板材保持容器からの板材出し入れ方法
【課題】半導体ウエハの処理作業の効率化及び歩留りの向上が図れる、板材保持容器からの板材出し入れ方法を提供する。
【解決手段】板材保持容器を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象の半導体ウエハの位置する載置トレイの把持部を把持する把持工程102と、上記機械装置の連結管を上記処理対象半導体ウエハの位置する載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程103と、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記半導体ウエハを当該載置面に吸着する吸着工程104と、当該半導体ウエハを吸着した載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離す切離工程105と、切り離した載置トレイを上記機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象の半導体ウエハの出し入れのために開放する開放工程106とを備える。
【解決手段】板材保持容器を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象の半導体ウエハの位置する載置トレイの把持部を把持する把持工程102と、上記機械装置の連結管を上記処理対象半導体ウエハの位置する載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程103と、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記半導体ウエハを当該載置面に吸着する吸着工程104と、当該半導体ウエハを吸着した載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離す切離工程105と、切り離した載置トレイを上記機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象の半導体ウエハの出し入れのために開放する開放工程106とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、光記録媒体ディスク、磁気記録媒体ディスクなどの電子デバイス用の板材や、その他の板材を搬送、処理または保管するために当該板材を出し入れさせる、板材保持容器からの板材出し入れ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板材の搬送時においては、細心の注意が要求されることがある。半導体ウエハ等の電子デバイス用の板材は、近年の技術の高度化で、より一層の大型化および薄型化が要求されるようになってきたため、破損しやすくなっている。即ち、上記板材の寸法が大きい場合はもちろんだが、小さい寸法の場合も、板材が極薄になって、破損しやすくなっている。
【0003】
このような容器、即ち極薄の板材を収納して保管、搬送する容器としては、引用文献1に記載したような多段式収納カセットがある。当該多段式収納カセットは、極薄の半導体ウエハの外周面に、チッピングを生じることなく、搬出できる収納カセットである。当該収納カセットはパッドへの吸着ミスもなくなる。上記極薄ウエハの厚みとしては20〜100μm程度のものがある。この容器は、具体的には、図12に示すようになっている。即ち、この容器は、平板3上より極薄ウエハwの直径より僅かに大きい直径の半円弧状ガイド4を起立させた収納棚2の複数を、支柱5を介して等間隔で上下に平行に並べた多段式収納カセット6である。搬送ロボットの吸着パッドをウエハw上面に移動させ、ついで下降させてウエハを平板上に押圧することによりウエハの反りを無くしてから吸着パッドにウエハを吸着固定する。
【特許文献1】特開2004−273867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような多段式収納カセット6は、支柱5によって固定されている。各カセットの間には隙間がある。上記各カセットの間の隙間から搬送ロボットの吸着パッドが挿入されて、ウエハwが吸着固定される。そして、このウエハwが外部に取り出される。
【0005】
しかしながらこの場合、次のような問題がある。
【0006】
(1)変形しやすいウエハwを常に平坦に維持した状態で取り扱うことが難しい。このため、(a)把持ハンド等がウエハwの端部に当たるなどによる損傷を生じるおそれがある。(b)平坦な状態と変形状態とを繰り返すことによるウエハwの端部の磨耗損傷を生じるおそれがある。(c)処理装置による取り扱いが容易でない。
【0007】
(2)ウエハwをカセットに固定保持した状態で取り扱うことが難しい。このため、(a)カセットを分離したときに、ウエハw上面に減圧状態が出現しても、板材が飛び出して破損するおそれがある。(b)機械的振動等が発生した場合、板材把持を正確に行うことができず、破損するおそれがある。
【0008】
(3)ウエハwには表裏面があり、いずれの面を上にするかは、その後の処理作業に影響する。(a) ウエハwの加工面がどちらの面かで、取り出したウエハwを一旦反転させてから処理をする必要が生じて、作業性が悪い。(b)任意の位置にウエハwを出し入れすることが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、複数の板材を個別に密封する構成の板材保持容器から板材を安全かつ容易に出し入れする方法を提供するものである。
【0010】
第1の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、外部の吸引手段を用いて板材を吸着可能な複数の載置トレイが多段に積層して構成された板材保持容器からの板材の出し入れ方法であって、少なくとも周囲環境に開放された状態で上記載置トレイに載置されている上記板材は全て、上記載置トレイに吸着保持されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、上記板材が上記載置トレイに吸着保持された状態で開放されるため、上記板材を受け渡すときや処理するときにずれるのを防止する。
【0012】
第2の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材をその両側から挟持して保持する2つの載置トレイの把持部を一体的に把持する把持工程と、上記処理対象板材を挟持した2つの載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離して上記板材を挟持した2つの載置トレイを他の載置トレイから分離する分離工程とを備え、分離した2つの載置トレイで上記板材を挟持して上記機械装置の処理部まで搬送することを特徴とする。
【0013】
上記構成により、2つの載置トレイで処理対象板材を挟持した状態で、当該2つの載置トレイを他の載置トレイから分離して、上記機械装置の処理部まで安全に搬送することができる。
【0014】
第3の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、上記第2の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記機械装置の処理部での処理終了後の板材を2つの上記載置トレイで挟持して保持した後、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、処理終了後の板材を2つの載置トレイで挟持した状態で、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させるため、安全にもとの位置まで搬送することができる。
【0016】
第4の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持する把持工程と、上記機械装置の連結管を上記処理対象板材の位置する載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、当該板材を吸着した載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離す切離工程と、切り離した載置トレイを上記機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から、処理対象の板材を容易に取り出して処理することができる。
【0018】
第5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、上記第4の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記載置トレイが結合解除手段を備え、上記載置トレイが複数枚積層されると上記結合解除手段が各載置トレイを隣同士で互いに固定し、固定解除して、任意の位置で各載置トレイを分離することができることを特徴とする。
【0019】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを容易に切り離して処理対象板材を開放する。また、切り離して開放した上記載置トレイを容易に結合して固定する。
【0020】
第6の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4又は5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記処理対象板材を開放した後、板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持する把持工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材把持ハンドで上記板材を把持して出し入れする出入工程とから構成されたことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを切り離して処理対象板材を開放して、上記板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持して取り出す。処理終了後は、板材を上記板材把持ハンドで支持してもとに戻す。
【0022】
第7の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4又は5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイで支持した上記板材を当該処理部に吸着させる処理部吸着工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材を上記処理部に受け渡すと共に当該載置トレイを待機させる受け渡し工程とから構成されたことを特徴とする。
【0023】
上記構成により、上記載置トレイで上記板材を吸着して上記機械装置の処理部に移動させ、上記板材を当該処理部に吸着させ上記載置トレイの吸着を止めて受け渡すため、上記板材は常時吸着された状態で確実に出し入れされる。
【0024】
第8の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4又は5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記載置トレイを上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いる組込工程とから構成されたことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、上記板材を吸着した上記載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させ、当該載置トレイを上記機械装置の処理部に直接組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いるため、上記板材は常時吸着された状態で確実に出し入れされる。
【0026】
第9の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4乃至8のいずれかの発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記載置トレイの載置面に吸着した上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際に、上記載置トレイの吸着を止めた後、上記連結管から気体を導入する気体導入工程をさらに設けたことを特徴とする。
【0027】
上記構成により、上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際には、気体導入工程が上記連結管から気体を上記板材と当該板材を吸着した上記載置面との間に導入して、吸着を瞬時に解消する。
【0028】
第10の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持すると共に他の載置トレイも把持する把持工程と、当該把持工程で把持した上記処理対象板材の位置する載置トレイと他の載置トレイとを切り離す切離工程と、切り離した各載置トレイを機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程と、上記機械装置の連結管を上記載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、開放された上記載置トレイに板材を載置した後、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、当該吸着工程での吸着後の載置トレイをその上下の載置トレイと結合する結合工程とを備えたことを特徴とする。
【0029】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置に処理対象の板材を容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上詳述したように、本発明の板材保持容器からの板材出し入れ方法によれば、次のような効果を奏する。
【0031】
上記板材が上記載置トレイに吸着保持された状態で開放され、上記板材を受け渡すときや処理するときにずれるのを防止するため、上記板材を安全に取り扱うことができる。この結果、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0032】
2つの載置トレイで処理対象板材を挟持した状態で、当該2つの載置トレイを他の載置トレイから分離して、上記機械装置の処理部まで安全に搬送することができるため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0033】
処理終了後の板材を2つの載置トレイで挟持した状態で、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させるため、安全にもとの位置まで搬送することができ、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0034】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から、処理対象の板材を容易に取り出して処理することができるため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0035】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを容易に切り離して処理対象板材を開放することができ、切り離して開放した上記載置トレイを容易に結合して固定することができるため、板材保持容器からの板材の出し入れ作業が容易になり、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0036】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを切り離して処理対象板材を開放して、上記板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持して取り出し、処理終了後は、板材を上記板材把持ハンドで支持してもとに戻すため、上記板材保持容器の任意の位置から処理対象板材を容易に取り出して処理することができ、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0037】
上記載置トレイで上記板材を吸着して上記機械装置の処理部に移動させ、上記板材を当該処理部に吸着させ上記載置トレイの吸着を止めて受け渡して、上記板材を常時吸着された状態で確実に出し入れするため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、上記載置トレイと上記機械装置の処理部との間での上記板材把持ハンドによる受け渡し工程を省略して、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0038】
上記板材を吸着した上記載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させ、当該載置トレイを上記機械装置の処理部に直接組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いて、上記板材は常時吸着された状態で出し入れするため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、上記載置トレイと上記機械装置の処理部との間の受け渡し工程を全て省略して、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0039】
上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際には、気体導入工程が上記連結管から気体を上記板材と当該板材を吸着した上記載置面との間に導入して、吸着を瞬時に解消するため、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0040】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置に処理対象の板材を容易に挿入することができるため、処理作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明で用いる板材保持容器は、半導体ウエハ、磁気記録媒体ディスク、ガラス基板、水晶板等の電子デバイス用の板材や、薄板、厚板、その他の各種の板材を収納して、搬送、保管、処理工程(製造ライン等)における使用に供するための容器である。特に、極薄の板材の収納、搬送等に使用して好適な容器である。本実施形態では、極薄の半導体ウエハを収納する板材保持容器を例に説明する。なお、極薄の半導体ウエハの場合はその寸法の大小に係わらず破損しやすいため、全ての寸法の半導体ウエハに適用し得る。また、極薄でなくても、破損しやすい半導体ウエハ等にも適用し得る。
【0042】
[第1実施形態の方法を実施するための板材保持容器]
板材保持容器11は、図2、3に示すように主に、複数枚の載置トレイ12と、各載置トレイ12の間を互いに結合し、結合解除する結合解除手段13とから構成されている。
【0043】
載置トレイ12は、半導体ウエハWを収納支持するためのトレイである。載置トレイ12は、平板状の部材であり、第1搭載部14(19)と、第2搭載部15(20)と、把持部16と、上記結合解除手段13とを備えて構成されている。
【0044】
第1搭載部14は、半導体ウエハWを搭載するための部分である。第1搭載部14は、載置トレイ12の上側面に形成されている。さらに、第1搭載部14は、半導体ウエハWの大きさに合わせて形成されている。第1搭載部14は、半導体ウエハWの形状に合わせて形成されている。半導体ウエハWは円形であるため、第1搭載部14は、それに合わせて円形に形成されている。
【0045】
第1搭載部14の外周縁にはシール受け溝17が設けられている。このシール受け溝17は、シール18を保持する溝である。シール受け溝17は、第1搭載部14の外周縁に円環状に形成されている。この第1搭載部14と第2搭載部15とシール18とで収納空間が構成されている。シール18は、シール受け溝17に嵌合された状態で、2つの載置トレイ12が積層されて各載置トレイ12が互いに結合されたときにできる収納空間を囲繞するように設けられ、この収納空間を外部環境から隔離して気密に保つようになっている。この収納空間は、少なくとも1枚の半導体ウエハWを収納できる大きさに設定されている。
【0046】
第2搭載部15は、載置トレイ12の上下を逆にした際に半導体ウエハWを載置して支持するための部分である。さらに、この第2搭載部15は、他の載置トレイ12の第1搭載部14に対向して外部環境と隔離した上記収納空間を形成すると共に、当該収納空間内で半導体ウエハWを挟み持って支持する。第2搭載部15は、第1搭載部14と同じ寸法に形成され、第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWを、その上側から覆ってできる上記収納空間内に収納して支持する。
【0047】
第1搭載部14の表面には、第一ウエハ支持体19が設けられている。第一ウエハ支持体19は、第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWを支持するための部材である。第一ウエハ支持体19は、半導体ウエハWと最小面積で接触するように網目状にまたは表面に面内通気性のある凹凸が一様に形成されている。この第一ウエハ支持体19は、半導体ウエハWの全面を均等に支持する。この結果、第一ウエハ支持体19は、半導体ウエハWに最小面積で接触し、半導体ウエハWの全面を均等に支持して、第1搭載部14との間で極薄の半導体ウエハWを確実に支持する。
【0048】
第一ウエハ支持体19は、連通用切り欠き(図示せず)が設けられたり、通気性を有する多孔質材料で構成されたりする。通気性を有する多孔質材料としては、多孔性高分子材料(発泡高分子材料等)、多孔性セラミック材料、多孔性燒結金属材料等を用いることができる。このような構成の第一ウエハ支持体19によって、半導体ウエハWの支持面を一様な力で支持することができると同時に、後述する第1吸気孔から吸引することで、半導体ウエハWを均一な吸引力で安定して吸着することができる。そして、このようにすることによって、半導体ウエハWの吸着による変形を最小に抑えることができるために、極薄半導体ウエハWを吸着する場合においてもそれを破損することなく保持することができるようになった。これにより、第一ウエハ支持体19で仕切られる全ての空間内の空気を後述する第一吸気孔23から吸引することで、第一ウエハ支持体19で仕切られる全空間内の空気を吸引して、半導体ウエハWを第一ウエハ支持体19側に吸着するようになっている。
【0049】
第2搭載部15の表面には第二ウエハ支持体20が設けられている。第二ウエハ支持体20は、第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWをその上側面から押圧して支持するための部材である。第二ウエハ支持体20は、半導体ウエハWと最小面積で接触するように網目状に形成されている。網目状の第二ウエハ支持体20は、半導体ウエハWの全面を均等に支持する。この結果、第二ウエハ支持体20は、半導体ウエハWに最小面積で接触し、半導体ウエハWの全面を均等に支持して、第1搭載部14の第一ウエハ支持体19との間で極薄の半導体ウエハWを挟んで確実に支持する。
【0050】
第二ウエハ支持体20は、第一ウエハ支持体19と同様に、連通用切り欠き(図示せず)が設けたり、通気性を有する多孔質材で構成されたりする。これにより、網目状の第二ウエハ支持体20と半導体ウエハWとで仕切られる複数の空間を互いに連通する。これにより、第二ウエハ支持体20で仕切られる1つの空間内の空気を後述する第二吸気孔24から吸引することで、第二ウエハ支持体20で仕切られる全空間内の空気を吸引して、半導体ウエハWを第二ウエハ支持体20側に吸着するようになっている。
【0051】
第2搭載部15の外周縁にはシール受け溝21が設けられている。このシール受け溝21は、第1搭載部14側のシール受け溝17に保持されたシール18が密着して上記収納空間内の気密性を向上させるための部分である。
【0052】
載置トレイ12内には、第一吸気孔23と、第二吸気孔24とが設けられている。第一吸気孔23は、載置トレイ12の第1搭載部14側と外部環境とを連通するように設けられている。第二吸気孔24は、載置トレイ12の第2搭載部15側と外部環境とを連通するように設けられている。
【0053】
第一吸気孔23又は第二吸気孔24から収納空間内を吸引する場合は、吸引装置(図示せず)が設けられる。この吸引装置の連結管(図示せず)が第一吸気孔23又は第二吸気孔24に取り付けられて、半導体ウエハWと第一または第二ウエハ支持体19、20とで形成される空間内の空気が吸引される。
【0054】
結合解除手段13は、各載置トレイ12の間を互いに結合し、結合解除するための部材である。結合解除手段13は、各載置トレイ12の間に設けられ、各載置トレイ12が積層されて互いに押し付けることで隣り合う載置トレイ12を互いに結合するようになっている。さらに、結合解除手段13は、外部から操作キー(図示せず)を挿入して固定解除できるようになっている。
【0055】
これにより、結合解除手段13は、各載置トレイ12が積層されると、各載置トレイ12の間を互いに固定して一体となって板材保持容器11を構成する。さらに、操作キーを任意の位置に挿入して結合解除手段13を固定解除することにより、積層した各載置トレイ12を任意の位置で分離し、再び結合できるようになっている。
【0056】
把持部16は、外部の機械装置側のスライドアームが嵌合して把持するための部分である。把持部16は、載置トレイ12の対向する側面(図2中の左右側面)に、それぞれ設けられている。
【0057】
[板材保持容器からの板材出し入れ方法]
次に、本発明の第1実施形態に係る、板材保持容器からの板材出し入れ方法について上記構成の板材保持容器11を用いて説明する。
【0058】
本実施形態の板材出し入れ方法は、半導体ウエハWが1枚又は数枚載置される載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置から半導体ウエハWを出し入れする方法である。この板材出し入れ方法は、図1に示すように、載置工程101と、把持工程102と、取付工程103と、吸着工程104と、切離工程105と、開放工程106と、ウエハ把持工程107と、出入工程108とから構成されている。
【0059】
これらの工程が行われる前に前工程が行われる。この前工程では、機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持すると共に他の載置トレイ12も把持する把持工程と、当該把持工程で把持した上記処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12と他の載置トレイ12とを切り離す切離工程と、この切離工程で切り離した各載置トレイ12を機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象の半導体ウエハWの出し入れのために開放する開放工程と、上記機械装置の連結管を上記載置トレイ12の吸気孔に取り付ける取付工程と、開放された上記載置トレイ12に半導体ウエハWを載置した後、上記連結管を介して上記載置トレイ12の載置面を吸引して上記半導体ウエハWを当該載置面に吸着する吸着工程と、当該吸着工程での吸着後の載置トレイ12をその上下の載置トレイ12と結合する結合工程とを行って、半導体ウエハWを板材保持容器11に挿入する。そして、結合後に吸着を解除する。
【0060】
また、必要に応じて、装置全体を制御する制御部に上記各載置トレイ12の情報を記録する。
【0061】
上記前工程によって、上側の載置トレイ12の第2搭載部15と、下側の載置トレイ12の上記第1搭載部14と、シール18とによって収納空間が形成され、半導体ウエハWはこの収納空間に搭載されて、外部環境と遮断される。さらに、半導体ウエハWは、第2搭載部15に形成または取り付けられた第2ウエハ支持体20で押圧されて、この第2ウエハ支持体20と第1ウエハ支持体19とで、挟んで確実に支持される。
【0062】
この各載置トレイ12が多段に積層された状態で、各載置トレイ12を互いに押し付ける。これにより、各載置トレイ12の第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWは、上側の載置トレイ12の第2搭載部15と、上記第1搭載部14と、シール18とによって収納空間が形成されて、外部環境と遮断される。さらに、各半導体ウエハWは、第2搭載部15の第二ウエハ支持体20で押圧されて、この第二ウエハ支持体20と第一ウエハ支持体19とで、挟んで確実に支持される。
【0063】
これにより、結合解除手段13で全ての載置トレイ12が結合されて板材保持容器11が構成される。
【0064】
1つの板材保持容器11を構成したら、その板材保持容器11を搬送する。次の搬送に供される半導体ウエハWの枚数が前回の板材保持容器11よりも少ない場合又は多い場合には、それに応じて載置トレイ12の枚数を調整して対応する。
【0065】
次いで、載置工程101を行う。この載置工程101は、板材保持容器11を処理装置に載置する工程である。
【0066】
板材保持容器11は、その内部に搭載した半導体ウエハWの処理内容に応じた場所に搬送される。この板材保持容器11は、搬送されてきた後、機械装置の載置台に載置される。この機械装置への載置方法としては、例えばSEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)が定める標準に従った方法を用いることができる。その他、各機械装置に応じた載置方法で行われる。
【0067】
次に、把持工程102を行う。この把持工程102は、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持する工程である。ここで、処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12とは、処理対象となっている半導体ウエハWの位置する載置トレイ12のことである。載置トレイ12の両側に半導体ウエハWが位置するものの場合は、開放された後に半導体ウエハWを支持している載置トレイ12のことで、例えば、図4の場合は半導体ウエハWの下側の載置トレイ12のことである。図5の場合は半導体ウエハWの上側の載置トレイ12のことである。また、2つの載置トレイ12で半導体ウエハWを挟持した状態(図4(A)の状態)で切り離す場合は、半導体ウエハWの上下の2つの載置トレイ12のことである。
【0068】
次に、取付工程103を行う。この取付工程103は、上記機械装置の連結管(図示せず)を載置トレイ12の第一吸気孔23又は第二吸気孔24のいずれか一方又は両方に取り付ける工程である。上記連結管は、半導体ウエハWを吸着する面に応じて第一吸気孔23又は第二吸気孔24を選択して取り付ける。即ち、載置トレイ12の第1搭載部14側に半導体ウエハWを吸着するか、第2搭載部15側に半導体ウエハWを吸着するか、両方に半導体ウエハWを吸着するかに応じて、連結管を、第一吸気孔23又は第二吸気孔24の一方又は両方に取り付ける。
【0069】
次に、吸着工程104を行う。この吸着工程104は、上記連結管を介して外部機械装置に設けられた吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14又は第2搭載部15側のいずれか一方又は両方を適宜吸引して半導体ウエハWを吸着する工程である。
【0070】
次に、切離工程105を行う。この切離工程105は、上記処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12の位置で、多段に積層された各載置トレイ12を切り離す工程である。半導体ウエハWが載置トレイ12の第1搭載部14又は第2搭載部15のいずれか一方の面に吸着されて支持される場合は、この半導体ウエハWを支持した1つの載置トレイ12と、その上下の各載置トレイ12とを切り離す。半導体ウエハWが2つの載置トレイ12の第1搭載部14と第2搭載部15とで挟持して支持される場合は、この半導体ウエハWを挟む2つの載置トレイ12と、その上下の各載置トレイ12とを切り離す。
【0071】
この切り離し作業は、操作キーを、上記載置トレイ12の位置に移動して挿入し、結合解除手段13の固定を解除して、載置トレイ12を切り離す。
【0072】
次いで、開放工程106を行う。この開放工程106は、処理対象の半導体ウエハWを開放する工程である。具体的には、切り離した載置トレイ12を上記機械装置の保持機構(図示せず)で支持して分離し、処理対象の半導体ウエハWを開放する。
【0073】
次いで、ウエハ把持工程107を行う。このウエハ把持工程107は、外部の機械装置側の板材把持ハンドを挿入して半導体ウエハWを把持する工程である。具体的には、板材把持ハンドで半導体ウエハWの表面を吸着する工程である。
【0074】
次いで、出入工程108を行う。この出入工程108は、載置トレイ12の吸着を止めて上記板材把持ハンドで半導体ウエハWを把持して出し入れする工程である。この出入工程108で、半導体ウエハWを把持して取り出して処理し、その処理終了後に半導体ウエハWを元の位置に戻す。
【0075】
この場合、上記載置トレイ12の吸着を止めた後、上記連結管から気体を導入する気体導入工程を適宜設ける。特に、上記板材把持ハンドで半導体ウエハWを把持して取り出す作業を迅速に行いたい場合は、上記気体導入工程を設けて、載置トレイ12の面での半導体ウエハWの吸着を瞬時に解消させる。
【0076】
以上により、半導体ウエハWの処理作業が終了する。他の位置の半導体ウエハWを処理する場合は、上記各工程を繰り返す。
【0077】
半導体ウエハWの反対面を処理する場合は、板材保持容器11を反転させてから機械装置に載置し、上記処理を行う。
【0078】
次に、上記各工程を用いた具体的な例を説明する。
【0079】
第1搭載部14側に半導体ウエハWを吸着する例を図4に基づいて説明する。なお、ここでは説明をわかりやすくするために、各載置トレイ12を簡略的に、半導体ウエハWを肉厚に記載している。また、図4では説明を簡単にするために、複数の載置トレイ12を多段に積層した板材保持容器11のうち、上下2つの載置トレイ12のみを記載している。
【0080】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図4(A)中の下側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0081】
次いで、図4(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して外部の吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14又は第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0082】
次に、図4(B)のように、切離工程105で、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。これにより、半導体ウエハWは下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側にのみ吸着された状態になる。
【0083】
次いで、開放工程106で、処理対象の半導体ウエハWを吸着して支持した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。上側の載置トレイ12Bを搬送ハンドで把持して上昇させ、下側の載置トレイ12Bを搬送ハンドで把持して下降させ(下側の載置トレイ12Bを下降できない場合は、処理対象の半導体ウエハWを吸着して支持した載置トレイ12Aを上昇させ)、処理対象の半導体ウエハWを気密状態から開放する。
【0084】
次いで、図4(C)のように、ウエハ把持工程107で、外部の機械装置側の板材把持ハンドHを挿入して半導体ウエハWの表面を吸着等によって把持し、出入工程108で、下側の載置トレイ12Aの吸着を止めて板材把持ハンドHで半導体ウエハWを把持して取り出す。
【0085】
具体的には、下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側に吸着された半導体ウエハWに板材把持ハンドHが吸着した後、第1搭載部14側の負圧を解除し、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを持ち上げて外部に持ち出す。
【0086】
なお、気体導入工程が有る場合は、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを把持した後、気体導入工程で気体(空気や乾燥窒素)を導入して載置トレイ12側での半導体ウエハWの吸着を瞬時に解消して、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを持ち上げる。気体導入工程は、半導体ウエハWが第1搭載部14等にくっついて離れづらい場合に特に有効である。
【0087】
次いで、処理終了後に半導体ウエハWを次の位置に移動させる。板材把持ハンドHで処理終了後の半導体ウエハWを把持して載置トレイ12A側に戻し、この載置トレイ12Aで半導体ウエハWを吸着支持して移動させる。移動先は、元の位置や、次の処理工程等の、あらまじめ設定された位置である。
【0088】
図5は、板材把持ハンドHで半導体ウエハWをその下側面から把持して取り出す例である。
【0089】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図5(A)中の上側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0090】
次いで、図5(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して外部の吸引装置で吸気孔24を介して半導体ウエハWの上面を吸引して固定する。
【0091】
次に、図5(B)のように、切離工程105で、吸気孔24を介して半導体ウエハWの上面を吸引して固定した載置トレイ12Aとその上下の載置トレイ12Bとを切り離す。これにより、半導体ウエハWはその上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側にのみ吸着された状態になる。
【0092】
次いで、開放工程106で、上側の載置トレイ12Aを上昇させて、処理対象の半導体ウエハWを密閉から開放する。
【0093】
次いで、図5(C)のように、ウエハ把持工程107で、機械装置側の板材把持ハンドHを挿入して半導体ウエハWの表面を吸着・把持し、出入工程108で、載置トレイ12の吸着を止めて板材把持ハンドHで半導体ウエハWを把持して取り出す。取り出された半導体ウエハWには処理作業が施される。
【0094】
次いで、処理終了後に半導体ウエハWを次の位置に移動させる。板材把持ハンドHで処理終了後の半導体ウエハWを把持して載置トレイ12A側に戻し、この載置トレイ12Aで半導体ウエハWを吸着支持して移動させる。移動先は、元の位置や、次の処理工程等の、あらまじめ設定された位置である。
【0095】
なお、上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側の負圧と下側の載置トレイ12Bの第1搭載部14側の負圧とを同時に解除してしまうと、図6のように、半導体ウエハWが反ってしまうおそれがある。特に片面に素子が形成されている極薄ウエハの場合は、各々の面における面内応力が異なっているため、反りやすくなる。このため、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを吸着した後に、第1搭載部14側又は第2搭載部15側の負圧を解除して、半導体ウエハWが常時いずれかに吸着されている状態を保つようにする。このことによって、外部から与えられる機械力(振動や衝撃)に対しても、半導体ウエハWが安定して保持されるために、半導体ウエハWの処理をより確実に実行することができる。
【0096】
[効果]
上記半導体ウエハWが上記載置トレイ12に吸着されて持された状態で開放され、上記半導体ウエハWを受け渡すとき等に載置トレイ12の載置面でずれるのを防止するため、上記半導体ウエハWを安全に取り扱うことができる。この結果、上記半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0097】
載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置で上記載置トレイ12を切り離して処理対象の半導体ウエハWを開放して、当該処理対象の半導体ウエハWを取り出して処理するため、処理対象の半導体ウエハWが収納された載置トレイ12を容易に切り離して、当該半導体ウエハWを容易に取り出することができる。これにより、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。即ち、載置トレイ12の第1搭載部14及び第2搭載部15で両側面の内、取り扱いに便利な面を選択して半導体ウエハWに当接して吸着して支持することで、半導体ウエハWの搬送時の安全性を保った状態で、上記各工程により、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0098】
また、変形しやすい半導体ウエハWを常に平坦に維持した状態で取り扱得ことができ、安全性が向上する。これにより(a)把持ハンド等が半導体ウエハWの端部に当たるなどによる損傷を防ぐことができる。(b)半導体ウエハWは平坦な状態と変形状態とを繰り返すことがないので、半導体ウエハWの端部の磨耗損傷を防ぐことができる。(c)処理装置による取り扱いを容易にすることができる。
【0099】
半導体ウエハWを載置トレイ12で吸着して又は2つの載置トレイ12で挟持して固定保持した状態で取り扱うことができる。これにより(a) 載置トレイ12を分離したときに、半導体ウエハWの上面に減圧状態が出現しても、半導体ウエハWが飛び出して破損することを防ぐことができる。(b)機械的振動等が発生しても、半導体ウエハWは載置トレイ12に確実に支持されて半導体ウエハWの位置が正確に特定できるため、把持ハンドによる半導体ウエハWの把持を正確に行うことができる。
【0100】
半導体ウエハWのどちらの面をも吸着可能とすることができる。これにより(a) 半導体ウエハWの加工面がどちらの面であっても、容易に処理できる。(b) 板材保持容器11の任意の位置から半導体ウエハWを出し入れすることできる。
【0101】
また、上記組立工程で、処理対象の半導体ウエハWとそれと同数の載置トレイ12を用意して、各半導体ウエハWを各載置トレイ12にそれぞれ載置した後、各載置トレイ12を積み重ねて、全ての載置トレイ12を互いに結合して板材保持容器11を組み立てるため、処理対象の半導体ウエハWの枚数に合わせて自由自在に板材保持容器11を組み立てることができる。この結果、板材保持容器11の大きさで規定された収納枚数に合わせる必要がなくなり、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0102】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態で用いた板材保持容器11を用いて説明する。
【0103】
本実施形態に係る板材保持容器11からの板材出し入れ方法は、半導体ウエハWが1枚又は数枚載置される載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置から上記半導体ウエハWを出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法である。
【0104】
本実施形態の板材出し入れ方法は、図7に示すように、板材保持容器11を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置の搬送ハンドで板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持する把持工程102と、上記機械装置の連結管を上記処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の吸気孔に取り付ける取付工程103と、上記連結管を介して上記載置トレイ12の第1搭載部14または第2搭載部15の一方又は両方を吸引して上記半導体ウエハWを吸着する吸着工程104と、半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12の位置で、多段に積層された各載置トレイ12を切り離す切離工程105と、切り離した載置トレイ12を上記機械装置の板材把持ハンドHで支持して分離し処理対象の半導体ウエハWを開放する開放工程106とを備えた点で、上記第1実施態様と同様である。
【0105】
そして、本実施形態では、以下に示す移動工程111と、処理部吸着工程112と、受け渡し工程113とを備えた点に特徴がある。
【0106】
移動工程111は、載置トレイ12に半導体ウエハWを吸着した状態で、当該載置トレイ12を上記機械装置の処理部に移動させる工程である。即ち、板材保持容器11のうち、処理対象の半導体ウエハWを支持した載置トレイ12を他の載置トレイ12から切り離して単体の搬送用のトイレとして使用する工程である。切り離された載置トレイ12は、半導体ウエハWを吸着して支持した状態で、上記機械装置の処理部まで移動される。
【0107】
処理部吸着工程112は、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイ12で支持した上記半導体ウエハWを当該処理部に吸着させる工程である。半導体ウエハWは、上記載置トレイ12で吸着支持されたままで、上記機械装置の処理部に吸着される。
【0108】
受け渡し工程113は、上記載置トレイ12の吸着を止めて上記半導体ウエハWを受け渡すと共に当該載置トレイを待機させる工程である。この受け渡し工程113では、載置トレイ12は半導体ウエハWを受け渡した後、待機する。この待機の態様としては、その場での待機と、もとの位置での待機とがあり得る。即ち、半導体ウエハWを処理部に受け渡した後、載置トレイ12をその位置で待機させて、処理作業の終了後に半導体ウエハWを載置トレイ12で受け取ってから当該載置トレイ12をもとの位置に戻してもよい。また、半導体ウエハWを処理部に受け渡した後、載置トレイ12をもとの位置に戻して待機させ、処理作業の終了後に再び載置トレイ12を処理部まで移動させて、半導体ウエハWを当該載置トレイ12で受け取ってから当該載置トレイ12をもとの位置に戻してもよい。
【0109】
次に、上記各工程を用いた具体的な例を図8に基づいて説明する。なおここでは、板材保持容器11を構成する3つの載置トレイ12を記載して説明する。また、第1実施形態と同様に、予め前工程が行われている。
【0110】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図8(A)中の上側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0111】
次いで、図8(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して外部の吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14及び第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0112】
次に、図8(B)のように、切離工程105で、処理対象の半導体ウエハWを上下から把持した2つの載置トレイ12Aの上下の載置トレイ12Bを解除して、多段に積層された各載置トレイ12Bを切り離す。これにより、半導体ウエハWは上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側にのみ吸着された状態になる。
【0113】
次いで、開放工程106で、上側の載置トレイ12Aを上昇させて、処理対象の半導体ウエハWを開放する。
【0114】
次いで、図8(C)に示すように、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを順次切り離していく。即ち、上記連結管を介して外部の吸引装置で載置トレイ12Aの第1搭載部14及び第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの上側の載置トレイ12の第2搭載部15側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持し、その半導体ウエハWの下側の載置トレイ12を順次切り離していく。
【0115】
次に、図8(D)のように、移動工程111で、載置トレイ12Aの第2搭載部15側に半導体ウエハWを吸着した状態で、当該載置トレイ12Aを上記機械装置の処理部に移動させる。即ち、板材保持容器11のうち、処理対象の半導体ウエハWを支持した載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから切り離して単体の搬送用のトイレとして使用する。そして、切り離された載置トレイ12Aは、半導体ウエハWを吸着して支持した状態で、上記機械装置の処理部まで移動される。
【0116】
次に、図8(E)のように、処理部吸着工程112で、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイ12Aで支持した上記半導体ウエハWを当該処理部に吸着させる。即ち、載置トレイ12Aで支持された半導体ウエハWを上記機械装置の処理部側に載置する。このとき、半導体ウエハWは、上記載置トレイ12Aで吸着支持されたままで、上記機械装置の処理部に吸着される。
【0117】
次に、図8(F)のように、受け渡し工程113で、上記載置トレイ12Aの吸着を止めて上記半導体ウエハWを機械装置の処理部に受け渡す。次いで、処理部が半導体ウエハWを処理する。このとき、載置トレイ12Aは、上記処理部の近傍に待機して、処理作業が終了した半導体ウエハWを受け取ってからもとの位置に戻される。または、半導体ウエハWを受け渡した後、載置トレイ12Aをもとの位置に戻して待機させ、処理作業の終了後に載置トレイ12Aを上記処理部まで移動させてこの載置トレイ12Aで半導体ウエハWを受け取ってから当該載置トレイ12Aをもとの位置に戻す。
【0118】
[効果]
上記板材出し入れ方法により、板材保持容器11の多段に積層された載置トレイ12のうちの任意の1つを、他の載置トレイ12から切り離して、当該載置トレイ12で半導体ウエハWを支持させたままで、この半導体ウエハWを上記機械装置の処理部まで移動させて当該処理部に受け渡すため、上記載置トレイと上記機械装置の処理部との間の工程を簡略化することができる。この結果、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを吸着して支持することがなくなるため、搬送時の半導体ウエハWの破損のおそれを最小限に低減させることができる。
【0119】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態で用いた板材保持容器11を用いて説明する。
【0120】
本実施形態に係る板材保持容器11からの板材出し入れ方法は、半導体ウエハWが1枚又は数枚載置される載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置から上記半導体ウエハWを出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法である。
【0121】
本実施形態の板材出し入れ方法は、図9に示すように、板材保持容器11を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置の搬送ハンドで板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持する把持工程102と、上記機械装置の連結管を上記処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の吸気孔に取り付ける取付工程103と、上記連結管を介して上記載置トレイ12の第1搭載部14または第2搭載部15のいずれか一方又は両方を吸引して上記半導体ウエハWを吸着する吸着工程104と、半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12の位置で、多段に積層された各載置トレイ12を切り離す切離工程105と、切り離した載置トレイ12を上記機械装置の搬送ハンドで支持して分離し処理対象の半導体ウエハWを開放する開放工程106とを備えた点で、上記第1実施態様と同様である。
【0122】
そして、本実施形態では、移動工程111と、組込工程116とを備えた点に特徴がある。
【0123】
移動工程111は、上記第2実施形態の移動工程111と同様であり、上記載置トレイ12に半導体ウエハWを吸着した状態で当該載置トレイ12を上記機械装置の処理部に移動させる工程である。載置トレイ12は、半導体ウエハWを吸着して支持したまま、板材保持容器11の他の載置トレイ12から切り離されて、上記機械装置の処理部に移動される。
【0124】
組込工程116は、上記載置トレイ12を上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象の半導体ウエハWの支持台として用いる工程である。即ち、板材保持容器11を構成する載置トレイ12を他の載置トレイ12から分離してその載置トレイ12ごと半導体ウエハWを処理部に移動させて、その載置トレイ12ごと処理装置に組み込んで、半導体ウエハWの支持台として用いる工程である。
【0125】
これにより、載置トレイ12を、ダイシングマシンのハンドリング装置として使用したり、カッティング装置や切削装置等に装着して使用したりする。
【0126】
次に、上記各工程を用いた具体的な例を図10に基づいて説明する。なおここでは、板材保持容器11を構成する3つの載置トレイ12を記載して説明する。また、第1実施形態と同様に、予め前工程が行われている。
【0127】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図10(A)中の下側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0128】
次いで、図10(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して機械装置に設けられた吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14及び第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0129】
次に、図10(B)のように、切離工程105で、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。これにより、半導体ウエハWは下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側(図10(A)においては3つの載置トレイ12の内、中央の載置トレイ12Aの第1搭載部14側、および最下部の載置トレイ12Aの第1搭載部14側)にのみ吸着された状態になる。
【0130】
次いで、開放工程106で、処理対象の半導体ウエハWを吸着して支持した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。図10(B)においては最上部の載置トレイ12Bを搬送ハンドで把持して上昇させ、下側の載置トレイ12Aを搬送ハンドで把持して下降させ(下側の載置トレイ12Aを下降できない場合は、中央の載置トレイ12Aを上昇させ)、処理対象の半導体ウエハWを気密状態から開放する。
【0131】
次いで、図10(C)に示すように、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを順次切り離す。即ち、図10(A)における最下部の載置トレイ12Aから順次切り離す。
【0132】
次に、図10(D)のように、移動工程111で、上記載置トレイ12Aに半導体ウエハWを吸着した状態で当該載置トレイ12Aを上記機械装置の処理部に移動させる。即ち、載置トレイ12Aは、半導体ウエハWを吸着して支持したまま、板材保持容器11の他の載置トレイ12Bから切り離されて、上記機械装置の処理部に移動される。
【0133】
次に、図10(E)のように、組込工程116で、上記載置トレイ12Aを上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象の半導体ウエハWの支持台として用いる。即ち、板材保持容器11を構成する載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから分離してその載置トレイ12Aごと半導体ウエハWを処理部に移動させて、その載置トレイ12ごと処理装置の取り付け部Tに取り付けて、半導体ウエハWの支持台として用いる。
【0134】
次いで、処理部が半導体ウエハWを処理する。処理作業の終了後は、載置トレイ12を処理装置の取り付け部Tから取り出して、次の位置に移動させる。移動先は、元の位置や、次の処理工程等の、あらまじめ設定された位置である。
【0135】
以上のように、載置トレイ12は、板材保持容器11の一部として当該板材保持容器11に組み込まれる際に半導体ウエハWを載置した後は、半導体ウエハWを他の装置等へ受け渡すことがなくなる。これにより、上記載置トレイ12の半導体ウエハWを他の搬送装置で把持して載置トレイ12から取り出して上記機械装置の処理部に受け渡す工程を省略して、処理作業の作業性を向上させることができる。さらに、半導体ウエハWを受け渡す工程を簡略化できるため、極薄の半導体ウエハWの場合でも、上記処理部での処理を安全に行うことができる。
【0136】
[変形例]
上記各実施形態では、1枚の半導体ウエハWを1つの載置トレイ12に載置した状態で取り扱うようにしたが、1枚の半導体ウエハWをその両側の2つの載置トレイ12で挟持して保持した状態(図4(A)、図5(A)の状態)で取り扱うようにしても良い。
【0137】
この場合、上記板材保持容器11を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWをその両側から挟持して保持する2つの載置トレイ12Aの把持部16を一体的に把持する把持工程102との後に、分離工程を備える。
【0138】
具体的には、図11(A)に示すように、載置工程101で板材保持容器11を機械装置に載置された後、把持工程102で処理対象の半導体ウエハWをその両側から挟持して保持する2つの載置トレイ12A(図11(A)中の真ん中の2つの載置トレイ12A)の把持部16を一体的に把持する。この2つの載置トレイ12Aの上下の載置トレイ12Bは、その下側面及び上側面でそれぞれ処理対象でない半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0139】
次いで、分離工程で各載置トレイ12A、12Bを分離する。この分離工程では、図11(B)に示すように、処理対象の半導体ウエハWを挟持した2つの載置トレイ12Aの上下位置で、多段に積層された他の載置トレイ12Bを切り離して、上記半導体ウエハWを挟持した2つの載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから分離する。これにより、処理対象の半導体ウエハWは、その両側の2つの載置トレイ12Aで挟持されて保持される。この2つの載置トレイ12Aの上下の半導体ウエハWは、各載置トレイ12Bでそれぞれ支持される。
【0140】
この結果、図11(C)に示すように、処理対象の半導体ウエハWは、2つの載置トレイ12Aで構成された専用容器に入れられたのと同じ状態になり、この2つの載置トレイ12で上記機械装置の処理部まで安全に搬送される。この場合は、2つの載置トレイ12Aで挟持された半導体ウエハWは、吸着しなくてもよい。
【0141】
上記機械装置の処理部では、図11(D)に示すように、下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側を吸引して下側の載置トレイ12Aで半導体ウエハWを支持する。この状態で、上側の載置トレイ12Aを分離して開放し、その後の処理を行う。また、上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側を吸引して上側の載置トレイ12Aで半導体ウエハWを支持し、下側の載置トレイ12Aを分離して開放し、その後の処理を行うようにしてもよい。
【0142】
このように、2つの載置トレイ12で処理対象の半導体ウエハWを挟持した状態で、当該2つの載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから分離して、上記機械装置の処理部まで安全に搬送することができるため、上記半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化を図ることができる。この結果、半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0143】
また、機械装置の処理部での処理終了後の半導体ウエハWを2つの上記載置トレイ12Aで挟持して保持した後、当該2つの載置トレイ12Aを他の各載置トレイ12Bの間に戻して、全載置トレイ12を多段に積層させて互いに結合させるようにしても良い。
【0144】
このように、処理終了後の半導体ウエハWを2つの載置トレイ12Aで挟持して確実に保持した状態で、当該2つの載置トレイ12Aを他の各載置トレイ12Bの間に戻して全載置トレイ12を多段に積層させて互いに結合させるため、処理終了後の半導体ウエハWを安全にもとの位置まで搬送することができる。この結果、半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1実施形態に係る板材出し入れ方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1実施形態に係る2つの載置トレイを積層した状態を示す側面断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る複数の載置トレイを積層して構成した板材保持容器を示す側面断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る板材保持容器の第1搭載部側に半導体ウエハを吸着する方式の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る板材保持容器の第2搭載部側に半導体ウエハを吸着する方式の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図6】極薄の半導体ウエハを吸着しない載置トレイに載置したときの状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る板材出し入れ方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る板材保持容器の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る板材出し入れ方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態に係る板材保持容器の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図11】本発明の変形例を示す模式図である。
【図12】本従来の板材出し入れ方法に用いる板材保持容器を示す模式図である。
【符号の説明】
【0146】
11:板材保持容器、12:載置トレイ、13:結合解除手段、14:第1搭載部、15:第2搭載部、16:把持部、17:シール受け溝、18:シール、19:第一ウエハ支持体、20:第二ウエハ支持体、21:シール受け溝、23:第一吸気孔、24:第二吸気孔、T:取り付け部、W:半導体ウエハ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、光記録媒体ディスク、磁気記録媒体ディスクなどの電子デバイス用の板材や、その他の板材を搬送、処理または保管するために当該板材を出し入れさせる、板材保持容器からの板材出し入れ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板材の搬送時においては、細心の注意が要求されることがある。半導体ウエハ等の電子デバイス用の板材は、近年の技術の高度化で、より一層の大型化および薄型化が要求されるようになってきたため、破損しやすくなっている。即ち、上記板材の寸法が大きい場合はもちろんだが、小さい寸法の場合も、板材が極薄になって、破損しやすくなっている。
【0003】
このような容器、即ち極薄の板材を収納して保管、搬送する容器としては、引用文献1に記載したような多段式収納カセットがある。当該多段式収納カセットは、極薄の半導体ウエハの外周面に、チッピングを生じることなく、搬出できる収納カセットである。当該収納カセットはパッドへの吸着ミスもなくなる。上記極薄ウエハの厚みとしては20〜100μm程度のものがある。この容器は、具体的には、図12に示すようになっている。即ち、この容器は、平板3上より極薄ウエハwの直径より僅かに大きい直径の半円弧状ガイド4を起立させた収納棚2の複数を、支柱5を介して等間隔で上下に平行に並べた多段式収納カセット6である。搬送ロボットの吸着パッドをウエハw上面に移動させ、ついで下降させてウエハを平板上に押圧することによりウエハの反りを無くしてから吸着パッドにウエハを吸着固定する。
【特許文献1】特開2004−273867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような多段式収納カセット6は、支柱5によって固定されている。各カセットの間には隙間がある。上記各カセットの間の隙間から搬送ロボットの吸着パッドが挿入されて、ウエハwが吸着固定される。そして、このウエハwが外部に取り出される。
【0005】
しかしながらこの場合、次のような問題がある。
【0006】
(1)変形しやすいウエハwを常に平坦に維持した状態で取り扱うことが難しい。このため、(a)把持ハンド等がウエハwの端部に当たるなどによる損傷を生じるおそれがある。(b)平坦な状態と変形状態とを繰り返すことによるウエハwの端部の磨耗損傷を生じるおそれがある。(c)処理装置による取り扱いが容易でない。
【0007】
(2)ウエハwをカセットに固定保持した状態で取り扱うことが難しい。このため、(a)カセットを分離したときに、ウエハw上面に減圧状態が出現しても、板材が飛び出して破損するおそれがある。(b)機械的振動等が発生した場合、板材把持を正確に行うことができず、破損するおそれがある。
【0008】
(3)ウエハwには表裏面があり、いずれの面を上にするかは、その後の処理作業に影響する。(a) ウエハwの加工面がどちらの面かで、取り出したウエハwを一旦反転させてから処理をする必要が生じて、作業性が悪い。(b)任意の位置にウエハwを出し入れすることが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、複数の板材を個別に密封する構成の板材保持容器から板材を安全かつ容易に出し入れする方法を提供するものである。
【0010】
第1の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、外部の吸引手段を用いて板材を吸着可能な複数の載置トレイが多段に積層して構成された板材保持容器からの板材の出し入れ方法であって、少なくとも周囲環境に開放された状態で上記載置トレイに載置されている上記板材は全て、上記載置トレイに吸着保持されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、上記板材が上記載置トレイに吸着保持された状態で開放されるため、上記板材を受け渡すときや処理するときにずれるのを防止する。
【0012】
第2の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材をその両側から挟持して保持する2つの載置トレイの把持部を一体的に把持する把持工程と、上記処理対象板材を挟持した2つの載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離して上記板材を挟持した2つの載置トレイを他の載置トレイから分離する分離工程とを備え、分離した2つの載置トレイで上記板材を挟持して上記機械装置の処理部まで搬送することを特徴とする。
【0013】
上記構成により、2つの載置トレイで処理対象板材を挟持した状態で、当該2つの載置トレイを他の載置トレイから分離して、上記機械装置の処理部まで安全に搬送することができる。
【0014】
第3の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、上記第2の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記機械装置の処理部での処理終了後の板材を2つの上記載置トレイで挟持して保持した後、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、処理終了後の板材を2つの載置トレイで挟持した状態で、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させるため、安全にもとの位置まで搬送することができる。
【0016】
第4の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持する把持工程と、上記機械装置の連結管を上記処理対象板材の位置する載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、当該板材を吸着した載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離す切離工程と、切り離した載置トレイを上記機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から、処理対象の板材を容易に取り出して処理することができる。
【0018】
第5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、上記第4の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記載置トレイが結合解除手段を備え、上記載置トレイが複数枚積層されると上記結合解除手段が各載置トレイを隣同士で互いに固定し、固定解除して、任意の位置で各載置トレイを分離することができることを特徴とする。
【0019】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを容易に切り離して処理対象板材を開放する。また、切り離して開放した上記載置トレイを容易に結合して固定する。
【0020】
第6の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4又は5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記処理対象板材を開放した後、板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持する把持工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材把持ハンドで上記板材を把持して出し入れする出入工程とから構成されたことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを切り離して処理対象板材を開放して、上記板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持して取り出す。処理終了後は、板材を上記板材把持ハンドで支持してもとに戻す。
【0022】
第7の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4又は5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイで支持した上記板材を当該処理部に吸着させる処理部吸着工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材を上記処理部に受け渡すと共に当該載置トレイを待機させる受け渡し工程とから構成されたことを特徴とする。
【0023】
上記構成により、上記載置トレイで上記板材を吸着して上記機械装置の処理部に移動させ、上記板材を当該処理部に吸着させ上記載置トレイの吸着を止めて受け渡すため、上記板材は常時吸着された状態で確実に出し入れされる。
【0024】
第8の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4又は5の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記載置トレイを上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いる組込工程とから構成されたことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、上記板材を吸着した上記載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させ、当該載置トレイを上記機械装置の処理部に直接組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いるため、上記板材は常時吸着された状態で確実に出し入れされる。
【0026】
第9の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、第4乃至8のいずれかの発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法において、上記開放工程が、上記載置トレイの載置面に吸着した上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際に、上記載置トレイの吸着を止めた後、上記連結管から気体を導入する気体導入工程をさらに設けたことを特徴とする。
【0027】
上記構成により、上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際には、気体導入工程が上記連結管から気体を上記板材と当該板材を吸着した上記載置面との間に導入して、吸着を瞬時に解消する。
【0028】
第10の発明に係る板材保持容器からの板材出し入れ方法は、板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持すると共に他の載置トレイも把持する把持工程と、当該把持工程で把持した上記処理対象板材の位置する載置トレイと他の載置トレイとを切り離す切離工程と、切り離した各載置トレイを機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程と、上記機械装置の連結管を上記載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、開放された上記載置トレイに板材を載置した後、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、当該吸着工程での吸着後の載置トレイをその上下の載置トレイと結合する結合工程とを備えたことを特徴とする。
【0029】
上記構成により、載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置に処理対象の板材を容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上詳述したように、本発明の板材保持容器からの板材出し入れ方法によれば、次のような効果を奏する。
【0031】
上記板材が上記載置トレイに吸着保持された状態で開放され、上記板材を受け渡すときや処理するときにずれるのを防止するため、上記板材を安全に取り扱うことができる。この結果、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0032】
2つの載置トレイで処理対象板材を挟持した状態で、当該2つの載置トレイを他の載置トレイから分離して、上記機械装置の処理部まで安全に搬送することができるため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0033】
処理終了後の板材を2つの載置トレイで挟持した状態で、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させるため、安全にもとの位置まで搬送することができ、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0034】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から、処理対象の板材を容易に取り出して処理することができるため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0035】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを容易に切り離して処理対象板材を開放することができ、切り離して開放した上記載置トレイを容易に結合して固定することができるため、板材保持容器からの板材の出し入れ作業が容易になり、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0036】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置で上記載置トレイを切り離して処理対象板材を開放して、上記板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持して取り出し、処理終了後は、板材を上記板材把持ハンドで支持してもとに戻すため、上記板材保持容器の任意の位置から処理対象板材を容易に取り出して処理することができ、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0037】
上記載置トレイで上記板材を吸着して上記機械装置の処理部に移動させ、上記板材を当該処理部に吸着させ上記載置トレイの吸着を止めて受け渡して、上記板材を常時吸着された状態で確実に出し入れするため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、上記載置トレイと上記機械装置の処理部との間での上記板材把持ハンドによる受け渡し工程を省略して、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0038】
上記板材を吸着した上記載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させ、当該載置トレイを上記機械装置の処理部に直接組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いて、上記板材は常時吸着された状態で出し入れするため、上記板材の搬送時の安全を保った状態で、上記載置トレイと上記機械装置の処理部との間の受け渡し工程を全て省略して、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0039】
上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際には、気体導入工程が上記連結管から気体を上記板材と当該板材を吸着した上記載置面との間に導入して、吸着を瞬時に解消するため、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0040】
載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置に処理対象の板材を容易に挿入することができるため、処理作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明で用いる板材保持容器は、半導体ウエハ、磁気記録媒体ディスク、ガラス基板、水晶板等の電子デバイス用の板材や、薄板、厚板、その他の各種の板材を収納して、搬送、保管、処理工程(製造ライン等)における使用に供するための容器である。特に、極薄の板材の収納、搬送等に使用して好適な容器である。本実施形態では、極薄の半導体ウエハを収納する板材保持容器を例に説明する。なお、極薄の半導体ウエハの場合はその寸法の大小に係わらず破損しやすいため、全ての寸法の半導体ウエハに適用し得る。また、極薄でなくても、破損しやすい半導体ウエハ等にも適用し得る。
【0042】
[第1実施形態の方法を実施するための板材保持容器]
板材保持容器11は、図2、3に示すように主に、複数枚の載置トレイ12と、各載置トレイ12の間を互いに結合し、結合解除する結合解除手段13とから構成されている。
【0043】
載置トレイ12は、半導体ウエハWを収納支持するためのトレイである。載置トレイ12は、平板状の部材であり、第1搭載部14(19)と、第2搭載部15(20)と、把持部16と、上記結合解除手段13とを備えて構成されている。
【0044】
第1搭載部14は、半導体ウエハWを搭載するための部分である。第1搭載部14は、載置トレイ12の上側面に形成されている。さらに、第1搭載部14は、半導体ウエハWの大きさに合わせて形成されている。第1搭載部14は、半導体ウエハWの形状に合わせて形成されている。半導体ウエハWは円形であるため、第1搭載部14は、それに合わせて円形に形成されている。
【0045】
第1搭載部14の外周縁にはシール受け溝17が設けられている。このシール受け溝17は、シール18を保持する溝である。シール受け溝17は、第1搭載部14の外周縁に円環状に形成されている。この第1搭載部14と第2搭載部15とシール18とで収納空間が構成されている。シール18は、シール受け溝17に嵌合された状態で、2つの載置トレイ12が積層されて各載置トレイ12が互いに結合されたときにできる収納空間を囲繞するように設けられ、この収納空間を外部環境から隔離して気密に保つようになっている。この収納空間は、少なくとも1枚の半導体ウエハWを収納できる大きさに設定されている。
【0046】
第2搭載部15は、載置トレイ12の上下を逆にした際に半導体ウエハWを載置して支持するための部分である。さらに、この第2搭載部15は、他の載置トレイ12の第1搭載部14に対向して外部環境と隔離した上記収納空間を形成すると共に、当該収納空間内で半導体ウエハWを挟み持って支持する。第2搭載部15は、第1搭載部14と同じ寸法に形成され、第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWを、その上側から覆ってできる上記収納空間内に収納して支持する。
【0047】
第1搭載部14の表面には、第一ウエハ支持体19が設けられている。第一ウエハ支持体19は、第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWを支持するための部材である。第一ウエハ支持体19は、半導体ウエハWと最小面積で接触するように網目状にまたは表面に面内通気性のある凹凸が一様に形成されている。この第一ウエハ支持体19は、半導体ウエハWの全面を均等に支持する。この結果、第一ウエハ支持体19は、半導体ウエハWに最小面積で接触し、半導体ウエハWの全面を均等に支持して、第1搭載部14との間で極薄の半導体ウエハWを確実に支持する。
【0048】
第一ウエハ支持体19は、連通用切り欠き(図示せず)が設けられたり、通気性を有する多孔質材料で構成されたりする。通気性を有する多孔質材料としては、多孔性高分子材料(発泡高分子材料等)、多孔性セラミック材料、多孔性燒結金属材料等を用いることができる。このような構成の第一ウエハ支持体19によって、半導体ウエハWの支持面を一様な力で支持することができると同時に、後述する第1吸気孔から吸引することで、半導体ウエハWを均一な吸引力で安定して吸着することができる。そして、このようにすることによって、半導体ウエハWの吸着による変形を最小に抑えることができるために、極薄半導体ウエハWを吸着する場合においてもそれを破損することなく保持することができるようになった。これにより、第一ウエハ支持体19で仕切られる全ての空間内の空気を後述する第一吸気孔23から吸引することで、第一ウエハ支持体19で仕切られる全空間内の空気を吸引して、半導体ウエハWを第一ウエハ支持体19側に吸着するようになっている。
【0049】
第2搭載部15の表面には第二ウエハ支持体20が設けられている。第二ウエハ支持体20は、第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWをその上側面から押圧して支持するための部材である。第二ウエハ支持体20は、半導体ウエハWと最小面積で接触するように網目状に形成されている。網目状の第二ウエハ支持体20は、半導体ウエハWの全面を均等に支持する。この結果、第二ウエハ支持体20は、半導体ウエハWに最小面積で接触し、半導体ウエハWの全面を均等に支持して、第1搭載部14の第一ウエハ支持体19との間で極薄の半導体ウエハWを挟んで確実に支持する。
【0050】
第二ウエハ支持体20は、第一ウエハ支持体19と同様に、連通用切り欠き(図示せず)が設けたり、通気性を有する多孔質材で構成されたりする。これにより、網目状の第二ウエハ支持体20と半導体ウエハWとで仕切られる複数の空間を互いに連通する。これにより、第二ウエハ支持体20で仕切られる1つの空間内の空気を後述する第二吸気孔24から吸引することで、第二ウエハ支持体20で仕切られる全空間内の空気を吸引して、半導体ウエハWを第二ウエハ支持体20側に吸着するようになっている。
【0051】
第2搭載部15の外周縁にはシール受け溝21が設けられている。このシール受け溝21は、第1搭載部14側のシール受け溝17に保持されたシール18が密着して上記収納空間内の気密性を向上させるための部分である。
【0052】
載置トレイ12内には、第一吸気孔23と、第二吸気孔24とが設けられている。第一吸気孔23は、載置トレイ12の第1搭載部14側と外部環境とを連通するように設けられている。第二吸気孔24は、載置トレイ12の第2搭載部15側と外部環境とを連通するように設けられている。
【0053】
第一吸気孔23又は第二吸気孔24から収納空間内を吸引する場合は、吸引装置(図示せず)が設けられる。この吸引装置の連結管(図示せず)が第一吸気孔23又は第二吸気孔24に取り付けられて、半導体ウエハWと第一または第二ウエハ支持体19、20とで形成される空間内の空気が吸引される。
【0054】
結合解除手段13は、各載置トレイ12の間を互いに結合し、結合解除するための部材である。結合解除手段13は、各載置トレイ12の間に設けられ、各載置トレイ12が積層されて互いに押し付けることで隣り合う載置トレイ12を互いに結合するようになっている。さらに、結合解除手段13は、外部から操作キー(図示せず)を挿入して固定解除できるようになっている。
【0055】
これにより、結合解除手段13は、各載置トレイ12が積層されると、各載置トレイ12の間を互いに固定して一体となって板材保持容器11を構成する。さらに、操作キーを任意の位置に挿入して結合解除手段13を固定解除することにより、積層した各載置トレイ12を任意の位置で分離し、再び結合できるようになっている。
【0056】
把持部16は、外部の機械装置側のスライドアームが嵌合して把持するための部分である。把持部16は、載置トレイ12の対向する側面(図2中の左右側面)に、それぞれ設けられている。
【0057】
[板材保持容器からの板材出し入れ方法]
次に、本発明の第1実施形態に係る、板材保持容器からの板材出し入れ方法について上記構成の板材保持容器11を用いて説明する。
【0058】
本実施形態の板材出し入れ方法は、半導体ウエハWが1枚又は数枚載置される載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置から半導体ウエハWを出し入れする方法である。この板材出し入れ方法は、図1に示すように、載置工程101と、把持工程102と、取付工程103と、吸着工程104と、切離工程105と、開放工程106と、ウエハ把持工程107と、出入工程108とから構成されている。
【0059】
これらの工程が行われる前に前工程が行われる。この前工程では、機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持すると共に他の載置トレイ12も把持する把持工程と、当該把持工程で把持した上記処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12と他の載置トレイ12とを切り離す切離工程と、この切離工程で切り離した各載置トレイ12を機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象の半導体ウエハWの出し入れのために開放する開放工程と、上記機械装置の連結管を上記載置トレイ12の吸気孔に取り付ける取付工程と、開放された上記載置トレイ12に半導体ウエハWを載置した後、上記連結管を介して上記載置トレイ12の載置面を吸引して上記半導体ウエハWを当該載置面に吸着する吸着工程と、当該吸着工程での吸着後の載置トレイ12をその上下の載置トレイ12と結合する結合工程とを行って、半導体ウエハWを板材保持容器11に挿入する。そして、結合後に吸着を解除する。
【0060】
また、必要に応じて、装置全体を制御する制御部に上記各載置トレイ12の情報を記録する。
【0061】
上記前工程によって、上側の載置トレイ12の第2搭載部15と、下側の載置トレイ12の上記第1搭載部14と、シール18とによって収納空間が形成され、半導体ウエハWはこの収納空間に搭載されて、外部環境と遮断される。さらに、半導体ウエハWは、第2搭載部15に形成または取り付けられた第2ウエハ支持体20で押圧されて、この第2ウエハ支持体20と第1ウエハ支持体19とで、挟んで確実に支持される。
【0062】
この各載置トレイ12が多段に積層された状態で、各載置トレイ12を互いに押し付ける。これにより、各載置トレイ12の第1搭載部14に搭載された半導体ウエハWは、上側の載置トレイ12の第2搭載部15と、上記第1搭載部14と、シール18とによって収納空間が形成されて、外部環境と遮断される。さらに、各半導体ウエハWは、第2搭載部15の第二ウエハ支持体20で押圧されて、この第二ウエハ支持体20と第一ウエハ支持体19とで、挟んで確実に支持される。
【0063】
これにより、結合解除手段13で全ての載置トレイ12が結合されて板材保持容器11が構成される。
【0064】
1つの板材保持容器11を構成したら、その板材保持容器11を搬送する。次の搬送に供される半導体ウエハWの枚数が前回の板材保持容器11よりも少ない場合又は多い場合には、それに応じて載置トレイ12の枚数を調整して対応する。
【0065】
次いで、載置工程101を行う。この載置工程101は、板材保持容器11を処理装置に載置する工程である。
【0066】
板材保持容器11は、その内部に搭載した半導体ウエハWの処理内容に応じた場所に搬送される。この板材保持容器11は、搬送されてきた後、機械装置の載置台に載置される。この機械装置への載置方法としては、例えばSEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)が定める標準に従った方法を用いることができる。その他、各機械装置に応じた載置方法で行われる。
【0067】
次に、把持工程102を行う。この把持工程102は、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持する工程である。ここで、処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12とは、処理対象となっている半導体ウエハWの位置する載置トレイ12のことである。載置トレイ12の両側に半導体ウエハWが位置するものの場合は、開放された後に半導体ウエハWを支持している載置トレイ12のことで、例えば、図4の場合は半導体ウエハWの下側の載置トレイ12のことである。図5の場合は半導体ウエハWの上側の載置トレイ12のことである。また、2つの載置トレイ12で半導体ウエハWを挟持した状態(図4(A)の状態)で切り離す場合は、半導体ウエハWの上下の2つの載置トレイ12のことである。
【0068】
次に、取付工程103を行う。この取付工程103は、上記機械装置の連結管(図示せず)を載置トレイ12の第一吸気孔23又は第二吸気孔24のいずれか一方又は両方に取り付ける工程である。上記連結管は、半導体ウエハWを吸着する面に応じて第一吸気孔23又は第二吸気孔24を選択して取り付ける。即ち、載置トレイ12の第1搭載部14側に半導体ウエハWを吸着するか、第2搭載部15側に半導体ウエハWを吸着するか、両方に半導体ウエハWを吸着するかに応じて、連結管を、第一吸気孔23又は第二吸気孔24の一方又は両方に取り付ける。
【0069】
次に、吸着工程104を行う。この吸着工程104は、上記連結管を介して外部機械装置に設けられた吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14又は第2搭載部15側のいずれか一方又は両方を適宜吸引して半導体ウエハWを吸着する工程である。
【0070】
次に、切離工程105を行う。この切離工程105は、上記処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12の位置で、多段に積層された各載置トレイ12を切り離す工程である。半導体ウエハWが載置トレイ12の第1搭載部14又は第2搭載部15のいずれか一方の面に吸着されて支持される場合は、この半導体ウエハWを支持した1つの載置トレイ12と、その上下の各載置トレイ12とを切り離す。半導体ウエハWが2つの載置トレイ12の第1搭載部14と第2搭載部15とで挟持して支持される場合は、この半導体ウエハWを挟む2つの載置トレイ12と、その上下の各載置トレイ12とを切り離す。
【0071】
この切り離し作業は、操作キーを、上記載置トレイ12の位置に移動して挿入し、結合解除手段13の固定を解除して、載置トレイ12を切り離す。
【0072】
次いで、開放工程106を行う。この開放工程106は、処理対象の半導体ウエハWを開放する工程である。具体的には、切り離した載置トレイ12を上記機械装置の保持機構(図示せず)で支持して分離し、処理対象の半導体ウエハWを開放する。
【0073】
次いで、ウエハ把持工程107を行う。このウエハ把持工程107は、外部の機械装置側の板材把持ハンドを挿入して半導体ウエハWを把持する工程である。具体的には、板材把持ハンドで半導体ウエハWの表面を吸着する工程である。
【0074】
次いで、出入工程108を行う。この出入工程108は、載置トレイ12の吸着を止めて上記板材把持ハンドで半導体ウエハWを把持して出し入れする工程である。この出入工程108で、半導体ウエハWを把持して取り出して処理し、その処理終了後に半導体ウエハWを元の位置に戻す。
【0075】
この場合、上記載置トレイ12の吸着を止めた後、上記連結管から気体を導入する気体導入工程を適宜設ける。特に、上記板材把持ハンドで半導体ウエハWを把持して取り出す作業を迅速に行いたい場合は、上記気体導入工程を設けて、載置トレイ12の面での半導体ウエハWの吸着を瞬時に解消させる。
【0076】
以上により、半導体ウエハWの処理作業が終了する。他の位置の半導体ウエハWを処理する場合は、上記各工程を繰り返す。
【0077】
半導体ウエハWの反対面を処理する場合は、板材保持容器11を反転させてから機械装置に載置し、上記処理を行う。
【0078】
次に、上記各工程を用いた具体的な例を説明する。
【0079】
第1搭載部14側に半導体ウエハWを吸着する例を図4に基づいて説明する。なお、ここでは説明をわかりやすくするために、各載置トレイ12を簡略的に、半導体ウエハWを肉厚に記載している。また、図4では説明を簡単にするために、複数の載置トレイ12を多段に積層した板材保持容器11のうち、上下2つの載置トレイ12のみを記載している。
【0080】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図4(A)中の下側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0081】
次いで、図4(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して外部の吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14又は第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0082】
次に、図4(B)のように、切離工程105で、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。これにより、半導体ウエハWは下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側にのみ吸着された状態になる。
【0083】
次いで、開放工程106で、処理対象の半導体ウエハWを吸着して支持した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。上側の載置トレイ12Bを搬送ハンドで把持して上昇させ、下側の載置トレイ12Bを搬送ハンドで把持して下降させ(下側の載置トレイ12Bを下降できない場合は、処理対象の半導体ウエハWを吸着して支持した載置トレイ12Aを上昇させ)、処理対象の半導体ウエハWを気密状態から開放する。
【0084】
次いで、図4(C)のように、ウエハ把持工程107で、外部の機械装置側の板材把持ハンドHを挿入して半導体ウエハWの表面を吸着等によって把持し、出入工程108で、下側の載置トレイ12Aの吸着を止めて板材把持ハンドHで半導体ウエハWを把持して取り出す。
【0085】
具体的には、下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側に吸着された半導体ウエハWに板材把持ハンドHが吸着した後、第1搭載部14側の負圧を解除し、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを持ち上げて外部に持ち出す。
【0086】
なお、気体導入工程が有る場合は、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを把持した後、気体導入工程で気体(空気や乾燥窒素)を導入して載置トレイ12側での半導体ウエハWの吸着を瞬時に解消して、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを持ち上げる。気体導入工程は、半導体ウエハWが第1搭載部14等にくっついて離れづらい場合に特に有効である。
【0087】
次いで、処理終了後に半導体ウエハWを次の位置に移動させる。板材把持ハンドHで処理終了後の半導体ウエハWを把持して載置トレイ12A側に戻し、この載置トレイ12Aで半導体ウエハWを吸着支持して移動させる。移動先は、元の位置や、次の処理工程等の、あらまじめ設定された位置である。
【0088】
図5は、板材把持ハンドHで半導体ウエハWをその下側面から把持して取り出す例である。
【0089】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図5(A)中の上側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0090】
次いで、図5(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して外部の吸引装置で吸気孔24を介して半導体ウエハWの上面を吸引して固定する。
【0091】
次に、図5(B)のように、切離工程105で、吸気孔24を介して半導体ウエハWの上面を吸引して固定した載置トレイ12Aとその上下の載置トレイ12Bとを切り離す。これにより、半導体ウエハWはその上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側にのみ吸着された状態になる。
【0092】
次いで、開放工程106で、上側の載置トレイ12Aを上昇させて、処理対象の半導体ウエハWを密閉から開放する。
【0093】
次いで、図5(C)のように、ウエハ把持工程107で、機械装置側の板材把持ハンドHを挿入して半導体ウエハWの表面を吸着・把持し、出入工程108で、載置トレイ12の吸着を止めて板材把持ハンドHで半導体ウエハWを把持して取り出す。取り出された半導体ウエハWには処理作業が施される。
【0094】
次いで、処理終了後に半導体ウエハWを次の位置に移動させる。板材把持ハンドHで処理終了後の半導体ウエハWを把持して載置トレイ12A側に戻し、この載置トレイ12Aで半導体ウエハWを吸着支持して移動させる。移動先は、元の位置や、次の処理工程等の、あらまじめ設定された位置である。
【0095】
なお、上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側の負圧と下側の載置トレイ12Bの第1搭載部14側の負圧とを同時に解除してしまうと、図6のように、半導体ウエハWが反ってしまうおそれがある。特に片面に素子が形成されている極薄ウエハの場合は、各々の面における面内応力が異なっているため、反りやすくなる。このため、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを吸着した後に、第1搭載部14側又は第2搭載部15側の負圧を解除して、半導体ウエハWが常時いずれかに吸着されている状態を保つようにする。このことによって、外部から与えられる機械力(振動や衝撃)に対しても、半導体ウエハWが安定して保持されるために、半導体ウエハWの処理をより確実に実行することができる。
【0096】
[効果]
上記半導体ウエハWが上記載置トレイ12に吸着されて持された状態で開放され、上記半導体ウエハWを受け渡すとき等に載置トレイ12の載置面でずれるのを防止するため、上記半導体ウエハWを安全に取り扱うことができる。この結果、上記半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0097】
載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置で上記載置トレイ12を切り離して処理対象の半導体ウエハWを開放して、当該処理対象の半導体ウエハWを取り出して処理するため、処理対象の半導体ウエハWが収納された載置トレイ12を容易に切り離して、当該半導体ウエハWを容易に取り出することができる。これにより、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。即ち、載置トレイ12の第1搭載部14及び第2搭載部15で両側面の内、取り扱いに便利な面を選択して半導体ウエハWに当接して吸着して支持することで、半導体ウエハWの搬送時の安全性を保った状態で、上記各工程により、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0098】
また、変形しやすい半導体ウエハWを常に平坦に維持した状態で取り扱得ことができ、安全性が向上する。これにより(a)把持ハンド等が半導体ウエハWの端部に当たるなどによる損傷を防ぐことができる。(b)半導体ウエハWは平坦な状態と変形状態とを繰り返すことがないので、半導体ウエハWの端部の磨耗損傷を防ぐことができる。(c)処理装置による取り扱いを容易にすることができる。
【0099】
半導体ウエハWを載置トレイ12で吸着して又は2つの載置トレイ12で挟持して固定保持した状態で取り扱うことができる。これにより(a) 載置トレイ12を分離したときに、半導体ウエハWの上面に減圧状態が出現しても、半導体ウエハWが飛び出して破損することを防ぐことができる。(b)機械的振動等が発生しても、半導体ウエハWは載置トレイ12に確実に支持されて半導体ウエハWの位置が正確に特定できるため、把持ハンドによる半導体ウエハWの把持を正確に行うことができる。
【0100】
半導体ウエハWのどちらの面をも吸着可能とすることができる。これにより(a) 半導体ウエハWの加工面がどちらの面であっても、容易に処理できる。(b) 板材保持容器11の任意の位置から半導体ウエハWを出し入れすることできる。
【0101】
また、上記組立工程で、処理対象の半導体ウエハWとそれと同数の載置トレイ12を用意して、各半導体ウエハWを各載置トレイ12にそれぞれ載置した後、各載置トレイ12を積み重ねて、全ての載置トレイ12を互いに結合して板材保持容器11を組み立てるため、処理対象の半導体ウエハWの枚数に合わせて自由自在に板材保持容器11を組み立てることができる。この結果、板材保持容器11の大きさで規定された収納枚数に合わせる必要がなくなり、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0102】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態で用いた板材保持容器11を用いて説明する。
【0103】
本実施形態に係る板材保持容器11からの板材出し入れ方法は、半導体ウエハWが1枚又は数枚載置される載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置から上記半導体ウエハWを出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法である。
【0104】
本実施形態の板材出し入れ方法は、図7に示すように、板材保持容器11を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置の搬送ハンドで板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持する把持工程102と、上記機械装置の連結管を上記処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の吸気孔に取り付ける取付工程103と、上記連結管を介して上記載置トレイ12の第1搭載部14または第2搭載部15の一方又は両方を吸引して上記半導体ウエハWを吸着する吸着工程104と、半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12の位置で、多段に積層された各載置トレイ12を切り離す切離工程105と、切り離した載置トレイ12を上記機械装置の板材把持ハンドHで支持して分離し処理対象の半導体ウエハWを開放する開放工程106とを備えた点で、上記第1実施態様と同様である。
【0105】
そして、本実施形態では、以下に示す移動工程111と、処理部吸着工程112と、受け渡し工程113とを備えた点に特徴がある。
【0106】
移動工程111は、載置トレイ12に半導体ウエハWを吸着した状態で、当該載置トレイ12を上記機械装置の処理部に移動させる工程である。即ち、板材保持容器11のうち、処理対象の半導体ウエハWを支持した載置トレイ12を他の載置トレイ12から切り離して単体の搬送用のトイレとして使用する工程である。切り離された載置トレイ12は、半導体ウエハWを吸着して支持した状態で、上記機械装置の処理部まで移動される。
【0107】
処理部吸着工程112は、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイ12で支持した上記半導体ウエハWを当該処理部に吸着させる工程である。半導体ウエハWは、上記載置トレイ12で吸着支持されたままで、上記機械装置の処理部に吸着される。
【0108】
受け渡し工程113は、上記載置トレイ12の吸着を止めて上記半導体ウエハWを受け渡すと共に当該載置トレイを待機させる工程である。この受け渡し工程113では、載置トレイ12は半導体ウエハWを受け渡した後、待機する。この待機の態様としては、その場での待機と、もとの位置での待機とがあり得る。即ち、半導体ウエハWを処理部に受け渡した後、載置トレイ12をその位置で待機させて、処理作業の終了後に半導体ウエハWを載置トレイ12で受け取ってから当該載置トレイ12をもとの位置に戻してもよい。また、半導体ウエハWを処理部に受け渡した後、載置トレイ12をもとの位置に戻して待機させ、処理作業の終了後に再び載置トレイ12を処理部まで移動させて、半導体ウエハWを当該載置トレイ12で受け取ってから当該載置トレイ12をもとの位置に戻してもよい。
【0109】
次に、上記各工程を用いた具体的な例を図8に基づいて説明する。なおここでは、板材保持容器11を構成する3つの載置トレイ12を記載して説明する。また、第1実施形態と同様に、予め前工程が行われている。
【0110】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図8(A)中の上側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0111】
次いで、図8(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して外部の吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14及び第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0112】
次に、図8(B)のように、切離工程105で、処理対象の半導体ウエハWを上下から把持した2つの載置トレイ12Aの上下の載置トレイ12Bを解除して、多段に積層された各載置トレイ12Bを切り離す。これにより、半導体ウエハWは上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側にのみ吸着された状態になる。
【0113】
次いで、開放工程106で、上側の載置トレイ12Aを上昇させて、処理対象の半導体ウエハWを開放する。
【0114】
次いで、図8(C)に示すように、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを順次切り離していく。即ち、上記連結管を介して外部の吸引装置で載置トレイ12Aの第1搭載部14及び第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの上側の載置トレイ12の第2搭載部15側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持し、その半導体ウエハWの下側の載置トレイ12を順次切り離していく。
【0115】
次に、図8(D)のように、移動工程111で、載置トレイ12Aの第2搭載部15側に半導体ウエハWを吸着した状態で、当該載置トレイ12Aを上記機械装置の処理部に移動させる。即ち、板材保持容器11のうち、処理対象の半導体ウエハWを支持した載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから切り離して単体の搬送用のトイレとして使用する。そして、切り離された載置トレイ12Aは、半導体ウエハWを吸着して支持した状態で、上記機械装置の処理部まで移動される。
【0116】
次に、図8(E)のように、処理部吸着工程112で、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイ12Aで支持した上記半導体ウエハWを当該処理部に吸着させる。即ち、載置トレイ12Aで支持された半導体ウエハWを上記機械装置の処理部側に載置する。このとき、半導体ウエハWは、上記載置トレイ12Aで吸着支持されたままで、上記機械装置の処理部に吸着される。
【0117】
次に、図8(F)のように、受け渡し工程113で、上記載置トレイ12Aの吸着を止めて上記半導体ウエハWを機械装置の処理部に受け渡す。次いで、処理部が半導体ウエハWを処理する。このとき、載置トレイ12Aは、上記処理部の近傍に待機して、処理作業が終了した半導体ウエハWを受け取ってからもとの位置に戻される。または、半導体ウエハWを受け渡した後、載置トレイ12Aをもとの位置に戻して待機させ、処理作業の終了後に載置トレイ12Aを上記処理部まで移動させてこの載置トレイ12Aで半導体ウエハWを受け取ってから当該載置トレイ12Aをもとの位置に戻す。
【0118】
[効果]
上記板材出し入れ方法により、板材保持容器11の多段に積層された載置トレイ12のうちの任意の1つを、他の載置トレイ12から切り離して、当該載置トレイ12で半導体ウエハWを支持させたままで、この半導体ウエハWを上記機械装置の処理部まで移動させて当該処理部に受け渡すため、上記載置トレイと上記機械装置の処理部との間の工程を簡略化することができる。この結果、板材把持ハンドHで半導体ウエハWを吸着して支持することがなくなるため、搬送時の半導体ウエハWの破損のおそれを最小限に低減させることができる。
【0119】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態で用いた板材保持容器11を用いて説明する。
【0120】
本実施形態に係る板材保持容器11からの板材出し入れ方法は、半導体ウエハWが1枚又は数枚載置される載置トレイ12を多段に積層して構成された板材保持容器11の任意の位置から上記半導体ウエハWを出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法である。
【0121】
本実施形態の板材出し入れ方法は、図9に示すように、板材保持容器11を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置の搬送ハンドで板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の把持部16を把持する把持工程102と、上記機械装置の連結管を上記処理対象の半導体ウエハWの位置する載置トレイ12の吸気孔に取り付ける取付工程103と、上記連結管を介して上記載置トレイ12の第1搭載部14または第2搭載部15のいずれか一方又は両方を吸引して上記半導体ウエハWを吸着する吸着工程104と、半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12の位置で、多段に積層された各載置トレイ12を切り離す切離工程105と、切り離した載置トレイ12を上記機械装置の搬送ハンドで支持して分離し処理対象の半導体ウエハWを開放する開放工程106とを備えた点で、上記第1実施態様と同様である。
【0122】
そして、本実施形態では、移動工程111と、組込工程116とを備えた点に特徴がある。
【0123】
移動工程111は、上記第2実施形態の移動工程111と同様であり、上記載置トレイ12に半導体ウエハWを吸着した状態で当該載置トレイ12を上記機械装置の処理部に移動させる工程である。載置トレイ12は、半導体ウエハWを吸着して支持したまま、板材保持容器11の他の載置トレイ12から切り離されて、上記機械装置の処理部に移動される。
【0124】
組込工程116は、上記載置トレイ12を上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象の半導体ウエハWの支持台として用いる工程である。即ち、板材保持容器11を構成する載置トレイ12を他の載置トレイ12から分離してその載置トレイ12ごと半導体ウエハWを処理部に移動させて、その載置トレイ12ごと処理装置に組み込んで、半導体ウエハWの支持台として用いる工程である。
【0125】
これにより、載置トレイ12を、ダイシングマシンのハンドリング装置として使用したり、カッティング装置や切削装置等に装着して使用したりする。
【0126】
次に、上記各工程を用いた具体的な例を図10に基づいて説明する。なおここでは、板材保持容器11を構成する3つの載置トレイ12を記載して説明する。また、第1実施形態と同様に、予め前工程が行われている。
【0127】
まず、載置工程101で、板材保持容器11が機械装置に載置される。次いで、把持工程102で、各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12A(処理対象の半導体ウエハWを第1搭載部14で吸着している場合は下側の載置トレイ12、第2搭載部15で吸着している場合は上側の載置トレイ12となる。ここでは図10(A)中の下側の載置トレイ12が処理対象の半導体ウエハWを把持した載置トレイ12Aとなる。)の把持部16を把持する。
【0128】
次いで、図10(A)のように、吸着工程104で、上記連結管を介して機械装置に設けられた吸引装置で載置トレイ12の第1搭載部14及び第2搭載部15のうち半導体ウエハWを吸着して支持する側(ここでは半導体ウエハWの下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側)を吸引して半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0129】
次に、図10(B)のように、切離工程105で、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。これにより、半導体ウエハWは下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側(図10(A)においては3つの載置トレイ12の内、中央の載置トレイ12Aの第1搭載部14側、および最下部の載置トレイ12Aの第1搭載部14側)にのみ吸着された状態になる。
【0130】
次いで、開放工程106で、処理対象の半導体ウエハWを吸着して支持した載置トレイ12Aを支持した状態で、その上下の載置トレイ12Bを切り離す。図10(B)においては最上部の載置トレイ12Bを搬送ハンドで把持して上昇させ、下側の載置トレイ12Aを搬送ハンドで把持して下降させ(下側の載置トレイ12Aを下降できない場合は、中央の載置トレイ12Aを上昇させ)、処理対象の半導体ウエハWを気密状態から開放する。
【0131】
次いで、図10(C)に示すように、処理対象の半導体ウエハWを吸着した載置トレイ12Aを順次切り離す。即ち、図10(A)における最下部の載置トレイ12Aから順次切り離す。
【0132】
次に、図10(D)のように、移動工程111で、上記載置トレイ12Aに半導体ウエハWを吸着した状態で当該載置トレイ12Aを上記機械装置の処理部に移動させる。即ち、載置トレイ12Aは、半導体ウエハWを吸着して支持したまま、板材保持容器11の他の載置トレイ12Bから切り離されて、上記機械装置の処理部に移動される。
【0133】
次に、図10(E)のように、組込工程116で、上記載置トレイ12Aを上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象の半導体ウエハWの支持台として用いる。即ち、板材保持容器11を構成する載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから分離してその載置トレイ12Aごと半導体ウエハWを処理部に移動させて、その載置トレイ12ごと処理装置の取り付け部Tに取り付けて、半導体ウエハWの支持台として用いる。
【0134】
次いで、処理部が半導体ウエハWを処理する。処理作業の終了後は、載置トレイ12を処理装置の取り付け部Tから取り出して、次の位置に移動させる。移動先は、元の位置や、次の処理工程等の、あらまじめ設定された位置である。
【0135】
以上のように、載置トレイ12は、板材保持容器11の一部として当該板材保持容器11に組み込まれる際に半導体ウエハWを載置した後は、半導体ウエハWを他の装置等へ受け渡すことがなくなる。これにより、上記載置トレイ12の半導体ウエハWを他の搬送装置で把持して載置トレイ12から取り出して上記機械装置の処理部に受け渡す工程を省略して、処理作業の作業性を向上させることができる。さらに、半導体ウエハWを受け渡す工程を簡略化できるため、極薄の半導体ウエハWの場合でも、上記処理部での処理を安全に行うことができる。
【0136】
[変形例]
上記各実施形態では、1枚の半導体ウエハWを1つの載置トレイ12に載置した状態で取り扱うようにしたが、1枚の半導体ウエハWをその両側の2つの載置トレイ12で挟持して保持した状態(図4(A)、図5(A)の状態)で取り扱うようにしても良い。
【0137】
この場合、上記板材保持容器11を機械装置に載置する載置工程101と、上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器11の多段に積層された各載置トレイ12のうち処理対象の半導体ウエハWをその両側から挟持して保持する2つの載置トレイ12Aの把持部16を一体的に把持する把持工程102との後に、分離工程を備える。
【0138】
具体的には、図11(A)に示すように、載置工程101で板材保持容器11を機械装置に載置された後、把持工程102で処理対象の半導体ウエハWをその両側から挟持して保持する2つの載置トレイ12A(図11(A)中の真ん中の2つの載置トレイ12A)の把持部16を一体的に把持する。この2つの載置トレイ12Aの上下の載置トレイ12Bは、その下側面及び上側面でそれぞれ処理対象でない半導体ウエハWを吸着して支持する。
【0139】
次いで、分離工程で各載置トレイ12A、12Bを分離する。この分離工程では、図11(B)に示すように、処理対象の半導体ウエハWを挟持した2つの載置トレイ12Aの上下位置で、多段に積層された他の載置トレイ12Bを切り離して、上記半導体ウエハWを挟持した2つの載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから分離する。これにより、処理対象の半導体ウエハWは、その両側の2つの載置トレイ12Aで挟持されて保持される。この2つの載置トレイ12Aの上下の半導体ウエハWは、各載置トレイ12Bでそれぞれ支持される。
【0140】
この結果、図11(C)に示すように、処理対象の半導体ウエハWは、2つの載置トレイ12Aで構成された専用容器に入れられたのと同じ状態になり、この2つの載置トレイ12で上記機械装置の処理部まで安全に搬送される。この場合は、2つの載置トレイ12Aで挟持された半導体ウエハWは、吸着しなくてもよい。
【0141】
上記機械装置の処理部では、図11(D)に示すように、下側の載置トレイ12Aの第1搭載部14側を吸引して下側の載置トレイ12Aで半導体ウエハWを支持する。この状態で、上側の載置トレイ12Aを分離して開放し、その後の処理を行う。また、上側の載置トレイ12Aの第2搭載部15側を吸引して上側の載置トレイ12Aで半導体ウエハWを支持し、下側の載置トレイ12Aを分離して開放し、その後の処理を行うようにしてもよい。
【0142】
このように、2つの載置トレイ12で処理対象の半導体ウエハWを挟持した状態で、当該2つの載置トレイ12Aを他の載置トレイ12Bから分離して、上記機械装置の処理部まで安全に搬送することができるため、上記半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化を図ることができる。この結果、半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【0143】
また、機械装置の処理部での処理終了後の半導体ウエハWを2つの上記載置トレイ12Aで挟持して保持した後、当該2つの載置トレイ12Aを他の各載置トレイ12Bの間に戻して、全載置トレイ12を多段に積層させて互いに結合させるようにしても良い。
【0144】
このように、処理終了後の半導体ウエハWを2つの載置トレイ12Aで挟持して確実に保持した状態で、当該2つの載置トレイ12Aを他の各載置トレイ12Bの間に戻して全載置トレイ12を多段に積層させて互いに結合させるため、処理終了後の半導体ウエハWを安全にもとの位置まで搬送することができる。この結果、半導体ウエハWの搬送時の安全を保った状態で、処理作業の効率化および歩留りの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1実施形態に係る板材出し入れ方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1実施形態に係る2つの載置トレイを積層した状態を示す側面断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る複数の載置トレイを積層して構成した板材保持容器を示す側面断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る板材保持容器の第1搭載部側に半導体ウエハを吸着する方式の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る板材保持容器の第2搭載部側に半導体ウエハを吸着する方式の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図6】極薄の半導体ウエハを吸着しない載置トレイに載置したときの状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る板材出し入れ方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る板材保持容器の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る板材出し入れ方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態に係る板材保持容器の板材出し入れ方法を示す模式図である。
【図11】本発明の変形例を示す模式図である。
【図12】本従来の板材出し入れ方法に用いる板材保持容器を示す模式図である。
【符号の説明】
【0146】
11:板材保持容器、12:載置トレイ、13:結合解除手段、14:第1搭載部、15:第2搭載部、16:把持部、17:シール受け溝、18:シール、19:第一ウエハ支持体、20:第二ウエハ支持体、21:シール受け溝、23:第一吸気孔、24:第二吸気孔、T:取り付け部、W:半導体ウエハ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の吸引手段を用いて板材を吸着可能な複数の載置トレイが多段に積層して構成された板材保持容器からの板材の出し入れ方法であって、
少なくとも周囲環境に開放された状態で上記載置トレイに載置されている上記板材は全て、上記載置トレイに吸着保持されていることを特徴とする板材保持容器からの板材の出し入れ方法。
【請求項2】
板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、
上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材をその両側から挟持して保持する2つの載置トレイの把持部を一体的に把持する把持工程と、
上記処理対象板材を挟持した2つの載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離して上記板材を挟持した2つの載置トレイを他の載置トレイから分離する分離工程とを備え、
分離した2つの載置トレイで上記板材を挟持して上記機械装置の処理部まで搬送することを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項3】
請求項2に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記機械装置の処理部での処理終了後の板材を2つの上記載置トレイで挟持して保持した後、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させることを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項4】
板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、
上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持すると共に他の載置トレイも把持する把持工程と、
上記機械装置の連結管を上記処理対象板材の位置する載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、
上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、
当該板材を吸着した載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離す切離工程と、
切り離した載置トレイを上記機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程と
を備えたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項5】
請求項4に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記載置トレイが結合解除手段を備え、
上記載置トレイが複数枚積層されると上記結合解除手段が各載置トレイを隣同士で互いに固定し、固定解除して、任意の位置で各載置トレイを分離することができることを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記処理対象板材を開放した後、板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持する把持工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材把持ハンドで上記板材を把持して出し入れする出入工程とから構成されたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイで支持した上記板材を当該処理部に吸着させる処理部吸着工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材を上記処理部に受け渡すと共に当該載置トレイを待機させる受け渡し工程とから構成されたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記載置トレイを上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いる組込工程とから構成されたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれか1項に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記載置トレイの載置面に吸着した上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際に、上記載置トレイの吸着を止めた後、上記連結管から気体を導入する気体導入工程をさらに設けたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項10】
板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持すると共に他の載置トレイも把持する把持工程と、
当該把持工程で把持した上記処理対象板材の位置する載置トレイと他の載置トレイとを切り離す切離工程と、
切り離した各載置トレイを機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程と、
上記機械装置の連結管を上記載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、
開放された上記載置トレイに板材を載置した後、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、
当該吸着工程での吸着後の載置トレイをその上下の載置トレイと結合する結合工程と
を備えたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項1】
外部の吸引手段を用いて板材を吸着可能な複数の載置トレイが多段に積層して構成された板材保持容器からの板材の出し入れ方法であって、
少なくとも周囲環境に開放された状態で上記載置トレイに載置されている上記板材は全て、上記載置トレイに吸着保持されていることを特徴とする板材保持容器からの板材の出し入れ方法。
【請求項2】
板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、
上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材をその両側から挟持して保持する2つの載置トレイの把持部を一体的に把持する把持工程と、
上記処理対象板材を挟持した2つの載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離して上記板材を挟持した2つの載置トレイを他の載置トレイから分離する分離工程とを備え、
分離した2つの載置トレイで上記板材を挟持して上記機械装置の処理部まで搬送することを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項3】
請求項2に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記機械装置の処理部での処理終了後の板材を2つの上記載置トレイで挟持して保持した後、当該2つの載置トレイを各載置トレイの間に戻して多段に積層させて互いに結合させることを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項4】
板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
上記板材保持容器を機械装置に載置する載置工程と、
上記機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持すると共に他の載置トレイも把持する把持工程と、
上記機械装置の連結管を上記処理対象板材の位置する載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、
上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、
当該板材を吸着した載置トレイの位置で、多段に積層された各載置トレイを切り離す切離工程と、
切り離した載置トレイを上記機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程と
を備えたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項5】
請求項4に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記載置トレイが結合解除手段を備え、
上記載置トレイが複数枚積層されると上記結合解除手段が各載置トレイを隣同士で互いに固定し、固定解除して、任意の位置で各載置トレイを分離することができることを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記処理対象板材を開放した後、板材把持ハンドを挿入して当該処理対象板材を把持する把持工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材把持ハンドで上記板材を把持して出し入れする出入工程とから構成されたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記機械装置の処理部に移動した上記載置トレイで支持した上記板材を当該処理部に吸着させる処理部吸着工程と、上記載置トレイの吸着を止めて上記板材を上記処理部に受け渡すと共に当該載置トレイを待機させる受け渡し工程とから構成されたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記載置トレイに上記板材を吸着した状態で当該載置トレイを上記機械装置の処理部に移動させる移動工程と、上記載置トレイを上記機械装置の処理部に組み込んで上記処理対象板材の支持台として用いる組込工程とから構成されたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれか1項に記載の板材保持容器からの板材出し入れ方法において、
上記開放工程が、上記載置トレイの載置面に吸着した上記板材をその吸着を止めて上記載置面から切り離す際に、上記載置トレイの吸着を止めた後、上記連結管から気体を導入する気体導入工程をさらに設けたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【請求項10】
板材が1枚又は数枚載置される載置トレイを多段に積層して構成された板材保持容器の任意の位置から上記板材を出し入れする、板材保持容器からの板材出し入れ方法であって、
機械装置のスライドアームで、上記板材保持容器の多段に積層された各載置トレイのうち処理対象板材の位置する載置トレイの把持部を把持すると共に他の載置トレイも把持する把持工程と、
当該把持工程で把持した上記処理対象板材の位置する載置トレイと他の載置トレイとを切り離す切離工程と、
切り離した各載置トレイを機械装置のスライドアームで支持して分離し処理対象板材の出し入れのために開放する開放工程と、
上記機械装置の連結管を上記載置トレイの吸気孔に取り付ける取付工程と、
開放された上記載置トレイに板材を載置した後、上記連結管を介して上記載置トレイの載置面を吸引して上記板材を当該載置面に吸着する吸着工程と、
当該吸着工程での吸着後の載置トレイをその上下の載置トレイと結合する結合工程と
を備えたことを特徴とする板材保持容器からの板材出し入れ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−180108(P2007−180108A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374098(P2005−374098)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【出願人】(501114693)株式会社ウインズ (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【出願人】(501114693)株式会社ウインズ (23)
【Fターム(参考)】
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