説明

杭と鉄骨柱との接合構造

【課題】柱の納まりに関わりなく杭径を決定でき、且つ工事費用の増大を抑制でき、さらに、杭頭の水平位置の施工誤差にも対応し得る杭と鉄骨柱との接合構造を提供する。
【解決手段】杭1が、鉄筋の固定に供される端板部材11を上端近傍に有し、鉄骨柱2が、略一定の断面寸法を有する定断面部21と、下端に配置され、定断面部21よりも小さな断面寸法を有する小断面部22と、定断面部21の下端に接合されるとともに小断面部22の上端が接合する接合プレート23とを有するように構成する。小断面部22の下面22bが杭1の直上に位置するように鉄骨柱2を配置し、上下方向に延在する主筋42の下端を杭1の端板部材11に固定して鉄骨柱2の小断面部22の周囲に鉄筋かご41を組み立てる。主筋41を巻き込み且つ接合プレート23の下面23bに至るようにコンクリート44を打設して鉄筋コンクリート構造体4を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭と鉄骨柱との接合構造に係り、特に基礎梁やフーチングを設けることなく杭と鉄骨柱とを直接接合するのに適した接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨造建物の杭基礎は、最下階のスラブ面から所定寸法下がった位置に杭頭が位置するように複数の杭を地盤中に構築し、各杭の杭頭を巻き込むようにフーチングを構築するとともに、これらフーチングを地中梁で連結して一体化したうえで、フーチングに建物の柱を接合する構造が一般的であった。ところが、近年、フーチングおよび地中梁を設けずに杭と柱とを直接接合する構造が採用され始めている。この構造によれば、大幅な工期の短縮およびコストの削減を図ることができる。
【0003】
このような杭と柱との直接接合構造として、柱の下部にベースプレートを設け、ベースプレートよりも下側の脚部を小径にして杭頭の内部に埋設することで曲げ応力を伝達するようにし、杭頭の上面に突出させたアンカーボルトにベースプレートを支持させるとともに、杭頭とベースプレートとの間にモルタルなどを充填することで、ベースプレートから杭頭に軸力を伝達させるようにした発明が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、鉄骨柱の脚部を杭頭内に挿入すると、杭径が必要以上に大きくなることがあるため、これを改善するための接合構造として、PHC杭の頂部端板にPHC杭と同一外径寸法を有する鋼管を接合し、鉄骨柱の脚部を鋼管内に挿入した状態で鋼管内にコンクリートを充填するようにした発明も提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、鉄骨柱脚部の納まりに関わりなく杭径を決定できるようにするために、鉄骨柱のベースプレートに対応する形状の杭頭接合プレートを杭頭に設置し、ベースプレートを杭頭接合部プレートに対して間隙をあけて対向させた状態で、両者を高さ調整可能なボルト・ナットで固定することにより、鉄骨柱を杭に直接且つ同軸に接合し、この接合部分を取り囲むように鉄筋を配筋したうえで鉄筋コンクリート構造体を構築するようにした発明が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3671342号公報
【特許文献2】特許第3800535号公報
【特許文献3】特開2002−188154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3の接合構造では、接合部分を取り囲むように鉄筋を配筋して鉄筋コンクリート構造体を構築するため、接合部分よりも相当深く掘削しなければならず、接合作業のための地盤掘削量が多くなる。また、掘削が深くなることにより、地盤状況によっては山留めなどの仮設備も必要となる可能性がある。そのため、掘削関連費用の増大は避けられない。また、杭頭の水平位置に施工誤差が生じた場合には、鉄骨柱を杭に接合できなくなる虞もある。
【0008】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、柱の納まりに関わりなく杭径を決定でき、且つ工事費用の増大を抑制でき、さらに、杭頭位置の施工誤差にも対応し得る杭と鉄骨柱との接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、杭(1)と鉄骨柱(2)との接合構造において、杭は、鉄筋の固定に供される金属部分(端板部材11)を上端近傍に有し、鉄骨柱は、略一定の断面寸法を有する定断面部(21)と、下端に配置され、定断面部よりも小さな断面寸法を有する小断面部(22)と、定断面部の下端に接合されるとともに小断面部の上端が接合する接合プレート(23)とを有し、鉄骨柱は、小断面部の下面(22b)が杭の直上に位置するように配置され、鉄骨柱の小断面部の周囲には、杭の金属部分に下端が固定されて上下方向に延在する主筋(42)を有し且つ当該主筋を巻き込むコンクリート(44)が接合プレート(23)の下面(23b)に至るように打設された鉄筋コンクリート構造体(4)が構築されるように構成する。
【0010】
鉄骨柱の脚部を取り囲む根巻コンクリートを構築する場合、鉄筋コンクリート構造体の断面寸法が柱の断面寸法よりも大きくなり、鉄筋の下端を杭に固定する場合には杭の断面寸法も大きくなるが、本発明によれば、鉄骨柱の脚部(小断面部)が他の部分(定断面部)よりも小さな断面寸法とされているため、鉄骨柱(定断面部)の寸法に関わりなく鉄筋コンクリート構造体の断面寸法を小さくすることができる。そのため、鉄筋の下端を杭に固定する形態を採用しても、鉄骨柱の寸法に関わりなく杭の断面寸法を小さくすることができる。一方、杭の断面寸法が小さくなると、杭の直上に鉄骨柱を配置するのに許容される杭の水平方向の施工誤差が小さくなるが、鉄骨柱が小断面部を有するため、杭の水平方向の施工誤差が大きくなっても、鉄骨柱の下面を杭の直上に配置した状態で鉄筋コンクリート構造体を介して杭と鉄骨柱とを接合することができる。また、根巻きコンクリートとしての鉄筋コンクリート構造体は、主筋の下端が杭の金属部分に固定されるため、杭頭の周囲に打設するコンクリートの高さ(杭頭面からの下がり寸法)を小さくすることができる。そのため、杭頭周辺の地盤掘削量を削減できる。
【0011】
また、本発明の一側面によれば、杭の杭頭面(1a)と鉄骨柱の小断面部との間には、建て込み時に鉄骨柱を支持するための仮設支持部材(3)が配置された構成とすることができる。
【0012】
この構成によれば、鉄骨柱を仮設支持部材で支持できるため、鉄骨柱の建て込み作業が容易である。また、杭頭位置に垂直方向の施工誤差が生じても、仮設支持部材の長さを調節することで容易に鉄骨柱を適正な高さに配置することができる。
【0013】
また、本発明の一側面によれば、鉄骨柱は、小断面部の側面(22s)から略水平方向へ突出する突出部(スタッド24)を更に有する構成とすることができる。
【0014】
この構成によれば、突出部がコンクリートに係合することにより、鉄骨柱の鉄筋コンクリート構造体に対する定着力を高めることができる。
【0015】
また、本発明の一側面によれば、金属部分(11)は、杭の外周面(1s)の一部を構成する筒状部(11b)を有し、主筋は、筒状部の外面に溶接により固定され、鉄筋コンクリート構造体は、杭よりも大きな断面形状を有する構成とすることができる。
【0016】
この構成によれば、例えば、鉄筋コンクリート構造体に連結する基礎梁が構築される場合、基礎梁の鉄筋が上下方向に延在する主筋と干渉することが考えられるが、本発明によれば、主筋が溶接により筒状部材に固定されるため、溶接位置をずらすことで基礎梁の鉄筋との干渉をある程度回避することができる。
【0017】
また、本発明の一側面によれば、金属部分(11)は、杭の杭頭面(1a)を構成するとともに雌ねじ孔(12)を有する環状の平板部(11a)を有し、主筋は、平板部の雌ねじ孔に螺合する雄ねじ部(42a)を下端に有し、該雄ねじ部に螺着されたナット(45)の端板部材に対する締付力により固定される構成とすることができる。
【0018】
この構成によれば、溶接を行わずに主筋を端板部材に固定できるため、天候などの施工条件を考慮する必要がなく施工を容易にすることができる。また、平板部の雌ねじ孔と主筋の雄ねじ部とによる機械式固定とすることにより、両者を確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、柱の納まりに関わりなく杭径を決定でき、且つ工事費用の増大を抑制でき、さらに、杭頭位置の施工誤差にも対応し得る杭と鉄骨柱との接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る杭と鉄骨柱との接合構造の断面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿って一部を透視して示す断面図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】第2実施形態に係る杭と鉄骨柱との接合構造の断面図である。
【図5】図4中のV−V線に沿って一部を透視して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明に係る杭1と鉄骨柱2との接合構造の一実施形態について説明する。
【0022】
≪第1実施形態≫
先ず、図1〜図3を参照して第1実施形態に係る杭1と鉄骨柱2との接合構造について説明する。なお、図2においては、杭1の上方部分のコンクリート44を透視して示しており、当該部分にはハッチングを施さずに示す。第2実施形態に関する図5においても同様とする。
【0023】
図1に示すように、本発明に係る杭1と鉄骨柱2との接合構造は、一本の杭1に一本の鉄骨柱2を支持させるようにしたものであり、ここでは、鉄筋コンクリート構造体4により構成される接合部分が最下階(ここでは1階)の床面5よりも低い位置に設定されている。
【0024】
杭1は、PHCパイル(プレテンション方式高強度プレストレストコンクリート杭)であり、図示しないPCケーブルに製造時に与えた緊張力を保持するべく、上下端に配置された金属性の端板部材11を備えている。端板部材11は、杭1の上面(以下、杭頭面1aと記す。)を画成するリング状平板部分11aと、リング状平板部分11aの外周縁に連結して杭1の外周面1sの上部を画成する筒状部分11bとから構成される。
【0025】
鉄骨柱2は、一定の断面寸法を有する定断面部21と、下端に配置され、定断面部21よりも小さな断面寸法を有する小断面部22と、工場での溶接によって定断面部21の下端に接合されるとともに小断面部22の上端が接合された接合プレート23とを有しており、小断面部22の下面22bが杭頭面1aの直上に位置するように配置される。
【0026】
図2に示すように、定断面部21は、断面が略正方形を呈する中空の四角柱であり、接合プレート23は、定断面部21の断面寸法よりも大きな平面寸法を有する略正方形を呈する平板である。一方、小断面部22は、図3に示すように、H形鋼からなる柱であり、高さ方向の中間位置の外側面22sには、略水平方向へ突出するスタッド24が複数植設されている。
【0027】
図1に戻り、杭1と鉄骨柱2との間には、下端が杭1の杭頭面1aに当接し、上端が鉄骨柱2の下面2bに当接する仮設支持部材3が配置される。なお、仮設支持部材3は、平面視において、杭1よりも小さな外形寸法を有しており、後記するように鉄骨柱2の建て込み時に鉄骨柱2を支持するために用いることができる。仮設支持部材3は、鉄骨柱2の小断面部22と同程度の断面寸法を有するH形鋼からなる柱部31と、柱部31の上端に接合され、鉄骨柱2の小断面部22の断面寸法よりも大きな平面寸法を有する略正方形に形成されたトッププレート32と、柱部31の下端に接合され、杭1の断面寸法よりも若干小さな平面寸法を有する略円形に形成されたベースプレート33とから構成される。
【0028】
鉄骨柱2の小断面部22および仮設支持部材3の周囲には、鉄骨柱2と杭1とを接合するための鉄筋コンクリート構造体4が構築される。鉄筋コンクリート構造体4は、杭1の上側の端板部材11に下端が固定されて上下方向に延在し、水平方向に所定間隔に配置された複数の主筋42と、これら主筋42を取り囲み、上下方向に所定の間隔をもって水平に配置された複数のフープ筋43とからなる鉄筋かご41を有し、鉄筋かご41を巻き込む円形断面のコンクリート44が鉄骨柱2の接合プレート23の下面23b以上の高さ(ここでは上面高さ)まで、すなわち接合プレート23の下面23bを支持するように構築される。したがって、鉄筋コンクリート構造体4は、杭1よりも大きな断面寸法に形成されている。なお、本実施形態では、主筋42は現場溶接によって端板部材11の筒状部分11bに固定される。
【0029】
このように構成された杭1と鉄骨柱2との接合構造によれば、鉄骨柱2の軸力が接合プレート23および小断面部22から鉄筋コンクリート構造体4および仮設支持部材3を介して杭1に伝わるようになり、杭1と鉄骨柱2とが鉄筋コンクリート構造体4によって一体化される。また、鉄骨柱2の小断面部22が定断面部21よりも小さな断面寸法とされているため、鉄骨柱2の断面寸法(定断面部21の断面の寸法)に関わりなく鉄筋コンクリート構造体4の断面寸法を小さくすることが可能となる。そのため、主筋42の下端を杭1に固定する形態を採用しても、鉄骨柱2の断面寸法に関わりなく杭1の断面寸法を小さくすることが可能になる。
【0030】
一方、杭1の断面寸法が小さくなると、杭1の直上に鉄骨柱2を配置するのに許容される杭1の水平方向の施工誤差が小さくなるが、鉄骨柱2が小断面部22を有するため、杭1の水平方向の施工誤差が大きくなっても、小断面部22の下面22bを杭1の直上に配置した状態で鉄筋コンクリート構造体4を介して杭1と鉄骨柱2とを接合することが可能となる。なお、仮設支持部材3のトッププレート32が鉄骨柱2の小断面部22の断面寸法よりも大きな平面寸法を有しているため、杭頭位置に水平方向の施工誤差が生じていても、仮設支持部材3の軸線からオフセットした位置に鉄骨柱2を配置することで水平方向の施工誤差を吸収することができる。また、杭頭位置に垂直方向の施工誤差が生じている場合には、予め用意した高さ寸法の異なる複数の仮設支持部材3の中から最適な高さ寸法のものを選択するようにしたり、杭1の設置後に垂直方向の施工誤差を吸収する高さ寸法に調整して仮設支持部材3を加工するようにしたりすることで、杭1の垂直方向の施工誤差を吸収することができる。
【0031】
また、根巻きコンクリートとしての鉄筋コンクリート構造体4は、主筋42の下端が杭1の端板部材11に固定されるため、杭頭の周囲に打設するコンクリート44の高さ(杭頭面1aからの下がり寸法)を小さくし得る。そのため、杭頭周辺の地盤Gの掘削量が削減される。なお、上面が最下階のスラブよりも上方に位置するように鉄筋コンクリート構造体4を構築すれば、地盤Gの掘削量の更なる削減を図ることも可能である。
【0032】
他方、略水平方向へ突出するスタッド24が鉄骨柱2の小断面部22の外側面22sに植設されたことにより、スタッド24とコンクリート44との係合によって鉄骨柱2の鉄筋コンクリート構造体4に対する定着力が高まっており、小断面部22の短縮化も図ることができる。
【0033】
さらに、杭1の杭頭面1aと鉄骨柱2の小断面部22との間に仮設支持部材3が配置されたことにより、鉄骨柱2を仮設支持部材3で支持することが可能になるため、鉄骨柱2の建て込み作業が容易である。なお、杭頭位置に垂直方向の施工誤差が生じても、仮設支持部材3の長さを調節することで鉄骨柱2を容易に適正な高さに配置することが可能である。
【0034】
また、例えば、鉄筋コンクリート構造体4に連結するように基礎梁が構築される場合、基礎梁の鉄筋が主筋42と干渉することが考えられるが、端板部材11が筒状部分11bを有し、主筋42が溶接により筒状部分11bに固定される構成となっているため、溶接位置をずらすことで基礎梁の鉄筋との干渉をある程度回避することも可能である。
【0035】
≪第2実施形態≫
次に、図4,図5を参照して第2実施形態に係る杭1と鉄骨柱2との接合構造および接合方法について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0036】
図4,図5に示すように、本実施形態では、主筋42の下端が杭1の端板部材11のリング状平板部分11aに固定されている点で第1実施形態と相違する。より詳細に説明すると、端板部材11のリング状平板部分11aには、杭1の外周縁に沿って円形をなすように複数の雌ねじ孔12が所定の間隔をもって形成されている。一方、主筋42の下端部には、この雌ねじ孔12に螺合する雄ねじ部42aが形成されており、さらに、雄ねじ部42aにナット45が螺着されている。そして、主筋42の雄ねじ部42aをリング状平板部分11aの雌ねじ孔12に螺入した状態でナット45をリング状平板部分11aに向けて締め付けることにより、ナット45の端板部材11に対する締付力によって主筋42が杭1に固定される。
【0037】
このように構成された杭1と鉄骨柱2との接合構造によれば、溶接を行わずに主筋42を端板部材11に固定できるため、天候などの施工条件を考慮する必要がなく、施工が容易である。また、機械式固定であるため、主筋42が端板部材11に確実に固定される。また、鉄筋かご41の径が第1実施形態に比べて小さくなるため、鉄筋コンクリート構造体4の断面寸法を小さくすることができ、材料費の削減および地盤Gの掘削量の削減が図られる。
【0038】
このように、第1および第2実施形態に係る杭1と鉄骨柱2との接合構造によれば、鉄骨柱2の納まりに関わりなく杭径を決定でき、且つ工事費用の増大を抑制でき、さらに、杭頭位置の施工誤差を吸収して鉄骨柱2を適正な位置に配置可能である。
【0039】
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、建て込み時に鉄骨柱2を支持するために杭頭面1a上に仮設支持部材3を配置しているが、仮設支持部材3を配置しない形態とすることもできる。この場合には、杭頭位置の垂直方向の施工誤差に関わらず、架台などを用いて鉄骨柱2を適正な位置に配置および仮固定した状態でコンクリート44を打設するようにすればよい。また、上記実施形態では、鉄骨柱2の小断面部22の外側面22sにスタッド24が設けられているが、スタッド24の代わりに小断面部22の内側面から略水平に突出するようにリブを設けたり、小断面部22の下端にエンドプレートを設けたりしてもよい。或いは、このような突出部を設けない形態とすることも可能である。また、上記実施形態では、基礎梁を設けていないが、基礎梁を設けることも可能であり、さらに接合部の周囲にフーチングを設けることも可能である。これら変更のほか、各部材の具体的形状や、配置など、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 杭
1a 杭頭面
1s 外周面
2 鉄骨柱
3 仮設支持部材
4 鉄筋コンクリート構造体
11 端板部材(金属部分)
11a リング状平板部分
11b 筒状部分
12 雌ねじ孔
21 定断面部
22 小断面部
22b 下面
22s 側面
23 接合プレート
23b 下面
24 スタッド(突出部)
42 主筋
42a 雄ねじ部
44 コンクリート
45 ナット
G 地盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭と鉄骨柱との接合構造であって、
前記杭は、鉄筋の固定に供される金属部分を上端近傍に有し、
前記鉄骨柱は、略一定の断面寸法を有する定断面部と、下端に配置され、前記定断面部よりも小さな断面寸法を有する小断面部と、前記定断面部の下端に接合されるとともに前記小断面部の上端が接合する接合プレートとを有し、
前記鉄骨柱は、前記小断面部の下面が前記杭の直上に位置するように配置され、
前記鉄骨柱の小断面部の周囲には、前記杭の金属部分に下端が固定されて上下方向に延在する主筋を有し且つ当該主筋を巻き込むコンクリートが前記接合プレートの下面に至るように打設された鉄筋コンクリート構造体が構築されたことを特徴とする杭と鉄骨柱との接合構造。
【請求項2】
前記杭の杭頭面と前記鉄骨柱の小断面部との間には、建て込み時に前記鉄骨柱を支持するための仮設支持部材が配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の杭と鉄骨柱との接合構造。
【請求項3】
前記鉄骨柱は、前記小断面部の側面から略水平方向へ突出する突出部を更に有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の杭と鉄骨柱との接合構造。
【請求項4】
前記金属部分は、前記杭の外周面の一部を構成する筒状部を有し、
前記主筋は、前記筒状部の外面に溶接により固定され、
前記鉄筋コンクリート構造体は、前記杭よりも大きな断面形状を有することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の杭と鉄骨柱との接合構造。
【請求項5】
前記金属部分は、前記杭の杭頭面を構成するとともに雌ねじ孔を有する環状の平板部を有し、
前記主筋は、前記平板部の雌ねじ孔に螺合する雄ねじ部を下端に有し、該雄ねじ部に螺着されたナットの前記平板部に対する締付力により固定されることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の杭と鉄骨柱との接合構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−57431(P2012−57431A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204081(P2010−204081)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】