説明

材料管理方法

【課題】 製品を作成するのに用いられる複数種の材料について適正に管理することが可能となる材料管理方法を提供する。
【解決手段】 製品を作成するのに用いられる複数種の材料を管理する材料管理方法であって、入荷した材料の夫々について、各材料を識別するための材料識別用情報が記載された管理用ラベルを作成して、その管理用ラベルを該当する材料に添付し、前記各材料についての生産に関連する材料生産関連情報と前記材料識別用情報とを関連付けた状態で材料情報記憶手段に記憶して、前記複数種の材料を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を作成するのに用いられる複数種の材料を管理する材料管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種の材料を用いて製品を作成する場合の管理方法として、従来では、以下に説明するような方法があった。
すなわち、複数種の材料を使用してパッケージを作成し、且つ、そのようにして作成された複数種のパッケージを筐体に組み込んで製品を作成する場合において、前記パッケージの夫々に各種の情報を書き込み並びに読み取り可能なメモリ(EPROM)を付設しておき、パッケージを作成した後に、パッケージ名、製造番号、製造時期等の情報からなるパッケージ管理用情報を前記メモリに書き込む処理を行う。そして、前記筐体に製品筐体番号や出荷先等からなる筐体管理用情報を読み取り可能に表示する表示部が設けられ、パッケージをその筐体に組み込んで製品を作成するときに、その製品のパッケージに付設されているメモリに書き込まれているパッケージ管理用情報と前記筐体管理用情報とを読み取り、それらを関連付けた状態でコンピュータの記憶装置等に記憶する。そして、そのような記憶情報を多数の製品について記憶してデータベース化して管理するようにした方法があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−287810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成においては、出荷後に製品の不具合が発生した場合等において、前記データベースに記憶している記憶情報を検索することにより、その不具合が発生した製品にはどのようなパッケージが使用されているかということについて調べることが可能である。そして、不具合が発生した製品に使用されているパッケージと同じ製造時期に製造されたパッケージも同様にして不具合が発生するおそれがあるが、そのようなパッケージについての修理交換等の対策を準備しておくといった不具合に対する措置を取ることも可能となる。
【0005】
ところで、上記したようなパッケージだけでなく、製品に使用されている複数種の材料についても適切に管理しておく必要がある。例えば、上述したように出荷後に製品の不具合が発生した場合等において、不具合が発生した製品に使用されている材料が特定できるような場合には、その材料と同じ製造時期に製造された材料も同様にして不具合が発生するおそれがあるから、そのような材料についても修理交換等の対策を準備しておくといった不具合に対する措置を取ることが望まれるが、そのような材料についての管理を適切に行うためには、不具合の発生の原因となる材料についても、その材料についての生産に関連する材料生産関連情報、例えば、仕入先、製品番号、メーカロット番号等の情報を特定する必要がある。
【0006】
しかしながら、上記従来構成では、パッケージに使用される複数種の材料については何ら管理されていないので、出荷後に製品の不具合が発生した場合であっても、材料についての管理が適切に行えない不利があった。
【0007】
製品を作成するのに用いられる複数種の材料について管理するための方法として、製品に使用される複数種の材料の夫々についてパッケージに付設されるメモリと同様なメモリを付設するようにして、そのメモリに前記材料生産関連情報を書き込み記憶させるようにしておき、パッケージに付設されたメモリと同様にして、製品を作成した後にパッケージ管理用情報と筐体管理用情報とを関連付けた状態で材料生産関連情報を記憶する方法が考えられるが、このような構成では、複数種の材料の夫々にメモリを付設することは、多数のメモリを必要としてコスト高になるとともに、種々の形状を有する複数の材料にメモリを付設するのは現実的ではなく採用し難いものである。
【0008】
又、製品を作成するのに用いられる複数種の材料について管理するための別の方法として、次のような方法が考えられる。
例えば、材料を管理する作業者が、仕入れ先から納入されてくる複数の材料について、納入の際に材料に添付される納品伝票に記載されている仕入先、製品番号、メーカロット番号等の材料についての材料生産関連情報をメモ用紙等を用いて記載しておき、その後、複数種の材料を用いて製品が作成されると、どの材料がどの製品に使用されているかについての情報も同様に記録用紙等を用いて記載しておく。そして、複数の製品が作成された後において、上記したように記録用紙に記載されている複数の製品についての情報と、その各製品毎に使用される複数種の材料についての材料生産関連情報とを関連付けた状態で、パーソナルコンピュータ等を用いて入力してデータベースを構築する状態で記憶させる方法である。
【0009】
しかし、上記したような方法であれば、複数の製品についての情報と、その各製品に使用される複数種の材料の夫々についての材料生産関連情報とを関連付けた状態で入力するときには、膨大な量のデータを一挙に入力しなければならず、一時期に多量のデータを入力するので、そのデータ入力作業が煩わしいものになる不利があり、しかも、入力ミスを起こすおそれがあるから入力されるデータが不正確になるおそれもあり、複数種の材料についての管理を適正に行うことができないものとなる不利があった。
【0010】
本発明の目的は、製品を作成するのに用いられる複数種の材料について、作業の煩わしさを少なくしながらも複数種の材料についての管理を適正に行うことが可能となる材料管理方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る材料管理方法は、製品を作成するのに用いられる複数種の材料を管理する方法であって、その第1特徴構成は、入荷した材料の夫々について、各材料を識別するための材料識別用情報が記載された管理用ラベルを作成して、その管理用ラベルを該当する材料に添付し、前記各材料についての生産に関連する材料生産関連情報と前記材料識別用情報とを関連付けた状態で材料情報記憶手段に記憶して、前記複数種の材料を管理する点にある。
【0012】
第1特徴構成によれば、製品を作成するのに用いられる複数種の材料を管理するために、入荷した材料の夫々について、各材料を識別するための材料識別用情報が記載された管理用ラベルを作成して、その管理用ラベルを該当する材料に添付する。そして、各材料についての生産に関連する材料生産関連情報と材料識別用情報とを関連付けた状態で材料情報記憶手段に記憶するのである。
【0013】
そして、各材料についての生産に関連する材料生産関連情報と材料識別用情報とを関連付けた状態で材料情報記憶手段に記憶しているので、材料に添付されている管理用ラベルに記載されている材料識別用情報が判ると、その材料識別用情報及び材料情報記憶手段に記憶されている記憶情報から、その管理用ラベルが添付されている材料についての材料生産関連情報を調べることが可能となる。
【0014】
このように材料識別用情報が記載された管理用ラベルを材料に添付するようにしたので、製品が作成された後においても、材料に添付されている管理用ラベルに記載された材料識別用情報から、その材料についての材料生産関連情報を調べることが可能となるのである。
【0015】
つまり、製品が出荷された後に製品の不具合が発生したような場合等において、不具合の原因として特定された材料について、その材料に添付されている管理用ラベルに記載されている材料識別用情報から、その材料についての材料生産関連情報を調べることが可能であり、製品を作成するのに用いられる複数種の材料について適正に管理することが可能となるのである。
【0016】
そして、前記管理用ラベルを作成して材料生産関連情報と材料識別用情報とを関連付けた状態で材料情報記憶手段に記憶する作業は、対象となる材料が入荷する毎に分担して行うことが可能であるから、複数の製品についての情報と複数種の材料についての材料生産関連情報とを関連付けた状態で入力するときのように膨大な量のデータを一挙に入力するものに比べて、材料が入荷した後における複数種の材料についての管理を作業の煩わしさが少ない状態で楽に行えるものとなる。
【0017】
このように、製品の作成に使用される複数種の材料について、管理用ラベルを作成して材料生産関連情報と材料識別用情報とを関連付けた状態で材料情報記憶手段に記憶する作業を材料の入荷毎に分担して行うようにしたので、作業の煩わしさが少なく作業負担が軽くなるから入力ミスの発生するおそれが少ないものとなる。その結果、材料生産関連情報と材料識別用情報とを関連付けた状態で正確な情報として記憶させることが可能となる。
【0018】
従って、製品を作成するのに用いられる複数種の材料について、作業の煩わしさを少なくしながらも複数種の材料についての管理を適正に行うことが可能となる材料管理方法を提供できるに至った。
【0019】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記材料生産関連情報が、材料の仕入先、その材料の製品番号、及び、その材料のメーカロット番号を含むものである点にある。
【0020】
第2特徴構成によれば、前記材料生産関連情報が、材料の仕入先、その材料の製品番号、及び、その材料のメーカロット番号を含むものであるから、管理用ラベルに記載されている材料識別用情報を読み取るだけで、その管理用ラベルが添付されている材料についての仕入先、その材料の製品番号、及び、その材料のメーカロット番号を調べることができる。
【0021】
従って、例えば、不具合発生の原因として特定された材料が、どの仕入先から納入され、どの製品番号に対応する材料であり、どのような生産ロットにて生産されたものであるかが判るので、不具合に対する措置を適切に取ることができる。
【0022】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、複数の材料により作成される中間生成品が少なくとも一部の材料として異なる種類の材料を用いる状態で複数種作成され、その複数種の中間生成品により前記製品が作成されるものであり、前記中間生成品の夫々について予め設定されている中間生成品管理用情報を前記材料識別用情報と関連付けた状態で製品情報記憶手段に記憶し、且つ、前記製品について予め設定されている製品管理用情報を前記中間生成品管理用情報と関連付けた状態で前記製品情報記憶手段に記憶する点にある。
【0023】
第3特徴構成によれば、複数の材料により作成される中間生成品が少なくとも一部の材料として異なる種類の材料を用いる状態で複数種作成され、その複数種の中間生成品により前記製品が作成されることになる。そして、中間生成品の夫々について予め設定されている中間生成品管理用情報を材料識別用情報と関連付けた状態で製品情報記憶手段に記憶し、製品について予め設定されている製品管理用情報を中間生成品管理用情報と関連付けた状態で製品情報記憶手段に記憶するようにしたから、検索対象となる材料に添付されている管理用ラベルに記載されている材料識別用情報が判ると、その材料識別用情報及び製品情報記憶手段に記憶されている記憶情報から、その材料がどの中間生成品に用いられているかを調べることが可能となる。そして、前記材料が用いられていると判別した中間生成品についての中間生成品管理用情報及び製品情報記憶手段に記憶されている記憶情報から、前記中間生成品がどの製品に用いられているかを調べることが可能となる。
【0024】
その結果、例えば、製品が出荷された後に製品の不具合が発生したような場合において、不具合の原因として特定された材料について、その材料に添付されている管理用ラベルに記載されている材料識別用情報から、その材料がどの中間生成品に用いられているか、さらに、その材料を用いている中間生成品がどの製品に用いられているかについて調べることが可能であり、そのような製品について、不具合の原因として特定された材料の修理交換等の措置を適切に取ることが可能となる。
【0025】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記管理用ラベルに、前記材料識別用情報がバーコードにて符号化された状態で記載されている点にある。
【0026】
第4特徴構成によれば、前記材料識別用情報がバーコードにて符号化された状態で記載されているので、材料に添付されている管理用ラベルから材料識別用情報を読み取る際に、例えば、バーコード読み取り装置により読み取ることにより、材料識別用情報を読み取る作業を簡単に且つ迅速に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る材料管理方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、複数種の材料を用いて製品を生産するための設備を示しており、この設備は、材料を管理する材料管理部門A、製品を生産する生産部門B、その生産部門Bにて生産された製品を管理する製品管理部門C、各種の情報を管理する情報管理部門D等が備えられている。
【0028】
以下、各部門における設備の構成について説明する。
先ず、前記情報管理部門Dには、各種の情報を一元的に管理する情報管理用コンピュータ1、後述するような無線式の情報入力装置である無線ハンディターミナル2との間で情報を送受信する複数の無線端末装置3の管理を行う無線端末管理用コンピュータ4、製品の生産に関連する生産用設備の運転管理を行う運転管理用コンピュータ5、工場全体での製品に関する生産管理等を司る上位のホストコンピュータHCとの間での通信を行う通信用コンピュータ6等が通信可能にネットワーク接続される状態で備えられている。そして、前記情報管理用コンピュータ1は、上位のホストコンピュータHCからの指令に基づいて、材料の管理用情報や製品の生産管理用情報等の各種の情報を一元的に管理する構成となっている。
【0029】
前記無線端末装置3は、材料管理部門A、生産部門B、製品管理部門Cに夫々設置されており、それらの複数の無線端末装置3は無線情報用通信線7を介して前記無線端末管理用コンピュータ4に通信可能に接続されている。又、材料管理部門Aや製品管理部門Cに備えられる物品保管装置8、生産部門Bに備えられる物品搬送設備9、及び、各部門に備えられるラベルプリンタ10等は、運転管理用通信線11を介して前記運転管理用コンピュータ5に接続されている。
【0030】
前記材料管理部門Aは、複数の仕入先から入荷した複数種の材料について受け入れ検査を行い、その受け入れ検査をパスした材料を物品保管装置8に入庫して保管するようになっている。又、情報管理部門Dから指令される出庫指令の情報に基づいて、対応する材料を物品保管装置8から出庫することになる。
【0031】
材料管理部門Aには、ラベルプリンタ10、無線ハンディターミナル2、及び、この無線ハンディターミナル2の情報を受信して前記無線端末管理用コンピュータ4に通信する無線端末装置3等が備えられている。前記無線ハンディターミナル2は、キー操作部の操作により各種の情報を手動で入力することができる構成となっており、しかも、バーコードを読み取るバーコード読み取り機能も備えている。従って、この無線ハンディターミナル2はバーコード読み取り装置に兼用構成されている。
【0032】
前記生産部門Bにおいては、詳述はしないが、複数種の材料から製品を作成するための種々の生産用の設備が設けられ、その生産用の設備の一部として後述するようなキット品や製品を搬送するための物品搬送設備9が設けられている。その物品搬送設備9は、情報管理部門Dから指令される組立指令に基づいてキット品や製品等を搬送対象箇所へ搬送するように運転管理されることになる。
【0033】
そして、この生産部門Bでは、複数の材料により作成される中間生成品が少なくとも一部の材料として異なる種類の材料を用いる状態で複数種作成され、その複数種の中間生成品により製品が作成されるようになっている。具体的には、中間生成品の一例としてのキット品が少なくとも一部の材料として異なる種類の材料を用いる状態で複数種作成され、その複数種のキット品により製品が作成されるようになっている。前記キット品は、予め定められた複数種の材料の一式を纏めて収納容器等に収納して搬送するようにしたものである。
【0034】
このようにキット品として管理するのは、例えば、製品を作成するために組立生産が行われる組立生産箇所において材料の種類を間違えることがないように、組立に用いる種類の材料だけを適切に管理して物品搬送設備9にて搬送することができるようにしたものである。そして、製品は、このようなキット品を複数種用いて作成するのであるが、全てのキット品は同じ種類の材料を備えるのではなく、キット品は、少なくとも一部の材料として異なる種類の材料を用いる状態で複数種作成されることになる。
【0035】
又、この生産部門Bには、材料管理部門Aと同様に、ラベルプリンタ10、無線ハンディターミナル2、及び、この無線ハンディターミナル2の情報を受信して前記無線端末管理用コンピュータ4に通信する無線端末装置3等が備えられている。
【0036】
前記製品管理部門Cにおいては、生産部門Bにて生産された製品を製品保管用の物品保管装置8に入庫して保管するようになっており、情報管理部門Dから出荷指令が指令されると、対象となる製品を物品保管装置8から出庫して外部に出荷させるようになっている。又、この製品管理部門Cにおいても、ラベルプリンタ10、無線ハンディターミナル2、及び、この無線ハンディターミナル2の情報を受信して前記無線端末管理用コンピュータ4に通信する無線端末装置3等が備えられている。
【0037】
次に、上記したような製品を生産するための設備において、製品を作成するのに用いられる複数種の材料を管理する材料管理方法について説明する。
【0038】
図2に、材料の入荷から製品が作成されて出荷されるまでの間の物品の流れと対応付けて、材料を管理するために行われる処理を示している。以下、この図を参照しながら、具体的に説明する。
【0039】
先ず、前記材料管理部門Aでは、入荷した材料の夫々について、各材料を識別するための材料識別用情報としての現品管理番号B1が記載された管理用ラベルの一例としての現品ラベル12を作成して、その現品ラベル12を該当する材料に添付する作業が行われる。すなわち、作業者は、複数種のうちのいずれかの材料が仕入れ先から納入されて入荷すると、その材料が入荷される毎に、その入荷した材料について、その材料の生産に関連する材料生産関連情報、すなわち、その材料の仕入先、その材料の製品番号としての材料の品目コード、及び、その材料のメーカロット番号等を無線ハンディターミナル2を用いて入力する。前記材料生産関連情報は、受け入れ検査の結果である検査情報が含まれる場合もある。
【0040】
前記無線ハンディターミナル2にて入力された材料生産関連情報は、無線端末装置3にて受信したのちに無線端末管理用コンピュータ4を介して情報管理用コンピュータ1に伝達され、その情報管理用コンピュータ1は、それに備えられているハードディスク形式の記憶装置に、各材料についての生産に関連する前記材料生産関連情報と前記材料識別用情報としての現品管理番号B1とを関連付けた状態で書き込み記憶する。
【0041】
そして、この材料管理部門Aでは、入荷した材料夫々について、各別に添付するための管理用ラベルとしての現品ラベル12をラベルプリンタ10を用いて作成する。このラベルプリンタ10は、運転管理用通信線11を介して情報管理用コンピュータ1から記載用の各種の情報が伝えられて自動で現品ラベル12を作成することになる。
【0042】
図3に現品ラベル12を示している。この図に示すように、現品ラベル12には、前記現品管理番号B1に加えて、発注番号B2、入荷日B3、品目コードB4、数量B5、メーカロット番号B6等も併せて記載される。そして、ラベルプリンタ10にて作成した現品ラベル12は該当する材料に貼り付ける状態で添付される。つまり、この現品ラベル12は、複数種の材料により製品が作成された後においても材料に添付している状態が維持されるようになっている。
【0043】
前記現品管理番号B1は、上記したように各材料を材料使用者が識別して管理するための材料識別用情報であり、材料の仕入先、例えば材料を製造した材料メーカにて定めた作成ルールではなく、入荷した材料を受け入れてその材料を使用する使用者側にて定めた作成ルールに従って作成されることになる。又、この現品管理番号B1は、数字で示す表記に加えてバーコードにて符号化したバーコード表記も合わせて現品ラベル12に記載される構成となっている。
【0044】
上記したような各材料についての生産に関連する前記材料生産関連情報と前記材料識別用情報としての現品管理番号B1とを関連付けた状態で書き込み記憶する処理は、製品を作成するのに用いられる複数種の材料の夫々について実行することになる。
【0045】
そして、次に、ホストコンピュータHCによるキット品の出庫に関するキット指図に基づいて、情報管理用コンピュータ1が対応するキット品についてのキット出庫指令を指令する。そのとき、自己が管理している中間生成品管理用情報としてのキット指図番号、及び、出庫先、使用される複数の材料の品目コード、数量等の情報を送信する。このキット品出庫指令が指令されると、物品保管装置8に保管されている材料を上記したようなキット品として出庫することになる。
【0046】
キット品を出庫するときは、ラベルプリンタ10を用いてキット品に添付するための出庫ラベル及びキット化明細書13を作成する。このキット化明細書13は、例えば、図4に示すように、情報管理用コンピュータ1から指令されるキット指図番号B7、出庫先B8、使用される複数の材料の品目コードB4、数量B5等の情報が記載されており、そのうちのキット指図番号B7についてはバーコードにて符号化したバーコード表記も合わせて記載されている。
【0047】
前記キット化明細書13は、キット品を収納する収納容器にキット品と共に収納された状態で搬送されることになり、又、出庫ラベルはキット品の収納容器に貼り付ける状態で添付されるラベルであり、図示はしないがキット化明細書13に記載している情報と同様な情報を記載する構成となっている。
【0048】
そして、作業者は、キット品を出庫するときには、キット品に含まれる複数の材料の夫々についての現品管理番号B1を、そのバーコード表記内容から無線ハンディターミナル2を用いて読み取る作業を実行する。
【0049】
無線ハンディターミナル2を用いて読み取りが行われた現品管理番号B1の情報は、情報管理用コンピュータ1において管理されることになり、情報管理用コンピュータ1は、現品管理番号B1とキット指図番号B7とを関連付けた状態でハードディスク形式の記憶装置に書き込み記憶する。
【0050】
このような現品管理番号B1の読み取り作業、及び、現品管理番号B1とキット指図番号B7とを関連付けた状態で記憶する記憶処理は、全てのキット品の夫々について各別に行われる。つまり、中間生成品としてのキット品の夫々について予め設定されている中間生成品管理用情報としてのキット指図番号B7を材料識別用情報としての現品管理番号B1と関連付けた状態で情報管理用コンピュータ1に記憶することになる。これらの記憶情報は、全種類の材料及び全てのキット品についての情報であり、現品管理番号B1を指定すれば、その現品管理番号B1に対応する材料がどのキット品に使用されているかについて容易に検索が可能な状態で、それらの情報が情報管理用コンピュータ1にて記憶されることになる。
【0051】
前記生産部門Bにおいては、ホストコンピュータHCによる組立指図に基づいて、情報管理用コンピュータ1が組立指令を指令すると、上述したように複数種のキット品を組み立てて製品を作成する組立処理が行われる。
【0052】
前記情報管理用コンピュータ1により組立指令が指令され、製品の組立を実行するときは、ラベルプリンタ10を用いて製品についての組立指図書を作成する。この組立指図書は、図示はしないが、組立を行う組立者を指定する組立者番号、ホストコンピュータHCからの指令に基づいて情報管理用コンピュータが管理している組立指図番号、使用される複数種のキット品の夫々についてのキット指図番号B7等の情報が記載されている。前記組立指図番号は、製品について予め設定されている製品管理用情報としての製品のロット番号及び作成順に設定されるシリアル番号を含む情報であり、そのうちロット番号とキット指図番号B7についてはバーコードにて符号化したバーコード表記も合わせて記載されている。
【0053】
そして、作業者は、組立作業を開始するに当たって、前記組立指図番号に基づいて、複数種のキット品の夫々についての複数のキット指図番号B7と製品のロット番号とを、そのバーコード表記内容から無線ハンディターミナル2を用いて読み取る読み取り作業を実行する。
【0054】
無線ハンディターミナル2を用いて読み取りが行われた複数のキット指図番号B7と製品のロット番号の情報は、情報管理用コンピュータ1において管理されることになり、情報管理用コンピュータ1は、複数のキット指図番号B7と製品のロット番号とを関連付けた状態でハードディスク形式の記憶装置に書き込み記憶する。
【0055】
このようなキット指図番号B7と製品のロット番号の読み取り作業、及び、それらを関連付けた状態で記憶する記憶処理は、全ての製品について各別に行われる。つまり、前記製品について予め設定されている製品管理用情報としてのロット番号を中間生成品管理用情報としてのキット指図番号B7と関連付けた状態で情報管理用コンピュータ1に記憶するのである。これらの記憶情報は、多数の製品について記憶されるものであり、キット指図番号B7を指定すればどのロット番号の製品に対応するキット品が使用されているかについて容易に検索が可能な状態で、それらの情報が情報管理用コンピュータ1にて記憶されることになる。
【0056】
従って、この実施形態では、前記各材料についての生産に関連する材料生産関連情報と材料識別用情報としての現品管理番号B1とを関連付けた状態で記憶する材料情報記憶手段100、及び、前記中間生成品としてのキット品の夫々について予め設定されている中間生成品管理用情報としてのキット指図番号B7を前記現品管理番号B1と関連付けた状態で記憶し、且つ、製品について予め設定されている製品管理用情報としての製品のロット番号をキット指図番号B7と関連付けた状態で記憶する製品情報記憶手段101の夫々を、情報管理用コンピュータ1を用いて兼用構成するようになっている。
【0057】
製品が作成された後は、作成された製品は製品保管用の物品保管装置8に保管されるが、ホストコンピュータHCからの出荷指令に基づいて、情報管理用コンピュータ1から出荷指令が指令されると、該当する製品が物品保管装置8から出庫されてフォークリフト等により搬出して出荷される。
【0058】
そして、製品を出荷するときには、ラベルプリンタ10を用いて製品に添付するための製品出荷明細書を作成する。この製品出荷明細書には、製品のロット番号、出荷指図番号、製品の出荷先等の情報等が記載される。すなわち、情報管理用コンピュータ1は、ホストコンピュータHCからの出荷指令に基づいて対応付けて出荷指図番号を管理するように構成されており、製品のロット番号、出荷指図番号、製品の出荷先等の情報を管理しており、これらの情報をラベルプリンタ10にて出力させて製品出荷明細書を作成するのである。
【0059】
又、情報管理用コンピュータ1は、前記製品のロット番号を前記出荷指図番号と関連付けた状態でハードディスク形式の記憶装置に書き込み記憶するようになっており、出荷指図番号の情報からどのロット番号の製品をどの出荷先に出荷したのかについての情報も合わせて管理するようになっている。
【0060】
そして、上述したような製品出荷明細書の作成処理及び製品のロット番号を出荷指図番号と関連付けた状態でハードディスク形式の記憶装置に書き込み記憶する処理は、製品が作成される毎に実行するから、情報管理用コンピュータ1は、多数の製品の夫々について製品のロット番号を出荷指図番号と関連付けた状態で記憶することになる。しかも、上述したように、複数のキット指図番号B7と製品のロット番号とを関連付けた状態で記憶しており、更に、現品管理番号B1とキット指図番号B7とを関連付けた状態で記憶することになる。
【0061】
従って、製品が出荷された後に製品の不具合が発生したような場合において、不具合の原因として特定された材料について、その材料に添付されている現品ラベル12に記載されている現品管理番号B1から、その材料がどのキット品に用いられているか、その材料を用いているキット品がどの製品に用いられているか、更には、その製品がどこに出荷されているかといったことについて調べることが可能となり、材料の修理交換等を適切に行うことができる。
【0062】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0063】
(1)上記実施形態では、前記情報管理用コンピュータ1は、上記したような各種の情報を、コンピュータに内装されているハードディスク形式の記憶装置に記憶する構成として、この情報管理用コンピュータ1が、材料情報記憶手段100及び製品情報記憶手段101の夫々を構成するものを例示したが、このような構成に限らず、例えば、光ディスクや光磁気ディスク等のコンピュータにより読み取り可能な外部記憶媒体を用いて上記各情報を記憶することもできる。従って、この場合には、外部記憶媒体が、材料情報記憶手段及び製品情報記憶手段の夫々を構成することになる。
【0064】
(2)上記実施形態では、前記情報管理用コンピュータ1が、前記材料情報記憶手段100及び前記製品情報記憶手段101の夫々を兼用構成するものを例示したが、この構成に代えて、前記材料情報記憶手段100と前記製品情報記憶手段101を夫々別々の記憶装置にて構成するものでもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、複数の材料により作成される中間生成品として、予め定められた複数種の材料の一式を纏めて収納容器等に収納するようにしたキット品を例示したが、中間生成品としては、このようなキット品に限らず、複数の材料を予め予備組立を行ったアセンブル状態の中間生成品を用いるものであってもよく、その具体構成は限定されるものではなく、各種の形態で実施することができる。
【0066】
(4)上記実施形態では、複数の材料により作成される中間生成品が複数種作成され、その複数種の中間生成品により製品が作成されるものとして、前記中間生成品の夫々について予め設定されている中間生成品管理用情報を前記材料識別用情報と関連付けた状態で製品情報記憶手段に記憶し、且つ、前記製品について予め設定されている製品管理用情報を前記中間生成品管理用情報と関連付けた状態で前記製品情報記憶手段に記憶する構成としたが、このような構成に代えて、次のように構成するものでもよい。
【0067】
例えば、前記中間生成品管理用情報だけでなく、前記製品について予め設定されている製品管理用情報についても前記材料識別用情報と関連付けた状態で製品情報記憶手段に記憶する構成としてもよい。
【0068】
又、上記したような中間生成品を作成することなく、複数種の材料によりそのまま製品を作成するようにして、前記製品について予め設定されている製品管理用情報を前記材料識別用情報と関連付けた状態で製品情報記憶手段に記憶する構成としてもよい。
【0069】
(5)上記実施形態では、前記材料生産関連情報が、材料の仕入先、材料の製品番号、及び、材料のメーカロット番号の夫々を含むものとしたが、前記材料生産関連情報としては、それらのうちのいずれか1つ又は2つ以上の情報を含む構成としてもよく、又、そのような情報以外の他の情報、例えば、過去の故障発生履歴情報等を含むものでもよい。
【0070】
(6)上記実施形態では、前記管理用ラベルとしての現品ラベルに、前記材料識別用情報としての材料管理番号がバーコードにて符号化された状態で記載され、無線ハンディターミナルで読み取る構成のものを例示したが、材料管理番号を数値だけで表記する構成として、作業者が目視で読み取る構成としてもよい。
【0071】
(7)上記実施形態では、前記管理用ラベルとしての現品ラベルを貼り付ける状態で材料に添付するものを例示したが、管理用ラベルは貼り付けるものに限らず、紐で繋ぐ状態で材料に添付する等、種々の方法で材料に添付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】製品を生産するための設備を示す概略構成図
【図2】材料管理方法を説明するための図
【図3】現品ラベルを示す図
【図4】キット化明細書を示す図
【符号の説明】
【0073】
12 管理用ラベル
100 材料情報記憶手段
101 製品情報記憶手段
B1 材料識別用情報
B7 中間生成品管理用情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を作成するのに用いられる複数種の材料を管理する材料管理方法であって、
入荷した材料の夫々について、各材料を識別するための材料識別用情報が記載された管理用ラベルを作成して、その管理用ラベルを該当する材料に添付し、
前記各材料についての生産に関連する材料生産関連情報と前記材料識別用情報とを関連付けた状態で材料情報記憶手段に記憶して、前記複数種の材料を管理する材料管理方法。
【請求項2】
前記材料生産関連情報が、材料の仕入先、その材料の製品番号、及び、その材料のメーカロット番号を含むものである請求項1記載の材料管理方法。
【請求項3】
複数の材料により作成される中間生成品が少なくとも一部の材料として異なる種類の材料を用いる状態で複数種作成され、その複数種の中間生成品により前記製品が作成されるものであり、
前記中間生成品の夫々について予め設定されている中間生成品管理用情報を前記材料識別用情報と関連付けた状態で製品情報記憶手段に記憶し、且つ、前記製品について予め設定されている製品管理用情報を前記中間生成品管理用情報と関連付けた状態で前記製品情報記憶手段に記憶する請求項1又は2記載の材料管理方法。
【請求項4】
前記管理用ラベルに、前記材料識別用情報がバーコードにて符号化された状態で記載されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の材料管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−72865(P2007−72865A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260721(P2005−260721)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】