説明

杭打ち用サポート器具

【課題】安全性を確保しつつ、杭打ち作業性を向上させる。
【解決手段】サポート器具10は、柄部11と、柄部11の先端に設けられた保持部12とを有する。保持部12は、柄部11の先端に開口側を柄部11の軸方向と直交する方向に向けた金属製のコの字型のパイプ押さえ16と、このパイプ押さえ16の内側に開口側をパイプ押さえ16の開口側と同方向に向けて固定されたコの字型の磁石19とを備えて構成されている。磁石19は、単管パイプ2を側面から吸着支持する。パイプ押さえ16は、単管パイプ2を両側から挟み込むように支持して、単管パイプ2の位置、傾き等を調整可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築、土木作業等の足場や柵等を形成するための杭を地上に打ち込む際の杭打ち用サポート器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築、土木作業等に伴う単管パイプ等の杭打ち作業は二人作業で行われており、一人が手で杭を地面と垂直に保持し、もう一人がその杭の頭をハンマーで叩いて杭を地面に打ち込むようにしている。このため、ハンマーで手を誤って叩いてしまうという危険を伴う。また、夏季には金属パイプが太陽光で過熱状態となり、冬季には金属パイプが過冷状態となって、手で支えることが困難であるという問題もある。
【0003】
そこで、打ち込む杭を支えるための支持具もいくつか提案されている(特許文献1〜3)。
【特許文献1】実開昭63−121648号公報、図1
【特許文献2】実登3026942号公報、図1、段落0010〜0011
【特許文献3】特開2002−4586号公報、図1、段落0007〜0011
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の杭打ち用の支持具では、杭を支持具にセットする作業が必要であるため作業性が悪く、杭打ち作業中に地面に対して杭の角度を微妙に調整することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、安全性を確保しつつ、杭打ち作業性を向上させることができる杭打ち用サポート器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る杭打ち用サポート器具は、地面に打ち込まれる杭を支持するための杭打ち用サポート器具であって、棒状の柄部と、この柄部の先端に設けられて杭を保持する保持部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
杭は、例えば金属製パイプであり、この場合、保持部は、金属製パイプを側面から吸着保持する磁石を備えていることが望ましい。また、この場合、保持部が、磁石を内側に配置すると共に金属製パイプを側面から挟み込むコの字型のパイプ押さえを備えていると更に好ましい。
【0008】
この他、保持部は、杭が内側に挿入される環状部材でも良い。更に、杭がパイプである場合、保持部は、パイプの上端に装着されてパイプの上端を保護する保護キャップを兼用するものでも良い。柄は、伸縮自在な二重管により構成されていても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る杭打ち用サポート器具によれば、棒状の柄部の先端に杭を保持する保持部が設けられているので、杭を地面に打ち込む際に、誤ってハンマーで手を叩いてしまう危険がなく、また、杭打ち作業中でも柄部を通して保持部で杭の姿勢を調整できるので、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の第1の実施形態に係る杭打ち用サポート器具1の一部を省略した正面図、図2は同平面図、図3は図2のA−A’断面図である。
【0011】
本実施形態のサポート器具10は、柄部11と、柄部11の先端に設けられた保持部12とを有している。
【0012】
柄部11は、第1の金属パイプ13と、この第1金属パイプ13に外装される、第1の金属パイプ13よりも大径の第2の金属パイプ14の二重管構造からなる。第1の金属パイプ13の基端側には、パイプの軸方向に延びるスリット13aが形成され、これに対する第2の金属パイプ14には、孔14aが形成されている。この孔14aには、先端がスリット13aに嵌入する金属製のストッパーピン14bが挿入されると共に溶接によって固定されている。従って、第2の金属パイプ14は、スリット13a内をストッパーピン14bが移動できる範囲だけ、第1の金属パイプ13に対してスライド可能となる。これにより、柄部11は、所定範囲で伸縮可能な構造となっている。第2の金属パイプ14の外表面は、ゴム、樹脂等の絶縁体被覆15によって被覆されている。絶縁被覆15は、滑り止めと落雷等に対する安全性を高めるために用いられる。
【0013】
保持部12は、柄部11の先端に開口側を柄部11の軸方向と直交する方向に向けた金属製のコの字型のパイプ押さえ16と、このパイプ押さえ16の内側に開口側をパイプ押さえ16の開口側と同方向に向けてボルト17及びナット18によって固定されたコの字型の磁石19とを備えて構成されている。磁石19は、杭となる金属製の単管パイプ2を側面から吸着支持する。パイプ押さえ16は、単管パイプ2を両側から挟み込むように支持して、単管パイプ2の位置、傾き等を調整可能にする。
【0014】
図4は、上述した杭打ち用サポート器具10を使用した杭打ち作業を説明するための斜視図である。
【0015】
図示のように、作業者1は、サポート器具10を使用して杭としての単管パイプ2を地面4に対して垂直になるように保持する。単管パイプ2の頭部2aには、頭部2aの損傷を防止するための保護キャップ5が装着される。作業者3は、保護キャップ5の上をハンマー6で叩いて単管パイプ2を地面4に打ち込む。
【0016】
このように、本実施形態のサポート器具1を使用すれば、作業者3がハンマー6によって作業者1の手等を誤って叩くということが防止され、安全性を高めることができる。また、保持部12には磁石19が設けられると共に、磁石19と単管パイプ2の吸着方向と直交する方向の支持をパイプ押さえ16が司るので、単管パイプ2を全方位で微調整することができる。このため、作業者1は、サポート器具10を使用して単管パイプ2の地面4に対する角度等を作業中でも全方位で微調整することができるので、杭打ち作業の作業性が格段に向上する。更に、柄部11を伸縮自在としているため、サポート器具10を、作業者1の最も作業のし易い長さに調整した上で作業を行うことができるので、作業性が更に向上する。
【0017】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る杭打ち用サポート器具20を示す斜視図である。
【0018】
この実施形態のサポート器具20は、棒状の柄部21と、この柄部21の先端に設けられた環状の保持部22とにより構成されている。保持部22は、内側に単管パイプ22を挿入することにより、単管パイプ22を保持する。この実施形態によれば、先の実施形態よりも廉価にサポート器具20を作成することが出来る。
【0019】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る杭打ち用サポート器具30を示す斜視図である。
【0020】
この実施形態のサポート器具30は、棒状の柄部31と、この柄部31の先端に設けられた保護キャップ状の保持部22とにより構成されている。保持部22は、柄部11の先端が側面に固定された大径部33とこの大径部33の下面に同軸的に突設された小径部34とを有する。このサポート器具30によれば、単管パイプ2の頭部2aに保持部22の小径部34を挿入することにより、保持部22を単管パイプ2の頭部に装着することができ、同時に大径部33の上をハンマー6で叩くことにより、保持部22が保護キャップも兼ねることになる。
【0021】
この他、本発明は、その要旨を変更しない範囲で種々変形して実施することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る杭打ち用サポート器具の一部を省略した正面図である。
【図2】同サポート器具の一部を省略した平面図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】同サポート器具を使用した杭打ち作業を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る杭打ち用サポート器具の斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る杭打ち用サポート器具の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1,3…作業者、2…単管パイプ、4…地面、5…保護キャップ、6…ハンマー、10,20,30…杭打ち用サポート器具、11,21,31…柄部、12,22,32…保持部、16…パイプ押さえ、19…磁石。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に打ち込まれる杭を支持するための杭打ち用サポート器具であって、
棒状の柄部と、
この柄部の先端に設けられて前記杭を保持する保持部と
を備えたことを特徴とする杭打ち用サポート器具。
【請求項2】
前記杭は、金属製パイプであり、
前記保持部は、前記金属製パイプを側面から吸着保持する磁石を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の杭打ち用サポート器具。
【請求項3】
前記杭は、金属製パイプであり、
前記保持部は、前記金属製パイプを側面から吸着保持する磁石、及びこの磁石を内側に配置すると共に前記金属製パイプを側面から挟み込むコの字型のパイプ押さえを備えている
ことを特徴とする請求項1記載の杭打ち用サポート器具。
【請求項4】
前記保持部は、前記杭が内側に挿入される環状部材からなることを特徴とする請求項1記載の杭打ち用サポート器具。
【請求項5】
前記杭は、パイプであり、
前記保持部は、前記パイプの上端に装着されて前記パイプの上端を保護する保護キャップを兼用するものである
ことを特徴とする請求項1記載の杭打ち用サポート器具。
【請求項6】
前記柄は、伸縮自在な二重管により構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の杭打ち用サポート器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−45336(P2008−45336A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222149(P2006−222149)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506281152)株式会社新栄産業 (1)
【Fターム(参考)】