説明

板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置

【課題】 スケジュール運転において、ワークホルダの段取りがあることを作業者に事前に知らせることができる段取り情報表示装置を提供する。
【解決手段】 ワークホルダ13の移動部材13に対する現在の取付位置を記憶するワールホルダ取付位置記憶手段69を設ける。加工スケジュールSHの加工プログラムを先読みし、記述されたワークホルダ13の取付位置の情報を抽出して、上記記憶手段69の情報と比較し、ワークホルダ取付位置の変更が必要となることを示す情報を生成する段取り情報生成手段48を設ける。その情報を表示情報生成手段71により表示装置47に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機、特に、板材をワークホルダで把持して移動させる形式の板材加工機において、スケジュール運転する場合に、ワークホルダの取付位置の変更の必要が生じることを事前に表示する板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パンチプレス等の板材加工機において、素材板材のテーブル上での送りは、進退移動するクロススライド等の移動部材に取付けられた複数のワークホルダで素材板材の一辺を把持し、前記移動部材を移動させて行うものが一般的である。前記移動部材におけるワークホルダの取付位置は、一般的に可変とされている。これは、素材板材に対する部品板材の板取り形態や、素材板材の寸法等によって、素材板材に対するワークホルダの適切な把持位置が異なるためである。ワークホルダの把持位置の周辺は加工が行えず、またワークホルダの把持位置は加工中の板材の剛性に影響するため、ワークホルダの把持位置を変更することで、変更前では加工不能であった部分の加工が可能になったり、板材送りの剛性向上による加工精度の向上等が図られる。
【0003】
ワークホルダの移動部材に対する取付位置の変更は、一般的には段取り作業の一種として、作業者の手作業により行われる。
複数の加工プログラムを順次実行するスケジュール運転の場合は、各加工プログラムの加工情報を示した帳票を作業者が見て、ワークホルダの取付位置変更の段取りがあることを作業者が判断し、その段取りのある加工プログラムの実行前に板材加工機を止めて段取りを行っている。
【0004】
なお、現在実行する加工プログラムにおいて、ワークホルダの段取りが発生する場合に、画像表示装置に段取り表示を行い、作業者に確認させて運転を開始するものは、特許文献1に提案されている。
また、工具段取りについては、本発明者等は、スケジュール運転の場合にどの加工プログラムでどの工具の段取りが必要となるかの情報を画像で表示するものを先に提案した(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2927512号公報
【特許文献2】特開2007−144456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スケジュール運転において、上記のように従来は、各加工プログラムの加工情報を帳票により作業者が見て、ワークホルダの段取りがあることを判断していたため、適切な段取りが行われるか否かは、作業者の力量によることが大きい。そのため、ワークホルダの段取りを忘れたり、間違えたりし、加工が1枚の素材加工の途中で止まってしまうことがあった。
【0007】
この発明の目的は、スケジュール運転において、ワークホルダの段取りがあることを作業者に事前に知らせることができて、ワークホルダの段取り忘れによる加工停止や加工不具合の発生を回避することのできる板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置を提供することである。
この発明の他の目的は、ワークホルダの段取りと共に、工具段取りの発生を作業者に同時に知らせることを可能とし、作業者による段取りの認識を総合的に行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、ワークホルダの段取りの発生と工具段取りの発生とを一目で認識可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、実機のワークホルダを見て、そのワークホルダの段取りがあることを判るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の構成を実施形態に対応する図1と共に説明する。この板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置は、板材(W)に加工を施す加工ヘッド(Q)と、この加工ヘッド(Q)に対して板材を送る板材送り機構(10)とを備え、前記板材送り機構(10)は、進退駆動される移動部材(12)と、この移動部材(12)に対して取付位置変更可能に取付けられて板材(W)の端部を把持する複数のワークホルダ(13)とを有する板材加工機(101)に適用されるワークホルダ段取り情報表示装置であって、次のワールホルダ取付位置記憶手段(69)、段取り情報生成手段(48)、および表示情報生成手段(71)を備える。
前記ワールホルダ取付位置記憶手段(69)は、前記ワークホルダ(13)の前記移動部材(12)に対する現在の取付位置を記憶する手段である。
前記段取り情報生成手段(48)は、順次実行される複数の加工プログラムからなる加工スケジュール(SH)における実行中の加工プログラム以降の加工プログラムを先読みし、加工プログラムからその加工で必要となるワークホルダ(13)の取付位置の情報を抽出し、その抽出したワークホルダ(13)の取付位置を前記ワールホルダ取付位置記憶手段(69)に記憶されたワークホルダ(13)の取付位置と比較して異なる場合にワークホルダ取付位置の変更の段取りが必要となることを示すワークホルダ段取り情報を生成する手段である。
前記表示情報生成手段(71)は、前記段取り情報生成手段(48)で生成したワークホルダ段取り情報に基づき表示装置(47)への表示用の情報を生成して前記表示装置(47)に表示させる手段である。
【0009】
この構成によると、段取り情報生成手段(48)により、加工スケジュール(SH)の各加工プログラムを先読みし、加工プログラムからワークホルダ(13)の取付位置の情報を抽出する。この抽出したワークホルダ(13)の取付位置を、ワールホルダ取付位置記憶手段(69)に記憶されたワークホルダ(13)の取付位置と比較し、異なる場合にワークホルダ取付位置の変更の段取りが必要となることを示すワークホルダ段取り情報を生成する。表示情報生成手段(71)は、上記のように生成されたワークホルダ段取り情報に基づき、表示装置(47)に表示させる。表示装置(47)は画像を表示するものであっても、単に光源等で構成されるものであっても良い。
このようにスケジュール運転において、ワークホルダ(13)の段取りがあることを、表示装置(47)への表示によって、作業者に事前に知らせることができる。そのため、ワークホルダ(13)の段取り忘れによる加工停止や加工不具合の発生を回避することができる。
【0010】
この発明において、ワークホルダ段取り情報と共に、工具段取り情報を表示するようにしても良い。すなわち、前記加工ヘッド(Q)による加工に用いる工具(7)として板材加工機(101)が現在備える各工具(7)の情報を記憶した搭載工具情報記憶手段(45)を設け、前記段取り情報生成手段(48)は、前記ワークホルダ段取り情報を生成するワークホルダ段取り情報生成部(48a)と、前記加工スケジュール(SH)における実行中の加工プログラム以降の加工プログラムを先読みし、加工プログラムで用いられる工具(7)の情報と前記搭載工具情報記憶手段(45)に記憶された工具(7)の情報とを比較して搭載工具(7)の交換の段取りが必要となることを示す工具段取り情報を生成する工具段取り情報生成部(48b)とを有し、前記表示情報生成手段(71)は、画像を表示する表示装置(47)に表示させるものとし、前記ワークホルダ段取り情報生成部(48a)で生成されたワークホルダ段取り情報に基づき生成したワークホルダ段取り情報表示(83A)と、前記工具段取り情報生成部(48b)で生成された工具段取り情報に基づき生成した工具段取り情報表示(83)とを、前記表示装置(47)の同一の画面に表示するものとする。
このように、表示装置(47)の同一の画面に、ワークホルダ段取り情報表示(83A)と工具段取り情報表示(83)とを表示するため、ワークホルダの段取りと共に、工具段取りの発生を作業者に同時に知らせることができる。そのため、作業者による段取りの認識を総合的に行うことができる。
【0011】
このように表示装置(47)の同一の画面にワークホルダ段取り情報表示(83A)と工具段取り情報表示(83)とを表示する構成とした場合に、前記表示情報生成手段(71)は、前記ワークホルダ段取り情報表示(83A)および前記工具段取り情報表示(83)をそれぞれマークで表示し、かつこれらのマークを前記同一の画面上に一列に並べて表示させるものとしても良い。
ワークホルダ段取り情報表示(83A)および工具段取り情報表示(83)がマークで表示され、しかも同一画面上に一列に並べて表示されるため、ワークホルダ(13)の段取りの発生と工具段取りの発生とを、作業者により一目で認識することができる。
【0012】
この発明において、実施形態に対応する図12に示すように、前記表示装置(47A)が、前記各ワークホルダ(13)に設けられた光源であって、前記表示情報生成手段(71)は、ワークホルダ取付位置の変更の発生するワークホルダ(13)の光源(47A)を点灯または点滅させるものであっても良い。前記光源(47A)は、ランプや発光ダイオードであっても良く、また数字等の表示を可能とした複数の液晶等であっても良い。
この構成の場合、実機のワークホルダ(13)の光源(47A)を見て、そのワークホルダ(13)の段取りがあることが判る。
【発明の効果】
【0013】
この発明の板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置は、板材に加工を施す加工ヘッドと、この加工ヘッドに対して板材を送る板材送り機構とを備え、前記板材送り機構は、進退駆動される移動部材と、この移動部材に対して取付位置変更可能に取付けられて板材の端部を把持する複数のワークホルダとを有する板材加工機に適用されるワークホルダ段取り情報表示装置であって、前記ワークホルダの前記移動部材に対する現在の取付位置を記憶するワールホルダ取付位置記憶手段と、順次実行される複数の加工プログラムからなる加工スケジュールにおける実行中の加工プログラム以降の加工プログラムを先読みし、加工プログラムからその加工で必要となるワークホルダの取付位置の情報を抽出し、その抽出したワークホルダの取付位置を前記ワールホルダ取付位置記憶手段に記憶されたワークホルダの取付位置と比較して異なる場合にワークホルダ取付位置の変更の段取りが必要となることを示すワークホルダ段取り情報を生成する段取り情報生成手段と、この段取り情報生成手段で生成したワークホルダ段取り情報に基づき表示装置への表示用の情報を生成して前記表示装置に表示させる表示情報生成手段とを備えるため、ワークホルダの段取りがあることを作業者に事前に知らせることができて、ワークホルダの段取り忘れによる加工停止や加工不具合の発生を回避することができる。
【0014】
前記加工ヘッドによる加工に用いる工具として板材加工機が現在備える各工具の情報を記憶した搭載工具情報記憶手段を設け、前記段取り情報生成手段は、前記ワークホルダ段取り情報を生成するワークホルダ段取り情報生成部と、前記加工スケジュールにおける実行中の加工プログラム以降の加工プログラムを先読みし、加工プログラムで用いられる工具の情報と前記搭載工具情報記憶手段に記憶された工具の情報とを比較して搭載工具の交換の段取りが必要となることを示す工具段取り情報を生成する工具段取り情報生成部とを有し、前記表示情報生成手段は、画像を表示する表示装置に表示させるものとし、前記ワークホルダ段取り情報生成部で生成されたワークホルダ段取り情報に基づき生成したワークホルダ段取り情報表示と、前記工具段取り情報生成部で生成された工具段取り情報に基づき生成した工具段取り情報表示とを、前記表示装置の同一の画面に表示するものとした場合は、ワークホルダの段取りと共に、工具段取りの発生を作業者に同時に知らせることを可能とし、作業者による段取りの認識を総合的に行うことができる。
この構成の場合に、前記表示情報生成手段を、前記ワークホルダ段取り情報表示および前記工具段取り情報表示をそれぞれマークで表示し、かつこれらのマークを前記同一の画面上に一列に並べて表示させるものとした場合は、ワークホルダの段取りの発生と工具段取りの発生とを、作業者により一目で認識することができる。
【0015】
この発明において、前記表示装置が、前記各ワークホルダに設けられた光源であって、前記表示情報生成手段は、ワークホルダ取付位置の変更の発生するワークホルダの光源を点灯または点滅させるものとした場合は、実機のワークホルダを見て、そのワークホルダの段取りがあることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる板材加工機の段取り情報表示装置の概念構成を示すブロック図である。
【図2】同段取り情報表示装置のガイド表示および装備状況表示の表示状態を示す画面例の説明図である。
【図3】同段取り情報表示装置のガイド表示および段取り情報詳細表示の表示状態を示す画面例の説明図である。
【図4】同段取り情報表示装置の段取りがない場合の画面例の説明図である。
【図5】同段取り情報表示装置のガイド表示およびワークホルダについての段取り情報詳細表示の表示状態を示す画面例の説明図である。
【図6】同工具情報表示装置を適用する板材加工機の一例を示す平面図である。
【図7】その機内工具マガジン、機外工具マガジン、および工具チェンジャーを示す拡大平面図である。
【図8】そのタレット型の工具を示す斜視図である。
【図9】そのワークホルダの取付構造を示す拡大破断側面図である。
【図10】この発明の他の実施形態にかかる板材加工機の工具情報表示装置の概念構成を示すブロック図である。
【図11】その表示装置の画面例の説明図である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態にかかるワークホルダ段取り情報表示装置における表示装置とワークホルダの関係を示す平面図である。
【図13】この発明のさらに他の実施形態にかかるワークホルダ段取り情報表示装置の対象とする板材加工機の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の第1の実施形態を、図1ないし図9と共に説明する。図1は、この実施形態に係る段取り情報表示装置を備えた加工設備の概念構成を示す。この加工設備は、板材加工機101と、この板材加工機101を制御する板材加工機制御装置41と、板材加工機制御装置41に対する操作や板材加工機101に対する直接の操作を行う操作盤46と、管理装置42とを備える。
この実施形態の段取り情報表示装置は、操作盤46の表示装置47の画面に、段取り情報表示80を表示するものである。表示装置47の画面からなる情報表示部47aは、人の指が触れることでその触れた位置の情報が入力可能なタッチパネル(図示せず)で覆われたものとしている。
【0018】
この実施形態は、板材加工機101が次のような構成のパンチプレス1を主とする機械である場合に適用したものである。図6に示すように、板材加工機101は、パンチプレス1と、プリセッター2と、工具チェンジャー3と、ローダ4とを備える。
【0019】
パンチプレス1は、機内工具マガジン5を備え、個別工具8を搭載した複数のタレット型の工具7を、機内工具マガジン5に交換可能に装備するものである。工具チェンジャー3は、パンチプレス1およびプリセッター2にそれぞれ設けられた機内工具マガジン5および機外工具マガジン6の間でタレット型工具7を自動交換する装置である。
【0020】
パンチプレス1は、テーブル9上の板材Wに加工を施す加工ヘッドQと、テーブル9上で板材Wを直交2軸(X軸,Y軸)方向に移動させる板材送り機構10を有し、その移動により、板材Wの加工すべき箇所が、加工ヘッドQによるパンチ位置Pへ移動させられる。加工ヘッドQは、タレット型工具7に搭載された個別工具8をパンチ加工のために昇降駆動する機構であり、パンチプレス1の本体フレーム1Aに設置されている。
【0021】
板材送り機構10は、Y軸方向に進退するキャリッジ11に、X軸方向に進退可能に、クロススライド12を搭載し、板材Wの端部を把持する複数のワークホルダ13を、クロススライド12に取付けたものである。クロススライド12は、請求項で言う移動部材である。各ワークホルダ13は、クロススライド12に対して取付位置変更可能に取付けられる。具体的には、図9に示すように、クロススライド12にその進退可能方向に沿って蟻形の取付レール12aが設けられ、ワークホルダ13はその背面に設けられた蟻溝形の嵌合溝13aで移動自在に嵌合している。ワークホルダ13は、ねじ機構13ba、押付け片13bb、およびレバー13bcからなる固定具13bを有し、取付レール12aの任意の位置で、固定具13bにより固定される。
【0022】
図8に示すように、タレット型工具7は、平面形状が円形のタレットであり、一つまたは複数の個別工具8が搭載される。個別工具8は、タレット型工具7に設けられた貫通孔等からなる個別工具支持部7a内に、交換自在に搭載される。個別工具8は、パンチ工具またはダイ工具である。パンチ工具およびダイ工具は、上下に対として用いられるものであり、タレット型工具7は、パンチ工具用のものとダイ工具用のものとが、上下に対として設けられる。図では、パンチ工具用のタレット型工具7のみを示し、ダイ工具用のタレット型工具7は、図示を省略している。
【0023】
個別工具8は、パンチ加工する孔形状や寸法が種々異なるものがあり、タレット型工具7に設けられた複数の個別工具支持部7aには、それぞれ異なる孔形状,寸法の加工用のものが搭載される。
また、タレット型工具7は、図7のように個別工具支持部7aの個数,配置,寸法等の種々異なる複数種類のものが準備される。同じ個別工具支持部7aに、外径寸法の合う複数種類の個別工具8の搭載が可能であり、各種類のタレット型工具7の個別工具支持部7aに、適合可能な任意の個別工具8を搭載してタレット型工具7の個別工具編成が行われる。
【0024】
機内工具マガジン5は、水平旋回自在に設けられ、外周部の円周方向複数箇所に、タレット型工具7を着脱自在に保持するポケット5aが設けられている。各ポケット5aは、制御上でポケット番号P01〜P08で識別される。機内工具マガジン5は、上下に一対のものが同心に設けられ、それぞれパンチ側およびダイ側のタレット型工具7を保持して同期して旋回するが、図では上側の機内工具マガジン5のみを示している。
【0025】
図6において、パンチプレス1は、工具割出機構として、マガジン割出部と工具ホルダ割出部(いずれも図示せず)とを有する。マガジン割出部は、機内工具マガジン5の任意のポケット5aが所定のプレスヘッドQの直下位置に来るように機内工具マガジン5を旋回させる機構である。工具ホルダ割出部は、プレスヘッドQの直下位置にあるタレット型工具7を保持してその工具ホルダ中心回りに旋回させ、タレット型工具7の任意の個別工具8を所定のパンチ位置Pに割出す機構である。
パンチ位置Pに割り出された個別工具8は、サーボモータ等のパンチ駆動源により、昇降自在なラムを介してパンチ加工のための昇降動作が与えられる。
【0026】
ローダ4は、所定の板材載置部14に積載された板材Wを、一枚ずつ吸着等により把持してパンチプレス1のテーブル9上に供給する装置である。ローダ4は、架設レール15上を走行する走行体16に、板材Wを把持する吸着パッド(図示せず)を備えている。
【0027】
プリセッタ2は、機外工具マガジン6を旋回割出可能に設置したものであり、パンチプレス1の背後に設置されている。プリセッタ2には、機外工具マガジン6に対して作業者がタレット型工具7の交換を行うための段取り用交換部17が設けられている。
機外工具マガジン6は、機内工具マガジン5と同様に水平旋回自在に設けられ、外周部の円周方向複数箇所に、タレット型工具7を着脱自在に保持するポケット6aが設けられている。機外工具マガジン6も、パンチ工具搭載のタレット型工具7用のものと、ダイ工具搭載のタレット型工具7用のものとが、上下に同心に設置され、旋回割出の駆動がマガジン割出手段(図示せず)で行われる。
【0028】
工具チェンジャー3は、パンチプレス1の機内工具マガジン5と、機外工具マガジン6との間でタレット型工具7を交換する装置であり、これら工具マガジン5,6の所定の交換用割出位置R,Sで交換を行う。
工具チェンジャー3は、これら機内工具マガジン5と機外工具マガジン6の交換用割出位置R,Sに渡って設けられたガイドレール21と、このガイドレール21に沿って走行する走行体22とを備える。走行体22は、それぞれタレット型工具7を保持する2つのチャック23,24が走行方向に並んで設けられている。これら2つのチャック23,24は、いずれか片方のチャック23,24で交換用のタレット型工具7を保持しておき、空の方のチャック23,24で工具マガジン5,6からタレット型工具7を受け取り、上記片方のチャック23,24で保持していた交換用のタレット型工具7を工具マガジン5,6に渡す動作を行う。これにより、走行体22の両工具マガジン5,6間の一度の走行でタレット型工具7の交換が行える。
【0029】
なお、走行体22は、チャック23,24を1個のみとし、交換用割出位置R,Sの付近に設けた仮置き台(図示せず)に、交換用のタレット型工具7を仮置きすることによっても、一度の走行でタレット型工具7の交換が行える。
また走行体22に設けられる上記チャック23,24は、いずれも各工具マガジン5,6と同じく、パンチ工具搭載のタレット型工具7用のものと、ダイ工具搭載のタレット型工具7用のものとが、上下に並んで設けられている。
【0030】
制御系および情報表示を説明する。図1において、板材加工機制御装置41は、板材加工機101をプログラム制御するコンピュータ式の装置であり、板材加工機1におけるパンチプレス1を制御する数値制御装置、工具チェンジャー3を制御するチェンジャー制御装置、ローダ4を制御するローダ制御装置等(いずれも図示せず)により構成される。
【0031】
管理装置42は、スケジュール運転におけるスケジュール管理や段取り情報の生成を行うコンピュータであり、板材加工機制御装置41と一部または全体が共通の装置として、または板材加工機制御装置41とは別に独立した装置として設けられている。
管理装置41は、スケジュール管理手段43、スケジュール記憶手段44、ワークホルダ取付位置記憶手段69、搭載工具情報記憶手段45、段取り情報作成手段48、段取り情報記憶手段49、および表示情報生成手段71を有している。管理装置41は、スケジュール作成手段(図示せず)を有するものであっても良い。
【0032】
スケジュール記憶手段44は、加工スケジュールSHを記憶する手段である。加工スケジュールSHは、加工に使用する工具の情報である使用工具情報F1およびワークホルダ取付位置情報F2を含む単位スケジュールSch1(Sch1〜Schn(nは任意の自然数))を複数集合させたものである。単位スケジュールSchは、1本の加工プログラム(図示せず)を1回実行させて加工するスケジュールのことである。
【0033】
工具情報F1は、加工に使用するタレット型工具7の工具番号(T01,T02,…)と、その工具番号のタレット型工具7の各個別工具支持部7aにどの個別工具8が入ったものであるかの詳細情報とを含むものである。
ワークホルダ取付位置情報F2は、各ワークホルダ13を移動体であるクロススライド12のどの位置に取付けるかを示す情報であり、例えばクロススライド12の設定基準位置からの距離で示される。
【0034】
スケジュール管理手段43は、スケジュール記憶手段44に記憶された加工スケジュールSHに従って板材加工機制御装置41に加工プログラムを実行させ、加工の進行状況を管理する手段である。
【0035】
ワークホルダ取付位置記憶手段69は、各ワークホルダ13のクロススライド12に対する現在の取付位置を記憶する手段である。ワークホルダ取付位置記憶手段69は、クロススライド12の取付位置を変更したときに、自動的に、または作業者の操作盤46の操作に従い、記憶内容を変更するものとされる。
【0036】
搭載工具情報記憶手段45は、機内および機外の各工具マガジン5,6に装着されているタレット型工具7の情報F3を記憶する手段である。搭載工具情報記憶手段45は、具体的には、工具情報F3として、各工具マガジン5,6の各ポケット5a,6aを識別するポケット番号(P01,P02,…)毎に、そのポケット番号で特定されるポケット5a,6aに装着されているタレット型工具7の工具番号(T01,T02,…)の情報、およびその工具番号のタレット型工具7の各個別工具支持部7aにどの個別工具8が入ったものであるかの詳細情報を記憶するものとされる。ポケット番号(P01,P02,…)は、機内および機外の各工具マガジン5,6の別に付されている。また、搭載工具情報記憶手段45は、工具チェンジャー3に保持しているタレット型工具7の工具番号情報についても、記憶するものとされる。
搭載工具情報記憶手段45は、各工具マガジン5,6に装着されているタレット型工具7の装着位置の変更や挿脱があると、自動的に、または作業者の操作に従い、記憶内容を変更するものとされる。
【0037】
段取り情報生成手段48は、加工スケジュールSH、並びに板材加工機1に取付けられている各ワークホルダ13の位置の情報、および板材加工機1に装着されているタレット型工具7の情報に基づき、段取り情報を生成する手段であり、作成した段取り情報は、段取り情報記憶手段49に記憶される。段取り情報は、ワークホルダ段取り情報と工具段取情とでなる。段取り情報生成手段48は、ワークホルダ段取り情報生成部48aと、工具段取情報生成部48bとでなる。
【0038】
ワークホルダ段取り情報生成部48aは、具体的には、スケジュール記憶手段44に記憶された加工スケジュールSHの各ワークホルダ取付位置の情報と、ワークホルダ取付位置記憶手段69に記憶された各ワークホルダ13の取付位置とを比較し、ワークホルダ段取り情報を作成する。ワークホルダ段取り情報は、どの単位スケジュールSchで、どのワークホルダ13をどの位置に変更するかを定めた情報である。
【0039】
工具段取情報生成部48bは、具体的には、スケジュール記憶手段44に記憶された加工スケジュールSHと、搭載工具情報記憶手段45の記憶内容とを比較し、工具段取り情報を作成する。
工具段取り情報は、どの単位スケジュールSchまで、あるいはどの単位スケジュールSch間に、板材加工機1に対してどのタレット型工具7を搬入し、また搬出するかを定めた情報である。この段取り情報には、タレット型工具7の各個別工具支持部7aにどの個別工具8が入ったものであるかの詳細情報も含まれる。
【0040】
表示情報生成手段71は、段取り情報記憶手段49の記憶内容、またはさらに搭載工具情報記憶手段45の記憶内容、およびワークホルダ取付位置記憶手段69の記憶内容に従い、表示装置47の画面からなる情報表示部47aに表示させる情報を生成して表示させる手段である。表示情報生成手段71は、情報表示部47aの表示として、段取り情報詳細表示81およびガイド表示82からなる段取り情報表示80と、装備状況表示50(図2)を表示させる。それぞれの表示81,82,50は、図1の表示情報生成手段71におけるガイド表示生成部72、段取り情報詳細表示生成部73、および装備状況表示生成部74により生成する。
【0041】
ガイド表示82は、段取りの発生を一目で分かるようにするなど、分かり易く示すと共に、画面の一部を切り換えて段取り情報詳細表示81を表示させるために作業者に操作を促す表示である。このガイド表示82は、工具段取りについては、段取りの必要なタレット型工具7につき、タレット型工具7を示すマーク83を表示し、ワークホルダ段取りにいては、ワークホルダ13を示すマーク83Aを表示するものである。
このタレット型工具7を示すマーク83は、例えば円で示し、その中にタレット型工具7の識別番号表示84を施している。この識別番号表示84は、工具有り情報表示51における識別番号表示59と同様に、工具番号における頭文字「T」と上位桁の「0」とを省略し、単に「1」等の数字部分のみの表示としてある。
ワークホルダ13を示すマーク83Aは、タレット型工具7を示すマーク83と同じ大きさの円で示す、その中にワークホルダを示す「WH」の文字,または適宜の記号等を施したものである。
なお、マーク83は工具段取り情報表示の一部であり、マーク83Aはワークホルダ段取り情報表示の一部である。
【0042】
ガイド表示82において、タレット型工具7を示すマーク83、およびワークホルダ13を示すマーク83Aは、いずれも、段取り情報における段取りの緊急度に応じて分類して表示するものとしている。ここでは、図2にハッチングの区別で色の違いを示しているが、上記分類表示として、緊急度に応じてマーク83,83Aの色を異ならせている。また、緊急度に応じてマーク83,83Aの表示位置を変え、例えば緊急度の高いものほど、図の左に表示するようにしている。
【0043】
ここでは、緊急度を3段階に分け、最も緊急度の高いもの、すなわち、今実行中か、または実行を開始した単位スケジュールSchの加工プログラムで必要なタレット型工具7については、赤色としている。図2では交差ハッチングにより赤色を示している。
次に緊急度の高いもの、例えば、1〜2行後の加工プログラム(すなわち、1つかまたは2つ後の単位スケジュールの加工プログラム)で必要であって、いま交換しても良いタレット型工具7については、黄色としている。図2では片側傾斜のハッチングにより黄色を示している。ワークホルダ13を示すマーク83Aについては、いま実行中の加工プログラムの終了後に変更するものである場合に黄色としている。
緊急度の最も低いもの、例えば加工スケジュールSの全体を実行するについて、将来は交換が必要であるが、今は交換不能なタレット型工具7については、青色としている。図2では、点々のハッチングにより青色を示している。ワークホルダ13を示すマーク83Aについては、黄色とすべきもの以外は青色としている。なお、ワークホルダ13は、加工中に取付位置を変更することはないため、ワークホルダ13を示すマーク83Aは、最も緊急度の高いものを示す色とされることがない。
【0044】
また、緊急度に応じて、上記色による区別と共に、緊急度の意味を示す文字によるメッセージ表示85を示し、上記円形のマーク83とメッセージ表示85とを、各マーク83毎に長方形等の囲み表示86で囲んである。メッセージ表示85は、例えば、「即時実行」,「1〜2行目実行」などされる。
【0045】
画面上に表示するマーク83,83Aの個数は、合計で所定最大個数(図示の例では4個)までとし、段取りの必要なタレット型工具7の個数(ワークホルダ13の段取りがある場合は1個加算)が、所定最大個数よりも多くても、ガイド表示82としてを示すマーク83,83Aは所定最大個数までとしている。所定最大個数を超える段取りの必要なタレット型工具7は、段取りの実行により段取りの必要なタレット型工具7が減少するに従って表示させるものとしている。段取りの実行は、搭載工具情報記憶手段45の記憶内容が変化したことを表示情報生成手段71で監視することで認識される。
【0046】
ガイド表示82における緊急度に応じた色分けは、図2と共に次に説明する装備状況表示50において、対応するタレット型工具7の工具有り情報表示51に対して、同じ色で示される。この色分け表示は、装備状況表示生成部74の処理により行われる。
【0047】
装備状況表示50は、工具有り情報表示51を円形のマークにより、工具マガジン5,6のポケット配列に疑似的に従った配列で表示するものとしてある。この場合に、各工具マガジン5,6毎の表示エリア61,62と、工具チェンジャー3に対する表示エリア63を設け、各表示エリア61〜63毎に工具有り情報表示51を表示する。装備状況表示50において、工具マガジン5,6の各ポケット5a,6a毎に、工具有り情報表示51を表示するポケット対応表示位置が定めてあり、このポケット対応表示位置が、工具マガジン5,6のポケット配列に疑似的に従った配列される。
【0048】
装備状況表示50において、各ポケット対応表示位置における、工具マガジン5,6のタレット型工具7が装着されている箇所には工具有り情報表示51を表示するが、タレット型工具7が装着されていない箇所には、工具有り情報表示51を表示しないものとしている。ポケット対応表示位置における、タレット型工具7が装着されていない箇所は、単に周辺と同じ背景で表示しても良く、またポケット対応表示位置であることがわかる位置表示55を施しても良い。この実施形態では、図に破線で示す円形の範囲を、背景色と似た色で目立たない程度の着色範囲とし、ポケット対応表示位置を示す位置表示55としてある。
【0049】
各工具有り情報表示51は、上記のように円形のマークとし、このマーク内に、タレット型工具7の識別番号表示59を施している。識別番号は、工具番号であることを示す頭文字「T」を付して「T01」などの文字列としているが、工具有り情報表示51に付す識別番号表示59では、頭文字「T」と上位桁の「0」とを省略し、単に「1」等の数字部分のみの表示としてある。これは、工具有り情報表示51の識別番号表示59では明らかに工具番号であることが分かり、頭文字等の余分な表示をなくした方が見やすいためである。
【0050】
装備状況表示50は、画面の一部に表示し、画面の残りの箇所に、指定された工具有り情報表示51の内容を示す工具内容表示64と、ガイド表示82とが表示される。
【0051】
図1において、段取り情報詳細表示81は、表示装置47の画面において、装備状況表示50(図2)と選択的に表示される。図1の段取り情報表示生成部73は、装備状況表示50として表示された任意の工具有り情報表示51を指定すると、その指定された工具有り情報表示51に対応するタレット型工具7の詳細内容を画面に表示する。工具有り情報表示51の指定は、その工具有り情報表示51の表示された画面上の箇所を指を触ることで行う。これにより、画面表面を覆うタッチパネル(図示せず)から選択の入力が行われる。
【0052】
図3は、段取り情報詳細表示81の具体例を示す。この例の段取り情報詳細表示81は、タレット型工具7の各個別工具支持部7aについての情報を行で示す表としてある。この表は、左欄81aと右欄81bとを設け、左欄81aには現在装着されている個別工具8についての情報が、右欄81bには段取りの必要な個別工具8についての情報が表示される。これら左欄81aおよび右欄81bには、各行毎に、個別工具支持部7aを識別する各ステーション番号「1」〜「8」と、個別工具8についての寸法等の情報である金型情報と、上型・下型の組合せ情報とが表示される。上型・下型の組合せ情報は、例えばクリアランスを異ならせるめに、同じ個別工具番号で示されるものにつき、それぞれ複数種類準備された上型および下型の種類を区別する情報であり、例えば「1」,「2」の数字で表示される。
段取り情報詳細表示81には、この他に、タレット型工具7の識別番号(ここでは「6」)が各行に共通して表示されている。
【0053】
また、段取り情報詳細表示81には、段取りが必要な個別工具8の行に、段取りが必要であることを示す個別工具段取り必要表示87が、行頭等に表示される。個別工具段取り必要表示87は、例えば囲み表示内に「段取り」等の文字表示を付したものとされる。個別工具段取り必要表示87についても、ガイド表示82におけるマーク83と同様に、緊急度に応じて色を変えて表示される。
【0054】
また、段取り情報詳細表示81は、図3に示す表示形式と、図5に示すように、各ワークホルダ13の取付位置につき、各スケジュール毎に示した表示形式とに切換可能としてある。この切換は、操作盤46に所定の入力を行うことで、例えば、ガイド表示82におけるワークホルダ13を示すマーク83Aに指が触れることで、図5の画面が表示され、また所定の入力、例えばタレット型工具7を示すマーク83に指が触れることで、図3の画面に戻るようになされる。図5の画面では、ワークホルダ位置の段取り情報詳細表示81cとして、各単位スケジュール毎に、各ワークホルダ13の位置を基準位置からの距離(単位mm)で示している。図示の例では、4番目のスケジュールにおいて、中央のワークホルダ取付位置が、前の750mmの位置から700mmの位置に変わっていることが示されている。
【0055】
上記構成の段取り情報表示装置によると、表示情報生成手段71により段取り情報に応じた表示情報が生成され、表示装置47の画面に、図2のように装備状況表示50とガイド表示82とが表示される。装備状況表示50は、板材加工機1の現在のタレット型工具7の装備状況を疑似的に表示したものである。
ガイド表示82は、段取りの必要なタレット型工具7につき、そのタレット型工具7を示す円形のマーク83を示し、そのマーク83内にタレット型工具7の識別番号表示84を示したものである。また、ガイド表示82として、ワークホルダ13の段取りが必要な場合には、円形のマーク83Aを示す。そのマーク83内にはワークホルダを意味する「WH」の文字または適宜の記号を示す。これらのマーク83,83Aは、段取りの緊急度に応じて分類され、その分類を「赤」,「黄」,「青」の色の違いで示されている。なお、現在、段取りがない場合は、ガイド表示82は表示されない。図4は、その段取りがない場合の画面例を示す。
【0056】
このように、段取りの必要なタレット型工具7につき、ガイド表示82で示され、またワークホルダ3の段取りが必要な場合もガイド表示82で示され、かつ緊急度別に分類されて示される。そのため、現在、どのタレット型工具7の段取りが必要であるか、またワークホルダ13の段取りが必要であるが簡単に分かり、かつその段取りが何時必要であるかが分かる。
段取り作業は、主にタレット型工具7とワークホルダ13とにつき発生するが、その両方の段取りの発生状況が同じ画面に合わせて表示されるため、作業者による段取りの必要状況の認識が行い易い。
ガイド表示82は、ワークホルダを示すマーク83Aおよびタレット型工具7を示すマーク83が一列に配列されるため、作業者による総合的な段取りの必要性の認識がより一方行い易い。
【0057】
ガイド表示82における緊急度に応じた色分けは、装備状況表示50において、対応するタレット型工具7の工具有り情報表示51の表示に対して、同じ色で示されるため、実際の工具装着状況を示す装備状況表示50において、どのポケット番号のタレット型工具7の段取りが必要があるかが簡単に分かる。
【0058】
装備状況表示50における工具有り情報表示51の表示を指で触れると、段取り情報表示生成部73の処理により、図3に示すように段取り情報詳細表示81が画面に表示される。
段取り情報は、工具の種類やサイズなど、詳しい内容を伴うため、画面に全てのタレット型工具7につき列挙したのでは煩雑で分かり難い。しかし、この実施形態は、上記のようにガイド表示82を表示し、このガイド表示82を見て、装備状況表示50の対応部分を指で触れることで、必要な段取り情報詳細表示81を表示させることができる。そのため、余分な表示をできるだけ少なくし、必要な段取り情報を簡単に表示させることができる。また、段取り情報詳細表示81において、タレット型工具7内のどの個別工具8について段取りが必要であるかが、個別工具段取り必要表示87や交換後の内容の表示によって示されるため、作業者はこれらの表示を見て簡単に段取りを行うことができる。
さらに、段取り情報詳細表示81は、ワークホルダ13についてのスケジュール毎の取付位置が表示されるため、ワークホルダ13の段取りについても、予定を認識して適切な段取りが行い易い。
【0059】
上記ガイド表示82において、タレット型工具7を示すマーク83は所定最大個数までとしたため、表示内容が簡明となり、より一層わかり易い。
所定最大個数を超える段取りの必要なタレット型工具7は、段取りの実行により段取りの必要なタレット型工具7が減少するに従って表示させるため、ガイド表示82として必要な表示が全て行える。また、表示装置47の情報表示部47aがタッチパネルで覆われているため、表示された箇所を指で触れるだけで、装備状況表示50から段取り情報詳細表示81への切換を操作できるため、表示内容の切換が簡単で、迅速に行える。
【0060】
なお、このワークホルダ段取り情報表示装置において、ワークホルダ13の取付位置を検出する手段(図示せず)を設け、この検出手段により検出されたワークホルダ13の取付位置と、スケジュール記憶手段44における次に実行される単位スケジュールにおける各ワークホルダ13の取付位置とを比較し、合致しない場合に板材加工機制御装置41により、板材加工機101による動作を不能とする実行不許可手段(図示せず)を設けても良い。
【0061】
図10は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、板材加工機101がタレットパンチプレスである場合に適用したものである。この場合、板材加工機101のタレットが工具マガジン5Aとなり、そのタレットからなる工具マガジン5Aの各ポケット5Aaに個別の工具8Aが装着される。個別の工具8Aに代えて、複数の個別工具を搭載したマルチ工具をポケット5Aに装着したものであっても良い。
【0062】
段取り情報生成手段48は、第1の実施形態と同様に、ワークホルダ段取り情報および工具段取り情報を生成する。また、表示情報生成手段71も、第1の実施形態と同様に、表示装置47の情報表示部47aに、ワークホルダ段取り情報および工具段取り情報の表示となる段取り情報表示80として、段取り情報詳細表示81およびこの段取り情報詳細表示81を表示させるために作業者に操作を促すガイド表示82を生成して表示する。また、表示情報生成手段71は、装備状況表示50を表示する情報を生成して表示させる。なお図11は、スケジュールSH中に、表示すべき優先順位の段取りとしてワークホルダ13についての段取りがなくて、工具段取りがある場合における、装備状況表示50を表示した画面の例を同図(A)に、段取り情報詳細表示81を表示した画面の例を同図(B)に示している。
【0063】
このように、板材加工機101がタレットパンチプレスである場合にも、ワークホルダ段取り情報および工具段取り情報の段取り表示80を表示し、また段取り情報詳細表示81を選択的に表示させるためのガイド表示82を表示するようにしたため、必要な段取り情報を簡単に表示することができる。この実施形態におけるその他の構成,効果は、第1の実施形態と同様である。
【0064】
なお、上記各実施形態では、いずれも、ワークホルダ段取り情報を、画像表示を行う表示装置47の画面に表示するようにしたが、例えば図12に示すように、ワークホルダ13に表示を行うようにしても良い。同図は、図1〜図9に示す第1の実施形態において、表示装置47および表示情報生成手段71の構成を次のように変えたものである。この実施形態では、各ワークホルダ13に、発光ダイオードまたはランプ等の単一の光源からなる表示装置47Aを設け、図1の表示情報生成手段71は、ワークホルダ段取り情報の表示については、ワークホルダ取付位置の変更の発生するワークホルダ13に設けられた表示装置47Aを点灯または点滅させるものとしている。この点灯または点滅は、次に実行する単位スケジュールでワークホルダ段取りが発生する場合に行うようにしてもよく、また幾つか先の単位スケジュールでワークホルダ段取りが発生する場合に行うようにしても良い。また、2つ以上先の先の単位スケジュールでワークホルダ段取りが発生する場合には点灯状態とし、次に実行する単位スケジュールでワークホルダ段取りが発生する場合には点滅させるなどで区別するようにしても良い。工具段取り表示については、第1の実施形態と同様に行うようにする。
【0065】
このようにワークホルダ13に表示装置47Aを設けて段取りの表示を行うようにした場合、操作盤46の表示装置47の画面に表示する場合に比べて、段取りの発生がより一層明確となり、作業者による見落とし等がより少なくなる。その他の構成,効果は、第1の実施形態と同様である。なお、図10に示す板材加工機101がタレットパンチプレスである実施形態において、図12のようにワークホルダ13に表示装置47Aを設けて段取りの表示を行うようにしても良い。
【0066】
なお、図12の例では、ワークホルダ13に設ける表示装置47Aを単独の光源としたが、ワークホルダ13に設ける表示装置47Aを液晶ディスプレイ等の画像の表示が可能なものとし、文字、記号,マーク等の画像でワークホルダ段取り情報を表示するようにしても良い。その場合、スケジュールで示されるワークホルダ13の取付位置の表示を行うようにしても良い。さらに、クロススライド13等に、スケール(図示せず)を表示する表示装置設け、そのスケール上に段取りすべきワークホルダ13の位置を表示するようにしても良い。
【0067】
図13は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図10に示す第2の実施形態において、板材加工機101が複合加工機である場合の例を示す。この例では、板材加工機101は、パンチ加工ヘッドQ1、レーザ加工ヘッドQ2、およびタップ加工ヘッドQ3を持つタレットパンチプレス,レーザ,タップ複合加工機とされている。レーザ加工ヘッドQ2に設けられた交換可能な光学系部(図示せず)およびタップ加工ヘッドQ3における交換可能なタップ工具(図示せず)は、請求項で言う「工具」に該当し、図10のスケジュール記憶手段44および搭載工具情報記憶手段45における工具情報には、これら交換可能な光学系部およびタップ工具の情報が含まれる。図13の実施形態におけるその他の構成は、図10の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0068】
1…パンチプレス
7…タレット型の工具
8,8A…個別工具
9…テーブル
10…板材送り機構
11…キャリッジ
12…クロススライド(移動部材)
13…ワークホルダ
41…板材加工機制御装置
42…管理装置
43…スケジュール管理手段
44…スケジュール記憶手段
45…搭載工具情報記憶手段
46…操作盤
47,47A…表示装置
48…段取り情報作成手段
48a…ワークホルダ段取り情報生成部
48b…工具段取情報生成部
49…段取り情報記憶手段
50…装備状況表示
69…ワークホルダ取付位置記憶手段
71…表示情報生成手段
80…段取り情報表示
81…段取り情報詳細表示
82…ガイド表示
83…マーク(工具段取り表示) 83A…マーク(ワークホルダ段取り表示)
101…板材加工機
Q…加工ヘッド
Q1…パンチ加工ヘッド
Q2…レーザ加工ヘッド
Q3…タップ加工ヘッド
SH…加工スケジュール
Sch1〜Schn…単位スケジュール
W…板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材に加工を施す加工ヘッドと、この加工ヘッドに対して板材を送る板材送り機構とを備え、前記板材送り機構は、進退駆動される移動部材と、この移動部材に対して取付位置変更可能に取付けられて板材の端部を把持する複数のワークホルダとを有する板材加工機に適用されるワークホルダ段取り情報表示装置であって、
前記ワークホルダの前記移動部材に対する現在の取付位置を記憶するワールホルダ取付位置記憶手段と、
順次実行される複数の加工プログラムからなる加工スケジュールにおける実行中の加工プログラム以降の加工プログラムを先読みし、加工プログラムからその加工で必要となるワークホルダの取付位置の情報を抽出し、その抽出したワークホルダの取付位置を前記ワールホルダ取付位置記憶手段に記憶されたワークホルダの取付位置と比較して異なる場合にワークホルダ取付位置の変更の段取りが必要となることを示すワークホルダ段取り情報を生成する段取り情報生成手段と、
この段取り情報生成手段で生成したワークホルダ段取り情報に基づき表示装置への表示用の情報を生成して前記表示装置に表示させる表示情報生成手段と、
を備えた板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置。
【請求項2】
前記加工ヘッドによる加工に用いる工具として板材加工機が現在備える各工具の情報を記憶した搭載工具情報記憶手段を設け、
前記段取り情報生成手段は、
前記ワークホルダ段取り情報を生成するワークホルダ段取り情報生成部と、
前記加工スケジュールにおける実行中の加工プログラム以降の加工プログラムを先読みし、加工プログラムで用いられる工具の情報と前記搭載工具情報記憶手段に記憶された工具の情報とを比較して搭載工具の交換の段取りが必要となることを示す工具段取り情報を生成する工具段取り情報生成部とを有し、
前記表示情報生成手段は、画像を表示する表示装置に表示させるものとし、前記ワークホルダ段取り情報生成部で生成されたワークホルダ段取り情報に基づき生成したワークホルダ段取り情報表示と、前記工具段取り情報生成部で生成された工具段取り情報に基づき生成した工具段取り情報表示とを、前記表示装置の同一の画面に表示するものとした、
請求項1記載の板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置。
【請求項3】
前記表示情報生成手段は、前記ワークホルダ段取り情報表示および前記工具段取り情報表示をそれぞれマークで表示し、かつこれらのマークを前記同一の画面上に一列に並べて表示させるものとした請求項2記載の板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置。
【請求項4】
前記表示装置が、前記各ワークホルダに設けられた光源であって、前記表示情報生成手段は、ワークホルダ取付位置の変更の発生するワークホルダの光源を点灯または点滅させるものとした請求項1記載の板材加工機のワークホルダ段取り情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−76570(P2011−76570A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230426(P2009−230426)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】