継手(8)が、2つの部分、すなわちモータ部(9)とジャーナル部(10)とからなる構成であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記モータ部(9)が、標準化されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記継手(8)が、湾曲した歯形継手として構成されることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記中空軸モータ(6)が、20kWを超える電力出力を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
中空軸駆動モータ(6)をロール(1)に接続する、または材料ウェブ、特に紙または板紙ウェブを製造するおよび/または処理するための機械の前記ロール(1)の駆動装置を変更するまたは後付けする方法であり、前記ロール(1)が、軸受ジャーナル(2)を備え、前記ロール(1)が、回転可能に取り付けるためのフレーム(3)内に設置され、前記中空軸モータ(6)が、前記ロール(1)の前記軸受ジャーナル(2)に差し込まれる方法であって、
前記中空軸モータ(6)が、モータ固定手段(11)を介して前記ロールフレーム(3)に接続されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記モータ固定手段(11)が、振動的に安定するよう構成されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
特に永久磁石を備えた、同期モータが、中空軸駆動モータまたは差し込みモータ(6)として使用されることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記中空軸モータ(6)の中空軸(7)が、継手(8)を介して前記ロール(1)の前記軸受ジャーナル(2)に接続されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
使用される前記継手(8)が、軸方向補償手段を備えた継手(8)であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
使用される前記継手(8)が、半径方向補償手段を備えた継手(8)であることを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記継手(8)が、2つの部分からなる形態、すなわちモータ部(9)とジャーナル部(10)とを有して設置されることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
使用される前記モータ部(9)が、標準化されたモータ部(9)であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
使用される前記継手(8)が、湾曲した歯形継手であることを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記中空軸モータ(6)が、20kW以上の出力電力で操作されることを特徴とする請求項11〜19のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−46220(P2007−46220A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199715(P2006−199715)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(300080412)ボイス ペ−パ− パテント ゲ−エムベ−ハ− (25)
【Fターム(参考)】